エンジン制御装置およびエンジン制御方法
【課題】誤判定を防止しつつ再始動失敗を迅速に判定し、運転者に違和感を与えることなく再始動を再開することができるエンジン制御装置およびエンジン制御方法を得る。
【解決手段】再始動条件の成立後におけるエンジンの初回点火によるエンジン回転数の上昇量を演算するエンジン回転数上昇量演算部38と、エンジン回転数の上昇量に基づいて、再始動失敗判定閾値を設定する始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部39と、再始動条件の成立後におけるエンジンの初回点火タイミングからのクランク角変化量が、エンジンが完爆したと判定されていないにも関わらず、再始動失敗判定閾値よりも大きくなった場合に、再始動失敗と判定し、エンジンの再始動を中止して、所定時間経過後にエンジンの再始動を再開する再始動失敗判定部40とを備える。
【解決手段】再始動条件の成立後におけるエンジンの初回点火によるエンジン回転数の上昇量を演算するエンジン回転数上昇量演算部38と、エンジン回転数の上昇量に基づいて、再始動失敗判定閾値を設定する始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部39と、再始動条件の成立後におけるエンジンの初回点火タイミングからのクランク角変化量が、エンジンが完爆したと判定されていないにも関わらず、再始動失敗判定閾値よりも大きくなった場合に、再始動失敗と判定し、エンジンの再始動を中止して、所定時間経過後にエンジンの再始動を再開する再始動失敗判定部40とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所定のエンジン自動停止条件の成立によりエンジンを自動停止させ、その後再始動条件の成立によりエンジンを再始動させるエンジン自動停止再始動装置を備えたエンジン制御装置およびエンジン制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の燃費改善や環境負荷低減等を目的として、エンジン自動停止再始動システムが開発されてきた。エンジン自動停止再始動システムでは、運転者の操作によりエンジン停止するための所定の条件(例えば、所定車速以下でのブレーキオン操作)が満たされると、自動で燃料カットをしてエンジンが自動停止され、運転者の操作により再始動するための所定の条件(例えば、ブレーキ解除操作、アクセル踏み込み操作等)が満たされると、燃料噴射を再開してエンジンが自動的に再始動される。
【0003】
ここで、エンジン自動再始動時に、燃焼不良等の正常再始動を妨げる現象が発生し、再始動に失敗した場合には、再始動に失敗したことを迅速に判定し、再始動を再開することによって、運転者が感じる違和感(再始動遅れ感)を抑制する必要がある。
【0004】
なお、再始動の失敗または再始動時の燃焼異常を迅速に判定することができなければ、その後の再始動の再開も迅速に行うことができなくなるので、再始動失敗の判定タイミングを、誤判定を防止しつつ早期化させることが重要である。
【0005】
そこで、従来のエンジンの始動制御装置は、再始動動作開始から、規定サイクル数内にエンジンが完爆状態に至らなかった場合に、再始動失敗であると判定している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4506398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
図15は、特許文献1に示した従来のエンジンの始動制御装置の動作および課題を説明するイメージ図である。図15において、横軸は時間を示し、縦軸はエンジン回転数を示しており、また、実線は正常再始動時のエンジン回転挙動を示し、破線は再始動失敗時のエンジン回転挙動を示している。
【0008】
図15より、再始動動作開始タイミングt1からエンジン完爆状態となるタイミングt2までのサイクル数は、再始動時の燃焼状態に伴うエンジン回転数の上昇量によって変動する。そのため、エンジン回転数の上昇量が小さい場合には、エンジン完爆状態に至るまでのサイクル数が多くなる。
【0009】
したがって、再始動失敗判定閾値(規定サイクル数)は、このことを考慮して余裕を持った値とし、再始動失敗の誤判定を防止する必要がある。そこで、特許文献1に示した従来のエンジンの始動制御装置では、再始動失敗判定閾値を、エンジン完爆状態となるタイミングt2から余裕を持ったタイミングt3に相当する値に設定している。
【0010】
ここで、再始動失敗時のエンジン回転挙動(破線参照)で示されるように、再始動時の燃焼状態が悪く、再始動後にタイミングt4で再始動失敗した場合、本来はもっと早いタイミングで再始動失敗の判定ができるにも関わらず、サイクル数が再始動失敗判定閾値(すなわち、タイミングt3に相当する値)となるまでは、再始動失敗の判定ができないという問題がある。また、これに伴って、再始動を再開するまでのタイムラグが大きくなり、運転者に違和感を与えるという問題もある。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、再始動時の燃焼状態に応じて設定された再始動失敗判定閾値に基づいて再始動失敗を判定することにより、誤判定を防止しつつ再始動失敗を迅速に判定し、再始動失敗を判定した場合には、運転者に違和感(再始動遅れ感)を与えることなく再始動を再開することができるエンジン制御装置およびエンジン制御方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係るエンジン制御装置は、エンジン自動停止条件の成立によりエンジンを自動停止させ、その後再始動条件の成立によりエンジンを再始動させるエンジン自動停止再始動装置を備えたエンジン制御装置であって、エンジンのクランク軸のクランク角を検出するクランク角センサと、クランク角に基づいて、エンジン回転数を演算するエンジン回転数演算部と、クランク角に基づいて、クランク角変化量を演算するクランク角変化量演算部と、再始動条件の成立後、エンジン回転数が、あらかじめ設定された所定回転数よりも高くなった場合に、エンジンが完爆したと判定するエンジン完爆判定部と、再始動条件の成立後におけるエンジンの初回点火によるエンジン回転数の上昇量を演算するエンジン回転数上昇量演算部と、エンジン回転数の上昇量に基づいて、再始動失敗判定閾値を設定する始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部と、再始動条件の成立後におけるエンジンの初回点火タイミングからのクランク角変化量が、エンジンが完爆したと判定されていないにも関わらず、再始動失敗判定閾値よりも大きくなった場合に、再始動失敗と判定し、エンジンの再始動を中止して、所定時間経過後にエンジンの再始動を再開する再始動失敗判定部と、を備えたものである。
【0013】
また、この発明に係るエンジン自動停止再始動方法は、エンジン自動停止条件の成立によりエンジンを自動停止させ、その後再始動条件の成立によりエンジンを再始動させるエンジン制御方法であって、エンジンのクランク軸のクランク角を検出するクランク角検出ステップと、クランク角に基づいて、エンジン回転数を演算するエンジン回転数演算ステップと、クランク角に基づいて、クランク角変化量を演算するクランク角変化量演算ステップと、再始動条件の成立後、エンジン回転数が、あらかじめ設定された所定回転数よりも高くなった場合に、エンジンが完爆したと判定するエンジン完爆判定ステップと、再始動条件の成立後におけるエンジンの初回点火によるエンジン回転数の上昇量を演算するエンジン回転数上昇量演算ステップと、エンジン回転数の上昇量に基づいて、再始動失敗判定閾値を設定する始動失敗判定クランク角変化量判定値設定ステップと、再始動条件の成立後におけるエンジンの初回点火タイミングからのクランク角変化量が、エンジンが完爆したと判定されていないにも関わらず、再始動失敗判定閾値よりも大きくなった場合に、再始動失敗と判定し、エンジンの再始動を中止して、所定時間経過後にエンジンの再始動を再開する再始動失敗判定ステップと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係るエンジン制御装置およびエンジン制御方法によれば、エンジン回転数上昇量演算部(ステップ)は、再始動条件の成立後におけるエンジンの初回点火によるエンジン回転数の上昇量を演算し、始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部(ステップ)は、演算されたエンジン回転数の上昇量に基づいて、再始動失敗判定閾値を設定し、再始動失敗判定部(ステップ)は、再始動条件の成立後におけるエンジンの初回点火タイミングからのクランク角変化量が、エンジンが完爆したと判定されていないにも関わらず、再始動失敗判定閾値よりも大きくなった場合に、再始動失敗と判定し、エンジンの再始動を中止して、所定時間経過後にエンジンの再始動を再開する。
そのため、再始動時の燃焼状態に応じて設定された再始動失敗判定閾値に基づいて再始動失敗を判定することにより、誤判定を防止しつつ再始動失敗を迅速に判定し、再始動失敗を判定した場合には、運転者に違和感(再始動遅れ感)を与えることなく再始動を再開することができるエンジン制御装置およびエンジン制御方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のエンジン自動停止再始動装置におけるスタータの一部破断正面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置におけるエンジンECUの概略構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置における燃料カット制御ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置におけるエンジン再始動制御ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のエンジン自動停止再始動制御における燃料噴射制御および点火制御を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置におけるエンジン再始動失敗判定ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【図8】(a)、(b)は、この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のエンジン自動停止再始動制御において、エンジン再始動時の燃焼状態が比較的良好である場合と、あまり良好でない場合とにおける再始動失敗判定したときの判定タイミングの差異を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のエンジン自動停止再始動制御における始動失敗判定クランク角変化量判定値を設定する制御マップを示す説明図である。
【図10】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のエンジン自動停止再始動制御におけるバッテリ電圧補正係数を設定する制御マップを示す説明図である。
【図11】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のエンジン自動停止再始動制御における吸気管圧力補正係数を設定する制御マップを示す説明図である。
【図12】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のエンジン自動停止再始動制御における動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図13】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のエンジン自動停止再始動制御における動作の一例を示す別のタイミングチャートである。
【図14】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のエンジン自動停止再始動制御における動作の一例を示すさらに別のタイミングチャートである。
【図15】従来のエンジンの始動制御装置の動作および課題を説明するイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明に係るエンジン制御装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
【0017】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置の概略構成を示すブロック図である。また、図2は、この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のエンジン自動停止再始動装置におけるスタータの一部破断正面図である。
【0018】
図1において、エンジンECU10には、車速センサ11、アクセル開度センサ12、バッテリ電圧センサ13、吸気管圧力センサ14、ブレーキ部15、並びにエンジン自動停止再始動装置20のクランク角センサ21およびコントローラ22が接続されている。
【0019】
車速センサ11は、車両の速度を検出して、その検出値に応じた信号(以下、「車速信号」と称する)を出力する。アクセル開度センサ12は、アクセル開度を検出して、その検出値に応じた信号(以下、「アクセル開度信号」と称する)を出力する。バッテリ電圧センサ13は、バッテリ電圧を検出して、その検出値に応じた信号(以下、「バッテリ電圧信号」と称する)を出力する。
【0020】
吸気管圧力センサ14は、エンジンの吸気管圧力を検出して、その検出値に応じた信号(以下、「吸気管圧力信号」と称する)を出力する。ブレーキ部15は、ブレーキの動作状態をブレーキ信号として出力する。クランク角センサ21は、燃料の噴射タイミングおよび点火タイミングを決定するためのクランク角を検出して、その検出値に応じた信号(以下、「クランク角信号」と称する)を出力する。
【0021】
エンジンECU10は、これらのセンサおよびブレーキ部15からの信号に基づいて、エンジン自動停止またはエンジン再始動を判断して、エンジン自動停止再始動装置20のコントローラ22に駆動指令を出力するとともに、エンジンへの燃料噴射および点火を制御する。
【0022】
続いて、図1とともに、図2を参照しながら、エンジン自動停止再始動装置20の構成および動作について説明する。図1、2において、エンジン自動停止再始動装置20は、クランク角センサ21と、コントローラ22と、リングギア23と、スタータ24とを備えている。リングギア23は、エンジンのクランク軸(図示せず)に連結されている。コントローラ22は、エンジンECU10からの駆動指令を受けてスタータ24の駆動、具体的には、ソレノイド241への通電を制御する。
【0023】
ソレノイド241への通電により、プランジャ242が吸引され、レバー243を介してピニオンギア244が移動されることで、ピニオンギア244がリングギア23と噛み合わされる。また、プランジャ242の移動により接点が閉じられ、スタータモータ245へと通電され、ピニオンギア244が回転されて、リングギア23がピニオンギア244と噛み合った状態で、駆動力がエンジンに伝達される。また、ワンウェイクラッチ246は、スタータモータ245の出力軸に連結され、リングギア23からトルクが入力された場合には空転する。
【0024】
図3は、この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置におけるエンジンECUの概略構成を示すブロック図である。図3において、エンジンECU10は、エンジン自動停止判定部31、エンジン再始動判定部32、エンジン回転数演算部33、クランク角変化量演算部34、燃料噴射制御部35、点火制御部36、エンジン完爆判定部37、エンジン回転数上昇量演算部38、始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部39および再始動失敗判定部40を有している。
【0025】
エンジン自動停止判定部31は、ブレーキ部15からのブレーキ信号および車速センサ11からの車速信号に基づいて、エンジン自動停止条件(例えば、車速5km/h以下かつ運転者がブレーキを踏んでいる等の条件)が成立しているか否かを判定する。
【0026】
エンジン再始動判定部32は、ブレーキ部15からのブレーキ信号およびアクセル開度センサ12からのアクセル開度信号に基づいて、エンジン再始動条件(例えば、運転者がブレーキを開放し、アクセルペダルを踏んでいる等の条件)が成立しているか否かを判定する。
【0027】
エンジン回転数演算部33は、クランク角センサ21からのクランク角信号に基づいて、エンジン回転数を演算し、その演算値に応じた信号(以下、「エンジン回転数信号」と称する)を出力する。
【0028】
クランク角変化量演算部34は、クランク角センサ21からのクランク角信号に基づいて、クランク角変化量を演算し、その演算値に応じた信号(以下、「クランク角変化量信号」と称する)を出力する。
【0029】
燃料噴射制御部35は、エンジン自動停止判定部31およびエンジン再始動判定部32の判定結果、並びに再始動失敗判定部40からの指示に基づいて、燃料噴射を制御する。
【0030】
点火制御部36は、エンジン自動停止判定部31およびエンジン再始動判定部32の判定結果、並びに再始動失敗判定部40からの指示に基づいて、点火を制御する。
【0031】
エンジン完爆判定部37は、エンジン回転数演算部33からのエンジン回転数信号が、あらかじめ設定された所定回転数よりも高くなった場合に、エンジンが完爆したと判定する。
【0032】
エンジン回転数上昇量演算部38は、エンジンの初回点火によるエンジン回転数の上昇量を演算し、その演算値に応じた信号(以下、「エンジン回転数上昇量信号」と称する)を出力する。
【0033】
始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部39は、再始動要求時のバッテリ電圧センサ13からのバッテリ電圧信号、吸気管圧力センサ14からの吸気管圧力信号およびエンジン回転数上昇量演算部38からのエンジン回転数上昇量信号に基づいて、始動失敗判定クランク角変化量判定値(再始動失敗判定閾値)を設定する。
【0034】
再始動失敗判定部40は、エンジン自動停止後にエンジン再始動条件が成立し、点火制御部36により初回点火されたタイミングからのクランク角変化量が、エンジン完爆判定されていないにも関わらず、始動失敗判定クランク角変化量判定値よりも大きくなった場合に、再始動失敗と判定し、燃料噴射および点火の中止を指示するとともに、コントローラ22へソレノイド241への通電中止を指示する。
【0035】
また、再始動失敗判定部40は、あらかじめ設定された所定時間経過後に、燃料噴射および点火の再開を指示するとともに、コントローラ22へソレノイド241への通電実施を指示する。
【0036】
以下、この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置の動作について説明する。
なお、通常、ピニオンギア244は、リングギア23に比して歯数が少ないが、簡単のため、この実施の形態1では、ピニオンギア回転数およびエンジン回転数は、ピニオンギア244とリングギア23との歯数比を考慮して、リングギア23での回転数に換算したものを用いる。
【0037】
図4は、この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置における燃料カット制御ルーチンの流れを示すフローチャートである。
まず、エンジン自動停止判定部31は、車速が所定値以下であるか否かを判定する(ステップS101)。
【0038】
ステップS101において、車速が所定値以下である(すなわち、Yes)と判定された場合には、エンジン自動停止判定部31は、エンジン自動停止後の経験車速が所定値よりも大きいか否かを判定する(ステップS102)。
【0039】
この経験車速という条件は、例えば渋滞において、クリープ走行→エンジン自動停止→エンジン自動再始動→クリープ走行→エンジン自動再始動のような走行パターンを繰り返すこと等により、バッテリに不適当な消耗を生じることなくエンジンの自動停止および自動再始動を実施するための前提条件である。この経験車速は、渋滞から抜け出し、クリープ走行状態からアクセルを踏む通常走行に移行したと判断できる車速(例えば、10km/h)が所定値として設定される。
【0040】
ステップS102において、エンジン自動停止後の経験車速が所定値よりも大きい(すなわち、Yes)と判定された場合には、エンジン自動停止判定部31は、ブレーキ信号がオンであるか否か、すなわち運転者がブレーキペダルを踏んでいるか否かを判定する(ステップS103)。
【0041】
ステップS103において、ブレーキ信号がオンである(すなわち、Yes)と判定された場合には、エンジン自動停止判定部31は、エンジン自動停止条件が成立したとして、エンジン自動停止制御を開始する(ステップS104)。
【0042】
このとき、エンジン自動停止判定部31は、燃料噴射制御によりエンジンへの燃料供給を停止させ、さらに点火制御によりエンジンへの点火を停止させる。
続いて、エンジン自動停止判定部31は、エンジンが停止状態であると判断し、エンジン自動停止中フラグを1にセットする(ステップS105)。
【0043】
次に、エンジン再始動判定部32は、エンジン停止後または惰性回転によりエンジン回転数が低下する間に、エンジンECU10へのアクセル開度センサ12からのアクセル開度信号やブレーキ部15からのブレーキ信号に応じて、エンジン再始動条件(例えば、運転者がブレーキペダルから足を離す等)が成立しているか否かを判定する(ステップS106)。
【0044】
ステップS106において、エンジン再始動条件が成立している(すなわち、Yes)と判定された場合には、図5に示すエンジン再始動制御ルーチンにジャンプして(ステップS107)、図4の処理を終了する。
【0045】
一方、ステップS106において、エンジン再始動条件が成立していない(すなわち、No)と判定された場合には、そのまま図4の処理を終了する。
また、エンジン再始動条件の成立を判定した場合には、エンジンの再始動が完了したと判定されるまで、成立判定が継続される。
【0046】
また、ステップS101において、車速が所定値よりも大きい(すなわち、No)と判定された場合、ステップS102において、エンジン自動停止後の経験車速が所定値以下である(すなわち、No)と判定された場合、およびステップS103において、ブレーキ信号がオンでない(すなわち、No)と判定された場合には、エンジン自動停止判定部31は、エンジン自動停止中フラグが1であるか否かを判定する(ステップS108)。
【0047】
ステップS108において、エンジン自動停止中フラグが1である(すなわち、Yes)と判定された場合には、ステップS106に移行する。
一方、ステップS108において、エンジン自動停止中フラグが0である(すなわち、No)と判定された場合には、エンジン自動停止中でないと判断し、図4の処理を終了する。
【0048】
図5は、この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置におけるエンジン再始動制御ルーチンの流れを示すフローチャートである。
まず、エンジン再始動判定部32は、エンジン回転数Nrが、ピニオンギア244とリングギア23とを噛合可能な所定回転数Nengage(例えば、80rpm)よりも小さいか否かを判定する(ステップS201)。
【0049】
ステップS201において、エンジン回転数Nrが、ピニオンギア244とリングギア23とを噛合可能な所定回転数Nengageよりも小さい(すなわち、Yes)と判定された場合には、エンジン再始動判定部32は、ピニオンギア244とリングギア23との噛合が可能であると判断し、後述する燃料噴射&点火中止フラグが0であるか否かを判定する(ステップS202)。
【0050】
一方、ステップS201において、エンジン回転数Nrが、ピニオンギア244とリングギア23とを噛合可能な所定回転数Nengage以上である(すなわち、No)と判定された場合には、ピニオンギア244とリングギア23との噛合が不可能であると判断し、図5の処理を終了して燃料カット制御ルーチンへと戻る。
【0051】
ステップS202において、燃料噴射&点火中止フラグが0である(すなわち、Yes)と判定された場合には、エンジン再始動判定部32は、ソレノイド241への通電をオンにする(ステップS203)。
【0052】
このとき、ソレノイド241とプランジャ242との間には、吸引力が発生するので、プランジャ242が軸方向に移動し、これによりレバー243を介してピニオンギア244が軸方向に移動し、ピニオンギア244とリングギア23とが噛合を開始し、さらにプランジャ242の移動によって接点が閉じ、スタータモータ245に通電される。
【0053】
続いて、エンジン再始動判定部32は、燃料噴射および点火を実施する(ステップS204)。
【0054】
一方、ステップS202において、燃料噴射&点火中止フラグが1である(すなわち、No)と判定された場合には、エンジン再始動判定部32は、ソレノイド241への通電をオフにする(ステップS205)。
次に、エンジン再始動判定部32は、燃料噴射および点火を中止する(ステップS206)。
【0055】
続いて、エンジン再始動判定部32は、エンジンが再始動未完了か否かを判定する(ステップS207)。ここで、エンジンの再始動が完了したか未完了かは、エンジン再始動条件成立後のエンジン回転数Nrが、所定値(例えば、500rpm)よりも大きい場合にエンジンの再始動が完了したと判定し、所定値以下の場合にエンジンの再始動が未完了であると判定する。
【0056】
ステップS207において、エンジンが再始動未完了である(すなわち、Yes)と判定された場合には、図7に示す再始動失敗判定ルーチンにジャンプする(ステップS208)。
次に、エンジン再始動判定部32は、後述する再始動失敗判定フラグが0であるか否かを判定する(ステップS209)。
【0057】
ステップS209において、再始動失敗判定フラグが0である(すなわち、Yes)と判定された場合には、エンジン再始動判定部32は、燃料噴射&点火中断フラグを0にリセットし(ステップS210)、図5の処理を終了して燃料カット制御ルーチンへと戻る。
【0058】
一方、ステップS209において、再始動失敗判定フラグが1である(すなわち、No)と判定された場合には、エンジン再始動判定部32は、燃料噴射&点火中断フラグを1にセットし(ステップS211)、図5の処理を終了して燃料カット制御ルーチンへと戻る。
【0059】
また、ステップS207において、エンジンの再始動が完了した(すなわち、No)と判定された場合には、エンジン再始動判定部32は、ソレノイド241への通電をオフにし(ステップS212)、エンジン自動停止中フラグを0にリセットし(ステップS213)、図5の処理を終了して燃料カット制御ルーチンへと戻る。
【0060】
ここで、図8を参照しながら、この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のエンジン自動停止再始動制御における燃料噴射制御および点火制御について説明する。図8は、4気筒エンジンの燃料噴射タイミングおよび点火タイミングを表しており、エンジン自動停止中は中断される。
【0061】
エンジン再始動条件が成立した後は、燃料噴射に関しては、ソレノイド通電オンと同時に、所定の複数気筒(例えば、吸気行程にある気筒および排気行程にある気筒)に燃料噴射を実施する(図8のタイミングA)。その後は、所定のタイミング、例えば爆発行程中のクランク角B05℃A毎に燃料噴射を実施する(図8の網掛け部分)。
【0062】
また、点火に関しては、上述したソレノイド通電オンと同時に所定の複数気筒に噴射され、再始動時に最初に燃焼させることができる気筒の燃料(図8では、タイミングAで吸気行程となる#1気筒に噴射された燃料)を燃焼させる初回点火タイミングから点火を再開する。具体的には、図8の実線矢印を初回点火タイミングとした圧縮行程中のクランク角B05℃A毎で点火が再開される。なお、初回以降の点火タイミングは破線で表示している。
【0063】
図7は、この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置におけるエンジン再始動失敗判定ルーチンの流れを示すフローチャートである。
まず、クランク角変化量演算部34は、エンジン再始動条件成立後の初回点火タイミングからのクランク角変化量を演算する(ステップS301)。
【0064】
続いて、エンジン回転数上昇量演算部38は、エンジンの初回点火によるエンジン回転数の上昇量(以下、「エンジン回転数上昇量」と称する)を演算する(ステップS302)。
【0065】
次に、始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部39は、初回点火時のエンジン回転数上昇量に基づいて、始動失敗判定クランク角変化量判定値を算出する(ステップS303)。
【0066】
図8は、(a)、(b)は、この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のエンジン自動停止再始動制御において、エンジン再始動時の燃焼状態が比較的良好である場合と、あまり良好でない場合とにおける再始動失敗判定したときの判定タイミングの差異を示す説明図である。
【0067】
図8において、初回点火時のエンジン回転数上昇量が小さく、燃焼が良好ではなく、再始動失敗に至る可能性が高いと判断できる場合には、始動失敗判定クランク角変化量判定値を、初回点火時のエンジン回転数上昇量が比較的大きく、燃焼が比較的良好である場合の値(図8のA参照)よりも小さい値(図8のB参照)に設定することで、始動失敗判定の基準を厳しくする。これにより、再始動時の燃焼状態があまり良好ではない場合には、燃焼状態が比較的良好である場合よりも、早期に再始動失敗を判定できるようになる(図8のC参照)。
【0068】
具体的には、始動失敗判定クランク角変化量判定値は、図9の制御マップに示されるように、X軸をエンジン回転数上昇量、Y軸を始動失敗判定クランク角変化量判定値としたマップにより設定される。この制御マップの値は、車両にて、正常再始動時および再始動失敗時等の様々な再始動ケースにおける初回点火時のエンジン回転数上昇量および初回点火タイミングから、エンジン完爆判定回転数(500rpm)に到達するまでのクランク角変化量等のデータを取得し、始動失敗の判定遅れおよび誤判定なく、再始動失敗を判定できるような最適な値を導出すればよい。
【0069】
また、この制御マップにおいて、エンジン回転数上昇量が所定上昇量よりも小さい領域では、始動失敗判定開始直後に始動を失敗したと判定するように、始動失敗判定クランク角変化量判定値を、エンジン回転数の上昇が、あらかじめ設定された所定上昇量以上の場合と比べて大幅に小さく(例えば、ゼロ付近に)する。これは、エンジン回転数上昇量が明らかに再始動失敗に至るような小さな上昇量であった場合に、即座に再始動失敗を判定することを目的としている。また、所定上昇量は、50rpm程度とし、車両で実際に始動失敗したときの結果から実験的に求めることができる。
【0070】
図7に戻って、続いて、始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部39は、エンジン再始動時におけるバッテリ電圧および吸気管圧力に応じて補正係数を算出し、この補正係数を、ステップS303で算出した始動失敗判定クランク角変化量判定値に乗ずることにより、始動失敗判定クランク角変化量補正判定値を算出する(ステップS304)。
【0071】
具体的には、エンジンの再始動時には、再始動時のスタータ駆動力が再始動の成功可否に大きく影響するので、バッテリ電圧が低く(スタータ駆動力が小さく)なるに従い、図10に示されるように、補正係数をマイナス補正側とすることにより、始動失敗判定の基準を厳しくし、始動失敗の判定タイミングを早期化する。
【0072】
また、エンジンの再始動には、再始動時の吸気管圧力が再始動の成功可否に大きく影響するので、吸気管圧力が低く(空気量が少なく)なるに従い、図11に示されるように、補正係数をマイナス補正側とすることにより、始動失敗判定の基準を厳しくし、始動失敗の判定タイミングを早期化する。
【0073】
図7に戻って、次に、始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部39は、ステップS301で算出した初回点火タイミングからのクランク角変化量が、始動失敗判定クランク角変化量補正判定値よりも小さいか否かを判定する(ステップS305)。
【0074】
ステップS305において、クランク角変化量が始動失敗判定クランク角変化量補正判定値よりも小さい(すなわち、Yes)と判定された場合には、始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部39は、始動失敗していないと判断し、再始動失敗判定フラグを0にリセットし(ステップS306)、図7の処理を終了してエンジン再始動制御ルーチンへと戻る。
【0075】
一方、ステップS305において、クランク角変化量が始動失敗判定クランク角変化量補正判定値以上である(すなわち、No)と判定された場合には、始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部39は、始動失敗したと判断し、再始動失敗判定フラグを1にセットする(ステップS307)。
【0076】
続いて、始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部39は、ステップS307で再始動失敗判定フラグが0から1にセットされてからの経過時間を計測し、この経過時間があらかじめ設定された所定時間を経過したか否かを判定する(ステップS308)。ここで、所定時間は、再始動失敗後のエンジン回転が完全に停止する時間(100〜200ms程度)とする。
【0077】
ステップS308において、所定時間を経過した(すなわち、Yes)と判定された場合には、ステップS306に移行し、再始動失敗判定フラグを0にリセットしてから、図7の処理を終了してエンジン再始動制御ルーチンへと戻る。
【0078】
一方、ステップS308において、所定時間を経過していない(すなわち、No)と判定された場合には、そのまま図7の処理を終了してエンジン再始動制御ルーチンへと戻る。
【0079】
次に、図12、図13、図14のタイミングチャートを参照しながら、この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のエンジン自動停止再始動制御における動作の一例について説明する。図12〜14は、それぞれ車両走行状態からエンジン自動停止を実施し、エンジン再始動条件成立後にソレノイド241への通電をオンにし、エンジン再始動を行ったが、エンジン完爆判定に至らずに始動失敗し、その後再始動を再開した場合の動作を示したものである。
【0080】
図12〜14において、401はエンジン各気筒の燃料噴射タイミングを示し、402はエンジン各気筒の点火タイミングを示し、403はエンジン回転数の時間的推移を示している。
【0081】
404はエンジン自動停止中フラグであり、エンジン自動停止中である場合は、1にセットされ、再始動が完了した場合は、0にリセットされる。405はソレノイド241への通電状態を示しており、ソレノイド241に通電されている場合、すなわちスタータモータ245がオンしている場合は、1にセットされる。406はエンジン完爆判定フラグであり、再始動開始後のエンジン回転数が所定回転数(500rpm)以下の場合は、0にリセットされ、所定回転数(500rpm)よりも大きい場合は、1にセットされる。
【0082】
407は、再始動開始後の初回点火タイミングからのクランク角変化量(実線)と、エンジン回転数上昇量に応じて設定される始動失敗判定クランク角変化量判定値(破線)とを示している。408は再始動失敗判定フラグであり、再始動が失敗したと判定された場合には1にセットされ、再始動が失敗したと判定されていない場合、または再始動失敗フラグが1にセットされた時点から所定時間経過後に0にリセットされる。409は燃料噴射&点火中止フラグであり、再始動失敗判定フラグが1にセットされた時点で1にセットされ、再始動失敗判定フラグが0にリセットされた時点で0にリセットされる。
【0083】
まず、図12のタイミングチャートを参照しながら、再始動時の初回点火タイミングにおけるエンジン回転数上昇量は比較的大きい(燃焼が比較的良好)ものの、その後エンジン完爆判定に至らずに始動失敗した場合の動作の一例について説明する。
【0084】
図12において、まず、車両走行中にエンジン自動停止条件が成立した時刻t1において、エンジン自動停止中フラグ404が1にセットされる。続いて、エンジン再始動条件(例えば、運転者がブレーキペダルから足を離す等)が時刻t2で成立する。
【0085】
次に、エンジン回転数Nrが、ピニオンギア244とリングギア23とが噛合可能な所定回転数差Nengageよりも小さくなる時刻t3において、ソレノイド241への通電が開始され、ピニオンギア244とリングギア23とが噛合され、スタータモータ245が駆動を開始する。ここで、ソレノイド241への通電が開始されると同時に、所定の複数気筒に初回の燃料噴射が再開され、続いて、爆発行程中のクランク角B05℃A毎に燃料噴射が実施される。
【0086】
次に、時刻t3において噴射された初回噴射燃料を燃焼できるタイミングである時刻t4において、点火(初回点火)が開始され、続いて、圧縮行程中のクランク角B05℃A毎で点火が再開され、この初回点火タイミングからのクランク角変化量の演算が開始される。
【0087】
次に、時刻t5において、時刻t4の初回点火タイミングでの燃焼により発生したエンジン回転数の上昇量に応じて、始動失敗判定クランク角変化量判定値が設定される。ここで、本ケースのように、エンジン回転数上昇量が比較的大きい場合には、再始動が失敗する可能性は低いと推定し、再始動失敗の判定を緩和(始動失敗判定クランク角変化量判定値を、余裕を持った大きな値に)することにより、再始動失敗の誤判定を防止することができる。
【0088】
続いて、時刻t5から時刻t6では、エンジン回転数の上昇によりクランク角変化量が増大し、時刻t6において、始動失敗判定クランク角変化量判定値よりもクランク角変化量が大きくなるので、再始動失敗判定フラグが1にセットされ、燃料噴射&点火中止フラグが1にセットされ、ソレノイド241への通電がオフされる。燃料噴射&点火中止フラグが1にセットされることにより、燃料噴射および点火が中止される。
【0089】
このように、再始動が失敗する可能性が低いと推定された場合には、上述したように、再始動失敗の判定を緩和しているので、再始動失敗に至らないようなケースであるにも関わらず、再始動失敗と誤判定してしまうことを抑制することができる。
【0090】
次に、時刻t7では、再始動失敗フラグが1にセットされた時点(時刻t6)からの時間経過が所定時間を越えたので、再始動を再開するべくソレノイド241が通電されると同時に、所定の複数気筒に燃料噴射が実施される。
【0091】
続いて、図13のタイミングチャートを参照しながら、再始動時の初回点火タイミングにおけるエンジン回転数上昇量が小さい(燃焼が良好ではない)ので、その後エンジン完爆判定に至らずに始動失敗した場合の動作の一例について説明する。
なお、時刻t1から時刻t4までの動作は、図12のタイミングチャートと同じなので、説明を省略し、動作が異なる時刻t5以降について説明する。
【0092】
まず、再始動開始後に点火(初回点火)が開始され、圧縮行程中のクランク角B05℃A毎で点火が再開され、この初回点火タイミングからのクランク角変化量の演算が開始された後、時刻t5において、初回点火タイミングでの燃焼により発生したエンジン回転数の上昇量に応じて、始動失敗判定クランク角変化量判定値が設定される。ここで、本ケースのように、エンジン回転数上昇量が小さい場合には、再始動が失敗する可能性が高いと推定し、再始動失敗の判定を厳しく(始動失敗判定クランク角変化量判定値を小さな値に)する。
【0093】
続いて、時刻t5から時刻t6では、エンジン回転数の上昇によりクランク角変化量が増大し、時刻t6において、始動失敗判定クランク角変化量判定値よりもクランク角変化量が大きくなるので、再始動失敗判定フラグが1にセットされる。
【0094】
このとき、エンジン回転数上昇量が比較的大きい場合における始動失敗判定タイミング(図12の時刻t6)と比較すると、再始動失敗の判定が厳しく(始動失敗判定クランク角変化量判定値が小さな値に)され、再始動の失敗判定タイミングが早期化される。そのため、初回点火タイミングにおけるエンジン回転数上昇量が小さく(燃焼が良好ではなく)、再始動が失敗する可能性が高いと推定される場合において、再始動失敗の判定を早期化することができる。
【0095】
次に、時刻t7では、再始動失敗フラグが1にセットされた時点(時刻t6)からの時間経過が所定時間を越えたので、再始動を再開するべくソレノイド241が通電されると同時に、所定の複数気筒に燃料噴射が実施される。このとき、エンジン回転数上昇量が比較的大きい場合における再始動再開タイミング(図13の時刻t7)と比較すると、再始動の再開タイミングを早期化することができる。
【0096】
また、時刻t5において導出された始動失敗判定クランク角変化量判定値を、再始動時のバッテリ電圧に応じて再始動失敗の判定を厳しく(始動失敗判定クランク角変化量判定値を小さく)する方向に補正した始動失敗判定クランク角変化量補正判定値(図示せず)とすることにより、バッテリ電圧が低く、再始動に必要なスタータモータ駆動力が確保できていない場合に、再始動失敗の判定を早期化することができる。
【0097】
また、時刻t5において導出された始動失敗判定クランク角変化量判定値を、再始動時の吸気管圧力に応じて再始動失敗の判定を厳しく(始動失敗判定クランク角変化量判定値を小さく)する方向に補正した始動失敗判定クランク角変化量補正判定値(図示せず)とすることにより、吸気管圧力が低く、再始動に必要な空気量が確保できていない場合に、再始動失敗の判定を早期化することができる。
【0098】
次に、図14のタイミングチャートを参照しながら、再始動時の初回点火タイミングにおけるエンジン回転数上昇量が非常に小さい(燃焼不良)ので、その後エンジン完爆判定に至らずに始動失敗した場合の動作の一例について説明する。
なお、時刻t1から時刻t4までの動作は、図12のタイミングチャートと同じなので、説明を省略し、動作が異なる時刻t5以降について説明する。
【0099】
まず、再始動開始後に点火(初回点火)が開始され、圧縮行程中のクランク角B05℃A毎で点火が再開され、この初回点火タイミングからのクランク角変化量の演算が開始された後、時刻t5において、初回点火タイミングでの燃焼により発生したエンジン回転数の上昇量に応じて、始動失敗判定クランク角変化量判定値が設定される。ここで、本ケースのように、エンジン回転数上昇量が所定上昇量よりも小さい場合には、始動失敗判定クランク角変化量判定値を小さく(例えば、ゼロ付近に)設定される。
【0100】
従って、時刻t5において、始動失敗判定クランク角変化量判定値(ゼロ付近)よりもクランク角変化量が大きくなるので、再始動失敗判定フラグが1にセットされる。このとき、エンジン回転数上昇量が小さい場合における始動失敗判定タイミング(図13の時刻t6)と比較すると、エンジン回転数上昇量が検出された直後に再始動失敗判定されるので、再始動失敗の判定をさらに早期化することができる。
【0101】
続いて、時刻t6では、再始動失敗フラグが1にセットされた時点(時刻t5)からの時間経過が所定時間を越えたので、再始動を再開するべくソレノイド241が通電されると同時に、所定の複数気筒に燃料噴射が実施される。このとき、エンジン回転数上昇量が小さい場合における再始動再開タイミング(図14の時刻t7)と比較すると、再始動の再開タイミングをさらに早期化することができる。
【0102】
このように、再始動時の初回点火タイミングにおけるエンジン回転数上昇量に応じて、始動失敗の判定閾値となる始動失敗判定クランク角変化量判定値を設定するので、エンジン回転数上昇量が大きく、再始動失敗の可能性が低いと推定される場合には、判定閾値を緩和し、再始動失敗の誤判定を防止する。また、エンジン回転数上昇量が小さく、再始動失敗の可能性が高いと推定される場合には、判定閾値を厳しくし、再始動失敗の判定タイミングを早期化し、エンジン回転数上昇量が非常に小さく、直ちに再始動失敗と判断できる場合には、判定閾値をさらに厳しく(ゼロ付近)し、再始動失敗の判定タイミングをさらに早期化することができる。
【0103】
また、再始動時のバッテリ電圧が低く、再始動に必要なスタータモータ駆動力が確保できないと判断された場合や、再始動時の吸気管圧力が低く、再始動に必要な空気量が確保できていないと判断された場合には、再始動が失敗する可能性が高いと推定し、判定閾値をさらに厳しく(始動失敗判定クランク角変化量判定値をさらに小さく)することにより、再始動失敗の判定を早期化できる。
【0104】
また、上述したように、再始動失敗の判定遅れを早期化できる結果、再始動失敗を判定してからの再始動の再開を迅速化できるので、再始動失敗による運転者が感じる違和感(再始動遅れ)を軽減することができる。
【0105】
以上のように、実施の形態1によれば、エンジン回転数上昇量演算部は、再始動条件の成立後におけるエンジンの初回点火によるエンジン回転数の上昇量を演算し、始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部は、演算されたエンジン回転数の上昇量に基づいて、再始動失敗判定閾値を設定し、再始動失敗判定部は、再始動条件の成立後におけるエンジンの初回点火タイミングからのクランク角変化量が、エンジンが完爆したと判定されていないにも関わらず、再始動失敗判定閾値よりも大きくなった場合に、再始動失敗と判定し、エンジンの再始動を中止して、所定時間経過後にエンジンの再始動を再開する。
そのため、再始動時の燃焼状態に応じて設定された再始動失敗判定閾値に基づいて再始動失敗を判定することにより、誤判定を防止しつつ再始動失敗を迅速に判定し、再始動失敗を判定した場合には、運転者に違和感(再始動遅れ感)を与えることなく再始動を再開することができるエンジン制御装置およびエンジン制御方法を得ることができる。
【符号の説明】
【0106】
10 エンジンECU、11 車速センサ、12 アクセル開度センサ、13 バッテリ電圧センサ、14 吸気管圧力センサ、15 ブレーキ部、20 エンジン自動停止再始動装置、21 クランク角センサ、22 コントローラ、23 リングギア、24 スタータ、31 エンジン自動停止判定部、32 エンジン再始動判定部、33 エンジン回転数演算部、34 クランク角変化量演算部、35 燃料噴射制御部、36 点火制御部、37 エンジン完爆判定部、38 エンジン回転数上昇量演算部、39 始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部、40 再始動失敗判定部、241 ソレノイド、242 プランジャ、243 レバー、244 ピニオンギア、245 スタータモータ、246 ワンウェイクラッチ。
【技術分野】
【0001】
この発明は、所定のエンジン自動停止条件の成立によりエンジンを自動停止させ、その後再始動条件の成立によりエンジンを再始動させるエンジン自動停止再始動装置を備えたエンジン制御装置およびエンジン制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の燃費改善や環境負荷低減等を目的として、エンジン自動停止再始動システムが開発されてきた。エンジン自動停止再始動システムでは、運転者の操作によりエンジン停止するための所定の条件(例えば、所定車速以下でのブレーキオン操作)が満たされると、自動で燃料カットをしてエンジンが自動停止され、運転者の操作により再始動するための所定の条件(例えば、ブレーキ解除操作、アクセル踏み込み操作等)が満たされると、燃料噴射を再開してエンジンが自動的に再始動される。
【0003】
ここで、エンジン自動再始動時に、燃焼不良等の正常再始動を妨げる現象が発生し、再始動に失敗した場合には、再始動に失敗したことを迅速に判定し、再始動を再開することによって、運転者が感じる違和感(再始動遅れ感)を抑制する必要がある。
【0004】
なお、再始動の失敗または再始動時の燃焼異常を迅速に判定することができなければ、その後の再始動の再開も迅速に行うことができなくなるので、再始動失敗の判定タイミングを、誤判定を防止しつつ早期化させることが重要である。
【0005】
そこで、従来のエンジンの始動制御装置は、再始動動作開始から、規定サイクル数内にエンジンが完爆状態に至らなかった場合に、再始動失敗であると判定している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4506398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
図15は、特許文献1に示した従来のエンジンの始動制御装置の動作および課題を説明するイメージ図である。図15において、横軸は時間を示し、縦軸はエンジン回転数を示しており、また、実線は正常再始動時のエンジン回転挙動を示し、破線は再始動失敗時のエンジン回転挙動を示している。
【0008】
図15より、再始動動作開始タイミングt1からエンジン完爆状態となるタイミングt2までのサイクル数は、再始動時の燃焼状態に伴うエンジン回転数の上昇量によって変動する。そのため、エンジン回転数の上昇量が小さい場合には、エンジン完爆状態に至るまでのサイクル数が多くなる。
【0009】
したがって、再始動失敗判定閾値(規定サイクル数)は、このことを考慮して余裕を持った値とし、再始動失敗の誤判定を防止する必要がある。そこで、特許文献1に示した従来のエンジンの始動制御装置では、再始動失敗判定閾値を、エンジン完爆状態となるタイミングt2から余裕を持ったタイミングt3に相当する値に設定している。
【0010】
ここで、再始動失敗時のエンジン回転挙動(破線参照)で示されるように、再始動時の燃焼状態が悪く、再始動後にタイミングt4で再始動失敗した場合、本来はもっと早いタイミングで再始動失敗の判定ができるにも関わらず、サイクル数が再始動失敗判定閾値(すなわち、タイミングt3に相当する値)となるまでは、再始動失敗の判定ができないという問題がある。また、これに伴って、再始動を再開するまでのタイムラグが大きくなり、運転者に違和感を与えるという問題もある。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、再始動時の燃焼状態に応じて設定された再始動失敗判定閾値に基づいて再始動失敗を判定することにより、誤判定を防止しつつ再始動失敗を迅速に判定し、再始動失敗を判定した場合には、運転者に違和感(再始動遅れ感)を与えることなく再始動を再開することができるエンジン制御装置およびエンジン制御方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係るエンジン制御装置は、エンジン自動停止条件の成立によりエンジンを自動停止させ、その後再始動条件の成立によりエンジンを再始動させるエンジン自動停止再始動装置を備えたエンジン制御装置であって、エンジンのクランク軸のクランク角を検出するクランク角センサと、クランク角に基づいて、エンジン回転数を演算するエンジン回転数演算部と、クランク角に基づいて、クランク角変化量を演算するクランク角変化量演算部と、再始動条件の成立後、エンジン回転数が、あらかじめ設定された所定回転数よりも高くなった場合に、エンジンが完爆したと判定するエンジン完爆判定部と、再始動条件の成立後におけるエンジンの初回点火によるエンジン回転数の上昇量を演算するエンジン回転数上昇量演算部と、エンジン回転数の上昇量に基づいて、再始動失敗判定閾値を設定する始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部と、再始動条件の成立後におけるエンジンの初回点火タイミングからのクランク角変化量が、エンジンが完爆したと判定されていないにも関わらず、再始動失敗判定閾値よりも大きくなった場合に、再始動失敗と判定し、エンジンの再始動を中止して、所定時間経過後にエンジンの再始動を再開する再始動失敗判定部と、を備えたものである。
【0013】
また、この発明に係るエンジン自動停止再始動方法は、エンジン自動停止条件の成立によりエンジンを自動停止させ、その後再始動条件の成立によりエンジンを再始動させるエンジン制御方法であって、エンジンのクランク軸のクランク角を検出するクランク角検出ステップと、クランク角に基づいて、エンジン回転数を演算するエンジン回転数演算ステップと、クランク角に基づいて、クランク角変化量を演算するクランク角変化量演算ステップと、再始動条件の成立後、エンジン回転数が、あらかじめ設定された所定回転数よりも高くなった場合に、エンジンが完爆したと判定するエンジン完爆判定ステップと、再始動条件の成立後におけるエンジンの初回点火によるエンジン回転数の上昇量を演算するエンジン回転数上昇量演算ステップと、エンジン回転数の上昇量に基づいて、再始動失敗判定閾値を設定する始動失敗判定クランク角変化量判定値設定ステップと、再始動条件の成立後におけるエンジンの初回点火タイミングからのクランク角変化量が、エンジンが完爆したと判定されていないにも関わらず、再始動失敗判定閾値よりも大きくなった場合に、再始動失敗と判定し、エンジンの再始動を中止して、所定時間経過後にエンジンの再始動を再開する再始動失敗判定ステップと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係るエンジン制御装置およびエンジン制御方法によれば、エンジン回転数上昇量演算部(ステップ)は、再始動条件の成立後におけるエンジンの初回点火によるエンジン回転数の上昇量を演算し、始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部(ステップ)は、演算されたエンジン回転数の上昇量に基づいて、再始動失敗判定閾値を設定し、再始動失敗判定部(ステップ)は、再始動条件の成立後におけるエンジンの初回点火タイミングからのクランク角変化量が、エンジンが完爆したと判定されていないにも関わらず、再始動失敗判定閾値よりも大きくなった場合に、再始動失敗と判定し、エンジンの再始動を中止して、所定時間経過後にエンジンの再始動を再開する。
そのため、再始動時の燃焼状態に応じて設定された再始動失敗判定閾値に基づいて再始動失敗を判定することにより、誤判定を防止しつつ再始動失敗を迅速に判定し、再始動失敗を判定した場合には、運転者に違和感(再始動遅れ感)を与えることなく再始動を再開することができるエンジン制御装置およびエンジン制御方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のエンジン自動停止再始動装置におけるスタータの一部破断正面図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置におけるエンジンECUの概略構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置における燃料カット制御ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置におけるエンジン再始動制御ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のエンジン自動停止再始動制御における燃料噴射制御および点火制御を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置におけるエンジン再始動失敗判定ルーチンの流れを示すフローチャートである。
【図8】(a)、(b)は、この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のエンジン自動停止再始動制御において、エンジン再始動時の燃焼状態が比較的良好である場合と、あまり良好でない場合とにおける再始動失敗判定したときの判定タイミングの差異を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のエンジン自動停止再始動制御における始動失敗判定クランク角変化量判定値を設定する制御マップを示す説明図である。
【図10】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のエンジン自動停止再始動制御におけるバッテリ電圧補正係数を設定する制御マップを示す説明図である。
【図11】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のエンジン自動停止再始動制御における吸気管圧力補正係数を設定する制御マップを示す説明図である。
【図12】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のエンジン自動停止再始動制御における動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図13】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のエンジン自動停止再始動制御における動作の一例を示す別のタイミングチャートである。
【図14】この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のエンジン自動停止再始動制御における動作の一例を示すさらに別のタイミングチャートである。
【図15】従来のエンジンの始動制御装置の動作および課題を説明するイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明に係るエンジン制御装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
【0017】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置の概略構成を示すブロック図である。また、図2は、この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のエンジン自動停止再始動装置におけるスタータの一部破断正面図である。
【0018】
図1において、エンジンECU10には、車速センサ11、アクセル開度センサ12、バッテリ電圧センサ13、吸気管圧力センサ14、ブレーキ部15、並びにエンジン自動停止再始動装置20のクランク角センサ21およびコントローラ22が接続されている。
【0019】
車速センサ11は、車両の速度を検出して、その検出値に応じた信号(以下、「車速信号」と称する)を出力する。アクセル開度センサ12は、アクセル開度を検出して、その検出値に応じた信号(以下、「アクセル開度信号」と称する)を出力する。バッテリ電圧センサ13は、バッテリ電圧を検出して、その検出値に応じた信号(以下、「バッテリ電圧信号」と称する)を出力する。
【0020】
吸気管圧力センサ14は、エンジンの吸気管圧力を検出して、その検出値に応じた信号(以下、「吸気管圧力信号」と称する)を出力する。ブレーキ部15は、ブレーキの動作状態をブレーキ信号として出力する。クランク角センサ21は、燃料の噴射タイミングおよび点火タイミングを決定するためのクランク角を検出して、その検出値に応じた信号(以下、「クランク角信号」と称する)を出力する。
【0021】
エンジンECU10は、これらのセンサおよびブレーキ部15からの信号に基づいて、エンジン自動停止またはエンジン再始動を判断して、エンジン自動停止再始動装置20のコントローラ22に駆動指令を出力するとともに、エンジンへの燃料噴射および点火を制御する。
【0022】
続いて、図1とともに、図2を参照しながら、エンジン自動停止再始動装置20の構成および動作について説明する。図1、2において、エンジン自動停止再始動装置20は、クランク角センサ21と、コントローラ22と、リングギア23と、スタータ24とを備えている。リングギア23は、エンジンのクランク軸(図示せず)に連結されている。コントローラ22は、エンジンECU10からの駆動指令を受けてスタータ24の駆動、具体的には、ソレノイド241への通電を制御する。
【0023】
ソレノイド241への通電により、プランジャ242が吸引され、レバー243を介してピニオンギア244が移動されることで、ピニオンギア244がリングギア23と噛み合わされる。また、プランジャ242の移動により接点が閉じられ、スタータモータ245へと通電され、ピニオンギア244が回転されて、リングギア23がピニオンギア244と噛み合った状態で、駆動力がエンジンに伝達される。また、ワンウェイクラッチ246は、スタータモータ245の出力軸に連結され、リングギア23からトルクが入力された場合には空転する。
【0024】
図3は、この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置におけるエンジンECUの概略構成を示すブロック図である。図3において、エンジンECU10は、エンジン自動停止判定部31、エンジン再始動判定部32、エンジン回転数演算部33、クランク角変化量演算部34、燃料噴射制御部35、点火制御部36、エンジン完爆判定部37、エンジン回転数上昇量演算部38、始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部39および再始動失敗判定部40を有している。
【0025】
エンジン自動停止判定部31は、ブレーキ部15からのブレーキ信号および車速センサ11からの車速信号に基づいて、エンジン自動停止条件(例えば、車速5km/h以下かつ運転者がブレーキを踏んでいる等の条件)が成立しているか否かを判定する。
【0026】
エンジン再始動判定部32は、ブレーキ部15からのブレーキ信号およびアクセル開度センサ12からのアクセル開度信号に基づいて、エンジン再始動条件(例えば、運転者がブレーキを開放し、アクセルペダルを踏んでいる等の条件)が成立しているか否かを判定する。
【0027】
エンジン回転数演算部33は、クランク角センサ21からのクランク角信号に基づいて、エンジン回転数を演算し、その演算値に応じた信号(以下、「エンジン回転数信号」と称する)を出力する。
【0028】
クランク角変化量演算部34は、クランク角センサ21からのクランク角信号に基づいて、クランク角変化量を演算し、その演算値に応じた信号(以下、「クランク角変化量信号」と称する)を出力する。
【0029】
燃料噴射制御部35は、エンジン自動停止判定部31およびエンジン再始動判定部32の判定結果、並びに再始動失敗判定部40からの指示に基づいて、燃料噴射を制御する。
【0030】
点火制御部36は、エンジン自動停止判定部31およびエンジン再始動判定部32の判定結果、並びに再始動失敗判定部40からの指示に基づいて、点火を制御する。
【0031】
エンジン完爆判定部37は、エンジン回転数演算部33からのエンジン回転数信号が、あらかじめ設定された所定回転数よりも高くなった場合に、エンジンが完爆したと判定する。
【0032】
エンジン回転数上昇量演算部38は、エンジンの初回点火によるエンジン回転数の上昇量を演算し、その演算値に応じた信号(以下、「エンジン回転数上昇量信号」と称する)を出力する。
【0033】
始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部39は、再始動要求時のバッテリ電圧センサ13からのバッテリ電圧信号、吸気管圧力センサ14からの吸気管圧力信号およびエンジン回転数上昇量演算部38からのエンジン回転数上昇量信号に基づいて、始動失敗判定クランク角変化量判定値(再始動失敗判定閾値)を設定する。
【0034】
再始動失敗判定部40は、エンジン自動停止後にエンジン再始動条件が成立し、点火制御部36により初回点火されたタイミングからのクランク角変化量が、エンジン完爆判定されていないにも関わらず、始動失敗判定クランク角変化量判定値よりも大きくなった場合に、再始動失敗と判定し、燃料噴射および点火の中止を指示するとともに、コントローラ22へソレノイド241への通電中止を指示する。
【0035】
また、再始動失敗判定部40は、あらかじめ設定された所定時間経過後に、燃料噴射および点火の再開を指示するとともに、コントローラ22へソレノイド241への通電実施を指示する。
【0036】
以下、この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置の動作について説明する。
なお、通常、ピニオンギア244は、リングギア23に比して歯数が少ないが、簡単のため、この実施の形態1では、ピニオンギア回転数およびエンジン回転数は、ピニオンギア244とリングギア23との歯数比を考慮して、リングギア23での回転数に換算したものを用いる。
【0037】
図4は、この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置における燃料カット制御ルーチンの流れを示すフローチャートである。
まず、エンジン自動停止判定部31は、車速が所定値以下であるか否かを判定する(ステップS101)。
【0038】
ステップS101において、車速が所定値以下である(すなわち、Yes)と判定された場合には、エンジン自動停止判定部31は、エンジン自動停止後の経験車速が所定値よりも大きいか否かを判定する(ステップS102)。
【0039】
この経験車速という条件は、例えば渋滞において、クリープ走行→エンジン自動停止→エンジン自動再始動→クリープ走行→エンジン自動再始動のような走行パターンを繰り返すこと等により、バッテリに不適当な消耗を生じることなくエンジンの自動停止および自動再始動を実施するための前提条件である。この経験車速は、渋滞から抜け出し、クリープ走行状態からアクセルを踏む通常走行に移行したと判断できる車速(例えば、10km/h)が所定値として設定される。
【0040】
ステップS102において、エンジン自動停止後の経験車速が所定値よりも大きい(すなわち、Yes)と判定された場合には、エンジン自動停止判定部31は、ブレーキ信号がオンであるか否か、すなわち運転者がブレーキペダルを踏んでいるか否かを判定する(ステップS103)。
【0041】
ステップS103において、ブレーキ信号がオンである(すなわち、Yes)と判定された場合には、エンジン自動停止判定部31は、エンジン自動停止条件が成立したとして、エンジン自動停止制御を開始する(ステップS104)。
【0042】
このとき、エンジン自動停止判定部31は、燃料噴射制御によりエンジンへの燃料供給を停止させ、さらに点火制御によりエンジンへの点火を停止させる。
続いて、エンジン自動停止判定部31は、エンジンが停止状態であると判断し、エンジン自動停止中フラグを1にセットする(ステップS105)。
【0043】
次に、エンジン再始動判定部32は、エンジン停止後または惰性回転によりエンジン回転数が低下する間に、エンジンECU10へのアクセル開度センサ12からのアクセル開度信号やブレーキ部15からのブレーキ信号に応じて、エンジン再始動条件(例えば、運転者がブレーキペダルから足を離す等)が成立しているか否かを判定する(ステップS106)。
【0044】
ステップS106において、エンジン再始動条件が成立している(すなわち、Yes)と判定された場合には、図5に示すエンジン再始動制御ルーチンにジャンプして(ステップS107)、図4の処理を終了する。
【0045】
一方、ステップS106において、エンジン再始動条件が成立していない(すなわち、No)と判定された場合には、そのまま図4の処理を終了する。
また、エンジン再始動条件の成立を判定した場合には、エンジンの再始動が完了したと判定されるまで、成立判定が継続される。
【0046】
また、ステップS101において、車速が所定値よりも大きい(すなわち、No)と判定された場合、ステップS102において、エンジン自動停止後の経験車速が所定値以下である(すなわち、No)と判定された場合、およびステップS103において、ブレーキ信号がオンでない(すなわち、No)と判定された場合には、エンジン自動停止判定部31は、エンジン自動停止中フラグが1であるか否かを判定する(ステップS108)。
【0047】
ステップS108において、エンジン自動停止中フラグが1である(すなわち、Yes)と判定された場合には、ステップS106に移行する。
一方、ステップS108において、エンジン自動停止中フラグが0である(すなわち、No)と判定された場合には、エンジン自動停止中でないと判断し、図4の処理を終了する。
【0048】
図5は、この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置におけるエンジン再始動制御ルーチンの流れを示すフローチャートである。
まず、エンジン再始動判定部32は、エンジン回転数Nrが、ピニオンギア244とリングギア23とを噛合可能な所定回転数Nengage(例えば、80rpm)よりも小さいか否かを判定する(ステップS201)。
【0049】
ステップS201において、エンジン回転数Nrが、ピニオンギア244とリングギア23とを噛合可能な所定回転数Nengageよりも小さい(すなわち、Yes)と判定された場合には、エンジン再始動判定部32は、ピニオンギア244とリングギア23との噛合が可能であると判断し、後述する燃料噴射&点火中止フラグが0であるか否かを判定する(ステップS202)。
【0050】
一方、ステップS201において、エンジン回転数Nrが、ピニオンギア244とリングギア23とを噛合可能な所定回転数Nengage以上である(すなわち、No)と判定された場合には、ピニオンギア244とリングギア23との噛合が不可能であると判断し、図5の処理を終了して燃料カット制御ルーチンへと戻る。
【0051】
ステップS202において、燃料噴射&点火中止フラグが0である(すなわち、Yes)と判定された場合には、エンジン再始動判定部32は、ソレノイド241への通電をオンにする(ステップS203)。
【0052】
このとき、ソレノイド241とプランジャ242との間には、吸引力が発生するので、プランジャ242が軸方向に移動し、これによりレバー243を介してピニオンギア244が軸方向に移動し、ピニオンギア244とリングギア23とが噛合を開始し、さらにプランジャ242の移動によって接点が閉じ、スタータモータ245に通電される。
【0053】
続いて、エンジン再始動判定部32は、燃料噴射および点火を実施する(ステップS204)。
【0054】
一方、ステップS202において、燃料噴射&点火中止フラグが1である(すなわち、No)と判定された場合には、エンジン再始動判定部32は、ソレノイド241への通電をオフにする(ステップS205)。
次に、エンジン再始動判定部32は、燃料噴射および点火を中止する(ステップS206)。
【0055】
続いて、エンジン再始動判定部32は、エンジンが再始動未完了か否かを判定する(ステップS207)。ここで、エンジンの再始動が完了したか未完了かは、エンジン再始動条件成立後のエンジン回転数Nrが、所定値(例えば、500rpm)よりも大きい場合にエンジンの再始動が完了したと判定し、所定値以下の場合にエンジンの再始動が未完了であると判定する。
【0056】
ステップS207において、エンジンが再始動未完了である(すなわち、Yes)と判定された場合には、図7に示す再始動失敗判定ルーチンにジャンプする(ステップS208)。
次に、エンジン再始動判定部32は、後述する再始動失敗判定フラグが0であるか否かを判定する(ステップS209)。
【0057】
ステップS209において、再始動失敗判定フラグが0である(すなわち、Yes)と判定された場合には、エンジン再始動判定部32は、燃料噴射&点火中断フラグを0にリセットし(ステップS210)、図5の処理を終了して燃料カット制御ルーチンへと戻る。
【0058】
一方、ステップS209において、再始動失敗判定フラグが1である(すなわち、No)と判定された場合には、エンジン再始動判定部32は、燃料噴射&点火中断フラグを1にセットし(ステップS211)、図5の処理を終了して燃料カット制御ルーチンへと戻る。
【0059】
また、ステップS207において、エンジンの再始動が完了した(すなわち、No)と判定された場合には、エンジン再始動判定部32は、ソレノイド241への通電をオフにし(ステップS212)、エンジン自動停止中フラグを0にリセットし(ステップS213)、図5の処理を終了して燃料カット制御ルーチンへと戻る。
【0060】
ここで、図8を参照しながら、この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のエンジン自動停止再始動制御における燃料噴射制御および点火制御について説明する。図8は、4気筒エンジンの燃料噴射タイミングおよび点火タイミングを表しており、エンジン自動停止中は中断される。
【0061】
エンジン再始動条件が成立した後は、燃料噴射に関しては、ソレノイド通電オンと同時に、所定の複数気筒(例えば、吸気行程にある気筒および排気行程にある気筒)に燃料噴射を実施する(図8のタイミングA)。その後は、所定のタイミング、例えば爆発行程中のクランク角B05℃A毎に燃料噴射を実施する(図8の網掛け部分)。
【0062】
また、点火に関しては、上述したソレノイド通電オンと同時に所定の複数気筒に噴射され、再始動時に最初に燃焼させることができる気筒の燃料(図8では、タイミングAで吸気行程となる#1気筒に噴射された燃料)を燃焼させる初回点火タイミングから点火を再開する。具体的には、図8の実線矢印を初回点火タイミングとした圧縮行程中のクランク角B05℃A毎で点火が再開される。なお、初回以降の点火タイミングは破線で表示している。
【0063】
図7は、この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置におけるエンジン再始動失敗判定ルーチンの流れを示すフローチャートである。
まず、クランク角変化量演算部34は、エンジン再始動条件成立後の初回点火タイミングからのクランク角変化量を演算する(ステップS301)。
【0064】
続いて、エンジン回転数上昇量演算部38は、エンジンの初回点火によるエンジン回転数の上昇量(以下、「エンジン回転数上昇量」と称する)を演算する(ステップS302)。
【0065】
次に、始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部39は、初回点火時のエンジン回転数上昇量に基づいて、始動失敗判定クランク角変化量判定値を算出する(ステップS303)。
【0066】
図8は、(a)、(b)は、この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のエンジン自動停止再始動制御において、エンジン再始動時の燃焼状態が比較的良好である場合と、あまり良好でない場合とにおける再始動失敗判定したときの判定タイミングの差異を示す説明図である。
【0067】
図8において、初回点火時のエンジン回転数上昇量が小さく、燃焼が良好ではなく、再始動失敗に至る可能性が高いと判断できる場合には、始動失敗判定クランク角変化量判定値を、初回点火時のエンジン回転数上昇量が比較的大きく、燃焼が比較的良好である場合の値(図8のA参照)よりも小さい値(図8のB参照)に設定することで、始動失敗判定の基準を厳しくする。これにより、再始動時の燃焼状態があまり良好ではない場合には、燃焼状態が比較的良好である場合よりも、早期に再始動失敗を判定できるようになる(図8のC参照)。
【0068】
具体的には、始動失敗判定クランク角変化量判定値は、図9の制御マップに示されるように、X軸をエンジン回転数上昇量、Y軸を始動失敗判定クランク角変化量判定値としたマップにより設定される。この制御マップの値は、車両にて、正常再始動時および再始動失敗時等の様々な再始動ケースにおける初回点火時のエンジン回転数上昇量および初回点火タイミングから、エンジン完爆判定回転数(500rpm)に到達するまでのクランク角変化量等のデータを取得し、始動失敗の判定遅れおよび誤判定なく、再始動失敗を判定できるような最適な値を導出すればよい。
【0069】
また、この制御マップにおいて、エンジン回転数上昇量が所定上昇量よりも小さい領域では、始動失敗判定開始直後に始動を失敗したと判定するように、始動失敗判定クランク角変化量判定値を、エンジン回転数の上昇が、あらかじめ設定された所定上昇量以上の場合と比べて大幅に小さく(例えば、ゼロ付近に)する。これは、エンジン回転数上昇量が明らかに再始動失敗に至るような小さな上昇量であった場合に、即座に再始動失敗を判定することを目的としている。また、所定上昇量は、50rpm程度とし、車両で実際に始動失敗したときの結果から実験的に求めることができる。
【0070】
図7に戻って、続いて、始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部39は、エンジン再始動時におけるバッテリ電圧および吸気管圧力に応じて補正係数を算出し、この補正係数を、ステップS303で算出した始動失敗判定クランク角変化量判定値に乗ずることにより、始動失敗判定クランク角変化量補正判定値を算出する(ステップS304)。
【0071】
具体的には、エンジンの再始動時には、再始動時のスタータ駆動力が再始動の成功可否に大きく影響するので、バッテリ電圧が低く(スタータ駆動力が小さく)なるに従い、図10に示されるように、補正係数をマイナス補正側とすることにより、始動失敗判定の基準を厳しくし、始動失敗の判定タイミングを早期化する。
【0072】
また、エンジンの再始動には、再始動時の吸気管圧力が再始動の成功可否に大きく影響するので、吸気管圧力が低く(空気量が少なく)なるに従い、図11に示されるように、補正係数をマイナス補正側とすることにより、始動失敗判定の基準を厳しくし、始動失敗の判定タイミングを早期化する。
【0073】
図7に戻って、次に、始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部39は、ステップS301で算出した初回点火タイミングからのクランク角変化量が、始動失敗判定クランク角変化量補正判定値よりも小さいか否かを判定する(ステップS305)。
【0074】
ステップS305において、クランク角変化量が始動失敗判定クランク角変化量補正判定値よりも小さい(すなわち、Yes)と判定された場合には、始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部39は、始動失敗していないと判断し、再始動失敗判定フラグを0にリセットし(ステップS306)、図7の処理を終了してエンジン再始動制御ルーチンへと戻る。
【0075】
一方、ステップS305において、クランク角変化量が始動失敗判定クランク角変化量補正判定値以上である(すなわち、No)と判定された場合には、始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部39は、始動失敗したと判断し、再始動失敗判定フラグを1にセットする(ステップS307)。
【0076】
続いて、始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部39は、ステップS307で再始動失敗判定フラグが0から1にセットされてからの経過時間を計測し、この経過時間があらかじめ設定された所定時間を経過したか否かを判定する(ステップS308)。ここで、所定時間は、再始動失敗後のエンジン回転が完全に停止する時間(100〜200ms程度)とする。
【0077】
ステップS308において、所定時間を経過した(すなわち、Yes)と判定された場合には、ステップS306に移行し、再始動失敗判定フラグを0にリセットしてから、図7の処理を終了してエンジン再始動制御ルーチンへと戻る。
【0078】
一方、ステップS308において、所定時間を経過していない(すなわち、No)と判定された場合には、そのまま図7の処理を終了してエンジン再始動制御ルーチンへと戻る。
【0079】
次に、図12、図13、図14のタイミングチャートを参照しながら、この発明の実施の形態1に係るエンジン制御装置のエンジン自動停止再始動制御における動作の一例について説明する。図12〜14は、それぞれ車両走行状態からエンジン自動停止を実施し、エンジン再始動条件成立後にソレノイド241への通電をオンにし、エンジン再始動を行ったが、エンジン完爆判定に至らずに始動失敗し、その後再始動を再開した場合の動作を示したものである。
【0080】
図12〜14において、401はエンジン各気筒の燃料噴射タイミングを示し、402はエンジン各気筒の点火タイミングを示し、403はエンジン回転数の時間的推移を示している。
【0081】
404はエンジン自動停止中フラグであり、エンジン自動停止中である場合は、1にセットされ、再始動が完了した場合は、0にリセットされる。405はソレノイド241への通電状態を示しており、ソレノイド241に通電されている場合、すなわちスタータモータ245がオンしている場合は、1にセットされる。406はエンジン完爆判定フラグであり、再始動開始後のエンジン回転数が所定回転数(500rpm)以下の場合は、0にリセットされ、所定回転数(500rpm)よりも大きい場合は、1にセットされる。
【0082】
407は、再始動開始後の初回点火タイミングからのクランク角変化量(実線)と、エンジン回転数上昇量に応じて設定される始動失敗判定クランク角変化量判定値(破線)とを示している。408は再始動失敗判定フラグであり、再始動が失敗したと判定された場合には1にセットされ、再始動が失敗したと判定されていない場合、または再始動失敗フラグが1にセットされた時点から所定時間経過後に0にリセットされる。409は燃料噴射&点火中止フラグであり、再始動失敗判定フラグが1にセットされた時点で1にセットされ、再始動失敗判定フラグが0にリセットされた時点で0にリセットされる。
【0083】
まず、図12のタイミングチャートを参照しながら、再始動時の初回点火タイミングにおけるエンジン回転数上昇量は比較的大きい(燃焼が比較的良好)ものの、その後エンジン完爆判定に至らずに始動失敗した場合の動作の一例について説明する。
【0084】
図12において、まず、車両走行中にエンジン自動停止条件が成立した時刻t1において、エンジン自動停止中フラグ404が1にセットされる。続いて、エンジン再始動条件(例えば、運転者がブレーキペダルから足を離す等)が時刻t2で成立する。
【0085】
次に、エンジン回転数Nrが、ピニオンギア244とリングギア23とが噛合可能な所定回転数差Nengageよりも小さくなる時刻t3において、ソレノイド241への通電が開始され、ピニオンギア244とリングギア23とが噛合され、スタータモータ245が駆動を開始する。ここで、ソレノイド241への通電が開始されると同時に、所定の複数気筒に初回の燃料噴射が再開され、続いて、爆発行程中のクランク角B05℃A毎に燃料噴射が実施される。
【0086】
次に、時刻t3において噴射された初回噴射燃料を燃焼できるタイミングである時刻t4において、点火(初回点火)が開始され、続いて、圧縮行程中のクランク角B05℃A毎で点火が再開され、この初回点火タイミングからのクランク角変化量の演算が開始される。
【0087】
次に、時刻t5において、時刻t4の初回点火タイミングでの燃焼により発生したエンジン回転数の上昇量に応じて、始動失敗判定クランク角変化量判定値が設定される。ここで、本ケースのように、エンジン回転数上昇量が比較的大きい場合には、再始動が失敗する可能性は低いと推定し、再始動失敗の判定を緩和(始動失敗判定クランク角変化量判定値を、余裕を持った大きな値に)することにより、再始動失敗の誤判定を防止することができる。
【0088】
続いて、時刻t5から時刻t6では、エンジン回転数の上昇によりクランク角変化量が増大し、時刻t6において、始動失敗判定クランク角変化量判定値よりもクランク角変化量が大きくなるので、再始動失敗判定フラグが1にセットされ、燃料噴射&点火中止フラグが1にセットされ、ソレノイド241への通電がオフされる。燃料噴射&点火中止フラグが1にセットされることにより、燃料噴射および点火が中止される。
【0089】
このように、再始動が失敗する可能性が低いと推定された場合には、上述したように、再始動失敗の判定を緩和しているので、再始動失敗に至らないようなケースであるにも関わらず、再始動失敗と誤判定してしまうことを抑制することができる。
【0090】
次に、時刻t7では、再始動失敗フラグが1にセットされた時点(時刻t6)からの時間経過が所定時間を越えたので、再始動を再開するべくソレノイド241が通電されると同時に、所定の複数気筒に燃料噴射が実施される。
【0091】
続いて、図13のタイミングチャートを参照しながら、再始動時の初回点火タイミングにおけるエンジン回転数上昇量が小さい(燃焼が良好ではない)ので、その後エンジン完爆判定に至らずに始動失敗した場合の動作の一例について説明する。
なお、時刻t1から時刻t4までの動作は、図12のタイミングチャートと同じなので、説明を省略し、動作が異なる時刻t5以降について説明する。
【0092】
まず、再始動開始後に点火(初回点火)が開始され、圧縮行程中のクランク角B05℃A毎で点火が再開され、この初回点火タイミングからのクランク角変化量の演算が開始された後、時刻t5において、初回点火タイミングでの燃焼により発生したエンジン回転数の上昇量に応じて、始動失敗判定クランク角変化量判定値が設定される。ここで、本ケースのように、エンジン回転数上昇量が小さい場合には、再始動が失敗する可能性が高いと推定し、再始動失敗の判定を厳しく(始動失敗判定クランク角変化量判定値を小さな値に)する。
【0093】
続いて、時刻t5から時刻t6では、エンジン回転数の上昇によりクランク角変化量が増大し、時刻t6において、始動失敗判定クランク角変化量判定値よりもクランク角変化量が大きくなるので、再始動失敗判定フラグが1にセットされる。
【0094】
このとき、エンジン回転数上昇量が比較的大きい場合における始動失敗判定タイミング(図12の時刻t6)と比較すると、再始動失敗の判定が厳しく(始動失敗判定クランク角変化量判定値が小さな値に)され、再始動の失敗判定タイミングが早期化される。そのため、初回点火タイミングにおけるエンジン回転数上昇量が小さく(燃焼が良好ではなく)、再始動が失敗する可能性が高いと推定される場合において、再始動失敗の判定を早期化することができる。
【0095】
次に、時刻t7では、再始動失敗フラグが1にセットされた時点(時刻t6)からの時間経過が所定時間を越えたので、再始動を再開するべくソレノイド241が通電されると同時に、所定の複数気筒に燃料噴射が実施される。このとき、エンジン回転数上昇量が比較的大きい場合における再始動再開タイミング(図13の時刻t7)と比較すると、再始動の再開タイミングを早期化することができる。
【0096】
また、時刻t5において導出された始動失敗判定クランク角変化量判定値を、再始動時のバッテリ電圧に応じて再始動失敗の判定を厳しく(始動失敗判定クランク角変化量判定値を小さく)する方向に補正した始動失敗判定クランク角変化量補正判定値(図示せず)とすることにより、バッテリ電圧が低く、再始動に必要なスタータモータ駆動力が確保できていない場合に、再始動失敗の判定を早期化することができる。
【0097】
また、時刻t5において導出された始動失敗判定クランク角変化量判定値を、再始動時の吸気管圧力に応じて再始動失敗の判定を厳しく(始動失敗判定クランク角変化量判定値を小さく)する方向に補正した始動失敗判定クランク角変化量補正判定値(図示せず)とすることにより、吸気管圧力が低く、再始動に必要な空気量が確保できていない場合に、再始動失敗の判定を早期化することができる。
【0098】
次に、図14のタイミングチャートを参照しながら、再始動時の初回点火タイミングにおけるエンジン回転数上昇量が非常に小さい(燃焼不良)ので、その後エンジン完爆判定に至らずに始動失敗した場合の動作の一例について説明する。
なお、時刻t1から時刻t4までの動作は、図12のタイミングチャートと同じなので、説明を省略し、動作が異なる時刻t5以降について説明する。
【0099】
まず、再始動開始後に点火(初回点火)が開始され、圧縮行程中のクランク角B05℃A毎で点火が再開され、この初回点火タイミングからのクランク角変化量の演算が開始された後、時刻t5において、初回点火タイミングでの燃焼により発生したエンジン回転数の上昇量に応じて、始動失敗判定クランク角変化量判定値が設定される。ここで、本ケースのように、エンジン回転数上昇量が所定上昇量よりも小さい場合には、始動失敗判定クランク角変化量判定値を小さく(例えば、ゼロ付近に)設定される。
【0100】
従って、時刻t5において、始動失敗判定クランク角変化量判定値(ゼロ付近)よりもクランク角変化量が大きくなるので、再始動失敗判定フラグが1にセットされる。このとき、エンジン回転数上昇量が小さい場合における始動失敗判定タイミング(図13の時刻t6)と比較すると、エンジン回転数上昇量が検出された直後に再始動失敗判定されるので、再始動失敗の判定をさらに早期化することができる。
【0101】
続いて、時刻t6では、再始動失敗フラグが1にセットされた時点(時刻t5)からの時間経過が所定時間を越えたので、再始動を再開するべくソレノイド241が通電されると同時に、所定の複数気筒に燃料噴射が実施される。このとき、エンジン回転数上昇量が小さい場合における再始動再開タイミング(図14の時刻t7)と比較すると、再始動の再開タイミングをさらに早期化することができる。
【0102】
このように、再始動時の初回点火タイミングにおけるエンジン回転数上昇量に応じて、始動失敗の判定閾値となる始動失敗判定クランク角変化量判定値を設定するので、エンジン回転数上昇量が大きく、再始動失敗の可能性が低いと推定される場合には、判定閾値を緩和し、再始動失敗の誤判定を防止する。また、エンジン回転数上昇量が小さく、再始動失敗の可能性が高いと推定される場合には、判定閾値を厳しくし、再始動失敗の判定タイミングを早期化し、エンジン回転数上昇量が非常に小さく、直ちに再始動失敗と判断できる場合には、判定閾値をさらに厳しく(ゼロ付近)し、再始動失敗の判定タイミングをさらに早期化することができる。
【0103】
また、再始動時のバッテリ電圧が低く、再始動に必要なスタータモータ駆動力が確保できないと判断された場合や、再始動時の吸気管圧力が低く、再始動に必要な空気量が確保できていないと判断された場合には、再始動が失敗する可能性が高いと推定し、判定閾値をさらに厳しく(始動失敗判定クランク角変化量判定値をさらに小さく)することにより、再始動失敗の判定を早期化できる。
【0104】
また、上述したように、再始動失敗の判定遅れを早期化できる結果、再始動失敗を判定してからの再始動の再開を迅速化できるので、再始動失敗による運転者が感じる違和感(再始動遅れ)を軽減することができる。
【0105】
以上のように、実施の形態1によれば、エンジン回転数上昇量演算部は、再始動条件の成立後におけるエンジンの初回点火によるエンジン回転数の上昇量を演算し、始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部は、演算されたエンジン回転数の上昇量に基づいて、再始動失敗判定閾値を設定し、再始動失敗判定部は、再始動条件の成立後におけるエンジンの初回点火タイミングからのクランク角変化量が、エンジンが完爆したと判定されていないにも関わらず、再始動失敗判定閾値よりも大きくなった場合に、再始動失敗と判定し、エンジンの再始動を中止して、所定時間経過後にエンジンの再始動を再開する。
そのため、再始動時の燃焼状態に応じて設定された再始動失敗判定閾値に基づいて再始動失敗を判定することにより、誤判定を防止しつつ再始動失敗を迅速に判定し、再始動失敗を判定した場合には、運転者に違和感(再始動遅れ感)を与えることなく再始動を再開することができるエンジン制御装置およびエンジン制御方法を得ることができる。
【符号の説明】
【0106】
10 エンジンECU、11 車速センサ、12 アクセル開度センサ、13 バッテリ電圧センサ、14 吸気管圧力センサ、15 ブレーキ部、20 エンジン自動停止再始動装置、21 クランク角センサ、22 コントローラ、23 リングギア、24 スタータ、31 エンジン自動停止判定部、32 エンジン再始動判定部、33 エンジン回転数演算部、34 クランク角変化量演算部、35 燃料噴射制御部、36 点火制御部、37 エンジン完爆判定部、38 エンジン回転数上昇量演算部、39 始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部、40 再始動失敗判定部、241 ソレノイド、242 プランジャ、243 レバー、244 ピニオンギア、245 スタータモータ、246 ワンウェイクラッチ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン自動停止条件の成立によりエンジンを自動停止させ、その後再始動条件の成立により前記エンジンを再始動させるエンジン自動停止再始動装置を備えたエンジン制御装置であって、
前記エンジンのクランク軸のクランク角を検出するクランク角センサと、
前記クランク角に基づいて、エンジン回転数を演算するエンジン回転数演算部と、
前記クランク角に基づいて、クランク角変化量を演算するクランク角変化量演算部と、
前記再始動条件の成立後、前記エンジン回転数が、あらかじめ設定された所定回転数よりも高くなった場合に、前記エンジンが完爆したと判定するエンジン完爆判定部と、
前記再始動条件の成立後における前記エンジンの初回点火による前記エンジン回転数の上昇量を演算するエンジン回転数上昇量演算部と、
前記エンジン回転数の上昇量に基づいて、再始動失敗判定閾値を設定する始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部と、
前記再始動条件の成立後における前記エンジンの初回点火タイミングからの前記クランク角変化量が、前記エンジンが完爆したと判定されていないにも関わらず、前記再始動失敗判定閾値よりも大きくなった場合に、再始動失敗と判定し、前記エンジンの再始動を中止して、所定時間経過後に前記エンジンの再始動を再開する再始動失敗判定部と、
を備えたことを特徴とするエンジン制御装置。
【請求項2】
前記始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部は、前記エンジン回転数の上昇量が、あらかじめ定められた所定上昇量よりも小さい場合に、前記再始動失敗判定閾値を、前記エンジン回転数の上昇量が前記所定上昇量よりも大きい場合よりも小さな値に設定する
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジン制御装置。
【請求項3】
バッテリ電圧を検出するバッテリ電圧センサをさらに備え、
前記始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部は、前記エンジンの再始動時におけるバッテリ電圧に基づいて、前記再始動失敗判定閾値を補正する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエンジン制御装置。
【請求項4】
前記エンジンの吸気管圧を検出する吸気管圧力センサをさらに備え、
前記始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部は、前記エンジンの再始動時における吸気管圧力に基づいて、前記再始動失敗判定閾値を補正する
ことを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか1項に記載のエンジン制御装置。
【請求項5】
エンジン自動停止条件の成立によりエンジンを自動停止させ、その後再始動条件の成立により前記エンジンを再始動させるエンジン制御方法であって、
前記エンジンのクランク軸のクランク角を検出するクランク角検出ステップと、
前記クランク角に基づいて、エンジン回転数を演算するエンジン回転数演算ステップと、
前記クランク角に基づいて、クランク角変化量を演算するクランク角変化量演算ステップと、
前記再始動条件の成立後、前記エンジン回転数が、あらかじめ設定された所定回転数よりも高くなった場合に、前記エンジンが完爆したと判定するエンジン完爆判定ステップと、
前記再始動条件の成立後における前記エンジンの初回点火による前記エンジン回転数の上昇量を演算するエンジン回転数上昇量演算ステップと、
前記エンジン回転数の上昇量に基づいて、再始動失敗判定閾値を設定する始動失敗判定クランク角変化量判定値設定ステップと、
前記再始動条件の成立後における前記エンジンの初回点火タイミングからの前記クランク角変化量が、前記エンジンが完爆したと判定されていないにも関わらず、前記再始動失敗判定閾値よりも大きくなった場合に、再始動失敗と判定し、前記エンジンの再始動を中止して、所定時間経過後に前記エンジンの再始動を再開する再始動失敗判定ステップと、
を備えたことを特徴とするエンジン制御方法。
【請求項1】
エンジン自動停止条件の成立によりエンジンを自動停止させ、その後再始動条件の成立により前記エンジンを再始動させるエンジン自動停止再始動装置を備えたエンジン制御装置であって、
前記エンジンのクランク軸のクランク角を検出するクランク角センサと、
前記クランク角に基づいて、エンジン回転数を演算するエンジン回転数演算部と、
前記クランク角に基づいて、クランク角変化量を演算するクランク角変化量演算部と、
前記再始動条件の成立後、前記エンジン回転数が、あらかじめ設定された所定回転数よりも高くなった場合に、前記エンジンが完爆したと判定するエンジン完爆判定部と、
前記再始動条件の成立後における前記エンジンの初回点火による前記エンジン回転数の上昇量を演算するエンジン回転数上昇量演算部と、
前記エンジン回転数の上昇量に基づいて、再始動失敗判定閾値を設定する始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部と、
前記再始動条件の成立後における前記エンジンの初回点火タイミングからの前記クランク角変化量が、前記エンジンが完爆したと判定されていないにも関わらず、前記再始動失敗判定閾値よりも大きくなった場合に、再始動失敗と判定し、前記エンジンの再始動を中止して、所定時間経過後に前記エンジンの再始動を再開する再始動失敗判定部と、
を備えたことを特徴とするエンジン制御装置。
【請求項2】
前記始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部は、前記エンジン回転数の上昇量が、あらかじめ定められた所定上昇量よりも小さい場合に、前記再始動失敗判定閾値を、前記エンジン回転数の上昇量が前記所定上昇量よりも大きい場合よりも小さな値に設定する
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジン制御装置。
【請求項3】
バッテリ電圧を検出するバッテリ電圧センサをさらに備え、
前記始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部は、前記エンジンの再始動時におけるバッテリ電圧に基づいて、前記再始動失敗判定閾値を補正する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエンジン制御装置。
【請求項4】
前記エンジンの吸気管圧を検出する吸気管圧力センサをさらに備え、
前記始動失敗判定クランク角変化量判定値設定部は、前記エンジンの再始動時における吸気管圧力に基づいて、前記再始動失敗判定閾値を補正する
ことを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか1項に記載のエンジン制御装置。
【請求項5】
エンジン自動停止条件の成立によりエンジンを自動停止させ、その後再始動条件の成立により前記エンジンを再始動させるエンジン制御方法であって、
前記エンジンのクランク軸のクランク角を検出するクランク角検出ステップと、
前記クランク角に基づいて、エンジン回転数を演算するエンジン回転数演算ステップと、
前記クランク角に基づいて、クランク角変化量を演算するクランク角変化量演算ステップと、
前記再始動条件の成立後、前記エンジン回転数が、あらかじめ設定された所定回転数よりも高くなった場合に、前記エンジンが完爆したと判定するエンジン完爆判定ステップと、
前記再始動条件の成立後における前記エンジンの初回点火による前記エンジン回転数の上昇量を演算するエンジン回転数上昇量演算ステップと、
前記エンジン回転数の上昇量に基づいて、再始動失敗判定閾値を設定する始動失敗判定クランク角変化量判定値設定ステップと、
前記再始動条件の成立後における前記エンジンの初回点火タイミングからの前記クランク角変化量が、前記エンジンが完爆したと判定されていないにも関わらず、前記再始動失敗判定閾値よりも大きくなった場合に、再始動失敗と判定し、前記エンジンの再始動を中止して、所定時間経過後に前記エンジンの再始動を再開する再始動失敗判定ステップと、
を備えたことを特徴とするエンジン制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−96334(P2013−96334A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241106(P2011−241106)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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