ウレタンフォーム部材、シール構造、トナー収納容器、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置。
【課題】騒音や防塵の対策としてウレタンフォーム製のシール部材が広く用いられているが、フォームの裁断部がそのままシール部材の厚みとなる。このシール部材の適用にあって、これを機材間に挟み込む際に、機材の縁がこのシール裁断面に当たってしまうという不具合があった。
【解決手段】シール構造に採用されるウレタンフォーム部材にあって、ウレタンフォームを所望の形状に裁断した後、その一方の面に接着剤を施し、他方面の少なくとも一辺の稜線近傍に対して、前記ウレタンフォームを熱圧縮して永久歪みを付与し、この部位から離れるにつれて徐々に厚みを増すようにした。
【解決手段】シール構造に採用されるウレタンフォーム部材にあって、ウレタンフォームを所望の形状に裁断した後、その一方の面に接着剤を施し、他方面の少なくとも一辺の稜線近傍に対して、前記ウレタンフォームを熱圧縮して永久歪みを付与し、この部位から離れるにつれて徐々に厚みを増すようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は軟質ウレタンフォームのウレタンフォーム部材及びこれを用いたシール構造、トナー収納容器、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
軟質ウレタンフォーム(以下、問題のない限り単にウレタンフォームと言う)は、成形時に発生するガス材により数十から数百倍に発泡され、かさ密度が極めて小さく柔軟性の極めて大きいウレタンフォームとなる。このため、ウレタンフォームは各種のクッション材やシール部材に採用されている。しかも、かかるウレタンフォームは熱プレスによってプレスされた部位が永久歪みを受け、このため、シール部材としての利用価値は更に大きいものとなる。
【0003】
熱プレスを施したウレタンフォーム部材をシ−ル部材に適用した例としては、例えば、複写機のトナー収納容器に用いるシール構造がある。これは、トナー容器内に収容されたトナーを供給するためのトナー出口において、この出口の周囲を囲んでトナーの飛散を防止するシール構造である(特許文献1参照)。
【0004】
かかる従来の熱プレスウレタンフォーム部材201を図15に示す。これは二枚の平らな熱プレート211、212にてウレタンフォーム202の全面を熱プレスし、所望の大きさや形状にカットした構造のウレタンフォーム部材である。このウレタンフォーム部材201は熱によって永久歪みがもたらされており、更にその表面には熱により薄い樹脂面210aが形成されている。しかるに、このウレタンフォーム部材201を所望の形状にプレスカッター等にてカットして製品化した場合、カット面Cが必ず構成される。このため、カットして得られた製品面上を、例えば、樹脂や金属製のシャッターやローラー(以下、シャッターにて代表する)等が接触しつつ左右に動く場合、シャッターが製品を得る際にできるカット面CのエッジEに引っ掛かってしまうという不具合が指摘されていた。
【0005】
一般に、複写機等での機械内の温度上昇を抑えるための気流経路に用いるエアダクトでは、機械内のダクトの配置が複雑であり、複数のエアダクトを結合してダクトを構成するケースが多い。その際、ダクトの結合部分にウレタンフォームを用いたシール部材を使用するシール構造が多くなる。この際、ダクトは部品の取り付けに応じて、開口部に向かってスライドさせて合わせる構造や、開口部と垂直な方向から合わせる構造がある。
【0006】
図16A、図16Bは上記のウレタンフォーム部材より得られたシール部材210を複写機のエアダクトに用いたシール構造の例を示すもので、図示しない複写機の本体から取り外し可能なユニット5に方形のエアダクト用の開口部5aが開けられ、複写機の本体に設けたエアダクト6に対し、矢印の方向にスライドさせて着脱可能に装着する構造のものである。その際、開口部5aの周囲には上記ウレタンフォーム製のシ−ル部材210が貼着される。
【0007】
この際、シ−ル部材10の厚み方向の面(カット面)が装着時にエアダクトに最初に当接する。このため、シール部材のエッジ部Eがめくり上がってしまうことがある。
【0008】
図17A、図17Bは、開口部5aに対し垂直な方向からエアダクト6を合わせるシ−ル構造の例を示すものであって、装着時にウレタンフォームが圧縮されるために、ダクト内部やダクト外部に変形し、主としてカット面を中心にウレタンォームがはみ出す(210x)ケースがある。これは、複写機等の前カバー等頻繁に開閉する部材間に挟まれて使用されるウレタンフォーム部材でも同様である。
【特許文献1】特開平07−056430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような部分へのウレタンフォーム製のシール部材の使用に対して共通して言える問題点は、ウレタンフォームの切断面の部分が障害となっている点である。本発明はウレタンフォームを熱プレスして得られるシール部材にかかるものであり、シール部材を得る際に、エッジへの引っ掛かりを抑制することができたシール部材及びシール構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、シート状のウレタンフォームを必要とする形状に裁断した後、そのウレタンフォームの一方の面に接着剤を施すウレタンフォーム部材であって、接着剤を付与しない面の少なくとも一辺の端辺部が、端部の厚みが最も薄く、この端部から離れるにつれて徐々に厚みを増すように熱永久歪みが加えられた低端形状とされたものである。
【0011】
第1の態様のウレタンフォーム部材では、接着剤を付与しない面の少なくとも一辺の端辺部が低端形状とされている。低端形状は、端部の厚みが最も薄く、この端部から離れるにつれて徐々に厚みを増すように熱永久歪みが加えられた形状である。したがって、ウレタンフォーム部材の接着剤を付与しない面の低端形状部分に、別部材が引っ掛かることを抑制することができる。
【0012】
なお、第1の態様のウレタンフォーム部材は、互いに対向する2辺を、前記低端形状とすることにより、2辺両側について、別部材が引っ掛かることを抑制することができる。
【0013】
本発明の第2の態様は、第1の態様のウレタンフォーム部材を貼り付けた部材と、ウレタンフォーム貼り付け面と平行な方向に相対的に移動して配置される別部材と、の間の隙間を埋めるシール構造であって、前記移動方向に対して、前記端辺部の厚みが厚い部分を構成する大厚部に、前記別部材を接触させるものである。
【0014】
第2の態様のシール構造では、端辺部の厚みが厚い部分を構成する大厚部に別部材を接触させて、ウレタンフォーム部材を貼り付けた部材と別部材との間がシールされる。
【0015】
本発明の第3の態様のシール構造は、第1の態様のウレタンフォーム部材を貼り付けた部材と、ウレタンフォーム貼り付け面に対し鉛直方向から別部材を当接して両部材の隙間を埋めるシール構造であって、接着剤を付与しない面を別部材と密着する面としてウレタンフォーム部材を貼り付けたものである。
【0016】
第3の態様のシール構造は、前記ウレタンフォームを貼り付けた部材と、前記別部材との間を、開閉可能とすることもできる。
【0017】
本発明の第4の態様は、内部にトナーが収容されたトナー収納容器であって、第1の態様のウレタンフォーム部材が、トナーの排出される排出口の周りを囲むように接着されたものである。
【0018】
本発明の第5の態様は、第4の態様のトナー収納容器を備えた、画像形成装置である。
【0019】
本発明の第6の態様は、第2の態様または第3の態様のシール構造をその接合部に備えた画像形成装置用のエアダクトである。
【0020】
本発明の第7の態様は、第6の態様のエアダクトを備えた、画像形成装置である。
【0021】
本発明の第8の態様は、第2の態様または第3の態様のシール構造をエア取入口及びエア排出口の少なくとも一方に備えた、画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジである。
【0022】
本発明の第9の態様は、第8の態様のプロセスカートリッジを備えた、画像形成装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の第1の態様によれば、ウレタンフォーム部材の低端形状とされた端辺部の引っ掛かりを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
さて、従来のシール部材の形状を説明したが、その課題はウレタンフォームのカット面Cが構成されることである。このため、使用時にシ−ル部材の面上を左右に動くシャッター等がこのカット面CのエッジEに引っ掛かってしまうこととなる。本発明におけるウレタンフォーム部材にはカット面のエッジEが存在せず、これを用いたシール構造にあってはシャッター等がこの部位に引っ掛かることを抑制できるという極めて有用な特徴がある。
【0025】
本発明の基本的な考えは、一対のモールドにて形成されるキャビティ内にウレタンフォームを圧縮してこれに熱永久歪みをもたらし、具体的にはウレタンフォーム端部の形状を湾曲面となしたウレタンフォーム部材を提供するものである。
【0026】
更に言えば、本発明の第1のポイントはウレタンフォームの切断面の端部を熱圧縮し、切断面の引っ掛かりを防止した点にある。そして、その切断面端部の上側が端部から中央に向けてのウレタンフォームの厚さが段階的に変化するため、例えば、ウレタンフォームに施された接着剤面と水平方向に移動させる状況下においてもウレタンフォームの破断に対する強度も向上することとなる。
【0027】
本発明の第1で言うウレタンフォーム部材は、シール部材とされるものであり、例えば、ダクトの開口部の周囲に貼り合わせるため環状とされるものである。ここで環状とは、無端状を意味し、円状、楕円状、方形状等の環状体が含まれる。
【0028】
本発明の第2のシール構造の特徴を言えば、ウレタンフォーム部材を貼り付けた部材を、ウレタンフォーム貼り付け面と相対的に平行な方向に移動させて別部材との隙間を埋める際、別部材と接触するウレタンフォーム部材(シール部材)の端部は熱圧縮による永久歪みをもたらして特殊な形状、即ち、ウレタンフォーム端部の形状が当該端部の厚みが最も薄く、この端部から離れるにつれて徐々に厚みを増すように熱永久歪みが加えられた形状としたもので、これによってエッジ部のめくれ上がりがなくなり、ウレタンフォームの破断等の発生がなくなったものである。
【0029】
用いられるウレタンフォームの比重としては、0.02〜0.1であり、エーテル系でもエステル系のいずれも利用可能である。熱圧縮されるウレタンフォームの厚さは特に限定されるものではないが、例えば、トナー収納容器に用いられるシール部材とするには、5〜15mmの厚みのウレタンフォームを3〜5mmに熱圧縮歪みされるのがよい。この際の熱圧縮にあって、モールドの温度は180〜210℃×1.5〜4分程度である。
【0030】
尚、二つのモールドにて圧縮されて樹脂部となる部位の厚みは圧縮されるウレタンフォームの厚みにもよるが、約0.1mm程度である。勿論これはウレタンフォーム部材(シール部材)より切り離されることとなるが、この切断はいわゆる「食い切り」により切断する構成とするのがよい。このため、モールドのパーティングライン近傍(好ましくはパーティングラインに添って)に一方より凸条を形成しておくものであり、これによって熱圧縮歪みの際に更にウレタンフォームを圧縮した状態とするものである。これによって熱処理後には樹脂部の周囲に確実に溝が形成され、この樹脂部を引っ張ることによりこの溝より簡単に切断可能となったものである。
【0031】
(画像形成装置の全体構成)
次に、本発明の実施形態に係る画像形成装置について説明する。図1には、本実施形態の画像形成装置100が示されている。画像形成装置100は、電子写真方式のカラー複写機であり、YCMKの4色に対応する4個のプロセスカートリッジ110を、転写ベルト106Aの移動方向に並列させて、カラー画像を形成するもの(以下「タンデム型」という)である。
【0032】
転写装置106は、転写ベルト106A、各プロセスカートリッジ110に対応した4つの1次転写ローラ106B、支持ローラ106C、106D、転写紙搬送経路の一部を成す2次転写ローラ106F等を含んで構成されている。転写ベルト106Aは、4つの1次転写ローラ106B、支持ローラ106C、106D、2次転写ローラ106Fに張架されて無端移動する構成となっている。
【0033】
この転写ベルト106A上に、各々4色のトナーを用いるプロセスカートリッジ110Y、110C、110M、110K上のトナー像が静電転写方式により、互いに重なり合うように転写される。具体的には、各プロセスカートリッジ110の感光体114Y、114C、114M、114Kと接触する転写ベルト106Aの裏面部分に、それぞれ1次転写ローラ106BY、106BC、106BM、106BKを配置している。ここでは、1次転写ローラ106Bにより押圧された転写ベルト106Aの部分と、感光体114とによって、転写領域が形成される。そして、各感光体114Y、114C、114M、114K上のトナー像を、転写ベルト106A上に転写する際には、1次転写ローラ106Bに正極性のバイアスが印加される。これにより、各々の1次転写の領域には転写電界が形成され、各プロセスカートリッジ110の感光体114上のトナー像は、転写ベルト106A上に静電的に順次付着し、重なり合うように転写される。
【0034】
その後、トナー像は、2次転写ローラ106Fが搬送ベルト106Gに圧接する2次転写ニップまで搬送され、そこにタイミングを合わせて搬送されてくる転写紙上に一括して転写される。なお、転写ベルト106A周りには、その表面に残留したトナーを除去するためのベルトクリーニング装置を設けてもよい。
【0035】
転写紙は、給紙カセット109内に収容されており、ピックアップローラ109A等によってレジストローラ対109Bまで搬送される。そして、2次転写ニップにおいて、転写ベルト106A上の重ね合わされたトナー像が、転写紙に一括転写される。
【0036】
次に、転写紙は、搬送ベルト106Gによって、定着装置108に搬送される。定着装置108において、転写紙上のトナー像は、熱及び圧力で転写紙に定着される。その後、転写紙は、排紙ローラ101によって画像形成装置100外に排紙され、排紙トレイ102に載置される。
【0037】
なお、本願発明においては、プロセスカートリッジとは、感光体と画像形成工程に必須のプロセス装置(帯電装置、現像装置、クリーニング装置)のいずれか1つ以上とが一体となる筐体構成を有し、画像形成装置本体に対して着脱自在の構成を有するものと定義する。後述のプロセス装置の例においては、上述の帯電装置、現像装置、クリーニング装置すべてと感光体とが一体の構成が示されているが、このような構成に限定されず、帯電装置、現像装置、クリーニング装置の各々に対して後述するエアダクトを備えたものについても、プロセスカートリッジに含まれる。
【0038】
(プロセスカートリッジの構成)
図2には、画像形成装置100内に装着されたプロセスカートリッジ110の断面図が示されている。プロセスカートリッジ110は、感光体ユニット112及び現像ユニット113を備えている。
【0039】
感光体ユニット112は、感光体114、及び、感光体114を収容する感光体ケース115を有している。また、感光体ケース115には、帯電チャージャ116が支持され、帯電チャージャ116も感光体ユニット112の構成要素となっている。
【0040】
一方、現像ユニット113は、乾式の現像剤Dが収容された現像ケース118、3本の搬送スクリュ117、及び、現像剤Dを担持して搬送する現像ローラ119を有している。現像ケース118内には、現像剤Dを収容するトナー収容部118Rが構成され、搬送スクリュ117は、トナー収容部118R内の現像剤Dを攪拌しつつ搬送する。現像ローラ119の内部には、ローラ軸120に固定された円筒状の磁石121が配置されている。磁石121には、その周方向に複数の磁極が着時されている。
【0041】
なお、本実施形態の現像ユニット113においては、トナーとキャリアを有する二成分系の現像剤Dを用いているが、キャリアを有さない一成分系の現像剤を用いることもできる。いずれの場合においても、磁性を有する現像剤が用いられる。
【0042】
また、本実施形態の感光体ユニット112には、クリーニング装置130が一体的に組み付けられており、このクリーニング装置130は、感光体ケース115の一部によって構成されたクリーニングケース132、クリーニングケース132に支持され且つ感光体114の表面に圧接するクリーニングブレード133、クリーニングブレード133に回転可能に支持されて、感光体114の表面に当接する潤滑剤塗布ブラシ134A、塗布後の潤滑剤を薄層均一化するならしブレード133B、及び、潤滑剤塗布ブラシ134Aに圧接し潤滑剤塗布ブラシ134Aに潤滑剤を供給する固形潤滑剤134Bを有している。
【0043】
なお、上記では、クリーニング装置130と感光体ユニット112とが一体とされた構成のもので説明しているが、クリーニング装置と感光体ユニットとを別々のユニットとして構成し、クリーニング装置を感光体ユニットに着脱可能に組み付ける構成にすることもできる。
【0044】
画像形成動作が開始されると、感光体114は、図2における反時計回りに回転駆動される。このとき、帯電チャージャ116に電圧が印加され、これによって感光体114の表面が、所定の極性に帯電される。感光体114の帯電面に図示していない露光装置から出射した書き込み光Lが照査され、これによって、感光体114の表面に静電潜像が形成される。
【0045】
一方、現像ローラ119の周面には、磁石121の磁力によって現像剤Dが担持され、該現像ローラ119が、図2における時計回りに回転することによって、現像ローラ119上の現像剤Dが、現像ローラ119の回転方向と同じ方向に搬送される。そして、搬送されている現像剤Dのトナーが、感光体114の表面に形成された静電潜像に静電的に移行し、この静電潜像がトナー像として可視化される。このように、本実施形態のプロセスカートリッジ110においては、現像ローラ119に担持されて搬送される現像剤によって、感光体114の表面に形成された静電潜像が可視化される。
【0046】
また、画像形成装置100には、1次転写ローラ106Bが回転可能に支持されており、図2における時計回りに回転する1次転写ローラ106Bと感光体114との間に、転写材の一例である転写ベルト106Aが矢印Aで示すように給送される。
【0047】
このとき、1次転写ローラ106Bに転写バイアスが印加され、これによって感光体114上のトナー像が転写ベルト106A上に転写される。転写ベルト106Aに転写されたトナー像は、2次転写ローラ106Fが搬送ベルト106Gに圧接する2次転写ニップまで搬送される。そして、2次転写ニップにおいて、転写ベルト106A上のトナー像が、転写紙に一括転写される。トナー像が転写された転写紙は、定着装置108を通り、このとき熱と圧力の作用によって、転写紙上のトナー像が転写紙に定着される。定着装置108を通過した転写紙は、排紙トレイ102上に排出される。
【0048】
一方、転写紙ベルト106Aに転写されずに感光体114上に付着している転写残トナーは、クリーニング装置110のクリーニングブレード113Aによって感光体4から除去され、感光体114は初期化される。
【0049】
(トナーカートリッジ、及び、トナーホッパの構成)
図3に示すように、プロセスカートリッジ110の側端面からは、現像ケース118内の3本の搬送スクリュ117のうち、下方に並在する2本のホッパスクリュ117の端部を覆っている部分が突出し、突出部118Aを構成している。突出部118Aの上部には、トナー補給口である開口118Kが構成され、現像ケース118内のトナー収容部118Rは、開口118Kを介して後述するトナーホッパ140の供給口147(図4C参照)と連通されている。図3では、開口118Kは、ウレタンゴム製の蓋部材118Fで閉じてある。
【0050】
図4Aに示すように、トナーホッパ140は、トナーを一時的に貯留するトナー貯留室141と前記開口118Kに向けてトナーを搬送するホッパスクリュ142を内在し、トナー貯留室141の上面には、トナーカートリッジ150がスライドしてセットされるスロット部145が設けられている。スロット部145は、トナーカートリッジを案内するセットガイド146、及び、トナーを受け入れるトナー受入口143を含んで構成されている。トナー受入口143は、後述するトナーカートリッジ150の排出口152と連通される。トナーホッパ140のトナー貯留室141を挟んでトナー受入口143と逆側には、現像ケース118の開口118Kと連通される供給口147が構成されている。
【0051】
本発明のトナー収納容器の実施形態としてのトナーカートリッジ150には、内部にトナーを収納するトナー収納空間150Rが構成されると共に、とその下方に排出口152が構成されている。排出口152は、封止シール153で封止されている。排出口152の周囲には、排出口152に沿って後述するシール部材10が貼り付けられている。トナーカートリッジ150の下面側には、トナーホッパ140のセットガイド146と係合するガイドフランジ155が側方に突出している。
【0052】
(シール部材の全体構造)
次に、トナーカートリッジ150に用いられるシール部材10の構成について説明する。図5に示されるように、シール部材10は、長方形枠状とされ、縦部12及び横部14を備えている。シール部材10は、全体がウレタンフォームの熱圧縮処理にて形成され、縦の長さLa、横の長さLb、縦部の幅Wa、横部の幅Wb、高さHとされている。そして、全体の表面が熱圧縮処理時に形成された比較的比重の高いスキン層10aにて保護されている。そして、シール部材10の頂面は緩やかな曲線状の湾曲部10bをなしている。湾曲部10bの逆側には、平坦形状の接着面10cが構成されている。
【0053】
湾曲部10bは、La方向に長尺の縦部12において、幅Wa方向の中央部の厚みが最も厚く、端部側へ向かって徐々に厚みが薄くなる構成とされている。また、Lb方向に長尺の横部14において、幅Wb方向の中央部の厚みが最も厚く、端部側へ向かって徐々に厚みが薄くなる構成とされている。
【0054】
シール部材10を上記構成とすることによって、湾曲部10bと当接されつつ、トナーホッパ140の上面がスムーズに動くことができる。
【0055】
なお、図5のシール部材10の接着面10cに接着剤を施すことにより、トナーホッパ140にシール部材10を接着することが可能である。
【0056】
前述のトナーカートリッジ150をトナーホッパ140にセットする際には、図4Bに示すように、トナーカートリッジ150のガイドフランジ155を、側方からトナーホッパ140のセットガイド146の内側にセットして位置合わせを行い、セットガイド146に沿って、即ち、シール部材10の湾曲部10bの稜線に沿ってトナーカートリッジ150を移動させ、トナーカートリッジ150の排出口152とトナーホッパ140のトナー受入口143とが合うようにセットする。その際、前述のように、シール部材10は湾曲部10bを備えているので、端部がセットガイド146に引っ掛かってめくれ上がるような不具合を低減することが可能になっている。
【0057】
トナーカートリッジ150のセットが完了後、封止シール153が引き抜かれ、トナーカートリッジ150内のトナーがトナーホッパ140内に補給される。
【0058】
(トナーホッパの変形例)
なお、上記では、トナーカートリッジ150は、シール部材10の湾曲部10bの稜線に沿って、トナーホッパ140と相対移動してセットされる例について説明したが、トナーカートリッジ150は、トナーホッパ140の上面の鉛直方向からセットしてもよい。
【0059】
この場合には、図6Aに示すように、トナーホッパ160は、トナー受入口143鉛直方向にトナーカートリッジ150を保持できるように、トナーカートリッジ150のガイドフランジ155を固定保持するスナップフィット部162を備えている。トナーカートリッジ150をトナーホッパ160にセットする際には、図6Aに示すように、トナーカートリッジ150をトナーホッパ140と対向する鉛直方向から近づけ、ガイドフランジ155を、スナップフィット部162と係合させ、トナーカートリッジ150の排出口152とトナーホッパ160のトナー受入口143とが合うようにセットする(図6B参照)。その際、前述のように、シール部材10は湾曲部10bを備えているので、シール部材10がトナーホッパ140の上面との間で圧縮されても、シール部材10の幅方向の外側へのはみ出しを抑制することができる。
【0060】
(画像形成装置本体用のエアダクトの構成)
図7に示すように、先に説明した画像形成装置100の内部には、本実施形態のエアダクトとしての本体エアダクト30が備えられている。本体エアダクト30は、画像形成装置100の装置背面側に延在して内包されており、L字状とされている。
【0061】
画像形成装置100の、図7における本体右側面には、新鮮な外気を本体エアダクト30内に吸い込む吸引ファン31が設けられている。
【0062】
図8に示すように、L字状の本体エアダクト30は、水平ダクト部32と垂直ダクト部36とで構成されている。水平ダクト部32は、画像形成装置100内に略水平方向に配置されている。水平ダクト部32は、各プロセスカートリッジ110のクリーニング装置130側の側面に対応する位置に、後述する本体突出ダクト40と接続される本体突出ダクト根元接合部33を4箇所有する。水平ダクト部32の吸引ファン31から遠い側の端部、すなわち、エア流れの下流側には、下向きの開口(下流端開口32A)が構成されている。
【0063】
垂直ダクト部36は、画像形成装置100内に略鉛直方向に配置されている。垂直ダクト部36の一端には、水平ダクト部32の下流端開口32Aと接続される上流端開口36Aが構成されている。上流端開口36Aは、長方形状とされ、周囲に前述したシール部材10が貼り付けられている。なお、シール部材10の各部のサイズについては、上流端開口36Aのサイズに応じて適宜変更される。垂直ダクト部36の他端には、エアを画像形成装置100の外部に排出する排気開口36Bが構成されている。
【0064】
本体エアダクト30の組み付けは、まず、画像形成装置100に水平ダクト部32を組み付ける。そして、図9にも示すように、垂直ダクト部36を、その上流端開口36Aが水平ダクト部32の下流端開口32Aに位置合わせされるように移動させて、シール部材10を下流端開口32Aの周りに当接させて組付ける。このように、水平ダクト部32の下流端開口32Aと垂直ダクト部36の上流端開口36Aを合わせて接合部とする。
【0065】
垂直ダクト部36は、ネジ止めで組み付けられる直前までフリーであるため、その組付け工程においては、セット方向である水平面内のいずれの方向にも、また上下方向にも水平ダクト部32の下流側開口周りと摺接されながら移動される可能性がある。垂直ダクト部36の上流端開口36A周りには、シール部材10が貼り付けられており、シール部材10は湾曲部10bを有している。したがって、垂直ダクト部36の組みつけの際に、シール部材10が水平ダクト部32によって摺擦負荷受けても、湾曲部10bによる引っ掛かりを抑制する作用により、端部がめくれ上がるような不具合を低減することができる。
【0066】
(プロセスカートリッジ内のエアダクトの構成)
図10に示すように、プロセスカートリッジ110には、エア入口110A及びエア出口110Bが構成されている。エア入口110Aは、プロセスカートリッジ110の軸方向Xの中央部分に構成され、エア出口110Bは、エア入口110Aよりも軸方向Xにおいて本体エアダクト30側に構成されている。
【0067】
プロセスカートリッジ110内には、エア入口110Aから図10の手前側(開口118K側)を廻って帯電チャージャ116のケーシング116Aヘとエアを導く第1プロセスカートリッジダクト110D1と、ケーシング116Aの奥側からプロセスカートリッジ110のエア出口110Bへとエアを通す第2プロセスカートリッジダクトD2が構成されている。これにより、プロセスカートリッジ110内には、図3に示すように、エア流路E1、E2が構成される。
【0068】
プロセスカートリッジ110は、画像形成装置100と、図1、7における手前−奥方向に移動させて着脱可能な構成とされている。プロセスカートリッジ110が画像形成装置100へ装着されているときには、エア入口110A及びエア出口110Bは、後述する本体突出ダクト40の図示しないエア排出口及びエア取入口と連結される。
【0069】
図10に示すように、本体突出ダクト40は、本体エアダクト30の水平方向に配置され、プロセスカートリッジ110のクリーニング装置130側の側面に接するように設けられている。本体突出ダクト40は、プロセスカートリッジ110内に空気を吹き込む作用と、帯電チャージャ116で発生するオゾンを取り込む作用を同時に生じさせる。オゾンを含んだエアは本体突出ダクト40から本体エアダクト30ヘと取り込まれ、本体エアダクト30のL字の曲がりを経て、画像形成装置100の本体左側面のエア吹出し口110A(図7参照)から排出される。
【0070】
プロセスカートリッジ110の、エア入口110A、及び、エア出口110Bは、長方形状とされ、各々周囲に前述したシール部材10が貼り付けられている。なお、シール部材10の各部のサイズについては、エア入口110A、及び、エア出口110Bのサイズに応じて適宜変更される。
【0071】
プロセスカートリッジ110の着脱の際には、プロセスカートリッジ110のクリーニング装置130側の側面と、本体突出ダクト40の図示しないエア出口及びエア入口のそれぞれとは摺擦するようになっている。エア入口110A、及び、エア出口110Bには、湾曲部10bを有するシール部材10が貼付されているので、ブロセスカートリッジ110の着脱の際にシール部材10が本体突出ダクト40との間で摺擦負荷を繰り返し受けても、シール部材10の端部の引っ掛かりが抑制され、シール部材10のめくれ上がりを抑制することができる。
【実施例】
【0072】
(シール部材の全体構造)
図12は本発明のトナー収納容器に用いられるシール部材10の実施例であり、全体がウレタンフォームの熱圧縮処理にて形成され、その縦の長さLa=59mm、横の長さLb=19mm、縦部の幅Wa=2mm、横部の幅Wb=4mm、高さH=4mmである。そして、全体の表面が熱圧縮処理時に形成された比較的比重の高いスキン層10aにて保護されている。そして、シール部材10の頂面は緩やかな湾曲部10bをなしており、これによってこの上をシャッター(図示せず)がスムーズに動くことができるようになっている。この湾曲部がウレタンフォームの縦部、横部、及び縦部を横部が交わる部位に形成されるため、シャッターがどちらの方向(図3のD1、D2 、D3 の方向)からこのウレタンフォーム1に当接した際にもスムーズに動くことができる。又、図3のシール部材10の一方面10cに接着剤を施すことにより図示しないユニット5にシール部材10を接着することが可能である。
【0073】
(金型)
図13は上記のシール部材10を得るための熱プレスウレタンフォーム1を製造するための金型20であり、下型20aには環状の熱プレスウレタンフォーム1の環状部の内表面を区画構成する凸部21が形成されている。一方、上型20bには環状熱プレスウレタンフォーム1の環状部の外表面及び湾曲の頂面を区画構成する深さ3mmの窪み部22が形成されている。
【0074】
尚、不要な部位の切除のために食い切り部が形成されるのが良く、夫々のパーティングラインに添って上型に凸条23、24を形成したものである。
【0075】
(ウレタンフォーム)
用いたウレタンフォーム2は、比重0.03、厚さ5mmのものである。
【0076】
(熱処理)
かかるウレタンフォーム2を上記の型20に挟み込み、加圧下にて、180℃×2分間加熱し、ウレタンフォーム2に永久歪みを与えた。
【0077】
尚、熱処理条件として160℃×2分間で行った場合には、ウレタンフォームの性状によっては永久歪みが十分でない場合があり、製品の背丈が不均一な場合が生じるおそれがある。
【0078】
(成形体)
得られた成形品の全体構造を図14に示すが、最大高さは3mm、両型20に挟み込まれた部位は圧縮されて樹脂層を構成しており、その厚さは約0.1mmであった。これははみ出した部位(10m、10n)を引っ張ることによりかかる食い切り部(10p)より容易に切断可能であった。そして、成形体即ち本発明方法によって得られたシ−ル部材は、ウレタンフォームの端部10P1の厚みが最も薄く、この端部から離れるにつれて徐々に厚みを増し、ウレタンフォームの湾曲部の頂点10qにて最も厚みが厚い形状となっている。そして更に、この湾曲部頂点10qから離れるにつれ厚みが薄くなる形状となるように熱永久歪みが加えられた構造となっており、表面に熱処理により比較的薄いスキン層10aが形成されたものであって、表面の強度が向上し、シャッターの滑りも良好なものとなった。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は以上の通りであって、得られたシール部材を用いたシール構造は、シャッター等の転がりがスムーズであり、引っ掛かったり、シール部材の端部がまくれ上がったりする欠点を解消できたものであり、シール構造として極めて優れたものとなった。又、端部から離れるにつれて徐々に厚みを増す構造とすることで、図2に示すような開口部に対して垂直な方向から別部材を合わせたシール構造において、ウレタンフォームが圧縮により内外部方向へ変形してもウレタンフォームがはみ出すことも防止し得ることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本実施形態の画像形成装置の全体概略図である。
【図2】本実施形態のプロセスカートリッジの断面図である。
【図3】本実施形態のプロセスカートリッジの斜視図である。
【図4A】本実施形態のトナーカートリッジとトナーホッパの連結部分の概略を示す図である。
【図4B】本実施形態のトナーカートリッジとトナーホッパの連結部分の概略を示す図である。
【図4C】本実施形態のトナーカートリッジとトナーホッパの連結部分の概略を示す図である。
【図5】本実施形態のシール部材の一部破断斜視図である。
【図6A】本実施形態の変形例に係るトナーカートリッジとトナーホッパの連結部分の概略を示す図である。
【図6B】本実施形態の変形例に係るトナーカートリッジとトナーホッパの連結部分の概略を示す図である。
【図7】本実施形態の画像形成装置の全体概略図である。
【図8】本実施形態の画像形成装置に設けられるエアダクトの連結前の斜視図である。
【図9】本実施形態の画像形成装置に設けられるエアダクトの連結前の側面図である。
【図10】本実施形態のプロセスカートリッジ及び本体突出ダクトの斜視図である。
【図11】本実施形態のプロセスカートリッジの一部破断斜視図である。
【図12】本発明によって得られるシ−ル部材の図である。
【図13】本発明のシ−ル部材を得る際に用いる金型の一例を示す図である。
【図14】図13の金型にて得られる成形体(シ−ル部材)の図である。
【図15】従来のシ−ル材の説明図である。
【図16A】従来のシ−ル構造の説明図である。
【図16B】従来のシ−ル構造の説明図である。
【図17A】従来のシ−ル構造の説明図である。
【図17B】従来のシ−ル構造の説明図である。
【符号の説明】
【0081】
10 シール部材
10b 湾曲部
30 本体エアダクト
32A 下流端開口
32 水平ダクト部
36 垂直ダクト部
100 画像形成装置
110 プロセスカートリッジ
140 トナーホッパ
150 トナーカートリッジ
150R トナー収納空間
152 ウレタンフォームシール
152 排出口
160 トナーホッパ
【技術分野】
【0001】
本発明は軟質ウレタンフォームのウレタンフォーム部材及びこれを用いたシール構造、トナー収納容器、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
軟質ウレタンフォーム(以下、問題のない限り単にウレタンフォームと言う)は、成形時に発生するガス材により数十から数百倍に発泡され、かさ密度が極めて小さく柔軟性の極めて大きいウレタンフォームとなる。このため、ウレタンフォームは各種のクッション材やシール部材に採用されている。しかも、かかるウレタンフォームは熱プレスによってプレスされた部位が永久歪みを受け、このため、シール部材としての利用価値は更に大きいものとなる。
【0003】
熱プレスを施したウレタンフォーム部材をシ−ル部材に適用した例としては、例えば、複写機のトナー収納容器に用いるシール構造がある。これは、トナー容器内に収容されたトナーを供給するためのトナー出口において、この出口の周囲を囲んでトナーの飛散を防止するシール構造である(特許文献1参照)。
【0004】
かかる従来の熱プレスウレタンフォーム部材201を図15に示す。これは二枚の平らな熱プレート211、212にてウレタンフォーム202の全面を熱プレスし、所望の大きさや形状にカットした構造のウレタンフォーム部材である。このウレタンフォーム部材201は熱によって永久歪みがもたらされており、更にその表面には熱により薄い樹脂面210aが形成されている。しかるに、このウレタンフォーム部材201を所望の形状にプレスカッター等にてカットして製品化した場合、カット面Cが必ず構成される。このため、カットして得られた製品面上を、例えば、樹脂や金属製のシャッターやローラー(以下、シャッターにて代表する)等が接触しつつ左右に動く場合、シャッターが製品を得る際にできるカット面CのエッジEに引っ掛かってしまうという不具合が指摘されていた。
【0005】
一般に、複写機等での機械内の温度上昇を抑えるための気流経路に用いるエアダクトでは、機械内のダクトの配置が複雑であり、複数のエアダクトを結合してダクトを構成するケースが多い。その際、ダクトの結合部分にウレタンフォームを用いたシール部材を使用するシール構造が多くなる。この際、ダクトは部品の取り付けに応じて、開口部に向かってスライドさせて合わせる構造や、開口部と垂直な方向から合わせる構造がある。
【0006】
図16A、図16Bは上記のウレタンフォーム部材より得られたシール部材210を複写機のエアダクトに用いたシール構造の例を示すもので、図示しない複写機の本体から取り外し可能なユニット5に方形のエアダクト用の開口部5aが開けられ、複写機の本体に設けたエアダクト6に対し、矢印の方向にスライドさせて着脱可能に装着する構造のものである。その際、開口部5aの周囲には上記ウレタンフォーム製のシ−ル部材210が貼着される。
【0007】
この際、シ−ル部材10の厚み方向の面(カット面)が装着時にエアダクトに最初に当接する。このため、シール部材のエッジ部Eがめくり上がってしまうことがある。
【0008】
図17A、図17Bは、開口部5aに対し垂直な方向からエアダクト6を合わせるシ−ル構造の例を示すものであって、装着時にウレタンフォームが圧縮されるために、ダクト内部やダクト外部に変形し、主としてカット面を中心にウレタンォームがはみ出す(210x)ケースがある。これは、複写機等の前カバー等頻繁に開閉する部材間に挟まれて使用されるウレタンフォーム部材でも同様である。
【特許文献1】特開平07−056430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような部分へのウレタンフォーム製のシール部材の使用に対して共通して言える問題点は、ウレタンフォームの切断面の部分が障害となっている点である。本発明はウレタンフォームを熱プレスして得られるシール部材にかかるものであり、シール部材を得る際に、エッジへの引っ掛かりを抑制することができたシール部材及びシール構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、シート状のウレタンフォームを必要とする形状に裁断した後、そのウレタンフォームの一方の面に接着剤を施すウレタンフォーム部材であって、接着剤を付与しない面の少なくとも一辺の端辺部が、端部の厚みが最も薄く、この端部から離れるにつれて徐々に厚みを増すように熱永久歪みが加えられた低端形状とされたものである。
【0011】
第1の態様のウレタンフォーム部材では、接着剤を付与しない面の少なくとも一辺の端辺部が低端形状とされている。低端形状は、端部の厚みが最も薄く、この端部から離れるにつれて徐々に厚みを増すように熱永久歪みが加えられた形状である。したがって、ウレタンフォーム部材の接着剤を付与しない面の低端形状部分に、別部材が引っ掛かることを抑制することができる。
【0012】
なお、第1の態様のウレタンフォーム部材は、互いに対向する2辺を、前記低端形状とすることにより、2辺両側について、別部材が引っ掛かることを抑制することができる。
【0013】
本発明の第2の態様は、第1の態様のウレタンフォーム部材を貼り付けた部材と、ウレタンフォーム貼り付け面と平行な方向に相対的に移動して配置される別部材と、の間の隙間を埋めるシール構造であって、前記移動方向に対して、前記端辺部の厚みが厚い部分を構成する大厚部に、前記別部材を接触させるものである。
【0014】
第2の態様のシール構造では、端辺部の厚みが厚い部分を構成する大厚部に別部材を接触させて、ウレタンフォーム部材を貼り付けた部材と別部材との間がシールされる。
【0015】
本発明の第3の態様のシール構造は、第1の態様のウレタンフォーム部材を貼り付けた部材と、ウレタンフォーム貼り付け面に対し鉛直方向から別部材を当接して両部材の隙間を埋めるシール構造であって、接着剤を付与しない面を別部材と密着する面としてウレタンフォーム部材を貼り付けたものである。
【0016】
第3の態様のシール構造は、前記ウレタンフォームを貼り付けた部材と、前記別部材との間を、開閉可能とすることもできる。
【0017】
本発明の第4の態様は、内部にトナーが収容されたトナー収納容器であって、第1の態様のウレタンフォーム部材が、トナーの排出される排出口の周りを囲むように接着されたものである。
【0018】
本発明の第5の態様は、第4の態様のトナー収納容器を備えた、画像形成装置である。
【0019】
本発明の第6の態様は、第2の態様または第3の態様のシール構造をその接合部に備えた画像形成装置用のエアダクトである。
【0020】
本発明の第7の態様は、第6の態様のエアダクトを備えた、画像形成装置である。
【0021】
本発明の第8の態様は、第2の態様または第3の態様のシール構造をエア取入口及びエア排出口の少なくとも一方に備えた、画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジである。
【0022】
本発明の第9の態様は、第8の態様のプロセスカートリッジを備えた、画像形成装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の第1の態様によれば、ウレタンフォーム部材の低端形状とされた端辺部の引っ掛かりを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
さて、従来のシール部材の形状を説明したが、その課題はウレタンフォームのカット面Cが構成されることである。このため、使用時にシ−ル部材の面上を左右に動くシャッター等がこのカット面CのエッジEに引っ掛かってしまうこととなる。本発明におけるウレタンフォーム部材にはカット面のエッジEが存在せず、これを用いたシール構造にあってはシャッター等がこの部位に引っ掛かることを抑制できるという極めて有用な特徴がある。
【0025】
本発明の基本的な考えは、一対のモールドにて形成されるキャビティ内にウレタンフォームを圧縮してこれに熱永久歪みをもたらし、具体的にはウレタンフォーム端部の形状を湾曲面となしたウレタンフォーム部材を提供するものである。
【0026】
更に言えば、本発明の第1のポイントはウレタンフォームの切断面の端部を熱圧縮し、切断面の引っ掛かりを防止した点にある。そして、その切断面端部の上側が端部から中央に向けてのウレタンフォームの厚さが段階的に変化するため、例えば、ウレタンフォームに施された接着剤面と水平方向に移動させる状況下においてもウレタンフォームの破断に対する強度も向上することとなる。
【0027】
本発明の第1で言うウレタンフォーム部材は、シール部材とされるものであり、例えば、ダクトの開口部の周囲に貼り合わせるため環状とされるものである。ここで環状とは、無端状を意味し、円状、楕円状、方形状等の環状体が含まれる。
【0028】
本発明の第2のシール構造の特徴を言えば、ウレタンフォーム部材を貼り付けた部材を、ウレタンフォーム貼り付け面と相対的に平行な方向に移動させて別部材との隙間を埋める際、別部材と接触するウレタンフォーム部材(シール部材)の端部は熱圧縮による永久歪みをもたらして特殊な形状、即ち、ウレタンフォーム端部の形状が当該端部の厚みが最も薄く、この端部から離れるにつれて徐々に厚みを増すように熱永久歪みが加えられた形状としたもので、これによってエッジ部のめくれ上がりがなくなり、ウレタンフォームの破断等の発生がなくなったものである。
【0029】
用いられるウレタンフォームの比重としては、0.02〜0.1であり、エーテル系でもエステル系のいずれも利用可能である。熱圧縮されるウレタンフォームの厚さは特に限定されるものではないが、例えば、トナー収納容器に用いられるシール部材とするには、5〜15mmの厚みのウレタンフォームを3〜5mmに熱圧縮歪みされるのがよい。この際の熱圧縮にあって、モールドの温度は180〜210℃×1.5〜4分程度である。
【0030】
尚、二つのモールドにて圧縮されて樹脂部となる部位の厚みは圧縮されるウレタンフォームの厚みにもよるが、約0.1mm程度である。勿論これはウレタンフォーム部材(シール部材)より切り離されることとなるが、この切断はいわゆる「食い切り」により切断する構成とするのがよい。このため、モールドのパーティングライン近傍(好ましくはパーティングラインに添って)に一方より凸条を形成しておくものであり、これによって熱圧縮歪みの際に更にウレタンフォームを圧縮した状態とするものである。これによって熱処理後には樹脂部の周囲に確実に溝が形成され、この樹脂部を引っ張ることによりこの溝より簡単に切断可能となったものである。
【0031】
(画像形成装置の全体構成)
次に、本発明の実施形態に係る画像形成装置について説明する。図1には、本実施形態の画像形成装置100が示されている。画像形成装置100は、電子写真方式のカラー複写機であり、YCMKの4色に対応する4個のプロセスカートリッジ110を、転写ベルト106Aの移動方向に並列させて、カラー画像を形成するもの(以下「タンデム型」という)である。
【0032】
転写装置106は、転写ベルト106A、各プロセスカートリッジ110に対応した4つの1次転写ローラ106B、支持ローラ106C、106D、転写紙搬送経路の一部を成す2次転写ローラ106F等を含んで構成されている。転写ベルト106Aは、4つの1次転写ローラ106B、支持ローラ106C、106D、2次転写ローラ106Fに張架されて無端移動する構成となっている。
【0033】
この転写ベルト106A上に、各々4色のトナーを用いるプロセスカートリッジ110Y、110C、110M、110K上のトナー像が静電転写方式により、互いに重なり合うように転写される。具体的には、各プロセスカートリッジ110の感光体114Y、114C、114M、114Kと接触する転写ベルト106Aの裏面部分に、それぞれ1次転写ローラ106BY、106BC、106BM、106BKを配置している。ここでは、1次転写ローラ106Bにより押圧された転写ベルト106Aの部分と、感光体114とによって、転写領域が形成される。そして、各感光体114Y、114C、114M、114K上のトナー像を、転写ベルト106A上に転写する際には、1次転写ローラ106Bに正極性のバイアスが印加される。これにより、各々の1次転写の領域には転写電界が形成され、各プロセスカートリッジ110の感光体114上のトナー像は、転写ベルト106A上に静電的に順次付着し、重なり合うように転写される。
【0034】
その後、トナー像は、2次転写ローラ106Fが搬送ベルト106Gに圧接する2次転写ニップまで搬送され、そこにタイミングを合わせて搬送されてくる転写紙上に一括して転写される。なお、転写ベルト106A周りには、その表面に残留したトナーを除去するためのベルトクリーニング装置を設けてもよい。
【0035】
転写紙は、給紙カセット109内に収容されており、ピックアップローラ109A等によってレジストローラ対109Bまで搬送される。そして、2次転写ニップにおいて、転写ベルト106A上の重ね合わされたトナー像が、転写紙に一括転写される。
【0036】
次に、転写紙は、搬送ベルト106Gによって、定着装置108に搬送される。定着装置108において、転写紙上のトナー像は、熱及び圧力で転写紙に定着される。その後、転写紙は、排紙ローラ101によって画像形成装置100外に排紙され、排紙トレイ102に載置される。
【0037】
なお、本願発明においては、プロセスカートリッジとは、感光体と画像形成工程に必須のプロセス装置(帯電装置、現像装置、クリーニング装置)のいずれか1つ以上とが一体となる筐体構成を有し、画像形成装置本体に対して着脱自在の構成を有するものと定義する。後述のプロセス装置の例においては、上述の帯電装置、現像装置、クリーニング装置すべてと感光体とが一体の構成が示されているが、このような構成に限定されず、帯電装置、現像装置、クリーニング装置の各々に対して後述するエアダクトを備えたものについても、プロセスカートリッジに含まれる。
【0038】
(プロセスカートリッジの構成)
図2には、画像形成装置100内に装着されたプロセスカートリッジ110の断面図が示されている。プロセスカートリッジ110は、感光体ユニット112及び現像ユニット113を備えている。
【0039】
感光体ユニット112は、感光体114、及び、感光体114を収容する感光体ケース115を有している。また、感光体ケース115には、帯電チャージャ116が支持され、帯電チャージャ116も感光体ユニット112の構成要素となっている。
【0040】
一方、現像ユニット113は、乾式の現像剤Dが収容された現像ケース118、3本の搬送スクリュ117、及び、現像剤Dを担持して搬送する現像ローラ119を有している。現像ケース118内には、現像剤Dを収容するトナー収容部118Rが構成され、搬送スクリュ117は、トナー収容部118R内の現像剤Dを攪拌しつつ搬送する。現像ローラ119の内部には、ローラ軸120に固定された円筒状の磁石121が配置されている。磁石121には、その周方向に複数の磁極が着時されている。
【0041】
なお、本実施形態の現像ユニット113においては、トナーとキャリアを有する二成分系の現像剤Dを用いているが、キャリアを有さない一成分系の現像剤を用いることもできる。いずれの場合においても、磁性を有する現像剤が用いられる。
【0042】
また、本実施形態の感光体ユニット112には、クリーニング装置130が一体的に組み付けられており、このクリーニング装置130は、感光体ケース115の一部によって構成されたクリーニングケース132、クリーニングケース132に支持され且つ感光体114の表面に圧接するクリーニングブレード133、クリーニングブレード133に回転可能に支持されて、感光体114の表面に当接する潤滑剤塗布ブラシ134A、塗布後の潤滑剤を薄層均一化するならしブレード133B、及び、潤滑剤塗布ブラシ134Aに圧接し潤滑剤塗布ブラシ134Aに潤滑剤を供給する固形潤滑剤134Bを有している。
【0043】
なお、上記では、クリーニング装置130と感光体ユニット112とが一体とされた構成のもので説明しているが、クリーニング装置と感光体ユニットとを別々のユニットとして構成し、クリーニング装置を感光体ユニットに着脱可能に組み付ける構成にすることもできる。
【0044】
画像形成動作が開始されると、感光体114は、図2における反時計回りに回転駆動される。このとき、帯電チャージャ116に電圧が印加され、これによって感光体114の表面が、所定の極性に帯電される。感光体114の帯電面に図示していない露光装置から出射した書き込み光Lが照査され、これによって、感光体114の表面に静電潜像が形成される。
【0045】
一方、現像ローラ119の周面には、磁石121の磁力によって現像剤Dが担持され、該現像ローラ119が、図2における時計回りに回転することによって、現像ローラ119上の現像剤Dが、現像ローラ119の回転方向と同じ方向に搬送される。そして、搬送されている現像剤Dのトナーが、感光体114の表面に形成された静電潜像に静電的に移行し、この静電潜像がトナー像として可視化される。このように、本実施形態のプロセスカートリッジ110においては、現像ローラ119に担持されて搬送される現像剤によって、感光体114の表面に形成された静電潜像が可視化される。
【0046】
また、画像形成装置100には、1次転写ローラ106Bが回転可能に支持されており、図2における時計回りに回転する1次転写ローラ106Bと感光体114との間に、転写材の一例である転写ベルト106Aが矢印Aで示すように給送される。
【0047】
このとき、1次転写ローラ106Bに転写バイアスが印加され、これによって感光体114上のトナー像が転写ベルト106A上に転写される。転写ベルト106Aに転写されたトナー像は、2次転写ローラ106Fが搬送ベルト106Gに圧接する2次転写ニップまで搬送される。そして、2次転写ニップにおいて、転写ベルト106A上のトナー像が、転写紙に一括転写される。トナー像が転写された転写紙は、定着装置108を通り、このとき熱と圧力の作用によって、転写紙上のトナー像が転写紙に定着される。定着装置108を通過した転写紙は、排紙トレイ102上に排出される。
【0048】
一方、転写紙ベルト106Aに転写されずに感光体114上に付着している転写残トナーは、クリーニング装置110のクリーニングブレード113Aによって感光体4から除去され、感光体114は初期化される。
【0049】
(トナーカートリッジ、及び、トナーホッパの構成)
図3に示すように、プロセスカートリッジ110の側端面からは、現像ケース118内の3本の搬送スクリュ117のうち、下方に並在する2本のホッパスクリュ117の端部を覆っている部分が突出し、突出部118Aを構成している。突出部118Aの上部には、トナー補給口である開口118Kが構成され、現像ケース118内のトナー収容部118Rは、開口118Kを介して後述するトナーホッパ140の供給口147(図4C参照)と連通されている。図3では、開口118Kは、ウレタンゴム製の蓋部材118Fで閉じてある。
【0050】
図4Aに示すように、トナーホッパ140は、トナーを一時的に貯留するトナー貯留室141と前記開口118Kに向けてトナーを搬送するホッパスクリュ142を内在し、トナー貯留室141の上面には、トナーカートリッジ150がスライドしてセットされるスロット部145が設けられている。スロット部145は、トナーカートリッジを案内するセットガイド146、及び、トナーを受け入れるトナー受入口143を含んで構成されている。トナー受入口143は、後述するトナーカートリッジ150の排出口152と連通される。トナーホッパ140のトナー貯留室141を挟んでトナー受入口143と逆側には、現像ケース118の開口118Kと連通される供給口147が構成されている。
【0051】
本発明のトナー収納容器の実施形態としてのトナーカートリッジ150には、内部にトナーを収納するトナー収納空間150Rが構成されると共に、とその下方に排出口152が構成されている。排出口152は、封止シール153で封止されている。排出口152の周囲には、排出口152に沿って後述するシール部材10が貼り付けられている。トナーカートリッジ150の下面側には、トナーホッパ140のセットガイド146と係合するガイドフランジ155が側方に突出している。
【0052】
(シール部材の全体構造)
次に、トナーカートリッジ150に用いられるシール部材10の構成について説明する。図5に示されるように、シール部材10は、長方形枠状とされ、縦部12及び横部14を備えている。シール部材10は、全体がウレタンフォームの熱圧縮処理にて形成され、縦の長さLa、横の長さLb、縦部の幅Wa、横部の幅Wb、高さHとされている。そして、全体の表面が熱圧縮処理時に形成された比較的比重の高いスキン層10aにて保護されている。そして、シール部材10の頂面は緩やかな曲線状の湾曲部10bをなしている。湾曲部10bの逆側には、平坦形状の接着面10cが構成されている。
【0053】
湾曲部10bは、La方向に長尺の縦部12において、幅Wa方向の中央部の厚みが最も厚く、端部側へ向かって徐々に厚みが薄くなる構成とされている。また、Lb方向に長尺の横部14において、幅Wb方向の中央部の厚みが最も厚く、端部側へ向かって徐々に厚みが薄くなる構成とされている。
【0054】
シール部材10を上記構成とすることによって、湾曲部10bと当接されつつ、トナーホッパ140の上面がスムーズに動くことができる。
【0055】
なお、図5のシール部材10の接着面10cに接着剤を施すことにより、トナーホッパ140にシール部材10を接着することが可能である。
【0056】
前述のトナーカートリッジ150をトナーホッパ140にセットする際には、図4Bに示すように、トナーカートリッジ150のガイドフランジ155を、側方からトナーホッパ140のセットガイド146の内側にセットして位置合わせを行い、セットガイド146に沿って、即ち、シール部材10の湾曲部10bの稜線に沿ってトナーカートリッジ150を移動させ、トナーカートリッジ150の排出口152とトナーホッパ140のトナー受入口143とが合うようにセットする。その際、前述のように、シール部材10は湾曲部10bを備えているので、端部がセットガイド146に引っ掛かってめくれ上がるような不具合を低減することが可能になっている。
【0057】
トナーカートリッジ150のセットが完了後、封止シール153が引き抜かれ、トナーカートリッジ150内のトナーがトナーホッパ140内に補給される。
【0058】
(トナーホッパの変形例)
なお、上記では、トナーカートリッジ150は、シール部材10の湾曲部10bの稜線に沿って、トナーホッパ140と相対移動してセットされる例について説明したが、トナーカートリッジ150は、トナーホッパ140の上面の鉛直方向からセットしてもよい。
【0059】
この場合には、図6Aに示すように、トナーホッパ160は、トナー受入口143鉛直方向にトナーカートリッジ150を保持できるように、トナーカートリッジ150のガイドフランジ155を固定保持するスナップフィット部162を備えている。トナーカートリッジ150をトナーホッパ160にセットする際には、図6Aに示すように、トナーカートリッジ150をトナーホッパ140と対向する鉛直方向から近づけ、ガイドフランジ155を、スナップフィット部162と係合させ、トナーカートリッジ150の排出口152とトナーホッパ160のトナー受入口143とが合うようにセットする(図6B参照)。その際、前述のように、シール部材10は湾曲部10bを備えているので、シール部材10がトナーホッパ140の上面との間で圧縮されても、シール部材10の幅方向の外側へのはみ出しを抑制することができる。
【0060】
(画像形成装置本体用のエアダクトの構成)
図7に示すように、先に説明した画像形成装置100の内部には、本実施形態のエアダクトとしての本体エアダクト30が備えられている。本体エアダクト30は、画像形成装置100の装置背面側に延在して内包されており、L字状とされている。
【0061】
画像形成装置100の、図7における本体右側面には、新鮮な外気を本体エアダクト30内に吸い込む吸引ファン31が設けられている。
【0062】
図8に示すように、L字状の本体エアダクト30は、水平ダクト部32と垂直ダクト部36とで構成されている。水平ダクト部32は、画像形成装置100内に略水平方向に配置されている。水平ダクト部32は、各プロセスカートリッジ110のクリーニング装置130側の側面に対応する位置に、後述する本体突出ダクト40と接続される本体突出ダクト根元接合部33を4箇所有する。水平ダクト部32の吸引ファン31から遠い側の端部、すなわち、エア流れの下流側には、下向きの開口(下流端開口32A)が構成されている。
【0063】
垂直ダクト部36は、画像形成装置100内に略鉛直方向に配置されている。垂直ダクト部36の一端には、水平ダクト部32の下流端開口32Aと接続される上流端開口36Aが構成されている。上流端開口36Aは、長方形状とされ、周囲に前述したシール部材10が貼り付けられている。なお、シール部材10の各部のサイズについては、上流端開口36Aのサイズに応じて適宜変更される。垂直ダクト部36の他端には、エアを画像形成装置100の外部に排出する排気開口36Bが構成されている。
【0064】
本体エアダクト30の組み付けは、まず、画像形成装置100に水平ダクト部32を組み付ける。そして、図9にも示すように、垂直ダクト部36を、その上流端開口36Aが水平ダクト部32の下流端開口32Aに位置合わせされるように移動させて、シール部材10を下流端開口32Aの周りに当接させて組付ける。このように、水平ダクト部32の下流端開口32Aと垂直ダクト部36の上流端開口36Aを合わせて接合部とする。
【0065】
垂直ダクト部36は、ネジ止めで組み付けられる直前までフリーであるため、その組付け工程においては、セット方向である水平面内のいずれの方向にも、また上下方向にも水平ダクト部32の下流側開口周りと摺接されながら移動される可能性がある。垂直ダクト部36の上流端開口36A周りには、シール部材10が貼り付けられており、シール部材10は湾曲部10bを有している。したがって、垂直ダクト部36の組みつけの際に、シール部材10が水平ダクト部32によって摺擦負荷受けても、湾曲部10bによる引っ掛かりを抑制する作用により、端部がめくれ上がるような不具合を低減することができる。
【0066】
(プロセスカートリッジ内のエアダクトの構成)
図10に示すように、プロセスカートリッジ110には、エア入口110A及びエア出口110Bが構成されている。エア入口110Aは、プロセスカートリッジ110の軸方向Xの中央部分に構成され、エア出口110Bは、エア入口110Aよりも軸方向Xにおいて本体エアダクト30側に構成されている。
【0067】
プロセスカートリッジ110内には、エア入口110Aから図10の手前側(開口118K側)を廻って帯電チャージャ116のケーシング116Aヘとエアを導く第1プロセスカートリッジダクト110D1と、ケーシング116Aの奥側からプロセスカートリッジ110のエア出口110Bへとエアを通す第2プロセスカートリッジダクトD2が構成されている。これにより、プロセスカートリッジ110内には、図3に示すように、エア流路E1、E2が構成される。
【0068】
プロセスカートリッジ110は、画像形成装置100と、図1、7における手前−奥方向に移動させて着脱可能な構成とされている。プロセスカートリッジ110が画像形成装置100へ装着されているときには、エア入口110A及びエア出口110Bは、後述する本体突出ダクト40の図示しないエア排出口及びエア取入口と連結される。
【0069】
図10に示すように、本体突出ダクト40は、本体エアダクト30の水平方向に配置され、プロセスカートリッジ110のクリーニング装置130側の側面に接するように設けられている。本体突出ダクト40は、プロセスカートリッジ110内に空気を吹き込む作用と、帯電チャージャ116で発生するオゾンを取り込む作用を同時に生じさせる。オゾンを含んだエアは本体突出ダクト40から本体エアダクト30ヘと取り込まれ、本体エアダクト30のL字の曲がりを経て、画像形成装置100の本体左側面のエア吹出し口110A(図7参照)から排出される。
【0070】
プロセスカートリッジ110の、エア入口110A、及び、エア出口110Bは、長方形状とされ、各々周囲に前述したシール部材10が貼り付けられている。なお、シール部材10の各部のサイズについては、エア入口110A、及び、エア出口110Bのサイズに応じて適宜変更される。
【0071】
プロセスカートリッジ110の着脱の際には、プロセスカートリッジ110のクリーニング装置130側の側面と、本体突出ダクト40の図示しないエア出口及びエア入口のそれぞれとは摺擦するようになっている。エア入口110A、及び、エア出口110Bには、湾曲部10bを有するシール部材10が貼付されているので、ブロセスカートリッジ110の着脱の際にシール部材10が本体突出ダクト40との間で摺擦負荷を繰り返し受けても、シール部材10の端部の引っ掛かりが抑制され、シール部材10のめくれ上がりを抑制することができる。
【実施例】
【0072】
(シール部材の全体構造)
図12は本発明のトナー収納容器に用いられるシール部材10の実施例であり、全体がウレタンフォームの熱圧縮処理にて形成され、その縦の長さLa=59mm、横の長さLb=19mm、縦部の幅Wa=2mm、横部の幅Wb=4mm、高さH=4mmである。そして、全体の表面が熱圧縮処理時に形成された比較的比重の高いスキン層10aにて保護されている。そして、シール部材10の頂面は緩やかな湾曲部10bをなしており、これによってこの上をシャッター(図示せず)がスムーズに動くことができるようになっている。この湾曲部がウレタンフォームの縦部、横部、及び縦部を横部が交わる部位に形成されるため、シャッターがどちらの方向(図3のD1、D2 、D3 の方向)からこのウレタンフォーム1に当接した際にもスムーズに動くことができる。又、図3のシール部材10の一方面10cに接着剤を施すことにより図示しないユニット5にシール部材10を接着することが可能である。
【0073】
(金型)
図13は上記のシール部材10を得るための熱プレスウレタンフォーム1を製造するための金型20であり、下型20aには環状の熱プレスウレタンフォーム1の環状部の内表面を区画構成する凸部21が形成されている。一方、上型20bには環状熱プレスウレタンフォーム1の環状部の外表面及び湾曲の頂面を区画構成する深さ3mmの窪み部22が形成されている。
【0074】
尚、不要な部位の切除のために食い切り部が形成されるのが良く、夫々のパーティングラインに添って上型に凸条23、24を形成したものである。
【0075】
(ウレタンフォーム)
用いたウレタンフォーム2は、比重0.03、厚さ5mmのものである。
【0076】
(熱処理)
かかるウレタンフォーム2を上記の型20に挟み込み、加圧下にて、180℃×2分間加熱し、ウレタンフォーム2に永久歪みを与えた。
【0077】
尚、熱処理条件として160℃×2分間で行った場合には、ウレタンフォームの性状によっては永久歪みが十分でない場合があり、製品の背丈が不均一な場合が生じるおそれがある。
【0078】
(成形体)
得られた成形品の全体構造を図14に示すが、最大高さは3mm、両型20に挟み込まれた部位は圧縮されて樹脂層を構成しており、その厚さは約0.1mmであった。これははみ出した部位(10m、10n)を引っ張ることによりかかる食い切り部(10p)より容易に切断可能であった。そして、成形体即ち本発明方法によって得られたシ−ル部材は、ウレタンフォームの端部10P1の厚みが最も薄く、この端部から離れるにつれて徐々に厚みを増し、ウレタンフォームの湾曲部の頂点10qにて最も厚みが厚い形状となっている。そして更に、この湾曲部頂点10qから離れるにつれ厚みが薄くなる形状となるように熱永久歪みが加えられた構造となっており、表面に熱処理により比較的薄いスキン層10aが形成されたものであって、表面の強度が向上し、シャッターの滑りも良好なものとなった。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は以上の通りであって、得られたシール部材を用いたシール構造は、シャッター等の転がりがスムーズであり、引っ掛かったり、シール部材の端部がまくれ上がったりする欠点を解消できたものであり、シール構造として極めて優れたものとなった。又、端部から離れるにつれて徐々に厚みを増す構造とすることで、図2に示すような開口部に対して垂直な方向から別部材を合わせたシール構造において、ウレタンフォームが圧縮により内外部方向へ変形してもウレタンフォームがはみ出すことも防止し得ることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本実施形態の画像形成装置の全体概略図である。
【図2】本実施形態のプロセスカートリッジの断面図である。
【図3】本実施形態のプロセスカートリッジの斜視図である。
【図4A】本実施形態のトナーカートリッジとトナーホッパの連結部分の概略を示す図である。
【図4B】本実施形態のトナーカートリッジとトナーホッパの連結部分の概略を示す図である。
【図4C】本実施形態のトナーカートリッジとトナーホッパの連結部分の概略を示す図である。
【図5】本実施形態のシール部材の一部破断斜視図である。
【図6A】本実施形態の変形例に係るトナーカートリッジとトナーホッパの連結部分の概略を示す図である。
【図6B】本実施形態の変形例に係るトナーカートリッジとトナーホッパの連結部分の概略を示す図である。
【図7】本実施形態の画像形成装置の全体概略図である。
【図8】本実施形態の画像形成装置に設けられるエアダクトの連結前の斜視図である。
【図9】本実施形態の画像形成装置に設けられるエアダクトの連結前の側面図である。
【図10】本実施形態のプロセスカートリッジ及び本体突出ダクトの斜視図である。
【図11】本実施形態のプロセスカートリッジの一部破断斜視図である。
【図12】本発明によって得られるシ−ル部材の図である。
【図13】本発明のシ−ル部材を得る際に用いる金型の一例を示す図である。
【図14】図13の金型にて得られる成形体(シ−ル部材)の図である。
【図15】従来のシ−ル材の説明図である。
【図16A】従来のシ−ル構造の説明図である。
【図16B】従来のシ−ル構造の説明図である。
【図17A】従来のシ−ル構造の説明図である。
【図17B】従来のシ−ル構造の説明図である。
【符号の説明】
【0081】
10 シール部材
10b 湾曲部
30 本体エアダクト
32A 下流端開口
32 水平ダクト部
36 垂直ダクト部
100 画像形成装置
110 プロセスカートリッジ
140 トナーホッパ
150 トナーカートリッジ
150R トナー収納空間
152 ウレタンフォームシール
152 排出口
160 トナーホッパ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状のウレタンフォームを必要とする形状に裁断した後、そのウレタンフォームの一方の面に接着剤を施すウレタンフォーム部材であって、接着剤を付与しない面の少なくとも一辺の端辺部が、端部の厚みが最も薄く、この端部から離れるにつれて徐々に厚みを増すように熱永久歪みが加えられた低端形状である、ウレタンフォーム部材。
【請求項2】
互いに対向する2辺が前記低端形状であること、を特徴とする、請求項1に記載のウレタンフォーム部材。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のウレタンフォーム部材を貼り付けた部材と、ウレタンフォーム貼り付け面と平行な方向に相対的に移動して配置される別部材と、の間の隙間を埋めるシール構造であって、
前記移動方向に対して、前記端辺部の厚みが厚い部分を構成する大厚部に、前記別部材を接触させる、シール構造。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のウレタンフォーム部材を貼り付けた部材と、ウレタンフォーム貼り付け面に対し鉛直方向から別部材を当接して両部材の隙間を埋めるシール構造であって、
接着剤を付与しない面を別部材と密着する面としてウレタンフォーム部材を貼り付けた、シール構造。
【請求項5】
前記ウレタンフォームを貼り付けた部材と、前記別部材との間が、開閉可能であること、を特徴とする請求項4に記載のシール構造。
【請求項6】
内部にトナーが収容されたトナー収納容器であって、
請求項1または請求項2に記載のウレタンフォーム部材が、トナーの排出される排出口の周りを囲むように接着された、トナー収納容器。
【請求項7】
請求項6に記載のトナー収納容器を備えた、画像形成装置。
【請求項8】
請求項3〜5のいずれか1項に記載のシール構造をその接合部に備えた画像形成装置用のエアダクト。
【請求項9】
請求項8に記載のエアダクトを備えた、画像形成装置。
【請求項10】
請求項3〜5のいずれか1項に記載のシール構造をエア取入口及びエア排出口の少なくとも一方に備えた、画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジ。
【請求項11】
請求項10に記載のプロセスカートリッジを備えた画像形成装置。
【請求項1】
シート状のウレタンフォームを必要とする形状に裁断した後、そのウレタンフォームの一方の面に接着剤を施すウレタンフォーム部材であって、接着剤を付与しない面の少なくとも一辺の端辺部が、端部の厚みが最も薄く、この端部から離れるにつれて徐々に厚みを増すように熱永久歪みが加えられた低端形状である、ウレタンフォーム部材。
【請求項2】
互いに対向する2辺が前記低端形状であること、を特徴とする、請求項1に記載のウレタンフォーム部材。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のウレタンフォーム部材を貼り付けた部材と、ウレタンフォーム貼り付け面と平行な方向に相対的に移動して配置される別部材と、の間の隙間を埋めるシール構造であって、
前記移動方向に対して、前記端辺部の厚みが厚い部分を構成する大厚部に、前記別部材を接触させる、シール構造。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のウレタンフォーム部材を貼り付けた部材と、ウレタンフォーム貼り付け面に対し鉛直方向から別部材を当接して両部材の隙間を埋めるシール構造であって、
接着剤を付与しない面を別部材と密着する面としてウレタンフォーム部材を貼り付けた、シール構造。
【請求項5】
前記ウレタンフォームを貼り付けた部材と、前記別部材との間が、開閉可能であること、を特徴とする請求項4に記載のシール構造。
【請求項6】
内部にトナーが収容されたトナー収納容器であって、
請求項1または請求項2に記載のウレタンフォーム部材が、トナーの排出される排出口の周りを囲むように接着された、トナー収納容器。
【請求項7】
請求項6に記載のトナー収納容器を備えた、画像形成装置。
【請求項8】
請求項3〜5のいずれか1項に記載のシール構造をその接合部に備えた画像形成装置用のエアダクト。
【請求項9】
請求項8に記載のエアダクトを備えた、画像形成装置。
【請求項10】
請求項3〜5のいずれか1項に記載のシール構造をエア取入口及びエア排出口の少なくとも一方に備えた、画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジ。
【請求項11】
請求項10に記載のプロセスカートリッジを備えた画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【公開番号】特開2009−151284(P2009−151284A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−279153(P2008−279153)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
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