説明

スイッチング素子、スイッチ回路、モータおよび発電装置

【課題】電源を用いることなく、かつ、摩擦により磨耗するなどの接触式のスイッチ構造の不都合を抑制することが可能なスイッチング素子を提供する。
【解決手段】このスイッチング素子10は、pチャネルトランジスタ4と、pチャネルトランジスタ4に対して相対的に移動可能なように設けられ、電荷を蓄積することが可能なエレクトレット部材9とを備えている。そして、エレクトレット部材9のpチャネルトランジスタ4に対する相対的な位置により、静電誘導を用いてpチャネルトランジスタ4のオン状態およびオフ状態を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング素子、スイッチ回路、モータおよび発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータなどにおいて駆動電流を切り替えるための非接触式のスイッチ回路が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、固定子にホール素子を取り付けるとともに、可動子に永久磁石を取り付け、永久磁石の回転位置をホール素子により検知することによって、巻線に流す電流を切り替える非接触式の電流源トランジスタ(スイッチング素子)を含むスイッチ回路が開示されている。
【0004】
しかし、この特許文献1によるスイッチ回路では、ホール素子を動作させるための電源が必要であるという不都合がある。
【0005】
そこで、従来、モータなどにおいて電源を用いることなく巻線への電流を切り替える接触式のスイッチ構造が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0006】
上記特許文献2には、回転子に形成された3つの整流子片と、ハウジング(固定子)に形成され、3つの整流子片のうち2つの整流子片と接触する一対のブラシとにより構成されるスイッチ構造(スイッチング素子)が開示されている。この特許文献1に開示されたスイッチ構造では、回転子が回転することにより、一対のブラシと接触する2つの整流子片が順に切り替わるように構成されており、ブラシが接触する整流子片を切り替えるための電源が不要である。
【0007】
【特許文献1】特開平6−121510号公報
【特許文献2】特開平7−135752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献2に開示された従来の接触式のスイッチ構造では、ブラシと整流子片とが接触することに起因して、ブラシと整流子片とが摩擦により磨耗するという問題点がある。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、電源を用いることなく、かつ、摩擦により磨耗するなどの接触式のスイッチ構造の不都合を抑制することが可能なスイッチング素子、このスイッチング素子を用いたスイッチ回路、モータおよび発電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0010】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面におけるスイッチング素子は、トランジスタと、トランジスタに対して相対的に移動可能なように設けられ、電荷を蓄積することが可能なエレクトレット部材とを備え、エレクトレット部材のトランジスタに対する相対的な位置により、静電誘導を用いてトランジスタのオン状態およびオフ状態を制御する。
【0011】
この発明の第1の局面によるスイッチング素子では、上記のように、トランジスタに対して相対的に移動可能なように、電荷を蓄積することが可能なエレクトレット部材を設けるとともに、エレクトレット部材のトランジスタに対する相対的な位置により、静電誘導を用いてトランジスタのオン状態およびオフ状態を制御することによって、トランジスタとエレクトレット部材とを接触させることなく、エレクトレット部材をトランジスタに対して相対的に移動させることにより、静電誘導を用いてトランジスタのオン状態およびオフ状態を制御することができる。これにより、非接触でトランジスタのオン状態およびオフ状態を制御することができるので、トランジスタとエレクトレット部材とが摩擦により磨耗するのを抑制することができる。また、静電誘導を用いてトランジスタのオン状態およびオフ状態を制御することによって、トランジスタのオン状態およびオフ状態を制御するための電源を別個に設けることなく、トランジスタのオン状態およびオフ状態を制御することができる。
【0012】
上記第1の局面によるスイッチング素子において、好ましくは、トランジスタは、第1導電型のチャネル領域を挟むように所定の間隔を隔てて形成された一対のソース/ドレイン領域を含み、エレクトレット部材のトランジスタに対する相対的な位置により、静電誘導を用いて第1導電型のチャネル領域を第2導電型に反転させるか否かを制御することによって、トランジスタのオン状態およびオフ状態を制御する。このように構成すれば、エレクトレット部材をトランジスタに対して相対的に移動させることにより、静電誘導を用いて、トランジスタのチャネル領域を第1導電型または第2導電型に切り替えることができるので、容易に、非接触かつ電源なしでトランジスタのオン状態およびオフ状態を制御することができる。
【0013】
この場合において、好ましくは、チャネル領域上には、ゲート電極が形成され、エレクトレット部材のトランジスタに対する相対的な位置により、静電誘導を用いてゲート電極を帯電させるか否かを制御することによって、トランジスタのオン状態およびオフ状態を制御する。このように構成すれば、エレクトレット部材をトランジスタに対して相対的に移動させることにより、静電誘導を用いてゲート電極を帯電させるか否かを制御することができるので、容易に、トランジスタのチャネル領域を第1導電型または第2導電型に切り替えることができる。これにより、より容易に、トランジスタのオン状態およびオフ状態を制御することができる。
【0014】
この発明の第2の局面におけるスイッチ回路は、第1トランジスタと、第1トランジスタに対して相対的に移動可能なように設けられ、電荷を蓄積することが可能なエレクトレット部材とを含み、エレクトレット部材の第1トランジスタに対する相対的な位置により、静電誘導を用いて第1トランジスタのオン状態およびオフ状態を制御するスイッチング素子と、第1トランジスタのオン状態およびオフ状態に応じて、オン状態およびオフ状態が制御される第2トランジスタとを備え、第2トランジスタは、ゲートが第1トランジスタのソース/ドレインの一方に接続されているとともに、ソース/ドレインの一方が第1トランジスタのソース/ドレインの他方に接続されている。
【0015】
この発明の第2の局面によるスイッチ回路では、上記のように、第1トランジスタに対して相対的に移動可能なように、電荷を蓄積することが可能なエレクトレット部材を設けるとともに、エレクトレット部材の第1トランジスタに対する相対的な位置により、静電誘導を用いて第1トランジスタのオン状態およびオフ状態を制御することによって、第1トランジスタとエレクトレット部材とを接触させることなく、エレクトレット部材を第1トランジスタに対して相対的に移動させることにより、静電誘導を用いて第1トランジスタのオン状態およびオフ状態を制御することができる。これにより、非接触で第1トランジスタのオン状態およびオフ状態を制御することができるので、第1トランジスタとエレクトレット部材とが摩擦により磨耗するのを抑制することができる。また、静電誘導を用いて第1トランジスタのオン状態およびオフ状態を制御することによって、第1トランジスタのオン状態およびオフ状態を制御するための電源を別個に設けることなく、第1トランジスタのオン状態およびオフ状態を制御することができる。また、ゲートが第1トランジスタのソース/ドレインの一方に接続されているとともに、ソース/ドレインの一方が第1トランジスタのソース/ドレインの他方に接続されている第2トランジスタを設けることによって、第1トランジスタが弱いオン状態になる時点で、第1トランジスタのソース/ドレインの他方に供給される電圧を第2トランジスタのゲートに供給することができるので、第2トランジスタを強いオン状態またはオフ状態にすることができる。これにより、第1トランジスタが弱いオン状態になる時点で、第2トランジスタにより、スイッチ回路のオン状態およびオフ状態を制御することができる。したがって、エレクトレット部材の電荷による非接触式の静電誘導を用いることにより、スイッチ回路のオン状態およびオフ状態を制御する場合にも、第2トランジスタにより、スイッチ回路のオン状態およびオフ状態の切り替えに必要な時間を短くすることができる。また、第1トランジスタが弱いオン状態になる時点で、第2トランジスタにより、スイッチ回路のオン状態およびオフ状態を制御することができるので、スイッチ回路のオン状態およびオフ状態を切り替える際の、第1トランジスタにおける消費電力を減少させることができる。
【0016】
この発明の第3の局面におけるモータは、固定子と、回転子と、固定子および回転子のいずれか一方に設けられ、磁界を発生させるためのコイルと、固定子および回転子の他方に設けられた磁石と、コイルに電流を供給するための電源と、電源からコイルに供給される電流を制御するためのスイッチとを備え、スイッチは、コイル側に設けられたトランジスタと、磁石側に設けられ、電荷を蓄積することが可能なエレクトレット部材とを有するとともに、エレクトレット部材のトランジスタに対する相対的な位置により、静電誘導を用いてトランジスタのオン状態およびオフ状態を制御することによって、スイッチを制御するスイッチング素子を含む。
【0017】
この発明の第3の局面によるモータでは、上記のように、エレクトレット部材のトランジスタに対する相対的な位置に基づいて、静電誘導を用いてトランジスタのオン状態およびオフ状態を制御することにより、スイッチを制御するスイッチング素子を含むスイッチを設けることによって、トランジスタとエレクトレット部材とを接触させることなく、エレクトレット部材をトランジスタに対して相対的に移動させることにより、静電誘導を用いてトランジスタのオン状態およびオフ状態を制御することができる。これにより、非接触でトランジスタのオン状態およびオフ状態を制御することができるので、トランジスタとエレクトレット部材とが摩擦により磨耗するのを抑制することができる。その結果、モータの信頼性の向上を図ることができる。また、静電誘導を用いてトランジスタのオン状態およびオフ状態を制御することによって、トランジスタのオン状態およびオフ状態を制御するための電源を別個に設けることなく、トランジスタのオン状態およびオフ状態を制御することができる。
【0018】
この発明の第4の局面における発電装置は、固定部材と、固定部材に対して移動可能な可動部材と、固定部材および可動部材のいずれか一方に設けられた第1電極および第2電極と、固定部材および可動部材の他方に設けられた第3電極および第4電極と、第1電極と第2電極とが接続される第1の状態と、第1電極と第3電極とが接続されるとともに、第2電極と第4電極とが接続される第2の状態とを切り替えるための切替スイッチとを備え、切替スイッチは、トランジスタと、電荷を蓄積することが可能なエレクトレット部材とを有するとともに、エレクトレット部材のトランジスタに対する相対的な位置により、静電誘導を用いてトランジスタのオン状態およびオフ状態を制御することによって、切替スイッチを制御するスイッチング素子を含む。
【0019】
この発明の第4の局面による発電装置では、上記のように、エレクトレット部材のトランジスタに対する相対的な位置に基づいて、静電誘導を用いてトランジスタのオン状態およびオフ状態を制御することにより、切替スイッチを制御するスイッチング素子を含む切替スイッチを設けることによって、トランジスタとエレクトレット部材とを接触させることなく、エレクトレット部材をトランジスタに対して相対的に移動させることにより、静電誘導を用いてトランジスタのオン状態およびオフ状態を制御することができる。これにより、非接触でトランジスタのオン状態およびオフ状態を制御することができるので、トランジスタとエレクトレット部材とが摩擦により磨耗するのを抑制することができる。その結果、発電装置の信頼性の向上を図ることができる。また、静電誘導を用いてトランジスタのオン状態およびオフ状態を制御することによって、トランジスタのオン状態およびオフ状態を制御するための電源を別個に設けることなく、トランジスタのオン状態およびオフ状態を制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1および図2は、本発明の第1実施形態によるスイッチング素子の構造を示した断面図である。まず、図1および図2を参照して、本発明の第1実施形態によるスイッチング素子10の構造について説明する。なお、第1実施形態において、n型およびp型は、それぞれ、本発明の「第1導電型」および「第2導電型」の一例である。
【0022】
この第1実施形態によるスイッチング素子10は、図1および図2に示すように、n型シリコン基板1と、n型シリコン基板1に対して相対的に移動可能なように設けられ、電荷を蓄積することが可能なSiOからなるエレクトレット部材9とにより構成されている。
【0023】
ここで、第1実施形態では、スイッチング素子10のn型シリコン基板1の表面には、チャネル領域2を挟むように所定の間隔を隔てて、一対のp型のソース/ドレイン領域3が形成されている。このチャネル領域2は、距離D1(図1参照)のチャネル長を有する。また、チャネル領域2と、ソース/ドレイン領域3とによって、ゲート電極を有しないpチャネルトランジスタ4が構成されている。なお、pチャネルトランジスタ4は、本発明の「トランジスタ」の一例である。
【0024】
また、第1実施形態では、スイッチング素子10のエレクトレット部材9は、距離D1と実質的に同じ長さL1(図1参照)を有するとともに、n型シリコン基板1の表面に対して所定の間隔を隔てて配置され、かつ、水平方向(図1の矢印A方向および図2の矢印B方向)に移動可能に設けられている。具体的には、エレクトレット部材9は、pチャネルトランジスタ4のチャネル領域2と対向する領域と、チャネル領域2と対向しない領域との間を移動するように構成されている。このエレクトレット部材9には、負電荷が蓄積されている。
【0025】
また、第1実施形態では、エレクトレット部材9がpチャネルトランジスタ4のチャネル領域2と対向しない領域に位置する場合には、図1に示すように、チャネル領域2にp型の反転層21(図2参照)が形成されないので、スイッチング素子10はオフ状態になるように構成されている。その一方、エレクトレット部材9がpチャネルトランジスタ4のチャネル領域2と対向する領域に位置する場合には、図2に示すように、静電誘導によりチャネル領域2の正電荷の密度が上昇することによってp型の反転層21が形成されるので、スイッチング素子10はオン状態になるように構成されている。
【0026】
次に、図1および図2を参照して、本発明の第1実施形態によるスイッチング素子10のスイッチ動作について説明する。
【0027】
まず、オフ状態のスイッチング素子10をオン状態にする場合には、図1に示すように、pチャネルトランジスタ4のチャネル領域2と対向しない領域に位置するエレクトレット部材9を、チャネル領域2と対向する領域まで矢印A方向に移動させる。これにより、図2に示すように、静電誘導によりチャネル領域2の正電荷の密度が上昇するので、p型の反転層21が形成される。その結果、スイッチング素子10がオン状態になる。
【0028】
その一方、オン状態のスイッチング素子10をオフ状態にする場合には、図2に示すように、pチャネルトランジスタ4のチャネル領域2と対向する領域に位置するエレクトレット部材9を、チャネル領域2と対向しない領域まで矢印B方向に移動させる。これにより、図1に示すように、チャネル領域2の正電荷の密度が低下するので、p型の反転層21(図2参照)が形成されない。その結果、スイッチング素子10がオフ状態になる。
【0029】
第1実施形態では、上記のように、エレクトレット部材9を、n型シリコン基板1の表面に対して所定の間隔を隔てた状態で、pチャネルトランジスタ4に対して矢印A方向または矢印B方向に移動させることにより、静電誘導を用いてスイッチング素子10(pチャネルトランジスタ4)のオン状態およびオフ状態を制御することによって、pチャネルトランジスタ4とエレクトレット部材9とを接触させることなく、スイッチング素子10(pチャネルトランジスタ4)のオン状態およびオフ状態を制御することができる。これにより、非接触でpチャネルトランジスタ4のオン状態およびオフ状態を制御することができるので、pチャネルトランジスタ4とエレクトレット部材9とが摩擦により磨耗するのを抑制することができる。また、静電誘導を用いてpチャネルトランジスタ4のオン状態およびオフ状態を制御することによって、pチャネルトランジスタ4のオン状態およびオフ状態を制御するための電源を別個に設けることなく、pチャネルトランジスタ4のオン状態およびオフ状態を制御することができる。
【0030】
図3および図4は、本発明の第1実施形態の第1変形例によるスイッチング素子の構造を示した断面図である。図3および図4を参照して、この第1実施形態の第1変形例では、上記第1実施形態と異なり、n型シリコン基板1の上面にゲート電極6が形成されたスイッチング素子10aの構造について説明する。
【0031】
この第1実施形態の第1変形例によるスイッチング素子10aは、図3および図4に示すように、チャネル領域2上には、ゲート絶縁膜5を介してゲート電極6が形成されている。また、チャネル領域2、ソース/ドレイン領域3、ゲート絶縁膜5およびゲート電極6によって、pチャネルトランジスタ4aが構成されている。なお、pチャネルトランジスタ4aは、本発明の「トランジスタ」の一例である。
【0032】
また、第1実施形態の第1変形例では、エレクトレット部材9がpチャネルトランジスタ4aのゲート電極6と対向しない領域に位置する場合には、図3に示すように、チャネル領域2にp型の反転層21a(図4参照)が形成されないので、スイッチング素子10aはオフ状態になるように構成されている。その一方、エレクトレット部材9がpチャネルトランジスタ4aのゲート電極6と対向する領域に位置する場合には、図4に示すように、静電誘導により、ゲート電極6のエレクトレット部材9側の正電荷の密度が上昇するとともに、ゲート電極6のn型シリコン基板1側の負電荷の密度が上昇し、かつ、チャネル領域2の正電荷の密度が上昇することによって、チャネル領域2にp型の反転層21aが形成されるので、スイッチング素子10aはオン状態になるように構成されている。
【0033】
なお、第1実施形態の第1変形例のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
【0034】
また、第1実施形態の第1変形例の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0035】
図5および図6は、本発明の第1実施形態の第2変形例によるスイッチング素子の構造を示した断面図である。図5および図6を参照して、この第1実施形態の第2変形例では、上記第1実施形態の第1変形例と異なり、ゲート電極6に接続される電極8が設けられるとともに、チャネル長の距離D1よりも大きい長さL2を有するエレクトレット部材9aが設けられたスイッチング素子10bの構造について説明する。
【0036】
この第1実施形態の第2変形例によるスイッチング素子10bは、図5および図6に示すように、pチャネルトランジスタ4bのゲート電極6には、配線7を介してチャネル長の距離D1よりも大きい長さL3を有する導電性材料からなる電極8が接続されている。なお、pチャネルトランジスタ4bは、本発明の「トランジスタ」の一例である。
【0037】
また、第1実施形態の第2変形例では、スイッチング素子10bのSiOからなるエレクトレット部材9aは、電極8の長さL3と実質的に同じ長さL2を有するとともに、電極8の上面に対して所定の間隔を隔てて配置され、かつ、水平方向(矢印A方向および矢印B方向)に移動可能に設けられている。具体的には、エレクトレット部材9aは、電極8と対向する領域と、電極8と対向しない領域との間を移動するように構成されている。このエレクトレット部材9aには、負電荷が蓄積されている。
【0038】
また、第1実施形態の第2変形例では、エレクトレット部材9aが電極8と対向しない領域に位置する場合には、図5に示すように、チャネル領域2にp型の反転層21b(図6参照)が形成されないので、スイッチング素子10bはオフ状態になるように構成されている。その一方、エレクトレット部材9aが電極8と対向する領域に位置する場合には、図6に示すように、静電誘導により、電極8のエレクトレット部材9a側の正電荷の密度が上昇するとともに、ゲート電極6のn型シリコン基板1側の負電荷の密度が上昇し、かつ、チャネル領域2の正電荷の密度が上昇することによって、チャネル領域2にp型の反転層21bが形成されるので、スイッチング素子10bはオン状態になるように構成されている。
【0039】
なお、第1実施形態の第2変形例のその他の構造は、上記第1実施形態の第1変形例と同様である。
【0040】
第1実施形態の第2変形例では、上記のように、チャネル長の距離D1よりも大きい長さL3を有する電極8を設けるとともに、長さL3と実質的に同じ長さL2を有するエレクトレット部材9aを設けることによって、第1変形例のエレクトレット部材9と第2変形例のエレクトレット部材9aとの電荷密度が同じ場合にも、スイッチング素子10bをオン状態にする際に、チャネル領域2の正電荷の密度をより高くすることができるので、第2変形例のpチャネルトランジスタ4bを第1変形例のpチャネルトランジスタ4aに比べて強いオン状態にすることができる。その結果、pチャネルトランジスタ4bがオン状態のときの抵抗が増大するのを抑制することができる。
【0041】
なお、第1実施形態の第2変形例のその他の効果は、上記第1実施形態の第1変形例と同様である。
【0042】
(第2実施形態)
図7および図8は、本発明の第2実施形態によるスイッチング素子の構造を示した断面図である。図7および図8を参照して、この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、負電荷が蓄積されたエレクトレット部材9bおよび正電荷が蓄積されたエレクトレット部材9cが設けられたスイッチング素子10cの構造について説明する。なお、第2実施形態において、n型およびp型は、それぞれ、本発明の「第1導電型」および「第2導電型」の一例である。
【0043】
この第2実施形態によるスイッチング素子10cは、図7および図8に示すように、n型シリコン基板1と、n型シリコン基板1に対して相対的に移動可能なように設けられ、電荷を蓄積することが可能なSiOからなるエレクトレット部材9bおよび9cとにより構成されている。
【0044】
ここで、第2実施形態では、スイッチング素子10cのn型シリコン基板1の表面には、チャネル領域2aを挟むように所定の間隔を隔てて、一対のp型のソース/ドレイン領域3が形成されている。このチャネル領域2aは、第1実施形態の距離D1(図1参照)よりも小さい距離D2(図7参照)のチャネル長を有する。また、チャネル領域2aと、ソース/ドレイン領域3とによって、ゲート電極を有しないpチャネルトランジスタ4cが構成されている。なお、pチャネルトランジスタ4cは、本発明の「第1トランジスタ」の一例である。
【0045】
また、第2実施形態では、スイッチング素子10cのエレクトレット部材9bおよび9cは、距離D2と実質的に同じ長さL4(図7参照)を有するとともに、n型シリコン基板1の表面に対して所定の間隔を隔てて配置され、かつ、水平方向(図7の矢印A方向および図8の矢印B方向)に移動可能に一体的に設けられている。具体的には、エレクトレット部材9bおよび9cは、エレクトレット部材9bがpチャネルトランジスタ4cのチャネル領域2aと対向する領域と、エレクトレット部材9cがpチャネルトランジスタ4cのチャネル領域2aと対向する領域との間を移動するように構成されている。このエレクトレット部材9bおよび9cには、それぞれ、負電荷および正電荷が蓄積されている。
【0046】
また、第2実施形態では、エレクトレット部材9cがpチャネルトランジスタ4cのチャネル領域2aと対向する領域に位置する場合には、図7に示すように、静電誘導によりチャネル領域2aの負電荷の密度が上昇することによってチャネル領域2aにp型の反転層21c(図8参照)が形成されないので、スイッチング素子10cはオフ状態になるように構成されている。その一方、エレクトレット部材9bがpチャネルトランジスタ4cのチャネル領域2aと対向する領域に位置する場合には、図8に示すように、静電誘導によりチャネル領域2aの正電荷の密度が上昇することによってp型の反転層21cが形成されるので、スイッチング素子10cはオン状態になるように構成されている。
【0047】
次に、図7および図8を参照して、本発明の第2実施形態によるスイッチング素子10cのスイッチ動作について説明する。
【0048】
まず、オフ状態のスイッチング素子10cをオン状態にする場合には、図7に示すように、pチャネルトランジスタ4cのチャネル領域2aと対向しない領域に位置するエレクトレット部材9bを、チャネル領域2aと対向する領域まで矢印A方向に移動させる。これにより、図8に示すように、静電誘導によりチャネル領域2aの正電荷の密度が上昇するので、p型の反転層21cが形成される。その結果、スイッチング素子10cがオン状態になる。
【0049】
その一方、オン状態のスイッチング素子10cをオフ状態にする場合には、図8に示すように、pチャネルトランジスタ4cのチャネル領域2aと対向しない領域に位置するエレクトレット部材9cを、チャネル領域2aと対向する領域まで矢印B方向に移動させる。これにより、図7に示すように、静電誘導によりチャネル領域2aの負電荷の密度が上昇するので、p型の反転層21が形成されない。その結果、スイッチング素子10cがオフ状態になる。
【0050】
第2実施形態では、上記のように、スイッチング素子10cがオフ状態の場合に、pチャネルトランジスタ4cのチャネル領域2aと対向する領域に位置するとともに、正電荷を蓄積するエレクトレット部材9cを設けることによって、スイッチング素子10cがオフ状態の場合に、pチャネルトランジスタ4cのチャネル領域2aの負電荷の密度を上昇させることができるので、スイッチング素子10cがオフ状態の場合に、チャネル領域2aにp型の反転層21cが形成されるのを抑制することができる。これにより、チャネル長の距離D2を短くすることができるので、pチャネルトランジスタ4cがオン状態のときの抵抗を低下させることができる。
【0051】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0052】
(第3実施形態)
図9および図10は、本発明の第3実施形態によるスイッチ回路の構成を示した概略図である。図9および図10を参照して、本発明の第3実施形態によるスイッチ回路30の構成について説明する。
【0053】
この第3実施形態によるスイッチ回路30は、図9および図10に示すように、一方端が負荷40の一方端に接続されているとともに、他方端が接地されている。また、負荷40の他方端には、電源41の正極側が接続されているとともに、電源41の負極側は、接地されている。
【0054】
ここで、第3実施形態によるスイッチ回路30は、pチャネルトランジスタ31と、nチャネルトランジスタ32および33と、pチャネルトランジスタ31のゲートに接続された電極34aと、nチャネルトランジスタ32のゲートに接続された電極34bと、電荷を蓄積することが可能なSiOからなるエレクトレット部材35とにより構成されている。また、pチャネルトランジスタ31とエレクトレット部材35とによりスイッチング素子36が構成されているとともに、nチャネルトランジスタ32とエレクトレット部材35とによりスイッチング素子37が構成されている。なお、pチャネルトランジスタ31およびnチャネルトランジスタ32は、本発明の「第1トランジスタ」の一例であり、nチャネルトランジスタ33は、本発明の「第2トランジスタ」の一例である。
【0055】
また、第3実施形態では、スイッチ回路30のpチャネルトランジスタ31は、ソースが負荷40の一方端に接続されているとともに、ドレインがノードN1に接続されている。nチャネルトランジスタ32は、ドレインがノードN1に接続されているとともに、ソースが接地されている。nチャネルトランジスタ33は、ドレインが負荷40の一方端に接続されているとともに、ソースが接地されている。また、nチャネルトランジスタ33のゲートは、ノードN1に接続されている。
【0056】
また、第3実施形態では、エレクトレット部材35は、電極34aおよび34bに対して所定の間隔を隔てて配置され、かつ、水平方向(図9の矢印C方向および図10の矢印D方向)に移動可能に設けられている。具体的には、エレクトレット部材35は、電極34aおよび34bと対向する領域と、電極34aおよび34bと対向しない領域との間を移動するように構成されている。このエレクトレット部材35には、負電荷が蓄積されている。
【0057】
また、第3実施形態では、エレクトレット部材35が電極34aおよび34bと対向しない領域に位置する場合には、図9に示すように、静電誘導により電極34aおよび34bの正電荷の密度が上昇しないことによって、pチャネルトランジスタ31がオフ状態になるとともに、nチャネルトランジスタ32がオン状態になるので、ノードN1(nチャネルトランジスタ33のゲート)に接地電位が供給されるように構成されている。これにより、エレクトレット部材35が電極34aおよび34bと対向しない領域に位置することにより、nチャネルトランジスタ32が弱いオン状態の場合にも、nチャネルトランジスタ33がオフ状態になるように構成されている。その一方、エレクトレット部材35が電極34aおよび34bと対向する領域に位置する場合には、図10に示すように、静電誘導により電極34aおよび34bの正電荷の密度が上昇することに起因して、pチャネルトランジスタ31およびnチャネルトランジスタ32のゲートの電位が低下することによって、pチャネルトランジスタ31がオン状態になるとともに、nチャネルトランジスタ32がオフ状態になるので、ノードN1(nチャネルトランジスタ33のゲート)に電源41から電源電位が供給されるように構成されている。これにより、エレクトレット部材35が電極34aおよび34bと対向する領域に位置することにより、pチャネルトランジスタ31が弱いオン状態の場合にも、nチャネルトランジスタ33が強いオン状態になるように構成されている。
【0058】
次に、図9および図10を参照して、本発明の第3実施形態によるスイッチ回路30のスイッチ動作について説明する。
【0059】
まず、オフ状態のスイッチ回路30をオン状態にして負荷40に電流を供給する場合には、図9に示すように、電極34aおよび34bと対向しない領域に位置するエレクトレット部材35を、電極34aおよび34bと対向する領域まで矢印C方向に移動させる。これにより、図10に示すように、静電誘導により、電極34aおよび34bの正電荷の密度が上昇するので、pチャネルトランジスタ31がオン状態になるとともに、nチャネルトランジスタ32がオフ状態になる。このとき、ノードN1(nチャネルトランジスタ33のゲート)に電源41から電源電位が供給されるので、pチャネルトランジスタ31が弱いオン状態になった時点で、nチャネルトランジスタ33が強いオン状態になる。したがって、電源41から供給された電流は、負荷40およびスイッチ回路30のnチャネルトランジスタ33を介して流れる。
【0060】
その一方、オン状態のスイッチ回路30をオフ状態にして負荷40に電流を供給するのを止める場合には、図10に示すように、電極aおよび34bと対向する領域に位置するエレクトレット部材35を、電極34aおよび34bと対向しない領域まで矢印D方向に移動させる。これにより、図9に示すように、pチャネルトランジスタ31がオフ状態になるとともに、nチャネルトランジスタ32がオン状態になる。このとき、ノードN1(nチャネルトランジスタ33のゲート)に接地電位が供給されるので、nチャネルトランジスタ32が弱いオン状態になった時点で、nチャネルトランジスタ33がオフ状態になる。したがって、電源41から供給された電流は、負荷40およびスイッチ回路30を介して流れない。
【0061】
第3実施形態では、上記のように、エレクトレット部材35を、電極34aおよび34bに対して所定の間隔を隔てた状態で、電極34aおよび34bに対して矢印C方向または矢印D方向に移動させることにより、静電誘導を用いてpチャネルトランジスタ31およびnチャネルトランジスタ32のオン状態およびオフ状態を制御することによって、pチャネルトランジスタ31およびnチャネルトランジスタ32とエレクトレット部材35とを接触させることなく、pチャネルトランジスタ31およびnチャネルトランジスタ32のオン状態およびオフ状態を制御することができる。これにより、非接触でpチャネルトランジスタ31およびnチャネルトランジスタ32のオン状態およびオフ状態を制御することができるので、pチャネルトランジスタ31およびnチャネルトランジスタ32とエレクトレット部材35とが摩擦により磨耗するのを抑制することができる。また、静電誘導を用いてpチャネルトランジスタ31およびnチャネルトランジスタ32のオン状態およびオフ状態を制御することによって、pチャネルトランジスタ31およびnチャネルトランジスタ32のオン状態およびオフ状態を制御するための電源を別個に設けることなく、pチャネルトランジスタ31およびnチャネルトランジスタ32のオン状態およびオフ状態を制御することができる。
【0062】
また、第3実施形態では、ゲートがpチャネルトランジスタ31のドレインおよびnチャネルトランジスタ32のドレインに接続されているnチャネルトランジスタ33を設けることによって、スイッチ回路30をオン状態にする際に、pチャネルトランジスタ31が弱いオン状態になる時点で、pチャネルトランジスタ31に供給される電源電位をnチャネルトランジスタ33のゲートに供給することができるので、nチャネルトランジスタ33を強いオン状態にすることができる。また、スイッチ回路30をオフ状態にする際に、nチャネルトランジスタ32が弱いオン状態になる時点で、nチャネルトランジスタ32に供給される接地電位をnチャネルトランジスタ33のゲートに供給することができるので、nチャネルトランジスタ33をオフ状態にすることができる。したがって、エレクトレット部材35の負電荷による非接触式の静電誘導を用いることにより、スイッチ回路30のオン状態およびオフ状態を制御する場合にも、nチャネルトランジスタ33により、スイッチ回路30のオン状態およびオフ状態の切り替えに必要な時間を短くすることができる。また、pチャネルトランジスタ31が弱いオン状態になる時点で、nチャネルトランジスタ33により、スイッチ回路30をオン状態にすることができるので、スイッチ回路30をオン状態にする際の、pチャネルトランジスタ31における消費電力を減少させることができるとともに、nチャネルトランジスタ32が弱いオン状態になる時点で、nチャネルトランジスタ33により、スイッチ回路30をオフ状態にすることができるので、スイッチ回路30をオフ状態にする際の、nチャネルトランジスタ32における消費電力を減少させることができる。
【0063】
(第4実施形態)
図11〜図16は、本発明の第4実施形態によるモータの構造を説明するための概略図である。図11〜図16を参照して、本発明の第4実施形態によるモータ50の構造について説明する。
【0064】
この第4実施形態によるモータ50は、図11および図14に示すように、固定子60と、固定子60に対して回転可能に設けられた回転子70とを備えている。
【0065】
ここで、第4実施形態では、固定子60は、磁界を発生させるためのコイル61および62と、コイル61および62に電流を供給するための電源63と、電源63からコイル61に供給される電流を制御するためのスイッチ80を構成する回路部64と、電源63からコイル62に供給される電流を制御するためのスイッチ81を構成する回路部65とを含んでいる。このコイル61および62の内部には、それぞれ、鉄心61aおよび62aが配置されている。また、コイル61および62は、回転子70を挟むように設けられている。
【0066】
また、第4実施形態では、回転子70は、永久磁石71と、電極72および73と、電極72の外周に沿ってに設けられたエレクトレット部材74aおよび74bと、電極73の外周に沿ってに設けられたエレクトレット部材75aおよび75bとを含んでいる。このエレクトレット部材74a、74b、75aおよび75bは、SiOからなる。また、電極72は、永久磁石71のN極側に設けられているとともに、電極73は、永久磁石71のS極側に設けられている。また、電極72および73は、平面的に見て円弧形状を有するとともに、図11および図14において紙面と垂直方向(矢印E方向および矢印F方向)に延びるように形成されている。また、N極側の電極72には、図12に示すように、矢印E方向側に負電荷が蓄積されているエレクトレット部材74aが設けられているとともに、矢印F方向側に正電荷が蓄積されているエレクトレット部材74bが設けられている。また、S極側の電極73には、図13に示すように、矢印E方向側に正電荷が蓄積されているエレクトレット部材75aが設けられているとともに、矢印F方向側に負電荷が蓄積されているエレクトレット部材75bが設けられている。また、エレクトレット部材74a、74b、75aおよび75bと回路部64とによりスイッチ80が構成されているとともに、エレクトレット部材74a、74b、75aおよび75bと回路部65とによりスイッチ81が構成されている。
【0067】
ここで、第4実施形態では、固定子60の回路部64は、図12および図15に示すように、接地されている電源63に接続されているとともに、コイル61に接続されている。この回路部64は、4つのpチャネルトランジスタ64a〜64dと、pチャネルトランジスタ64aおよび64bのゲートに接続された電極64eと、pチャネルトランジスタ64cおよび64dのゲートに接続された電極64fとを含んでいる。また、電極64eは、回転するエレクトレット部材74aおよび75aと対向するように配置されているとともに、電極64fは、回転するエレクトレット部材74bおよび75bと対向するように配置されている。また、エレクトレット部材74aおよび75aとpチャネルトランジスタ64aとによりスイッチング素子82が構成されているとともに、エレクトレット部材74aおよび75aとpチャネルトランジスタ64bとによりスイッチング素子83が構成されている。また、エレクトレット部材74bおよび75bとpチャネルトランジスタ64cとによりスイッチング素子84が構成されているとともに、エレクトレット部材74bおよび75bとpチャネルトランジスタ64dとによりスイッチング素子85が構成されている。なお、pチャネルトランジスタ64a〜64dは、本発明の「トランジスタ」の一例である。
【0068】
また、第4実施形態では、回路部64のpチャネルトランジスタ64aは、ソースが電源63に接続されているとともに、ドレインがノードN2に接続されている。また、pチャネルトランジスタ64bは、ソースがノードN3に接続されているとともに、ドレインが接地されている。また、pチャネルトランジスタ64cは、ソースが電源63に接続されているとともに、ドレインがノードN3に接続されている。また、pチャネルトランジスタ64dは、ソースがノードN2に接続されているとともに、ドレインが接地されている。また、コイル61は、一方端61bがノードN2に接続されているとともに、他方端61cがノードN3に接続されている。なお、電極72および73は、接地されている。
【0069】
また、第4実施形態では、図11および図12に示すように、N極側の電極72が回路部64と対向する領域に位置する場合には、N極側の電極72に設けられたエレクトレット部材74aが電極64eと対向する領域に位置するとともに、N極側の電極72に設けられたエレクトレット部材74bが電極64fと対向する領域に位置するように構成されている。これにより、N極側の電極72が回路部64と対向する領域に位置する場合には、静電誘導により、電極64eの正電荷の濃度が上昇するとともに、電極64fの負電荷の濃度が上昇するので、pチャネルトランジスタ64aおよび64bがオン状態になるとともに、pチャネルトランジスタ64cおよび64dがオフ状態になるように構成されている。したがって、N極側の電極72が回路部64と対向する領域に位置する場合には、コイル61の一方端61bから他方端61cに電流が流れるので、コイル61には矢印G方向(図11参照)の磁界が発生するように構成されている。
【0070】
また、第4実施形態では、図14および図15に示すように、S極側の電極73が回路部64と対向する領域に位置する場合には、S極側の電極73に設けられたエレクトレット部材75aが電極64eと対向する領域に位置するとともに、S極側の電極73に設けられたエレクトレット部材75bが電極64fと対向する領域に位置するように構成されている。これにより、S極側の電極73が回路部64と対向する領域に位置する場合には、静電誘導により、電極64eの負電荷の濃度が上昇するとともに、電極64fの正電荷の濃度が上昇するので、pチャネルトランジスタ64aおよび64bがオフ状態になるとともに、pチャネルトランジスタ64cおよび64dがオン状態になるように構成されている。したがって、S極側の電極73が回路部64と対向する領域に位置する場合には、コイル61の他方端61cから一方端61bに電流が流れるので、コイル61には矢印H方向(図14参照)の磁界が発生するように構成されている。
【0071】
また、第4実施形態では、固定子60の回路部65は、図13および図16に示すように、接地されている電源63に接続されているとともに、コイル62に接続されている。この回路部65は、4つのpチャネルトランジスタ65a〜65dと、pチャネルトランジスタ65aおよび65bのゲートに接続された電極65eと、pチャネルトランジスタ65cおよび65dのゲートに接続された電極65fとを含んでいる。また、電極65eは、回転するエレクトレット部材75aおよび74aと対向するように配置されているとともに、電極65fは、回転するエレクトレット部材75bおよび74bと対向するように配置されている。また、エレクトレット部材75aおよび74aとpチャネルトランジスタ65aとによりスイッチング素子86が構成されているとともに、エレクトレット部材75aおよび74aとpチャネルトランジスタ65bとによりスイッチング素子87が構成されている。また、エレクトレット部材75bおよび74bとpチャネルトランジスタ65cとによりスイッチング素子88が構成されているとともに、エレクトレット部材75bおよび74bとpチャネルトランジスタ65dとによりスイッチング素子89が構成されている。なお、pチャネルトランジスタ65a〜65dは、本発明の「トランジスタ」の一例である。
【0072】
また、第4実施形態では、回路部65のpチャネルトランジスタ65aは、ソースが電源63に接続されているとともに、ドレインがノードN4に接続されている。また、pチャネルトランジスタ65bは、ソースがノードN5に接続されているとともに、ドレインが接地されている。また、pチャネルトランジスタ65cは、ソースが電源63に接続されているとともに、ドレインがノードN5に接続されている。また、pチャネルトランジスタ65dは、ソースがノードN4に接続されているとともに、ドレインが接地されている。また、コイル62は、一方端62bがノードN5に接続されているとともに、他方端62cがノードN4に接続されている。
【0073】
また、第4実施形態では、図11および図13に示すように、S極側の電極73が回路部65と対向する領域に位置する場合には、S極側の電極73に設けられたエレクトレット部材75aが電極65eと対向する領域に位置するとともに、S極側の電極73に設けられたエレクトレット部材75bが電極65fと対向する領域に位置するように構成されている。これにより、S極側の電極73が回路部65と対向する領域に位置する場合には、静電誘導により、電極65eの負電荷の濃度が上昇するとともに、電極65fの正電荷の濃度が上昇するので、pチャネルトランジスタ65aおよび65bがオフ状態になるとともに、pチャネルトランジスタ65cおよび65dがオン状態になるように構成されている。したがって、S極側の電極73が回路部65と対向する領域に位置する場合には、コイル62の一方端62bから他方端62cに電流が流れるので、コイル62には矢印G方向(図11参照)の磁界が発生するように構成されている。
【0074】
また、第4実施形態では、図14および図16に示すように、N極側の電極72が回路部65と対向する領域に位置する場合には、N極側の電極72に設けられたエレクトレット部材74aが電極65eと対向する領域に位置するとともに、N極側の電極72に設けられたエレクトレット部材74bが電極65fと対向する領域に位置するように構成されている。これにより、N極側の電極72が回路部65と対向する領域に位置する場合には、静電誘導により、電極65eの正電荷の濃度が上昇するとともに、電極65fの負電荷の濃度が上昇するので、pチャネルトランジスタ65aおよび65bがオン状態になるとともに、pチャネルトランジスタ65cおよび65dがオフ状態になるように構成されている。したがって、N極側の電極72が回路部65と対向する領域に位置する場合には、コイル62の他方端62cから一方端62bに電流が流れるので、コイル62には矢印H方向(図14参照)の磁界が発生するように構成されている。
【0075】
次に、図11〜図16を参照して、本発明の第4実施形態によるモータ50の駆動動作について説明する。
【0076】
まず、図11に示すように、永久磁石71のN極側の電極72が回路部64と対向する領域に位置するとともに、永久磁石71のS極側の電極73が回路部65と対向する領域に位置するときには、回路部64では、図12に示すように、pチャネルトランジスタ64aおよび64bがオン状態になるとともに、pチャネルトランジスタ64cおよび64dがオフ状態になる。これにより、コイル61の一方端61bから他方端61cに電流が流れるので、コイル61には矢印G方向(図11参照)の磁界が発生する。その一方、回路部65では、図13に示すように、pチャネルトランジスタ65aおよび65bがオフ状態になるとともに、pチャネルトランジスタ65cおよび65dがオン状態になる。これにより、コイル62の一方端62bから他方端62cに電流が流れるので、コイル62には矢印G方向(図11参照)の磁界が発生する。したがって、コイル61により、永久磁石71のN極がK方向(図11参照)に回転する力を受けるとともに、コイル62により、永久磁石71のS極がK方向に回転する力を受けるので、永久磁石71が設けられた回転子70がK方向に回転する。これにより、永久磁石71のS極側の電極73が回路部64と対向する領域まで移動するとともに、永久磁石71のN極側の電極72が回路部65と対向する領域まで移動する。
【0077】
次に、図14に示すように、永久磁石71のS極側の電極73が回路部64と対向する領域に位置するとともに、永久磁石71のN極側の電極72が回路部65と対向する領域に位置するときには、回路部64では、図15に示すように、pチャネルトランジスタ64aおよび64bがオフ状態になるとともに、pチャネルトランジスタ64cおよび64dがオン状態になる。これにより、コイル61の他方端61cから一方端61bに電流が流れるので、コイル61には矢印H方向(図14参照)の磁界が発生する。その一方、回路部65では、図16に示すように、pチャネルトランジスタ65aおよび65bがオン状態になるとともに、pチャネルトランジスタ65cおよび65dがオフ状態になる。これにより、コイル62の他方端62cから一方端62bに電流が流れるので、コイル62には矢印H方向(図14参照)の磁界が発生する。したがって、コイル61により、永久磁石71のS極がK方向(図14参照)に回転する力を受けるとともに、コイル62により、永久磁石71のN極がK方向に回転する力を受けるので、永久磁石71が設けられた回転子70がK方向に回転する。
【0078】
その後、上記動作が繰り返し行われることにより、回転子70がK方向に回転する。
【0079】
第4実施形態では、上記のように、エレクトレット部材74a、74b、75aおよび75bを、回路部64の電極64eおよび64fと、回路部65の電極65eおよび65fとに対して所定の間隔を隔てた状態で、固定子60に対してK方向に回転させることにより、静電誘導を用いてスイッチング素子82〜89のオン状態およびオフ状態を制御することによって、pチャネルトランジスタ64a〜64dおよび65a〜65dとエレクトレット部材74a、74b、75aおよび75bとを接触させることなく、スイッチング素子82〜89のオン状態およびオフ状態を制御することができる。これにより、非接触でpチャネルトランジスタ64a〜64dおよび65a〜65dのオン状態およびオフ状態を制御することができるので、pチャネルトランジスタ64a〜64dおよび65a〜65dとエレクトレット部材74a、74b、75aおよび75bとが摩擦により磨耗するのを抑制することができる。その結果、モータ50の信頼性の向上を図ることができる。また、静電誘導を用いてpチャネルトランジスタ64a〜64dおよび65a〜65dのオン状態およびオフ状態を制御することによって、pチャネルトランジスタ64a〜64dおよび65a〜65dのオン状態およびオフ状態を制御するための電源を別個に設けることなく、pチャネルトランジスタ64a〜64dおよび65a〜65dのオン状態およびオフ状態を制御することができる。
【0080】
(第5実施形態)
図17〜図21は、本発明の第5実施形態による発電装置の構造を説明するための図である。図17〜図21を参照して、本発明の第5実施形態による発電装置100の構造について説明する。
【0081】
この第5実施形態による発電装置100は、図17および図19に示すように、固定部材110と、固定部材110に対して水平方向に平行移動可能な可動部材120とを備えている。
【0082】
ここで、第5実施形態では、固定部材110は、所定の領域に回路部111と電極Aとが設けられた基体112と、基体112と所定の間隔を隔てて設けられるとともに、所定の領域に電極Bが設けられた基体113とを含んでいる。なお、電極AおよびBは、それぞれ、本発明の「第3電極」および「第4電極」の一例である。
【0083】
また、第5実施形態では、可動部材120は、固定部材110の基体112および113の間に配置されるとともに、矢印I方向および矢印J方向に移動可能に設けられている。また、可動部材120は、所定の領域に電極Cが設けられた基体121と、所定の領域に電極Dが設けられた基体122とを含んでいる。なお、電極CおよびDは、それぞれ、本発明の「第1電極」および「第2電極」の一例である。また、可動部材120の基体121には、図21に示すように、回路部111側の領域に電極122〜124が設けられている。また、基体121の回路部111側の電極122上には、正電荷が蓄積されているエレクトレット部材125aと、負電荷が蓄積されているエレクトレット部材125bとが設けられている。また、基体121の回路部111側の電極123上には、負電荷が蓄積されているエレクトレット部材126aと、正電荷が蓄積されているエレクトレット部材126bとが設けられている。また、基体121の回路部111側の電極124上には、負電荷が蓄積されているエレクトレット部材127aと、正電荷が蓄積されているエレクトレット部材127bとが設けられている。これらのエレクトレット部材125a、125b、126a、126b、127aおよび127bは、SiOからなる。また、回路部111と、エレクトレット部材125a、125b、126a、126b、127aおよび127bとにより切替スイッチ130が構成されている。
【0084】
また、第5実施形態では、図18および図20に示すように、回路部111は、配線140〜143を介してそれぞれ電極A〜Dに接続されている。また、回路部111は、3つのpチャネルトランジスタ111a〜111cと、pチャネルトランジスタ111a〜111cのゲートがそれぞれ接続される電極111d〜111fとを含んでいる。なお、pチャネルトランジスタ111a〜111cは、本発明の「トランジスタ」の一例である。また、電極111dは、エレクトレット部材125aまたは125bと対向するように配置されている。また、電極111eは、エレクトレット部材126aまたは126bと対向するように配置されている。また、電極111fは、エレクトレット部材127aまたは127bと対向するように配置されている。また、エレクトレット部材125aおよび125bと、pチャネルトランジスタ111aとによりスイッチング素子131が構成されている。また、エレクトレット部材126aおよび126bと、pチャネルトランジスタ111bとによりスイッチング素子132が構成されている。また、エレクトレット部材127aおよび127bと、pチャネルトランジスタ111cとによりスイッチング素子133が構成されている。
【0085】
また、第5実施形態では、回路部111のpチャネルトランジスタ111aは、ソースが配線142を介して電極Cに接続されているとともに、ドレインがノードN6に接続されている。また、pチャネルトランジスタ111bは、ソースがノードN7に接続されているとともに、ドレインが配線142を介して電極Cに接続されている。また、pチャネルトランジスタ111cは、ソースがノードN6に接続されているとともに、ドレインが配線140を介して電極Aに接続されている。また、ノードN6には、配線143を介して電極Dが接続されている。また、ノードN7には、配線141を介して電極Bが接続されているとともに、接地電位が供給されている。また、pチャネルトランジスタ111a〜111cのソースには、それぞれ、電極122〜124が接続されている。
【0086】
また、第5実施形態では、図17および図18に示すように、電極Cが電極Aと対向するとともに、電極Dが電極Bと対向するように可動部材120が固定部材110に対して配置されている場合には、エレクトレット部材125b〜127bがそれぞれ電極111d〜111fと対向する領域に配置されるように構成されている。これにより、電極Cが電極Aと対向するとともに、電極Dが電極Bと対向するように可動部材120が固定部材110に対して配置されている場合には、静電誘導により、電極111dの正電荷の濃度が上昇するとともに、電極111eおよび111fの負電荷の濃度が上昇するので、pチャネルトランジスタ111dがオン状態になるとともに、pチャネルトランジスタ111eおよび111fがオフ状態になるように構成されている。したがって、電極Cが電極Aと対向するとともに、電極Dが電極Bと対向するように可動部材120が固定部材110に対して配置されている場合には、電極Cと電極Dとが電気的に接続されるように構成されている。
【0087】
また、第5実施形態では、図19および図20に示すように、電極Aと電極Bとの間に電極CおよびDが配置されないように、可動部材120が固定部材110に対して配置されている場合には、エレクトレット部材125a〜127aがそれぞれ電極111d〜111fと対向する領域に配置されるように構成されている。これにより、電極Aと電極Bとの間に電極CおよびDが配置されないように、可動部材120が固定部材110に対して配置されている場合には、静電誘導により、電極111dの負電荷の濃度が上昇するとともに、電極111eおよび111fの正電荷の濃度が上昇するので、pチャネルトランジスタ111dがオフ状態になるとともに、pチャネルトランジスタ111eおよび111fがオン状態になるように構成されている。したがって、電極Aと電極Bとの間に電極CおよびDが配置されないように、可動部材120が固定部材110に対して配置されている場合には、電極Aと電極Dとが電気的に接続されるとともに、電極Bと電極Cとが電気的に接続されるように構成されている。
【0088】
次に、図17〜図20を参照して、本発明の第5実施形態による発電装置100の発電動作について説明する。
【0089】
まず、図17に示すように、電極Cが電極Aと対向するとともに、電極Dが電極Bと対向するように可動部材120が固定部材110に対して配置されている状態で、ゆらぎにより電極Aの正電荷が電極Bの正電荷よりも多い場合を考える。このとき、図18に示すように、エレクトレット部材125b〜127bがそれぞれ電極111d〜111fと対向する領域に配置されているので、静電誘導により、電極111dの正電荷の密度が上昇するとともに、電極111eおよび111fの負電荷の密度が上昇する。これにより、pチャネルトランジスタ111aがオン状態になるとともに、pチャネルトランジスタ111bおよび111cがオフ状態になる。したがって、電極Cと電極Dとが電気的に接続されるので、静電誘導により、電極Cの負電荷の密度が上昇するとともに、電極Dの正電荷の密度が上昇する。なお、このとき、静電誘導により、電極Bの負電荷の密度が上昇する。
【0090】
次に、図19に示すように、振動などにより、可動部材120を固定部材110に対して矢印J方向に移動させる。これにより、図20に示すように、エレクトレット部材125a〜127aがそれぞれ電極111d〜111fと対向する領域に配置されるので、電極111dの負電荷の密度が上昇するとともに、電極111eおよび111fの正電荷の密度が上昇する。したがって、pチャネルトランジスタ111aがオフ状態になるとともに、pチャネルトランジスタ111bおよび111cがオン状態になるので、電極Aと電極Dとが電気的に接続されるとともに、電極Bと電極Cとが電気的に接続される。そして、電極Dの正電荷が配線143、ノードN6、pチャネルトランジスタ111cおよび配線140を介して電極Aに移動するとともに、電極Cの負電荷が配線142、pチャネルトランジスタ111b、ノードN7および配線141を介して電極Bに移動する。
【0091】
次に、図17に示すように、振動などにより、可動部材120を固定部材110に対して矢印I方向に移動させる。このとき、電極Cと電極Dとが電気的に接続されるので、静電誘導により、電極Cの負電荷の密度が上昇するとともに、電極Dの正電荷の密度が上昇する。その後、上記動作を繰り返し行うことにより、発電装置100による発電動作が行われる。
【0092】
第5実施形態では、上記のように、エレクトレット部材125a、125b、126a、126b、127aおよび127bを、回路部111の電極111d〜111fに対して所定の間隔を隔てた状態で、固定部材110に対して矢印I方向または矢印J方向に移動させることにより、静電誘導を用いてスイッチング素子131、132および133のオン状態およびオフ状態を制御することによって、エレクトレット部材125a、125b、126a、126b、127aおよび127bと、pチャネルトランジスタ111a〜111cとを接触させることなく、スイッチング素子131、132および133のオン状態およびオフ状態を制御することができる。これにより、非接触でpチャネルトランジスタ111a〜111cのオン状態およびオフ状態を制御することができるので、エレクトレット部材125a、125b、126a、126b、127aおよび127bと、pチャネルトランジスタ111a〜111cとが摩擦により磨耗するのを抑制することができる。その結果、発電装置100の信頼性の向上を図ることができる。また、静電誘導を用いてpチャネルトランジスタ111a〜111cのオン状態およびオフ状態を制御することによって、pチャネルトランジスタ111a〜111cのオン状態およびオフ状態を制御するための電源を別個に設けることなく、pチャネルトランジスタ111a〜111cのオン状態およびオフ状態を制御することができる。
【0093】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0094】
たとえば、上記第1実施形態では、n型シリコン基板の表面にpチャネルトランジスタを形成するとともに、負電荷を蓄積するエレクトレット部材を設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、p型シリコン基板の表面にnチャネルトランジスタを形成するとともに、正電荷を蓄積するエレクトレット部材を設けるようにしてもよい。
【0095】
また、上記第1および第2実施形態では、n型シリコン基板を用いる例を示したが、本発明はこれに限らず、n型であればシリコン基板以外の基板を用いてもよい。
【0096】
また、上記第1〜第5実施形態では、SiOからなるエレクトレット部材を用いる例を示したが、本発明はこれに限らず、テフロン(登録商標)またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などからなるエレクトレット部材を用いるようにしてもよい。
【0097】
また、上記第1実施形態では、ゲート長の距離D1と実質的に同じ長さL1を有するエレクトレット部材9を設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、ゲート長の距離よりも大きい長さを有するエレクトレット部材を設けるようにしてもよい。
【0098】
また、上記第1実施形態では、エレクトレット部材をn型シリコン基板に対して水平方向に移動可能に設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、エレクトレット部材をn型シリコン基板に対して垂直方向に移動可能に設けるようにしてもよい。この場合、チャネル領域上に設けられたエレクトレット部材からチャネル領域までの距離により、チャネル領域に反転層を形成するか否かを制御することにより、スイッチング素子のオン状態およびオフ状態を制御する。
【0099】
また、上記第1および第2実施形態では、n型シリコン基板の表面にpチャネルトランジスタを形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、シリコン基板の表面にn型ウェル領域を形成するとともに、そのn型ウェル領域の表面にpチャネルトランジスタを形成するようにしてもよい。
【0100】
また、上記第3実施形態では、pチャネルトランジスタ31のゲートが接続される電極34aと、nチャネルトランジスタ32のゲートが接続される電極34bとを設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、pチャネルトランジスタおよびnチャネルトランジスタのゲートが接続される共通の電極を設けるようにしてもよい。この場合、電極と対向する領域には、正電荷が蓄積されたエレクトレット部材および負電荷が蓄積されたエレクトレット部材のいずれか一方が常に配置されていることが好ましい。
【0101】
また、上記第4実施形態では、pチャネルトランジスタ64aのゲートおよびpチャネルトランジスタ64bのゲートが接続される電極64eと、pチャネルトランジスタ64cのゲートおよびpチャネルトランジスタ64dのゲートが接続される電極64fとを含む回路部64を設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、各pチャネルトランジスタのゲートが接続される電極をそれぞれ別個に設けるようにしてもよい。なお、pチャネルトランジスタ65aのゲートおよびpチャネルトランジスタ65bのゲートが接続される電極65eと、pチャネルトランジスタ65cのゲートおよびpチャネルトランジスタ65dのゲートが接続される電極65fとを含む回路部65においても同様である。
【0102】
また、上記第4実施形態では、固定子に2つのコイルを設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、固定子に3つ以上のコイルを設けてもよい。
【0103】
また、上記第4実施形態では、固定子にコイルと回路部とを設けるとともに、回転子に永久磁石とエレクトレット部材とを設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、回転子にコイルと回路部とを設けるとともに、固定子に永久磁石とエレクトレット部材とを設けるようにしてもよい。
【0104】
また、上記第4実施形態では、電磁誘導型のモータ50にスイッチング素子82〜89を設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、静電誘導型のモータにスイッチング素子を設けるようにしてもよい。
【0105】
また、上記第5実施形態では、固定部材に回路部を設けるとともに、可動部材にエレクトレット部材を設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、可動部材に回路部を設けるとともに、固定部材にエレクトレット部材を設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の第1実施形態によるスイッチング素子の構造を示した断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるスイッチング素子の構造を示した断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態の第1変形例によるスイッチング素子の構造を示した断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態の第1変形例によるスイッチング素子の構造を示した断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態の第2変形例によるスイッチング素子の構造を示した断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態の第2変形例によるスイッチング素子の構造を示した断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態によるスイッチング素子の構造を示した断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態によるスイッチング素子の構造を示した断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態によるスイッチ回路の構成を示した概略図である。
【図10】本発明の第3実施形態によるスイッチ回路の構成を示した概略図である。
【図11】本発明の第4実施形態によるモータの構造を説明するための概略図である。
【図12】本発明の第4実施形態によるモータの構造を説明するための概略図である。
【図13】本発明の第4実施形態によるモータの構造を説明するための概略図である。
【図14】本発明の第4実施形態によるモータの構造を説明するための概略図である。
【図15】本発明の第4実施形態によるモータの構造を説明するための概略図である。
【図16】本発明の第4実施形態によるモータの構造を説明するための概略図である。
【図17】本発明の第5実施形態による発電装置の構造を説明するための概略図である。
【図18】本発明の第5実施形態による発電装置の構造を説明するための概略図である。
【図19】本発明の第5実施形態による発電装置の構造を説明するための概略図である。
【図20】本発明の第5実施形態による発電装置の構造を説明するための概略図である。
【図21】本発明の第5実施形態による発電装置の可動部材の構造を説明するための平面図である。
【符号の説明】
【0107】
10、10a、10b、10c、36、37、82、83、84、85、86、87、88、89、131、132、133 スイッチング素子
2、2a チャネル領域
3 ソース/ドレイン領域
4、4a、4b、4c、64a、64b、64c、64d、65a、65b、65c、65d、111a、111b、111c pチャネルトランジスタ(トランジスタ)
6 ゲート電極
9、9a、9b、9c、35、74a、74b、75a、75b、125a、125b、126a、126b、127a、127b エレクトレット部材
30 スイッチ回路
31 pチャネルトランジスタ(第1トランジスタ)
32 nチャネルトランジスタ(第1トランジスタ)
33 nチャネルトランジスタ(第2トランジスタ)
50 モータ
60 固定子
61、62 コイル
63 電源
70 回転子
71 永久磁石
80、81 スイッチ
100 発電装置
110 固定部材
120 可動部材
130 切替スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジスタと、
前記トランジスタに対して相対的に移動可能なように設けられ、電荷を蓄積することが可能なエレクトレット部材とを備え、
前記エレクトレット部材の前記トランジスタに対する相対的な位置により、静電誘導を用いて前記トランジスタのオン状態およびオフ状態を制御する、スイッチング素子。
【請求項2】
前記トランジスタは、第1導電型のチャネル領域を挟むように所定の間隔を隔てて形成された一対のソース/ドレイン領域を含み、
前記エレクトレット部材の前記トランジスタに対する相対的な位置により、静電誘導を用いて前記第1導電型のチャネル領域を第2導電型に反転させるか否かを制御することによって、前記トランジスタのオン状態およびオフ状態を制御する、請求項1に記載のスイッチング素子。
【請求項3】
前記チャネル領域上には、ゲート電極が形成され、
前記エレクトレット部材の前記トランジスタに対する相対的な位置により、静電誘導を用いて前記ゲート電極を帯電させるか否かを制御することによって、前記トランジスタのオン状態およびオフ状態を制御する、請求項2に記載のスイッチング素子。
【請求項4】
第1トランジスタと、前記第1トランジスタに対して相対的に移動可能なように設けられ、電荷を蓄積することが可能なエレクトレット部材とを含み、前記エレクトレット部材の前記第1トランジスタに対する相対的な位置により、静電誘導を用いて前記第1トランジスタのオン状態およびオフ状態を制御するスイッチング素子と、
前記第1トランジスタのオン状態およびオフ状態に応じて、オン状態およびオフ状態が制御される第2トランジスタとを備え、
前記第2トランジスタは、ゲートが前記第1トランジスタのソース/ドレインの一方に接続されているとともに、ソース/ドレインの一方が前記第1トランジスタのソース/ドレインの他方に接続されている、スイッチ回路。
【請求項5】
固定子と、
回転子と、
前記固定子および前記回転子のいずれか一方に設けられ、磁界を発生させるためのコイルと、
前記固定子および前記回転子の他方に設けられた磁石と、
前記コイルに電流を供給するための電源と、
前記電源から前記コイルに供給される電流を制御するためのスイッチとを備え、
前記スイッチは、前記コイル側に設けられたトランジスタと、前記磁石側に設けられ、電荷を蓄積することが可能なエレクトレット部材とを有するとともに、前記エレクトレット部材の前記トランジスタに対する相対的な位置により、静電誘導を用いて前記トランジスタのオン状態およびオフ状態を制御することによって、前記スイッチを制御するスイッチング素子を含む、モータ。
【請求項6】
固定部材と、
前記固定部材に対して移動可能な可動部材と、
前記固定部材および前記可動部材のいずれか一方に設けられた第1電極および第2電極と、
前記固定部材および前記可動部材の他方に設けられた第3電極および第4電極と、
前記第1電極と前記第2電極とが接続される第1の状態と、前記第1電極と前記第3電極とが接続されるとともに、前記第2電極と前記第4電極とが接続される第2の状態とを切り替えるための切替スイッチとを備え、
前記切替スイッチは、トランジスタと、電荷を蓄積することが可能なエレクトレット部材とを有するとともに、前記エレクトレット部材の前記トランジスタに対する相対的な位置により、静電誘導を用いて前記トランジスタのオン状態およびオフ状態を制御することによって、前記切替スイッチを制御するスイッチング素子を含む、発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−109772(P2008−109772A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−289968(P2006−289968)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】