説明

カプサイシン受容体作動薬

本発明は、カプサイシン受容体作動薬を提供するものである。このような化合物はインビボ又はインビトロにおいて、VR1の活性を調節するために使用されるリガンドであり、ヒト、ペット及び家畜に於けるカプサイシン受容体の活性に応答する疾患の治療に特に有用である。本発明は、当該化合物を用いた医薬組成物及びそれを用いて上記の疾患を治療するための方法、さらに受容体局在化の研究に当該リガンドを用いる方法も提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、カプサイシン受容体作動薬に関し、また、カプサイシン受容体の活性に関連する疾患の治療に当該化合物を使用することに関する。本発明は更に、カプサイシン受容体の検出及び局在化のためのプローブとして、当該化合物を使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
疼痛知覚、又は侵害知覚には、「侵害受容体」という特化した知覚神経群の末梢ターミナルが介在している。多岐に亘る物理的及び化学的な刺激は哺乳動物のこのような神経を活性化させるものであり、潜在的に有害な刺激の認知へとつながる。しかしながら、侵害受容体の不適切な又は過剰な活性化は、衰弱性の急性又は慢性の疼痛を生じさせる。
【0003】
神経性疼痛は、刺激がなくても疼痛シグナルの伝達を生じ、主として神経系の損傷に起因している。ほとんどの場合、このような疼痛は末梢系の初期損傷(例えば、直接の損傷又は全身性疾患を介して)後の末梢及び中枢神経系の鋭敏化によって生じるものと考えられている。神経性疼痛は、一般にその強さにより、灼熱痛(burning)、疼くような痛み(shooting)及び強烈な間断のない(unrelenting)痛みであり、時には、その誘引となった初期の損傷又は病気を凌ぐほどのものである。
【0004】
既存の神経性疼痛の治療法は、ほとんどが効果がない。モルヒネのような麻薬が強力な鎮痛薬であるが、このものの実用性は、身体的嗜癖、退薬性のような、更には呼吸障害、情緒変調、付随性便秘、悪心、嘔吐、及び内分泌及び自律神経系の変化による腸運動の減少のような、副作用のために限定されている。更に、神経性疼痛は従来のオピオイド鎮痛薬による治療に対して多くの場合は反応しないか又は部分的に反応するのみである。N−メチル−D−アスパラテート拮抗薬ケタミン又はアルファ(2)−アドレナリン作動薬クロニジンを用いる治療法は急性又は慢性の疼痛を緩和することができ、オピオイド消費の減少を可能にするが、これらの薬剤は副作用のために症状を悪化させる場合がある。
【0005】
カプサイシンを用いる局所療法が、神経性疼痛を含む慢性及び急性疼痛の治療に用いられている。カプサイシンはなす科(辛いチリ・ペパーを含む)植物から得られる刺激的な物質であり、痛みに介在すると見なされる小さな直径を有している求心性神経線維(A−デルタ及びC繊維)上で特異的に作用すると思われている。カプサイシンに対する応答は、末梢組織の侵害受容体の持続的な活性化に続いて、1つ又はそれ以上の刺激に対して次第に末梢の侵害受容体が脱感作されるものと特徴付けられている。動物を用いた研究により、カプサイシンは、カルシウム及びナトリウムに対してカチオン選択性チャネルを開くことにより、C繊維膜の脱分極化を誘発するものと思われる。
【0006】
同様の応答がバニロイド部位を共通にするカプサイシンの構造的な類縁体によっても引き起こされる。そのような類縁体の1つは、ユーホルビア(Euphorbia)植物の天然生成物であるレシニフェラトキシン(resiniferatoxin:RTX)である。バニロイド受容体(VR)という用語は、カプサイシン及びこれに関連する刺激性物質の神経膜認識部位を表すために造られた用語である。カプサイシンの応答は他の類縁体、カプサゼピンによって競合的に阻害され(従って拮抗され)、また非選択的カチオンチャネルブロッカー・ルテニウムレッドによっても阻害される。これらの拮抗薬は中等度未満の親和性(一般に140μM以上のK値で)でVRと結合する。
【0007】
ラット及びヒトのバニロイド受容体は、脊髄後根神経節細胞(dorsal root ganglion cells)からクローン化されている。最初に同定されたバニロイド受容体は、バニロイド受容体1型(VR1)として知られているが、「VR1」及び「カプサイシン受容体」という用語は、哺乳動物の同属体のものと同様にラット及び/又はヒトのこのような型の受容体を意味するもので、本明細書では同義的に用いられる。痛覚におけるVR1の役割は、バニロイドが誘発する疼痛症状を示さず、熱及び炎症に対して応答障害を示すような、当該受容体が欠如しているマウスを用いて確認された。VR1は、高温、低pH、及びカプサイシン受容体作動薬に応答してチャネルを開く閾値が低くなる、非選択的なカチオンチャネルである。例えば、このチャネルは通常約45℃位以上の温度で開く。カプサイシン受容体チャンネルの開放は、一般に、この受容体を発現している神経細胞及び隣接する神経細胞からの炎症ペプチドの放出に引き続いて起こり、疼痛応答を増強させる。カプサイシンによる初期活性化の後に、カプサイシン受容体は、cAMP依存プロテインキナーゼによるリン酸化によって急速に脱感作を受ける。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
カプサイシン受容体作動薬は、神経性疼痛を含む、慢性及び急性の疼痛の治療に用いられる可能性を持っており、本発明は、この必要性を十分満たし、さらに関連する利点をも提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要約)
本発明は、カプサイシン受容体作動薬を提供する。本発明のこのような作動薬は、非バニロイド化合物である。ある様態に於いて、本発明のカプサイシン受容体作動薬は、式Iaを満たしている化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
式Ia:
【化012】

式中、
A、Z、Z、Z、Z及びZは、それぞれ独立してCH又はNであり;
Xは、CR又はNであり;
、R1a及びR1bは、水素、ハロゲン、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、及びC−Cハロアルコキシから、それぞれ独立して選ばれ;
【0010】
は、水素又は式:−(CH−L−Mで表される基であり;
(式中、
Lは、O又はNRであり;
Mは、
(i)水素;又は
(ii)各々が置換されていてもよい、そして好ましくは(a)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミノカルボニル、シアノ、ニトロ、オキソ及び−COOH;及び(b)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ及びシアノから、それぞれ独立して選ばれる0から3個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルカノイルオキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルエーテル、フェニルC−Cアルキル、フェニルC−Cアルコキシ、モノ及びジ(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルキルスルホニル、及び(4から7員の複素環)C−Cアルキル;から、それぞれ独立して選ばれる0から6個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cアルカノン、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルケニル、4から10員の炭素環又は複素環、又はRと一緒になって、4から10員の複素環を形成しており;
は、水素、又はC−Cアルキル、又はRはMと一緒になって、置換されていてもよい複素環であり;そして、
nは、1、2又は3である。)
は、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、又はシアノである。
【0011】
ある様態に於いて、式Iaの化合物は次の条件を満たしている。
1a及びR1bは、両方共にC−Cアルコキシであることはない;
1a及びRは、両方共に水素であることはない;
は、もしRがC−Cアルキルであるならば、水素ではない;
は、もしR、R1a及びR1bがそれぞれ水素であるならば、水素ではない;そして、
は、もしRがCFであり、Z及びZが両方共にCHであり、そしてR1bが臭素であるならば、メトキシメチル又は3,5−ジメチルモルホリニルではない。
【0012】
他の様態に於いて、本発明のカプサイシン受容体作動薬は、式Ibを満たしている化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
式Ib:
【化013】

式中、
【化014】

として示される各々の結合は、それぞれ独立して単結合又は二重結合であり、この場合環員原子の各々の価数は、標準より過剰とはならない。
【0013】
A、Z及びZは、それぞれ独立してCH又はNであり;
、Z、Z及びZは、それぞれ独立してCR、N、NH、O又はSであり;この場合、Z、Z、Z及びZの少なくとも1つは、CR、N及びNHから、それぞれ独立して選ばれ;
、R1a及びR1bは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、オキソ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、及びC−Cハロアルコキシから、それぞれ独立して選ばれ;好ましくは、R1a及びR1bは、両方共にC−Cアルコキシであることはない;
【0014】
は、水素又は式:−(CH−L−Mで表される基であり;そして
(式中、
Lは、O又はNRであり;
Mは、
(i)水素;又は
(ii)各々が置換されていてもよい、そして好ましくは(a)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミノカルボニル、シアノ、ニトロ、オキソ及び−COOH;及び(b)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ及びシアノから、それぞれ独立して選ばれる0から3個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルカノイルオキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルエーテル、フェニルC−Cアルキル、フェニルC−Cアルコキシ、モノ及びジ(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルキルスルホニル、及び(4から7員の複素環)C−Cアルキル;から、それぞれ独立して選ばれる0から6個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cアルカノン、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルケニル、4から10員の炭素環又は複素環、又はRと一緒になって、4から10員の複素環を形成しており;
【0015】
は、水素、又はC−Cアルキル、又はRはMと一緒になって、置換されていてもよい複素環であり;そして、
nは、1、2又は3である。)
は、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、又はシアノである。
【0016】
更なる様態に於いて、本発明のカプサイシン受容体作動薬は、式IIを満たしている化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
式II:
【化015】

式中、
Arは、Rからそれぞれ独立して選ばれる0から3個の置換基で置換されている、フェニル、ピリジル又はピリミジルであり;
Arは、Rからそれぞれ独立して選ばれる0から6個の置換基で置換されている、ナフチル、キノリニル又はキナゾリニルであり;
Arは、Rからそれぞれ独立して選ばれる0から4個の置換基で置換されている、ベンズイミダゾリル又はインドリルであり;そして、
【0017】
は、(i)及び(ii)から、それぞれ独立して選ばれる:
(i)は、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、アミノカルボニル及び−COOHであり;そして
(ii)は、各々が置換されていてもよい、そして好ましくは、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ及びシアノから、それぞれ独立して選ばれる0から3個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルカノイルオキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルエーテル、モノ及びジ(C−Cアルキル)アミノ及びC−Cアルキルスルホニルである。
【0018】
更なる様態に於いて、本発明のカプサイシン受容体作動薬は、式IIIを満たしている化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
式III:
【化016】

式中、
及びRは、水素、ハロゲン、シアノ、アミノ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルケニル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、又はモノ若しくはジ−(C−Cアルキル)アミノから、それぞれ独立して選ばれるか;又は、
及びRは、一緒になって、Rから選ばれる0から3個の置換基で置換されている、5又は6員の炭素環又は複素環であり;
Y及びZは,それぞれ独立して、CH又はNであり;
Ar及びArは、各々が置換されていてもよい、そして好ましくは、Rからそれぞれ独立して選ばれる1から3個の置換基で置換されている、フェニル、又は6員のヘテロアリールであり;
【0019】
は、(i)及び(ii)から、それぞれ独立して選ばれる:
(i)は、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、アミノカルボニル及び−COOHであり;そして
(ii)は、各々が置換されていてもよい、そして好ましくは、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ及びシアノから、それぞれ独立して選ばれる0から3個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルカノイルオキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルエーテル、モノ及びジ(C−Cアルキル)アミノ及びC−Cアルキルスルホニルである。
【0020】
ある様態に於いて、本明細書に記載されているようなカプサイシン受容体作動薬は、カプサイシン受容体の結合試験に於いて、1マイクロモル、100ナノモル、又は10ナノモル以下のK値を示す、及び/又は、カプサイシン受容体作動薬の試験に於いて、1マイクロモル、100ナノモル、又は10ナノモル以下のEC50値を示す。好ましい化合物は一般に、より高い効能(すなわち、より低いK値若しくはEC50値)を有しているものである。
【0021】
更なる態様に於いて、本明細書に記載されているようなカプサイシン受容体作動薬は、1マイクロモルの濃度では、VR1のカルシウム非固定化試験に於いて、100nMのカプサイシンによって発現される応答の少なくとも30%、又は少なくとも80%の作動薬応答を発現させる。
ある様態に於いて、本明細書に記載されているような化合物は、検出可能な(例えば、放射線標識された、若しくはフルオレセイン共役された)マーカーで標識されている。
【0022】
他の様態に於いて、本発明は、少なくとも1つの本発明のカプサイシン受容体作動薬を、生理学的に許容される担体又は賦形剤と共に包含する医薬組成物を提供する。
ある様態に於いて、本発明は、少なくとも1つの本発明のカプサイシン受容体作動薬と、カプサイシン受容体を発現する細胞を接触させることからなる、細胞中のカプサイシン受容体のカルシウム伝達を増進する方法を提供する。
【0023】
他の様態に於いて、本発明は、少なくとも1つの本発明のカプサイシン受容体作動薬の治療有効量を、患者に投与することからなる、患者に於けるカプサイシン受容体調節の応答に関連する疾患を治療する方法を提供する。
関連する様態に於いて、少なくとも1つの本発明のカプサイシン受容体作動薬の治療有効量を、患者に投与することからなる、患者の疼痛を治療する方法が提供される。
【0024】
痒み、尿失禁、咳及び/又はしゃっくりの1つ以上に罹っている患者に、少なくとも1つの本発明のカプサイシン受容体作動薬の治療有効量を投与することからなる、患者における痒み、尿失禁、咳及び/又はしゃっくりを治療する方法が更に提供される。
本発明は更に、少なくとも1つの本発明のカプサイシン受容体作動薬の治療有効量を、肥満患者に投与することからなる、肥満患者の減量を促進する方法を提供する。
【0025】
更なる態様において、本発明は、少なくとも1つの本発明のカプサイシン受容体作動薬の治療有効量を、患者に投与することからなる、患者の体温を下げる方法を提供する。
更に、(a)化合物がカプサイシン受容体と結合できる条件下に、試料を本発明のカプサイシン受容体作動薬と接触させる;そして、(b)カプサイシン受容体と結合する化合物のレベルを検出し、これから試料中のカプサイシン受容体の有無を決定する;の工程からなる、試料中のカプサイシン受容体の有無を決定するための方法を提供する。
【0026】
本発明はまた、(a)容器中の本明細書に記載されているような医薬組成物;及び(b)疼痛のような、カプサイシン受容体の活性の調節の応答に関連する1つ又はそれ以上の疾患の治療に、当該組成物を使用するための使用説明書;を含有してなる、包装された医薬品を提供する。
更に他の態様によれば、本発明は中間体を含め、本明細書に開示されている化合物の製造方法を提供する。
本発明のこれら及び他の態様は、以下の詳細な説明を参照することにより明瞭となるであろう。
【0027】
(発明の詳細な説明)
上で述べたように、本発明はカプサイシン受容体作動薬を提供する。このような化合物は、インビトロ又はインビボで、カプサイシン受容体の活性を調節するために様々な状況下で使用できる。
【0028】
(用語)
化合物は一般に、本明細書には標準の命名法を用いて記載されている。不斉中心を有している化合物については、(特定される以外は)全ての光学異性体及びこれらの混合物は範囲内であることを理解すべきである。更に、炭素−炭素2重結合を有している化合物は、Z体及びE体を生じ、特定される以外は、全ての異性体が本発明に含まれる。多種の互変異性体の形態で存在する化合物においては、表示されている化合物は1つの特定の互変異性体に限定されず、むしろ全ての互変異性体の形態を含むように意図されている。ある化合物は、可変基(例えば、R、Ar、X)を含む一般式を用いて、本明細書では記載されている。特定しない限り、そのような式の可変基の各々は、他の可変基からそれぞれ独立して定義されており、式中に一度以上現れるどの可変基も、その都度それぞれ独立して定義される。
【0029】
本明細書で用いられる「カプサイシン受容体作動薬」又は「VR1作動薬」という用語は、受容体の基礎活性レベル以上にVR1の活性を高める(すなわち、VR1活性、及び/又はVR1が介在するシグナル伝達を高める)化合物を意味する。カプサイシン受容体作動薬の活性は、実施例7に提供される代表的な試験法を用いて同定できる。一般に、このような作動薬は、実施例7に提供される試験法に於いて、1マイクロモル未満、好ましくは100ナノモル未満、より好ましくは10ナノモル未満のEC50値を有している。本発明のあるカプサイシン受容体作動薬は、式Ia、Ib、II又はIIIを満たしている(及び1つ又はそれ以上の副式を追加的に満たしている)化合物、又はこのような化合物の薬学的に許容される塩である。他の様態に於いて、本発明のカプサイシン受容体作動薬は、非バニロイド化合物である(すなわち、隣接する環員炭素に結合する2個の酸素原子を有しているフェニル環を包含しない)。
カプサイシン受容体作動薬は、VR1のK値が1マイクロモル未満、好ましくはK値が100ナノモル又は10ナノモル以下であるならば、「高い親和性」で結合している。VR1でのK値を測定するための代表的な試験法は、本明細書の実施例6に提供されている。
【0030】
本明細書で挙げられる化合物の「薬学的に許容される塩」は、化合物の酸又は塩基の塩形態であり、この塩形態は過度な毒性又は発ガン性をもたらさず、好ましくは、刺激、アレルギー反応、又はその他の問題もしくは合併症をもたらさずに、ヒト又は動物の組織に接触させて用いるのに適している。このような塩は、アミンのような塩基残基の鉱酸及び有機酸塩を、またカルボン酸のような酸残基のアルカリ又は有機塩を包含する。具体的な薬学的に許容される塩は、これに限定されないが、塩酸、リン酸、臭化水素酸、リンゴ酸、グリコール酸、フマル酸、硫酸、スルファミン酸、スルファニル酸、ギ酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエチルスルホン酸、硝酸、安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ステアリン酸、サリチル酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、パモン酸、コハク酸、フマール酸、マレイン酸、プロピオン酸、ヒドロキシマレイン酸、ヨウ化水素酸、フェニル酢酸、酢酸のようなアルカノイル酸、HOOC−(CH)n−COOH(nは0〜4である)等のような酸の塩を包含する。同様に、薬学的に許容されるカチオンは、これに限定されないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、リチウム及びアンモニウムを包含する。当業者には、本発明で提供される化合物のための更なる薬学的に許容される塩が、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,PA,p.1418(1985)に記載されているものを包含しているということを認識されるものである。一般的に、薬学的に許容される酸又は塩基の塩は、塩基又は酸の部位を含んでいる親化合物からいくつかの慣用の化学的方法によって合成することができる。つまり、このような塩は、これの化合物の遊離酸又は塩基形態を、水又は有機溶媒、又はこれらの混合物中で、化学量論的な量の適当な塩又は酸と接触させることによって調製でき;一般的に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルのような非水溶媒の使用が好ましい。
【0031】
本明細書に示される式で表される化合物の各々は、水和物、溶媒和物又は非共有錯体の形態とすることができるが、必ずしも必要というわけではない。更に、各種の結晶形及び多形体は本発明の範囲内である。本発明の化合物のプロドラッグも、本発明で提供される。
「プロドラッグ」は、本発明で提供される化合物の構造的な要求を完全に充たすものではないが、患者へ投与した後に、インビボで修飾されて、本明細書に示される式のうちの一つで表される化合物を生ずるものである。例えば、プロドラッグは本発明で提供される化合物のアシル化誘導体であってもよい。プロドラッグは、哺乳動物に投与した後に開裂してそれぞれ遊離のヒドロキシ、アミノ又はメルカプト基を形成する、ヒドロキシ、アミノ又はメルカプト基と任意の基とが結合している化合物を包含している。プロドラッグの例は、これに限定されないが、本発明の化合物中のアルコール及びアミン官能基の酢酸、ギ酸及び安息香酸の誘導体を包含する。本発明の化合物のプロドラッグは、化合物中に存在する官能基を、修飾体がインビボで開裂して親化合物になるような方法で、修飾することによって調製することができる。
【0032】
本明細書で用いられる「アルキル」という用語は、直鎖状若しくは分枝鎖状の飽和脂肪族炭化水素を示している。アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、2−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、3−メチルペンチル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロペンチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びノルボルニルのような、1から8個の炭素原子(C−Cアルキル)、1から6個の炭素原子(C−Cアルキル)及び1から4個の炭素原子(C−Cアルキル)を有している基を包含する。「C−Cアルキル」は、単共有結合(C)又は1、2、3又は4個の炭素原子を有しているアルキル基を示し;「C−Cアルキル」は、単共有結合又はC−Cアルキル基を示し;「C−Cアルキル」は、単共有結合又はC−Cアルキル基を示している。
【0033】
「アルキレン」は、上記で定義されるような、2価のアルキル基を示している。C−Cアルキレンは、単共有結合又は1、2又は3個の炭素原子を有しているアルキレン基を示している。
「シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル、デカヒドロ−ナフタレニル、オクタヒドロ−インデニル、及びシクロヘキセニルのような前述の化合物の部分的飽和の変異体のような、環員原子の全てが炭素である、飽和又は部分的に飽和の環の基を示している。あるシクロアルキル基は、C−Cシクロアルキルであり、この環は5又は6個の、全て炭素である環員原子を含有している。「(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル」は、単共有結合又はC−Cアルキレン基を介して結合するC−Cシクロアルキル基である。
【0034】
「アルコキシ」として本発明で用いられているものは、酸素架橋を介して結合している上記のようなアルキル基を意味する。アルコキシ基は、それぞれ1から8個又は1から4個の炭素原子を有している、C−Cアルコキシ及びC−Cアルコキシ基を包含する。メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、2−ペントキシ、3−ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、2−ヘキソキシ、3−ヘキソキシ、及び3−メチルペントキシが具体的なアルコキシ基である。同様に、「アルキルチオ」基は、硫黄架橋を介して結合している上記のようなアルキルである。
【0035】
「アルキルスルホニル」は、式:−(SO)−アルキルで表される基を示している。アルキルスルホニル基は、それぞれ1から8個又は1から6個の炭素原子を有している、C−Cアルキルスルホニル及びC−Cアルキルスルホニル基を包含する。メチルスルホニルは、代表的なアルキルスルホニル基の1つである。
【0036】
「アルカノイル」という用語は、直鎖状、分枝鎖状又は環状に配列しているアシル基(例えば、−(C=O)−アルキル)を示している。アルカノイル基は、それぞれ2から6個又は2から4個の炭素原子を有している、C−Cアルカノイル及びC−Cアルカノイル基を包含する。エタノイルは、Cアルカノイルである。
【0037】
「アルカノン」は、炭素原子が直鎖状、分枝鎖状又は環状にアルキル配列しているケトン基である。「C−Cアルカノン」、「C−Cアルカノン」及び「C−Cアルカノン」は、それぞれ3から8個、6個又は4個の炭素原子を有しているアルカノン基を示している。例を挙げると、Cアルカノン基は、構造:−CH−(C=O)−CHを有している。
【0038】
同様に、「アルキルエーテル」は、炭素−炭素結合を介して結合する、直鎖状又は分枝鎖状のエーテル置換基を示している。アルキルエーテル基は、それぞれ2から8個、6個又は4個の炭素原子を有している、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルキルエーテル及びC−Cアルキルエーテル基を包含する。例を挙げると、Cアルキルエーテル基は、構造:−CH−O−CHを有している。
【0039】
「アルコキシカルボニル」という用語は、カルボニルを介して結合しているアルコキシ基(すなわち、一般構造:−C(=O)−O−アルキルを有している基)を示している。アルコキシカルボニル基は、それぞれ2から8個、6個又は4個の炭素原子を有している、C−C、C−C及びC−Cアルコキシカルボニル基を包含する。「Cアルコキシカルボニル」は、−C(=O)−OHを示し、これは「C−Cアルコキシカルボニル」という用語に含まれる。
【0040】
「アミノカルボニル」という用語は、アミド基(すなわち、−(C=O)NH)を示している。
本明細書で用いられる「オキソ」という用語は、ケト(C=O)基を示している。非芳香環の置換基であるオキソ基は、−CH−から−C(=O)−への変換をもたらす。オキソ基は、芳香族炭素原子の置換基が−CH−から−C(=O)−へと変換し、結果として芳香族性を失うものである。
【0041】
「アルキルアミノ」は、一般構造:−NH−アルキル又は−N(アルキル)(アルキル)を有している2級又は3級アミンを示し、ここに於いて、アルキルの各々は同一でも異なっていてもよい。このような基は、例えば、モノ及びジ(C−Cアルキル)アミノ基を包含し、ここに於いて、アルキル基の各々は同一でも異なっていてもよく、1から6個の炭素原子を含み、また同様にモノ及びジ(C−Cアルキル)アミノ基も包含する。
【0042】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を示している。
「ハロアルキル」は、1つ又はそれ以上のハロゲン原子で置換されている、直鎖状、分枝鎖状及び環状のアルキル基(例えば、「ハロC−Cアルキル」は1から6個の炭素原子を有し、「ハロC−Cアルキル」は1から4個の炭素原子を有している)である。ハロアルキル基の例は、これに限定されないが、モノ、ジ又はトリフルオロメチル;モノ、ジ又はトリクロロメチル;モノ、ジ、トリ、テトラ又はペンタフルオロエチル;及びモノ、ジ、トリ、テトラ又はペンタクロロエチルを包含する。代表的なハロアルキル基はトリフルオロメチル及びジフルオロメチルである。本発明のある化合物では、5又は3個を越えて多いハロゲンを有しているハロアルキルは存在しない。「ハロアルコキシ」という用語は、酸素架橋を介して結合した、上記で定義したハロアルキル基を示している。「ハロC−Cアルコキシ」基は、1から6個の炭素原子を有している。
【0043】
2つの文字又は記号の間にない、ダッシュ(「−」)は置換基の結合位置を示すために用いられている。例えば、−CONHは、炭素原子を介して結合している。
本発明で用いられているような「ヘテロ原子」は、酸素、硫黄又は窒素である。
「ヘテロシクロアルキル」は、少なくとも1個の環員原子がヘテロ原子である、飽和の環状基である。ヘテロシクロアルキル基は、例えば、モリホリニル、チオモルホリニル及びテトラヒドロピラニルを包含する。
【0044】
「炭素環」又は「炭素環基」は、全てが炭素−炭素結合で形成されている環(本明細書では炭素環として示している)を1つ以上含有しており、複素環を含んでいない。特定する以外は、炭素環中の炭素環の各々は、飽和、部分的に飽和又は芳香族であってもよい。炭素環は一般に、1から3個の縮合、懸吊又はスピロ環を有し、ある態様における炭素環は、1個の環又は2個の縮合環を有している。通常は、環の各々は3から8個の環員原子(すなわち、C−C)を含む。ある代表的な炭素環は、上に記述したようなシクロアルキルである。他の炭素環は、芳香族基(すなわち、フェニル、ベンジル、ナフチル、フルオレニル、インダニル及び1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフチルのような芳香族炭素環を少なくとも1つ以上包含する基)である。炭素環内にある炭素原子は、当然のことながら、更にゼロ、1又は2個の水素原子、及び/又は種々の環置換基と結合していてよい。ある態様に於いて、炭素環は、4から10員の炭素環から選ばれ;他の様態に於いては、炭素環は、5から6員の炭素環から選ばれる。単共有結合又はC−Cアルキレン基を介して結合しているフェニル基は、フェニルC−Cアルキル(例えば、ベンジル、1−フェニル−エチル、1−フェニル−プロピル及び2−フェニル−エチル)を示している。同様に、フェニルC−Cアルコキシは、C−Cアルコキシ残基を介して結合しているフェニルを示している(例えば、フェニルCアルコキシは、ベンジルオキシである)。
【0045】
「複素環」又は「複素環基」は、1から3個の縮合、懸吊又はスピロ環を有し、それらの環の1つ以上が複素環(すなわち、1つ又はそれ以上の環員原子がヘテロ原子で、残りの環員原子が炭素原子である)である。一般に、複素環は、1〜4個のヘテロ原子を含有し;ある態様によれば、複素環の各々は、環当り1又は2個のヘテロ原子を有している。複素環の各々は、一般に3から8個の環員原子を含み(ある態様では、5から7個の環員原子を有している環が列記されている)、そして縮合、懸吊又はスピロ環からなる複素環は、一般に9から14個の環員原子を含んでいる。複素環は、窒素及び/又は炭素原子に於いて、炭素環に対して上記に記載しているような、種々の置換基で置換されていてもよい。他に特定されない限り、複素環はヘテロシクロアルキル基(すなわち、環の各々は飽和又は部分的に飽和である)又はヘテロアリール基(すなわち、環内の少なくとも1つのヘテロ原子含有の環が芳香族である)であってもよい。複素環基は一般に、安定な化合物が得られるなら、何れかの環又は置換基の原子を介して結合できる。N結合の複素環基は、構成の窒素原子を介して結合している。(4から7員の複素環)C−Cアルキルは、単共有結合又はC−Cアルキル基を介して結合している4から7個の環員を有している複素環基である。
【0046】
複素環基は、例えば、アクリジニル、アゼパニル、アゾシニル、ベンズイミダゾリル、ベンズイミダゾリニル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリルカルバゾリル、ベンズテトラゾリル、NH−カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、ジヒドロフロ[2,3−b]テトラヒドロフラン、ジヒドロイソキノリニル、ジヒドロテトラヒドロフラニル、1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカ−8−イル、ジチアジニル、フラニル、フラザニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリル、インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、イソキノリニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドイミダゾリル、ピリドオキサゾリル、ピリドチアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピロリジニル、ピロリドニル、ピロリニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、チアジアジニル、チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チエニル、チオフェニル、チオモルホリニル及び硫黄原子が酸化されたこの変異体、トリアジニル、キサンテニル及び前述のような1から4個の置換基で置換されている前記のものを包含する。
【0047】
本明細書で用いられる「置換基」は、対象の分子中の原子に共有結合している分子の残基を示している。例えば、「環置換基」は、環員である原子(好ましくは炭素原子又は窒素原子)に共有結合しているハロゲン、アルキル基、ハロアルキル基又は本明細書で考察されている他の基のような残基であってよい。「置換」という用語は、分子構造中の水素原子を上記の置換基で、指定された原子の原子価が過剰にならないように、かつ置換の結果化学的に安定な化合物(すなわち、単離でき、特定化でき、生物活性を試験することができる化合物)が得られるように、置き換えることを示している。任意の置換基は、例えば、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、アミノ、モノ又はジ(C−Cアルキル)アミノ、ハロC−Cアルキル、ハロC−Cアルコキシ、−COOH、−CONH、及び/又は−SONHを包含する。それぞれ独立して選ばれる0から3個の置換基で置換されている基は、置換されていない又は1から3個の置換基で置換されている。
【0048】
「VR1」及び「カプサイシン受容体」という用語は、本明細書ではどちらもバニロイド受容体1型を示す同義語として用いられている。他に特定されない限り、これらの用語はラット及びヒトのVR1受容体の両方(例えば、GenBankの受託番号 AF327067、AJ277028及びNM 018727;特定のヒトVR1のcDNA配列表は、米国特許第6,482,611号の配列番号1〜3に示されており、そのコードするアミノ酸配列は配列番号4及び5に示されている)を含み、更に他の種で見出されるこれらの同族体をも含む。
【0049】
「バニロイド」とは、隣接する環員炭素原子(これら炭素原子のうち、1個はフェニル環に結合している第3の残基の結合位置に対してパラ位に位置している)に結合する2個の酸素原子を有しているフェニル環を包含する、カプサイシン又はカプサイシン類縁体である。バニロイドは、10マイクロモル以下のK値(本明細書に記載されているようにして測定された)でVR1と結合するならば、「バニロイドリガンド」である。バニロイドリガンドの作動薬は、カプサイシン、オルバニル、N−アラチドノイル−ドパーミン及びレシニフェラトキシン(RTX)を包含する。バニロイドリガンドの作動薬は、カプサゼピン及びヨード−レシニフェラトキシンを包含する。
【0050】
「治療有効量」(又は用量)とは、患者への投与することにより、患者に認識できる程の利点をもたらす(例えば、治療中の疾患を検出可能な程度軽減する)量である。このような軽減は、痛みのような1つ又はそれ以上の症状の緩和を含む、適当な基準によって検出可能である。治療有効量又は用量とは一般に、インビトロでバニロイドリガンドのVR1との結合を変化させる(実施例6で提供されている試験を用いての測定)及び/又はVR1が介在するシグナル伝達(例えば、実施例7で提供されている試験を用いての測定)を変化させるのに十分である、(血液、血漿、血清、脳脊髄液(CSF)、滑液、リンパ液、細胞間質液、涙液又は尿のような)体液中の化合物の濃度である。
【0051】
「患者」とは、本発明で提供されるようなカプサイシン受容体作動薬で治療される個人であり、ヒト、またペット(例えば、イヌ及びネコ)及び家畜のようなその他の動物も包含する。患者は、カプサイシン受容体の調節の応答に関連する疾患の1つ又はそれ以上の症状(例えば、疼痛)呈していてもよいし、又はこのような症状を呈していなくてもよい(即ち、治療とは予防的な治療であってもよい)。
【0052】
(カプサイシン受容体作動薬)
上述のように、本発明は、疼痛(例えば、神経性又は末梢神経を介する疼痛)及び喘息又は慢性閉塞性肺疾患のような呼吸器疾患を含む、多種の状況下で使用できるカプサイシン受容体作動薬を提供する。カプサイシン受容体作動薬は、インビトロ試験(例えば、受容体活性の試験)において、VR1の検出及び局在性のためのプローブとして、及びリガンド結合及びVR1が介在するシグナル伝達試験における標準としても使用できる。
本発明のカプサイシン受容体作動薬には、バニロイドリガンドではないものもある。このような作動薬は、更に式Ia、Ib、II及びIIIを満足させるものであってもよいが必ずしも必要というわけではない。
【0053】
ある様態に於いて、本発明で提供されるカプサイシン受容体作動薬は、一般式Ia、Ib、II又はIII(又はこれらの副式)の化合物であるか、又はこのような化合物の薬学的に許容される塩である。
【化017】

【0054】
式Iaに於いて、可変基は上記に記述の通りである。ある化合物(式Ia−1の化合物として示している)に於いて、Rはトリフルオロメチルである。式Ia又はIbのある化合物に於いて、Z及びZの少なくとも1つはCHである(例えば、ZはNであるか、ZはNであるか、又はZ及びZは両方共にCHである)か、又はZ及びZの両方がNである。更なるこのような化合物に於いて、AはNである。式Ia又はIa−1の更なる化合物では、XはCR(例えば、CH又はメチルで置換されている炭素)であり、Z及びZは、両方共にCHである。好ましくは、R1a及びR1bは、両方共にC−Cアルコキシであることはない。
【0055】
式Ia又はIa−1のある化合物に於いて、Rは、水素又は
【化018】

であり、ここに於いて、
【化019】

は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、−COOH、C−Cアルキル及びC−Cアルコキシから、好ましくはそれぞれ独立して選ばれる0から3個の置換基で置換されている、4から7員のヘテロシクロアルキル環を示している。
【0056】
式Iaのある化合物は、1つ又はそれ以上の次の式を満たしている。
【化020】

【化021】

【0057】
式Ibに於いて、可変基は上記に記述の通りである。式Ibのある化合物に於いて、ZはNであり、ZはCHであり、及び/又は、ZはOであり、そしてZはCHである。更なるこのような化合物では、Z及びZの少なくとも1つはCHである(例えば、ZはNであるか、又はZはNである)か、又はZ及びZの両方がNである。更なるこのような化合物では、AはNである。
【0058】
式Ibのある化合物に於いて、Rは、水素又は
【化022】

であり、ここに於いて、
【化023】

は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、−COOH、C−Cアルキル及びC−Cアルコキシから、それぞれ独立して選ばれる0から3個の置換基で置換されている、4から7員のヘテロシクロアルキル環を示している。
【0059】
式Ibのある化合物は、1つ又はそれ以上の次の式を満たしている。
【化024】

【0060】
式Iaのある好ましい化合物として、式Ia−iの化合物のように示しているが、R1aは、水素、ハロゲン、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、及びC−Cハロアルコキシよりなる群から選ばれる;そして、
は、水素又は式:−(CH−L−Mで表される基である。
(式中、
Lは、O又はNRであり;
Mは、
(i)水素;又は
(ii)(a)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミノカルボニル、シアノ、ニトロ、オキソ及び−COOH;及び(b)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ及びシアノから、それぞれ独立して選ばれる0から3個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルカノイルオキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルエーテル、フェニルC−Cアルキル、フェニルC−Cアルコキシ、モノ及びジ(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルキルスルホニル、及び(4から7員の複素環)C−Cアルキル;から、それぞれ独立して選ばれる0から6個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cアルカノン、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルケニル、4から10員の炭素環又は複素環、又はRと一緒になって、4から10員の複素環を形成する。)
【0061】
式Iaのある他の好ましい化合物として、式Ia−iiの化合物のように示しているが、R1aは、水素、ハロゲン、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、及びC−Cハロアルコキシよりなる群から選ばれる;そして、
は、式:−(CH−L−Mで表される基である。
(式中、
Lは、O又はNRであり;
Mは、
(i)水素;又は
(ii)(a)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミノカルボニル、シアノ、ニトロ、オキソ及び−COOH;及び(b)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ及びシアノから、それぞれ独立して選ばれる0から3個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルカノイルオキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルエーテル、フェニルC−Cアルキル、フェニルC−Cアルコキシ、モノ及びジ(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルキルスルホニル、及び(4から7員の複素環)C−Cアルキル;から、それぞれ独立して選ばれる0から6個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cアルカノン、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルケニル、4から10員の炭素環又は複素環、又はRと一緒になって、4から10員の複素環を形成する。)
【0062】
式Iaの更なる他の好ましい化合物として、式Ia−iiiの化合物のように示しているが、R1aは、水素、ハロゲン、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、及びC−Cハロアルコキシよりなる群から選ばれる;そして、R2aは、水素、ハロゲン、シアノ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、及びC−Cハロアルコキシよりなる群から選ばれる。
【0063】
式Iaの他の好ましい化合物は、式Ia−ivの化合物のように示しているが、式Iaのこれらの化合物を包含し、R1aは、水素、ハロゲン、シアノ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、及びC−Cハロアルコキシよりなる群から選ばれる;そして、R2aは、水素、ハロゲン、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、及びC−Cハロアルコキシよりなる群から選ばれる。
【0064】
式Iaのある他の好ましい化合物として、式Ia−vの化合物のように示しているが、RがC−Cアルキルであるか、又はR、R1a及びR1bが水素である時には、Rは、式:−(CH−L−Mで表される基である。
(式中、
Lは、O又はNRであり;
Mは、
(i)水素;又は
(ii)(a)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミノカルボニル、シアノ、ニトロ、オキソ及び−COOH;及び(b)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ及びシアノから、それぞれ独立して選ばれる0から3個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルカノイルオキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルエーテル、フェニルC−Cアルキル、フェニルC−Cアルコキシ、モノ及びジ(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルキルスルホニル、及び(4から7員の複素環)C−Cアルキル;から、それぞれ独立して選ばれる0から6個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cアルカノン、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルケニル、4から10員の炭素環又は複素環、又はRと一緒になって、4から10員の複素環を形成する。)
【0065】
更に他の様態に於いて、式Ia−viの化合物のように示される、式Iaの化合物は、
が、水素又は式:−(CH−L−Mで表される基であり;そして、
(式中、
Lは、O又はNRであり;
Mは、
(i)水素;又は
(ii)(a)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミノカルボニル、シアノ、ニトロ、オキソ及び−COOH;及び(b)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ及びシアノから、それぞれ独立して選ばれる0から3個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルカノイルオキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルエーテル、フェニルC−Cアルキル、フェニルC−Cアルコキシ、モノ及びジ(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルキルスルホニル、及び(4から7員の複素環)C−Cアルキル;から、それぞれ独立して選ばれる0から6個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cアルカノン、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルケニル、4から10員の炭素環又は複素環、又はRと一緒になって、4から10員の複素環を形成しており、
は、水素、又はC−Cアルキル、又はRはMと一緒になって、置換されていてもよい複素環を形成しており;そして、
nは、1、2又は3である。)
は、C−Cアルキル、又はシアノである。
【0066】
更に他の様態に於いて、式Ia−viiの化合物のように示される、式Iaの化合物は、
が、水素又は式:−(CH−L−Mで表される基であり;そして、
(式中、
Lは、O又はNRであり;
Mは、
(i)水素;又は
(ii)(a)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミノカルボニル、シアノ、ニトロ、オキソ及び−COOH;及び(b)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ及びシアノから、それぞれ独立して選ばれる0から3個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルカノイルオキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルエーテル、フェニルC−Cアルキル、フェニルC−Cアルコキシ、モノ及びジ(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルキルスルホニル、及び(4から7員の複素環)C−Cアルキル;から、それぞれ独立して選ばれる0から6個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cアルカノン、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルケニル、4から10員の炭素環、又はRと一緒になって、4から10員の複素環を形成しており、
は、水素、又はC−Cアルキル、又はRはMと一緒になって、置換されていてもよい複素環を形成しており;そして、
nは、1、2又は3である。)
は、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、又はシアノである。
【化025】

【0067】
式IIに於いて、可変基は上記に記述の通りである。式IIのある化合物は、更に式IIaを満たしている。
【化026】

ここに於いて、R、R及びRは、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ及びC−Cアルコキシから、それぞれ独立して選ばれる0から3個の置換基を示し;Rは、水素、C−Cアルキル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ又はC−Cアルキルエーテルであり;そして、Rは、C−Cアルキル又はC−Cアルコキシである。ある様態に於いて、Rは、C−Cアルキル又はC−Cアルコキシ(例えば、エトキシ)である。Rと表される置換基の各々は、ナフタレン基のどちらかの環上の適当な環員原子に位置している。
【0068】
式IIaのある化合物に於いて、Rは、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、プロピル、ブチル、ペンチル、シクロペンチル、プロペニル又はメトキシエチルであり;及び/又は、Rは、エトキシである。更にこのような化合物では、Rは(例えば、フェニルの結合位置のパラ位とオルト位に)2個の置換基を表している。式IIaの更なる化合物では、R及びRは、それぞれ独立して0又は1個の置換基であり;あるこのような化合物では、Rは0個の置換基を示している。
【化027】

【0069】
式IIIに於いて、可変基は上記に記述の通りである。式IIIのある化合物は、更に式IIIaを満たしている。
【化028】

ここに於いて、W及びXは、それぞれ独立してN又はCHであり;そして、RはRからそれぞれ独立して選ばれる0から3個の置換基を表している。
式IIIaのある化合物は、更に式IIIbを満たしている。
【化029】

ここに於いて、Rは、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、及びC−Cハロアルコキシから、それぞれ独立して選ばれる1から2個の置換基を示し;Rは、ヒドロキシ、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル及びC−Cハロアルコキシから、それぞれ独立して選ばれる0から2個の置換基を示している。
【0070】
本発明で提供されるカプサイシン受容体作動薬は一般に、VR1と結合する。このような結合は、VR1リガンドの結合試験を用いて測定できる。本発明に於ける「VR1リガンド結合試験」とは、実施例6で提供されているような標準インビトロ受容体結合試験を参照することを意図されている。つまり、VR1との結合を評価するために、VR1調合液をVR1(例えば、RTXのようなカプサイシン受容体作動薬)と結合する(例えば、125I又はHの)標識化合物及び標識されていない試験化合物と共に培養して、競合試験を実施することができる。本発明に示される試験において、使用されるVR1は哺乳動物のVR1が好ましく、より好ましくはヒト又はラットのVR1である。受容体は組み換え技術で発現させたもの又は天然に発現しているものを用いてもよい。VR1調合液は、例えば、ヒトVR1を組み換え技術で発現するHEK293又はCHO細胞からの膜調合液であってよい。バニロイドリガンドがVR1に結合するのを検出可能な程度調節する化合物と培養すると、当該化合物を添加していない場合に結合した標識の量に比べて、VR1調合液と結合する標識の量が減少又は増加する。この様な増減は、本明細書に記載されているように、VR1におけるK値の測定に用いられる。ある好ましいカプサイシン受容体作動薬として、このようなカプサイシン受容体リガンド結合試験に於けるK値は、作動薬1マイクロモル未満、100ナノモル未満、又は10ナノモル未満が好ましい。
【0071】
カプサイシン受容体作動薬の活性は、実施例7で提供されているような、標準のインビトロでのVR1が介在するカルシウム非固定化試験を用いて測定できる。つまり、又は更に、化合物は、実施例10に提供されているような培養脊髄後根神経節試験及び/又は実施例11に提供されているようなインビボ疼痛緩和試験を用いて評価できる。本発明のカプサイシン受容体作動薬は、好ましくは、1つ又はそれ以上のこのような機能試験で、VR1活性について統計的に有意な特異的効果を有している。好ましくは、本発明のカプサイシン受容体作動薬は、1マイクロモルの濃度で、100ナノモルによって増加する応答の、少なくとも30%、より好ましくは80%の量を増加させる。
【0072】
カプサイシン受容体作動薬は、バニロイドリガンドがVR1及び又はVR1が介在するシグナル伝達(例えば、実施例7に提供される代表的な試験法を用いて)に結合するのを検出可能な程度阻害するならば、拮抗薬でもある。カプサイシン受容体作動薬は、必ずしも必要ではないが、検出可能な程度のVR1拮抗薬の活性をも有していてもよい。ある様態に於いては、本発明のカプサイシン受容体作動薬は、実施例7の試験に於いて、検出可能な程のVR1拮抗薬の活性を全く有していない。
【0073】
好ましいカプサイシン受容体作動薬は、非鎮静剤である。すなわち、疼痛緩和測定の動物モデル(本発明の実施例11に提供されるモデルのような)に於いて、無痛覚を十分にもたらす最小用量の2倍である化合物の用量は、鎮静動物モデル試験(Fitsgerald et al. (1988) Toxicology 49 (2-3): 433-9 に記載の方法を用いて)において、一時的(すなわち、疼痛緩和持続時間の1/2以下持続する)又は好ましくは、統計的に有意性のない鎮静のみを引き起こす。好ましくは、無痛覚をもたらすのに十分な最小用量の5倍の用量が、統計的に有意な鎮静を引き起こさない。より好ましくは、本発明の化合物は、25mg/kg未満(好ましくは10mg/kg未満)の静脈内用量で、又は140mg/kg未満(好ましくは、50mg/kg未満、より好ましくは、30mg/kg未満)の経口用量で、鎮静を引き起こさない。
【0074】
必要に応じて、本発明のカプサイシン受容体作動薬は、幾つかの薬理学的性質について評価することが可能である。これらの性質には、経口バイオアベイラビリティー(好ましい化合物は、140mg/kg未満、好ましくは50mg/kg未満、より好ましくは30mg/kg未満、更に好ましくは10mg/kg未満、更により好ましくは1mg/kg未満、そして最も好ましくは0.1mg/kg未満の経口用量で、化合物の治療有効濃度が達成される程度まで経口投与可能なものである)、毒性(好ましい化合物は、治療有効量を患者に投与したときに非毒性である)、副作用(好ましい化合物は、化合物の治療有効量を患者に投与したときの副作用がプラセーボと同等のものである)、血清蛋白との結合性、並びにインビトロ及びインビボ半減期(好ましいカプサイシン受容体作動薬は、1日4回(Q.I.D.)投与、好ましくは1日3回(T.I.D.)投与、より好ましくは1日2回(B.I.D.)投与、そして最も好ましくは1日1回投与を容認する程のインビボ半減期を示す)が含まれるが、これらに限定されるものではない。更に、上述したような1日の総経口用量で、中枢神経系(CNS)に於けるVR1活性を治療上有効に調節し、それにより疼痛を治療することに用いられる化合物としては、血液脳関門の差別化された透過(differential penetration)が望ましいのかもしれないが、末梢神経が介在する疼痛の治療には、カプサイシン受容体作動薬の脳に於けるレベルが低い方(すなわち、化合物の脳(例えば、CSF)レベルが、VR1活性を有意に調節するには十分とは言えないような用量)が好ましいとも言えるのである。これらの性質を評価し、そして特定の使用のための優れた化合物を確認するために、当該技術分野でよく知られている通常の試験が用いられる。例えば、バイオアベイラビリティーを予測するために用いられる試験には、Caco−2細胞単層を含む、ヒト腸細胞単層間の輸送試験が含まれる。ヒトにおける化合物の血液脳関門の透過は、化合物を投与(例えば、静脈内投与)した実験動物の脳内レベルから予測することが可能である。血清蛋白質の結合は、アルブミン結合試験から予測できる。化合物の半減期は、化合物の投与頻度に反比例する。化合物のインビトロ半減期は、本明細書実施例8に記載されているようなミクロソーム半減期の試験から予測できる。
【0075】
本発明の好ましいカプサイシン受容体作動薬は、非毒性である。一般に、本明細書で用いられる「非毒性」という用語は、米国食品医薬品局(「FDA」)によって哺乳動物(好ましくはヒト)への投与が承認されているか又は、判定基準に従って、FDAにより哺乳動物(好ましくはヒト)への投与が承認される可能性がある、何れの化合物についても言及するものであると相対的に理解されたい。更に、非常に好ましい非毒性の化合物は一般的に、以下の判定基準(1)細胞のATP生成を実質的に阻害しない;(2)心臓のQT間隔を有意に延長しない;(3)実質的な肝肥大を引き起こさない;又は(4)肝酵素の実質的な放出を引き起こさない;の、1つ又はそれ以上を充たすものである。
【0076】
本明細書で用いられる、細胞のATP産生を実質的に阻害しない化合物とは、本明細書の実施例9で示されている判定基準を充たしている化合物である。つまり、実施例9で述べられているように100μMのこのような化合物で処理された細胞は、非処理の細胞で検出されるATPレベルの少なくとも50%のATPレベルを示す。更に非常に好ましい態様によると、このような細胞は、非処理の細胞で検出されるATPレベルの少なくとも80%のATPレベルを示す。
【0077】
心臓のQT間隔を有意に延長しない化合物とは、当該化合物のEC50値又はIC50値に等しい血清濃度を生じる用量を投与したモルモット、ミニブタ又はイヌにおいて、心臓のQT間隔を統計的有意に延長しない(心電図記録で測定して)化合物のことである。ある好ましい態様において、0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、40又は50mg/kgの注射又は経口用量は、心臓のQT間隔の統計的に有意な延長をもたらさない。「統計学的に有意に」とは、スチューデントT検定のような統計的有意性の標準パラメーター試験を用いて測定した、対照との差異で表され、有意性のレベルがp<0.1又は、より好ましくはp<0.05となることを意味する。
【0078】
実験用齧歯動物(例えば、マウス又はラット)に当該化合物のEC50値又はIC50値に等しい血清濃度を生じる用量を5〜10日間、毎日投与する治療を施しても、対照と比較した場合の、肝臓の対体重比の増加が100%以下であれば、化合物は、実質的な肝肥大をもたらさない。更に極めて好ましい態様においては、このような用量は、対応する治療を施していない対照と比較して75%を越える又は50%を越える肝肥大をもたらさない。非齧歯動物(例えば、イヌ)を用いると、このような用量は、対応する治療を施していない対照に対して50%を超える肝臓の対体重比の増加をもたらさず、肝臓の対体重比の増加は好ましくは25%以下、そしてより好ましくは10%以下である。このような試験における好ましい用量は、0.01、0.05、0.1、0.5、1、5、10、40又は50mg/kgの注射又は経口投与を包含する。
【0079】
同様に、実験用齧歯動物に、当該化合物のEC50値又はIC50値に等しい血清濃度を生じる最小用量の2倍量を投与しても、偽治療を施した対照のALT、LDH又はASTの血清レベルを100%を越えて上昇させないならば、化合物は肝酵素の実質的な放出を促進しない。更に極めて好ましい態様においては、このような用量は、これらの血清レベルを対応する対照に較べて75%を越えて又は50%を越えて上昇させない。また、化合物は、インビトロ肝細胞試験において、当該化合物のEC50値又はIC50値に等しい濃度(インビトロで肝細胞と接触させて培養する培養液又は溶液中の濃度)が、培養液中にこのような肝酵素を、対応の偽治療を施した対照細胞の培養液中で見られる基礎レベルを超えて、検出可能な程度の放出を引き起こさないなら、肝酵素の実質的な放出を促進しない。更に極めて好ましい態様においては、このような化合物の濃度が、当該化合物のEC50値又はIC50値の5倍、及び好ましくは10倍であっても、基礎レベル以上に、このような肝酵素を培養液に検出可能な程放出しない。
【0080】
他の態様において、好ましい化合物は、当該化合物のEC50値又はIC50値に等しい濃度で、CYP1A2活性、CYP2A6活性、CYP2C9活性、CYP2C19活性、CYP2D6活性、CYP2E1活性又はCYP3A4活性のような、ミクロソーム・チトクロームP450酵素活性を阻害又は誘発しない。
好ましい化合物は、当該化合物のEC50値又はIC50値に等しい濃度では、(例えば、マウス赤血球前駆細胞小核試験、エームス小核試験、らせん小核試験などを用いて測定されるように)染色体異常を誘発しない。他の態様に於いて、ある好ましい化合物は、このような濃度では(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞において)姉妹染色分体交換を誘発しない。
【0081】
以下で更に詳細に考察されるように、本発明の化合物は、検出を目的とする同位体標識又は放射性標識が可能である。それに応じて、本発明のカプサイシン受容体作動薬は、一般に自然界で見出される原子量又は質量数とは異なる原子量又は質量数を有している同じ元素の原子で置き換えられた、1つ又はそれ以上の原子を有することができる。本発明の化合物に存在させることができる同位体の例は、H、H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F及び36Clのような、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素及び塩素の同位体を包含する。更に、重水素(すなわち、H)のような重同位体は、例えばインビボ半減期の増加又は必要用量の減少のような大きな代謝安定性に起因する治療効果をもたらすので、特定の状況においては好ましい。
【0082】
(カプサイシン受容体作動薬の調製)
本発明のカプサイシン受容体作動薬は一般的に、標準的な合成法を用いて調製できる。出発物質は、シグマ−アルドリッチ社;セントルイス,ミズーリ州、(Sigma-Aldrich Corp.; St. Louis, MO)のような供給業者から購入できるか、又は市販の前駆物質から確立された方法で合成することできる。例として、下記スキームの何れかに示されているのと同様な合成経路は、有機化学合成の技術において知られている合成方法、又は当業者によって評価されているこれらの変法、と共に使用することができる。下記スキーム中の各可変基は、本発明に於ける化合物の記載に一致した基を示す。
【0083】
以下のスキームに於いて、「還元」という用語は、ニトロ基を還元して、アミン基にする工程を示す。この変換は、これに限定されないが、触媒の水素化反応、SnClによる還元反応、及び三塩化チタンによる還元反応を包含する、当業者に周知の種々の有機合成によって実施される。還元方法の概観は、「Hudlicky, M, Reductions in Organic Chemistry, ACS Monograph 188: 1996 」を参照のこと。
【0084】
「活性化」という用語は、アミド残基のカルボニルを適当な脱離基(L)に変換する、合成の変換を示す。この変換を実施するのに適した試薬は、有機合成の当該技術分野の当業者にはよく知られており、SOCl、POCl及び無水トリフルオロメタンスルホン酸を含むが、これに限定されない。
【0085】
式Ia及びIbの化合物は一般に、2003年7月31日に公開のPCT出願公開公報第WO03/062209号に記載のように実質的に調製されるが、当該化合物合成の教示として、その39〜41頁及び68〜73頁を参照し、本明細書に取り込むものである。スキームIa〜Ic並びに実施例1及び2は、このような合成法を示している。式IIの化合物は、スキーム2及び実施例3に示されるように合成される。式IIIの化合物は、スキーム3及び実施例4に示されるように合成される。
【化030】

【化031】

【化032】

【化033】

【化034】

【0086】
ある態様に於いて、カプサイシン受容体作動薬は、1つ又はそれ以上の不斉炭素原子を含有することができる、それ故、化合物は異なった立体異性形態で存在することができる。このような形態は、例えば、ラセミ体又は光学活性体の形態になる。上記で述べたように、全ての立体異性体は、本発明の範囲に入る。それにもかかわらず、単一の鏡像異性体(すなわち、光学活性体)を得ることが望ましい。単一の鏡像異性体を製造する標準的な方法は、不斉合成及びラセミ分割方法を包含する。ラセミ分割は、例えば、分割剤の存在下での結晶化、又はキラルHPLCカラムを用いるクロマトグラフィーのような従来の方法によって達成される。
【0087】
化合物は、放射性同位体である原子を少なくとも1つ含有している前駆物質を用いて合成を実施することにより放射性標識できる。それぞれの放射性同位体は、炭素(例えば、14C)、水素(例えば、H)、硫黄(例えば、35S)、又はヨウ素(例えば、125I)が好ましい。トリチウムでの標識化合物も、基質として当該化合物を用いて、トリチウム化酢酸中での白金触媒の交換反応、トリチウム化トリフルオロ酢酸中での酸触媒の交換反応、又はトリチウムガスとの不均一系触媒の交換反応、を介する触媒作用によって調製することができる。更に、ある前駆体は、必要に応じて、トリチウムガスとトリチウム・ハロゲン交換反応、不飽和結合のトリチウムガス還元反応、又はナトリウムボロトリタイドを用いる還元反応に付すことができる。放射性標識化合物は、放射性標識のプローブ化合物の受注合成を専門とする放射性同位体供給業者によって容易に調製される。
【0088】
(医薬組成物)
本発明は、1つ又はそれ以上のカプサイシン受容体作動薬を、少なくとも1つの生理的に許容される担体又は賦形剤と共に、含有してなる医薬組成物も提供する。医薬組成物は、例えば、水、緩衝液(例えば、中性に緩衝された食塩水、又はリン酸緩衝食塩水)、エタノール、鉱物油、植物油、ジメチルスルホキシド、糖質(例えば、ブドウ糖、マンノース、蔗糖又はデキストラン)、マンニトール、タンパク質、アジュバント、ポリペプチド又はグリシンのようなアミノ酸、抗酸化剤、EDTA又はグルタチオンのようなキレート剤及び/又は保存剤を、1つ又はそれ以上含有していてもよい。上記に記述したように、他の有効成分を、本発明で提供される医薬組成物に含有させてもよい(が、必ずしも必要ではない)。
【0089】
医薬組成物は、例えば、局所、経口、経鼻、直腸内又は非経口投与を含む、適切な投与方法のために製剤化できる。本明細書で用いられる非経口という用語は、皮下、皮内、血管内(例えば、静脈内)、筋肉内、脊髄、頭蓋内、鞘内及び腹腔内注射を、また同様な注射又は注入法も包含する。ある態様に於いて、経口使用に適する形態の組成物が好ましい。このような形態は、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ(薬用キャンデー)、水性又は油性懸濁液、分散性の粉末又は顆粒、乳剤、硬又は軟カプセル、又はシロップ又はエリキシルを包含する。更なる他の態様に於いて、本発明の組成物は、凍結乾燥物として製剤化できる。局所投与用の製剤は、ある状況(例えば、皮膚の症状を治療する場合)では好ましい。
【0090】
経口使用のための組成物は更に、魅力的かつ味の良い製剤を提供するために、甘味剤、着香剤、着色剤及び/又は保存剤のような成分を、1つ又はそれ以上含有していても良い。錠剤は、有効成分を錠剤の製造に適当な生理的に許容される賦形剤と共に含有している。このような賦形剤は、例えば、不活性希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳酸、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム)、顆粒化及び崩壊剤(例えば、トウモロコシ澱粉又はアルギン酸)、結合剤(例えば、澱粉、ゼラチン又はアラビアゴム)及び滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルク)を包含する。錠剤は非被覆であるか、又は胃腸管における崩壊及び吸収を遅らせて、長期間にわたる除放作用を示すようにする公知の技術によって被覆することができる。例えば、モノステアリン酸グリセリン又はジステアリン酸グリセリンのような時間遅延物質が使用できる。
【0091】
経口使用のための製剤は、有効成分を不活性固体希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリン)と混合した硬カプセル、又は有効成分を水又は油性媒体(例えば、ピーナッツオイル、流動パラフィン又はオリーブオイル)と混合した軟ゼラチンカプセルとして提供されてもよい。
【0092】
水性懸濁剤は、水性懸濁剤の製造に適している賦形剤の混合物に、活性物質を含有している。このような賦形剤は、懸濁化剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム及びアラビアゴム);及び分散又は湿潤剤(例えば、レクチンのような自然界にあるリン脂質、ステアリン酸ポリオキシエチレンのようなアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、ヘプタデカエチレンオキシセタノールのようなエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトールのようなエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物、又はモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンのような脂肪酸及びヘキシトール無水物からから誘導される部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物)を包含する。水性懸濁剤は、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチル又はn−プロピルのような1つ又はそれ以上の保存剤、1つ又はそれ以上の着色剤、1つ又はそれ以上の着香剤、及び蔗糖又はサッカリンのような1つ又はそれ以上の甘味剤を含有していてもよい。
【0093】
油性懸濁剤は、有効成分を植物油(例えば、ラッカセイ油、オリーブオイル、ごま油又はココナッツオイル)、又は流動パラフィンのよう鉱物油に懸濁させることによって製剤化できる。油性懸濁剤は、蜜蝋、固形パラフィン又はセチルアルコールのような増粘剤を含有することができる。味の良い経口用製剤を提供するために、上記のような甘味剤及び/又は着香剤を添加することができる。このような懸濁剤は、アスコルビン酸のような抗酸化剤の添加により保存されてもよい。
【0094】
水を加えて水性懸濁剤を調製するのに適した分散性の粉末又は顆粒は、分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤、及び1つ又はそれ以上の保存剤と混合して、有効成分を提供する。適当な分散又は湿潤剤及び懸濁化剤は、既に上記に例示されているが、甘味、着香及び着色剤のような追加の賦形剤も挙げられる。
【0095】
医薬組成物は、水中油型乳剤として製剤化してもよい。油相は植物油(例えば、オリーブオイル又はラッカセイ油)、鉱物油(例えば、流動パラフィン)又はこれらの混合物であってよい。適当な乳化剤は、自然界に存在するガム(例えば、アラビアゴム又はトラガカントゴム)、自然界に存在するリン脂質(例えば、大豆レシチン、及び脂肪酸及びヘキシトールから誘導されるエステル又は部分エステル)、無水物(例えば、モノオレイン酸ソルビタン)及び脂肪酸とヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物(例えば、モノオレイン酸ポリエチレンソルビタン)を包含する。乳剤は1つ又はそれ以上の甘味剤及び/又は着香剤を含有していてもよい。
【0096】
シロップ及びエリキシルは、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール又は蔗糖のような甘味剤と製剤化できる。このような製剤は、1つ又はそれ以上の粘滑剤、保存剤、着香剤及び/又は着色剤も含有していてもよい。
【0097】
局所投与用の製剤は一般的に、活性剤を加えた局所用賦形剤を、追加の任意成分と共に又はこれなしで、含有している。適当な局所用賦形剤及び追加の任意成分は、当該技術分野ではよく知られており、賦形剤の選択は、特殊な物理的形態及び送達方法によって決まるものと考えられる。局所用賦形剤は、水;アルコール(例えばエタノール又はイソプロピルアルコール)又はグリセリンのような有機溶媒;グリコール(例えば、ブチレン、イソプレン又はプロピレングリコール);脂肪族アルコール(例えば、ラノリン);水と有機溶媒との混合物及びアルコールのような有機溶媒とグリセリンの混合物;脂肪酸、アシルグリセロール(鉱物油のような油、及び天然又は合成の脂肪を含む)、ホスホグリセロイド、スフィンゴリピド及びワックスのような脂肪をベースとする物質;コラーゲン及びゼラチンのようなタンパク質をベースとする物質;シリコンをベースとする物質(不揮発性と揮発性の両方);及びマイクロスポンジ及び高分子物質のような炭化水素をベースとする物質を包含する。組成物は、更に用いる製剤の安定性又は効果を高めるのに適した、1つ又はそれ以上の成分を含有していてもよく、この成分は安定化剤、懸濁化剤、乳化剤、粘度調節剤、ゲル化剤、保存剤、抗酸化剤、皮膚浸透増強剤、保湿剤及び徐放物質のようなものである。このような成分の例は、Martindale- The Extra Pharmacopoeia (Pharmaceutical Press, London 1993) 及び Martin (ed.), Remington's Pharamceutical Sciences に記載されている。製剤は、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン・マイクロカプセルのようなマイクロカプセル、リポソーム、アルブミン小球体、マイクロエマルジョン、ナノ粒子又はナノカプセルを含有していてもよい。
【0098】
局所製剤は例えば、固体、ペースト、クリーム、フォーム、ローション、ゲル、パウダー、水性液及び乳剤を、包含する多様な物理的形態に製剤化することができる。このような形態の物理的な外観及び粘度は、この製剤に存在する乳化剤及び粘度調節剤の有無及び量によって規定できる。固体製剤は、硬質で非注入性であって、一般に棒状又はスティック状、又は特定な形態で製剤化され;固定製剤は、不透明又は透明で、溶媒、乳化剤、保湿剤、皮膚軟化剤、香料、染料/着色剤、保存剤、及び最終物の効能を増加若しくは増強させる、その他の有効成分を、任意に含有していてもよい。クリーム及びローションは、互いに同様なものであることが多く、主にこれらの粘度が異なる。ローションとクリームの両者は、不透明、透明又は透明感があり、乳化剤、溶媒、及び粘度調節剤を、更に保湿剤、皮膚軟化剤、香料、染料/着色剤、保存剤、及び最終物の効能を増加若しくは増強させる、その他の有効成分をも含むことが多い。ゲルは高粘度から低粘度の範囲の粘度で調製できる。これらの製剤は、ローション及びクリームと同様に、溶媒、乳化剤、保湿剤、皮膚軟化剤、香料、染料/着色剤、保存剤、及び最終物の効能を増加若しくは増強させる、その他の有効成分を、含有していてもよい。液剤は、クリーム、ローション、又はゲルよりも薄く、乳化剤を含まないことが多い。液状の局所用製品は、溶媒、乳化剤、保湿剤、皮膚軟化剤、香料、染料/着色剤、保存剤、及び最終物の効能を増加若しくは増強させる、その他の有効成分を含有していることが多い。
【0099】
局所製剤中で使用するのに適している乳剤は、イオン性乳化剤、セテアリールアルコール、ポリオキシエチレンオレイルエーテルのような非イオン性乳化剤、ステアリン酸PEG−40、セテアレス−12、セテアレス−20、セテアレス−30、セテアレスアルコール、ステアリン酸PEG−100及びステアリン酸グリセリルを包含するが、これに限定されない。適当な粘度調節剤は、これに限定されないが、保護コロイド、又はヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、マグネシウムアルミニウムシリケート、シリカ、微結晶性ワックス、蜜蝋、パラフィン、及びパルミチン酸セチルのような非イオン性のゴムを包含する。ゲル組成物は、キトサン、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリクオタニウム(polyquaterniums)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボマー(carbomer)又はグリチルリチン酸アンモニウム(ammoniated glycyrrhizinate)のようなゲル化剤の添加によって形成できる。適当な界面活性剤は、これに限定されないが、非イオンの、両性の、陽イオン性及び陰イオン性の界面活性剤を包含する。例えば、ジメチコンコポリオール(dimethicone copolyol)、ポリソルベート(polysorbate)20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ラウラミドDEA,コカミドDEA、及びコカミドMEA、オレイルベタイン、コカミドプロピルホスファチジルPG−ジモニウムクロライド(PG-dimonium chloride)、及びラウリル硫酸アンモニウムの1つ又はそれ以上を、局所製剤中に用いることができる。
【0100】
好ましい保存剤は、これに限定されないが、メチルパラベン、プロピルパラベン、ソルビン酸、安息香酸及びホルムアルデヒドのような抗菌薬を、また物理的安定剤、及びビタミンE、アスコルビン酸ナトリウム/アスコルビン酸及び没食子酸プロピルのような抗酸化剤をも包含する。適当な保湿剤は、これに限定されないが、乳酸及び他のヒドロキシ酸及びこれの塩、グリセリン、プロピレングリコール、及びブチレングリコールを包含する。適当な皮膚軟化剤は、ラノリンアルコール、ラノリン、ラノリン誘導体、コレステロール、ワセリン、ネオペンタン酸イソステアリル及び鉱油を包含する。適当な香料及び着色剤は、これに限定されないが、FD&C Red No.40及びFD&C Yellow No.5を包含する。局所製剤に包含できる他の好ましい更なる成分は、これに限定されないが、研磨剤、吸湿剤、固結防止剤、消泡剤、帯電防止剤、収れん剤(例えば、ヘーゼル、アルコール及びカモミールエキスのようなハーブエキス)、結合剤/賦形剤、緩衝剤、キレート化剤、フィルム形成剤、品質改良剤、高圧ガス、不透明化剤、pH調節剤及び保護剤を包含する。
【0101】
ゲルの製剤化のために適した局所賦形剤の例は:ヒドロキシプロピルセルロース(2.1%);70/30のイソプロピルアルコール/水(90.9%);プロピレングリコール(5.1%);及びポリソルベート80(1.9%)である。泡として製剤化するための適当な局所賦形剤の例は:セチルアルコール(1.1%);ステアリールアルコール(0.5%); クオタニウム52(Quaternium 52)(1.0%);プロピレングリコール(2.0%);エタノール95PGF3(61.05%);脱イオン水(30.05%);P75炭化水素高圧ガス(4.30%)である。全てのパーセントは重量によるものである。
局所用組成物の局所送達方法は、指を使用する塗布;布、ティッシュー、綿棒、スティック又はブラシのような物理的な塗布具を用いる塗布;スプレー(霧、エアゾール又は泡のスプレーを包含する);点滴投与、散布;浸漬;及びすすぎ;を包含する。放出制御賦形剤も使用できる。
【0102】
医薬組成物は、無菌注射用の水溶液又は油性懸濁液として、調製することができる。作動薬は、使用する賦形剤及び濃度に応じて、賦形剤に懸濁させても溶解させてもよい。このような組成物は、上記のように適した分散、湿潤剤及び/又は懸濁剤を用いて、公知の技術に従って製剤化することができる。許容される賦形剤及び溶媒のうち使用し得るものは、水、1,3−ブタンジオール、リンゲル液及び生理食塩液である。更に、無菌の不揮発性油を、溶媒又は懸濁媒体として使用できる。この目的のために、合成のモノ又はジグリセライドを含む、幾つかの無菌の不揮発性油を使用することができる。更に、オレイン酸のような脂肪酸は、注射用組成物の調製において使用できると考えられ、局所麻酔剤、保存剤及び/又は緩衝剤のようなアジュバントを賦形剤に溶解することができる。
【0103】
カプサイシン受容体作動薬は、坐薬(例えば、直腸内投与用)としても製剤化できる。このような組成物は薬剤を、常温では固体であるが、直腸の温度では液体であるので直腸内で溶けて薬剤を放出する、適当な非刺激性の賦形剤と混合することによって、調製できる。適当な賦形剤は、例えば、ココアバター及びポリエチレグリコールを包含する。
【0104】
医薬組成物は、徐放製剤(すなわち、投与後に作動薬の徐放をもたらすカプセルのような製剤)として製剤化することができる。このような製剤は一般に、公知の技術で調製され、例えば、経口、直腸又は皮下移植によって、又は目的の標的部位に移植することによって投与される。このような製剤に用いられる担体は、生体適合性があり、生体分解性でもあるようなもので;好ましくは、この製剤は比較的一定のレベルで作動薬を放出する。徐放製剤中に含有している作動薬の量は、例えば、移植部位、放出の速度及び期待される時間、及び治療又は予防する疾患の性質によって決まる。
【0105】
更に又は上記投与方法と共に、カプサイシン受容体作動薬は、(例えば、ペットを含むヒト以外の動物(イヌ又はネコのような)及び家畜への投与用に)簡便に食物又は飲料水に添加することができる。動物用の餌及び飲料水組成物は、動物が食事と共に組成物の適当量を摂取できるように処方することができる。組成物を餌又は飲料水に添加するための、プレミックスとしても簡便に提供できる。
【0106】
カプサイシン受容体作動薬は一般に、治療有効量を投与する。好ましい全身用量は、1日に体重1kg当り50mg以下(例えば、1日に体重1kg当り約0.001mgから約50mgの範囲)であり、経口では静脈内投与の約5〜20倍高い(例えば、1日に体重1kg当り約0.01mgから約40mgの範囲)量である。
【0107】
単回投与の形態を実現するために担体物質と混合する有効成分の量は、例えば、治療する患者及び特定の投与方法によって変わる。投与単位の形態は、一般に約10μgから約500mgの有効成分を含有している。最適投与量は、日常の検査、及びこの分野でよく知られている手順によって決めることができる。
【0108】
医薬組成物は、カプサイシン受容体作動薬での治療の応答に関連する疾患の治療(例えば、ぜんそくのような呼吸器系疾患)用に包装することができる。包装された医薬組成物とは、本発明に記載されている少なくとも1つのカプサイシン受容体作動薬の治療有効量を入れた容器、及び容器内の組成物はVR1調節の応答に関連する疾患に罹っている患者を治療するために使用するものであることを示す使用説明書(例えば、ラベル)を包含するものである。
【0109】
(使用方法)
本発明のカプサイシン受容体作動薬は、インビトロ及びインビボの両方での様々な状況下で使用できる。本発明で特別に提供される方法の文脈に於いて、少なくとも1つのカプサイシン受容体作動薬は、バニロイドではない;好ましくは、少なくとも1つのカプサイシン受容体作動薬は、本発明で提供される1つ又はそれ以上の式の範囲にある。カプサイシン受容体作動薬は、例えば、カプサイシン受容体のシグナル伝達の活性を調節するのに用いられる。このような調節は、作動薬が受容体と結合するのに適した条件下で、1つ又はそれ以上のカプサイシン受容体作動薬を(インビトロ又はインビボのどちらかで)カプサイシン受容体と接触させることにより達成できる。カプサイシン受容体作動薬は一般に、インビトロでバニロイドリガンドのVR1との結合(実施例6で提供されている代表的な試験を用いて)及び/又はVR1が介在するシグナル伝達(実施例7で提供されている代表的な試験を用いて)を、変化させるのに十分な濃度で存在する。この受容体は、溶液又は懸濁液中に、培養又は単離した細胞の調合液中に、又は患者の細胞内に存在する。シグナル伝達活性の調節は、カルシウムイオンの伝導性(カルシウム非固定化又は流動化としても)を検出することによって評価することができる。シグナル伝達活性の調節は、また本発明の1つ又はそれ以上のカプサイシン受容体作動薬で、治療されている患者の症状(例えば、疼痛又は気管支収縮)の変化を検出することによっても評価することができる。治療的に有効な量のカプサイシン受容体作動薬は、患者(例えば、ヒト)に経口で又は局所に投与され、VR1シグナル伝達の活性を調節している間、動物の少なくとも1つ以上の体液中に存在させることが好ましい。
【0110】
本発明は、更にカプサイシン受容体作動薬での治療の応答に関連する疾患を治療する方法を提供する。本発明の文脈においては、「治療」という用語は、片方は予防(すなわち、症状が発現する前に、症状の重篤度を阻止し、遅らせ、減少させる)又、もう片方は治療(すなわち、症状の発現後に、症状の重篤度及び/又は期間を減少させる)といった、予防維持療法及び対症療法の両方を包含するものである。このような治療の結果、これらの疾患又は症状の緩和をもたらすものであれば、疾患は「カプサイシン受容体作動薬での治療に応答性がある」と言える。このような疾患とは例えば、以下で更に詳細に説明されるように、喘息及び慢性閉塞性肺疾患のような呼吸器疾患、痒み、尿失禁、咳、しゃっくり及び肥満からくる症状を包含する。これらの疾患は、当該技術分野で確立されている評価基準を用いて、診断及びモニターすることができる。上記の用量で治療される患者は、ヒト、ペット及び家畜を含む。1つ又はそれ以上のカプサイシン受容体作動薬は、作動薬が治療有効濃度である、1マイクロモル以下、好ましくは100ナノモル以下、50ナノモル以下、又は20ナノモル以下の量で、動物の少なくとも1つの体液に存在するような量を、動物に投与することが好ましい。例えば、このような化合物は、体重当たりに20mg/kg未満、好ましくは5mg/kg未満、ある場合には、1mg/kg未満の用量で、投与できる。
【0111】
治療する上での投薬計画は、使用する化合物、及び治療すべき特定の疾患に応じて変わるが、殆どの病気の治療には、1日4回以下の投与が望ましい。一般に、1日2回の投与が更に望ましく、1日1回が特に望ましい。急性の疼痛治療には、直ちに有効濃度に到達することが可能な単回投与が望ましい。しかし、それぞれ個別の患者に於ける投与量レベル及び投薬計画は、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、健康状況、性別、治療食、投与期間、投与経路、そして排出速度、薬剤の組合せ及び治療中の特定の病気を含む、種々の要因によって、異なるものであることは理解されたい。一般に、効果的な治療を提供できる最少の投与量が望ましい。患者の治療効果は、通常、疾患の治療又は予防される疾患に適した、医療又は獣医学上の判断基準を用いて観察(モニター)される。
【0112】
本発明の特別に提供される、1つ又はそれ以上のカプサイシン受容体作動薬を用いて治療できる疼痛は、慢性又は急性のものであり、末梢神経が介在する疼痛(特に、神経性疼痛)を含むが、これらに限定されるものではない。カプサイシン受容体作動薬は、例えば、乳房切除後疼痛症候群、断端痛、幻肢痛、口腔内神経性疼痛、歯痛、義歯痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、反射性交感神経性ジストトロフィー、三叉神経痛、変形性関節症、関節リウマチ、線維筋痛、ギラン−バーレ症候群、知覚異常性大腿神経痛、口内焼灼感症候群及び/又は両側末梢神経障害の治療に用いることができる。更なる神経障害性疼痛は、灼熱痛(反射性交感神経性ジストトロフィーRSD、末梢神経損傷に続発する)、神経炎(例えば、坐骨神経炎、末梢神経炎、多発性神経炎、視神経炎、発熱後神経炎、移動性神経炎、分節性神経炎及びゴンボール神経炎(Gombault's neuritis)を含む)、ニューロン炎、神経痛(例えば、上で述べたもの、 頸腕神経痛、頭蓋神経痛、膝神経痛、舌咽神経痛、群発頭痛、特発性神経痛、肋間神経痛、乳房神経痛、顎関節神経痛、モートン神経痛(Morton's neuralgia)、鼻毛様体神経痛、後頭神経痛、紅神経痛、スラダー神経痛(Sluder's neuralgia)、スプレノパラチン(splenopalatine)神経痛、上部眼窩点神経痛及びヴィディウス神経痛)、手術関連疼痛、筋骨格痛、エイズ関連神経性疼痛、MS関連神経性疼痛、及び脊髄損傷に関連する疼痛を包含する。膿瘻、クラスター(すなわち、群発頭痛)のような末梢神経活性及びある種の緊張性頭痛を含む頭痛及び片頭痛を包含する頭痛も、本明細書に記載されているように治療することができる。例えば、片頭痛は、患者が片頭痛の前兆を感じたら直ちに本発明の化合物を投与することによって阻止することができる。本明細書に記載されているように治療することが可能な更なる疼痛は、「口内焼灼感症候群」、労働痛、シャルコー疼痛、腸内ガスによる疼痛、生理痛、急性及び慢性の背痛(例えば、腰痛)、痔痛、消化不良性疼痛、狭心症、神経根痛、同所痛及び異所痛、例えば、癌関連疼痛(例えば、骨癌患者における)、毒への暴露による疼痛(及び炎症)(例えば、蛇、くもに咬まれたり昆虫に刺されたことによる)及び外傷性疼痛(例えば、
手術後疼痛、切り傷、打撲及び骨折からの痛み、及び火傷の痛み)を含む、を包含する。本明細書に記載されているように治療することが可能な更なる疼痛は、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群及び/又は炎症性腸疾患に関連する疼痛を包含する。
【0113】
ある態様において、カプサイシン受容体作動薬は、機械的疼痛の治療に用いることができる。本明細書で用いられる「機械的疼痛」という用語は、神経性ではない頭痛又は熱、寒冷又は外からの化学的な刺激への暴露によるもの以外の疼痛を示す。機械的疼痛は、術後疼痛及び切り傷、打撲及び骨折からの痛み;歯痛、義歯痛;神経根痛、変形性関節症;間接リウマチ;線維筋痛;知覚異常性大腿神経痛;背痛;癌関連疼痛;狭心症;カーペルトンネル症候群(carpel tunnel syndrome);及び骨折、労働、痔、腸内ガス、消化不良、及び生理からくる疼痛のような物理的な外傷(熱又は化学的な火傷又は他の刺激及び/又は有毒な化学物質への有痛性の暴露以外の)を包含する。
【0114】
治療できる掻痒症は、乾癬性掻痒、血液透析による痒み、水性掻痒、及び膣前庭炎、接触皮膚炎、昆虫に咬まれる及び皮膚アレルギーに関連する痒みを包含する。本明細書に記載されているように治療することができる尿路疾患は、脊髄因性の排尿筋過反射症及び膀胱過敏症を包含する。このようなある治療方法においては、カプサイシン受容体作動薬を直接膀胱に注射できるように、カテーテルまたは同様な器具を介して、カプサイシン受容体作動薬を投与する。カプサイシン受容体作動薬は、鎮該薬(咳を阻止し、緩和し又は抑える)として、及びしゃっくりの治療及び肥満患者の減量を促進するためにも使用することができる。
【0115】
他の態様において、本発明のカプサイシン受容体作動薬は、炎症要素を含む疾患の治療のための併用療法で使用することができる。このような疾患には、例えば、自己免疫疾患、及びこれに限定されないが、関節炎(特に関節リウマチ)、乾癬、クローン病、紅斑性狼瘡、過敏性腸症候群、組織移植不適合、及び移植臓器の超急性拒絶を包含する炎症要素を有しているものと知られている病的自己免疫反応を包含する。他のこのような疾患は、外傷(例えば、頭部又は骨髄の損傷)、心臓及び脳血管疾患並びにある種の感染症を包含する。
【0116】
このような併用療法において、少なくとも1つのカプサイシン受容体作動薬が、抗炎症剤とともに患者に投与される。このカプサイシン受容体作動薬と抗炎症剤は、同じ医薬組成物中に存在させても、いずれかの順序で別々に投与されてもよい。抗炎症剤は、例えば、非ステロイド性の抗炎症剤(NSAID類)、非特異的及びシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)特異的シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤、金化合物、コルチコステロイド、メトトレキセート、腫瘍壊死因子(TNF)受容体拮抗薬、抗TNFアルファ抗体、抗C5抗体、及びインターロイキン−1(IL−1)受容体拮抗薬を包含する。NSAID類の例は、これに限定されないが、イブプロフェン(例えば、ADVIL(登録商標)、MOTRIN(登録商標))、フルビプロフェン(ANSAID(登録商標))、ナプロキセン又はナプロキセンナトリウム(例えば、NAPROSYN、ANAPROX、ALEVE(登録商標))、ジクロフェナク(例えば、CATAFLAM(登録商標)、VOLTAREN(登録商標))、ジクロフェナクナトリウムとミソプロストールの合剤(例えば、ARTHROTEC(登録商標))、スリンダック(CLINORIL(登録商標))、オキサプロジン(DAYPRO(登録商標))、ジフルニサール(DOLOBID(登録商標))、ピロキシカム(FELDENE(登録商標))、インドメタシン(INDOCIN(登録商標))、エトドラック(LODINE(登録商標))、フェノプロフェンカルシウム(NALFON(登録商標))、ケトプロフェン(例えば、ORUDIS(登録商標)、ORUVAIL(登録商標))、ナトリウムナブメトン(RELAFEN(登録商標))、スルファサラジン(AZULFIDINE(登録商標))、トルメチンナトリウム(TOLECTIN(登録商標))、及びヒドロキシクロロキン(PLAQUENIL(登録商標))を包含する。特定の種類のNSAID類は、セレコキシブ(CELEBREX(登録商標))及びロフェコキシブ(VIOXX(登録商標))のように、シクロオキシゲナーゼ(COX)酵素を阻害する化合物からなっている。NSAID類は更に、アセチルサリチル酸又はアスピリン、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸コリン及びマグネシウム(TRILISATE(登録商標))、及びサルサラーテ(DISALCID(登録商標))のようなサリチル酸塩を、またコーチゾン(CORTONE(登録商標)アセテート)、デキサメサゾン(例えば、DECADRON(登録商標))、メチルプレドニゾロン(MEDROL(登録商標))、プレドニゾロン(PRELONE(登録商標))、プレドニゾロン・リン酸ナトリウム(PEDIAPRED(登録商標))、及びプレドニゾン(例えば、PREDNICEN−M(登録商標)、DELTASONE(登録商標)、STERAPRED(登録商標))のような副腎皮質ステロイドを包含する。
【0117】
このような併用療法におけるカプサイシン受容体作動薬の適切な用量は、一般に上記のようである。抗炎症剤の用量及び投与方法は、例えば 「Physician's Desk Reference 」中の製造会社の説明書に見出すことができる。ある態様において、カプサイシン受容体作動薬と抗炎症剤との併用投与は、治療効果を生ずるのに必要な抗炎症剤の用量の減少をもたらす。従って、好ましくは、本発明の併用又は併用療法における抗炎症剤の用量は、カプサイシン受容体作動薬の併用投与なしで、抗炎症剤を投与する際の製造会社が助言している最大用量未満である。より好ましくは、この用量は、この最大用量の3/4未満、更に好ましくは1/2未満、非常に好ましくは1/4未満であり、更に最も好ましい用量は、カプサイシン受容体作動薬と併用投与しないで投与するときの抗炎症剤の投与に対して製造会社が助言する最大量の10%未満である。望ましい効果を達成するのに必要な併用薬のカプサイシン受容体作動薬成分の用量は、併用薬の抗炎症剤成分の用量及び効力によって影響されることは明らかであろう。
【0118】
ある好ましい態様において、カプサイシン受容体作動薬と抗炎症剤との併用投与は、1つ又はそれ以上のカプサイシン受容体作動薬及び1つ又はそれ以上の抗炎症剤を、パッケージ内の別の容器に入れるか又は1つ又はそれ以上のカプサイシン受容体作動薬及び1つ又はそれ以上の抗炎症剤の混合物として同じ容器に入れるかして、同じパッケージに包装することによって遂行できる。好ましい混合物は、経口投与用(例えば、ピル、カプセル、錠剤など)に製剤化される。ある態様においては、このパッケージは、1つ又はそれ以上のカプサイシン受容体作動薬及び1つ又はそれ以上の抗炎症剤は、炎症性の疼痛を治療するために一緒に用いるように指示するしるし付きのラベルを含有してなる。非常に好ましい併用では、抗炎症剤が、バルデコキシブ(BEXTRA(登録商標))、ルミラコキシブ(PREXIGE(登録商標))、エトリコキシブ(ARCOXIA(登録商標))、セレコキシブ(CELEBREX(登録商標))及び/又はロフェコキシブ(VIOXX(登録商標))のようなCOX−2特異的シクロオキシゲナーゼ酵素阻害剤の1つ以上を含有しているものである。
【0119】
更なる態様において、本発明のカプサイシン受容体作動薬は、1つ又はそれ以上の更なる疼痛緩和薬剤との併用で用いることができる。このような薬剤のあるものは抗炎症剤で、上に記載されている。他のこのような薬剤は、麻薬性鎮痛薬で、これは通常1つ又はそれ以上のオピオイド受容体のサブタイプ(例えば、μ、κ及び/又はδ)上で、好ましくは作動薬又は部分作動薬として作用する。このような薬剤は、アヘン剤、アヘン誘導体及びオピオイドを、またこれらの薬学的に許容される塩及び水和物を包含する。麻薬性鎮痛薬の具体的な例は、好ましい態様において、アルフェンタニル、アルファプロジン、アニレリジン、ベジトラマイド、ブプレノルフィン、コデイン、ジアセチルジヒドロモルフィン、ジアセチルモルフィン、ジヒドロコデイン、ジフェノキシレート、エチルモルフィネ、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、イソメタドン、レボメトルファン、レボルファン、レボルファノール、メペリジン、メタゾシン、メタドン、メトルファン、メトポン、モルヒネ、アヘン抽出物、アヘン液体抽出物、粉末化アヘン、顆粒化アヘン、原料アヘン、アヘンチンキ、オキシコドン、オキシモルホン、パレゴリック、ペンタゾシン、ペチジン、フェナゾシン、ピミノジン、プロポキシフェン、ラセメトルファン、ラセモルファン、テバイン及びこれら薬剤の薬学的に許容される塩及び水和物を包含する。
【0120】
麻薬性鎮痛薬の他の例は、アセトルフィン、アセチルジヒドロコデイン、アセチルメタドール、アリルプロジン、アルファアセチルメタドール、アルファメプロジン、アルファメタドール、ベンゼチジン、ベンジルモルヒネ、ベータアセチルメタドール、ベータメプロジン、ベータメタドール、ベータプロジン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデインメチルブロマイド、コデイン−N−オキシド、シプレノルフィン(cyprenorphine)、デソモルヒネ、デキストロモルアミド、ジアンプロミド、ジエチルチアンブテン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、ドロテバノール、エタノール、エチルメチルチアンブテン、エトニタゼン、エトルフィン、エトキセリジン、フレチジン、ヒドロモルヒノール、ヒドロキシペチジン、ケトベミドン、レボモラミド、レボフェナシルモルファン、メチルデソルフィン、メチルジヒドロモルヒネ、モルフェリジン、モルヒネメチルプロミド、モルヒネメチルスルホネート、モルフィンーN−オキシド、ミロフィン、ナロキソン、ナルブイフィン、ナルチヘキソン、ニココデイン、ニコモルヒネ、ノラシメタドール、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、ペンタゾカイン、フェナドキソン、フェナムプロミド、フェノモルファン、フェノペリジン、ピリトラミド、フォルコジン、プロヘプタゾイン、プロペリジン、プロピラン、ラセモラミド、テバコン、トリメペリジン及びこれらの薬学的に許容される塩及び水和物を包含する。
【0121】
更に特定的な代表的鎮痛剤は、例えば、TALWIN(登録商標)Nx及びDEMEROL(登録商標)(両者は Sanofi Winthrop Pharmaceuticals; New York, NY より入手可能);LEVO−DROMORAN(登録商標)、BUPRENEX(登録商標)(Reckitt & Coleman Pharmaceuticals, Inc.; Richmond, VA);MSIR(登録商標)(Purdue Pharma L. P.; Norwalk, CT);DILAUDID(登録商標)(Knoll Pharmaceutical Co.; Mount Olive, NJ);SUBLIMAZE(登録商標);SUFENTA(登録商標)(Janssen Pharmaceutical Inc.; Titusville, NJ);PERCOCET(登録商標)、NUBAIN(登録商標)及びNUMORPHAN(登録商標)(全てが Endo Pharmaceuticals Inc.; Chadds Ford, PA から入手可能);HYDROSTAT(登録商標)IR、MS/S及びMS/L(全てが Richwood Pharmaceutical Co. Inc; Florence, KY);ORAMORPH(登録商標)SR及びROXICODONE(登録商標)(両者は Roxanne Laboratories; Columbus, OH から入手可能)及びSTADOL(登録商標)(Bristol-Myers Squibb; New York, NY)を包含する。更なる鎮痛剤は、AM1241のようなCB2受容体作動薬、及びNeurontin(Gabapentin)及びプレガバリン(pregabalin)のようなα2δサブユニットに結合する化合物を包含する。
【0122】
更なる態様に於いて、本発明のカプサイシン受容体作動薬は、1つ又はそれ以上のロイコトリエン受容体拮抗薬(例えば、モンテルカスト(Montelukast:SINGULAIR(登録商標);Merck & Co., Inc.)のような、システイニルロイコトリエンCysLT受容体を阻害する薬剤)との併用で用いることができる。このような併用は、ぜんそくのような肺の病気の治療に用いられる。
【0123】
このような併用療法でのカプサイシン受容体作動薬の好ましい用量は、一般に上記のようである。他の疼痛緩和薬剤の用量及び投与方法は、例えば「Physician's Desk Reference」中の製造会社の説明書に見出すことができる。ある態様において、カプサイシン受容体作動薬と1つ又はそれ以上の追加の疼痛緩和薬剤との併用投与は、それぞれの治療薬が治療効果を示すのに必要な用量を減少させる(例えば、片方又は両方の薬剤の用量は、上で示した又は製造会社が助言している最大容量の3/4未満、1/2未満、1/4未満又は10%未満であろう)。ある好ましい態様において、カプサイシン受容体作動薬と1つ又はそれ以上の追加の疼痛緩和薬剤との併用投与は、1つ又はそれ以上のカプサイシン受容体作動薬と1つ又はそれ以上の追加の疼痛緩和薬剤を、上述のように同じパッケージに包装することによって遂行できる。
【0124】
本発明のカプサイシン受容体作動薬は、体温の調節にも用いることができる。例えば、このような化合物は、熱を下げる必要のある、又は他の体温を下げることが望ましい場合(例えば、低温での手術)の患者に投与できる。このような化合物は、二日酔いの治療にも使用できる。
本発明のカプサイシン受容体作動薬は、例えば、群衆整理で(催涙ガスの代用品として)又は身辺警護で(例えばスプレー製剤中に)又はカプサイシン受容体の脱感作による疼痛、痒み、又は尿失禁の治療用の薬剤として、更に使用できるであろう。一般に、群集整理又は個人警護で用いられる化合物は、通常の催涙ガス又は唐辛子スプレー技術に従って製剤化され、使用される。
【0125】
別の態様では、本発明は、本発明のカプサイシン受容体作動薬についての多種のインビトロ及びインビボでの非医薬用途を提供する。例えば、このような化合物は標識されて、カプサイシン受容体の検出及び局在化(細胞調合液又は組織片、これらの調合液又は分画のような試料中で)のためのプローブとして使用できる。化合物は、受容体活性試験において陽性対照として、候補薬剤のカプサイシン受容体との結合能力を測定するための標準として、又は陽電子放出断層撮影(PET)用の又は単光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)用の放射性追跡子としても使用できる。これらの方法は、対象生物のカプサイシン受容体を特定化するために使用することができる。例えば、カプサイシン受容体作動薬を多種のよく知られた技術を用いて標識し(例えば、本明細書に記載されているように、トリチウムのような放射性核種で放射性標識し)、そして試料と共に適当な培養時間(例えば、まず最初に結合時間についてアッセイして決定された時間)培養する。培養に続いて、結合しなかった化合物を除去し(例えば、洗浄によって)、結合した化合物を使用した標識に適した幾つかの方法(例えば、放射性の標識化合物に対してはオートラジオグラフィー又はシンチレーションカウントで;発光性の基及び蛍光性の基を検出するために分光方法を使用できる)により検出する。標識化合物及び多量の(例えば10倍以上の)標識されていない化合物を含む対応の試料を、対照として、同様の方法で処理する。試験試料の中に、対照中よりも多い量の検出可能な標識が残っていれば、試験試料中にカプサイシン受容体が存在することを示す。培養細胞又は組織試料中のカプサイシン受容体の受容体オートラジオグラフィー(受容体マッピング)を含む検出試験は、「Current Protocols in Pharmacology (1988) John Wiley & Sons, New York の section 8.1.1〜8.1.9」中の Kuharによる記載のようにして行うことができる。
【0126】
本発明のカプサイシン受容体作動薬は、周知の各種細胞分離方法にも使用できる。例えば、カプサイシン受容体作動薬を、固定化のための親和性リガンドとして用いるために、組織培養のプレート又は他の支持体の内部表面に結合させ、これによりインビトロでカプサイシン受容体を分離(例えば、受容体発現の細胞を分離する)させてもよい。1つの好ましい態様では、フルオレセインのような蛍光マーカーに結合させたカプサイシン受容体作動薬を細胞に接触させ、次いでこれを蛍光活性化細胞選別(FACS)によって分析(又は単離)する。
【0127】
以下の実施例は、説明の目的で提供されているもので、それによって本発明は何ら制限されるものではない。特に明記されない限り、全ての試薬及び溶媒は、標準の商用等級であり、更に精製せずに使用した。
(実施例)
【0128】
(質量分析)
以下の実施例に於ける質量分析の値は、Waters 600ポンプ、Waters 996フォトダイオード配列検出器、Gilson 215オートサンプラー、及びGilson 841マイクロインジェクターを取り付けたMicromass Time−of−Flight LCTを用い、コーン電圧15V又は30Vの陽イオンモードによって得られるエレクトロスプレーMSである。MassLynx(Adcanced Chemistry Development, Inc; Toronto, Canada)のバージョン4.0 ソフトウェアをデータ収集及び分析に用いた。1マイクロリッター量の試料を、50x4.6mmの Chromolith SpeedROD C18 カラム上に注入し、6ml/minの速度で、2相線形グラジエントを用いて溶出した。試料は、220〜340nmのUV範囲における総吸収量を用いて検出した。
溶出条件は、
移動相A: 95/5/0.05 水/メタノール/TFA
移動相B: 5/95/0.025 水/メタノール/TFA
グラジエント: 時間(分) %B
0 10
0.5 100
1.2 100
1.21 10
総ランタイムは、注入から注入まで2分であり、値は、質量+1(M+1)とし、保持時間は分単位で示される。
【実施例1】
【0129】
代表的な式Ia及びIbのカプサイシン受容体作動薬の調製
A. (7−ブロモ−キナゾリン−4−イル)−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−アミン(化合物1)
1. 7−ブロモ−4−クロロ−キナゾリン
【化035】

7−ブロモ−3H−キナゾリン−4−オン(1.24g、0.0055mol)のPOCl溶液を3.5時間還流する。減圧下に過剰なPOClを除き、EtOAcと飽和のNaHCO溶液の間で分配する。EtOAc相を乾燥して、減圧下で溶媒を除き、7−ブロモ−4−クロロ−キナゾリンを黄色個体として得る。
【0130】
2. (7−ブロモ−キナゾリン−4−イル)−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−アミン
【化036】

7−ブロモ−4−クロロ−キナゾリン(200mg、0.821mmol)及び2−アミノ−5−トリフルオロメチル−ピリジン(239mg、1.48mmol)の混合物を230℃にて2分間加熱する。冷却して、固体残渣を酢酸エチル(EtOAc)と10%のNaOH溶液の間で分配する。EtOAc相を(NaSOで)乾燥して、減圧下で溶媒を除き、フラッシュ・クロマトグラフィで精製して(7−ブロモ−キナゾリン−4−イル)−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−アミンを黄色固体として得る。
質量分析(M+1);369.0(保持時間;1.21分)
実施例7に記載のようにカプサイシン受容体の活性を測定すると、この化合物は1マイクロモル未満のEC50値を有している。
【0131】
B. (7−ブロモ−ピリド[3,2−d]ピリミジン−4−イル−4−tert−ブチル−イソオキザール)−アミン(化合物2)
1. 5−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−カルボニトリル
【化037】

2,5−ジブロモ−3−ニトロピリジン(1.77g、6.3mmol;Malinowski (1988) Bull. Soc. Chim. Belg. 97: 51;米国出願第5,801,183号を参照のこと)及びシアン化第一銅(0.60g、6.69mmol)のN,N−ジメチルアセトアミド(25ml)溶液を、100℃にて72時間加熱する。冷却後、水(25ml)で希釈し、EtOAcにて2回(各々25ml)抽出する。その後水で2回(各々25ml)洗浄する。EtOAc抽出液を合わせて、(NaSOで)乾燥し、フラッシュ・クロマトグラフィ(50%EtOAc−ヘキサン)で精製して、5−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−カルボニトリルを淡色固体として得る。
【0132】
2. 3−アミノ−5−ブロモピリジン−2−カルボニトリル
【化038】

5−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−カルボニトリル(1.5g、5.3mmol)及びSnCl・二水和物(5.00g、26.3mmol)を濃塩酸中で混合し、室温で一晩攪拌する。氷を徐々に加えて、注意深く10MのNaOH溶液を加え、塩基性とする。EtO(200ml)で2回抽出し、(NaSOで)乾燥して、蒸発させる。シリカゲル・クロマトグラフィ(75%ヘキサン−EtOAc)で精製して、3−アミノ−5−ブロモピリジン−2−カルボニトリルを淡色固体として得る。
【0133】
3. 7−ブロモピリド[3,2−d]ピリミジン−4−オール
【化039】

3−アミノ−5−ブロモピリジン−2−カルボニトリル(504mg、2.00mmol)及び酢酸ナトリウム(312mg、3.81mmol)のギ酸(20ml)中の混合物を16時間還流する。徐々に蒸発させて、白色固体とし、3NのNaOH溶液(50ml)を加える。不溶物をフィルターで除いた後、濃HCl溶液を加えてpHを3として、遊離のピリミジノールを再形成させる。7−ブロモピリド[3,2−d]ピリミジン−4−オールを集めて、一晩乾燥する。
【0134】
4. ブロモ−4−クロロピリド[3,2−d]ピリミジン
【化040】

7−ブロモピリド[3,2−d]ピリミジン−4−オール(35mg、0.15mmol)及びPOCl(10ml)の混合液を90℃にて16時間加熱する。POClを蒸発させて、氷(100g)を加え、次に飽和のNaHCO溶液を注意深く加える。EtOAcで2回抽出して、(NaSOで)乾燥し、蒸発させて、ブロモ−4−クロロピリド[3,2−d]ピリミジンを白色固体として得る。
【0135】
5. (7−ブロモ−ピリド[3,2−d]ピリミジン−4−イル−4−tert−ブチル−イソオキサゾール)−アミン
【化041】

ブロモ−4−クロロピリド[3,2−d]ピリミジン(200mg、0.82mmol)及び4−(tert−ブチル)−イソオキサゾールアミン(200mg、1.43mmol)のN、N−ジメチルアセトアミド(4ml)中の混合物を、120℃にて2時間加熱する。室温に冷却して、1MのNaOH溶液(10ml)を加え、EtOAcで2回(各々10ml)抽出する。抽出液を(NaSOで)乾燥し、蒸発させて粗生成物を得る。シリカゲル・クロマトグラフィで精製し、75%ヘキサン−EtOAcにて流出させて、(7−ブロモ−ピリド[3,2−d]ピリミジン−4−イル−4−tert−ブチル−イソオキサゾール)−アミンを白色固体として得る。
質量分析(M+1);348.1(保持時間;1.24分)
実施例7に記載のようにカプサイシン受容体の活性を測定すると、この化合物は1マイクロモル未満のEC50値を有している。
【0136】
C. (4−tert−ブチル−フェニル)−[2−(CIS−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イルメチル)−7−トリフルオロメチル−キナゾリン−4−イル]−アミン(化合物3)
1. 2−ニトロ−4−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル
【化042】

1−クロロ−2−ニトロ−4−トリフルオロメチル−ベンゼン(10g、44mmol)及びCuCN(6g、66.5mmol)のDMA(40ml)溶液を、110℃にて5時間攪拌する。室温に冷却して、EtOAcで希釈し、セライトでろ過する。有機相を塩水で洗浄し、(NaSOで)乾燥して、減圧下濃縮する。残渣をフラッシュ・クロマトグラフィ(ヘキサン/EtOAc:5/1)で精製して、2−ニトロ−4−トリフルオロメチル−ベンゾニトリルを得る。
【0137】
2. 2−ニトロ−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化043】

75%の硫酸(50ml)中の2−ニトロ−4−トリフルオロメチル−ベンゾニトリル(5.8g、27mmol)の懸濁液を90℃にて1時間加熱する。室温に冷却して、水で希釈し、沈殿物を集めて2−ニトロ−4−トリフルオロメチル−ベンズアミドを得る。
【0138】
3. 2−アミノ−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド
【化044】

10%Pd−C触媒の存在下、EtOAc−EtOH混合溶液(1:1、100ml)中の2−ニトロ−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド(5.8g、25mmol)の水素化反応を、室温にて4時間実施する。セライトでろ過して、減圧下にて溶剤を除き、2−アミノ−4−トリフルオロメチル−ベンズアミドを得る。
【0139】
4. 2−クロロメチル−7−トリフルオロメチル−キナゾリン−4−オン
【化045】

2−アミノ−4−トリフルオロメチル−ベンズアミド(800mg、3.9mmol)の2−クロロ−1,1,1−トリメトキシエタン(5ml)溶液を、135℃にて5時間加熱する。減圧下で濃縮し、50mlのエーテルで希釈する。沈殿物を集めて、2−クロロメチル−7−トリフルオロメチル−キナゾリン−4−オンを得る。
【0140】
5. 4−クロロ−2−クロロメチル−7−トリフルオロメチル−キナゾリン
【化046】

2−クロロメチル−7−トリフルオロメチル−キナゾリン−4−オン(2.4g、9.1mmol)、POCl(2.6ml、27mmol)及び2,6−ルチジン(3.2ml、27mmol)のCHCl(200ml)中の混合物を、16時間還流する。混合物を冷却して、減圧下で濃縮する。残渣をEtOAc及び飽和のNaHCO溶液の間で分配する。EtOAc相を追加のNaHCO溶液で洗浄し、(NaSOで)乾燥して、減圧下で濃縮する。褐色の残渣をシリカゲル(EtOAc/ヘキサン:1/1の流出液)でろ過処理し、減圧下に濃縮して、溶媒を除き、4−クロロ−2−クロロメチル−7−トリフルオロメチル−キナゾリンを得る。
【0141】
6. (4−t−ブチル−フェニル)−(2−クロロメチル−7−トリフルオロメチル−キナゾリン−4−イル)−アミン
【化047】

4−クロロ−2−クロロメチル−7−トリフルオロメチル−キナゾリン(100mg、0.36mmol)及び4−t−ブチル−アニリン(53mg、0.36mmol)のCHCN(4ml)溶液を、80℃にて4時間加熱する。混合物を冷却して、沈殿物をCHCN液で洗浄し、次いでエーテルで洗浄して(4−t−ブチル−フェニル)−(2−クロロメチル−7−トリフルオロメチル−キナゾリン−4−イル)−アミンを一塩酸塩として得る。
【0142】
7. (4−t−ブチル−フェニル)−[2−(cis−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イルメチル)−7−トリフルオロメチル−キナゾリン−4−イル)−アミン
【化048】

(4−t−ブチル−フェニル)−(2−クロロメチル−7−トリフルオロメチル−キナゾリン−4−イル)−アミン塩酸(100mg、0.23mmol)のcis−2,6−ジメチル−モルホリン(1ml)溶液を、80℃にて3時間加熱する。減圧下にて過剰のcis−2,6−ジメチル−モルホリンを除き、残渣をEtOAc及び飽和のNaHCO溶液の間で分配する。EtOAc相を(NaSOで)乾燥し、減圧下にて濃縮して、(4−t−ブチル−フェニル)−[2−(cis−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イルメチル)−7−トリフルオロメチル−キナゾリン−4−イル)−アミンを得る。
質量分析(M+1);473.3(保持時間;1.16分)
実施例7に記載のようにカプサイシン受容体の活性を測定すると、この化合物は1マイクロモル未満のEC50値を有している。
【実施例2】
【0143】
追加の代表的な式Ia及びIbのカプサイシン受容体作動薬
通常の変更法を用いて、原料化合物を変更したり、また工程の追加をして、下記の表1a及び1bの化合物を包含する本発明の他の化合物を製造できる。表1aに於ける全ての化合物は、実施例7に記載のようにカプサイシン受容体作動薬の活性を測定すると、1マイクロモル以下のEC50値を有している。
【表1a】


【0144】
【表1b】






【実施例3】
【0145】
代表的な式IIのカプサイシン受容体作動薬の調製
A. 5−フルオロ−1−プロピル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメチル−(2,4−ジクロロ−ベンジル)−(2−エトキシ−ナフタレン−1−イルメチル)−アミン(化合物55)
1. (2,4−ジクロロ−ベンジル)−(2−エトキシ−ナフタレン−1−イルメチル)−アミン
【化049】

2,4−ジクロロベンジルアミン(500mg、2.84mmol)を、2−エトキシ−1−ナフトアルデヒド(569mg、2.84mmol)、酢酸(6滴)及びテトラヒドロフラン(THF)(25ml)の混合溶液に溶解する。トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(903mg)を徐々に加え、反応混合物を50℃にて一晩加熱する。減圧下にて溶剤を除去して、残液をEtOAc(25ml)及び1NのNaOH溶液(25ml)に溶解する。有機相を除き、水相を追加のEtOAc(25ml)で抽出する。2つの有機抽出液を合わせて、塩水(50ml)で洗浄する。合わせた抽出液をNaSOで乾燥し、減圧下にて溶剤を除去する。粗混合物をシリカゲル・カラムクロマトグラフィにて、最初にCHCl、次いでCHCl/MeOH(95:5)で流出させて、標題化合物を得る。
【0146】
2. 5−フルオロ−1−プロピル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメチル−(2,4−ジクロロ−ベンジル)−(2−エトキシ−ナフタレン−1−イルメチル)−アミン
【化050】

1−n−プロピル−2−(クロロメチル)−5−フルオロベンゾイミダゾール・臭化水素(21.2mg、0.069mmol)及び(2,4−ジクロロ−ベンジル)−(2−エトキシ−ナフタレン−1−イルメチル)−アミン(25mg、0.069mmol)を、10%のN,N−ジイソプロピルエチルアミンのアセトニトリル溶液に溶解する。反応混合物を、50℃にて一晩加熱する。N,N−ジエチレンジアミン(10μl)を加えて、50℃にて1時間攪拌する。減圧下にて溶剤を除去して、残渣をCHCl(1ml)及び1NのNaOH(1ml)に溶解する。有機相を採取して、SPEシリカゲルカラム上に挿入する。最初にCHCl、次いでCHCl/MeOH(95:5)で流出させて、標題化合物を得る。
質量分析(M+1);550.4(保持時間;1.33分)
実施例7に記載のようにカプサイシン受容体の活性を測定すると、この化合物は1マイクロモル未満のEC50値を有している。
【0147】
B. 追加のカプサイシン受容体作動薬
通常の変更法を用いて、原料化合物を変更したり、また工程の追加をして、本発明の他の化合物を製造できる。表2に於ける化合物は、このような方法を用いて製造される。表2に於ける全ての化合物は、実施例7に記載のようにカプサイシン受容体作動薬の活性を測定すると、1マイクロモル以下のEC50値を有している。
【0148】
【表2】



【実施例4】
【0149】
代表的な式IIIのカプサイシン受容体作動薬の調製
A. 2−(3−クロロ−フェニル)−[1,6]−ナフチリジン−4−カルボン酸−ベンジルアミド(化合物65)
1. 2−(3−クロロ−フェニル)−[1,6]−ナフチリジン−4−カルボン酸
【化051】

(4−N−ピバロイルアミノピリジン−3−イル)グリオキシ酸エチル(Rivalle and Bisagni (1997) Journal of Heterocyclic Chemistry 34: 441-444)(1.25g、5mmol)及び水酸化カリウム(1.12g、20mmol)を、エタノール−水(1;4、20ml)中で混合し、還流下にて2時間加熱する。3’−クロロアセトフェノン(1.54g、10mmol)を加えて、還流下にて24時間加熱する。減圧下にて蒸発させて、水を加え、そしてジクロロメタンで処理する。水相を酢酸で酸性化して、固体をフィルターで収集する。風乾して、標題化合物を得る。
【0150】
2. 2−(3−クロロ−フェニル)−[1,6]−ナフチリジン−4−カルボン酸−ベンジルアミド
【化052】

ジクロロメタン(10ml)中の2−(3−クロロ−フェニル)−[1,6]−ナフチリジン−4−カルボン酸(568mg、2.0mmol)に、二塩化オキサリル(252mg、2.0mmol)を加える。溶液を1時間攪拌して後、ベンジルアミン(214mg、2.0mmol)及びトリエチルアミン(202mg、2.0mmol)を加える。溶液を1時間攪拌して後、酢酸エチルと飽和の炭酸水素ナトリウム溶液の間で分配する。有機相液を水で洗浄して、(MgSOで)乾燥し、そして減圧下にて濃縮する。残渣をシリカゲルのフラッシュ・クロマトグラフィ(酢酸エチル)で精製して、標題化合物を得る。
質量分析(M+1);374.0(保持時間;1.21分)
実施例7に記載のようにカプサイシン受容体の活性を測定すると、この化合物は1マイクロモル未満のEC50値を有している。
【0151】
B. 追加のカプサイシン受容体作動薬
通常の変更法を用いて、原料化合物を変更したり、また工程の追加をして、本発明の他の化合物を製造できる。表3に於ける化合物は、このような方法を用いて製造される。表3に於ける全ての化合物は、実施例7に記載のようにカプサイシン受容体の活性を測定すると、1マイクロモル以下のEC50値を有している。
【0152】
【表3】


【実施例5】
【0153】
VR1導入細胞及び膜調合液
この実施例は、結合試験(実施例6)及び機能試験(実施例7)で用いるためのVR1導入細胞及び膜調合液の調製を説明している。
ヒトカプサイシン受容体(米国特許第6,482,611号の配列番号1、2又は3)の全長をコードするcDNAを、哺乳動物の細胞中で組み換え体を発現させるために、プラスミドpBK−CMV(Stratagene、 La Jolla, CA)にサブクローンした。
【0154】
ヒト胎児腎細胞(HEK293)に、標準の方法を用いて、ヒトカプサイシン受容体の全長をコードするコンストラクトを発現するpBK−CMVを導入した。導入された細胞をG418(400μg/ml)を含有する培地で2週間培養して選択し、安定に導入された細胞の集合(pool)を得た。この集合から独立したクローンを限界希釈法によって単離して、次の実験に用いる、安定にクローン化された細胞系を得た。
【0155】
放射性リガンド結合試験のために、細胞をT175細胞培養フラスコ中の抗生物質を含有しない培地に播種して約90%集密まで生育させた。次いで、フラスコをPBSで洗浄し、5mMのEDTAを含有するPBS中に細胞を集めた。細胞は緩やかに遠心分離してペレット状にし、試験まで−80℃で保管した。
【0156】
先の凍結した細胞を、組織ホモジナイザーを用いて氷冷したHEPESホモジナイズ緩衝液(5mMのKCl5、5.8mMのNaCl、0.75mMのCaCl、2mMのMgCl、320mMの蔗糖、及び10mMのHEPES;pH7.4)中でバラバラにした。組織のホモジネートは、まず1000×g(4℃)で10分間遠心分離して、核画分及び破片を除去し、次いで最初の遠心分離の上澄液をさらに35,000×g(4℃)で30分遠心分離して、部分的に精製された膜画分を得た。膜は試験前に再度HEPESホモジナイズ緩衝液に懸濁した。この膜ホモジネートの1アリコートを、ブラッドフォード法[Bradford method (BIO-RAD Protein Assay Kit, #500-0001, BIO-RAD, Hercules, CA)]による蛋白濃度測定に用いた。
【実施例6】
【0157】
カプサイシン受容体結合試験
この実施例は、化合物のカプサイシン(VR1)受容体に対する結合親和性を測定するために用いることができる、代表的なカプサイシン受容体結合試験を説明している。
H]レジニフェラトキシン(RTX)を用いる結合の検討は、実質的には、「Szallasi and Blumberg (1992) J. Pharmacol. Exp. Ter. 262: 883-888」に記載されているように行われる。この手順において、非特異的なRTX結合は、結合反応の終了後にウシα酸性糖タンパク(1管あたり100μg)を添加することによって減少した。
H]RTX(37Ci/mmol)は「Chemical Synthesis and Analysis Laboratory, National Cancer Institute-Fredrick Cancer Research and Development Center, Fredric, MD」で合成され、ここから入手した。また、[H]RTXは、一般業者からも入手できる(例えば、Amersham Pharmacia Biotech, Inc.; Piscataway, NJ )。
【0158】
実施例5の膜ホモジネートを前述のように遠心分離して、蛋白濃度が333μg/mlになるように、ホモジネート緩衝液に再懸濁する。結合試験用の混合物は氷の上に備え付け、[H]RTX(比活性:2200mCi/ml)、2μlの非放射性の試験化合物、0.25mg/mlのウシ血清アルブミン(コーンフラクションV)、及び5×10〜1×10個のVR1導入細胞を含有している。最終容量を上記の氷冷HEPESホモジネート緩衝液(pH7.4)で500μl(競合結合試験用)又は1,000μl(飽和結合試験用)に調整する。非特異的結合は、1μMの非放射性のRTX(ALexis Corp.; San Diego, CA)が存在すると生じるものであると定義する。飽和結合のために、[H]RTXを、1から2倍希釈を用いて、7〜1,000pMの濃度範囲で添加する。一般に、飽和結合曲線当り11個の濃度ポイントが収集される。
【0159】
競合結合試験は、60pMの[H]RTX及び各種の濃度の試験化合物の存在下で実施される。結合反応は、試験混合物を37℃の水浴に移したときに始まり、60分間培養した後に管を氷の上で冷却したときに終了する。膜に結合したRTXは、使用する2時間前に1.0%のPEI(ポリエチレンイミン)に予備浸漬したWALLACグラスファイバーフィルター(PERKIN-ELMER, Gaithersburg, MD)でろ過して、非結合物から、同様にα酸性糖タンパクに結合したRTXからも分離する。フィルターを一晩乾燥して、WALLAC BETA SCINTシンチレーション液を添加した後に、WALLAC 1205 BETA PLATEカウンターでカウントする。
【0160】
平衡結合変数は、Szallasiら(J. Pharmacol. Exp. Ter. 266: 678-683 (1993))によって記載されているように、コンピュータプログラムFIT P(Biosoft, Ferguson, MO)の助けを借りて、アロステリックのヒルの式を測定値に当てはめて算出される。本発明の化合物は、この試験において、一般にカプサイシン受容体に対して100nM、50nM、25nM、10nM、1nM、0.5nM、0.25nM又は0.1nM未満のK値を示す。
【実施例7】
【0161】
カルシウム非固定化試験
本実施例は、試験化合物の作動薬及び拮抗薬の活性を評価するために、用いる代表的なカルシウム非固定化試験を説明するものである。
発現プラスミドを導入してヒトカプサイシン受容体を発現している細胞(実施例5に記載のような)を、FALCONの壁が黒く、底が透明な、96ウェルプレート(#3904, BECTON-DICKINSON, Franklin Lakes, NJ)に播種し、70〜90%集密になるまで生育する。96ウェルプレートから培養液を空にし、FLUO−3 AMカルシウム感受性染料(Molecular Probes, Eugene, OR)をそれぞれのウェルに加える[染料溶液:FLUO−3 AM(1mg)、DMSO(440μl)及び20%のプルロン酸のDMSO溶液(440μl)を1:250でクレブス−リンガーHEPES(KRH)緩衝液(25mMのHEPES、5mMのKCl、0.96mMのNaHPO、1mMのMgSO、2mMのCaCl、5mMのグルコース、1mMのプロベネシド、pH7)に希釈、各ウェルに希釈液を50μl]。プレートをアルミニウムホイルで覆って、5%COを含有する環境下で、1〜2時間37℃で培養する。培養後、染料をプレートから空にし、細胞をKRH緩衝液で一回洗浄して、そしてウェルはKRH緩衝液を再補充する。
【0162】
(カプサイシンEC50値の測定)
試料化合物が、カプサイシン又は他のバニロイドリガンドに対する、カプサイシン受容体発現の細胞のカルシウム非固定化の応答を作動する又は拮抗する能力を調べるのに、EC50値がまず測定される。上記に記載したように調製された、各ウェルの細胞に追加の20μlのKRH緩衝液及び1μlのDMSOが加えられる。KRH緩衝液の100μlのカプサイシンは、各ウェルにFLIPR装置を使用して自動的に移される。カプサイシンが誘導するカルシウムの非固定化は、FLUOROSKAN ASCENT(Labsystems; Franklin, MA)又はFLIPR(蛍光イメージングプレートリーダーシステム;Molecular Devices, Sunnyvale, CA)装置のいずれかを用いて観察する。作動薬を適用してから30秒〜60秒後に得られたデータが、最終カプサイシンが1nM〜3nMの濃度での8点の濃度応答曲線を作るのに使われる。KALEIDAGRAPHソフトウェア(Synergy Software, Reading, PA)を使用して、このデータを式:
y=a*(1/(1+(b/x)))
に当てはめて、応答に対する50%の興奮性の濃度(EC50値)を算出するために使用する。この式において、yは最大蛍光シグナルであり、xは作動薬又は拮抗薬(この場合は、カプサイシン)の濃度であり、aはEmaxで、bはEC50値に対応し、そしてcはヒル係数である。
【0163】
(作動薬活性の測定)
試験化合物をDMSOに溶解し、そしてKRH緩衝液で希釈して、直ちに上記のように調製した細胞に加える。100nMのカプサイシン(おおよそEC90値の濃度)を、陽性対照として同様の96ウェルプレート中の細胞に加える。試験ウェル中の試験化合物の最終濃度は、0.1μMと5μMの間である。
試験化合物のカプサイシン受容体作動薬として作用する能力を、化合物によって誘発される、カプサイシン受容体を発現する細胞の蛍光応答を測定して、化合物濃度の関数として決定される。このデータを上記のように当てはめて、EC50値を得る。一般に、このEC50値は、1マイクロモル未満、好ましくは100ナノモル未満、より好ましくは10ナノモル未満である。各試験化合物の有効性の範囲も、100nMのカプサイシンが誘発する応答に対する、特定の濃度(通常、1μM)の試験化合物が誘発する応答の割合を算定することにより決定される。シグナルのパーセント(POS)と呼ばれる、この値は以下の式によって算出される:
POS=100試験化合物による応答/100nMカプサイシンによる応答
【0164】
この分析は、試験化合物のヒトカプサイシン受容体作動薬としての能力及び有効性の両方の定量的な評価を提供する。ヒトカプサイシン受容体の作動薬は一般に、100μM未満の濃度で、又は好ましくは1μM未満の濃度で、最も好ましくは10nM未満の濃度で検出可能な応答を誘発する。ヒトカプサイシン受容体に対する有効性の範囲は、1μMの濃度で、好ましくは30POSより大きく、より好ましくは80POSより大きい。ある作動薬は、以下に記載されている試験において、化合物の4nM未満の濃度で、より好ましくは10μM未満の濃度で、最も好ましくは100μM以下の濃度で、検出可能な拮抗薬活性がないことを明らかにしたように、実質的に拮抗薬活性がない。
【0165】
(拮抗薬活性の測定)
試験化合物をDMSOに溶解し、試験ウェル中の試験化合物の最終濃度が1μM〜5μMになるように20μlのKRH緩衝液で希釈して、上記のように調製した細胞に加える。調製細胞及び試験化合物を含有する96ウェルプレートを、暗所において室温で0.5から6時間培養する。6時間を越えて培養を続けないことが重要である。蛍光応答を測定する直前に、KRH緩衝液中の上記のように測定したEC50値の2倍濃度のカプサイシン100μlを、96ウェルプレートの各ウェルに、最終試験容量が200μlそしてカプサイシン濃度がEC50値と等しくなるように、FLIPR装置により自動的に加える。試験ウェル中の試験化合物の最終濃度は、1μMと5μMの間である。カプサイシン受容体の拮抗薬は、対応の対照(すなわち、試験化合物の非存在下に、カプサイシンのEC50値の2倍濃度で処理した細胞)と比べて、10マイクモル以下の濃度で、好ましくは1マイクモル以下の濃度で、この応答を少なくとも約20%、少なくとも約50%、又は少なくとも約80%減少する。カプサイシンの存在下で、拮抗薬なしで観測される応答に対して、50%の減少を示すのに必要な拮抗薬の濃度は、拮抗薬のIC50値である。
【実施例8】
【0166】
ミクロソームインビトロ半減期
この実施例は、代表的な肝ミクロソーム半減期試験を用いる、化合物の半減期(t1/2値)の評価を説明している。
プールされたヒト肝ミクロソームは、「XenoTech LLC (Kansas City, KS)」から入手する。このような肝ミクロソームは、「In Vitro Technologies (Baltimore, MD)」 又は「 Tissue Transformation Technologies (Edison, NJ)」からも入手できる。それぞれがミクロソームを25μl、試験化合物の100μM溶液を5μl及び0.1Mのリン酸緩衝液(0.1MのNaHPO(19ml)、0.1MのNaHPO(81ml)、HPOでpH7.4に調整)を399μl含有する、6個の試験反応物を調製する。ミクロソームを25μl、0.1Mリン酸緩衝液を399μl、及び既知の代謝特性を有している化合物(例えば、DIAZEPAM又はCLOZAPINE)の100μM溶液を5μl含有する、陽性対照としての7番目の反応物を調製する。反応物は、39℃で10分間予備培養する。
【0167】
NADP(16.2mg)及びグルコース−6−リン酸(45.4mg)を100mMのMgCl(4ml)に希釈して、コファクター混合物を調製する。グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ懸濁液(Roche Molecular Biochemicals, Indianapolis, IN)(214.3μl)を蒸留水(1285.7μl)に希釈して、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ溶液を調製する。出発反応混合物(コファクター混合物3mL;グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ溶液1.2mL)(71μl)を6個の試験反応物のうちの5個及び陽性対照に加える。100mMのMgCl(71μl)を6番目の試験反応物に加え、これを陰性対照として用いる。各時点(0、1、3、5、及び10分)での各試験反応物75μlを、氷冷アセトニトリル(75μl)を含有しているディープウェルを有する96ウェルプレートのウェルに、ピペットで添加する。試料をボルテックス撹拌及び遠心分離を3500rpmで10分行う(Sorval T 6000D centrifuge, H1000B rotor)。各反応物から75μlの上澄液を、それぞれのウェルに既知のLCMSプロファイルを有する化合物(内部標準)の0.5μM溶液150μlを含有させた96ウェルプレートのウェルに移す。各試料のLCMS分析を実施し、代謝されなかった試験化合物をAUCとして測定し、化合物の濃度対時間をプロットして、試験化合物のt1/2値を外挿する。
好ましいカプサイシン受容体作動薬は、ヒト肝ミクロソームにおいて、10分超4時間未満の、好ましくは30分〜1時間のインビトロt1/2値を示す。
【実施例9】
【0168】
MDCK毒性試験
この実施例は、Madin Darbyイヌ腎(MDCK)細胞の細胞毒性試験を用いる化合物の毒性の評価を説明する。
試験化合物(1μl)を透明底の96ウェルプレート(PACKARD, Meriden, CT)の各ウェルに、試験における化合物の最終濃度が10マイクロモル、100マイクロモル又は200マイクロモルになるように加える。試験化合物を含まない溶媒を、対照のウェルに加える。
【0169】
MDCK細胞、つまりATCC no.CCL−34(American Type Culture Collection, Manassas, VA)を、ATCC製品情報シートの指示に従って無菌条件下に保つ。集密になったMDCK細胞をトリプシン処理し、採取し、そして温めた(37℃)培地(VITACELLイーグル最小必須培地、ATCCカタログ#30−2003)で、細胞0.1×10個/mlの濃度に希釈する。細胞を含まない100μlの温培地を含む標準曲線用の対照である5個のウェルを除いた各ウェルに、希釈した細胞100μlを加えた。ウェルプレートを37℃で、95%O及び5%COの雰囲気下で、一定に振盪しながら2時間培養する。培養後、哺乳動物細胞の溶解溶液(PACKARD(Meriden, CT) ATP−LITE−Mの発光ATP検出キット)50μLを各ウェルに加え、ウェルをPACKARD TOPSEALステッカーで覆い、ウェルプレートを約700rpmで適当な振盪器上で2分間振盪する。
【0170】
毒性を生じる化合物は、非処理細胞に比べて、ATP産生を減少させる。このATP−LITE−Mの発光ATP検出キットは一般に、処理及び非処理MDCK細胞における、ATP産生の測定についての製造会社の説明書に従って使用される。PACKARD ATP−LITE−M試薬は、室温にて平衡化する。平衡化したら、凍結乾燥した基質溶液を基質緩衝液(キットから)5.5mL中で解凍する。凍結乾燥したATP標準溶液を、脱イオン水中で解凍して10mMのストックを得る。5個の対照ウェルについては、連続的に希釈したPACKARD標準液10μlを、それぞれの標準曲線用の対照ウェルに、各ウェルの最終濃度が順次200nM、100nM、50nM、25nM及び12.5nMになるように加える。PACKARD基質溶液(50μL)を全てのウェルに加え、ウェルを覆い、プレートを約700rpmで適当な振盪器上で2分間振盪する。白色のPACKARDステッカーを各プレートの底に貼り、フォイルでプレートを包んで暗所に10分置くことによって試料を暗順応させる。次いで、発光計測器(例えば、PACKARD TOPCOUNT Microplate Scintillation and Luminescence Counter 又は TECAN SPECTRAFLUOR PLUS)を用いて22℃で発光を測定して、標準曲線からATPレベルを算出する。試験化合物で処理した細胞中のATPレベルを、非処理の細胞について測定したレベルと比較する。10μMのカプサイシン受容体作動薬で処理した細胞は、非処理の細胞の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%のATPレベルを示した。100μM濃度の試験化合物を使用した時には、好ましい試験化合物で処理した細胞は、非処理の細胞において検出されたATPレベルの少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%のATPレベルを示した。
【実施例10】
【0171】
脊髄後根神経節細胞試験
この実施例は、化合物のVR1拮抗薬又は作動薬の活性を評価するための代表的な後根神経節細胞試験について説明する。
DRG(脊髄後根神経節)は新生児ラットから解剖して得、解離して、標準的な方法(Aguayo and White (1992) Brain Rsearch 570: 61-67)を用いて培養する。48時間培養した後、細胞を一回洗浄し、カルシウム感受性染料Fluo4AM(2.5〜10ug/ml;TefLabs, Austin, TX)と共に30〜60分間培養する。次いで細胞を一回洗浄し、細胞にカプサイシンを加えると、VR1に依存して細胞内でカルシウムレベルの増加が起きる。これは蛍光光度計によるFluo−4の蛍光の変化によって監視する。60〜180秒のデータを集めて最大蛍光シグナルを算定する。
【0172】
拮抗薬試験については、各種の濃度の化合物を細胞に加える。蛍光シグナルを化合物濃度の関数としてプロットして、カプサイシン−活性化応答を50%阻害するのに必要な濃度、又はIC50値を決定する。カプサイシン受容体の拮抗薬は好ましくは1マイクロモル、100ナノモル、10ナノモル又は1ナノモル未満のIC50値を有している。
【0173】
作動薬試験については、各種の濃度の化合物を、カプサイシンを添加しないで細胞に加える。カプサイシン受容体作動薬である化合物はVR1に依存する細胞内カルシウムレベルの増加を引き起こす。これは蛍光光度計によるFluo4の蛍光の変化によって監視する。EC50値又はカプサイシン活性化応答のための最大シグナルの50%を引き起こすのに必要な濃度は、好ましくは、1マイクロモル未満、100ナノモル未満又は10ナノモル未満である。
【実施例11】
【0174】
疼痛緩和確認のための動物実験
この実施例は、カプサイシン受容体作動薬がもたらす疼痛緩和の程度を評価する代表的な方法について説明している。
A.疼痛緩和試験
以下の方法は疼痛緩和を評価するために使用される。
(機械的異痛)
機械的異痛(無害の刺激に対する異常な応答)は実質的に、Chaplanら(J. Newrosci. Methods 53: 55-63(1994))並びに Tal及びEliav(Pain 64 (3): 511-518 (1998))による記載のようにして評価する。各種硬度の1組のフォン・フライのフィラメント(von Frey filaments:一般に、1組に8〜14本のフィラメント)を、後足の足底面にフィラメントが曲がるのに十分な力で適用する。フィラメントは、この位置に3秒以内、又は陽性異痛応答がラットによって示されるまで保持する。陽性異痛応答は、処理された足をあげ、直ちに足を舐めるか振ることよりなる。個々のフィラメントを適用する順序及び頻度は、ディクソンのアップダウン法を用いて決定する。試験は組の内の中程度の毛で始め、陰性又は陽性応答のどちらが最初のフィラメントで得られたかによって、上行性又は下行性の連続法で次のフィラメントを適用する。
【0175】
化合物は、このような化合物で処置されたラットが陽性異痛応答を示すのに、非処置又は賦形剤で処置されたラットに比べて、より硬い強度のフォン・フライのフィラメントでの刺激が必要であれば、機械的異痛様の症状を治療又は阻止するのに有効である。一方又はさらに、化合物を前投与又は後投与して、動物の慢性疼痛の試験を行うことができる。このような試験において、有効化合物は、処置後に応答を引き起こすのに必要なフィラメントの硬度が、処置前の応答を引き起こすフィラメント又は慢性疼痛であるが無処置のままか賦形剤で処置されている動物に比べて、増加する。試験化合物は疼痛発現の前又は後に投与する。疼痛発現の後に試験化合物を投与しするきは、試験は投与後10分から3時間後に行う。
【0176】
(機械的痛覚過敏)
機械的痛覚過敏(疼痛刺激に対する誇張された応答)は実質的に、Kochら(Analgesia 2 (3): 157-164)による記載のようにして評価する。ラットを暖かい穴の開いた金属の床でできているオリの個室に入れる。後足を引っ込める時間(すなわち、動物が足を床に戻す前に足を抱えている時間の量)を、両後足の足底面に中程度に針を刺した後、測定する。
【0177】
後足を引っ込める時間を統計学的に有意に減少させるなら、化合物は機械的痛覚過敏の減少をもたらす。試験化合物は、疼痛発現の前又は後に投与することができる。疼痛発現の後に投与する化合物については、試験は投与後10分から3時間後に行う。
【0178】
(熱的痛覚過敏)
熱的痛覚過敏(有害な熱刺激に対する誇張された応答)は実質的に、Hargreavesら(Pain. 32 (1): 77-88 (1988))による記載のようにして測定される。つまり、一定の放射熱源を動物の一方の後足の足底面 に当てる。引っ込める時間(すなわち、熱が当てられてから動物が足を動かす前の時間の量)又は熱限界又は潜在と記載されているものは、動物の後足の熱に対する感受性を決定する。
【0179】
後足を引っ込める時間を統計学的に有意に増加させる(すなわち、熱限界又は潜在を増加する)なら、化合物は熱的痛覚過敏の減少をもたらす。試験化合物は疼痛発現の前又は後に投与することができる。疼痛発現の後に投与する化合物については、試験は投与後10分から3時間後に行う。
【0180】
B.疼痛モデル
化合物の鎮痛効果を試験するために、疼痛を下記の方法を用いて導入することができる。一般に、本発明の化合物は、雄性SDラット及び1つ以上の下記モデルを用いて、先に述べた1つ以上の試験方法によって確認されるように、統計的有意な疼痛減少をもたらす。
【0181】
(急性炎症性疼痛モデル)
急性炎症性疼痛モデルは、カラギナンモデルを用いて、実質的にFieldら(Br. J. Pharmacol. 121 (8): 1513-1522 (1997))による記載のようにして導入する。1〜2%のカラギナン溶液100〜200μlをラットの後足に注射する。注射から3〜4時間後に、熱及び機械刺激に対する動物の感応性を上記の方法を用いて試験する。試験化合物(0.01〜50mg/kg)を試験前又はカラギナン注射前に、動物に投与する。化合物は経口、又は何れかの非経口経路を介して、又は足に局所的に投与することができる。このモデルにおいて疼痛を緩和する化合物は、機械的異痛及び/又は熱的痛覚過敏の統計的有意な減少をもたらす。
【0182】
(慢性炎症性疼痛モデル)
慢性炎症性疼痛モデルは、下記の手順のうちの1つを用いて導入される。
1.実質的に、Bertorelliら(Br. J. Pharmacol. 128 (6): 1252-1258 (1999))及びSteinら(Pharmacol. Biochem. Behav. 31 (2): 455-51 (1998))による記載のように、コンプリートフロインドアジュバント(CFA:加熱死させ乾燥した0.1mgの結核菌(M.Tuberculosis))をラットの後足に注射する(100μlを背面に、100μlを足底面に)。
2.実質的には、Abbadieら(J. Neurosci. 14 (10): 5865-5871 (1994))の記載のように、150μlのCFA(1.5mg)を脛骨足根骨関節に注射する。
どちらの手順においてもCFAの注射前に、動物の後足の機械的及び熱的刺激に対する個々の基準感受性を、各実験動物に対して求める。
【0183】
CFAの注射に続いて、ラットに上記のような熱的痛覚過敏、機械的異痛及び機械的痛覚過敏の試験を行う。症状の進展を確認するために、CFAの注射から5,6、7日目にラットを試験する。7日目に、動物を試験化合物、モルヒネ又は賦形剤で処置する。モルヒネ(1〜5mg/kg)の経口投与が、陽性対照として適当である。一般に、試験化合物の0.01〜50mg/kgの用量が用いられる。化合物は試験の前に単回ボーラス投与か、又は試験前の数日、1日1回又は2回又は3回投与することができる。薬剤は経口、又は何れかの非経口経路を介して、又は動物に局所的に投与する。
【0184】
結果は最大潜在的有効性に対する割合(Percent Maximum Potential Efficacy; MPE)として表す。0%MPEを賦形剤の鎮痛効果と定義し、100%MPEを動物がCFA投与前の基準感受性に戻ることと定義する。このモデルで疼痛を緩和する化合物は、少なくとも30%のMPEをもたらす。
【0185】
(慢性神経性疼痛モデル)
慢性神経性疼痛は実質的に、Benett及びXie(Pain 33: 87-107 (1988))による記載のように、ラットの坐骨神経に対する慢性の狭窄損傷(CCI)を用いて導入される。ラットを麻酔する(例えば、ペントバルビタール50〜65mg/kgの腹腔内投与で、必要により追加用量を投与して)。各後肢の外側面の毛をそり、消毒する。無菌法を用いて、後肢の外側面を大腿の真ん中あたりで切断する。大腿二頭筋をずばり切り開き、坐骨神経を露出する。各動物の一方の後肢上に、坐骨神経の周りに1〜2mm離して4つのゆるく結ぶ結紮を行う。他方の坐骨神経は結紮せず、処理しない。筋肉を連続法で閉じ、皮膚を創傷クリップ又は縫合糸で閉じる。ラットを上記のように、機械的異痛、機械的痛覚過敏及び熱的痛覚過敏について評価する。
【0186】
このモデルで疼痛を緩和する化合物は、試験の直前に単回ボーラス投与、又は試験前数日間(1日当り1回又は2回又は3回)投与(0.01〜50mg/kg経口、注射又は局所投与)すると、機械的異痛、機械的痛覚過敏及び/又は熱的痛覚過敏の統計的有意な緩和をもたらす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化001】

[式中、
A、Z、Z、Z、Z及びZは、それぞれ独立してCH又はNであり;
Xは、CR又はNであり;
、R1a及びR1bは、水素、ハロゲン、シアノ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、及びC−Cハロアルコキシから、それぞれ独立して選ばれ;
は、水素又は式:−(CH−L−Mで表される基であり;
(式中、
Lは、O又はNRであり;
Mは、
(i)水素;又は
(ii)(a)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミノカルボニル、シアノ、ニトロ、オキソ及び−COOH;及び(b)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ及びシアノから、それぞれ独立して選ばれる0から3個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルカノイルオキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルエーテル、フェニルC−Cアルキル、フェニルC−Cアルコキシ、モノ及びジ(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルキルスルホニル、及び(4から7員の複素環)C−Cアルキル;から、それぞれ独立して選ばれる0から6個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cアルカノン、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルケニル、4から10員の炭素環又は複素環、又はRと一緒になって、4から10員の複素環を形成しており;
は、水素、又はC−Cアルキル、又はRはMと一緒になって、置換されていてもよい複素環であり;そして、
nは、1、2又は3である)
は、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、又はシアノであり;
そして、R1a及びR1bは、両方共にC−Cアルコキシであることはなく;
1a及びRは、両方共に水素であることはなく;
は、もしRがC−Cアルキルであるならば、水素ではない;そして、
は、もしRがCFであり、Z及びZが両方共にCHであり、そしてR1bが臭素であるならば、メトキシメチル又は3,5−ジメチルモルホリニルではない]
で表される、化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
が、トリフルオロメチルである、請求項1に記載の化合物又は塩。
【請求項3】
及びZの少なくとも1つが、CHである、請求項1又は請求項2に記載の化合物又は塩。
【請求項4】
がNである、請求項3に記載の化合物又は塩。
【請求項5】
がNである、請求項3に記載の化合物又は塩。
【請求項6】
及びZが、Nである、請求項1又は請求項2に記載の化合物又は塩。
【請求項7】
AがNである、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物又は塩。
【請求項8】
XがCRであり、Z及びZがCHである、請求項1又は請求項2に記載の化合物又は塩。
【請求項9】
XがCHである、請求項8に記載の化合物又は塩。
【請求項10】
が水素である、請求項1〜9のいずれかに記載の化合物又は塩。
【請求項11】
が、
【化002】

(式中、
【化003】

が、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、−COOH、C−Cアルキル及びC−Cアルコキシから、それぞれ独立して選ばれる0から3個の置換基で置換されている、4から7員のヘテロシクロアルキル環を示している)
で表される、請求項1〜9のいずれかに記載の化合物又は塩。
【請求項12】
化合物が、
(4−tert−ブチル−フェニル)−[2−(シス−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イルメチル)−7−トリフルオロメチル−キナゾリン−4−イル]− アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−(7−クロロ−キナゾリン−4−イル)−アミン;
(4−tert−ブチル−フェニル)−(キナゾリン−4−イル)−アミン;
(4−トリフルオロメチル−フェニル)−(7−トリフルオロメチル−キナゾリン−4−イル)−アミン;
(6−イオド−キナゾリン−4−イル)−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−アミン;
(7−ブロモ−ピリド[3,2−d]ピリミジン−4−イル)−(4−イソプロピル−3−メチル−フェニル)− アミン;
(7−ブロモ−ピリド[3,2−d]ピリミジン−4−イル)−(4−トリフルオロメチル−フェニル)− アミン;
(7−ブロモ−ピリド[3,2−d]ピリミジン−4−イル)−(4−tert−ブチル−イソオキサゾール)− アミン;
(7−ブロモ−キナゾリン−4−イル)−(4−トリフルオロメチル−フェニル)− アミン;
(7−ブロモ−キナゾリン−4−イル)−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)− アミン;
(7−ブロモ−キナゾリン−4−イル)−(4−(1,2,2,2−テトラフルオロ−1−トリフルオロメチル−エチル)−フェニル)− アミン;
(7−クロロ−キナゾリン−4−イル)−(4−トリフルオロメチル−フェニル)− アミン;
[2−(シス−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イルメチル)−7−トリフルオロメチル−キナゾリン−4−イル]−(6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イル)− アミン;
[2−(シス−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イルメチル)−7−トリフルオロメチル−キナゾリン−4−イル]−(4−トリフルオロメチル−フェニル)− アミン;
[7−ブロモ−2−(シス−2,6−ジメチル−モルホリン−4−イルメチル)−キナゾリン−4−イル]−(4−tert−ブチル−フェニル)− アミン;又は
4−(4−トリフルオロメチル−フェニルアミノ)−キナゾリン−7−カルボニトリル;である、請求項1に記載の化合物又は塩。
【請求項13】
式:
【化004】

[式中、
A、Z及びZは、それぞれ独立してCH又はNであり;
、Z、Z及びZは、それぞれ独立してCR,N、NH、O又はSであり(ここに於いて、Z、Z、Z及びZの少なくとも3つは、CR,N及びNHから、それぞれ独立して選ばれる);
、R1a及びR1bは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、オキソ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、及びC−Cハロアルコキシから、それぞれ独立して選ばれ(ここに於いて、R1a及びR1bは、両方共にC−Cアルコキシであることはない);
は、水素又は式:−(CH−L−Mで表される基であり;
(式中、
Lは、O又はNRであり;
Mは、
(i)水素;又は
(ii)(a)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミノカルボニル、シアノ、ニトロ、オキソ及び−COOH;及び(b)ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ及びシアノから、それぞれ独立して選ばれる0から3個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルカノイルオキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルエーテル、フェニルC−Cアルキル、フェニルC−Cアルコキシ、モノ及びジ(C−Cアルキル)アミノ、C−Cアルキルスルホニル、及び(4から7員の複素環)C−Cアルキル;から、それぞれ独立して選ばれる0から6個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cアルカノン、C−Cアルキルエーテル、C−Cアルケニル、4〜10員の炭素環又は複素環、又はRと一緒になって、4から10員の複素環を形成しており;
は、水素、又はC−Cアルキル、又はRはMと一緒になって、置換されていてもよい複素環を形成しており;そして、
nは、1、2又は3である)
は、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、又はシアノである]
で表される化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項14】
がNであり、ZがCHである、請求項13に記載の化合物又は塩。
【請求項15】
がOであり、ZがCHである、請求項14に記載の化合物又は塩。
【請求項16】
及びZの少なくとも1つが、CHである、請求項13、14又は15に記載の化合物又は塩。
【請求項17】
がNである、請求項16に記載の化合物又は塩。
【請求項18】
がNである、請求項16に記載の化合物又は塩。
【請求項19】
及びZが、Nである、請求項13、14又は15に記載の化合物又は塩。
【請求項20】
AがNである、請求項13〜19のいずれかに記載の化合物又は塩。
【請求項21】
が水素である、請求項13〜20のいずれかに記載の化合物又は塩。
【請求項22】
が、
【化005】

(式中、
【化006】

が、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、−COOH、C−Cアルキル及びC−Cアルコキシから、それぞれ独立して選ばれる0から3個の置換基で置換されている、4から7員のヘテロシクロアルキル環を示している)
で表される、請求項13〜20のいずれかに記載の化合物又は塩。
【請求項23】
化合物が、
(2−メチル−7−トリフルオロメチル−キナゾリン−4−イル)−(2−トリフルオロメチル−チアゾール−5−イル)−アミン;
(3−クロロ−6−メチル−ピリド[2,3−d]ピラジン−8−イル)−(2−トリフルオロメチル−チアゾール−5−イル)− アミン;
(3−クロロ−6−メチル−ピリド[2,3−d]ピラジン−8−イル)−(5−トリフルオロメチル−チオフェン−2−イル)− アミン;
(3−クロロ−ピリド[2,3−d]ピラジン−8−イル)−(5−トリフルオロメチル−チオフェン−2−イル)− アミン;
(3−フルオロ−ピリド[2,3−d]ピラジン−8−イル)−(5−トリフルオロメチル−チオフェン−2−イル)− アミン;
(7−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−(5−tert−ブチル−イソオキサゾール−3−イル)− アミン;
(7−クロロ−[1,8]ナフチリジン−4−イル)−(2−メチル−チアゾール−5−イル)− アミン;
(7−クロロ−[1,8]ナフチリジン−4−イル)−(5−トリフルオロメチル−チオフェン−2−イル)− アミン;
(7−クロロ−2−メトキシメチル−プテリジン−4−イル)−(2−トリフルオロメチル−チアゾール−5−イル)−アミン;
(7−クロロ−2−メトキシメチル−ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−(2−トリフルオロメチル−チアゾール−5−イル)−アミン;
(7−クロロ−2−メトキシメチル−ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−(5−トリフルオロメチル−チオフェン−2−イル)−アミン;
(7−クロロ−2−メトキシメチル−ピリド[3,2−d]ピリミジン−4−イル)−(2−トリフルオロメチル−チアゾール−5−イル)−アミン;
(7−クロロ−2−メチル−[1,8]ナフチリジン−4−イル)−(2−トリフルオロメチル−チアゾール−5−イル)− アミン;
(7−クロロ−2−メチル−[1,8]ナフチリジン−4−イル)−(5−トリフルオロメチル−チオフェン−2−イル)− アミン;
(7−ブロモ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−(5−トリフルオロメチル−[1,3,4]チアジアゾール−2−イル)− アミン;
(7−クロロ−キナゾリン−4−イル)−(5−トリフルオロメチル−イソチアゾール−3−イル)− アミン;
(7−クロロ−キナゾリン−4−イル)−(5−トリフルオロメチル−チオフェン−2−イル)− アミン;
(7−フルオロ−2−モルホリン−4−イルメチル−キノリン−4−イル)−(2−トリフルオロメチル−チアゾール−5−イル)− アミン;
(7−フルオロ−ピリド[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−(2−トリフルオロメチル−チアゾール−5−イル)− アミン;
(7−トリフルオロメチル−[1,8]ナフチリジン−4−イル)−(2−トリフルオロメチル−チアゾール−5−イル)− アミン;
(7−トリフルオロメチル−キナゾリン−4−イル)−(5−トリフルオロメチル−イソチアゾール−3−イル)− アミン;
[2−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イルメチル)−7−フルオロ−キナゾリン−4−イル]−(5−トリフルオロメチル−チオフェン−2−イル)− アミン;又は
[2−(2,6−ジメチル−モルホリン−4−イルメチル)−7−フルオロ−キナゾリン−4−イル]−(2−トリフルオロメチル−チアゾール−5−イル)− アミン;
である、請求項13に記載の化合物又は塩。
【請求項24】
式:
【化007】

(式中、
Arは、Rからそれぞれ独立して選ばれる0から3個の置換基で置換されている、フェニル、ピリジル又はピリミジルであり;
Arは、Rからそれぞれ独立して選ばれる0から6個の置換基で置換されている、ナフチル、キノリニル又はキナゾリニルであり;
Arは、Rからそれぞれ独立して選ばれる0から4個の置換基で置換されている、ベンズイミダゾリル又はインドリルであり;
は、(i)及び(ii)から、それぞれ独立して選ばれる:
(i)は、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、アミノカルボニル及び−COOHであり;そして
(ii)は、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ及びシアノから、それぞれ独立して選ばれる0から3個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルカノイルオキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルエーテル、モノ及びジ(C−Cアルキル)アミノ及びC−Cアルキルスルホニルである)
で表される、化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項25】
化合物が、式:
【化008】

(式中、
、R及びRの各々は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ及びC−Cハロアルコキシから、それぞれ独立して選ばれる0から3個の置換基を示し;
は、水素、C−Cアルキル、(C−Cシクロアルキル)C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ又はC−Cアルキルエーテルであり;
は、水素、C−Cアルキル又はC−Cアルコキシである)
で表される、請求項24に記載の化合物又は塩。
【請求項26】
が、C−Cアルキル又はC−Cアルコキシである、請求項25に記載の化合物又は塩。
【請求項27】
がエトキシである、請求項26に記載の化合物又は塩。
【請求項28】
が、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、プロピル、ブチル、ペンチル、シクロペンチル、プロペニル又はメトキシエチルである、請求項25〜27のいずれかに記載の化合物又は塩。
【請求項29】
化合物が、
(1−アリル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメチル)−(2,4−ジクロロ−ベンジル)−(2−エトキシ−ナフタレン−1−イルメチル)−アミン;
(1−シクロペンチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメチル)−(2,4−ジクロロ−ベンジル)−(2−エトキシ−ナフタレン−1−イルメチル)−アミン;
(1−シクロペンチル−5−フルオロ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメチル)−(2,4−ジクロロ−ベンジル)−(2−エトキシ−ナフタレン−1−イルメチル)−アミン;
(2,4−ジクロロ−ベンジル)−(2−エトキシ−ナフタレン−1−イルメチル)−(1−エチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメチル)−アミン;
(2,4−ジクロロ−ベンジル)−(2−エトキシ−ナフタレン−1−イルメチル)−(1−ペンチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメチル)−アミン;
(2,4−ジクロロ−ベンジル)−(2−エトキシ−ナフタレン−1−イルメチル)−(5−フルオロ−1−プロピル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメチル)−アミン;
(2,4−ジクロロ−ベンジル)−(2−エトキシ−ナフタレン−1−イルメチル)−(6−フルオロ−1−プロピル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメチル)−アミン;
(2,4−ジクロロ−ベンジル)−(2−エトキシ−ナフタレン−1−イルメチル)− [1−(2−メトキシ−エチル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメチル)−アミン;
(6−クロロ−1−プロピル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメチル)−(2,4−ジクロロ−ベンジル)−(2−エトキシ−ナフタレン−1−イルメチル)−アミン;又は、
(7−クロロ−1−プロピル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメチル)−(2,4−ジクロロ−ベンジル)−(2−エトキシ−ナフタレン−1−イルメチル)−アミン;
である、請求項25に記載の化合物又は塩。
【請求項30】
式:
【化009】

(式中、
及びRは、水素、ハロゲン、シアノ、アミノ、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルケニル、C−Cハロアルキル、C−Cアルコキシ、又はモノ若しくはジ(C−Cアルキル)アミノから、それぞれ独立して選ばれるか;又は、
及びRは、一緒になって、Rから選ばれる0から3個の置換基で置換されている、5又は6員の炭素環又は複素環であり;
Y及びZは,それぞれ独立して、CH又はNであり;
Ar及びArは、Rからそれぞれ独立して選ばれる1から3個の置換基で置換されている、フェニル、又は6員のヘテロアリールであり;
は、(i)及び(ii)から、それぞれ独立して選ばれる:
(i)は、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、アミノカルボニル及び−COOHであり;そして
(ii)は、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ及びシアノから、それぞれ独立して選ばれる0から3個の置換基で置換されている、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、C−Cアルコキシカルボニル、C−Cアルカノイルオキシ、C−Cアルキルチオ、C−Cアルキルエーテル、モノ及びジ(C−Cアルキル)アミノ及びC−Cアルキルスルホニルである)
で表される、化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項31】
化合物が、式:
【化010】

(式中、
W及びXは、それぞれ独立して、N又はCHであり;
は、Rからそれぞれ独立して選ばれる0から3個の置換基を示している)
で表される、請求項30に記載の化合物又は塩。
【請求項32】
化合物が、式:
【化011】

(式中、
は、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル及びC−Cハロアルコキシから、それぞれ独立して選ばれる1から2個の置換基を示し;
は、ヒドロキシ、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル及びC−Cハロアルコキシから、それぞれ独立して選ばれる0から2個の置換基を示している)
で表される、請求項31に記載の化合物又は塩。
【請求項33】
化合物が、
2−(2−フルオロ−5−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,6]ナフチリジン−4−カルボン酸−3−メトキシ−ベンジルアミド;
2−(3−クロロ−フェニル)−[1,6]ナフチリジン−4−カルボン酸−3−ジフルオロメトキシ−ベンジルアミド;
2−(3−クロロ−フェニル)−[1,6]ナフチリジン−4−カルボン酸−3−メトキシ−ベンジルアミド;
2−(3−クロロ−フェニル)−[1,6]ナフチリジン−4−カルボン酸−3−トリフルオロメチル−ベンジルアミド;
2−(3−クロロ−フェニル)−[1,6]ナフチリジン−4−カルボン酸−ベンジルアミド;
2−(3−クロロ−フェニル)−N−(3−メトキシ−ベンジル)−イソニコチンアミド;
2−(3−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,6]ナフチリジン−4−カルボン酸−3−フルオロ−ベンジルアミド;
2−(4−クロロ−フェニル)−[1,6]ナフチリジン−4−カルボン酸−3−メトキシ−ベンジルアミド;及び
2−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−[1,6]ナフチリジン−4−カルボン酸−3−メトキシ−ベンジルアミド;
である、請求項32に記載の化合物又は塩。
【請求項34】
化合物が、カプサイシン受容体のリガンド結合試験に於いて、1マイクロモル以下のK値を有している、請求項1〜33のいずれかに記載の化合物又は塩。
【請求項35】
化合物が、カプサイシン受容体のリガンド結合試験に於いて、100ナノモル以下のK値を有している、請求項1〜33のいずれかに記載の化合物又は塩。
【請求項36】
化合物が、カプサイシン受容体のリガンド結合試験に於いて、10ナノモル以下のK値を有している、請求項1〜33のいずれかに記載の化合物又は塩。
【請求項37】
化合物が、1マイクロモルの濃度で、VR1が介在するカルシウム非固定化試験に於いて100nMのカプサイシンによって誘導される応答の少なくとも30%の作動薬応答を誘導する、請求項1〜33のいずれかに記載の化合物又は塩。
【請求項38】
化合物が、1マイクロモルの濃度で、VR1が介在するカルシウム非固定化試験に於いて100nMのカプサイシンによって誘導される応答の少なくとも80%の作動薬応答を誘導する、請求項1〜33のいずれかに記載の化合物又は塩。
【請求項39】
請求項1〜33のいずれかに記載の化合物又は塩のうち少なくとも一つを、生理学的に許容される担体又は賦形剤と共に含有して成る、医薬組成物。
【請求項40】
請求項1〜33のいずれかに記載の化合物又は塩のうち少なくとも一つと、カプサイシン受容体を発現する細胞を接触させ、これによりカプサイシン受容体のカルシウム伝達を増進させることからなる、細胞中のカプサイシン受容体のカルシウム伝達を増進する方法。
【請求項41】
細胞が神経細胞であって、動物の生体内で接触させる、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
動物がヒトである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
化合物を局所に投与する、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
請求項1〜33のいずれかに記載の化合物又は塩のうち少なくとも一つの治療有効量を、患者に投与し、これにより患者の疾患を軽減することからなる、患者に於けるカプサイシン受容体調節の応答に関連する疾患を治療する方法。
【請求項45】
疾患が、喘息又は慢性閉塞性肺疾患である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
請求項1〜33のいずれかに記載の化合物又は塩のうち少なくとも一つの治療有効量を、疼痛を患っている患者に投与し、これにより患者の疼痛を軽減することからなる、患者の疼痛を治療する方法。
【請求項47】
患者が神経性疼痛を患っている、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
疼痛が、乳房切除後疼痛症候群、切断痛、幻肢痛、口腔内神経性疼痛、歯痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、反射交感神経性ジストロフィー、三叉神経痛、変形性関節症、関節リウマチ、繊維筋痛、ギラン・バーレ症候群、知覚異常性大腿神経痛、口内焼灼感症候群、両側性末梢神経障害、灼熱痛、神経炎、ニューロン炎、神経痛、AIDS関連神経障害、MS関連神経障害、脊髄損傷関連の疼痛、手術関連の疼痛、筋骨格の疼痛、背中の疼痛、頭痛、片頭痛、狭心症、陣痛、痔、消化不良、シャルコー痛、腸内ガス、生理、ガン、毒汚染、過敏性腸症候群、炎症性大腸炎及び外傷:から選ばれる疾患に関連しているものである、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
患者がヒトである、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
化合物又は塩を局所に投与する、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
化合物又は塩が放射線標識されている、請求項1〜33のいずれかに記載の化合物又は塩。
【請求項52】
(a)化合物がカプサイシン受容体と結合することが可能な条件下で、試料を請求項1〜33のいずれかに記載の化合物又は塩と接触させる;及び
(b)カプサイシン受容体に結合した化合物のレベルを検出し、それにより試料中のカプサイシン受容体の有無を決定する;
工程からなる、試料中のカプサイシン受容体の有無を決定する方法。
【請求項53】
化合物が放射性標識されている化合物であり、検出の工程が
(i)結合した化合物から、結合していない化合物を分離する;及び
(ii)試料中の結合した化合物の有無を検出する;
工程からなる、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
(a)容器中の請求項39に記載の医薬組成物;及び
(b)当該組成物を疼痛の治療に用いるための説明書;
を包含する、包装された医薬製剤。
【請求項55】
カプサイシン受容体調節の応答に関連する疾患を治療する薬剤を製造するための、請求項1〜33のいずれかに記載の化合物又は塩の使用。
【請求項56】
疾患が、疼痛、喘息、慢性閉塞性肺疾患、咳、しゃっくり、肥満症、尿失禁若しくは過活動膀胱、カプサイシンへの暴露、熱への暴露による火傷若しくは炎症、光への暴露による火傷若しくは炎症、催涙ガスへの、大気汚染への若しくは唐辛子スプレーへの暴露による火傷、気管支収縮若しくは炎症、酸への暴露による火傷若しくは炎症である、請求項55に記載の使用。
【請求項57】
カプサイシン受容体のリガンド結合試験に於いて、作動薬が1マイクロモル以下のK値を有している、非バニロイドのカプサイシン受容体作動薬。
【請求項58】
請求項57に記載の化合物又は塩のうち少なくとも一つを、生理学的に許容される担体又は賦形剤と共に含有して成る、医薬組成物。
【請求項59】
請求項57に記載の化合物又は塩のうち少なくとも一つの治療有効量を、疼痛を患っている患者に投与し、これにより患者の疼痛を軽減することからなる、患者の疼痛を治療する方法。
【請求項60】
カプサイシン受容体調節の応答に関連する疾患を治療する薬剤を製造するための、請求項57に記載の化合物又は塩の使用。
【請求項61】
疾患が、疼痛、喘息、慢性閉塞性肺疾患、咳、しゃっくり、肥満症、尿失禁若しくは過活動膀胱、カプサイシンへの暴露、熱への暴露による火傷若しくは炎症、光への暴露による火傷若しくは炎症、催涙ガスへの、大気汚染への若しくは唐辛子スプレーへの暴露による火傷、気管支収縮若しくは炎症、酸への暴露による火傷若しくは炎症である、請求項60に記載の使用。

【公表番号】特表2007−509985(P2007−509985A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538401(P2006−538401)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/036295
【国際公開番号】WO2005/042498
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(500015456)ニューロジェン・コーポレーション (48)
【Fターム(参考)】