説明

カーナビゲーションシステム

【課題】省燃費の観点から十分に効果的な経路を探索する。
【解決手段】ナビゲーション装置2は、車両の現在地及び目的地、並びに車体重量のデータを、サーバ3(通信装置17)に対し送信する。サーバ3の制御部6は、ダイクストラ法を用いて、出発地から目的地までのコストが最小となる省燃費を図り得る経路を探索する。このとき、信号頻度が大きい、急カーブの数が多いといった車両が加速(発進)、減速(停止)を行う度合が大きくなる特定道路は、それ以外の普通道路(基準値)に比べてコストが大きく、且つ、車体重量が大きいほどコストが大きくなるよう変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指定された目的地までの推奨する経路を探索する経路探索手段を備えるカーナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車に搭載されるカーナビゲーションシステムは、自己の現在位置を検出し表示装置に道路地図に重ね合わせて表示するロケーション機能や、ユーザが指定した目的地までの推奨する経路を計算により探索し、案内する経路探索、案内機能を備えている。そのうち経路探索機能による経路の計算には、ダイクストラ法が一般に用いられている。この経路計算は、簡単にいうと、指定された優先条件などに応じて、出発地(現在地)から目的地へ向けて、次に到達できる交差点(ノード)までの道路(リンク)のコストの計算(積算)を順次行なっていき、目的地までが最小コストとなる経路を選ぶ手法である。前記コストは、各リンクにおける、道路長や道路種別、道路幅、有料無料の別、渋滞度等から、所定の重み付けがなされて計算されるようになっている。
【0003】
ところで、例えばトラックやバンタイプの自動車等の、積荷の積載状況が変動する車両については、特に積載物の重量が大きい場合には、急勾配の上り坂を登る際に、時間が掛かったり、燃料の消費が大きくなったりする事情がある。そこで、特許文献1には、経路探索を行うにあたって、積荷の重量に関する情報を収集して積荷全体の重量を算出し、所定値(5°)以上の上り勾配がある道路については、重量に応じて重み付け係数を付加することにより、積荷重量が大きい場合には急勾配の上り坂が選択されにくくする手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−271081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、乗用車やトラック等の車両(自動車)にあっては、燃費の向上(経済走行)と共に、CO2や窒素酸化物、硫黄酸化物などの排出ガスの低減を図ろうとするエコドライブという考え方がより一層強く求められてきている。ところが、省燃費を図るための経路検索を行う点に関しては、上記特許文献1に示されるような、経路探索時に急勾配の上り坂のみを対象としてコストの変更(重み付け)を行うだけでは不十分である。
【0006】
具体的には、燃費を悪化させる要因のうち最も大きなものとしては、車両が加速(発進)、減速(停止)を繰返すことがある。この場合も、車両の積載物の重量が大きくなるほど燃費面に対する影響が大きくなる。従って、そのような省燃費の観点から経路探索を行うことについて、十分に効果のある手法の開発が要望されるのである。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、経路探索手段を備えるものにあって、省燃費の観点から十分に効果的な経路を探索することができるカーナビゲーションシステムを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のカーナビゲーションシステムは、経路探索手段を備えるものにあって、自車両の重量を判定する重量判定手段を備えると共に、前記経路探索手段は、前記重量判定手段により判定された自車両の重量の大小、及び、車両が加速・減速を行う度合の大小を考慮して、省燃費となる経路を探索することが可能に構成されているところに特徴を有する(請求項1の発明)。
【0009】
車両にあっては、加速(発進)、減速(停止)を行う度合が大きくなるほど、燃料消費が大きくなり、また、積載物や乗員等の重量が大きくなるほど、燃料消費が大きくなる事情がある。そこで、経路探索を行うにあたり、自車両の重量の大小、及び、車両が加速・減速を行う度合の大小(加速・減速を行う度合が大きくなると予測される道路を通過するかどうか)を考慮するようにすれば、省燃費の観点から経路探索を行うことが可能となる。従って、本発明によれば、省燃費の観点から十分に効果的な経路を探索することができる。
【0010】
より具体的には、経路探索手段を、経路に関するコストの計算に基づいて最小コストとなる目的地までの経路を探索するように構成すると共に、車両が加速・減速を行う度合が大きくなる特定道路を通過する際のコストを、それ以外の普通道路のコストに比べて大きく、且つ、自車両の重量が大きいほど大きくなるように付与することができる(請求項2の発明)。これによれば、特定道路と普通道路との区別及び自車両の重量によって、経路のコスト計算の結果を、実際の燃料消費に対応したコストとすることが可能となり、簡単な計算で、省燃費を図るに適切な経路を探索することが可能となる。
【0011】
このとき、上記特定道路を、信号の数、一時停止の数、右左折の数、急カーブの数のうちいずれか一つ以上が基準値よりも多くなっていることにより、それ以外の普通道路と区別することができる(請求項3の発明)。これにより、実際の車両の燃料消費に対応した特定道路と普通道路との区別を行うことができ、省燃費を図るに効果的な経路探索を行うことができる。
【0012】
また、道路が渋滞している場合にも、車両が加速(発進)、減速(停止)を行う度合が通常よりも大きくなると考えられるので、実際の道路の渋滞状況に基づき、渋滞が生じている場合に特定道路と判断して経路探索を行うこともできる(請求項4の発明)。これによっても、実際の車両の燃料消費に対応した特定道路と普通道路との区別を行うことができ、省燃費を図るに効果的な経路探索を行うことができる。
【0013】
本発明においては、前記重量判定手段を、車輪上に車体を弾性支持するばね部分に設けられた振動検出センサを含み、この振動検出センサの振動検出に基づいて前記車体の共振周波数を検出し、その共振周波数から該車体の重量を判定するように構成することができる(請求項5の発明)。車体の重量の相違(変動)に伴い、共振周波数も変動するので、振動検出センサの振動検出に基づく共振周波数の検出により、車体の重量を判定することが可能となる。
【0014】
さらに、前記重量判定手段により判定された前記車体の重量を、ドライバに表示する表示手段を設けるようにしても良く(請求項6の発明)、有用な情報をドライバに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、カーナビゲーションシステムの電気的構成を概略的に示すブロック図
【図2】ナビゲーション装置の制御装置の実行する処理手順を示すフローチャート
【図3】サーバの制御部の実行する処理手順を示すフローチャート
【図4】図3のステップS12の詳細な処理手順を示すフローチャート
【図5】コスト変更の具体例を示す図
【図6】本発明の他の実施例を示すもので、道路の渋滞状況に応じたコスト変更の具体例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した一実施例について、図1ないし図5を参照しながら説明する。尚,本実施例は、車両の出発地から目的地までの推奨する経路を経路案内センタにおいて演算するようにした、いわゆるセンタ計算型のナビゲーションシステム1に本発明を適用したものである。また、ここでは、車両として、トラック或いはバンタイプの自動車等の、荷台に積載されている荷物の量(或いは乗員の数)によって、車体の重量が大きく変動するものを具体例としている。
【0017】
図1は、本実施例に係るナビゲーションシステム1の構成を概略的に示している。このナビゲーションシステム1は、トラック等の車両に搭載されるナビゲーション装置2と、サービスセンタ(経路案内センタ)に設けられるサーバ3とを備えて構成される。
【0018】
前記ナビゲーション装置2は、コンピュータ(CPU)を主体として構成され全体を制御する制御装置4を備えると共に、その制御装置4に接続された、外部との無線通信を行う通信装置5、自車位置を検出するための位置検出部6、例えばフルカラー液晶ディスプレイからなり表示手段として機能する表示装置7、タッチパネルやメカスイッチを含む操作スイッチ群8、音声出力装置9、地図データベース10、走行情報記録部11等を備えて構成されている。更に、詳しくは後述するように、制御装置4には、車体重量を判定するための重量判定手段を構成する重量検出センサ12が接続されている。
【0019】
前記位置検出部6は、GPS用の人工衛星からの送信電波に基づいて自車両の位置を検出(測位)するGPS(Global Positioning System )のためのGPS受信機13、自車両の回転角速度を検出するジャイロセンサ14、車速度センサ15を含んでいる。前記制御装置4は、そのソフトウエア構成(及びハードウエア構成)により、前記位置検出部6を構成する各センサ13〜15からの入力に基づいて、自車両の現在位置(絶対位置)、進行方向、速度や走行距離、現在時刻等を高精度で検出する。
【0020】
そして、その自車の現在位置、及び、前記地図データベース10から得られる地図データに基づいて、前記表示装置7の画面に、自車周辺の道路地図と共に自車の現在位置(及び進行方向)を重ね合せて表示させるロケーション機能を実現する。この場合、一般に、ロケーション機能を実現するにあたっては、自車の位置を、表示される電子地図上の道路に乗せるために、自車の移動軌跡と道路地図データ中の道路形状とを比較照合して、現在走行中の道路を推測するマップマッチングが行われる。
【0021】
前記地図データベース10は、例えば日本全土の道路地図データや、それに付随する、各種施設や店舗等の施設データ等を記憶するものである。前記道路地図データは、地図上の道路を、交差点等をノードとして複数の部分に分割し、各ノード間の部分をリンクとして規定したリンクデータとして与えられる。このリンクデータは、リンク固有のリンクID(識別子)、リンク長、リンクの始点,終点(ノード)の位置データ(経度,緯度)、角度(方向)データ、道路幅、道路種別などのデータを含んで構成される。また、道路地図を表示装置の画面上に再生(描画)するためのデータも含まれている。
【0022】
そして、このナビゲーション装置2(制御装置4)は、前記通信装置5により、例えば、図示しない無線基地局及びインターネット等の通信ネットワークを介して、サービスセンタのサーバ3との間で通信を行うようになっている。前記通信装置5としては、携帯電話機、DSRC、無線RANなど様々なものを採用することができる。この場合、ユーザの操作スイッチ群8の操作に基づいて、サーバ3に対し、現在地(出発地)及び目的地のデータ並びに自車両(車体)の重量のデータを通信装置5により送信し、また、サービスセンタのサーバ3において演算された推奨経路を構成する経路案内データを通信装置5により取得(受信)する。
【0023】
ナビゲーション装置2(制御装置4)は、サーバ3から取得した経路案内データに基づいて経路案内を実行する。周知のように、この経路案内は、表示装置7の画面に、道路地図に重ね合わせて走行すべき経路を表示すると共に、自車位置が所定のポイントに至ったときに、音声出力装置9により案内音声を出力することにより行われる。これにて、ユーザにより指定された目的地までの推奨する走行経路を探索する経路探索機能が実現されるようになっている。
【0024】
ここで、詳しい図示は省略するが、前記重量検出センサ12について説明する。本実施例では、この重量検出センサ12として、車輪上に車体を弾性支持するサスペンション(所定のばね定数を有するばね)部分に設けられた振動検出センサ(加速度センサ)が採用され、その振動検出センサの検出した振動に基づいて、制御装置4が車体重量を判定する。この場合、車体の重量の相違(変動)に伴い、共振周波数も変動するので、予め車体重量と共振周波数との関係を求めて(記憶して)おき、振動検出センサの振動検出信号から、周波数に対する振動強度(振幅)の分布を求め、振動強度のピークが現れる共振周波数を検出することにより、車体の重量を判定することが可能となる。
【0025】
また、本実施例では、図5に示すように、車体の重量判定は、例えば、3t未満、3t以上6t未満、6t以上9t未満、9t以上(12t未満)の4段階で行なわれる。このような前記振動検出センサによる振動の検出(車体重量の判定)は、例えば適宜のタイミングで周期的に行なわれ、常に最新の車体重量が検出される。これと共に、検出(判定)された車体重量は、表示装置7の画面に表示されるようになっている。尚、前記振動検出センサにより車体の上下方向の振動を検出することができるが、サスペンションのばねは、前後方向成分も有しているので、車体の前後方向振動を検出する構成とすることも可能である。
【0026】
一方、図1に示すように、前記サービスセンタのサーバ3は、コンピュータを主体として構成された制御部16を備えると共に、その制御部16に接続された、外部との間で無線通信を行う通信手段たる通信装置17、経路探索に関連する各種情報を記憶する情報記憶部18、地図データベース19などを備えて構成されている。前記通信装置17は、前記ナビゲーション装置2の通信装置5との間の通信を行なうようになっている。このとき、上記のように、通信装置17は、通信装置5との通信により、現在地(出発地)及び目的地のデータ並びに車体重量データを受信すると共に、探索された推奨する経路の経路案内データを送信するようになっている。
【0027】
また、前記通信装置17は、例えば種々のサーバ20、VICSセンタ21、タクシー22等から送信される、道路交通情報(渋滞、事故、工事、車線規制、交通規制などの情報)、気象情報(天候、風向き、路面状況)等の経路探索に有用な最新のデータを受信し、それら各種データが情報記憶部18に蓄積されるようになっている。前記地図データベース19には、経路探索用の最新の道路地図データが記憶されている。この道路地図データは、上記と同様に、地図上の交差点などをノードとして道路を複数の部分に分割し、各ノード間の部位分をリンクとして規定したリンクデータとして与えられ、リンクデータは、リンクID、リンク長、リンクの始点、終点の位置データ、角度(方向)データ、道路幅、道路種別等のデータを含んで構成される。
【0028】
前記制御部16は、地図データベース19の道路地図データ(リンク、ノードのデータ)を用いて、受信した出発地(現在地)から目的地までの推奨する経路を演算により求める(探索する)ようになっており、経路探索手段として機能する。この経路の演算には、例えば、周知のダイクストラ法が用いられ、出発地から目的地までのコストが最小となる走行経路が求められる。また、この経路探索の際には、上記情報記憶部18に蓄積されている最新の道路交通情報などのデータが加味される。このとき、後述するように、本実施例では、省燃費となる経路を探索することができるようになっている。推奨経路が求められると、経路案内データとしてナビゲーション装置2に送信される。
【0029】
ここで、経路探索において一般的に用いられるダイクストラ法について簡単に述べる。経路探索は、出発地(現在地)から目的地へ向けて、次に到達できる交差点(ノード)までの道路(リンク)の探索及びそのコスト(評価値)の計算を順次行なっていき、目的地までが最小コストとなる経路(リンク列)を求めることにより行われる。前記リンクのコスト及びノードのコストは、道路長や道路種別、車線数、道路幅、急カーブ、起伏(勾配)、信号、一時停止や踏切の有無、更には、車線規制、渋滞度、路面状況(凍結、積雪)等から、所定の計算式にて算出され、例えば他の条件が同一の道路(リンク)の場合には、道路長にほぼ比例して大きな値となるようになっている。また、交差点(ノード)において右左折を行う場合には、直進の場合よりもコストが大きくなる。
【0030】
さて、本実施例では、地図データベース19中の経路探索用の道路データ(リンクデータ、ノードデータ)には、所定の(基準となる)コストが予め付与されているのであるが、車両が加速(発進)、減速(停止)を行う度合が大きくなると予測される要因を備えた道路データについては、経路探索(コスト計算)を行うに際し、省燃費となる経路を探索する観点から、コストの変更がなされるようになっている。このとき、例えば、信号の数、一時停止の数、右左折の数、急カーブの数のうちいずれか一つ以上が基準値(普通道路)に比べて多くなっている道路(リンク)が、特定道路であると定義される。
【0031】
前記特定道路に関するコストの変更は、どの程度の燃費の悪化を招くか(言い換えるとどの程度の省燃費を図ることができるか)に応じて行なわれ、車両の加速、減速を行う度合が大きいと予測されるほど大きく、且つ、車体重量が大きいほど大きくなるように変更される。尚、前記「急カーブ」とは、曲率半径Rが所定値(例えば300m)以下であるカーブを言い、道路交通法上速度規制されるものをいう。
【0032】
より具体的には、本実施例では、例えば図5に示すようなコストの変更がなされる。即ち、図5(a)は、道路(リンク)中の信号の頻度(数)によってコストを変更する場合を例示しており、信号頻度を3種類(大、中、小)に分け、夫々、4段階の車体重量に応じてコストを変更(変更しないものも含む)している。信号頻度が多いほど、また車体重量が大きいほど、コストが大きくなるように変更される。尚、信号頻度の大、中、小の区分については、例えば信号の個数が0の場合は「小」、4個以上の場合は「大」といったように、信号の個数によって適宜区分することができる。
【0033】
図5(b)は、道路(リンク)中の急カーブの数によってコストを変更する場合を例示している。急カーブの数が、0、1、2以上のうちいずれかにより、4段階の車体重量に応じてコストを変更(変更しないものも含む)している。この場合も、急カーブの数が多いほど、また車体重量が大きいほど、コストが大きくなるように変更される。図5(c)は、ノードコストの変更例を示しており、当該ノードで右折又は左折を行うかどうかにより、4段階の車体重量に応じてコストを変更する場合を例示している。
【0034】
図5中、「up」とは、標準的なコストに対し、所定の値が加算される、或いは1を越える係数が乗算されるものであり、小、中、大の順に変更の度合が大きくなる。逆に、「down」とは、標準的なコストに対し、所定の値が減算される、或いは1未満の係数が乗算されるものであり、やはり、小、中、大の順に変更の度合が大きくなる。この場合、「down」を設けた理由は、省燃費を図る観点から、その道路(リンク)を通ることを積極的に推奨するためである。尚、この場合の小、中、大のアップ及びダウンの夫々の数値については、実情に応じて適宜決定することができる。
【0035】
次の作用説明(フローチャート説明)でも述べるように、前記サーバ3の制御部16は、指定された目的地までの推奨する経路の探索(コスト計算)を行うにあたり、受信した車体重量に応じて、上記図5に従って、リンクコスト及びノードコストを変更した上で経路計算を行う。これにより、予想される燃費の悪化度合が大きくなるほど、コストが大きくなり、以て、経済走行が可能な(燃費が良く、排出ガスの少ない)経路を探索することが可能とされるのである。
【0036】
次に、上記構成の作用について、図2ないし図4も参照して説明する。図2のフローチャートは、ナビゲーション装置2の制御装置4が実行する、経路探索、経路案内時における処理手順を示している。また、図3のフローチャートは、サービスセンタのサーバ3の制御部16が実行する、経路探索の処理手順を示しており、図4のフローチャートは、図3のステップS12の詳細な処理手順を示している。
【0037】
今、車両のドライバ(ユーザ)が、ナビゲーション装置2に経路案内を実行させたい場合、操作スイッチ群8を操作して、目的地を設定すると共に、サービスセンタ(サーバ3)に対して経路探索の要求を行うようにする。すると、ナビゲーション装置2(制御装置4)においては、図2のフローチャートに示す処理が実行される。即ち、ステップS1では、位置検出部6の検出に基く車両の現在地の検出が行なわれる。ステップS2では、目的地が設定されたかどうかが判断される。目的地が設定された場合には(ステップS2にてYes)、ステップS3にて車体の重量の検出が行なわれる。
【0038】
ステップS4では、通信装置5により、サーバ3(通信装置17)に対し、現在地及び目的地のデータ、並びに車体重量のデータが送信される。この後、後述するように、サービスセンタのサーバ3(制御部16)により、推奨する経路が探索され、その経路案内データが通信装置17によりナビゲーション装置2に向けて送信される。ステップS5では、通信装置5により、サーバ3(通信装置17)から送信された経路案内データを受信したかどうかが判断され、経路案内データを受信すると(ステップS5にてYes)、ステップS6にて、その経路案内データに基づいて経路案内が開始されるのである。
【0039】
ここで、上記サーバ3(制御部16)においては、図3及び図4のフローチャートに示す処理が実行される。即ち、図3において、まずステップS11では、ナビゲーション装置2(通信装置5)から送信された現在地及び目的地のデータ、並びに車体重量のデータを、通信装置17により受信したかどうかが判断される。それらデータを受信すると(ステップS11にてYes)、次のステップS12にて現在地から目的地までの推奨する(省燃費を図ることができる)経路の探索が行なわれる。
【0040】
図4は、このステップS12の経路探索の処理の詳細な手順を示している。即ち、ステップS21では、受信した車体重量のデータに基づいて、リンクコスト及びノードコストの変更が行なわれる。上記したように、このコストの変更は、図5に例示した態様で行なわれ、信号頻度や急カーブの数に応じて、リンクコストが変更され、右左折の有無によってノードコストが変更される。このとき、上記したように、車両が加速(発進)、減速(停止)を行う度合が大きくなるほど、また車両重量が大きくなるほど、コストが大きくなるように変更される。
【0041】
次のステップS22では、変更後のリンクコスト、ノードコストに基づいた、ダイクストラ法による経路探索が実行される。このとき、現在地から目的地までの積算されるコストが最小となるような経路の探索が行なわれるのであるが、上記のように、コストが変更されているので、車体重量が大きいほど、信号頻度が大きく、急カーブの数が多い経路は選択されにくくなり、また右左折の数が少ない経路が選択される。特に、車体重量が大きい場合(9t以上)には、信号頻度が小さく、且つ、急カーブの数が0個となるリンク(道路)が選択されるケースが多くなる。
【0042】
経路探索が完了すると、図3に戻り、ステップS13にて、通信装置17により、ナビゲーション装置2(通信装置5)に対して経路案内データが送信され、処理が終了する。尚、詳しい説明は省略しているが、サービスセンタのサーバ3において経路を探索するようにしているので、渋滞等の現在の実際の道路状況を加味した経路探索を行うことができ、また、最新の道路地図データを用いて経路探索を行うことができる。
【0043】
この場合、従来の経路探索では、車体重量の大小や燃費の良し悪しに関係なく、時間優先或いは距離優先で経路が探索(決定)されていたが、本実施例では、車両が加速、減速を行う度合が大きくなるほどコストが大きくなるように変更され、その際に、車体重量が大きいほど変更の度合が大きくなるので、燃費の悪化を招く経路をできるだけ通らないような経路が選択されるようになる。これにより、車両の加速(発進)、減速(停止)の回数を極力少なくして省燃費を図る観点から適切となる経路が探索されるようになるのである。
【0044】
このように本実施例のカーナビゲーションシステム1によれば、目的地までの経路探索を行う経路探索手段を備えるものにあって、車体の重量の大小、及び、車両が加速・減速を行う度合の大小を考慮した経路探索が行われるように構成したので、省燃費の観点から十分に効果的な経路を探索することができるという優れた効果を奏するものである。
【0045】
特に本実施例では、経路探索の手法として、コスト計算に基づくダイクストラ法を採用したものにあって、車体の重量及び車両が加速・減速を行う度合に応じてコストを変更する構成としたので、経路のコスト計算の結果を、実際の燃料消費に対応したコストとすることが可能となり、簡単な計算で、省燃費を図るに適切な経路を探索することが可能となる。更に本実施例では、重量検出センサ(重量判定手段)12として振動検出センサを採用したことにより、比較的簡単な構成で済ませながら、車体の重量を、自動で且つ十分な確かさで判定することが可能となるといった利点も得ることができる。
【0046】
図6は、本発明の他の実施例を示すものであり、以下の点が上記一実施例と異なっている。即ち、上記一実施例では、道路(リンク)における信号頻度及び急カーブの数に基づいて、コストを変更するようにしたが、この実施例では、それに加えて、道路の実際の(現在の)渋滞状況に応じて、その道路のリンクコストを変更するものである。この場合も、図6に示すように、渋滞度のレベルが0(渋滞なし)から、渋滞度のレベルを、小さい方から大きい方に順に、レベル1,2,3に分け、夫々、4段階の車体重量に応じてコストを変更(変更しないものも含む)している。
【0047】
この場合、道路が渋滞している場合にも、車両が加速(発進)、減速(停止)を行う度合が通常よりも大きくなり、渋滞度のレベルが大きくなるほど燃料の消費が大きくなると考えられる。従って、道路の渋滞度レベルが多いほど、また車体重量が大きいほど、コストが大きくなるように変更される。この構成によっても、経路のコスト計算の結果を、実際の燃料消費に対応したコストとすることが可能となり、省燃費を図るに効果的な経路探索を行うことができる。
【0048】
尚、上記実施例では、信号頻度及び急カーブの数が多い道路(リンク)を特定道路としてコストを変更するようにしたが、それ以外にも、一時停止の数、道路の勾配(起伏)、踏み切りの有無などに応じてコスト(リンクコスト)を変更することができる。更に、その時点における実際の路面状況(凍結、積雪)、天候(雨や強風の有無)、工事の有無(車線規制)といった、重量の大きい車両が走行しにくくなる要因がある場合に、コストを大きくするようにコスト変更を行うようにしても良い。また、コストを変更する際の、重量の段階分けや、コストの付与の仕方(変更の区分)等についても、種々の変形が可能であることは勿論である。
【0049】
上記実施例では、サービスセンタ(サーバ)側で経路探索の処理を行うシステムを例としたが、本発明は、車両に搭載されたナビゲーション装置自体において、経路探索を行う構成であっても適用することができる。さらに、上記実施例では、自車両の重量を判定する重量判定手段として、振動検出センサを採用するようにしたが、それ以外にも、サスペンション(ばね)に対する車体の支持位置(上下変位量)の検出に基づいて重量を判定するなどの変更が可能であり、或いは、乗員の数や積荷の重量をユーザが入力することに基づいて、車体の重量を判定する構成としても良い。
【0050】
上記実施例では、検出された車体重量毎に、リンクコストやノードコストを変更するように構成したが、例えば、車体重量が、3tまでの場合は、Aのリンクコスト、ノードコストを利用し、3〜6tの場合は、Bのリンクコスト、ノードコストを利用するといったように、車体重量毎に経路探索用のデータを用意しておいても良い。その他、本発明は、トラック以外の乗用車や小型バス等の車両にも適用することができ、さらには、エンジン車に限らず、電気自動車やハイブリッド車などにも適用することができる等、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【符号の説明】
【0051】
図面中、1はカーナビゲーションシステム、2はナビゲーション装置、3はサーバ、4は制御装置、5は通信装置、6は位置検出部、7は表示装置(表示手段)、12は重量検出センサ(重量判定手段)、16は制御部(経路探索手段)、17は通信装置,19は地図データベースを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定された目的地までの推奨する経路を探索する経路探索手段を備えるカーナビゲーションシステムであって、
自車両の重量を判定する重量判定手段を備えると共に、
前記経路探索手段は、前記重量判定手段により判定された自車両の重量の大小、及び、車両が加速・減速を行う度合の大小を考慮して、省燃費となる経路を探索することが可能に構成されていることを特徴とするカーナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記経路探索手段は、経路に関するコストの計算に基づいて最小コストとなる目的地までの経路を探索するように構成されていると共に、
前記車両が加速・減速を行う度合が大きくなる特定道路を通過する際のコストが、それ以外の普通道路のコストに比べて大きく、且つ、自車両の重量が大きいほど大きくなるように付与されることを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記特定道路は、信号の数、一時停止の数、右左折の数、急カーブの数のうちいずれか一つ以上が基準値よりも多くなっていることにより、それ以外の普通道路と区別されることを特徴とする請求項2記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項4】
実際の道路の渋滞状況に基づき、渋滞が生じている場合に特定道路とされることを特徴とする請求項2又は3記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記重量判定手段は、車輪上に車体を弾性支持するばね部分に設けられた振動検出センサを含み、この振動検出センサの振動検出に基づいて前記車体の共振周波数を検出し、その共振周波数から該車体の重量を判定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のカーナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記重量判定手段により判定された前記車体の重量を、ドライバに表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のカーナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−185604(P2011−185604A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47732(P2010−47732)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】