説明

サーバ装置、及び電動車両の充電支援方法

【課題】変圧器から供給される電力を利用して電動車両の充電を行うにあたり、電動車両の充電を効率よく行えるようにする。
【解決手段】ナビゲーション装置209を備える電動車両(電気自動車2)、及びナビゲーション装置310を備え電動車両を充電するための充電器31を運搬する充電器車3と通信可能に接続されるサーバ装置10を備えた充電支援システム1において、サーバ装置10が、電動車両から送られてくる充電器車3の手配要求を受信し、受信した手配要求に応じて、地域に散在する変圧器4のうちから、電動車両を充電するための電力を供給する変圧器4を選択し、選択した変圧器4が存在する場所である充電ポイントに向かわせる充電器車3を選択し、充電ポイントに関する情報900を、手配要求を送信してきた電動車両、及び選択した充電器車3に送信するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ装置、及び電動車両の充電支援方法に関し、とくに柱上変圧器等の変圧器を利用して電気自動車の充電を効率よく行えるようにするための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電気自動車の電気エネルギーが尽きて走行不可能になる前に確実に電気エネルギーを補給でき、運転者を補助できるようにするために、自車輌の現在位置と地図データとを整合させて運転者に提供し、経路誘導を行う電気自動車のナビゲーションシステムにおいて、車載バッテリの残存容量を計測するバッテリ残存容量計測手段と、計測したバッテリ残存容量が一定レベル以下になったとき、現在の自車輌位置周辺に存在する電気エネルギー供給スタンドの位置情報を、バッテリ残存容量から求めた自車輌の走行可能距離に基づく到達可能性に係わる識別情報とともに運転者に提供するようにすること、上記電気エネルギースタンド情報提供手段が、自車輌の進行方向の設定範囲に存在する上記電気エネルギー供給スタンドの位置情報を上記識別情報とともに運転者に提供ようにするすること等が記載されている。
【0003】
特許文献2には、電気自動車に適した情報をユーザーに提供することのできるナビゲーション装置を提供すべく、ナビゲーション装置に、位置情報、及び電気自動車用のエネルギー供給設備の有無に関する情報を含んだ施設データを記憶する施設データ記憶手段と、
施設データに基づいて、エネルギー供給設備を有する施設の位置情報をユーザーに提供するエネルギー供給施設情報提供手段とを設けること、エネルギー供給施設情報提供手段が、エネルギー供給を主たる目的としない施設については、エネルギー供給設備の有無情報と共に位置情報をユーザーに提供することなどが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願平8−18905号公報
【特許文献2】特開2001−215124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昨今、環境問題や資源問題を背景として、電気自動車に対する期待が高まっている。ここで電気自動車の実用化に際しては、充電スタンドや充電ポイントといった充電施設の整備が不可欠であるが、膨大な投資が必要となり、設立に際して地域住民との間で合意を取る必要がある等、課題も多く、充電施設の整備は必ずしも順調に進んでいないのが実情である。
【0006】
ところで、電力会社等によって運営される電力系統には、電気自動車の充電に必要な電力の供給源として利用可能な変圧器が随所に設けられている。このような変圧器を充電電力の供給源として利用すれば、地域の随所に充電施設と同等の機能を比較的容易に実現することができる。
【0007】
しかし変圧器を利用して電気自動車の充電を行う場合には、変圧器が存在する場所まで電気自動車を移動させる必要があり、変圧器が存在する場所まで充電器を運搬する必要もある。また変圧器には通常は負荷が接続されているので、充電に際しては負荷に影響が生じないようにする必要もある。
【0008】
本発明はこのような観点からなされたもので、柱上変圧器等の変圧器を利用して電気自動車の充電を効率よく行えるようにすることを可能とする、サーバ装置、及び電動車両の充電支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための主たる発明は、ナビゲーション装置を備える電動車両と、ナビゲーション装置を備え、前記電動車両を充電するための充電器を運搬する充電器車と、前記電動車両及び前記充電器車と通信可能に接続するサーバ装置とを備えて構成される充電支援システムにおける、前記サーバ装置であって、前記電動車両から送られてくる前記充電器車の手配要求を受信し、前記手配要求に応じて、地域に散在する変圧器のうちから、前記電動車両を充電するための電力を供給する前記変圧器を選択し、選択した前記変圧器が存在する場所である充電ポイントに向かわせる前記充電器車を選択し、前記充電ポイントに関する情報である充電ポイント情報を、前記手配要求を送信してきた前記電動車両、及び前記選択した充電器車に送信することとする。
【0010】
本発明によれば、電動車両がサーバ装置に充電器車の手配要求を送信すると、サーバ装置が、電動車両を充電するための電力を供給する変圧器と充電ポイントに向かわせる充電器車を自動的に選択し、手配要求を送信してきた電動車両、及び選択した充電器車に充電ポイント情報が自動的に提供される。そのため、電動車両の運転手は、充電器車の手配要求を送るだけで最適な充電ポイントを決定することができ、また充電を行うための充電器車も自動的に手配される。これによれば、電動車両の充電を効率よく行うことができる。
【0011】
本発明のうちの他の一つは、上記サーバ装置であって、前記手配要求を送信してきた前記電動車両の充電に対応可能な状況にある、一つ以上の前記変圧器と一つ以上の前記充電器車とを取得し、取得した前記変圧器と前記充電器車との組み合わせのうち、充電完了までに要する時間が最短となる組み合わせを特定し、特定した前記組み合わせにおける前記変圧器が存在する場所を前記充電ポイントとすることとする。
【0012】
本発明によれば、変圧器と充電器車との組み合わせのうち、充電完了までに要する時間が最短となる組み合わせが特定され、特定した組み合わせにおける変圧器が存在する場所が充電ポイントとして設定され、充電完了まで最短時間となる充電ポイントが自動的に設定される。これによれば、電動車両の充電を早期に完了させることができ、電動車両を目的地に迅速に到着させることができる。
【0013】
本発明のうちの他の一つは、上記サーバ装置であって、前記充電完了までに要する時間を、前記電動車両が前記充電ポイントまで移動するのに要する時間、前記充電器車が前記充電ポイントまで移動するのに要する時間、前記充電器車が前記充電ポイントに到着してから充電を開始するまでに要する時間、及び充電を開始してから終了するまでに要する時間、のうちの少なくともいずれかに基づき求めることとする。
【0014】
本発明によれば、サーバ装置は、充電完了までに要する時間を、電動車両が充電ポイントまで移動するのに要する時間、充電器車が充電ポイントまで移動するのに要する時間、充電器車が充電ポイントに到着してから充電を開始するまでに要する時間、充電を開始してから終了するまでに要する時間といった、充電に要する様々な時間を考慮して充電完了までに要する時間を求める。そのため、充電完了までに要する時間を正確に求めることができる。これによれば、電動車両の充電を早期に確実に完了することができ、電動車両を目的地に迅速に到着させることができる。
【0015】
本発明のうちの他の一つは、上記サーバ装置であって、前記手配要求を送信してきた前記電動車両から、当該電動車両の現在位置と当該電動車両の電池残量とを受信し、受信した前記現在位置と前記電池残量とに基づき前記電動車両が到達可能な範囲内に存在する変圧器を選出し、選出した変圧器を前記電動車両の充電に対応可能な状況にある前記変圧器として取得することとする。
【0016】
本発明によれば、サーバ装置は、電動車両が到達可能な範囲内に存在する変圧器を対象として、充電完了までに要する時間が最短となる組み合わせを特定するので、電動車両が到達できない場所にある変圧器が誤って選択されてしまうのを防ぐことができる。これによれば、実際に充電を行うことができる変圧器と充電器車の組み合わせを確実に特定することができ、電動車両の充電を早期に確実に完了することができる。
【0017】
本発明のうちの他の一つは、上記サーバ装置であって、前記変圧器の空き容量を取得する測定器と通信可能に接続し、前記電動車両の充電に必要な空き容量を有する前記変圧器を、前記電動車両の充電に対応可能な状況にある前記変圧器として取得することとする。
【0018】
本発明によれば、サーバ装置は、充電に必要な空き容量がある変圧器を対象として、充電完了までに要する時間が最短となる組み合わせを特定するので、充電に必要な空き容量を有していない変圧器が誤って選択されてしまうのを防ぐことができる。これによれば、実際に充電を行うことができる変圧器と充電器車の組み合わせを確実に特定することができ、電動車両の充電を早期に確実に完了することができる。また変圧器から電力供給を受けている他の負荷に影響を与えることなく、変圧器から供給される電力を用いて電動車両の充電を行うことができる。
【0019】
本発明のうちの他の一つは、上記サーバ装置であって、前記手配要求を送信してきた前記電動車両からその電動車両の目的地を取得し、前記手配要求を送信してきた前記電動車両の充電に対応可能な状況にある、一つ以上の前記変圧器と一つ以上の前記充電器車とを取得し、取得した前記変圧器と前記充電器車との組み合わせのうち、前記手配要求を送信してきた前記電動車両が、前記目的地に到着するのに要する時間が最短となる組み合わせを特定し、特定した前記組み合わせにおける前記変圧器が存在する場所を前記充電ポイントとすることとする。
【0020】
本発明によれば、目的地に到着するのに要する時間が最短となる変圧器と充電器車との組み合わせを特定し、特定した組み合わせにおける変圧器が存在する場所を充電ポイントとして設定するので、電動車両の充電を早期に完了するとともに、電動車両を目的地に迅速に到着させることができる。
【0021】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、変圧器を利用して電動車両の充電を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】充電支援システム1の概略的な構成を示す図である。
【図2】充電車3が変圧器4から供給される電力を用いてEV2の充電を行っている様子を示す図である。
【図3】サーバ装置10が変圧器4の空き容量を取得する際に利用する通信システムの構成例である。
【図4】EV2が備える主な車載設備である。
【図5】EV2に搭載されているナビゲーション装置209のハードウエア構成である。
【図6】EV2に搭載されているナビゲーション装置209が備える主な機能である。
【図7】地図情報データベース228のレコード構成である。
【図8】充電器車手配要求800のデータフォーマットである。
【図9】充電ポイント情報900のデータフォーマットを示している。
【図10】充電器車3に搭載されているナビゲーション装置310のハードウエア構成である。
【図11】充電器車3に搭載されているナビゲーション装置310が備える主な機能である。
【図12】サーバ装置10のハードウエア構成である。
【図13】サーバ装置10が備える主な機能である。
【図14】EV情報データベース122のレコード構成である。
【図15】充電器車情報データベース123のレコード構成である。
【図16】変圧器情報データベース124のレコード構成である。
【図17】充電ポイント情報生成処理S1700を説明するフローチャートである。
【図18】ナビゲーション装置209が表示装置216に表示する画面の一例である。
【図19】ナビゲーション装置310が表示装置216に表示する画面の一例である。
【図20】第二実施形態に係る充電器車手配要求800のレコード構成である。
【図21】充電ポイント情報生成処理S2100を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
=第一実施形態=
図1に第一実施形態として説明する、電気自動車(EV(Electric Vehicle))(電動車両)の充電を支援するシステム(以下、充電支援システム1と称する。)の概略的な構成を示している。同図に示すように、充電支援システム1は、電気自動車(以下、EV2と称する。)、電気自動車の充電を実施する場所(以下、充電ポイントと称する)まで充電器31を輸送する充電器車3、電力系統等の構成要素として地域の各所に設けられている変圧器4(柱上変圧器、地中変圧器等)、電力会社等に設けられ、EV2の充電を支援するための情報処理を行うサーバ装置10を含んで構成されている。
【0025】
EV2は、例えば、走行中に電池残量が少なくなる(電池残量が所定の閾値以下になる)と、充電器車3の手配要求(以下、充電器車手配要求と称する。)をサーバ装置10に送信する。サーバ装置10は、充電器車手配要求を受信すると、充電に利用する変圧器4及び充電ポイントに向かわせることが可能な(手配可能な)充電器車3を決定して充電ポイントに関する情報(以下、充電ポイント情報と称する。)を生成し、生成した充電ポイント情報を、充電器車手配要求を送信してきたEV2(以下、充電要求EV2と称する。)及び決定した充電器車3に通知する。
【0026】
図2に充電車3が変圧器4から供給される電力を用いてEV2の充電を行っている様子を示している。同図に示すように、充電器車3が充電ポイントに到着すると、変圧器4の出力端子と充電器31の入力端子との接続や、充電器31の出力端子とEV2の充電端子との接続等、充電を開始するために必要な準備がなされ、準備が完了すればEV2の充電が開始される。
【0027】
サーバ装置10は、充電要求EV2の電池残量と、地域に散在する変圧器4の空き容量(余裕容量)とに基づき、充電要求EV2の充電に利用する変圧器4を決定する。
【0028】
図3はサーバ装置10が変圧器4の空き容量を取得する際に利用する通信システムの構成例である。同図に示すように、サーバ装置10は、例えば、変圧器4に併設されている測定器41や、低圧配電線6に接続している負荷7に併設されているスマートメータ71などから、所定の通信手段8(例えば、インターネット、公衆通信、専用線、PLC等)を介して、変圧器4の情報(変圧器4の仕様や状態)(以下、変圧器情報と称する。)を随時(リアルタイム、定期的等)に取得する。
【0029】
図4にEV2が備える主な車載設備を示している。同図に示すように、EV2は、蓄電池201、モータ202、インバータ203、急速充電用接続口204、普通充電用接続口205、車載充電器206、BMU207(BMU:Battery Management Unit)(電圧検知手段)、ECU208(ECU:Electronic Control Unit)、ナビゲーション装置209(同図では「ナビ装置」)、及び電圧変換回路210を備えている。
【0030】
蓄電池201は、例えば、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー電池、金属空気電池、ニッケル水素電池、鉛蓄電池などである。
【0031】
モータ202は、蓄電池201から供給されるエネルギーによってEV2を駆動するための動力を発生する。
【0032】
インバータ203は、蓄電池201から供給される直流電圧をモータ202を駆動するのに必要な交流電圧に変換する。尚、インバータ203は、例えば、単一パルスインバータ、PWM(PWM:Pulse Width Modulation)インバータ等を用いて構成されている。
【0033】
急速充電用接続口204には、蓄電池201を急速充電する際に急速充電器側のコネクタが接続される。また普通充電用接続口205には、一般家庭、オフィス、充電ポイントなどに設けられているACコンセント(AC100V、AC200V等)と当該普通充電用接続口205とを電気的に接続するための充電ケーブルのコネクタが接続される。
【0034】
車載充電器206は、ACコンセント等の普通充電用の電力供給源から供給される電力に基づき、蓄電池201を充電する。尚、車載充電器206は、複数の入力電圧に対応しており、普通充電用接続口205から供給される電圧値を自動的に判別し、判別した電圧値に応じて蓄電池201の充電制御を行う。また上記充電制御は、例えば、CVCC(Constant Voltage Constant Current)等の所定の充電方式に従って行われる。
【0035】
BMU207は、車載充電器206、ECU208、及び急速充電用接続口204を介して接続している急速充電器(不図示)との間で、CAN(Controller Area Network)等のプロトコルに従って通信を行う。BMU207は、能動的又は受動的にEV2に搭載されている車載装置の監視や制御を行う。例えば、BMU207は、蓄電池201を構成しているセルの状態(端子電圧、通電電流、温度等)をリアルタイムに監視し、蓄電池201の放電制御、車載充電器206や急速充電器による蓄電池201の充電制御、内部抵抗の監視等に基づく蓄電池201の状態診断、蓄電池201を構成している各セルの電圧バランスの制御などを行う。
【0036】
ECU208は、BMU207、モータ202、インバータ203、ナビゲーション装置209等から送られてくる情報に基づき、モータ202、変速機(不図示)、クラッチ(不図示)等、EV2が備える動力機構の制御を行う。
【0037】
ナビゲーション装置209は、例えば、カーナビゲーション装置であって、GPS衛星9(GPS: Global Positioning System)から送られてくる測位信号や、VICS(Vehicle Information and Communication System) から送られてくる情報に基づき、EV2の現在位置(緯度、経度、高度)を特定し、現在位置を示す情報や現在位置周辺の地図情報、目的地までの経路を示す(誘導する)情報などを、画面(映像)や音声によりリアルタイムに利用者に提供する。
【0038】
電圧変換回路210は、蓄電池201の電圧をECU208やナビ装置209の動作電圧に変換するDC/DCコンバータを含む。電圧変換回路210は、例えば、高圧チョッパ回路や昇圧チョッパ回路を用いて構成されている。
【0039】
図5はEV2に搭載されているナビゲーション装置209のハードウエア構成である。同図に示すように、ナビゲーション装置209は、中央処理装置211、記憶装置212、計時装置213、現在位置取得装置214、入力装置215、表示装置216、音声装置217、内部通信装置218、及び外部通信装置219を備えている。
【0040】
中央処理装置211は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等を用いて構成されている。中央処理装置211は、ナビゲーション装置209が備えるハードウエアやナビゲーション装置209の機能を実現するための処理に際し統括的な制御を行う。
【0041】
記憶装置212は、半導体記憶装置等を用いて構成されたRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、ハードディスクドライブ等であって、プログラムやデータを記憶する。
【0042】
計時装置213は、RTC(Real Time Clock)等を用いて構成されており、現在時刻等の計時情報を提供する。
【0043】
現在位置取得装置214は、GPS衛星9から送られてくる測位信号やVICSから送られてくる情報に基づき、EV2の現在位置を示す情報(緯度、経度、高度)を出力する。
【0044】
入力装置215は、操作パネルやタッチパネルなどであり、利用者から受け付けた操作入力信号を中央処理装置211に伝える。
【0045】
表示装置216は、液晶モニタや有機ELパネルなどであり、利用者に視覚的な情報を提供する。音声装置217は、低周波アンプやスピーカを含み、利用者に音声情報を提供する。
【0046】
内部通信装置218は、例えば、制御バス、CANインタフェース、LINインタフェース(LIN:Local Interconnect Network)、USBインタフェース(USB: Universal Serial Bus)、LANインタフェース(有線/無線)、RS−232C、EV2に設けられている各種センサからの情報の取得、ECU208との間の通信等を行う。
【0047】
外部通信装置219は、公衆通信網(有線/無線)に接続するためのインタフェース、LANインタフェース(有線/無線)等であり、サーバ装置10や充電器車3との間で無線通信又は有線通信により通信を行う。
【0048】
図6はEV2に搭載されているナビゲーション装置209が備える主な機能である。同図に示すように、ナビゲーション装置209は、ナビゲーション処理部221、充電器車手配要求送信部222、及び充電ポイント情報受信部223の各機能を備えている。尚、これらの機能は、ナビゲーション装置209が備えるハードウエアによって、もしくはナビゲーション装置209の中央処理装置211が、記憶装置212に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。また同図に示すように、ナビゲーション装置209は、地図情報データベース228を管理(記憶)している。
【0049】
ナビゲーション装置209が備える上記機能のうち、ナビゲーション処理部221は、EV2の現在位置、設定された目的地までの経路(ルート)を示す情報(ナビゲーション情報(誘導情報))を、地図情報データベース228から取得される地図情報とともに表示装置216や音声装置217に出力する。
【0050】
図7に地図情報データベース228のレコード構成を示している。同図に示すように、地図情報データベース228のレコードは、一つ以上の位置座標2281、種類2282、地理情報2283、更新日時2284等の各項目を有している。
【0051】
このうち位置座標2281には、当該レコードが特定する地形や施設の現在位置や形状を特定するための位置座標(緯度、経度、高度)が設定される。
【0052】
種類2282には、国道、県道、市道、高速自動車道、専用自動車道、線路、河川等の一般的な地図情報の他、道路のレーン数や交差点の構造等の道路の構造に関する情報、コンビニエンスストア、ショッピングセンター、レストラン、ガソリンスタンド、充電ポイント、病院、交通機関といった、当該レコードが特定する地形や施設の種類を示す情報が設定される。
【0053】
地理情報2283には、当該レコードによって特定される地形や施設に関する情報が設定される。更新日時2284には、当該レコードの最終更新日時が設定される。
【0054】
図6に示す充電器車手配要求送信部222は、蓄電池201の電池残量が所定の閾値以下になったことや、運転者等によって入力装置215に充電器車手配要求の送信を指示する操作が行われたこと等を契機として、サーバ装置10に充電器車手配要求を送信する。
【0055】
図8は充電器車手配要求のデータフォーマットである。同図に示すように、充電器車手配要求800には、EV2の識別子(以下、EVID801と称する。)、現在位置取得装置214から取得されるEV2の現在位置802、及びEV2の蓄電池201の電池残量803が含まれている。
【0056】
図6に示す充電ポイント情報受信部223は、充電器車手配要求の応答としてサーバ装置10から送られてくる充電ポイントに関する情報(以下、充電ポイント情報と称する。)を受信する。また充電ポイント情報受信部223は、サーバ装置10から受信した充電ポイント情報から取得した充電ポイントの位置をナビゲーションの目的地に設定する。
【0057】
図9に充電ポイント情報のデータフォーマットを示している。同図に示すように、充電ポイント情報900には、充電ポイントの位置座標901、充電ポイントに存在する変圧器柱5の識別子(以下、変圧器柱ID902と称する。)、充電ポイントに存在する、充電のための電力の供給源である変圧器4の識別子(以下、変圧器ID903と称する。)EV2の充電ポイントへの到着予定時刻904、充電器車3の充電ポイントへの到着予定時刻905、充電開始予定時刻906、及び充電が完了する予定の時刻907が含まれる。
【0058】
EV2と同様、充電器車3にもナビゲーション装置310が搭載されている。
図10は、充電器車3に搭載されているナビゲーション装置310のハードウエア構成である。同図に示すように、ナビゲーション装置310は、中央処理装置311、記憶装置312、計時装置313、現在位置取得装置314、入力装置315、表示装置316、音声装置317、内部通信装置318、及び外部通信装置319を備えている。尚、充電器車3に搭載されているナビゲーション装置310のハードウエア構成はEV2に搭載されているナビゲーション装置209と同様である。
【0059】
図11に、充電器車3に搭載されているナビゲーション装置310が備える主な機能を示している。同図に示すように、ナビゲーション装置310は、ナビゲーション処理部321、現在位置通知部322、及び充電ポイント情報受信部323、の各機能を備えている。尚、これらの機能は、ナビゲーション装置310が備えるハードウエアによって、もしくはナビゲーション装置310の中央処理装置311が、記憶装置312に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0060】
同図に示すように、ナビゲーション装置310は、地図情報データベース328を管理(記憶)している。地図情報データベース328のレコード構成は、EV2が管理している地図情報データベース228のレコード構成と同様である。
【0061】
ナビゲーション処理部321は、充電器車3の現在位置、設定された目的地までの経路(ルート)等の情報(ナビゲーション情報(誘導情報))を、地図情報データベース328から取得される地図情報とともに表示装置316や音声装置317に出力する。
【0062】
現在位置通知部322は、サーバ装置10から送られてくる問い合わせに応じて、現在位置取得装置314から取得される自身の現在位置をサーバ装置10に通知する。尚、現在位置通知部322は、当該充電器車3が充電要求EV2の充電に対応できるか否かを示す情報を記憶しており、もし充電要求EV2の充電に対応できない場合には、サーバ装置10に現在位置を通知しないか、もしくは、充電に対応できない旨の情報をサーバ装置10に通知する。
【0063】
充電ポイント情報受信部323は、サーバ装置10から送られてくる充電ポイント情報(充電要求EV2に送信された充電ポイント情報と同様)を受信する。また充電ポイント情報受信部323は、サーバ装置10から受信した充電ポイント情報から把握される充電ポイントの位置をナビゲーションの目的地に設定する。
【0064】
図12はサーバ装置10のハードウエア構成である。同図に示すように、サーバ装置10は、中央処理装置101、記憶装置102、計時装置103、入力装置104、表示装置105、及び通信装置106を備えている。
【0065】
中央処理装置101は、CPU等を用いて構成されており、サーバ装置10の統括的な制御を行う。記憶装置102は、半導体記憶装置(RAMやROM)、ハードディスクドライブ等であり、プログラムやデータを記憶する。計時装置103は、RTC等を用いて構成され、現在時刻等の計時情報を提供する。
【0066】
入力装置104は、キーボードやマウス等であり、利用者から受け付けた操作入力信号を中央処理装置101に伝える。表示装置105は、液晶モニタ等であり、視覚的な情報を利用者に提供する。
【0067】
通信装置106は、公衆通信網(有線/無線)に接続するためのインタフェース、LANインタフェース(有線/無線)等であり、EV2、充電器車3、測定器41、及びスマートメータ71等との間で無線通信又は有線通信により通信を行う。
【0068】
図13にサーバ装置10が備える主な機能を示している。同図に示すように、サーバ装置10は、充電器車手配要求受信部111、充電器車現在位置受信部112、変圧器情報取得部113、充電ポイント情報生成部114、及び充電ポイント情報送信部115の各機能を備えている。尚、これらの機能は、サーバ装置10が備えるハードウエアによって、もしくはサーバ装置10の中央処理装置101が、記憶装置102に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0069】
また同図に示すように、サーバ装置10は、地図情報データベース121、EV情報データベース122、充電器車情報データベース123、及び変圧器情報データベース124を管理(記憶)している。
【0070】
上記機能のうち、充電器車手配要求受信部111は、EV2から送られてくる充電器車手配要求を受信する。充電器車現在位置受信部112は、地域に散在する一台以上の充電器車3に現在位置の問い合わせ(例えば、ブロードキャスト)を行い、問い合わせに応じて充電器車3から送られてくる、各充電器車3の現在位置を受信する。
【0071】
変圧器情報取得部113は、測定器41やスマートメータ71から送られてくる変圧器情報を随時受信する。
【0072】
充電ポイント情報生成部114は、EV2の充電に用いる変圧器4及び充電器車3を決定し、充電ポイント情報900を生成する。充電ポイント情報生成部114によって行われる処理の詳細については後述する。
【0073】
充電ポイント情報送信部116は、充電ポイント情報生成部114によって生成された充電ポイント情報900を、充電要求EV2及び決定した充電器車3に送信する。
【0074】
地図情報データベース121のレコード構成は前述した地図情報データベース228のレコード構成と同様である。
【0075】
図14にEV情報データベース122のレコード構成を示している。同図に示すように、EV情報データベース122のレコードは、EV2の識別子(EVID1221)、そのEV2が備える蓄電池201の容量1222(充電可能な最大容量)、そのEV2の燃費1223(例えば、単位電力量(kWh)当たりの走行可能距離(km))、及びそのEV2の平均車速1224(km/h)、の各項目を有している。尚、EV情報データベース122の内容は、例えば、電力会社のオペレータ等によって登録される。
【0076】
図15に充電器車情報データベース123のレコード構成を示している。同図に示すように、充電器車情報データベース123のレコードは、充電器車3の識別子(充電器車ID)、その充電器車3から通知されたその充電器車3の現在位置1232、及びその充電器車3の平均車速1233、の各項目を有している。尚、充電器車情報データベース123の内容は、例えば、電力会社のオペレータ等によって登録される。
【0077】
図16に変圧器情報データベース124のレコード構成を示している。同図に示すように、変圧器情報データベース124のレコードには、変圧器4の識別子(変圧器ID1241)、その変圧器4が設けられている変圧器柱5の識別子1242、その変圧器4が設けられている位置座標1243、その変圧器4の容量1244(最大容量)(kW)、及びその変圧器4の現在の負荷1245(kW)の各項目が含まれる。尚、変圧器情報データベース124の内容は、例えば、電力会社のオペレータ等によって登録される。
【0078】
<サーバ装置の動作>
図17は、サーバ装置10がEV2から送られてくる充電器車手配要求800を受信した場合に行われる処理(以下、充電ポイント情報生成処理S1700と称する。)を説明するフローチャートである。
【0079】
サーバ装置10は、充電器車手配要求800を受信したか否かをリアルタイムに監視している(S1711)。サーバ装置10は、充電器車手配要求800を受信したことを検知すると(S1711:YES)、充電要求EV2の充電に対応可能な変圧器4を一つ選択する(S1712)。
【0080】
ここでサーバ装置10は、例えば、充電対象EV2が、電池残量803を使って到達可能な範囲内にあるか、特定した変圧器4の空き容量(=容量1244−現在負荷1245)が充電を行うのに十分であるか否か(空き容量が所定の閾値以上であるか否か)といった条件に基づき、各変圧器4が充電対象EV2の充電に対応可能か否かを判断する。
【0081】
次にサーバ装置10は、通信可能な状況にある充電器車3に対して現在位置の問い合わせを行って充電器車3の現在位置を取得し、取得した現在位置を充電器車IDに対応づけて充電器車情報データベース123に格納する(S1713)。
【0082】
尚、前述したように、上記問い合わせを受信した充電器車3は、自身がEV2の充電に対応可能な状況であれば自身の現在位置をサーバ装置10に送信するが、自身がEV2の充電に対応可能な状況でなければサーバ装置10に現在位置を応答しない。尚、EV2の充電に対応可能な状況でないケースとして、例えば、他のEV2の充電に対応中である場合や故障で移動することができない状況にある場合などがある。
【0083】
次にサーバ装置10は、S1713にて現在位置を取得できた充電器車3のうちの一つを選択し(S1714)、S1715、S1716、及びS1719の各処理を開始する。
【0084】
S1715では、サーバ装置10は、充電要求EV2の現在位置802、S1712にて選択した変圧器4(以下、候補変圧器4と称する。)の位置座標1243(即ち充電ポイント)及び充電要求EV2の平均車速1224に基づき、充電要求EV2が充電ポイントまで移動するのに要する時間(以下、EV所要時間t1と称する。)を求める。その後はS1718に進む。
【0085】
S1716では、サーバ装置10は、S1714で選択した充電器車(以下、選択充電器車3と称する。)の現在位置1232、候補変圧器4の位置座標1243(即ち充電ポイントの位置座標)、及び選択充電器車3の平均車速1233に基づき、選択充電器車3が充電ポイントまで移動するのに要する時間(以下、充電器車所要時間t2と称する。)を求める。
【0086】
続くS1717では、サーバ装置10は、選択充電器車3が充電ポイントに到着してから充電を開始するまでに要する時間(以下、準備時間t3と称する。)を求める(S1717)。その後はS1718に進む。
【0087】
尚、サーバ装置10は、例えば、充電方式(急速充電、普通充電(AC100V)、普通充電(AC(200V)等)ごとに記憶している、充電を開始するための作業に要する時間(例えば、変圧器4から端子を引き出し、充電器31及びEV2の端子に必要な配線をするのに要する時間等)に基づき、準備時間t3を求める。尚、準備時間t3は予め固定値としてサーバ装置10に記憶しておくようにしてもよい。
【0088】
S1718では、サーバ装置10は、S1715で求めたEV所要時間t1と、S1717で求めた充電器車所要時間t2とS1717で求めた準備時間t3との和(t2+t3)のうち、大きい方(時間が長い方)の値を充電開始までに要する時間(以下、充電開始所要時間T1と称する。)として記憶する。その後はS1720に進む。
【0089】
S1719では、サーバ装置10は、充電要求EV2の電池残量803、充電要求EV2の容量(蓄電池容量1222)、及び充電器31の充電能力(単位時間当たりの充電電力量(kWh/h))に基づき、蓄電池201が満充電になるまでに要する時間(以下、充電所要時間T2と称する。)を求める。その後はS1720に進む。
【0090】
S1720では、サーバ装置10は、現在選択している変圧器4(候補変圧器4)と現在選択している充電器車3(選択充電器車3)とに対応づけて、充電開始所要時間T1と充電所要時間T2との和(以下、この和を充電完了所要時間Tsと称する。)を記憶する。
【0091】
S1721では、サーバ装置10は、S1713で現在位置を取得できた充電器車3のうち、S1714で未選択のものがあるか否かを判断する。未選択のものがあれば(S1721:YES)、S1714に戻り、未選択の充電器車3について前述と同様の処理(S1714〜S1720)を繰り返す。一方、未選択のものがなければ(S1721:NO)、S1722に進む。
【0092】
S1722では、サーバ装置10は、充電要求EV2の充電に対応することができる変圧器4のうち、S1712で未選択のものがあるか否かを判断する。未選択の変圧器4があれば(S1722:YES)、S1712に戻り、未選択の変圧器4について前述と同様の処理(S1713〜S1721)を繰り返す。未選択の変圧器4がなければ(S1722:NO)、S1723に進む。
【0093】
S1723では、サーバ装置10は、S1720において候補変圧器4と選択充電器車33とに対応づけて記憶している充電完了所要時間Tsのうち、最小の(時間が最も短い)ものを選択する。そしてサーバ装置10は、選択した充電完了所要時間Tsに対応する、候補変圧器4(以下、特定変圧器4と称する。)と選択充電器車3(以下、特定充電器車3と称する。)との組み合わせについて、充電ポイント情報900を生成する。
【0094】
S1724では、サーバ装置10は、生成した充電ポイント情報900を、充電要求EV2及び特定充電器車3に送信する。その後はS1711に戻る。
【0095】
<ナビゲーション装置(充電要求EV)の動作>
充電要求EV2のナビゲーション装置209は、サーバ装置10から充電ポイント情報900を受信すると、受信した充電ポイント情報900に基づく情報を、表示装置216又は音声装置217に出力する。またナビゲーション装置209は、受信した充電ポイント情報900に設定されている充電ポイント位置座標901を、自動的にナビゲーションの目的地として設定し、充電ポイントまでのナビゲーションを開始する。
【0096】
図18は、上記ナビゲーションに際し、ナビゲーション装置209が表示装置216に表示する画面の一例である。同図に示すように、この画面には、充電ポイントの位置を示す図形181、充電要求EV2の現在位置を示す図形182、充電要求EV2の現在位置から充電ポイントまでの経路を誘導する図形183、各種情報184(充電ポイントに存在する変圧器柱ID及び変圧器ID、EV2(自車)及び充電器車3の目的地への到着予定時刻、充電開始予定時刻、充電完了予定時刻)などが表示されている。
【0097】
EV2の運転手は、この画面を参照することで、充電ポイントまで迅速かつ確実に到着することができる。またEV2の運転手は、この画面を参照することで、充電完了までのスケジュールを事前に把握することができ、自身のスケジュールの調整などを事前に行うことができる。
【0098】
<ナビゲーション装置(充電器車)の動作>
充電器車3のナビゲーション装置310は、サーバ装置10から充電ポイント情報900を受信すると、受信した充電ポイント情報900に基づく情報を、表示装置316又は音声装置317に出力する。またナビゲーション装置310は、受信した充電ポイント情報900に設定されている充電ポイント位置座標901を、自動的にナビゲーションの目的地として設定し、充電ポイントまでのナビゲーションを開始する。
【0099】
図19は、上記ナビゲーションに際し、ナビゲーション装置310が表示装置216に表示する画面の一例である。同図に示すように、この画面には、充電ポイントの位置を示す図形191、当該充電器車3の現在位置を示す図形192、当該充電器車3の現在位置から充電ポイントまでの経路を誘導する図形193、各種情報194(充電ポイントに存在する変圧器柱ID及び変圧器ID、EV2及び充電器車3(自車)の目的地への到着予定時刻、充電開始予定時刻、充電完了予定時刻)などが表示されている。
【0100】
充電器車3の運転手は、この画面を参照することで、充電ポイントまで迅速かつ確実に走行することができる。また充電器車3の運転手は、この画面を参照することで、充電完了までのスケジュールを事前に把握することができる。
【0101】
以上に説明したように、本実施形態の充電支援システム1によれば、充電要求EV2がサーバ装置10に充電器車3の手配要求を送信すると、サーバ装置10が、充電要求EV2を充電するための電力を供給する変圧器4と充電ポイントに向かわせる充電器車3を自動的に選択し、手配要求を送信してきた充電要求EV2及び選択した充電器車3に対し、充電ポイント情報が自動的に提供される。そのため、充電要求EV2の運転手は、充電器車3の手配要求を送るだけで最適な充電ポイントを決定することができる。また充電を行うための充電器車3もサーバ装置10側で自動的に手配される。これによれば、充電要求EV2の充電を迅速かつ効率よく行うことができる。
【0102】
また本実施形態の充電支援システム1によれば、変圧器4と充電器車3との組み合わせのうち、充電完了までに要する時間が最短となる組み合わせが自動的に特定され、特定した組み合わせにおける変圧器4が存在する場所が充電ポイントとして設定され、充電完了まで最短時間となる充電ポイントが自動的に設定される。このため、充電要求EV2の充電を早期に完了させることができ、充電要求EV2を目的地に迅速に到着させることができる。
【0103】
またサーバ装置10は、充電完了までに要する時間を、充電要求EV2が充電ポイントまで移動するのに要する時間、充電器車3が充電ポイントまで移動するのに要する時間、充電器車3が充電ポイントに到着してから充電を開始するまでに要する時間、充電を開始してから終了するまでに要する時間といった、充電完了までに要する様々な時間を考慮して充電完了までに要する時間を求めるので、充電完了までに要する時間を正確に求めることができる。これによれば、充電要求EV2の充電を早期に確実に完了することができ、充電要求EV2を目的地に迅速に到着させることができる。
【0104】
またサーバ装置10は、充電要求EV2が到達可能な範囲内に存在する変圧器4を対象として、充電完了までに要する時間が最短となる組み合わせを特定するので、充電要求EV2が到達できない場所にある変圧器4が誤って選択されてしまうのを防ぐことができる。これによれば、実際に充電を行うことができる変圧器4と充電器車3の組み合わせを確実に特定することができ、充電要求EV2の充電を早期に確実に完了することができる。
【0105】
またサーバ装置10は、充電に必要な空き容量がある変圧器4を対象として、充電完了までに要する時間が最短となる組み合わせを特定するので、充電に必要な空き容量を有していない変圧器4が誤って選択されてしまうのを防ぐことができる。これによれば、実際に充電を行うことができる変圧器4と充電器車3の組み合わせを確実に特定することができ、これにより充電要求EV2の充電を早期に確実に完了することができる。また変圧器から電力供給を受けている他の負荷に影響を与えることなく、変圧器から供給される電力を用いて電気自動車の充電を行うことができる。
【0106】
=第二実施形態=
前述した第一実施形態の充電支援システム1では、充電要求EV2の充電に用いる変圧器4及び充電器車3を特定するにあたり、充電要求EV2の最終目的地(充電要求EV2の運転手がナビゲーション装置209に設定していた目的地)については考慮していない。以下に説明する第二実施形態の充電支援システム1では、最終目的地を考慮して充電要求EV2の充電に用いる変圧器4及び充電器車3を特定するようにしている。
【0107】
本実施形態の充電支援システム1では、図9に示した充電器車手配要求800をサーバ装置10に送信する際、充電要求EV2が最終目的地の位置座標804を加えた、図20に示すレコード構成からなる充電器車手配要求800を、サーバ装置10に送信する。
【0108】
図21は、サーバ装置10が、図20に示す充電器車手配要求800を受信した場合に行う処理(充電ポイント情報生成処理S2100)を説明するフローチャートである。尚、同図に示す処理のうち、S2111〜S2114、図17のS1711〜S1714と同様であり、S2115は、図17のS1715と同様であり、S2116〜S2118は、図17のS1716〜S1718と同様である。
【0109】
S2119では、サーバ装置10は、候補変圧器4の位置座標1243(充電ポイントの位置座標)、及び最終目的地の位置座標804に基づき、候補変圧器4から最終目的地までの距離を求める。その後は、S2120、及びS2122の各処理を開始する。
【0110】
S2120では、サーバ装置10は、充電要求EV2の燃費1223、及びS2119で求めた距離に基づき、充電ポイントから最終目的地に到達するまでに要する電力量(kWh)を求める。
【0111】
続くS2121では、サーバ装置10は、S2120で求めた電力量(kWh)、及び予め記憶している充電器31の充電能力(単位時間当たりの充電電力量(kWh/h))に基づき、S2120で求めた電力量(kWh)を充電するのに要する時間(以下、充電所要時間T2と称する。)を求め、求めた時間を充電所要時間T2とする。その後はS2123に進む。
【0112】
一方、S2122では、サーバ装置10は、S2119で求めた距離、及び充電要求EV2の平均車速1224に基づき、充電要求EV2が充電ポイントから最終目的地まで移動するのに要する時間(以下、目的地到達所要時間T3と称する。)を求める。その後はS2123に進む。
【0113】
S2123では、サーバ装置10は、現在選択している変圧器4(候補変圧器4)と現在選択している充電器車3(選択充電器車3)とに対応づけて、充電開始所要時間T1、充電所要時間T2、及び目的地到達所要時間T3の和(以下、充電完了所要時間Tsと称する。)を記憶する。
【0114】
S2124では、サーバ装置10は、S2113で現在位置を取得できた充電器車3のうち、S2114で未選択のものがあるか否かを判断する。未選択のものがあれば(S2124:YES)、S2114に戻り、未選択の充電器車3について、前述と同様の処理(S2114〜S2123)を繰り返す。一方、未選択のものがなければ(S2124:NO)、S2125に進む。
【0115】
S2125では、サーバ装置10は、充電要求EV2の充電に対応することができる変圧器4のうち、S2112で未選択のものがあるか否かを判断する。未選択の変圧器4があれば(S2125:YES)、S2112に戻り、未選択の変圧器4について、前述と同様の処理(S2113〜S2124)を繰り返す。未選択の変圧器4がなければ(S2125:NO)、S2126に進む。
【0116】
S2126では、サーバ装置10は、S2123において候補変圧器4と選択充電器車33とに対応づけて記憶している充電完了所要時間Tsのうち最小(最短)のものを選択する。そしてサーバ装置10は、選択した充電完了所要時間Tsに対応する、候補変圧器4(以下、特定変圧器4と称する。)と選択充電器車3(以下、特定充電器車3と称する。)とに基づき、充電ポイント情報900を生成する。
【0117】
S2127では、サーバ装置10は、生成した充電ポイント情報900を、充電要求EV2及び特定充電器車3に送信する。その後はS2111に戻る。
【0118】
このように、第二実施形態の充電支援システム1では、目的地に到着するのに要する時間が最短となる変圧器4と充電器車3との組み合わせを特定し、特定した組み合わせにおける変圧器4が存在する場所を充電ポイントとして設定する。そのため、充電要求EV2の充電を早期に完了するとともに、充電要求EV2を目的地に迅速に到着させることができる。
【0119】
ところで、以上に説明した実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0120】
例えば、以上の説明では、サーバ装置10を電力会社等に設けているが、サーバ装置10をEV2や充電器車3に設けるようにしてもよい。また以上では、電動車両の一例としてEV2について説明したが、電動バイクや電動自転車等、充電が必要な他の様々な電動車両についても以上と同様の仕組みを実現することができる。
【符号の説明】
【0121】
1 充電支援システム
111 充電器車手配要求受信部
112 充電器車現在位置受信部
113 変圧器情報取得部
114 充電ポイント情報生成部
115 充電ポイント情報送信部
2 EV
3 充電器車
31 充電器
4 変圧器
41 測定器
6 低圧配電線
7 負荷
71 スマートメータ
8 通信手段
800 充電器車手配要求
900 充電ポイント情報
S1700 充電ポイント情報生成処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション装置を備える電動車両と、
ナビゲーション装置を備え、前記電動車両を充電するための充電器を運搬する充電器車と、
前記電動車両及び前記充電器車と通信可能に接続するサーバ装置と
を備えて構成される充電支援システムにおける、前記サーバ装置であって、
前記電動車両から送られてくる前記充電器車の手配要求を受信し、
前記手配要求に応じて、地域に散在する変圧器のうちから、前記電動車両を充電するための電力を供給する前記変圧器を選択し、
選択した前記変圧器が存在する場所である充電ポイントに向かわせる前記充電器車を選択し、
前記充電ポイントに関する情報である充電ポイント情報を、前記手配要求を送信してきた前記電動車両、及び前記選択した充電器車に送信する
ことを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のサーバ装置であって、
前記手配要求を送信してきた前記電動車両の充電に対応可能な状況にある、一つ以上の前記変圧器と一つ以上の前記充電器車とを取得し、
取得した前記変圧器と前記充電器車との組み合わせのうち、充電完了までに要する時間が最短となる組み合わせを特定し、
特定した前記組み合わせにおける前記変圧器が存在する場所を前記充電ポイントとする
ことを特徴とするサーバ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のサーバ装置であって、
前記充電完了までに要する時間を、
前記電動車両が前記充電ポイントまで移動するのに要する時間、前記充電器車が前記充電ポイントまで移動するのに要する時間、前記充電器車が前記充電ポイントに到着してから充電を開始するまでに要する時間、及び充電を開始してから終了するまでに要する時間、のうちの少なくともいずれかに基づき求める
ことを特徴とするサーバ装置。
【請求項4】
請求項2又は3のいずれか一項に記載のサーバ装置であって、
前記手配要求を送信してきた前記電動車両から、当該電動車両の現在位置と当該電動車両の電池残量とを受信し、
受信した前記現在位置と前記電池残量とに基づき前記電動車両が到達可能な範囲内に存在する変圧器を選出し、選出した変圧器を前記電動車両の充電に対応可能な状況にある前記変圧器として取得する
ことを特徴とするサーバ装置。
【請求項5】
請求項2又は3のいずれか一項に記載のサーバ装置であって、
前記変圧器の空き容量を取得する測定器と通信可能に接続し、
前記電動車両の充電に必要な空き容量を有する前記変圧器を、前記電動車両の充電に対応可能な状況にある前記変圧器として取得する
ことを特徴とするサーバ装置。
【請求項6】
請求項2又は3のいずれか一項に記載のサーバ装置であって、
自身と通信可能な状況にある前記充電器車を、前記電動車両の充電に対応可能な状況にある前記充電器車として取得する
ことを特徴とする充電支援システム。
【請求項7】
請求項1に記載のサーバ装置であって、
前記手配要求を送信してきた前記電動車両からその電動車両の目的地を取得し、
前記手配要求を送信してきた前記電動車両の充電に対応可能な状況にある、一つ以上の前記変圧器と一つ以上の前記充電器車とを取得し、
取得した前記変圧器と前記充電器車との組み合わせのうち、前記手配要求を送信してきた前記電動車両が、前記目的地に到着するのに要する時間が最短となる組み合わせを特定し、
特定した前記組み合わせにおける前記変圧器が存在する場所を前記充電ポイントとする
ことを特徴とするサーバ装置。
【請求項8】
ナビゲーション装置を備える電動車両と、
ナビゲーション装置を備え、前記電動車両を充電するための充電器を運搬する充電器車と、
前記電動車両及び前記充電器車と通信可能に接続するサーバ装置と
を備えて構成される充電支援システムにおける充電支援方法であって、
前記サーバ装置が、
前記電動車両から送られてくる充電器車の手配要求を受信するステップ、
前記手配要求に応じて、地域に散在する変圧器のうちから、前記電動車両を充電するための電力を供給する前記変圧器を選択するステップ、
選択した前記変圧器が存在する場所である充電ポイントに向かわせる前記充電器車を選択するステップ、及び
前記充電ポイントに関する情報である充電ポイント情報を、前記手配要求を送信してきた前記電動車両、及び前記選択した充電器車に送信するステップ
を含むことを特徴とする充電支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−127816(P2012−127816A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279767(P2010−279767)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】