スパッタリング装置、それを用いた太陽電池及び画像表示装置の製造方法
【課題】第一ターゲット17a及び第二ターゲット17bが、それぞれ基板6及び他のターゲットに対して斜めに対向して配置され、基板6を搬送経路15に沿って搬送しながら成膜する連続方式のスパッタリング装置において、高品質の膜が得られるようにすると共に、粒子のチャンバー3内拡散を防止できるようにする。
【解決手段】第一ターゲット17aと第二ターゲット17bとの間の空間の搬送経路15側への延長領域を挟んで、搬送経路15と、第一ターゲット17a及び第二ターゲット17bとの間に、少なくとも基板6の搬送方向に対向するシールド19a,19bを設ける。
【解決手段】第一ターゲット17aと第二ターゲット17bとの間の空間の搬送経路15側への延長領域を挟んで、搬送経路15と、第一ターゲット17a及び第二ターゲット17bとの間に、少なくとも基板6の搬送方向に対向するシールド19a,19bを設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば各種半導体デバイス、磁気デバイス、電子部品、光学部品などの製造に使用されるスパッタリング装置、それを用いた太陽電池及び画像表示装置の製造方法に関するに関する。
【背景技術】
【0002】
スパッタリングは、Ar(アルゴン)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)等の希ガス中でプラズマを生成し、前記希ガスのイオンをターゲットに衝突させてターゲット物質をはじき出すことにより、基板にターゲット物質を薄膜として堆積させる薄膜形成方法である。現状は、スパッタガスとしてはアルゴンガスが多く用いられている。そこで本明細書においては、スパッタがスとしてはArを用いて説明しているが、他の希ガスを用いるスパッタリング装置にも適用できるのは言うまでもない。また、マグネトロンスパッタリングは、基板上の成膜速度を向上するため、ターゲットの裏側にマグネット装置を設けてターゲット表面近傍に所要の磁場を生成し、プラズマの密度を高くするようにしたものである。
【0003】
平面形状のターゲットを備えたスパッタリング装置は、主に、半導体、電子部品の製造に用いられる。特に、電子部品の中でも、フラットパネルディスプレイ(FPD)では、矩形のマグネトロン方式のスパッタリングカソードを備えたスパッタリング装置が電極や配線の形成に用いられている。FPDとしては、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等を挙げることができる。近年、このFPDの大型化に伴い、スパッタリング装置でも大面積の基板上に薄膜を堆積する要求が高まってきている。
【0004】
大型基板をスパッタリング成膜する方式としては、大きく分けて二通りある。
【0005】
第一は、基板を静止させた状態のまま、大型ターゲットや分割されたターゲットをスパッタリングして、該スパッタリングされたターゲットから飛来するスパッタ粒子を基板の成膜面に付着させて、基板上に膜を形成するバッチ方式である。
【0006】
第二は、成膜する基板を搬送しながら、搬送方向の横断方向に長手方向を向けた細長いターゲットをスパッタリングして、ターゲットから飛来するスパッタ粒子を基板の成膜面に付着させて、基板上に膜を形成する連続方式である。この細長いターゲットは矩形であったり、円筒型であったりする。
【0007】
いずれの方式においても、基板に対して正面にターゲットを配置するため、成膜速度は速いものの、基板や生成中の膜はプラズマの輻射熱の影響を直接受ける。また、この構造の場合、高エネルギーを持ったイオンがターゲットをたたいて、そのエネルギーによって飛び出したターゲット粒子が基板面へ入射すると共に、それ以外の反跳中性粒子などが基板に衝突し膜へのダメージを引き起こす。
【0008】
そこで、従来、特許文献1に示されるような斜め対向ターゲット方式のスパッタリング装置が提案されている。すなわち、複数のターゲットが、それぞれ基板及び他のターゲットに対して斜めに対向して配置されたスパッタリング装置が知られている。この斜め対向ターゲット方式のスパッタリング装置は、ターゲット面の法線に対して傾いた方向に飛び出す粒子数が多いことを利用して成膜速度を向上させようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平1−108369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の斜め対向ターゲット方式のスパッタリング装置は、前記バッチ方式に用いられているものであり、連続方式に用いた場合、次のような問題がある。
【0011】
すなわち、連続方式の場合、基板を搬送しながら成膜が行われることから、基板がターゲットの直上に至る前やターゲットの直上を過ぎた後も、基板に粒子が飛来して付着し、膜質が低下する原因となる。また、ターゲットの傾斜角度によっては、膜のダメージを引き起こす、高エネルギー粒子や、反跳中性粒子の侵入を防ぎきれず、やはり膜質が低下する原因となる。
【0012】
加えて、粒子が基板とターゲットの間からチャンバー内に拡散し、メンテナンス時間、メンテナンスコストを増大させてしまう。これら粒子は、チャンバー壁やその他の真空に面している部位に付着し、それらが何らかの理由により剥がれ、基板上に辿りつくことがある。そうすると、それらが次工程においてマスクとなり、当該部分に次工程での成膜不良やエッチング不良を引き起こす原因となる。
【0013】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、複数のターゲットが、それぞれ基板及び他のターゲットに対して斜めに対向して配置された連続方式のスパッタリング装置において、高品質の膜が得られるようにすると共に、粒子のチャンバー内拡散を防止できるようにすることを目的とする。また、太陽電池及び画像表示装置の品質を高めることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記目的のために、排気装置が接続されたスパッタチャンバー内に、基板を搬送する搬送経路が設けられていると共に、該搬送経路に対し、基板の搬送方向前方に向かって斜めに対向する第一ターゲットを保持する第一カソードと、前記基板の搬送方向後方に向かって斜めに対向する第二ターゲットを保持する第二カソードとが斜めに向き合って配置されており、該第一ターゲットと第二ターゲットとの間の空間の前記搬送経路側への延長領域を挟んで、前記搬送経路と、前記第一のカソード及び第二のカソードとの間に、前記基板の搬送方向に対向するシールドが設けられていることを特徴とするスパッタリング装置を提供するものである。
【0015】
また、本発明は、上記スパッタリング装置を使用して成膜する工程を有することを特徴とする太陽電池又は画像表示装置の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明のスパッタリング装置は、第一ターゲットと第二ターゲットとの間の空間の搬送経路側への延長領域を挟んで、搬送経路と、前記第一ターゲット及び第二ターゲットとの間に、少なくとも前記基板の搬送方向に対向するシールドが設けられている。このため、上記延長領域外へ飛び出して基板に衝突し、膜の品質を低下させる原因となる粒子をシールドに積極的に付着させることができる。このため、高品質の膜を堆積させることができる。
【0017】
また、基板とターゲットの間がシールドで遮蔽されているので、粒子がこの基板とターゲットの間からチャンバー内に拡散することを防止することができる。したがって、チャンバー壁やその他の真空に面している部位への粒子の付着によるメンテナンス時間及びコストの増大を防止することができる。同時に、この付着粒子が剥離して基板に付着することによる次工程での成膜不良やエッチング不良を防止することもできる。
【0018】
更に、本発明の太陽電池又は画像表示装置の製造方法によれば、本発明のスパッタリング装置を用いて高品質の膜を成膜できるので、製造される太陽電池又は画像表示装置の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るスパッタリング装置の全体構成を示す側面断面模式図である。
【図2】図1におけるスパッタチャンバー部分の拡大図である。
【図3】磁石ユニットを示す図で、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図4】スパッタチャンバーの第2の例を示す断面模式図である。
【図5】スパッタチャンバーの第3の例を示す断面模式図である。
【図6】スパッタチャンバーの第4の例を示す断面模式図である。
【図7】スパッタチャンバーの第5の例を示す断面模式図である。
【図8】スパッタチャンバーの第6の例を示す断面模式図である。
【図9】スパッタチャンバーの第7の例を示す断面模式図である。
【図10】Si薄膜系太陽電池の代表的な模式図である。
【図11】Cu−In−Ga−Se系化合物太陽電池の代表的な模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の代表的な実施の形態を添付図面に基づいて説明する。なお、以下に述べる各図において、同一の符号は実質的に同一の部材を示す。
【0021】
まず、図1乃至図3に基づいて本発明に係るスパッタリング装置の一例を説明する。
【0022】
図1は本発明に係るスパッタリング装置の全体構成を示す側面断面模式図、図2は図1におけるスパッタチャンバー部分の拡大図、図3は磁石ユニットを示す図で、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【0023】
図1に示されるように、本例のスパッタリング装置は連続式の装置で、図中右側から順次、ロードロック室1、サブロードロック室2、スパッタチャンバー3、サブアンロードロック室4、アンロードロック室5が連なったものとなっている。
【0024】
基板6はトレイ7に搭載され、ロードロック室1の外端側に設けられた搬入ドアバルブ8を開いてロードロック室1に搬入される。トレイ7に搭載された基板6をロードロック室1に搬入後、搬入ドアバルブ8を閉じ、ロードロック室1に接続された排気装置9で、ロードロック室1内を20Pa程度まで粗引きする。トレイ7は内側が開口した額縁状をなし、この開口部分を介して基板6に膜が形成される。
【0025】
上記粗引き後、ロードロック室1とサブロードロック室2間のゲートバルブ10を開き、トレイ7に搭載された基板6をサブロードロック室2へ搬送する。トレイ7に搭載された基板6をサブロードロック室2に搬入後、ゲートバルブ10を閉じ、サブロードロック室2に接続された排気装置11で、サブロードロック室2内を高真空に排気する。排気装置11としては、クライオポンプやTMP(ターボモレキュラポンプ)などが用いられる。
【0026】
スパッタチャンバー3には、クライオポンプやTMP(ターボモレキュラポンプ)などの排気装置12が接続されており、スパッタチャンバー3内はこの排気装置12により高真空に排気可能となっている。予めスパッタチャンバー3内を高真空(2×10Pa〜2×10-5Pa)に排気しておき、上記サブロードロック室2内の排気後、サブロードロック室2とスパッタチャンバー3間のゲートバルブ13を開き、トレイ7に搭載された基板6をスパッタチャンバー3内に搬送する。スパッタチャンバー3内には、例えばガイドローラ14などにより、ロードロック室1及びサブロードロック室2から、サブアンロードロック室4及びアンロードロック室5に連なる搬送経路15が設けられている。トレイ7に搭載された基板6は、スパッタチャンバー3内の搬送経路15に沿って一定の送り速度で搬送される。そして、このスパッタチャンバー3内での搬送途中で、第一カソード16aに保持された第一ターゲット17aと、第二カソード16bに保持された第二ターゲット17bを用いたスパッタにより、基板6に成膜される。
【0027】
なお、18a,18bは磁石ユニット、19a,19b,20はシールド、21aは第一直流電源、21bは第二直流電源、22a〜22cはガス供給源、23a〜23cはガス供給部である。
【0028】
基板6は搬送されながら成膜され、基板6がシールド19a,19b間を通過し終わった後、トレイ7に搭載された基板6は、スパッタチャンバー3とサブアンロードロック室4間のゲートバルブ24を通して、サブアンロードロック室4に引き込まれる。サブアンロードロック室4は、接続されている排気装置25により、予め高真空に排気されている。
【0029】
トレイ7に搭載された基板6がサブアンロードロック室4に搬送された後、ゲートバルブ24は閉じられ、サブアンロードロック室4とアンロードロック室5間のゲートバルブ26が開けられる。アンロードロック室5内は、排気装置27により、予め粗引きしておくことが好ましい。
【0030】
トレイ7に搭載された基板6はゲートバルブ26を通して、アンロードロック室5に搬送され、その後直ちにゲートバルブ26は閉じられ、アンロードロック室5はベントされ、大気圧に戻される。アンロードロック室5内が大気圧に戻されると、アンロードロック室5の外端側に設けられた搬出ドアバルブ28が開き、トレイ7に搭載された基板6は真空系の外へ搬送される。大気下ではトレイ7から基板6が外され所望の成膜が完了する。
【0031】
さらに図2及び図3に基づいてスパッタチャンバー3について説明する。
【0032】
スパッタチャンバー3内は、排気装置12により、2×10Pa〜2×10-5Pa程度に真空引き可能となっている。この真空度はそれぞれのプロセスにより最適な真空度に調整される。
【0033】
本例においては、スパッタチャンバー3の上部に基板6の搬送経路15が設けられており、下部に、第一カソード16aに保持された平板状の第一ターゲット17aと、第二カソード16bに保持された平板状の第二ターゲット17bが設けられている。第一カソード16aと第二カソード16bは、搬送経路15の横断方向が長辺方向となった長方形をなしている。第一ターゲット17aと第二ターゲット17bも、第一カソード16a及び第二カソード16bと同様の長方形となっている。
【0034】
第一カソード16aは、搬送経路15に対して、基板6の搬送方向前方に向かって斜めに対向しており、第二カソード16bは、搬送経路15に対して、基板6の搬送方向後方に向かって斜めに対向している。また、第一カソード16aと第二カソード16bは、斜めに向き合って配置されている。
【0035】
上記搬送経路15と、第一カソード16a及び第二カソード16bとの間に、第一ターゲット17aと第二ターゲット17bとの間の空間の第一カソード16a及び第二カソード16bから搬送経路15側への延長領域を挟んで、板状のシールド19a,19bが設けられている。シールド19a,19bは、基板6の搬送方向に対向して設けられている。シールド19a,19bを設けることにより、このシールド19a,19bで挟まれた領域外への粒子の飛び出しを抑制することができる。シールド19a、シールド19bの搬送経路15側の端部は、上記領域外への粒子の飛び出しを効果的に抑制するために、図2中に破線の矢印で示すように、対向側に位置する第二ターゲット17b又は第一ターゲット17aの搬送経路15側の端に立てた垂線がそれぞれシールド19a、シールド19bと交差する点を越えて存在することが好ましい。
【0036】
本例の装置においては、第一ターゲット17a及び第二ターゲット17bの下側に、山形のシールド20が設けられている。このシールド20は必須の部材ではないが、これを設けておくと、スパッタチャンバー3の下部壁面への粒子の付着を抑制できるので好ましい。
【0037】
第一カソード16a及び第二カソード16bの裏側には、第一ターゲット17a及び第二ターゲット17bの表面にそれぞれ閉じたループ状の磁界を発生させ、マグネトロン現象を発現できる磁石ユニット18a,18b設けられている。この磁石ユニット18a,18bは、搬送経路15の横断方向が長辺方向となった長方形をなしており、図3にも示されるように、ヨーク29の中央に設けられた中心磁石30の周囲を外周磁石31で囲んだ構成となっている。中心磁石30と外周磁石31は逆極性となっており、しかも磁石ユニット18a,18bは短辺方向にスライド移動可能となっている。成膜処理中、磁石ユニット18a,18bを短辺方向に往復スライド移動させると、第一カソード16a及び第二カソード16bの全表面に均一に磁界を作用させることができる。そして、第一カソード16a及び第二カソード16bの全面が均一にスパッタされる結果、ターゲットを均一に消費できると共に、基板6に堆積される膜厚をより均一にすることができる。
【0038】
第一ターゲット17aと第二ターゲット17bとの間の空間の搬送経路15側への延長領域を挟むシールド19a,19bの背面側(シールド19a,19b同士の対向面とは反対側)には、それぞれガス供給部23a,23bが設けられている。また、第一ターゲット17a及び第二ターゲット17bの下側に設けられたシールド20の背面側にもガス供給部23cが設けられている。ガス供給部23a,23b,23cは、それぞれガス供給源22a,22b,22cから、スパッタガス(Arガス)や成膜用の反応性ガスがマスフローコントローラーを介して供給されるものとなっている。このガス供給部23a,23b,23cをシールド19a,19b,20の背面側に設けておくと、スパッタ粒子や、スパッタ粒子と反応性ガスとの反応生成物がガス供給部23a,23b,23cに堆積してしまうことを防止することができる。
【0039】
なお、本発明においては、第一ターゲット17aと第二ターゲット17bとの間の空間又は当該空間の搬送経路15側への延長領域に露出しているシールド19a,19b,20の面を前面、その反対面を背面とする。
【0040】
第一カソード16a及び第二カソード16bには、それぞれ直流電源21a,21bが接続されている。また、スパッタチャンバー3及びシールド19a,19b,20は接地されている。第一カソード16aと第二カソード16bが陰極、スパッタチャンバー3のチャンバー壁及びシールド19a,19b,20が陽極を構成するものとなっている。
【0041】
上述のスパッタチャンバー3の作動は、ガス供給部23a,23b,23cから必要なガスを供給しつつ、直流電源21a,21bから第一カソード16a及び第二カソード16bに直流電圧を供給することで行われる。ガスと直流電圧の供給により第一ターゲット17a及び第二ターゲット17bからスパッタ粒子を生成させ、主にシールド19a,19b,20と、第一ターゲット17a及び第二ターゲット17bとで囲まれた領域内を飛翔させることで成膜を行うことができる。この時、前記のように、磁石ユニット18a,18bを短辺方向に往復スライド移動させると、均一な膜を基板6に堆積させることができる。
【0042】
以下、スパッタチャンバー3の他の例について説明する。
【0043】
図4はスパッタチャンバー3の第2の例を示す断面模式図で、基本的には図2に示されるスパッタチャンバー3と同様であるが、シールド19a,19bが相違している。図2のシールド19a,19bは1枚の板材で構成されているが、本例におけるシールド19a,19bは、相対向して設けられた中央板部32と、中央板部32の端部に設けられた端板部33とで構成されている。端板部33は、中央板部32の搬送経路15側の端部と、第一ターゲット17a及び第二ターゲット17b側の端部とに、それぞれ中央板部32と交差する方向に取り付けられている。このような端板部33を設けると、スパッタ粒子が、シールド19a,19b,20と、第一ターゲット17a及び第二ターゲット17bとで囲まれた領域外へ飛び出すのをより防止しやすくなる。
【0044】
図5はスパッタチャンバー3の第3の例を示す断面模式図で、基本的には図2に示されるスパッタチャンバー3と同様であるが、やはりシールド19a,19bが相違している。本例におけるシールド19a,19bは、搬送経路15に垂直な面に傾斜をもっている複数の板状の部材から構成されおり、且つ第一ターゲット17aと第二ターゲット17bとの間の空間側から、シールド19a,19b面の中心を結んで形成される面に垂直な方向から見たときに、シールド19a,19bに対して反対側の面が見通せないブラインド状をなしている。このようなブラインド状のシールド19a,19bとすると、シールド19a,19b内外のガスの流れを良好な状態に維持しつつ、スパッタ粒子が流出しにくくすることができる。言い換えると、シールド19a,19bは、対向するシールド19a,19bの内側から見たときに外側に凸状に、即ちくの字状に突き出ている形状をしている。
【0045】
図6はスパッタチャンバー3の第4の例を示す断面模式図で、基本的には図2に示されるスパッタチャンバー3と同様であるが、やはりシールド19a,19bが相違している。本例におけるシールド19a,19bは、搬送経路15側の端部と、第一ターゲット17a又は第二ターゲット17b側の端部とが前面側に凹状に折られたくの字形をなしている。このようなシールド19a,19bとすると、膜の品質を低下させる原因となる粒子を補足しやすくなる。
【0046】
図7はスパッタチャンバー3の第5の例を示す断面模式図で、基本的には図2に示されるスパッタチャンバー3と同様であるが、やはりシールド19a,19bが相違している。本例におけるシールド19a,19bは、間隔を開けて表裏面方向に並列した複数の板部材34で構成されている。各板部材34が開孔35を有する。そして、第一ターゲット17aと第二ターゲット17bとの間の空間側の板部材に垂直な方向から複数の板部材34を見たときに、シールド19a,19bに対して反対側の面が見通せない状態となっている。例えば、隣接する板部材の開口35の位置が、表裏方行に重なり合うことなくずれているような状態になっている。このような構成により、シールド19a,19b内外のガスの流れを妨げることなく、粒子の飛び出しを防止することができる。
【0047】
図8はスパッタチャンバー3の第6の例を示す断面模式図で、基本的には図2に示されるスパッタチャンバー3と同様であるが、カソード16a,16bに交流電源36が接続されている点が相違している。本発明におけるスパッタリングは、前述したように直流電圧の印加で行ってもよいが、本例のように交流電圧の印加で行うこともできる。交流電源36の周波数は、10kHz〜300kHzであることが好ましく、形成する膜の種類や質に応じて周波数や波形形状は調整される。
【0048】
図9はスパッタチャンバー3の第7の例を示す断面模式図で、基本的には図2に示されるスパッタチャンバー3と同様である。相違点は、第一ターゲット17aを保持する第一カソード16aと、第二ターゲット17bを保持する第二カソード16bと、シールド19a,19bとを備えたカソードユニットが、搬送経路15に沿って複数設けられている点である。複数のカソードユニットを設けることにより、成膜速度を向上させることができる。
【0049】
以上の例においては、スパッタチャンバー3の上部に搬送経路15、下部にカソードユニットが設けられているが、スパッタチャンバー3の上部にカソードユニット、下部に搬送経路15を設けた構成とすることもできる。また、カソードユニットと搬送経路を上下方向ではなく横方向に配置し、トレイ7に搭載された基板6を立てた状態で搬送しながら成膜するサイドデポジションの構成をとることもできる。さらには、シールド19a,19bは、基板6の搬送方向の前後にだけ設けるのではなく、第一ターゲット17aと第二ターゲット17bとの間の空間の搬送経路15側への延長領域を囲んで設けることが好ましい。第一ターゲット17aと第二ターゲット17bとの間の空間の搬送経路15側への延長領域を囲んでシールド19a,19bを設けると、粒子の飛び出しをより確実に抑制することができる。
【0050】
本発明の装置は、粒子のチャンバー内拡散を防止できるため、低ダメージで成膜可能であると共に、メンテナンスコストも低減することができる。以下に、本装置を成膜に適用した場合の例について記載する。
【0051】
図10はSi薄膜系太陽電池の代表的な模式図である。101はガラス基板、102は窓層である表面側透明導電膜層,103はpin層、104は裏面側透明導電膜層104a、Ag層104b及びTi層104cからなる裏面電極である。ここで、pin層は、p型、i型、n型の3層からなり、プラズマCVD法などにより作製することが可能である。この太陽電池の場合、本発明のスパッタ装置を使用して成膜できるのは、表面側透明導電膜層102であるAlドープZnO層(以降AZO層と略記する)と、裏面電極104を構成する裏面側透明導電膜層104aであるAZO層とAg層104bとTi層104cの3層積層膜である。表面側透明導電膜102がAZOのように単層膜の場合は、前述の第6の例で示したような構成で実現可能である。AZO膜は、ターゲットに対向して配置されていると、ターゲットから高エネルギー粒子が飛来し、その影響で特性が悪化するが、本発明の装置を用いることにより、AZO膜自体へのダメージを軽減される効果が期待できる。また、裏面電極104のように多層膜である場合には前述の第7の例で示したような構成で実現可能であり、この場合カソードユニットとしては3組必要となる。本発明の装置を用いる効果としては、1層目のAZOを成膜する際に前述のように自分自身のダメージばかりでなく、前工程で処理された下地に該当するpin層の最上層であるn型Si膜へのダメージも回避することが可能となる。
【0052】
図11はCu−In−Ga−Se(以降CIGSと略記する)系化合物太陽電池の代表的な模式図である。111はガラス又はステンレス若しくは合成樹脂フィルム等の基板、112は裏面電極であるMo層、113は起電部であるCIGS化合物層、114は例えばCdSよりなるルバッファ層、115は窓層であるZnOとAZOの2層構造層である。この太陽電池の製造方法の一例を挙げると、基板111上に裏面電極であるMo層112をスパッタ法で成膜する。CIGS化合物層113は、CaGa合金とInの2層積層を作製後、H2Seのガス雰囲気中で高温アニールを施し、多結晶化合物を得ることで形成する。バッファ層114としてCdsをケミカルバスデポジション方式で成膜する。最後に窓層である2層構造層115を構成するZnOとAZOをスパッタ法で成膜する。このうちスパッタ法で成膜する工程に本発明の装置を適用する場合、例えば窓層は多層膜であるので前述の第7の例で示したような装置構成で実現可能であり、単層のMo層112は前述の第6の例で示したような装置構成で実現可能である。本発明の装置を用いる効果としてはZnOとAZOの2層構造層115を成膜するときに下地に該当するバッファ層114へのダメージを軽減する効果が期待できる。また、ZnOとAZOの2層構造層115の成膜時にも前述のように自分自身へのダメージを回避することが可能となる。
【0053】
その他にも、インライン装置で装置生産するような、大表示面積の画像表示装置の生産にも適している。大表示面積の画像表示装置としては、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機蛍光ディスプレイ(例えば有機ELディスプレイ)等を挙げることができる。本発明の装置を用いる効果は、これらの生産中に下地層又はその層自身へのダメージを低減することができることである。
【符号の説明】
【0054】
1:ロードロック室、2:サブロードロック室、3:スパッタチャンバー、4:サブアンロードロック室、5:アンロードロック室、6:基板、7:トレイ、8:搬入ドアバルブ、9:排気装置、10:ゲートバルブ、11:排気装置、12:排気装置、13:ゲートバルブ、14:ガイドローラ、15:搬送経路、16a:第一カソード、16b:第二カソード、17a:第一ターゲット、17b:第二ターゲット、18a:磁石ユニット、18b、磁石ユニット、19a:シールド、19b:シールド、20:シールド、21a:第一直流電源、21b:第二直流電源、22a:ガス供給源、22b:ガス供給源、22c:ガス供給源、23a:ガス供給部、23b:ガス供給部、23c:ガス供給部、24:ゲートバルブ、25:排気装置、26:ゲートバルブ、27:排気装置、28:搬出ドアバルブ、29:ヨーク、30:中心磁石、31:外周磁石、32:中央板部、33:端板部、34:板部材、35:開孔、36:交流電源、101:ガラス基板、102:表面側透明導電膜層、103:pin層、104:裏面電極、104a:裏面側透明導電膜層、104b:Ag層、104c:Ti層、111:基板、112:Mo層、113:CIGS化合物層、114:バッファ層、115:2層構造層
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば各種半導体デバイス、磁気デバイス、電子部品、光学部品などの製造に使用されるスパッタリング装置、それを用いた太陽電池及び画像表示装置の製造方法に関するに関する。
【背景技術】
【0002】
スパッタリングは、Ar(アルゴン)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)等の希ガス中でプラズマを生成し、前記希ガスのイオンをターゲットに衝突させてターゲット物質をはじき出すことにより、基板にターゲット物質を薄膜として堆積させる薄膜形成方法である。現状は、スパッタガスとしてはアルゴンガスが多く用いられている。そこで本明細書においては、スパッタがスとしてはArを用いて説明しているが、他の希ガスを用いるスパッタリング装置にも適用できるのは言うまでもない。また、マグネトロンスパッタリングは、基板上の成膜速度を向上するため、ターゲットの裏側にマグネット装置を設けてターゲット表面近傍に所要の磁場を生成し、プラズマの密度を高くするようにしたものである。
【0003】
平面形状のターゲットを備えたスパッタリング装置は、主に、半導体、電子部品の製造に用いられる。特に、電子部品の中でも、フラットパネルディスプレイ(FPD)では、矩形のマグネトロン方式のスパッタリングカソードを備えたスパッタリング装置が電極や配線の形成に用いられている。FPDとしては、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等を挙げることができる。近年、このFPDの大型化に伴い、スパッタリング装置でも大面積の基板上に薄膜を堆積する要求が高まってきている。
【0004】
大型基板をスパッタリング成膜する方式としては、大きく分けて二通りある。
【0005】
第一は、基板を静止させた状態のまま、大型ターゲットや分割されたターゲットをスパッタリングして、該スパッタリングされたターゲットから飛来するスパッタ粒子を基板の成膜面に付着させて、基板上に膜を形成するバッチ方式である。
【0006】
第二は、成膜する基板を搬送しながら、搬送方向の横断方向に長手方向を向けた細長いターゲットをスパッタリングして、ターゲットから飛来するスパッタ粒子を基板の成膜面に付着させて、基板上に膜を形成する連続方式である。この細長いターゲットは矩形であったり、円筒型であったりする。
【0007】
いずれの方式においても、基板に対して正面にターゲットを配置するため、成膜速度は速いものの、基板や生成中の膜はプラズマの輻射熱の影響を直接受ける。また、この構造の場合、高エネルギーを持ったイオンがターゲットをたたいて、そのエネルギーによって飛び出したターゲット粒子が基板面へ入射すると共に、それ以外の反跳中性粒子などが基板に衝突し膜へのダメージを引き起こす。
【0008】
そこで、従来、特許文献1に示されるような斜め対向ターゲット方式のスパッタリング装置が提案されている。すなわち、複数のターゲットが、それぞれ基板及び他のターゲットに対して斜めに対向して配置されたスパッタリング装置が知られている。この斜め対向ターゲット方式のスパッタリング装置は、ターゲット面の法線に対して傾いた方向に飛び出す粒子数が多いことを利用して成膜速度を向上させようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平1−108369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の斜め対向ターゲット方式のスパッタリング装置は、前記バッチ方式に用いられているものであり、連続方式に用いた場合、次のような問題がある。
【0011】
すなわち、連続方式の場合、基板を搬送しながら成膜が行われることから、基板がターゲットの直上に至る前やターゲットの直上を過ぎた後も、基板に粒子が飛来して付着し、膜質が低下する原因となる。また、ターゲットの傾斜角度によっては、膜のダメージを引き起こす、高エネルギー粒子や、反跳中性粒子の侵入を防ぎきれず、やはり膜質が低下する原因となる。
【0012】
加えて、粒子が基板とターゲットの間からチャンバー内に拡散し、メンテナンス時間、メンテナンスコストを増大させてしまう。これら粒子は、チャンバー壁やその他の真空に面している部位に付着し、それらが何らかの理由により剥がれ、基板上に辿りつくことがある。そうすると、それらが次工程においてマスクとなり、当該部分に次工程での成膜不良やエッチング不良を引き起こす原因となる。
【0013】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、複数のターゲットが、それぞれ基板及び他のターゲットに対して斜めに対向して配置された連続方式のスパッタリング装置において、高品質の膜が得られるようにすると共に、粒子のチャンバー内拡散を防止できるようにすることを目的とする。また、太陽電池及び画像表示装置の品質を高めることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記目的のために、排気装置が接続されたスパッタチャンバー内に、基板を搬送する搬送経路が設けられていると共に、該搬送経路に対し、基板の搬送方向前方に向かって斜めに対向する第一ターゲットを保持する第一カソードと、前記基板の搬送方向後方に向かって斜めに対向する第二ターゲットを保持する第二カソードとが斜めに向き合って配置されており、該第一ターゲットと第二ターゲットとの間の空間の前記搬送経路側への延長領域を挟んで、前記搬送経路と、前記第一のカソード及び第二のカソードとの間に、前記基板の搬送方向に対向するシールドが設けられていることを特徴とするスパッタリング装置を提供するものである。
【0015】
また、本発明は、上記スパッタリング装置を使用して成膜する工程を有することを特徴とする太陽電池又は画像表示装置の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明のスパッタリング装置は、第一ターゲットと第二ターゲットとの間の空間の搬送経路側への延長領域を挟んで、搬送経路と、前記第一ターゲット及び第二ターゲットとの間に、少なくとも前記基板の搬送方向に対向するシールドが設けられている。このため、上記延長領域外へ飛び出して基板に衝突し、膜の品質を低下させる原因となる粒子をシールドに積極的に付着させることができる。このため、高品質の膜を堆積させることができる。
【0017】
また、基板とターゲットの間がシールドで遮蔽されているので、粒子がこの基板とターゲットの間からチャンバー内に拡散することを防止することができる。したがって、チャンバー壁やその他の真空に面している部位への粒子の付着によるメンテナンス時間及びコストの増大を防止することができる。同時に、この付着粒子が剥離して基板に付着することによる次工程での成膜不良やエッチング不良を防止することもできる。
【0018】
更に、本発明の太陽電池又は画像表示装置の製造方法によれば、本発明のスパッタリング装置を用いて高品質の膜を成膜できるので、製造される太陽電池又は画像表示装置の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るスパッタリング装置の全体構成を示す側面断面模式図である。
【図2】図1におけるスパッタチャンバー部分の拡大図である。
【図3】磁石ユニットを示す図で、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図4】スパッタチャンバーの第2の例を示す断面模式図である。
【図5】スパッタチャンバーの第3の例を示す断面模式図である。
【図6】スパッタチャンバーの第4の例を示す断面模式図である。
【図7】スパッタチャンバーの第5の例を示す断面模式図である。
【図8】スパッタチャンバーの第6の例を示す断面模式図である。
【図9】スパッタチャンバーの第7の例を示す断面模式図である。
【図10】Si薄膜系太陽電池の代表的な模式図である。
【図11】Cu−In−Ga−Se系化合物太陽電池の代表的な模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の代表的な実施の形態を添付図面に基づいて説明する。なお、以下に述べる各図において、同一の符号は実質的に同一の部材を示す。
【0021】
まず、図1乃至図3に基づいて本発明に係るスパッタリング装置の一例を説明する。
【0022】
図1は本発明に係るスパッタリング装置の全体構成を示す側面断面模式図、図2は図1におけるスパッタチャンバー部分の拡大図、図3は磁石ユニットを示す図で、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【0023】
図1に示されるように、本例のスパッタリング装置は連続式の装置で、図中右側から順次、ロードロック室1、サブロードロック室2、スパッタチャンバー3、サブアンロードロック室4、アンロードロック室5が連なったものとなっている。
【0024】
基板6はトレイ7に搭載され、ロードロック室1の外端側に設けられた搬入ドアバルブ8を開いてロードロック室1に搬入される。トレイ7に搭載された基板6をロードロック室1に搬入後、搬入ドアバルブ8を閉じ、ロードロック室1に接続された排気装置9で、ロードロック室1内を20Pa程度まで粗引きする。トレイ7は内側が開口した額縁状をなし、この開口部分を介して基板6に膜が形成される。
【0025】
上記粗引き後、ロードロック室1とサブロードロック室2間のゲートバルブ10を開き、トレイ7に搭載された基板6をサブロードロック室2へ搬送する。トレイ7に搭載された基板6をサブロードロック室2に搬入後、ゲートバルブ10を閉じ、サブロードロック室2に接続された排気装置11で、サブロードロック室2内を高真空に排気する。排気装置11としては、クライオポンプやTMP(ターボモレキュラポンプ)などが用いられる。
【0026】
スパッタチャンバー3には、クライオポンプやTMP(ターボモレキュラポンプ)などの排気装置12が接続されており、スパッタチャンバー3内はこの排気装置12により高真空に排気可能となっている。予めスパッタチャンバー3内を高真空(2×10Pa〜2×10-5Pa)に排気しておき、上記サブロードロック室2内の排気後、サブロードロック室2とスパッタチャンバー3間のゲートバルブ13を開き、トレイ7に搭載された基板6をスパッタチャンバー3内に搬送する。スパッタチャンバー3内には、例えばガイドローラ14などにより、ロードロック室1及びサブロードロック室2から、サブアンロードロック室4及びアンロードロック室5に連なる搬送経路15が設けられている。トレイ7に搭載された基板6は、スパッタチャンバー3内の搬送経路15に沿って一定の送り速度で搬送される。そして、このスパッタチャンバー3内での搬送途中で、第一カソード16aに保持された第一ターゲット17aと、第二カソード16bに保持された第二ターゲット17bを用いたスパッタにより、基板6に成膜される。
【0027】
なお、18a,18bは磁石ユニット、19a,19b,20はシールド、21aは第一直流電源、21bは第二直流電源、22a〜22cはガス供給源、23a〜23cはガス供給部である。
【0028】
基板6は搬送されながら成膜され、基板6がシールド19a,19b間を通過し終わった後、トレイ7に搭載された基板6は、スパッタチャンバー3とサブアンロードロック室4間のゲートバルブ24を通して、サブアンロードロック室4に引き込まれる。サブアンロードロック室4は、接続されている排気装置25により、予め高真空に排気されている。
【0029】
トレイ7に搭載された基板6がサブアンロードロック室4に搬送された後、ゲートバルブ24は閉じられ、サブアンロードロック室4とアンロードロック室5間のゲートバルブ26が開けられる。アンロードロック室5内は、排気装置27により、予め粗引きしておくことが好ましい。
【0030】
トレイ7に搭載された基板6はゲートバルブ26を通して、アンロードロック室5に搬送され、その後直ちにゲートバルブ26は閉じられ、アンロードロック室5はベントされ、大気圧に戻される。アンロードロック室5内が大気圧に戻されると、アンロードロック室5の外端側に設けられた搬出ドアバルブ28が開き、トレイ7に搭載された基板6は真空系の外へ搬送される。大気下ではトレイ7から基板6が外され所望の成膜が完了する。
【0031】
さらに図2及び図3に基づいてスパッタチャンバー3について説明する。
【0032】
スパッタチャンバー3内は、排気装置12により、2×10Pa〜2×10-5Pa程度に真空引き可能となっている。この真空度はそれぞれのプロセスにより最適な真空度に調整される。
【0033】
本例においては、スパッタチャンバー3の上部に基板6の搬送経路15が設けられており、下部に、第一カソード16aに保持された平板状の第一ターゲット17aと、第二カソード16bに保持された平板状の第二ターゲット17bが設けられている。第一カソード16aと第二カソード16bは、搬送経路15の横断方向が長辺方向となった長方形をなしている。第一ターゲット17aと第二ターゲット17bも、第一カソード16a及び第二カソード16bと同様の長方形となっている。
【0034】
第一カソード16aは、搬送経路15に対して、基板6の搬送方向前方に向かって斜めに対向しており、第二カソード16bは、搬送経路15に対して、基板6の搬送方向後方に向かって斜めに対向している。また、第一カソード16aと第二カソード16bは、斜めに向き合って配置されている。
【0035】
上記搬送経路15と、第一カソード16a及び第二カソード16bとの間に、第一ターゲット17aと第二ターゲット17bとの間の空間の第一カソード16a及び第二カソード16bから搬送経路15側への延長領域を挟んで、板状のシールド19a,19bが設けられている。シールド19a,19bは、基板6の搬送方向に対向して設けられている。シールド19a,19bを設けることにより、このシールド19a,19bで挟まれた領域外への粒子の飛び出しを抑制することができる。シールド19a、シールド19bの搬送経路15側の端部は、上記領域外への粒子の飛び出しを効果的に抑制するために、図2中に破線の矢印で示すように、対向側に位置する第二ターゲット17b又は第一ターゲット17aの搬送経路15側の端に立てた垂線がそれぞれシールド19a、シールド19bと交差する点を越えて存在することが好ましい。
【0036】
本例の装置においては、第一ターゲット17a及び第二ターゲット17bの下側に、山形のシールド20が設けられている。このシールド20は必須の部材ではないが、これを設けておくと、スパッタチャンバー3の下部壁面への粒子の付着を抑制できるので好ましい。
【0037】
第一カソード16a及び第二カソード16bの裏側には、第一ターゲット17a及び第二ターゲット17bの表面にそれぞれ閉じたループ状の磁界を発生させ、マグネトロン現象を発現できる磁石ユニット18a,18b設けられている。この磁石ユニット18a,18bは、搬送経路15の横断方向が長辺方向となった長方形をなしており、図3にも示されるように、ヨーク29の中央に設けられた中心磁石30の周囲を外周磁石31で囲んだ構成となっている。中心磁石30と外周磁石31は逆極性となっており、しかも磁石ユニット18a,18bは短辺方向にスライド移動可能となっている。成膜処理中、磁石ユニット18a,18bを短辺方向に往復スライド移動させると、第一カソード16a及び第二カソード16bの全表面に均一に磁界を作用させることができる。そして、第一カソード16a及び第二カソード16bの全面が均一にスパッタされる結果、ターゲットを均一に消費できると共に、基板6に堆積される膜厚をより均一にすることができる。
【0038】
第一ターゲット17aと第二ターゲット17bとの間の空間の搬送経路15側への延長領域を挟むシールド19a,19bの背面側(シールド19a,19b同士の対向面とは反対側)には、それぞれガス供給部23a,23bが設けられている。また、第一ターゲット17a及び第二ターゲット17bの下側に設けられたシールド20の背面側にもガス供給部23cが設けられている。ガス供給部23a,23b,23cは、それぞれガス供給源22a,22b,22cから、スパッタガス(Arガス)や成膜用の反応性ガスがマスフローコントローラーを介して供給されるものとなっている。このガス供給部23a,23b,23cをシールド19a,19b,20の背面側に設けておくと、スパッタ粒子や、スパッタ粒子と反応性ガスとの反応生成物がガス供給部23a,23b,23cに堆積してしまうことを防止することができる。
【0039】
なお、本発明においては、第一ターゲット17aと第二ターゲット17bとの間の空間又は当該空間の搬送経路15側への延長領域に露出しているシールド19a,19b,20の面を前面、その反対面を背面とする。
【0040】
第一カソード16a及び第二カソード16bには、それぞれ直流電源21a,21bが接続されている。また、スパッタチャンバー3及びシールド19a,19b,20は接地されている。第一カソード16aと第二カソード16bが陰極、スパッタチャンバー3のチャンバー壁及びシールド19a,19b,20が陽極を構成するものとなっている。
【0041】
上述のスパッタチャンバー3の作動は、ガス供給部23a,23b,23cから必要なガスを供給しつつ、直流電源21a,21bから第一カソード16a及び第二カソード16bに直流電圧を供給することで行われる。ガスと直流電圧の供給により第一ターゲット17a及び第二ターゲット17bからスパッタ粒子を生成させ、主にシールド19a,19b,20と、第一ターゲット17a及び第二ターゲット17bとで囲まれた領域内を飛翔させることで成膜を行うことができる。この時、前記のように、磁石ユニット18a,18bを短辺方向に往復スライド移動させると、均一な膜を基板6に堆積させることができる。
【0042】
以下、スパッタチャンバー3の他の例について説明する。
【0043】
図4はスパッタチャンバー3の第2の例を示す断面模式図で、基本的には図2に示されるスパッタチャンバー3と同様であるが、シールド19a,19bが相違している。図2のシールド19a,19bは1枚の板材で構成されているが、本例におけるシールド19a,19bは、相対向して設けられた中央板部32と、中央板部32の端部に設けられた端板部33とで構成されている。端板部33は、中央板部32の搬送経路15側の端部と、第一ターゲット17a及び第二ターゲット17b側の端部とに、それぞれ中央板部32と交差する方向に取り付けられている。このような端板部33を設けると、スパッタ粒子が、シールド19a,19b,20と、第一ターゲット17a及び第二ターゲット17bとで囲まれた領域外へ飛び出すのをより防止しやすくなる。
【0044】
図5はスパッタチャンバー3の第3の例を示す断面模式図で、基本的には図2に示されるスパッタチャンバー3と同様であるが、やはりシールド19a,19bが相違している。本例におけるシールド19a,19bは、搬送経路15に垂直な面に傾斜をもっている複数の板状の部材から構成されおり、且つ第一ターゲット17aと第二ターゲット17bとの間の空間側から、シールド19a,19b面の中心を結んで形成される面に垂直な方向から見たときに、シールド19a,19bに対して反対側の面が見通せないブラインド状をなしている。このようなブラインド状のシールド19a,19bとすると、シールド19a,19b内外のガスの流れを良好な状態に維持しつつ、スパッタ粒子が流出しにくくすることができる。言い換えると、シールド19a,19bは、対向するシールド19a,19bの内側から見たときに外側に凸状に、即ちくの字状に突き出ている形状をしている。
【0045】
図6はスパッタチャンバー3の第4の例を示す断面模式図で、基本的には図2に示されるスパッタチャンバー3と同様であるが、やはりシールド19a,19bが相違している。本例におけるシールド19a,19bは、搬送経路15側の端部と、第一ターゲット17a又は第二ターゲット17b側の端部とが前面側に凹状に折られたくの字形をなしている。このようなシールド19a,19bとすると、膜の品質を低下させる原因となる粒子を補足しやすくなる。
【0046】
図7はスパッタチャンバー3の第5の例を示す断面模式図で、基本的には図2に示されるスパッタチャンバー3と同様であるが、やはりシールド19a,19bが相違している。本例におけるシールド19a,19bは、間隔を開けて表裏面方向に並列した複数の板部材34で構成されている。各板部材34が開孔35を有する。そして、第一ターゲット17aと第二ターゲット17bとの間の空間側の板部材に垂直な方向から複数の板部材34を見たときに、シールド19a,19bに対して反対側の面が見通せない状態となっている。例えば、隣接する板部材の開口35の位置が、表裏方行に重なり合うことなくずれているような状態になっている。このような構成により、シールド19a,19b内外のガスの流れを妨げることなく、粒子の飛び出しを防止することができる。
【0047】
図8はスパッタチャンバー3の第6の例を示す断面模式図で、基本的には図2に示されるスパッタチャンバー3と同様であるが、カソード16a,16bに交流電源36が接続されている点が相違している。本発明におけるスパッタリングは、前述したように直流電圧の印加で行ってもよいが、本例のように交流電圧の印加で行うこともできる。交流電源36の周波数は、10kHz〜300kHzであることが好ましく、形成する膜の種類や質に応じて周波数や波形形状は調整される。
【0048】
図9はスパッタチャンバー3の第7の例を示す断面模式図で、基本的には図2に示されるスパッタチャンバー3と同様である。相違点は、第一ターゲット17aを保持する第一カソード16aと、第二ターゲット17bを保持する第二カソード16bと、シールド19a,19bとを備えたカソードユニットが、搬送経路15に沿って複数設けられている点である。複数のカソードユニットを設けることにより、成膜速度を向上させることができる。
【0049】
以上の例においては、スパッタチャンバー3の上部に搬送経路15、下部にカソードユニットが設けられているが、スパッタチャンバー3の上部にカソードユニット、下部に搬送経路15を設けた構成とすることもできる。また、カソードユニットと搬送経路を上下方向ではなく横方向に配置し、トレイ7に搭載された基板6を立てた状態で搬送しながら成膜するサイドデポジションの構成をとることもできる。さらには、シールド19a,19bは、基板6の搬送方向の前後にだけ設けるのではなく、第一ターゲット17aと第二ターゲット17bとの間の空間の搬送経路15側への延長領域を囲んで設けることが好ましい。第一ターゲット17aと第二ターゲット17bとの間の空間の搬送経路15側への延長領域を囲んでシールド19a,19bを設けると、粒子の飛び出しをより確実に抑制することができる。
【0050】
本発明の装置は、粒子のチャンバー内拡散を防止できるため、低ダメージで成膜可能であると共に、メンテナンスコストも低減することができる。以下に、本装置を成膜に適用した場合の例について記載する。
【0051】
図10はSi薄膜系太陽電池の代表的な模式図である。101はガラス基板、102は窓層である表面側透明導電膜層,103はpin層、104は裏面側透明導電膜層104a、Ag層104b及びTi層104cからなる裏面電極である。ここで、pin層は、p型、i型、n型の3層からなり、プラズマCVD法などにより作製することが可能である。この太陽電池の場合、本発明のスパッタ装置を使用して成膜できるのは、表面側透明導電膜層102であるAlドープZnO層(以降AZO層と略記する)と、裏面電極104を構成する裏面側透明導電膜層104aであるAZO層とAg層104bとTi層104cの3層積層膜である。表面側透明導電膜102がAZOのように単層膜の場合は、前述の第6の例で示したような構成で実現可能である。AZO膜は、ターゲットに対向して配置されていると、ターゲットから高エネルギー粒子が飛来し、その影響で特性が悪化するが、本発明の装置を用いることにより、AZO膜自体へのダメージを軽減される効果が期待できる。また、裏面電極104のように多層膜である場合には前述の第7の例で示したような構成で実現可能であり、この場合カソードユニットとしては3組必要となる。本発明の装置を用いる効果としては、1層目のAZOを成膜する際に前述のように自分自身のダメージばかりでなく、前工程で処理された下地に該当するpin層の最上層であるn型Si膜へのダメージも回避することが可能となる。
【0052】
図11はCu−In−Ga−Se(以降CIGSと略記する)系化合物太陽電池の代表的な模式図である。111はガラス又はステンレス若しくは合成樹脂フィルム等の基板、112は裏面電極であるMo層、113は起電部であるCIGS化合物層、114は例えばCdSよりなるルバッファ層、115は窓層であるZnOとAZOの2層構造層である。この太陽電池の製造方法の一例を挙げると、基板111上に裏面電極であるMo層112をスパッタ法で成膜する。CIGS化合物層113は、CaGa合金とInの2層積層を作製後、H2Seのガス雰囲気中で高温アニールを施し、多結晶化合物を得ることで形成する。バッファ層114としてCdsをケミカルバスデポジション方式で成膜する。最後に窓層である2層構造層115を構成するZnOとAZOをスパッタ法で成膜する。このうちスパッタ法で成膜する工程に本発明の装置を適用する場合、例えば窓層は多層膜であるので前述の第7の例で示したような装置構成で実現可能であり、単層のMo層112は前述の第6の例で示したような装置構成で実現可能である。本発明の装置を用いる効果としてはZnOとAZOの2層構造層115を成膜するときに下地に該当するバッファ層114へのダメージを軽減する効果が期待できる。また、ZnOとAZOの2層構造層115の成膜時にも前述のように自分自身へのダメージを回避することが可能となる。
【0053】
その他にも、インライン装置で装置生産するような、大表示面積の画像表示装置の生産にも適している。大表示面積の画像表示装置としては、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機蛍光ディスプレイ(例えば有機ELディスプレイ)等を挙げることができる。本発明の装置を用いる効果は、これらの生産中に下地層又はその層自身へのダメージを低減することができることである。
【符号の説明】
【0054】
1:ロードロック室、2:サブロードロック室、3:スパッタチャンバー、4:サブアンロードロック室、5:アンロードロック室、6:基板、7:トレイ、8:搬入ドアバルブ、9:排気装置、10:ゲートバルブ、11:排気装置、12:排気装置、13:ゲートバルブ、14:ガイドローラ、15:搬送経路、16a:第一カソード、16b:第二カソード、17a:第一ターゲット、17b:第二ターゲット、18a:磁石ユニット、18b、磁石ユニット、19a:シールド、19b:シールド、20:シールド、21a:第一直流電源、21b:第二直流電源、22a:ガス供給源、22b:ガス供給源、22c:ガス供給源、23a:ガス供給部、23b:ガス供給部、23c:ガス供給部、24:ゲートバルブ、25:排気装置、26:ゲートバルブ、27:排気装置、28:搬出ドアバルブ、29:ヨーク、30:中心磁石、31:外周磁石、32:中央板部、33:端板部、34:板部材、35:開孔、36:交流電源、101:ガラス基板、102:表面側透明導電膜層、103:pin層、104:裏面電極、104a:裏面側透明導電膜層、104b:Ag層、104c:Ti層、111:基板、112:Mo層、113:CIGS化合物層、114:バッファ層、115:2層構造層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気装置が接続されたスパッタチャンバー内に、基板を搬送する搬送経路が設けられていると共に、該搬送経路に対し、基板の搬送方向前方に向かって斜めに対向する第一ターゲットを保持する第一カソードと、前記基板の搬送方向後方に向かって斜めに対向する第二ターゲットを保持する第二カソードとが斜めに向き合って配置されており、該第一ターゲットと第二ターゲットとの間の空間の前記搬送経路側への延長領域を挟んで、前記搬送経路と、前記第一カソード及び第二カソードとの間に、前記基板の搬送方向に対向するシールドが設けられていることを特徴とするスパッタリング装置。
【請求項2】
前記第一ターゲットを保持する第一カソードと、前記第二ターゲットを保持する第二カソードと、前記シールドとを備えたカソードユニットが、前記搬送経路に沿って複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項3】
前記第一ターゲット及び第二ターゲットの表面にそれぞれ閉じたループ状の磁界を発生させる磁石ユニットが前記第一カソード及び第二カソードの裏側にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスパッタリング装置。
【請求項4】
前記磁石ユニットが、前記搬送経路の横断方向が長辺方向となった長方形をなすと共に、中心磁石の周りを該中心磁石と逆極性の外周磁石で囲んだ構成を有し、しかも短辺方向にスライド移動可能であることを特徴とする請求項3に記載のスパッタリング装置。
【請求項5】
ガス供給部が、前記シールドの背面側に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスパッタリング装置。
【請求項6】
前記シールドが、相対向して設けられた中央板部と、該中央板部の前記搬送経路側の端部及び前記第一ターゲット及び第二ターゲット側の端部にそれぞれ前記中央板部と交差する方向に取り付けられた端板部とで構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のスパッタリング装置。
【請求項7】
前記シールドは、搬送経路に垂直な面に傾斜をもっている複数の板状の部材から構成されおり、且つ前記第一ターゲットと第二ターゲットとの間の空間側から、前記シールド面の中心を結んで形成される面に垂直な方向から見たときに、前記シールドに対して反対側の面が見通せないことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のスパッタリング装置。
【請求項8】
前記シールドが、前記対向するシールドの内側から見たときに、外側に凸状に折られたくの字形であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のスパッタリング装置。
【請求項9】
前記シールドが、間隔を開けて表裏面方向に並列した複数の板部材で構成されており、各板部材が開孔を有すると共に、前記第一ターゲットと第二ターゲットとの間の空間側の板部材に垂直な方向から前記複数の板部材を見たときに、シールドに対して反対の空間が見通せないことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のスパッタリング装置。
【請求項10】
前記シールドの前記搬送経路側の端部は、前記第一ターゲット又は第二ターゲットの搬送経路側の端に立てた垂線がシールドと交差する点を越えて存在することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のスパッタリング装置。
【請求項11】
前記シールドが、前記第一ターゲットと第二ターゲットとの間の空間の前記搬送経路側への延長領域を囲んで設けられていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のスパッタリング装置。
【請求項12】
前記斜めに向き合う第一カソードと第二カソードに交流電源が接続されていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のスパッタリング装置。
【請求項13】
前記第一カソードと第二カソードに直流電源が接続されており、前記第一カソードと第二カソードが陰極、スパッタチャンバーのチャンバー壁及びシールドが陽極を構成していることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のスパッタリング装置。
【請求項14】
請求項1乃至13項のいずれか一項に記載のスパッタリング装置を使用して成膜する工程を有することを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項15】
請求項1乃至13項のいずれか一項に記載のスパッタリング装置を使用して成膜する工程を有することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
【請求項1】
排気装置が接続されたスパッタチャンバー内に、基板を搬送する搬送経路が設けられていると共に、該搬送経路に対し、基板の搬送方向前方に向かって斜めに対向する第一ターゲットを保持する第一カソードと、前記基板の搬送方向後方に向かって斜めに対向する第二ターゲットを保持する第二カソードとが斜めに向き合って配置されており、該第一ターゲットと第二ターゲットとの間の空間の前記搬送経路側への延長領域を挟んで、前記搬送経路と、前記第一カソード及び第二カソードとの間に、前記基板の搬送方向に対向するシールドが設けられていることを特徴とするスパッタリング装置。
【請求項2】
前記第一ターゲットを保持する第一カソードと、前記第二ターゲットを保持する第二カソードと、前記シールドとを備えたカソードユニットが、前記搬送経路に沿って複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項3】
前記第一ターゲット及び第二ターゲットの表面にそれぞれ閉じたループ状の磁界を発生させる磁石ユニットが前記第一カソード及び第二カソードの裏側にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスパッタリング装置。
【請求項4】
前記磁石ユニットが、前記搬送経路の横断方向が長辺方向となった長方形をなすと共に、中心磁石の周りを該中心磁石と逆極性の外周磁石で囲んだ構成を有し、しかも短辺方向にスライド移動可能であることを特徴とする請求項3に記載のスパッタリング装置。
【請求項5】
ガス供給部が、前記シールドの背面側に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスパッタリング装置。
【請求項6】
前記シールドが、相対向して設けられた中央板部と、該中央板部の前記搬送経路側の端部及び前記第一ターゲット及び第二ターゲット側の端部にそれぞれ前記中央板部と交差する方向に取り付けられた端板部とで構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のスパッタリング装置。
【請求項7】
前記シールドは、搬送経路に垂直な面に傾斜をもっている複数の板状の部材から構成されおり、且つ前記第一ターゲットと第二ターゲットとの間の空間側から、前記シールド面の中心を結んで形成される面に垂直な方向から見たときに、前記シールドに対して反対側の面が見通せないことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のスパッタリング装置。
【請求項8】
前記シールドが、前記対向するシールドの内側から見たときに、外側に凸状に折られたくの字形であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のスパッタリング装置。
【請求項9】
前記シールドが、間隔を開けて表裏面方向に並列した複数の板部材で構成されており、各板部材が開孔を有すると共に、前記第一ターゲットと第二ターゲットとの間の空間側の板部材に垂直な方向から前記複数の板部材を見たときに、シールドに対して反対の空間が見通せないことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のスパッタリング装置。
【請求項10】
前記シールドの前記搬送経路側の端部は、前記第一ターゲット又は第二ターゲットの搬送経路側の端に立てた垂線がシールドと交差する点を越えて存在することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のスパッタリング装置。
【請求項11】
前記シールドが、前記第一ターゲットと第二ターゲットとの間の空間の前記搬送経路側への延長領域を囲んで設けられていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のスパッタリング装置。
【請求項12】
前記斜めに向き合う第一カソードと第二カソードに交流電源が接続されていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のスパッタリング装置。
【請求項13】
前記第一カソードと第二カソードに直流電源が接続されており、前記第一カソードと第二カソードが陰極、スパッタチャンバーのチャンバー壁及びシールドが陽極を構成していることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のスパッタリング装置。
【請求項14】
請求項1乃至13項のいずれか一項に記載のスパッタリング装置を使用して成膜する工程を有することを特徴とする太陽電池の製造方法。
【請求項15】
請求項1乃至13項のいずれか一項に記載のスパッタリング装置を使用して成膜する工程を有することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−1565(P2010−1565A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111744(P2009−111744)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(000227294)キヤノンアネルバ株式会社 (564)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(000227294)キヤノンアネルバ株式会社 (564)
【Fターム(参考)】
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