ステータの製造方法およびモータ
【課題】コイルの全長を短くすることができるとともに、コイルの占積率を向上することができるステータの製造方法およびモータを提供する。
【解決手段】ティース部およびヨーク部が形成されたステータコア片11を複数帯状に配置し、巻線を配置した後、ステータコア片を円筒状に変形してステータを形成するステータの製造方法において、ティース部の先端17には、帯状のステータコア片を円筒状にしたときにティース部に対して周方向に突出した爪部30がティース部の一方に形成され、ステータコア片を複数帯状に配置したときに、爪部は同じ方向に向くように配置され、巻線配置工程において、巻線の他端側20bは爪部が突出された方向と逆の方向に形成された別のスロット部に挿入するとともに、爪部が形成された側のスロット部の側面を支点にして、巻線の他端側を別のスロット部に挿入する。
【解決手段】ティース部およびヨーク部が形成されたステータコア片11を複数帯状に配置し、巻線を配置した後、ステータコア片を円筒状に変形してステータを形成するステータの製造方法において、ティース部の先端17には、帯状のステータコア片を円筒状にしたときにティース部に対して周方向に突出した爪部30がティース部の一方に形成され、ステータコア片を複数帯状に配置したときに、爪部は同じ方向に向くように配置され、巻線配置工程において、巻線の他端側20bは爪部が突出された方向と逆の方向に形成された別のスロット部に挿入するとともに、爪部が形成された側のスロット部の側面を支点にして、巻線の他端側を別のスロット部に挿入する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータの製造方法およびモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インナーロータ型のモータは、円筒状のステータの内側に形成された空間にロータ(回転子)が配置され、ロータがステータに対して回転可能に構成されたものである。また、ステータの隣接するティース部間に形成されるスロット部にはコイルが巻回されるが、コイルの巻回方法としては分布巻や集中巻などが知られている。一般的に、コイルを分布巻で巻回する方が高トルク密度性能を維持し易いため、高トルクが必要なモータにおいては分布巻を採用することが多い。
【0003】
しかしながら、分布巻は集中巻と異なり、所定距離離れたスロット部間を架け渡すようにコイルが巻回されるため、巻回方法が複雑化し、コイルの巻回作業に時間が掛かり、生産効率が低下していた。
【0004】
そこで、スロット部内のコイル密度(占積率)を向上するため、およびコイルの巻回作業の効率化を図るため、ステータを分割して帯状にステータコア片を配置した状態で、コイルを巻回し、その後、ステータコア片を円筒状にすることでステータを製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ところで、特許文献2では、特許文献1のようなコイルの巻回方法では、ステータの軸方向両端面から突出されるコイルエンド(渡り部)の高さが高くなるため、モータの小型化を図る目的で渡り部の高さを低くすることができるコイルの巻回方法が提案されている。
【0006】
具体的には、特許文献2のステータは、ステータのコイルエンド部の張り出し高さを低減することを目的として、図20に示すように、第1の巻線U1が収納された2つのスロット(スロット番号1,6)間のスロット(スロット番号3)に第1の巻線U1とは異なる相の第2の巻線W1を収納し、第1の巻線U1が収納された2つのスロット間のスロット(スロット番号2)に第2の巻線と同相の第3の巻線W6を収納し、第2の巻線W1と第3の巻線W6は、コイルエンド部において、一方(巻線W6)が第1の巻線U1の外周側に位置し、他方(巻線W1)が第1の巻線U1の内周側に位置するように配置した分布巻である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−103052号公報
【特許文献2】特開2002−44893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、発明者はスロット部内のコイル占積率の向上、コイルの巻回作業の効率化およびモータの小型化を図るために、帯状にステータコア片を配置した状態で、特許文献2の方法でコイルを巻回し、その後ステータコア片を円筒状にしてステータを製造する方法を検討した。
【0009】
この場合、図21に示すように、予め円環状に形成したコイル220を所定の隣接するステータコア片211,211のティース部215,215間に形成されるスロット部219内に架け渡すようにして配置する必要があり、さらに、図22に示すように、各相のコイル220U,220V,220Wの渡り部235U,235V,235Wは互いに交差しながら配置する必要がある。
【0010】
このとき、図23に示すように、ティース部215の先端部217には一般的にステータとロータとの対向面積をできる限り大きくするために、円筒状態で周方向に突出した爪部230がティース部215の両側に略対称に突出形成されている。したがって、帯状に配置されたステータコア片211のスロット部219にコイル220を配置する際には、爪部230の周方向の突出長さを考慮してコイル220の円環径を設定する必要がある。
【0011】
つまり、このようにコイル220の円環径を設定すると、図24に示すように、ステータコア片211を円環状に連結してステータ201を形成した状態で、コイル220の渡り部235に弛みができ、コイル220の全長が長くなるため、コイル220に生じる抵抗が大きくなり、モータの性能が低下するという問題がある。また、帯状のステータコア片211を円環状に変形する際に、コイル220の渡り部235に余長が生じ、渡り部235の高さが高くなり、モータの小型化を図ることができないという問題がある。
【0012】
そこで、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、コイルの全長を短くすることができるとともに、コイルの占積率を向上することができるステータの製造方法およびモータを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、ティース部(例えば、実施形態におけるティース15)およびヨーク部(例えば、実施形態におけるヨーク13)が形成されたステータコア片(例えば、実施形態におけるコア片11)を複数帯状に配置するコア片配置工程と、隣接する前記ステータコア片のティース部間に形成されるスロット部(例えば、実施形態におけるスロット19)に、円環状の巻線(例えば、実施形態におけるコイル20)の一端側(例えば、実施形態における一端側20a)を挿入する巻線挿入工程と、前記巻線の他端側(例えば、実施形態における他端側20b)を別のスロット部に挿入して前記巻線を前記ステータコア片に配置する巻線配置工程と、前記帯状のステータコア片を円筒状に変形するコア片変形工程と、前記帯状のステータコア片の両端部を跨ぐ前記巻線を前記スロット部に挿入してステータ(例えば、実施形態におけるステータ1)を形成するステータ形成工程と、を有するステータの製造方法において、前記ティース部の先端(例えば、実施形態における先端部17)には、前記帯状のステータコア片を円筒状にしたときに前記ティース部に対して周方向に突出した爪部(例えば、実施形態における爪部30)が前記ティース部の一方に形成され、前記ステータコア片を複数帯状に配置したときに、前記爪部は同じ方向に向くように配置され、前記巻線配置工程において、前記巻線の他端側は前記爪部が突出された方向と逆の方向に形成された前記別のスロット部に挿入するとともに、前記爪部が形成された側の前記スロット部の側面(例えば、実施形態における側面15a)を支点にして、前記巻線の他端側を前記別のスロット部に挿入することを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載した発明は、ティース部およびヨーク部が形成されたステータコア片が複数連結されて円筒状に形成されたステータコア(例えば、実施形態におけるステータコア10)と、隣接する前記ステータコア片の前記ティース部間に形成されるスロット部に挿入された巻線と、を備えたステータと、該ステータの内周側に配され、回転可能に支持されたロータと、を有するモータにおいて、前記ステータコア片における前記ティース部の先端に、周方向に突出した爪部が前記ティース部の一方に形成され、前記爪部は同じ方向を向いて配置され、前記巻線は、3相を構成する第1巻線(例えば、実施形態におけるコイル20U)、第2巻線(例えば、実施形態におけるコイル20V)および第3巻線(例えば、実施形態におけるコイル20W)で構成され、前記第1巻線、前記第2巻線および前記第3巻線は、それぞれ2つの前記ティース部間を架け渡すように配され、前記第1巻線における前記ステータコアの軸方向端面(例えば、実施形態における端面XX)から突出した第1巻線渡り部(例えば、実施形態における渡り部35U)、前記第2巻線における前記ステータコアの軸方向端面から突出した第2巻線渡り部(例えば、実施形態における渡り部35V)および前記第3巻線における前記ステータコアの軸方向端面から突出した第3巻線渡り部(例えば、実施形態における渡り部35W)が、互いに交差するように前記第1巻線、前記第2巻線および前記第3巻線が配されていることを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載した発明は、前記ティース部における前記爪部が形成された側と反対の側面(例えば、実施形態における側面15b)が、径方向内側に向かって前記ティース部の幅が先細りするように傾斜していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載した発明によれば、ステータコア片を帯状に複数配置した状態で巻線を配置するため、巻線をスロット部に密に配置することができ、巻線の占積率を向上することができる。また、円環状の巻線の他端側をスロット部に挿入する際に、ティース部の先端に爪部が形成されていない側を通過させるため、巻線の全長を短く(円環径を小さく)することができる。また、円環状の巻線の他端側をスロット部に挿入する際に、ティース部の先端に爪部が形成された側の側面に巻線の一端側を当接させ、その状態で他端側をスロット部に挿入することで、巻線の全長をより短く(円環径を小さく)することができる。したがって、巻線に生じる抵抗を小さくすることができるとともに、ステータの軸方向両端面から突出する巻線の渡り部の高さを低く抑えることができる。さらに、ステータコア片を帯状に配置することでスロット部を大きく確保することができるため、巻線をスロット部に容易に挿入することができる。したがって、ステータの生産効率を向上することができる効果がある。
【0017】
請求項2に記載した発明によれば、ステータコア片を帯状に複数配置した状態で3相を構成する第1巻線、第2巻線および第3巻線を配置することができるため、各巻線をスロット部に密に配置することができ、巻線の占積率を向上することができる。また、円環状の巻線をスロット部に挿入する際に、先端に爪部が形成されていない箇所を通過させることができるため、巻線の全長を短く(円環径を小さく)することができる。したがって、巻線に生じる抵抗を小さくすることができる。さらに、第1巻線渡り部、第2巻線渡り部および第3巻線渡り部が互いに交差するように第1巻線、第2巻線および第3巻線を配したため、ステータの軸方向両端面から突出する渡り部の高さを低く抑えることができる。したがって、モータの小型化を図ることができる。
【0018】
請求項3に記載した発明によれば、円環状の巻線をスロット部に挿入する際に、ティース部の先端に爪部が形成されていない側を通過させるため、巻線の全長を短く(円環径を小さく)することができる。また、ティース部の先端における爪部が形成されていない側の側面を傾斜させることにより、巻線をスムーズにスロット部に挿入することができるとともに、巻線をスロット部に挿入する際に、巻線がティース部の角に接触することで巻線の被覆が損傷するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第一実施形態におけるステータの平面図である。
【図2】本発明の第一実施形態におけるステータコアの平面図である。
【図3】本発明の第一実施形態におけるコア片の平面図である。
【図4】本発明の第一実施形態におけるコア片の帯状時の部分平面図である。
【図5】本発明の第一実施形態におけるコイルの構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の第一実施形態におけるコイルのスロット部への挿入方法を示す説明図である。
【図7】本発明の第一実施形態におけるコイルの配置状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の第一実施形態におけるコア片の円筒状時の概略平面図である。
【図9】本発明の第一実施形態におけるコイルをコア片に取り付ける手順を示す説明図(1)である。
【図10】本発明の第一実施形態におけるコイルをコア片に取り付ける手順を示す説明図(2)である。
【図11】本発明の第一実施形態におけるコイルをコア片に取り付ける手順を示す説明図(3)である。
【図12】本発明と従来のコイルをコア片に取り付ける際の違いを説明する図であり、(a)が従来、(b)が本発明を示す図である。
【図13】本発明の第一実施形態におけるコイルの渡り部の形態を示す説明図である。
【図14】本発明の第一実施形態におけるティースの先端部の別の態様を示す部分平面図(1)である。
【図15】本発明の第一実施形態におけるティースの先端部の別の態様を示す部分平面図(2)である。
【図16】本発明の第一実施形態におけるティースの別の態様を示す平面図である。
【図17】本発明の第二実施形態におけるコア片の平面図である。
【図18】本発明の第二実施形態におけるコア片の円筒状時の概略平面図である。
【図19】本発明の第二実施形態におけるコア片の円筒状時の部分平面図である。
【図20】従来のステータの平面図である。
【図21】従来の帯状のコア片にコイルを取り付ける手順を示す説明図(1)である。
【図22】従来の帯状のコア片にコイルを取り付ける手順を示す説明図(2)である。
【図23】従来の帯状のコア片にコイルを取り付けた状態を示す説明図である。
【図24】従来の帯状のコア片にコイルを取り付けたものを円筒状に変形した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第一実施形態)
次に、本発明の第一実施形態を図1〜図16に基づいて説明する。
図1はステータの平面図である。なお、図1においては、コイル20はステータコア10の端面上での断面図で示している。図1に示すように、ステータ1は、円筒状に構成されたステータコア10と、ステータコア10の隣接するティース15,15間に形成されたスロット19に配されたコイル20と、で構成されている。ステータ1の円筒状の中心に形成された空間には、図示しないロータが回転可能に配置されている。
【0021】
図2はステータコアの平面図である。図2に示すように、ステータコア10は、複数のコア片11が円筒状に連結されて構成されている。ステータコア10は、円筒状の外周を構成するヨーク13と、ヨーク13から円筒状の中心に指向して突出されたティース15と、ティース15の先端を構成する先端部17とを備えている。また、隣接するティース15,15の間には、スロット19が形成されている。そして、スロット19にコイル20を配置することで、上記のようにステータ1が形成される。
【0022】
図3はコア片11の平面図である。図3に示すように、コア片11は、ヨーク13、ティース15、および先端部17が形成された平板鋼板51を積層して構成されている。このコア片11を構成する平板鋼板51は、プレス成型により容易に製造することができる。一つのコア片11には、一つのティース15が形成されている。つまり、ティース15毎にコア片11は分割されている。
【0023】
また、ヨーク13の周方向両側部(外周部と内周部との間の両側部)には、一方の側部23に凹部24が形成され、他方の側部25に凹部24と嵌合する凸部26が形成されている。凹部24と凸部26は、隣接するコア片11が帯状のときは若干離反しており、コア片11が帯状から円筒状に変形したときに嵌合するように構成されている。
【0024】
ここで、本実施形態では、ティース15の先端部17における一方側のみにコア片11を円環状に連結したときに周方向に突出する爪部30が形成されている。つまり、爪部30はティース15の延設方向に対して略直交する方向に突出形成されている。爪部30は、コア片11が円環状に連結されたときに、隣接するコア片の先端部17と僅かな隙間を空けて配置される長さを有している。
【0025】
次に、コア片11を連結してステータ1を形成する手順を説明する。
図4は、コア片の帯状時の部分平面図である。図4に示すように、複数の平板鋼板51を積層・接合して所望の厚みを有したコア片11を形成する。コア片11を複数用意し、同じ向きに帯状に並べる。そして、隣接するコア片11の凸部26と凹部24とが略嵌合するように帯状に配置する。
【0026】
コア片11を全て連結した後、スロット19の側面(ティース15の側面)に沿うように絶縁紙29を配置する。絶縁紙29を配置した後に、スロット19にコイル20を配置する。具体的には、図5に示すように、図示しない巻線装置で複数のリング状のコイル20を形成する。このとき、コイル20を構成する導線の両端部はリングから延出させて、電源端子やグランド端子に接続できるようにしておく。なお、本実施形態では、24個のコイル20を製造しておく。
【0027】
図6は、コイルのスロット部への挿入方法を示す説明図である。図6に示すように、コイル20は、三相のU相、V相、W相を構成する。本実施形態においては、コア片11を48個用いてステータコア10を構成している。つまり、スロット19が48箇所形成される。ここで、U相を構成するコイル20Uは、リング状のコイル20を8個(リングU1〜U8)用いて構成されている。同じく、V相を構成するコイル20Vは、リングV1〜V8を用いて構成され、W相を構成するコイル20WはリングW1〜W8を用いて構成されている。なお、これらのリングは所定間隔置いた2つのスロット19に挿入できる大きさで形成されている。そして、コイル20を製造した後に、コイル20をステータコア10のスロット19に挿入する。
【0028】
具体的には、U相のコイル20Uは、スロット番号1とスロット番号6のスロット19にリングU1を挿入し、スロット番号7とスロット番号12のスロット19にリングU2を挿入し、同様に繰り返し、スロット番号43とスロット番号48のスロット19にリングU8を挿入する。また、V相のコイル20Vは、スロット番号45とスロット番号2のスロット19にリングV1を挿入し、スロット番号3とスロット番号8のスロット19にリングV2を挿入し、同様に、スロット番号39とスロット番号44のスロット19にリングV8を挿入する。さらに、W相のコイル20Wは、スロット番号47とスロット番号4のスロット19にリングW1を挿入し、スロット番号5とスロット番号10のスロット19にリングW2を挿入し、同様に、スロット番号41とスロット番号46のスロット19にリングW8を挿入する。
【0029】
次に、スロット19にコイル20を挿入する手順を説明する。なお、以下の説明ではスロット19に関しては、スロット番号のみを用いて説明する。
図7はコイルの配置方法を示す斜視図であり、図8はコア片の円筒状時の平面図である。なお、本実施形態では円筒化前の帯状のコア片に対してコイルを挿入するが、ここでは円筒化後のコア片を示す図8を参照しつつ説明する。
図7,図8に示すように、V相を構成するコイル20VのリングV1をスロット番号2に挿入する。このとき、リングV1の他方側(図6のA部)はスロット番号45には挿入しない。次に、W相を構成するコイル20WのリングW1をスロット番号4に挿入する。このとき、リングW1の他方側(図6のB部)はスロット番号47には挿入しない。次に、U相を構成する20UのリングU1をスロット番号6に挿入する。このとき、リングU1の他方側はスロット番号1に仮挿入する。
【0030】
次に、V相のコイル20VのリングV2をスロット番号3とスロット番号8を掛け渡すように挿入する。このとき、リングV2は、まずスロット番号8に一端側20a(図5参照)を挿入した後に、スロット番号3に他端側20bを挿入してリングV2を配置する。このようにすることで、リングV2が爪部30に干渉することなくスムーズに挿入させることができる。
【0031】
同様に、W相のコイル20WのリングW2をスロット番号5とスロット番号10を掛け渡すように挿入した後、U相のコイル20UのリングU2をスロット番号7とスロット番号12を掛け渡すように挿入する。この手順を繰り返して、V3→W3→U3→V4→…→V8→W8→U8をそれぞれスロット19内に挿入する。このようにコイル20をスロット19内に挿入すると、コイル20U,20V,20Wはステータコア10の軸方向両端面から突出した渡り部35U,35V,35Wが互いに交差するようにしながら配置される。
【0032】
このようにリングV1のA部およびリングW1のB部がスロット19に挿入されていない状態で帯状のコア片11を円筒状に変形し、帯状時の両端のコア片11同士を連結させて図8に示すように円筒状にする。そして、必要に応じてスロット番号1に仮挿入されたリングU1を一旦取り外した状態で、スロット19に挿入されていないV相のコイル20VのリングV1(図6のA部)をスロット番号45に挿入する。その後、W相のコイル20WのリングW1(図6のB部)をスロット番号47に挿入する。全てのスロット19にコイル20が挿入されたら、そのステータ1を図示しないハウジング内に挿入する。そして、スロット19に挿入された各コイル20U,20V,20Wに緩みがないように導線を調整した後、各コイル20U,20V,20Wの両端部から延出している導線をU相、V相およびW相の電源端子およびグランド端子に接続する。
【0033】
ここで、スロット19にコイル20を挿入する方法についてさらに詳細に説明する。なお、ここではリングU1をスロット19に挿入する方法について説明するが、他のリングについても同一の方法にて挿入する。
【0034】
図9に示すように、コア片11の先端部17の一方のみに爪部30が形成されている。リングU1を挿入する際には、まずスロット番号6にリングU1の一端側20aを挿入する。続いて、図10に示すように、リングU1の一端側20aをスロット19におけるスロット番号1側の側面(ティース15の側面)15aに当接させる。続いて、図11に示すように、リングU1の他端側20bをスロット番号1に挿入する。なお、リングU1はスロット19におけるスロット番号6側の先端角部を僅かにかわす大きさで形成されている。このように構成することで、コイル20の渡り部35の長さを短くすることができる。
【0035】
つまり、図12に示すように、従来のように爪部30がティース15の先端部17の両側に突出するように形成されている場合(図12(a))と比較して、本実施形態では爪部が一方のみに形成されているため、コイル20の渡り部35の長さを距離d分だけ短くすることができる(図12(b))。なお、コイル20の渡り部35の長さは、図13に示すように、一つのコイル20におけるステータコア10の端面から突出した部分の長さのことをいう。また、コイル20の渡り部35は、他のコイル20と交差するように配するため、主にステータコア10のヨーク13上を通過するように敷設されている。
【0036】
このように全長が短くなったコイル20を分布巻でステータコア10に取り付けることで、高トルク密度性能を維持することができ、高性能のモータのステータ1を製造することができる。
【0037】
また、予め導線を巻回してスロット19に対応した大きさの円環状のコイル20を形成したため、リング状に形成されたコイル20をスロット19に挿入するだけで、コイル20を取り付けることができる。したがって、コア片11を準備してから導線をスロット19に巻き付けながらコイルを形成する場合よりも生産効率を向上することができる。
【0038】
また、モータの回転磁界を形成するU相、V相、W相を構成するコイル20(20U,20V,20W)を、全て同一形状で形成したため、U相、V相、W相からなる三相モータを製造するにあたって、各相に対応したコイル20(20U,20V,20W)を同じ工程で製造することができる。したがって、生産効率を向上することができる。
【0039】
本実施形態によれば、コア片11を帯状に複数配置した状態でコイル20を配置するため、コイル20をスロット19に密に配置することができ、コイル20の占積率を向上することができる。また、円環状のコイル20の他端側をスロット19に挿入する際に、ティース19の先端に爪部30が形成されていない側を通過させるため、コイル20の全長を短く(円環径を小さく)することができる。したがって、コイル20に生じる抵抗を小さくすることができるとともに、ステータコア10の軸方向両端面から突出するコイル20の渡り部35の高さを低く抑えることができる。さらに、コア片11を帯状に配置することでスロット19を大きく確保することができるため、コイル20をスロット19に容易に挿入することができる。したがって、ステータ1の生産効率を向上することができる効果がある。
【0040】
また、円環状のコイル20の他端側をスロット19に挿入する際に、ティース15の先端部17に爪部30が形成された側の側面にコイル20の一端側を当接させ、その状態で他端側をスロット19に挿入することで、コイル20の全長をさらに短く(円環径を小さく)することができる。
【0041】
さらに、3相を構成するコイル20U,20V,20Wの渡り部35U,35V,35Wが互いに交差するようにコイル20U,20V,20Wを配したため、ステータコア10の軸方向両端面から突出する渡り部35U,35V,35Wの高さを低く抑えることができる。したがって、モータの小型化を図ることができる。
【0042】
なお、本実施形態のコア片11の先端部17における爪部30が形成されていない側の角部17aの形状を図14に示す曲面形状や、図15に示す面取り形状に形成してもよい。このように形成することにより、コイル20をスロット19に挿入する際に、コイル20が損傷するのをより効果的に防止することができる。
【0043】
また、図16に示すように、本実施形態のコア片11のティース15における爪部30が形成されていない側の側面15bを径方向内側に向かってティース15の幅が先細りするように傾斜させてもよい。このとき、爪部30の長さを長くして、コア片11が円環状に連結されたときに、隣接する先端部17,17間の隙間が大きくならないようにする。このように構成することで、コイル20の全長をより効果的に短くすることができる。また、コイル20をスムーズにスロット19に挿入することができるとともに、コイル20をスロット19に挿入する際に、コイル20がティース15の角部に接触することでコイル20の被覆が損傷するのを抑制することができる。
【0044】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態を図17〜図19に基づいて説明する。なお、本実施形態は、第一実施形態とコア片の構成が異なるのみであり、他の構成については第一実施形態と略同一であるため、同一箇所には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0045】
図17はコア片111の平面図である。図17に示すように、コア片111は、ヨーク13、ティース15、および先端部17が形成された平板鋼板151が複数積層されて構成されている。ここで、一つのコア片111には、一つのティース15が形成されている。つまり、ティース15毎にコア片111は分割されている。このコア片111を構成する平板鋼板151は、プレス成型により容易に製造することができる。
【0046】
また、本実施形態では、ティース15の先端部17における一方側のみにコア片111を円環状に連結したときに周方向に突出する爪部130が形成されている。つまり、爪部130はティース15の延設方向に対して略直交する方向に突出形成されている。爪部130は、コア片111が円環状に連結されたときに、隣接するコア片の先端部17と僅かな隙間を空けて配置される長さを有している。
【0047】
ここで、図18、図19に示すように、ステータ101は、コア片111が円環状に連結したときに、隣接するティース15,15間にはスロット119が形成される。このスロット119は、同相のコイル20が2組配置される大きさを有している。つまり、このように構成することにより、例えば第一実施形態のステータコア10と比較して、半分のコア片(本実施形態では、24個)でステータ101を構成することができる。
【0048】
さらに、コア片111における爪部130が形成された側のヨーク13の内周側には、段差部121が形成されている。段差部121は、ティース15に対して周方向外側の端部が径方向内側に突出するように形成されている。このように段差部121を形成することにより、スロット119に配される2組のコイル20,20が径方向にずれた位置で支持される。
【0049】
本実施形態においても、第一実施形態と略同様に、コア片111を帯状に複数配置した状態でコイル20を配置するため、コイル20をスロット119に密に配置することができ、コイル20の占積率を向上することができる。また、円環状のコイル20の他端側をスロット19に挿入する際に、ティース19の先端に爪部130が形成されていない側を通過させるため、コイル20の全長を短く(円環径を小さく)することができる。したがって、コイル20に生じる抵抗を小さくすることができるとともに、ステータコア10の軸方向両端面から突出するコイル20の渡り部の高さを低く抑えることができる。さらに、コア片111を帯状に配置することでスロット119を大きく確保することができるため、コイル20をスロット119に容易に挿入することができる。したがって、ステータ101の生産効率を向上することができる効果がある。
【0050】
尚、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な構造や構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1…ステータ 10…ステータコア 11…コア片(ステータコア片) 13…ヨーク(ヨーク部) 15…ティース(ティース部) 15a…側面 15b…側面 17…先端部(先端) 19…スロット(スロット部) 20…コイル(巻線) 20a…一端側 20b…他端側 20U…コイル(第1巻線) 20V…コイル(第2巻線) 20W…コイル(第3巻線) 30…爪部 35U…渡り部(第1巻線渡り部) 35V…渡り部(第2巻線渡り部) 35W…渡り部(第3巻線渡り部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータの製造方法およびモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
インナーロータ型のモータは、円筒状のステータの内側に形成された空間にロータ(回転子)が配置され、ロータがステータに対して回転可能に構成されたものである。また、ステータの隣接するティース部間に形成されるスロット部にはコイルが巻回されるが、コイルの巻回方法としては分布巻や集中巻などが知られている。一般的に、コイルを分布巻で巻回する方が高トルク密度性能を維持し易いため、高トルクが必要なモータにおいては分布巻を採用することが多い。
【0003】
しかしながら、分布巻は集中巻と異なり、所定距離離れたスロット部間を架け渡すようにコイルが巻回されるため、巻回方法が複雑化し、コイルの巻回作業に時間が掛かり、生産効率が低下していた。
【0004】
そこで、スロット部内のコイル密度(占積率)を向上するため、およびコイルの巻回作業の効率化を図るため、ステータを分割して帯状にステータコア片を配置した状態で、コイルを巻回し、その後、ステータコア片を円筒状にすることでステータを製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ところで、特許文献2では、特許文献1のようなコイルの巻回方法では、ステータの軸方向両端面から突出されるコイルエンド(渡り部)の高さが高くなるため、モータの小型化を図る目的で渡り部の高さを低くすることができるコイルの巻回方法が提案されている。
【0006】
具体的には、特許文献2のステータは、ステータのコイルエンド部の張り出し高さを低減することを目的として、図20に示すように、第1の巻線U1が収納された2つのスロット(スロット番号1,6)間のスロット(スロット番号3)に第1の巻線U1とは異なる相の第2の巻線W1を収納し、第1の巻線U1が収納された2つのスロット間のスロット(スロット番号2)に第2の巻線と同相の第3の巻線W6を収納し、第2の巻線W1と第3の巻線W6は、コイルエンド部において、一方(巻線W6)が第1の巻線U1の外周側に位置し、他方(巻線W1)が第1の巻線U1の内周側に位置するように配置した分布巻である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−103052号公報
【特許文献2】特開2002−44893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、発明者はスロット部内のコイル占積率の向上、コイルの巻回作業の効率化およびモータの小型化を図るために、帯状にステータコア片を配置した状態で、特許文献2の方法でコイルを巻回し、その後ステータコア片を円筒状にしてステータを製造する方法を検討した。
【0009】
この場合、図21に示すように、予め円環状に形成したコイル220を所定の隣接するステータコア片211,211のティース部215,215間に形成されるスロット部219内に架け渡すようにして配置する必要があり、さらに、図22に示すように、各相のコイル220U,220V,220Wの渡り部235U,235V,235Wは互いに交差しながら配置する必要がある。
【0010】
このとき、図23に示すように、ティース部215の先端部217には一般的にステータとロータとの対向面積をできる限り大きくするために、円筒状態で周方向に突出した爪部230がティース部215の両側に略対称に突出形成されている。したがって、帯状に配置されたステータコア片211のスロット部219にコイル220を配置する際には、爪部230の周方向の突出長さを考慮してコイル220の円環径を設定する必要がある。
【0011】
つまり、このようにコイル220の円環径を設定すると、図24に示すように、ステータコア片211を円環状に連結してステータ201を形成した状態で、コイル220の渡り部235に弛みができ、コイル220の全長が長くなるため、コイル220に生じる抵抗が大きくなり、モータの性能が低下するという問題がある。また、帯状のステータコア片211を円環状に変形する際に、コイル220の渡り部235に余長が生じ、渡り部235の高さが高くなり、モータの小型化を図ることができないという問題がある。
【0012】
そこで、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、コイルの全長を短くすることができるとともに、コイルの占積率を向上することができるステータの製造方法およびモータを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、ティース部(例えば、実施形態におけるティース15)およびヨーク部(例えば、実施形態におけるヨーク13)が形成されたステータコア片(例えば、実施形態におけるコア片11)を複数帯状に配置するコア片配置工程と、隣接する前記ステータコア片のティース部間に形成されるスロット部(例えば、実施形態におけるスロット19)に、円環状の巻線(例えば、実施形態におけるコイル20)の一端側(例えば、実施形態における一端側20a)を挿入する巻線挿入工程と、前記巻線の他端側(例えば、実施形態における他端側20b)を別のスロット部に挿入して前記巻線を前記ステータコア片に配置する巻線配置工程と、前記帯状のステータコア片を円筒状に変形するコア片変形工程と、前記帯状のステータコア片の両端部を跨ぐ前記巻線を前記スロット部に挿入してステータ(例えば、実施形態におけるステータ1)を形成するステータ形成工程と、を有するステータの製造方法において、前記ティース部の先端(例えば、実施形態における先端部17)には、前記帯状のステータコア片を円筒状にしたときに前記ティース部に対して周方向に突出した爪部(例えば、実施形態における爪部30)が前記ティース部の一方に形成され、前記ステータコア片を複数帯状に配置したときに、前記爪部は同じ方向に向くように配置され、前記巻線配置工程において、前記巻線の他端側は前記爪部が突出された方向と逆の方向に形成された前記別のスロット部に挿入するとともに、前記爪部が形成された側の前記スロット部の側面(例えば、実施形態における側面15a)を支点にして、前記巻線の他端側を前記別のスロット部に挿入することを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載した発明は、ティース部およびヨーク部が形成されたステータコア片が複数連結されて円筒状に形成されたステータコア(例えば、実施形態におけるステータコア10)と、隣接する前記ステータコア片の前記ティース部間に形成されるスロット部に挿入された巻線と、を備えたステータと、該ステータの内周側に配され、回転可能に支持されたロータと、を有するモータにおいて、前記ステータコア片における前記ティース部の先端に、周方向に突出した爪部が前記ティース部の一方に形成され、前記爪部は同じ方向を向いて配置され、前記巻線は、3相を構成する第1巻線(例えば、実施形態におけるコイル20U)、第2巻線(例えば、実施形態におけるコイル20V)および第3巻線(例えば、実施形態におけるコイル20W)で構成され、前記第1巻線、前記第2巻線および前記第3巻線は、それぞれ2つの前記ティース部間を架け渡すように配され、前記第1巻線における前記ステータコアの軸方向端面(例えば、実施形態における端面XX)から突出した第1巻線渡り部(例えば、実施形態における渡り部35U)、前記第2巻線における前記ステータコアの軸方向端面から突出した第2巻線渡り部(例えば、実施形態における渡り部35V)および前記第3巻線における前記ステータコアの軸方向端面から突出した第3巻線渡り部(例えば、実施形態における渡り部35W)が、互いに交差するように前記第1巻線、前記第2巻線および前記第3巻線が配されていることを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載した発明は、前記ティース部における前記爪部が形成された側と反対の側面(例えば、実施形態における側面15b)が、径方向内側に向かって前記ティース部の幅が先細りするように傾斜していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載した発明によれば、ステータコア片を帯状に複数配置した状態で巻線を配置するため、巻線をスロット部に密に配置することができ、巻線の占積率を向上することができる。また、円環状の巻線の他端側をスロット部に挿入する際に、ティース部の先端に爪部が形成されていない側を通過させるため、巻線の全長を短く(円環径を小さく)することができる。また、円環状の巻線の他端側をスロット部に挿入する際に、ティース部の先端に爪部が形成された側の側面に巻線の一端側を当接させ、その状態で他端側をスロット部に挿入することで、巻線の全長をより短く(円環径を小さく)することができる。したがって、巻線に生じる抵抗を小さくすることができるとともに、ステータの軸方向両端面から突出する巻線の渡り部の高さを低く抑えることができる。さらに、ステータコア片を帯状に配置することでスロット部を大きく確保することができるため、巻線をスロット部に容易に挿入することができる。したがって、ステータの生産効率を向上することができる効果がある。
【0017】
請求項2に記載した発明によれば、ステータコア片を帯状に複数配置した状態で3相を構成する第1巻線、第2巻線および第3巻線を配置することができるため、各巻線をスロット部に密に配置することができ、巻線の占積率を向上することができる。また、円環状の巻線をスロット部に挿入する際に、先端に爪部が形成されていない箇所を通過させることができるため、巻線の全長を短く(円環径を小さく)することができる。したがって、巻線に生じる抵抗を小さくすることができる。さらに、第1巻線渡り部、第2巻線渡り部および第3巻線渡り部が互いに交差するように第1巻線、第2巻線および第3巻線を配したため、ステータの軸方向両端面から突出する渡り部の高さを低く抑えることができる。したがって、モータの小型化を図ることができる。
【0018】
請求項3に記載した発明によれば、円環状の巻線をスロット部に挿入する際に、ティース部の先端に爪部が形成されていない側を通過させるため、巻線の全長を短く(円環径を小さく)することができる。また、ティース部の先端における爪部が形成されていない側の側面を傾斜させることにより、巻線をスムーズにスロット部に挿入することができるとともに、巻線をスロット部に挿入する際に、巻線がティース部の角に接触することで巻線の被覆が損傷するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第一実施形態におけるステータの平面図である。
【図2】本発明の第一実施形態におけるステータコアの平面図である。
【図3】本発明の第一実施形態におけるコア片の平面図である。
【図4】本発明の第一実施形態におけるコア片の帯状時の部分平面図である。
【図5】本発明の第一実施形態におけるコイルの構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の第一実施形態におけるコイルのスロット部への挿入方法を示す説明図である。
【図7】本発明の第一実施形態におけるコイルの配置状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の第一実施形態におけるコア片の円筒状時の概略平面図である。
【図9】本発明の第一実施形態におけるコイルをコア片に取り付ける手順を示す説明図(1)である。
【図10】本発明の第一実施形態におけるコイルをコア片に取り付ける手順を示す説明図(2)である。
【図11】本発明の第一実施形態におけるコイルをコア片に取り付ける手順を示す説明図(3)である。
【図12】本発明と従来のコイルをコア片に取り付ける際の違いを説明する図であり、(a)が従来、(b)が本発明を示す図である。
【図13】本発明の第一実施形態におけるコイルの渡り部の形態を示す説明図である。
【図14】本発明の第一実施形態におけるティースの先端部の別の態様を示す部分平面図(1)である。
【図15】本発明の第一実施形態におけるティースの先端部の別の態様を示す部分平面図(2)である。
【図16】本発明の第一実施形態におけるティースの別の態様を示す平面図である。
【図17】本発明の第二実施形態におけるコア片の平面図である。
【図18】本発明の第二実施形態におけるコア片の円筒状時の概略平面図である。
【図19】本発明の第二実施形態におけるコア片の円筒状時の部分平面図である。
【図20】従来のステータの平面図である。
【図21】従来の帯状のコア片にコイルを取り付ける手順を示す説明図(1)である。
【図22】従来の帯状のコア片にコイルを取り付ける手順を示す説明図(2)である。
【図23】従来の帯状のコア片にコイルを取り付けた状態を示す説明図である。
【図24】従来の帯状のコア片にコイルを取り付けたものを円筒状に変形した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第一実施形態)
次に、本発明の第一実施形態を図1〜図16に基づいて説明する。
図1はステータの平面図である。なお、図1においては、コイル20はステータコア10の端面上での断面図で示している。図1に示すように、ステータ1は、円筒状に構成されたステータコア10と、ステータコア10の隣接するティース15,15間に形成されたスロット19に配されたコイル20と、で構成されている。ステータ1の円筒状の中心に形成された空間には、図示しないロータが回転可能に配置されている。
【0021】
図2はステータコアの平面図である。図2に示すように、ステータコア10は、複数のコア片11が円筒状に連結されて構成されている。ステータコア10は、円筒状の外周を構成するヨーク13と、ヨーク13から円筒状の中心に指向して突出されたティース15と、ティース15の先端を構成する先端部17とを備えている。また、隣接するティース15,15の間には、スロット19が形成されている。そして、スロット19にコイル20を配置することで、上記のようにステータ1が形成される。
【0022】
図3はコア片11の平面図である。図3に示すように、コア片11は、ヨーク13、ティース15、および先端部17が形成された平板鋼板51を積層して構成されている。このコア片11を構成する平板鋼板51は、プレス成型により容易に製造することができる。一つのコア片11には、一つのティース15が形成されている。つまり、ティース15毎にコア片11は分割されている。
【0023】
また、ヨーク13の周方向両側部(外周部と内周部との間の両側部)には、一方の側部23に凹部24が形成され、他方の側部25に凹部24と嵌合する凸部26が形成されている。凹部24と凸部26は、隣接するコア片11が帯状のときは若干離反しており、コア片11が帯状から円筒状に変形したときに嵌合するように構成されている。
【0024】
ここで、本実施形態では、ティース15の先端部17における一方側のみにコア片11を円環状に連結したときに周方向に突出する爪部30が形成されている。つまり、爪部30はティース15の延設方向に対して略直交する方向に突出形成されている。爪部30は、コア片11が円環状に連結されたときに、隣接するコア片の先端部17と僅かな隙間を空けて配置される長さを有している。
【0025】
次に、コア片11を連結してステータ1を形成する手順を説明する。
図4は、コア片の帯状時の部分平面図である。図4に示すように、複数の平板鋼板51を積層・接合して所望の厚みを有したコア片11を形成する。コア片11を複数用意し、同じ向きに帯状に並べる。そして、隣接するコア片11の凸部26と凹部24とが略嵌合するように帯状に配置する。
【0026】
コア片11を全て連結した後、スロット19の側面(ティース15の側面)に沿うように絶縁紙29を配置する。絶縁紙29を配置した後に、スロット19にコイル20を配置する。具体的には、図5に示すように、図示しない巻線装置で複数のリング状のコイル20を形成する。このとき、コイル20を構成する導線の両端部はリングから延出させて、電源端子やグランド端子に接続できるようにしておく。なお、本実施形態では、24個のコイル20を製造しておく。
【0027】
図6は、コイルのスロット部への挿入方法を示す説明図である。図6に示すように、コイル20は、三相のU相、V相、W相を構成する。本実施形態においては、コア片11を48個用いてステータコア10を構成している。つまり、スロット19が48箇所形成される。ここで、U相を構成するコイル20Uは、リング状のコイル20を8個(リングU1〜U8)用いて構成されている。同じく、V相を構成するコイル20Vは、リングV1〜V8を用いて構成され、W相を構成するコイル20WはリングW1〜W8を用いて構成されている。なお、これらのリングは所定間隔置いた2つのスロット19に挿入できる大きさで形成されている。そして、コイル20を製造した後に、コイル20をステータコア10のスロット19に挿入する。
【0028】
具体的には、U相のコイル20Uは、スロット番号1とスロット番号6のスロット19にリングU1を挿入し、スロット番号7とスロット番号12のスロット19にリングU2を挿入し、同様に繰り返し、スロット番号43とスロット番号48のスロット19にリングU8を挿入する。また、V相のコイル20Vは、スロット番号45とスロット番号2のスロット19にリングV1を挿入し、スロット番号3とスロット番号8のスロット19にリングV2を挿入し、同様に、スロット番号39とスロット番号44のスロット19にリングV8を挿入する。さらに、W相のコイル20Wは、スロット番号47とスロット番号4のスロット19にリングW1を挿入し、スロット番号5とスロット番号10のスロット19にリングW2を挿入し、同様に、スロット番号41とスロット番号46のスロット19にリングW8を挿入する。
【0029】
次に、スロット19にコイル20を挿入する手順を説明する。なお、以下の説明ではスロット19に関しては、スロット番号のみを用いて説明する。
図7はコイルの配置方法を示す斜視図であり、図8はコア片の円筒状時の平面図である。なお、本実施形態では円筒化前の帯状のコア片に対してコイルを挿入するが、ここでは円筒化後のコア片を示す図8を参照しつつ説明する。
図7,図8に示すように、V相を構成するコイル20VのリングV1をスロット番号2に挿入する。このとき、リングV1の他方側(図6のA部)はスロット番号45には挿入しない。次に、W相を構成するコイル20WのリングW1をスロット番号4に挿入する。このとき、リングW1の他方側(図6のB部)はスロット番号47には挿入しない。次に、U相を構成する20UのリングU1をスロット番号6に挿入する。このとき、リングU1の他方側はスロット番号1に仮挿入する。
【0030】
次に、V相のコイル20VのリングV2をスロット番号3とスロット番号8を掛け渡すように挿入する。このとき、リングV2は、まずスロット番号8に一端側20a(図5参照)を挿入した後に、スロット番号3に他端側20bを挿入してリングV2を配置する。このようにすることで、リングV2が爪部30に干渉することなくスムーズに挿入させることができる。
【0031】
同様に、W相のコイル20WのリングW2をスロット番号5とスロット番号10を掛け渡すように挿入した後、U相のコイル20UのリングU2をスロット番号7とスロット番号12を掛け渡すように挿入する。この手順を繰り返して、V3→W3→U3→V4→…→V8→W8→U8をそれぞれスロット19内に挿入する。このようにコイル20をスロット19内に挿入すると、コイル20U,20V,20Wはステータコア10の軸方向両端面から突出した渡り部35U,35V,35Wが互いに交差するようにしながら配置される。
【0032】
このようにリングV1のA部およびリングW1のB部がスロット19に挿入されていない状態で帯状のコア片11を円筒状に変形し、帯状時の両端のコア片11同士を連結させて図8に示すように円筒状にする。そして、必要に応じてスロット番号1に仮挿入されたリングU1を一旦取り外した状態で、スロット19に挿入されていないV相のコイル20VのリングV1(図6のA部)をスロット番号45に挿入する。その後、W相のコイル20WのリングW1(図6のB部)をスロット番号47に挿入する。全てのスロット19にコイル20が挿入されたら、そのステータ1を図示しないハウジング内に挿入する。そして、スロット19に挿入された各コイル20U,20V,20Wに緩みがないように導線を調整した後、各コイル20U,20V,20Wの両端部から延出している導線をU相、V相およびW相の電源端子およびグランド端子に接続する。
【0033】
ここで、スロット19にコイル20を挿入する方法についてさらに詳細に説明する。なお、ここではリングU1をスロット19に挿入する方法について説明するが、他のリングについても同一の方法にて挿入する。
【0034】
図9に示すように、コア片11の先端部17の一方のみに爪部30が形成されている。リングU1を挿入する際には、まずスロット番号6にリングU1の一端側20aを挿入する。続いて、図10に示すように、リングU1の一端側20aをスロット19におけるスロット番号1側の側面(ティース15の側面)15aに当接させる。続いて、図11に示すように、リングU1の他端側20bをスロット番号1に挿入する。なお、リングU1はスロット19におけるスロット番号6側の先端角部を僅かにかわす大きさで形成されている。このように構成することで、コイル20の渡り部35の長さを短くすることができる。
【0035】
つまり、図12に示すように、従来のように爪部30がティース15の先端部17の両側に突出するように形成されている場合(図12(a))と比較して、本実施形態では爪部が一方のみに形成されているため、コイル20の渡り部35の長さを距離d分だけ短くすることができる(図12(b))。なお、コイル20の渡り部35の長さは、図13に示すように、一つのコイル20におけるステータコア10の端面から突出した部分の長さのことをいう。また、コイル20の渡り部35は、他のコイル20と交差するように配するため、主にステータコア10のヨーク13上を通過するように敷設されている。
【0036】
このように全長が短くなったコイル20を分布巻でステータコア10に取り付けることで、高トルク密度性能を維持することができ、高性能のモータのステータ1を製造することができる。
【0037】
また、予め導線を巻回してスロット19に対応した大きさの円環状のコイル20を形成したため、リング状に形成されたコイル20をスロット19に挿入するだけで、コイル20を取り付けることができる。したがって、コア片11を準備してから導線をスロット19に巻き付けながらコイルを形成する場合よりも生産効率を向上することができる。
【0038】
また、モータの回転磁界を形成するU相、V相、W相を構成するコイル20(20U,20V,20W)を、全て同一形状で形成したため、U相、V相、W相からなる三相モータを製造するにあたって、各相に対応したコイル20(20U,20V,20W)を同じ工程で製造することができる。したがって、生産効率を向上することができる。
【0039】
本実施形態によれば、コア片11を帯状に複数配置した状態でコイル20を配置するため、コイル20をスロット19に密に配置することができ、コイル20の占積率を向上することができる。また、円環状のコイル20の他端側をスロット19に挿入する際に、ティース19の先端に爪部30が形成されていない側を通過させるため、コイル20の全長を短く(円環径を小さく)することができる。したがって、コイル20に生じる抵抗を小さくすることができるとともに、ステータコア10の軸方向両端面から突出するコイル20の渡り部35の高さを低く抑えることができる。さらに、コア片11を帯状に配置することでスロット19を大きく確保することができるため、コイル20をスロット19に容易に挿入することができる。したがって、ステータ1の生産効率を向上することができる効果がある。
【0040】
また、円環状のコイル20の他端側をスロット19に挿入する際に、ティース15の先端部17に爪部30が形成された側の側面にコイル20の一端側を当接させ、その状態で他端側をスロット19に挿入することで、コイル20の全長をさらに短く(円環径を小さく)することができる。
【0041】
さらに、3相を構成するコイル20U,20V,20Wの渡り部35U,35V,35Wが互いに交差するようにコイル20U,20V,20Wを配したため、ステータコア10の軸方向両端面から突出する渡り部35U,35V,35Wの高さを低く抑えることができる。したがって、モータの小型化を図ることができる。
【0042】
なお、本実施形態のコア片11の先端部17における爪部30が形成されていない側の角部17aの形状を図14に示す曲面形状や、図15に示す面取り形状に形成してもよい。このように形成することにより、コイル20をスロット19に挿入する際に、コイル20が損傷するのをより効果的に防止することができる。
【0043】
また、図16に示すように、本実施形態のコア片11のティース15における爪部30が形成されていない側の側面15bを径方向内側に向かってティース15の幅が先細りするように傾斜させてもよい。このとき、爪部30の長さを長くして、コア片11が円環状に連結されたときに、隣接する先端部17,17間の隙間が大きくならないようにする。このように構成することで、コイル20の全長をより効果的に短くすることができる。また、コイル20をスムーズにスロット19に挿入することができるとともに、コイル20をスロット19に挿入する際に、コイル20がティース15の角部に接触することでコイル20の被覆が損傷するのを抑制することができる。
【0044】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態を図17〜図19に基づいて説明する。なお、本実施形態は、第一実施形態とコア片の構成が異なるのみであり、他の構成については第一実施形態と略同一であるため、同一箇所には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0045】
図17はコア片111の平面図である。図17に示すように、コア片111は、ヨーク13、ティース15、および先端部17が形成された平板鋼板151が複数積層されて構成されている。ここで、一つのコア片111には、一つのティース15が形成されている。つまり、ティース15毎にコア片111は分割されている。このコア片111を構成する平板鋼板151は、プレス成型により容易に製造することができる。
【0046】
また、本実施形態では、ティース15の先端部17における一方側のみにコア片111を円環状に連結したときに周方向に突出する爪部130が形成されている。つまり、爪部130はティース15の延設方向に対して略直交する方向に突出形成されている。爪部130は、コア片111が円環状に連結されたときに、隣接するコア片の先端部17と僅かな隙間を空けて配置される長さを有している。
【0047】
ここで、図18、図19に示すように、ステータ101は、コア片111が円環状に連結したときに、隣接するティース15,15間にはスロット119が形成される。このスロット119は、同相のコイル20が2組配置される大きさを有している。つまり、このように構成することにより、例えば第一実施形態のステータコア10と比較して、半分のコア片(本実施形態では、24個)でステータ101を構成することができる。
【0048】
さらに、コア片111における爪部130が形成された側のヨーク13の内周側には、段差部121が形成されている。段差部121は、ティース15に対して周方向外側の端部が径方向内側に突出するように形成されている。このように段差部121を形成することにより、スロット119に配される2組のコイル20,20が径方向にずれた位置で支持される。
【0049】
本実施形態においても、第一実施形態と略同様に、コア片111を帯状に複数配置した状態でコイル20を配置するため、コイル20をスロット119に密に配置することができ、コイル20の占積率を向上することができる。また、円環状のコイル20の他端側をスロット19に挿入する際に、ティース19の先端に爪部130が形成されていない側を通過させるため、コイル20の全長を短く(円環径を小さく)することができる。したがって、コイル20に生じる抵抗を小さくすることができるとともに、ステータコア10の軸方向両端面から突出するコイル20の渡り部の高さを低く抑えることができる。さらに、コア片111を帯状に配置することでスロット119を大きく確保することができるため、コイル20をスロット119に容易に挿入することができる。したがって、ステータ101の生産効率を向上することができる効果がある。
【0050】
尚、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な構造や構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1…ステータ 10…ステータコア 11…コア片(ステータコア片) 13…ヨーク(ヨーク部) 15…ティース(ティース部) 15a…側面 15b…側面 17…先端部(先端) 19…スロット(スロット部) 20…コイル(巻線) 20a…一端側 20b…他端側 20U…コイル(第1巻線) 20V…コイル(第2巻線) 20W…コイル(第3巻線) 30…爪部 35U…渡り部(第1巻線渡り部) 35V…渡り部(第2巻線渡り部) 35W…渡り部(第3巻線渡り部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ティース部およびヨーク部が形成されたステータコア片を複数帯状に配置するコア片配置工程と、
隣接する前記ステータコア片のティース部間に形成されるスロット部に、円環状の巻線の一端側を挿入する巻線挿入工程と、
前記巻線の他端側を別のスロット部に挿入して前記巻線を前記ステータコア片に配置する巻線配置工程と、
前記帯状のステータコア片を円筒状に変形するコア片変形工程と、
前記帯状のステータコア片の両端部を跨ぐ前記巻線を前記スロット部に挿入してステータを形成するステータ形成工程と、を有するステータの製造方法において、
前記ティース部の先端には、前記帯状のステータコア片を円筒状にしたときに前記ティース部に対して周方向に突出した爪部が前記ティース部の一方に形成され、
前記ステータコア片を複数帯状に配置したときに、前記爪部は同じ方向に向くように配置され、
前記巻線配置工程において、前記巻線の他端側は前記爪部が突出された方向と逆の方向に形成された前記別のスロット部に挿入するとともに、前記爪部が形成された側の前記スロット部の側面を支点にして、前記巻線の他端側を前記別のスロット部に挿入することを特徴とするステータの製造方法。
【請求項2】
ティース部およびヨーク部が形成されたステータコア片が複数連結されて円筒状に形成されたステータコアと、隣接する前記ステータコア片の前記ティース部間に形成されるスロット部に挿入された巻線と、を備えたステータと、
該ステータの内周側に配され、回転可能に支持されたロータと、を有するモータにおいて、
前記ステータコア片における前記ティース部の先端に、周方向に突出した爪部が前記ティース部の一方に形成され、前記爪部は同じ方向を向いて配置され、
前記巻線は、3相を構成する第1巻線、第2巻線および第3巻線で構成され、
前記第1巻線、前記第2巻線および前記第3巻線は、それぞれ2つの前記ティース部間を架け渡すように配され、
前記第1巻線における前記ステータコアの軸方向端面から突出した第1巻線渡り部、前記第2巻線における前記ステータコアの軸方向端面から突出した第2巻線渡り部および前記第3巻線における前記ステータコアの軸方向端面から突出した第3巻線渡り部が、互いに交差するように前記第1巻線、前記第2巻線および前記第3巻線が配されていることを特徴とするモータ。
【請求項3】
前記ティース部における前記爪部が形成された側と反対の側面が、径方向内側に向かって前記ティース部の幅が先細りするように傾斜していることを特徴とする請求項2に記載のモータ。
【請求項1】
ティース部およびヨーク部が形成されたステータコア片を複数帯状に配置するコア片配置工程と、
隣接する前記ステータコア片のティース部間に形成されるスロット部に、円環状の巻線の一端側を挿入する巻線挿入工程と、
前記巻線の他端側を別のスロット部に挿入して前記巻線を前記ステータコア片に配置する巻線配置工程と、
前記帯状のステータコア片を円筒状に変形するコア片変形工程と、
前記帯状のステータコア片の両端部を跨ぐ前記巻線を前記スロット部に挿入してステータを形成するステータ形成工程と、を有するステータの製造方法において、
前記ティース部の先端には、前記帯状のステータコア片を円筒状にしたときに前記ティース部に対して周方向に突出した爪部が前記ティース部の一方に形成され、
前記ステータコア片を複数帯状に配置したときに、前記爪部は同じ方向に向くように配置され、
前記巻線配置工程において、前記巻線の他端側は前記爪部が突出された方向と逆の方向に形成された前記別のスロット部に挿入するとともに、前記爪部が形成された側の前記スロット部の側面を支点にして、前記巻線の他端側を前記別のスロット部に挿入することを特徴とするステータの製造方法。
【請求項2】
ティース部およびヨーク部が形成されたステータコア片が複数連結されて円筒状に形成されたステータコアと、隣接する前記ステータコア片の前記ティース部間に形成されるスロット部に挿入された巻線と、を備えたステータと、
該ステータの内周側に配され、回転可能に支持されたロータと、を有するモータにおいて、
前記ステータコア片における前記ティース部の先端に、周方向に突出した爪部が前記ティース部の一方に形成され、前記爪部は同じ方向を向いて配置され、
前記巻線は、3相を構成する第1巻線、第2巻線および第3巻線で構成され、
前記第1巻線、前記第2巻線および前記第3巻線は、それぞれ2つの前記ティース部間を架け渡すように配され、
前記第1巻線における前記ステータコアの軸方向端面から突出した第1巻線渡り部、前記第2巻線における前記ステータコアの軸方向端面から突出した第2巻線渡り部および前記第3巻線における前記ステータコアの軸方向端面から突出した第3巻線渡り部が、互いに交差するように前記第1巻線、前記第2巻線および前記第3巻線が配されていることを特徴とするモータ。
【請求項3】
前記ティース部における前記爪部が形成された側と反対の側面が、径方向内側に向かって前記ティース部の幅が先細りするように傾斜していることを特徴とする請求項2に記載のモータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2010−273449(P2010−273449A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122966(P2009−122966)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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