説明

ゴムコンパウンド

本発明は、ゴムコンパウンドの製造方法であって、その機械的特性を向上させる方法に関する。特に、このゴムコンパウンドは、破断時の伸びの増大及び/又は引張り強さの増大及び/又は引裂き強さの増大、並びに同時に圧縮永久歪み(DVR)の減少をもたらす。このゴムコンパウンドは、ヒドロシリル化によって架橋可能な少なくとも2つの官能基を有するゴム(A)、平均で1分子に対して少なくとも2つのSiHを含むヒドロシロキサン若しくはヒドロシロキサン誘導体又は複数のヒドロシロキサン若しくはその誘導体の混合物からなる架橋材(B)、ヒドロシリル化触媒系(C)、充填剤(E)並びにヒドロシリル化によって架橋可能な共架橋剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムコンパウンド、その製造方法及びその使用に関する。このゴムコンパウンドは、食品、特に飲料水又は医学的若しくは薬学的製品の製造、輸送、プロセス技術及び包装の分野、或いは電子産業分野における材料として使用されるのが望ましい。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ヒドロシリル化によって架橋するポリイソブチレン又はパーフルオロポリエーテルの、燃料電池におけるシール材料としての使用を記載している。
【0003】
特許文献2は、少なくとも2つのSiH基を有する化合物を含み且つ任意に白金触媒を含む、好ましくはエチレンプロピレンジエンモノマーからなる架橋可能なゴム配合物を開示し、このゴム配合物をシール材料としての使用することを開示している。
【0004】
特許文献3から、ヒドロシリル化によって架橋可能な少なくとも1つのアルケニル基を有するビニルポリマー、ヒドロシリル基含有成分を含む化合物、ヒドロシリル化触媒並びに分子量600g/mol以下の不飽和脂肪族化合物からなる組成物が公知である。
【0005】
ヒドロシリル化によるゴムの架橋では、末端にある二重結合が重要である。架橋の際にマイグレーションする可能性がある望ましくない分解生成物が生じない。したがって、このゴム組成物は、多くの場合、例えば燃料電池、医学的分野、或いは食品包装における、清潔な環境が特に重要である使用に適している。
【0006】
さらに、上記利用分野における特別な負荷に対応させるために、使用されるゴム種の、特に引張り強さ、破断時の伸び及び/又は圧縮永久ひずみ(DVR)に関する機械的特性を改善することが望ましい。
【0007】
これまで圧縮永久ひずみ(DVR)の軽減は、架橋密度の向上により得られていた。これにより硬さが増大する。しかし、その場合、しばしば破断時の伸びが低下し、これは、利用の際に問題となることが多かった。
【特許文献1】欧州特許出願公開第1075034号明細書
【特許文献2】米国特許第6743862号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1277804号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、ゴムの機械的特性の改善、特に破断時の伸び及び/又は引張り強さ及び/又は引裂き抵抗の増大を、圧縮永久ひずみ(DVR)の減少と同時にに達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、解決は請求項1の特徴によって解決される。
【0010】
本発明によるゴムコンパウンドは、ヒドロシリル化によって架橋可能な少なくとも2つの官能基を有するゴム(A)と、架橋剤(B)として1分子につき平均で少なくとも2つのSiH基を有するヒドロシロキサン若しくはヒドロシロキサン誘導体又は複数のヒドロシロキサン若しくは誘導体の混合物と、ヒドロシリル化触媒系(C)と、少なくとも1つの充填剤(D)と、ヒドロシリル化によって架橋可能な共架橋剤(Coagens)(E)とを含む。
【0011】
本発明の対象の有利な発展形態は、従属請求項に示す。
【0012】
有利な形態では、ゴムコンパウンドは、少なくとも1つの添加剤(G)をさらに含む。
【0013】
機械的特性の改善のため、特にゴムの破断時の伸び、引張り強さ及び/又は引裂き抵抗の増大を、圧縮永久ひずみ(DVR)の減少と同時に得るために、ゴムコンパウンドには、有利には、
− 100phrのゴム(A)、
− ヒドロシリル化によって架橋可能な官能基に対するSiH基の比が0.2〜20、有利には0.5〜5、特に0.8〜1.2である量の架橋剤(B)、
− 0.05〜100000ppm、有利には0.1〜5000ppmのヒドロシリル化触媒系(C)、
− 5〜800phrの少なくとも1つの充填剤(D)、ここで、非磁性充填剤については有利には10〜200phr、磁性充填剤又は磁化可能な充填剤については有利には200〜600phrの充填剤(D)、及び
− 0.1〜30phr、有利には1〜10phrの共架橋剤(E)
を使用する。
【0014】
有利な形態では、ゴムコンパウンドは、少なくとも1つの添加剤(F)0.1〜20phrをさらに含む。
【0015】
略語phrは、ゴム100部当たりの部(parts per hundred rubber)を意味し、つまり、ゴム100重量部当たりの重量部を意味する。
【0016】
有利なゴムコンパウンドは、ゴム(A)が、ジエンとして有利にはビニル基を有するノルボルネン誘導体、特に5−ビニル−2−ノルボネンが使用されているエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)からか、或いはイソブチレンイソプレンジビニルベンゼンゴム(IIR−ターポリマー)、イソブチレンイソプレンゴム(IIR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンゴム(SIR)、イソプレンブタジエンゴム(IBR)、イソプレンゴム(IR)、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリレートゴム(ACM)、又はブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンブタジエンゴム(IBR)、イソプレンゴム(IR)、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)、2つのビニル基を有するポリイソブチレンゴム(PIB)から部分的に水素化されたゴムからか、或いは例えば無水マレイン酸若しくは無水マレイン酸誘導体を含有する官能化されたゴムからか、或いはビニル基で官能化されたパーフルオロポリエーテルゴムから選択される、ゴムコンパウンドであることが分かった。
【0017】
特に有利なゴムコンパウンドは、ゴム(A)としてジエンに1つのビニル基を有するエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、2つの末端のビニル基を有するポリイソブチレン(PIB)、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)又はアクリレートゴム(ACM)を含む。
【0018】
有利には、ゴム(A)の平均分子量は5000〜100000g/mol、特に5000〜60000g/molである。
【0019】
架橋剤(B)としては、有利には、
− 式(I)
【0020】
【化4】

【0021】
[式中、R1は、一価であり、炭素原子1〜10個を有しかつ置換されたか又は置換されていない芳香族炭化水素基又は飽和炭化水素基を表し、aは、0〜20の整数値を表し、bは、0〜20の整数値を表わし、R2は、炭素原子又は酸素原子1〜30個を有する二価の有機基を表す]のSiH含有化合物、
− 式(II)
【0022】
【化5】

【0023】
のSiH含有化合物
及び/又は
− 式(III)
【0024】
【化6】

【0025】
のSiH含有化合物を使用する。
【0026】
架橋剤(B)は、特に有利には、ポリ(ジメチルシロキサン−コ−メチルヒドロシロキサン)、トリス(ジメチルシリオキシ)フェニルシラン、ビス(ジメチルシリルオキシ)ジフェニルシラン、ポリフェニル(ジメチルヒドロシロキシ)シロキサン、メチルヒドロシロキサンフェニルメチルシロキサンコポリマー、メチルヒドロシロキサンアルキルメチルシロキサンコポリマー、ポリアルキルヒドロシロキサン、メチルヒドロシロキサンジフェニルシロキサンアルキルメチルシロキサンコポリマー及び/又はポリフェニルメチルシロキサンメチルヒドロシロキサンから選択される。
【0027】
ポリ(ジメチルシロキサン−コ−メチルヒドロシロキサン)は、二官能性ビニルゴム、例えば2つの末端二重結合を有するポリイソブチレンの網状構造の形成に特に適することが分かった。
【0028】
トリス(ジメチルシリルオキシ)フェニルシラン又はビス(ジメチルシリルオキシ)ジフェニルシランは、ヒドロシリル化によって架橋可能な2つより多い官能基を分子中に有するゴム、例えばジエンとして5−ビニル−2−ノルボネンを含有するエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)の、特に適した架橋剤であることが分かった。
【0029】
ヒドロシリル化触媒系(C)は、有利には、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体、ヘキサクロロ白金酸、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)白金(II)、ジクロロ(ジシクロペンタジエニル)白金(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金(0)、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)二量体、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)及び/又はジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)から、場合によってはマレイン酸ジアルキル、特にマレイン酸ジメチル、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロシロキサン、2−メチル−3−ブチン−2−オール及び/又は1−エチルシクロヘキサノールから選択される反応速度調整剤(Kinetikregler)と組み合わせて、選択される。
【0030】
少なくとも1つの充填剤(D)は、有利には、ファーネスブラック、ランプブラック及び/又はチャネルブラック、シリカ、金属酸化物、金属水酸化物、カーボネート、シリケート、表面改質ないしは疎水化された沈降シリカ及び/又は焼成シリカ、表面改質された金属酸化物、表面改質された金属水酸化物、表面改質されたカーボネート、例えば白亜若しくはドロマイト、表面改質されたシリケート、例えばカオリン、か焼カオリン、タルク、石英粉、ケイ質土、フィロケイ酸塩、ガラス球、繊維及び/又は有機充填剤、例えば木粉及び/又はセルロースから選択される。
【0031】
疎水化されたかないしは疎水性シリカは、特に良好に非極性ゴムに混入することができ、非改質のシリカに比して、よりわずかな粘度上昇並びにより良好な機械的性質が得られる。
【0032】
共架橋剤(E)は、好ましくは、2,4,6−トリス(アリルオキシ)−1,3,5−トリアジン(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、1,2−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン誘導体、ジアクリレート、トリアクリレート、特にトリメチルプロパントリアクリレート、ジメタクリレート及び/又はトリメタクリレート、特にトリメチロールプロパントリメタクリレート(TRIM)、トリアリルホスホン酸エステル及び/又はヒドロシリル化によってゴム(A)に結合する少なくとも2つの官能基を有するブタジエンスチレンコポリマーから選択される。
【0033】
添加剤(F)としては、
− 劣化防止剤、例えば紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤、ヒドロキシベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾ誘導体又はトリアジン誘導体、
− 酸化防止剤、例えばヒンダードフェノール、ラクトン又は亜リン酸塩、
− オゾン分解防止剤、例えばパラフィン蝋、
− 難燃剤、
− 加水分解防止剤、例えばカルボジイミド誘導体、
− 結合剤、例えば、ヒドロシリル化によってゴムマトリクスに結合する官能基を有するシラン、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、官能化されたゴムで改質されたポリマー、マレイン酸誘導体、例えば無水マレイン酸、
− 離型剤ないしは部材の粘着を減少させる薬剤(Mittel zur Reduzierung der Bauteilklebrigkeit)、例えば蝋、脂肪酸塩、ポリシロキサン、ヒドロシリル化によってゴムマトリクスに結合する官能基を有するポリシロキサン、及び/又は
− 着色剤及び/又は顔料、
− 軟化剤及び/又は
− 加工助剤
を使用する。
【0034】
さらに、費用をかけて除去しなければならない副生成物が架橋の際に生成されないゴムコンパウンドの製造方法を提供するのが望ましい。マイグレーションする可能性があって医療又は食品包装の分野での使用に問題が生じる可能性のある分解生成物の遊離は望まれない。さらに、比較的少量のヒドロシリル化触媒系を用いた架橋は、従来の材料より迅速に起こるのが望ましい。
【0035】
本発明によるゴムコンパウンドを製造するには、先ずゴム(A)、少なくとも1つの充填剤(D)及び共架橋剤(E)及び/又は少なくとも1つの添加剤(F)を混合し、架橋剤(B)及びヒドロシリル化触媒系(C)を、一成分系又は二成分系として添加し、全成分を混合する。
【0036】
一成分系では、架橋剤(C)及びヒドロシリル化触媒系(D)の前記の他の成分への添加を、1つの系ないしは容器で行いう。これに対し、二成分系では、架橋剤(C)及びヒドロシリル化触媒系(D)を相互に別々に、つまり2つの系又は容器で、先ず他の成分から成る混合物の一部と均一な分布が得られるまでそれぞれ混合し、その後、両方の系、つまり架橋剤(C)を含む混合物及びヒドロシリル化触媒系(D)を含む混合物を合わせ、その後、全ての成分を混合する。二成分系では、架橋剤(C)とヒドロシリル化触媒系(D)とが互いに分けられている2つの混合物が、架橋剤(C)もヒドロシリル化触媒系(D)も含有する混合物に比べ、より長期にわたり貯蔵可能であるという利点がある。
【0037】
続いて、この生成物を、射出成形法ないしは(液体)射出成形法((L)IM)によって、プレスないしは圧縮成形法(CM)によって、トランスファー成形法(TM)によって、又はこれらからそれぞれ派生した方法、印刷法、例えばスクリーン印刷によって、芋虫様塗布若しくはビード塗布(Raupenauftrag)、浸漬又は噴霧によって加工する。
【0038】
上述の本発明によるゴムコンパウンドは、多種多様な用途で有用である。このゴムコンパウンドは、有利には、食品、特に飲料水又は医学的若しくは薬学的製品の製造、輸送、プロセス技術及び包装の分野或いは電子産業分野における材料として使用される。
【0039】
ヒドロシリル化によって、特に白金触媒の存在下で架橋するゴムコンパウンドは、特に清潔性を有する。
【0040】
従来の架橋では、例えば硫黄化合物、加えて活性剤又は過酸化物を使用する。この場合、架橋を生じさせる化学反応の際に、化学結合の新たな形成箇所で副生成物が生じる。この副生成物は、ゴムマトリクス中に残留し、完全には、つまり成形部材の長い後加熱によっても除去できない。しかも、ゴムマトリクス中に拡散する液体は、この副生成物を溶解でき且つ拡散過程によって成形部材の表面に輸送することができる。そのため、この副生成物は、そこで隣接する液体又は表面に自由に進出でき、例えば飲料水分野又は食品工業での用途では特に健康上憂慮すべき汚染をもたらす可能性がある。このようなことは、本発明によるゴムコンパウンドの場合では直ちに該当せず、よって、該ゴムコンパウンドは、前記分野での使用が有利に考慮される。
【0041】
同じことが医療技術においても、例えば人工透析装置の部品にも当てはまる。その場合にも、副生成物の遊離は必ず回避されなければならず、このことは、本発明によるゴムコンパウンドの使用によって保証される。
【0042】
ヒドロシリル化による架橋反応、特に白金触媒の使用下での反応は、架橋結合を結びつけるための付加反応である。この場合、拡散によってエラストマーマトリクスから出ていく可能性がある副生成物は生じない。
【0043】
したがって、本発明によるゴムコンパウンドは、食品、飲料水若しくは医療技術、薬学の分野及び/又は電子工業の分野での使用のための、特に清潔な材料として特に適している。
【0044】
有利には、本発明によるエラストマーブレンドは、シール、例えば着脱可能な若しくは一体化されたシール、例えばOリング若しくはリップリングシール、接着式シール、軟金属シール又は含浸の材料、チューブ、弁、ポンプ、フィルタ、加湿器、改質装置、貯槽容器(タンク)、振動ダンパ、音響的に作動する部材の被覆体、膜又は接着剤の材料、織物、不織布、電磁波シールド、タイヤ、ブレーキカップ(Bremsmanschetten)、ブレーキ部材、ジョイントブーツ(Achsmanschetten)、ベローズのための被覆の材料、並びに/或いは弾性床材及び/若しくは形成物の材料として使用される。
【0045】
したがって、本発明によるエラストマーブレンドから、有利には、例えば医療技術における人工透析装置用のOリング又は平形ガスケットが製造される。
【0046】
例えば、食品産業のパイプラインにおいて液体搬送の調整のための調整フラップを封止するいわゆるフラップシールにも、この極めて清潔な本発明によるエラストマーブレンドを有利に使用できる。
【0047】
さらに、本発明によるエラストマーブレンドは、有利に、例えば飲料水分野における膜、Oリング若しくはフランジシールにおいて又は医薬品の製造で使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
次に、本発明の対象をいくつかの例に基づき詳説する。
【0049】
ゴム(A)、充填剤(D)並びに共架橋剤(E)を、ミキサ、Hausschild & Co. KG社のSpeedMixer DAC 400 FVZで温度30〜60℃で成分の均一な分布が得られるまで混合する。続いて、架橋剤(B)及びヒドロシリル化触媒系(C)を添加し、この混合物を成分の均一な分布が得られるまでさらに混合する。
【0050】
この混合物から、150℃の加硫条件下で、例えばプレスで、厚み2mmの板にプレスする。
【0051】
ゴム(A)として、ノルボルネン含量5.3重量%及び平均分子量31000g/molの三井化学株式会社のエチレンプロピレン−5−ビニル−2−ノルボルネンゴム(Mitsui-EPDM)又は平均分子量16000g/molの株式会社カネカの2つのビニル基を有するポリイソブチレン(PIB)(EPION-PIB(EP 400))を使用する。
【0052】
Mitsui-EPDMのためのヒドロシリル化架橋剤(B)として、信越化学工業株式会社のトリス(ジメチルシリルオキシ)フェニルシランを使用する。この架橋剤は、分子中に2つより多いビニル基を有するゴムに特に適している。
【0053】
Mitsui-EPDMのための過酸化物架橋剤として、Arkema Inc.社の2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンを使用する(Luperox 101 XL-45)。
【0054】
2つのビニル基で末端官能化されたポリイソブチレン(EPION-PIB(EP 400))のためのヒドロシリル化架橋剤(B)として、株式会社カネカのポリ(ジメチルシロキサン−コ−メチルヒドロシロキサン)を使用する(CR 300)。CR 300は、1分子につき3個より多いSiH基を有し、よって、二官能性ビニルゴム、例えば2つのビニル基を有するポリイソブチレンの網状構造の形成に特に適している。
【0055】
ヒドロシリル化触媒系(C)として、いわゆるカールシュテット触媒(Karstedt-Katalysator)、つまり、キシレン中で5%で溶解され且つ反応速度調整剤としてのマレイン酸ジメチルと組み合わされて使用される白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体を使用する。
【0056】
充填剤(D)として、Degussa社の疎水化された焼成シリカを使用する(Aerosil R8200)。疎水化されたかないしは疎水性シリカは、特に良好に非極性ゴムに混入することができ、また表面改質されていないケイ酸に比してよりわずかな粘度上昇並びにより良好な圧縮永久ひずみ(DVR)を生じさせる。
【0057】
ヒドロシリル化によって架橋可能な共架橋剤(E)として、Nordmann Rassmann GmbH社のトリアリルイソシアヌレート(TAIC)又は日本曹達株式会社の1,2−ポリブタジエン(Nisso-PB B-3000)又はSartomer社のトリメチロールプロパントリアクリレート(Saret 519)を使用する。
【0058】
本発明は、表I〜IVの次例と関連させて、さらによく理解されよう。
【0059】
共架橋剤含有及び不含のゴムコンパウンドに次の試験を行なう。
硬さ[ショアA]、DIN53505による
引張り強さ[MPa]、弾性率(応力値)100%[MPa]、及び破断時の伸び[%]、DIN53504−S2による
圧縮永久ひずみ(DVR)[%]、DIN ISO815による
(25%変形、空気中で24時間及び70時間、120℃及び150℃)、並びに
引裂き抵抗[N/mm]、DIN53507−Aによる。
【0060】
表Ia及びIbに、ゴム(A)として三井化学株式会社のエチレンプロピレン−5−ビニル−2−ノルボルネンゴムを使用する例を記載する。
【0061】
Mitsui-EPDMのためのヒドロシリル化架橋剤(B)としては、トリス(ジメチルシリルオキシ)フェニルシランを、共架橋剤(E)から得られる二重結合に適合する量で使用する。
【0062】
【表Ia】

【0063】
周知の通り、過酸化物を用いたEPDMの架橋の際には一連の副反応が発生する可能性があり、この副反応は、共架橋剤の使用によってその一部を抑制することができる。
【0064】
また、Mitsui-EPDMの過酸化物架橋の場合、共架橋剤、例えば1,2−ポリブタジエン(Nisso-PB B-3000)又はトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を添加することによって、架橋密度の増大によって、硬さの増大及び圧縮永久ひずみ(DVR)の減少をもたらすが、また破断時の伸びの望ましくない減少ももたらされる。
【0065】
ヒドロシリル化によって架橋されたMitsui-EPDMでは、共架橋剤である1,2−ポリブタジエン(Nisso-PB B-3000)又はトリアリルイソシアヌレート(TAIC)の添加は、架橋密度の増大によって、硬さの増大及び引張り強さの増大をもたらす。共架橋剤(E)の添加は、さらに、荷重下でのゴムの残留変形の顕著な減少、つまり圧縮永久ひずみ(DVR)の減少をもたらす。
【0066】
意外にも、ヒドロシリル化によって架橋されたMitsui-EPDMの破断時の伸びは、過酸化物架橋を用いたMitsui-EPDMと異なり、特に共架橋剤として1,2−ポリブタジエン(Nisso-PB B-3000)を添加した場合に増大する。
【0067】
特に破断時の伸びは、ジアクリレート、Sartomer社の1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(SR238)を添加した場合にも、表Ibに示すように、高められる。
【0068】
【表Ib】

【0069】
この有利な効果によって、数多くの使用分野でのこのゴムコンパウンドの改善された使用可能性が得られる。
【0070】
表IIaに、ゴム(A)として、株式会社カネカの2つのビニル基を有するポリイソブチレン(PIB)を使用する例を示す(EPION-PIB(EP 400))。
【0071】
2つのビニル基で末端官能化されたポリイソブチレン(EPION-PIB(EP 400))のためのヒドロシリル化架橋剤(B)として、株式会社カネカのポリ(ジメチルシロキサン−コ−メチルヒドロシロキサン)(CR 300)を、共架橋剤(E)によりもたらされる二重結合に適合する量で使用する。
【0072】
【表IIa】

【0073】
ヒドロシリル化によって架橋された2つのビニル基を有するポリイソブチレン(EPION-PIB(EP 400))では、共架橋剤(E)としてトリメチロールプロパントリアクリレート(Saret 519)を添加することによって、引張り強さが増大し、120℃での圧縮永久ひずみ(DVR)は減少する。
【0074】
意外にも、ヒドロシリル化によって架橋された2つのビニル基を有するポリイソブチレン(EPION-PIB(EP 400))では、共架橋剤(E)の添加によって、破断時の伸びが増大する。引裂き抵抗も、共架橋剤(E)の添加によって増大する。
【0075】
【表IIb】

【0076】
表IIbに、共架橋剤である1,2−ポリブタジエン(Nisso-PB B-3000)又はトリアリルイソシアヌレート(TAIC)の添加が、種々の機械的特性にいかに作用するかを示す。
【0077】
これらの共架橋剤(E)を添加した場合にも、ポリイソブチレンを含有するヒドロシリル化コンパウンドは、高められた引張り強さ値を示し、意外にも、トリメチロールプロパントリアクリレート(Saret 519)の添加の場合と同様に、破断時の伸び特性の向上を示す。
【0078】
特に、アクリレート及びトリアリルイソシアヌレート(TAIC)の添加によって、空気中120℃で24時間後の圧縮永久ひずみ値も低下させることができる。
【0079】
【表III】

【0080】
表IIIに記載された例では、ゴム(A)として、Lanxess社の硬質のアクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)を使用する(Perbunan 2845 F)。
【0081】
表IIIのデータは、共架橋剤(E)不含及び共架橋剤含有のゴム(A)についてと共に、共架橋剤であるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)及び1,2−ポリブタジエン(Nisso-PB B-3000)の使用についてそれぞれ例示的に、ヒドロシリル化によって架橋可能な共架橋剤(E)がいかに機械的特性に作用するかを示する。
【0082】
この場合、硬さの値は、共架橋剤(E)の添加によって引張り強さ値と同様に高められる。同じことが共架橋剤(E)が添加された場合の引裂き抵抗にも当てはまる。
【0083】
この場合、共架橋剤であるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を含有するヒドロシリル化コンパウンドは、1,2−ポリブタジエン(Nisso-PB B-3000)を含有するヒドロシリル化コンパウンドと比較して、さらになおややより強い引張り強さ値、破断時の伸び値及び引裂き抵抗値、並びにややより低い圧縮永久ひずみ値を示す。
【0084】
さらに、表IVに記載の共架橋剤(E)不含及び共架橋剤含有のゴム(A)として株式会社カネカのアクリレートゴム(ACM OR 100A)を含有するヒドロシリル化コンパウンドの試験例の測定値は、例えば共架橋剤であるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアクリレート(Saret 519)ないしは1,2−ポリブタジエン(Nisso-PB B-3000)の使用下で、ヒドロシリル化によって架橋可能な共架橋剤(E)の添加がいかに機械的特性に作用するかを示す。
【0085】
【表IV】

【0086】
この場合、硬さの値は、共架橋剤(E)の添加によって、引張り強さ値と同様に高められる。特筆すべきは、アクリレートの群から選択された共架橋剤の添加で、150℃で70時間後の圧縮永久ひずみ値が改善されることであり、それは、例えばトリアクリレート(Saret 519)を添加した場合、特に共架橋剤であるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を添加した場合に示されている。
【0087】
上記表に示す例から、ゴム(A)として特にエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ポリイソブチレンゴム(PIB)、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)若しくはアクリレートゴム(ACM)と、共架橋剤(E)としてトリアリルイソシアヌレート(TAIC)、1,2−ポリブタジエン、トリアクリレート(Saret 519)若しくはジアクリレート、例えば1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(SR238)とを含むゴムコンパウンドが、多種多様な使用分野に対して特に有利である特に有利な機械的特性を有することが明らかである。
【0088】
共架橋剤として1,2−ポリブタジエン又はエーテル基を含有するヒドロシリル化コンパウンドは、特に例えば120℃以上の温度での圧縮永久ひずみで見られる熱による劣化に関して、傾向的にやや比較的不良な機械的特性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロシリル化によって架橋可能な少なくとも2つの官能基を有するゴム(A)と、架橋剤(B)として1分子につき平均で少なくとも2つのSiH基を有するヒドロシロキサン若しくはヒドロシロキサン誘導体又は複数のヒドロシロキサン若しくは誘導体の混合物と、ヒドロシリル化触媒系(C)と、少なくとも1つの充填剤(D)と、ヒドロシリル化によって架橋可能な共架橋剤(E)とを含む、ゴムコンパウンド。
【請求項2】
少なくとも1つの添加剤(F)をさらに含む、請求項1記載のゴムコンパウンド。
【請求項3】
− 前記ゴム(A)を100phr、
− 前記架橋剤(B)を、前記ヒドロシリル化によって架橋可能な官能基に対するSiH基の比が0.2〜20、有利には0.5〜5、特に0.8〜1.2である量で、
− 前記ヒドロシリル化触媒系(C)を0.05〜100000ppm、有利には0.1〜5000ppm、
− 前記少なくとも1つの充填剤(D)を5〜800phr、
ここで、非磁性充填剤については有利には10〜200phr、磁性充填剤又は磁化可能な充填剤については有利には200〜600phrで、並びに
− 前記共架橋剤(E)を0.5〜30phr、有利には1〜10phr
含む、請求項1又は2記載のゴムコンパウンド。
【請求項4】
前記少なくとも1つの添加剤(F)0.1〜20phrをさらに含む、請求項2又は3記載のゴムコンパウンド。
【請求項5】
前記ゴム(A)が、ジエンとして好ましくはビニル基を有するノルボルネン誘導体、有利には5−ビニル−2−ノルボルネンが使用されているエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)からか、或いはイソブチレンイソプレンジビニルベンゼンゴム(IIR−ターポリマー)、イソブチレンイソプレンゴム(IIR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンゴム(SIR)、イソプレンブタジエンゴム(IBR)、イソプレンゴム(IR)、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリレートゴム(ACM)、及びブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンブタジエンゴム(IBR)、イソプレンゴム(IR)、アクリルニトリルブタジエンゴム(NBR)、2つのビニル基を有するポリイソブチレンゴム(PIB)から部分的に水素化されたゴムからか、或いは例えば無水マレイン酸若しくは無水マレイン酸誘導体で官能化されたゴムからか、或いはビニル基で官能化されたパーフルオロポリエーテルゴムから選択される、請求項1から4のいずれか1項に記載のゴムコンパウンド。
【請求項6】
前記ゴム(A)の平均分子量が5000〜100000g/mol、有利には5000〜60000g/molである、請求項1から5のいずれか1項に記載のゴムコンパウンド。
【請求項7】
前記架橋剤(B)が、
− 式(I)
【化1】

[式中、R1は、一価であり、炭素原子1〜10個を有しかつ置換されたか又は置換されていない芳香族炭化水素基又は飽和炭化水素基を表し、aは、0〜20の整数の値を表し、bは、0〜20の整数の値を表し、R2は、炭素原子又は酸素原子1〜30個を有する二価の有機基を表す]のSiH含有の化合物、
− 式(II)
【化2】

のSiH含有の化合物
− 式(III)
【化3】

のSiH含有の化合物から選択され、
− 好ましくは、ポリ(ジメチルシロキサン−コ−メチルヒドロシロキサン)、トリス(ジメチルシリルオキシ)フェニルシラン、ビス(ジメチルシリルオキシ)ジフェニルシラン、ポリフェニル(ジメチルヒドロシロキシ)シロキサン、メチルヒドロシロキサンフェニルメチルシロキサンコポリマー、メチルヒドロシロキサンアルキルメチルシロキサンコポリマー、ポリアルキルヒドロシロキサン、メチルヒドロシロキサンジフェニルシロキサンアルキルメチルシロキサンコポリマー及び/又はポリフェニルメチルシロキサンメチルヒドロシロキサンから選択される、請求項1から6のいずれか1項に記載のゴムコンパウンド。
【請求項8】
前記ヒドロシリル化触媒系(C)が、ヘキサクロロ白金酸、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)白金(II)、ジクロロ(ジシクロペンタジエニル)白金(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金(0)、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)二量体、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)及び/又はジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)から選択され、場合によっては、マレイン酸ジアルキル、特にマレイン酸ジメチル、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロシロキサン、2−メチル−3−ブチン−2−オール及び/又は1−エチルシクロヘキサノールから選択された反応速度調整剤と組み合わされる、請求項1から7のいずれか1項に記載のゴムコンパウンド。
【請求項9】
前記少なくとも1つの充填剤(D)が、カーボンブラック、グラファイト、シリカ、シリケート、金属酸化物、金属水酸化物、カーボネート、ガラス球、繊維及び/又は有機充填剤から選択される、請求項1から8のいずれか1項に記載のゴムコンパウンド。
【請求項10】
前記共架橋剤(E)が、2,4,6−トリス(アリルオキシ)−1,3,5−トリアジン(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、1,2−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン誘導体、ジアクリレート、トリアクリレート、特にトリメチルプロパントリアクリレート、ジメタクリレート及び/又はトリメタクリレート、特にトリメチロールプロパントリメタクリレート(TRIM)、トリアリルホスホン酸エステル及び/又はヒドロシリル化によりゴム(A)に結合する少なくとも2つの官能基を有するブタジエンスチレンコポリマーから選択される、請求項2から9のいずれか1項に記載のゴムコンパウンド。
【請求項11】
前記少なくとも1つの添加剤(F)が、劣化防止剤、酸化防止剤、オゾン分解防止剤、難燃剤、加水分解防止剤、結合剤、離型剤ないしは部材の粘着を減少させる薬剤、着色剤及び/又は顔料、軟化剤及び/又は加工助剤から選択される、請求項2から10のいずれか1項に記載のゴムコンパウンド。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載のゴムコンパウンドを製造する方法であって、前記ゴム(A)、前記少なくとも1つの充填剤(D)及び前記共架橋剤(E)を混合し、前記架橋剤(B)及び前記ヒドロシリル化触媒系(C)を一成分系又は二成分系として添加し、全成分を混合し、続いて、この生成物を射出成形法ないしは(液体)射出成形法((L)IM)によって、プレスないしは圧縮成形法(CM)によって、トランスファー成形法(TM)によって、又はこれらからそれぞれ派生した方法、印刷法、例えばスクリーン印刷によって、ビード塗布、浸漬又は噴霧によって加工する、方法。
【請求項13】
請求項2から11のいずれか1項に記載のゴムコンパウンドを製造する方法であって、前記ゴム(A)、前記少なくとも1つの充填剤(D)、前記共架橋剤(E)及び前記少なくとも1つの添加剤(F)を混合し、前記架橋剤(B)及び前記ヒドロシリル化触媒系(C)を一成分系又は二成分系として添加し、全成分を混合し、続いて、この生成物を射出成形法ないしは(液体)射出成形法((L)IM)によって、プレスないしは圧縮成形法(CM)によって、トランスファー成形法(TM)によって、又はこれらからそれぞれ派生した方法、印刷法、例えばスクリーン印刷によって、ビード塗布、浸漬又は噴霧によって加工する、方法。
【請求項14】
請求項1から11のいずれか1項に記載のゴムコンパウンドの、食品、特に飲料水又は医学的若しくは薬学的製品の製造、輸送、プロセス技術及び包装の分野、或いは電子産業分野における材料としての、使用。
【請求項15】
請求項1から11のいずれか1項に記載のゴムコンパウンドの、特に食品、飲料水、医学、薬学及び/又は電子工業の分野での、チューブ、弁、ポンプ、フィルタ、加湿器、改質装置、貯槽(タンク)、振動ダンパ、音響的に作動する部材のシール若しくは含浸、被覆、膜又は接着剤の材料として、織物、不織布、電磁波シールド、タイヤ、ブレーキカップ、ブレーキ部材、ジョイントブーツ、ベローズの被覆の材料として、並びに/又は床材及び/若しくは形成材の材料としての、使用。

【公表番号】特表2009−509012(P2009−509012A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531590(P2008−531590)
【出願日】平成18年9月16日(2006.9.16)
【国際出願番号】PCT/EP2006/009035
【国際公開番号】WO2007/033801
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(501479868)カール・フロイデンベルク・カーゲー (73)
【Fターム(参考)】