説明

グリシントランスポーター阻害活性を有する化合物

【課題】グリシン取り込み阻害作用に基づいた統合失調症、アルツハイマー病、認知機能障害、認知症、不安障害(全般性不安障害、パニック障害、強迫性障害、社会不安障害、外傷後ストレス障害、特定の恐怖症、急性ストレス障害等)、うつ病、薬物依存、痙攣、振戦、及び睡眠障害等の疾患の予防又は治療に対して有用な新規な化合物又はその塩を提供することである。
【解決手段】式[I]


で表される化合物又はその医薬上許容される塩又はこれらの水和物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリシントランスポーター阻害作用を有する化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
グルタミン酸受容体の一つであるNMDA受容体は脳内の神経細胞膜上に存在しており、神経の可塑性、認知、注意、記憶など様々な神経生理学的な現象に関わっている。NMDA受容体には複数のアロステリック結合部位が存在し、グリシン結合部位もその1つである(NMDA受容体複合体グリシン結合部位)。NMDA受容体複合体グリシン結合部位はNMDA受容体の活性化に関与していることが報告されている(非特許文献1)。
【0003】
グリシン作動性神経のシナプス前終末に活動電位が到達するとシナプス間隙へのグリシンの放出が開始される。放出されたグリシンはシナプス後部の受容体等と結合した後、トランスポーターによりシナプス間隙から取り除かれる。このことよりグリシンのトランスポーターは細胞外液にあるグリシン量を調節することでNMDA受容体の機能を調節していると考えられている。
【0004】
グリシントランスポーター(GlyT)は細胞外グリシンの細胞内への再取り込みに関わっているタンパクであり、現在までにGlyT1及びGlyT2の二つのサブタイプの存在が明らかとなっている。GlyT1は主に大脳皮質、海馬及び視床等に発現しており、統合失調症、アルツハイマー病、認知機能障害、認知症、不安障害(全般性不安障害、パニック障害、強迫性障害、社会不安障害、外傷後ストレス障害、特定の恐怖症、急性ストレス障害等)、うつ病、薬物依存、痙攣、振戦、及び睡眠障害等の疾患との関連が報告されている(非特許文献2〜4)。
【0005】
GlyT1阻害作用を有する化合物は以下の特許文献において報告がされている(特許文献1〜7)。
【0006】
【特許文献1】WO2006/067414
【特許文献2】WO2006/067417
【特許文献3】WO2006/067423
【特許文献4】WO2006/067430
【特許文献5】WO2006/067437
【特許文献6】WO2007/080159
【特許文献7】WO2007/113309
【非特許文献1】Molecular Psychiatry (2004) 9, 984-997
【非特許文献2】Current Medicinal Chemistry, 2006, 13, 1017-1044
【非特許文献3】Neuropsychopharmacology (2005), 1-23
【非特許文献4】Expert Opinion on Therapeutic Patents (2004) 14 (2) 201-214
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、グリシン取り込み阻害作用に基づいた統合失調症、アルツハイマー病、認知機能障害、認知症、不安障害(全般性不安障害、パニック障害、強迫性障害、社会不安障害、外傷後ストレス障害、特定の恐怖症、急性ストレス障害等)、うつ病、薬物依存、痙攣、振戦、又は睡眠障害等の疾患の予防又は治療に有用な新規な化合物又はその塩、或いは、該化合物又は塩の水和物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らはGlyT1に対し阻害作用を有する新規な骨格の化合物につき鋭意検討した結果、下記に示す式で表される化合物が優れたGlyT1阻害剤であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の態様(以下、「本発明化合物」という)は以下に示すものである。
【0010】
本発明の一態様は、式[I]
【0011】
【化1】

【0012】
[式中、
環Aは、フェニル、ナフチル、又は「窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択される1若しくは2個のヘテロ原子を環内原子として有する単環又は二環の芳香環」であり(ここで、該フェニル、ナフチル及び「窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択される1若しくは2個のヘテロ原子を環内原子として有する単環又は二環の芳香環」は、それぞれ無置換、又はC1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、シアノ、C1-6アルコキシ、ハロゲン、C1-6アルカノイル、C1-6アルキルスルホニルアミノ及びC2-7アルコキシカルボニルからなる群から選ばれる1から3個の置換基で置換されている。)、
Ar1はフェニル、ナフチル、又は「窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択される1若しくは2個のヘテロ原子を環内原子として有する単環又は二環の芳香環」であり(ここで、該フェニル、ナフチル、及び「窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択される1若しくは2個のヘテロ原子を環内原子として有する単環又は二環の芳香環」は、それぞれ無置換、或いはヒドロキシ、ハロゲン、C1-6アルキル、C1-6アルキルチオ、C1-6ハロアルキル、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6アルカノイル、C1-6ハロアルカノイル、C1-6ハロアルコキシ、C3-8シクロアルキル、ニトロ、アミノ、アミノスルホニル及びカルバモイルからなる群から選ばれる1から3個の置換基で置換されているか、又はメチレンジオキシで置換されている。)、
1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、C1-6アルキル、C2-6アルケニル(ここで、該C1-6アルキル及びC2-6アルケニルは、それぞれ無置換、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C3-8シクロアルキル及びC6-10アリールからなる群から選ばれる1から3個の置換基で置換されている。)、又はC3-8シクロアルキルであり、或いは、R1とR2は結合する窒素原子と共に、4〜7員の飽和又は一部不飽和の環状構造(該環状構造中に、O、N、又は、S(O)mから選ばれるヘテロ原子をさらに含んでも良い。また、該環状構造は1から3個のYによって置換されても良い。)を形成してもよく、
Yは、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、又はC6-10アリールであり、或いは環状構造の2つの原子間にメチレン、又はエチレンを形成してもよく、
mは0,1又は2であり、
3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル、C2-6アルケニル(ここで、該C1-6アルキル及び該C2-6アルケニルは、それぞれ無置換、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、C3-8シクロアルキル、C1-6アルキルチオ、及びC6-10アリールから選ばれる1から3個の置換基で置換されている。)、又はC3-8シクロアルキルであり、或いは、R3とR4は結合する炭素原子と共に、4〜7員の飽和又は一部不飽和の環状構造(該環状構造中に、O、N、又は、S(O)nから選ばれるヘテロ原子をさらに含んでも良い。また、該環状構造は1から3個のXによって置換されても良い。)を形成してもよく、
Xは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、又はC6-10アリールであり、
nは0,1又は2であり、
5は水素原子、C1-6アルキル、又はハロゲンである。]で表される化合物又はその医薬上許容される塩又はこれらの水和物に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明化合物はグリシントランスポーター(GlyT1)阻害活性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
「窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択される1若しくは2個のヘテロ原子を環内原子として有する単環又は二環の芳香環」とは、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択される同一又は異なる1又は2個の原子を環内に有する単環(例えば、5員若しくは6員環)又は二環(例えば、環形成原子数が8〜10)の複素環芳香族基を意味し、例えば、ピロリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、フリル、イソオキサゾリル、チエニル、チアゾリル、インドリル、キノリル、イソキノリルを挙げることができる。
【0015】
「1若しくは2個の窒素原子を環内原子として有する単環の芳香環」としては、1又は2個の窒素原子を環内に有する単環(例えば、5員若しくは6員環)の複素環芳香族基を意味し、例えば、ピロリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラゾリル、イミダゾリルを挙げることができる。
【0016】
「1個の窒素原子を環内原子として有する単環又は二環の芳香環」としては、1個の窒素原子を環内に有する単環(例えば、5員若しくは6員環)又は二環(例えば、環形成原子数が8〜10)の複素環芳香族基を意味し、例えば、ピロリル、ピリジル、インドリル、キノリル、イソキノリルを挙げることができる。
本明細書において用いる「C1-6アルキル」とは直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6個のアルキル基を意味し、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルを挙げることができる。
【0017】
本明細書において用いる「ハロゲン(ハロ)」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子を意味する。
【0018】
本明細書において用いる「C1-6ハロアルキル」とはハロゲン原子で置換された直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6個のアルキル基を意味し、置換されるハロゲン原子の好ましい数は1〜3個であり、例えばフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチルを挙げることができる。
【0019】
本明細書において用いる「C1-6アルキルチオ」とは直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6個のアルキルチオ基を意味し、例えばメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ヘキシルチオを挙げることができる。
【0020】
本明細書において用いる「C1-6アルコキシ」とは直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6個のアルコキシ基を意味し、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブチルオキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ヘキシルオキシを挙げることができる。
【0021】
本明細書において用いる「C3-8シクロアルキル」とは、炭素数3〜8個の飽和の炭素環式環基を意味し、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチルを挙げることができる。
【0022】
本明細書において用いる「C1-6アルカノイル」とはカルボニル基と水素原子又は直鎖状若しくは分岐鎖状のC1-5アルキル若しくは環状のC3-5アルキルとが結合した基を意味し、例えばホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニルを挙げることができる。
【0023】
本明細書において用いる「C2-6アルケニル」とは二重結合を中にひとつ含む直鎖状又は分岐鎖状のC2-6アルケニルを意味し、例えばアリル、ブタ−2−エニルを挙げることができる。
【0024】
本明細書において用いる「C1-6アルキルスルホニルアミノ」とは上記C1−6アルキルとスルホニルアミノが結合した基を意味し、例えばメチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基をあげることができる。
【0025】
本明細書において用いる「C2-7アルコキシカルボニル」とは上記C1-6アルコキシとカルボニルが結合した基を意味し、例えばメトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニルを挙げることができる。
【0026】
本明細書において用いる「C1-6ハロアルカノイル」とはハロゲン原子で置換された直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6個のアルカノイル基を意味し、置換されるハロゲン原子の好ましい数は1〜3個であり、例えばフルオロアセチル、ジフルオロアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチルを挙げることができる。
【0027】
本明細書において用いる「C1-6ハロアルコキシ」とはハロゲン原子で置換された直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜6個のアルコキシ基を意味し、置換されるハロゲン原子の好ましい数は1〜3個であり、例えばフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシを挙げることができる。
【0028】
本明細書において用いる「C6-10アリール」とは、例えばフェニル、インデニル、アズレニル、ナフチルを挙げることができる。
【0029】
本明細書において用いる「結合する窒素原子と共に、4〜7員の飽和又は一部不飽和の環状構造(該環状構造中に、O、N、又は、S(O)mから選ばれるヘテロ原子をさらに含んでも良い。)」の例として、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、3−ピロリン環、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン環等を挙げることができる。
【0030】
本明細書において用いる「結合する炭素原子と共に、4〜7員の飽和又は一部不飽和の環状構造(該環状構造中に、O、N、又は、S(O)mから選ばれるヘテロ原子をさらに含んでも良い。)」の例として、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、テトラヒドロチオピラン環、ジオキシドテトラヒドロ−2H−チオピラン環、ピロリジン環、ピペリジン環等を挙げることができる。
【0031】
本明細書において用いる「結合する炭素原子と共に、5又は6員の環状構造(該環状構造中に、S(O)nを含んで環構造を形成しても良い。)」の例として、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、テトラヒドロチオピラン環、ジオキシドテトラヒドロ−2H−チオピラン環等を挙げることができる。
【0032】
本明細書中における「医薬上許容される塩」とは、薬剤的に許容することのできる酸付加塩を意味し、用いられる酸としては、硫酸、塩酸、臭化水素酸、硝酸及びリン酸等の無機酸、或いは、酢酸、シュウ酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、酒石酸、フマール酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸及びp−トルエンスルホン酸等の有機酸を挙げることができる。遊離体から当該塩への変換は従来の方法で行うことができる。
【0033】
式[I]の化合物は種々の合成方法によって製造することができる。以下の方法は、本発明化合物の製造法の例示であり、これに限定されるものではない。以下の一般的製造法中、各工程は場合に応じて入れ替えることができ、各工程において、窒素原子と水酸基は必要に応じて保護基で保護可能であり、次いで保護の必要がなくなれば保護基を除去可能である。
【0034】
一般的製造法中、P1はメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、又はベンジルオキシカルボニル基等のカルバマートを形成する窒素原子の保護基(Theodora W.Greene and Peter G.M.Wuts「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis Third Edition)」;Wiley−Interscience参照)であり、P2はメチル基、ベンジル基、又はtert−ブチルジメチルシリル基等のフェノール水酸基の保護基(同上資料参照)であり、P3はピバロイル基等の水酸基の保護基であり(同上資料参照)、X1は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基、又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基であり、X2は塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。その他の記号は全て既に定義した通りである。「不活性溶媒」とは例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール等のアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類、ペンタン、ヘキサン、トルエン、ベンゼン、キシレン等の炭化水素類、酢酸エチル、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭素系溶媒、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、水又はこれらの混合溶媒等であり、「塩基」とは、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジンなどのアミン;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水素化ナトリウムなどの無機塩基;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシドなどの金属アルコラート;ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジドなどの金属アミド;n−ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、メチルリチウムなどのアルキルリチウム;及び臭化メチルマグネシウムなどのグリニャール試薬であり、「酸」とは、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸及びリン酸等の無機酸類、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸等の有機酸類である。
一般的製造法1
【0035】
【化2】

【0036】
工程1:不活性溶媒中塩基の存在下又は非存在下化合物(1)に対してN,O−ジメチルヒドロキシアミンを用いてアミド化反応を行うことにより化合物(2)を得ることができる。ここでアミド化反応とは当業者に公知である多くの標準的な手順により実施することができ、例えばクロロ炭酸エチル、クロロ炭酸イソブチル、又はピバロイルクロリド等を用いた混合無水物経由のアミド化、或いは1−(3,3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジフェニルホスホリルアジド、シアノリン酸ジエチル、カルボニルジイミダゾール、又はベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート(BOP試薬)等の縮合剤を用いたアミド化を挙げることができる。このアミド化の際、必要に応じて1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)等の添加剤を使用することもできる。
【0037】
化合物(1)には、アミノ基部分がベンジルオキシカルボニル基、又はtert−ブトキシカルボニル基で置換された市販のアミノ酸を使用することができる。例えば、ベンジルオキシカルボニル化されたアラニン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、バリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、ヒスチジンを挙げることができる。また、市販の2位の水酸基がベンジル基で保護されたN−tert−ブトキシカルボニルセリン又はインドールの窒素原子がホルミル基で保護されたN−tert−ブトキシカルボニルトリプトファンなどの、NH又はOHが保護されたアミノ酸を用いることもできる。この場合、適宜ベンジル基やホルミル基の脱保護を行い化合物(14)を製造することができる。
【0038】
工程2:不活性溶媒中塩基の存在下又は非存在下、化合物(2)に対して化合物(A)を反応させることにより化合物(3)を得ることができる。
【0039】
工程3:化合物(B)を金属又はアルキルリチウム試薬を用いて金属試薬に変換した後、不活性溶媒中化合物(3)と反応させることにより化合物(4)を得ることができる。ここで金属とは例えばマグネシウム又は亜鉛を挙げることができ、アルキルリチウム試薬とは例えばn−ブチルリチウム、sec―ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、フェニルリチウム試薬を挙げることができる。
【0040】
工程4:不活性溶媒中化合物(4)に対して還元剤を反応させることにより化合物(5)を得ることができる。ここで、還元剤とはカルボニル基を還元して水酸基に変換することができる試薬であり、例えば、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カルシウム、トリエチル水素化ホウ素リチウム、トリ−sec-ブチル水素化ホウ素リチウム、トリ−sec-ブチル水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素亜鉛、ボラン、トリメトキシ水素化ホウ素リチウム、トリアセトキシ水素化ホウ素リチウム、ホウ素水素化テトラメチルアンモニウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムナトリウム、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、トリクロロシラン等を挙げることができる。
【0041】
工程5:P3がピバロイル基の場合、不活性溶媒中塩基の存在下又は非存在下化合物(5)に対してピバロイルクロリドを反応させることにより化合物(6)を得ることができる。P3がその他の保護基の場合はTheodora W.Greene and Peter G.M.Wuts「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis Third Edition)」に記載の手法により化合物(6)を得ることができる。
【0042】
工程6:不活性溶媒中化合物(6)に対して酸又は塩基による加水分解、或いは、Theodora W.Greene and Peter G.M.Wuts「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis Third Edition)」に記載の脱保護の反応により化合物(7)を得ることができる。
【0043】
工程7:一般的製造法1中の工程2と同様の手法により化合物(7)を化合物
(8)に変換することができる。
【0044】
工程8:P3がピバロイル基の場合は不活性溶媒中水素化アルミニウムリチウム、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、又は水素化ジイソブチルアルミニウム等の還元剤による脱保護を行うか、或いは、Theodora W.Greene and Peter G.M.Wuts「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis Third Edition)」に記載の手法により脱保護を行い、化合物(9)を得ることができる。P3がそれ以外の保護基の場合は同著に記載の手法にて化合物(9)を得ることができる。
【0045】
工程9:不活性溶媒中塩基の存在下又は非存在下化合物(9)に対してスルホニル化剤を反応させた後、アンモニアを反応させることにより化合物(10)を得ることができる。スルホニル化剤とは水酸基をスルホニル化することができる試薬であり、例えば塩化p−トルエンスルホニル、塩化メタンスルホニル、p−トルエンスルホン酸無水物、メタンスルホン酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、N−フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)を挙げることができる。
【0046】
工程10:不活性溶媒中塩基の存在下又は非存在下化合物(10)に対して化合物(D)とアミド化反応を行うことにより化合物(11)を得ることができる。ここでアミド化とは工程1で記載した方法と同様の方法である。
【0047】
化合物(D)は、例えば、市販の1,3−ベンゾジオキソール−4−カルボン酸、1,3−ベンゾジオキソール−4−カルボン酸、1−ブロモナフタレン−2−カルボン酸、1−ベンゾフラン−3−カルボン酸、2−メチル安息香酸、2−(1−メチルエチル)安息香酸、2−(トリフルオロメチル)キノリン−4−カルボン酸、2−(トリフルオロメチル)安息香酸、2−(トリフルオロメチル)安息香酸、2−(メチルスルファニル)ピリジン−3−カルボン酸、2−(メチルスルファニル)安息香酸、2,3,5−トリクロロ安息香酸、2,3−ジメチル安息香酸、2,4,6−トリクロロ安息香酸、2,4,6−トリメチル安息香酸、2,4−ジクロロ−5−スルファモイル安息香酸、2,4−ジクロロ安息香酸、2,4−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸、2,5−ジクロロ安息香酸、2,5−ジメチル安息香酸、2,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸、2,6−ジエチル安息香酸、2,6−ジクロロ−3−(トリフルオロメチル)安息香酸、2,6−ジクロロ安息香酸、2,6−ジメチル安息香酸、2,6−ジメトキシ安息香酸、2−エトキシ−4−メトキシ安息香酸、2−クロロ−3−(トリフルオロメチル)安息香酸、2−クロロ−3−メチル安息香酸、2−クロロ−4−ニトロ安息香酸、2−クロロ−4−フルオロ安息香酸、2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)安息香酸、2−クロロ−5−メトキシ安息香酸、2−クロロ−6−メチル安息香酸、2−クロロキノリン−4−カルボン酸、2−クロロ安息香酸、2−シクロプロピルキノリン−4−カルボン酸、2−フラン−2−イルキノリン−4−カルボン酸、2−ブロモ−3−フルオロ安息香酸、2−ブロモ−6−メチル安息香酸、2−ブロモ安息香酸、2−メチル−3−(トリフルオロメチル)安息香酸、2−メチル−5−(トリフルオロメチル)安息香酸、2−メチル−5−(トリフルオロメチル)安息香酸、2−メチル−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−カルボン酸、2−メチルキノリン−4−カルボン酸、2−メトキシ−4,6−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸、2−メトキシ−6−メチル安息香酸、2−メトキシ安息香酸、2−ヨード安息香酸、3−(トリフルオロメチル)安息香酸、3,4−ジクロロ安息香酸、3’,5−ジクロロビフェニル−2−カルボン酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸、3,6−ジクロロ−2−メトキシ安息香酸、3,6−ジクロロ−2−メトキシ安息香酸、3−クロロ−2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−カルボン酸、3−クロロ−2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)安息香酸、3−クロロ−2−メチル安息香酸、3−クロロチオフェン−2−カルボン酸、3−クロロチオフェン−2−カルボン酸、及び4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−カルボン酸、3’−クロロビフェニル−2−カルボン酸、3−クロロピラジン−2−カルボン酸、3−クロロピラジン−2−カルボン酸、3−フルオロ−2−メチル安息香酸、3−ブロモ−2−メチル安息香酸、3−メチルピリジン−2−カルボン酸、3−メトキシ−2−メチル安息香酸、4−(3−メトキシフェニル)チオフェン−3−カルボン酸、4−(ジメチルアミノ)ナフタレン−1−カルボン酸、4−(トリフルオロアセチル)安息香酸、4−tert−ブチル−2,6−ジメチル安息香酸、4−アミノ−2−クロロ安息香酸、4−クロロ−1−メチル−1H−ピラゾール−5−カルボン酸、4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)安息香酸、4−シアノナフタレン−1−カルボン酸、4−フルオロ−2,6−ジメチル安息香酸、4−フルオロ−2−メトキシ安息香酸、4−メトキシ−2,3−ジメチル安息香酸、4−メトキシ−2,5−ジメチル安息香酸、4−メトキシ−2,6−ジメチル安息香酸、4−メトキシ−2−メチル安息香酸、4−メトキシナフタレン−1−カルボン酸、4−メトキシビフェニル−3−カルボン酸、5−クロロ−2−メトキシ安息香酸、5−フェニルチオフェン−2−カルボン酸、5−フェニルチオフェン−3−カルボン酸、5−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)安息香酸、5−フルオロ−2−メチル安息香酸、5−ブロモ−2,3,4−トリメチル安息香酸、6−ブロモ−2−フルオロ−3−メトキシ安息香酸、6−メトキシキノリン−4−カルボン酸、7−クロロ−2−(トリフルオロメチル)キノリン−4−カルボン酸、8−ブロモキノリン−4−カルボン酸、イソキノリン−1−カルボン酸、キノリン−4−カルボン酸、キノリン−5−カルボン酸、ナフタレン−1−カルボン酸、ナフタレン−2−カルボン酸、及びフェニル−2−カルボン酸を挙げることができる。また、例えば、文献(Synthesis,2004,1619−1624)記載のピリジンカルボン酸誘導体である、3−クロロ−2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−カルボン酸、5−クロロ−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−カルボン酸、5−クロロ−6−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−カルボン酸、及び5−ブロモ−2−(トリフルオロメチル)ピリジン−4−カルボン酸、文献(J.Org.Chem.1962, 27,4305−4309)記載の5−メチル−3−フェニルイソオキサゾール−4−カルボン、文献(J.Org.Chem.,2007,72,3419−3429)記載の2−クロロ−6−メトキシ安息香酸、文献(J.Org.Chem.1985,50,408−410)記載の2,4−ジクロロ−6−メトキシ安息香酸、文献(J.Am.Chem.Soc.1941,63,2645−2648)記載の2−メトキシ−4,6−ジメチル安息香酸、文献(Eur.J.Med.Chem.,1979,14,223−226)記載の5−メトキシ−1−ベンゾフラン−4−カルボン酸、文献(J.Med.Chem. 1995,38,3094−3105)記載の1−ベンゾフラン−4−カルボン酸、文献(J.Heterocycl.Chem.1977,14,219−224)記載の7−メトキシ−1−ベンゾフラン−4−カルボン酸、文献(J.Org.Chem.,1946, 11,27−33)記載の4−クロロナフタレン−1−カルボン酸、文献(J.Am.Chem.Soc.,1991,113,4931−4936)記載の2−プロピル安息香酸、文献(J.Med.Chem.,1968,11,267−269.)記載の8−メチル−2−(トリフルオロメチル)キノリン−4−カルボン酸及び6−クロロ−2−(トリフルオロメチル)キノリン−4−カルボン酸、文献(J.Med.Chem.,1971,14, 198−202)記載の8−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)キノリン−4−カルボン酸及び6−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)キノリン−4−カルボン酸、文献(J.Med.Chem.,1963,6, 221−227)記載の2−シクロブチルキノリン−4−カルボン酸、文献(J.Am.Chem.Soc.,1937,59,394−398)記載の2,3−ジヒドロ−1H−インデン−4−カルボン酸、文献(J.Organometal.Chem.,1977,136,139−146.)記載の2,2−ジメチル−1,3−ベンゾジオキソール−5−カルボン酸、文献(J.Am.Chem. Soc.,1941,63,1857−1861)記載の6−クロロナフタレン−1−カルボン酸、文献(Bioorg.Med.Chem.Lett.2005,15,4898−4906)記載の2−メチル−4−(トリフルオロメチル)安息香酸、文献(J.Am. Chem.Soc.,1949,71,81−83)記載の2,3,4−トリメチル安息香酸、文献(J.Chem.Soc.1963,491−497)記載の4−クロロ−2−メチル−6−(メチルスルファニル)安息香酸、文献(J.Chem.Soc.,1952,3499−3502)記載の3−クロロ−2,6−ジメトキシ安息香酸、文献(J.Chem.Soc.,1964,2258−2261)記載の3−クロロ−2,6−ジメチル安息香酸、文献(J.Agricultural and Food Chem.1988,36,1040−1043)記載の2−メチルビフェニル−3−カルボン酸又は、特許(WO1998/012180)に記載の8−フルオロキノリン−5−カルボン酸、特許(WO2006/067423)に記載の2−エトキシ−4,6−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸及び2−メチル−6−(トリフルオロメチル)安息香酸、特許(WO2007/147834)に記載の4−フルオロ−2−メトキシ−6−(メチルスルファニル)安息香酸、特許(WO2007/147836)に記載の4−フルオロ−2−メトキシ−6−メチル安息香酸を挙げることができる。
【0048】
工程11:化合物(11)に対して(1)P2がメチル基の場合は、例えば不活性溶媒中三臭化ホウ素、臭化アルミニウム(III)、塩化アルミニウム(III)を反応させ、(2)P2がベンジル基の場合は、不活性溶媒中例えば三臭化ホウ素、臭化アルミニウム(III)、塩化アルミニウム(III)を反応させるか或いはパラジウム触媒又は白金触媒を使用した水素添加反応を実施することにより化合物(12)を得ることができる。ここでパラジウム触媒とは例えばパラジウムブラック、パラジウム炭素、水酸化パラジウムを挙げることができ、白金触媒とは酸化白金を挙げることができる。P2が上記保護基以外の場合はTheodora W.Greene and Peter G.M.Wuts「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis Third Edition)」に記載の脱保護の反応によりP2を除去することで化合物(12)を得ることができる。
【0049】
工程12:不活性溶媒中塩基の存在下又は非存在下化合物(12)に対してトリフラート化剤を反応させることにより化合物(13)を得ることができる。ここでトリフラート化剤とは例えばトリフルオロメタンスルホン酸無水物、N−フェニルビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)を挙げることができる。
【0050】
工程13:不活性溶媒中塩基の存在下又は非存在下パラジウム触媒及び必要に応じてパラジウム触媒の配位子を使用することにより化合物(13)に対してホウ酸又はホウ酸エステルが置換した環Aを反応させることにより本発明化合物(14)を得ることができる。ここで、パラジウム触媒とは例えばPd(OAc)2、Pd2(dba)3、Pd(PPh34、、PdCl2(PPh32,PEPPSI−Ipr、Pd(dppf)Cl2を挙げることができ、配位子とは例えばトリフェニルホスフィン、2,2−ビス(ジフェニルホルフィノ)−1,1−ビナフチル(BINAP)、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン(Xantphos)等を挙げることができる。
【0051】
ホウ酸又はホウ酸エステルが置換した環Aは、例えば、市販のN−メチルインドール−2−ボロン酸、5−インドリルボロン酸、ピロール−2−ボロン酸、インドール−4−ボロン酸、インドール−6−ボロン酸、1−メチル−1H−ピロール−2−ボロン酸 ピナコール エステル、1H−ピロロ[2,3−B]ピリジン−5−イルボロン酸、1H−ピロロ[2,3−B]ピリジン−6−イルボロン酸、1H−ピロロ[2,3−B]ピリジン−4−イルボロン酸、3−ピロリル ボロン酸、ベンゾ[B]フラン−2−ボロン酸、フラン−2−ボロン酸、5−メチルフラン−2−ボロン酸、フラン−3−ボロン酸、ベンゾフラン−5−ボロン酸、ベンゾフラン−3−ボロン酸、5−メトキシベンゾフラン−2−ボロン酸、チオフェン−2−ボロン酸、チオフェン−3−ボロン酸、3−メチルチオフェン−2−ボロン酸、ベンゾ[B]チオフェン−2−ボロン酸、1H−ピラゾール−3−ボロン酸、1−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール6−インダゾリルボロン酸、3,5−ジメチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール、1−イソブチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール、1−(3−メチルブチル)−1H−ピラゾール−4−ボロン酸 ピナコール エステル、1−プロピル−1H−ピラゾール−4−ボロン酸 ピナコール エステル、1−tert−ブトキシカルボニル−4−1H−ピラゾールボロン酸 ピナコール エステル、1,3−ジメチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール、1−メチル−1H−ピラゾール−5−ボロン酸 ピナコール エステル、1,3,5−トリメチル−1H−ピラゾール−4−ボロン酸 ピナコール エステル、1H−インダゾール−5−ボロン酸、ピラゾロ[1,5−A]ピリジン−3−イルボロン酸、ピラゾロ[1,5−A]ピリジン−5−イルボロン酸、ピラゾロ[1,5−A]ピリジン−7−イルボロン酸、5−メチル−1−フェニル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール、インダゾール−5−ボロン酸 ピナコール エステル、インダゾール−3−ボロン酸、1−tert−ブトキシカルボニル−ピラゾール−3−ホウ酸、1H−ピラゾール−5−ボロン酸、1H−ピラゾール−4−ボロン酸、5−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−3−イルボロン酸、5−トリフルオロメチル−1H−ピラゾール−4−イルボロン酸、1−(3−メチルブチル)−1H−ピラゾール−4−ボロン酸、1−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾール−5−ボロン酸、1−メチル−1H−ピラゾール−4−ボロン酸、3−メチル−1H−インダゾール−4−ボロン酸、5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−B]ピリジン3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−ボロン酸、3,5−ジメチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)イソオキサゾール、4−イソオキサゾールボロン酸 ピナコール エステル、5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾ[D]イソオキサゾール、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾ[D]イソオキサゾール、5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)イソチアゾール、イミダゾ[1,2−A]ピリジン−3−イルボロン酸、イミダゾ[1,2−A]ピリジン−6−ボロン酸、イミダゾ[1,2−A]ピリジン−8−イルボロン酸、イミダゾ[1,5−A]ピリジン−5−イルボロン酸、ベンゾイミダゾール−2−ボロン酸、イミダゾール−2−ボロン酸、7−メチルイミダゾ[1,2−A]ピリジン−6−イルボロン酸、1−メチル−2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−イミダゾール、2,4−ジメチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1,3−チアゾール、チアゾール−2−ボロン酸 ピナコール エステル、5−ベンゾチアゾール ボロン酸 ピナコール エステル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−チアゾール、2−ピリジンボロン酸、ピリジン−3−ボロン酸、3−メチルピリジン−2−ボロン酸、ピリジン−4−ボロン酸、2−クロロキノリン−3−ボロン酸、4−メトキシ−3−ピリジンボロン酸、キノリン−8−ボロン酸、3−キノリンボロン酸、キノリン−6−ボロン酸、キノリン−5−ボロン酸、キノリン−4−ボロン酸、キノリン−2−ボロン酸、イソキノリン−4−ボロン酸、5−メトキシピリジン−3−ボロン酸、5−メチル−3−ピリジンボロン酸、3−フルオロピリジン−4−ボロン酸 水和物、2−(メチルチオ)−ピリジン−5−ボロン酸、イソキノリン−5−ボロン酸、キノリン−5−ボロン酸 水和物、6−メトキシ−1,5−ナフチリジン−4−イルボロン酸、1H−ピロロ[2,3−B]ピリジン−4−イルボロン酸、1H−ピロロ[2,3−B]ピリジン−6−イルボロン酸、6−メトキシピリダジン−3−イル−3−ボロン酸、ピリミジン−5−ボロン酸、2−メトキシピリミジン−5−ボロン酸、2−(メチルチオ)ピリミジン−5−ボロン酸、(2−メチルピリミジン−5−イル)ボロン酸、ピリミジン−4−イルボロン酸、ピリミジン−2−イルボロン酸、4−イソプロピルピリミジン−5−ボロン酸、ベンゾピラジン−6−ボロン酸 塩酸塩、ピラジン−2−イル−2−ボロン酸及び5−メトキシピラジン−2−ボロン酸が挙げられる。また、文献(J.Heterocycl. Chem.,2004,41,931−939)記載の方法又は同様の方法にて、1−メチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキソボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール、1−エチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキソボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール、1−エチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキソボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール、1−イソプロピル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキソボロラン−2−イル)−1H−ピラゾール、及び1−n−プロピル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキソボロラン−2−イル)−1H−ピラゾールが合成できるので、これらを用いることもできる。
【0052】
前述の中間体(9)は以下の一般的製造法2に従っても前述の中間体(5)より製造することができる。
一般的製造法2
【0053】
【化3】

【0054】
工程14:P1が、tert−ブトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基又はアシル基の場合は、水素化アルミニウムリチウム、ジボラン、ルイス酸存在下又は非存在下、水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤と反応させることによりR2がメチル基又はアルキル基である化合物(9)を得ることができる。
一般的製造法3
【0055】
【化4】

【0056】
工程15:不活性溶媒中、金属シアニド存在下、化合物(15)と化合物(E)又はその塩と反応させることにより化合物(16)を得ることができる。或いは、化合物(15)をトリアルキルシリルシアニド、好ましくはトリメチルシリルシアニドと化合物(E)又はその塩と反応させることにより(16)を得ることができる。ここで、金属シアニドとは、例えばシアン化カリウム、シアン化ナトリウムを挙げることができる。
【0057】
化合物(15)としては、例えば市販の3−オキソテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、3−シクロペンテン−1−オン、シクロペンテン−5−オン、メチルエチルケトン、3−ペンタノン、アセトンが挙げられる。
【0058】
化合物(E)は、1級または2級のアミン、又はその塩でもよく、1級のアルキルアミンとしては、例えば市販のヘキシルアミン、ペンチルアミン、ブチルアミン、プロピルアミン、エチルアミン、メチルアミン、イソプロピルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、2−メチルブチルアミン、イソアミルアミン、ネオペンチルアミン、3−アミノペンタン、2−メトキシエチルアミン、ベンジルアミン、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミンが挙げられる。2級のアミンとしては、例えば、市販のアジリジン、モルホリン、チオモルホリン、2−メチルアジリジン、アゼチジン、3−フェニルアゼチジン塩酸塩、3−メチル−3−フェニルアゼチジン、3−ピロリン、2−イソプロピルピロリジン、2,2−ジメチルピロリジン、2−エチルピロリジン、ヘキサメチレンイミン、N−(2−メトキシエチル)メチルアミン、N−メチルベンジルアミンが挙げられる。また、文献(J.Org.Chem.1959,24,1520−1523)記載の3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン、文献(J.Heterocycl.Chem.,1971,8,961−966)記載の2,4−ジメチルアゼチジンが挙げられる。
【0059】
工程16:化合物(F)を金属又はアルキルリチウム試薬を用いて金属試薬に変換し、不活性溶媒中化合物(16)と反応させさせた後、還元剤を反応させることにより化合物(17)を得ることができる。ここで金属とは例えばマグネシウム又は亜鉛を挙げることができ、アルキルリチウム試薬とは例えばn−ブチルリチウム、sec―ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、フェニルリチウム試薬を挙げることができ、還元剤とはイミンを還元してアミンに変換することができる試薬であり、例えば、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カルシウム、トリエチル水素化ホウ素リチウム、トリ−sec-ブチル水素化ホウ素リチウム、トリ−sec-ブチル水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素亜鉛、ボラン、トリメトキシ水素化ホウ素リチウム、トリアセトキシ水素化ホウ素リチウム、ホウ素水素化テトラメチルアンモニウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムナトリウム、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、トリクロロシラン等を挙げることができる。
【0060】
工程17:一般的製造法1中の工程10と同様の手法により化合物(17)を化合物(18)に変換することができる。
工程18:一般的製造法1中の工程13と同様の手法により化合物(18)を本発明化合物(14)に変換することができる。
工程19:一般的製造法1中の工程13と同様の手法により化合物(17)を化合物(19)に変換することができる。
工程20:一般的製造法1中の工程10と同様の手法により化合物(19)を本発明化合物(14)に変換することができる。
【0061】
前述の中間体(17)は以下の一般的製造法4に従っても製造することができる。
一般的製造法4
【0062】
【化5】

【0063】
工程21:不活性溶媒中、化合物(20)と過酸化物と反応させることにより化合物(21)を得ることができる。ここで、過酸化物とは、例えばm−クロロ過安息香酸、過酢酸などの有機カルボン酸過酸化物、tert−ブチルヒドロペルオキシドなどのアルコールの過酸化物、過酸化水素などを挙げることができる。
工程22:不活性溶媒中、化合物(21)を塩基存在下又は非存在下、或いは、酸存在下又は非存在下、化合物(G)と反応させることにより化合物(22)を得ることができる。
【0064】
工程23:一般的製造法1中の工程2と同様の手法により化合物(22)を化合物(23)に変換することができる。
工程24:一般的製造法4中の工程22と同様の手法により化合物(21)を化合物(E)と反応させることにより化合物(23)に変換することができる。
工程25:一般的製造法1中の工程9と同様の手法により化合物(23)を化合物(24)に変換することができる。
【0065】
本発明化合物は複数の不斉中心を含むことができる。従って前記化合物は光学活性体で存在するとともにそのラセミ体でも存在することができ、さらに複数のジアステレオマーも存在することができる。前記の全ての形態は本発明の範囲内に含まれる。個々の異性体は公知の方法、例えば光学活性な出発物質若しくは中間体の使用、中間体若しくは最終生成物の製造における光学選択的な反応又はジアステレオ選択的な反応、或いは中間体又は最終生成物の製造におけるクロマトグラフィーを用いた分離等により得ることが可能である。さらに、本発明化合物が水和物又は溶媒和物を形成する場合、それらも本発明の範囲内に含まれる。
【0066】
本発明に係る化合物は、経口又は非経口的に投与することができる。その投与剤型は錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉剤、トローチ剤、軟膏剤、クリーム剤、乳剤、懸濁剤、坐剤、注射剤等であり、いずれも慣用の製剤技術(例えば、第14改正日本薬局方に規定する方法等)によって製造することができる。これらの投与剤型は、患者の症状、年齢及び治療の目的に応じて適宜選択することができる。
【0067】
これらの製剤は、本発明の化合物を含有する組成物に薬理学的に許容されるキャリヤー、すなわち、賦形剤(例えば、結晶セルロース、デンプン、乳糖、マンニトール)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム)、その他薬理学的に許容される各種添加剤を配合し、製造することができる。
【0068】
本発明に係る化合物の投与量は、成人を治療する場合で1日1〜2000mgであり、これを1日1回又は数回に分けて投与する。この投与量は、患者の年齢、体重及び症状によって適宜増減することができる。
【0069】
次に、製造例、実施例及び試験例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0070】
カラムクロマトグラフィーを使用して精製した際の「酸性シリカゲル」にはシリカゲル60(関東化学)、「中性シリカゲル」にはシリカゲル60N(関東化学)、「NHシリカゲル」にはChromatorex NH(Fuji Silysia)を使用した。TLCを使用して精製した際のTLC(シリカゲル)にはSilica gel 60F254(メルク)、TLC(NHシリカゲル)にはTLCプレートNH(Fuji Silysia)を使用した。
【0071】
製造例及び実施例中記載の各機器データは以下の測定機器にて測定された。
【0072】
MSスペクトル:島津LCMS−2010EV又はmicromass Platform LC
NMRスペクトル:[1H-NMR]600MHz:JNM−ECA600(日本電子)、500MHz:JNM−ECA500(日本電子)、300MHz:UNITYNOVA300(Varian Inc.)、200MHz:GEMINI2000/200(Varian Inc.)
比旋光度:JASCO P-2300 (日本分光株式会社)
【実施例】
【0073】
実施例中の化合物名はACD/Name (ACD/Labs 10.01, Advanced Chemistry Development Inc.)により命名した。
製造例、実施例、及び試験例中で使用した略語を以下に示す。
ALX5407:N−[(3R)−3−([1,1’−ビフェニル]−4−イルオキシ)−3−(4−フルオロフェニル)プロピル]−N−メチルグリシンHCl塩
Boc:tert−ブトキシカルボニル
Bn:ベンジル
CBz:ベンジルオキシカルボニル
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン
dppf:ビスジフェニルホスフィノフェロセン
HEPES:N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸
HOBT:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
Piv:ピバロイル
Tf:トリフルオロメタンスルホニル
TLC:薄層クロマトグラフィー
PEPPSI−Ipr:[1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン](3−クロロピリジル)パラジウム(II)二塩化物
【0074】
製造例1
【0075】
【化6】

【0076】
(1)(2S)-2-{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}ブタン酸(27.4g)のクロロホルム(400mL)溶液に、氷冷下、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(45.3g)、トリエチルアミン(160mL)、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリスジメチルアミノホスホニウム塩(16.8g)を加えて、室温で終夜攪拌した。反応液を減圧下濃縮し酢酸エチルを加え、0.5M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、減圧下溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ヘキサン:酢酸エチル=2:1〜3:2)で精製し、ベンジル {(1S)-1-[メトキシ(メチル)カルバモイル]プロピル}カルバマート(32g)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.95 (t, J=7.57 Hz, 3 H) 1.55 - 1.67 (m, 1 H) 1.75 - 1.86 (m, 1 H) 3.22 (s, 3 H) 3.78 (s, 3 H) 4.65 - 4.76 (m, 1 H) 5.03 - 5.19 (m, 2 H) 5.44 (d, J=8.25 Hz, 1 H) 7.28 - 7.41 (m, 5 H)
(ESI pos.) m/z : 303 ([M+Na]+)
【0077】
(2)窒素雰囲気下、ベンジル {(1S)-1-[メトキシ(メチル)カルバモイル]プロピル}カルバマート(31.8g)のジメチルホルムアミド(300mL)溶液に、氷冷下、水素化ナトリウム(約60%オイル懸濁、5.47g)を加えた。氷冷下30分攪拌した後、ヨウ化メチル(8.5mL)を加え、室温で2時間攪拌した。水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、減圧下溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、{(1S)-1-[メトキシ(メチル)カルバモイル]プロピル}メチルカルバミン酸ベンジル(25.8g)を得た。
1H NMR (200 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.79 - 1.02 (m, 3 H) 1.59 - 1.93 (m, 2 H) 2.87 - 3.78 (m, 9 H) 5.09 - 5.19 (m, 2 H) 7.28 - 7.45 (m, 5 H)
(ESI pos.) m/z : 317 ([M+Na]+)
【0078】
(3)窒素雰囲気下、{(1S)-1-[メトキシ(メチル)カルバモイル]プロピル}メチルカルバミン酸ベンジル(24.6g)のエタノール(210mL)溶液に、5%パラジウム−炭素(2.5g)を加え、水素ガスで置換し、室温で17時間攪拌した。パラジウム−炭素をろ去し、減圧下、溶媒を留去した。残渣をクロロホルム(200mL)に溶解し、二炭酸ジ-tert-ブチル(29mL)を加え、室温で終夜攪拌した。減圧下溶媒を留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=2:1)で精製し{(1S)-1-[メトキシ(メチル)カルバモイル]プロピル}メチルカルバミン酸 tert-ブチル(20.3g)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.86 - 0.93 (m, 3 H) 1.42 - 1.51 (m, 9 H) 1.61 - 1.85 (m, 2 H) 2.77 - 2.88 (m, 3 H) 3.13 - 3.24 (m, 3 H) 3.65 - 3.76 (m, 3 H) 4.80 - 5.17 (m, 1 H)
(ESI pos.) m/z : 283 ([M+Na]+)
【0079】
(4)窒素雰囲気下、マグネシウム(1.81g)のテトラヒドロフラン(35mL)の懸濁液に3−ベンジルオキシ−1−ブロモベンゼン(18.66g)を滴下した。滴下終了後、テトラヒドロフラン(35mL)を加え、1時間攪拌した。{(1S)-1-[メトキシ(メチル)カルバモイル]プロピル}メチルカルバミン酸 tert-ブチル(10.3g)のテトラヒドロフラン(70mL)溶液を氷冷下滴下した。滴下終了後、3時間室温で攪拌した。10%塩化アンモニウム水溶液(300mL)を加え、室温で30分攪拌した。水層と有機層を分離し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。すべての有機層を合わせ、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、減圧下溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=8:1〜6.5:1)で精製し、[(1S)-1-{[3-(ベンジルオキシ)フェニル]カルボニル}プロピル]メチルカルバミン酸 tert-ブチル(13.9g)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.88 - 1.02 (m, 3 H) 1.41 - 1.52 (m, 9 H) 1.69 - 1.96 (m, 2 H) 2.56 - 2.74 (m, 3 H) 5.11 (s, 2 H) 5.47 - 5.58 (m, 1 H) 7.09 - 7.73 (m, 9 H)
(ESI pos.) m/z : 384 ([M+H]+)
(ESI neg.) m/z : 383 ([M-H]- )
【0080】
(5)窒素雰囲気下、[(1S)-1-{[3-(ベンジルオキシ)フェニル]カルボニル}プロピル]メチルカルバミン酸 tert-ブチル(13.8g)のテトラヒドロフラン(80mL)溶液を−78℃に冷却し、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素リチウム(1Mテトラヒドロフラン溶液、100mL)を滴下した。滴下終了後、24時間攪拌した。過酸化水素水(30%、30mL)と水(30mL)を滴下し、室温で1時間攪拌した。さらに水を加え、酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、減圧下溶媒を留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=4:1〜3:1)で精製し、{(1S)-1-[(S)-[3-(ベンジルオキシ)フェニル](ヒドロキシ)メチル]プロピル}メチルカルバミン酸 tert-ブチル(13.1g)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.68 - 0.90 (m, 3 H) 1.30 - 1.53 (m, 12 H) 2.52 - 2.91 (m, 3 H) 4.03 - 4.68 (m, 1 H) 5.07 (s, 2 H) 6.82 - 7.07 (m, 3 H) 7.19 - 7.49 (m, 6 H)
(ESI pos.) m/z : 386 ([M+H]+)
【0081】
(6)窒素雰囲気下、{(1S)-1-[(S)-[3-(ベンジルオキシ)フェニル](ヒドロキシ)メチル]プロピル}メチルカルバミン酸 tert-ブチル(7.2g)のクロロホルム(40mL)溶液に、トリエチルアミン(7.8mL)、ピバロイルクロリド(4.6mL)およびDMAP(0.23g)を加え、室温で終夜攪拌した。40℃に昇温しさらに8時間撹拌した。反応液にクロロホルムを加えて、クロロホルム溶液を0.5N塩酸および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。クロロホルム層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、減圧下溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=86:14〜67:33)で精製し、2,2-ジメチルプロパン酸 (1S,2S)-1-[3-(ベンジルオキシ)フェニル]-2-[(tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]ブチル(7.4g)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.66 - 0.83 (m, 3 H) 1.08 - 1.55 (m, 20 H) 2.62 - 2.83 (m, 3 H) 4.22 - 4.62 (m, 1 H) 4.99 - 5.14 (m, 2 H) 5.53 - 5.66 (m, 1 H) 6.85 - 7.01 (m, 3 H) 7.20 - 7.47 (m, 6 H)
(ESI pos.) m/z : 470 ([M+H]+)
【0082】
(7)2,2-ジメチルプロパン酸 (1S,2S)-1-[3-(ベンジルオキシ)フェニル]-2-[(tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]ブチル(7.2g)の酢酸エチル(120mL)溶液に4N塩酸/酢酸エチル(40mL)を加え、室温で7時間攪拌した。減圧下、酢酸エチルを留去し、残渣をジメチルホルムアミド(40mL)に溶解した。炭酸カリウム(6.3g)および臭化アリル(1.6mL)を加え、窒素雰囲気下、50℃で30分、さらに80℃で1時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、減圧下溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=95:5〜90:10)で精製し、2,2-ジメチルプロパン酸 (1S,2S)-1-[3-(ベンジルオキシ)フェニル]-2-[メチル(プロパ-2-エン-1-イル)アミノ]ブチル(5.2g)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.73 - 0.82 (m, 3 H) 1.01 - 1.15 (m, 1 H) 1.20 (s, 9 H) 1.26 - 1.41 (m, 1 H) 2.31 (s, 3 H) 2.74 - 2.86 (m, 1 H) 3.15 - 3.32 (m, 2 H) 4.99 - 5.18 (m, 4 H) 5.63 - 5.77 (m, 2 H) 6.81 - 6.95 (m, 3 H) 7.15 - 7.48 (m, 6 H)
(ESI pos.) m/z : 410 ([M+H]+)
【0083】
(8)窒素雰囲気下、2,2-ジメチルプロパン酸 (1S,2S)-1-[3-(ベンジルオキシ)フェニル]-2-[メチル(プロパ-2-エン-1-イル)アミノ]ブチル(5.1g)のテトラヒドロフラン(30mL)溶液を氷冷し、水素化アルミニウムリチウム(0.47g)を加えた後、室温で30分攪拌した。反応液に、水(0.5mL)、10%水酸化ナトリウム(1.5mL)、および水(0.5mL)を順次加えた後、室温で30分攪拌した。さらに無水硫酸マグネシウムを加え、不溶物をろ去し、得られたろ液を減圧下濃縮し(1S,2S)-1-[3-(ベンジルオキシ)フェニル]-2-[メチル(プロパ-2-エン-1-イル)アミノ]ブタン-1-オール(3.8g)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.63 (t, J=7.57 Hz, 3 H) 1.11 - 1.57 (m, 2 H) 2.35 (s, 3 H) 2.47 - 2.56 (m, 1 H) 3.17 - 3.40 (m, 2 H) 4.08 - 4.19 (m, 1 H) 5.08 (d, J=2.29 Hz, 4 H) 5.82 - 5.92 (m, 1 H) 6.85 - 7.05 (m, 3 H) 7.20 - 7.47 (m, 7 H)
(ESI pos.) m/z : 326 ([M+H]+)
【0084】
(9)氷冷下、(1S,2S)-1-[3-(ベンジルオキシ)フェニル]-2-[メチル(プロパ-2-エン-1-イル)アミノ]ブタン-1-オール(3.7g)のクロロホルム(30mL)溶液に、トリエチルアミン(2.1mL)、メタンスルホン酸クロリド(0.97mL)を加え、1時間攪拌した。反応液を減圧下、濃縮した。残渣に、8Nアンモニア/メタノール溶液(30mL)を加え、45℃で、3時間攪拌した。減圧下、溶媒を留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=88:22〜50:50)で精製し、(1S,2S)-1-[3-(ベンジルオキシ)フェニル]-N2-メチル-N2-プロパ-2-エン-1-イルブタン-1,2-ジアミン(2.4g)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.63 (t, J=7.57 Hz, 3 H) 1.09 - 1.22 (m, 1 H) 1.46 - 1.62 (m, 1 H) 2.35 (s, 3 H) 2.51 (br. s., 1 H) 3.14 - 3.43 (m, 2 H) 4.07 - 4.19 (m, 1 H) 5.01 - 5.28 (m, 5 H) 5.80 - 5.95 (m, 1 H) 6.86 - 7.05 (m, 3 H) 7.18 - 7.48 (m, 6 H)
(ESI pos.) m/z : 325 ([M+H]+)
【0085】
同様にして以下の化合物を合成した。
1-[3-(ベンジルオキシ)フェニル]-N2-メチル-N2-プロパ-2-エン-1-イルエタン-1,2-ジアミン
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 2.22 - 2.59 (m, 5 H) 2.94 - 3.19 (m, 2 H) 4.06 - 4.11 (m, 1 H) 5.03 - 5.21 (m, 4 H) 5.82 - 5.92 (m, 1 H) 6.84 - 7.08 (m, 3 H) 7.20 - 7.48 (m, 6 H)
(ESI pos.) m/z : 293 ([M+H]+)
【0086】
製造例2
【0087】
【化7】

【0088】
(1)窒素雰囲気下、{(1S)-1-[(S)-[3-(ベンジルオキシ)フェニル](ヒドロキシ)メチル]プロピル}メチルカルバミン酸 tert-ブチル(5.9g)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液に、氷冷下、水素化リチウムアルミニウム(2.34g)を加え、75℃で2時間攪拌した。放冷後、水、10%水酸化ナトリウム水溶液、水を順次滴下し、滴下終了後、室温で30分攪拌した。これに無水硫酸マグネシウムを加え、不溶性の固体をろ去した。ろ液を減圧下濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、クロロホルム/メタノール=100:0〜97:3)で精製し、(1S,2S)-1-[3-(ベンジルオキシ)フェニル]-2-(ジメチルアミノ)ブタン-1-オール(4.16g)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.62 (t, J=7.57 Hz, 3 H) 1.06 - 1.22 (m, 1 H) 1.45 - 1.58 (m, 1 H) 2.30 - 2.41 (m, 1 H) 2.44 (s, 6 H) 4.04 - 4.16 (m, 1 H) 5.03 - 5.13 (m, 2 H) 6.85 - 7.05 (m, 3 H) 7.18 - 7.48 (m, 6 H)
(ESI pos.) m/z : 300 ([M+H]+)
【0089】
(2)(1S,2S)-1-[3-(ベンジルオキシ)フェニル]-2-(ジメチルアミノ)ブタン-1-オール(4.06g)のクロロホルム(40mL)溶液に、氷冷下、トリエチルアミン(2.5mL)とメタンスルホン酸クロリド(1.2mL)を加え、30分間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣に8Nアンモニア/メタノール(40mL)を加え、50℃で3時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、クロロホルム/メタノール=50:1〜30:1(30%アンモニア水を1%含む))で精製し、(1S,2S)-1-[3-(ベンジルオキシ)フェニル]-N2,N2-ジメチルブタン-1,2-ジアミン(2.73g)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.45 (t, J=7.57 Hz, 3 H) 0.86 - 0.99 (m, 1 H) 1.28 - 1.41 (m, 1 H) 2.24 - 2.38 (m, 7 H) 3.58 (d, J=9.63 Hz, 1 H) 5.00 (s, 2 H) 6.74 - 6.99 (m, 3 H) 7.10 - 7.43 (m, 6 H)
(ESI pos.) m/z : 299 ([M+H]+)
【0090】
製造例3
【0091】
【化8】

【0092】
(1)氷冷下、シクロペンタノン(20g)とジメチルアミン塩酸塩(19g)の混合物に、シアン化カリウム(16g)と水(130mL)の溶液を滴下し、室温で終夜攪拌した。ジエチルエーテルで反応液を抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、減圧下溶媒を留去し、1-(ジメチルアミノ)シクロペンタンカルボニトリル(32g)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.71 - 1.92 (m, 6 H) 2.15 - 2.24 (m, 2 H) 2.34 (s, 6 H)
(ESI neg.) m/z : 138 ([M-H]-)
【0093】
(2)窒素雰囲気下、1,3−ジブロモベンゼン(5.0g)のテトラヒドロフラン(72mL)溶液に、−78℃でn−ブチルリチウム(2.64M ヘキサン溶液、27mL)を滴下し、同温で30分間攪拌した。1-(ジメチルアミノ)シクロペンタンカルボニトリル(5.0g)のテトラヒドロフラン(70mL)溶液を滴下し、2時間攪拌した。約1時間かけて、温度を−40℃に上昇させ、−40℃で2時間攪拌した。その後、室温にし、終夜攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤をろ別後、減圧下溶媒を留去した。残渣にメタノール(150mL)を加え、氷冷下、水素化ホウ素ナトリウム(2.5g)を加え、30分間攪拌後、さらに室温で2時間攪拌した。水(20mL)を加え、反応液を濃縮した。酢酸エチルと2N塩酸を加え、水層を分離後、有機層を2N塩酸で抽出した。合わせた水層を氷冷下、2N水酸化ナトリウムで塩基性とし、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、減圧下溶媒を留去し、1-[アミノ(3-ブロモフェニル)メチル]-N,N-ジメチルシクロペンタンアミン(5.9g)を得た。
(ESI pos.) m/z : 297 ([M+H]+)
【0094】
同様にして以下の化合物を合成した。
1-[アミノ(4-ブロモフェニル)メチル]-N,N-ジメチルシクロペンタンアミン
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.38 - 0.57 (m, 1 H) 1.17 - 2.38 (m, 13 H) 4.29 (s, 1 H) 7.34 - 7.38 (m, 2 H) 7.40 - 7.43 (m, 2 H)
(ESI pos.) m/z : 297 ([M+H]+)
1-(3-ブロモフェニル)-2-メチル-2-ピロリジン-1-イルプロパン-1-アミン
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.69 - 1.80 (m, 12 H) 2.22 - 2.41 (m, 2 H) 2.53 - 2.70 (m, 6 H) 3.55 (s, 1 H) 7.11 - 7.16 (m, 1 H) 7.30 - 7.36 (m, 2 H) 7.55 - 7.62 (m, 1 H)
(ESI pos.) m/z : 297 ([M+H]+)
1-(4-ブロモフェニル)-1-(1-ピロリジン-1-イルシクロペンチル)メタンアミン
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.41 - 0.54 (m, 1 H) 1.13 - 1.94 (m, 11 H) 2.60 - 2.74 (m, 4 H) 4.23 (s, 1 H) 7.34 - 7.44 (m, 4 H)
(ESI pos.) m/z : 323 ([M+H]+)
1-(4-ブロモフェニル)-2-メチル-2-ピロリジン-1-イルプロパン-1-アミン
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.66 - 2.79 (m, 14 H) 4.05 (s, 1 H) 7.27 - 7.44 (m, 4 H)
(ESI pos.) m/z : 297 ([M+H]+)
1-(3-ブロモフェニル)-1-(1-ピロリジン-1-イルシクロペンチル)メタンアミン
(ESI pos.) m/z : 323 ([M+H]+)
1-[アミノ(3-ブロモフェニル)メチル]-N,N-ジプロパ-2-エン-1-イルシクロペンタンアミン
(ESI pos.) m/z : 191 ([M+H]+)
1-(3-ブロモフェニル)-1-(1-ピペリジン-1-イルシクロペンチル)メタンアミン
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.67 - 2.72 (m, 16 H) 4.21 (s, 1 H) 7.10 - 7.20 (m, 1 H) 7.31 - 7.40 (m, 1 H) 7.58 - 7.67 (m, 1 H)
(ESI pos.) m/z : 337 ([M+H]+)
1-(3-ブロモフェニル)-2-メチル-2-(2-メチルピロリジン-1-イル)プロパン-1-アミン
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.64 - 1.95 (m, 13 H) 2.56 - 3.41 (m, 3 H) 3.93 - 4.02 (m, 1 H) 7.10 - 7.20 (m, 1 H) 7.29 - 7.40 (m, 2 H) 7.56 - 7.67 (m, 1 H)
(ESI pos.) m/z : 311 ([M+H]+)
4-[アミノ(3-ブロモフェニル)メチル]-N,N-ジメチルテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-アミン
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.22 - 2.36 (m, 5 H) 2.39 - 2.58 (m, 7 H) 2.92 - 3.07 (m, 2 H) 4.12 (s, 1 H) 7.14 - 7.23 (m, 2 H) 7.35 - 7.38 (m, 1 H) 7.42 - 7.48 (m, 1 H)
(ESI pos.) m/z : 329 ([M+H]+)
【0095】
製造例4
【0096】
【化9】

【0097】
1-[アミノ(3-ブロモフェニル)メチル]-N,N-ジメチルシクロペンタンアミン(2.1g)のイソプロパノール(20mL)溶液に、(R)−2−メトキシ−2−フェニル酢酸(1.2g)を加え、室温で1時間攪拌した。減圧下溶媒を留去し、酢酸エチルを加え、減圧下溶媒を留去した。得られた固体を酢酸エチルより再結晶し、固体を得た。これをクロロホルムに溶解し、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、クロロホルム層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別し、減圧下溶媒を留去し、キラルな1-[アミノ(3-ブロモフェニル)メチル]-N,N-ジメチルシクロペンタンアミン(480mg)を得た。
キラルな1-[アミノ(3-ブロモフェニル)メチル]-N,N-ジメチルシクロペンタンアミンは、キラルカラムを用いたHPLC条件(A)での分析で、保持時間 9.1 分(flow rate; 1.0 ml/min) であった。
同様に、(S)−2−メトキシ−2−フェニル酢酸を用いて、キラルな1-[アミノ(3-ブロモフェニル)メチル]-N,N-ジメチルシクロペンタンアミンを得た。
保持時間 8.2分 (flow rate; 1.0 ml/min)
同様に、(R)又は(S)−2−メトキシ−2−フェニル酢酸を用いて、1-[アミノ(4-ブロモフェニル)メチル]-N,N-ジメチルシクロペンタンアミンの光学分割を行った。
(R)−2−メトキシ−2−フェニル酢酸を用いて光学分割された1-[アミノ(4-ブロモフェニル)メチル]-N,N-ジメチルシクロペンタンアミン
保持時間 11.9分(flow rate; 1.0 ml/min)
(S)−2−メトキシ−2−フェニル酢酸を用いた光学分割された1-[アミノ(4-ブロモフェニル)メチル]-N,N-ジメチルシクロペンタンアミン
保持時間 11.7分(flow rate; 0.7 ml/min)
HPLC条件(A)
column; chiralpak AD-H 0.46cmφ×25cm(DAICEL CHEMICAL IND., LTD)
eluent; hexane/ethanol = 96 : 4 (0.1% Et2NH 含有)
detect; UV 254 nm
【0098】
製造例5
【0099】
【化10】

【0100】
(1)3−ブロモスチレン(3.0g)のクロロホルム(30mL)溶液に、氷冷下、メタクロロ過安息香酸(3.41g)を加え、3時間攪拌した。さらに、室温で17時間攪拌した。反応液に水を加え、クロロホルムで抽出した。クロロホルム層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、減圧下濃縮し、2-(3-ブロモフェニル)オキシラン(2.6g)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 2.70 - 2.79 (m, 1 H) 3.09 - 3.17 (m, 1 H) 3.77 - 3.86 (m, 1 H) 7.18 - 7.23 (m, 2 H) 7.41 (d, J=2.29 Hz, 2 H)
【0101】
(2)2-(3-ブロモフェニル)オキシラン(600mg)のエタノール(6mL)溶液にジイソプロピルアミン(0.56mL)を加え、加熱還流した。4時間攪拌後、ジイソプロピルアミン(0.56mL)を追加し、さらに5時間加熱還流した。減圧下溶媒を留去し、残渣にジイソプロピルアミン(2mL)を加え、封管を用いて、100℃で6.5時間攪拌した。反応液を減圧下濃縮し、残渣を次の反応に用いた。この得られた残渣には、未反応の2-(3-ブロモフェニル)オキシランを含むが、このまま次の反応に利用した。
(ESI pos.) m/z : 300 ([M+H]+)
(3)(2)の残渣のクロロホルム(5mL)溶液にトリエチルアミン(0.19mL)を加え、氷冷し、メタンスルホン酸クロリド(82μL)を加え、2.5時間攪拌した。25%アンモニア水を加え、室温で24時間攪拌した。クロロホルムを加え、有機層を分離後、水層をクロロホルムで抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、減圧下溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=4:1)で精製し、1-(3-ブロモフェニル)-N2,N2-ビス(1-メチルエチル)エタン-1,2-ジアミン(0.20g)を得た。この得られた化合物には、未反応の2-(3-ブロモフェニル)オキシランを含むが、このまま次の反応に利用した。
(ESI pos.) m/z : 299 ([M+H]+)
【0102】
製造例6
【0103】
【化11】

【0104】
(1)2-(3-ブロモフェニル)オキシラン(600mg)のエタノール(6mL)溶液にイソプロピルアミン(0.35mL)を加え、4時間加熱還流した。減圧下、溶媒を留去し、1-(3-ブロモフェニル)-2-[(1-メチルエチル)アミノ]エタノール(655mg)を得た。残渣には、不純物を含むが、そのまま次の反応に使用した。
(ESI pos.) m/z : 458([M+H]+)
【0105】
(2)1-(3-ブロモフェニル)-2-[(1-メチルエチル)アミノ]エタノール(600mg)のジメチルホルムアミド(10mL)溶液に、炭酸カリウム(640mg)および臭化アリル(0.22mL)を加え、50〜60℃で2.5時間攪拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、乾燥剤をろ別後、減圧下溶媒を留去した。残渣をクロロホルム(10mL)に溶解し、氷冷下、トリエチルアミン(0.45mL)およびメタンスルホン酸クロリド(0.20mL)を加え、2時間攪拌した。さらにトリエチルアミン(0.45mL)およびメタンスルホン酸クロリド(0.20mL)を追加し、2時間攪拌した。25%アンモニア水(7.9mL)加え、室温で87時間攪拌した。反応液をクロロホルムで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、減圧下溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=4:1)で精製し、1-(3-ブロモフェニル)-N2-(1-メチルエチル)-N2-プロパ-2-エン-1-イルエタン-1,2-ジアミン(0.35g)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.91 (d, J=6.42 Hz, 3 H) 1.05 (d, J=6.88 Hz, 3 H) 2.35 - 2.48 (m, 2 H) 2.92 - 3.25 (m, 3 H) 3.93 - 4.03 (m, 1 H) 5.05 - 5.24 (m, 2 H) 5.77 - 5.91 (m, 1 H) 7.11 - 7.59 (m, 4 H)
(ESI pos.) m/z : 297([M+H]+)
【0106】
製造例7
【0107】
【化12】

【0108】
(1)2−クロロ−3−トリフルオロメチル安息香酸(0.87g)のジメチルホルムアミド(4mL)溶液に、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(0.70g)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.85g)を加え、室温で30分間攪拌した。(1S,2S)-1-[3-(ベンジルオキシ)フェニル]-N2,N2-ジメチルブタン-1,2-ジアミン(1.1g)のジメチルホルムアミド(6mL)溶液を加え、さらに2時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30mL)を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を、水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、減圧下溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、クロロホルム/酢酸エチル=19:1〜9:1)で精製し、N-[(1S,2S)-1-[3-(ベンジルオキシ)フェニル]-2-(ジメチルアミノ)ブチル]-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド(0.63g)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.62 (t, J=7.57 Hz, 3 H) 1.23 - 1.35 (m, 1 H) 1.55 - 1.67 (m, 1 H) 2.28 - 2.43 (m, 6 H) 2.54 (br. s., 1 H) 4.43 - 4.56 (m, 1 H) 5.03 - 5.14 (m, 2 H) 6.81 - 7.88 (m, 12 H)
(ESI pos.) m/z : 505 ([M+H]+)
【0109】
同様にして以下の化合物を合成した。
N-[(1S,2S)-1-[3-(ベンジルオキシ)フェニル]-2-(ジメチルアミノ)ブチル]-3-クロロ-4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-カルボキサミド
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.67 (t, J=7.57 Hz, 3 H) 1.23 - 1.33 (m, 1 H) 1.53 - 1.69 (m, 1 H) 2.36 (s, 6 H) 2.58 - 2.69 (m, 1 H) 4.54 - 4.65 (m, 1 H) 5.00 - 5.12 (m, 2 H) 6.80 - 7.07 (m, 3 H) 7.21 - 7.49 (m, 7 H) 7.61 - 7.72 (m, 1 H) 8.51 - 8.69 (m, 2 H)
(ESI pos.) m/z : 415 ([M+H]+) (ESI neg.) m/z : 413 ([M-H]-)
N-{(1S,2S)-1-[3-(ベンジルオキシ)フェニル]-2-[メチル(プロパ-2-エン-1-イル)アミノ]ブチル}-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.64 (t, J=7.57 Hz, 6 H) 1.22 - 1.36 (m, 1 H) 1.53 - 1.68 (m, 1 H) 2.28 (s, 3 H) 2.65 - 2.72 (m, 1 H) 3.09 - 3.33 (m, 2 H) 4.45 - 4.59 (m, 1 H) 5.00 - 5.18 (m, 4 H) 5.65 - 5.81 (m, 1 H) 6.85 - 7.03 (m, 3 H) 7.28 - 7.80 (m, 11 H)
(ESI pos.) m/z : 531 ([M+H]+) (ESI neg.) m/z : 529 ([M-H]-)
N-{1-[3-(ベンジルオキシ)フェニル]-2-[メチル(プロパ-2-エン-1-イル)アミノ]エチル}-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 2.26 (s, 3 H) 2.58 - 2.76 (m, 2 H) 2.94 - 3.16 (m, 2 H) 4.09 - 4.15 (m, 1 H) 5.01 - 5.21 (m, 5 H) 5.73 - 5.85 (m, 1 H) 6.86 - 7.13 (m, 4 H) 7.24 - 7.44 (m, 8 H) 7.69 - 7.80 (m, 2 H)
(ESI pos.) m/z : 503([M+H]+) (ESI neg) m/z : 501([M-H]-)
N-{(3-ブロモフェニル)[1-(ジメチルアミノ)シクロペンチル]メチル}-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.31 - 0.44 (m, 1 H) 0.79 - 0.95 (m, 3 H) 1.11 - 2.42 (m, 10 H) 3.84 (s, 2 H) 7.10 - 7.21 (m, 2 H) 7.29 - 7.67 (m, 7 H)
(ESI pos.) m/z : 503([M+H]+)
N-{(4-ブロモフェニル)[1-(ジメチルアミノ)シクロペンチル]メチル}-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ ppm 2.51 (d, J=1.83 Hz, 6 H) 3.33 (br. s., 3 H) 3.84 - 3.85 (m, 1 H) 7.48 - 8.93 (m, 7 H) 13.03 - 13.27 (m, 1 H)
N-{(4-ブロモフェニル)[1-(ジメチルアミノ)シクロペンチル]メチル}-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.31 - 1.93 (m, 8 H) 2.23 (s, 6 H) 5.00 - 5.08 (m, 1 H) 7.27 - 7.49 (m, 6 H) 7.66 - 7.80 (m, 2 H)
(ESI pos.) m/z : 503([M+H]+) (ESI neg.) m/z : 501([M-H]-)
N-[1-(3-ブロモフェニル)-2-メチル-2-ピロリジン-1-イルプロピル]-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.93 - 1.02 (m, 6 H) 1.67 - 1.82 (m, 4 H) 2.60 - 2.72 (m, 4 H) 4.75 (s, 1 H) 7.18 - 7.23 (m, 1 H) 7.27 - 7.80 (m, 7 H)
(ESI pos.) m/z : 503 ([M+H]+)
N-[1-(4-ブロモフェニル)-2-メチル-2-ピロリジン-1-イルプロピル]-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.92 - 0.98 (m, 6 H) 1.68 - 1.81 (m, 4 H) 2.66 (d, J=3.67 Hz, 4 H) 4.75 (s, 1 H) 7.20 - 7.25 (m, 2 H) 7.41 - 7.80 (m, 6 H)
(ESI pos.) m/z : 503 ([M+H]+)
N-[(3-ブロモフェニル)(1-ピロリジン-1-イルシクロペンチル)メチル]-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.93 - 1.99 (m, 12 H) 2.54 - 2.74 (m, 4 H) 4.99 (s, 1 H) 7.18 - 7.23 (m, 1 H) 7.33 - 7.81 (m, 7 H)
(ESI pos.) m/z : 529 ([M+H]+)
N-[(3-ブロモフェニル)(1-ピペリジン-1-イルシクロペンチル)メチル]-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.35 - 1.99 (m, 14 H) 2.31 - 2.38 (m, 2 H) 2.50 - 2.60 (m, 2 H) 4.98 - 5.06 (m, 2 H) 7.16 - 7.21 (m, 1 H) 7.28 - 7.81 (m, 7 H)
(ESI pos.) m/z : 543 ([M+H]+) (ESI neg.) m/z : 541 ([M-H]-)
N-[1-(3-ブロモフェニル)-2-メチル-2-(2-メチルピロリジン-1-イル)プロピル]-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.05 - 1.98 (m, 8 H) 2.25 (s, 6 H) 5.14 - 5.21 (m, 1 H) 7.20 - 8.25 (m, 10 H) 8.97 - 9.06 (m, 1 H)
(ESI pos.) m/z : 517 ([M+H]+)
N-{2-[ビス(1-メチルエチル)アミノ]-1-(3-ブロモフェニル)エチル}-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.97 (d, J=6.42 Hz, 6 H) 1.04 (d, J=6.42 Hz, 6 H) 2.50 - 2.57 (m, 1 H) 2.83 - 3.09 (m, 3 H) 4.80 - 4.88 (m, 1 H) 7.12 - 7.26 (m, 2 H) 7.28 - 7.81 (m, 6 H)
(ESI pos.) m/z : 505 ([M+H]+)
N-[(4-ブロモフェニル)(1-ピロリジン-1-イルシクロペンチル)メチル]-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.89 - 1.92 (m, 12 H) 2.53 - 2.73 (m, 4 H) 4.97 (s, 1 H) 7.27 - 7.79 (m, 8 H)
(ESI pos.) m/z : 529 ([M+H]+)
N-{(3-ブロモフェニル)[1-(ジプロパ-2-エン-1-イルアミノ)シクロペンチル]メチル}-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド
(ESI pos.) m/z : 555 ([M+H]+) (ESI neg.) m/z : 553 ([M-H]-)
N-{(3-ブロモフェニル)[4-(ジメチルアミノ)テトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル]メチル}-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.41 - 1.51 (m, 1 H) 1.87 - 1.96 (m, 1 H) 2.13 - 2.47 (m, 11 H) 2.90 - 3.05 (m, 2 H) 5.34 - 5.42 (m, 1 H) 6.67 - 6.77 (m, 1 H) 7.19 - 7.25 (m, 2 H) 7.40 - 7.81 (m, 5 H)
(ESI pos.) m/z : 535 ([M+H]+) (ESI neg.) m/z : 533 ([M-H]-)
N-{(3-ブロモフェニル)[1-(ジメチルアミノ)シクロペンチル]メチル}キノリン-4-カルボキサミド
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.02 - 1.97 (m, 8 H) 2.24 (s, 6 H) 5.11 - 5.21 (m, 1 H) 7.22 - 7.25 (m, 1 H) 7.34 - 7.79 (m, 6 H) 8.13 - 8.26 (m, 2 H) 8.94 - 9.04 (m, 1 H)
(ESI pos.) m/z : 452 ([M+H]+)
N-{(3-ブロモフェニル)[1-(ジメチルアミノ)シクロペンチル]メチル}イソキノリン-1-カルボキサミド
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.26 - 1.95 (m, 8 H) 2.34 (s, 6 H) 5.25 - 5.32 (m, 1 H) 7.15 - 7.20 (m, 1 H) 7.34 - 7.87 (m, 7 H) 8.50 - 8.59 (m, 1 H) 9.18 - 9.27 (m, 1 H) 9.51 - 9.60 (m, 1 H)
(ESI pos.) m/z : 452 ([M+H]+)
N-{1-(3-ブロモフェニル)-2-[(1-メチルエチル)(プロパ-2-エン-1-イル)アミノ]エチル}-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.94 (d, J=6.42 Hz, 3 H) 1.02 (d, J=6.42 Hz, 3 H) 2.59 - 2.65 (m, 1 H) 2.70 - 2.77 (m, 1 H) 2.92 - 3.02 (m, 1 H) 3.15 - 3.21 (m, 1 H) 4.89 - 5.18 (m, 3 H) 5.69 - 5.78 (m, 1 H) 7.05 - 7.25 (m, 1 H) 7.27 - 7.82 (m, 6 H)
(ESI pos.) m/z : 283 ([M+Na]+)
【0110】
製造例8
【0111】
【化13】

【0112】
(1)窒素雰囲気下、N-[(1S,2S)-1-[3-(ベンジルオキシ)フェニル]-2-(ジメチルアミノ)ブチル]-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド(1.25g)のクロロホルム(20mL)溶液を氷冷し、三臭化ホウ素(0.59mL)を加えた。氷冷下、30分間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、減圧下溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、クロロホルム/メタノール=100:0〜90:10)で精製し、N-[(1S,2S)-1-(3-ヒドロキシフェニル)-2-(ジメチルアミノ)ブチル]-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド(0.87g)を得た。
(ESI pos.) m/z : 415 ([M+H]+) (ESI neg.) m/z : 413 ([M-H]-)
【0113】
(2)窒素雰囲気下、N-[(1S,2S)-1-(3-ヒドロキシフェニル)-2-(ジメチルアミノ)ブチル]-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド(0.83g)のクロロホルム(10mL)溶液を氷冷し、ピリジン(0.8mL)およびトリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.4mL)を順次加えた。同温で30分間攪拌し、さらに室温で1.5時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、減圧下溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=90:10〜84:16)で精製し、3-[(1S,2S)-1-({[2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}アミノ)-2-(ジメチルアミノ)ブチル]フェニル トリフルオロメタンスルホナート(0.59g)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.62 (t, J=7.57 Hz, 3 H) 1.20 - 1.34 (m, 1 H) 1.62 - 1.74 (m, 1 H) 2.35 (s, 6 H) 2.46 - 2.61 (m, 1 H) 4.46 - 4.60 (m, 1 H) 7.12 - 7.93 (m, 7 H)
(ESI pos.) m/z : 547 ([M+H]+) (ESI neg.) m/z : 545 ([M-H]-)
【0114】
同様にして以下の化合物を合成した。
3-[(1S,2S)-1-({[3-クロロ-4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]カルボニル}アミノ)-2-(ジメチルアミノ)ブチル]フェニル トリフルオロメタンスルホナート
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.66 (t, J=7.57 Hz, 3 H) 1.22 - 1.32 (m, 1 H) 1.62 - 1.71 (m, 1 H) 2.36 (s, 6 H) 2.58 - 2.65 (m, 1 H) 4.57 - 4.66 (m, 1 H) 7.15 - 7.19 (m, 1 H) 7.31 - 7.72 (m, 4 H) 8.63 - 8.71 (m, 2 H)
(ESI pos.) m/z : 548 ([M+H]+) (ESI neg.) m/z : 546 ([M-H]-)
3-{(1S,2S)-1-({[2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}アミノ)-2-[メチル(プロパ-2-エン-1-イル)アミノ]ブチル}フェニル トリフルオロメタンスルホナート
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.64 (t, J=7.57 Hz, 3 H) 1.23 - 1.35 (m, 1 H) 1.62 - 1.74 (m, 1 H) 2.29 (s, 3 H) 2.62 - 2.73 (m, 1 H) 3.10 - 3.33 (m, 2 H) 4.53 - 4.62 (m, 1 H) 5.09 - 5.20 (m, 1 H) 5.69 - 5.81 (m, 1 H) 7.15 - 7.22 (m, 1 H) 7.28 - 7.86 (m, 7 H)
(ESI pos.) m/z : 573 ([M+H]+) (ESI neg.) m/z : 571 ([M-H]-)
3-{(1S,2S)-1-({[3-クロロ-4-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]カルボニル}アミノ)-2-[メチル(プロパ-2-エン-1-イル)アミノ]ブチル}フェニル トリフルオロメタンスルホナート
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 0.65 - 0.75 (m, 3 H) 1.23 - 1.36 (m, 1 H) 1.57 - 1.73 (m, 1 H) 2.32 (s, 3 H) 2.70 - 3.34 (m, 3 H) 3.10 (dd, J=17.42, 6.42 Hz, 1 H) 4.57 - 4.65 (m, 1 H) 5.10 - 5.27 (m, 2 H) 5.78 - 5.88 (m, 1 H) 7.17 (d, J=9.17 Hz, 1 H) 7.27 - 7.84 (m, 5 H) 8.62 - 8.92 (m, 2 H)(ESI pos.) m/z : 574 ([M+H]+)
(ESI neg.) m/z : 572 ([M-H]-)
3-{1-({[2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}アミノ)-2-[メチル(プロパ-2-エン-1-イル)アミノ]エチル}フェニル トリフルオロメタンスルホナート
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 2.27 (s, 3 H) 2.56 - 3.21 (m, 4 H) 5.03 - 5.24 (m, 3 H) 5.74 - 5.84 (m, 1 H) 7.16 - 7.23 (m, 2 H) 7.27 - 7.84 (m, 6 H)
(ESI pos.) m/z : 545([M+H]+) (ESI neg.) m/z : 543([M-H]-)
【0115】
以下の実施例に記載された化合物の炭素原子に米印が付いていることがあるが、これは、キラルであって絶対立体構造が判明していない炭素原子であることを表す。
【0116】
実施例1 2-クロロ-N-[(1S,2S)-2-(ジメチルアミノ)-1-(3-ピリジン-3-イルフェニル)ブチル]-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミドの合成
【0117】
【化14】

【0118】
窒素雰囲気下、3-[(1S,2S)-1-({[2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}アミノ)-2-(ジメチルアミノ)ブチル]フェニル トリフルオロメタンスルホナート(133mg)、3−ピリジルホウ酸(59mg)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(11mg)、炭酸カリウム(60mg)とジメチルホルムアミド−エタノール(2:1、2mL)の混合物を90℃で2時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、減圧下溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=90:10〜67:33)で精製し、固体(58mg)を得た。これを酢酸エチルに溶解し、4N塩酸/酢酸エチル(0.5mL)を加えた。析出した固体をろ取し、表題化合物(42mg)を得た。
【0119】
実施例2 2-クロロ-N-[(1S,2S)-2-[メチル(プロパ-2-エン-1-イル)アミノ]-1-(3-ピリミジン-5-イルフェニル)ブチル]-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミドおよび2-クロロ-N-[(1S,2S)-2-(メチルアミノ)-1-(3-ピリミジン-5-イルフェニル)ブチル]-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド塩酸塩の合成
【0120】
【化15】

【0121】
(1)窒素雰囲気下、3-{(1S,2S)-1-({[2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}アミノ)-2-[メチル(プロパ-2-エン-1-イル)アミノ]ブチル}フェニル トリフルオロメタンスルホナート(652mg)、5−ピリミジルホウ酸(212mg)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(40mg)、炭酸カリウム(236mg)とジメチルホルムアミド−エタノール(2:1、10mL)の混合物を90℃で4時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、減圧下溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=87:17)および(中性シリカゲル、クロロホルム/メタノール=100:0〜97:3)で精製し、表題化合物2-クロロ-N-[(1S,2S)-2-[メチル(プロパ-2-エン-1-イル)アミノ]-1-(3-ピリミジン-5-イルフェニル)ブチル]-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド(287mg)を得た。
【0122】
(2)2-クロロ-N-[(1S,2S)-2-[メチル(プロパ-2-エン-1-イル)アミノ]-1-(3-ピリミジン-5-イルフェニル)ブチル]-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド(287mg)、1,3−ジメチルバルビツール酸(267mg)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(6.6mg)、およびクロロホルム(5mL)の混合物を室温で3時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、減圧下溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=4:1〜1:7)で精製し、固体を得た。この固体を酢酸エチルに溶解し、4N塩酸/酢酸エチル(0.5mL)を加えた。析出した固体をろ取し、表題化合物2-クロロ-N-[(1S,2S)-2-(メチルアミノ)-1-(3-ピリミジン-5-イルフェニル)ブチル]-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド塩酸塩(94mg)を得た。
【0123】
実施例3 2-クロロ-N-{[4-(ジメチルアミノ)テトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル][3-(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル]メチル}-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミドおよび2-クロロ-N-{[4-(ジメチルアミノ)-1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル][3-(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル]メチル}-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミドの合成
【0124】
【化16】

【0125】
(1)窒素気流下N-{(3-ブロモフェニル)[4-(ジメチルアミノ)テトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル]メチル}-2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド(900mg)、1-エチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(750mg)、ジメチルホルムアミド−エタノール(2:1、10ml)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(388mg)、および炭酸カリウム(350mg)の混合物を90℃で6時間攪拌した。水を加え、ヘキサン/酢酸エチル(9:1)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ別し、減圧下溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=50:50〜33:67)および(酸性シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=50:50〜33:67)で精製し、表題化合物2-クロロ-N-{[4-(ジメチルアミノ)テトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル][3-(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル]メチル}-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド(460mg)を得た。
【0126】
(2)2-クロロ-N-{[4-(ジメチルアミノ)テトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル][3-(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル]メチル}-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド(164mg)のクロロホルム(3mL)溶液にメタンスルホン酸(0.04mL)とメタクロロ過安息香酸(175mg)を加え、室温で3時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリム水溶液(10mL)、チオ硫酸ナトリウム(0.32g)を加えて、さらに30分間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリムで乾燥した。乾燥剤をろ別し、減圧下溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(中性シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=33:67〜10:90)で精製し、表題化合物2-クロロ-N-{[4-(ジメチルアミノ)-1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル][3-(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)フェニル]メチル}-3-(トリフルオロメチル)ベンズアミド(60mg)を得た。
【0127】
実施例1から3で示した化合物と、同様の方法で合成した化合物の構造式を表1−1から1−5に示した。それらの機器データを表2−1から2−3に示した。
【0128】
【表1−1】

【0129】
【表1−2】

【0130】
【表1−3】

【0131】
【表1−4】

【0132】
【表1−5】

【0133】
【表2−1】

【0134】
【表2−2】

【0135】
【表2−3】

【0136】
試験例 [グリシン取り込み阻害実験]
グリシン取り込み実験はNeuron, 8, 927-935, 1992に掲載された方法に従って行った。ヒト1型グリシントランスポーター(GlyT1)を発現した神経膠腫であるT98G細胞を用いた。T98G細胞を96ウェルプレートに2.0×104個/ウェルにて播種し、炭酸ガスインキュベーター内にて一晩培養した。被検物質は100%DMSO溶液に溶解したのち、150mM塩化ナトリウム、1mM塩化カルシウム、5mM塩化カリウム、1mM塩化マグネシウム、10mMグルコースおよび0.2%ウシ血清アルブミンを含む10mMHEPES緩衝液(pH7.4)に溶解させた。細胞培養用培地を除去した後、被検物質を10分間前処置した。その後、被検物質および[3H]グリシン(最終濃度 250nM)を細胞に添加し、室温にて15分間反応させた。反応終了後、マニーホールドにて細胞外液を吸引し、細胞外に存在する余分な標識グリシンを除去したのち、0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液にて細胞を溶解した。細胞内に存在するグリシン量は、細胞溶解液中の放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定することにより求めた。10μMのALX5407存在下におけるグリシン取り込み量を非特異的取り込みとし、10μMのALX5407非存在下の総取り込み量から非特異的取り込み量を差し引いたものを特異的取り込み量とした。また、被検物質の10-9〜10-5濃度での抑制曲線からグリシン取り込み阻害活性(IC50値)を算出した。
【0137】
本発明化合物のIC50値を表3に例示する。
【0138】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明化合物は、1型グリシントランスポーター(GlyT1)阻害作用を有し、従って、グリシントランスポーターに関連する疾患、具体的には、統合失調症、アルツハイマー病、認知機能障害、認知症、不安障害(全般性不安障害、パニック障害、強迫性障害、社会不安障害、外傷後ストレス障害、特定の恐怖症、急性ストレス障害等)、うつ病、薬物依存、痙攣、振戦、及び睡眠障害の予防又は治療に有効である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式[I]
【化1】

[式中、
環Aは、フェニル、ナフチル、又は「窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択される1若しくは2個のヘテロ原子を環内原子として有する単環又は二環の芳香環」であり(ここで、該フェニル、ナフチル及び「窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択される1若しくは2個のヘテロ原子を環内原子として有する単環又は二環の芳香環」は、それぞれ無置換、又はC1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、シアノ、C1-6アルコキシ、ハロゲン、C1-6アルカノイル、C1-6アルキルスルホニルアミノ及びC2-7アルコキシカルボニルからなる群から選ばれる1から3個の置換基で置換されている。)、
Ar1はフェニル、ナフチル、又は「窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択される1若しくは2個のヘテロ原子を環内原子として有する単環又は二環の芳香環」であり(ここで、該フェニル、ナフチル、及び「窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選択される1若しくは2個のヘテロ原子を環内原子として有する単環又は二環の芳香環」は、それぞれ無置換、或いはヒドロキシ、ハロゲン、C1-6アルキル、C1-6アルキルチオ、C1-6ハロアルキル、シアノ、C1-6アルコキシ、C1-6アルカノイル、C1-6ハロアルカノイル、C1-6ハロアルコキシ、C3-8シクロアルキル、ニトロ、アミノ、アミノスルホニル及びカルバモイルからなる群から選ばれる1から3個の置換基で置換されているか、又はメチレンジオキシで置換されている。)、
1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、C1-6アルキル、C2-6アルケニル(ここで、該C1-6アルキル及びC2-6アルケニルは、それぞれ無置換、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルコキシ、C3-8シクロアルキル及びC6-10アリールからなる群から選ばれる1から3個の置換基で置換されている。)、又はC3-8シクロアルキルであり、或いは、R1とR2は結合する窒素原子と共に、4〜7員の飽和又は一部不飽和の環状構造(該環状構造中に、O、N、又は、S(O)mから選ばれるヘテロ原子をさらに含んでも良い。また、該環状構造は1から3個のYによって置換されても良い。)を形成してもよく、
Yは、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、又はC6-10アリールであり、或いは環状構造の2つの原子間にメチレン、又はエチレンを形成してもよく、
mは0,1又は2であり、
3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル、C2-6アルケニル(ここで、該C1-6アルキル及び該C2-6アルケニルは、それぞれ無置換、又はハロゲン、ヒドロキシ、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、C3-8シクロアルキル、C1-6アルキルチオ、及びC6-10アリールから選ばれる1から3個の置換基で置換されている。)、又はC3-8シクロアルキルであり、或いは、R3とR4は結合する炭素原子と共に、4〜7員の飽和又は一部不飽和の環状構造(該環状構造中に、O、N、又は、S(O)nから選ばれるヘテロ原子をさらに含んでも良い。また、該環状構造は1から3個のXによって置換されても良い。)を形成してもよく、
Xは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルコキシ、又はC6-10アリールであり、
nは0,1又は2であり、
5は水素原子、C1-6アルキル、又はハロゲンである。]で表される化合物又はその医薬上許容される塩又はこれらの水和物。
【請求項2】
前記式[I]において、
環Aが、フェニル、又は「1若しくは2個の窒素原子を環内原子として有する単環の芳香環」であり(ここで、該フェニル、及び「1若しくは2個の窒素原子を環内原子として有する単環の芳香環」は、それぞれ無置換、又はC1-6アルキル、シアノ、C1-6アルコキシ、ハロゲン、C1-6アルカノイル及びC1-6アルキルスルホニルアミノからなる群から選ばれる1から3個の置換基で置換されている。)、
Ar1がフェニル、又は「1個の窒素原子を環内原子として有する単環又は二環の芳香環」であり(ここで、該フェニル、及び「1個の窒素原子を環内原子として有する単環又は二環の芳香環」は、それぞれ無置換、又はハロゲン及びC1-6ハロアルキルからなる群から選ばれる1から3個の置換基で置換されている。)、
1及びR2が、同一又は異なって、水素原子、C1-6アルキル、又はC2-6アルケニルであり、或いは、R1とR2が結合する窒素原子と共に、ピロリジン環、又はピペリジン環(該ピロリジン環、又はピペリジン環は、無置換又は1から3個のC1-6アルキルによって置換されている。)を形成しても良く、
3及びR4が、同一又は異なって、水素原子、又はC1-6アルキル、或いは、R3とR4が結合する炭素原子と共に、5又は6員の環状構造(該環状構造中に、さらにS(O)nを含んでも良い。また、該環状構造は無置換又は1から3個のC1-6アルキルによって置換されている。)を形成しても良く、
5が水素原子である請求項1に記載の化合物又はその医薬上許容される塩又はこれらの水和物。
【請求項3】
前記式[I]において、
環Aが、「1若しくは2個の窒素原子を環内原子として有する単環の芳香環」であり(該「1若しくは2個の窒素原子を環内原子として有する単環の芳香環」はそれぞれ無置換、又はC1-6アルキルで置換されている。)、
Ar1がフェニル、又は「1個の窒素原子を環内原子として有する単環の芳香環」であり(ここで、該フェニル、及び「1個の窒素原子を環内原子として有する単環の芳香環」はそれぞれ無置換、又は、ハロゲン及びC1-6ハロアルキルからなる群から選ばれる1から3個の置換基で置換されている。)、
1及びR2が、同一又は異なって、水素原子又はC1-6アルキルであり、
3及びR4が、同一又は異なって、水素原子又はC1-6アルキルであり、或いは、R3とR4が結合する炭素原子と共に、シクロペンタン環を形成してもよく、
5が水素原子である請求項1又は2に記載の化合物又はその医薬上許容される塩又はこれらの水和物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬上許容される塩又はこれらの水和物を有効成分として含有する医薬。
【請求項5】
グリシントランスポーター阻害剤である請求項4項に記載の医薬。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物又はその医薬上許容される塩又はこれらの水和物を有効成分とする統合失調症、アルツハイマー病、認知機能障害、認知症、不安障害、うつ病、薬物依存、痙攣、振戦及び睡眠障害からなる群から選択される疾患の予防又は治療剤。

【公開番号】特開2009−185008(P2009−185008A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29617(P2008−29617)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000002819)大正製薬株式会社 (437)
【Fターム(参考)】