説明

コードレス電話機

【課題】本発明は、電話制御装置に接続されるコードレス電話機において、トークバック着信サービスをより使い勝手良いものにすることができる内線電話機を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、トークバック着信サービスを提供する電話制御装置に接続されたコードレス電話機1であって、親機2は、子機設置状態を検知する検知手段と、電話制御装置からトークバック着信メッセージを受信する受信手段と、トークバック着信メッセージを受信すると子機設置状態を確認する確認手段と、子機3が設置されていることを確認すると、親機2と電話制御装置との双方向通話を可能とする親機通話構成手段と、子機3が設置されていないことを確認すると子機3へトークバック指示メッセージを送信する送信手段とを備え、子機3は、トークバック指示メッセージを受信して電話制御装置との双方向通話を可能とする子機通話構成手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トークバック着信サービスを提供する電話制御装置に接続され、スピーカからの音声による呼び出しとマイクロホンを通じて音声応答できるコードレス電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、着信側の電話機に装備されたスピーカを使って、発信側の電話機から音声による呼び出しを行い、着信側の電話機のマイクロホンを通じて音声応答(以下、トークバック通話ともいう)することができるボタン電話装置が知られている。このようなボタン電話装置を開示するものとして例えば特許文献1がある。
【0003】
特許文献1には、ボタン電話主装置に内線収容され、他内線電話機からの音声呼び出し中に発信側と着信側内線間の双方向通話パスを形成し、着側電話機に具備したスピーカとマイクロホンを使って発側内線電話機から強制的にトークバック通話を行うことができるボタン電話装置が開示されている。
【0004】
しかし、この特許文献1のボタン電話装置は、いわゆるコードレス電話機を前提としたものではない。コードレス電話機は、電話機本体(親機)に受話器(子機)を載置して親機と子機間を無線で接続する電話機であるが、特許文献1のボタン電話そうちは、このコードレス電話機の親機と他の内線電話機との間のトークバック通話だけに限られるものである。
【0005】
すなわち、特許文献1の場合、ボタン電話装置の内線電話機としてコードレス電話機を使用したときには、子機を親機から外して親機から子機が遠く離れた状態で、他の内線電話機からトークバック音声呼び出しが行われると、親機に具備されたスピーカとマイクロホンによる自動応答となり、親機とは別の場所にある子機とは事実上トークバック通話を行うことができない。
【0006】
このような親機と子機の関係において、親機と子機の双方にハンズフリー通話モードの通話機能を搭載し、被呼者が「ハイ」という声を発すると、その音声を認識することにより、通話が可能なコードレス電話機も提案されている(特許文献2参照)。
【0007】
しかし、この特許文献2のコードレス電話機は、トークバック呼び出しに自動応答するものではなく、親機と子機の双方に、着信鳴動中に特定音声を検出する音声検出回路と、この検出に基づいてハンズフリー通話モードに切り替えるハンズフリー通話手段と、充電動作中であることを検出する充電検出回路からなるトークバック通話機能を搭載して、子機が親機に充電のために接続されている状態では、親機のみあるいは子機のみに通話が限定されるものである。
【特許文献1】特開平7−162915号公報
【特許文献2】特許第3469656号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のコードレス電話機では、子機を親機から離れた場所で使用する場合には、トークバック着信時に親機が自動応答してしまい、子機では自動応答することができなかった。例えば、机上の親機から子機を外し、近くの会議机等での打合せをしながら使用するような使い方でトークバック通話を利用することはできなかった。
【0009】
また、特許文献2のコードレス電話機は、音声認識の精度が問題になる上に、コストアップに繋がる。しかも、子機を持ち運ぶコードレス電話機においては、圏外に移動したときなどの対処が十分できていない。
【0010】
すなわち、子機がトークバック応答するように設定してあったとしても、電波が届かなかったり、電源が入っていなかったりするような場合に、親機でトークバック応答するのが目的に適うし、子機がトークバック応答しているときに親機でも発信側の音声を聞き取ることができれば利便性は高まる。
【0011】
そして、トークバック着信時に、トークバック通話特性が親機よりも劣ることが多い子機で自動応答するのは、利用者の傍に親機があるときには、利用方法として必ずしも合理的とは言えない。親機で通話する方が勝る場合も多い。さらに利用者が親機でトークバック通話したいと考えたときには、利用者の意思によりこれを拒否したり、子機と親機のどちらでトークバックするか選択したりする余地があるのが望ましい。
【0012】
そこで本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、電話制御装置に接続されるコードレス電話機において、トークバック着信サービスをより使い勝手良いものにすることができる内線電話機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような問題を解決するために本発明は、トークバック着信サービスを提供する電話制御装置に接続され、親機と、この親機に無線接続される子機とからなるコードレス電話機であって、親機と子機の各々にスピーカおよびマイクロホンを具備し、親機は、子機設置状態を検知する検知手段と、電話制御装置からトークバック着信メッセージを受信する受信手段と、受信手段によりトークバック着信メッセージを受信すると検知手段にて得られた子機設置状態を確認する確認手段と、確認手段により子機が設置されていることを確認すると、該親機のスピーカとマイクロホンによる発側電話機との双方向通話を可能とする親機通話構成手段と、確認手段により子機が設置されていないことを確認すると子機へトークバック指示メッセージを送信する送信手段とを備え、子機は、トークバック指示メッセージを受信して該子機のスピーカとマイクロホンによる発側電話機との双方向通話を可能とする子機通話構成手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のコードレス電話機によれば、子機を持ち歩き、親機から離れた移動先でコードレス電話機の子機を使用しても、トークバック着信時に、子機でトークバック通話することができ、使い勝手の良い内線電話機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
上記課題を解決するために本発明の第1の発明は、発側電話機からのトークバック呼び出し操作にて着側電話機にトークバック着信サービスを提供する電話制御装置に接続され、親機と、この親機に無線接続される子機とからなるコードレス電話機であって、親機と子機の各々にスピーカおよびマイクロホンを具備し、親機は、子機設置状態を検知する検知手段と、電話制御装置からトークバック着信メッセージを受信する受信手段と、受信手段によりトークバック着信メッセージを受信すると検知手段にて得られた子機設置状態を確認する確認手段と、確認手段により子機が設置されていることを確認すると、該親機のスピーカとマイクロホンによる発側電話機との双方向通話を可能とする親機通話構成手段と、確認手段により子機が設置されていないことを確認すると子機へトークバック指示メッセージを送信する送信手段とを備え、子機は、トークバック指示メッセージを受信して該子機のスピーカとマイクロホンによる発側電話機との双方向通話を可能とする子機通話構成手段とを備えることを特徴とするコードレス電話機である。
【0016】
この構成によって、子機を持ち歩き、親機から離れた移動先でコードレス電話機の子機を使用しても、トークバック着信時に、子機でトークバック通話することができ、使い勝手の良い内線電話機を提供することができる。
【0017】
本発明の第2の発明は、第1の発明に従属する発明であって、子機が、親機からのトークバック指示メッセージを受信するとトークバック指示確認メッセージを親機に返信する返信手段を備え、親機は、トークバック指示メッセージを子機に送信後、所定時間内に該子機から返信手段によりトークバック指示確認メッセージが返信されない場合、親機通話構成手段が親機のスピーカとマイクロホンによる双方向通話を可能にすることを特徴とするコードレス電話機である。
【0018】
この構成によって、子機を持ち歩き、親機から離れた移動先でコードレス電話機の子機を使用しても、トークバック着信時に、子機でトークバック通話することができ、子機が親機から離れ圏外、または子機の電源が入っていないなどの理由により子機トークバック応答できない場合でも、親機を使用してトークバック通話ができる。
【0019】
本発明の第3の発明は、第2の発明に従属する発明であって、親機通話構成手段は、電話制御装置からトークバック着信メッセージを受信時に確認手段により子機が設置されていないことを確認し返信手段によりトークバック指示確認メッセージが返信されると、発側電話機から親機のスピーカへの片方向通話を可能にすることを特徴とするコードレス電話機である。
【0020】
この構成によって、親機と子機に同時に音声呼び出しを行い、親機には発側電話機から送話のみ、子機には発側電話機と双方向のトークバック通話となる。親機の周辺にいる者で電話対応が可能になる。
【0021】
本発明の第4の発明は、第1の発明に従属する発明であって、親機通話構成手段は、電話制御装置からトークバック着信メッセージを受信時に確認手段により子機が設置されていないことを確認すると、発側電話機から親機のスピーカへの片方向通話を可能にすることを特徴とするコードレス電話機である。
【0022】
この構成によって、トークバック着信メッセージを受信して機が設置されていないことを確認したら、トークバック指示確認メッセージが着信するのを待たずに直ちに電話制御装置から親機のスピーカへの片方向通話を可能にすることができる。
【0023】
本発明の第5の発明は、第1または2の発明に従属する発明であって、親機は、トークバック応答するか否かを設定する親機トークバック設定手段を有し、親機トークバック設定手段により親機トークバック応答する設定がされている場合にのみ、親機通話構成手段が親機のスピーカとマイクロホンによる双方向通話を可能にすることを特徴とするコードレス電話機である。
【0024】
この構成によって、トークバック着信時は無条件にトークバック通話を行うのではなく、電話機毎に、通常の音声呼び出し(発側電話機→着側電話機)とするかトークバック通話(発側電話機←→着側電話機)とするかの選択ができる。トークバック応答しない設定の場合には、通常の音声呼び出し(発側電話機→着側電話機)にすることができる。
【0025】
本発明の第6の発明は、第1から4の何れか1の発明に従属する発明であって、子機は、子機にてトークバック応答するか否かを設定する子機トークバック設定手段を有し、子機トークバック設定手段により子機トークバック応答する設定がされている場合にのみ、子機通話構成手段が子機のスピーカとマイクロホンによる双方向通話を可能にすることを特徴とするコードレス電話機である。
【0026】
この構成によって、トークバック着信時は無条件にトークバック通話を行うのではなく、電話機毎に、通常の音声呼び出し(発側電話機→着側電話機)とするかトークバック通話(発側電話機←→着側電話機)とするかの選択ができる。子機を親機から外し、子機が親機の直近に位置する場合など、子機でのトークバック通話が煩わしく、親機でトークバックしたい利用者には、子機でのトークバック応答を規制し、規制時は親機でのトークバック通話のみ可とすることができる。
【0027】
本発明の第7の発明は、第1から6の何れか1の発明に従属する発明であって、検知手段が、親機に設けられると共に子機への充電状態を検出することができる子機充電部であることを特徴とするコードレス電話機である。
【0028】
この構成によって、親機の子機充電部を用いて、子機設置状態を検出することができる。
【0029】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1におけるコードレス電話機について説明する。図1は本発明の実施の形態1におけるコードレス電話機の概観図、図2は本発明の実施の形態1におけるコードレス電話機を接続するPBX(Private Branch eXchange)のシステム構成図、図3は本発明の実施の形態1におけるコードレス電話機の親機のブロック構成図、図4は本発明の実施の形態1におけるコードレス電話機の子機のブロック構成図である。
【0030】
そして、図5は本発明の実施の形態1におけるコードレス電話機が子機設置状態かつ親機にトークバック呼び出しを行うときのシーケンス図、図6は本発明の実施の形態1におけるコードレス電話機が子機非設置状態かつ子機にトークバック呼び出しを行うときのシーケンス図であり、図7は本発明の実施の形態1におけるコードレス電話機の親機のトークバック通話のフローチャート、図8は本発明の実施の形態1におけるコードレス電話機の子機のトークバック通話のフローチャート、図9は図2のシステムで送受信される呼制御メッセージのフォーマット説明図である。
【0031】
まず、コードレス電話機の構成について説明する。図1は実施の形態1のコードレス電話機であるカールコードレス電話機1を示す。図1に示すように、カールコードレス電話機1は親機2と子機3とから構成される。親機2には充電台を兼ねるハンドセット収容部4が設けられ、このハンドセット収容部4に子機3を置いたときには端部の充電出力端子47(図3参照)を介して子機3への充電が行われ、子機3をオフフックして持ち運んだときは数十mから百mに近い距離で親機2を介しての通信が可能になる。
【0032】
親機2には、その本体側面に姿勢を調整できるアンテナ2aと、本体正面にはバックライト付きの液晶表示部(LCD:Liquid Crystal Display)5が設けられている。これにより各種情報を表示する。また、本体上端には着信があったときに点滅して報知する着信ランプ6も設けられている。親機2の正面中央のエリアには多様なボタンやダイヤル、キーを配置した操作部7が設けられている。
【0033】
操作部7には、例えば、外線ボタンとして使用する機能ボタン/ランプ8、相手番号をダイヤルするダイヤルボタン9、短縮ダイヤルや再ダイヤル、転送などの複数のファンクションキー10が配置される。
【0034】
同様に、機能ボタン/ランプ8と、ダイヤルボタン9及びファンクションキー10が配置された間の狭いエリアには、通話中を示す通話中ランプ、親機2に子機3を置いたときに点灯するオンフックランプ、親機トークバック設定状態を表すトークバックランプ等のランプ11が配設されており、操作部7の下端部にはモニターボタン、音量を調節する音量ボタン、通話を保留する保留ボタン等が設けられている。
【0035】
さらに、ハンドセット収容部4には上面に子機3を持ち上げたとき露出されるスピーカ4aが設けられ、本体下端にはハンズフリー通話時に音声入力するマイクロホン2bが設けられている。親機2でトークバック通話を行う場合にはこのマイクロホン2bとスピーカ4aを使って行う。
【0036】
次に子機3の説明をすると、子機3にもバックライト付きの液晶表示部14が設けられ、処理情報等を表示する。この液晶表示部14の上には受話口15が設けられ、機能ボタン/ランプ17、着信に応答および発信する開始ボタン19a、通話を切断終了する終了ボタン19b、ダイヤルボタン18、子機トークバック設定状態を表すトークバックランプを含む各種ランプ20が配置され、ダイヤルボタン18の下方に送話口21が設けられると共に、子機3の端部には子機3をハンドセット収容部4に置いたとき、充電を行う充電入力端子3a(図4参照)が設けられている。また、子機3の背面側に着信音やハンズフリー通話の受話音を拡声するスピーカ4bが設けられ、子機3を携帯した状態でトークバック通話するときには、子機3の送話口21と、背面側のスピーカ4bを使って行う。
【0037】
続いて、図2に基づいてこのカールコードレス電話機1が接続され、トークバック着信サービスを提供することができる電話制御装置30、ここではPBXのシステム構成について説明する。図2はカールコードレス電話機1を接続する電話制御装置30の一つであるPBXのシステム構成を示す。なお、以下PBXのシステム構成について説明するが、これはボタン電話システムや、IP(Internet Protocol)電話システムでも基本的に変わりがない。
【0038】
図2において、電話制御装置30には、公衆回線網などの外線と接続される外線インターフェース制御部31と、内線電話機A,B,C等の内線と接続される内線インターフェース制御部32と、外線および内線間を時分割で通話路を接続する通話スイッチ33が設けられている。そして、この電話制御装置30には、ハードウェアとしてのCPU(中央演算処理装置)にプログラムを読み込んで機能し、通話スイッチ33を制御するCPU部34と、CPU部34で処理される呼制御プログラムとデータを記憶したメモリー部35が設けられている。
【0039】
内線電話機Bから内線電話機Aへトークバック呼び出し操作を行うと、破線矢印で示したルートを辿ってトークバック通話メッセージは親機2に着信し、子機3が親機2のハンドセット収容部4から外されているときには内線電話機Bは子機3とトークバック通話が可能になり、子機3がハンドセット収容部4に置いてあれば内線電話機Bは親機2との間でトークバック通話が可能になる。
【0040】
さて、ここでカールコードレス電話機1の制御ブロックの構成について説明する。図3はカールコードレス電話機1の親機2のブロック構成を示す。親機2には、電話制御装置30側とのインターフェースである電話制御装置通信部41(本発明における受信手段)が設けられており、受信データから取り出されたメッセージデータは制御部42に入力され、CPU部42aはこれを基に電話機の制御を行い、必要なデータはメモリー部42bに記憶する。
【0041】
この電話制御装置30と電話制御装置通信部41との間で送受信されるメッセージのフォーマットの一例を図9に示す。この詳細については後述する。
【0042】
制御部42は、CPU部42aとメモリー部42b、タイマ42cなどから構成され、親機2を構成する各制御ブロックに対して制御の指示を行う。例えば、子機3が親機2から離れた位置にあるときは、制御部42は無線通信部43(本発明におけるトークバック指示メッセージを送信する送信手段)に子機2との間で無線接続するように命令し、制御信号、音声データ信号を送受信させる。
【0043】
そして、音声コーデック(enCOder DECoder)回路が配置され音声データのAD/DA変換/圧縮/伸張等のデジタル信号処理を行うオーディオ回路部50と、電話制御装置通信部41と無線通信部43およびオーディオ回路部50の間にあって、制御部42の指示により親機内の音声データの通話路切替を行う通話切替回路部49が設けられている。
【0044】
また、オーディオ回路部50には、アナログ音声入力部となるマイクロホン2bとオーディオ回路部でDA変換された音声を拡声するスピーカ4aが接続される。
【0045】
なお、オーディオ部50が処理するのは、マイクロホン2bを使ったときの音声信号だけには限られない。着信があったときには呼び出し音等を鳴動させる必要があり、この場合にも信号処理が必要になる。呼び出し音等は、制御部42がメモリー部42bから呼び出し音の音声データを取り出し、この音声データをDA変換し、スピーカ4aから出力する。
【0046】
このほか制御部42には、子機3の充電入力端子3aと接し子機3への充電電流を出力する充電出力端子47と、子機3への充電電流を検出し制御部42に充電電流値を出力する充電検出回路部48と、機能ボタン/ランプ8、ダイヤルボタン9等のボタンやファンクションキー10からの入力を入力するインターフェースとしての入力部44が接続されている。同様のインターフェースとして、機能ボタン/ランプ8のランプや、親機トークバック応答設定状態を示す親機トークバックランプ、通話中を示す通話ランプ等のランプ11の点灯、消灯、点滅制御を行うランプ部45が接続され、また、各種情報を表示するLCD部46も接続される。
【0047】
次に、図4に基づいて子機3のシステムのブロック構成について説明する。図4において、子機3にはアンテナ51aが設けられており、受信した無線信号は無線通信部51に入力される。無線通信部51は無線信号からメッセージデータと音声データを取り出して、メッセージデータを制御部52に、音声データをオーディオ回路部58に出力する。
【0048】
そして、子機3のオーディオ回路部58には、親機2と同様に音声コーデックを配置され、アナログ音声入力部となるマイクロホン21とオーディオ回路部でDA変換された音声を拡声するスピーカ4bと受話口に配置されたスピーカ15が接続される。制御部52はCPU部52aとメモリー部52bなどから構成され、子機3の各制御ブロックを制御する。
【0049】
子機3には充電池53が設けられており、子機3が充電台でもある親機2のハンドセット収容部4に置かれた状態で、親機2の充電出力端子47、充電入力端子3aを介して充電が行われる。この充電入力端子3aには、子機3が充電中であるか否かを検出する充電検出回路部57が接続されており、充電中か否かの検出結果を制御部52に入力できるようになっている。また、充電検出回路部57では充電池の充電容量を検知して、制御部52に入力する。
【0050】
このほか子機3の制御部52には、機能ボタン/ランプ17、ダイヤルボタン18、開始ボタン19a、終了ボタン19bからの入力を入力するインターフェースとしての入力部54が接続されている。同様に、インターフェースとして、機能ボタン/ランプ17のランプや子機トークバック設定状態を示す子機トークバックランプ等のランプに対する点灯、消灯、点滅制御を行えるランプ部55が接続されると共に、各種情報を表示するLCD部56も接続される。
【0051】
さて、次に実施の形態1におけるカールコードレス電話機1のトークバック着信通話の構成について説明する。カールコードレス電話機1は、トークバック着信したときに親機2と子機3の少なくとも何れかで、スピーカ4a,4bから音声呼び出しを行ってマイクロホン2b、送話口21を通じて音声応答することが可能な機能を有している。
【0052】
このため親機2には、トークバック着信があったときに、親機2でトークバック通話するか、親機2と子機3の双方を使っての通話にするか(つまり親機2への片方向送話および子機3とのトークバック通話)、子機3でトークバック通話を行うか、の切り替えを行うための通話切替回路部49(本発明における親機通話構成手段)が設けられている。
【0053】
すなわち、図3の通話切替回路部49では、この回路をオーディオ回路部50に接続するか、無線通信部43に接続するか、この双方を行うのか、などの音声データ伝送経路の切り替えを行うことができる。これにより、親機2だけで発側電話機とトークバック通話を行ったり、親機2に送話すると同時に子機3においてはトークバック通話を行ったり、子機3だけでトークバック通話したりすることができる。
【0054】
この切り替えを行うために、親機2は、トークバック着信時にはまず、子機3がハンドセット収容部4内に載置されているか、持ち運び中かを検出する。実施の形態1においては、この2つの状態を子機3の充電と関係付け、子機3が充電中であればハンドセット収容部4に置いてあると判断し、充電中でなければ子機3は利用者が携行中と判断する。このため、充電出力端子47を介して充電されているか否かを検出することができる充電検出回路48(本発明における検出手段)が設けられている。
【0055】
ただ、このように充電をこの2つの状態と関係付けるのではなく、子機3が置かれるハンドセット収容部4にフックスイッチを設け、子機3がハンドセット収容部4内に載置されているか、外されているかをフックスイッチのON/OFF状態と対応させ、子機3のオンフック/オフフックをフックスイッチによって直接検出するようにしてもよい。
【0056】
また、実施の形態1においては、充電検出回路48が親機2と一体に配設されているが、これを別体の充電アダプタとし(図示はしない)、親機2から分離した別構造の形態で子機に充電することもできる。この場合は、子機3が充電アダプタに載置されているときが子機設置状態となり、充電アダプタに載置されていない場合が子機非設置状態となる。
【0057】
この充電検出回路48によって検出された検出結果は制御部42に入力され、CPU部42a内に設けられた子機状態判定手段42a1(本発明における確認手段)が、子機設置状態あるいは子機非設置状態の何れかを判定する。この判定方法としては、例えば、親機2の充電検出回路48によって充電電流を検知し、一定時間以上にわたって閾値以上の充電電流値を検出すれば、子機充電中(子機設置状態)と判定し、充電電流値が閾値より少なければ子機3が非充電中(子機非設置状態)と判定してもよい。なお、この子機状態判定手段42a1はCPU部42aに搭載された判定手段であって、プログラムをメモリー部42bからCPU部42aに読み込んでソフトウェア的に実行される機能実現手段である。
【0058】
子機状態判定手段42a1は充電検出回路48から検出結果が入力されると、メモリー部42bに設けられた設定部42b1を参照する。設定部42b1にはトークバック応答するか否かの設定がなされている。
【0059】
この設定部42b1、設定部52b1を設けた理由は、トークバック着信時に無条件にトークバック通話を行うのではなく、利用者の設定により親機2、子機3毎に、通常の音声呼び出し(発側電話機→着側電話機)とするか、トークバック通話(発側電話機←→着側電話機)とするかなどの選択ができるようにするためである。
【0060】
すなわち、子機3でのトークバック通話は基本的に利用者にとって使い勝手が良いため、子機3とのトークバック通話を基本に据えるのが通常は合理的と考えられる。しかし、親機2でトークバック通話したいと考える利用者には、利用者の意思により子機3でのトークバック通話を優先させるようにするのがよい。子機3の通話特性はその子機としての性格上必ずしも親機よりも高くなく、常に子機で自動応答するのが使い易いとは言えないからである。
【0061】
例えば、子機3を親機2から取り上げた状態で、親機2の直近にいるときなどの場合は、子機3でのトークバック通話の方が聞き取りにくく、親機2のスピーカ4aを利用する方が聞き取り易い。このような場合にトークバック通話を考える利用者に対して、子機3でのトークバック通話を制限し、制限時には親機2のみでトークバック通話する機能を提供しておくことはきわめて有効である。
【0062】
続いて、この設定部42b1、設定部52b1にトークバック通話の設定を行う構成について説明する。
【0063】
親機2でトークバック設定を行うときは、入力部44にトークバック設定キーを設け、トークバック設定キーとLCD部46を使って設定モードを選択し、CPU部42aにメモリー部42bから親機2のトークバック応答の設定を行うプログラムを呼び出して、これにより親機トークバック設定手段42a2(本発明における親機トークバック設定手段)を構成し、親機2の状態をトークバック応答に設定する。親機トークバック設定手段42a2もソフトウェア的に構成される機能実現手段である。
【0064】
親機トークバック設定手段42a2は親機2においてトークバック応答許可の登録/解除手段として機能する。子機3へのトークバック通話は、親機トークバック設定手段42a2により、設定部42b1に子機3のトークバック応答が登録され、かつ、子機3が親機2に非設置の場合のみ可能になる。
【0065】
子機3においてトークバック設定を行うときは、親機2と同様に、入力部54にトークバック設定キーを設け、トークバック設定キーとLCD部56を使ってトークバック応答の設定モードを選択し、CPU部52aにメモリー部52bからトークバック応答の設定プログラムを呼び出して、機能実現手段である子機トークバック設定手段52a1(本発明における子機トークバック設定手段)を構成し、子機3の設定状態をトークバック応答に設定することができる。子機3においてトークバック応答許可の登録/解除手段として機能する。子機トークバック設定手段52a1により、設定部52b1に子機3のトークバック応答が登録され、かつ、子機3が親機2に設置されていない場合のみ、子機3によるトークバック通話ができる。
【0066】
ここで、カールコードレス電話機1と電話制御装置30間で送受信される呼制御メッセージのフォーマットについて説明する。呼制御メッセージは例えば図9に示したようなフォーマットをしており、電話制御装置30とカールコードレス電話機1間のメッセージには、ポート番号の領域にこのどちらかのメッセージ送信元ポート番号が格納される。
【0067】
また、メッセージ種別の領域には、呼設定、呼設定応答、応答、切断、呼出、キーパッド、表示、その他の種別を表す種別情報が格納される。
【0068】
情報要素種別にはメッセージ種別に応じた情報要素の種別に関する情報が格納される。この情報要素種別には、着信種別、発信者情報、着信者情報、キー情報、ランプ情報、表示情報などがある。そして、情報要素詳細の領域には、上記情報要素種別の詳細データが格納される。例えば、着信種別の場合、信号着信、音声着信、トークバック着信、メール着信等の何れであるかの情報が格納される。
【0069】
従って、トークバック呼び出し操作を行ってトークバック着信メッセージを送信する場合には、メッセージ種別に呼設定の情報が書き込まれ、情報要素種別に着信種別が、情報要素詳細に着信種別の詳細内容であるトークバック着信を示す情報が書き込まれて送信される。
【0070】
なお、親機2のメモリー部42bには、以上説明した設定部42b1のほかに、状態フラグ部42b2も設けられている。この状態フラグ部42b2には、親機2と子機3の状態、例えば待ち受け状態であるとか、トークバック着信、子機通話中などの各状態のフラグがセットされる。カールコードレス電話機1のその時点における状態をフラグで保持しておくものである。子機設置状態または子機非設置状態の検出結果をこの状態フラグ部42b2の1つとして記憶しておき、必要に応じて参照することもできる。
【0071】
さて、以上説明した親機2と子機3の構成により、子機3が充電中で子機設置状態であると判定され、このとき親機2の設定部42b1に親機によるトークバック応答(親機トークバック応答)の設定がなされており、かつ、子機3の設定部52b1に子機によるトークバック応答(子機トークバック応答)の設定がなされていない場合(自動的に子機3がトークバック応答するモードでない場合)には、制御部42は設定部52b1を参照し、親機のスピーカ4a、マイクロホン2bをONとし、状態フラグを親機トークバックとして、親機トークバックランプを点滅させ、親機2と発側電話機との間でトークバック通話を開始する。
【0072】
これを目視した利用者が子機3をオフフックし、開始キーを押下したときには、親機のスピーカ4aとマイクロホン2bをOFFとし、子機3の制御部52はスピーカ4bをOFF、受話口15のスピーカと送話口21のマイクロホンをON、通話ランプを点灯させ、子機3と発側電話機との間で通常の子機によるハンドセット通話を開始する。
【0073】
次に、子機3が充電中ではなく子機非設置状態(持ち運んでいる状態)であると判定され、このとき親機2の設定部42b1に親機トークバック応答の設定がなされておらず、かつ、子機3の設定部52b1に子機トークバック応答の設定がなされている場合には、制御部42は設定部52b1を参照し、無線通信部51からトークバック指示メッセージを子機3に送信し、子機3は制御部52に搭載した返信手段52a2によってトークバック確認メッセージを親機2に送信する。同時に子機3は制御部52によって子機3のスピーカ4bと、送話口21のマイクロホンをONにする。親機2はトークバック確認メッセージを受信すると自身のスピーカ4aをONにする。
【0074】
これにより、親機のスピーカ4aから音声出力が可能になると共に、子機3と発側電話機との間でトークバック通話が行えるようになる。なお、子機状態判定手段42a1が、子機3が設置されていないことを確認したら、トークバック確認メッセージを受信するのを待たずに、直ちに電話制御装置30から親機2のスピーカへの片方向通話を可能にすることもできる。
【0075】
また、子機3が子機非設置状態であって、親機2の設定部42b1に親機トークバック応答の設定がなされており、かつ、子機3の設定部52b1に子機トークバック応答の設定がなされていない場合は、直ちに親機2と発側電話機との間でトークバック通話を開始する。
【0076】
なお、子機3の設定部52b1に子機トークバック応答の設定がなされていない場合であって、かつ、例えば子機3が親機2の圏外に移動した場合や、子機3の電源が入っていない場合等のように、トークバック指示を行ってから所定時間が経過しても、子機3からトークバック確認のメッセージがない場合は、子機トークバックを止め、親機2でのスピーカ4aとマイクロホン2bを使った通話に切り替える。すなわち、親機2は子機3が所定時間応答しない場合は、通話切替回路部49により親機2でのトークバック通話に移行させる。経過時間はタイマ42cでカウントする。
【0077】
このように実施の形態1のカールコードレス電話機1は、親機2と子機3に対してそれぞれトークバックのための音声呼び出しが行えると共に、子機非設置状態には親機2に発側電話機から送話のみをして、子機3では発側電話機と双方向のトークバック通話を可能にすることができる。また、圏外や電源が入っていない場合などの子機3がトークバック応答できない場合には、親機2を使用してトークバック通話ができる。これにより親機2の周辺にいる者が電話対応を行える。
【0078】
ここで、親機2、子機3の設定部42b1,52b1にトークバック応答の設定がなされていない場合は、通常の音声呼び出しとなる。しかし別の設定とすることもできる。親機2だけにトークバック応答の設定がなされている場合は、上記のとおり親機2がトークバック通話を行う。また、親機2にトークバック応答の設定がなされておらず、子機3にのみトークバック応答の設定がなされている場合も同様で、子機3だけがトークバック通話を行う。
【0079】
続いて、以上説明したカールコードレス電話機1のシステム構成を基にして、図2に示す内線電話機Bから電話制御装置経由でカールコードレス電話機である内線電話機Aにトークバックの音声呼び出しを行い、トークバック通話が行われ、回線が切断されるシーケンスについて説明する。
【0080】
まず、内線電話機Aの子機3が親機2のハンドセット収容部4内に載置された状態で、親機2へのトークバック呼び出しを行い、子機3で応答するときのシーケンスを説明する。すなわち、親機2の設定部42b1に親機トークバック応答の設定がなされている場合である。
【0081】
図5において、内線電話機Bをオフフックし(sq1)、トークバック呼出特番を押下し(sq2)、さらに相手の内線電話機Aの内線番号を押下する(sq3)。これらの信号は電話制御装置30に順に送信され、電話制御装置30の呼制御プログラムにて内線電話機Aへのトークバック着信要求と判断されると、電話制御装置30から内線電話機Aの親機2にトークバック着信メッセージを送出する(sq4)。この時、電話制御装置30は、トークバック通話のために内線電話機Aと内線電話機Bの通話スイッチ33を双方向接続する。そして親機2は、電話制御装置30からのトークバック着信メッセージを受信すると、確認手段により子機設置状態を確認し、子機設置状態が設置状態であると判断すると親機通話構成手段によって、オーディオ回路部50にスピーカ4aとマイクロホン2bをONとして、通話切替回路部49をオーディオ部50に接続する。親機2はトークバック通話中を報知するためトークバックランプを点滅させる。
【0082】
これ以降は通常の着信動作のシーケンスに移行する。例えば、親機でのトークバック通話中に子機3がオフフックし開始キー押下した場合を説明すると、この開始メッセージが子機3から親機2に通知され(sq5)、親機2から電話制御装置30へ応答メッセージが送信されると共に(sq6)、子機3に子機通話指示メッセージが送信される(sq7)。さらに、電話制御装置30は内線電話機Aに応答メッセージを通知する(sq8)。これにより、親機2でのトークバック通話から子機3でのハンドセットによる内線電話機Aと内線電話機B間の通話が開始される。なお、前記sq5の説明で、クイック通話機能として一般的な子機3のオフフック操作のみで、子機3からの開始メッセージを親機2に通知し通話を開始しても良い。
【0083】
その後、内線電話機Bによる切断操作(オンフック)で、その旨のメッセージが電話制御装置30に送信され(sq9)、親機2に切断メッセージが送信されると共に(sq10)、子機3には通話制御装置からの音声データとして送出される切断音が送信される。これに対して内線電話機Aの子機3をオンフックするか終了キーを押下すると、子機3から親機2に終了信号が送信され(sq11)、内線電話機Aは電話制御装置に通話呼を解放する解放メッセージを送出し(sq12)、通話を終了する。
【0084】
次に、内線電話機Aの子機3が親機2のハンドセット収容部4内に載置されていないとき(非載置中)、子機3へのトークバック呼び出しを行うときのシーケンスについて説明する。すなわち、子機設置状態が非設置状態で子機3の設定部52b1に子機トークバック応答の設定がなされている場合である。
【0085】
図6において、内線電話機Bをオフフックし(sq21)、トークバック呼出特番を押下し(sq22)、さらに相手の内線電話機Aの内線番号を押下する(sq23)。これらの信号は電話制御装置30に順に送信され、電話制御装置30の呼制御プログラムにて内線電話機Aへのトークバック着信要求と判断されると、電話制御装置30から内線電話機Aの親機2にトークバック着信メッセージを送出する(sq24)。また、この時、電話制御装置30は、トークバック通話のために内線電話機AとBの通話スイッチ33を双方向接続する。親機2は、電話制御装置30からのトークバック着信メッセージを受信すると、確認手段により子機設置状態を確認し、子機設置状態が非設置状態であると判断すると、親機2は子機3にトークバック指示メッセージを通知する(sq25)。子機3は、親機2からのトークバック指示メッセージを受信し、子機背面のスピーカ4b,送話口21のマイクロホンをON、子機トークバック通話ランプを点滅させ、子機3によるトークバック通話を形成する。これにより、親機2の状態フラグは通常の呼び出しから、子機トークバック着信に変更され、内線電話機Aと内線電話機Bの間のトークバック通話が開始される(sq26)。
【0086】
内線電話機Bの利用者が通話を終了するためオンフックすると、オンフックの信号は電話制御装置30に送信され(sq27)、電話制御装置30は内線電話機Aの親機2に切断メッセージを送信する(sq28)。さらに内線電話機Aの親機2は、親機2の状態フラグが子機トークバック着信状態での切断メッセージ受信であることを確認すると親機2から子機3に切断メッセージが送信され(sq29)、親機2の状態フラグは待ち受け状態に変更される。子機3はスピーカ4b、送話口21のマイクロホンをOFFに戻し、トークバック応答設定を報知する点灯状態に子機トークバックランプの状態を戻す。以上のシーケンスによって、内線電話機Aの子機3が親機2のハンドセット収容部4内に非載置のときにも、内線電話機Aと内線電話機Bの間のトークバック通話を行うことができる。
【0087】
次に、子機3が親機2のハンドセット収容部4内に非載置のときに、片方向送話モードを選ぶことにより、無条件に子機3がトークバック応答するのではなく、子機3へのトークバック呼び出しを行うが、親機2のスピーカ4aを使って親機2へ音声着信させることもできる。
【0088】
この場合内線電話機Bからトークバック呼び出しを行うと、図6に示したシーケンスと同様のシーケンスで、電話制御装置30は内線電話機Aと内線電話機Bの通話スイッチをトークバック通話のために双方向接続する。親機2は、電話制御装置30からのトークバック着信メッセージを受信すると、子機設置状態を確認し、子機設置状態が非設置状態であると判断した場合、親機2は子機3にトークバック指示メッセージを通知して、子機3は親機2へトークバック指示確認メッセージを送信する。
【0089】
親機2は、このトークバック指示確認メッセージを受信すると、内線電話機Bから親機2への音声呼び出しとなり、親機2は自身の状態フラグを親機音声着信に変更し、親機2のスピーカ4aをONにする。これにより内線電話機Bからの音声は親機2のスピーカ4aから片方向から出力されることになる。なお、トークバック指示確認メッセージの受信を待たずに直ちに片方向出力させることもできる。
【0090】
次いで、親機2は自身の状態フラグを子機トークバック着信、親機音声着信に変更し、内線電話機Bと子機3とのトークバック通話が開始される。その後、内線電話機Bの利用者が通話を終了するためオンフックすると、通話終了となる。
【0091】
続いて、内線電話機Bの子機3が親機2のハンドセット収容部4内に載置されていないとき(非載置中)に子機3へトークバック呼び出しを行ったが、子機3が圏外へ移動したか、電源が入っていなかったときのシーケンスについて簡単に説明する。親機2の設定部42b1に親機トークバック応答の設定がなされておらず、子機3の設定部52b1に子機トークバック応答の設定がなされている場合である。
【0092】
この場合も内線電話機Bからトークバック呼び出しを行うと、図6と同様のシーケンスで、電話制御装置30は内線電話機Aと内線電話機Bの通話スイッチ33をトークバック通話のために双方向接続する。次いで親機2は、電話制御装置30からトークバック着信メッセージを受信すると、子機設置状態を確認する。子機設置状態が非設置状態であると判断した場合、親機2は子機3にトークバック指示メッセージを通知する。この通知と共に親機2ではタイマ42cにトークバック指示確認受信タイム(トークバック指示確認メッセージの応答待ち時間)をセットし、計時を開始する。
【0093】
このとき子機3が親機2の圏外に移動していたとすると、トークバック指示確認受信タイムがタイムアウトしても子機3と親機2は接続することができない。そこで、タイマ42cがタイムアウトしたとき、親機2は自身の状態フラグを子機トークバック着信から親機トークバック着信に変更する。これにより、内線電話機Aと内線電話機Bの間のトークバック通話が可能になる。
【0094】
以上説明した本発明の実施の形態1におけるカールコードレス電話機1にトークバック着信があったときの親機2の動作についてフローチャートに基づいて説明する。図7は親機2の動作のフローチャートである。
【0095】
親機2がトークバック着信メッセージを受信すると(step1)、子機設置状態を検出し(step2)、子機設置状態の検出結果を判定する(step3)。判定結果が非設置であれば子機3にトークバック指示メッセージを送信し(step4)、トークバック指示確認メッセージ受信を受信するためタイマ42cをセットする(step5)。
【0096】
親機2はトークバック指示メッセージの送信を行ってから子機3からトークバック指示確認メッセージを受信するまで待機する(step6)。step6において、タイマ42cが満了するまでに親機2が子機3からトークバック指示確認メッセージを受信した場合は、親機スピーカを電話制御装置からの受話に接続して(step7)、終了する。
【0097】
step7の動作により、親機2は電話制御装置30から親機2のスピーカ4aへの片方向送話を可能にすることができる。子機3にトークバック通話の設定がなされている場合には電話制御装置30は子機3とトークバック通話が可能になる。親機2と子機3に同時に音声呼び出しが行え(親機2には発呼側電話機から送話のみ)、子機3には発呼側電話機と双方向のトークバック通話となる。
【0098】
次に、step6において、親機2が子機3からトークバック指示確認メッセージを受信しなかった場合はタイマ42cが満了したか否かを確認し(step8)、満了していない場合はstep6に戻ってこのルーチンを繰り返す。step8においてタイマ42cが満了した場合、親機にトークバック設定がなされているか判定するためstep9へ進む。
【0099】
step9では、step3において子機設置状態の検出結果がハンドセット収容部4内に載置された状態(設置)の場合と、step8においてタイマ42cが満了した場合とについて、親機2でトークバック設定がなされているか否かの判定が行われる。トークバック応答の設定がなされていない場合は、通常の音声呼び出しとして親機2のスピーカ4aを電話制御装置30からの受話に接続して(step10)、終了する。
【0100】
また、step9において、トークバック応答の設定がなされている場合は、子機3が設置された状態でトークバック設定がなされているため、親機2のスピーカ4aを電話制御装置30からの受話とし(step11)、親機2のマイクロホン2bをONにして電話制御装置30への送話にして(step12)、親機2のトークバックランプを点滅させ(step13)、終了する。
【0101】
このように実施の形態1におけるカールコードレス電話機1は、無条件にトークバック通話を行うのではなく、親機2と子機3毎に、通常の音声呼び出し(発側電話機→着側電話機)とするか、トークバック通話(発側電話機←→着側電話機)とするかの選択を行うことができる。なお、トークバック応答しない設定の場合に、ここでは通常の音声呼び出しとするように設定しているが、これとは別の設定をすることもできる。
【0102】
続いて、カールコードレス電話機1にトークバック着信があったときの子機3の動作についてフローチャートに基づいて説明する。図8は子機3の動作のフローチャートである。
【0103】
子機3が親機2からトークバック指示メッセージを受信すると(step21)、子機3は親機2にトークバック指示確認メッセージを送信する(step22)。
【0104】
次に、子機3にトークバック設定がなされているか否かの判定を行う(step23)。トークバック応答の設定がなされていない場合は、通常の音声呼び出しとして子機スピーカを電話制御装置30からの受話に接続して(step24)、終了する。
【0105】
すなわち、トークバック応答する設定がされている場合にのみ、子機3のスピーカ4b、送話口21のマイクロホンによる双方向通話を可能とすることができる。トークバック着信時に無条件にトークバック通話を行うのではなく、子機3で通常の音声呼び出し(発側電話機→着側電話機)とするかトークバック通話(発側電話機←→着側電話機)とするか選択ができる。
【0106】
これにより、親機2のみでトークバックしたい利用者には、子機3でのトークバックを制限して、機能制限時には親機2でのトークバック通話のみできるようにすることができる。
【0107】
また、step23において、子機3によるトークバック応答の設定がなされている場合は、子機3のスピーカ4b、受話口15のスピーカを電話制御装置30からの受話にし(step25)、子機3の送話口21のマイクロホンを電話制御装置への送話とし(step26)、子機3のトークバックランプを点滅させ(step27)、終了する。
【0108】
このように本発明の実施の形態1におけるカールコードレス電話機1によれば、子機3にトークバック通話用のスピーカ4b、受話口15のスピーカ、送話口21のマイクロホンを設けているため、持ち運び使用する子機3を使ってトークバック通話ができる。また、子機3が親機2のハンドセット収容部に設置されているかどうかを検出する子機設置状態検出手段を設けているため、音声呼び出し受信時に、受信時の子機設置状態を知ることができる。子機設置状態の検知は親機2にフックスイッチを設け、このフックスイッチのON/OFF状態を検知するのでもよい。
【0109】
また、この子機設置状態検出手段により、かつ子機設置状態に応じて、トークバック通話先を親機2/子機3の何れにするかを決定する。もし、子機設置状態が子機オンフック中(子機設置中)なら、親機2へのトークバック通話とし、子機オフフック状態(子機非設置中)なら子機3へのトークバック通話を可能にする。
【0110】
さらに、子機3/親機2のトークバック設定モードを設定する設定手段を親機2/子機3に設け、子機3/親機2の各々のトークバック設定モードに応じてトークバック通話を許可するため、子機3へのトークバック通話は、子機3のトークバック応答が登録され、かつ、子機3が親機2に設置されていない場合のみ可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、トークバック着信サービスを提供する電話制御装置に接続されるコードレス電話機に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の実施の形態1におけるコードレス電話機の概観図
【図2】本発明の実施の形態1におけるコードレス電話機を接続するPBXのシステム構成図
【図3】本発明の実施の形態1におけるコードレス電話機の親機のブロック構成図
【図4】本発明の実施の形態1におけるコードレス電話機の子機のブロック構成図
【図5】本発明の実施の形態1におけるコードレス電話機が子機設置状態かつ親機にトークバック呼び出しを行うときのシーケンス図
【図6】本発明の実施の形態1におけるコードレス電話機が子機非設置状態かつ子機にトークバック呼び出しを行うときのシーケンス図
【図7】本発明の実施の形態1におけるコードレス電話機の親機のトークバック通話のフローチャート
【図8】本発明の実施の形態1におけるコードレス電話機の子機のトークバック通話のフローチャート
【図9】図2のシステムで送受信される呼制御メッセージのフォーマット説明図
【符号の説明】
【0113】
1 カールコードレス電話機
2 親機
2a アンテナ
2b マイクロホン
3 子機
3a 充電入力端子
4 ハンドセット収容部
4a,4b スピーカ
5 液晶表示部
6 着信ランプ
7 操作部
8 機能ボタン/ランプ
9 ダイヤルボタン
10 ファンクションキー
11 ランプ
14 液晶表示部
15 受話口(スピーカ)
17 機能ボタン/ランプ
18 ダイヤルボタン
19a 開始ボタン
19b 終了ボタン
20 ランプ
21 送話口(マイクロホン)
30 電話制御装置
31 外線インターフェース制御部
32 内線インターフェース制御部
33 通話スイッチ
34 CPU部
35 メモリー部
41 電話制御装置通信部
42 制御部
42a CPU部
42a1 子機状態判定手段
42a2 親機トークバック設定手段
42b メモリー部
42b1 設定部
42b2 状態フラグ部
42c タイマ
43 無線通信部
44 入力部
45 ランプ部
46 LCD部
47 充電出力端子
48 充電検出回路
49 通話切替回路部
50 オーディオ回路部
51 無線通信部
51a アンテナ
52 制御部
52a CPU部
52a1 子機状態判定手段
52a2 返信手段
52b メモリー部
52b1 設定部
53 充電池
54 入力部
55 ランプ部
56 LCD部
57 充電検出回路部
58 オーディオ回路部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発側電話機からのトークバック呼び出し操作にて着側電話機にトークバック着信サービスを提供する電話制御装置に接続され、親機と、この親機に無線接続される子機とからなるコードレス電話機であって、
前記親機と前記子機の各々にスピーカおよびマイクロホンを具備し、
前記親機は、子機設置状態を検知する検知手段と、前記電話制御装置からトークバック着信メッセージを受信する受信手段と、前記受信手段によりトークバック着信メッセージを受信すると前記検知手段にて得られた子機設置状態を確認する確認手段と、前記確認手段により前記子機が設置されていることを確認すると、該親機のスピーカとマイクロホンによる発側電話機との双方向通話を可能とする親機通話構成手段と、前記確認手段により前記子機が設置されていないことを確認すると前記子機へトークバック指示メッセージを送信する送信手段とを備え、
前記子機は、前記トークバック指示メッセージを受信して該子機のスピーカとマイクロホンによる発側電話機との双方向通話を可能とする子機通話構成手段とを備えることを特徴とするコードレス電話機。
【請求項2】
前記子機は、前記親機からのトークバック指示メッセージを受信するとトークバック指示確認メッセージを前記親機に返信する返信手段を備え、
前記親機は、前記トークバック指示メッセージを前記子機に送信後、所定時間内に該子機から前記返信手段によりトークバック指示確認メッセージが返信されない場合、前記親機通話構成手段が前記親機のスピーカとマイクロホンによる双方向通話を可能にすることを特徴とする請求項1に記載のコードレス電話機。
【請求項3】
前記親機通話構成手段は、前記電話制御装置からトークバック着信メッセージを受信時に前記確認手段により子機が設置されていないことを確認し前記返信手段によりトークバック指示確認メッセージが返信されると、前記発側電話機から前記親機のスピーカへの片方向通話を可能にすることを特徴とする請求項2に記載のコードレス電話機。
【請求項4】
前記親機通話構成手段は、前記電話制御装置からトークバック着信メッセージを受信時に前記確認手段により子機が設置されていないことを確認すると、前記発側電話機から前記親機のスピーカへの片方向通話を可能にすることを特徴とする請求項1に記載のコードレス電話機。
【請求項5】
前記親機は、トークバック応答するか否かを設定する親機トークバック設定手段を有し、
前記親機トークバック設定手段により親機トークバック応答する設定がされている場合にのみ、前記親機通話構成手段が前記親機のスピーカとマイクロホンによる双方向通話を可能にすることを特徴とする請求項1または2に記載のコードレス電話機。
【請求項6】
前記子機は、子機にてトークバック応答するか否かを設定する子機トークバック設定手段を有し、
前記子機トークバック設定手段により子機トークバック応答する設定がされている場合にのみ、前記子機通話構成手段が前記子機のスピーカとマイクロホンによる双方向通話を可能にすることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のコードレス電話機。
【請求項7】
前記検知手段が、親機に設けられると共に前記子機への充電状態を検出することができる子機充電部であることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載のコードレス電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−267769(P2009−267769A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115060(P2008−115060)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】