カーナビゲーション装置
【課題】指定時間で到達可能範囲に対し有用な情報を付加して表示する。
【解決手段】基準位置と基準時刻を入力し(S3、S4)、地図表示の縮尺に応じた主要な道路網を設定(S5)した後、高速道路使用の有無などのユーザ指定を入力する(S6)。片道モードの場合、指定時間を入力し(S8)、指定時間内に到達可能な範囲を探索するとともに、到達可能範囲内の主要道路を対象として滞在可能時間を求め、その滞在可能時間を表示する(S9)。往復モードの場合、指定時間と帰着時刻を入力し(S10)、指定時間内に到達可能な範囲を探索するとともに、到達可能範囲内の主要道路を対象として滞在可能時間を求め、その滞在可能時間を表示する(S11)。
【解決手段】基準位置と基準時刻を入力し(S3、S4)、地図表示の縮尺に応じた主要な道路網を設定(S5)した後、高速道路使用の有無などのユーザ指定を入力する(S6)。片道モードの場合、指定時間を入力し(S8)、指定時間内に到達可能な範囲を探索するとともに、到達可能範囲内の主要道路を対象として滞在可能時間を求め、その滞在可能時間を表示する(S9)。往復モードの場合、指定時間と帰着時刻を入力し(S10)、指定時間内に到達可能な範囲を探索するとともに、到達可能範囲内の主要道路を対象として滞在可能時間を求め、その滞在可能時間を表示する(S11)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図情報に基づいて経路探索を行う経路探索手段と、その探索結果を表示する表示手段とを備えたカーナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置のユーザは、出発前に目的地検索機能を利用して目的地を検索し、その検索により得られた目的地が自ら望むものと一致すれば当該目的地をセットして引き続き経路探索機能および経路案内機能を利用する。この目的地の決定の際、ユーザは、様々な条件を考慮して目的地の決定を行っている。例えば、現在地から一定時間内に到達できる位置であること、搭載されている燃料で現在地から到達できる位置であること、到着予想時刻における目的地の天候が晴れていること等を決定基準としている。
【0003】
特許文献1には、現在地から一定時間で到達可能な範囲、搭載している燃料で到達可能な範囲など所定条件における到達可能性を検出し、その検出した到達可能性を表示する車載用ナビゲーション装置が開示されている。また、特許文献2には、検索した施設への到着予想時刻における気象情報を出力するナビゲーションシステムが開示されている。
【特許文献1】特開平7−55484号公報(図3、図4)
【特許文献2】特開2003−279359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載のものでは、到達可能範囲全体を斜線(または色付き)表示として他の領域と区別し、あるいは到達可能経路を実線表示として他の経路と区別することにより、到達可能性の地図表示を行っている。しかし、この表示に表されているのは、到達できるか否かだけの情報である。例えば到達可能範囲を示す斜線表示では、その境界には限界距離という特別な意味が含まれているが、その境界内の領域は到達可能であること以外に何らの情報も有していない。同様に特許文献2記載のものでは、施設への到着予想時刻という1つの時刻における気象情報のみを表している。しかしながら、ユーザが目的地を探索して決定する際には、多くの情報を参照しながら総合的に決定する場合が多く、上記従来技術で提供される情報では十分とは言い難い。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、到達可能範囲に対しさらに有用な情報を付加して表示できるカーナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載したカーナビゲーション装置は、指定時間を入力可能に構成され、所定の基準位置(現在地、地図表示画面上での指定位置など)を起点として所定の基準時刻(現在時刻、指定時刻など)から指定時間内に到達可能な範囲を探索する。そして、探索した到達可能範囲内の各地点に対し所定の基準に基づいた状態情報(例えば往路移動時間、復路移動時間、往路移動到達時刻、復路移動到達時刻、滞在可能時間、天気、降水確率、悪天候、季節前線、気温、風速、平均速度、渋滞状況、交通規制など)を付与し、表示手段に到達可能範囲内の各地点を対象として上記状態情報に基づいた識別表示を行う。この識別表示により、ユーザは、指定時間内に到達可能な範囲の境界情報のみならず、到達可能範囲内の各地点における状態情報を得ることができ、その状態情報を目的地の選択や目的地での滞在計画などに役立てることができる。
【0007】
請求項2に記載したカーナビゲーション装置は、基準位置を起点として基準時刻から到達可能範囲内の各地点に到達するのに要する往路移動時間を求め、その往路移動時間に基づいて各地点の識別表示を行う。ユーザは、各地点の往路移動時間を知ることにより、仕事や行楽に費やせる時間、搭載燃料の量、疲労状態、運転技能などに応じた目的地の選択等を容易に行うことができる。
【0008】
請求項3に記載したカーナビゲーション装置は、往路移動時間を基準時刻に加算して得た各地点の往路移動到達時刻(往路における各地点の通過時刻)に基づいて各地点の識別表示を行う。ユーザは、各地点の往路移動到達時刻を知ることにより、仕事や行楽のスケジュール、各地点の道路状況(混雑、渋滞、通行料割引、通行止め規制、速度規制、交通事故規制、チェーン規制など)、車窓の景色などに応じた目的地の選択等を容易に行うことができる。
【0009】
請求項4に記載したカーナビゲーション装置は、往路移動時間を指定時間から減算して得た各地点の滞在可能時間に基づいて各地点の識別表示を行う。ユーザは、各地点の滞在可能時間を知ることにより、目的地での行動予定などに応じた目的地の選択等を容易に行うことができる。
【0010】
請求項5に記載したカーナビゲーション装置は、到達可能範囲内の各地点を起点として帰着時刻に基準位置に到達するのに要する復路移動時間を求め、その復路移動時間に基づいて各地点の識別表示を行う。ユーザは、各地点の復路移動時間を知ることにより、仕事や行楽に費やせる時間、搭載燃料の量、疲労状態、運転技能などに応じた目的地の選択等を容易に行うことができる。
【0011】
請求項6に記載したカーナビゲーション装置は、復路移動時間を帰着時刻から減算して得た復路移動到達時刻(復路における各地点の通過時刻)に基づいて各地点の識別表示を行う。ユーザは、各地点の復路移動到達時刻を知ることにより、仕事や行楽のスケジュール、各地点の道路状況(混雑、渋滞、通行料割引、通行止め規制、速度規制、交通事故規制、チェーン規制など)、車窓の景色などに応じた目的地の選択等を容易に行うことができる。
【0012】
請求項7に記載したカーナビゲーション装置は、基準時刻から帰着時刻までの時間から往路移動時間と復路移動時間を減算して得た滞在可能時間に基づいて各地点の識別表示を行う。ユーザは、各地点の滞在可能時間を知ることにより、目的地での行動予定などに応じた目的地の選択等を容易に行うことができる。
【0013】
請求項8に記載したカーナビゲーション装置は、上述の往路移動時間、往路移動到達時刻、滞在可能時間、復路移動時間、復路移動到達時刻における気象(天気、降水確率、警報・注意報など)に基づいて各地点の識別表示を行う。
ユーザは、基準位置から各地点に到達するまでの往路移動時間または目的地から基準位置に到達するまでの復路移動時間における気象(例えば平均的な気象)を知ることにより、運転目的(仕事、行楽など)、運転技能、車窓の風景、タイヤの種類などに応じた目的地の選択等を容易に行うことができる。
ユーザは、各地点の往路移動到達時刻または復路移動到達時刻における気象を知ることにより、目的地での行動予定(屋外での行動、屋内での行動、スキーなど)、車窓の風景、運転技能、タイヤの種類などに応じた目的地の選択等を容易に行うことができる。
ユーザは、各地点の滞在可能時間における平均的な気象を知ることにより、目的地での行動予定(屋外での行動、屋内での行動、スキーなど)などに応じた目的地の選択等を容易に行うことができる。
【0014】
請求項9に記載したカーナビゲーション装置は、基準時刻から指定時間が経過した時刻における到達可能範囲内の各地点の気象(天気、降水確率、警報・注意報など)に基づいて各地点の識別表示を行う。これにより、ユーザは、目的地での行動予定(屋外での行動、屋内での行動、スキーなど)などに応じた目的地の選択等を容易に行うことができる。
【0015】
請求項10に記載したカーナビゲーション装置は、表示手段に地図を表示し、その表示した地図における到達可能範囲内の各地点を状態情報に応じた階調、色、点滅状態、強調表示等により識別表示する。従って、ユーザ(ドライバ)は、表示手段から各地点の状態情報を容易に把握することができる。
【0016】
請求項11に記載したカーナビゲーション装置は、基準位置と特定地点(目的地候補)との間の移動期間および当該特定地点での滞在期間を対象として、その時々に位置している地点における状態情報をタイムチャートの形式で識別表示する。これにより、ユーザは、特定地点に向かって往路移動している時刻、目的地に滞在している時刻および基準位置に向かって復路移動している時刻を容易に把握できる。また、ユーザ(車両)が基準位置から特定地点に到達するまでの時々に経路上の各地点で遭遇する気象などの状態、特定地点に滞在している時に遭遇する気象などの状態、特定地点から基準位置に到達するまでの時々に経路上の各地点で遭遇する気象などの状態を容易に把握できる。
【0017】
請求項12に記載したカーナビゲーション装置は、基準位置を起点として基準時刻から指定時間内に到達可能な地点であって且つ当該各地点における状態情報が目的地検索条件に合致する目的地を探索するので、ユーザ自らが指定時間を順次入力しながら気象等の目的地検索条件に合致する目的地を探索する手間が省ける。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1ないし図8を参照しながら説明する。
図1は、カーナビゲーション装置の電気的構成を示すブロック図である。カーナビゲーション装置1は、マイコンを主体として構成された制御回路2、車両の現在位置を検出するための位置検出器3、地図データ入力器4、操作スイッチ群5、外部メモリ6、カラー液晶ディスプレイ等からなる表示装置7、音声出力装置8および外部(例えばVICSセンターや種々の情報センター等)との間で無線通信によりデータの送受信を行う外部情報入出力装置15から構成されている。
【0019】
位置検出器3は、車両の回転角速度を検出するジャイロスコープ9、車両の走行距離を検出する距離センサ10、人工衛星からの送信電波に基づいて車両の現在位置を検出(測位)するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機11を有している。各センサ9〜11は、それぞれ性質の異なる誤差を有している。このため、制御回路2は、各センサ9〜11の検出値を補間しながら用いることにより、車両の現在位置、進行方向、速度、走行距離、現在時刻等を高精度で検出するようになっている。なお、精度によっては、位置検出器3を上述したセンサ9〜11の一部のみで構成してもよい。また、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0020】
地図データ入力器4は、道路地図データ、目印データ、マップマッチング用データ、目的地データ(施設データベース)、交通情報を道路データに変換するためのテーブルデータなどの各種データを記録した地図データ記録メディアからデータを読み出すためのドライブ装置により構成されている。地図データ記録メディアには、DVD等の大容量記憶媒体を用いるのが一般的であるが、メモリカード、ハードディスク装置等の媒体を用いてもよい。
【0021】
上記道路地図データは、道路形状、道路幅、各リンクの標準的な移動時間、道路名、信号、踏切、建造物、各種施設、地名、地形等のデータを含むとともに、その道路地図を表示装置7の画面上に表示するためのデータを含んでいる。また、目的地データは、駅等の交通機関、レジャー施設、宿泊施設、公共施設等の施設や、小売店、デパート、レストラン等の各種の店舗、住居やマンション、地名などに関する情報からなり、このデータにはそれらの電話番号や住所、緯度および経度等のデータが含まれるとともに、施設を示すランドマーク等を、表示装置7の画面上に道路地図に重ね合せて表示するためのデータを含んで構成されている。
【0022】
操作スイッチ群5(入力手段、検索条件入力手段に相当)は、表示装置7の画面の近傍に設けられたメカニカルスイッチや、表示装置7の画面上に設けられるタッチパネルを含んで構成されている。ユーザ(ドライバ)は、この操作スイッチ群5を用いて、目的地、目的地の検索に必要な情報(目的地検索条件)、通過点などの入力、後述する指定時間、基準位置、基準時刻、帰着時刻および表示装置7の画面や表示態様の切り替え等を行う各種のコマンドの入力を行う。
【0023】
外部メモリ6は、フラッシュメモリカード等から構成されている。この外部メモリ6には、例えば他の規格に対応するためのプログラムソフトが記憶され、あるいは特定のデータ例えば経路案内時に制御回路2が設定した目的地までの経路のデータ等が記憶される。
【0024】
表示装置7(表示手段に相当)の画面には、車両の位置周辺の地図が各種縮尺で表示されるとともに、その表示に重ね合わせて、車両の現在位置と進行方向とを示す現在地マーク(ポインタ)が表示される。また、目的地までの経路案内の実行時には、経路案内用の画面が表示される。
【0025】
目的地探索時等において指定時間を入力すると、地図とともに指定時間で到達可能な範囲内の各地点を対象として各種情報の識別表示がなされる。さらに、目的地(目的地候補)が設定されると、基準位置とその目的地との間の移動期間および当該目的地での滞在期間を対象として、その時々に位置している地点における各種状態情報がタイムチャートの形式で識別表示される。その他、ユーザが目的地の検索に必要な情報等を入力したり、目的地の検索や設定を行うための入力用の画面や、各種のメッセージ等も表示される。
【0026】
制御回路2を構成するマイコンは、CPU、メモリ12(RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ等)、I/Oなどを備えている。CPUがROM(またはフラッシュメモリ)に記憶されたプログラムを実行することにより、制御回路2は、経路探索手段、到達範囲探索手段、状態情報付与手段、表示制御手段、経路案内手段として機能する。経路探索手段としての機能は、車両の出発地(現在位置)から目的地までの推奨する走行経路を自動計算するものであり、その手法としては例えばダイクストラ法が用いられている。
【0027】
経路案内手段としての機能は、走行経路に沿って移動可能なように、表示装置7の画面に現在地周辺の道路地図を表示するとともに、車両の現在位置と進行方向を示す現在地マークを道路地図に重ね合わせて表示する機能である。この場合、車両の走行に伴って現在地の表示は地図上を移動し、地図は車両の位置に応じてスクロール表示される。このとき、車両の現在地を道路上にのせるマップマッチングが行なわれる。
【0028】
次に、カーナビゲーション装置1の状態情報表示機能について図2ないし図8を参照しながら説明する。
状態情報表示機能とは、基準位置を起点として基準時刻から指定時間内に到達可能な範囲を探索し、その探索した到達可能範囲内の各地点に対し所定の基準に基づいた状態情報を付与し、表示装置7に到達可能範囲内の各地点を対象として上記状態情報に基づく識別表示を行う機能である。
【0029】
ここで、基準位置とは、車両の現在位置またはユーザが地図表示画面で操作スイッチ群5(カーソル移動手段など)を用いて指定した位置であって、状態情報を表示する際の基準スタート位置である。また、基準時刻とは、現在時刻またはユーザが操作スイッチ群5を用いて入力した基準スタート時刻である。指定時間とは、ユーザが操作スイッチ群5を用いて入力した時間であって、到達可能範囲の境界を定めるための条件である。状態情報が付与される到達可能範囲内の各地点とは、到達可能範囲内の全地点である必要はなく、本実施形態では後述するように主要な道路を対象としている。
【0030】
本実施形態で各地点に対し付与される状態情報は滞在可能時間である。滞在可能時間とは、基準位置を起点として基準時刻から到達可能範囲内の各地点に移動した場合に、当該各地点に滞在できる時間である。
【0031】
図2は、制御回路2が実行する状態情報表示処理のフローチャートである。制御回路2は、はじめにステップS1において、位置検出器3から入力した検出値に基づいて車両の現在位置と現在時刻を検出する。続くステップS2では基準設定モードであるか否かを判断する。基準設定モードとは、基準位置または基準時刻を新規に設定しまたは変更するための操作入力モードである。ユーザは、状態情報表示機能の実行開始時や現在位置を基準とする最新の状態情報を表示させたい場合などに基準設定モードに切り替える。
【0032】
ステップS2で基準設定モードである(YES)と判断すると、ステップS3、S4においてそれぞれ基準位置、基準時刻を入力する。一方、基準設定モードでない(NO)と判断すると、これらステップS3、S4をスキップする。
【0033】
制御回路2は、ステップS5において地図表示の縮尺に応じた主要な道路網を設定する。例えば広域表示では主要国道や高速道路などの幹線道路のみを表示対象として設定し、詳細表示ではこれらの幹線道路に加えて一般国道や県道なども表示対象として設定する。続くステップS6において、ユーザ指定例えば高速道路使用の有無などを入力する。
【0034】
制御回路2は、ステップS7において片道モードか往復モードかを判断する。片道モードとは、基準位置を起点として基準時刻から指定時間内に到達可能な各地点に移動した場合、当該各地点に到達後指定時間が経過するまでの滞在可能時間を表示するモードである。これに対し、往復モードとは、当該各地点に到達後、帰着時刻に基準位置に到達するように当該地点を出発するまでの滞在可能時間を表示するモードである。
【0035】
片道モードの場合には、ステップS8およびS9の処理を実行する。ステップS8では、ユーザが操作スイッチ群5を操作することに応じて指定時間を入力する。この指定時間は、最小時間単位例えば1時間単位で入力可能である。続くステップS9は、指定時間内に到達可能な範囲を探索するとともに、到達可能範囲内の主要道路を対象として滞在可能時間を求め、その滞在可能時間を表示するサブルーチンである。図3は、この制御回路2が実行する片道モードにおける到達範囲探索処理(到達範囲探索手段としての処理)、滞在可能時間演算処理(状態情報付与手段としての処理)、表示処理(表示制御手段としての処理)に係るサブルーチンS9のフローチャートである。
【0036】
この図3において、はじめにステップS101で計算規定時間に上記最小時間単位例えば1時間を設定する。続くステップS102〜S104、S111のループ処理において、基準位置から計算規定時間内に到達可能な範囲を求める。ステップS102では、ステップS5で設定した主要な道路網を対象として、上記ユーザ指定の条件下で基準位置または前回の当該ループ処理の計算終了ノードを起点として各リンクの移動時間を計算する。この場合、車両の平均速度を用いて計算すること以外に、道路地図データに含まれている移動時間データを用いてもよい。また、各リンクの通過時刻に応じた道路状況(混雑、渋滞、通行止め規制、速度規制、交通事故規制、チェーン規制など)に基づいて計算するとよい。この道路状況は、外部情報入出力装置15や道路地図データなどから得ることができる。
【0037】
続くステップS103では、求めた移動時間を加算することにより基準位置を起点とする累積移動時間を計算する。そして、ステップS104で、その累積移動時間が計算規定時間以上であるか否かを判断する。計算規定時間未満(NO)の場合にはステップS111に移行し、計算対象ノードを先に進めた上でステップS102に戻る。なお、このループ処理で、同一地点への移動経路が複数存在する場合には、最短の累積移動時間を選択する。
【0038】
ステップS104で累積移動時間が計算規定時間以上(YES)と判断すると、制御回路2は、ステップS105に移行し、指定時間から計算規定時間を減算することにより滞在可能時間を求める。続くステップS106では、当該計算規定時間で新たに計算対象となったリンクに、状態情報としてステップS105で計算した滞在可能時間を付与する。新たに計算対象となったリンクとは、例えば計算規定時間が1時間に設定されている場合には、基準位置から1時間以内に到達できる主要道路上のリンクであり、計算規定時間が2時間に設定されている場合には、基準位置から1時間を超えて2時間以内に到達できる主要道路上のリンクである。
【0039】
ステップS107では、滞在可能時間に対応した表示色を設定し、ステップS108では、図5〜図7に示すように表示装置7の画面に地図に重ねて当該計算対象リンクを設定色で所定幅に描画する。これら図5、図6、図7は、それぞれ片道モードで指定時間を1時間、2時間、3時間に設定したときの画面表示例であって、便宜上、表示色の違いを表示模様の違いとして表している。
【0040】
その後、ステップS109に移行して、計算規定時間が指定時間以上か否かを判断する。計算規定時間が指定時間未満の場合には、NOと判断してステップS112に移行し、現在の計算規定時間に最小時間単位(1時間)を加算して新たな計算規定時間とする。そして、ステップS102から、この新たな範囲を対象として計算を続行する。一方、計算規定時間が指定時間以上の場合には、YESと判断してステップS110に移行し、図5〜図7に示すように表示装置7の画面に表示色(表示模様)と滞在可能時間との対応例を描画する。なお、指定時間が3時間の場合(図7)、計算規定時間が1時間、2時間、3時間の設定下で求めた滞在可能時間は、それぞれ2時間〜3時間、1時間〜2時間、1時間以内となる。
【0041】
次に、図2に示すステップS7で往復モード(NO)と判断した場合の処理を説明する。往復モードの場合には、ステップS10およびS11の処理を実行する。ステップS10では、ユーザが操作スイッチ群5を操作することに応じて指定時間と帰着時刻を入力する。帰着時刻は基準位置に戻る時刻であり、最小時間単位例えば1時間単位で入力可能である。ステップS11は、ステップS9と同様に到達範囲探索処理、滞在可能時間演算処理、表示処理に係るサブルーチンであり、そのフローチャートを図4に示す。
【0042】
この図4に示す処理のうちステップS113に示す滞在可能時間の計算のみが、図3に示す処理と異なっている。滞在可能時間は、(帰着時刻−基準時刻)−2×計算規定時間により求める。この場合にも、各リンクの往路における通過時刻と復路における通過時刻に応じた道路状況(混雑、渋滞、通行止め規制、速度規制、交通事故規制、チェーン規制など)に基づいて計算するとよい。図8は、往復モードで(帰着時刻−基準時刻)を5時間、指定時間を3時間に設定したときの画面表示例である。
【0043】
以上説明したように、本実施形態のカーナビゲーション装置1は、ユーザが指定時間を入力すると、基準位置を起点として基準時刻から指定時間内に到達可能な範囲を探索し、その到達可能範囲内の各地点を目的地として移動した場合に予想される当該各地点での滞在可能時間を求めて、地図画面に滞在可能時間に応じた色分け表示を行う。
【0044】
これにより、ユーザは、指定時間内に到達可能な範囲内の各地点における滞在可能時間を知ることができ、目的地の選択や目的地での滞在計画などに役立てることができる。また、滞在可能時間が地図に重ねて表示されるので、ユーザは各地点での滞在可能時間を容易に把握することができる。
【0045】
この状態情報表示機能には片道モードと往復モードとがあるので、ユーザは外出形態例えば目的地で宿泊する場合や日帰りする場合に合わせて最適なモードを選択し、より適切な滞在可能時間を得ることができる。また、地図表示の縮尺に応じた主要な道路網を対象として到達可能範囲および滞在可能時間を求めるので、画面表示が見易くなり、しかも制御回路2の処理負担を軽減できる。
【0046】
なお、到達可能範囲内の各地点に対し滞在可能時間を付与することに替えて、基準位置から当該地点に到達するのに要する往路移動時間(片道モード)または各地点を起点として帰着時刻に基準位置に到達するのに要する復路移動時間(往復モード)を付与してもよい。これにより、ユーザは、仕事や行楽に費やせる時間、搭載燃料の量、疲労状態、運転技能などに応じた目的地の選択が容易になる。
【0047】
さらに、基準位置を起点として基準時刻から到達可能範囲内の各地点に到達する往路移動到達時刻(片道モード)または到達可能範囲内の各地点を起点(通過点)として帰着時刻に基準位置に到達するために当該各地点を出発(通過)する復路移動到達時刻(往復モード)を付与してもよい。往路移動到達時刻は、基準時刻に往路移動時間を加算することにより得られ、復路移動到達時刻は、帰着時刻から復路移動時間を減算することにより得られる。これにより、ユーザは、仕事や行楽のスケジュール、各地点の道路状況、車窓の景色などに応じた目的地の選択が容易になる。
【0048】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図9ないし図13を参照しながら説明する。
図9は、カーナビゲーション装置の電気的構成を示すブロック図であり、図1と同一構成部分には同一符号を付して示している。このカーナビゲーション装置13は、気象情報センターから気象予測情報を受信する天気予測情報入力装置14を備えている。メモリ12または外部メモリ6には、天気予測情報入力装置9により受信した気象予測情報が記憶されるようになっている。
【0049】
本実施形態で各地点に対し付与される状態情報は天気情報である。すなわち、片道モードにあっては、基準位置を起点として基準時刻から到達可能範囲内の各地点に移動した場合に、当該各地点に到達する往路移動到達時刻における天気である。また、往復モードにあっては、到達可能範囲内の各地点を起点として帰着時刻に基準位置に戻る場合に、当該各地点を出発する(別の見方をすれば遠方地点からの復路において当該各地点に到達する)復路移動到達時刻における天気である。
【0050】
この場合、各地点に対し当該地点の往路移動到達時刻または復路移動到達時刻における当該地点の天気情報(天気予測情報)を付与することが好ましい。距離が接近していても地形の違い等により天気が異なる場合があり、また、時刻が接近していても天気が異なる場合があるからである。しかしながら、本実施形態では制御回路2の処理負担の軽減、天気表示の見易さ等を考慮して、上記のように各地点ごとに厳密に天気情報を付与するのではなく、主要道路を対象として最小時間単位(ここでは1時間)で移動できる範囲に区切って各区切範囲内のリンクにおける平均的な天気情報を付与している。
【0051】
図10は、制御回路2が実行する状態情報表示処理のフローチャートである。図2に示すフローチャートと同一の処理ステップには同一のステップ番号を付し、ここでは異なる処理について説明する。ステップS21は、指定時間内に到達可能な範囲を探索するとともに、到達可能範囲内の主要道路を対象として往路移動到達時刻における天気を求め、その天気を表示するサブルーチンである。図11は、制御回路2が実行する片道モードにおける到達範囲探索処理、天気情報付与処理(状態情報付与手段としての処理)、表示処理に係るサブルーチンS21のフローチャートであり、図3に示すフローチャートと同一の処理ステップには同一のステップ番号を付している。
【0052】
この図11において、ステップS104で累積移動時間が計算規定時間以上(YES)と判断すると、制御回路2は、ステップS121に移行し、当該計算規定時間で新たに計算対象となったリンク(上述した区切範囲)を対象として往路移動到達時刻を計算する。この往路移動到達時刻は、基準時刻+計算規定時間により求める。ただし、この計算では、往路移動到達時刻に最大で最小時間単位(1時間)だけの誤差が生じ得る。そこで、この最大誤差を1/2(30分)に低減するため、往路移動到達時刻を基準時刻+計算規定時間−最小時間単位/2により求めてもよい。
【0053】
続くステップS122では、気象情報センターから受信した気象予測情報を参照して、当該計算規定時間で新たに計算対象となったリンクに、状態情報として往路移動到達時刻における天気(晴れ、曇り、雨、雪など)を付与する。そして、ステップS123では、天気に対応した表示色を設定する。図13は、片道モードで指定時間を3時間に設定したときの画面表示例であって、便宜上、表示色の違いを表示模様の違いとして表している。この画面表示から、現在地点(愛知県の中部国際空港)を起点として現在時刻から北(岐阜県多治見市方向)に向かうと、3時間で愛知県と岐阜県との県境付近にまで到達でき、移動中に遭遇する天気は途中(愛知県豊田市)まで曇りでその後雨になることが分かる。
【0054】
一方、図10に示すステップS7で往復モード(NO)と判断した場合、制御回路2は、ステップS22およびS23の処理を実行する。ステップS22では、ユーザが操作スイッチ群5を操作することに応じて指定時間、帰着時刻および往路/復路表示の選択を入力する。往路/復路表示の選択とは、往路における天気と復路における天気の何れの天気を表示するかの選択である。ステップS23は、ステップS21と同様に到達範囲探索処理、天気情報付与処理、表示処理に係るサブルーチンであり、そのフローチャートを図12に示す。
【0055】
この図12に示す処理のうちステップS124、S125の処理のみが、図11に示す処理と異なっている。制御回路2は、ステップS124で往路表示が選択されたか否かを判断する。往路表示が選択された場合(YES)にはステップS121に移行して往路移動到達時刻を計算し、復路表示が選択された場合(NO)にはステップS125に移行し復路移動到達時刻を計算する。この復路移動到達時刻は、帰着時刻−計算規定時間により求めるが、上述したように誤差を低減するために帰着時刻−計算規定時間+最小時間単位(1時間)/2により求めてもよい。
【0056】
以上説明したように、本実施形態のカーナビゲーション装置13は、ユーザが指定時間を入力すると、基準位置を起点として基準時刻から指定時間内に到達可能な範囲を探索し、その到達可能範囲内の各地点に移動した場合に予想される当該各地点への到達時刻(通過時刻)における天気を求めて、地図画面に天気に応じた色分け表示を行う。
【0057】
これにより、ユーザは、設定した基準時刻、帰着時刻および基準位置の下で、指定時間内に到達可能な範囲内の各地点で遭遇する天気を知ることができ、運転目的(仕事、行楽など)や運転技能や車窓の風景などに基づく目的地の設定、目的地での行動予定(屋外での行動、屋内での行動、スキーなど)、タイヤの種類の選択などに役立てることができる。また、指定時間内に到達可能な範囲内の天気のみが地図に重ねて表示されるので、ユーザは到達可能地点と天気とを関連付けながら把握することができる。
【0058】
この状態情報表示機能には片道モードと往復モードとがある。ユーザは、往復モードにおいて、往路における天気と復路における天気の何れか一方を選択して表示することができるので、天気を考慮した移動計画をたて易くなる。また、地図表示の縮尺に応じた主要な道路網を対象として到達可能範囲および天気を求めるので、画面表示が見易くなり、しかも制御回路2の処理負担を軽減できる。
【0059】
なお、到達可能範囲内の各地点に対し、往路移動到達時刻と復路移動到達時刻における当該地点の天気情報を付与することに替えて、基準位置から当該地点に到達するのに要する往路移動時間における平均的な天気または各地点を起点として帰着時刻に基準位置に到達するのに要する復路移動時間における平均的な天気を付与してもよい。
【0060】
この場合、制御回路2は、片道モードにおけるステップS121において、基準位置から当該計算規定時間で新たに計算対象となったリンクまでの全範囲を対象として往路移動到達時刻を計算する。この往路移動到達時刻は、上述したように誤差を低減するために例えば基準時刻+計算規定時間/2により求める。そして、続くステップS122では、気象情報センターから受信した気象予測情報を参照して、当該計算規定時間で新たに計算対象となったリンクに、状態情報として上記往路移動到達時刻における天気(晴れ、曇り、雨、雪など)を付与する。一方、往復モードにおけるステップS125においては復路移動到達時刻を計算する。この復路移動到達時刻は、帰着時刻−計算規定時間/2により求める。この変形例によっても、ほぼ同様の効果が得られる。
【0061】
さらに、この変形例の片道モードにおいて、例えば基準時刻、基準時刻+計算規定時間/2、基準時刻+計算規定時間を演算し、その各時刻における到達地点の天気を求め、その平均的な天気を状態情報として付与してもよい。同様に、往復モードにおいては、帰着時刻−計算規定時間、帰着時刻−計算規定時間/2、帰着時刻を演算し、その各時刻における到達地点の天気を求め、その平均的な天気を状態情報として付与してもよい。
【0062】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について図14ないし図16を参照しながら説明する。
本実施形態のカーナビゲーション装置は、図9に示す構成と同様である。本実施形態で各地点に対し付与される状態情報は、滞在可能時間における平均的な天気である。ここでの滞在可能時間とは、既述したように基準位置を起点として基準時刻から到達可能範囲内の各地点に移動した場合に当該各地点に滞在できる時間である。
【0063】
図14は、制御回路2が実行する状態情報表示処理のフローチャートである。図2または図10に示すフローチャートと同一の処理ステップには同一のステップ番号を付し、ここでは異なる処理について説明する。ステップS31は、指定時間内に到達可能な範囲を探索するとともに、到達可能範囲内の主要道路を対象として滞在可能時間における平均的な天気を求め、その天気を表示するサブルーチンである。図15は、制御回路2が実行する片道モードにおける到達範囲探索処理、天気情報付与処理、表示処理に係るサブルーチンS31のフローチャートであり、図3または図11に示すフローチャートと同一の処理ステップには同一のステップ番号を付している。
【0064】
この図15において、ステップS104で累積移動時間が計算規定時間以上(YES)と判断すると、制御回路2は、ステップS131に移行し、当該計算規定時間で新たに計算対象となったリンクの滞在時刻を求める。具体的な滞在時刻は、基準時刻+計算規定時間から基準時刻+指定時間までとなる。なお、滞在時刻の誤差を低減するため、基準時刻+計算規定時間−最小時間単位(1時間)/2から基準時刻+指定時間までとしてもよい。
【0065】
続くステップS132では、気象情報センターから受信した気象予測情報を参照して、当該計算規定時間で新たに計算対象となったリンクに、状態情報としてステップS131で計算した滞在時刻における平均的な天気を付与する。この場合、表示装置7の画面は、図13と同様な表示(ただし、天気は各地点での滞在可能時間における平均的な天気)となる。
【0066】
一方、図14に示すステップS7で往復モード(NO)と判断した場合、制御回路2は、ステップS10およびS32の処理を実行する。ステップS32は、ステップS31と同様に到達範囲探索処理、天気情報付与処理、表示処理に係るサブルーチンであり、そのフローチャートを図16に示す。この図16に示す処理のうちステップS133の処理のみが、図15に示す処理と異なっている。
【0067】
ステップS133において、制御回路2は滞在時刻を求める。具体的な滞在時刻は、基準時刻+計算規定時間から帰着時刻−計算規定時間までとなる。なお、滞在時刻の誤差を低減するため、基準時刻+計算規定時間−最小時間単位(1時間)/2から帰着時刻−計算規定時間+最小時間単位(1時間)/2までとしてもよい。
【0068】
以上説明したように、本実施形態のカーナビゲーション装置は、ユーザが指定時間を入力すると、基準位置を起点として基準時刻から指定時間内に到達可能な範囲を探索し、その到達可能範囲内の各地点を目的地として移動した場合に予想される当該各地点での滞在可能時間における平均的な天気を求めて、地図画面に天気に応じた色分け表示を行う。
【0069】
これにより、ユーザは、設定した基準時刻、帰着時刻および基準位置の下で、指定時間内に到達可能な範囲内の各地点での滞在可能期間における天気を知ることができ、目的地の選択や目的地での行動予定(屋外での行動、屋内での行動、スキーなど)に役立てることができる。また、天気が地図に重ねて表示されるので、ユーザは天気を容易に把握することができる。
【0070】
また、片道モードと往復モードとを適宜選択することにより、滞在可能時間における平均的な天気を適切に得ることができる。また、地図表示の縮尺に応じた主要な道路網を対象として到達可能範囲および天気を求めるので、画面表示が見易くなり、しかも制御回路2の計算時間を短縮できる。
【0071】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について図17ないし図20を参照しながら説明する。
本実施形態のカーナビゲーション装置は、図1に示す構成と同様である。本実施形態における状態情報表示機能は、ユーザが入力した目的地の種類(ジャンル)に合致する目的地候補を検索し、基準位置と検索した目的地候補との間の移動期間および当該目的地候補での滞在期間を対象として、その時々に位置している地点における状態(移動状態、滞在状態)を図19、図20に示すようなタイムチャートの形式で表示装置7に表示する。タイムチャートの時間分解能は、最小時間単位(例えば1時間)である。
【0072】
この場合、基準位置と目的地候補との間の各地点および目的地候補には、当該各地点への到達時刻(滞在時刻)と、当該各地点の到達時刻(滞在時刻)における状態(移動状態、滞在状態)とが付与される。その結果、これらの各地点を介して時刻と状態とが関連付けられる。
【0073】
図17は、制御回路2が実行する状態情報表示処理のフローチャートである。図2に示すフローチャートと同一の処理ステップには同一のステップ番号を付し、ここでは異なる処理について説明する。制御回路2は、図2に示すステップS5、S6に替えてステップS41、S42を実行する。ステップS41では、ユーザによる操作スイッチ群5の操作に応じて目的地の種類(ジャンル)を入力する。
【0074】
図18は、この入力時における表示装置7の画面表示例を示している。まず、図18(a)に示すように目的地の検索方法(地名索引、電話番号、自宅、周辺地図、…)を表示し、ここで例えば周辺地図が選択されると、図18(b)に示すように目的地の種類を表示する。図19、図20は、例えば愛知県の中部国際空港を基準位置として近県の行楽地を選択した場合に表示されるタイムチャートである。
【0075】
制御回路2は、ステップS42で選択された種類に合致する目的地候補(愛知万博、東山動植物園、…)を道路地図データ(またはメモリ6、12)から読み出す。その後、ステップS7で片道モード(YES)と判断した場合には、図2に示すステップS9に替えてステップS43を実行し、ステップS7で往復モード(NO)と判断した場合には、図2に示すステップS11に替えてステップS44を実行する。
【0076】
ステップS43は、指定時間内に到達可能な範囲を探索するとともに、基準位置から目的地候補に向かう主要道路を対象として、当該各地点への往路到達時刻(滞在時刻)と状態(移動状態、滞在状態)を求め、その時刻と状態との関係をタイムチャートの形式で表示するサブルーチンである。同様に、ステップS44は、指定時間内に到達可能な範囲を探索するとともに、目的地候補から基準位置に向かう主要道路を対象として、当該各地点への復路到達時刻と状態(移動状態、滞在状態)を求め、その時刻と状態との関係をタイムチャートの形式で表示するサブルーチンである。
【0077】
図19、図20は、それぞれ片道モード、往復モードでの画面表示例を示している。図19は、選択した9個の目的地候補への移動について、基準時刻である8時から指定時間(4時間)が経過する12時までの期間を対象にして、移動/滞在の何れの状態であるか、移動時間および滞在時間を示している。図20は、選択した9個の目的地候補への移動について、基準時刻である8時から帰着時刻である20時までの期間を対象にして、移動/滞在の何れの状態であるか、および移動時間と滞在時間を示している。実際の画面では、状態について移動時間と滞在時間とを異なる色により表しているが、ここでは便宜上表示模様の違いとして表している。なお、指定時間内に到達できない目的地候補については、片道モードにおいて基準時刻から指定時間の経過時刻まで全て移動時間として表示される。
【0078】
以上説明したように、本実施形態のカーナビゲーション装置は、基準位置とユーザが選択した目的地候補との間の移動期間および当該目的地候補での滞在期間を対象として、その時々に位置している地点における状態(移動状態、滞在状態)をタイムチャートの形式で表示する。これにより、ユーザは、自ら入力した種類(ジャンル)に適合する目的地候補に向かう場合の各時刻の状態を知ることができ、目的地の選択や目的地での滞在計画などに役立てることができる。また、入力した種類に合致する複数の目的地候補について、各時刻での状態が表示されるので、ユーザは複数の目的地候補を比較しながら最終的な目的地を選択することができる。
【0079】
この状態情報表示機能には片道モードと往復モードとがあるので、ユーザは外出形態例えば目的地で宿泊する場合や日帰りする場合に合わせて最適なモードを選択し、より適切な移動/滞在状態を得ることができる。
【0080】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について図21および図22を参照しながら説明する。
本実施形態のカーナビゲーション装置は、第4の実施形態で説明したカーナビゲーション装置に対し、さらに天気情報を含めて表示する状態情報表示機能を備えている。すなわち、ユーザが入力した目的地の種類(ジャンル)に合致する目的地候補を検索し、基準位置と検索した目的地候補との間の移動期間および当該目的地候補での滞在期間を対象として、その時々に位置している地点における状態(移動状態、滞在状態)と天気を図22に示すようなタイムチャートの形式で表示装置7に表示する。タイムチャートの時間分解能は、最小時間単位(例えば1時間)である。
【0081】
この場合、基準位置と目的地候補との間の各地点および目的地候補には、当該各地点への到達時刻(滞在時刻)と、当該各地点の到達時刻(滞在時刻)における状態(移動状態、滞在状態)と天気(晴れ、曇り、雨、雪など)とが付与される。その結果、これらの各地点を介して時刻と状態と天気とが関連付けられる。
【0082】
図21は、制御回路2が実行する状態情報表示処理のフローチャートである。制御回路2は、図17に示すフローチャートにおけるステップS43、S44に替えてステップS51、S52を実行する。図22は、図20と同様に愛知県の中部国際空港を基準位置として近県の行楽地を選択した場合に表示されるタイムチャートである。
【0083】
ステップS51は、上記ステップS43と同様にして各地点への往路到達時刻(滞在時刻)と状態(移動状態、滞在状態)を求め、さらに気象情報センターから受信した気象予測情報を参照して往路到達時刻(滞在時刻)における天気を求め、その時刻と状態と天気との関係をタイムチャートの形式で表示するサブルーチンである。同様に、ステップS52は、各地点への復路到達時刻と状態(移動状態、滞在状態)を求め、さらに復路到達時刻(滞在時刻)における天気を求め、その時刻と状態と天気との関係をタイムチャートの形式で表示するサブルーチンである。
【0084】
図22は、往復モードでの画面表示例を示している。基準時刻である8時から帰着時刻である20時までの期間を対象にして、各目的地候補への往路移動期間、滞在期間、復路移動期間に遭遇する天気と各時刻の状態(移動状態、滞在状態)を示している。実際の画面では、状態について滞在時間と移動時間とを異なる色により表しているが、ここでは便宜上表示模様の違いとして表している。
【0085】
以上説明したように、本実施形態のカーナビゲーション装置は、基準位置とユーザが選択した目的地候補との間の移動期間および当該目的地候補での滞在期間を対象として、その時々に位置している地点における状態と天気をタイムチャートの形式で表示する。これにより、第4の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、ユーザは、目的地候補への移動期間と滞在期間の各時刻に遭遇する天気を知ることができるので、天気に応じた目的地の選択や目的地での滞在計画の設定を容易に行うことができる。
【0086】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について図23および図24を参照しながら説明する。
本実施形態のカーナビゲーション装置において、操作スイッチ群5は、目的地検索条件を入力する検索条件入力手段に相当し、制御回路2は、基準位置を起点として基準時刻から指定時間内に到達可能な地点であって且つ当該各地点における状態情報が上記目的地検索条件に合致する目的地を探索する目的地探索手段に相当する。
【0087】
図24(a)〜(d)は、目的地検索条件の入力時に表示装置7に表示される画面である。目的地検索条件となる状態情報には、例えば以下のようなものがある。
(1)移動や滞在に係る状態情報:図24(a)
・滞在可能時間
基準位置を起点として基準時刻から到達可能範囲内の各地点に移動した場合に、当該各地点に滞在できる時間。
・移動時間
基準位置を起点として基準時刻から到達可能範囲内の各地点に到達するのに要する往路移動時間または到達可能範囲内の各地点を起点として帰着時刻に基準位置に到達するのに要する復路移動時間。
・平均速度
基準位置を起点として基準時刻から到達可能範囲内の各地点に到達する間の往路平均速度または到達可能範囲内の各地点を起点として帰着時刻に基準位置に到達する間の復路平均速度。
【0088】
(2)気象条件に係る状態情報:図24(b)
・平均天気
往路移動期間、復路移動期間または滞在期間における平均的な天気(晴れ、曇り、雨、雪)。
・降水確率
往路移動期間、復路移動期間または滞在期間における降水確率(%)。
・悪天候
往路移動期間、復路移動期間または滞在期間における大雨、大雪、台風、濃霧などの悪天候。
・季節前線
往路移動期間、復路移動期間または滞在期間における桜前線、紅葉前線、花粉情報、黄砂情報。
・気温
往路移動期間、復路移動期間または滞在期間における気温(平均気温、最低気温、最高気温)。
・風速
往路移動期間、復路移動期間または滞在期間における風速(平均風速、最大風速)。
【0089】
(3)道路条件に係る状態情報:図24(c)
往路または復路における各地点の混雑状態、渋滞状態、速度規制、交通事故規制、通行止め規制、チェーン規制、その他の交通規制。
【0090】
図24(b)の画面表示に対し、ユーザが操作スイッチ群5を操作して平均天気を選択すると、図24(d)に示す画面表示に変化する。ここで、ユーザは、晴れ、曇り、雨、雪の中から移動期間または滞在期間の天気として望ましい天気を入力できる。
【0091】
図23は、制御回路2が実行する目的地探索処理のフローチャートである。制御回路2は、ステップS61において図24に示す画面を表示し、目的地の種類(ジャンル)と目的地検索条件となる状態情報とを入力する。続いてステップS62に移行し、目的地の種類(ジャンル)に合致する目的地候補を検索し、各目的地候補に連番を付すとともにその数をカウンタに設定する。ステップS63〜S66は、目的地候補の中から目的地検索条件に合致する状態情報を持つ地点を抽出する処理である。
【0092】
すなわち、ステップS63においてカウンタの値Nに対応する地点の状態情報を取り込み、ステップS64においてその状態情報を目的地検索条件と比較し、一致するか否かを判定する。そして、ステップS65でカウンタの値Nをディクリメントし、ステップS66でカウンタの値Nが0に等しいか否かつまり全ての目的地候補について判定が終了したか否かを判断する。ここで、0ではない(NO)と判断するとステップS63に移行し、0である(YES)と判断するとステップS67に移行する。
【0093】
目的地探索処理では、ステップS67の判断処理によりタイムチャート表示と地図表示の何れかを選択することができる。タイムチャート表示(YES)の場合、ステップS68に移行して目的地検索条件に合致する目的地候補のみをタイムチャート表示する。その結果、例えば愛知県の中部国際空港を基準位置として指定時間内に到達可能な近県の行楽地であって、滞在時間における平均的な天気が晴れの条件を満たす目的地候補(1または複数)のタイムチャートが表示される。
【0094】
その後、制御回路2は、最終目的地設定モードか否かを判断し、NOの場合には処理を終了する。YESの場合には、ステップS70でユーザによる操作スイッチ群5の操作に応じて最終目的地を選択し、ステップS71でその選択した最終目的地に対する経路探索を実行して経路を設定する。これに対し、地図表示(ステップS67:NO)の場合には、ステップS72に移行して目的地検索条件に合致する目的地候補のみを地図画面に表示する。
【0095】
以上説明したように、本実施形態のカーナビゲーション装置は、目的地検索条件を入力すると、基準位置を起点として基準時刻から指定時間内に到達可能な地点であって且つ当該各地点における状態情報が目的地検索条件に合致する目的地を探索するので、ユーザ自らが指定時間を順次変えながら気象等の目的地検索条件に合致する目的地を探索する手間が省ける。
【0096】
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態について図25を参照しながら説明する。
本実施形態のカーナビゲーション装置は、図1に示す構成と同様である。本実施形態で各地点に対し付与される状態情報は、基準時刻から指定時間が経過した時刻における到達可能範囲内の各地点の天気である。図25は、指定時間を3時間に設定したときの画面表示例であって、便宜上、表示色の違いを表示模様の違いとして表している。色(模様)が付された範囲が到達可能範囲であり、その到達可能範囲について基準時刻から3時間後の天気が表示されている。また、本実施形態では主要道路のみならず、地図上の領域全体を探索対象としている。
【0097】
本実施形態によれば、ユーザは移動に要する時間と天気とを同時に考慮しながら目的地を設定することができる。この場合、さらに目的地検索条件(例えば「晴れ」という条件)を入力し、上記到達可能範囲であって且つ目的地検索条件に合致する領域のみを地図表示してもよい。これにより、基準位置から指定時間内に到達でき且つ基準時刻から指定時間後の天気が晴れの領域のみが選択的に地図表示される。
【0098】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に示す各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように変形または拡張が可能である。
制御回路2(状態情報付与手段)が所定の基準に基づいて到達可能範囲内の各地点に対し付与する状態情報は、第6の実施形態で説明した目的地検索条件となる状態情報、例えば平均速度、降水確率、悪天候、季節前線、気温、風速、交通規制などであってもよい。
【0099】
制御回路2は、表示装置7の画面に地図を表示し、その表示した地図に重ねて到達可能範囲(第1〜第3の実施形態では計算対象リンク)を状態情報に応じて階調表示、点滅表示、強調表示等してもよい。また、到達可能範囲の探索および状態情報の付与は、主要な道路のみを対象とせず地図上の領域全体を対象としてもよい。この場合、全ての道路に対して探索すると制御回路2の処理負担が増大するので、主要道路から離れた領域については推定処理を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すカーナビゲーション装置のブロック図
【図2】状態情報表示処理のフローチャート
【図3】片道モードにおける到達範囲探索処理、滞在可能時間演算処理、表示処理に係るサブルーチンのフローチャート
【図4】往復モードにおける図3相当図
【図5】片道モードで指定時間を1時間に設定したときの画面表示例を示す図
【図6】片道モードで指定時間を2時間に設定したときの図5相当図
【図7】片道モードで指定時間を3時間に設定したときの図5相当図
【図8】往復モードで帰着時刻−基準時刻を5時間、指定時間を3時間に設定したときの画面表示例を示す図
【図9】本発明の第2の実施形態を示す図1相当図
【図10】図2相当図
【図11】片道モードにおける到達範囲探索処理、天気情報付与処理、表示処理に係るサブルーチンのフローチャート
【図12】往復モードにおける図11相当図
【図13】片道モードで指定時間を3時間に設定したときの画面表示例を示す図
【図14】本発明の第3の実施形態を示す図2相当図
【図15】片道モードにおける到達範囲探索処理、天気情報付与処理、表示処理に係るサブルーチンのフローチャート
【図16】往復モードにおける図15相当図
【図17】本発明の第4の実施形態を示す図2相当図
【図18】目的地の種類の入力時における表示装置の画面表示例を示す図
【図19】片道モードにおいて画面表示されるタイムチャート
【図20】往復モードにおいて画面表示されるタイムチャート
【図21】本発明の第5の実施形態を示す図2相当図
【図22】図20相当図
【図23】本発明の第6の実施形態を示す目的地探索処理のフローチャート
【図24】目的地検索条件の入力時における表示装置の画面表示例を示す図
【図25】本発明の第7の実施形態を示す図13相当図
【符号の説明】
【0101】
図面中、1、13はカーナビゲーション装置、2は制御回路(経路探索手段、到達範囲探索手段、状態情報付与手段、表示制御手段、目的地探索手段)、5は操作スイッチ群(入力手段、検索条件入力手段)、7は表示装置(表示手段)を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図情報に基づいて経路探索を行う経路探索手段と、その探索結果を表示する表示手段とを備えたカーナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置のユーザは、出発前に目的地検索機能を利用して目的地を検索し、その検索により得られた目的地が自ら望むものと一致すれば当該目的地をセットして引き続き経路探索機能および経路案内機能を利用する。この目的地の決定の際、ユーザは、様々な条件を考慮して目的地の決定を行っている。例えば、現在地から一定時間内に到達できる位置であること、搭載されている燃料で現在地から到達できる位置であること、到着予想時刻における目的地の天候が晴れていること等を決定基準としている。
【0003】
特許文献1には、現在地から一定時間で到達可能な範囲、搭載している燃料で到達可能な範囲など所定条件における到達可能性を検出し、その検出した到達可能性を表示する車載用ナビゲーション装置が開示されている。また、特許文献2には、検索した施設への到着予想時刻における気象情報を出力するナビゲーションシステムが開示されている。
【特許文献1】特開平7−55484号公報(図3、図4)
【特許文献2】特開2003−279359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載のものでは、到達可能範囲全体を斜線(または色付き)表示として他の領域と区別し、あるいは到達可能経路を実線表示として他の経路と区別することにより、到達可能性の地図表示を行っている。しかし、この表示に表されているのは、到達できるか否かだけの情報である。例えば到達可能範囲を示す斜線表示では、その境界には限界距離という特別な意味が含まれているが、その境界内の領域は到達可能であること以外に何らの情報も有していない。同様に特許文献2記載のものでは、施設への到着予想時刻という1つの時刻における気象情報のみを表している。しかしながら、ユーザが目的地を探索して決定する際には、多くの情報を参照しながら総合的に決定する場合が多く、上記従来技術で提供される情報では十分とは言い難い。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、到達可能範囲に対しさらに有用な情報を付加して表示できるカーナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載したカーナビゲーション装置は、指定時間を入力可能に構成され、所定の基準位置(現在地、地図表示画面上での指定位置など)を起点として所定の基準時刻(現在時刻、指定時刻など)から指定時間内に到達可能な範囲を探索する。そして、探索した到達可能範囲内の各地点に対し所定の基準に基づいた状態情報(例えば往路移動時間、復路移動時間、往路移動到達時刻、復路移動到達時刻、滞在可能時間、天気、降水確率、悪天候、季節前線、気温、風速、平均速度、渋滞状況、交通規制など)を付与し、表示手段に到達可能範囲内の各地点を対象として上記状態情報に基づいた識別表示を行う。この識別表示により、ユーザは、指定時間内に到達可能な範囲の境界情報のみならず、到達可能範囲内の各地点における状態情報を得ることができ、その状態情報を目的地の選択や目的地での滞在計画などに役立てることができる。
【0007】
請求項2に記載したカーナビゲーション装置は、基準位置を起点として基準時刻から到達可能範囲内の各地点に到達するのに要する往路移動時間を求め、その往路移動時間に基づいて各地点の識別表示を行う。ユーザは、各地点の往路移動時間を知ることにより、仕事や行楽に費やせる時間、搭載燃料の量、疲労状態、運転技能などに応じた目的地の選択等を容易に行うことができる。
【0008】
請求項3に記載したカーナビゲーション装置は、往路移動時間を基準時刻に加算して得た各地点の往路移動到達時刻(往路における各地点の通過時刻)に基づいて各地点の識別表示を行う。ユーザは、各地点の往路移動到達時刻を知ることにより、仕事や行楽のスケジュール、各地点の道路状況(混雑、渋滞、通行料割引、通行止め規制、速度規制、交通事故規制、チェーン規制など)、車窓の景色などに応じた目的地の選択等を容易に行うことができる。
【0009】
請求項4に記載したカーナビゲーション装置は、往路移動時間を指定時間から減算して得た各地点の滞在可能時間に基づいて各地点の識別表示を行う。ユーザは、各地点の滞在可能時間を知ることにより、目的地での行動予定などに応じた目的地の選択等を容易に行うことができる。
【0010】
請求項5に記載したカーナビゲーション装置は、到達可能範囲内の各地点を起点として帰着時刻に基準位置に到達するのに要する復路移動時間を求め、その復路移動時間に基づいて各地点の識別表示を行う。ユーザは、各地点の復路移動時間を知ることにより、仕事や行楽に費やせる時間、搭載燃料の量、疲労状態、運転技能などに応じた目的地の選択等を容易に行うことができる。
【0011】
請求項6に記載したカーナビゲーション装置は、復路移動時間を帰着時刻から減算して得た復路移動到達時刻(復路における各地点の通過時刻)に基づいて各地点の識別表示を行う。ユーザは、各地点の復路移動到達時刻を知ることにより、仕事や行楽のスケジュール、各地点の道路状況(混雑、渋滞、通行料割引、通行止め規制、速度規制、交通事故規制、チェーン規制など)、車窓の景色などに応じた目的地の選択等を容易に行うことができる。
【0012】
請求項7に記載したカーナビゲーション装置は、基準時刻から帰着時刻までの時間から往路移動時間と復路移動時間を減算して得た滞在可能時間に基づいて各地点の識別表示を行う。ユーザは、各地点の滞在可能時間を知ることにより、目的地での行動予定などに応じた目的地の選択等を容易に行うことができる。
【0013】
請求項8に記載したカーナビゲーション装置は、上述の往路移動時間、往路移動到達時刻、滞在可能時間、復路移動時間、復路移動到達時刻における気象(天気、降水確率、警報・注意報など)に基づいて各地点の識別表示を行う。
ユーザは、基準位置から各地点に到達するまでの往路移動時間または目的地から基準位置に到達するまでの復路移動時間における気象(例えば平均的な気象)を知ることにより、運転目的(仕事、行楽など)、運転技能、車窓の風景、タイヤの種類などに応じた目的地の選択等を容易に行うことができる。
ユーザは、各地点の往路移動到達時刻または復路移動到達時刻における気象を知ることにより、目的地での行動予定(屋外での行動、屋内での行動、スキーなど)、車窓の風景、運転技能、タイヤの種類などに応じた目的地の選択等を容易に行うことができる。
ユーザは、各地点の滞在可能時間における平均的な気象を知ることにより、目的地での行動予定(屋外での行動、屋内での行動、スキーなど)などに応じた目的地の選択等を容易に行うことができる。
【0014】
請求項9に記載したカーナビゲーション装置は、基準時刻から指定時間が経過した時刻における到達可能範囲内の各地点の気象(天気、降水確率、警報・注意報など)に基づいて各地点の識別表示を行う。これにより、ユーザは、目的地での行動予定(屋外での行動、屋内での行動、スキーなど)などに応じた目的地の選択等を容易に行うことができる。
【0015】
請求項10に記載したカーナビゲーション装置は、表示手段に地図を表示し、その表示した地図における到達可能範囲内の各地点を状態情報に応じた階調、色、点滅状態、強調表示等により識別表示する。従って、ユーザ(ドライバ)は、表示手段から各地点の状態情報を容易に把握することができる。
【0016】
請求項11に記載したカーナビゲーション装置は、基準位置と特定地点(目的地候補)との間の移動期間および当該特定地点での滞在期間を対象として、その時々に位置している地点における状態情報をタイムチャートの形式で識別表示する。これにより、ユーザは、特定地点に向かって往路移動している時刻、目的地に滞在している時刻および基準位置に向かって復路移動している時刻を容易に把握できる。また、ユーザ(車両)が基準位置から特定地点に到達するまでの時々に経路上の各地点で遭遇する気象などの状態、特定地点に滞在している時に遭遇する気象などの状態、特定地点から基準位置に到達するまでの時々に経路上の各地点で遭遇する気象などの状態を容易に把握できる。
【0017】
請求項12に記載したカーナビゲーション装置は、基準位置を起点として基準時刻から指定時間内に到達可能な地点であって且つ当該各地点における状態情報が目的地検索条件に合致する目的地を探索するので、ユーザ自らが指定時間を順次入力しながら気象等の目的地検索条件に合致する目的地を探索する手間が省ける。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1ないし図8を参照しながら説明する。
図1は、カーナビゲーション装置の電気的構成を示すブロック図である。カーナビゲーション装置1は、マイコンを主体として構成された制御回路2、車両の現在位置を検出するための位置検出器3、地図データ入力器4、操作スイッチ群5、外部メモリ6、カラー液晶ディスプレイ等からなる表示装置7、音声出力装置8および外部(例えばVICSセンターや種々の情報センター等)との間で無線通信によりデータの送受信を行う外部情報入出力装置15から構成されている。
【0019】
位置検出器3は、車両の回転角速度を検出するジャイロスコープ9、車両の走行距離を検出する距離センサ10、人工衛星からの送信電波に基づいて車両の現在位置を検出(測位)するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機11を有している。各センサ9〜11は、それぞれ性質の異なる誤差を有している。このため、制御回路2は、各センサ9〜11の検出値を補間しながら用いることにより、車両の現在位置、進行方向、速度、走行距離、現在時刻等を高精度で検出するようになっている。なお、精度によっては、位置検出器3を上述したセンサ9〜11の一部のみで構成してもよい。また、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0020】
地図データ入力器4は、道路地図データ、目印データ、マップマッチング用データ、目的地データ(施設データベース)、交通情報を道路データに変換するためのテーブルデータなどの各種データを記録した地図データ記録メディアからデータを読み出すためのドライブ装置により構成されている。地図データ記録メディアには、DVD等の大容量記憶媒体を用いるのが一般的であるが、メモリカード、ハードディスク装置等の媒体を用いてもよい。
【0021】
上記道路地図データは、道路形状、道路幅、各リンクの標準的な移動時間、道路名、信号、踏切、建造物、各種施設、地名、地形等のデータを含むとともに、その道路地図を表示装置7の画面上に表示するためのデータを含んでいる。また、目的地データは、駅等の交通機関、レジャー施設、宿泊施設、公共施設等の施設や、小売店、デパート、レストラン等の各種の店舗、住居やマンション、地名などに関する情報からなり、このデータにはそれらの電話番号や住所、緯度および経度等のデータが含まれるとともに、施設を示すランドマーク等を、表示装置7の画面上に道路地図に重ね合せて表示するためのデータを含んで構成されている。
【0022】
操作スイッチ群5(入力手段、検索条件入力手段に相当)は、表示装置7の画面の近傍に設けられたメカニカルスイッチや、表示装置7の画面上に設けられるタッチパネルを含んで構成されている。ユーザ(ドライバ)は、この操作スイッチ群5を用いて、目的地、目的地の検索に必要な情報(目的地検索条件)、通過点などの入力、後述する指定時間、基準位置、基準時刻、帰着時刻および表示装置7の画面や表示態様の切り替え等を行う各種のコマンドの入力を行う。
【0023】
外部メモリ6は、フラッシュメモリカード等から構成されている。この外部メモリ6には、例えば他の規格に対応するためのプログラムソフトが記憶され、あるいは特定のデータ例えば経路案内時に制御回路2が設定した目的地までの経路のデータ等が記憶される。
【0024】
表示装置7(表示手段に相当)の画面には、車両の位置周辺の地図が各種縮尺で表示されるとともに、その表示に重ね合わせて、車両の現在位置と進行方向とを示す現在地マーク(ポインタ)が表示される。また、目的地までの経路案内の実行時には、経路案内用の画面が表示される。
【0025】
目的地探索時等において指定時間を入力すると、地図とともに指定時間で到達可能な範囲内の各地点を対象として各種情報の識別表示がなされる。さらに、目的地(目的地候補)が設定されると、基準位置とその目的地との間の移動期間および当該目的地での滞在期間を対象として、その時々に位置している地点における各種状態情報がタイムチャートの形式で識別表示される。その他、ユーザが目的地の検索に必要な情報等を入力したり、目的地の検索や設定を行うための入力用の画面や、各種のメッセージ等も表示される。
【0026】
制御回路2を構成するマイコンは、CPU、メモリ12(RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ等)、I/Oなどを備えている。CPUがROM(またはフラッシュメモリ)に記憶されたプログラムを実行することにより、制御回路2は、経路探索手段、到達範囲探索手段、状態情報付与手段、表示制御手段、経路案内手段として機能する。経路探索手段としての機能は、車両の出発地(現在位置)から目的地までの推奨する走行経路を自動計算するものであり、その手法としては例えばダイクストラ法が用いられている。
【0027】
経路案内手段としての機能は、走行経路に沿って移動可能なように、表示装置7の画面に現在地周辺の道路地図を表示するとともに、車両の現在位置と進行方向を示す現在地マークを道路地図に重ね合わせて表示する機能である。この場合、車両の走行に伴って現在地の表示は地図上を移動し、地図は車両の位置に応じてスクロール表示される。このとき、車両の現在地を道路上にのせるマップマッチングが行なわれる。
【0028】
次に、カーナビゲーション装置1の状態情報表示機能について図2ないし図8を参照しながら説明する。
状態情報表示機能とは、基準位置を起点として基準時刻から指定時間内に到達可能な範囲を探索し、その探索した到達可能範囲内の各地点に対し所定の基準に基づいた状態情報を付与し、表示装置7に到達可能範囲内の各地点を対象として上記状態情報に基づく識別表示を行う機能である。
【0029】
ここで、基準位置とは、車両の現在位置またはユーザが地図表示画面で操作スイッチ群5(カーソル移動手段など)を用いて指定した位置であって、状態情報を表示する際の基準スタート位置である。また、基準時刻とは、現在時刻またはユーザが操作スイッチ群5を用いて入力した基準スタート時刻である。指定時間とは、ユーザが操作スイッチ群5を用いて入力した時間であって、到達可能範囲の境界を定めるための条件である。状態情報が付与される到達可能範囲内の各地点とは、到達可能範囲内の全地点である必要はなく、本実施形態では後述するように主要な道路を対象としている。
【0030】
本実施形態で各地点に対し付与される状態情報は滞在可能時間である。滞在可能時間とは、基準位置を起点として基準時刻から到達可能範囲内の各地点に移動した場合に、当該各地点に滞在できる時間である。
【0031】
図2は、制御回路2が実行する状態情報表示処理のフローチャートである。制御回路2は、はじめにステップS1において、位置検出器3から入力した検出値に基づいて車両の現在位置と現在時刻を検出する。続くステップS2では基準設定モードであるか否かを判断する。基準設定モードとは、基準位置または基準時刻を新規に設定しまたは変更するための操作入力モードである。ユーザは、状態情報表示機能の実行開始時や現在位置を基準とする最新の状態情報を表示させたい場合などに基準設定モードに切り替える。
【0032】
ステップS2で基準設定モードである(YES)と判断すると、ステップS3、S4においてそれぞれ基準位置、基準時刻を入力する。一方、基準設定モードでない(NO)と判断すると、これらステップS3、S4をスキップする。
【0033】
制御回路2は、ステップS5において地図表示の縮尺に応じた主要な道路網を設定する。例えば広域表示では主要国道や高速道路などの幹線道路のみを表示対象として設定し、詳細表示ではこれらの幹線道路に加えて一般国道や県道なども表示対象として設定する。続くステップS6において、ユーザ指定例えば高速道路使用の有無などを入力する。
【0034】
制御回路2は、ステップS7において片道モードか往復モードかを判断する。片道モードとは、基準位置を起点として基準時刻から指定時間内に到達可能な各地点に移動した場合、当該各地点に到達後指定時間が経過するまでの滞在可能時間を表示するモードである。これに対し、往復モードとは、当該各地点に到達後、帰着時刻に基準位置に到達するように当該地点を出発するまでの滞在可能時間を表示するモードである。
【0035】
片道モードの場合には、ステップS8およびS9の処理を実行する。ステップS8では、ユーザが操作スイッチ群5を操作することに応じて指定時間を入力する。この指定時間は、最小時間単位例えば1時間単位で入力可能である。続くステップS9は、指定時間内に到達可能な範囲を探索するとともに、到達可能範囲内の主要道路を対象として滞在可能時間を求め、その滞在可能時間を表示するサブルーチンである。図3は、この制御回路2が実行する片道モードにおける到達範囲探索処理(到達範囲探索手段としての処理)、滞在可能時間演算処理(状態情報付与手段としての処理)、表示処理(表示制御手段としての処理)に係るサブルーチンS9のフローチャートである。
【0036】
この図3において、はじめにステップS101で計算規定時間に上記最小時間単位例えば1時間を設定する。続くステップS102〜S104、S111のループ処理において、基準位置から計算規定時間内に到達可能な範囲を求める。ステップS102では、ステップS5で設定した主要な道路網を対象として、上記ユーザ指定の条件下で基準位置または前回の当該ループ処理の計算終了ノードを起点として各リンクの移動時間を計算する。この場合、車両の平均速度を用いて計算すること以外に、道路地図データに含まれている移動時間データを用いてもよい。また、各リンクの通過時刻に応じた道路状況(混雑、渋滞、通行止め規制、速度規制、交通事故規制、チェーン規制など)に基づいて計算するとよい。この道路状況は、外部情報入出力装置15や道路地図データなどから得ることができる。
【0037】
続くステップS103では、求めた移動時間を加算することにより基準位置を起点とする累積移動時間を計算する。そして、ステップS104で、その累積移動時間が計算規定時間以上であるか否かを判断する。計算規定時間未満(NO)の場合にはステップS111に移行し、計算対象ノードを先に進めた上でステップS102に戻る。なお、このループ処理で、同一地点への移動経路が複数存在する場合には、最短の累積移動時間を選択する。
【0038】
ステップS104で累積移動時間が計算規定時間以上(YES)と判断すると、制御回路2は、ステップS105に移行し、指定時間から計算規定時間を減算することにより滞在可能時間を求める。続くステップS106では、当該計算規定時間で新たに計算対象となったリンクに、状態情報としてステップS105で計算した滞在可能時間を付与する。新たに計算対象となったリンクとは、例えば計算規定時間が1時間に設定されている場合には、基準位置から1時間以内に到達できる主要道路上のリンクであり、計算規定時間が2時間に設定されている場合には、基準位置から1時間を超えて2時間以内に到達できる主要道路上のリンクである。
【0039】
ステップS107では、滞在可能時間に対応した表示色を設定し、ステップS108では、図5〜図7に示すように表示装置7の画面に地図に重ねて当該計算対象リンクを設定色で所定幅に描画する。これら図5、図6、図7は、それぞれ片道モードで指定時間を1時間、2時間、3時間に設定したときの画面表示例であって、便宜上、表示色の違いを表示模様の違いとして表している。
【0040】
その後、ステップS109に移行して、計算規定時間が指定時間以上か否かを判断する。計算規定時間が指定時間未満の場合には、NOと判断してステップS112に移行し、現在の計算規定時間に最小時間単位(1時間)を加算して新たな計算規定時間とする。そして、ステップS102から、この新たな範囲を対象として計算を続行する。一方、計算規定時間が指定時間以上の場合には、YESと判断してステップS110に移行し、図5〜図7に示すように表示装置7の画面に表示色(表示模様)と滞在可能時間との対応例を描画する。なお、指定時間が3時間の場合(図7)、計算規定時間が1時間、2時間、3時間の設定下で求めた滞在可能時間は、それぞれ2時間〜3時間、1時間〜2時間、1時間以内となる。
【0041】
次に、図2に示すステップS7で往復モード(NO)と判断した場合の処理を説明する。往復モードの場合には、ステップS10およびS11の処理を実行する。ステップS10では、ユーザが操作スイッチ群5を操作することに応じて指定時間と帰着時刻を入力する。帰着時刻は基準位置に戻る時刻であり、最小時間単位例えば1時間単位で入力可能である。ステップS11は、ステップS9と同様に到達範囲探索処理、滞在可能時間演算処理、表示処理に係るサブルーチンであり、そのフローチャートを図4に示す。
【0042】
この図4に示す処理のうちステップS113に示す滞在可能時間の計算のみが、図3に示す処理と異なっている。滞在可能時間は、(帰着時刻−基準時刻)−2×計算規定時間により求める。この場合にも、各リンクの往路における通過時刻と復路における通過時刻に応じた道路状況(混雑、渋滞、通行止め規制、速度規制、交通事故規制、チェーン規制など)に基づいて計算するとよい。図8は、往復モードで(帰着時刻−基準時刻)を5時間、指定時間を3時間に設定したときの画面表示例である。
【0043】
以上説明したように、本実施形態のカーナビゲーション装置1は、ユーザが指定時間を入力すると、基準位置を起点として基準時刻から指定時間内に到達可能な範囲を探索し、その到達可能範囲内の各地点を目的地として移動した場合に予想される当該各地点での滞在可能時間を求めて、地図画面に滞在可能時間に応じた色分け表示を行う。
【0044】
これにより、ユーザは、指定時間内に到達可能な範囲内の各地点における滞在可能時間を知ることができ、目的地の選択や目的地での滞在計画などに役立てることができる。また、滞在可能時間が地図に重ねて表示されるので、ユーザは各地点での滞在可能時間を容易に把握することができる。
【0045】
この状態情報表示機能には片道モードと往復モードとがあるので、ユーザは外出形態例えば目的地で宿泊する場合や日帰りする場合に合わせて最適なモードを選択し、より適切な滞在可能時間を得ることができる。また、地図表示の縮尺に応じた主要な道路網を対象として到達可能範囲および滞在可能時間を求めるので、画面表示が見易くなり、しかも制御回路2の処理負担を軽減できる。
【0046】
なお、到達可能範囲内の各地点に対し滞在可能時間を付与することに替えて、基準位置から当該地点に到達するのに要する往路移動時間(片道モード)または各地点を起点として帰着時刻に基準位置に到達するのに要する復路移動時間(往復モード)を付与してもよい。これにより、ユーザは、仕事や行楽に費やせる時間、搭載燃料の量、疲労状態、運転技能などに応じた目的地の選択が容易になる。
【0047】
さらに、基準位置を起点として基準時刻から到達可能範囲内の各地点に到達する往路移動到達時刻(片道モード)または到達可能範囲内の各地点を起点(通過点)として帰着時刻に基準位置に到達するために当該各地点を出発(通過)する復路移動到達時刻(往復モード)を付与してもよい。往路移動到達時刻は、基準時刻に往路移動時間を加算することにより得られ、復路移動到達時刻は、帰着時刻から復路移動時間を減算することにより得られる。これにより、ユーザは、仕事や行楽のスケジュール、各地点の道路状況、車窓の景色などに応じた目的地の選択が容易になる。
【0048】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図9ないし図13を参照しながら説明する。
図9は、カーナビゲーション装置の電気的構成を示すブロック図であり、図1と同一構成部分には同一符号を付して示している。このカーナビゲーション装置13は、気象情報センターから気象予測情報を受信する天気予測情報入力装置14を備えている。メモリ12または外部メモリ6には、天気予測情報入力装置9により受信した気象予測情報が記憶されるようになっている。
【0049】
本実施形態で各地点に対し付与される状態情報は天気情報である。すなわち、片道モードにあっては、基準位置を起点として基準時刻から到達可能範囲内の各地点に移動した場合に、当該各地点に到達する往路移動到達時刻における天気である。また、往復モードにあっては、到達可能範囲内の各地点を起点として帰着時刻に基準位置に戻る場合に、当該各地点を出発する(別の見方をすれば遠方地点からの復路において当該各地点に到達する)復路移動到達時刻における天気である。
【0050】
この場合、各地点に対し当該地点の往路移動到達時刻または復路移動到達時刻における当該地点の天気情報(天気予測情報)を付与することが好ましい。距離が接近していても地形の違い等により天気が異なる場合があり、また、時刻が接近していても天気が異なる場合があるからである。しかしながら、本実施形態では制御回路2の処理負担の軽減、天気表示の見易さ等を考慮して、上記のように各地点ごとに厳密に天気情報を付与するのではなく、主要道路を対象として最小時間単位(ここでは1時間)で移動できる範囲に区切って各区切範囲内のリンクにおける平均的な天気情報を付与している。
【0051】
図10は、制御回路2が実行する状態情報表示処理のフローチャートである。図2に示すフローチャートと同一の処理ステップには同一のステップ番号を付し、ここでは異なる処理について説明する。ステップS21は、指定時間内に到達可能な範囲を探索するとともに、到達可能範囲内の主要道路を対象として往路移動到達時刻における天気を求め、その天気を表示するサブルーチンである。図11は、制御回路2が実行する片道モードにおける到達範囲探索処理、天気情報付与処理(状態情報付与手段としての処理)、表示処理に係るサブルーチンS21のフローチャートであり、図3に示すフローチャートと同一の処理ステップには同一のステップ番号を付している。
【0052】
この図11において、ステップS104で累積移動時間が計算規定時間以上(YES)と判断すると、制御回路2は、ステップS121に移行し、当該計算規定時間で新たに計算対象となったリンク(上述した区切範囲)を対象として往路移動到達時刻を計算する。この往路移動到達時刻は、基準時刻+計算規定時間により求める。ただし、この計算では、往路移動到達時刻に最大で最小時間単位(1時間)だけの誤差が生じ得る。そこで、この最大誤差を1/2(30分)に低減するため、往路移動到達時刻を基準時刻+計算規定時間−最小時間単位/2により求めてもよい。
【0053】
続くステップS122では、気象情報センターから受信した気象予測情報を参照して、当該計算規定時間で新たに計算対象となったリンクに、状態情報として往路移動到達時刻における天気(晴れ、曇り、雨、雪など)を付与する。そして、ステップS123では、天気に対応した表示色を設定する。図13は、片道モードで指定時間を3時間に設定したときの画面表示例であって、便宜上、表示色の違いを表示模様の違いとして表している。この画面表示から、現在地点(愛知県の中部国際空港)を起点として現在時刻から北(岐阜県多治見市方向)に向かうと、3時間で愛知県と岐阜県との県境付近にまで到達でき、移動中に遭遇する天気は途中(愛知県豊田市)まで曇りでその後雨になることが分かる。
【0054】
一方、図10に示すステップS7で往復モード(NO)と判断した場合、制御回路2は、ステップS22およびS23の処理を実行する。ステップS22では、ユーザが操作スイッチ群5を操作することに応じて指定時間、帰着時刻および往路/復路表示の選択を入力する。往路/復路表示の選択とは、往路における天気と復路における天気の何れの天気を表示するかの選択である。ステップS23は、ステップS21と同様に到達範囲探索処理、天気情報付与処理、表示処理に係るサブルーチンであり、そのフローチャートを図12に示す。
【0055】
この図12に示す処理のうちステップS124、S125の処理のみが、図11に示す処理と異なっている。制御回路2は、ステップS124で往路表示が選択されたか否かを判断する。往路表示が選択された場合(YES)にはステップS121に移行して往路移動到達時刻を計算し、復路表示が選択された場合(NO)にはステップS125に移行し復路移動到達時刻を計算する。この復路移動到達時刻は、帰着時刻−計算規定時間により求めるが、上述したように誤差を低減するために帰着時刻−計算規定時間+最小時間単位(1時間)/2により求めてもよい。
【0056】
以上説明したように、本実施形態のカーナビゲーション装置13は、ユーザが指定時間を入力すると、基準位置を起点として基準時刻から指定時間内に到達可能な範囲を探索し、その到達可能範囲内の各地点に移動した場合に予想される当該各地点への到達時刻(通過時刻)における天気を求めて、地図画面に天気に応じた色分け表示を行う。
【0057】
これにより、ユーザは、設定した基準時刻、帰着時刻および基準位置の下で、指定時間内に到達可能な範囲内の各地点で遭遇する天気を知ることができ、運転目的(仕事、行楽など)や運転技能や車窓の風景などに基づく目的地の設定、目的地での行動予定(屋外での行動、屋内での行動、スキーなど)、タイヤの種類の選択などに役立てることができる。また、指定時間内に到達可能な範囲内の天気のみが地図に重ねて表示されるので、ユーザは到達可能地点と天気とを関連付けながら把握することができる。
【0058】
この状態情報表示機能には片道モードと往復モードとがある。ユーザは、往復モードにおいて、往路における天気と復路における天気の何れか一方を選択して表示することができるので、天気を考慮した移動計画をたて易くなる。また、地図表示の縮尺に応じた主要な道路網を対象として到達可能範囲および天気を求めるので、画面表示が見易くなり、しかも制御回路2の処理負担を軽減できる。
【0059】
なお、到達可能範囲内の各地点に対し、往路移動到達時刻と復路移動到達時刻における当該地点の天気情報を付与することに替えて、基準位置から当該地点に到達するのに要する往路移動時間における平均的な天気または各地点を起点として帰着時刻に基準位置に到達するのに要する復路移動時間における平均的な天気を付与してもよい。
【0060】
この場合、制御回路2は、片道モードにおけるステップS121において、基準位置から当該計算規定時間で新たに計算対象となったリンクまでの全範囲を対象として往路移動到達時刻を計算する。この往路移動到達時刻は、上述したように誤差を低減するために例えば基準時刻+計算規定時間/2により求める。そして、続くステップS122では、気象情報センターから受信した気象予測情報を参照して、当該計算規定時間で新たに計算対象となったリンクに、状態情報として上記往路移動到達時刻における天気(晴れ、曇り、雨、雪など)を付与する。一方、往復モードにおけるステップS125においては復路移動到達時刻を計算する。この復路移動到達時刻は、帰着時刻−計算規定時間/2により求める。この変形例によっても、ほぼ同様の効果が得られる。
【0061】
さらに、この変形例の片道モードにおいて、例えば基準時刻、基準時刻+計算規定時間/2、基準時刻+計算規定時間を演算し、その各時刻における到達地点の天気を求め、その平均的な天気を状態情報として付与してもよい。同様に、往復モードにおいては、帰着時刻−計算規定時間、帰着時刻−計算規定時間/2、帰着時刻を演算し、その各時刻における到達地点の天気を求め、その平均的な天気を状態情報として付与してもよい。
【0062】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について図14ないし図16を参照しながら説明する。
本実施形態のカーナビゲーション装置は、図9に示す構成と同様である。本実施形態で各地点に対し付与される状態情報は、滞在可能時間における平均的な天気である。ここでの滞在可能時間とは、既述したように基準位置を起点として基準時刻から到達可能範囲内の各地点に移動した場合に当該各地点に滞在できる時間である。
【0063】
図14は、制御回路2が実行する状態情報表示処理のフローチャートである。図2または図10に示すフローチャートと同一の処理ステップには同一のステップ番号を付し、ここでは異なる処理について説明する。ステップS31は、指定時間内に到達可能な範囲を探索するとともに、到達可能範囲内の主要道路を対象として滞在可能時間における平均的な天気を求め、その天気を表示するサブルーチンである。図15は、制御回路2が実行する片道モードにおける到達範囲探索処理、天気情報付与処理、表示処理に係るサブルーチンS31のフローチャートであり、図3または図11に示すフローチャートと同一の処理ステップには同一のステップ番号を付している。
【0064】
この図15において、ステップS104で累積移動時間が計算規定時間以上(YES)と判断すると、制御回路2は、ステップS131に移行し、当該計算規定時間で新たに計算対象となったリンクの滞在時刻を求める。具体的な滞在時刻は、基準時刻+計算規定時間から基準時刻+指定時間までとなる。なお、滞在時刻の誤差を低減するため、基準時刻+計算規定時間−最小時間単位(1時間)/2から基準時刻+指定時間までとしてもよい。
【0065】
続くステップS132では、気象情報センターから受信した気象予測情報を参照して、当該計算規定時間で新たに計算対象となったリンクに、状態情報としてステップS131で計算した滞在時刻における平均的な天気を付与する。この場合、表示装置7の画面は、図13と同様な表示(ただし、天気は各地点での滞在可能時間における平均的な天気)となる。
【0066】
一方、図14に示すステップS7で往復モード(NO)と判断した場合、制御回路2は、ステップS10およびS32の処理を実行する。ステップS32は、ステップS31と同様に到達範囲探索処理、天気情報付与処理、表示処理に係るサブルーチンであり、そのフローチャートを図16に示す。この図16に示す処理のうちステップS133の処理のみが、図15に示す処理と異なっている。
【0067】
ステップS133において、制御回路2は滞在時刻を求める。具体的な滞在時刻は、基準時刻+計算規定時間から帰着時刻−計算規定時間までとなる。なお、滞在時刻の誤差を低減するため、基準時刻+計算規定時間−最小時間単位(1時間)/2から帰着時刻−計算規定時間+最小時間単位(1時間)/2までとしてもよい。
【0068】
以上説明したように、本実施形態のカーナビゲーション装置は、ユーザが指定時間を入力すると、基準位置を起点として基準時刻から指定時間内に到達可能な範囲を探索し、その到達可能範囲内の各地点を目的地として移動した場合に予想される当該各地点での滞在可能時間における平均的な天気を求めて、地図画面に天気に応じた色分け表示を行う。
【0069】
これにより、ユーザは、設定した基準時刻、帰着時刻および基準位置の下で、指定時間内に到達可能な範囲内の各地点での滞在可能期間における天気を知ることができ、目的地の選択や目的地での行動予定(屋外での行動、屋内での行動、スキーなど)に役立てることができる。また、天気が地図に重ねて表示されるので、ユーザは天気を容易に把握することができる。
【0070】
また、片道モードと往復モードとを適宜選択することにより、滞在可能時間における平均的な天気を適切に得ることができる。また、地図表示の縮尺に応じた主要な道路網を対象として到達可能範囲および天気を求めるので、画面表示が見易くなり、しかも制御回路2の計算時間を短縮できる。
【0071】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について図17ないし図20を参照しながら説明する。
本実施形態のカーナビゲーション装置は、図1に示す構成と同様である。本実施形態における状態情報表示機能は、ユーザが入力した目的地の種類(ジャンル)に合致する目的地候補を検索し、基準位置と検索した目的地候補との間の移動期間および当該目的地候補での滞在期間を対象として、その時々に位置している地点における状態(移動状態、滞在状態)を図19、図20に示すようなタイムチャートの形式で表示装置7に表示する。タイムチャートの時間分解能は、最小時間単位(例えば1時間)である。
【0072】
この場合、基準位置と目的地候補との間の各地点および目的地候補には、当該各地点への到達時刻(滞在時刻)と、当該各地点の到達時刻(滞在時刻)における状態(移動状態、滞在状態)とが付与される。その結果、これらの各地点を介して時刻と状態とが関連付けられる。
【0073】
図17は、制御回路2が実行する状態情報表示処理のフローチャートである。図2に示すフローチャートと同一の処理ステップには同一のステップ番号を付し、ここでは異なる処理について説明する。制御回路2は、図2に示すステップS5、S6に替えてステップS41、S42を実行する。ステップS41では、ユーザによる操作スイッチ群5の操作に応じて目的地の種類(ジャンル)を入力する。
【0074】
図18は、この入力時における表示装置7の画面表示例を示している。まず、図18(a)に示すように目的地の検索方法(地名索引、電話番号、自宅、周辺地図、…)を表示し、ここで例えば周辺地図が選択されると、図18(b)に示すように目的地の種類を表示する。図19、図20は、例えば愛知県の中部国際空港を基準位置として近県の行楽地を選択した場合に表示されるタイムチャートである。
【0075】
制御回路2は、ステップS42で選択された種類に合致する目的地候補(愛知万博、東山動植物園、…)を道路地図データ(またはメモリ6、12)から読み出す。その後、ステップS7で片道モード(YES)と判断した場合には、図2に示すステップS9に替えてステップS43を実行し、ステップS7で往復モード(NO)と判断した場合には、図2に示すステップS11に替えてステップS44を実行する。
【0076】
ステップS43は、指定時間内に到達可能な範囲を探索するとともに、基準位置から目的地候補に向かう主要道路を対象として、当該各地点への往路到達時刻(滞在時刻)と状態(移動状態、滞在状態)を求め、その時刻と状態との関係をタイムチャートの形式で表示するサブルーチンである。同様に、ステップS44は、指定時間内に到達可能な範囲を探索するとともに、目的地候補から基準位置に向かう主要道路を対象として、当該各地点への復路到達時刻と状態(移動状態、滞在状態)を求め、その時刻と状態との関係をタイムチャートの形式で表示するサブルーチンである。
【0077】
図19、図20は、それぞれ片道モード、往復モードでの画面表示例を示している。図19は、選択した9個の目的地候補への移動について、基準時刻である8時から指定時間(4時間)が経過する12時までの期間を対象にして、移動/滞在の何れの状態であるか、移動時間および滞在時間を示している。図20は、選択した9個の目的地候補への移動について、基準時刻である8時から帰着時刻である20時までの期間を対象にして、移動/滞在の何れの状態であるか、および移動時間と滞在時間を示している。実際の画面では、状態について移動時間と滞在時間とを異なる色により表しているが、ここでは便宜上表示模様の違いとして表している。なお、指定時間内に到達できない目的地候補については、片道モードにおいて基準時刻から指定時間の経過時刻まで全て移動時間として表示される。
【0078】
以上説明したように、本実施形態のカーナビゲーション装置は、基準位置とユーザが選択した目的地候補との間の移動期間および当該目的地候補での滞在期間を対象として、その時々に位置している地点における状態(移動状態、滞在状態)をタイムチャートの形式で表示する。これにより、ユーザは、自ら入力した種類(ジャンル)に適合する目的地候補に向かう場合の各時刻の状態を知ることができ、目的地の選択や目的地での滞在計画などに役立てることができる。また、入力した種類に合致する複数の目的地候補について、各時刻での状態が表示されるので、ユーザは複数の目的地候補を比較しながら最終的な目的地を選択することができる。
【0079】
この状態情報表示機能には片道モードと往復モードとがあるので、ユーザは外出形態例えば目的地で宿泊する場合や日帰りする場合に合わせて最適なモードを選択し、より適切な移動/滞在状態を得ることができる。
【0080】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について図21および図22を参照しながら説明する。
本実施形態のカーナビゲーション装置は、第4の実施形態で説明したカーナビゲーション装置に対し、さらに天気情報を含めて表示する状態情報表示機能を備えている。すなわち、ユーザが入力した目的地の種類(ジャンル)に合致する目的地候補を検索し、基準位置と検索した目的地候補との間の移動期間および当該目的地候補での滞在期間を対象として、その時々に位置している地点における状態(移動状態、滞在状態)と天気を図22に示すようなタイムチャートの形式で表示装置7に表示する。タイムチャートの時間分解能は、最小時間単位(例えば1時間)である。
【0081】
この場合、基準位置と目的地候補との間の各地点および目的地候補には、当該各地点への到達時刻(滞在時刻)と、当該各地点の到達時刻(滞在時刻)における状態(移動状態、滞在状態)と天気(晴れ、曇り、雨、雪など)とが付与される。その結果、これらの各地点を介して時刻と状態と天気とが関連付けられる。
【0082】
図21は、制御回路2が実行する状態情報表示処理のフローチャートである。制御回路2は、図17に示すフローチャートにおけるステップS43、S44に替えてステップS51、S52を実行する。図22は、図20と同様に愛知県の中部国際空港を基準位置として近県の行楽地を選択した場合に表示されるタイムチャートである。
【0083】
ステップS51は、上記ステップS43と同様にして各地点への往路到達時刻(滞在時刻)と状態(移動状態、滞在状態)を求め、さらに気象情報センターから受信した気象予測情報を参照して往路到達時刻(滞在時刻)における天気を求め、その時刻と状態と天気との関係をタイムチャートの形式で表示するサブルーチンである。同様に、ステップS52は、各地点への復路到達時刻と状態(移動状態、滞在状態)を求め、さらに復路到達時刻(滞在時刻)における天気を求め、その時刻と状態と天気との関係をタイムチャートの形式で表示するサブルーチンである。
【0084】
図22は、往復モードでの画面表示例を示している。基準時刻である8時から帰着時刻である20時までの期間を対象にして、各目的地候補への往路移動期間、滞在期間、復路移動期間に遭遇する天気と各時刻の状態(移動状態、滞在状態)を示している。実際の画面では、状態について滞在時間と移動時間とを異なる色により表しているが、ここでは便宜上表示模様の違いとして表している。
【0085】
以上説明したように、本実施形態のカーナビゲーション装置は、基準位置とユーザが選択した目的地候補との間の移動期間および当該目的地候補での滞在期間を対象として、その時々に位置している地点における状態と天気をタイムチャートの形式で表示する。これにより、第4の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、ユーザは、目的地候補への移動期間と滞在期間の各時刻に遭遇する天気を知ることができるので、天気に応じた目的地の選択や目的地での滞在計画の設定を容易に行うことができる。
【0086】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について図23および図24を参照しながら説明する。
本実施形態のカーナビゲーション装置において、操作スイッチ群5は、目的地検索条件を入力する検索条件入力手段に相当し、制御回路2は、基準位置を起点として基準時刻から指定時間内に到達可能な地点であって且つ当該各地点における状態情報が上記目的地検索条件に合致する目的地を探索する目的地探索手段に相当する。
【0087】
図24(a)〜(d)は、目的地検索条件の入力時に表示装置7に表示される画面である。目的地検索条件となる状態情報には、例えば以下のようなものがある。
(1)移動や滞在に係る状態情報:図24(a)
・滞在可能時間
基準位置を起点として基準時刻から到達可能範囲内の各地点に移動した場合に、当該各地点に滞在できる時間。
・移動時間
基準位置を起点として基準時刻から到達可能範囲内の各地点に到達するのに要する往路移動時間または到達可能範囲内の各地点を起点として帰着時刻に基準位置に到達するのに要する復路移動時間。
・平均速度
基準位置を起点として基準時刻から到達可能範囲内の各地点に到達する間の往路平均速度または到達可能範囲内の各地点を起点として帰着時刻に基準位置に到達する間の復路平均速度。
【0088】
(2)気象条件に係る状態情報:図24(b)
・平均天気
往路移動期間、復路移動期間または滞在期間における平均的な天気(晴れ、曇り、雨、雪)。
・降水確率
往路移動期間、復路移動期間または滞在期間における降水確率(%)。
・悪天候
往路移動期間、復路移動期間または滞在期間における大雨、大雪、台風、濃霧などの悪天候。
・季節前線
往路移動期間、復路移動期間または滞在期間における桜前線、紅葉前線、花粉情報、黄砂情報。
・気温
往路移動期間、復路移動期間または滞在期間における気温(平均気温、最低気温、最高気温)。
・風速
往路移動期間、復路移動期間または滞在期間における風速(平均風速、最大風速)。
【0089】
(3)道路条件に係る状態情報:図24(c)
往路または復路における各地点の混雑状態、渋滞状態、速度規制、交通事故規制、通行止め規制、チェーン規制、その他の交通規制。
【0090】
図24(b)の画面表示に対し、ユーザが操作スイッチ群5を操作して平均天気を選択すると、図24(d)に示す画面表示に変化する。ここで、ユーザは、晴れ、曇り、雨、雪の中から移動期間または滞在期間の天気として望ましい天気を入力できる。
【0091】
図23は、制御回路2が実行する目的地探索処理のフローチャートである。制御回路2は、ステップS61において図24に示す画面を表示し、目的地の種類(ジャンル)と目的地検索条件となる状態情報とを入力する。続いてステップS62に移行し、目的地の種類(ジャンル)に合致する目的地候補を検索し、各目的地候補に連番を付すとともにその数をカウンタに設定する。ステップS63〜S66は、目的地候補の中から目的地検索条件に合致する状態情報を持つ地点を抽出する処理である。
【0092】
すなわち、ステップS63においてカウンタの値Nに対応する地点の状態情報を取り込み、ステップS64においてその状態情報を目的地検索条件と比較し、一致するか否かを判定する。そして、ステップS65でカウンタの値Nをディクリメントし、ステップS66でカウンタの値Nが0に等しいか否かつまり全ての目的地候補について判定が終了したか否かを判断する。ここで、0ではない(NO)と判断するとステップS63に移行し、0である(YES)と判断するとステップS67に移行する。
【0093】
目的地探索処理では、ステップS67の判断処理によりタイムチャート表示と地図表示の何れかを選択することができる。タイムチャート表示(YES)の場合、ステップS68に移行して目的地検索条件に合致する目的地候補のみをタイムチャート表示する。その結果、例えば愛知県の中部国際空港を基準位置として指定時間内に到達可能な近県の行楽地であって、滞在時間における平均的な天気が晴れの条件を満たす目的地候補(1または複数)のタイムチャートが表示される。
【0094】
その後、制御回路2は、最終目的地設定モードか否かを判断し、NOの場合には処理を終了する。YESの場合には、ステップS70でユーザによる操作スイッチ群5の操作に応じて最終目的地を選択し、ステップS71でその選択した最終目的地に対する経路探索を実行して経路を設定する。これに対し、地図表示(ステップS67:NO)の場合には、ステップS72に移行して目的地検索条件に合致する目的地候補のみを地図画面に表示する。
【0095】
以上説明したように、本実施形態のカーナビゲーション装置は、目的地検索条件を入力すると、基準位置を起点として基準時刻から指定時間内に到達可能な地点であって且つ当該各地点における状態情報が目的地検索条件に合致する目的地を探索するので、ユーザ自らが指定時間を順次変えながら気象等の目的地検索条件に合致する目的地を探索する手間が省ける。
【0096】
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態について図25を参照しながら説明する。
本実施形態のカーナビゲーション装置は、図1に示す構成と同様である。本実施形態で各地点に対し付与される状態情報は、基準時刻から指定時間が経過した時刻における到達可能範囲内の各地点の天気である。図25は、指定時間を3時間に設定したときの画面表示例であって、便宜上、表示色の違いを表示模様の違いとして表している。色(模様)が付された範囲が到達可能範囲であり、その到達可能範囲について基準時刻から3時間後の天気が表示されている。また、本実施形態では主要道路のみならず、地図上の領域全体を探索対象としている。
【0097】
本実施形態によれば、ユーザは移動に要する時間と天気とを同時に考慮しながら目的地を設定することができる。この場合、さらに目的地検索条件(例えば「晴れ」という条件)を入力し、上記到達可能範囲であって且つ目的地検索条件に合致する領域のみを地図表示してもよい。これにより、基準位置から指定時間内に到達でき且つ基準時刻から指定時間後の天気が晴れの領域のみが選択的に地図表示される。
【0098】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に示す各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように変形または拡張が可能である。
制御回路2(状態情報付与手段)が所定の基準に基づいて到達可能範囲内の各地点に対し付与する状態情報は、第6の実施形態で説明した目的地検索条件となる状態情報、例えば平均速度、降水確率、悪天候、季節前線、気温、風速、交通規制などであってもよい。
【0099】
制御回路2は、表示装置7の画面に地図を表示し、その表示した地図に重ねて到達可能範囲(第1〜第3の実施形態では計算対象リンク)を状態情報に応じて階調表示、点滅表示、強調表示等してもよい。また、到達可能範囲の探索および状態情報の付与は、主要な道路のみを対象とせず地図上の領域全体を対象としてもよい。この場合、全ての道路に対して探索すると制御回路2の処理負担が増大するので、主要道路から離れた領域については推定処理を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すカーナビゲーション装置のブロック図
【図2】状態情報表示処理のフローチャート
【図3】片道モードにおける到達範囲探索処理、滞在可能時間演算処理、表示処理に係るサブルーチンのフローチャート
【図4】往復モードにおける図3相当図
【図5】片道モードで指定時間を1時間に設定したときの画面表示例を示す図
【図6】片道モードで指定時間を2時間に設定したときの図5相当図
【図7】片道モードで指定時間を3時間に設定したときの図5相当図
【図8】往復モードで帰着時刻−基準時刻を5時間、指定時間を3時間に設定したときの画面表示例を示す図
【図9】本発明の第2の実施形態を示す図1相当図
【図10】図2相当図
【図11】片道モードにおける到達範囲探索処理、天気情報付与処理、表示処理に係るサブルーチンのフローチャート
【図12】往復モードにおける図11相当図
【図13】片道モードで指定時間を3時間に設定したときの画面表示例を示す図
【図14】本発明の第3の実施形態を示す図2相当図
【図15】片道モードにおける到達範囲探索処理、天気情報付与処理、表示処理に係るサブルーチンのフローチャート
【図16】往復モードにおける図15相当図
【図17】本発明の第4の実施形態を示す図2相当図
【図18】目的地の種類の入力時における表示装置の画面表示例を示す図
【図19】片道モードにおいて画面表示されるタイムチャート
【図20】往復モードにおいて画面表示されるタイムチャート
【図21】本発明の第5の実施形態を示す図2相当図
【図22】図20相当図
【図23】本発明の第6の実施形態を示す目的地探索処理のフローチャート
【図24】目的地検索条件の入力時における表示装置の画面表示例を示す図
【図25】本発明の第7の実施形態を示す図13相当図
【符号の説明】
【0101】
図面中、1、13はカーナビゲーション装置、2は制御回路(経路探索手段、到達範囲探索手段、状態情報付与手段、表示制御手段、目的地探索手段)、5は操作スイッチ群(入力手段、検索条件入力手段)、7は表示装置(表示手段)を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報に基づいて経路探索を行う経路探索手段と、その探索結果を表示する表示手段とを備えたカーナビゲーション装置において、
指定時間を入力する入力手段と、
基準位置を起点として基準時刻から前記指定時間内に到達可能な範囲を探索する到達範囲探索手段と、
前記到達可能範囲内の各地点に対し所定の基準に基づいた状態情報を付与する状態情報付与手段と、
前記表示手段に前記到達可能範囲内の各地点を対象として前記状態情報に基づいた識別表示を行う表示制御手段とを備えたことを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項2】
前記状態情報付与手段は、前記基準位置を起点として前記基準時刻から前記到達可能範囲内の各地点に到達するのに要する往路移動時間を求め、その往路移動時間を当該各地点の状態情報とすることを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーション装置。
【請求項3】
前記状態情報付与手段は、前記基準位置を起点として前記基準時刻から前記到達可能範囲内の各地点に到達するのに要する往路移動時間を求め、その往路移動時間を前記基準時刻に加算して得た往路移動到達時刻を当該各地点の状態情報とすることを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーション装置。
【請求項4】
前記状態情報付与手段は、前記基準位置を起点として前記基準時刻から前記到達可能範囲内の各地点に到達するのに要する往路移動時間を求め、その往路移動時間を前記指定時間から減算して得た滞在可能時間を当該各地点の状態情報とすることを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーション装置。
【請求項5】
前記入力手段は、帰着時刻を入力可能に構成され、
前記状態情報付与手段は、前記到達可能範囲内の各地点を起点として前記帰着時刻に前記基準位置に到達するのに要する復路移動時間を求め、その復路移動時間を当該各地点の状態情報とすることを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーション装置。
【請求項6】
前記入力手段は、帰着時刻を入力可能に構成され、
前記状態情報付与手段は、前記到達可能範囲内の各地点を起点として前記帰着時刻に前記基準位置に到達するのに要する復路移動時間を求め、その復路移動時間を前記帰着時刻から減算して得た復路移動到達時刻を当該各地点の状態情報とすることを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーション装置。
【請求項7】
前記入力手段は、帰着時刻を入力可能に構成され、
前記状態情報付与手段は、前記到達可能範囲内の各地点を起点として前記帰着時刻に前記基準位置に到達するのに要する復路移動時間を求め、前記基準時刻から前記帰着時刻までの時間から前記往路移動時間と前記復路移動時間を減算することにより前記滞在可能時間を得ることを特徴とする請求項4記載のカーナビゲーション装置。
【請求項8】
前記状態情報付与手段は、前記各地点の状態情報である各時間または各時刻における当該各地点の気象を前記状態情報とすることを特徴とする請求項2ないし7の何れかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項9】
前記状態情報付与手段は、前記基準時刻から前記指定時間が経過した時刻における前記到達可能範囲内の各地点の気象を前記状態情報とすることを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーション装置。
【請求項10】
前記表示制御手段は、前記表示手段に地図を表示し、その表示した地図における前記到達可能範囲内の各地点を前記状態情報に応じた階調、色、点滅状態、強調表示等により識別表示することを特徴とする請求項1ないし9の何れかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項11】
前記表示制御手段は、前記基準位置と特定地点との間の移動期間および当該特定地点での滞在期間を対象として、その時々に位置している地点における前記状態情報をタイムチャートの形式で識別表示することを特徴とする請求項1ないし9の何れかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項12】
目的地検索条件を入力する検索条件入力手段と、
前記基準位置を起点として前記基準時刻から前記指定時間内に到達可能な地点であって且つ当該各地点における前記状態情報が前記目的地検索条件に合致する目的地を探索する目的地探索手段とを備えたことを特徴とする請求項1ないし11の何れかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項1】
地図情報に基づいて経路探索を行う経路探索手段と、その探索結果を表示する表示手段とを備えたカーナビゲーション装置において、
指定時間を入力する入力手段と、
基準位置を起点として基準時刻から前記指定時間内に到達可能な範囲を探索する到達範囲探索手段と、
前記到達可能範囲内の各地点に対し所定の基準に基づいた状態情報を付与する状態情報付与手段と、
前記表示手段に前記到達可能範囲内の各地点を対象として前記状態情報に基づいた識別表示を行う表示制御手段とを備えたことを特徴とするカーナビゲーション装置。
【請求項2】
前記状態情報付与手段は、前記基準位置を起点として前記基準時刻から前記到達可能範囲内の各地点に到達するのに要する往路移動時間を求め、その往路移動時間を当該各地点の状態情報とすることを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーション装置。
【請求項3】
前記状態情報付与手段は、前記基準位置を起点として前記基準時刻から前記到達可能範囲内の各地点に到達するのに要する往路移動時間を求め、その往路移動時間を前記基準時刻に加算して得た往路移動到達時刻を当該各地点の状態情報とすることを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーション装置。
【請求項4】
前記状態情報付与手段は、前記基準位置を起点として前記基準時刻から前記到達可能範囲内の各地点に到達するのに要する往路移動時間を求め、その往路移動時間を前記指定時間から減算して得た滞在可能時間を当該各地点の状態情報とすることを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーション装置。
【請求項5】
前記入力手段は、帰着時刻を入力可能に構成され、
前記状態情報付与手段は、前記到達可能範囲内の各地点を起点として前記帰着時刻に前記基準位置に到達するのに要する復路移動時間を求め、その復路移動時間を当該各地点の状態情報とすることを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーション装置。
【請求項6】
前記入力手段は、帰着時刻を入力可能に構成され、
前記状態情報付与手段は、前記到達可能範囲内の各地点を起点として前記帰着時刻に前記基準位置に到達するのに要する復路移動時間を求め、その復路移動時間を前記帰着時刻から減算して得た復路移動到達時刻を当該各地点の状態情報とすることを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーション装置。
【請求項7】
前記入力手段は、帰着時刻を入力可能に構成され、
前記状態情報付与手段は、前記到達可能範囲内の各地点を起点として前記帰着時刻に前記基準位置に到達するのに要する復路移動時間を求め、前記基準時刻から前記帰着時刻までの時間から前記往路移動時間と前記復路移動時間を減算することにより前記滞在可能時間を得ることを特徴とする請求項4記載のカーナビゲーション装置。
【請求項8】
前記状態情報付与手段は、前記各地点の状態情報である各時間または各時刻における当該各地点の気象を前記状態情報とすることを特徴とする請求項2ないし7の何れかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項9】
前記状態情報付与手段は、前記基準時刻から前記指定時間が経過した時刻における前記到達可能範囲内の各地点の気象を前記状態情報とすることを特徴とする請求項1記載のカーナビゲーション装置。
【請求項10】
前記表示制御手段は、前記表示手段に地図を表示し、その表示した地図における前記到達可能範囲内の各地点を前記状態情報に応じた階調、色、点滅状態、強調表示等により識別表示することを特徴とする請求項1ないし9の何れかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項11】
前記表示制御手段は、前記基準位置と特定地点との間の移動期間および当該特定地点での滞在期間を対象として、その時々に位置している地点における前記状態情報をタイムチャートの形式で識別表示することを特徴とする請求項1ないし9の何れかに記載のカーナビゲーション装置。
【請求項12】
目的地検索条件を入力する検索条件入力手段と、
前記基準位置を起点として前記基準時刻から前記指定時間内に到達可能な地点であって且つ当該各地点における前記状態情報が前記目的地検索条件に合致する目的地を探索する目的地探索手段とを備えたことを特徴とする請求項1ないし11の何れかに記載のカーナビゲーション装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2007−163349(P2007−163349A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−361731(P2005−361731)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により図面の一部または全部を不掲載とする。
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により図面の一部または全部を不掲載とする。
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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