説明

エンジンの制御装置

【課題】短時間に、気筒別の空燃比とトルクの気筒間ばらつきを検出・補正する。
【解決手段】気筒毎の角加速度の平均値を演算する手段と、気筒毎の角加速度のばらつき度を演算する手段と、前記気筒毎の角加速度の平均値もしくは/および前記気筒毎の角加速度のばらつき度から、気筒毎のトルクおよび気筒毎の空燃比を推定する手段と、前記気筒毎の推定トルクおよび前記気筒毎の推定空燃比に基づいて、気筒毎の吸気量もしくは/および気筒毎の燃料噴射量もしくは/および気筒毎の点火時期を制御する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの制御装置に関し、特に、気筒間のトルクばらつきおよび空燃比ばらつきの双方を検出・補正する制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地球環境問題を背景に、自動車に対する低排気化,低CO2化(低燃費化)の要求が更に高まってきている。エンジンの高性能化を目的に、可変動弁の採用など、エンジンに供給する燃料量だけでなく吸気量も気筒別に独立に制御する機構を持つエンジンが普及しつつある。また、同じ目的から、燃料系の高燃圧化も進みつつあり、燃料系においても、気筒間の燃料量がばらつくポテンシャルが上がりつつある。このようなエンジンにおいては、燃料量と吸気量すなわち、トルクと空燃比を気筒別に制御する性能を、実用環境においても長期間保証する必要がある。
【0003】
特許文献1では、吸気量センサから気筒間の吸気量ばらつきを検出・補正し、その後に、空燃比センサなどから気筒間の空燃比(燃料量)ばらつきを検出・補正する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−52620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、吸気量センサは、燃焼室から離れた箇所に設置されることが一般的であり、両者の間には、吸気管,スロットルなど、気筒別の吸気量情報を薄めてしまう要素があり、吸気量センサ信号から気筒毎の吸気量を検出するには、一定の精度悪化が伴う。空燃比センサも、排気管集合部に設置されることが一般的であるため、同様に、燃焼室から一定距離、離れている。特に、低回転,低流量領域では、空燃比センサ信号中に含まれる気筒別の空燃比情報が薄まる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題に鑑み、本発明では、短時間かつ高精度に、気筒別の空燃比とトルクの気筒間ばらつきを検出・補正する手段(制御装置)を示すものである。
【0007】
すなわち、図1に示すように、気筒毎の角加速度の平均値を演算する手段と、気筒毎の角加速度のばらつき度を演算する手段と、気筒毎の角加速度の平均値もしくは/および前記気筒毎の角加速度のばらつき度とに基づいて、気筒毎のトルクおよび気筒毎の空燃比を推定する手段と、気筒毎の推定トルクおよび前記気筒毎の推定空燃比に基づいて、気筒毎の吸気量もしくは/および気筒毎の燃料噴射量もしくは/および気筒毎の点火時期を制御する手段を示す。
【0008】
例えば、ある気筒の燃料噴射量が何らかの原因で、目標燃料噴射量より少なくなると、当該気筒の燃焼により発生するトルクは小さくなり、また、当該気筒の空燃比はリーンになるため、トルクは不安定になる(ばらつきが大きくなる)。ある気筒の吸気量が、目標吸気量より多くなると、当該気筒の燃焼により発生するトルクはほとんど変わらないが(燃料噴射量は変化していないため)、当該気筒の空燃比はリーンになるため、トルクは不安定になる(ばらつきが大きくなる)。
【0009】
一方で、ある気筒の燃料噴射量が、目標燃料噴射量より多くなると、当該気筒の燃焼により発生するトルクは大きくなるが、空燃比はリッチになるため、トルクは、不安定にならない(ばらつきが大きくならない)。ある気筒の吸気量が、目標吸気量より少なくなると、空燃比がリッチになるため、当該気筒の燃焼による発生するトルクは多少大きくなるか、もしくは、ほとんど変わらず、また、ほとんど不安定にならない(ばらつきが大きくならない)。
【0010】
さらに、ある気筒の燃料噴射量と吸気量の双方が、目標値より少なくなると、当該気筒の燃焼により発生するトルクは小さくなる。空燃比は、ほとんど変わらないため、トルクは不安定にならない(ばらつきが大きくならない)。ある気筒の燃料噴射量と吸気量の双方が、目標値より多くなると、当該気筒の燃焼により発生するトルクは大きくなる。空燃比は、ほとんど変わらないため、トルクは不安定にはならない(ばらつきが大きくならない)。
【0011】
トルクと角加速度の間には、相関がある。したがって、気筒毎の角加速度の大きさ(平均値)と不安定さ(ばらつき度)を用いて、気筒毎のトルクと空燃比を検出することが可能となり、さらに、燃料噴射量誤差によるものか吸気量誤差によるものかも特定することができる。燃料噴射量誤差によるものであれば、当該気筒の燃料噴射量を補正制御する。吸気量誤差によるものであれば、当該気筒の吸気量を補正制御する。また、点火時期を調節することで、トルクを変えることができるので、たとえば、気筒別に吸気量が制御できないときなどは、点火時期によるトルク補正制御も適宜、実施する。詳細は、後述する。なお、気筒別の角加速度は、クランク角センサ信号,カム軸角度センサ信号などのエンジン回転角度情報が得られるセンサ信号から、当該気筒の燃焼に同期して求めるのがよい。
【0012】
また、図2に示すように、気筒毎の推定トルクおよび前記気筒毎の推定空燃比に基づいて、気筒間のトルクおよび気筒間の空燃比の誤差が小さくなるように、気筒毎の吸気量もしくは/および気筒毎の燃料噴射量もしくは/および気筒毎の点火時期を制御する手段を示す。
【0013】
すなわち、図1の説明で述べた制御の機能として、気筒間のトルクおよび気筒間の空燃比の誤差が小さくなるように、気筒毎の吸気量,燃料噴射量,点火時期を制御することを明記するものである。
【0014】
また、図3に示すように、気筒毎のトルクおよび空燃比を推定する手段は、角加速度の平均値が最小である気筒を特定し、当該気筒の角加速度の平均値が所定値A1以下かつ当該気筒の角加速度のばらつき度が所定値B1より小さいとき、当該気筒のトルクは、その他の気筒のトルクと比較してもっとも小さいとし、当該気筒の空燃比は、その他の気筒の空燃比と比較して差はないと判断することを特徴とするエンジンの制御装置を示す。
【0015】
すなわち、図1の説明で述べたように、角加速度の平均値がもっとも小さい気筒のトルクは、その他の気筒のトルクと比較してもっとも小さいと判断できる。また、その気筒の角加速度のばらつき度が小さいときは、当該気筒の空燃比は、その他の気筒の空燃比と比較して差はないと判断できる。これを明記するものである。なお、この場合、当該気筒の燃料量と吸気量の双方が少なくなったと判断できる。
【0016】
また、図4に示すように、気筒毎のトルクおよび空燃比を推定する手段は、角加速度の平均値が最小である気筒を特定し、当該気筒の角加速度の平均値が所定値A1以下かつ当該気筒の角加速度のばらつき度が所定値B1以上のとき、当該気筒のトルクは、その他の気筒のトルクと比較してもっとも小さいとし、当該気筒の空燃比は、その他の気筒の空燃比と比較してリーンと判断することを特徴とするエンジンの制御装置を示す。
【0017】
すなわち、請求項1で述べたように、角加速度の平均値がもっとも小さい気筒のトルクは、その他の気筒のトルクと比較してもっとも小さいと判断できる。また、その気筒の角加速度のばらつき度が大きいときは、当該気筒の空燃比は、その他の気筒の空燃比と比較してリーンと判断できる。これを明記するものである。なお、この場合、当該気筒の燃料量は少なくなり、かつ、吸気量は変化していないもしくは増えたと判断できる。
【0018】
また、図5に示すように、気筒毎のトルクおよび空燃比を推定する手段は、角加速度の平均値が最大である気筒を特定し、当該気筒の角加速度の平均値が所定値A2以上かつ当該気筒の角加速度のばらつき度が所定値B1より小さいとき、当該気筒のトルクは、その他の気筒のトルクと比較してもっとも大きいとし、当該気筒の空燃比は、その他の気筒の空燃比と比較して差はないもしくはリッチと判断することを特徴とするエンジンの制御装置を示す。
【0019】
すなわち、図1の説明で述べたように、角加速度の平均値がもっとも大きい気筒のトルクは、その他の気筒のトルクと比較してもっとも大きいと判断できる。また、その気筒の角加速度のばらつき度が小さいときは、当該気筒の空燃比は、その他の気筒の空燃比と比較して差はないかもしくはリッチと判断できる。これを明記するものである。なお、この場合、当該気筒の燃料量は多くなった(吸気量は不定)もしくは当該気筒の吸気量が少なくなった(燃料量は変化なし)と判断できる。
【0020】
また、図6に示すように、気筒毎のトルクおよび空燃比を推定する手段は、角加速度のばらつき度が最大である気筒を特定し、当該気筒の角加速度の平均値が所定値A1より大きくかつ所定値A2より小さくかつ当該気筒の角加速度のばらつき度が所定値B1以上のとき、当該気筒のトルクは、その他の気筒のトルクと比較して差はないとし、当該気筒の空燃比は、その他の気筒の空燃比と比較してリーンと判断することを特徴とするエンジンの制御装置を示す。
【0021】
すなわち、図1の説明で述べたように、ある気筒の角加速度の平均値が、その他の気筒の角加速度と比較して、大きく差がないとき、当該気筒のトルクは、その他の気筒のトルクと比較して差はないと判断できる。また、その気筒の角加速度のばらつき度が大きいときは、当該気筒の空燃比は、その他の気筒の空燃比と比較してリーンと判断できる。これを明記するものである。なお、この場合、当該気筒の燃料量は変化しておらず、かつ、吸気量は多くなったと判断できる。
【0022】
また、図7に示すように、所定値A1は、前記所定期間における全気筒の角加速度の平均値より小さい値とすることを特徴とするエンジンの制御装置を示す。
【0023】
すなわち、図3の説明において、所定値A1は、他気筒と比較してトルクが小さい気筒を検出するための角加速度用しきい値である。したがって、所定値A1は、全気筒の角加速度の平均値より小さい値とする。
【0024】
また、図8に示すように、所定値A2は、前記所定期間における全気筒の角加速度の平均値より大きい値とすることを特徴とするエンジンの制御装置を示す。
【0025】
すなわち、図5において、所定値A2は、他気筒と比較してトルクが大きい気筒を検出するための角加速度用しきい値である。したがって、所定値A2は、全気筒の角加速度の平均値より大きい値とする。
【0026】
また、図9に示すように、エンジンがアイドル運転を実施しているときは、所定値A1は、負の値とし、所定値A2は、正の値とすることを特徴とするエンジンの制御装置を示す。
【0027】
すなわち、アイドル運転時は、全気筒の角加速度の平均値は、約0となる。したがって、他気筒と比較してトルクが小さい気筒を検出するための角加速度用しきい値A1は、負の値とし、他気筒と比較してトルクが大きい気筒を検出するための角加速度用しきい値A2は、正の値とする。
【0028】
また、図10に示すように、気筒毎の角加速度のばらつき度は、気筒毎の角加速度の標準偏差もしくは分散とすることを特徴とするエンジンの制御装置を示す。
【0029】
すなわち、ばらつき度を示す一般的な指標として、標準偏差もしくは分散がある。
【0030】
また、図11に示すように、気筒毎の角加速度のばらつき度は、気筒毎の角加速度の絶対値の二乗に対して重み付き移動平均処理をした値もしくは気筒毎の角加速度の絶対値に対して重み付き移動平均処理した値とすることを特徴とするエンジンの制御装置を示す。
【0031】
すなわち、図10の説明で述べたように、ばらつき度を示す指標として、分散値もしくは標準偏差があるが、オンボードで逐次演算するのには、不向きである。オンボードでの逐次演算に向く、絶対値の二乗に対して重み付き移動平均を施した値で、分散値を近似演算する。もしくは、絶対値に対して重み付き移動平均を施した値で、標準偏差を近似演算する。
【0032】
また、図12に示すように、「その他の気筒のトルクと比較してもっとも小さく、その他の気筒の空燃比と比較して差はないと判断した気筒」の角加速度の平均値が所定値A1より大きくなるまで、当該気筒の吸気量を増量補正し、増量した吸気量に応じて、当該気筒の空燃比を維持するべく当該気筒の燃料噴射量も増量補正することを特徴とするエンジンの制御装置を示す。
【0033】
すなわち、図3の説明で述べたように、「その他の気筒のトルクと比較してもっとも小さく、その他の気筒の空燃比と比較して差はないと判断した気筒」においては、当該気筒の燃料量と吸気量の双方が少なくなったと判断できる。したがって、当該気筒の角加速度の平均値が所定値A1より大きくなるまで(当該気筒のトルク低下が解消されるまで)、当該気筒の吸気量を増量補正し、かつ、当該気筒の空燃比がリーン化しないように、前記増量した吸気量に応じて、当該気筒の空燃比を維持するべく当該気筒の燃料噴射量も増量補正する。
【0034】
また、図13に示すように、「その他の気筒のトルクと比較してもっとも小さく、その他の気筒の空燃比と比較してリーンと判断した気筒」の角加速度の平均値が所定値A1より大きくなり、かつ角加速度のばらつき度が所定値B1より小さくなるまで当該気筒の燃料噴射量を増量補正することを特徴とするエンジンの制御装置を示す。
【0035】
すなわち、図4の説明で述べたように、「その他の気筒のトルクと比較してもっとも小さく、その他の気筒の空燃比と比較してもっともリーンと判断した気筒」においては、当該気筒の燃料量は少なくなり、かつ、吸気量は変化していないもしくは増えたと判断できる。したがって、当該気筒の角加速度の平均値が所定値A1より大きくなり(当該気筒のトルク低下が解消されるまで)、かつ、角加速度のばらつき度が所定値B1より小さくなるまで(当該気筒のリーン化が解消されるまで)、当該気筒の吸気量を増量補正する。
【0036】
また、図14に示すように、「その他の気筒のトルクと比較してもっとも大きいとし、その他の気筒の空燃比と比較して差はないもしくはリッチと判断した気筒」の角加速度の平均値が所定値A2より小さくなるまで、当該気筒の燃料噴射量を減量補正することを特徴とするエンジンの制御装置を示す。
【0037】
すなわち、図5の説明で述べたように、「その他の気筒のトルクと比較してもっとも大きいとし、その他の気筒の空燃比と比較して差はないもしくはリッチと判断した気筒」においては、当該気筒の燃料量は多くなった(吸気量は不定)もしくは当該気筒の吸気量が少なくなった(燃料量は変化なし)と判断できる。したがって、角加速度の平均値が所定値A2より小さくなるまで(当該気筒のトルク増大が解消されるまで)、当該気筒の燃料噴射量を減量補正する。
【0038】
また、図15に示すように、「その他の気筒のトルクと比較して差はないとし、その他の気筒の空燃比と比較してもっともリーンと判断した気筒」の角加速度のばらつき度が所定値B1より小さくなるまで当該気筒の吸気量を減量補正することを特徴とするエンジンの制御装置を示す。
【0039】
すなわち、図6の説明で述べたように、「その他の気筒のトルクと比較して差はないとし、その他の気筒の空燃比と比較してもっともリーンと判断した気筒」においては、当該気筒の燃料量は変化しておらず、かつ、吸気量は多くなったと判断できる。したがって、角加速度のばらつき度が所定値B1より小さくなるまで(当該気筒のリーン化が解消されるまで)、当該気筒の吸気量を減量補正する。
【0040】
また、図16に示すように、「その他の気筒のトルクと比較してもっとも小さく、その他の気筒の空燃比と比較して差はないと判断した気筒」の角加速度の平均値が所定値A1より大きくなるまで、当該気筒の点火時期を進角側に補正することを特徴とするエンジンの制御装置を示す。
【0041】
すなわち、図3の説明で述べたように、「その他の気筒のトルクと比較してもっとも小さく、その他の気筒の空燃比と比較して差はないと判断した気筒」においては、当該気筒の燃料量と吸気量の双方が少なくなったと判断できる。一方で、気筒別に吸気量が制御できないときなどは、燃料量のみ増量した場合、当該気筒のトルク低下は、解消されるものの、空燃比がリッチ化する。この場合は、当該気筒の点火時期を進角側に補正することで、トルク低下を解消させる。
【0042】
また、図17に示すように、「その他の気筒のトルクと比較してもっとも大きいとし、その他の気筒の空燃比と比較して差はないもしくはリッチと判断した気筒」の角加速度の平均値が所定値A2より小さくなるまで、当該気筒の点火時期を遅角側に補正することを特徴とするエンジンの制御装置を示す。
【0043】
すなわち、図5の説明で述べたように、「その他の気筒のトルクと比較してもっとも大きいとし、その他の気筒の空燃比と比較して差はないもしくはリッチと判断した気筒」においては、当該気筒の燃料量は多くなった(吸気量は不定)もしくは当該気筒の吸気量が少なくなった(燃料量は変化なし)と判断できる。当該気筒の点火時期を遅角側に補正することで、トルクを低下させることもできる。
【0044】
また、図18に示すように、角加速度の平均値が最小である気筒を優先的に検出し、当該気筒の角加速度の平均値が所定値A1以下かつ当該気筒の角加速度のばらつき度が所定値B1以上のとき、角加速度の平均値が所定値A1より大きくなり、かつ角加速度のばらつき度が所定値B1より小さくなるまで当該気筒の燃料噴射量を優先的に増量補正することを特徴とするエンジンの制御装置を示す。
【0045】
すなわち、図1の説明でも述べたように、角加速度の平均値がもっとも小さい気筒のトルクは、その他の気筒のトルクと比較してもっとも小さいと判断できる。また、その気筒の角加速度のばらつき度が大きいときは、当該気筒の空燃比は、その他の気筒の空燃比と比較してリーンと判断できる。「その他の気筒のトルクと比較してもっとも小さく、その他の気筒の空燃比と比較してリーンと判断した気筒」は、もっとも不安定な気筒である。したがって、当該気筒を優先的に検出し、さらに、当該気筒の燃料噴射量を優先的に増量補正するものである。
【0046】
図19に示すように、全気筒の燃料噴射量補正量の平均値を演算し、各気筒の燃料噴射量補正量から前記平均値を引いた値を最終的な各気筒の燃料噴射量補正量とすることを特徴とするエンジンの制御装置を示す。
【0047】
すなわち、図12〜図14,図18に記載の燃料噴射量補正は、特定の気筒のみの燃料噴射量を増量補正もしくは減量補正するものである。このような逐次補正方式においては、燃料噴射量補正値の直流分(各気筒の補正値の平均値)は、ドリフトしていく可能性を持つ。ドリフト分を補正するため、全気筒の燃料噴射量補正量の平均値を演算し、各気筒の燃料噴射量補正量から前記平均値を引いた値を最終的な各気筒の燃料噴射量補正量とする。
【0048】
また、図20に示すように、全気筒の吸気量補正量の平均値を演算し、各気筒の吸気量補正量から前記平均値を引いた値を最終的な各気筒の吸気量補正量とすることを特徴とするエンジンの制御装置を示す。
【0049】
すなわち、図12,図15で説明した吸気量補正は、特定の気筒のみの吸気量を増量補正もしくは減量補正を逐次実施するものである。図20の説明で述べたように、ドリフト分を補正するため、全気筒の吸気量補正量の平均値を演算し、各気筒の吸気量補正量から前記平均値を引いた値を最終的な各気筒の吸気量補正量とする。
【0050】
また、図21に示すように、全気筒の点火時期補正量の平均値を演算し、各気筒の点火時期補正量から前記平均値を引いた値を最終的な各気筒の点火時期補正量とすることを特徴とするエンジンの制御装置を示す。
【0051】
すなわち、図16,図17に記載の点火時期補正は、特定の気筒のみの点火時期を進角補正もしくは遅角補正を逐次実施するものである。図20の説明で述べたように、ドリフト分を補正するため、全気筒の点火時期補正量の平均値を演算し、各気筒の点火時期補正量から前記平均値を引いた値を最終的な各気筒の点火時期補正量とする。
【0052】
なお、本方式においては、必ずしも、一段階での補正で、燃料噴射量と吸気量の誤差を補正するものではない。例えば、燃料噴射量と吸気量の双方が増量側にずれたとき、まずは、図14に記載の方式で、トルクの増大が解消するまで、燃料噴射量を減量補正する。吸気量は、減量補正しないので、空燃比はリーン化する。このとき、図15に記載の方式で、吸気量を減量補正するので、二段階の補正を経て、燃料噴射量,吸気量は、適正に補正される。その他のケースでも同様であるが、本制御は、比較的、頻繁に実行されるので、燃料噴射量もしくは吸気量のいずれかに誤差が生じた気筒を、早期に検出することができる(双方に誤差が生じる以前に検出する)。燃料噴射量もしくは吸気量のいずれかに誤差が生じた場合の4ケースの内((1)燃料量多,(2)燃料量少,(3)吸気量多,(4)吸気量少),3ケース((1)燃料量多,(2)燃料量少,(3)吸気量多)が、一段階の補正で当該気筒を適正化できる。「(3)吸気量少」もしくは「燃料量と吸気量の双方に誤差が生じた場合」のケースでも、二段階の検出・補正で、適正化できる。
【0053】
以上より、短時間かつ高精度に、気筒別の空燃比とトルクの気筒間ばらつきを検出・補正することができる。
【発明の効果】
【0054】
本発明によれば、気筒毎の角加速度情報を用いて、気筒間のトルク誤差および気筒間の空燃比誤差が小さくなるように、気筒毎の吸気量,燃料噴射量,点火時期を適正に補正するので、機構が複雑化しつつあるエンジンの実用環境における性能を長期間保証することができ、もって、排気悪化,CO2悪化,燃費悪化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】請求項1に記載のエンジンの制御装置。
【図2】請求項2に記載のエンジンの制御装置。
【図3】請求項3に記載のエンジンの制御装置。
【図4】請求項4に記載のエンジンの制御装置。
【図5】請求項5に記載のエンジンの制御装置。
【図6】請求項6に記載のエンジンの制御装置。
【図7】請求項7に記載のエンジンの制御装置。
【図8】請求項8に記載のエンジンの制御装置。
【図9】請求項9に記載のエンジンの制御装置。
【図10】請求項10に記載のエンジンの制御装置。
【図11】請求項11に記載のエンジンの制御装置。
【図12】請求項12に記載のエンジンの制御装置。
【図13】請求項13に記載のエンジンの制御装置。
【図14】請求項14に記載のエンジンの制御装置。
【図15】請求項15に記載のエンジンの制御装置。
【図16】請求項16に記載のエンジンの制御装置。
【図17】請求項17に記載のエンジンの制御装置。
【図18】請求項18に記載のエンジンの制御装置。
【図19】請求項19に記載のエンジンの制御装置。
【図20】請求項20に記載のエンジンの制御装置。
【図21】請求項21に記載のエンジンの制御装置。
【図22】実施例1〜3におけるエンジン制御システム図。
【図23】実施例1〜3におけるコントロールユニットの内部を表した図。
【図24】実施例1,2における制御全体を表したブロック図。
【図25】実施例1〜3における基本燃料噴射量演算部のブロック図。
【図26】実施例1における制御許可フラグ演算部のブロック図。
【図27】実施例1における気筒別角加速度特性演算部のブロック図。
【図28】実施例1,2における補正気筒および補正方向演算部のブロック図。
【図29】実施例1における角加速度平均値が最小・最大の気筒の情報および角加速度分散値が最大の気筒の情報の演算部のブロック図。
【図30】実施例1,2における補正気筒および補正方向演算部2のブロック図。
【図31】実施例1における気筒別燃料噴射量補正値演算部のブロック図。
【図32】実施例1における気筒別空気量補正値演算部のブロック図。
【図33】実施例2,3における制御許可フラグ演算部のブロック図。
【図34】実施例2,3における気筒別角加速度特性演算部のブロック図。
【図35】実施例2,3における角加速度平均値が最小・最大の気筒の情報および角加速度分散値が最大の気筒の情報の演算部のブロック図。
【図36】実施例2における気筒別燃料噴射量補正値演算部のブロック図。
【図37】実施例2における気筒別空気量補正値演算部のブロック図。
【図38】実施例3における制御全体を表したブロック図。
【図39】実施例3における補正気筒および補正方向演算部のブロック図。
【図40】実施例3における補正気筒および補正方向演算部2のブロック図。
【図41】実施例3における気筒別燃料噴射量補正値演算部のブロック図。
【図42】実施例3における気筒別空気量補正値演算部のブロック図。
【図43】実施例3における気筒別点火時期補正値演算部のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0056】
(実施例1)
図22は、本実施例を示すシステム図である。多気筒(ここでは4気筒)で構成されるエンジン9において、外部からの空気はエアクリーナ1を通過し、吸気マニホールド4,コレクタ5を経てシリンダー内に流入する。流入空気量は電子スロットル3により調節される。エアフロセンサ2では流入空気量が検出される。また、吸気温センサ29で、吸気温が検出される。クランク角センサ15では、クランク軸の回転角10゜毎の信号と燃焼周期毎の信号が出力される。水温センサ14はエンジンの冷却水温度を検出する。またアクセル開度センサ13は、アクセル6の踏み込み量を検出し、それによって運転者の要求トルクを検出する。
【0057】
アクセル開度センサ13,エアフロセンサ2,吸気温センサ29,電子スロットル3に取り付けられたスロットル開度センサ17,クランク角センサ15,水温センサ14のそれぞれの信号は、後述のコントロールユニット16に送られ、これらセンサ出力からエンジンの運転状態を得て、空気量,燃料噴射量,点火時期のエンジンの主要な操作量が最適に演算される。
【0058】
コントロールユニット16内で演算された目標空気量は、目標スロットル開度→電子スロットル駆動信号に変換され、電子スロットル3に送られる。燃料噴射量は開弁パルス信号に変換され、燃料噴射弁(インジェクタ)7に送られる。またコントロールユニット16で演算された点火時期で点火されるよう駆動信号が点火プラグ8に送られる。
【0059】
噴射された燃料は吸気マニホールドからの空気と混合されエンジン9のシリンダー内に流入し混合気を形成する。混合気は所定の点火時期で点火プラグ8から発生される火花により爆発し、その燃焼圧によりピストンを押し下げてエンジンの動力となる。爆発後の排気は排気マニホールド10を経て三元触媒11に送り込まれる。排気還流管18を通って排気の一部は吸気側に還流される。還流量は排気還流量調節バルブ19によって制御される。
【0060】
触媒上流A/Fセンサ12はエンジン9と三元触媒11の間に取り付けられている。触媒下流O2センサ20は三元触媒11の下流に取り付けられている。
【0061】
図23はコントロールユニット16の内部を示したものである。コントロールユニット(ECU16)内にはエアフロセンサ2,触媒上流A/Fセンサ12,アクセル開度センサ13,水温センサ14,エンジン回転数センサ15,スロットル開度センサ17,触媒下流O2センサ20,吸気温センサ29,車速センサ30の各センサ出力値が入力され、入力回路24にてノイズ除去等の信号処理を行った後、入出力ポート25に送られる。入力ポートの値はRAM23に保管され、CPU21内で演算処理される。演算処理の内容を記述した制御プログラムはROM22に予め書き込まれている。制御プログラムに従って演算された各アクチュエータ作動量を表す値はRAM23に保管された後、入出力ポート25に送られる。点火プラグの作動信号は点火出力回路内の一次側コイルの通流時はONとなり、非通流時はOFFとなるON・OFF信号がセットされる。点火時期はONからOFFになる時である。出力ポートにセットされた点火プラグ用の信号は点火出力回路26で燃焼に必要な十分なエネルギーに増幅され点火プラグに供給される。また燃料噴射弁の駆動信号は開弁時ON,閉弁時OFFとなるON・OFF信号がセットされ、燃料噴射弁駆動回路27で燃料噴射弁を開くに十分なエネルギーに増幅され燃料噴射弁7に送られる。電子スロットル3の目標開度を実現する駆動信号は、電子スロットル駆動回路28を経て、電子スロットル3に送られる。吸気動弁30の目標リフト量,目標開閉時期を実現する駆動信号は、吸気動弁駆動回路32を経て、吸気動弁30に送られる。
【0062】
以下、ROM22に書き込まれる制御プログラムについて述べる。図24は制御全体を表したブロック図であり、以下の演算部から構成される。
・基本燃料噴射量演算部(図25)
・制御許可フラグ演算部(図26)
・気筒別角加速度特性演算部(図27)
・補正気筒および補正方向演算部(図28)
・気筒別燃料噴射量補正値演算部(図31)
・気筒別吸気量補正値演算部(図32)
【0063】
「基本燃料噴射量演算部」で、基本燃料噴射量(Tp0)を演算する。「制御許可フラグ演算部」では、気筒別の燃料噴射量補正,吸気量補正を実施を許可するフラグ(fp_seigyo)を演算する。「気筒別角加速度特性演算部」では、制御許可が出ると(fp_seigyo=1)、気筒別角加速度特性である気筒毎の角加速度の平均値(M_omega_n(n:気筒番号)),気筒毎の角加速度の分散値(V_omega_n(n:気筒番号))を演算する。「補正気筒および補正方向演算部」では、上述の角加速度特性に基づいて、補正する気筒の気筒番号(Cyl_hos),補正する気筒の燃料噴射量を増量補正するか、減量補正するかの補正方向(Dir_hos_F)、また、補正する気筒の吸気量を増量補正するか、減量補正するかの補正方向(Dir_hos_A),補正する気筒の角加速度の平均値(M_omega_Cyl_hos),補正する気筒の角加速度の分散値(V_omega_Cyl_hos)を演算する。「気筒別燃料噴射量補正値演算部」では、前述の「補正気筒および補正方向演算部」で演算した各パラメータ値に基づいて、気筒別の燃料噴射量補正値(F_hos_n(n:気筒番号))を演算する。「気筒別吸気量補正値演算部」では、前述の「補正気筒および補正方向演算部」で演算した各パラメータ値に基づいて、気筒別の吸気量補正値(IVO_hos_n,IVC_hos_n)を演算する。ここに、IVO_hos_nは、n番気筒の吸気弁開時期(IVO_n)に対して施される補正値であり、IVC_hos_nは、n番気筒の吸気弁閉時期(IVC_n)に対して施される補正値である。IVO_n,IVC_nの演算方法については、従来より様々な方法があり、本発明とは直接関係しないので、ここでは詳述しない。以下、各演算部の詳細を説明する。
【0064】
<基本燃料噴射量演算部(図25)>
本演算部では、基本燃料噴射量(Tp0)を演算する。具体的には、図25に示される式で演算する。ここに、Cylは気筒数を表す。K0は、インジェクタの仕様(燃料噴射パルス幅と燃料噴射量の関係)に基づき決める。
【0065】
<制御許可フラグ演算部(図26)>
本演算部では、制御許可フラグ(fp_seigyo)を演算する。具体的には、図26に示される。アクセル開度の今回値と前回値の差(ΔApo)が所定時間、所定範囲内にあり、かつ、基本燃料噴射量の今回値と前回値の差(ΔTp0)が所定時間、所定範囲内にあり、かつ、エンジン回転速度の今回値と前回値の差(ΔNe)が所定時間、所定範囲内にあったとき、制御の実施を許可する(fp_seigyo=1)。
【0066】
<気筒別角加速度特性演算部(図27)>
本演算部では、気筒別角加速度特性である気筒毎の角加速度の平均値(M_omega_n(n:気筒番号)),気筒毎の角加速度の分散値(V_omega_n(n:気筒番号))を演算する。具体的には、図27に示される。エンジン回転速度(Ne)からn番気筒の角加速度(omega_n)を求める。より具体的には、燃焼周期毎にNeの平均値を求め、前回Neとの差をomega_nとする。omega_nから、所定サイクル間におけるn番気筒の角加速度の平均値(M_omega_n)を求める。また、omega_nから、所定サイクル間におけるn番気筒の角加速度の分散値(V_omega_n)を求める。
【0067】
<補正気筒および補正方向演算部(図28)>
本演算部は、「角加速度平均値が最小・最大の気筒の情報および角加速度分散値が最大の気筒の情報の演算部」と「補正気筒および補正方向演算部2」からなる。以下、各演算部の詳細を述べる。
【0068】
<角加速度平均値が最小・最大の気筒の情報および角加速度分散値が最大の気筒の情報の演算部(図29)>
本演算部では、角加速度平均値が最小・最大の気筒の情報および角加速度分散値が最大の気筒の情報を演算する。具体的には、図29に示されるように、
・M_omega_n最小値(M_omega_K1)を求める。M_omega_nが最小の気筒の気筒番号をCyl_
K1とする。気筒番号Cyl_K1のV_omega_nをV_omega_K1とする。
・M_omega_nの最大値(M_omega_K2)を求める。M_omega_nが最大の気筒の気筒番号をCy
l_K2とする。気筒番号Cyl_K2のV_omega_nをV_omega_K2とする。
・V_omega_nの最大値(V_omega_K3)を求める。V_omega_nが最大の気筒の気筒番号をCy
l_K3とする。気筒番号Cyl_K3のM_omega_nをM_omega_K3とする。
・M_omega_nの平均値にK1を引いた値をA1とする。M_omega_nの平均値からK2を加えた
値をA2とする。
【0069】
<補正気筒および補正方向演算部2(図30)>
本演算部では、補正気筒および補正方向を演算する。具体的には、図30で示される。
(条件1)
M_omega_K1≦A1かつV_omega_K1≧B1のとき
(条件2)
条件1が不成立かつM_omega_K3>A1かつM_omega_K3<A2かつV_omega_K3≧B1のとき
(条件3)
条件1が不成立かつ条件2が不成立かつM_omega_K1≦A1かつV_omega_K1<B1のとき
(条件4)
条件1が不成立かつ条件2が不成立かつ
条件3が不成立かつ
M_omega_K2≧A2かつV_omega_K2<B1のとき
(条件1)が成立時
Cyl_hos=Cyl_K1,Dir_hos_F=1,Dir_hos_A=0,M_omega_cyl_hos=M_omega_K1,
V_omega_cyl_hos=V_omega_K1とする。
(条件2)が成立時
Cyl_hos=Cyl_K1,Dir_hos_F=0,Dir_hos_A=−1,M_omega_cyl_hos=M_omega_K3,
V_omega_cyl_hos=V_omega_K3とする。
(条件3)が成立時
Cyl_hos=Cyl_K3,Dir_hos_F=1,Dir_hos_A=1,M_omega_cyl_hos=M_omega_K1,
V_omega_cyl_hos=V_omega_K1とする。
(条件4)が成立時
Cyl_hos=Cyl_K2,Dir_hos_F=−1,Dir_hos_A=0,M_omega_cyl_hos=M_omega_K2,
V_omega_cyl_hos=V_omega_K2とする。
【0070】
なお、補正方向フラグ(Dir_hos_F,Dir_hos_A)の値の意味は、1のとき増量側に補正,−1のとき減量側に補正,0のとき補正しない、である。
【0071】
<気筒別燃料噴射量補正値演算部(図31)>
本演算部では、気筒別燃料噴射量補正値(F_hos_n)を演算する。具体的には、図31に示されるように、気筒番号nがCyl_hosの燃料噴射量補正値(F_hos_n)を下記のように演算する。
・Dir_hos_F=1かつDir_hos_A=0のとき、F_hos_n=F_hos_n(前回値)+F_hos_1と
する。
・Dir_hos_F=1かつDir_hos_A=1のとき、F_hos_n=K×Tp_hos_n(n=Cyl_hos)と
する。
・Dir_hos_F=−1のとき、F_hos_n=F_hos_n(前回値)−F_hos_0とする。
・Dir_hos_F=0のとき、F_hos_n=F_hos_n(前回値)とする。
・気筒番号がCyl_hos以外の燃料噴射量補正値(F_hos_n)は、前回値を維持する。すな
わち、F_hos_n=F_hos_n(前回値)とする。
【0072】
なお、燃料噴射量増量側更新値(F_hos_1)は、M_omega_Cyl_hosからテーブル(Tbl_F_hos1)を参照した値とする。また、燃料噴射量減量側更新値(F_hos_0)は、M_omega_Cyl_hosからテーブル(Tbl_F_hos0)を参照した値とする。テーブルの設定値は、角加速度の平均値の大きさ(低減量,増大量)に対して、1回の更新で、どの程度、燃料噴射量を補正するかで決める。
【0073】
<気筒別吸気量補正値演算部(図32)>
本演算部では、気筒別吸気量補正値(Tp_hos_n)を演算する。具体的には、図32に示されるように、気筒番号nがCyl_hosの吸気量補正値(Tp_hos_n)を下記のように演算する。
・Dir_hos_A=1のとき、Tp_hos_n=Tp_hos_n(前回値)+Tp_hos_1とする。
・Dir_hos_A=−1のとき、Tp_hos_n=Tp_hos_n(前回値)−Tp_hos_0とする。
・Dir_hos_A=0のとき、Tp_hos_n=Tp_hos_n(前回値)とする。
・気筒番号がCyl_hos以外の燃料噴射量補正値(Tp_hos_n)は、前回値を維持する。す
なわち、Tp_hos_n=Tp_hos_n(前回値)とする。
・Tp_hos_nから、テーブル(Tbl_IVO_hos_n)を参照して、気筒別吸気弁開時期補正値
(IVO_hos_n)を演算する。
・Tp_hos_nから、テーブル(Tbl_IVC_hos_n)を参照して、気筒別吸気弁閉時期補正値
(IVC_hos_n)を演算する。
【0074】
なお、吸気量増量側更新値(Tp_hos_1)は、M_omega_Cyl_hosからテーブル(Tbl_Tp_hos1)を参照した値とする。また、吸気量減量側更新値(Tp_hos_0)は、M_omega_Cyl_hosからテーブル(Tbl_Tp_hos0)を参照した値とする。テーブルの設定値は、角加速度の平均値の大きさ(低減量,増大量)に対して、1回の更新で、どの程度、吸気量を補正するかで決める。また、テーブル(Tbl_IVO_hos_n)およびテーブル(Tbl_IVC_hos_n)の値は、吸気量補正値に対して、吸気弁の開時期と閉時期をどの程度補正するかで決める。エンジンの運転条件(回転速度,吸気圧)なども参照して決めるのも良い。
【0075】
(実施例2)
実施例2では、アイドル運転で本制御を実施する。また、請求項11に記載のように、気筒毎の角加速度のばらつき度を角加速度の絶対値の二乗に対して重み付き移動平均で演算する。また、請求項19,20に記載のように、気筒毎の燃料噴射量補正値と気筒毎の吸気量補正値のドリフト分を補正する。
【0076】
図22は本実施例を示すシステム図であり、実施例1と同様であるので詳述はしない。図23はコントロールユニット16の内部を示したものであり、実施例1と同様であるので、同じく詳述しない。図24は制御全体を表したブロック図であり、実施例1と同様であるので、同じく詳述しない。以下、各演算部の詳細を説明する。
【0077】
<基本燃料噴射量演算部(図25)>
本演算部では、基本燃料噴射量(Tp0)を演算する。具体的には、図18に示されるが、実施例1と同じであるので、詳述しない。
【0078】
<制御許可フラグ演算部(図33)>
本演算部では、制御許可フラグ(fp_seigyo)を演算する。具体的には、図33に示される。アクセル開度の今回値と前回値の差(ΔApo)が所定時間,所定範囲内にあり、かつ、基本燃料噴射量の今回値と前回値の差(ΔTp0)が所定時間,所定範囲内にあり、かつ、エンジン回転速度の今回値と前回値の差(ΔNe)が所定時間,所定範囲内にあり、かつ、アイドル運転中であるとき、制御の実施を許可する(fp_seigyo=1)。
【0079】
<気筒別角加速度特性演算部(図34)>
本演算部では、気筒別角加速度特性である気筒毎の角加速度の平均値(M_omega_n(n:気筒番号)),気筒毎の角加速度の分散値(V_omega_n(n:気筒番号))を演算する。具体的には、図34に示される。エンジン回転速度(Ne)からn番気筒の角加速度(omega_n)を求める。より具体的には、燃焼周期毎にNeの平均値を求め、前回Neとの差をomega_nとする。omega_nを移動平均処理し、n番気筒の角加速度の平均値(M_omega_n)を近似的に求める。また、omega_nの絶対値の二乗に移動平均処理をし、n番気筒の角加速度の分散値(V_omega_n)を近似的に求める。
【0080】
<補正気筒および補正方向演算部(図28)>
本演算部は、「角加速度平均値が最小・最大の気筒の情報および角加速度分散値が最大の気筒の情報の演算部」と「補正気筒および補正方向演算部2」からなる。構成は、実施例1と同様である。以下、各演算部の詳細を述べる。
【0081】
<角加速度平均値が最小・最大の気筒の情報および角加速度分散値が最大の気筒の情報の演算部(図35)>
本演算部では、角加速度平均値が最小・最大の気筒の情報および角加速度分散値が最大の気筒の情報を演算する。具体的には、図35に示されるように、
・M_omega_n最小値(M_omega_K1)を求める。M_omega_nが最小の気筒の気筒番号をCyl_
K1とする。気筒番号Cyl_K1のV_omega_nをV_omega_K1とする。
・M_omega_nの最大値(M_omega_K2)を求める。M_omega_nが最大の気筒の気筒番号をCy
l_K2とする。気筒番号Cyl_K2のV_omega_nをV_omega_K2とする。
・V_omega_nの最大値(V_omega_K3)を求める。V_omega_nが最大の気筒の気筒番号をCy
l_K3とする。気筒番号Cyl_K3のM_omega_nをM_omega_K3とする。
・A1=−K1とする。A2=K2とする。すなわち、M_omega_nの平均値は、0とする。
【0082】
<補正気筒および補正方向演算部2(図30)>
本演算部では、補正気筒および補正方向を演算する。具体的には、図30で示されるが、実施例1と同じであるので、詳述しない。
【0083】
<気筒別燃料噴射量補正値演算部(図36)>
本演算部では、気筒別燃料噴射量補正値(F_hos_n)を演算する。具体的には、図36に示されるように、気筒番号nがCyl_hosの燃料噴射量補正値(F_hos_n)を下記のように演算する。
・Dir_hos_F=1かつDir_hos_A=0のとき、F_hos_a_n=F_hos_n(前回値)+F_hos_1
とする。
・Dir_hos_F=1かつDir_hos_A=1のとき、F_hos_a_n=K×Tp_hos_n(n=Cyl_hos)
とする。
・Dir_hos_F=−1のとき、F_hos_a_n=F_hos_n(前回値)−F_hos_0とする。
・Dir_hos_F=0のとき、F_hos_a_n=F_hos_n(前回値)とする。
・気筒番号がCyl_hos以外のF_hos_a_nは、F_hos_nの前回値を維持する。すなわち、F_h
os_a_n=F_hos_n(前回値)とする。
・F_hos_n(前回値)の全気筒分の平均値をM_F_hosとし、F_hos_a_nからM_F_hosを引い
た値をF_hos_nとする。本処理は、ドリフト分の補正にあたる。
【0084】
なお、燃料噴射量増量側更新値(F_hos_1)は、M_omega_Cyl_hosからテーブル(Tbl_F_hos1)を参照した値とする。また、燃料噴射量減量側更新値(F_hos_0)は、M_omega_Cyl_hosからテーブル(Tbl_F_hos0)を参照した値とする。テーブルの設定値は、角加速度の平均値の大きさ(低減量,増大量)に対して、1回の更新で、どの程度、燃料噴射量を補正するかで決める。
【0085】
<気筒別吸気量補正値演算部(図37)>
本演算部では、気筒別吸気量補正値(Tp_hos_n)を演算する。具体的には、図37に示されるように、気筒番号nがCyl_hosの吸気量補正値(Tp_hos_n)を下記のように演算する。
・Dir_hos_A=1のとき、Tp_hos_a_n=Tp_hos_n(前回値)+Tp_hos_1とする。
・Dir_hos_A=−1のとき、Tp_hos_a_n=Tp_hos_n(前回値)−Tp_hos_0とする。
・Dir_hos_A=0のとき、Tp_hos_a_n=Tp_hos_n(前回値)とする。
・気筒番号がCyl_hos以外のTp_hos_a_nは、Tp_hos_nの前回値とする。すなわち、Tp_ho
s_a_n=Tp_hos_n(前回値)とする。
・Tp_hos_nから、テーブル(Tbl_IVO_hos_n)を参照して、気筒別吸気弁開時期補正値
(IVO_hos_n)を演算する。
・Tp_hos_nから、テーブル(Tbl_IVC_hos_n)を参照して、気筒別吸気弁閉時期補正値
(IVC_hos_n)を演算する。
・Tp_hos_n(前回値)の全気筒分の平均値をM_Tp_hosとし、Tp_hos_a_nからM_Tp_hosを
引いた値をTp_hos_nとする。本処理は、ドリフト分の補正にあたる。
【0086】
なお、吸気量増量側更新値(Tp_hos_1)は、M_omega_Cyl_hosからテーブル(Tbl_Tp_hos1)を参照した値とする。また、吸気量減量側更新値(Tp_hos_0)は、M_omega_Cyl_hosからテーブル(Tbl_Tp_hos0)を参照した値とする。テーブルの設定値は、角加速度の平均値の大きさ(低減量,増大量)に対して、1回の更新で、どの程度、吸気量を補正するかで決める。また、テーブル(Tbl_IVO_hos_n)およびテーブル(Tbl_IVC_hos_n)の値は、吸気量補正値に対して、吸気弁の開時期と閉時期をどの程度補正するかで決める。エンジンの運転条件(回転速度,吸気圧)なども参照して決めるのも良い。
【0087】
(実施例3)
実施例3では、請求項16,17に記載のように、点火時期による補正も実施する。
【0088】
図22は本実施例を示すシステム図であり、実施例1と同様であるので詳述はしない。図23はコントロールユニット16の内部を示したものであり、実施例1と同様であるので、同じく詳述しない。図38は制御全体を表したブロック図であり、実施例1もしくは実施例2に対して、気筒別点火時期補正値演算部が追加されている。「補正気筒および補正方向演算部」で演算した各パラメータ値に基づいて、気筒別の点火時期補正値(S_Hos_n)を演算する。ここに、S_hos_nは、基本点火時期(ADV0)に対して施される補正値である。ADV0の演算方法については、従来より様々な方法があり、本発明とは直接関係しないので、ここでは詳述しない。以下、各演算部の詳細を説明する。
【0089】
<基本燃料噴射量演算部(図25)>
本演算部では、基本燃料噴射量(Tp0)を演算する。具体的には、図18に示されるが、実施例1と同じであるので、詳述しない。
【0090】
<制御許可フラグ演算部(図33)>
本演算部では、制御許可フラグ(fp_seigyo)を演算する。具体的には、図33に示されるが、実施例2と同じであるので、詳述しない。
【0091】
<気筒別角加速度特性演算部(図34)>
本演算部では、気筒別角加速度特性である気筒毎の角加速度の平均値(M_omega_n(n:気筒番号))、気筒毎の角加速度の分散値(V_omega_n(n:気筒番号))を演算する。具体的には、図34に示されるが、実施例2と同じであるので、詳述しない。
【0092】
<補正気筒および補正方向演算部(図39)>
本演算部は、「角加速度平均値が最小・最大の気筒の情報および角加速度分散値が最大の気筒の情報の演算部」と「補正気筒および補正方向演算部2」からなる。
【0093】
<角加速度平均値が最小・最大の気筒の情報および角加速度分散値が最大の気筒の情報の演算部(図35)>
本演算部では、角加速度平均値が最小・最大の気筒の情報および角加速度分散値が最大の気筒の情報を演算する。具体的には、図35に示されるが、実施例2と同じであるので、詳述しない。
【0094】
<補正気筒および補正方向演算部2(図40)>
本演算部では、補正気筒および補正方向を演算する。具体的には、図40で示される。
(条件1)
M_omega_K1≦A1かつV_omega_K1≧B1のとき
(条件2)
条件1が不成立かつM_omega_K3>A1かつM_omega_K3<A2かつV_omega_K3≧B1のとき
(条件3)
条件1が不成立かつ条件2が不成立かつM_omega_K1≦A1かつV_omega_K1<B1のとき
(条件4)
条件1が不成立かつ条件2が不成立かつ
条件3が不成立かつ
M_omega_K2≧A2かつV_omega_K2<B1のとき
(条件1)が成立時
Cyl_hos=Cyl_K1,Dir_hos_F=1,Dir_hos_A=0,Dir_hos_S=0,
M_omega_cyl_hos=M_omega_K1,V_omega_cyl_hos=V_omega_K1とする。
(条件2)が成立時
Cyl_hos=Cyl_K1,Dir_hos_F=0,Dir_hos_A=−1,Dir_hos_S=0,
M_omega_cyl_hos=M_omega_K3,V_omega_cyl_hos=V_omega_K3とする。
(条件3)が成立時
Cyl_hos=Cyl_K3,Dir_hos_F=1,Dir_hos_A=1,Dir_hos_S=1,
M_omega_cyl_hos=M_omega_K1,V_omega_cyl_hos=V_omega_K1とする。
(条件4)が成立時
Cyl_hos=Cyl_K2,Dir_hos_F=−1,Dir_hos_A=0,Dir_hos_S=−1,
M_omega_cyl_hos=M_omega_K2,V_omega_cyl_hos=V_omega_K2とする。
【0095】
なお、補正方向フラグ(Dir_hos_F,Dir_hos_A)の値の意味は、1のとき増量側に補正,−1のとき減量側に補正,0のとき補正しない、である。補正方向フラグ(Dir_hos_S)の値の意味は、1のとき進角側に補正,−1のとき遅角側に補正,0のとき補正しない、である。
【0096】
<気筒別燃料噴射量補正値演算部(図41)>
本演算部では、気筒別燃料噴射量補正値(F_hos_n)を演算する。具体的には、図41に示されるように、気筒番号nがCyl_hosの燃料噴射量補正値(F_hos_n)を下記のように演算する。
・Dir_hos_F=1のとき、F_hos_a_n=F_hos_n(前回値)+F_hos_1とする。
・Dir_hos_F=0のとき、F_hos_a_n=F_hos_n(前回値)とする。
・気筒番号がCyl_hos以外F_hos_a_nは、F_hos_nの前回値を維持する。すなわち、F_hos
_a_n=F_hos_n(前回値)とする。
・F_hos_n(前回値)の全気筒分の平均値をM_F_hosとし、F_hos_a_nからM_F_hosを引い
た値をF_hos_nとする。本処理は、ドリフト分の補正にあたる。
【0097】
<気筒別吸気量補正値演算部(図42)>
本演算部では、気筒別吸気量補正値(Tp_hos_n)を演算する。具体的には、図42に示されるように、気筒番号nがCyl_hosの吸気量補正値(Tp_hos_n)を下記のように演算する。
・Dir_hos_A=−1のとき、Tp_hos_a_n=Tp_hos_n(前回値)−Tp_hos_0とする。
・Dir_hos_A=0のとき、Tp_hos_a_n=Tp_hos_n(前回値)とする。
・気筒番号がCyl_hos以外のTp_hos_a_nは、Tp_hos_nの前回値を維持する。すなわち、T
p_hos_a_n=Tp_hos_n(前回値)とする。
・Tp_hos_nから、テーブル(Tbl_IVO_hos_n)を参照して、気筒別吸気弁開時期補正値
(IVO_hos_n)を演算する。
・Tp_hos_nから、テーブル(Tbl_IVC_hos_n)を参照して、気筒別吸気弁閉時期補正値
(IVC_hos_n)を演算する。
・Tp_hos_n(前回値)の全気筒分の平均値をM_Tp_hosとし、Tp_hos_a_nからM_Tp_hosを
引いた値をTp_hos_nとする。本処理は、ドリフト分の補正にあたる。
【0098】
なお、吸気量増量側更新値(Tp_hos_1)は、M_omega_Cyl_hosからテーブル(Tbl_Tp_hos1)を参照した値とする。また、吸気量減量側更新値(Tp_hos_0)は、M_omega_Cyl_hosからテーブル(Tbl_Tp_hos0)を参照した値とする。テーブルの設定値は、角加速度の平均値の大きさ(低減量、増大量)に対して、1回の更新で、どの程度、吸気量を補正するかで決める。また、テーブル(Tbl_IVO_hos_n)およびテーブル(Tbl_IVC_hos_n)の値は、吸気量補正値に対して、吸気弁の開時期と閉時期をどの程度補正するかで決める。エンジンの運転条件(回転速度,吸気圧)なども参照して決めるのも良い。
【0099】
<点火時期補正値演算部(図43)>
本演算部では、気筒別点火時期補正値(S_hos_n)を演算する。具体的には、図43に示されるように、気筒番号nがCyl_hosの点火時期補正値(S_hos_n)を下記のように演算する。
・Dir_hos_S=1のとき、S_hos_a_n=S_hos_n(前回値)+S_hos_1とする。
・Dir_hos_S=−1のとき、S_hos_a_n=S_hos_n(前回値)−S_hos_0とする。
・Dir_hos_S=0のとき、S_hos_a_n=S_hos_n(前回値)とする。
・気筒番号がCyl_hos以外のS_hos_a_nは、S_hos_nの前回値を維持する。すなわち、S_h
os_a_n=S_hos_n(前回値)とする。
・S_hos_n(前回値)の全気筒分の平均値をM_S_hosとし、S_hos_a_nからM_S_hosを引い
た値をS_hos_nとする。本処理は、ドリフト分の補正にあたる。
【符号の説明】
【0100】
1 エアクリーナ
2 エアフロセンサ
3 電子スロットル
4 吸気マニホールド
5 コレクタ
6 アクセル
7 燃料噴射弁
8 点火プラグ
9 エンジン
10 排気マニホールド
11 三元触媒
12 A/Fセンサ
13 アクセル開度センサ
14 水温センサ
15 エンジン回転数センサ
16 コントロールユニット
17 スロットル開度センサ
18 排気還流管
19 排気還流量調節バルブ
20 触媒下流O2センサ
21 コントロールユニット内に実装されるCPU
22 コントロールユニット内に実装されるROM
23 コントロールユニット内に実装されるRAM
24 コントロールユニット内に実装される各種センサの入力回路
25 各種センサ信号の入力、アクチュエータ動作信号を出力するポート
26 点火プラグに適切なタイミングで駆動信号を出力する点火出力回路
27 燃料噴射弁に適切なパルスを出力する燃料噴射弁駆動回路
28 電子スロットル駆動回路
29 吸気温センサ
30 吸気動弁
31 車速センサ
32 吸気動弁駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気筒毎の角加速度の平均値を演算する手段と、
気筒毎の角加速度のばらつき度を演算する手段と、
前記気筒毎の角加速度の平均値もしくは/および
前記気筒毎の角加速度のばらつき度とに基づいて、
気筒毎のトルクおよび気筒毎の空燃比を推定する手段と、
前記気筒毎の推定トルクおよび前記気筒毎の推定空燃比に基づいて、
気筒毎の吸気量もしくは/および気筒毎の燃料噴射量もしくは/および気筒毎の点火時期を制御する手段を備える。
【請求項2】
請求項1において、
前記気筒毎の推定トルクおよび前記気筒毎の推定空燃比に基づいて、
気筒間のトルクおよび気筒間の空燃比の誤差が小さくなるように、
気筒毎の吸気量もしくは/および気筒毎の燃料噴射量
もしくは/および気筒毎の点火時期を制御する手段を備える。
【請求項3】
請求項1,2において、
前記気筒毎のトルクおよび空燃比を推定する手段は、
前記角加速度の平均値が最小である気筒を特定し、
当該気筒の角加速度の平均値が所定値A1以下かつ
当該気筒の角加速度のばらつき度が所定値B1より小さいとき、
当該気筒のトルクは、その他の気筒のトルクと比較してもっとも小さいとし、
当該気筒の空燃比は、その他の気筒の空燃比と比較して差はないと判断する
ことを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項4】
請求項1,2において、
前記気筒毎のトルクおよび空燃比を推定する手段は、
前記角加速度の平均値が最小である気筒を特定し、
当該気筒の角加速度の平均値が所定値A1以下かつ
当該気筒の角加速度のばらつき度が所定値B1以上のとき、
当該気筒のトルクは、その他の気筒のトルクと比較してもっとも小さいとし、
当該気筒の空燃比は、その他の気筒の空燃比と比較してリーンと判断する
ことを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項5】
請求項1,2において、
前記気筒毎のトルクおよび空燃比を推定する手段は、
前記角加速度の平均値が最大である気筒を特定し、
当該気筒の角加速度の平均値が所定値A2以上かつ
当該気筒の角加速度のばらつき度が所定値B1より小さいとき、
当該気筒のトルクは、その他の気筒のトルクと比較してもっとも大きいとし、
当該気筒の空燃比は、その他の気筒の空燃比と比較して差はないもしくはリッチと判断する
ことを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項6】
請求項1,2において、
前記気筒毎のトルクおよび空燃比を推定する手段は、
前記角加速度のばらつき度が最大である気筒を特定し、
当該気筒の角加速度の平均値が所定値A1より大きくかつ所定値A2より小さくかつ
当該気筒の角加速度のばらつき度が所定値B1以上のとき、
当該気筒のトルクは、その他の気筒のトルクと比較して差はないとし、
当該気筒の空燃比は、その他の気筒の空燃比と比較してリーンと判断する
ことを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項7】
請求項3,4,6において、
前記所定値A1は、前記所定期間における全気筒の角加速度の平均値より小さい値とする
ことを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項8】
請求項5において、
前記所定値A2は、前記所定期間における全気筒の角加速度の平均値より大きい値とする
ことを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項9】
請求項3〜6において、
エンジンがアイドル運転を実施しているときは、
前記所定値A1は、負の値とし、
前記所定値A2は、正の値とする
ことを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項10】
請求項1〜9において、
前記気筒毎の角加速度のばらつき度は、
前記気筒毎の角加速度の標準偏差もしくは分散とする
ことを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項11】
請求項1〜9において、
前記気筒毎の角加速度のばらつき度は、
前記気筒毎の角加速度の絶対値の二乗に対して重み付き移動平均処理をした値
もしくは
前記気筒毎の角加速度の絶対値に対して重み付き移動平均処理した値とする
ことを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項12】
請求項3において、
前記「その他の気筒のトルクと比較してもっとも小さく、
その他の気筒の空燃比と比較して差はないと判断した気筒」の
角加速度の平均値が所定値A1より大きくなるまで、
当該気筒の吸気量を増量補正し、前記増量した吸気量に応じて、当該気筒の空燃比を維持するべく当該気筒の燃料噴射量も増量補正する
ことを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項13】
請求項4において、
前記「その他の気筒のトルクと比較してもっとも小さく、
その他の気筒の空燃比と比較してリーンと判断した気筒」の
角加速度の平均値が所定値A1より大きくなり、かつ
角加速度のばらつき度が所定値B1より小さくなるまで
当該気筒の燃料噴射量を増量補正する
ことを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項14】
請求項5において、
前記「その他の気筒のトルクと比較してもっとも大きいとし、
その他の気筒の空燃比と比較して差はないもしくはリッチと判断した気筒」の
角加速度の平均値が所定値A2より小さくなるまで、
当該気筒の燃料噴射量を減量補正する
ことを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項15】
請求項6において、
前記「その他の気筒のトルクと比較して差はないとし、
その他の気筒の空燃比と比較してもっともリーンと判断した気筒」の
角加速度のばらつき度が所定値B1より小さくなるまで
当該気筒の吸気量を減量補正する
ことを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項16】
請求項3において、
前記「その他の気筒のトルクと比較してもっとも小さく、
その他の気筒の空燃比と比較して差はないと判断した気筒」の
角加速度の平均値が所定値A1より大きくなるまで、
当該気筒の点火時期を進角側に補正する
ことを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項17】
請求項5において、
前記「その他の気筒のトルクと比較してもっとも大きいとし、
その他の気筒の空燃比と比較して差はないもしくはリッチと判断した気筒」の
角加速度の平均値が所定値A2より小さくなるまで、
当該気筒の点火時期を遅角側に補正する
ことを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項18】
請求項1,2において、
前記角加速度の平均値が最小である気筒を優先的に検出し、
当該気筒の角加速度の平均値が所定値A1以下かつ
当該気筒の角加速度のばらつき度が所定値B1以上のとき、
角加速度の平均値が所定値A1より大きくなり、かつ
角加速度のばらつき度が所定値B1より小さくなるまで
当該気筒の燃料噴射量を優先的に増量補正する
ことを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項19】
請求項12〜14,18において、
全気筒の燃料噴射量補正量の平均値を演算し、
各気筒の燃料噴射量補正量から前記平均値を引いた値を
最終的な各気筒の燃料噴射量補正量とする
ことを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項20】
請求項12,15において、
全気筒の吸気量補正量の平均値を演算し、
各気筒の吸気量補正量から前記平均値を引いた値を
最終的な各気筒の吸気量補正量とする
ことを特徴とするエンジンの制御装置。
【請求項21】
請求項16,17において、
全気筒の点火時期補正量の平均値を演算し、
各気筒の点火時期補正量から前記平均値を引いた値を
最終的な各気筒の点火時期補正量とする
ことを特徴とするエンジンの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【公開番号】特開2011−94541(P2011−94541A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249641(P2009−249641)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】