クロッククリーンアップ位相ロックループ(PLL)
【解決手段】スプリアスを低減し受信機性能を向上し得るクロッククリーンアップ位相ロックループ(PLL)が述べられる。典型的な一設計では、集積回路はPLL及びアナログ/デジタルコンバータ(ADC)を含む。PLLは、フラクショナル分周比で生成され、突発的周波数ジャンプによるスプリアスを有する第1クロック信号を受信する。第1クロック信号は、集積回路外部のフラクショナルNの周波数シンセサイザによって生成され得る。PLLは、整数の分周比で、低減されたスプリアスを有する第2クロック信号を生成する。ADCは、第2クロック信号に基づいてアナログベースバンド信号をデジタル化してデジタルサンプルを供給する。集積回路は更に、低ノイズ増幅器(LNA)を有し、これは第1クロック信号をクリーンアップするPLLの使用により、集積回路の基板を介して結合するより小さいスプリアスを観測し得る。
【発明の詳細な説明】
【米国特許法第119条に基づく優先権の主張】
【0001】
この特許出願は、2008年10月8日に出願され“IN-BAND SPUR REDUCTION FOR SENSITIVE RECEIVER”と表題され、本願の譲受人に譲渡され、参照によって明示的に本明細書に組み込まれる仮出願番号61/103,893に対する優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は概して電子工学に関し、より具体的にはクリーン(clean)なクロック信号を生成するための回路に関する。
【背景技術】
【0003】
携帯電話のような無線装置は一般に、一つまたはそれ以上の受信機を含む。各受信機は、入力無線周波数(RF)信号を受信し、この入力RF信号を処理し(例えば増幅し、ダウンコンバートし、そしてフィルタリングする)、そしてアナログのベースバンド信号を供給し得る。この受信機は、一つまたはそれ以上のアナログ/デジタルコンバータ(ADC)のようなその他の回路を含み得るRF集積回路(RFIC)上に実装され得る。ADCは、このRFIC外部の集積回路(IC)からクロック信号を受信し、対応する受信機からのアナログベースバンド信号をこのクロック信号でデジタル化し、そしてデジタルサンプルを外部ICに供給する。このクロック信号は、望ましくないスペクトル成分である望ましくないスプリアス(spur)を含み得る。このスプリアスは、RFIC上の受信機の性能を低下させるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】図1は、スプリアスの結合を有する無線通信装置を示す。
【図2】図2は、スプリアスの結合を緩和するため、整数Nの位相ロックループ(PLL)を有する無線通信装置を示す。
【図3】図3は、整数NのPLLのブロック図を示す。
【図4】図4は、整数NのPLL内の位相−周波数検出器、チャージポンプ、及びループフィルタの概念図を示す。
【図5】図5は、電圧制御発振器(VCO)の概念図を示す。
【図6】図6は、スプリアスの結合を緩和するため、整数NのPLLを有する別の無線通信装置を示す。
【図7A】図7Aは、フラクショナルNの周波数シンセサイザからの第1クロック信号と、整数NのPLLからの第2クロック信号とのタイミング図を示す。
【図7B】図7Bは、フラクショナルNの周波数シンセサイザからの第1クロック信号と、整数NのPLLからの第2クロック信号とのタイミング図を示す。
【図8A】図8Aは、第1クロック信号のスペクトル図を示す。
【図8B】図8Bは、第2クロック信号のスペクトル図を示す。
【図9】図9は、受信機を動作させる方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
用語「典型的(exemplary)」は、本明細書では、「例(example)、例証(instance)、または例示(illustration)として与えられること」を意味するように用いられる。本明細書で「典型的」として述べられたあらゆる設計は、他の設計に対して好適または有利であると解釈される必要はない。
【0006】
望ましくないスプリアスを有する第1クロック信号を受信し、より少ないスプリアスを有する第2クロック信号を供給し得るクロッククリーンアップPLL(clock clean-up PLL)が、本明細書において述べられる。クロッククリーンアップPLLは、無線通信デバイス、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、携帯デバイス、無線モデム、コードレス電話、放送受信機、Bluetooth(登録商標)デバイス等のような種々の電子機器に使用され得る。明確化のため、携帯電話またはその他のデバイスであり得る無線デバイスにおけるクリーンアップPLLの使用が、以下で述べられる。
【0007】
図1は、無線通信デバイス100の典型的な設計のブロック図を示し、無線通信デバイス100は、RFIC110及び特定用途向け集積回路(ASIC)150を含む。図1に示す典型的な設計では、RFIC110は、フロントエンド・チューナ120及びADC130を含む。フロントエンド・チューナ120は、低ノイズ増幅器(LNA)122及び受信機回路124を含む。LNA122は、アンテナから入力RF信号(RFin)を受信し、この入力RF信号を増幅し、そして増幅されたRF信号を供給する。受信機回路124は、増幅されたRF信号を処理(例えばダウンコンバート、増幅、及びフィルタリング)し、そしてアナログベースバンド信号を供給する。受信機回路124は、単純化のために図1には示されていない1つまたはそれ以上のダウンコンバータ、フィルタ、増幅器、及び/またはその他の回路を含み得る。ADC130は、アナログベースバンド信号を、ASIC150からのクロック信号(CLK)でデジタル化して、デジタルサンプルをASIC150に供給する。
【0008】
ASIC150は、種々のプロセッサ、コントローラ、メモリ、及びその他のモジュール(図1には図示せず)を含み、これらはADC130からのデジタルサンプルを処理し、そして無線デバイス100のその他の機能を実行し得る。ASIC150はまた、ADC130のクロック信号を生成し得る、フラクショナルN(分数N型)の周波数シンセサイザ160(fractional-N frequency synthesizer)を含み得る。一般に、フラクショナルNの周波数シンセサイザは、第1周波数の入力信号を受信して、第2周波数の出力信号を生成する回路ブロックであり、第1周波数は第2周波数に非整数比で関連付けられている。図1に示す典型的な設計では、周波数シンセサイザ160は、正確な周波数finを有する参照(Ref)信号を受信し、そして所望の周波数foutを有するクロック信号を供給する。フラクショナル分周比(factional divider ratio)Nは、finのfoutに対する比であり、すなわちN=fin/foutであり、所定のfinにつき所望のfoutによって決まる。用語「フラクショナルN(factional-N)」は、分周比Nが非整数値であり得ることを指す。
【0009】
図1は、単一の受信機を含むRFIC110を有する単純な設計を示す。一般にRFIC110は、任意の数の無線技術及び周波数バンドにつき、任意の数の受信機を含み得る。RFIC110はまた、1つまたはそれ以上の送信機を含んでも良い。
【0010】
図1はシステムオンチップ(SoC)の例を示し、これは共通の基板上に形成されたフロントエンド・チューナ120及びオンチップADC130を含む。チップ上へのADC130の集積は、より低いコスト、より小さい回路面積、より高いレベルの集積化等を得るために望ましいだろう。しかしながらADC130は、基板を介して、受信機内の他のセンシティブな回路、例えばLNA122に結合し得るノイズを発生することがある。ADC130によって生成されたノイズのスペクトル成分は、ADC130をトリガー(trigger)するために使用されるクロック信号のスペクトル成分に依存し得る。よって、ADC130ではクリーンなクロック信号を用いることが望ましい。
【0011】
SoC受信機は一般に、図1におけるASIC150のようなホストと相互作用する。ホストとSoC受信機との間のデータ同期のため、ホストは、図1に示すようにオンチップADC130のクロック信号を生成し得る。クロック信号は、望ましくないスプリアス(spur)を含み得る。これは、クロック信号がフラクショナルNの周波数シンセサイザ160によって生成される際に特にそうであるかもしれない。
【0012】
図7Aは、図1のフラクショナルNの周波数シンセサイザ160で生成されたクロック信号の典型的なタイミング図を示す。周波数シンセサイザ160は、2つの整数分周比L及びMで参照信号を周波数分割し、所望の周波数のクロック信号を得る。ここで、一般的にM=L+1である。フラクショナル分周比Nは、LとMとの間の非整数値であり得る。そして周波数シンセサイザ160は蓄積カウンタ(accumulating counter)を用いて、参照信号を、ある時にはLで周波数分割し、別のある時にはMで周波数分割し得る。クロック信号は、「長い」周期と混合された「短い」周期を含むことが出来、各短い周期は参照信号のLの周期にわたり、そして各長い周期はMの周期にわたる。短い周期の比率と長い周期の比率とは、整数の分周比L及びMだけでなく、フラクショナル分周比Nに依存する。短い周期及び長い周期の位置は、分周比L及びMがどのように選択されるかに依存する。どのような場合であっても、分周比がLからMに変化すると(すなわち、短い周期から長い周期への切り替えが生じると)、またMからLに変化すると(すなわち、長い周期から短い周期への切り替えが生じると)、クロック信号の周波数に突発性ジャンプ(abrupt jump)が発生する。図7Aに示す例では、L=2、M=3、そしてN=2.5である。よってクロック信号は、交互に短い周期と長い周期とを含み、各短い周期は参照信号の2周期にわたり、各長い周期は参照信号の3周期にわたる。
【0013】
図8Aは、図1のフラクショナルNの周波数シンセサイザによって生成されたクロック信号の典型的なスペクトルグラフを示す。クロック信号は、クロック周波数foutの奇数高調波を含む。クロック信号は更に、周波数シンセサイザ160によるフラクショナル分周比の使用によって生じうる、クロック信号の突発的周波数ジャンプによる、望ましくない拡散スプリアス(spreading spurs)を含む。分周比L及びMの切り替えは周期的であり、クロック信号に周期的な周波数ジャンプを生じさせ得る。そしてクロック信号は、図8Aに示すように、周波数スペクトルにおいて、奇数高調波間に拡散スプリアスを含み得る。拡散スプリアスは望ましくない周波数成分であり、特定の周波数においてのみではなく、全周波数スペクトルにわたって高調波間で見られる。一般的に拡散スプリアスは、時間領域において突発的周波数ジャンプを有するあらゆるクロック信号に存在し得る。突発的周波数ジャンプは、フラクショナルNの周波数シンセサイザの使用に起因し、またはその他のいくらかのメカニズムによって生じ得る。
【0014】
図1に戻ると、拡散スプリアスを有するクロック信号は、SoC受信機内のADC130をクロックするために用いられ得る。そして拡散スプリアスは、ADC130内の種々の信号及び回路に存在し得る。拡散スプリアスは、ADCの回路領域から基板を介して、LNA122の入力に結合し(図1に示す)、LNA入力における入力RF信号への更なるノイズとして振る舞うだろう。この更なるノイズは、特に受信機が非常に良い感度を必要とする際、またはバンド内スプリアス(in-band spurs)を起こしやすい場合に、受信機の性能を劣化させ得る。そのような受信機の一つの例は、GPS(Global Positioning System)受信機である。バンド内スプリアスは、受信機の動作周波数範囲内に収まるスプリアスである。拡散スプリアスは全スペクトルにわたって存在するので、拡散スプリアスのいくらかは必然的にバンド内に収まるだろう。
【0015】
図2は、望ましくない拡散スプリアスに対処するためにクロッククリーンアップPLLを有する無線通信デバイス200の典型的な設計のブロック図を示す。無線デバイス200は、RFIC210及びASIC250を含む。ASIC250は、プロセッサ、コントローラ、メモリ等を含み、これらは単純化のために図2には示されていない。ASIC250はまた、RFIC210への第1クロック信号(CLK1)を生成出来るフラクショナルNの周波数シンセサイザ260を含む。
【0016】
図2に示す典型的な設計では、RFIC210は、フロントエンド・チューナ220、ADC130、及びクロッククリーンアップPLLとして使用される整数NのPLL(integer-N PLL)240を含む。フロントエンド・チューナ220は、図1につき上記述べたように動作し得るLNA222及び受信機回路224を含む。整数NのPLL240は、ASIC250内のフラクショナルNの周波数シンセサイザ260から第1クロック信号を受信して、ADC230への第2クロック信号(CLK2)を生成する。概して、整数NのPLLは、第1周波数の入力信号を受信して、第2周波数の出力信号を生成する回路ブロックであり、第1周波数は第2周波数に整数比で関連付けられている。第1クロック信号は望ましくない拡散スプリアスを含み、第2クロック信号はより少ないスプリアスを含み得る。ADC230は、受信機回路224からのアナログベースバンド信号を、PLL250からの第2クロック信号でデジタル化して、デジタルサンプルをASIC250に供給する。ADC230は、シグマ−デルタ(ΣΔ)ADC、フラッシュADC、逐次比較型ADC(successive approximation ADC)、またはその他のいくつかのタイプのADCであり得る。
【0017】
図3は、図2のRFIC210内の整数NのPLL240の典型的な設計のブロック図を示す。PLL240内において、位相−周波数検出器310は、ASIC250から第1クロック信号を受信し、プログラマブル遅延ユニット360からフィードバック信号を受信し、この2つの信号の位相を比較し、そして第1クロック信号とフィードバック信号との間の位相誤差/差(phase error/difference)を示すUp及びDown信号を供給する。Up及びDown信号はまた一般に、早期(early)信号及び後期(late)信号、進み(advance)信号及び遅れ(late)信号等とも呼ばれる。チャージポンプ320はUp及びDown信号を受信し、そして検出された位相誤差を示す電流信号(current signal:Icp)を生成する。ループフィルタ330は、チャージポンプ320からの電流信号をフィルタリングし、VCO340の制御信号(Vctrl)を生成する。ループフィルタ330は、フィードバック信号の周波数が第1クロック信号の周波数にロックされるように、制御信号を調整する。
【0018】
VCO340は、ループフィルタ330からの制御信号によって決定される周波数を有する発振器信号を生成する。分周器350は、整数の分周器係数Kにより(例えば2、3、4等により)発振器信号を周波数分割し、分周器出力信号を供給する。バッファ352は、分周器出力信号をバッファリングし、第2クロック信号をADC230に供給する。プログラマブル遅延ユニット360は、プログラマブルな遅延によって分周器出力信号を遅延させ、遅延された分周器出力信号をフィードバック信号として、位相−周波数検出器310に供給する。ユニット360の遅延は、第2クロック信号が所望の位相を有するように、例えば第1クロック信号に時間的に整合される(time aligned)ように調整され得る。プログラマブル遅延ユニット360はまた省略されても良く、そして分周器出力信号が直接フィードバック信号として供給されても良い。
【0019】
ループフィルタ330は、PLL240の所望の閉ループバンド幅が得られるように選択され得る周波数応答を有する。PLL240の閉ループバンド幅は、第1クロック信号における突発的周波数ジャンプを大きく減衰させるため、そしてLNA222の動作周波数範囲内での拡散スプリアスを抑制するため、小さく設計され得る。概して、PLL240の閉ループバンド幅が徐々に小さくなると、第1クロック信号における突発的周波数ジャンプはより減衰され、従って拡散スプリアスは徐々に小さくなり得る。しかしながら、閉ループバンド幅が小さくなると、PLL240の安定時間(settling time)が長くなり、これは望ましくないだろう。典型的な一設計では、PLL240の閉ループバンド幅は、フラクショナルNの周波数シンセサイザ260の閉ループバンド幅よりも小さくなるよう(例えば少なくとも2の因数だけ低くなるよう)、または十分に小さくなるよう(例えば、約1/10)に選択され得る。
【0020】
図7Bは、図2におけるフラクショナルNの周波数シンセサイザ260及び整数NのPLL240によって生成されたクロック信号の典型的なタイミング図を示す。図7Bに示す例では、L=2、M=3、N=2.5であり、そして周波数シンセサイザ260からの第1クロック信号は、図7Aの場合で上記説明したように、交互に短い周期と長い周期とを含む。本例では、VCO340からの発振器信号は所望の周波数foutの2倍の周波数を有し、係数2で周波数分割されて、所望の周波数の第2クロック信号が得られる。
【0021】
図7Bに示す例では、第1クロック信号は、非整数分周比による分割による突発的周波数ジャンプを有する。第2クロック信号は、整数分周比(本例では2)での分割により、突発的周波数ジャンプを有しない。第1クロック信号の瞬間的な周波数は、第2クロック信号の瞬間的な周波数とは異なり得る。しかしながら、第1クロック信号の平均周波数は、第2クロック信号の平均周波数と等しい。
【0022】
図8Bは、図2の整数NのPLL240によって生成された第2クロック信号の典型的なスペクトル図を示す。第2クロック信号は、クロック周波数foutの奇数高調波を含むが、しかし望ましくない拡散スプリアスは含まない。
【0023】
整数NのPLL240は、第1クロック信号の突発的周波数ジャンプを減衰させることが出来、それは望ましくない拡散スプリアスのルート(root)である。よって整数NのPLL240は、第1クロック信号における拡散スプリアスを、基板を介して結合し、そしてLNA222の性能を劣化させることから抑制出来る。整数NのPLL240は、VCO340からの発振器信号を整数の分周比で分割することにより、突発的周波数ジャンプを有しない相対的にクリーンな第2クロック信号を供給出来る。概して、第2クロック信号の周波数f2は第1クロック信号の周波数f1と等しいか、またはf1の整数倍またはf1の整数の除数(integer divisor)であり得る。
【0024】
図4は、図3の整数NのPLL240内の位相−周波数検出器310、チャージポンプ320、及びループフィルタ330の典型的な設計の概念図を示す。位相周波数検出器310内において、第1クロック信号及びフィードバック信号は、それぞれDフリップフロップ412及び414のクロック入力に供給される。フリップフロップ412及び414のデータ(D)入力は、電源に結合されて、論理highを受信する。フリップフロップ412のデータ(Q)出力は、第1クロック信号がフィードバック信号に対して早い(early)ことを示す。フリップフロップ414のQ出力は、第1クロック信号がフィードバック信号に対して遅い(late)ことを示す。ANDゲート416は、フリップフロップ412及び414のQ出力を受信して、この2つの信号の論理AND演算を行う。遅延ユニット418は、ANDゲート416の出力をわずかに遅延させて、フリップフロップ412及び414のリセット(R)入力へのリセット信号を供給する。フリップフロップ412の反転データ(/Q)出力はUp信号を供給し、フリップフロップ414のQ出力はDown信号を供給する。
【0025】
チャージポンプ320内では、Pチャネル金属酸化物半導体(PMOS)トランジスタ422及びNチャネルMOS(NMOS)トランジスタ424が、電源と回路接地との間に直列に結合されている。PMOSトランジスタ422は、電源に結合されたそのソース、フリップフロップ412からのUp信号を受信するそのゲート、及びノードAに結合されたそのドレインを有する。NMOSトランジスタ424は、ノードAに結合されたそのドレイン、フリップフロップ414からのDown信号を受信するそのゲート、及び回路接地に結合されたそのソースを有する。PMOSトランジスタ422は、Up信号によってイネーブルとされた際にプルアップ電流を供給し、NMOSトランジスタ424は、Down信号によってイネーブルとされた際にプルダウン電流を供給する。
【0026】
ユニット418による短い遅延は、チャージポンプ320のデッドゾーン(dead zone)に対処するために用いられる。PMOSトランジスタ422及びNMOSトランジスタ424がオンまたはオフするためには、ある程度の時間が必要である。この遷移時間の間、Up及びDown信号における位相情報が失われ得るため、この遷移時間はデッドゾーンと呼ばれる。この短い遅延は、デッドゾーンに効果がある。
【0027】
ループフィルタ330内において、抵抗432は、ノードAとノードBとの間に結合される。抵抗434及びキャパシタ436は、ノードBと回路接地との間に直列に結合される。キャパシタ438は、ノードBと回路接地との間に結合される。一次ループは抵抗432とキャパシタ438のみにより提供される。二次ループは、抵抗432及び434並びにキャパシタ436のみによって提供される。更なる減衰のための高周波数ポール(pole)での二次ループは、抵抗432及び434、並びにキャパシタ436及び438で提供され得る。キャパシタ438は、ループフィルタ330からの制御電圧のリップルを低減し、そしてまたPLLループを安定化させ得る。抵抗432及び434、並びにキャパシタ436及び438の値は、整数NのPLL240につき所望の閉ループバンド幅が得られるように選択され得る。
【0028】
図5は、図3のVCO340の典型的な設計の概念図を示す。この典型的な設計では、VCO340はリング発振器で実装され、そしてループに結合された3つの可変遅延セル510a、510b、及び510cを含む。遅延セル510aは、遅延セル510bの入力に結合されたその出力を有し、遅延セル510bは遅延セル510cの入力に結合されたその出力を有し、遅延セル510cは更に遅延セル510aの入力に結合されたその出力を有する。この3つの遅延セル510a、510b、及び510cは同じようにして実装され、以下では遅延セル510cのみについて述べる。
【0029】
遅延セル510cでは、PMOSトランジスタ512及びNMOSトランジスタ514は、インバータとして結合される。MOSトランジスタ512及び514は、共通に結合されて遅延セル入力に結合されたそれらのゲート、及び共通に結合されて遅延セル出力(ノードX)に結合されたそれらのドレインを有する。抵抗517は、PMOSトランジスタ512のソースと電源との間に結合される。抵抗518は、NMOSトランジスタ514のソースと回路接地との間に結合される。キャパシタ522は、ノードXと回路接地との間に結合される。キャパシタ524は、ノードXとノードYとの間に結合される。キャパシタ526は、ノードYに結合された一端と、ループフィルタ330からVctrl制御信号を受信する他端とを有する。抵抗528は、ノードYに結合された一端と、バイアス電圧(Vbias)を受信する他端とを有する。
【0030】
遅延セル510cの遅延は、抵抗516の値R及びキャパシタ522、524、及び526の値で決定される。キャパシタ526の値Ctuneは、Vctrl制御信号の電圧を変えることにより変更され得る。キャパシタ524はAC結合キャパシタであって良く、Ctuneよりも十分に大きい値を有し得る。キャパシタ522の値Cp及びキャパシタ526の名目値(nominal value)は、VCO340の所望の名目中心周波数及び所望のチューニング範囲が得られるように選択され得る。所望のチューニング範囲は、(i)第1クロック信号についての動作周波数範囲、並びに(ii)IC製造プロセス、温度、電源などのばらつきによる周波数変動に依存し得る。同じVbias制御電圧が、全3つの遅延セル510a、510b、及び510cにおける抵抗528に印加され得る。同様に、同じVctrl信号が、全3つの遅延セル510a、510b、及び510cにおけるキャパシタ526に印加され得る。抵抗516及び518は、図5に示すように、固定値Rを有し得る。あるいは、抵抗516及び518は設定可能な値を有し、VCO340の所望の名目周波数が得られるように選択され得る。
【0031】
図5は、VCO340の典型的な設計を示し、これは実装のためにシンプルであり、更に小さな面積を占め、少ない電流を消費し得る。VCO340はまた、その他の設計で実装されても良い。
【0032】
図6は、望ましくない拡散スプリアスに対処するため、クロッククリーンアップPLLを有する無線通信デバイス600の典型的な設計のブロック図を示す。無線デバイス600は、RFIC610及びASIC650を含む。ASIC650は、プロセッサ、コントローラ、メモリ等を含み、単純化のためこれらは図6では図示されていない。
【0033】
図6に示す典型的な設計では、RFIC610は、フロントエンド・チューナ620、ADC630、クロッククリーンアップPLLとして使用される整数NのPLL640、及びフラクショナルNの周波数シンセサイザ660を含む。フロントエンド・チューナ620は、図1で上記述べたように動作し得るLNA622及び受信機回路624を含む。周波数シンセサイザ660は、非整数分周比の使用による突発的周波数ジャンプを有する第1クロック信号を生成し得る。PLL640は、周波数シンセサイザ660から第1クロック信号を受信して、ADC630への第2クロック信号を生成し得る。第2クロック信号は、整数分周比の使用により突発的周波数ジャンプを有さず、よって第1クロックよりも小さいスプリアスを含み得る。ADC630は、受信機回路624からのアナログベースバンド信号を、PLL640からの第2クロック信号でデジタル化して、デジタルサンプルをASIC650の処理のために供給する。
【0034】
図2及び6に示すように、整数NのPLLは、高周波数スプリアスを大幅に削減し、よってLNAの入力で観測されるバンド内スプリアスを低減するために、ADCクロック信号についてのクリーンアップPLLとして使用され得る。整数NのPLLは、シンプルなデジタルPLL設計によって実装され(例えば、図3、4、及び5のように)、そして占める面積は小さく、消費する更なる電流も小さいだろう。整数NのPLLは、突発的周波数ジャンプによる拡散スプリアスを有する第1クロック信号を受信し、そしてこのスプリアスを低い閉ループバンド幅でクリーンアップし得る。整数NのPLLは、クリーンな第2クロック信号をADCへ供給し得る。
【0035】
典型的な一設計では、例えば図2に示すように、集積回路は、PLL及びADCを備え得る。PLLは、突発的周波数ジャンプによるスプリアスを有する第1クロック信号(CLK1)を受信し、そして例えば突発的周波数ジャンプを有しないことでスプリアスの低減された第2クロック信号(CLK2)を供給し得る。第1クロック信号は、集積回路外部にあり得る(例えば図2に示すように)、または集積回路内部にあり得る(例えば図6に示すように)フラクショナルNの周波数シンセサイザによって生成され得る。いずれの場合も、第1クロック信号における突発的周波数ジャンプは、例えば図7Aに図示したように、周波数シンセサイザにおけるフラクショナル分周比の使用に起因し得る。第2クロック信号は、整数分周比に基づいてPLLによって生成され、そして例えば図7Bに図示するように、整数分周比の使用により突発的周波数ジャンプを含まないだろう。
【0036】
ADCは、アナログベースバンド信号を第2クロック信号に基づいてデジタル化し、デジタルサンプルを供給し得る。集積回路は更に、LNA及び受信機回路を備え得る。LNAは、入力RF信号を受信し増幅し、そして増幅されたRF信号を供給し得る。受信機回路は、増幅されたRF信号を処理し、アナログベースバンド信号をADCに供給し得る。LNAは、第1クロック信号をクリーンアップするためのPLLの使用により、集積回路の基板を介して結合するスプリアスの減少を観測し得る。
【0037】
典型的な一設計では、PLLは、例えば図3に示すように、位相−周波数検出器、チャージポンプ、ループフィルタ、VCO、及び分周器を備え得る。位相−周波数検出器は、第1クロック信号及びフィードバック信号を受信し、そして第1クロック信号とフィードバック信号との間の位相誤差を示す第1及び第2検出器出力信号(例えばUp及びDown信号)を供給し得る。チャージポンプは、第1及び第2検出器出力信号を受信し、電流信号を供給し得る。ループフィルタは、この電流信号をフィルタリングして、制御信号(例えばVctrl信号)を供給し得る。VCOは、制御信号を受信して、この制御信号によって決まる周波数を有する発振器信号を供給し得る。分周器は、整数の分周比で発振器信号を周波数分割して、分周器出力信号を供給し得る。PLLは更に、プログラマブルな遅延によって分周器出力信号を遅延させ、フィードバック信号を供給するプログラマブル遅延ユニットを備え得る。プログラマブルな遅延は、第2クロック信号の位相を第1クロック信号の位相に対して調整するように選択され得る。
【0038】
典型的な一設計では、VCOは、例えば図5に示すように、ループに結合された複数の可変遅延セルを備え得る。各可変遅延セルは、ループフィルタからの制御信号で決定される可変の遅延を有し得る。VCO及びPLLはまた、その他の設計で実装されても良い。
【0039】
典型的な一設計では、PLLは、フラクショナルNの周波数シンセサイザの閉ループバンド幅よりも、少なくとも2の因数だけ(例えば10の因数)小さい閉ループバンド幅を有し得る。PLLのより小さい閉ループバンド幅により、第1クロック信号における望ましくないスプリアスの更なる減衰が得られ得る。典型的な一設計では、例えば図7Bに示すように、第1及び第2クロック信号は同じ周波数を有し得る。別の典型的な設計では、第1クロック信号は、第2クロック信号の第2周波数に整数比で関連づけられ得る第1周波数を有し得る。
【0040】
典型的な一設計では、装置は第1及び第2集積回路を備え得る。第1集積回路(例えば図2のASIC250)は、第1クロック信号を供給し得るフラクショナルNの周波数シンセサイザを備え得る。第2集積回路(例えば図2のRFIC210)は、第1集積回路に結合され、PLL及びADCを備え得る。PLLは、第1クロック信号を受信し、第2クロック信号を供給し得る。ADCは、第2クロック信号に基づいてアナログベースバンド信号をデジタル化して、デジタルサンプルを供給し得る。第2集積回路は更に、LNA及び受信機回路を備え得る。LNAは、入力RF信号を受信して増幅し、そして増幅されたRF信号を供給し得る。受信機回路は、増幅されたRF信号を処理し、そしてアナログベースバンド信号をADCに供給し得る。LNAは、第1クロック信号をクリーンアップするPLLの使用により、第2集積回路の基板を介して結合されたより小さいスプリアスを観測し得る。
【0041】
図9は、集積回路上に実装された受信機を動作させる処理900の典型的な設計を示す。突発的周波数ジャンプによるスプリアスを有する第1クロック信号が、例えば同じ集積回路または別の集積回路上に実装されたフラクショナルNの周波数シンセサイザから受信され得る(ブロック912)。第1クロック信号は、参照信号、並びに第1クロック信号の周波数と参照信号の周波数との間の非整数分周比に基づいて生成され得る。低減されたスプリアスを有する第2クロック信号は、第1クロック信号に基づいて、例えば集積回路上に実装された整数NのPLLによって生成され得る(ブロック914)。PLLは、第1クロック信号のスプリアスを十分に減衰させるために、フラクショナルNの周波数シンセサイザの閉ループバンド幅よりも、例えば少なくとも2の因数だけ小さい閉ループバンド幅で動作し得る。アナログベースバンド信号は、デジタルサンプルを得るため、第2クロック信号に基づいてデジタル化され得る(ブロック916)。
【0042】
本明細書で述べられたクロッククリーンアップPLLは、IC、アナログIC、RFIC、mixed-signal IC、ASIC、プリント回路基板(PCB)、電子デバイス等の上に実装され得る。クロッククリーンアップPLLはまた、相補型金属酸化物半導体(CMOS)、NMOS、PMOS、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、バイポーラCMOS(BiCMOS)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、ガリウム砒素(GaAs)等のような、種々のICプロセスで製造され得る。
【0043】
本明細書で述べられたクロッククリーンアップPLLを実装する装置は、スタンドアローンのデバイスであっても良いし、または大型のデバイスの一部であっても良い。デバイスは、(i)スタンドアローンIC、(ii)データ及び/または命令を記憶するメモリICを含み得る1つまたはそれ以上のICのセット、(iii)RF受信機(RFR)またはRF送信機/受信機(RTR)のようなRFIC、(iv)モバイルステーションモデム(MSM)のようなASIC、(v)その他のデバイス内部に組み込まれ得るモジュール、(vi)受信機、携帯電話、無線デバイス、ハンドセット、またはモバイルユニット、(vii)その他、であり得る。
【0044】
1つまたはそれ以上の典型的な設計では、述べられた機能はハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはその任意の組合せで実装され得る。ソフトウェアで実装される場合、それらの機能は1つまたはそれ以上の命令またはコードとして、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶され、或いは伝送され得る。コンピュータ読み取り可能な媒体は、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの持ち運びを助ける任意の媒体を含むコンピュータ記憶メディア及び通信メディアの双方を含む。記録媒体は、コンピュータによってアクセスできる任意の利用可能な媒体であって良い。例として、これに限定するもので無いものとして、このようなコンピュータ読み取り可能な媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMまたは光ディスク媒体、磁気ディスク媒体または他の磁気記録デバイス、または命令またはデータ構造の形で所望のプログラムコードを運びまたは保持するために使用され、そしてコンピュータによってアクセスできる他の任意の媒体を含むことが出来る。また、あらゆる接続が、適切にコンピュータ読み取り可能な媒体と呼ばれる。例えば、そのソフトウェアが同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、或いは赤外線、無線、及びマイクロ波といった無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、または遠隔源から送信されるならば、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、或いは赤外線、無線、及びマイクロ波といった無線技術は、媒体の定義に含まれる。本明細書で使用されるディスク(disk and disc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク(登録商標)、光学ディスク、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、及びブルーレイディスクを含み、ディスク(disk)は、一般的に、磁気によってデータを再生し、ディスク(disc)はレーザによって光学的にデータを再生する。上記の組合せもまたコンピュータ読み取り可能な媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0045】
本開示の上記説明は、当業者に本開示の製造及び使用を可能にするために与えられる。この開示の種々の変形が、当業者には容易に明白であろう。そして本明細書で定義された包括的な原理は、この開示の範囲から逸脱することなく、その他の変形に適用され得る。よって、この開示は、本明細書に述べられた例及び設計に限定されることを意図されないが、本明細書で開示された新規な特徴と原理に一致する最も広い範囲に許容される。
【0046】
特許請求の範囲は以下の通りである。
【米国特許法第119条に基づく優先権の主張】
【0001】
この特許出願は、2008年10月8日に出願され“IN-BAND SPUR REDUCTION FOR SENSITIVE RECEIVER”と表題され、本願の譲受人に譲渡され、参照によって明示的に本明細書に組み込まれる仮出願番号61/103,893に対する優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は概して電子工学に関し、より具体的にはクリーン(clean)なクロック信号を生成するための回路に関する。
【背景技術】
【0003】
携帯電話のような無線装置は一般に、一つまたはそれ以上の受信機を含む。各受信機は、入力無線周波数(RF)信号を受信し、この入力RF信号を処理し(例えば増幅し、ダウンコンバートし、そしてフィルタリングする)、そしてアナログのベースバンド信号を供給し得る。この受信機は、一つまたはそれ以上のアナログ/デジタルコンバータ(ADC)のようなその他の回路を含み得るRF集積回路(RFIC)上に実装され得る。ADCは、このRFIC外部の集積回路(IC)からクロック信号を受信し、対応する受信機からのアナログベースバンド信号をこのクロック信号でデジタル化し、そしてデジタルサンプルを外部ICに供給する。このクロック信号は、望ましくないスペクトル成分である望ましくないスプリアス(spur)を含み得る。このスプリアスは、RFIC上の受信機の性能を低下させるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】図1は、スプリアスの結合を有する無線通信装置を示す。
【図2】図2は、スプリアスの結合を緩和するため、整数Nの位相ロックループ(PLL)を有する無線通信装置を示す。
【図3】図3は、整数NのPLLのブロック図を示す。
【図4】図4は、整数NのPLL内の位相−周波数検出器、チャージポンプ、及びループフィルタの概念図を示す。
【図5】図5は、電圧制御発振器(VCO)の概念図を示す。
【図6】図6は、スプリアスの結合を緩和するため、整数NのPLLを有する別の無線通信装置を示す。
【図7A】図7Aは、フラクショナルNの周波数シンセサイザからの第1クロック信号と、整数NのPLLからの第2クロック信号とのタイミング図を示す。
【図7B】図7Bは、フラクショナルNの周波数シンセサイザからの第1クロック信号と、整数NのPLLからの第2クロック信号とのタイミング図を示す。
【図8A】図8Aは、第1クロック信号のスペクトル図を示す。
【図8B】図8Bは、第2クロック信号のスペクトル図を示す。
【図9】図9は、受信機を動作させる方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
用語「典型的(exemplary)」は、本明細書では、「例(example)、例証(instance)、または例示(illustration)として与えられること」を意味するように用いられる。本明細書で「典型的」として述べられたあらゆる設計は、他の設計に対して好適または有利であると解釈される必要はない。
【0006】
望ましくないスプリアスを有する第1クロック信号を受信し、より少ないスプリアスを有する第2クロック信号を供給し得るクロッククリーンアップPLL(clock clean-up PLL)が、本明細書において述べられる。クロッククリーンアップPLLは、無線通信デバイス、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、携帯デバイス、無線モデム、コードレス電話、放送受信機、Bluetooth(登録商標)デバイス等のような種々の電子機器に使用され得る。明確化のため、携帯電話またはその他のデバイスであり得る無線デバイスにおけるクリーンアップPLLの使用が、以下で述べられる。
【0007】
図1は、無線通信デバイス100の典型的な設計のブロック図を示し、無線通信デバイス100は、RFIC110及び特定用途向け集積回路(ASIC)150を含む。図1に示す典型的な設計では、RFIC110は、フロントエンド・チューナ120及びADC130を含む。フロントエンド・チューナ120は、低ノイズ増幅器(LNA)122及び受信機回路124を含む。LNA122は、アンテナから入力RF信号(RFin)を受信し、この入力RF信号を増幅し、そして増幅されたRF信号を供給する。受信機回路124は、増幅されたRF信号を処理(例えばダウンコンバート、増幅、及びフィルタリング)し、そしてアナログベースバンド信号を供給する。受信機回路124は、単純化のために図1には示されていない1つまたはそれ以上のダウンコンバータ、フィルタ、増幅器、及び/またはその他の回路を含み得る。ADC130は、アナログベースバンド信号を、ASIC150からのクロック信号(CLK)でデジタル化して、デジタルサンプルをASIC150に供給する。
【0008】
ASIC150は、種々のプロセッサ、コントローラ、メモリ、及びその他のモジュール(図1には図示せず)を含み、これらはADC130からのデジタルサンプルを処理し、そして無線デバイス100のその他の機能を実行し得る。ASIC150はまた、ADC130のクロック信号を生成し得る、フラクショナルN(分数N型)の周波数シンセサイザ160(fractional-N frequency synthesizer)を含み得る。一般に、フラクショナルNの周波数シンセサイザは、第1周波数の入力信号を受信して、第2周波数の出力信号を生成する回路ブロックであり、第1周波数は第2周波数に非整数比で関連付けられている。図1に示す典型的な設計では、周波数シンセサイザ160は、正確な周波数finを有する参照(Ref)信号を受信し、そして所望の周波数foutを有するクロック信号を供給する。フラクショナル分周比(factional divider ratio)Nは、finのfoutに対する比であり、すなわちN=fin/foutであり、所定のfinにつき所望のfoutによって決まる。用語「フラクショナルN(factional-N)」は、分周比Nが非整数値であり得ることを指す。
【0009】
図1は、単一の受信機を含むRFIC110を有する単純な設計を示す。一般にRFIC110は、任意の数の無線技術及び周波数バンドにつき、任意の数の受信機を含み得る。RFIC110はまた、1つまたはそれ以上の送信機を含んでも良い。
【0010】
図1はシステムオンチップ(SoC)の例を示し、これは共通の基板上に形成されたフロントエンド・チューナ120及びオンチップADC130を含む。チップ上へのADC130の集積は、より低いコスト、より小さい回路面積、より高いレベルの集積化等を得るために望ましいだろう。しかしながらADC130は、基板を介して、受信機内の他のセンシティブな回路、例えばLNA122に結合し得るノイズを発生することがある。ADC130によって生成されたノイズのスペクトル成分は、ADC130をトリガー(trigger)するために使用されるクロック信号のスペクトル成分に依存し得る。よって、ADC130ではクリーンなクロック信号を用いることが望ましい。
【0011】
SoC受信機は一般に、図1におけるASIC150のようなホストと相互作用する。ホストとSoC受信機との間のデータ同期のため、ホストは、図1に示すようにオンチップADC130のクロック信号を生成し得る。クロック信号は、望ましくないスプリアス(spur)を含み得る。これは、クロック信号がフラクショナルNの周波数シンセサイザ160によって生成される際に特にそうであるかもしれない。
【0012】
図7Aは、図1のフラクショナルNの周波数シンセサイザ160で生成されたクロック信号の典型的なタイミング図を示す。周波数シンセサイザ160は、2つの整数分周比L及びMで参照信号を周波数分割し、所望の周波数のクロック信号を得る。ここで、一般的にM=L+1である。フラクショナル分周比Nは、LとMとの間の非整数値であり得る。そして周波数シンセサイザ160は蓄積カウンタ(accumulating counter)を用いて、参照信号を、ある時にはLで周波数分割し、別のある時にはMで周波数分割し得る。クロック信号は、「長い」周期と混合された「短い」周期を含むことが出来、各短い周期は参照信号のLの周期にわたり、そして各長い周期はMの周期にわたる。短い周期の比率と長い周期の比率とは、整数の分周比L及びMだけでなく、フラクショナル分周比Nに依存する。短い周期及び長い周期の位置は、分周比L及びMがどのように選択されるかに依存する。どのような場合であっても、分周比がLからMに変化すると(すなわち、短い周期から長い周期への切り替えが生じると)、またMからLに変化すると(すなわち、長い周期から短い周期への切り替えが生じると)、クロック信号の周波数に突発性ジャンプ(abrupt jump)が発生する。図7Aに示す例では、L=2、M=3、そしてN=2.5である。よってクロック信号は、交互に短い周期と長い周期とを含み、各短い周期は参照信号の2周期にわたり、各長い周期は参照信号の3周期にわたる。
【0013】
図8Aは、図1のフラクショナルNの周波数シンセサイザによって生成されたクロック信号の典型的なスペクトルグラフを示す。クロック信号は、クロック周波数foutの奇数高調波を含む。クロック信号は更に、周波数シンセサイザ160によるフラクショナル分周比の使用によって生じうる、クロック信号の突発的周波数ジャンプによる、望ましくない拡散スプリアス(spreading spurs)を含む。分周比L及びMの切り替えは周期的であり、クロック信号に周期的な周波数ジャンプを生じさせ得る。そしてクロック信号は、図8Aに示すように、周波数スペクトルにおいて、奇数高調波間に拡散スプリアスを含み得る。拡散スプリアスは望ましくない周波数成分であり、特定の周波数においてのみではなく、全周波数スペクトルにわたって高調波間で見られる。一般的に拡散スプリアスは、時間領域において突発的周波数ジャンプを有するあらゆるクロック信号に存在し得る。突発的周波数ジャンプは、フラクショナルNの周波数シンセサイザの使用に起因し、またはその他のいくらかのメカニズムによって生じ得る。
【0014】
図1に戻ると、拡散スプリアスを有するクロック信号は、SoC受信機内のADC130をクロックするために用いられ得る。そして拡散スプリアスは、ADC130内の種々の信号及び回路に存在し得る。拡散スプリアスは、ADCの回路領域から基板を介して、LNA122の入力に結合し(図1に示す)、LNA入力における入力RF信号への更なるノイズとして振る舞うだろう。この更なるノイズは、特に受信機が非常に良い感度を必要とする際、またはバンド内スプリアス(in-band spurs)を起こしやすい場合に、受信機の性能を劣化させ得る。そのような受信機の一つの例は、GPS(Global Positioning System)受信機である。バンド内スプリアスは、受信機の動作周波数範囲内に収まるスプリアスである。拡散スプリアスは全スペクトルにわたって存在するので、拡散スプリアスのいくらかは必然的にバンド内に収まるだろう。
【0015】
図2は、望ましくない拡散スプリアスに対処するためにクロッククリーンアップPLLを有する無線通信デバイス200の典型的な設計のブロック図を示す。無線デバイス200は、RFIC210及びASIC250を含む。ASIC250は、プロセッサ、コントローラ、メモリ等を含み、これらは単純化のために図2には示されていない。ASIC250はまた、RFIC210への第1クロック信号(CLK1)を生成出来るフラクショナルNの周波数シンセサイザ260を含む。
【0016】
図2に示す典型的な設計では、RFIC210は、フロントエンド・チューナ220、ADC130、及びクロッククリーンアップPLLとして使用される整数NのPLL(integer-N PLL)240を含む。フロントエンド・チューナ220は、図1につき上記述べたように動作し得るLNA222及び受信機回路224を含む。整数NのPLL240は、ASIC250内のフラクショナルNの周波数シンセサイザ260から第1クロック信号を受信して、ADC230への第2クロック信号(CLK2)を生成する。概して、整数NのPLLは、第1周波数の入力信号を受信して、第2周波数の出力信号を生成する回路ブロックであり、第1周波数は第2周波数に整数比で関連付けられている。第1クロック信号は望ましくない拡散スプリアスを含み、第2クロック信号はより少ないスプリアスを含み得る。ADC230は、受信機回路224からのアナログベースバンド信号を、PLL250からの第2クロック信号でデジタル化して、デジタルサンプルをASIC250に供給する。ADC230は、シグマ−デルタ(ΣΔ)ADC、フラッシュADC、逐次比較型ADC(successive approximation ADC)、またはその他のいくつかのタイプのADCであり得る。
【0017】
図3は、図2のRFIC210内の整数NのPLL240の典型的な設計のブロック図を示す。PLL240内において、位相−周波数検出器310は、ASIC250から第1クロック信号を受信し、プログラマブル遅延ユニット360からフィードバック信号を受信し、この2つの信号の位相を比較し、そして第1クロック信号とフィードバック信号との間の位相誤差/差(phase error/difference)を示すUp及びDown信号を供給する。Up及びDown信号はまた一般に、早期(early)信号及び後期(late)信号、進み(advance)信号及び遅れ(late)信号等とも呼ばれる。チャージポンプ320はUp及びDown信号を受信し、そして検出された位相誤差を示す電流信号(current signal:Icp)を生成する。ループフィルタ330は、チャージポンプ320からの電流信号をフィルタリングし、VCO340の制御信号(Vctrl)を生成する。ループフィルタ330は、フィードバック信号の周波数が第1クロック信号の周波数にロックされるように、制御信号を調整する。
【0018】
VCO340は、ループフィルタ330からの制御信号によって決定される周波数を有する発振器信号を生成する。分周器350は、整数の分周器係数Kにより(例えば2、3、4等により)発振器信号を周波数分割し、分周器出力信号を供給する。バッファ352は、分周器出力信号をバッファリングし、第2クロック信号をADC230に供給する。プログラマブル遅延ユニット360は、プログラマブルな遅延によって分周器出力信号を遅延させ、遅延された分周器出力信号をフィードバック信号として、位相−周波数検出器310に供給する。ユニット360の遅延は、第2クロック信号が所望の位相を有するように、例えば第1クロック信号に時間的に整合される(time aligned)ように調整され得る。プログラマブル遅延ユニット360はまた省略されても良く、そして分周器出力信号が直接フィードバック信号として供給されても良い。
【0019】
ループフィルタ330は、PLL240の所望の閉ループバンド幅が得られるように選択され得る周波数応答を有する。PLL240の閉ループバンド幅は、第1クロック信号における突発的周波数ジャンプを大きく減衰させるため、そしてLNA222の動作周波数範囲内での拡散スプリアスを抑制するため、小さく設計され得る。概して、PLL240の閉ループバンド幅が徐々に小さくなると、第1クロック信号における突発的周波数ジャンプはより減衰され、従って拡散スプリアスは徐々に小さくなり得る。しかしながら、閉ループバンド幅が小さくなると、PLL240の安定時間(settling time)が長くなり、これは望ましくないだろう。典型的な一設計では、PLL240の閉ループバンド幅は、フラクショナルNの周波数シンセサイザ260の閉ループバンド幅よりも小さくなるよう(例えば少なくとも2の因数だけ低くなるよう)、または十分に小さくなるよう(例えば、約1/10)に選択され得る。
【0020】
図7Bは、図2におけるフラクショナルNの周波数シンセサイザ260及び整数NのPLL240によって生成されたクロック信号の典型的なタイミング図を示す。図7Bに示す例では、L=2、M=3、N=2.5であり、そして周波数シンセサイザ260からの第1クロック信号は、図7Aの場合で上記説明したように、交互に短い周期と長い周期とを含む。本例では、VCO340からの発振器信号は所望の周波数foutの2倍の周波数を有し、係数2で周波数分割されて、所望の周波数の第2クロック信号が得られる。
【0021】
図7Bに示す例では、第1クロック信号は、非整数分周比による分割による突発的周波数ジャンプを有する。第2クロック信号は、整数分周比(本例では2)での分割により、突発的周波数ジャンプを有しない。第1クロック信号の瞬間的な周波数は、第2クロック信号の瞬間的な周波数とは異なり得る。しかしながら、第1クロック信号の平均周波数は、第2クロック信号の平均周波数と等しい。
【0022】
図8Bは、図2の整数NのPLL240によって生成された第2クロック信号の典型的なスペクトル図を示す。第2クロック信号は、クロック周波数foutの奇数高調波を含むが、しかし望ましくない拡散スプリアスは含まない。
【0023】
整数NのPLL240は、第1クロック信号の突発的周波数ジャンプを減衰させることが出来、それは望ましくない拡散スプリアスのルート(root)である。よって整数NのPLL240は、第1クロック信号における拡散スプリアスを、基板を介して結合し、そしてLNA222の性能を劣化させることから抑制出来る。整数NのPLL240は、VCO340からの発振器信号を整数の分周比で分割することにより、突発的周波数ジャンプを有しない相対的にクリーンな第2クロック信号を供給出来る。概して、第2クロック信号の周波数f2は第1クロック信号の周波数f1と等しいか、またはf1の整数倍またはf1の整数の除数(integer divisor)であり得る。
【0024】
図4は、図3の整数NのPLL240内の位相−周波数検出器310、チャージポンプ320、及びループフィルタ330の典型的な設計の概念図を示す。位相周波数検出器310内において、第1クロック信号及びフィードバック信号は、それぞれDフリップフロップ412及び414のクロック入力に供給される。フリップフロップ412及び414のデータ(D)入力は、電源に結合されて、論理highを受信する。フリップフロップ412のデータ(Q)出力は、第1クロック信号がフィードバック信号に対して早い(early)ことを示す。フリップフロップ414のQ出力は、第1クロック信号がフィードバック信号に対して遅い(late)ことを示す。ANDゲート416は、フリップフロップ412及び414のQ出力を受信して、この2つの信号の論理AND演算を行う。遅延ユニット418は、ANDゲート416の出力をわずかに遅延させて、フリップフロップ412及び414のリセット(R)入力へのリセット信号を供給する。フリップフロップ412の反転データ(/Q)出力はUp信号を供給し、フリップフロップ414のQ出力はDown信号を供給する。
【0025】
チャージポンプ320内では、Pチャネル金属酸化物半導体(PMOS)トランジスタ422及びNチャネルMOS(NMOS)トランジスタ424が、電源と回路接地との間に直列に結合されている。PMOSトランジスタ422は、電源に結合されたそのソース、フリップフロップ412からのUp信号を受信するそのゲート、及びノードAに結合されたそのドレインを有する。NMOSトランジスタ424は、ノードAに結合されたそのドレイン、フリップフロップ414からのDown信号を受信するそのゲート、及び回路接地に結合されたそのソースを有する。PMOSトランジスタ422は、Up信号によってイネーブルとされた際にプルアップ電流を供給し、NMOSトランジスタ424は、Down信号によってイネーブルとされた際にプルダウン電流を供給する。
【0026】
ユニット418による短い遅延は、チャージポンプ320のデッドゾーン(dead zone)に対処するために用いられる。PMOSトランジスタ422及びNMOSトランジスタ424がオンまたはオフするためには、ある程度の時間が必要である。この遷移時間の間、Up及びDown信号における位相情報が失われ得るため、この遷移時間はデッドゾーンと呼ばれる。この短い遅延は、デッドゾーンに効果がある。
【0027】
ループフィルタ330内において、抵抗432は、ノードAとノードBとの間に結合される。抵抗434及びキャパシタ436は、ノードBと回路接地との間に直列に結合される。キャパシタ438は、ノードBと回路接地との間に結合される。一次ループは抵抗432とキャパシタ438のみにより提供される。二次ループは、抵抗432及び434並びにキャパシタ436のみによって提供される。更なる減衰のための高周波数ポール(pole)での二次ループは、抵抗432及び434、並びにキャパシタ436及び438で提供され得る。キャパシタ438は、ループフィルタ330からの制御電圧のリップルを低減し、そしてまたPLLループを安定化させ得る。抵抗432及び434、並びにキャパシタ436及び438の値は、整数NのPLL240につき所望の閉ループバンド幅が得られるように選択され得る。
【0028】
図5は、図3のVCO340の典型的な設計の概念図を示す。この典型的な設計では、VCO340はリング発振器で実装され、そしてループに結合された3つの可変遅延セル510a、510b、及び510cを含む。遅延セル510aは、遅延セル510bの入力に結合されたその出力を有し、遅延セル510bは遅延セル510cの入力に結合されたその出力を有し、遅延セル510cは更に遅延セル510aの入力に結合されたその出力を有する。この3つの遅延セル510a、510b、及び510cは同じようにして実装され、以下では遅延セル510cのみについて述べる。
【0029】
遅延セル510cでは、PMOSトランジスタ512及びNMOSトランジスタ514は、インバータとして結合される。MOSトランジスタ512及び514は、共通に結合されて遅延セル入力に結合されたそれらのゲート、及び共通に結合されて遅延セル出力(ノードX)に結合されたそれらのドレインを有する。抵抗517は、PMOSトランジスタ512のソースと電源との間に結合される。抵抗518は、NMOSトランジスタ514のソースと回路接地との間に結合される。キャパシタ522は、ノードXと回路接地との間に結合される。キャパシタ524は、ノードXとノードYとの間に結合される。キャパシタ526は、ノードYに結合された一端と、ループフィルタ330からVctrl制御信号を受信する他端とを有する。抵抗528は、ノードYに結合された一端と、バイアス電圧(Vbias)を受信する他端とを有する。
【0030】
遅延セル510cの遅延は、抵抗516の値R及びキャパシタ522、524、及び526の値で決定される。キャパシタ526の値Ctuneは、Vctrl制御信号の電圧を変えることにより変更され得る。キャパシタ524はAC結合キャパシタであって良く、Ctuneよりも十分に大きい値を有し得る。キャパシタ522の値Cp及びキャパシタ526の名目値(nominal value)は、VCO340の所望の名目中心周波数及び所望のチューニング範囲が得られるように選択され得る。所望のチューニング範囲は、(i)第1クロック信号についての動作周波数範囲、並びに(ii)IC製造プロセス、温度、電源などのばらつきによる周波数変動に依存し得る。同じVbias制御電圧が、全3つの遅延セル510a、510b、及び510cにおける抵抗528に印加され得る。同様に、同じVctrl信号が、全3つの遅延セル510a、510b、及び510cにおけるキャパシタ526に印加され得る。抵抗516及び518は、図5に示すように、固定値Rを有し得る。あるいは、抵抗516及び518は設定可能な値を有し、VCO340の所望の名目周波数が得られるように選択され得る。
【0031】
図5は、VCO340の典型的な設計を示し、これは実装のためにシンプルであり、更に小さな面積を占め、少ない電流を消費し得る。VCO340はまた、その他の設計で実装されても良い。
【0032】
図6は、望ましくない拡散スプリアスに対処するため、クロッククリーンアップPLLを有する無線通信デバイス600の典型的な設計のブロック図を示す。無線デバイス600は、RFIC610及びASIC650を含む。ASIC650は、プロセッサ、コントローラ、メモリ等を含み、単純化のためこれらは図6では図示されていない。
【0033】
図6に示す典型的な設計では、RFIC610は、フロントエンド・チューナ620、ADC630、クロッククリーンアップPLLとして使用される整数NのPLL640、及びフラクショナルNの周波数シンセサイザ660を含む。フロントエンド・チューナ620は、図1で上記述べたように動作し得るLNA622及び受信機回路624を含む。周波数シンセサイザ660は、非整数分周比の使用による突発的周波数ジャンプを有する第1クロック信号を生成し得る。PLL640は、周波数シンセサイザ660から第1クロック信号を受信して、ADC630への第2クロック信号を生成し得る。第2クロック信号は、整数分周比の使用により突発的周波数ジャンプを有さず、よって第1クロックよりも小さいスプリアスを含み得る。ADC630は、受信機回路624からのアナログベースバンド信号を、PLL640からの第2クロック信号でデジタル化して、デジタルサンプルをASIC650の処理のために供給する。
【0034】
図2及び6に示すように、整数NのPLLは、高周波数スプリアスを大幅に削減し、よってLNAの入力で観測されるバンド内スプリアスを低減するために、ADCクロック信号についてのクリーンアップPLLとして使用され得る。整数NのPLLは、シンプルなデジタルPLL設計によって実装され(例えば、図3、4、及び5のように)、そして占める面積は小さく、消費する更なる電流も小さいだろう。整数NのPLLは、突発的周波数ジャンプによる拡散スプリアスを有する第1クロック信号を受信し、そしてこのスプリアスを低い閉ループバンド幅でクリーンアップし得る。整数NのPLLは、クリーンな第2クロック信号をADCへ供給し得る。
【0035】
典型的な一設計では、例えば図2に示すように、集積回路は、PLL及びADCを備え得る。PLLは、突発的周波数ジャンプによるスプリアスを有する第1クロック信号(CLK1)を受信し、そして例えば突発的周波数ジャンプを有しないことでスプリアスの低減された第2クロック信号(CLK2)を供給し得る。第1クロック信号は、集積回路外部にあり得る(例えば図2に示すように)、または集積回路内部にあり得る(例えば図6に示すように)フラクショナルNの周波数シンセサイザによって生成され得る。いずれの場合も、第1クロック信号における突発的周波数ジャンプは、例えば図7Aに図示したように、周波数シンセサイザにおけるフラクショナル分周比の使用に起因し得る。第2クロック信号は、整数分周比に基づいてPLLによって生成され、そして例えば図7Bに図示するように、整数分周比の使用により突発的周波数ジャンプを含まないだろう。
【0036】
ADCは、アナログベースバンド信号を第2クロック信号に基づいてデジタル化し、デジタルサンプルを供給し得る。集積回路は更に、LNA及び受信機回路を備え得る。LNAは、入力RF信号を受信し増幅し、そして増幅されたRF信号を供給し得る。受信機回路は、増幅されたRF信号を処理し、アナログベースバンド信号をADCに供給し得る。LNAは、第1クロック信号をクリーンアップするためのPLLの使用により、集積回路の基板を介して結合するスプリアスの減少を観測し得る。
【0037】
典型的な一設計では、PLLは、例えば図3に示すように、位相−周波数検出器、チャージポンプ、ループフィルタ、VCO、及び分周器を備え得る。位相−周波数検出器は、第1クロック信号及びフィードバック信号を受信し、そして第1クロック信号とフィードバック信号との間の位相誤差を示す第1及び第2検出器出力信号(例えばUp及びDown信号)を供給し得る。チャージポンプは、第1及び第2検出器出力信号を受信し、電流信号を供給し得る。ループフィルタは、この電流信号をフィルタリングして、制御信号(例えばVctrl信号)を供給し得る。VCOは、制御信号を受信して、この制御信号によって決まる周波数を有する発振器信号を供給し得る。分周器は、整数の分周比で発振器信号を周波数分割して、分周器出力信号を供給し得る。PLLは更に、プログラマブルな遅延によって分周器出力信号を遅延させ、フィードバック信号を供給するプログラマブル遅延ユニットを備え得る。プログラマブルな遅延は、第2クロック信号の位相を第1クロック信号の位相に対して調整するように選択され得る。
【0038】
典型的な一設計では、VCOは、例えば図5に示すように、ループに結合された複数の可変遅延セルを備え得る。各可変遅延セルは、ループフィルタからの制御信号で決定される可変の遅延を有し得る。VCO及びPLLはまた、その他の設計で実装されても良い。
【0039】
典型的な一設計では、PLLは、フラクショナルNの周波数シンセサイザの閉ループバンド幅よりも、少なくとも2の因数だけ(例えば10の因数)小さい閉ループバンド幅を有し得る。PLLのより小さい閉ループバンド幅により、第1クロック信号における望ましくないスプリアスの更なる減衰が得られ得る。典型的な一設計では、例えば図7Bに示すように、第1及び第2クロック信号は同じ周波数を有し得る。別の典型的な設計では、第1クロック信号は、第2クロック信号の第2周波数に整数比で関連づけられ得る第1周波数を有し得る。
【0040】
典型的な一設計では、装置は第1及び第2集積回路を備え得る。第1集積回路(例えば図2のASIC250)は、第1クロック信号を供給し得るフラクショナルNの周波数シンセサイザを備え得る。第2集積回路(例えば図2のRFIC210)は、第1集積回路に結合され、PLL及びADCを備え得る。PLLは、第1クロック信号を受信し、第2クロック信号を供給し得る。ADCは、第2クロック信号に基づいてアナログベースバンド信号をデジタル化して、デジタルサンプルを供給し得る。第2集積回路は更に、LNA及び受信機回路を備え得る。LNAは、入力RF信号を受信して増幅し、そして増幅されたRF信号を供給し得る。受信機回路は、増幅されたRF信号を処理し、そしてアナログベースバンド信号をADCに供給し得る。LNAは、第1クロック信号をクリーンアップするPLLの使用により、第2集積回路の基板を介して結合されたより小さいスプリアスを観測し得る。
【0041】
図9は、集積回路上に実装された受信機を動作させる処理900の典型的な設計を示す。突発的周波数ジャンプによるスプリアスを有する第1クロック信号が、例えば同じ集積回路または別の集積回路上に実装されたフラクショナルNの周波数シンセサイザから受信され得る(ブロック912)。第1クロック信号は、参照信号、並びに第1クロック信号の周波数と参照信号の周波数との間の非整数分周比に基づいて生成され得る。低減されたスプリアスを有する第2クロック信号は、第1クロック信号に基づいて、例えば集積回路上に実装された整数NのPLLによって生成され得る(ブロック914)。PLLは、第1クロック信号のスプリアスを十分に減衰させるために、フラクショナルNの周波数シンセサイザの閉ループバンド幅よりも、例えば少なくとも2の因数だけ小さい閉ループバンド幅で動作し得る。アナログベースバンド信号は、デジタルサンプルを得るため、第2クロック信号に基づいてデジタル化され得る(ブロック916)。
【0042】
本明細書で述べられたクロッククリーンアップPLLは、IC、アナログIC、RFIC、mixed-signal IC、ASIC、プリント回路基板(PCB)、電子デバイス等の上に実装され得る。クロッククリーンアップPLLはまた、相補型金属酸化物半導体(CMOS)、NMOS、PMOS、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、バイポーラCMOS(BiCMOS)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、ガリウム砒素(GaAs)等のような、種々のICプロセスで製造され得る。
【0043】
本明細書で述べられたクロッククリーンアップPLLを実装する装置は、スタンドアローンのデバイスであっても良いし、または大型のデバイスの一部であっても良い。デバイスは、(i)スタンドアローンIC、(ii)データ及び/または命令を記憶するメモリICを含み得る1つまたはそれ以上のICのセット、(iii)RF受信機(RFR)またはRF送信機/受信機(RTR)のようなRFIC、(iv)モバイルステーションモデム(MSM)のようなASIC、(v)その他のデバイス内部に組み込まれ得るモジュール、(vi)受信機、携帯電話、無線デバイス、ハンドセット、またはモバイルユニット、(vii)その他、であり得る。
【0044】
1つまたはそれ以上の典型的な設計では、述べられた機能はハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはその任意の組合せで実装され得る。ソフトウェアで実装される場合、それらの機能は1つまたはそれ以上の命令またはコードとして、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶され、或いは伝送され得る。コンピュータ読み取り可能な媒体は、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの持ち運びを助ける任意の媒体を含むコンピュータ記憶メディア及び通信メディアの双方を含む。記録媒体は、コンピュータによってアクセスできる任意の利用可能な媒体であって良い。例として、これに限定するもので無いものとして、このようなコンピュータ読み取り可能な媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMまたは光ディスク媒体、磁気ディスク媒体または他の磁気記録デバイス、または命令またはデータ構造の形で所望のプログラムコードを運びまたは保持するために使用され、そしてコンピュータによってアクセスできる他の任意の媒体を含むことが出来る。また、あらゆる接続が、適切にコンピュータ読み取り可能な媒体と呼ばれる。例えば、そのソフトウェアが同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、或いは赤外線、無線、及びマイクロ波といった無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、または遠隔源から送信されるならば、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、或いは赤外線、無線、及びマイクロ波といった無線技術は、媒体の定義に含まれる。本明細書で使用されるディスク(disk and disc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク(登録商標)、光学ディスク、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、及びブルーレイディスクを含み、ディスク(disk)は、一般的に、磁気によってデータを再生し、ディスク(disc)はレーザによって光学的にデータを再生する。上記の組合せもまたコンピュータ読み取り可能な媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0045】
本開示の上記説明は、当業者に本開示の製造及び使用を可能にするために与えられる。この開示の種々の変形が、当業者には容易に明白であろう。そして本明細書で定義された包括的な原理は、この開示の範囲から逸脱することなく、その他の変形に適用され得る。よって、この開示は、本明細書に述べられた例及び設計に限定されることを意図されないが、本明細書で開示された新規な特徴と原理に一致する最も広い範囲に許容される。
【0046】
特許請求の範囲は以下の通りである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
突発的周波数ジャンプ(abrupt frequency jump)によるスプリアス(spurs)を有する第1クロック信号を受信し、低減されたスプリアスを有する第2クロック信号を供給する位相ロックループ(PLL)と、
前記第2クロック信号に基づいてアナログベースバンド信号をデジタル化し、デジタルサンプルを供給するアナログ/デジタルコンバータ(ADC)と
を備える集積回路。
【請求項2】
前記第1クロック信号は、前記集積回路外部のフラクショナルNの周波数シンセサイザ(fractional-N frequency synthesizer)によって生成され、
前記第1クロック信号における前記突発的周波数ジャンプは、前記周波数シンセサイザにおけるフラクショナル分周比(fractional divider ratio)の使用に起因する、請求項1の集積回路。
【請求項3】
参照信号を受信するフラクショナルNの周波数シンセサイザを更に備え、
前記周波数シンセサイザは、該周波数シンセサイザにおけるフラクショナル分周比の使用による突発的周波数ジャンプを有する前記第1クロック信号を供給する、請求項1の集積回路。
【請求項4】
前記第2クロック信号は、整数の分周比に基づいて前記PLLによって生成される、請求項1の集積回路。
【請求項5】
入力無線周波数(RF)信号を受信して増幅し、増幅されたRF信号を供給する低ノイズ増幅器(LNA)と、
前記増幅されたRF信号を処理して、アナログベースバンド信号を前記ADCに供給する受信機回路と
を更に備える請求項1の集積回路。
【請求項6】
前記PLLは、
前記第1クロック信号及びフィードバック信号を受信し、前記第1クロック信号と前記フィードバック信号との間の位相誤差(phase error)を示す第1及び第2検出器出力信号を供給する位相−周波数検出器と、
前記第1及び第2検出器出力信号を受信して、電流信号を供給するチャージポンプと、
前記電流信号をフィルタリングして、制御信号を供給するループフィルタと、
前記制御信号を受信して、該制御信号によって決定される周波数を有する発振器信号を供給する電圧制御発振器(VCO)と
を備える請求項1の集積回路。
【請求項7】
前記PLLは、前記発振器信号を整数の分周比で周波数分割し、前記第2クロック信号を得るために使用される分周器出力信号を供給する分周器を更に備える、請求項6の集積回路。
【請求項8】
前記PLLは、前記分周器出力信号を受信して、プログラマブルな遅延によって遅延させ、前記フィードバック信号を供給するプログラマブルな遅延ユニットを更に備える、請求項7の集積回路。
【請求項9】
前記PLLは、ループに結合された複数の遅延セルを備える電圧制御発振器(VCO)を備え、
各遅延セルは、前記PLLからの制御信号によって決定される可変の遅延を有する、請求項1の集積回路。
【請求項10】
前記PLLは、前記フラクショナルNの周波数シンセサイザの閉ループバンド幅よりも少なくとも2の因数だけ小さい閉ループバンド幅を有する、請求項2の集積回路。
【請求項11】
前記第1及び第2クロック信号は同じ周波数を有する、請求項1の集積回路。
【請求項12】
前記第1クロック信号は、前記第2クロック信号の第2周波数に整数比で関連づけられた第1周波数を有する、請求項1の集積回路。
【請求項13】
第1クロック信号を供給するフラクショナルNの周波数シンセサイザ(fractional-N frequency synthesizer)を備える第1集積回路と、
前記第1集積回路に結合された第2集積回路と
を備え、前記第2集積回路は、
前記第1クロック信号を受信して、第2クロック信号を供給する位相ロックループ(PLL)と、
前記第2クロック信号に基づいてアナログベースバンド信号をデジタル化し、デジタルサンプルを供給するアナログ/デジタルコンバータ(ADC)と
を備える装置。
【請求項14】
前記第1クロック信号は、前記周波数シンセサイザにおけるフラクショナルの分周比の使用に起因する突発的周波数ジャンプ(abrupt frequency jump)によるスプリアス(spurs)を有し、
前記第2クロック信号は、前記PLLにおける整数の分周比の使用による低減されたスプリアスを有する、請求項13の装置。
【請求項15】
入力無線周波数(RF)信号を受信して増幅し、増幅されたRF信号を供給する低ノイズ増幅器(LNA)と、
前記増幅されたRF信号を処理して、アナログベースバンド信号を前記ADCに供給する受信機回路と
を更に備える請求項13の装置。
【請求項16】
前記PLLは、前記フラクショナルNの周波数シンセサイザの閉ループバンド幅よりも少なくとも2の因数だけ小さい閉ループバンド幅を有する、請求項13の装置。
【請求項17】
突発的周波数ジャンプ(abrupt frequency jump)によるスプリアス(spurs)を有する第1クロック信号を受信することと、
前記第1クロック信号に基づいて、低減されたスプリアスを有する第2クロック信号を生成することと、
デジタルサンプルを得るために、前記第2クロック信号に基づいてアナログベースバンド信号をデジタル化することと
を備える方法。
【請求項18】
参照信号、並びに前記第1クロック信号の第1周波数と前記参照信号の第2周波数との間の非整数の分周比に基づいて、前記第1クロック信号を生成すること、を更に備える請求項17の方法。
【請求項19】
前記第1クロック信号を受信することは、第1集積回路上のフラクショナルNの周波数シンセサイザ(fractional-N frequency synthesizer)から第1クロック信号を受信すること、を備え、
前記第2クロック信号を生成することは、第2集積回路上の位相ロックループ(PLL)で前記第2クロック信号を生成すること、を備える請求項17の方法。
【請求項20】
前記フラクショナルNの周波数シンセサイザの閉ループバンド幅よりも少なくとも2の因数だけ小さい閉ループバンド幅で前記PLLを動作させること、を更に備える請求項19の方法。
【請求項21】
突発的周波数ジャンプ(abrupt frequency jump)によるスプリアス(spurs)を有する第1クロック信号を受信する手段と、
前記第1クロック信号に基づいて、低減されたスプリアスを有する第2クロック信号を生成する手段と、
デジタルサンプルを得るために、前記第2クロック信号に基づいてアナログベースバンド信号をデジタル化する手段と
を備える装置。
【請求項22】
参照信号、並びに前記第1クロック信号の第1周波数と前記参照信号の第2周波数との間の非整数の分周比に基づいて、前記第1クロック信号を生成する手段、を更に備える請求項21の装置。
【請求項23】
前記第1クロック信号を受信する手段は、第1集積回路上のフラクショナルNの周波数シンセサイザ(fractional-N frequency synthesizer)から第1クロック信号を受信する手段、を備え、
前記第2クロック信号を生成する手段は、第2集積回路上の位相ロックループ(PLL)で前記第2クロック信号を生成する手段、を備える請求項21の装置。
【請求項24】
前記フラクショナルNの周波数シンセサイザの閉ループバンド幅よりも少なくとも2の因数だけ小さい閉ループバンド幅で前記PLLを動作させる手段、を更に備える請求項23の装置。
【請求項25】
少なくとも1つのコンピュータに対して、突発的周波数ジャンプ(abrupt frequency jump)によるスプリアス(spurs)を有する第1クロック信号を受信させるためのコードと、
前記少なくとも1つのコンピュータに対して、前記第1クロック信号に基づいて、低減されたスプリアスを有する第2クロック信号を生成させるためのコードと、
前記少なくとも1つのコンピュータに対して、デジタルサンプルを得るためにアナログベースバンド信号をデジタル化するため、アナログ/デジタルコンバータに前記第2クロック信号を供給させるためのコードと
を備えるコンピュータ読み取り可能な媒体、を備えるコンピュータプログラム製品。
【請求項1】
突発的周波数ジャンプ(abrupt frequency jump)によるスプリアス(spurs)を有する第1クロック信号を受信し、低減されたスプリアスを有する第2クロック信号を供給する位相ロックループ(PLL)と、
前記第2クロック信号に基づいてアナログベースバンド信号をデジタル化し、デジタルサンプルを供給するアナログ/デジタルコンバータ(ADC)と
を備える集積回路。
【請求項2】
前記第1クロック信号は、前記集積回路外部のフラクショナルNの周波数シンセサイザ(fractional-N frequency synthesizer)によって生成され、
前記第1クロック信号における前記突発的周波数ジャンプは、前記周波数シンセサイザにおけるフラクショナル分周比(fractional divider ratio)の使用に起因する、請求項1の集積回路。
【請求項3】
参照信号を受信するフラクショナルNの周波数シンセサイザを更に備え、
前記周波数シンセサイザは、該周波数シンセサイザにおけるフラクショナル分周比の使用による突発的周波数ジャンプを有する前記第1クロック信号を供給する、請求項1の集積回路。
【請求項4】
前記第2クロック信号は、整数の分周比に基づいて前記PLLによって生成される、請求項1の集積回路。
【請求項5】
入力無線周波数(RF)信号を受信して増幅し、増幅されたRF信号を供給する低ノイズ増幅器(LNA)と、
前記増幅されたRF信号を処理して、アナログベースバンド信号を前記ADCに供給する受信機回路と
を更に備える請求項1の集積回路。
【請求項6】
前記PLLは、
前記第1クロック信号及びフィードバック信号を受信し、前記第1クロック信号と前記フィードバック信号との間の位相誤差(phase error)を示す第1及び第2検出器出力信号を供給する位相−周波数検出器と、
前記第1及び第2検出器出力信号を受信して、電流信号を供給するチャージポンプと、
前記電流信号をフィルタリングして、制御信号を供給するループフィルタと、
前記制御信号を受信して、該制御信号によって決定される周波数を有する発振器信号を供給する電圧制御発振器(VCO)と
を備える請求項1の集積回路。
【請求項7】
前記PLLは、前記発振器信号を整数の分周比で周波数分割し、前記第2クロック信号を得るために使用される分周器出力信号を供給する分周器を更に備える、請求項6の集積回路。
【請求項8】
前記PLLは、前記分周器出力信号を受信して、プログラマブルな遅延によって遅延させ、前記フィードバック信号を供給するプログラマブルな遅延ユニットを更に備える、請求項7の集積回路。
【請求項9】
前記PLLは、ループに結合された複数の遅延セルを備える電圧制御発振器(VCO)を備え、
各遅延セルは、前記PLLからの制御信号によって決定される可変の遅延を有する、請求項1の集積回路。
【請求項10】
前記PLLは、前記フラクショナルNの周波数シンセサイザの閉ループバンド幅よりも少なくとも2の因数だけ小さい閉ループバンド幅を有する、請求項2の集積回路。
【請求項11】
前記第1及び第2クロック信号は同じ周波数を有する、請求項1の集積回路。
【請求項12】
前記第1クロック信号は、前記第2クロック信号の第2周波数に整数比で関連づけられた第1周波数を有する、請求項1の集積回路。
【請求項13】
第1クロック信号を供給するフラクショナルNの周波数シンセサイザ(fractional-N frequency synthesizer)を備える第1集積回路と、
前記第1集積回路に結合された第2集積回路と
を備え、前記第2集積回路は、
前記第1クロック信号を受信して、第2クロック信号を供給する位相ロックループ(PLL)と、
前記第2クロック信号に基づいてアナログベースバンド信号をデジタル化し、デジタルサンプルを供給するアナログ/デジタルコンバータ(ADC)と
を備える装置。
【請求項14】
前記第1クロック信号は、前記周波数シンセサイザにおけるフラクショナルの分周比の使用に起因する突発的周波数ジャンプ(abrupt frequency jump)によるスプリアス(spurs)を有し、
前記第2クロック信号は、前記PLLにおける整数の分周比の使用による低減されたスプリアスを有する、請求項13の装置。
【請求項15】
入力無線周波数(RF)信号を受信して増幅し、増幅されたRF信号を供給する低ノイズ増幅器(LNA)と、
前記増幅されたRF信号を処理して、アナログベースバンド信号を前記ADCに供給する受信機回路と
を更に備える請求項13の装置。
【請求項16】
前記PLLは、前記フラクショナルNの周波数シンセサイザの閉ループバンド幅よりも少なくとも2の因数だけ小さい閉ループバンド幅を有する、請求項13の装置。
【請求項17】
突発的周波数ジャンプ(abrupt frequency jump)によるスプリアス(spurs)を有する第1クロック信号を受信することと、
前記第1クロック信号に基づいて、低減されたスプリアスを有する第2クロック信号を生成することと、
デジタルサンプルを得るために、前記第2クロック信号に基づいてアナログベースバンド信号をデジタル化することと
を備える方法。
【請求項18】
参照信号、並びに前記第1クロック信号の第1周波数と前記参照信号の第2周波数との間の非整数の分周比に基づいて、前記第1クロック信号を生成すること、を更に備える請求項17の方法。
【請求項19】
前記第1クロック信号を受信することは、第1集積回路上のフラクショナルNの周波数シンセサイザ(fractional-N frequency synthesizer)から第1クロック信号を受信すること、を備え、
前記第2クロック信号を生成することは、第2集積回路上の位相ロックループ(PLL)で前記第2クロック信号を生成すること、を備える請求項17の方法。
【請求項20】
前記フラクショナルNの周波数シンセサイザの閉ループバンド幅よりも少なくとも2の因数だけ小さい閉ループバンド幅で前記PLLを動作させること、を更に備える請求項19の方法。
【請求項21】
突発的周波数ジャンプ(abrupt frequency jump)によるスプリアス(spurs)を有する第1クロック信号を受信する手段と、
前記第1クロック信号に基づいて、低減されたスプリアスを有する第2クロック信号を生成する手段と、
デジタルサンプルを得るために、前記第2クロック信号に基づいてアナログベースバンド信号をデジタル化する手段と
を備える装置。
【請求項22】
参照信号、並びに前記第1クロック信号の第1周波数と前記参照信号の第2周波数との間の非整数の分周比に基づいて、前記第1クロック信号を生成する手段、を更に備える請求項21の装置。
【請求項23】
前記第1クロック信号を受信する手段は、第1集積回路上のフラクショナルNの周波数シンセサイザ(fractional-N frequency synthesizer)から第1クロック信号を受信する手段、を備え、
前記第2クロック信号を生成する手段は、第2集積回路上の位相ロックループ(PLL)で前記第2クロック信号を生成する手段、を備える請求項21の装置。
【請求項24】
前記フラクショナルNの周波数シンセサイザの閉ループバンド幅よりも少なくとも2の因数だけ小さい閉ループバンド幅で前記PLLを動作させる手段、を更に備える請求項23の装置。
【請求項25】
少なくとも1つのコンピュータに対して、突発的周波数ジャンプ(abrupt frequency jump)によるスプリアス(spurs)を有する第1クロック信号を受信させるためのコードと、
前記少なくとも1つのコンピュータに対して、前記第1クロック信号に基づいて、低減されたスプリアスを有する第2クロック信号を生成させるためのコードと、
前記少なくとも1つのコンピュータに対して、デジタルサンプルを得るためにアナログベースバンド信号をデジタル化するため、アナログ/デジタルコンバータに前記第2クロック信号を供給させるためのコードと
を備えるコンピュータ読み取り可能な媒体、を備えるコンピュータプログラム製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【公表番号】特表2012−505609(P2012−505609A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531183(P2011−531183)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/060062
【国際公開番号】WO2010/042763
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/060062
【国際公開番号】WO2010/042763
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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