説明

ギアシフトの間にエンジントルクを制御する方法

【課題】最も円滑なギアシフトを実現にするために、変速装置と連動する必要条件が、ドライバによって課せられる必要条件に優先することを可能にすること。
【解決手段】自動式ギア比シフトを有するギヤボックスを備えている自動車に関し、コントロールユニット20が、アクセルペダル24から来るトルク要求情報を基礎としてエンジン運転モード10を制御し、そして、エンジン制御は、ギアボックス16のコントロールユニット22によって伝達されるデータを基礎として修正されることが可能である。自動車の特定の作動位相に対して、ギアボックス16コントロールユニット22は、コントロールユニット20が従属されるエンジン制御コマンドを置き換えるトルク要求情報の作動を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全自動式変速装置のギアシフトを操縦する改良された手段を備える自動車に関する。
【0002】
本発明は、特に、全自動式変速装置を備える自動車に関し、変速装置コントロールユニットとエンジン操縦ユニットを備えるタイプであり、その操縦ユニットが、スロットルペダルで、ドライバからのトルク要求を表わす情報を受けるタイプであり、その情報を基礎として、エンジンの作動を制御することが可能であり、そのエンジンが、変速装置コントロールユニットに情報を供給することが可能なタイプであり、そして、そのエンジン操縦が、変速装置コントロールユニットによって、そのエンジン操縦ユニットに伝達される情報の関数として修正されることが可能なタイプである全自動式変速装置を備える自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
段付比を有する変速装置は、摩擦クラッチを媒介してエンジンに連結され、そして、ドライバ自身が、ギアシフトレバーを介してその比を選択して、それに係合する全機械的変速装置を備える自動車において、これらのギアシフトが完全に円滑に生ずるために、できるだけうまくギアシフトするように操縦するのはドライバである。
【0004】
それを行うために、ドライバは、一方で、スロットルペダルを使用して、エンジン速度を制御し、他方では、クラッチペダルのドライバの作動によって、クラッチの連続的な解除と係合を制御する。
【0005】
自動式変速装置は、現在まで多年にわたり現存している。このカテゴリーは、特に、様々な遊星ギアセットが、予め定められた段付比を画定する従来の自動式変速装置を含み、この段付比は、1つあるいは複数の遊星ギアセットの特定の構成部品を選択的に動かなくする様々なブレーキあるいはクラッチを始動することよって選択され、変速装置の出力シャフトと入力シャフトとの間のギア比を決定する。
【0006】
別のタイプの自動式変速装置は、確実動作係合機構を有する従来の機械的変速装置から構成され、その変速装置において、その比は、レバーによって、ドライバによって直接だけでなく、現在は、コントロールユニットによって操縦されるアクチュエータを使用して、選択されて、係合される。これらのアクチュエータは、ドライバの明確な命令だけで作動することが可能であり、この場合、ドライバは、ギアシフトのタイミングの間、完全に制御を維持することが可能であり、あるいは、他方では、ギアシフトすることが、従来の自動式変速装置のギアシフトモーメントを決定するのに使用されるものと類似するパラメータの関数として、コントロールユニットの制御のもとに自動的に行われることが可能である。
【0007】
このような変速装置は、半自動式変速装置として本文の下記の部分において分かるであろう。
【0008】
ついでながら、本発明の特定の態様は、ベルト駆動の連続的可変変速装置などの段付比を備えていない変速装置にも適用されることが分かるであろう。
【0009】
特に、全自動式変速装置の場合、ギアシフト位相の間の極めて良好な制御が、自動車の運転しやすさと乗客の乗り心地の良さとに最も重要なことであることが明らかになってきた。このような運転しやすさおよび乗り心地の良さは、ギアシフトの間に生ずるような円滑さが欠けていることを完全に除去することによって得られることが可能である。ここでは、特に、従来の自動式変速装置において、また半自動式変速装置において、ギアシフトの間に、エンジンの原動力が自動車のホイールに伝動されることによって、摩擦部材を連結し、そして分離することが必要である。これらの摩擦カップリングの解除および係合は、2つの要素が互いにスリップする位相であるので、完全に制御することが難しい一時的な位相であると想定する。
【0010】
これらの問題点は、このような場合、ドライバが、一般に、スロットペダルを押し続け、ギアシフトが生じ、エンジンが比較的高いトルクを出力するという結果を生じるので、ギアシフトのタイミングを決定するのがドライバでないときに、特に、悪化させることになる。
【0011】
この欠点を解消するために、ドライバによって要求されるトルクの部分だけを供給するように、たとえば、固定パーセンテージによってこの要求を減少することによって、エンジンが、ギヤシフトの間に操縦されることを考案することは、既に周知の実施である。
【0012】
この解決法は、しかし、すべての場合に、特に、ギアシフトの間、ドライバによって表示されるトルク要求が幅広く変化する場合、完全に満足する結果を得ることができない。
【発明の概要】
【0013】
したがって、本発明の目的は、最も円滑にすることが可能なギアシフトにおいて最高状態にするために、変速装置と連動する必要条件が、ドライバによって課せられる必要条件に優先することが可能である新規な自動車構造を提供することである。
【0014】
このために、本発明は、自動車の作動の特定位相に対して、変速装置コントロールユニットが、トルク要求情報の作動を禁止し、そのために、操縦ユニットが従属するエンジン操縦コマンドを置き換えることを特徴とする以前に記述されるタイプの自動車を提案している。
【0015】
本発明の別の特徴によれば、 −旧ギア比から低い新ギア比にシフトするとき、変速装置コントロールユニットは、エンジン操縦ユニットに操縦コマンドを伝達し、それによって、エンジンが、所定の速度変化曲線の結果となるように操縦される;
−変速装置比は、摩擦カップリングが解除されるか、あるいは係合されるかどうかによって決定され、変速装置は、流体トルクコンバータによってエンジンに連結され、そして、旧ギア比から低い新ギア比にシフトするとき、変速装置コントロールユニットが、エンジン操縦ユニットに操縦コマンドを伝達し、それによって、エンジンが、変速装置の入力シャフトが、所定の速度変化曲線に結果としてなるように操縦される;
−変速装置比は、摩擦カップリングが解除されるか、あるいは係合されるかどうかによって決定され、変速装置は、流体トルクコンバータによってエンジンに連結され、旧ギア比から高い新ギア比にシフトするとき、変速装置コントロールユニットは、新しい比が係合したことが検知される工程の間に、エンジン操縦ユニットに操縦コマンドを伝達し、それによって、エンジンは、それが係合検知トルクを供給するように操縦される;
−変速装置の入力シフトの回転速度における低下の開始が測定されるとき、係合が検知される;
−係合検知トルクは、一定トルクである;
−旧ギア比から高い新ギア比にシフトするとき、変速装置コントロールユニットは、エンジン速度減速過程の間に、エンジン操縦ユニットに操縦コマンドを伝達し、それによって、エンジンは、エンジン速度減速トルクを供給するように操縦される;
−エンジン速度減速トルクは、コントロールユニットによって決定されて、エンジン速度減速過程の期間は、予め定められた期間にほぼ等しい;
−エンジン速度減速過程は、新しい比の係合が検知されるときに始まる;
−エンジン速度減速トルクの値は、エンジン速度減速過程の間、一定な値である;
−エンジン速度減速トルクの値は、ドライバによって要求されるトルクの関数として、エンジン速度減速過程の間に変化する値である;
−エンジン速度減速トルクの値は、ドライバによって要求されるトルクのレベルによる値である;
−変速装置コントロールユニットが、スロットルペダルによって供給されるトルク要求情報を受けて、トルク要求情報が、コントロールユニットによって、最大トルク値と比べられ、そして、トルク要求が、予め定められた期間、最大トルク値より高いとき、変速装置コントロールユニットが、エンジン操縦ユニットに操縦コマンドを伝達し、それによって、エンジンが、最大トルク値に等しいトルクを供給するように操縦される;
−変速装置コントロールユニットは、スロットルペダルによって供給されるトルク要求情報を受けて、トルク要求情報が、コントロールユニットによって、最大トルク値と比べられ、そして、トルク要求が、最大トルク値より高いとき、変速装置コントロールユニットが、エンジン操縦ユニットに操縦コマンドを伝達し、それによって、エンジンが、トルクのための要求を突然増加する場合を除いて、最大トルク値に等しいトルクを供給するように操縦される;
−トルクのための要求における突然の増加の場合、トルク要求が、最大トルク値より高くなる間に、変速装置コントロールユニットは、エンジン操縦ユニットに操縦コマンドを伝達し、それによって、エンジンが、最大トルク値より高いトルクを供給するように操縦され、そして、予め定められた期間後、トルク要求が、最大トルク値より高い場合、変速装置コントロールユニットは、エンジン操縦ユニットに新しい操縦コマンドを伝達し、それによって、エンジンが、最大トルク値に等しいトルクを供給するように操縦される;
−最大トルク値は、自動車動力伝達系路の部分を介して伝達されることが可能な最大許容トルクに対応する;
−変速装置は、ロックアップタイプの流体トルクコンバータによってエンジンに連結され、そして、コンバータが、ロックアップするとき、変速装置コントロールユニットは、エンジン操縦ユニットに操縦コマンドを送り、それによって、それは、最大ロックアップトルクより高いトルクを出力することができない;
−変速装置の比は、摩擦カップリングが、解除されるか、あるいは係合されるかどうかによって決定され、そして、比が係合されるとき、変速装置コントロールユニットは、エンジン操縦ユニットに操縦コマンドを送り、それによって、最大係合トルクより高いトルクを出力することができない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】自動車の動力伝達系路の様々な構成部品と、エンジンと変速装置をそれぞれに操縦して、制御するユニットとを示している概略図である。
【図2】本発明の教示による自動車において、低い比から高い比にシフトアップするとき、時間の関数として、ドライバによって要求されるトルクと、エンジンとエンジンの回転速度とによって供給されるトルクとを示す図である。
【図3】高い比から低い比にシフトするとき、すなわち、シフトダウンするときの図2に類似する図である。
【図4】コントロールユニットが、変速装置と連動するパラメータの関数として、エンジンによって供給されるトルクを制限することが可能な変速装置の場合、時間の関数として、エンジントルクを示す図である。
【図5】本発明により、エンジンが自動車に供給されるトルクセットポイント決定するプロセスにおける手順を示すフロー図である。
【図6】コントロールユニットが、変速装置と連動するパラメータの関数として、エンジンによって供給されるトルクを制限することが可能な変速装置の場合、時間の関数として、エンジントルクを示す図である。
【発明を実施するための態様】
【0017】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照として理解するために、続く詳細な説明を読むと明らかになるであろう。
【0018】
図1は、自動車の動力伝達系路の一部を示している。この動力伝達系路は、特に、エンジン10と、連結部材18を介して、変速装置16の入力シャフト14の回転を駆動する出力シャフト12とを備えている。変速装置の出力シャフト17は、可能な場合、デファレンシャルなどの様々な動力伝達系路構成部品(図示せず)を介して、自動車の駆動ホイールの回転を駆動することが可能である。
【0019】
エンジン10は、燃焼エンジン、電気モータ、ハイブリッドエンジン、タービンなどである。
【0020】
変速装置16は、全自動式変速装置である。一般に、これは、従来の遊星変速装置、あるいは半自動式変速装置などの段付比を有する変速装置である。
【0021】
しかし、本発明の特定の態様は、ベルトとプーリによる変速装置などの連続可変式変速装置の場合に適用されることが可能である。
【0022】
変速装置16が、従来の自動式変速装置であるとき、連結部材18は、通常、流体トルクコンバータである。
【0023】
変速装置16が、半自動式変速装置であるとき、連結部材18は、一般に、摩擦クラッチである。
【0024】
図1に示されるように、エンジン10は、操縦ユニット20によって操縦され、そして、変速装置16は、コントロールユニット22を備えている。従来の方法では、自動車のドライバは、自動車を加速あるいは減速させる目的で、あるいは自動車を比較的一定の速度に維持する目的で、エンジンに特定のトルクを供給させるように、ドライバがエンジン10を制御するために作動するスロットルペダル24などのインタフェース部材を有している。
【0025】
好ましくは、本発明を実施するために、スロットルペダル24によって供給されるトルク要求情報は、完全な機械的形式の情報よりむしろ電気的形式の情報である。そのために、スロットルペダル24は、ペダルの角度位置の関数として、電気トルク要求信号をエンジン10のコントロールユニット20に送る位置検出器(図示せず)に連結されている。ドライバからのトルク要求の関数として、操縦ユニット20は、エンジン10がこのトルク要求にできるだけぴったり一致するトルクを供給するように、エンジン10を作動する。簡素化の目的のために、本明細書の残りの部分では、エンジン10が、それに与えられるセットポイントに厳密に従うことと、エンジン10が期待されるトルクを出力することとが考慮されている。
【0026】
特に、エンジン10が、燃焼エンジンである場合、操縦ユニット20は、自動車化されたバタフライ形式入口バルブを介してエンジンに収容される空気の量と、噴射装置を媒介して注入される燃料の量と、燃料噴射タイミングを作動することが可能である。
【0027】
いうまでもなく、それがスロットルペダル24から受けるトルク要求情報に加えて、エンジン操縦ユニット20は、自動車の他の構成部品から、エンジン速度Nm、水および/またはオイルの温度、外部温度などの他の情報を受けることが可能である。同様に、変速装置コントロールユニット22は、自動車の様々な部材から、特に、変速装置16の入力シャフト14の回転速度Ne、自動車の速度V、あるいはまた自動車のブレーキ信号の起動のバイナリ信号に関する情報を受ける。
【0028】
しかし、本発明の教示によれば、エンジン10の操縦ユニット20および変速装置16のコントロールユニット22は、この2つのユニットが情報を交換することによって、連絡手段26により互いに連結されている。特に、エンジン操縦ユニット20は、エンジンによって供給される実際のトルクと、ドライバによって要求されるトルクとに関する情報を変速装置コントロールユニット22に伝達することができる。
【0029】
反対方向において、本発明によれば、変速装置16のコントロールユニット22は、特に、たとえば、操縦コマンドがエンジン10の操縦ユニット20に課されることが可能なトルクセットポイントなどのエンジン操縦コマンドをエンジン10の操縦ユニット20に伝達することができる。
【0030】
図2は、ドライバによって要求されるトルクCcと、変速装置16によるギアシフトの間、特に、シフトアップの間、すなわち、たとえば、第1のギアから第2のギアに、第2のギアから第3のギアなどにシフトするとき、時間の関数として、変速装置16の入力シャフト14のエンジントルクCmと回転速度Neを示す図を示している。
【0031】
このギアシフトにおける様々な段階を記述するために、遊星ギアセットを有する従来の形式の自動式変速装置の場合について考慮されている。この形式の変速装置において、ギアシフトは、旧ギア比と連動する摩擦カップリング部材を解除ことによって、次に、新ギア比に対応する摩擦カップリング装置の係合をコマンドすることによって行われる。
【0032】
これらのカップリング部材の制御は、一般に、流体形式であるが、ギアシフト操作の実行における主たる困難性の1つは、新ギア比と連動する1つあるいは複数のカップリング部材が、「係合」を始める、すなわち、有効なトルクを伝達し始める前方の瞬間を決定することである。
【0033】
この係合を検知する1つの手段は、変速装置の入力シャフト14の回転速度Neを監視することである。生ずることは、高いギア比が係合を始めるときに、変速装置の入力シャフト14が、その変速装置16の端部で、連結部材18によって、それに供給される駆動トルクに対してそれにブレーキをかけるのが普通である抵抗トルクを認識することである。
【0034】
このように、変速装置の入力シャフト14の回転速度Neは、エンジン10によってそれに供給される駆動トルクと、変速装置16の出力シャフト17によってそれに課される抵抗トルクとに連動し、係合されるギア比のデマルチプリケーション係数によって増加されることが分かる。
【0035】
新ギア比が係合する度合いは、その結果、入力シャフト14に実際に印加されるホイールの抵抗トルクのパーセンテージに関連する。
【0036】
入力シャフト14の速度における変化は、その結果として、この係合度合いにおける変化を表わしている。
【0037】
しかし、係合度合いの確かな表示を供給するための入力シャフト14の速度における変化のため、連結部材18によってシャフト14に供給される駆動トルクは、ギアシャフト操作の間著しく変化してはいけない。
【0038】
さて、今まで周知の自動車において、ドライバは、すべてのモーメントで、ドライバがエンジン10に課するトルク要求を修正する可能性を持続している。このため、ギアシフトの間、ドライバが、トルク要求を著しく変化する場合、これは、入力シャフト14に供給される駆動トルクにおいてかなりの変化を結果として生じ、新ギア比の係合の検知を妨害し、その結果として、トルクがギアシフトにおいて円滑に伝達されなくなる。
【0039】
このため、本発明によれば、変速装置16のコントロールユニット22は、係合検知位相の間にそれが係合トルクCdaとして周知の決定トルクを供給するように、エンジンを操縦するために、エンジン10の操縦ユニット20に命令する。この係合トルクは、図2に示されるように、一定か、あるいは可変かである。2つの場合において、それは、エンジンの初期回転速度、ドライバの駆動スタイルなどのパラメータの関数として決定されることが好ましい。
【0040】
図2に示されているように、変速装置16のコントロールユニット22は、瞬間t0で、ギアを低いギアから高いギアにシフトする必要を決定する。この決定は、自動車の速度と連動し、ドライバによって要求されるトルクCcと連動するパラメータの関数として、そしてドライバの駆動スタイルの関数として従来の方法で行われる。
【0041】
この瞬間t0から、コントロールユニット16は、ギアシフトプロセスを始め、それによって、それは、旧ギア比と連動する摩擦カップリング手段を事前に解除し、次に、新ギア比と連動する摩擦カップリング手段に係合する。しかし、ギアをシフトするための決定の瞬間t0直後、変速装置16のコントロールユニット22は、前方の瞬間t1から、操縦ユニット20に、一定の係合検知トルクCdaを供給するように、エンジン10を制御する必要を課し、このトルクは、スロットルペダル24を介してドライバによって要求されるトルクCcと異なる可能性がある。この係合検知過程の間、ドライバは、その結果、エンジンのトルク制御に何ら影響を及ぼさない。
【0042】
このように、係合検知過程の間エンジントルクCmを一定に保つことによって、この係合は、入力シャフト14の回転速度Neを分析することによる簡単に絶対に確かな方法で検知されることが可能である。したがって、図2に示されるように、瞬間t2で、入力シャフト14の回転速度は、加速を中止し、減速を始めることが分かる。回転速度Neの時間の関数としての微分係数は、瞬間t2でゼロに達し、それから負数になる。この微分係数がゼロになるそのときに、コントロールユニット22は、新ギア比が係合始めたことをこれから導き出すことが可能である。
【0043】
しかし、瞬間t2で、古い比と連動する摩擦カップリング手段の完全な解除がコマンドされ、そして、新ギア比と連動する摩擦カップリングの全体の係合は持続する。ギアシフトは、実際には、変速装置16の入力シャフト14の回転速度Neが、新ギア比のための動力伝達系路のデマルチプリケーション係数によって増加される自動車の速度と等しい速度に達する瞬間t4まで終了しない。この回転速度を決定するために、速度のために、新しい比と連動するカップリング手段で何らスリップがなく、必要とされる認識は、自動車の移動速度の認識である。
【0044】
本発明の第2の態様によれば、新しい比が係合したことを検知する位相後、変速装置16のコントロールユニット22は、エンジン速度が減速する過程の間、操縦コマンドを操縦ユニット20に課し続け、それによって、エンジンは、ドライバによって要求されるトルクCcと異なるトルクを出力する必要がある。
【0045】
図2の実施形態において、コントロールユニット22は、このように、瞬間t2の後、ドライバによって要求されるトルクのものと異なる変化曲線に従うエンジン速度減速トルクCsを決定する。このトルクCsは、エンジン速度減速過程の期間が、特定数のパラメータの関数として最適な期間に等しいように、コントロールユニット22によって決定される。したがって、トルクCsは、特に、係合時での入力シャフトの回転速度の関数として、またドライバの駆動スタイル関数として、あるいはドライバによって要求されるトルクの関数として決定されることができる。
【0046】
実際において、新ギア比の係合のスタートでの瞬間t2と、上記に画定されるような同期の瞬間t4との間の時間を通じて、スリップが、新ギア比に対応するカップリング手段で生じ、そして、これにより、エンジンによって供給される動力すべてが伝達されることを防止する。
【0047】
生ずることは、変速装置16の出力シャフト17の回転速度が、ギアシフトの間ずっと、ほぼ一定であることであるが、旧ギア比と新ギア比との間のデマルチプリケーションにおける相違のため、エンジン10の速度Nmに近似する入力シャフト16の速度Neは、高い値から低い値に減速することになる。
【0048】
周知の方法において、この減速時間が長ければ長いほど、その比が、急激に動くことなく、「円滑に」係合すると考慮されていることが多い。しかし、このエンジン速度減速工程の間ずっと、ドライバは、自動車の移動に影響を及ぼすことはできず、そして、その期間が増加する場合、これは、ドライバをいらいらさせる恐れがある。さらに、それは、摩擦カップリング手段でエネルギーをかなり消費し、結局、時期尚早の動力伝達系路を摩耗することになる。
【0049】
このため、自動車の移動速度、ドライバの駆動スタイル、ギアシフトが瞬間t0で始められる初期エンジン速度などのパラメータの関数として、そして、さらに、ギアシフトに関係するその比の関数として、あるいは、ドライバによって要求されるトルクの関数として、このエンジン速度減速過程は、長さにおいて変化することが有益であることが分かる。このため、より高い値で、あるいはより低い値で、より高い値、あるいはより低い値にエンジン速度減速トルクレベルCsを固定することによって、エンジン速度減速過程の期間が、より長いか、あるいはより短いかである。
【0050】
図2の例示的な実施形態において、トルクCsにおける変化が、時間の関数として減少する線形関数によって表わされているが、変化の他の形式が採用されてよい。一定のエンジン速度減速トルクCsを選択することが可能であり、この定数の値は、適切には、初期に示されるパラメータによる。
【0051】
とにかく、エンジン速度減速トルクCsは、一般に低く、入力シャフト14の速度において比較的急速な減速を可能とする そのゆえ、図2に示される瞬間t2と瞬間t3とに分離する同期化過程の期間のその部分の間ずっと、エンジン10が供給するトルクを決定するのは、変速装置16のコントロールユニット22である。
【0052】
前方の瞬間t3から、変速装置16のコントロールユニット22は、ドライバによって表示されるトルク要求Ccに近い実際のエンジントルクCmをもたらすように、エンジン制御における逐次の変化を生ずる。好ましくは、2つの値は、もう一度、同期化の瞬間t4が達成されるとすぐに等しくなる。
【0053】
本発明の第2の態様、すなわち、エンジン速度減速トルクに課するコントロールユニット22は、従来の自動式変速装置の場合と、半自動式変速装置の場合との両方に大いに有益であることは注目される。
【0054】
図3は、時間の関数として、シフトダウンの間の、すなわち、たとえば、第2のギアから第1のギアにシフトするときのエンジントルクCmとエンジンの回転速度Nmとを示す図を示している。シフトダウンするとして周知であるギアシフトのこのタイプにおいて、シフトとは、旧ギア比から新ギア比へであり、エンジン速度および変速装置入力速度が、ギアシフトの開始でよりもシフトの終りでより高くなるようなものであることは周知である。
【0055】
また、このようなシフトダウンの間、エンジンが変速装置と連結されない間の位相がある。この位相の間、エンジンの回転速度は、その結果、いうまでもなく、スロットルペダルの位置を含み、さらに、自動車における装置の様々な部材(空調、同期発電機など)によって低下される動力を含む非常に多くのパラメータの関数として変化することが可能である。その結果、エンジン回転速度における変化は、シフトダウンその時その時で広範囲に異なる値を採用してよい。
【0056】
また、エンジンの回転速度が、自動車の移動速度と連動し、また係合される新ギア比のデマルチプリケーション比と連動する理論上の速度と大いに異なる場合、ギアシフトの終りは、必然的に円滑とならない。
【0057】
このため、本発明の教示によれば、シフトダウンするとき、変速装置16のコントロールユニット22は、操縦ユニット20に操縦コマンドを送り、それによって、エンジンが、スロットルペダル24へのドライバの作動とは無関係に、決定された速度に達するように操縦される。
【0058】
図3は、ギアシフトを開始する瞬間tiでの、そしてギアシフトを終了する瞬間tfでのエンジンの回転の速度Ni、Nfをそれぞれに示し、2つの連続的なギア比のために、自動車は、同一速度をほぼ維持する。瞬間ti、tfは、シフトを行う最適な時間に対応する時間の周期ΔTによって分離される。その方法において、ギアシフトの終りで、エンジンが理論上の回転速度Nfに達するように、ギアシフトの始まりと終りとの間のエンジンの回転速度における変化の理論上曲線を構想することが可能である。示されている例示において、この理論上の曲線は、簡単な直線セグメントによって表わされている。
【0059】
図3は、さらに、ドライバによって表示されるトルク要求Ccと、エンジンによって供給される実際のトルクCmと、エンジン10の実際の回転速度Nmにおける変化の曲線とを示している。
【0060】
本発明の教示によれば、シフトダウンの間、エンジンは、ドライバによって表示されるトルク要求Ccに等しいトルクCmをそれに供給させるではなく、エンジン10が、エンジン速度の理論上の変化曲線にできるだけ近似して従うことを可能とするトルクCmを供給させるように制御される。エンジン10は、次に、速度制御されるように命令される。
【0061】
このため、瞬間tiと瞬間tnとの間で、エンジン10の回転速度は、エンジンの回転速度を加速するように、エンジントルクCmが増加方向に調節される結果を生ずる理論上曲線以下であることが分かる。一方で、瞬間tnを過ぎると、エンジンの回転速度は、この理論上の曲線より高くなる。したがって、トルクCmは、その結果、回転速度Nmにおける加速を減速させるように減速方向に調節される。エンジントルクは、たとえば、PID形式の従来の調節器を使用してエンジンの回転速度Nmの関数として調節されるが、これは、さらに、ファジー理論で作動する調節器、あるいは何か他の調節器を使用して達成されることができる。
【0062】
従来の自動式変速装置のコンテキストにおいて、変速装置16の入力シャフト14は、ギアシフトの間でさえ、エンジンによって連続的に駆動される。したがって、この場合、エンジンがエンジンシャフト12の回転速度を制御するような方法だけではなく、入力シャフト16の回転速度Neを制御するように直接制御されることは有益である。
【0063】
このエンジン制御方法によって、ギアシフトの終りは、円滑を確実にするために理想的であるエンジン回転速度を明確示している。
【0064】
図4は、過度で、そして動力伝達系路を損傷しがちなトルクを動力伝達系路に課するのを回避することを可能にする本発明の別の特徴を示している。
【0065】
生ずることは、時には、経済的な理由のために、互いに完全にマッチされないエンジンおよび動力伝達系路(変速装置、デファレンシャルなど)が、自動車に取り付けられ、エンジンは、動力伝達系路が耐えることが可能な動力とトルクとを超える動力とトルクとを出力することが可能なことである。
【0066】
このため、変速装置16のコントロールユニット22が、エンジンを操縦するためのコマンドをエンジン10の操縦ユニット20に課することが可能な自動車のコンテキストにおいて、コントロールユニット22が、動力伝達系路へのあらゆる損傷を防止するように、エンジンによって供給されるトルクを制限することを可能とすることができることは利点となる。
【0067】
だから、図4に示される実施形態において、自動車のエンジン10は、動力伝達系路によって耐えられることができるトルクCMAXtより高い最大トルクを出力することができることが分かる。このため、本発明の第1の態様によれば、変速装置16のコントロールユニット22は、エンジン10がしきい値CMAXtより高いトルクCmを出力することを防止することができるようになっている。
【0068】
その方法において、図4における瞬間t0と瞬間t1との間に見ることができるように、ドライバが、このしきい値より高いトルクを要求する場合でさえ、コントロールユニット22は、エンジン10がしきい値より高いトルク値を供給することを防止する。
【0069】
しかし、本発明の1つの特別の態様によれば、変速装置16のコントロールユニット22は、限られた長さの時間を別にすれば、そして、それがドライバからの一時的な要求に対応するとすれば、エンジンがしきい値CMAXtより高いトルクを供給することを可能とするようになっている。
【0070】
このように、図4の第2の部分に示されるように、ドライバが、たとえば、急激にスロットルペダルを押すことによって、トルクのための緊急な要求を表示する場合だけ、しきい値CMAXtを超えることを許可するように選択することが可能である。ペダルが押される割合は、図4のグラフにおいて、ドライバによって要求されるトルクCcを示す曲線の急勾配の、あるいは浅い傾斜を結果として生ずる。この状態は、一時的な運動にはよくあることである。
【0071】
この場合、エンジン10が、時間の特定周期の間、ドライバの要求Ccに従って動力のすべてを出力することを可能とするか、あるいは図4に示されるように、値CMAXtより高い第2のしきい値で、エンジンによって供給されるこの過剰トルクの上限を定めるかのいずれかを選択することが可能である。いずれにしろ、この追加のトルクは、たとえば、時間t2、t3(図4における)の周期によって示される時間の特定周期を除いては、エンジンによって出力されることができないようになっている。瞬間t3を過ぎると、ドライバが、しきい値CMAXtより高いトルクを与え続ける場合でさえ、エンジンによって供給されるトルク値Cmは、瞬間t3と瞬間t4との間に漸進的に戻るように、しきい値CMAXtに調節される。
【0072】
その結果、瞬間t5の後、ドライバによって行われるトルク要求が、しきい値以下に低下するとき、エンジントルクは、しきい値CMAXtに保持される。瞬間t5を過ぎると、供給されるエンジントルクCmは、もう一度、ドライバによって要求されるトルクCcに等しい。
【0073】
本発明のこの配列は、エンジンが過大に見積もられすぎる場合でさえ、機械的に動力伝達系路全体を保持することが可能とし、同時に、特定の状況のもとに、ドライバが、追加のトルクと動力とを受けることを、たとえば、一時的な運動を行うことを可能とする。
【0074】
トルクを制限するこの関数は、3つの異なる態様を有していることは注目されることである。第1の態様において、エンジントルクは、動力伝達系路の強さの関数として制限される。第2の態様において、この制限は、追加のトルクが認可される特定な特別の状況のもとに取り除かれる。第3の態様において、この追加のトルクが認可される期間が制限される。
【0075】
上述されたばかりの本発明の実施形態によれば、これら3つの態様は、組み合わさられる。しかし、これらの態様の2つだけを組合すように選択することが可能である。
【0076】
このように、たとえば、1つは、追加のトルクが、制限されるこの追加のトルクの期間を別にすれば、ペダルが押される割合に関係なく認可されるべく構想するように選択する。同様に、1つは、追加のトルクの期間について制限を実施するだけでなく、特定な特別の状況のもとにだけこの追加のトルクを可能とするように構想している。
【0077】
とにかく、追加のトルクのための認可は、たとえば、自動車が所定の速度範囲にあるという事実に従属される。同様に、この追加のトルクの値およびこの追加のトルクの期間は、ドライバの駆動スタイル、変速装置のオイル温度、動力伝達系路のエージ、道路の勾配、スロットルが押し下げられる割合などのパラメータの関数として決定されることは好ましい。
【0078】
変速装置16のコントロールユニット22がエンジントルクを制限するこの能力は、あらゆる形式の変速装置のために実施されることが可能であることは注目されることである。
【0079】
さらに、本発明の別の態様によれば、変速装置16のコントロールユニット22は、エンジン10によって供給されるようなエンジントルクを制限するために行われることが可能である。
【0080】
このように、従来の自動式変速装置を有する大部分の自動車は、さらに、エンジン10と変速装置16との間に挿入される流体トルクコンバータを有することは周知である。このコンバータ18は、入力ホイールと出力ホイールとの間の負荷のもとに生ずるスリップのために動力損失をうけやすい。これらの損失を回避するために、ロックアップ装置は、時には設けられ、そして、スリップを防止するために、コンバータの2つのホイールを機械的に連結している。このロックアップ装置は、一般に、より高いギア比が係合されるときに実施される。本発明によれば、ロックアップ操作の間、エンジン10によって供給されるトルクを制限することは好ましい。この場合、その結果、変速装置16のコントロールユニット22は、エンジン操縦ユニットに操縦コマンドを送るようになっており、それによって、それは、最大ロックアップトルクより高いトルクを出力することができない。
【0081】
同様に、変速装置がニュートラルである、すなわち、入力と出力との間にトルクを伝達しない位置にあるとき、ギア比を係合するとき、エンジンによって供給されるトルクを制限することは好ましい。この場合、その比が係合されるとき、変速装置16のコントロールユニット22は、エンジン操縦ユニットに操縦コマンドを送り、それによって、それは、最大操縦トルクCeより高いトルクを出力することができない。
【0082】
図6は、さらに、瞬間teで始まる第1のギアの係合のシナリオを示している。曲線Cdは、トルクのためのドライバの要求を表わし、曲線Climは、変速装置16の操縦ユニット22によってエンジンに課されるトルクの最大制限を示している。実際にエンジン10によって出力されるトルクは、曲線Cmによって示されている。
【0083】
瞬間teで、エンジンに課される限定したトルクは、係合の間限度を超えてはいけないトルクに対応する値Ceに等しいことが分かる。このトルクの値は、たとえば、ギア比が、係合されるプロセス状態の関数として変化する。この限度は、たとえば、初期に示される値CMAXtに達するために、Climの値が線形傾斜を有してそれを超えて増加する予め定められた期間、変速装置16の操縦ユニット22によって維持される。したがって、瞬間te後の時間周期dtが経過するとき、その周期は、係合されるギア比の関数として変化する可能性があり、エンジンによって伝えられるトルクCmの値は、それがドライバによって行われるトルクCdのための要求のレベルに達するまで、Climの傾斜に従う。本発明のこの実施形態は、高トルクのもとにギア比を噛み合すとき、動力伝達系路への損傷を回避することを可能にする。
【0084】
図5は、簡素化された方法で、上述されたばかりの本発明の様々な態様が実施されることを可能とする様々な過程を示すフロー図を示している。
【0085】
図5のフロー図は、2つの部分に分けられ、左の部分は、エンジン10の操縦ユニット20によって実行される操作を示し、そして右側の部分は、変速装置16のコントロールユニット22によって実行される操作を示している。このフロー図は、変速装置16が従来の自動式変速装置である場合に適用する。
【0086】
過程Aにおいて、操縦ユニット20は、特に、スロットルペダル24から受けられる信号の関数として、そしてエンジンの回転速度Nmの関数として、さらに、アンチロックシステム、引張り制御システムなどの様々な自動車の電気制御装置によって送られ、かつ要求されたトルク値に影響を及ぼすトルクセットポイントの関数として、ドライバによって表示されるトルク要求Ccを決定する。
【0087】
同時に、過程B、Cにおいて、変速装置16のコントロールユニット22は、ほかの場合から周知の方法で、ギアシフトを行う必要があるかどうかを決定する。
【0088】
必要がない場合、変速装置16のコントロールユニット22は、処理操作を有する過程Dに進み、それによって、それは、図4を参照として記述されたことによるエンジンによって出力されるトルクを制限する。
【0089】
それを行うために、コントロールユニット22は、限度を超えられない最大トルクCMAXtについての情報を操縦ユニット20に伝達し、この最大トルクCMAXtは、動力伝達系路が絶えることが可能な最大トルクCMAXtと、さらに、特定の状況のもとでこのしきい値を超える可能性との両方を考慮に入れている。このセットポイントCMAXtは、過程Eにおいて、ドライバによって表示されるトルク要求Ccと比べられ、操縦ユニット10が、これら2つの値の小さい方だけを採用する。
【0090】
過程Cに戻ると、ギアシフトが過程Bにおいて決定される場合、別のテストが、次に、決定されたギアシフトがシフトダウンであるかどうかをチェックする過程Fにおいて実行されることが分かる。シフトダウンである場合、変速装置16のコントロールユニット22は、次に、過程Gに進み、図3を参照として記述されるエンジン速度制御方法F2により考案されるトルクセットポイントを考案する。
【0091】
過程Fにおいて、ギアシフトがシフトダウンでないことが決定されるとき、それは、したがって、シフトアップである。変速装置が従来の自動式変速装置である構想の場合、変速装置16のコントロールユニット22は、次に、過程Hに進み、図2を参照として記述される方法F3によってより高いギア比の係合を検知する。この検知が達成されると、過程Iにおいて、コントロールユニット22は、トルクによってエンジンを制御する方法F4を実施し、図2を参照として、上述のように、変速装置の入力シャフト14と出力シャフト17との間の同期のための所定の時間を得る。
【0092】
とにかく、過程Eにおいて、安定した状態で、ギアシフトのない状態で、そして過程H、I、Gの1つにおいて、ギアシフトの場合において、それぞれに考案されるトルクセットポイントCconsが、エンジンに出力されることが可能である。
【0093】
実質的に、段階Jにおいて見られるように、論理スイッチは、1つには、ギアシフトの間、コントロールユニットによって決定される情報Cconsを入力で受け、他方では、過程eで決定される情報、すなわち、値CcおよびCMAXtの小さい方を入力で受ける。
【0094】
論理スイッチは、ギアシフト状態の有無によって制御され、これら2つの信号のどちらが、実際にエンジンに出力されるかを決定する。このように、ギアシフトが進行中である場合、エンジンに伝達されるトルク情報は、常に、コントロールユニット22によって決定されるセットポイントCconsであると構想される。
【0095】
とにかく、操縦ユニットに伝達されるすべて他の可能な調整的な作動は、変速装置16のコントロールユニット22がエンジン10の操縦ユニットに操縦コマンドを送るとき禁止されるようになっていることが好ましい。ここでは、特に、エンジン、あるいはアンチロック装置などによって出力されるトルクに影響を及ぼす引張り制御装置について考慮している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全自動式変速装置を備える自動車であって、変速装置(16)のコントロールユニット(22)とエンジン(10)の操縦ユニット(20)を備えるタイプであり、前記操縦ユニット(20)が、スロットルペダル(24)で、ドライバからのトルク要求を表わす情報を受けるタイプであり、その情報を基礎として、前記エンジン(10)の作動を制御することが可能であり、前記エンジン操縦ユニット(20)が、前記変速装置(16)のコントロールユニット(22)に情報を供給することが可能なタイプであり、そして、前記エンジン操縦が、前記変速装置(16)のコントロールユニット(22)によって、前記エンジン(10)の操縦ユニット(20)に伝達される情報の関数として修正されることが可能なタイプであり、そして、前記自動車の作動の特定位相に対して、前記変速装置(16)のコントロールユニット(22)が、前記トルク要求情報の作動を禁止し、そのために、前記操縦ユニット(22)が従属するエンジン操縦コマンドを置き換えるタイプの全自動式変速装置を備える自動車であって、旧ギア比から低い新ギア比にシフトするとき、前記変速装置(16)のコントロールユニット(22)は、前記エンジン(10)の操縦ユニット(20)に操縦コマンドを伝達し、それによって、前記エンジン(10)が、所定の速度変化曲線の結果となるように操縦されることを特徴とする自動車。
【請求項2】
前記変速装置(16)比は、摩擦カップリングが解除されるか、あるいは係合されるかどうかによって決定されることと、前記変速装置(16)は、流体トルクコンバータ(18)によって前記エンジン(10)に連結されることと、そして、旧ギア比から低い新ギア比にシフトするとき、前記変速装置(16)のコントロールユニット(22)が、前記エンジン(10)の操縦ユニット(20)に操縦コマンドを伝達し、それによって、前記エンジン(10)は、前記変速装置(16)の入力シャフト(14)が、所定の速度変化曲線に結果としてなるように操縦されることとを特徴とする請求項1に記載の自動車。
【請求項3】
前記変速装置(16)比は、摩擦カップリングが解除されるか、あるいは係合されるかどうかによって決定されることと、前記変速装置(16)は、流体トルクコンバータ(18)によって前記エンジン(10)に連結されることと、旧ギア比から高い新ギア比にシフトするとき、前記変速装置(16)のコントロールユニット(22)は、前記新しい比が係合したことが検知される工程の間に、前記エンジン(10)の操縦ユニット(20)に操縦コマンドを伝達し、それによって、前記エンジンは、係合検知トルク(Cda)を供給するように操縦されることとを特徴とする請求項1または2記載の自動車。
【請求項4】
前記変速装置(16)の入力シフト(14)の前記回転速度(Ne)における低下の開始が測定されるとき、係合が検知されることを特徴とする請求項3記載の自動車。
【請求項5】
前記係合検知トルク(Cda)は、一定トルクであることを特徴とする請求項3または4に記載の自動車。
【請求項6】
前記エンジン速度減速トルクの値は、前記ドライバによって要求されるトルクの関数として、前記エンジン速度減速過程の間に変化する値であることを特徴とする請求項3または4に記載の自動車。
【請求項7】
旧ギア比から高い新ギア比にシフトするとき、前記変速装置(16)のコントロールユニット(22)は、エンジン速度減速過程の間に、前記エンジン(10)の操縦ユニット(20)に操縦コマンドを伝達し、それによって、前記エンジンは、エンジン速度減速トルク(Cs)を供給するように操縦されることを特徴とする先行請求項1〜6のいずれか1記載の自動車。
【請求項8】
前記エンジン速度減速トルク(Cs)は、前記コントロールユニット(22)によって決定されて、前記エンジン速度減速過程の期間は、予め定められた期間にほぼ等しいことを特徴とする請求項7記載の自動車。
【請求項9】
前記エンジン速度減速過程は、前記新しい比の係合が検知されるときに始まることを特徴とする、請求項3〜6のいずれか1と組み合わされる請求項7または8記載の自動車。
【請求項10】
前記エンジン速度減速トルク(Cs)の値は、前記エンジン速度減速過程の間、一定な値であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1記載の自動車。
【請求項11】
前記エンジン速度減速トルク(Cs)の値は、前記ドライバによって要求されるトルクのレベルによる値であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1記載の自動車。
【請求項12】
前記変速装置(16)のコントロールユニット(22)が、前記スロットルペダル(24)によって供給される前記トルク要求情報を受けることと、前記トルク要求情報が、前記コントロールユニットによって、最大トルク値(CMAXt)と比べられることと、そして、前記トルク要求が、予め定められた期間前記最大トルク値(CMZXt)より高いとき、前記変速装置(16)のコントロールユニット(22)が、前記エンジン(10)の操縦ユニット(20)に操縦コマンドを伝達し、それによって、前記エンジンが、前記最大トルク値(CMAXt)に等しいトルクを供給するように操縦されることとを特徴とする先行請求項1〜11のいずれか1記載の自動車。
【請求項13】
前記変速装置(16)のコントロールユニット(22)は、前記スロットルペダル(24)によって供給される前記トルク要求情報を受けることと、前記トルク要求情報が、前記コントロールユニット(22)によって、最大トルク値(CMAXt)と比べられることと、そして、前記トルク要求が、前記最大トルク値(CMAXt)より高いとき、前記変速装置(16)のコントロールユニット(22)が、前記エンジン(10)の操縦ユニット(20)に操縦コマンドを伝達し、それによって、前記エンジンが、トルク(Cc)のための要求が突然増加する場合を除いて、前記最大トルク値(CMAXt)に等しいトルクを供給するように操縦されることとを特徴とする先行請求項1〜12のいずれか1記載の自動車。
【請求項14】
トルク(Cc)のための要求における突然の増加の場合、前記トルク要求が、前記最大トルク値(CMAXt)より高くなる間に、前記変速装置(16)のコントロールユニット(22)は、前記エンジン(10)の操縦ユニット(20)に操縦コマンドを伝達し、それによって、前記エンジンが、前記最大トルク値(CMAXt)より高いトルクを供給するように操縦されることと、そして、予め定められた期間後、前記トルク要求が、前記最大トルク値(CMAXt)より高い場合、前記変速装置(16)のコントロールユニット(22)は、前記エンジン(10)の操縦ユニット(20)に新しい操縦コマンドを伝達し、それによって、前記エンジンが、前記最大トルク値(CMAXt)に等しいトルクを供給するように操縦されることとを特徴とする請求項12または13記載の自動車。
【請求項15】
前記最大トルク値(CMAXt)は、前記自動車動力伝達系路の部分を介して伝達されることが可能な最大許容トルクに対応することを特徴とする請求項12〜14のいずれか1記載の自動車。
【請求項16】
前記変速装置(16)は、前記ロックアップタイプの流体トルクコンバータ(18)によって前記エンジン(10)に連結されることと、そして、前記流体コンバータ(18)が、ロックアップするとき、前記変速装置(16)のコントロールユニット(22)は、前記エンジン操縦ユニットに操縦コマンドを送り、それによって、それは、最大ロックアップトルクより高いトルクを出力することができないこととを特徴とする先行請求項1〜15のいずれか1記載の自動車。
【請求項17】
前記変速装置(16)の比は、摩擦カップリングが、解除されるか、あるいは係合されるかどうかによって決定されることと、そして、比が係合されるとき、前記変速装置(16)のコントロールユニット(22)は、前記エンジン操縦ユニットに操縦コマンドを送り、それによって、最大係合トルクより高いトルクを出力することができないこととを特徴とする先行請求項1〜16のいずれか1記載の自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−159764(P2010−159764A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−23847(P2010−23847)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【分割の表示】特願2000−582255(P2000−582255)の分割
【原出願日】平成11年11月12日(1999.11.12)
【出願人】(398022615)ルノー (2)
【出願人】(591019302)オートモービル・プジョー (2)
【出願人】(591018741)
【氏名又は名称原語表記】AUTOMOBILES CITROEN
【Fターム(参考)】