タイヤ電子管理システム
【課題】エネルギーを大事に使うタイヤ電子管理システムを提供する。
【解決手段】装置のパラメータを測定するために、タイヤ電子維持システムが提供され、装置のパラメータを測定し且つこの測定パラメータを表すデータ信号を発生させるための感知器18を含んでいる。装置のパラメータを測定するために第一の周期的基準で感知器を作動させるために、この感知器に結合されているマイクロプロセッサ及び記憶装置16も含んでいる。送信機及び受信機30がマイクロプロセッサに結合されている。マイクロプロセッサは、受信された送信が有効な呼掛信号であるか否かを第二の周期的基準で決定するために周期的且つ部分的に覚醒し、受信された送信が有効な呼掛信号であれば、完全に覚醒し、最後に記憶された測定パラメータを少なくとも送信することによって、送信機を経由して、有効な呼掛信号に応答する。装置はタイヤの内側に装着されるタイヤタグ14である。
【解決手段】装置のパラメータを測定するために、タイヤ電子維持システムが提供され、装置のパラメータを測定し且つこの測定パラメータを表すデータ信号を発生させるための感知器18を含んでいる。装置のパラメータを測定するために第一の周期的基準で感知器を作動させるために、この感知器に結合されているマイクロプロセッサ及び記憶装置16も含んでいる。送信機及び受信機30がマイクロプロセッサに結合されている。マイクロプロセッサは、受信された送信が有効な呼掛信号であるか否かを第二の周期的基準で決定するために周期的且つ部分的に覚醒し、受信された送信が有効な呼掛信号であれば、完全に覚醒し、最後に記憶された測定パラメータを少なくとも送信することによって、送信機を経由して、有効な呼掛信号に応答する。装置はタイヤの内側に装着されるタイヤタグ14である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的にはタイヤパラメータ監視システムに関するものであり、詳細には、「休眠し」且つ温度及び空気圧の様なタイヤパラメータを測定して記憶するために周期的に「覚醒する」ことによって電力を大事に使う電子感知器回路を各々が有するタイヤタグを含むタイヤ電子管理システムに関するものである。そのタグのマイクロプロセッサは、パラメータの測定及び記憶機能から独立して、周期的に探索モードへ覚醒して読取機/送受信機(RT)からの呼掛信号であると思われる送信を探す。呼掛信号らしき送信の検出と同時に、タグは、呼掛モードへ完全に覚醒し、その呼掛信号が有効であることを確認し、例えば、タイヤパラメータ情報をそのRTへ送信することによって、その有効な呼掛信号に応答する。タグは、RTによって呼び掛けられることなく、自律的基準で、周期的に覚醒して最後に記憶されたタイヤパラメータを送信する様に、プログラムされていてもよい。タグは、更に、タイヤパラメータのうちの一つが規定閾値の範囲を超えていれば「警報」信号を自動的に送信する様にプログラムされていてよい。
【従来の技術】
【0002】
温度及び空気圧の様なパラメータを得るためにタイヤを監視することが望ましい。オフロード(OTR)車用の大きなタイヤは非常に高価であり且つ車両及びタイヤの効率を極限まで増加させるために定期的に整備されなければならないので、これらのタイヤを監視することは特に有益である。
【0003】
過去において、タイヤ監視装置は、弁棒への接続によってタイヤ空気圧を監視するシステム(米国特許第4,734,674号)から、タイヤの外部で信号を受信するために磁気結合を使用するシステム(米国特許第4,588,978号)へ、更に、タイヤ空気圧の変化速度を測定しこの空気圧の変化速度に依存してデータの送信速度を変化させる精巧なシステム(米国特許第5,656,992号)へ、狙いを付けられてきた。その他のシステムは、誘導結合装置によってタイヤタグ回路に通電させる無線周波数送信によって作動させられる。米国特許第5,166,676号を参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
誘導磁気結合または容量結合に依存する受動装置は、長いコイルの巻回を必要とし、従って、タイヤの構造及び組立工程に大きな修正を必要とする、という不都合を一般に有している。その様な受動装置によるもう一つの重大な不都合は、タイヤとその装置との間の通信を可能にするために、タイヤに非常に近接している位置、通常はタイヤから数インチ以内に呼掛機が置かれていなければならないということである。連続的な監視は呼掛機が車両の各ホイールに装着されていることを必須的に必要とするので、この連続的な監視は上述の近接要件のために実際的ではない。各々のタイヤに埋め込まれている受動装置からデータを人手で取得することも、上述の近接要件のために、面倒で且つ多くの時間を必要とする。
【0005】
タイヤの状態を監視するために使用されるその他の従来技術の装置は、弁棒の位置の様なタイヤの外部に置かれている自己出力型回路で構成されている。外部に装着される装置は、天候や暴力行為による様な損傷に曝されるという不都合を有している。更に、外部に取り付けられる装置は、監視中のそのタイヤから容易に分離されてしまうことがある。
【0006】
公知のタイヤ監視識別装置によるもう一つの不都合は、外部に装着されなければならないかまたはタイヤの構造若しくは組立工程に比較的大きな修正を必要とする様な方法でタイヤに固定されなければならない比較的大きなアンテナを一般に必要とする従来の無線周波数(RF)を使用して通信送信が達成される、ということである。
【0007】
米国特許第5,500,065号、第5,562,787号、第5,573,610号及び第5,573,611号に示され且つ記載されている装置によって、種々の問題が処理されてきた。しかし、これらの装置は、タイヤのホイール仕切空間内に含まれており、タイヤを貫通して外部受信機へデータを送信することが困難である。タイヤに直接には付着しておらずその代わりにホイールつまりリムに付着している幾つかの追加的な装置も弁棒に含まれており、その装置を含んでいるその同じリムからタイヤが取り外されて別のタイヤと取り替えられ得るので、その装置はそのタイヤの永続的な記録を提供しない。また、これらの従来技術の装置は、タイヤ、ホイールまたは弁棒に排他的に付着し、多くの応用で要望されているデザインの柔軟性を提供しない。
【0008】
また、RF通信を使用する時、タイヤの側壁を貫通して信号を送信することは側壁におけるタイヤの厚さのためにその送信効率を著しく低減させるという問題のために、遠隔地へその信号を送信することが困難である。タイヤ中のカーボン含有量がRF信号の送信率に影響を及ぼしそのためにアンテナデザインについての問題を持ち出す、ということが気付かれた。更に、基板つまりプリント回路板にエッチングされているかまたは配置されている従来技術のアンテナによって、問題が生じている。その様な構造からの良好な送信は、タイヤの側壁を貫通する一つの方向でのみ生じる。しかし、タグが内側の側壁に位置する様にタイヤが「逆に」装着されるかもしれない。その様な装着は、望ましい方向でタイヤの側壁を貫通して信号を送信させることを更に困難にするかもしれない。
【0009】
従って、両方の側壁を貫通する少なくとも二つの方向で十分に送信することのできるアンテナ構造を有することが望ましい。
タイヤタグの有効寿命を延ばすために電池電力を大事に使うタイヤタグを提供することも望ましい。
小さくて軽いタイヤタグはタイヤの内面にそのタイヤタグを固定するパッチによる応力を殆ど生じさせないので、小さくて軽いタイヤタグを製造することが望ましい。
【0010】
上述の文書中に開示されているタイヤ監視装置は僅かな利点を生じさせるが、信号/雑音比、再現性及び送信距離の点から遠隔読取機/送受信機(RT)とのRF通信を改良することのできる個別部品へシステムの機能を分離することを可能にすることによって多能性及び柔軟性を提供するタイヤ監視システムが必要とされている。本発明は、タイヤの内側に直接に取り付けられる単一装置構造(タイヤタグ)に組み合わされている別個の部品を使用する。これらのタグ部品は、温度及び空気圧等のタイヤパラメータを測定するための測定装置(感知器)と、タイヤに結合されており外部指令信号を受信して車両タイヤから外部RTへタイヤデータ信号を送信するためのRF送信機及び受信機とを含んでいる。更に、本発明は、電池寿命を長くしてタイヤタグの有効寿命を延ばすというタグのプログラミングにおける利点を提供する。
【0011】
車両が固定RTを通過する時にタイヤデータを読むことも望ましいかもしれない。従って、各タイヤタグを迅速且つ積極的に識別するためのシステムが非常に望ましい。
本発明は、電池寿命を著しく大事に使う幾つかの休眠モード及び部分覚醒モードを含んでおり、新規なタグ識別技術を提供し、タグ性能を改良する適合可能な送信オプションを提供する。
更に、感知器の測定機能と記憶機能とは、タイヤタグと遠隔設置されているRTとの間の通信機能から独立して動作する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、タイヤタグの様なパラメータ測定装置を含むタイヤタグ電子管理システム(ETMS)を提供することによって、従来技術の不都合を解決する。一つの実施形態では、タイヤタグは、通常は、電力を大事に使う様にRC監視タイマのみが作動している深い休眠モードにある。タグは、周期的基準で周期的且つ部分的に覚醒し、低速クロックを始動させ、感知器による測定を受信し及び/またはあるかもしれない呼掛信号を探すためにもっと覚醒すべき時であるか否かを決定し、もしその時でなければ、探索モードカウンタを一だけ調整して、深い休眠モードへ戻る。
【0013】
もしもっと覚醒すべき時であるとタグが決定すれば、タグは、低速クロックを使用し続けて、感知器カウンタを調べることによって感知器を読み取るべき時であるか否かを決定し、もし感知器を読み取るべき時であれば、タグは空気圧や温度の様な感知器データを読み取って記憶する。もし感知器を読み取るべき時でなければ、タグは、感知器カウンタを一だけ調整して、遠隔読取機/送受信機(RT)からの呼掛信号(順方向リンクパケット−FLPとも呼ばれる)を調べる。呼掛信号と思われるものをもしタグが検出すれば、タグは呼掛モードへもっと覚醒する。呼掛信号と思われるものをもしタグが検出しなければ、タグは、低速クロックを使用し続けて、自律送信(AT)カウンタを調べることによって自律送信を実行すべき時であるか否かを決定する。もしATを実行すべき時でなければ、タグはATカウンタを一だけ調整して深い休眠モードへ戻る。もしATを実行すべき時であれば、タグは、呼掛モードへ覚醒し、高速クロックを始動させて、ATを実行する(例えば、タグは最後に記憶された感知器データをRTへ送信する)。
【0014】
呼掛モード中で、タグは、高速クロックを始動させ、入ってきた送信が有効な呼掛信号であるか否かを調べるためにその入ってきた送信の少なくとも一部を読み取り、入ってきた送信がもし有効な呼掛信号であればその呼掛信号に応答する。入ってきた送信がもし有効な呼掛信号でなければ、タグは、予め決められている時間の間、有効な呼掛信号を待つ。その所定時間内にもし有効な呼掛信号が検出されなければ、タグは高速クロックをオフにして再び深い休眠モードへ入る。所定時間内にもし有効な呼掛信号が検出されれば、タグはその有効な呼掛信号に応答する。
【0015】
もう一つの実施形態では、呼掛信号に同時に応答している二つ以上のタイヤタグからの混信を防止するために、システムは特定のタイヤタグを識別するための新規な逐次近似ルーチン(SAR)を使用する。その時には、RTはその識別されたタグに一時的識別番号を割り当ててそのタイヤタグへ指令信号を送信する。
タイヤパラメータが規定閾値の範囲を超える様な特定の警報状態が発生していれば、その新規なシステムは遠隔読取機/送受信機(RT)への自律送信(AT)を実行することもできる。
タグは、プログラムされた規則的間隔で自律送信(AT)を行う様にプログラムされていてもよい。
タグは、その「休眠/覚醒」ルーチンによって電池電力を大事に使う。
本発明は、更に、多くのタグの中から特定のタグを識別する簡潔な方法を提供する。
タグは、これらの機能及びその他の機能を実行する様にプログラム可能である。
【0016】
従って、エネルギーを大事に使うタイヤ電子管理システムを提供することが本発明の目的である。
幾つかの機能が実行され得る様にプログラム可能であるタイヤ電子管理システムを提供することが、本発明の更なる目的である。
多くのタグの中から特定のタグを識別する方法と、複数のタグが同時にRTの範囲内にある時に特定のタイヤタグへデータを送信し且つ特定のタイヤタグからデータを受信する方法とを提供することが、本発明のもう一つの目的である。
タイヤの寿命の間に亙ってタイヤデータを記録するタイヤタグを提供することが、本発明の更なる目的である。
寿命の間タイヤに永続的に取り付けられていてタイヤの全履歴が取得されることを可能にするタイヤタグを提供することが、本発明の更にもう一つの目的である。
【0017】
タイヤタグが周期的に覚醒し警報状態または周期的間隔の満了の様な特定の状態に応じて一つ以上のタイヤパラメータをRTへ自動的に送信する自律送信モードを含むタイヤ電子管理システムを提供することも、本発明の目的である。
データの受信及び送信機能から完全に独立しているタイヤパラメータ測定機能を有するタイヤタグを提供することが、本発明の更なる目的である。
タイヤパラメータを測定し且つその測定パラメータを記憶するタイヤタグ回路が、遠隔RTと通信するタイヤタグの能力から独立して動作する、タイヤ電子維持システムを提供することも、本発明の目的である。
【0018】
本発明のこれらの特徴及びその他の特徴は、下記の発明の実施の形態と共に理解すれば、もっと十分に明らかになる。なお、下記の発明の実施の形態では、同じ符号は同じ構成部分を示している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一つの実施形態によるタイヤ電子管理システム(ETMS)を構成している部品の全般概要図である。
【図2】タイヤタグと共に使用されてよい代わりのアンテナ構成の詳細図である。
【図3】(A)〜(D)は、プリント回路板に対して平行であり且つ僅かに離隔されているアンテナを各々が有している埋込タイヤタグ組立品の、夫々側面図、平面図、斜視図及び端面図である。
【図4】(A)〜(D)は、プリント回路板に対して平行であり且つ僅かに離隔されているアンテナを各々が有している非埋込タイヤタグ組立品の、夫々側面図、平面図、斜視図及び端面図である。
【図5】(A)〜(E)は、夫々、タイヤタグ及びパッチの一つの実施形態の側面図、断面図、分解されている埋込 タイヤタグ組立品とタイヤタグが装着されるパッチとの斜視図、タイヤパッチに装着されている埋込タイヤタグ組立品の斜視図、並びに(B)に示されている埋込タイヤタグ及びパッチの一部の断面図である。
【図6】(A)〜(E)は、夫々、タイヤタグ及びパッチのもう一つの実施形態の側面図、断面図、分解されている埋込タイヤタグ組立品とパッチとの斜視図、組み立てられているタイヤタグ及びパッチの斜視図、並びに(B)に示されているタイヤタグ及びパッチの一部の断面図であってタイヤタグがパッチとどの様に結合するのかを示している断面図である。
【図7】(A)〜(D)は、タイヤパッチに装着されている埋込タイヤタグ組立品のもう一つの実施形態の、夫々平面図、側面図、斜視図及び端面図である。
【図8】埋込タイヤタグの一つの実施形態を示しており図9とは反対側の斜視図である。
【図9】埋込タイヤタグの一つの実施形態を示しており図8とは反対側の斜視図である。
【図10】プリント回路板に垂直なアンテナを有しており且つ矩形の基部を有している埋込タイヤタグ組立品のもう一つの実施形態の、夫々背面図、平面図、端面図及び平面図、並びに斜視図である。
【図11】T形に隆起した台地を有するパッチを組み立てるために使用されている層を示している積層タイヤパッチの平面図である。
【図12】図11に示されているパッチの側面図である。
【図13】本発明の一つの実施形態によるタイヤパッチを製造するために使用されている上半分の鋳型のT形台地を示しており、(A)〜(C)は、夫々、鋳型の平面図、断面図、及び(B)に示されている鋳型の一部の断面図である。
【図14】(A)、(B)は、図13(A)〜(C)に示されている鋳型の下半分の、夫々平面図及び側面図である。
【図15】複数のタイヤタグと複数の読取機/送受信機(RT)とが使用されている本発明のETMSのもう一つの実施形態を示す図である。
【図16】本発明によるタイヤタグのもっと詳細なブロック図である。
【図17】深い休眠モード、意識清明休眠モード、探索モード及び呼掛モードを含むタイヤタグの種々の動作モードを示す図である
【図18】システムと共に使用され得る種々の読取機を示すETMSの一つの実施形態の一般的なブロック図である。
【図19】本発明の一つの実施形態によるRTのもっと詳細なブロック図である。
【図20】本発明の一つの実施形態によるタイヤタグのもっと詳細なブロック図である。
【図21】何日かに亙る所定の時刻に測定された車両の異なる位置における幾つかのタイヤについての報告された動作時圧力のグラフである。
【図22】同じ日付時刻に測定された図21と同じタイヤについての報告された動作時温度のグラフである。
【図23】同じ日付時刻に測定された図21と同じタイヤについての計算された常温タイヤ空気圧のグラフである。
【図24】タグ逐次近似ルーチン(SAR)流れ図を示す流れ図である。
【図25】読取機SAR流れ図を示す流れ図である。
【図26】ウェブを経由してタイヤデータに遠隔アクセスするためのユーザインタフェースの一つの実施形態を示す画面ショットである。
【図27】ウェブを経由してタイヤデータに遠隔アクセスするためのユーザインタフェースの一つの実施形態を示す画面ショットである。
【図28】ウェブを経由してタイヤデータに遠隔アクセスするためのユーザインタフェースの一つの実施形態を示す画面ショットである。
【図29】ウェブを経由してタイヤデータに遠隔アクセスするためのユーザインタフェースの一つの実施形態を示す画面ショットである。
【図30】ウェブを経由してタイヤデータに遠隔アクセスするためのユーザインタフェースの一つの実施形態を示す画面ショットである。
【図31】ウェブを経由してタイヤデータに遠隔アクセスするためのユーザインタフェースの一つの実施形態を示す画面ショットである。
【図32】ウェブを経由してタイヤデータに遠隔アクセスするためのユーザインタフェースの一つの実施形態を示す画面ショットである。
【図33】ウェブを経由してタイヤデータに遠隔アクセスするためのユーザインタフェースの一つの実施形態を示す画面ショットである。
【図34】ウェブを経由してタイヤデータに遠隔アクセスするためのユーザインタフェースの一つの実施形態を示す画面ショットである。
【図35】ウェブを経由してタイヤデータに遠隔アクセスするためのユーザインタフェースの一つの実施形態を示す画面ショットである。
【図36】ウェブを経由してタイヤデータに遠隔アクセスするためのユーザインタフェースの一つの実施形態を示す画面ショットである。
【図37】本発明の一つの実施形態に従って使用される通信規約の概要図である。
【図38】タグへのFLP及びタグからのRLPのタイミングを示す図である。
【図39】本発明の一つの実施形態で使用されているマンチェスター符号化を示すタイミング図である。
【図40】本発明の一つの実施形態によるFLP及びRLPのタイミングを示すタイミング図である。
【図41】本発明の一つの実施形態によるFLP及びRLPのタイミングを示すタイミング図である。
【図42】本発明の一つの実施形態によるFLP及びRLPのタイミングを示すタイミング図である。
【図43】本発明の一つの実施形態によるタグファームウェアの全機能の流れ図である。
【図44】意識清明休眠を示す流れ図である。
【図45】初期化を示す流れ図である。
【図46】感知器の処理を示す流れ図である。
【図47】感知器の処理を示す流れ図である。
【図48】探索処理を示す流れ図である。
【図49】呼掛処理を示す流れ図である。
【図50】割込サービスルーチンを示す流れ図である。
【図51】順方向リンクパケット(FLP)の形式を示す図である。
【図52】パケット処理(予備識別)を示す流れ図である。
【図53】パケット処理(データシフト処理)を示す流れ図である。
【図54】指令ルーチンを示す流れ図である。
【図55】EEPROMルーチンを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
タイヤ電子管理システム(ETMS)の一つの実施形態のブロック図が、図1に示されている。車両12に装着されているタイヤ10内に、タイヤタグ14が設置されている。タイヤ10の内部にタイヤタグ14を取り付ける種々の方法が種々の特許及び関連出願で説明されており、これらには、"Method for Embedding a Monitoring Device Within a Tire During
Manufacture"という名称の米国特許第5,500,065号、"Method of
Monitoring Conditions of Vehicle Tires"という名称の米国特許第5,562,787号、"Tires Containing a Monitoring Device for Monitoring an
Engineering Condition Therein"という名称の米国特許第5,573,610号、"Method of Monitoring Conditions of Vehicle Tires and Tires
Containing a Monitoring Device Therein"という名称の米国特許第5,573,611号、及び1997年9月17日に出願された"Method and Apparatus for Bonding an Active Tag to a Patch and
a Tire"という名称の米国特許第5,971,046号があり、これらの総てが本発明の譲受人に譲渡されており、これらの全体が参照によってそっくりそのまま本明細書に組み入れられている。
【0021】
タイヤタグ14は、マイクロ制御装置及びRAM記憶装置16、一つ以上の監視装置(感知器)18、及びタイヤタグアンテナ20を含んでいる。信号は、タグアンテナ20を経由してタイヤタグ14によって送受信される。タイヤタグ14に通電するために、電池22の様な電源が備えられている。遠隔呼掛機26に対して信号を送受信するために、タグ14にRF回路21も備えられている。車両12は個々のタイヤ10毎にタイヤタグを有することが好ましい。
【0022】
呼掛機26は、タグ14と対話的に動作する様に設計されている。特定の実施に依存する種々の部品を呼掛機26が含んでいてよいことが認識されるべきであり、それらの部品そのものの設計が特定の実施に適合可能であってよい。例えば、呼掛機26は、携帯型であっても、呼掛による駆動用に固定的に装着されていても、車両12に設置されていてもよい。
【0023】
一般的なレベルでは、呼掛機26は、アンテナ28、読取機/送受信機(RT)30、及び読取機処理装置(RP)32を含んでいる。アンテナ28は、タグアンテナ20からの信号を受信し且つ呼掛機26からタグ14(またはその他のタグ)へデータを送信する様に構成されている。RT30は、タグ14に対する信号の送受信用の一つのシステムを示している。RP32は、通信チャネル33を経由してRT30と対話する。RP32は、タグデータを受信及び解釈し、通信チャネル29を経由するタグ14への送信のためにRT30へ指令信号を供給する。
【0024】
RP32からユーザインタフェースサイト36へ通信チャネル34が備えられていてよい。このユーザインタフェースサイト36は、野外支援コンピュータ(FSC)、非インテリジェント端末若しくはインテリジェント端末、またはRP32によって処理されたデータに対してユーザが見る及び/若しくは対話することを可能にするその他の装置であってよい。通信チャネル29、33、34は、イーサネット(登録商標)リンク、インターネットリンク、有線リンク、無線リンク、マイクロ波リンク、衛星リンク、光リンク、ケーブルリンク、RFリンク、LANリンク、またはその他の通信リンクを含んでいてよい。更に、ユーザインタフェースサイト36(分離して示されているが)は、呼掛機26内に組み入れられていてよい。一つの実施形態では、RP32は野外支援コンピュータ(FSC)36の機能を含んでいる
【0025】
あるいは、読取機処理装置(RP)32及び読取機/送受信機(RT)30が別個の装置であり、RP32がユーザインタフェースサイト36の一部であってそれ自体がRT30から遠く離れていてもよい。RT30は、単一装置として示されているが、幾つかの実施形態では複数のRT装置であってよい。一例として、車両12の両側に物理的に設置されておりRT30が設置されている車両12の片側から各々のRT装置30がタグ14を読む個々のRT装置30を提供することが、幾つかの状況では好都合であるかもしれない。個々のタイヤ10から取得されたデータは、タイヤ管理システムの一部を形成している「タイヤ」データベースへその後にダウンロードされてよい。
【0026】
図1では、タイヤタグアンテナ20はブロック図中にブロックの一つとして示されている。しかし、片方または両方のタイヤ壁を貫通するタイヤタグ信号の送信と耐久性とにとって、特定の実施のための特有のアンテナデザインが有用であることを、本願の発明者が見出した。一つの実施形態では、タグアンテナ20は、埋め込まれて(つまり、Stycast(登録商標)の様なエポキシ樹脂内に閉じ込められて)、タイヤの内側に永久的に接着されるゴムタイヤパッチ内に装着される、図2(A)に示されている単極アンテナ20Aである。一つの実施形態では、そのパッチは、硬化処理されたタイヤのインナライナであってよい内壁に接着されている。アンテナ20Aは、この分野で公知な様に結線24を経由してタグ電子装置に接続されている。単極アンテナ20Aは、双極構成と同じRF信号能力を達成するが寸法は小さい選曲可能なアンテナである。図2(A)に示されているアンテナ20Aは、相対的な寸法比率でも実際の寸法比率でも決して示されておらず、単に一例である。従って、その単極構成は殆ど質量を有してない非常に小さなタグの製造を可能にしている。好ましい実施形態では、そのアンテナは、長さ2インチ(5.08センチメートル)であり、直径0.040インチ(0.1016センチメートル)の通例のバスワイヤで作られている。
【0027】
図2(B)(C)は、アンテナ素子20Bが双極方式で動作してタイヤタグ14の電子装置に接続されている二つのストリップつまりアームである、実施形態を示している。アンテナ素子20Bは、ゴムタイヤ10の内側に永久的に貼付されているゴムパッチ39(図3〜11に示されている)に取り付けられている。タイヤへの良好な接続を確実にするために、タグ14の部品及びアンテナ20は、Stycastの様なエポキシ樹脂内に最初に閉じ込められて、タイヤ10の内側に取り付けられているゴムパッチ39にその後に貼り付けられるのがよい。
【0028】
電子プリント回路板38(図3(A)及び図10(A)に例示されている)と別個のアンテナ20との両方が一つのブロック内に閉じ込められる様に、これらをエポキシ樹脂内に閉じ込めることが好ましい。その閉じ込めブロック(タグ14)はパッチ39に接着されるかまたは別の方法で付着されてよく、これが今度はタイヤ10の内壁つまり多分インナライナに接着される。このアプローチの利点は幾つかある。第一に、閉じ込めは機械的保全性を改良する。アンテナ20が電子プリント回路板(PCB)38と一緒に閉じ込められていると、パッチ39に関連する機械的応力にアンテナ20が曝されない。第二に、アンテナ20をPCB基板から離隔させることによって、アンテナ20は、PCB38上の接地面から遠く離れて設置されることができ、従ってもっと強い信号を供給し、このことはコストのもっと低い回路基板の使用も可能にする。第三に、この好ましいアンテナは、信号を全方向へ放射する単極アンテナであり、パッチアンテナの様な単一方向アンテナに対して利点を有していると信じられている。第四に、適切に嵌め込まれればアンテナ20を密着装填させる埋込材料内にアンテナ20が閉じ込められていれば、部品がよりよく嵌め込まれる。第五に、その様な埋込組立品の製造においては、マイクロストリップ回路のインピーダンスを厳格に制御する必要がなく、プリント回路板38を高価な材料で作る必要がなく、ゴムパッチ39内でのアンテナ20の組立工程が削除されるので、その様な埋込組立品の製造コストが低い。第六に、埋込タグ組立品は、使用中のタイヤの内側で遭遇される過酷な環境でタグ14が動作することを可能にする。
【0029】
図2(C)に示されている様に、もっと短い双極アンテナ素子20Dが使用され得る様に、誘導子20Eが双極アンテナ素子20Dと直列に配置されてよい。
【0030】
図3(A)〜(D)に、Stycast(登録商標)の様な材料かまたは標準的に使用されているその他の任意の埋込材料内に埋め込まれているつまり閉じ込められているタイヤタグ14の一つの実施形態が開示されている。図3(A)は、プリント回路板38に平行な平面内でプリント回路板38に取り付けられているアンテナ20を有するプリント回路板38を示している側面図である。図3(B)は新規な埋込タイヤタグ14の平面図であり、図3(C)は斜視図であり、図3(D)は端面図である。なお、タイヤタグ14の基部13は、引き延ばされており、一般に卵形であり、後述される様にタイヤパッチ39上に装着するための窪み15を内部に有している。アンテナ20はPCB38の延長部20Aの下方にある。
【0031】
図4は、Stycast(登録商標)の様なエポキシ材料内に埋め込まれる前のタイヤタグ14のもう一つの実施形態を示している。このタイヤタグ14は、延長部20Aを有するPCB38を含んでいる。延長部20Aの下方にアンテナ20があり、アンテナ20は延長部20Aとほぼ平行である。図4(A)は側面図であり、図4(B)は平面図であり、図4(C)は斜視図であり、図4(D)は正面図である。
【0032】
図5は、埋込タイヤタグ14を成形タイヤパッチ39に装着する一つの方法を示している。図5(A)は、タイヤパッチ39に装着されている埋込タイヤタグ14の側面図である。図5(B)は、タイヤパッチ39に形成されているメサつまり台地部分39Dに装着するための、埋込タイヤタグ14における基部13の下方の窪み15を示す、線5B−5Bに沿って取り出された図5(A)の断面図である。図5(C)は、埋込タイヤタグ14と、このタイヤタグ14を受け入れるためにその上面に形成されているメサつまり台地部分39Dを有するタイヤパッチ39とを示す分解斜視図である。
【0033】
図5(D)は、タイヤタグ14がタイヤパッチ39に組み合わされている場合のタグ組立品の斜視図である。図5(E)は、埋込タイヤタグ14の凹形の基部15がタイヤパッチ39のメサつまり台地部分39D上に配置されている状態を示す、図5(B)の一つの角部の断面図である。タイヤパッチ39は、任意の公知の方法でタイヤタグ14に接着されてよい。
【0034】
図6(A)〜(E)は、タイヤタグ14をタイヤパッチ39に取り付ける別の方法を示すもう一つの実施形態を表している。図6(B)、(E)に見られる様に、タイヤパッチ39はT形のメサ39Dを有しており、タイヤタグ14の凹形の基部13はタイヤパッチ39のT部39Aを受け入れるための嵌め込み窪み14Aを有しており従って図示の様にタイヤパッチ39をタイヤタグ14に固定する。
【0035】
タイヤタグ14がタイヤ10から可能な限り絶縁される様にタイヤタグ14をタイヤパッチ39上に配置することが望ましい。その様な基本的な構造は、共有譲渡された米国特許第6,030,478号に示されている。しかし、タイヤパッチ39へのタイヤタグ14の最良の可能な取付けを確実にするために、図6(A)〜(E)に示されているタイプのタグ装着を使用することが好ましい。その様なメサ39Dをタイヤパッチ39上に構築するために、特別な構造のタイヤパッチ39が使用されている。従って、タグ14とパッチ39との両方の周囲における全面成形閉じ込めで柔軟なゴムパッチ39を圧縮状態に保持することによってタイヤタグ14をタイヤパッチ39に確実に取り付け、且つ、動いているタイヤ内で遭遇される応力及び振動からタイヤタグ14を隔離することを助ける、特有な構造のタイヤパッチ39上に埋込タイヤタグ14が装着されている。
【0036】
図6(B)、(E)において、タイヤパッチ39上におけるメサ39Dの周辺部から外方へ広がっている肩部39Aを受け入れる内向き脚部14Bによって形成されている窪み14Aをタイヤタグ14の基部13が有していることが分かる。なお、肩部39Aから下方へ広がっており且つ肩部39Aに垂直なタイヤパッチ表面39Cに窪み14Aが接触しており、肩部39Aの直下に弧状凹形窪み39Bが形成されている。この窪み39Bの目的は、タイヤが発生する応力からタイヤタグ14をもっと隔離させてタイヤタグ14の寿命を延ばすために、タイヤパッチ39内の応力を分散させることである。タイヤ10へのタイヤパッチ39の装着中に使用される公知の縫い道具が窪み39B内の空気を除去してパッチ39とタイヤ10とをもっと強固に取り付けることを弧状凹形窪み39Bが可能にするので、この目的が完遂される。上述のこの新規な窪み構造は、本明細書中に開示されている各々の実施形態中で使用され得る。
【0037】
タイヤ10内におけるタイヤタグ14の配置は、意味があって且つ重要である。タイヤ10内におけるタイヤタグ14の位置は、タグ14の寿命のみならず、タイヤ10の壁を貫通してタグ14が信号を送信する能力にも影響を及ぼす。オフロードタイヤは直径と幅との両方で極端に大きい。周知の様に、ビード11A、11B領域(図15参照)を強化するためにこの領域近傍に周辺を取り囲んで置かれている鋼鉄コードつまりワイヤを、幾つかのタイヤが含んでいるかもしれない。図15に示されている様に、放射状に延びているコード17が、離隔放射状に、タイヤ10の一方側における一方のビード11A、11Bからタイヤ10の他方側における対応するビード11A、11Bへ延びていてよい。この構造は、タイヤのビード領域を強化しており、且つ、タイヤをビード領域で僅かにしか撓ませない。一方では、タイヤ10の壁を貫通する良好な無線送信を可能にするために、鋼鉄コードつまりワイヤが可能な限り離隔されている領域にタイヤタグ14が存在する必要があるので、鋼鉄コードつまりワイヤが設置されている領域、特にビード領域内の領域は、タイヤタグ14にとって理想的な位置ではない。
【0038】
しかし、他方では、タイヤタグ14に及ぶ応力を最小限にするタイヤ10の領域にタイヤタグ14が設置されている必要がある。また、パッチ39がその上のタグ14と共に配置されているホイールリムまたはタイヤビードから離隔するほど、タイヤ壁を貫通する無線送信が良好になる。これは、タグ14が設置されているビード(周辺を取り囲む大きな鋼鉄ワイヤつまりコードが配置されている)から離隔するほど、ビードかまたはその近傍に設置されている鋼鉄コード(つまりワイヤ)とタイヤ内の何らかの鋼鉄ベルトとによってタグ14が影響を及ぼされにくくなるからである。
【0039】
放射状に延びている任意の二本のワイヤ17間の距離は、タイヤ10の踏面の中央で最大になる。周知の様に、放射状に延びているワイヤ17は、タイヤ10の両側におけるビードから離隔するに連れて増加する間隔を有している。ワイヤ間のこのより広い間隔は、タイヤ10を貫通するより良好な無線送信を可能にする隙間を作り出す。従って、タイヤ10を貫通する送信は、タイヤのビードからの最大距離の位置で最も良好になる。
【0040】
従って、タイヤタグ14への応力を最小限にし同時にタイヤ10の壁を貫通する十分な無線送信を可能にするために、タイヤのビードから十分に離隔している何れかの最適な位置にタイヤパッチ39を(その上のタイヤタグ14と共に)置くことが望ましい。このやり方では、タグ14への応力が最小限にされ、同時に、十分な無線送信が得られる。従って、タイヤ壁上におけるタイヤパッチ39の位置は妥協である。タイヤビードから十分に離隔している距離ではタイヤ壁を貫通する十分な信号送信を可能にするが、ある位置ではタイヤ10のひどい撓みによるタイヤタグ14への応力及びそれに伴う損傷を減少させる。
【0041】
オフロードタイヤでは、組み合わされているタイヤパッチ39/タイヤタグ14をタイヤ10に装着するのに好ましい領域はタイヤのビードから(放射方向へ)約6〜約20インチ(約15.24〜約50.8センチメートル)であると決められていた。この好ましい距離は、タイヤの具体的な寸法及びタイプに依存する。一つの実施形態では、この距離はビード(またはホイールリム)から約12〜15インチ(約30.48〜38.1センチメートル)である。タイヤパッチ及びタグを好ましい領域に装着することは、周辺を取り囲んでいる鋼鉄ワイヤ及び放射状に延びているワイヤ17の間隔からの距離が満足な無線送信を可能にするのに十分であることを確実にする。更に、この距離はパッチ39への応力を最低にし、従って、タイヤタグ14の寿命を延ばす。
【0042】
図7(A)〜(D)は、組立品全体がタイヤ10に接着され得る様に、矩形の埋込タイヤタグ14がタイヤパッチ39の窪み39E内に配置されてこの窪み39E内に取り付けられている、タイヤタグ14及びタイヤパッチ39の更にもう一つの実施形態を示している。図7(A)〜(D)に示されている様に、図16に示されている圧力感知器74によってタイヤ内の圧力がアクセスされることを可能にするために、タイヤタグ14の埋込内に開口部つまり口14Cが備えられている。しかし、(Tire Life(商標)の様な)流体を含んでいるタイヤ内でタグ14が使用される場合は、圧力感知器74はこの圧力感知器74への損傷を防止するためにその流体から保護されなければならない。この目的のために、流体が圧力感知器74に到達することを防止するために、この分野では公知の疎水性フィルタ14Dが開口部つまり口14C内に配置されている。
【0043】
PCT特許出願WO99/29524号は、圧力感知器と空気注入室との間の圧力平衡のための通路を提供するウィッキング装置を使用する内部に閉じ込められた圧力感知器を有するタイヤタグを開示している。このウィッキング装置は、接着剤、ゴム、埃等が空気注入室から圧力感知器へ通過することを防止しつつ、気体分子は空気注入室から圧力感知器へ通過することを可能にする。しかし、それは、ウィッキング装置であるので、タイヤ内の液体が感知器へ移されることを防止しない。それと対照してみると、本発明の疎水性フィルタは、接着剤、ゴム、埃及び類似の汚染物質が圧力感知器に到達することを防止するのみならず、どの様な流体が圧力感知器74に到達することをも防止する。
【0044】
図8、9は、タイヤタグ14がエポキシ樹脂内に埋め込まれた場合の本発明の一つの実施形態を示す対立斜視図である。この埋込形状は図3(A)〜(D)に示されている埋込形状と同じである。
【0045】
図10(A)〜(D)は、タイヤタグ14の基部14Aが卵形である代わりに矩形であることを除いて、図4に示されている実施形態に類似している。この組立品も、タイヤタグプリント回路板38に垂直なアンテナ20と共に埋め込まれている。
【0046】
図11は、図6に示されているタイヤタグ14の実施形態を受け入れるためのT形に隆起した卵形台座つまりメサ39Dを中央に有するタイヤパッチ39の平面図である。
図12は、図11及び図6に示されている様に、パッチ39を形成し且つタイヤタグ14がその上に装着されるT形の台座39Dを作り出すために種々の層39Fが使用されている任意的なタイヤパッチ構造を示すタイヤパッチ39の側面図である。
【0047】
図13(A)〜(C)は、タイヤタグ14がそこに装着され得るT形の台座、台地つまりメサ39Dを有するタイヤパッチ39を作るための鋳型39Gを示している。
図14(A)(B)は、図13に示されている鋳型39Gの下半分39Hを示している。
【0048】
図15は、図1に示されているシステムのもう一つの実施形態を示している。この実施形態では、二つのタイヤ10A、10Bを有しており、各々のタイヤがその内面に取り付けられている夫々のタイヤタグ14A、14Bを有している、車両12が示されている。これらのタイヤタグ14A、14Bは、「埋込」と呼ばれる硬質エポキシ樹脂の(または類似の)筐体若しくは被覆またはその他の任意の保護筐体内に閉じ込められていてよい自己出力型装置である。これらの埋込タグ14A、14Bは、例えば図11にのみ示されている様に、ゴムパッチ39内で夫々タイヤ10A、10B内に貼付されていてよい。参照によってそっくりそのまま本明細書に組み入れられている共有譲渡された米国特許第6,030,478号に開示されている様に、埋込タグ14A、14Bは硬化処理されたタイヤ10A、10Bの内壁に永久的に接着されている。一つの実施形態では、タグアンテナ20は、パッチ39のゴム構造内に配置されており、タグ電子装置に適切に接続されている。タグ/パッチ組立品は単一の装置としてタイヤ10に取り付けられている。
【0049】
第一の読取機/送受信機(RT)30A、第二の読取機/送受信機(RT)30B、アンテナ28A、28B及び読取機処理装置(RP)32を含む呼掛機26が、図15にも表されている。RT30A、30Bは、例えば固定ゲート読取機、携帯読取機または車載読取機を含む異なるタイプであってもよい。固定ゲート読取機は、ガソリンスタンド、格納庫、運搬道路等の様な固定位置における設備用に設計されている。最新のタグ感知器データを記憶装置から読み取る他に、車両12が静止している期間中または延長期間中にRTの範囲内でRT30がタグ履歴データをダウンロードしてもよい。固定ゲート読取機への通信は、有線電話線、RFリンク、モデムリンク、またはローカルエリアネットワーク(LAN)リンクによることができる。固定ゲート読取機、携帯読取機及び車載読取機は、圧力データ及び温度データの様なタイヤデータを収集する。
【0050】
一つの実施形態では、特に、車両12に対してタイヤが装着されまたは取り外される時にタグ14を初期プログラミングまたは再プログラミングし、最後に記憶された感知器データをタグから読み取り、またタグ履歴データをタグ14からダウンロードするために使用される携帯読取機30を、呼掛機26が含んでいる。携帯読取機30は、電池から電力を供給され、キーパッド/キーボード、タッチスクリーンまたはこの分野で公知のその他の入力装置、ユーザとの対話及びデータ表示用のLCD表示装置、データ検索と遠隔サーバ50へのダウンロードとの間の長期間に亙る複数のタグからのタグデータを保持するための十分な記憶装置、及び記憶されているタグデータが遠隔サーバ50内のデータベースへダウンロードされることを可能にするための通信チャネル51を含んでいる。この通信チャネル51は、例えば、RS−232シリアルリンク、イーサネット(登録商標)リンク、または当業者に公知のその他の何らかの通信リンクを含んでいてよい。
【0051】
図15に示されている様に、呼掛機26のこの実施形態は読取機/送受信機(RT)30A、30Bを含んでいる。各々のRT30A、30Bは夫々アンテナ28A、28Bに結合されている。読取機処理装置(RP)32は、通信チャネル40を介してRT30A、30Bと通信している別個の部品である。読取機処理装置32は、通信チャネル44を介して第一のデータ送信装置42(例えば、モデム)に接続されていてよい。なお、RT電源はRP32内に設置されていてよい。第一のデータ送信装置42は、必要に応じて、通信チャネル47を介して第二のデータ送信装置46(例えば、モデム)と通信する様に構成されている。本明細書で使用される場合、「通信チャネル」という用語は、イーサネット(登録商標)リンク、インターネットリンク、有線リンク、無線リンク、マイクロ波リンク、衛星リンク、光リンク、ケーブルリンク、RFリンク、LANリンク、またはその他の通信リンクを経由する通信を含んでいる。第二のデータ送信装置46は、RS−232シリアルリンク、イーサネット(登録商標)リンク、またはその他の通信リンクの様な通信チャネル49を経由して、野外支援コンピュータ(FSC)または遠隔サーバを含んでいてよいユーザインタフェースサイト48と通信する様に設計されている。
【0052】
上述の様に、本発明の種々の構成が用いられ得る。図15に示されているその様な構成の一つは、野外支援コンピュータ48から遠隔サーバ50へ転送されるデータを有している。一つの実施形態では、野外支援コンピュータ48からの情報は、インターネットの様な通信チャネル51を渡って、通信チャネルを経由して種々のコンピュータノード52A〜52Nに接続されている遠隔サーバ50へ転送される。この遠隔サーバ50は、タグデータのデータベースを作動させ且つ維持する適切なソフトウェアを有するパーソナルコンピュータ、ウェブサーバ、またはその他のコンピュータであってよい。ノードは、例えばインターネットを経由して遠隔サーバ50にアクセスすることのできる携帯コンピュータまたは遠隔設置されているコンピュータであってよい。RP32、野外支援コンピュータ48、及び遠隔サーバ50は、例えば、二つ以上の別個のコンピュータ、異なる仮想装置に区分されている一つのコンピュータ、または二つの部品として作動すると共に第三の部品として作動する第二のコンピュータに接続されている一つの仮想装置であってよい。
【0053】
ユーザインタフェースサイト48は、タグ14が装着されているタイヤ10を有する車両12に搭載されているRT30であってもよい。一つの実施形態では、このRT30は、車両12によって電力を供給され、RFリンクまたはその他の通信リンクを含む通信チャネルを経由して遠隔サーバ50へタグデータがダウンロードされるまでこのタグデータを記憶しておく能力を有している。
【0054】
図15に示されているシステムは、低空気圧/高温度警報状態を早期に警告するために鉱区の様な特定の場所の周囲における固定位置に取り付けられている固定監視読取機を含んでいてよい。固定監視読取機は、例えば、鉱区の周囲や、大きな交差点、車両準備進路、ショベルカー基地、粉砕機基地、ダンプカー基地、積込み機基地、整備作業場、タイヤ販売店等の様な種々の位置に設置されている主に受信専用読取機である。この監視読取機の目的は、各々の車両12に車載読取機を供給することによって達成されるよりも低コストである低圧力または高温度の様な警報状態を合図するためのシステムを提供することである。監視読取機は、通常は、一つ以上のタグから送信されている自律送信(AT)パケットを受信する。ATパケットは、(圧力不足状態または過熱状態の様な)タグ警報状態を示す。監視読取機は、監視読取機の範囲内を車両が通過する時に、最後に記憶されたタイヤ感知器データを含むATパケットを受信することもできる。一つの実施形態では、タグ14から監視読取機へ送信された警報信号は、(Modular Mine(商標)の様な)ディスパッチシステム、有線電話線、RFモデム、または類似の通信チャネルを経由して遠隔サーバ50へ中継される。あるいは、読取機処理装置32またはユーザインタフェースサイト(例えば、野外支援コンピュータ)48が、種々のタイプのRTのうちの一つから、例えば、ディスパッチシステムへタイヤタグデータ及び/または警報信号を転送してもよい。そのディスパッチシステムは、その後、タイヤ電子管理システム(ETMS)データベースとして作動する遠隔サーバ50へこのデータを転送する。固定ゲート読取機及び監視読取機の具体的な位置は、必要に応じて顧客毎に異なる。
【0055】
図15に示されている実施形態では、工業、科学及び医療(ISM)周波数帯(902〜928MHz)で動作している無線RFリンク(例えば、29A)によって、データがタイヤタグ14から呼掛機26によって取得される。その他の周波数帯が、本発明からそれることなく使用され得る。この周波数帯は、連邦通信委員会規則第15部(47C.R.F.§15)のもとに認証された無免許の送信機用に主に意図されている。コードレス電話機及び無線LANの様な多くの装置がISM周波数帯を共有しており、本発明のタイヤ電子管理システムはこれらの他の装置の間で共存し且つ強固に動作する様に設計されている。
【0056】
信号の混信を最小限にするために、順方向リンクチャネル(つまり、読取機からタグへ)の周波数は、擬似ランダム法(周波数ホッピング)によってISM周波数帯内の利用可能な幾つかのRFチャネルの間で変えられる。この周波数帯で動作しているその他の装置からの連続的な混信を防止するために、各々の順方向リンク指令は擬似ランダム法における以前の指令とは異なる周波数で送信される。周波数ホッピングも、システムが47C.R.F.§15による最高信号放射(+36dBM)を送信することを可能にする。902〜928MHzのISM周波数帯は、一つには、タイヤ壁を貫通して信号を放射するのにこれらの周波数が効率的であると決定されたという理由のために選択された。一つの実施形態では、タイヤ壁を貫通して順方向リンクデータを放射するのに好ましい周波数は915MHzである。もっと低い周波数が使用されれば、帯域幅がもっと狭くなる。
【0057】
図15を参照すると、タイヤ10A、10B内に取り付けられているタイヤタグ14A、14Bは、温度及び空気圧の様なタイヤパラメータを感知するための感知器72、74(図16に示されている)を含んでいる。タイヤタグ14A、14Bは、次の項目を含む幾つかの機構をユーザに提供する。
タイヤの記録を保持するために使用され得る特有のタイヤ識別子。
タイヤ空気圧及びタイヤ温度を含むタイヤパラメータを表している最後に記憶された感知器データ。
タイヤパラメータをRTへ自律的に送信する能力。
圧力及び温度を含む監視された総てのタイヤパラメータの読出し、タイヤパラメータがプログラムされている範囲外である旨の決定、車両におけるホイール位置、タイヤ識別番号、及び車両識別番号。このデータは局所位置及び/または遠隔位置へ供給され得る。局所とはRTの位置(つまり、ガソリンスタンド、車載または車両の近隣)のことを指しており、遠隔とはデータが転送されるRTから隔てられている位置(つまり、タイヤ販売店、ディスパッチ)のことを指している。
パラメータが範囲外である場合に警報信号を自律的且つ周期的に送信する能力。警報信号が送信されるべきか否かを決定するために、タイヤパラメータが周期的にサンプリングされる。警報状態が存在しているか否かを決定するためにタグによって使用される警報閾値は、ユーザによってプログラム可能である。
ユーザによって選択された規定間隔に亙ってサンプリングされたタイヤパラメータの履歴。
警報閾値及び覚醒時間間隔を入力する能力。
【0058】
図16にタイヤタグ14がもっと詳細に示されている。図示されているタグ14は温度感知器72及び圧力感知器74を含んでいる。タグ14は、タイヤのローテーション回数の様なその他のタイヤパラメータを決定するためのその他の感知器を当然に含むことができる。温度感知器72の一つの目的は、圧力感知器74からのデータが基準常温充填圧力(例えば、20℃(68.0°F))における海面での圧力)に修正されることを可能にすることである。一つの実施形態では、温度感知器72はNational Semiconductor社によって製造されたモデルLM60BIM3である。長期間の探知及び記録のために使用されてよい圧力感知器74は、圧力変化を感知するために使用されている。一つの実施形態では、圧力感知器はSensym社によって製造されているモデルSCC 100AHO-GFである。タイヤタグ14は増幅された温度信号80を生じさせるために温度感知器72からのアナログ信号を増幅するための増幅器76をも含んでおり、増幅された温度信号80はマイクロ制御装置84のRAM記憶装置に供給されて記憶される。タグ14は増幅された圧力信号82を生じさせるために圧力感知器74からのアナログ信号を増幅するための増幅器78を更に含んでおり、増幅された圧力信号82はマイクロ制御装置84のRAM記憶装置に供給されて記憶される。マイクロ制御装置84は適切な時に感知器72、74へ感知器電圧86を供給する。一つの実施形態では、感知器72、74はマイクロ制御装置84へ供給されるアナログ出力を生じさせ、マイクロ制御装置84は後続の処理及び記憶のために感知器データにアナログ−デジタル(A/D)変換を施す。もう一つの実施形態では、感知器72、74は、マイクロ制御装置84によって直接に読まれ且つそのRAM記憶装置に記憶され得るデジタル出力を周知の方法で生じさせる。
【0059】
マイクロ制御装置84は信号線90を介してRF送信機88と通信する。RF送信機88は(図1のタグアンテナ20と一致している)タグアンテナ92と通信している。タイヤタグ14はリチウム電池(これには限定されない)の様な電源94によって電力を供給されるが、その他の満足な電池が使用され得る。一つの実施形態では、電源94は、Tadiran Lithium Batteries社によって製造された、1/2AA、3.6ボルト、1.2アンペア時(Ah)の二つのリチウム電池を含んでいる。
【0060】
タイヤタグ14は幾つかの動作モードを有している。代表的なモードは、タグが通常は無活動である(クロックは作動していないが、RC監視タイマは作動しており、このRC監視タイマは殆ど電力を使用しない)深い休眠モードである。タグ14はその時間の大部分をこの低電力モード中で過ごす。タグは、(監視タイマが時間切れになる時に)周期的且つ部分的に意識清明休眠モードへ覚醒して、低速クロックを始動させ、探索モードカウンタを調べることによって探索モードへ入るべき時であるか否かを決定し、探索モードへ入るべき時でなければ、探索モードカウンタを調整し(例えば、カウンタを一だけ減少させ)て、深い休眠モードへ戻る。
【0061】
そうではなく、探索モードへ入るべき時であれば、タグは低速クロックを使用し続ける探索モードへ入る。タグは、最初に、感知器カウンタを調べることによって感知器を読む取るべき時であるか否かを決定する。感知器を読む取るべき時であれば、タグは圧力及び温度の様な感知器データを読んで記憶する。感知器を読む取るべき時でなければ、タグは感知器カウンタを一だけ調整する(例えば、カウンタを一だけ減少させる)。タグは、次に、順方向リンクパケット(FLP)と呼ばれる遠隔読取機/送受信機(RT)30からの呼掛信号を調べる。タグが呼掛信号らしきものを検出すると、タグは呼掛モードへ完全に覚醒する。呼掛信号らしきものを検出しなければ、タグは、探索モードのままであり、自律送信(AT)カウンタを調べることによって自律送信を実行すべき時であるか否かを決定する。自律送信を実行すべき時でなければ、タグはATカウンタを一だけ調整し(例えば、カウンタを一だけ減少させ)て深い休眠モードへ戻る。自律送信を実行すべき時であれば、タグは、呼掛モードへ覚醒し、高速クロックを始動させて、自律送信を実行する(つまり、タグは、監視モード中で動作している何れかのRT30へ、最後に記憶された感知器データを送信する)。
【0062】
呼掛モード中では、タグは、高速クロックを始動させ、このタグ14用に意図されている有効な呼掛信号であるか否かを調べるために順方向リンク送信の少なくとも一部を読み、有効な呼掛信号であればその呼掛信号に応答する。そうではなく、その送信が有効な呼掛信号でなければ、プログラム可能な期間の間タグは有効な呼掛信号を待つ。その期間内に有効な呼掛信号が検出されなければ、タグは高速クロックをオフさせて再び深い休眠モードへ入る。有効な呼掛信号が検出されれば、タグは、RT30によって割り当てられている戻りリンクチャネル上のその有効な呼掛信号に応答する。あるいは、タグ14は各々の戻りリンクチャネル上の各々の呼掛信号へその応答を順次に送信する。
【0063】
図17は、本発明の一つの実施形態による、意識清明休眠モード、探索モード、呼掛モード及び深い休眠モードを含むタイヤタグ14の種々のモードと、これらのモードのタイミングとを示している。タグ14はその時間の大部分を休眠モードのうちの一つで過ごす。深い休眠モードの間は、タグ14は電池寿命を大事に使うのに役立つために電力を殆ど使用しない。再帰的評価モード(REM)は、深い休眠モード、意識清明休眠モード、探索モード、及び呼掛モード(完全に覚醒)への移行を含んでいる。タグ14は、感知器の読取を受け取るべき時であるか否かを決定し、順方向リンクパケット(FLP)らしきものの存在を探し、自律送信(AT)の時であるか否かを決定するのに十分に長い間だけ探索モードへ周期的に覚醒し、それから、感知器が読み取られた(必要であれば)後であってFLPらしきものが検出されず且つATの時でなければ、深い休眠モードへ戻る。
【0064】
深い休眠モード中では、タグのマイクロ制御装置84は静的休止状態にあり、その内部クロック発振器は停止されている。RC監視タイマのみが作動している。図16を参照すると、タグのマイクロ制御装置84は、深い休眠モード中では、如何なるプログラムを実行することも如何なる外部IOピンを制御することもできない。タグ14は、電池電力を大事に使うために、努力してその寿命の大部分をこのモード中で休眠している。深い休眠モードの間は、クロック発振器がオフであるので、深い休眠カウンタは内部R/C発振器によって周期的に(例えば、約18ms毎に)調整される(増加または減少される)。内部監視タイマー(WDT)が深い休眠カウンタを監視し、深い休眠カウンタが例えばヌル値(オールゼロ)を含んでいる時は、WDTはマイクロ制御装置84を覚醒させる(つまり、タグ14が意識清明休眠モードへ入ることができる様に、WDTは低速クロックを始動させる)。
【0065】
意識清明休眠モード中では、タグ14は、内部探索モードカウンタが例えばヌル値(オールゼロ)を含んでいるか否かを決定することによって探索モードへ入るべき時であるか否かを決定するのに十分なほど、覚醒している。意識清明休眠モードは低速クロックしか使用していないので、この意識清明休眠モードは最小限度量の処理と少量の電力としか必要としない。探索モードへ入るべき時でなければ、マイクロ制御装置84は探索モードカウンタを調整し(例えば、減少させ)それから深い休眠モードへ戻る。要するに、意識清明休眠モード中は、低速クロック発振器がオンにされてそのために低速クロック信号(例えば、37KHz)を生じさせており、探索モードカウンタが調整されており、探索モードカウンタがオールゼロを含んでいれば探索モードが実行され、探索モードカウンタがオールゼロを含んでいなければ低速クロック発振器がオフにされて深い休眠モードが再び始められる。
【0066】
探索モード中では、タグ14は、感知器を読み取るべき時であるか否かを決定することと、RT30からの順方向リンクパケット(FLP)らしき送信を探索することと、自律送信(AT)の時であるか否かを決定することと、を含む命令を実行するために低速クロック(例えば、37KHz)を使用し続ける。マイクロ制御装置84は、感知器カウンタを調べることによって、感知器を読み取るべき時であるか否かを決定する。感知器を読み取るべき時であれば、後述の様に、マイクロ制御装置84は各々の感知器からデータを順次に読み取って記憶する。感知器を読み取るべき時でなければ、タグ14は、マイクロ制御装置84が一定の期間に亙って特定の数の遷移を探索するという予備識別を実行することによって、FLPの存在を探索する。例えば、タグ14は、送信がFLPらしいということを示していることが分かる25msの期間に亙って最少でも71個の遷移を探索する様にプログラムされていてよい。遷移とは二進遷移(例えば、0から1、またはその逆)のことであると定義されている。送信がFLPらしいということを予備識別が示せば、タグは呼掛モードへ入る。送信がFLPらしいということを予備識別が示さなければ、マイクロ制御装置84は自律送信(AT)カウンタを調べることによってATを実行すべき時であるか否かを決定する。ATを実行すべき時でなければ、マイクロ制御装置84はそのカウンタを調整して(例えば、そのカウンタを減少させて)深い休眠モードへ戻る。ATを実行すべき時であれば、マイクロ制御装置84は、呼掛モードへ覚醒し、高速クロック(例えば、4MHz)を始動させて、ATを実行する(例えば、マイクロ制御装置84は最後に記憶された感知器データをRT30へ送信する)。
【0067】
呼掛モード中では、タグ14は、高速クロックを始動させ、順方向リンクパケット(FLP)の少なくとも一部を読み取って、そのFLPが有効であるか否かを決定する。各々のFLP内における奇偶検査ビット、検査合計、または巡回冗長検査(CRC)の様な誤り検出ビットを送信することによって、誤り検出が完遂される。タグ14は、その時、その送信が有効なFLPであることを確かめるためにその誤り検出ビットを検査する。タグは、そのFLPがプリアンブルビット、データビット、誤り検出ビット(例えば、CRC)及びポストアンブルビットを含んでいることを確実にするためにも検査し、また、全バイト数(例えば、127)が有効なFLPを示していることを確かめるために検査する。タグ14がFLP内の誤り(例えば、CRCが有効でない)を検出すれば、その欠陥FLPが無視され且つ/またはタグ14はそのFLPが再送信されることを要求する。
【0068】
一つの実施形態では、マイクロ制御装置84は、まずFLPの先頭部分(例えば、最初の四バイト)を調べ、その送信が有効なFLPであると思われることをその先頭部分が示していれば、位相同期回路(PLL)をオンにして、CRCが有効であることを検査するためにFLPの残りをその後に読み取る。FLPが有効なCRCを含んでいれば、タグ14はそのFLPに応答する。そうではなく、FLPが無効であると決定されれば、マイクロ制御装置84は予め決められている期間の間(例えば、高速カウンタがゼロに等しくなるまで)有効なFLPを探索し続ける。その所定の期間の間に有効な呼掛信号が検出されなければ、マイクロ制御装置84は高速クロックをオフにして再び深い休眠モードへ入る。所定の期間の間に有効な呼掛信号が検出されれば、タグはその有効な呼掛信号に応答する。
【0069】
タグ14がFLPを探索し続ける期間は、タグ14のプログラム可能な機構である。一つの実施形態では、タグ14は(上述の)高速カウンタと範囲外カウンタとを含んでいる。送信が無効なFLPであるとタグ14が決定すると、高速カウンタが始動される。その後、高速カウンタがヌル値(オールゼロ)を含むまで、予め決められている速度で、この高速カウンタは一だけ調整される(一だけ増加または減少される)。その時、タグ14は深い休眠モードへ入る。一つの有効なFLPが検出されると、範囲外カウンタが始動される。その後、範囲外カウンタがヌル値を含むまで、予め決められている速度で、この範囲外カウンタは一だけ調整される(一だけ増加または減少される)。その時、タグ14は深い休眠モードへ入る。ヌル値が発生するまでの持続期間は、開始値を所定の値に設定することによってプログラム可能である。これらの高速カウンタ及び範囲外カウンタは、例えば、無効のFLPが検出された場合よりも有効なFLPが検出された場合の方が、深い休眠モードが開始されるまでの時間が大きくなる様に、異なる値を含む様に設定され得る。要するに、高速カウンタは深い休眠へ戻る前にFLPらしきものを探索する長さを決定し、範囲外カウンタは少なくとも一つの有効なFLPを受信した後にFLPを探索し続ける長さを決定する。従って、範囲外カウンタは一般に高速カウンタよりも大きな値(もっと長い期間)に設定される。
【0070】
図18は、ETMSの一つの実施形態の部品を示している。本システムは、タグ14、関連する読取機/送受信機(RT)30及び読取機処理装置32を含む呼掛機26、固定ゲート読取機30G、手持形読取機30H、車載読取機30V、監視読取機30S、野外支援コンピュータ48、及び遠隔サーバ50を含んでいる。遠隔記憶されているタイヤパラメータデータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはインターネットを経由してアクセスされてよい。
【0071】
読取機/送受信機(RT)30は、一つの実施形態では、一つ以上のタイヤタグ14のためにRF通信を開始する。RT30の一つの形態は、固定位置(例えば、ガソリンスタンド、格納庫、運搬道路等)に置かれている固定ゲート読取機30Gである。固定ゲート読取機30Gは、一つ以上のタイヤタグ14と通信して、タイヤ空気圧データ、温度データ、状況データ(例えば、警報状態)、車両ID、及びタイヤIDを含むデータを収集する。RT30は、一つ以上のタイヤタグ14からこのデータの履歴(履歴データ)を取得してもよい。この履歴データは、イーサネット(登録商標)リンク、インターネットリンク、有線リンク、無線リンク、マイクロ波リンク、衛星リンク、光リンク、ケーブルリンク、RFリンク、LANリンク、またはその他の適切な通信リンクの様な通信チャネルによって、RT30からタイヤデータベースへ送られる。
【0072】
RT30は携帯つまり手持形読取機30Hを具備していてもよく、図18を参照されたい。その様な手持形読取機30Hは、タイヤタグ14と通信し、温度、圧力、及びID情報を含むデータを収集し、履歴データを取得する。手持形読取機30Hは、固定読取機を使用できない位置や、タグをプログラムすること及び/または人間のユーザによって物理的に点検され得るタイヤ上のタグからのデータをダウンロードすることがもっと簡単である場合に、使用されてよい。手持形読取機30Hは、準備進路上、タイヤ販売店、車両の非使用中、作業場での検査中、ダンプカー基地、または燃料トラックによる燃料の供給中の様な種々の場所及び時で、タイヤタグ14と通信するために使用されてよい。従って、手持形読取機30Hは、タイヤの温度、圧力、タイヤID、及びタイヤ履歴データを含む最後に記憶されたタグデータの「現場での読取」を提供する。
【0073】
RT30のもう一つの形態は、(図18に示されている)車載読取機30Vつまり車両12に取り付けられている読取機である。各々の車載読取機30Vも、タイヤの空気圧、温度、状況、車両ID、タイヤ位置、及びタイヤIDを含むタグデータを一つ以上のタグ14から検索して、例えば遠隔サーバ50に存在しているタイヤデータベースへこのデータを転送することができる。
【0074】
RT30は、大きな交差点、車両準備進路、ショベルカー基地、粉砕機基地、ダンプカー基地、積込み機基地、整備作業場、タイヤ販売店等の様な、被監視車両が通過しなければならない特定の位置に、戦略的に配置されていてよい(これも図18に示されている)監視読取機30Sを含んでいてもよい。これらの読取機30Sは、それらの近傍を移動する車両12上のタグ14からの、タイヤの識別、圧力、温度、及び警報送信を含むタグデータの自律送信を読み取ることができる。通常は、履歴データは監視読取機30Sによってタグ14から収集されない。タグデータは、衛星リンク、RFリンク、またはLANリンク等の様な通信チャネルを経由して、RP32、野外支援コンピュータ48、及び/または遠隔サーバ50へ通信される。あるいは、タグデータは車両監視システムへ通信されてよい。監視読取機30Sは主に受信専用読取機である(つまり、これらはタグ14へ指令信号を送信しない)。反対に、タグ14は自律的な基準でタグデータを周期的に(または警報状態に応答して)送信し、このタグデータは監視読取機30Sによって読み取られ得る。
【0075】
タグ14がその様にプログラムされていれば、(車載読取機30V、手持形読取機30H、または固定ゲート読取機30Gの様な)RTはタグ14から送信される警報信号を検出するかもしれない。一つの実施形態では、タイヤ10が予めプログラムされているパラメータ閾値の範囲を超えていれば、その様な警報信号がタグ14によって周期的間隔でRT30へ送信される。RT30は、この信号を検出して、警報状態にあるタイヤ10の位置を決定することができる。RT30は、RFリンク、衛星リンク、またはその他の通信リンクの様な通信チャネルを経由して、その様な警報状態を周期的(頻繁な)間隔で遠隔サーバ50へ自動的に送信する。タイヤタグ14は、一般に、温度及び空気圧の閾値がタイヤ10の動作に許容されている温度及び空気圧の最高及び/または最低範囲に等しい様に、プログラムされている。
【0076】
一つの実施形態では、RT30は警報信号を認識する。一旦、警報信号が認識されると、タイヤタグ14はその警報信号の送信を中止する様にプログラムされていてよい。あるいは、電池94(図16)を大事に使うために、タグ14は予め決められている期間後に警報信号の送信を停止する様にプログラムされていてもよい。そうなっていれば、タグデータが後にRT30へダウンロードされた時に、RT30によって、範囲外状態が認識されて警報状態が認識される。その警報信号は、範囲外状態(例えば、温度または圧力)、実際の温度値及び/または圧力値等を含む種々の情報を含んでいてよい。車載読取機30Vは単に警報信号とこの警報信号が発せられた時刻とを受信する必要があるだけでもよく、野外支援コンピュータ48及び/または遠隔サーバ50はタイヤの管理のために実際の温度及び/または圧力のデータを必要としてもよい。監視読取機30Sは、圧力警報状態及び/または温度警報状態を示す送信を例えば14から受信して、その情報を遠隔サーバ50へ中継してよい。
【0077】
タイヤタグの機構
総てのタイヤタグ14及び/またはRT30は、下記の機構を含む様にプログラムされていてよい。
圧力の読取−−RT30は、タイヤ10の圧力を読み取る、つまり、タイヤ/ホイール空洞内の内部空気圧力を平方インチ当たりのポンド(psi)で読み取る能力を有している。RT30は等価常温充填圧力(例えば、20℃/68.0°Fので圧力)を計算することもできる
温度の読取−−RT30はタイヤ10の温度を読み取る能力を有している。装着位置の様な要因のために、タグ14の温度は空気温度のみに帰すべきでないかもしれない。
【0078】
特有のタイヤ識別番号−−この番号は特定のタイヤ10を明確に識別する。このタイヤ識別番号は一般にタイヤシリアル番号である。この番号は、タグインストーラによって(例えば、手持形読取機30Hを経由して)タグ14内へプログラムされる。タイヤシリアル番号はタイヤ製造者によって割り当てられる。
タイヤ商標番号−−このタイヤ商標番号は、そのタイヤを識別し、タイヤシリアル番号よりも読取が容易である。この番号は一般にユーザによってタイヤに記されている。この番号も、タグインストーラによって(例えば、手持形読取機30Hを経由して)タグ14内へプログラムされてよい。
タイヤタイプ番号−−タイヤタイプは、タイヤのタイプを識別し、タイヤ製造者によって割り当てられる。この番号も、タグインストーラによって(例えば、手持形読取機30Hを経由して)タグ14内へプログラムされてよい。
【0079】
機能識別(FID)番号−−例えば、タグ、タイヤ、及び車両上におけるタイヤの位置を識別する略記識別番号。例えばタイヤが車両の別の部分へ交替されると、この機能ID番号は変更されることができる。このFID番号はRT30によってタグ14内へプログラムされている。
特有のタグ識別番号−−このタグ識別番号は特定のタグ14を識別する。このタグ識別番号は、一般にタグシリアル番号であるが、例えばタイヤ及び車両上におけるタイヤの位置も識別してよい。タグシリアル番号は、タイヤ製造者によって割り当てられて、タグ14のROM内へプログラムされる。
【0080】
タイヤ履歴データ−−タグ14は、一定の期間中の温度及び空気圧の様な履歴データを記録するRAM記憶装置16を含んでいる。この履歴データは、そのデータがいつ記録されたのかを示すタイムスタンプと共に記録される。このデータは、タグ14から(直接または間接に)RP32、野外支援コンピュータ48、または遠隔サーバ50へダウンロードされてよい。タグ記憶装置16は感知器データを周期的に記憶する。一つの実施形態では、約1,000データレコードが同時に記憶されてよい。しかし、記憶可能なレコードの数は記憶装置16の大きさにしか制限されない。感知器データが記憶装置16へ記憶される速度はユーザによって選択可能である。新たに測定された感知器データ用の場所がもうなければ(つまり、タグ記憶装置が満杯)、最も古い記憶データが上書きされる。
タイヤ履歴データの更新−−タグ14は、以前にRT30へ送信されていない新たなタイヤ履歴データのみの転送を可能にする。更に、タグは、現在のタイヤ履歴データの一部(全部を含む)の転送を可能にする。
【0081】
書込能力−−タグ14は、ホイール位置、車両番号、パラメータ閾値等を含むユーザ定義データをユーザがタグ記憶装置16内へ書き込むことを可能にする。このデータは、認可されたユーザのみがデータをタグ14へ書き込むことができる様に保護されているパスワードであってよい。
自動データ収集−−タグ14は、外部作動なしに、予め決められている間隔で自己覚醒し、感知器の読取を受け取り、これらの読取を記憶装置に記憶し、休眠状態へ入る能力を有している。タグ14は通常はデフォルト覚醒間隔(例えば、2.5秒)で工場から予めプログラムされているが、ユーザはこの覚醒間隔を変更することができる。
【0082】
自律送信(AT)−−タグ14は、外部作動なしに、予め決められている間隔で自己覚醒し、感知器の読取を受け取り、この感知器データをRTへ送信し、休眠状態へ入る様にプログラムされていてよい。感知器測定機能は、タグ14の送信機能とは独立に作動させられる。タグ14は通常はデフォルト覚醒間隔(例えば、2.5秒)で工場から予めプログラムされているが、ユーザはこの覚醒間隔を変更することができる。タグ覚醒間隔は一般にAT間隔よりも多く、これらの間隔の両方がユーザによってプログラムされてよい。AT内に、タグ14は最後に記憶された感知器の読取(例えば、圧力及び/または温度)を送信する。
【0083】
警報送信−−タグ14は、外部作動なしに、予め決められている間隔で自己覚醒し、最後に記憶された感知器データを調べ、警報状態が存在している(つまり、感知器データ値が記憶されている閾値の範囲を超えている)か否かを決定し、その様な状態が存在していれば警報信号を送信して、休眠状態へ戻る様にプログラムされていてよい。この警報機構はユーザによって使用可能にされるかまたは使用禁止にされることができる。タグ14は通常はデフォルト覚醒間隔(例えば、2.5秒)で工場から予めプログラムされているが、ユーザはこの覚醒間隔を変更することができる。タイヤパラメータが予め決められている閾値の範囲を超えていれば(つまり、タイヤ10の動作に許容されているパラメータ閾値を超過しているかまたはそれ未満であれば)、タグ14は覚醒モード中に警報信号を送信する。一時間の様な何らかの期間の後に警報信号が認識されなければ、タグ14は電池電力を大事に使うために信号の送信を中止する。警報が時間切れでも、タグ14は動作し続ける。RT30は、警報信号を認識して、警報信号を終結させることをタグ14に指令することもできる。非警報状態へ戻ると、警報機構がユーザによって使用可能にされていれば、警報機構を回復させる。
【0084】
機密保護−−タグ14は異なるレベルのパスワード保護を提供する。第一は製造者レベルにあり(製造者はその特有のタグ識別番号をパスワードで保護してよい)、第二はユーザレベルにある(ユーザはユーザ定義データの様な総てのプログラム可能なデータをパスワードで保護してよい)。
タグ停止−−タグ停止指令は、温度読取や空気圧読取、ユーザ定義データ、タグ履歴データ等の様な、記憶装置16内に記憶されている総てのデータを消去する。これはタグ14をそれが最初に製造された時と同じ状態へ戻す。一旦、停止させられると、タグ14はもはや如何なる外部指令にも応答しない。この機構はパスワードで保護されている。記憶されている総てのデータを消去する一つの方法は、タグ14をその最も警戒を怠らない状態(つまり、呼掛モード)へ覚醒させて、電池が消耗するまで総ての電池消費動作(例えば、高速クロック、RF受信機、感知器、PLL等)を始動させることである。この機能は、もしかすると有用なタイヤデータを誰もそのタイヤから取得することができない様に、例えばタイヤ10が廃棄される時に使用されてよい。
【0085】
ユーザデータの消去−−この機能は、総てのユーザ定義データ(例えば、全車両名、パラメータ閾値、ホイール位置データ等)を消去して、そのタグ14を製造者レベルのデフォルト値へ戻す。この機能は、例えばそのタイヤ10の所有者の変更時に使用されてよい。
無線周波数動作−−特許請求の範囲に記載されているシステムは、ISM周波数帯(902〜928MHz)で動作することが好ましい。
通信−−タグ14は、本明細書に記載されている様に、固定ゲート読取機30G、手持形読取機30H、車載読取機30V、及び/または監視読取機30Sの様なRT30と通信することができる。
データの表示−−タグデータは通例の測定装置に表示される(例えば、圧力についてはpsi、温度については℃及び/または°F)。
電力−−タグ14は、タグ14と一緒に含まれている電源94によって電力を供給される。一般に、電源94は交換可能ではない(保守項目ではない)。
タグ寿命−−現在の電池能力ではタグの全寿命は約2年よりも長く、この約2年という寿命は、通常の動作状態では、タグが監視しているタイヤの平均寿命よりも長い。
【0086】
オフ機能−−タグ14は、例えばタイヤ空気圧が40psi(またはその他の予め選択されている何らかの圧力)未満になっている場合を認識することができる。その様な圧力は、タイヤ10が装着されていないか、またはタグ14がタイヤ10に取り付けられる前に棚にあることを示している。タイヤ空気圧がその様な閾値未満になると、タグ14は感知器情報の報告及び記憶を中止する。このことは、不要時におけるタグ14の動作を防止する。しかし、タグ14は、タイヤ空気圧がその閾値(例えば、40psiまたはその他の予め選択されている何らかの圧力)を超えた時に完全機能状態へ自分自身をオンすることができる様に、感知器圧力を監視し且つ順方向リンクパケット(FLP)を探すことができる。
【0087】
読取機範囲−−固定ゲート読取機30Gについては、読取機範囲は、読取機アンテナ28と車両12の同じ側のどのホイール位置におけるタグ14からも少なくとも10メートル以内である(この範囲は、車両12が時速20キロメートルまでで移動することが可能である)。手持形読取機30Hが固定タイヤ10を読み取ることについては、読取機の範囲は、読取機30Hと車両12の同じ側のどのホイール位置におけるタグ14からも約5メートルである。車載読取機30Vについては、読取機は、その読取機の範囲内(例えば、読取機30Vと車両12の同じ側)にあるタイヤタグ14から信号を受信することができる。車載読取機30Vは、車両12が約時速90キロメートルまでで移動中にタグ14を読み取ることができる。監視読取機30Sは、(車両12が約時速73キロメートルまでで移動中に)読取機アンテナ28から約50メートルまでのタイヤタグを監視することができると推定される
【0088】
定義
オンデマンド(またはオンサイト)−−RT30が通信を始動させ、タグ14が例えば、温度、圧力、タイヤID、及び/またはその他のタイヤパラメータ情報を表す最後に記憶された感知器データで応答する、双方向通信。
警報−−タグ14が警報信号をRT30へ送信する片方向通信。その警報信号は、範囲外状態(例えば、温度または圧力)、実際の温度値及び/または圧力値等を含む種々の情報を含んでいてよい。警報信号は、予めプログラムされている閾値を一つ以上のタイヤパラメータが超えている時に送信される。
自律送信(AT)−−タグ14が、最後に記憶された感知器データ(またはその他の予めプログラムされているデータ)を周期的時間間隔でRT30へ送信する片方向通信。
【0089】
タイヤ履歴データの更新−−RT30が通信を始動させ、温度、圧力またはその他の記憶されているデータを含む以前に送信されていない新しいタイヤ履歴データでタグ14がRT30に応答する双方向通信。
順方向リンク−−RT30からタイヤタグ14への片方向通信。RT30(監視読取機30Sを除く)は、一つ以上のタイヤタグ14へRF信号を周期的に送信する。順方向リンク信号は、一つ以上のタグ14を探しているか、または一つ以上のタグ14と直接に通信している。
戻りリンク−−タイヤタグ14からRT30への片方向通信。タグ14は、戻りリンクを経由して、RT30へ応答(例えば、タグデータ)を送信する。順方向と戻りとの両方のリンクのタイミング並びにシステムのその他の特性がこの明細書中に記載されている。
【0090】
本発明の更なる説明
再び図1、15を参照すると、タイヤデータの取得方法が示されている。呼掛モード中では、RT30は、特定のタイヤタグ14が呼び掛けられている時にのみその特定のタイヤタグ14から感知器データ及びその他のデータを取得することができる。一つの実施形態では、タイヤタグ14は、(1)特有のID(例えば、タグシリアル番号)、(2)機能的ID、及び/または(3)タグ呼掛の間にRT30によって割り当てられる一時的ID、によって呼び掛けられ得る。タグの取得は後にもっと詳細に記載されている。
【0091】
RT30が特定のタイヤ10からのタイヤ温度やタイヤ空気圧を要求していれば、RT30はその特定のタイヤ10に対応するタイヤタグ14の記憶装置16内における規定記憶位置からのデータを要求する。これらの記憶位置は、そのタグ14によって取得された感知器データを記憶している。このデータは、戻りリンクパケット(RLP)を経由してRT30へ送信され得る。そのRT30は、感知器72、74(図16参照)用の較正係数の送信を要求することもできる。タイヤのタイプ、車両上におけるタイヤの位置、車両ID、及び/またはタイヤIDを含む、タグ記憶装置16に記憶されているその他の情報が要求されてもよい。要求された情報が一旦検索されると、RT30は、プログラム可能な期間の間休眠モード(例えば、深い休眠モード)へ入ることをタグ14に命令する。あるいは、一旦タグ14が予め決められている期間(例えば、2〜3秒)の間RT30の範囲外になると休眠モードへ戻る様に、そのタグがプログラムされていてもよい。深い休眠モードへ入ることは、そのタグ呼掛セッションを完了させる。その後、新しい呼掛セッションが開始され得る。
【0092】
タイヤタグ14は、コスト的に有効で、低電力しか使用せず、連邦通信委員会規則第15部(47C.R.F.§15)に従っていることが望ましい。スペクトル拡散のない(自由空間での)許容最大出力は−1dBMである。戻りリンク(つまり、タグから読取機へ)は、幾つかの利用可能な無線周波数チャネルのうちの何れか一つで送信する能力を有している。このことは、妨害装置からの信号を防止する手段をタグ14に提供する。一つの実施形態では、タグ14は、異なる戻りリンクチャネルの各々で順次にFLPに応答する。もう一つの実施形態では、RT30は戻りリンクチャネルを監視して、混信量の最も少ないチャネルで送信することをタグ14に指令する。自律送信(AT)についは、タグ14は、戻りリンクチャネルの何れかまたは総てで戻りリンクパケット(RLP)を送信するオプションを有している。
【0093】
一つの実施形態では、四つの戻りリンクチャネルが存在しており、タグ14は各々のチャネルで順次に戻りリンクパケット(RLP)を送信する。例えば、タグ14がそのシリアル番号を有するRT30へチャネル1で応答すれば、そのタグ14は次の読取機指令へはチャネル2で応答する。もしRT30がタグから欠陥データを受信すれば、RT30は、そのデータを無視して、データを再送信することをタグ14に指令する。その時、タグ14はチャネル3でそのデータを再送信する。その受信されたデータが再び崩れているともしRT30が決定すれば、RT30はデータを再送信することをタグ14に指令する。一つの実施形態では、データの再送信は、そのデータが五回送られる(各チャネルで一回、例えば、チャネル1、2、3、4及び1−最初のチャネルは二回試行される)まで続けられる。もしそれでもRT30が良好なデータを受信しなければ、RT30は予め決められている期間の間はその特定のタグ14へ送信することを中止する。
【0094】
あるいは、RT30は、その四つの戻りリンクチャネルを監視して、そのチャネルが最も少ない雑音量及び/または混信量を有しているのかを示している、どのチャネルが最も低い受信信号強度(RSS)を有しているのかを決定することができる。従って、最も低いRSSを有しているチャネルの信号混信が最も少ない。従って、どのチャネルが最も低いRSSを有しているのかをRT30が決定した後、RT30は、最も低いRSSを有する戻りリンクチャネルに対応する順方向リンクパケット(FLP)内の二ビットを送信し、そのチャネルで戻りリンクパケットを送信することをタイヤタグ14に命令する。妨害信号の持続期間は数秒のオーダであると予想され得る。従って、RT30ははっきりしている戻りリンクチャネルを数秒毎に調べる。RT30は、示されている戻りリンクチャネルでタグ信号を受信する様に自分自身を同調させて、ヌル指令(オールゼロ)を送信する。このヌル指令は、RT30がRSSレベルを監視している間にその他の何れかのタグが応答することを防止するために同報通信される。もう一つのチャネルが最も低いRSSを有していると決定されるまで、特定のタグ14が応答することを指令されるチャネルに最も低いRSSチャネルがなる。更に、RSSの最も低いチャネルは通じていてその他の送信と混信していないので、そのチャネルが選択される。各々のRT30は受信信号強度(RSS)表示器を有しており、この表示器はタグ14が応答を試行していることをそのRT30に示す。そのRT30は、入ってきた戻りリンクチャネル上の受信信号強度を調べる。その後、RT30は、最も低いRSSを有しているチャネルで応答する様にタグ14に命令する順方向リンクパケットを送信し、タグ送信のためにそのチャネルを監視する。
【0095】
順方向リンク通信の間、パケットはRT30からタグ14へ送られる。戻りリンク通信の間、パケットはタグ14からRT30へ送られる。受信されたタグデータは、その後、読取機処理装置(RP)32へ伝達される(図1、15を参照)。
【0096】
順方向リンクは振幅変位電鍵操作(ASK)変調を使用する。902MHzと928MHzとの間に散在されている50チャネルが存在している。拡散スペクトル送信を使用すると、読取機アンテナ28から放射され得る許容最大出力は+36dBMである。一つの実施形態では、順方向リンクにおけるデータ転送速度は、毎秒7.5キロビット(Kbps)である。
四つまでの通信チャネルを含む戻りリンクは周波数変位電鍵操作(FSK)変調を使用する。これらのチャネルは902〜928MHz間である程度均等に離隔されている。
【0097】
47C.R.F.§15のもとで、拡散スペクトル送信(つまり、周波数ホッピング)を使用すると、自由空間内で放射され得る許容最大出力は+36dBMである(拡散スペクトル送信を使用しなければ、自由空間内における許容最大出力は−1dBMである)。順方向リンクでは、送信される出力量はタイヤ壁のすぐ外側で測定される。しかし、一つの実施形態では、タイヤ壁を貫通してFLPを送信することによって10〜15dBMが失われる。タイヤ壁を貫通する送信に起因する減衰に加えて、その他のタイヤ及び/または車両12の部品からの混信に起因して追加的な減衰が生じるかもしれない。
【0098】
システムは、タグ14から送信されるデータ/命令よりもはるかに少ないデータ/命令しかタグ14へ送信しない。順方向リンクのデータ転送速度は7.5Kbpsであり、戻りリンクのデータ転送速度は60Kbpsである。これらのデータ転送速度が非対称である理由は、システムの複雑なものの大部分がタグ14よりもむしろRT30に設置されているからである。このことは、より簡単なタグ回路を可能にし、タグ14が7.5Kbpsというより低速度でFLPデータを読み取ることによってより少ない電力しか消費しないことを可能にしている。RT30は、タグ14によって60Kbpsで戻されているデータを読み取るのに十分な精巧さを有している。更に、タイヤタグ14はもっと速い速度でデータを伝えるので、タイヤタグ14はもっと短い期間の間オンにされる。タイヤタグ14の電池寿命はシステムの総ての有用さの重要点であるので、このことは重要な利点である。
【0099】
図19に戻ると、RT30の部品の概要が示されている。通信規約が半二重である(つまり、何れの時においても、読取機/送受信機(RT)30はデータを送信するかまたは受信するかの何れかである)ので、送信/受信(TR)スイッチ100が備えられている。RT30のこの図示されている実施形態は多重システム内で使用されていないので、RTアンテナ28が送信動作と受信動作との両方で使用されている。RT30がフィルタ等の様な追加的な部品を含んでいることが分かるが、簡単化のために、これらの回路はこの分野で周知であるので示されていない。受信通路では、低雑音増幅器102がFSK受信機104の前端にある。入ってきたRLPデータはマイクロ制御装置106へ送信される。各々のRLPは、マイクロ制御装置106によって受信されて、有効かどうかを決定するために調べられる。FLPがタグ14へ送信される時は、このFLPは最初にASK送信機107を介して高出力増幅器108へ供給される。増幅された信号は、その後、タグ14への送信のために読取機アンテナ28に接続されているTRスイッチ100の反対側へ送られる。
【0100】
一つには最低限として50チャネルと明示している連邦通信委員会規則第15部(47C.R.F.§15)の理由から五十の順方向リンクチャネルが選択されたが、50超のチャネルがこの拡散スペクトルシステム内で使用され得ることは明らかである。同様に、タグ14からRT30へデータを送信するために使用されている4つの戻りリンクチャネルも、異なる数のチャネルへ変更されてよい。
【0101】
大きなトラックの様な多数のタイヤの車両と共に本システムが使用される場合は、動作の同期が予期されている。詳細には、図15に示されている様に二つのRT30A、30Bを使用する場合には、第一のRTが例えば車両12の一方側用に選定されていてよく、第二のRTが車両12の他方側用に選定されていてよい。車両12の第一の側における第一のRT30Aからの指令信号は、特定の戻りリンクチャネル、例えばチャネル1、3のみを使用するためにその信号を受信することをタイヤタグ14に命令してよい。車両12の第二の側における第二のRT30Bは、別の戻りリンクチャネル、例えばチャネル2、4で送信するためにその信号を受信することをタイヤタグ14に命令してよい。この機構は、異なる二つのタイヤからデータを同時に読み取るかまたは同一のタイヤからデータを二回読み取る危険を減らすために実施される。二つのRT30が同一のタグ14を読み取る状況では、RP32とFSK受信機104との一方または両方が、その重複データを認識してその様なデータを削除する様に構成されている。
【0102】
その他の状況では、二つのタグ14が同時に覚醒して両方のタグがRTアンテナ28の範囲内にある可能性がある。もしこのことが発生すれば、両方のタグ14が同一の戻りリンクチャネルで同一のメッセージに応答しているかもしれないので、混信が生じるかもしれない。範囲内にあるかもしれない多くのタグから一つのタグを識別してこの一つのタグと通信するために、RT30は、後述の様なSARアルゴリズムを使用し、及び/または、そのタグの特有のタグシリアル番号または機能的ID番号を送信することによって特定のタグ14へ送信する。
【0103】
図20は、図16に示されているタイヤタグ14のもっと詳細なブロック図である。PICマイクロ制御装置200はタイヤタグ14の動作のための種々の信号を受信及び送信する。このマイクロ制御装置200は、Microchip Technology Inc.によって製造されたマイクロ制御装置であって二つの内部発振器、内部RAM、内部ROM、内部A/D変換器、及びその他の通例の構造を有するモデルPIC16C717であってよい。これは特許請求の範囲に記載されているシステム内で使用され得る多くのマイクロ制御装置のうちの一つであることが分かるが、電池寿命を極限まで増加させるために、二つの発振器が二つのクロック速度を可能にするので二つの発振器が望ましい。二つのクロックを有することは、高速クロックの使用を最小限にする(従って、電池電力を大事に使う)ことを設計者に可能にする。これら二つの発振器は、内部マイクロ制御装置発振器である必要はない。
【0104】
図20に示されているタイヤタグ14は、互いに別個且つ独立である二つの特有の機能、つまり(1)データ測定機能、及び(2)データ受信及び送信機能、を有している。第一の独立の機能を実行するために、マイクロ制御装置200は例えば圧力感知器206及び温度感知器208を使用することによってタイヤパラメータを測定する。マイクロ制御装置200は、探索モードへ周期的に覚醒し且つ(その他の作業の中で)感知器206、208にタイヤパラメータを測定させる様にプログラムされている。その測定パラメータは、その後、マイクロ制御装置200へ送られてその内部RAMに記憶される。探索モードの完了と同時に、マイクロ制御装置200は深い休眠モードへ戻る。
【0105】
第二の独立の機能では、マイクロ制御装置200は、読取機/送受信機(RT)30からのFLPを調べ、有効なFLPが受信されていれば、RT30へ一つ以上のRLPを送信する。従って、このデータ送信機能はパラメータ測定機能から独立している。別個のデータ測定機能を有していることは、従来技術に対する利点を提供する本発明の特有の形態である。タグ14内に記憶されているタイヤパラメータをRT30が要求した時は、タグのマイクロ制御装置200は単にそのRAMにアクセスして最後に記憶されたパラメータデータをRT30へ送信するだけである。従って、マイクロ制御装置200は、RT30からの呼掛指令に応答して感知器206、208に電力を供給する必要はない。このことは、本システムが従来技術のシステムよりも高速で動作することを可能にする。更に、マイクロ制御装置200は、いつの時点でも、もう一つの機能(例えば、データ測定)から独立している一つの機能(例えば、データの受信及び送信)を処理しさえすればよい。タグ14は、第一のモード中で感知器パラメータを測定するか、または、第二のモード中でデータを送信する。これらの機能は互いに独立である。パラメータ測定機能は、RT30からの何らかの外部呼掛指令に応答して実行されることはない。
【0106】
具体的に言うと、マイクロ制御装置200は深い休眠モードから意識清明休眠モードへ周期的に覚醒する。意識清明休眠モード中では、マイクロ制御装置200は、低速クロックを始動させ、探索モードカウンタを調べることによって探索モードへ入るべき時であるか否かを決定する。探索モードカウンタは、探索モードへ入るべき時である(例えば、カウンタがオールゼロを含んでいる)ことを示すか、または、何らかのその他の値を示す。探索モードへ入るべき時でなければ、マイクロ制御装置200は、探索モードカウンタを調整して(例えば、カウンタを減少させて)、深い休眠モードへ戻る。
【0107】
探索モードへ入るべき時であれば、マイクロ制御装置200は探索モードへ入って低速クロックを使用し続ける。マイクロ制御装置200は、感知器カウンタを調べることによって、感知器を読み取るべき時であるか否かを決定する。感知器を読み取るべき時であれば、マイクロ制御装置200は、後述の様に、各々の感知器からデータを順次に読み取って記憶する。感知器を読み取るべき時でなければ、マイクロ制御装置200は感知器カウンタを調整して予備識別を実行する(つまり、送信が順方向リンクパケットらしいか否かを決定する)。その送信がFLPらしいとマイクロ制御装置200が決定すれば、マイクロ制御装置200は呼掛モードへ入る。その送信がFLPらしいとマイクロ制御装置200が決定しなれば、マイクロ制御装置200は、自律送信(AT)カウンタを調べることによって、ATを実行すべき時であるか否かを決定する。ATの時でなければ、マイクロ制御装置200は、そのカウンタを調整して(例えば、そのカウンタを減少させて)、深い休眠モードへ戻る。ATの時であれば、マイクロ制御装置200は、呼掛モードへ覚醒し、高速クロックを始動させて、ATを実行する(つまり、最後に記憶された感知器データをRT30へ送信する)。
【0108】
探索モード中で感知器を読み取るために、マイクロ制御装置200は定電流源204を作動させるために感知器電力線202に信号を出し、定電流源204が今度は圧力感知器206及び温度感知器208を作動させる。増幅器210、212も感知器電力線202を経由してオンにされる。増幅器210、212は、夫々感知器206、208によって生じさせられたアナログ信号を増幅する。マイクロ制御装置200は、タイヤ10に生じる動的物理効果に起因する感知器206、208からのデータ中における何らかの不規則をデジタル的に濾過及び平滑化するためのA/D変換器及びデジタル信号処理コードを含んでいる。例えば、圧力データは、タイヤ10が動いて角度位置や地形等の関数として曲がるので、ある程度不規則になり得る。マイクロ制御装置200は、オンにされたばかりの部品204〜212からの過渡現象を無視してそれらの部品が正常な安定状態動作を呈することを可能にするために、感知器の読取を受け取る前に短期間待つ。その後、マイクロ制御装置200は、入力線214、216上の増幅された感知器信号のA/D変換を実行する。信号線214は、マイクロ制御装置RAM内に記憶される増幅された圧力感知器データを伝える。同様に、信号線216は、やはりマイクロ制御装置200のRAM内に記憶される増幅された温度感知器データを伝える。探索モードの最後に、マイクロ制御装置200は、感知器電力線202への電力をオフにし、それによって部品204〜212を無活動モードにする。マイクロ制御装置200へは電池に接続されている入力ピン218を経由して電力が供給される。
【0109】
最低/最高感知器値、連続データサンプル等を含む構成値及び履歴データを記憶するために、シリアルEEPROM220が使用されている。履歴データはマイクロ制御装置RAMからEEPROM220へ周期的に書き込まれる。EEPROMは、不揮発性記憶装置であるので、その情報を維持するために電力を必要とせず、電池電力を大事に使うためにオフにされ得る。
【0110】
第二の機能(つまり、データの受信及び送信)を実行するために、マイクロ制御装置200は、探索モードの間、送信がRTからの順方向リンクパケットらしいか否かを決定するために予備識別を実行する。その送信がFLPらしいとマイクロ制御装置200が決定すれば、マイクロ制御装置200は、呼掛モードへ入って、その送信が有効なFLPであるか否かを決定する。最初の段階として、タグ受信機電力がマイクロ制御装置200からASK受信機224へ線222で供給される。一つの実施形態では、タグ受信機224は利得増大トランジスタを有するダイオード検出器として組み立てられている。順方向リンクデータを検出するために、周知の比較回路が受信機224に結合されている。タグアンテナ226によって受信されたデータ信号は、低域通過フィルタ228を通り送信/受信(TR)スイッチ230を経由してASK受信機224へ供給される。データ受信期間中はTRスイッチ230が受信状態に設定されている。受信機224からのデータ信号はマイクロ制御装置200へ供給される。呼掛モードにおけるデータ受信中に、マイクロ制御装置200は送信が有効な順方向リンクパケットであるか否かを決定する。FLPは、感知器情報、タグ位置、ユーザ定義データ等の様な情報を提供することをタイヤタグ14に命令する指令信号を含んでいる。圧力感知器データ及び温度感知器データの取得及び記憶は、(上述の様に)データ受信機能(つまり、RT30からの有効な順方向リンクパケットの探索)とは独立の別個の機能である。
【0111】
呼掛モード中では、タグ14はデータを受信及び送信することができる。呼掛モードへ入ると同時に、マイクロ制御装置200は、高速クロックを始動させ、FLPの最初の部分(例えば、最初の四バイト)を調べ、その送信が有効なFLPらしいことをその部分が示していれば、イネーブル線234を経由して送信機232の位相同期回路(PLL)段をオンにし、その後に、CRCが有効であるか否かを調べるためにFLPの残り(例えば、最後の二バイト)を読み取る。FLPが有効なCRCを含んでいれば、タグ14はそのFLPに応答する。
【0112】
選択されている戻りリンクチャネルを自動追跡するためにPLLが一定の量の時間を必要とするので、FLPの一部のみを読み取った後にPLLがオンにされる。送信イネーブル線236を作動させることによって送信機232がオンにされ、送信イネーブル線236はその送信機の高出力増幅器段を使用可能にする。FSK送信機232が一旦作動させられると、以前に記憶された圧力データ及び温度データを含んでいるかもしれずFLPによって要求されたデータが、マイクロ制御装置200によってデータ線231でFSK送信機232へ供給される。このデータを送信するために、TRスイッチ230が受信状態から送信状態へ変更される。そのデータは、その後、低域通過フィルタ228を介して送られ、タグアンテナ226を経由して送信される。呼掛モードの完了と同時に、マイクロ制御装置200は、(PLL、送信機、感知器、高速クロック等の様な)タグ部品をオフにして、深い休眠モードを再び始める。このことが、マイクロ制御装置200の第二の独立機能(つまり、データの受信及び送信)を終了させる。
【0113】
一つの実施形態では、FSK送信機232は別個の四つのチャネルで送信する様に設計されている。FSK送信機232に利用可能な四つのチャネルのうちの特定の一つの選択を可能にするために、FSK送信機232にチャネル選択線238が備えられている。なお、何れかの個々のRLP送信の間、四つの送信チャネルのうちの一つだけが正常に使用される。
【0114】
従って、第二のデータ受信/送信機能の実行中は、探索モードのマイクロ制御装置200は、送信がRT30のうちの一つからのFLPらしいか否かを調べるために予備識別を実行する。その送信がFLPらしいとマイクロ制御装置200が決定すれば、マイクロ制御装置200は呼掛モードへ入る。その送信がFLPらしいとマイクロ制御装置200が決定しなければ、タグ14は予め決められている期間の間再び深い休眠モードへ入る。呼掛モード中では、送信が有効なFLPであると確認され、以前に総ての適切な送信防護及び通信規約が後に続かれていれば、タグ14に記憶されている要求されたデータがRT30へ送信される。休眠、覚醒、FLPの探索、及びデータを送信するかまたは深い休眠モードへ再び入るというこの周期は、タグ14の連続的な機能である。
【0115】
再び図17を参照すると、本発明の一つの実施形態によるタイヤタグ14の種々のモードとこれらのモードのタイミングとが示されている。示されている様に、タグ14は約600ms間の深い休眠モードにある。その後、タグ14はほぼ25ms間の意識清明休眠モードへ移行する。探索モードへ入るべき時であれば、タグ14は、探索モードへもっと覚醒して、予め決められている時間の間、予備識別を実行する(つまり、送信がFLPらしいか否かを決定する)。その送信がFLPらしくなければ、タグ14は単に別の600ms間の深い休眠モードを再び始める。その後、FLPらしき送信が検出されるまで、タグ14はこの処理を繰り返す。FLPらしき送信が検出された時は、タグ14は有効なFLPを探すための呼掛モードへ完全に覚醒する。その時、タグ14は、例えば、タイヤの温度及び空気圧に関する記憶データをRT30へ送信することによって、有効なFLPに応答する。なお、上記のタイミングはユーザによってプログラム可能である。RT30がタグ14から感知器データを取得しようとする時間も、ユーザによってプログラム可能である。探索モードの間は、タグ14も予め決められている時にタイヤパラメータデータを測定及び記憶する。これらの時は、予備識別が実行される時とは一般に異なっている。一つの実施形態では、感知器データはタグ14によって30秒毎に読み取られる。更に、タグ14がRT30と自律的に通信(例えば、ATを送信)しようとしてもよい。
【0116】
再び図20を参照すると、線240上の送信/受信制御信号は、線236にイネーブル信号を送信することによって制御される。水晶振動子242、244が四つの戻りリンクチャネルの周波数を制御する。水晶振動子242、244の組合せ、位相同期回路(PLL)、及び周波数分割器が、公知の方法で、四つの戻りリンクチャネル用の四つのFSK周波数を供給する。
【0117】
タグ14による送信用に使用されるべき戻りリンクチャネルは、幾つかの方法で決定されてよい。タグは、戻りリンクチャネルを順次に選択(つまり、各々のRLP毎に異なる戻りリンクチャネルを使用)してよい。あるいは、RT30は特定のチャネルを使用することをタグ14に命令してよい。使用すべき最良の戻りリンクチャネルを決定する一つの方法はRT30にヌル指令を送信させることであり、このヌル指令はタグ14に送信させない。このことは、四つの戻りリンクチャネルの各々における受信信号強度(RSS)をRT30が決定することを可能にする。その後、最も低い信号強度(つまり、最も少ない雑音/混信量)を有する戻りリンクチャネルに応答を送信することをRT30がタグ14に命令する。
【0118】
一つの実施形態では、マイクロ制御装置200は、その内部クロックを発生させるために4MHz水晶振動子の様な外部水晶振動子を必要とする。もう一つの実施形態では、マイクロ制御装置200は、低速クロック(37KHz)及び高速クロック(4MHz)を生じさせるための二つの内部発振器を含んでおりMicrochip, Inc.によって製造されたモデルPIC16C717である。従って、PIC16C717マイクロ制御装置には外部水晶振動子が必要とされない。更にもう一つの実施形態では、マイクロ制御装置200は、異なる周波数を有する二つ以上のクロックを発生させるために、二つ以上の外部水晶振動子(または、一つの水晶振動子と周波数分割器)を使用する。タグ14は、電力を大事に使う様に、異なる機能を実行するための異なるクロック速度を含むことが好ましい。タグ14は、その機能の大部分を実行するために低速クロックを使用して、より多くのタグ電力を消費する高速クロックが使用される時間を最小限にする。電力を大事に使うことも、休眠モードを含む異なる動作モードをタグ14が含むことが好ましい理由である。
【0119】
タグ14は、例えば、タグ14がタイヤの異常を感知したと監視読取機または車載読取機が検出することを可能にするために、RT30へ警報信号を送信する。使用可能にされていると、警報状態が自律送信(AT)パケットの送信を始動させる。警報状態は、タグ感知器206、208によって決定されている通りの過熱状態及び/または過圧/圧力不足状態を含む。警報閾値はプログラム可能であるので、各々のタイヤパラメータ(例えば、温度及び空気圧)に対して、最高設定値と最低設定値との両方が選択され得る。タグ14の記憶装置に記憶されている閾値を温度が超えているか、または、予め決められている閾値を圧力が超過あるいは不足していると、タグ14が検出すると、タグ14は警報信号を始動させる。
【0120】
A.タイヤ温度補正
タイヤが供用状態で動かされる時は、タイヤは曲がることによって働く。この曲がりは、少なくともある程度は、車両がある位置から別の位置へ移動する時に負荷を支持し、隆起や衝撃を吸収し、車両の移動を可能にするためのコーナリング及びトラクションを提供することによって、引き起こされる。この働きは、各々のタイヤ内における熱の発生に帰着する。最後に、この熱は、例えば、リム及び車両懸架装置への伝導、放射、周囲の雰囲気への対流、タイヤが接触している地面つまり車道への伝導によって、タイヤによって放散される。
【0121】
一般に、タイヤが供用中に経験する温度上昇は、そのタイヤが支持する負荷、車両の移動速度、及び車両が移動する時にその車両が耐える操縦、によって決定される。これらの要因が極端になるほど、熱の発生が多くなる。タイヤ自体の熱の発生に対する追加的な要因はタイヤの空気圧である。適切に空気注入されているタイヤに比べて、空気圧不足のタイヤは、所定の動作条件下でより激しく働く(つまり、より多く曲がる)。より激しく働くタイヤはより多くの熱を発生させる。更に、ブレーキドラムまたは駆動モータの様な車両におけるその他の熱発生部品の存在が、タイヤに熱を与える。
【0122】
タイヤ製造者によって製造されている各々のタイヤは、特定のタイヤ空気圧とそのタイヤ空気圧における一定の耐負荷容量とに対して設計されている。特定の動作温度に対する特定のタイヤ空気圧を明示するよりも、目標常温充填タイヤ空気圧がそのタイヤに対して明示される協定にタイヤ製造者が同意した。その常温充填温度は、一定の基準温度であり、通常は20℃(68°F)に等しく設定されている。規定温度(例えば、20℃)における規定目標常温充填タイヤ空気圧に適切に空気注入されているタイヤは、特定の製造者が明示しているかもしれない速度等の様なその他の使用条件を条件として、一般に、規定負荷支持容量内で満足に機能する。
【0123】
特に採掘動作の様な一定の動作環境では、タイヤは設計負荷容量かまたはその近傍で動作するかなりの時間を過ごすかもしれない。これらの環境では、そのタイヤは製造過程における設備利用を極限まで増加させるために可能な限り十分に緊張させられ、その結果、そのタイヤは熱を発生させる。これらのタイプの動作におけるタイヤの寸法及び質量は大きくて莫大な熱量を供給し、この莫大な熱量は上述の手段を通じた冷却をゆっくりとした過程にする。その様な環境におけるタイヤはそのタイヤが周囲の空気と同じ温度まで冷却するのを可能にするのに十分な休止時間をめったに経験せず、そのために、常温充填温度における常温充填タイヤ空気圧の測定が困難且つ稀である。その結果、タイヤが供用された後における殆どのタイヤ空気圧測定は、そのタイヤが最初に空気注入された常温以外の温度で行われる。これらの測定は動作時タイヤ空気圧測定と呼ばれる。
【0124】
タイヤ及びリム構造内に含まれている空気量は(タイヤ修理工による)意図的な働きまたは(タイヤ構造に対する傷害による)意図的でない働きによる以外の空気の著しい追加または損失がない閉鎖系であるので、この系は下記で表される理想気体の法則によって支配される。
PV=nRT
ここで、総ての単位をSI(国際単位系)で表して、
P=気体によって及ぼされる圧力
V=気体を含んでいる室の体積
n=系内に含まれている気体のモル数
R=系内の気体に特有の定数
T=気体の温度
である。Rの値は、固定されており、一般に圧縮空気または幾つかの場合には窒素であるタイヤ内の特定の気体混合物に依存している。幾つかのタイヤは、そのタイヤの内部にUltraseal International, Inc.のUltraseal Tire
Life Extenderも使用している。追加的な空気が追加または損失されないとすると、nの値も一定である。タイヤ構造が、変形可能ではあるが、織物または鋼鉄の形の本体コードの存在のために本質的に非伸張性であるので、Vの値(タイヤ及びリム構造によって規定されている室の体積)は少なくとも第一次近似として一定である。従って、この式中の唯一の変数は、気体の温度及び圧力になる。従って、
PV=nRT 及び k=T/P=V/nR(一定)
である。
【0125】
上述の様に、タイヤが熱くなると、タイヤの内部空気圧は、増加して、測定時に実際は深刻な圧力不足である場合にそのタイヤが適切に加圧されていることを示すかもしれない。空気圧不足のタイヤは、適切に空気注入されているタイヤに比べて、所定の動作条件下で激しく働く。
【0126】
本発明は、組合せ気体法則(シャルルの法則とボイルの法則との両方)を使用することによって、現在の(動作時の)如何なるタイヤの空気圧及び温度に対しても、測定されるべきタイヤ10の周囲の(常温の)等価圧力を可能にする。測定タイヤ空気圧が十分である様に思えても、計算された常温タイヤ空気圧が現在の測定温度に対してタイヤ内の不十分な圧力を示すかもしれないので、このことは重要である。従って、本発明は、現在の(動作時の)タイヤの温度及び空気圧を使用することによって、周囲の(常温の)等価タイヤ空気圧を決定する。
【0127】
タイヤの等価常温充填圧力を決定する本発明の方法は、米国特許第6,025,777号に開示されている予測方法とは異なる。この米国特許の第10欄第8〜21行に記載されている例は、将来の圧力の「予測」を示しており、将来の必要性に基づくタイヤ空気圧の予備調整を可能にしている。この米国特許は、予め決められている基準に基づく現在の実際の圧力を決定していない。更に、この米国特許は、この目的のために、組合せ気体法則を使用していない。それとは違って、本発明は、組合せ気体法則を使用して周囲の温度における対応常温圧力を計算するために、現在の(動作時の)圧力及び温度を使用する。
【0128】
タイヤが上述の働きに耐えてその働きの経過中に昇温するので、上述の単純化された式によって支配されている通りにそのタイヤの空気圧が上昇する。タイヤの空気室の温度及び空気圧が二つの異なる時点t1、t2で測定されると、それらの温度及び圧力の対応値は次の式で関係付けられるはずである。
k1=k2=T1/P1=T2/P2
ここで、P1=時刻t1における圧力(タイヤ製造者によって明示されている常温充填基準圧力)(SI単位で)
P2=時刻t2における圧力(現在の動作時圧力)(SI単位で)
T1=時刻t1における温度(常温充填基準温度−20℃)
T2=時刻t2における温度(現在の動作時温度)(℃で)
である。
【0129】
更に、時刻t2において温度及びタイヤ空気圧が測定され、時刻t1における温度が既知であれば、時刻t1における圧力は容易に計算され得る。更に一段階進んで、時刻t1は当該タイヤが周囲の温度(説明のために20℃であるとする)で最初に空気注入された時刻であり、且つ、時刻t2における温度及び空気圧が任意の何らかの期間の間供用されていた後のそのタイヤの運転状態を表していれば、等価常温充填タイヤ空気圧(この場合はP1)は上述の式から計算され得る。この値は、その後、そのタイヤが適切に空気注入されているか否かを決定するためにそのタイヤ用にタイヤ製造者によって明示されている目標常温充填タイヤ空気圧と比較され得る。
【0130】
実際には、今日では、手持形圧力計を使用して、供用中のタイヤの動作時タイヤ空気圧を容易に測定することができる。しかし、そのタイヤの内部空気室の温度も知らなければ、そのタイヤの等価常温充填タイヤ空気圧について推測することができるだけである。空気室温度をも測定するために、弁棒を通してタイヤ室内へ熱電対プローブを挿入することの様な種々の手段が用いられてよい。しかし、その様な測定は、測定を行うために車両が安全な位置に停止していなければならないので、時間及び人手を必要としてその車両の供用時間を減じる。
【0131】
今日の殆どの場合には、動作時タイヤ空気圧測定のみが行われて、特定のタイヤが点検修理を必要としているか否かを決定するために一定の推定または比較が行われる。しかし、下記の例が示すことができる様に、この様にして取得されたデータは、等価常温充填タイヤ空気圧についての推定に誤解を生じさせていることがある。
【0132】
共に最初は100psiの目標常温充填タイヤ空気圧まで空気注入されており且つこれらの測定が同じ較正圧力計を使用して20℃で行われている同じ車両の二つのタイヤの動作を考察する。その車両を供用して、あるかなりの期間(多分3日)後にその同じ較正圧力計で動作時タイヤ空気圧を測定する。典型的な結果は、両方のタイヤが117psiという動作時タイヤ空気圧を示すということになる。両方のタイヤがその同じ動作時タイヤ空気圧を示し且つタイヤ温度情報が知られていないので、下記の事項が推定されるはずである。
両方のタイヤが同じ温度まで昇温した。
その温度上昇が上記に示されている式に従って圧力応答を作り出した。
両方のタイヤに対する等価常温充填タイヤ空気圧は依然として100psiである。
【0133】
両方のタイヤが空気損失に起因して等価常温充填タイヤ空気圧における同じ変化を経験することはありそうもなく、しかも、両方のタイヤが同じ車両に装着されているという事実のためにこれら両方のタイヤが同様に供用されているので、このことは合理的な推定である。これらのタイヤは多分それ以上の注意もなく供用されたままであろう。
【0134】
実際、その状況は非常にゆゆしい。第一のタイヤは、上記の推定に一致して、記載されている動作環境にとって完全に正常な状態である100psiという等価常温充填タイヤ空気圧と約65℃という対応タイヤ室温度とを有しているかもしれない。しかし、第二のタイヤには、実際には、タイヤから幾らかの空気が抜き取られるパンクがあるかもしれない。第二のタイヤからは幾らかの空気が抜き取られているので、この第二のタイヤは、圧力不足であり、今ではより多く働いており、約97℃の温度まで空気室を加熱した。この高い温度は(上記の式の通りに)より高い圧力を引き起こすので、動作時タイヤ空気圧の読取は実際には117psiである。しかし、97℃と117psiという動作時タイヤ空気圧との組合せは、90psi以下という等価常温充填タイヤ空気圧を生じさせる。
【0135】
このタイヤは、今では少なくとも10psiの空気圧不足であり、この実際の空気圧不足のためにゴムが焼けてそのタイヤが破損しそうなほど高温かもしれない。しかし、タイヤ空気室温度を知らなければ、この情報は得られず、そのタイヤは何らの注意も受けることなく供用されたままにされるかもしれない。
【0136】
実際の動作時タイヤ空気圧及び実際のタイヤ室温度を知ることによって、等価常温充填タイヤ空気圧が容易に計算されることができ、空気圧不足である様な点検修理の必要なタイヤは即時に注意を払われることができる。その時、点検修理の必要のないその他のタイヤは、日常の目視検査以外の注意を払われない様にできる。この様にして、問題のあるタイヤにのみタイヤの点検修理が向けられることができて、点検修理の効率が達成され得る。更に、空気漏れの様な問題の早期識別は、タイヤに対する更なる損傷と、新しいタイヤ、点検修理時間、設備の損傷、設備の無駄な利用、潜在的な二次的損傷または負傷の様な関連コストとをもしかすると削除することができる、即時の点検修理に通じることができる。これらの利益の総てが、動作時タイヤ空気圧と実際のタイヤ室温度とを報告するこのETMS(タイヤタグシステム)によって提供され得る。これらの報告は運転者の何らの介在もなしに自動的に提供され、等価常温充填タイヤ空気圧の計算が評価用に利用可能になる。このETMSシステムは、計算された等価常温充填タイヤ空気圧を既知の目標常温充填タイヤ空気圧と即時に比較することもでき、特定のタイヤに対する注意または点検修理の必要性に要員を自動的に気付かせる。
【0137】
図21〜23は、常温充填タイヤ空気圧の計算を試行することの問題を示す実際のタイヤ測定からのデータを示しているグラフである。例えば、三つのグラフ総てにおけるLFfffc17タイヤ(左前)を表しているデータを考える。なお、図22における報告された動作時圧力は、ほぼ111psiと117psiの間である。これは満足な動作時圧力である。しかし、図23における左前タイヤ用の報告された動作時温度は、非常に高くて約160°Fと180°Fとの間である。図23のグラフは、そのタイヤの計算された常温タイヤ空気圧が、そのタイヤで問題が生じたことを示す不満足な状態である91psiと94psiとの間であることを示している。
【0138】
B.蒸気圧補正
更に、本発明は、測定されたタイヤ空気圧をタイヤ内の蒸気圧に従って補正することによって、タイヤ蒸気圧を補償する。タイヤ内の流体上で収集された気体の圧力を得るために、その流体の分圧が考慮されなければならない。液体が液体から気体状態へ変化する時にその液体が圧力を及ぼすことを、物理学は示している。この圧力は「蒸気圧」として知られている。通常は、これは、タイヤ内における液体冷却製品の使用を除いて、ETMSの圧力測定にとって要因ではない。これらの製品は殆どが水を含んでおり、十分な量の冷媒がタイヤに加えられていてそのタイヤの最高動作温度で存在する液体が常に存在していると思われる。これらの推定を仮定すれば、冷媒が使用されていれば、ETMSシステムはタイヤの温度に基づいて水蒸気圧を補正する。冷媒の使用は、使用されるべき補正用のデータベース内で示されていなければならない。
【0139】
蒸気圧は測定されたタイヤ空気圧を増加させる。この追加的な測定圧力を補正するために、計算された蒸気圧寄与が、測定された圧力から減じられる。この蒸気圧は次の式を使用して計算される。
PVP=(2.4×10-6)*e[0.0433(Temp+273)] (SI単位で)
【0140】
水、Tire Life、またはその他の公知の液体の様な流体の分圧は、各々の流体用の周知の表から得られ得る。その表は、所定の増分の気体温度と各々の所定温度増分に対する対応分圧とを含んでいる。適切な表からの適切な値でマイクロコンピュータ200をプログラミングすることによって、タグ14またはRT30は上述の様な周知の方法でタイヤ10内の蒸気圧を補正することができる。
【0141】
C.標高圧力補正
更に、周囲の(常温)タイヤ空気圧が高度と共に変化するので、本システムは、タイヤが使用されている位置の標高に周囲の(常温)圧力がどの程度基づくべきかを計算することができる。この圧力補償は、より正確な結果圧力の読取を提供するために実行される。このETMSシステムは圧力を絶対圧力として測定する。この情報は、そのシステムの位置に関連する形式で示される必要がある。つまり、その報告された計器圧力は、その位置で測定された圧力と一致しなければならない。このETMSシステムによって測定された絶対圧力は、その位置の標高に基づいて計器圧力へ変換されなければならない。この変換は、その位置における大気圧を絶対圧力から減じることよって行われる。大気圧は次の式を使用することによって計算される。
Patmos=(6.6×10-9)*(標高2)
−0.00053*標高+14.69 (SI単位で)
【0142】
一つの実施形態では、タグ14はタイヤの絶対常温圧力を与え、標高が既知であれば、この絶対常温圧力はその位置の標高を相殺するために補正され得る。
【0143】
本発明の追加的説明
上述の様に、タグ14は幾つかの動作モードを有している。一つの実施形態では、タグは、ヌル値に備えて探索モードカウンタをサンプリングすることによって、探索モードへ入るべき時であるか否かを決定するために、深い休眠モードから意識清明休眠モードへ周期的に覚醒する。探索モードカウンタがオールゼロを含んでいれば、タグ14は探索モードへ入る。探索モード中では、タグ14は、(1)感知器測定を受け取って記憶し、(2)順方向リンクパケットらしきものの存在を調べる、という少なくとも二つの独立機能を実行する。受信された送信がFLPらしいことを予備識別が示せば、タグ14は、そのFLPが有効であることを確認する呼掛モードへ入り、そのFLPが有効であれば、それに応答する。有効なFLPを読み取る処理は、その呼掛が完了するまで続く。その後、タグ14は深い休眠モードへ戻る。
【0144】
タグ14がRT30の範囲内でなければ、RT呼掛への応答は明らかに存在しない。しかし、タグ14がRT30の視界内へ来れば、特定のタグ14を検出及び識別する一つの方法は特有の逐次近似ルーチン(SAR)アルゴリズムを使用することである。このアルゴリズムは、(特有のタグシリアル番号及び/または特有のタイヤ識別番号の様な)識別番号によってタグを識別する。特定のタグ14を識別するもう一つの方法は、機能的ID(FID)番号及び/または一時的ID番号を使用することである。FIDによる識別は、速い取得が要求されており且つ圧力及び温度の様な通例のタイヤ位置及び簡単なタイヤパラメータの読取以上の情報が必要でない場合に使用されるべきである。
【0145】
一つの実施形態では、タグ14は、工場で符号化された(各々のタグに特有の)そのシリアル番号、(タグ及び車両上のその位置を識別する(一般に、0と63との間の)短い番号である)そのFID番号、または(特定の呼掛セッション中にのみタグを識別する短い番号である)一時的ID番号によって識別され得る。SAR処理は、タグをその特有のID(例えば、そのシリアル番号)によって識別するために使用される。タグの特有のIDは、捕捉するのにもっと長くかかってもよいが、機能的ID番号よりも多目的に使用できる。24ビットのタグシリアル番号を使用すれば、16000000個超の特有のタグが識別され得る。
【0146】
特有の逐次近似ルーチン(SAR)の一つの実施形態が、図24、25に示されている流れ図に図示されている。RT30は、RTアンテナ28の視界内へ移動しているタイヤ10に装着されているタグ14から読取を行う。SAR処理は、特定のタグを識別するのに必要とされる時間を短縮し、通信処理を速め、特定のタグ14からデータを読み取ることを促進し、エネルギーを大事に使う。
【0147】
図24、25の実施形態では、各々のタグ14は3バイトの整数(24ビット)のタグ識別番号で識別されている(従って、16000000個超のタグが各々特有のタグシリアル番号を有することができる)。これらのシリアル番号は逐次近似ルーチン(SAR)を使用して読み取られている。指令及び応答アルゴリズムは、RT30が最高で24指令周期以内に特有のタグシリアル番号に目標を合わせることを可能にする方法で、総ての見渡し可能なタグの各々のビットに呼び掛ける。指令周期は、一つのFLP指令信号をタグへ送信し且つ一つのRLP応答を受信することとして規定されている。このアルゴリズムは、一定数のビットを有するマスク比較器値を特定のタグのシリアル番号と比較することによって、(多数のタイヤタグの中で)未知のタグシリアル番号を識別するために使用され得る。このSARアルゴリズムは、マスク比較器値のもう一つのビットをあらわにするために、マスク値を一ずつ順次に増加させることを含んでいる。修正されたマスク比較器値は、その後、タグのシリアル番号と、一致するまで比較される。タグ14は、一致を検出すると、そのFLP指令信号に応答する。一つの実施形態では、比較器値は24ビットであり、マスク値は5ビットである。
【0148】
タイヤタグ14の立場からSAR論理を示している流れ図が、図24に示されている。タグマイクロ制御装置84は、RTから受信された比較器値(例えば、十六進数の10)(ブロック400)とそのタグの特有のタグシリアル番号(例えば、十六進数の12)(ブロック402)との間で、論理XOR動作を実行する。この論理XORの結果がブロック404に与えられている。ブロック404内の結果とRTから受信されたマスク番号(例えば、十六進数の01)(ブロック406)との間で、論理AND動作が実行される。論理ANDの結果がゼロであれば(ブロック408)、比較器値はタグシリアル番号と一致した。従って、RTが正しいタグを捕捉したことを確認するために、タグ14はそのシリアル番号で応答する(ブロック410)。ブロック412で、論理ANDの結果が(この例の場合の様に)ゼロでなければ、その処理が続かなければならない。従って、タグ14は応答しない(ブロック414)。
【0149】
RTの立場からSAR捕捉処理を示している流れ図が、図25に示されている。最初に、総てのマスクビットが論理ゼロに設定され、タグ視界内フラグが偽に設定される(ブロック420)。SAR指令がその後に送信される(ブロック422)。総てのマスクビットが論理ゼロであれば、送信される比較器値はオールゼロである。このヌル指令を送信することは、RT30の範囲内の総てのタグ14に応答すべきことを命令している。
【0150】
RT30は、その後、何れかのタグが範囲内にあるか否かを決定するために、戻りリンクチャネル上のRSSレベルを監視する(ブロック450)。一つ以上のタグ14がRT30の範囲内であることをRSSのレベルが示していれば、タグ視界内フラグが真に設定される(ブロック452)。RT30はその後にマスク値を一だけ増加させる(ブロック446)(つまり、比較器値の第一ビットがあらわにされる)。ブロック448で、マスク値が24よりも大きいか否かをRT30が決定する。マスク値が24を超えていなければ、修正された比較器値を含むもう一つのSAR指令をRT30が送信し(ブロック422)、タグが応答するまでかまたはマスク値が24に等しくなる(つまり、全24ビットの比較器値が送信される)までこの処理が続く。マスク値が24よりも大きければ、RTは後述の様にタグ取得確認が実行されるブロック426へ進む。
【0151】
あるいは、RT30が一つのタグから良好な応答を受信すれば(ブロック424)、RTはそのタグを捕捉した。良好な応答とは、良好なRSSと良好なCRCとを有する戻りリンク信号のことである。正しいタグをRTが捕捉したことを確認するために、比較器値がタグ14からの応答値(つまり、そのシリアル番号)に等しく設定され且つマスク値が24の全マスク値に等しく設定される(ブロック426)。マスク値を24に設定することは、全24ビットの応答値がタグ14へ送られることを可能にする。RT30は、そのタグ14との更なる通信を簡単化するためにそのタグに割り当てるための一時的ID番号も選択する。その後、RT30は、(応答値に等しい)マスクされていない比較器値とその一時的ID番号とを含むSAR指令をタグ14へ送信する(ブロック428)。タグ14からの良好な応答をRT30が受信すれば(ブロック430)、シリアル番号捕捉は完了する(ブロック432)。応答がないかまたはSAR指令に対する欠陥応答があれば(ブロック434)、シリアル番号捕捉は失敗した(ブロック436)。
【0152】
あるいは、戻りリンク応答がないかもしれず(ブロック438)、そのことは、現在のマスク値に一致するタグがRT30の範囲内にないことを示している。その後、RT30は、視界内フラグが設定されているか否かを決定する(ブロック442)。視界内フラグが設定されていなければ、RT30は新しいSAR指令を開始する(ブロック420)。そうではなく、視界内フラグが設定されていれば、RT30はブロック444で視界内フラグをクリアしてブロック446へ続く。ブロック446では、マスク値が一だけ増加させられる。ブロック448では、RT30はマスク値が24よりも大きいか否かを決定する。マスク値が24よりも大きくなければ、RT30はもう一つのSAR指令を送信し(ブロック422)、タグが応答するまでかまたはマスク値が24に等しくなる(つまり、全24ビットの比較器値が送信される)までこの処理が続く。マスク値が24よりも大きければ、RTはブロック426へ進み、このブロック426では上述の様に比較器値がタグ14からの応答値に等しくされ且つ一時的ID番号が割り当てられる。
【0153】
一時的IDが上述されているが、RT30は、全タグシリアル番号、機能的ID、一時的ID、またはその他の何らかの特有の識別子を使用することによって通信するために、特定のタグを選択することができる。
【0154】
図15を参照すると、RP32は、RT30A、30Bから受信された情報を収集して、RT30A、30Bへ指令を出すためのスケジューラ33を動かす。スケジューラ33は、RTの一つによって送信されるべき指令のスケジュールを作り出す。例えば、RT30A、30Bの一つによって特定のタイヤタグ14が捕捉されていれば、そのタイヤタグ14へ一時的ID番号を送信することを一つの指令がRT30に命令すべきかもしれない。そのような決定はRP32によって行われる。データは、一つの実施形態では2.45GHzの拡散スペクトルモデムである無線モデム42の様な通信チャネルによって送信されるが、通信チャネルは無線モデム42に限定されない。このデータは、野外支援コンピュータ(FSC)48に結合されている相補モデム46へ送信される。一つの実施形態では、RT30A及び/またはRP32が、選択されたタグ群の中から、特定のタグ14からの信号を識別することができる様に、一時的IDがその特定のタグ14に割り当てられる。一時的IDが割り当てられていると、タグ14は、(1)その一時的ID、(2)その特有のID(例えば、タグシリアル番号)、または(3)機能的ID、を明確に識別する指令にのみ応答する。これらの識別番号はタグ群内の特定のタグを識別する。タグ14はFLPの範囲内にある間は捕捉されたままである。タグ14が範囲外になると、タグ14は予め決められている期間の後に(例えば、範囲外カウンタがゼロに達した後に)休眠する。あるいは、RT30は、一般に、呼掛モードが完了すると深い休眠モードへ入る様にタグ14に指令する。
【0155】
タグ14が明確に識別され(捕捉され)て例えば一時的IDを与えられれば、RT30は一定のデータ(例えば、選択された記憶装置位置の内容)を要求する指令信号を送信することによってタグ14に呼び掛ける。このデータは、最新の圧力読取及び温度読取、タイヤタグのホイール位置、車両番号、タグシリアル番号、閾タイヤ空気圧値、閾タイヤ温度値、ユーザ定義データ、並びにm=利得及びb=オフセット値として式y=mx+bを解くために使用され得る感知器用の較正係数(この較正データは生の感知器データを調整するために使用される)を含んでいてよい。このデータは、RT30によって受信され、RP32へ転送され、野外支援コンピュータ48及び/または遠隔サーバ50へ供給される。
【0156】
一つの実施形態では、タグ14及び読取機/送受信機(RT)30は、特定の指令/応答通信規約に従ってそれらの受信/送信機能を実行する。RT30とタグ14との間で通信するための基本的な手段は、タグ記憶装置16への及びタグ記憶装置16からの読取及び/または書込から成っている。温度、圧力、及び較正係数の様な特定の情報へのアクセスのために、予め定義されているデータ構造がタグ記憶装置内の戦略的位置を規定する。タグ記憶装置16も、タグ14の機能的動作を定義するソフトウェアコードを記憶している。
【0157】
要求された総てのタグデータをRT30Aが首尾よく取得していると、タグ14を深い休眠モードに置く指令信号をRT30Aが一般に出す。一つの実施形態では、深い休眠モードは約30秒間続く様に設計されている。この持続期間はタグ14が再覚醒した時にこのタイヤタグがRT30の視界外にあることを確実にし、従って、同じタイヤタグの過誤重複読取を防止する。しかし、種々の環境ではもっと長いまたはもっと短い深い休眠モードが望ましいことが分かる。更に、同じタイヤタグの過誤重複読取は、特定のタイヤタグからのデータをそのタイヤタグのシリアル番号と関係付けることによって削除され得る。しかし、タグ14を約30秒間休眠させることは、同じタグ14の重複読取を防止するための簡単な方法である。最初のタグ14が深い休眠モードに置かれると、同じ車両12上のタイヤかもしれない次のタグ14をシステムがその後に読む。
【0158】
休眠モードの一つの実施形態が図17に示されている。タグ14は予め決められている期間(例えば、約600ms)の間深い休眠モードにある。その後、タグ14は、探索モードへ入るべき時であるか否かを決定するために、数ミリ秒の間意識清明休眠モードへ覚醒し、探索モードへ入るべき時でなければ、タグ14は深い休眠モードを再び始める。どこかの時点で、タグ14は探索モード(低速クロックを動かしている)へ入る。タグ14が探索モードに留まっている時間は、感知器が読み取られるべきであるか否か及び受信された送信がFLPらしいか否かを含む幾つかの変数に依存する。FLPらしきものが検出されると、呼掛モード(高速クロックを動かしている)中でそのFLPらしきものが読み取られて確認される。タグ14が呼掛モードにある時間も、幾つかの変数に依存する。最後に記憶された感知器の読取を報告するために、タグ14は約100ms間だけオンになっている必要があってもよい。それと対照してみると、タグ履歴データをダウンロードすることは、タグ14が約20秒間オンになっていることを必要とするかもしれない。種々のモードの持続期間はタグ14のプログラム可能な機構である。上記の時間は種々のモードの持続期間の単なる説明例である。これらの時間は、具体的な応用に依存してもっと長かったりもっと短かったりしてもよい。
【0159】
再び図20を参照すると、探索モード処理がもっと詳細に記載されている。タグ14は、内部フラグをクリアすること、内部レジスタ及び/またはカウンタを初期化すること、及び外部ハードウェア機能をそれらのオフ状態へ初期化することによって、短縮された再設定処理を最初に実行する。その後、タグ14は、感知器を読み取るべき時であるか否かを決定し、感知器を読み取るべき時であれば、感知器データを読み取って記憶する。その後、タグはASK受信機224をオンにして予備識別探索機能を使用可能にする(つまり、ASK受信機は順方向リンクパケットらしき送信を探し始める)。一つの実施形態では、タグ14は固定期間、一般に25msの間、順方向リンクパケットを探す。この時間中、タグ14は、FLPを示す一定数の遷移(一般に25msの間に71遷移)を有する送信を探している。FLPらしきものが検出されれば、タグ14は呼掛モードへ入る。しかし、FLPらしきものの存在を予備識別が示さなければ、タグ14は自律送信(AT)を実行すべき時であるか否かを決定し、自律送信を実行すべき時でなければ、プログラム可能な期間(一般に600ms)の間の深い休眠モードへ戻る。種々のモードの持続期間は、具体的な応用に依存して調整されてよいタグ14のプログラム可能な機構である。結局、タグ14は探索モードへ再覚醒して予備識別を再び実行する。この処理はタグ14がFLPらしきものを検出するまで繰り返され、タグ14がFLPらしきものを検出した時にタグは呼掛モードへ入る。再び、覚醒期間、休眠モードの持続期間、及び(感知器測定及び自律送信の様な)間隔は、総てユーザによってプログラム可能である。
【0160】
タグ14からのデータは、ユーザによるデータ入力用のキーボードとユーザへのデータ出力用の表示装置とを含む野外支援コンピュータ48を経由して、アクセスされ得る。その表示装置は、タイヤの圧力、タイヤの温度、較正係数、圧力及び温度の履歴、タグ識別番号、タイヤ位置等のタグデータをユーザに提供する。このデータは、野外支援コンピュータ48にダウンロードされて保管され得る。周期的に、新しいデータファイルが作り出されることができ、保管されているタグデータが遠隔サーバ50へダウンロードされることができる。遠隔サーバ50は、遠隔ユーザにタイヤデータを提供し、そのユーザが特定のタグを特定の車両タイヤと関係付け、特定のタグにタイヤ位置を割り当て、または踏面深さや車両タイプ等の様なその他のユーザ定義データを入力することを可能にするために、システムにウェブインタフェースを提供することもできる。
【0161】
図15に示されている実施形態は野外支援コンピュータ48がモデム42、46を経由して読取機処理装置32と通信していることを示しているが、これらの部品(つまり、FSC48及びRP32)は単一の装置または大きな距離で分離されている装置であってもよい。部品の配置は、システムの要求よりもむしろこれらの部品が使用される実施によって決められる。ETMSと共に使用可能な種々の部品のもう一つの概要である図18によって示されている様に、種々のオプションが提供され得る。
【0162】
更に、上述の様に、RP32、野外支援コンピュータ48、及び遠隔サーバ50は、二つ以上の別個のコンピュータ、異なる仮想装置に区分されているコンピュータ、または二つの部品として作動すると共に第三の部品として作動する第二のコンピュータに接続されている一つの仮想装置であってよい。更に、要求/応答通信規約(例えば、遠隔サーバがRP32からのデータを要求する)を使用して、または押しつけ通信規約(例えば、データが遠隔サーバ50によって要求されていなくても、RP32がその様なデータを遠隔サーバ50へ周期的に送信する)を使用して、これらの部品間でデータが送信され得る。
【0163】
図26〜36は、ユーザがタイヤデータにアクセスし且つ一定のタグパラメータを設定することができる方法を示すウェブブラウザ画面の画面ショットを示している。図26は、特定のタグ、日付及び時刻、並びにタグの現在状況(正常、警戒、または警報)を識別する状況画面を示している。警戒は許容範囲外の最初のレベルであり、警報は許容範囲からひどく離れている。図27は、記憶されている温度、測定された圧力、及び車両の前部における二つのタグ用の表示時刻における計算された常温圧力読取を示している。
【0164】
語句「現在」の使用は、本明細書では、タイヤ周囲の(常温)圧力または温度と対照的に、タイヤの現在の(測定された)動作時温度または圧力を示している。図28は、車両"Temp Vehicle"の左前部(LF)における特定のタグ(SN16776728)についての、一定の期間における、現在の温度データ(Temperature)、計算された常温充填圧力データ(Cold-fill)、及び現在の計器圧力データ(Gauge)を含む履歴データを示している。図29は、一定の期間における常温充填圧力データ及び現在の温度データを含むタグデータのグラフ表示装置を示している。
【0165】
図30は、車両名称、製造者、モデル、状況(オンラインまたはオフライン)、及び状態(関連する車両タイヤの何れかが警報状態にあるか否か)を含む、具体的な車両についてのタグ情報を示している。図31は、具体的なタイヤと関連するタグ情報を示している。この画面は、(タイヤ商標番号、タイヤシリアル番号、及びタグシリアル番号を含む)名称、製造者、モデル、車両上のタイヤの位置、タイヤの寸法、状況、及び状態の様な一定のタグデータをユーザが編集することを可能にする。
【0166】
図32は、(ユーザの位置、名称、電話番号等を含む)そのタイヤタグのユーザと、最後のログイン、失敗したログイン試行の数、容認されるログイン試行の最高数、及びアカウントが使用禁止にされているか否かの様なログイン情報とを、確認するユーザ概要を示している。これらのパラメータは、適切なパスワードを有するユーザによって編集され得る。図33は、システムに関する疑問についてユーザが電子メール経由でタグ製造者に連絡することができる方法を示している。
【0167】
図34は、認可されたユーザが、例えば特定の車両上の特定のタイヤに特定のタグを割り当てるために車両データを編集し、そのタイヤの製造者及びモデル番号を識別し、特定の車両に車両識別番号(VIN)を割り当てること等を行うことができる方法を示している。図35は、認可されたユーザが、例えば、タイヤシリアル番号、タイヤ商標、圧力閾値、タイヤ位置、そのタイヤがその車両に装着されている時間、及びそのタイヤが使用されてきた全時間数を入力するために、タイヤデータを編集することを可能にするもう一つの画面を示している。この画面は、編集されているそのタイヤに特定のタグをそのユーザが割り当てることをも可能にしている。図36は、タグシリアル番号と温度及び空気圧警報閾値とを入力することによって、認可されたユーザが新しいタグを作り出す(プログラムする)ことを可能にしている。
【0168】
図37は、本発明の一つの実施形態による受信/送信通信規約の概要を示している。最も一般的なRT指令は、タグに対するデータの読取または書込に関係している(ブロック300)。任意的な機構は、一時的ID、機能的ID及び/または特有のタグIDによって個々のタグを識別すること(ブロック302)と、呼掛モードが完了すると深い休眠モードへ入るべきことをタグ14に指令することによってタグとの通信を終了させること(ブロック304)と、を含んでいる。呼掛モードは、(1)深い休眠モードへ入るべきことをRT30がタグに指令した時、(2)高速カウンタが満了した時、または(3)範囲外カウンタが満了した時、に完了する。
【0169】
図38は、FLP310及びRLP312のタイミングを示している。図示されている様に、これらのパケットは半二重方式でインタリーブされている。RT30は、FLP310を送信し、その後、次のFLP310を送信する前に応答のRLP312を得るために規定の期間待つ。この規定の期間はRLPの持続期間よりも長い。一つの実施形態では、図40に示されている様に、FLPの持続期間は7.33msであり、FLP間の期間は2.7msであり、RLPの持続期間は1.3msである。RT30はこの方式で連続的に送信及び受信する。図38を参照すると、四つの時間仕様が存在している。T1及びT2はRTからのFLPに関係しており、T3及びT4はタグ14からのRLPに関係している。
【0170】
時間T1はあるFLPと次のFLPとの間の順方向リンク沈黙時間(つまり、RT30が送信していない時間)を表している。この時間の間、RT30は、タグ14からのRLP応答を待っているか、またはアイドルモードにある。一つの実施形態では、この期間は2.7msである。時間T1の持続期間はプログラム可能である。
【0171】
時間T2はRT30からの順方向リンクパケットの持続期間を表している。期間T2はRT30によって制御される。一つの実施形態では、この期間は15.8msである。時間T2の持続期間はプログラム可能である。
【0172】
時間T3はRLPの最後と次のFLPとの間のアイドル時間を表している(つまり、時間T3はタグ応答の最後と次のRT送信の最初との間の時間を表している)。一つの実施形態では、この期間は0.7msである。時間T3の持続期間はプログラム可能である。
【0173】
時間T4はタグ14からのRLP応答の持続期間を表している。期間T4はタグ14によって制御される。一つの実施形態では、この期間は1.33msである。時間T4の持続期間はプログラム可能である。
【0174】
正常な動作モード中では、ETMS用の無線通信規約は指令/応答構成を使用する。RT30は、周期的間隔で順方向リンクパケット(FLP)を送信し、FLP同士の間の規定時間でタイヤタグ14からの戻りリンクパケット(RLP)を受信する。RT30は、既知の位置にあるかまたは特定の時間に(範囲内に)存在しているタグ14に依存することができない。固定ゲート読取機の場合には、タグ14は通常はRT30の範囲内に存在していない。作業場所と固定ゲート読取機の位置とに依存して、タグは一時間に2回から一日に一回かまたはそれよりも少なくRT30の範囲内にあるだけでよい。タグがRT30の範囲内にある時間は、数秒程度に短くても数時間程度に長くてもよい。これらの不確実さのために、タグ14がRT30からのFLP指令を聞き損ねない様に、タグ14は頻繁に覚醒して十分に長くそのままでいなければならない。
【0175】
探索モード中では、タグ14は、低速クロック(例えば、37KHz)を使用し、FLPらしき送信を探索する。タグ14は、一般に、毎時数千回、探索モード動作を実行する。このため、探索モードはタグの電池電力を最も多く消費する。探索モードの間、タグ14は予備識別を実行する(つまり、タグ14はFLPを示す一定数の遷移を有する送信を探索する)。FLPを示す送信の検出と同時に、タグは、呼掛モードへ入り、高速クロック(例えば、4MHz)を始動させ、有効なFLPの存在を確認して、それに応答する。
【0176】
一つの実施形態では、FLPデータ及びRLPデータはマンチェスター符号化されており、このことは、全データビットに遷移が存在していることを意味している。その様な符号化は、タグ受信機が波形からクロックを確立するのに役立つ。更に、その様な符号化は、タグ14が、送信がFLPらしいか否かを決定する(つまり、予備識別を実行する)ために、規定の間隔の間に一定数の遷移を検出することを可能にする。マンチェスター符号化の線図は図39に見ることができる。
【0177】
図40に示されている様に、FLPは、RT30からタグ14へのパケットとして規定されており、短いプリアンブルを有している。一つの実施形態では、プリアンブルは、論理0の六ビットを含んでおり、論理1で終わっている。波形内における論理0から論理1への遷移は、後続のビットがデータであることをタグ14に合図している。FLPは7.5Kbpsで送信される。一つの実施形態では、FLPの形式は次の通りである。
プリアンブル=7ビット(0.93ms)
データ=32ビット(4.27ms)
巡回冗長検査(CRC)=16ビット(2.13ms)
ポストアンブル=72ビット(8.47ms)
FLP送信用の合計時間=15.8ms
【0178】
CRCはFLP内のデータを確認する一つの方法である。その他の方法は、奇偶検査ビットや検査合計等の使用を含んでいる。正しいCRCを有するFLPは有効なパケットである。有効なFLPのデータ含有量は、そのタグが応答を必要としているか否かを明示している。RLPはタグ14からRT30への送信として規定されている。RLPの形式はFLPに類似しているが、RLPはFLPよりも速い速度で送信される。一つの実施形態では、RLPはFLPよりも8倍速い60Kbpsで送信される。RLPの形式は次の通りである。
プリアンブル=32ビット(533μs)
データ 32ビット(533μs)
CRC 16ビット(267μs)
RLP送信用の合計時間=1.33ms
【0179】
FLP及びRLPのタイミングは、図40、41のタイミング線図に示されている。一つの実施形態では、タグ14はRLPを送信する前に準備をしなければならない。例えば、送信機232の位相同期回路(PLL)は、規定の戻りリンクチャネルをロックするのに7ms程度かかる。FLPにポストアンブルがなければ、その場合にはタグは自分が応答しなければならないことを知っており、FLPにおけるCRCの最後とRLPの最初との間の時間は、図41に示されている様に1msに過ぎない。この時間は、PLLが戻りリンクチャネルをロックすることを可能にするのに十分な時間ではない。一つのオプションは、たとえタグが応答する必要がなくても、有効なFLPが存在している場合は常にPLLをオンにすることである。もう一つのオプションはFLPとRLPとの間のオフ時間を延長することであるが、その場合は、FLPが検出されることを確実にするために、タグ受信機224は覚醒期間よりももっと長い間オンのままでいなければならない。このことは、電池の使用を増加させ、タグ14の寿命を縮める。
【0180】
従って、より良いオプションは、図40に示されている様にFLP送信にポストアンブルを付加することである。その場合、タグ14はFLPのデータ部を読み取り、応答が要求されていれば、PLLをオンさせ、その後にCRCを確認し、CRCに問題がなければ続行することができる。そうではなく、CRCに問題があるとタグ14が決定すれば、タグ14はPLLをオフすることができる。CRCを確認する前にデータを読み取ることは、FLPの残部(CRC及びポストアンブル)が受信されて読み取られている間はPLLが落ち着くことを可能にする。タグ14はFLPの一部を調べた後にしかPLLを使用可能にしないので、タグのPLLがオンである時間が最小限にされる。従って、この方式のパケットインタリーブは、(固定ゲート読取機の場合には長期間になり得る)応答を要求している無効のFLPが存在している場合にPLLがオンである時間を最小限にすることによって、タグの電池電力を保存する。
【0181】
従って、一つの実施形態では、FLPは、電池消費を最小限にする方法を提供するポストアンブルを含んでいる。図40のタイミング線図は、(プリアンブル及びポストアンブルを含んでいる)FLPとRLPとのタイミングを示している。ポストアンブルが7ビットの代わりに72ビットで構成されていることを除いて、ポストアンブルはFLPのプリアンブルと同じ形式を有している。プリアンブルと同様に、ポストアンブルも一で終わるゼロのストリームである(つまり、ポストアンブルは71個のゼロを含んでいて一で終わっている)。論理ゼロから論理一への遷移はFLPの最後を意味している。(FLPのポストアンブルに起因する)FLPとRLPとの間の増加した時間は、戻りリンクチャネル上でPLLをロックさせるのに十分な時間をタグ14に与える。このことは、PLLをオンさせる様にタグ14がFLPによって明確に指令された後にのみ、タグ14がPLLをオンさせることを意味している。このことはPLLがオンである時間を減少させ、それによって、タグ14がFLPの存在下にある時に電池電力を節約する。ポストアンブルも、有効なFLPが存在していない時に受信機224がオンである時間を最小限にすることによって、電池電力を大事に使う。
【0182】
タグ14は、FLPらしきものを探索するために、時々受信機224をオンにしなければならない。FLPらしきものの存在を検出するためには、受信機224は、送信が少なくとも71個の遷移を含んでいるか否かを決定するために、ほぼ25ms間オンでなければならない。FLPはマンチェスター符号化されている(つまり、全データビットに遷移が存在している)ので、FLPはこの間隔の間に少なくとも71個の遷移を有する。ポストアンブルなしに同じパケット間タイミングが使用されると、受信機224は約50msの間電力を供給されている必要がある。従って、ポストアンブルの使用は、タグ受信機224によって使用される電力を50%だけ減少させる。図42は、種々の覚醒時間を有する三つのタグと、これらが総てFLPの存在を検出する方法とを示している。タグ14がFLPらしきものの存在を検出すると、タグ14は、その送信を読み取ってその送信がRT30からの有効なFLPであるか否かを確認するために、呼掛モードへ移行して受信機224をオンのままにしておく。
【0183】
上記の通信規約は、PLLを使用可能にする様に有効なFLPによって明確に指令された時にのみタグ14がPLLを使用可能にし、また、タグに受信機224をオンにさせ且つFLPの探索のために必要とされる最少時間をポストアンブルの使用が短縮させるので、電池電力を大事に使う。
【0184】
図43は、本発明の一つの実施形態に従うタイヤタグのファームウェアの機能と、それらの互いの関係とを示す流れ図である。タグのファームウェアの正常な処理の流れは、深い休眠から意識清明休眠へハードウェアによって始動させられる覚醒、初期化、感知器の処理、探索、自律送信、有効なFLPの呼掛及び処理、並びに深い休眠への復帰を含んでいる。これらの機能は正常処理中に使用される。これらの機能の各々は、下記にもっと詳細に説明されている。
【0185】
深い休眠はマイクロプロセッサのハードウェア機能である。一定のレジスタがが、予め決められている休眠時間の間監視タイマー(WDT)を構成する様に設定される。深い休眠モードの間、マイクロプロセッサは作動しておらず総てのクロックは停止されている。従って、深い休眠モード中では最少電力量しか消費されない。WDTが時間切れになると、マイクロプロセッサはその低速クロックモードで開始される。休眠からのこの最初の覚醒は意識清明休眠と呼ばれる。図44〜54は、図43に示されている機能の各々を示している詳細な流れ図である。
【0186】
図44は、本発明の一つの実施形態に従う意識清明休眠処理を示す流れ図である。タグ14は深い休眠から意識清明休眠へ直接に入る(ブロック480)。ブロック482で、タグ14はリセット信号の原因を決定する。その原因が電源オンリセット(POR)または予期されないWDTリセットであったとタグ14が決定すれば、タグ14は初期化へ進む(ブロック484)。そうではなく、その原因が予期された監視タイマ(WDT)リセットであれば、タグソフトウェアはブロック486へ進む。そこで、タグ14は深い休眠レジスタがオールゼロを含んでいるか否かを決定する。深い休眠レジスタがオールゼロを含んでいれば、タグ14は初期化へ進む(ブロック484)。そうではなく、深い休眠レジスタがオールゼロを含んでいなければ、タグは深い休眠レジスタを減少させて(ブロック488)深い休眠モードへ戻る(ブロック490)。
【0187】
図45は、本発明の一つの実施形態に従う初期化処理を示す流れ図である。この初期化処理は、休眠状態の終了に起因して(ブロック500)、予期されないWDTリセットに起因するか若しくは呼掛処理ループ中に遭遇される障害状態に起因して(ブロック502)、または電源オンリセット(POR)に起因して(ブロック504)、意識清明休眠処理から入られる。初期化処理が休眠処理の正常な終了から入られれば(ブロック500)、タグはブロック522へ進む。POR(ブロック504)は、電池がタグ14内に取り付けられる時に、正常に発生する。初期化処理がPORから入られていれば、診断及び状況バイトを含む全記憶装置がクリアされ、履歴データ保管ポインタがリセットされる(ブロック506)。初期化が障害状態に起因して入られていれば(ブロック502)、タグはブロック508で適切な診断状況エラービットをセットする。タグ14はその後にそのEEPROMから構成値を読み取る(ブロック510)。そのEEPROMのヘッダバイトが有効でなければ(ブロック512)、タグはブロック518へ進む。EEPROMのヘッダバイトが有効であれば、タグはそのEEPROM値を使用して初期化を行うブロック514へ進む。ブロック516では、タグは整合性検査を実行する。この整合性検査が問題なければ、タグはブロック522へ進む。そうではなく、EEPROMから読み込まれた値が整合性検査処理に落ちれば、タグは適切な診断状況エラービットをセットし(ブロック518)デフォルト値を使用してタグを構成する(ブロック520)。構成値が読み込まれると、総てのタイマ及びモードが初期化される(ブロック522)。その後、タグ14は感知器処理を続ける。
【0188】
図46、47は、本発明の一つの実施形態に従う感知器処理を示す流れ図を示している。タグ14は、感知器の読取が使用可能にされているか否かを最初に調べる(ブロック600)。感知器の読取が使用可能にされていなければ、タグ14は探索機能へ進む(ブロック618)。感知器の読取が使用可能にされていれば、タグ14は、感知器レジスタ(カウンタ)がゼロに等しいか否かを決定することによって(ブロック602)、感知器を読み取るべき時か否かを決める。感知器レジスタがゼロに等しくなければ、タグ14は感知器レジスタを減少させて(ブロック604)探索機能へ進む(ブロック618)。感知器レジスタがゼロに等しければ、タグ14は、感知器レジスタを再読込みし、感知器電源をオンにし、アナログ−デジタル変換器(A/D)の入力を温度感知器へ設定し、感知器を安定させるために遅延を始動させる(ブロック606)。遅延(ブロック608)の後に、タグ14はA/D入力から温度値を読み取りその後にA/D入力を圧力感知器へ設定する(ブロック610)。圧力感知器が安定させられている間に、タグ14は必要な何れかの信号濾過を実行して温度データを記憶装置に記憶する(ブロック612)。その後、タグ14はA/D入力から圧力値を読み取って感知器回路をオフにする(ブロック614)。タグ14は圧力データについて必要な何れかの信号濾過を実行してその圧力データを記憶装置に記憶する(ブロック616)。
【0189】
図47では、タグ14は履歴データの保管が使用可能にされているか否かを調べる(ブロック618)。履歴データの保管が使用可能にされていれば、タグ14は、保管レジスタがゼロに等しいか否かを決定することによって、履歴データを保管すべき時か否かを決める(ブロック620)。保管レジスタがゼロに等しくなければ、タグ14は保管レジスタを減少させる(ブロック622)。保管レジスタがゼロに等しければ、タグ14は、保管レジスタを再読込みし、温度読取及び空気圧読取を履歴データEEPROM保管内に保管する(ブロック624)。その後、タグ14は警報機能が使用可能にされているか否かを調べる(ブロック626)。警報機能が使用可能にされていなければ、タグ14は探索機能へ進む(ブロック632)。警報機能が使用可能にされていれば、タグ14は、温度及び空気圧の値が予め決められている範囲内か否かを調べるために、温度及び空気圧の値を調べる(ブロック628)。温度及び空気圧の値が予め決められている範囲内であれば、タグ14は探索機能へ進む(ブロック632)。温度及び空気圧の値が予め決められている範囲内でなければ、タグ14は、自律送信警報モードを使用可能にする警報フラグを設定し(ブロック630)、その後に探索機能へ進む(ブロック632)。
【0190】
図48は、本発明の一つの実施形態に従う探索機能を示す流れ図である。タグ14は、固定間隔、一般には25msの間、受信機224をオンにする(ブロック650)。その後、タグ14は、受信されたデータ送信が固定間隔の間に特定の数、一般には71、を超える遷移を含んでいたか否かを決定する(ブロック652)。受信されたデータ送信が固定間隔の間に特定の数を超える遷移を含んでいれば、その受信されたデータ送信は考えられ得る順方向リンクパケット(FLP)であり、タグ14は呼掛機能へ進む(ブロック656)。受信されたデータ送信が固定間隔の間に特定の数を超える遷移を含んでいなければ、タグ14は受信機224をオフにして(ブロック654)自律送信(AT)機能へ進む(ブロック658)。
【0191】
図49は、本発明の一つの実施形態に従う呼掛機能を示す流れ図である。呼掛モード中では、タグ14はマイクロプロセッサの高速クロックを使用可能にする(ブロック700)。呼掛機能は、呼掛タイマが満了するまで、タグ14が幾つかの作業をループ内で反復的に実行する、フォアグラウンド処理である。呼掛タイマが満了すると、タグ14は休眠する。あるいは、FLP指令は呼掛が完了すると深い休眠モードへ入るべきことをタグ14に命令してよい。これらの作業は、監視タイマー(WDT)をリセットすること(ブロック702)、整合性検査処理を呼び出すことによって障害状態を探すこと(ブロック704)、有効なFLPを調べること(ブロック706)、FLP指令に応答すること、及び戻りリンクパケット(RLP)を送信すること、を含んでいる。
【0192】
一つの実施形態では、呼掛タイマ(カウンタ)は二つの値のうちの一つと共に読み込まれる。高速度値は最初の有効なFLPを探索する長さを明示している(ブロック700)。受信範囲外値は、少なくとも一つの有効なFLPが受信された後にFLPの探索が続けられる長さを明示している(ブロック708)。有効なFLPが受信されると、タグ14はそのFLPがこの特定のタグに対して意図されているのか否かを調べる(ブロック710)。一つの実施形態では、タグ14はそのFLPが指令またはSAR要求であるか否かを調べる(ブロック712)。その後、タグ14は適切なSAR処理(ブロック714)または指令処理(ブロック716)を呼び出す。これらの処理は、今度は、一般に、RLP処理を呼び出す(ブロック718)。呼掛ループを支援するこれらの機能は、バックグラウンド機能であり、割込サービスルーチン、FLP処理ルーチン、RLP処理ルーチン、EEPROMインタフェースルーチン、整合性検査ルーチン、指令処理ルーチン、及びSAR処理ルーチンを含んでいる。割込サービスルーチンは事象駆動され、その他のルーチンは必要時に呼び出される。呼掛処理は呼掛タイマが満了する時に終結させられ(ブロック720)、その時タグは深い休眠モードへ入る(ブロック722)。
【0193】
図50は、本発明の一つの実施形態に従う割込サービスルーチンを示す流れ図である。この割込サービスルーチンは、タグ14の動作モードの機能としての内部事象及び外部事象に対応している(ブロック750)。ブロック751で、タグ14はその事象の原因を決定する。ブロック752で、タグはその事象が受信機データの遷移に起因していたのか否かを決定する。割込が受信機データの遷移によって発生させられていたのであれば、割込サービスルーチンは、有効なFLPの実際の検出が実行されるFLP処理ルーチンを呼び出す(ブロック754)。割込が受信機データの遷移によって発生させられていたのでなければ、タグ14は第一の内部タイマ(タイマ0)が満了しているのか否かを決定する(ブロック756)。第一の内部タイマが満了していれば、その内部タイマゼロ割込は、FLPの探索やRLPの送信等の様な働きを始動させる(ブロック758)。第一の内部タイマが満了していなければ、タグは第二の内部タイマ(タイマ1)が満了しているのか否かを決定する(ブロック760)。第二の内部タイマが満了していれば、タグはその呼掛ループを終結させる(ブロック762)。第二の内部タイマが満了していなければ、その割込は予期された原因なしで発生しており、そのことは障害状態を示している。従って、タグ14は診断状況語内にエラービットを設定する(ブロック764)。
【0194】
図51は、本発明の一つの実施形態に従う順方向リンクパケット(FLP)の形式を示している。各々のFLPは、プリアンブル、データ、CRC、及びポストアンブルを含んでいる。FLPはパケット処理ルーチンによって呼掛モード中で処理される。FLPは、予備識別、ビット伝送速度の測定、データ検出、データシフト、及びパケットの確認を含む一連の事象を実行することによって、読み取られる。
【0195】
パケット処理ルーチンは、FLP及びRLPに関係するシリアルビット通信規約を処理する。受信機224がデータ遷移を検出すると、割込が起動され、この割込が今度はパケット処理ルーチンを呼び出させる。タグ14は、受信機雑音と有効なFLPかもしれない送信とを識別しなければならない。過大な受信機雑音があれば、呼掛ループが全周期を完了させて探索処理を再び使用可能にする(つまり、遷移割込を再び使用可能にする)ことができるまで、予備識別処理はFLPの探索を終結させる。
【0196】
図52は、本発明の一つの実施形態に従うパケット処理予備識別の流れ図を示している。ブロック800で、タグ14は割込サービスルーチンから入る。その後、タグ14は、プリアンブル受取フラグが設定されているか否かを決定する(ブロック802)。プリアンブルフラグは、タグ14が有効なプリアンブル列(例えば、25ms間の71個の遷移)を見つけたか否かを示している。プリアンブルフラグが設定されていれば、タグ14はブロック804へ進んでシフトデータ処理を開始する。プリアンブルフラグが設定されていなければ、タグはビット遷移時間間隔が長過ぎたのか否かを決定する(ブロック806)(つまり、遷移に時間が掛かり過ぎている)。ビット遷移時間間隔が長過ぎたのでなければ、タグ14はブロック808へ進む。ビット遷移時間間隔が長過ぎたのであれば、タグ14は、ブロック810で、最後の遷移がプリアンブル終結に適切な極性(例えば、論理一)であったのか否かを決定する。最後の遷移が適切な極性でなかったのであれば、タグ14は予備識別ルーチンを再初期化してシフトデータ処理へ出て行く(ブロック816)。そうではなく、最後の遷移が適切な極性であったのであれば、タグ14は十分なプリアンブル遷移が検出されたのか否かを決定する(ブロック812)。十分なプリアンブル遷移が検出されたのであれば、タグは、そのプリアンブル受取フラグを設定し、(データ検出のための)時間間隔閾値を計算し、FLPデータビットを数えるためのループカウンタを初期化し、その後にシフトデータ処理へ出て行く(ブロック814)。十分なプリアンブル遷移が検出されたのでなければ、タグはブロック816へ進む。
【0197】
ブロック808で、タグ14はビット遷移時間間隔が短過ぎたのか(つまり、遷移が互いに接近し過ぎでいたのか)否かを決定する。ビット遷移時間間隔が短過ぎたのであれば、タグ14はブロック816へ進む。ビット遷移時間間隔が短過ぎたのでなければ、タグは多過ぎるプリアンブルビットがあったのか否かを決定する(ブロック818)。多過ぎるプリアンブルビットがあったのであれば、タグは、FLPの探索を終結させ、遷移割込を使用禁止にする(ブロック820)。多過ぎるプリアンブルビットがなかったのであれば、タグはシフトデータ処理へ出て行く(ブロック822)。
【0198】
図53は、本発明の一つの実施形態に従うパケット処理シフトデータ処理を示している。タグ14はブロック830でシフトデータ処理に入る。その後、タグ14は、ビット遷移時間間隔が上記の閾値であるか否かを決定する(ブロック832)。ビット遷移時間間隔が上記の閾値でなければ、タグは出て行って次の遷移を待つ(ブロック834)。ビット遷移時間間隔が上記の閾値であれば、タグ14は第一の順方向リンクデータビットをシフトする(ブロック836)。次に、タグ14は現在のデータビットが戻りリンクチャネルビットのうちの一つであるか否かを決定する(ブロック838)。現在のデータビットが戻りリンクチャネルビットのうちの一つであれば、そのビットが戻りリンクチャネルレジスタ内へシフトされ(ブロック840)、その後にタグ14は遷移割込サービスから出て行く(ブロック842)。現在のデータビットが戻りリンクチャネルビットのうちの一つでなければ、順方向リンクレジスタ内へビットがシフトされる(ブロック844)。その後、タグはシフトが完了しているのか否かを決定する(ブロック846)。シフトが完了していなければ、タグ14は遷移割込サービスから出て行く(ブロック842)。シフトが完了していれば、タグは、誤り検出ビット(例えば、奇偶検査ビット、検査合計、またはCRC)に間違いがないか否かをタグ14が決定するブロック848へ進む。誤り検出ビットに間違いがあれば、タグ14はパケット処理ルーチンを終結させてもう一つのFLPを待つ(ブロック850)。誤り検出ビットに間違いがなければ、タグ14は、パケットOKフラグを設定し、遷移割込を使用禁止にし、遷移割込サービスから出て行く(ブロック852)。
【0199】
図54は、本発明の一つの実施形態に従う指令ルーチン(つまり、呼掛モードの応答部分)を示している。このルーチンは、RT30から受信された有効なFLP指令を処理する。この指令ルーチンは、単一の順方向リンクパケット時間間隔を超えて広がる長いマクロ指令をも分析する。長いマクロ指令は第一の指令によって始動させられ、その結果(例えば、データ)は第二の指令によって検索される。
【0200】
具体的に言うと、この指令ルーチンはブロック900で呼掛処理から呼び出される。タグ14はFLP指令が有効であるか否かを調べる(ブロック902)。FLP指令が有効でなければ、タグ14は、診断状況語内に指令エラービットを設定し(ブロック904)、そのパケットを無視する(ブロック906)。FLP指令が有効であれば、タグ14はそのFLP指令が長いマクロ指令であるか否かを調べる(ブロック908)。そのFLP指令が長いマクロ指令であれば、タグ14は、その長いマクロを実行し始めて、その結果をタグRAM内に記憶する(ブロック910)。一つの実施形態では、タグ14はタグシリアル番号を含む戻りリンクパケット(RLP)を組み立てる(ブロック912)。そのFLP指令が長いマクロでなかったのであれば、タグ14はその指令に応答するデータを含むRLPを組み立てる(ブロック914)。何れの場合にも、タグ14は、その後、要求時に、その結果のRLPを送信する(ブロック916)。
【0201】
図55は、本発明の一つの実施形態に従うEEPROMルーチンの流れ図である。タグ14は、履歴データを保管し、製造者定義データ及びユーザ定義データ、構成定数、並びに(頻繁にはアクセスされず確実に維持されることが求められている)その他のデータを不揮発性記憶装置内に記憶する。このルーチンは、EEPROM読出、EEPROM書込、履歴保管及び構成転送を含んでいる。具体的に言うと、タグ14はEEPROM先頭ポインタがEEPROM最後尾ポインタに等しいか否かを最初に決定する(ブロック950)。EEPROM先頭ポインタがEEPROM最後尾ポインタに等しくなければ、タグはブロック958へ進む。そうではなく、EEPROM先頭ポインタがEEPROM最後尾ポインタに等しければ、タグは、ブロック952へ進んで、超過(またはあふれ)状態が可能にされているか否かを決定する。超過状態が可能にされていなければ、タグは、超過エラービットを設定して(ブロック954)、呼出処理へ進む(ブロック962)。超過状態が可能にされていれば、EEPROM最後尾ポインタが一だけ増加され、そのEEPROM最後尾ポインタがラップアラウンドされ、必要であれば超過ビットが設定される(ブロック956)。ブロック958では、タグ14は、そのRAM内のデータをEEPROMへ転送し、EEPROMの先頭ポインタ位置で始まるそのデータを記憶する。次に、タグ14は、ブロック960で、EEPROM先頭ポインタをRAMデータの最後へ(つまり、RAMデータの後の利用可能な最初の記憶装置位置へ)増加させ、必要であればそのポインタをラップさせる。タグ14はその後に呼出処理へ戻る(ブロック962)。
【0202】
周期的に覚醒し、感知器測定を行い、その様な測定を外部装置へ通信する等の上記の処理は、タイヤタグ以外の実施形態でも使用され得ることが分かる。例えば、開示されている処理は、車両/車軸負荷、タイヤの回転(走行距離)、排気物質、油圧、電池充電、冷媒レベル、ブレーキの磨耗、トランスミッション流体レベル、パワーステアリング流体レベル、ブレーキ流体レベル、クラッチ流体レベル、風防ワイパ流体レベル、ヘッドライト及びテールライトの状況等の様なその他の車両パラメータを測定するためにも使用され得る。これらのパラメータは、無線通信規約を経由して遠隔装置と通信するタグを使用することによって、タイヤパラメータとほぼ同じ方法で監視され得る。その様なタグは、電池寿命を大事に使うために、本明細書に記載されている休眠/覚醒ルーチンを使用することができる。これらの及びその他の実施形態は、この開示されている発明の範囲内である。
【0203】
一つの実施形態では、タイヤ10の内側に装着されるタイヤタグ14を含む新規なタイヤ電子管理システムが開示されており、そのタグは、タイヤパラメータを測定し、生の感知器データを濾過し、データを記憶し、且つそのタイヤパラメータを遠隔RT30へ報告する小さなマイクロ制御装置84を有している。そのタグ14は、FLPらしきものを探索するために、周期的に覚醒する。FLPらしきものが検出されれば、タグは、もっと覚醒し、その送信が有効なFLPであることを確認し、その送信が有効なFLPであれば、そのFLP指令に応答する。タグ14がRTから有効な指令を受信すると、このタグ14は一つ以上のRLPを経由して応答データを送信する。一般に、RT30は、最初は、例えばSAR処理を使用して、タグ14にそのシリアル番号で呼び掛ける。タグシリアル番号が確認されると、通常は一時的IDがそのタグ14に割り当てられる。その後、RT30は、そのタグ記憶装置16に記憶されているタイヤパラメータの様なデータを要求する。その後、タグ14は応答のRLPをRT30へ送信する。呼掛モードの完了と同時に、タグ14は深い休眠モードを再び始める。
【0204】
この新規なタイヤタグシステムを使用することによる利益は、(1)タイヤ感知器を読み取り且つ遠隔読取機/送受信機(RT)30と通信するために必要な電力を最小限にすること、(2)感知器データをデジタル的に濾過すること、(3)感知器データを保管すること、及び(4)種々の環境に順応する様にタグをプログラミングすること、を含んでいる。両方のタイヤの側壁を貫通する送信を強め、反対側のタイヤへの装着を可能にし、且つRT30によってタイヤタグに呼び掛けることをより容易にする、特有のアンテナも提供される。
【0205】
従って、タグ14が遠隔RT30のRF範囲内にある時にそのRT30から受信された順方向リンクパケットを経由して、タグ14はその内部記憶装置に対する読取及び書込アクセスを提供する。更に、タグ14は、予めプログラムされている構成(例えば、周期的間隔の経過または警報状態)に応答して戻りリンクパケットが自動的に送信される、自律送信(AT)モードを有している。警報状態は、高いまたは低いタイヤ空気圧及び/または高い温度を含んでいる。警報信号は、圧力または温度の様なパラメータの一つが予め決められている範囲を超えている時にはいつも発生される。この警報信号は周期的に送信される。送信の期間はユーザによって変えられ得る。タグ14がRT30の範囲内にある場合にはATデータは送信されず、それは、もし送信されると、その他のタグが、(1)有効な順方向リンクパケットを探索しており、(2)それらの自分のATデータを送信している場合に、混信が生じるからである。従って、タグ14は圧力データ及び温度データを周期的に記憶しており、範囲外状態が検出されると、警報信号が次のAT間隔時に送信される。
【0206】
本発明の特定の実施形態が詳細に提示及び開示されたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく種々の実施形態における本発明の変更及び修正が成されることが、当業者には明らかである。本明細書に記載されているものとは僅かにのみ異なる他の構成部分、段階、方法及び技術も、本発明の範囲内である。従って、本発明の範囲は、本明細書に記載されている特定の実施形態によって限定されるべきではなく、特許請求の範囲及びその等価物によって規定されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的にはタイヤパラメータ監視システムに関するものであり、詳細には、「休眠し」且つ温度及び空気圧の様なタイヤパラメータを測定して記憶するために周期的に「覚醒する」ことによって電力を大事に使う電子感知器回路を各々が有するタイヤタグを含むタイヤ電子管理システムに関するものである。そのタグのマイクロプロセッサは、パラメータの測定及び記憶機能から独立して、周期的に探索モードへ覚醒して読取機/送受信機(RT)からの呼掛信号であると思われる送信を探す。呼掛信号らしき送信の検出と同時に、タグは、呼掛モードへ完全に覚醒し、その呼掛信号が有効であることを確認し、例えば、タイヤパラメータ情報をそのRTへ送信することによって、その有効な呼掛信号に応答する。タグは、RTによって呼び掛けられることなく、自律的基準で、周期的に覚醒して最後に記憶されたタイヤパラメータを送信する様に、プログラムされていてもよい。タグは、更に、タイヤパラメータのうちの一つが規定閾値の範囲を超えていれば「警報」信号を自動的に送信する様にプログラムされていてよい。
【従来の技術】
【0002】
温度及び空気圧の様なパラメータを得るためにタイヤを監視することが望ましい。オフロード(OTR)車用の大きなタイヤは非常に高価であり且つ車両及びタイヤの効率を極限まで増加させるために定期的に整備されなければならないので、これらのタイヤを監視することは特に有益である。
【0003】
過去において、タイヤ監視装置は、弁棒への接続によってタイヤ空気圧を監視するシステム(米国特許第4,734,674号)から、タイヤの外部で信号を受信するために磁気結合を使用するシステム(米国特許第4,588,978号)へ、更に、タイヤ空気圧の変化速度を測定しこの空気圧の変化速度に依存してデータの送信速度を変化させる精巧なシステム(米国特許第5,656,992号)へ、狙いを付けられてきた。その他のシステムは、誘導結合装置によってタイヤタグ回路に通電させる無線周波数送信によって作動させられる。米国特許第5,166,676号を参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
誘導磁気結合または容量結合に依存する受動装置は、長いコイルの巻回を必要とし、従って、タイヤの構造及び組立工程に大きな修正を必要とする、という不都合を一般に有している。その様な受動装置によるもう一つの重大な不都合は、タイヤとその装置との間の通信を可能にするために、タイヤに非常に近接している位置、通常はタイヤから数インチ以内に呼掛機が置かれていなければならないということである。連続的な監視は呼掛機が車両の各ホイールに装着されていることを必須的に必要とするので、この連続的な監視は上述の近接要件のために実際的ではない。各々のタイヤに埋め込まれている受動装置からデータを人手で取得することも、上述の近接要件のために、面倒で且つ多くの時間を必要とする。
【0005】
タイヤの状態を監視するために使用されるその他の従来技術の装置は、弁棒の位置の様なタイヤの外部に置かれている自己出力型回路で構成されている。外部に装着される装置は、天候や暴力行為による様な損傷に曝されるという不都合を有している。更に、外部に取り付けられる装置は、監視中のそのタイヤから容易に分離されてしまうことがある。
【0006】
公知のタイヤ監視識別装置によるもう一つの不都合は、外部に装着されなければならないかまたはタイヤの構造若しくは組立工程に比較的大きな修正を必要とする様な方法でタイヤに固定されなければならない比較的大きなアンテナを一般に必要とする従来の無線周波数(RF)を使用して通信送信が達成される、ということである。
【0007】
米国特許第5,500,065号、第5,562,787号、第5,573,610号及び第5,573,611号に示され且つ記載されている装置によって、種々の問題が処理されてきた。しかし、これらの装置は、タイヤのホイール仕切空間内に含まれており、タイヤを貫通して外部受信機へデータを送信することが困難である。タイヤに直接には付着しておらずその代わりにホイールつまりリムに付着している幾つかの追加的な装置も弁棒に含まれており、その装置を含んでいるその同じリムからタイヤが取り外されて別のタイヤと取り替えられ得るので、その装置はそのタイヤの永続的な記録を提供しない。また、これらの従来技術の装置は、タイヤ、ホイールまたは弁棒に排他的に付着し、多くの応用で要望されているデザインの柔軟性を提供しない。
【0008】
また、RF通信を使用する時、タイヤの側壁を貫通して信号を送信することは側壁におけるタイヤの厚さのためにその送信効率を著しく低減させるという問題のために、遠隔地へその信号を送信することが困難である。タイヤ中のカーボン含有量がRF信号の送信率に影響を及ぼしそのためにアンテナデザインについての問題を持ち出す、ということが気付かれた。更に、基板つまりプリント回路板にエッチングされているかまたは配置されている従来技術のアンテナによって、問題が生じている。その様な構造からの良好な送信は、タイヤの側壁を貫通する一つの方向でのみ生じる。しかし、タグが内側の側壁に位置する様にタイヤが「逆に」装着されるかもしれない。その様な装着は、望ましい方向でタイヤの側壁を貫通して信号を送信させることを更に困難にするかもしれない。
【0009】
従って、両方の側壁を貫通する少なくとも二つの方向で十分に送信することのできるアンテナ構造を有することが望ましい。
タイヤタグの有効寿命を延ばすために電池電力を大事に使うタイヤタグを提供することも望ましい。
小さくて軽いタイヤタグはタイヤの内面にそのタイヤタグを固定するパッチによる応力を殆ど生じさせないので、小さくて軽いタイヤタグを製造することが望ましい。
【0010】
上述の文書中に開示されているタイヤ監視装置は僅かな利点を生じさせるが、信号/雑音比、再現性及び送信距離の点から遠隔読取機/送受信機(RT)とのRF通信を改良することのできる個別部品へシステムの機能を分離することを可能にすることによって多能性及び柔軟性を提供するタイヤ監視システムが必要とされている。本発明は、タイヤの内側に直接に取り付けられる単一装置構造(タイヤタグ)に組み合わされている別個の部品を使用する。これらのタグ部品は、温度及び空気圧等のタイヤパラメータを測定するための測定装置(感知器)と、タイヤに結合されており外部指令信号を受信して車両タイヤから外部RTへタイヤデータ信号を送信するためのRF送信機及び受信機とを含んでいる。更に、本発明は、電池寿命を長くしてタイヤタグの有効寿命を延ばすというタグのプログラミングにおける利点を提供する。
【0011】
車両が固定RTを通過する時にタイヤデータを読むことも望ましいかもしれない。従って、各タイヤタグを迅速且つ積極的に識別するためのシステムが非常に望ましい。
本発明は、電池寿命を著しく大事に使う幾つかの休眠モード及び部分覚醒モードを含んでおり、新規なタグ識別技術を提供し、タグ性能を改良する適合可能な送信オプションを提供する。
更に、感知器の測定機能と記憶機能とは、タイヤタグと遠隔設置されているRTとの間の通信機能から独立して動作する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、タイヤタグの様なパラメータ測定装置を含むタイヤタグ電子管理システム(ETMS)を提供することによって、従来技術の不都合を解決する。一つの実施形態では、タイヤタグは、通常は、電力を大事に使う様にRC監視タイマのみが作動している深い休眠モードにある。タグは、周期的基準で周期的且つ部分的に覚醒し、低速クロックを始動させ、感知器による測定を受信し及び/またはあるかもしれない呼掛信号を探すためにもっと覚醒すべき時であるか否かを決定し、もしその時でなければ、探索モードカウンタを一だけ調整して、深い休眠モードへ戻る。
【0013】
もしもっと覚醒すべき時であるとタグが決定すれば、タグは、低速クロックを使用し続けて、感知器カウンタを調べることによって感知器を読み取るべき時であるか否かを決定し、もし感知器を読み取るべき時であれば、タグは空気圧や温度の様な感知器データを読み取って記憶する。もし感知器を読み取るべき時でなければ、タグは、感知器カウンタを一だけ調整して、遠隔読取機/送受信機(RT)からの呼掛信号(順方向リンクパケット−FLPとも呼ばれる)を調べる。呼掛信号と思われるものをもしタグが検出すれば、タグは呼掛モードへもっと覚醒する。呼掛信号と思われるものをもしタグが検出しなければ、タグは、低速クロックを使用し続けて、自律送信(AT)カウンタを調べることによって自律送信を実行すべき時であるか否かを決定する。もしATを実行すべき時でなければ、タグはATカウンタを一だけ調整して深い休眠モードへ戻る。もしATを実行すべき時であれば、タグは、呼掛モードへ覚醒し、高速クロックを始動させて、ATを実行する(例えば、タグは最後に記憶された感知器データをRTへ送信する)。
【0014】
呼掛モード中で、タグは、高速クロックを始動させ、入ってきた送信が有効な呼掛信号であるか否かを調べるためにその入ってきた送信の少なくとも一部を読み取り、入ってきた送信がもし有効な呼掛信号であればその呼掛信号に応答する。入ってきた送信がもし有効な呼掛信号でなければ、タグは、予め決められている時間の間、有効な呼掛信号を待つ。その所定時間内にもし有効な呼掛信号が検出されなければ、タグは高速クロックをオフにして再び深い休眠モードへ入る。所定時間内にもし有効な呼掛信号が検出されれば、タグはその有効な呼掛信号に応答する。
【0015】
もう一つの実施形態では、呼掛信号に同時に応答している二つ以上のタイヤタグからの混信を防止するために、システムは特定のタイヤタグを識別するための新規な逐次近似ルーチン(SAR)を使用する。その時には、RTはその識別されたタグに一時的識別番号を割り当ててそのタイヤタグへ指令信号を送信する。
タイヤパラメータが規定閾値の範囲を超える様な特定の警報状態が発生していれば、その新規なシステムは遠隔読取機/送受信機(RT)への自律送信(AT)を実行することもできる。
タグは、プログラムされた規則的間隔で自律送信(AT)を行う様にプログラムされていてもよい。
タグは、その「休眠/覚醒」ルーチンによって電池電力を大事に使う。
本発明は、更に、多くのタグの中から特定のタグを識別する簡潔な方法を提供する。
タグは、これらの機能及びその他の機能を実行する様にプログラム可能である。
【0016】
従って、エネルギーを大事に使うタイヤ電子管理システムを提供することが本発明の目的である。
幾つかの機能が実行され得る様にプログラム可能であるタイヤ電子管理システムを提供することが、本発明の更なる目的である。
多くのタグの中から特定のタグを識別する方法と、複数のタグが同時にRTの範囲内にある時に特定のタイヤタグへデータを送信し且つ特定のタイヤタグからデータを受信する方法とを提供することが、本発明のもう一つの目的である。
タイヤの寿命の間に亙ってタイヤデータを記録するタイヤタグを提供することが、本発明の更なる目的である。
寿命の間タイヤに永続的に取り付けられていてタイヤの全履歴が取得されることを可能にするタイヤタグを提供することが、本発明の更にもう一つの目的である。
【0017】
タイヤタグが周期的に覚醒し警報状態または周期的間隔の満了の様な特定の状態に応じて一つ以上のタイヤパラメータをRTへ自動的に送信する自律送信モードを含むタイヤ電子管理システムを提供することも、本発明の目的である。
データの受信及び送信機能から完全に独立しているタイヤパラメータ測定機能を有するタイヤタグを提供することが、本発明の更なる目的である。
タイヤパラメータを測定し且つその測定パラメータを記憶するタイヤタグ回路が、遠隔RTと通信するタイヤタグの能力から独立して動作する、タイヤ電子維持システムを提供することも、本発明の目的である。
【0018】
本発明のこれらの特徴及びその他の特徴は、下記の発明の実施の形態と共に理解すれば、もっと十分に明らかになる。なお、下記の発明の実施の形態では、同じ符号は同じ構成部分を示している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一つの実施形態によるタイヤ電子管理システム(ETMS)を構成している部品の全般概要図である。
【図2】タイヤタグと共に使用されてよい代わりのアンテナ構成の詳細図である。
【図3】(A)〜(D)は、プリント回路板に対して平行であり且つ僅かに離隔されているアンテナを各々が有している埋込タイヤタグ組立品の、夫々側面図、平面図、斜視図及び端面図である。
【図4】(A)〜(D)は、プリント回路板に対して平行であり且つ僅かに離隔されているアンテナを各々が有している非埋込タイヤタグ組立品の、夫々側面図、平面図、斜視図及び端面図である。
【図5】(A)〜(E)は、夫々、タイヤタグ及びパッチの一つの実施形態の側面図、断面図、分解されている埋込 タイヤタグ組立品とタイヤタグが装着されるパッチとの斜視図、タイヤパッチに装着されている埋込タイヤタグ組立品の斜視図、並びに(B)に示されている埋込タイヤタグ及びパッチの一部の断面図である。
【図6】(A)〜(E)は、夫々、タイヤタグ及びパッチのもう一つの実施形態の側面図、断面図、分解されている埋込タイヤタグ組立品とパッチとの斜視図、組み立てられているタイヤタグ及びパッチの斜視図、並びに(B)に示されているタイヤタグ及びパッチの一部の断面図であってタイヤタグがパッチとどの様に結合するのかを示している断面図である。
【図7】(A)〜(D)は、タイヤパッチに装着されている埋込タイヤタグ組立品のもう一つの実施形態の、夫々平面図、側面図、斜視図及び端面図である。
【図8】埋込タイヤタグの一つの実施形態を示しており図9とは反対側の斜視図である。
【図9】埋込タイヤタグの一つの実施形態を示しており図8とは反対側の斜視図である。
【図10】プリント回路板に垂直なアンテナを有しており且つ矩形の基部を有している埋込タイヤタグ組立品のもう一つの実施形態の、夫々背面図、平面図、端面図及び平面図、並びに斜視図である。
【図11】T形に隆起した台地を有するパッチを組み立てるために使用されている層を示している積層タイヤパッチの平面図である。
【図12】図11に示されているパッチの側面図である。
【図13】本発明の一つの実施形態によるタイヤパッチを製造するために使用されている上半分の鋳型のT形台地を示しており、(A)〜(C)は、夫々、鋳型の平面図、断面図、及び(B)に示されている鋳型の一部の断面図である。
【図14】(A)、(B)は、図13(A)〜(C)に示されている鋳型の下半分の、夫々平面図及び側面図である。
【図15】複数のタイヤタグと複数の読取機/送受信機(RT)とが使用されている本発明のETMSのもう一つの実施形態を示す図である。
【図16】本発明によるタイヤタグのもっと詳細なブロック図である。
【図17】深い休眠モード、意識清明休眠モード、探索モード及び呼掛モードを含むタイヤタグの種々の動作モードを示す図である
【図18】システムと共に使用され得る種々の読取機を示すETMSの一つの実施形態の一般的なブロック図である。
【図19】本発明の一つの実施形態によるRTのもっと詳細なブロック図である。
【図20】本発明の一つの実施形態によるタイヤタグのもっと詳細なブロック図である。
【図21】何日かに亙る所定の時刻に測定された車両の異なる位置における幾つかのタイヤについての報告された動作時圧力のグラフである。
【図22】同じ日付時刻に測定された図21と同じタイヤについての報告された動作時温度のグラフである。
【図23】同じ日付時刻に測定された図21と同じタイヤについての計算された常温タイヤ空気圧のグラフである。
【図24】タグ逐次近似ルーチン(SAR)流れ図を示す流れ図である。
【図25】読取機SAR流れ図を示す流れ図である。
【図26】ウェブを経由してタイヤデータに遠隔アクセスするためのユーザインタフェースの一つの実施形態を示す画面ショットである。
【図27】ウェブを経由してタイヤデータに遠隔アクセスするためのユーザインタフェースの一つの実施形態を示す画面ショットである。
【図28】ウェブを経由してタイヤデータに遠隔アクセスするためのユーザインタフェースの一つの実施形態を示す画面ショットである。
【図29】ウェブを経由してタイヤデータに遠隔アクセスするためのユーザインタフェースの一つの実施形態を示す画面ショットである。
【図30】ウェブを経由してタイヤデータに遠隔アクセスするためのユーザインタフェースの一つの実施形態を示す画面ショットである。
【図31】ウェブを経由してタイヤデータに遠隔アクセスするためのユーザインタフェースの一つの実施形態を示す画面ショットである。
【図32】ウェブを経由してタイヤデータに遠隔アクセスするためのユーザインタフェースの一つの実施形態を示す画面ショットである。
【図33】ウェブを経由してタイヤデータに遠隔アクセスするためのユーザインタフェースの一つの実施形態を示す画面ショットである。
【図34】ウェブを経由してタイヤデータに遠隔アクセスするためのユーザインタフェースの一つの実施形態を示す画面ショットである。
【図35】ウェブを経由してタイヤデータに遠隔アクセスするためのユーザインタフェースの一つの実施形態を示す画面ショットである。
【図36】ウェブを経由してタイヤデータに遠隔アクセスするためのユーザインタフェースの一つの実施形態を示す画面ショットである。
【図37】本発明の一つの実施形態に従って使用される通信規約の概要図である。
【図38】タグへのFLP及びタグからのRLPのタイミングを示す図である。
【図39】本発明の一つの実施形態で使用されているマンチェスター符号化を示すタイミング図である。
【図40】本発明の一つの実施形態によるFLP及びRLPのタイミングを示すタイミング図である。
【図41】本発明の一つの実施形態によるFLP及びRLPのタイミングを示すタイミング図である。
【図42】本発明の一つの実施形態によるFLP及びRLPのタイミングを示すタイミング図である。
【図43】本発明の一つの実施形態によるタグファームウェアの全機能の流れ図である。
【図44】意識清明休眠を示す流れ図である。
【図45】初期化を示す流れ図である。
【図46】感知器の処理を示す流れ図である。
【図47】感知器の処理を示す流れ図である。
【図48】探索処理を示す流れ図である。
【図49】呼掛処理を示す流れ図である。
【図50】割込サービスルーチンを示す流れ図である。
【図51】順方向リンクパケット(FLP)の形式を示す図である。
【図52】パケット処理(予備識別)を示す流れ図である。
【図53】パケット処理(データシフト処理)を示す流れ図である。
【図54】指令ルーチンを示す流れ図である。
【図55】EEPROMルーチンを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
タイヤ電子管理システム(ETMS)の一つの実施形態のブロック図が、図1に示されている。車両12に装着されているタイヤ10内に、タイヤタグ14が設置されている。タイヤ10の内部にタイヤタグ14を取り付ける種々の方法が種々の特許及び関連出願で説明されており、これらには、"Method for Embedding a Monitoring Device Within a Tire During
Manufacture"という名称の米国特許第5,500,065号、"Method of
Monitoring Conditions of Vehicle Tires"という名称の米国特許第5,562,787号、"Tires Containing a Monitoring Device for Monitoring an
Engineering Condition Therein"という名称の米国特許第5,573,610号、"Method of Monitoring Conditions of Vehicle Tires and Tires
Containing a Monitoring Device Therein"という名称の米国特許第5,573,611号、及び1997年9月17日に出願された"Method and Apparatus for Bonding an Active Tag to a Patch and
a Tire"という名称の米国特許第5,971,046号があり、これらの総てが本発明の譲受人に譲渡されており、これらの全体が参照によってそっくりそのまま本明細書に組み入れられている。
【0021】
タイヤタグ14は、マイクロ制御装置及びRAM記憶装置16、一つ以上の監視装置(感知器)18、及びタイヤタグアンテナ20を含んでいる。信号は、タグアンテナ20を経由してタイヤタグ14によって送受信される。タイヤタグ14に通電するために、電池22の様な電源が備えられている。遠隔呼掛機26に対して信号を送受信するために、タグ14にRF回路21も備えられている。車両12は個々のタイヤ10毎にタイヤタグを有することが好ましい。
【0022】
呼掛機26は、タグ14と対話的に動作する様に設計されている。特定の実施に依存する種々の部品を呼掛機26が含んでいてよいことが認識されるべきであり、それらの部品そのものの設計が特定の実施に適合可能であってよい。例えば、呼掛機26は、携帯型であっても、呼掛による駆動用に固定的に装着されていても、車両12に設置されていてもよい。
【0023】
一般的なレベルでは、呼掛機26は、アンテナ28、読取機/送受信機(RT)30、及び読取機処理装置(RP)32を含んでいる。アンテナ28は、タグアンテナ20からの信号を受信し且つ呼掛機26からタグ14(またはその他のタグ)へデータを送信する様に構成されている。RT30は、タグ14に対する信号の送受信用の一つのシステムを示している。RP32は、通信チャネル33を経由してRT30と対話する。RP32は、タグデータを受信及び解釈し、通信チャネル29を経由するタグ14への送信のためにRT30へ指令信号を供給する。
【0024】
RP32からユーザインタフェースサイト36へ通信チャネル34が備えられていてよい。このユーザインタフェースサイト36は、野外支援コンピュータ(FSC)、非インテリジェント端末若しくはインテリジェント端末、またはRP32によって処理されたデータに対してユーザが見る及び/若しくは対話することを可能にするその他の装置であってよい。通信チャネル29、33、34は、イーサネット(登録商標)リンク、インターネットリンク、有線リンク、無線リンク、マイクロ波リンク、衛星リンク、光リンク、ケーブルリンク、RFリンク、LANリンク、またはその他の通信リンクを含んでいてよい。更に、ユーザインタフェースサイト36(分離して示されているが)は、呼掛機26内に組み入れられていてよい。一つの実施形態では、RP32は野外支援コンピュータ(FSC)36の機能を含んでいる
【0025】
あるいは、読取機処理装置(RP)32及び読取機/送受信機(RT)30が別個の装置であり、RP32がユーザインタフェースサイト36の一部であってそれ自体がRT30から遠く離れていてもよい。RT30は、単一装置として示されているが、幾つかの実施形態では複数のRT装置であってよい。一例として、車両12の両側に物理的に設置されておりRT30が設置されている車両12の片側から各々のRT装置30がタグ14を読む個々のRT装置30を提供することが、幾つかの状況では好都合であるかもしれない。個々のタイヤ10から取得されたデータは、タイヤ管理システムの一部を形成している「タイヤ」データベースへその後にダウンロードされてよい。
【0026】
図1では、タイヤタグアンテナ20はブロック図中にブロックの一つとして示されている。しかし、片方または両方のタイヤ壁を貫通するタイヤタグ信号の送信と耐久性とにとって、特定の実施のための特有のアンテナデザインが有用であることを、本願の発明者が見出した。一つの実施形態では、タグアンテナ20は、埋め込まれて(つまり、Stycast(登録商標)の様なエポキシ樹脂内に閉じ込められて)、タイヤの内側に永久的に接着されるゴムタイヤパッチ内に装着される、図2(A)に示されている単極アンテナ20Aである。一つの実施形態では、そのパッチは、硬化処理されたタイヤのインナライナであってよい内壁に接着されている。アンテナ20Aは、この分野で公知な様に結線24を経由してタグ電子装置に接続されている。単極アンテナ20Aは、双極構成と同じRF信号能力を達成するが寸法は小さい選曲可能なアンテナである。図2(A)に示されているアンテナ20Aは、相対的な寸法比率でも実際の寸法比率でも決して示されておらず、単に一例である。従って、その単極構成は殆ど質量を有してない非常に小さなタグの製造を可能にしている。好ましい実施形態では、そのアンテナは、長さ2インチ(5.08センチメートル)であり、直径0.040インチ(0.1016センチメートル)の通例のバスワイヤで作られている。
【0027】
図2(B)(C)は、アンテナ素子20Bが双極方式で動作してタイヤタグ14の電子装置に接続されている二つのストリップつまりアームである、実施形態を示している。アンテナ素子20Bは、ゴムタイヤ10の内側に永久的に貼付されているゴムパッチ39(図3〜11に示されている)に取り付けられている。タイヤへの良好な接続を確実にするために、タグ14の部品及びアンテナ20は、Stycastの様なエポキシ樹脂内に最初に閉じ込められて、タイヤ10の内側に取り付けられているゴムパッチ39にその後に貼り付けられるのがよい。
【0028】
電子プリント回路板38(図3(A)及び図10(A)に例示されている)と別個のアンテナ20との両方が一つのブロック内に閉じ込められる様に、これらをエポキシ樹脂内に閉じ込めることが好ましい。その閉じ込めブロック(タグ14)はパッチ39に接着されるかまたは別の方法で付着されてよく、これが今度はタイヤ10の内壁つまり多分インナライナに接着される。このアプローチの利点は幾つかある。第一に、閉じ込めは機械的保全性を改良する。アンテナ20が電子プリント回路板(PCB)38と一緒に閉じ込められていると、パッチ39に関連する機械的応力にアンテナ20が曝されない。第二に、アンテナ20をPCB基板から離隔させることによって、アンテナ20は、PCB38上の接地面から遠く離れて設置されることができ、従ってもっと強い信号を供給し、このことはコストのもっと低い回路基板の使用も可能にする。第三に、この好ましいアンテナは、信号を全方向へ放射する単極アンテナであり、パッチアンテナの様な単一方向アンテナに対して利点を有していると信じられている。第四に、適切に嵌め込まれればアンテナ20を密着装填させる埋込材料内にアンテナ20が閉じ込められていれば、部品がよりよく嵌め込まれる。第五に、その様な埋込組立品の製造においては、マイクロストリップ回路のインピーダンスを厳格に制御する必要がなく、プリント回路板38を高価な材料で作る必要がなく、ゴムパッチ39内でのアンテナ20の組立工程が削除されるので、その様な埋込組立品の製造コストが低い。第六に、埋込タグ組立品は、使用中のタイヤの内側で遭遇される過酷な環境でタグ14が動作することを可能にする。
【0029】
図2(C)に示されている様に、もっと短い双極アンテナ素子20Dが使用され得る様に、誘導子20Eが双極アンテナ素子20Dと直列に配置されてよい。
【0030】
図3(A)〜(D)に、Stycast(登録商標)の様な材料かまたは標準的に使用されているその他の任意の埋込材料内に埋め込まれているつまり閉じ込められているタイヤタグ14の一つの実施形態が開示されている。図3(A)は、プリント回路板38に平行な平面内でプリント回路板38に取り付けられているアンテナ20を有するプリント回路板38を示している側面図である。図3(B)は新規な埋込タイヤタグ14の平面図であり、図3(C)は斜視図であり、図3(D)は端面図である。なお、タイヤタグ14の基部13は、引き延ばされており、一般に卵形であり、後述される様にタイヤパッチ39上に装着するための窪み15を内部に有している。アンテナ20はPCB38の延長部20Aの下方にある。
【0031】
図4は、Stycast(登録商標)の様なエポキシ材料内に埋め込まれる前のタイヤタグ14のもう一つの実施形態を示している。このタイヤタグ14は、延長部20Aを有するPCB38を含んでいる。延長部20Aの下方にアンテナ20があり、アンテナ20は延長部20Aとほぼ平行である。図4(A)は側面図であり、図4(B)は平面図であり、図4(C)は斜視図であり、図4(D)は正面図である。
【0032】
図5は、埋込タイヤタグ14を成形タイヤパッチ39に装着する一つの方法を示している。図5(A)は、タイヤパッチ39に装着されている埋込タイヤタグ14の側面図である。図5(B)は、タイヤパッチ39に形成されているメサつまり台地部分39Dに装着するための、埋込タイヤタグ14における基部13の下方の窪み15を示す、線5B−5Bに沿って取り出された図5(A)の断面図である。図5(C)は、埋込タイヤタグ14と、このタイヤタグ14を受け入れるためにその上面に形成されているメサつまり台地部分39Dを有するタイヤパッチ39とを示す分解斜視図である。
【0033】
図5(D)は、タイヤタグ14がタイヤパッチ39に組み合わされている場合のタグ組立品の斜視図である。図5(E)は、埋込タイヤタグ14の凹形の基部15がタイヤパッチ39のメサつまり台地部分39D上に配置されている状態を示す、図5(B)の一つの角部の断面図である。タイヤパッチ39は、任意の公知の方法でタイヤタグ14に接着されてよい。
【0034】
図6(A)〜(E)は、タイヤタグ14をタイヤパッチ39に取り付ける別の方法を示すもう一つの実施形態を表している。図6(B)、(E)に見られる様に、タイヤパッチ39はT形のメサ39Dを有しており、タイヤタグ14の凹形の基部13はタイヤパッチ39のT部39Aを受け入れるための嵌め込み窪み14Aを有しており従って図示の様にタイヤパッチ39をタイヤタグ14に固定する。
【0035】
タイヤタグ14がタイヤ10から可能な限り絶縁される様にタイヤタグ14をタイヤパッチ39上に配置することが望ましい。その様な基本的な構造は、共有譲渡された米国特許第6,030,478号に示されている。しかし、タイヤパッチ39へのタイヤタグ14の最良の可能な取付けを確実にするために、図6(A)〜(E)に示されているタイプのタグ装着を使用することが好ましい。その様なメサ39Dをタイヤパッチ39上に構築するために、特別な構造のタイヤパッチ39が使用されている。従って、タグ14とパッチ39との両方の周囲における全面成形閉じ込めで柔軟なゴムパッチ39を圧縮状態に保持することによってタイヤタグ14をタイヤパッチ39に確実に取り付け、且つ、動いているタイヤ内で遭遇される応力及び振動からタイヤタグ14を隔離することを助ける、特有な構造のタイヤパッチ39上に埋込タイヤタグ14が装着されている。
【0036】
図6(B)、(E)において、タイヤパッチ39上におけるメサ39Dの周辺部から外方へ広がっている肩部39Aを受け入れる内向き脚部14Bによって形成されている窪み14Aをタイヤタグ14の基部13が有していることが分かる。なお、肩部39Aから下方へ広がっており且つ肩部39Aに垂直なタイヤパッチ表面39Cに窪み14Aが接触しており、肩部39Aの直下に弧状凹形窪み39Bが形成されている。この窪み39Bの目的は、タイヤが発生する応力からタイヤタグ14をもっと隔離させてタイヤタグ14の寿命を延ばすために、タイヤパッチ39内の応力を分散させることである。タイヤ10へのタイヤパッチ39の装着中に使用される公知の縫い道具が窪み39B内の空気を除去してパッチ39とタイヤ10とをもっと強固に取り付けることを弧状凹形窪み39Bが可能にするので、この目的が完遂される。上述のこの新規な窪み構造は、本明細書中に開示されている各々の実施形態中で使用され得る。
【0037】
タイヤ10内におけるタイヤタグ14の配置は、意味があって且つ重要である。タイヤ10内におけるタイヤタグ14の位置は、タグ14の寿命のみならず、タイヤ10の壁を貫通してタグ14が信号を送信する能力にも影響を及ぼす。オフロードタイヤは直径と幅との両方で極端に大きい。周知の様に、ビード11A、11B領域(図15参照)を強化するためにこの領域近傍に周辺を取り囲んで置かれている鋼鉄コードつまりワイヤを、幾つかのタイヤが含んでいるかもしれない。図15に示されている様に、放射状に延びているコード17が、離隔放射状に、タイヤ10の一方側における一方のビード11A、11Bからタイヤ10の他方側における対応するビード11A、11Bへ延びていてよい。この構造は、タイヤのビード領域を強化しており、且つ、タイヤをビード領域で僅かにしか撓ませない。一方では、タイヤ10の壁を貫通する良好な無線送信を可能にするために、鋼鉄コードつまりワイヤが可能な限り離隔されている領域にタイヤタグ14が存在する必要があるので、鋼鉄コードつまりワイヤが設置されている領域、特にビード領域内の領域は、タイヤタグ14にとって理想的な位置ではない。
【0038】
しかし、他方では、タイヤタグ14に及ぶ応力を最小限にするタイヤ10の領域にタイヤタグ14が設置されている必要がある。また、パッチ39がその上のタグ14と共に配置されているホイールリムまたはタイヤビードから離隔するほど、タイヤ壁を貫通する無線送信が良好になる。これは、タグ14が設置されているビード(周辺を取り囲む大きな鋼鉄ワイヤつまりコードが配置されている)から離隔するほど、ビードかまたはその近傍に設置されている鋼鉄コード(つまりワイヤ)とタイヤ内の何らかの鋼鉄ベルトとによってタグ14が影響を及ぼされにくくなるからである。
【0039】
放射状に延びている任意の二本のワイヤ17間の距離は、タイヤ10の踏面の中央で最大になる。周知の様に、放射状に延びているワイヤ17は、タイヤ10の両側におけるビードから離隔するに連れて増加する間隔を有している。ワイヤ間のこのより広い間隔は、タイヤ10を貫通するより良好な無線送信を可能にする隙間を作り出す。従って、タイヤ10を貫通する送信は、タイヤのビードからの最大距離の位置で最も良好になる。
【0040】
従って、タイヤタグ14への応力を最小限にし同時にタイヤ10の壁を貫通する十分な無線送信を可能にするために、タイヤのビードから十分に離隔している何れかの最適な位置にタイヤパッチ39を(その上のタイヤタグ14と共に)置くことが望ましい。このやり方では、タグ14への応力が最小限にされ、同時に、十分な無線送信が得られる。従って、タイヤ壁上におけるタイヤパッチ39の位置は妥協である。タイヤビードから十分に離隔している距離ではタイヤ壁を貫通する十分な信号送信を可能にするが、ある位置ではタイヤ10のひどい撓みによるタイヤタグ14への応力及びそれに伴う損傷を減少させる。
【0041】
オフロードタイヤでは、組み合わされているタイヤパッチ39/タイヤタグ14をタイヤ10に装着するのに好ましい領域はタイヤのビードから(放射方向へ)約6〜約20インチ(約15.24〜約50.8センチメートル)であると決められていた。この好ましい距離は、タイヤの具体的な寸法及びタイプに依存する。一つの実施形態では、この距離はビード(またはホイールリム)から約12〜15インチ(約30.48〜38.1センチメートル)である。タイヤパッチ及びタグを好ましい領域に装着することは、周辺を取り囲んでいる鋼鉄ワイヤ及び放射状に延びているワイヤ17の間隔からの距離が満足な無線送信を可能にするのに十分であることを確実にする。更に、この距離はパッチ39への応力を最低にし、従って、タイヤタグ14の寿命を延ばす。
【0042】
図7(A)〜(D)は、組立品全体がタイヤ10に接着され得る様に、矩形の埋込タイヤタグ14がタイヤパッチ39の窪み39E内に配置されてこの窪み39E内に取り付けられている、タイヤタグ14及びタイヤパッチ39の更にもう一つの実施形態を示している。図7(A)〜(D)に示されている様に、図16に示されている圧力感知器74によってタイヤ内の圧力がアクセスされることを可能にするために、タイヤタグ14の埋込内に開口部つまり口14Cが備えられている。しかし、(Tire Life(商標)の様な)流体を含んでいるタイヤ内でタグ14が使用される場合は、圧力感知器74はこの圧力感知器74への損傷を防止するためにその流体から保護されなければならない。この目的のために、流体が圧力感知器74に到達することを防止するために、この分野では公知の疎水性フィルタ14Dが開口部つまり口14C内に配置されている。
【0043】
PCT特許出願WO99/29524号は、圧力感知器と空気注入室との間の圧力平衡のための通路を提供するウィッキング装置を使用する内部に閉じ込められた圧力感知器を有するタイヤタグを開示している。このウィッキング装置は、接着剤、ゴム、埃等が空気注入室から圧力感知器へ通過することを防止しつつ、気体分子は空気注入室から圧力感知器へ通過することを可能にする。しかし、それは、ウィッキング装置であるので、タイヤ内の液体が感知器へ移されることを防止しない。それと対照してみると、本発明の疎水性フィルタは、接着剤、ゴム、埃及び類似の汚染物質が圧力感知器に到達することを防止するのみならず、どの様な流体が圧力感知器74に到達することをも防止する。
【0044】
図8、9は、タイヤタグ14がエポキシ樹脂内に埋め込まれた場合の本発明の一つの実施形態を示す対立斜視図である。この埋込形状は図3(A)〜(D)に示されている埋込形状と同じである。
【0045】
図10(A)〜(D)は、タイヤタグ14の基部14Aが卵形である代わりに矩形であることを除いて、図4に示されている実施形態に類似している。この組立品も、タイヤタグプリント回路板38に垂直なアンテナ20と共に埋め込まれている。
【0046】
図11は、図6に示されているタイヤタグ14の実施形態を受け入れるためのT形に隆起した卵形台座つまりメサ39Dを中央に有するタイヤパッチ39の平面図である。
図12は、図11及び図6に示されている様に、パッチ39を形成し且つタイヤタグ14がその上に装着されるT形の台座39Dを作り出すために種々の層39Fが使用されている任意的なタイヤパッチ構造を示すタイヤパッチ39の側面図である。
【0047】
図13(A)〜(C)は、タイヤタグ14がそこに装着され得るT形の台座、台地つまりメサ39Dを有するタイヤパッチ39を作るための鋳型39Gを示している。
図14(A)(B)は、図13に示されている鋳型39Gの下半分39Hを示している。
【0048】
図15は、図1に示されているシステムのもう一つの実施形態を示している。この実施形態では、二つのタイヤ10A、10Bを有しており、各々のタイヤがその内面に取り付けられている夫々のタイヤタグ14A、14Bを有している、車両12が示されている。これらのタイヤタグ14A、14Bは、「埋込」と呼ばれる硬質エポキシ樹脂の(または類似の)筐体若しくは被覆またはその他の任意の保護筐体内に閉じ込められていてよい自己出力型装置である。これらの埋込タグ14A、14Bは、例えば図11にのみ示されている様に、ゴムパッチ39内で夫々タイヤ10A、10B内に貼付されていてよい。参照によってそっくりそのまま本明細書に組み入れられている共有譲渡された米国特許第6,030,478号に開示されている様に、埋込タグ14A、14Bは硬化処理されたタイヤ10A、10Bの内壁に永久的に接着されている。一つの実施形態では、タグアンテナ20は、パッチ39のゴム構造内に配置されており、タグ電子装置に適切に接続されている。タグ/パッチ組立品は単一の装置としてタイヤ10に取り付けられている。
【0049】
第一の読取機/送受信機(RT)30A、第二の読取機/送受信機(RT)30B、アンテナ28A、28B及び読取機処理装置(RP)32を含む呼掛機26が、図15にも表されている。RT30A、30Bは、例えば固定ゲート読取機、携帯読取機または車載読取機を含む異なるタイプであってもよい。固定ゲート読取機は、ガソリンスタンド、格納庫、運搬道路等の様な固定位置における設備用に設計されている。最新のタグ感知器データを記憶装置から読み取る他に、車両12が静止している期間中または延長期間中にRTの範囲内でRT30がタグ履歴データをダウンロードしてもよい。固定ゲート読取機への通信は、有線電話線、RFリンク、モデムリンク、またはローカルエリアネットワーク(LAN)リンクによることができる。固定ゲート読取機、携帯読取機及び車載読取機は、圧力データ及び温度データの様なタイヤデータを収集する。
【0050】
一つの実施形態では、特に、車両12に対してタイヤが装着されまたは取り外される時にタグ14を初期プログラミングまたは再プログラミングし、最後に記憶された感知器データをタグから読み取り、またタグ履歴データをタグ14からダウンロードするために使用される携帯読取機30を、呼掛機26が含んでいる。携帯読取機30は、電池から電力を供給され、キーパッド/キーボード、タッチスクリーンまたはこの分野で公知のその他の入力装置、ユーザとの対話及びデータ表示用のLCD表示装置、データ検索と遠隔サーバ50へのダウンロードとの間の長期間に亙る複数のタグからのタグデータを保持するための十分な記憶装置、及び記憶されているタグデータが遠隔サーバ50内のデータベースへダウンロードされることを可能にするための通信チャネル51を含んでいる。この通信チャネル51は、例えば、RS−232シリアルリンク、イーサネット(登録商標)リンク、または当業者に公知のその他の何らかの通信リンクを含んでいてよい。
【0051】
図15に示されている様に、呼掛機26のこの実施形態は読取機/送受信機(RT)30A、30Bを含んでいる。各々のRT30A、30Bは夫々アンテナ28A、28Bに結合されている。読取機処理装置(RP)32は、通信チャネル40を介してRT30A、30Bと通信している別個の部品である。読取機処理装置32は、通信チャネル44を介して第一のデータ送信装置42(例えば、モデム)に接続されていてよい。なお、RT電源はRP32内に設置されていてよい。第一のデータ送信装置42は、必要に応じて、通信チャネル47を介して第二のデータ送信装置46(例えば、モデム)と通信する様に構成されている。本明細書で使用される場合、「通信チャネル」という用語は、イーサネット(登録商標)リンク、インターネットリンク、有線リンク、無線リンク、マイクロ波リンク、衛星リンク、光リンク、ケーブルリンク、RFリンク、LANリンク、またはその他の通信リンクを経由する通信を含んでいる。第二のデータ送信装置46は、RS−232シリアルリンク、イーサネット(登録商標)リンク、またはその他の通信リンクの様な通信チャネル49を経由して、野外支援コンピュータ(FSC)または遠隔サーバを含んでいてよいユーザインタフェースサイト48と通信する様に設計されている。
【0052】
上述の様に、本発明の種々の構成が用いられ得る。図15に示されているその様な構成の一つは、野外支援コンピュータ48から遠隔サーバ50へ転送されるデータを有している。一つの実施形態では、野外支援コンピュータ48からの情報は、インターネットの様な通信チャネル51を渡って、通信チャネルを経由して種々のコンピュータノード52A〜52Nに接続されている遠隔サーバ50へ転送される。この遠隔サーバ50は、タグデータのデータベースを作動させ且つ維持する適切なソフトウェアを有するパーソナルコンピュータ、ウェブサーバ、またはその他のコンピュータであってよい。ノードは、例えばインターネットを経由して遠隔サーバ50にアクセスすることのできる携帯コンピュータまたは遠隔設置されているコンピュータであってよい。RP32、野外支援コンピュータ48、及び遠隔サーバ50は、例えば、二つ以上の別個のコンピュータ、異なる仮想装置に区分されている一つのコンピュータ、または二つの部品として作動すると共に第三の部品として作動する第二のコンピュータに接続されている一つの仮想装置であってよい。
【0053】
ユーザインタフェースサイト48は、タグ14が装着されているタイヤ10を有する車両12に搭載されているRT30であってもよい。一つの実施形態では、このRT30は、車両12によって電力を供給され、RFリンクまたはその他の通信リンクを含む通信チャネルを経由して遠隔サーバ50へタグデータがダウンロードされるまでこのタグデータを記憶しておく能力を有している。
【0054】
図15に示されているシステムは、低空気圧/高温度警報状態を早期に警告するために鉱区の様な特定の場所の周囲における固定位置に取り付けられている固定監視読取機を含んでいてよい。固定監視読取機は、例えば、鉱区の周囲や、大きな交差点、車両準備進路、ショベルカー基地、粉砕機基地、ダンプカー基地、積込み機基地、整備作業場、タイヤ販売店等の様な種々の位置に設置されている主に受信専用読取機である。この監視読取機の目的は、各々の車両12に車載読取機を供給することによって達成されるよりも低コストである低圧力または高温度の様な警報状態を合図するためのシステムを提供することである。監視読取機は、通常は、一つ以上のタグから送信されている自律送信(AT)パケットを受信する。ATパケットは、(圧力不足状態または過熱状態の様な)タグ警報状態を示す。監視読取機は、監視読取機の範囲内を車両が通過する時に、最後に記憶されたタイヤ感知器データを含むATパケットを受信することもできる。一つの実施形態では、タグ14から監視読取機へ送信された警報信号は、(Modular Mine(商標)の様な)ディスパッチシステム、有線電話線、RFモデム、または類似の通信チャネルを経由して遠隔サーバ50へ中継される。あるいは、読取機処理装置32またはユーザインタフェースサイト(例えば、野外支援コンピュータ)48が、種々のタイプのRTのうちの一つから、例えば、ディスパッチシステムへタイヤタグデータ及び/または警報信号を転送してもよい。そのディスパッチシステムは、その後、タイヤ電子管理システム(ETMS)データベースとして作動する遠隔サーバ50へこのデータを転送する。固定ゲート読取機及び監視読取機の具体的な位置は、必要に応じて顧客毎に異なる。
【0055】
図15に示されている実施形態では、工業、科学及び医療(ISM)周波数帯(902〜928MHz)で動作している無線RFリンク(例えば、29A)によって、データがタイヤタグ14から呼掛機26によって取得される。その他の周波数帯が、本発明からそれることなく使用され得る。この周波数帯は、連邦通信委員会規則第15部(47C.R.F.§15)のもとに認証された無免許の送信機用に主に意図されている。コードレス電話機及び無線LANの様な多くの装置がISM周波数帯を共有しており、本発明のタイヤ電子管理システムはこれらの他の装置の間で共存し且つ強固に動作する様に設計されている。
【0056】
信号の混信を最小限にするために、順方向リンクチャネル(つまり、読取機からタグへ)の周波数は、擬似ランダム法(周波数ホッピング)によってISM周波数帯内の利用可能な幾つかのRFチャネルの間で変えられる。この周波数帯で動作しているその他の装置からの連続的な混信を防止するために、各々の順方向リンク指令は擬似ランダム法における以前の指令とは異なる周波数で送信される。周波数ホッピングも、システムが47C.R.F.§15による最高信号放射(+36dBM)を送信することを可能にする。902〜928MHzのISM周波数帯は、一つには、タイヤ壁を貫通して信号を放射するのにこれらの周波数が効率的であると決定されたという理由のために選択された。一つの実施形態では、タイヤ壁を貫通して順方向リンクデータを放射するのに好ましい周波数は915MHzである。もっと低い周波数が使用されれば、帯域幅がもっと狭くなる。
【0057】
図15を参照すると、タイヤ10A、10B内に取り付けられているタイヤタグ14A、14Bは、温度及び空気圧の様なタイヤパラメータを感知するための感知器72、74(図16に示されている)を含んでいる。タイヤタグ14A、14Bは、次の項目を含む幾つかの機構をユーザに提供する。
タイヤの記録を保持するために使用され得る特有のタイヤ識別子。
タイヤ空気圧及びタイヤ温度を含むタイヤパラメータを表している最後に記憶された感知器データ。
タイヤパラメータをRTへ自律的に送信する能力。
圧力及び温度を含む監視された総てのタイヤパラメータの読出し、タイヤパラメータがプログラムされている範囲外である旨の決定、車両におけるホイール位置、タイヤ識別番号、及び車両識別番号。このデータは局所位置及び/または遠隔位置へ供給され得る。局所とはRTの位置(つまり、ガソリンスタンド、車載または車両の近隣)のことを指しており、遠隔とはデータが転送されるRTから隔てられている位置(つまり、タイヤ販売店、ディスパッチ)のことを指している。
パラメータが範囲外である場合に警報信号を自律的且つ周期的に送信する能力。警報信号が送信されるべきか否かを決定するために、タイヤパラメータが周期的にサンプリングされる。警報状態が存在しているか否かを決定するためにタグによって使用される警報閾値は、ユーザによってプログラム可能である。
ユーザによって選択された規定間隔に亙ってサンプリングされたタイヤパラメータの履歴。
警報閾値及び覚醒時間間隔を入力する能力。
【0058】
図16にタイヤタグ14がもっと詳細に示されている。図示されているタグ14は温度感知器72及び圧力感知器74を含んでいる。タグ14は、タイヤのローテーション回数の様なその他のタイヤパラメータを決定するためのその他の感知器を当然に含むことができる。温度感知器72の一つの目的は、圧力感知器74からのデータが基準常温充填圧力(例えば、20℃(68.0°F))における海面での圧力)に修正されることを可能にすることである。一つの実施形態では、温度感知器72はNational Semiconductor社によって製造されたモデルLM60BIM3である。長期間の探知及び記録のために使用されてよい圧力感知器74は、圧力変化を感知するために使用されている。一つの実施形態では、圧力感知器はSensym社によって製造されているモデルSCC 100AHO-GFである。タイヤタグ14は増幅された温度信号80を生じさせるために温度感知器72からのアナログ信号を増幅するための増幅器76をも含んでおり、増幅された温度信号80はマイクロ制御装置84のRAM記憶装置に供給されて記憶される。タグ14は増幅された圧力信号82を生じさせるために圧力感知器74からのアナログ信号を増幅するための増幅器78を更に含んでおり、増幅された圧力信号82はマイクロ制御装置84のRAM記憶装置に供給されて記憶される。マイクロ制御装置84は適切な時に感知器72、74へ感知器電圧86を供給する。一つの実施形態では、感知器72、74はマイクロ制御装置84へ供給されるアナログ出力を生じさせ、マイクロ制御装置84は後続の処理及び記憶のために感知器データにアナログ−デジタル(A/D)変換を施す。もう一つの実施形態では、感知器72、74は、マイクロ制御装置84によって直接に読まれ且つそのRAM記憶装置に記憶され得るデジタル出力を周知の方法で生じさせる。
【0059】
マイクロ制御装置84は信号線90を介してRF送信機88と通信する。RF送信機88は(図1のタグアンテナ20と一致している)タグアンテナ92と通信している。タイヤタグ14はリチウム電池(これには限定されない)の様な電源94によって電力を供給されるが、その他の満足な電池が使用され得る。一つの実施形態では、電源94は、Tadiran Lithium Batteries社によって製造された、1/2AA、3.6ボルト、1.2アンペア時(Ah)の二つのリチウム電池を含んでいる。
【0060】
タイヤタグ14は幾つかの動作モードを有している。代表的なモードは、タグが通常は無活動である(クロックは作動していないが、RC監視タイマは作動しており、このRC監視タイマは殆ど電力を使用しない)深い休眠モードである。タグ14はその時間の大部分をこの低電力モード中で過ごす。タグは、(監視タイマが時間切れになる時に)周期的且つ部分的に意識清明休眠モードへ覚醒して、低速クロックを始動させ、探索モードカウンタを調べることによって探索モードへ入るべき時であるか否かを決定し、探索モードへ入るべき時でなければ、探索モードカウンタを調整し(例えば、カウンタを一だけ減少させ)て、深い休眠モードへ戻る。
【0061】
そうではなく、探索モードへ入るべき時であれば、タグは低速クロックを使用し続ける探索モードへ入る。タグは、最初に、感知器カウンタを調べることによって感知器を読む取るべき時であるか否かを決定する。感知器を読む取るべき時であれば、タグは圧力及び温度の様な感知器データを読んで記憶する。感知器を読む取るべき時でなければ、タグは感知器カウンタを一だけ調整する(例えば、カウンタを一だけ減少させる)。タグは、次に、順方向リンクパケット(FLP)と呼ばれる遠隔読取機/送受信機(RT)30からの呼掛信号を調べる。タグが呼掛信号らしきものを検出すると、タグは呼掛モードへ完全に覚醒する。呼掛信号らしきものを検出しなければ、タグは、探索モードのままであり、自律送信(AT)カウンタを調べることによって自律送信を実行すべき時であるか否かを決定する。自律送信を実行すべき時でなければ、タグはATカウンタを一だけ調整し(例えば、カウンタを一だけ減少させ)て深い休眠モードへ戻る。自律送信を実行すべき時であれば、タグは、呼掛モードへ覚醒し、高速クロックを始動させて、自律送信を実行する(つまり、タグは、監視モード中で動作している何れかのRT30へ、最後に記憶された感知器データを送信する)。
【0062】
呼掛モード中では、タグは、高速クロックを始動させ、このタグ14用に意図されている有効な呼掛信号であるか否かを調べるために順方向リンク送信の少なくとも一部を読み、有効な呼掛信号であればその呼掛信号に応答する。そうではなく、その送信が有効な呼掛信号でなければ、プログラム可能な期間の間タグは有効な呼掛信号を待つ。その期間内に有効な呼掛信号が検出されなければ、タグは高速クロックをオフさせて再び深い休眠モードへ入る。有効な呼掛信号が検出されれば、タグは、RT30によって割り当てられている戻りリンクチャネル上のその有効な呼掛信号に応答する。あるいは、タグ14は各々の戻りリンクチャネル上の各々の呼掛信号へその応答を順次に送信する。
【0063】
図17は、本発明の一つの実施形態による、意識清明休眠モード、探索モード、呼掛モード及び深い休眠モードを含むタイヤタグ14の種々のモードと、これらのモードのタイミングとを示している。タグ14はその時間の大部分を休眠モードのうちの一つで過ごす。深い休眠モードの間は、タグ14は電池寿命を大事に使うのに役立つために電力を殆ど使用しない。再帰的評価モード(REM)は、深い休眠モード、意識清明休眠モード、探索モード、及び呼掛モード(完全に覚醒)への移行を含んでいる。タグ14は、感知器の読取を受け取るべき時であるか否かを決定し、順方向リンクパケット(FLP)らしきものの存在を探し、自律送信(AT)の時であるか否かを決定するのに十分に長い間だけ探索モードへ周期的に覚醒し、それから、感知器が読み取られた(必要であれば)後であってFLPらしきものが検出されず且つATの時でなければ、深い休眠モードへ戻る。
【0064】
深い休眠モード中では、タグのマイクロ制御装置84は静的休止状態にあり、その内部クロック発振器は停止されている。RC監視タイマのみが作動している。図16を参照すると、タグのマイクロ制御装置84は、深い休眠モード中では、如何なるプログラムを実行することも如何なる外部IOピンを制御することもできない。タグ14は、電池電力を大事に使うために、努力してその寿命の大部分をこのモード中で休眠している。深い休眠モードの間は、クロック発振器がオフであるので、深い休眠カウンタは内部R/C発振器によって周期的に(例えば、約18ms毎に)調整される(増加または減少される)。内部監視タイマー(WDT)が深い休眠カウンタを監視し、深い休眠カウンタが例えばヌル値(オールゼロ)を含んでいる時は、WDTはマイクロ制御装置84を覚醒させる(つまり、タグ14が意識清明休眠モードへ入ることができる様に、WDTは低速クロックを始動させる)。
【0065】
意識清明休眠モード中では、タグ14は、内部探索モードカウンタが例えばヌル値(オールゼロ)を含んでいるか否かを決定することによって探索モードへ入るべき時であるか否かを決定するのに十分なほど、覚醒している。意識清明休眠モードは低速クロックしか使用していないので、この意識清明休眠モードは最小限度量の処理と少量の電力としか必要としない。探索モードへ入るべき時でなければ、マイクロ制御装置84は探索モードカウンタを調整し(例えば、減少させ)それから深い休眠モードへ戻る。要するに、意識清明休眠モード中は、低速クロック発振器がオンにされてそのために低速クロック信号(例えば、37KHz)を生じさせており、探索モードカウンタが調整されており、探索モードカウンタがオールゼロを含んでいれば探索モードが実行され、探索モードカウンタがオールゼロを含んでいなければ低速クロック発振器がオフにされて深い休眠モードが再び始められる。
【0066】
探索モード中では、タグ14は、感知器を読み取るべき時であるか否かを決定することと、RT30からの順方向リンクパケット(FLP)らしき送信を探索することと、自律送信(AT)の時であるか否かを決定することと、を含む命令を実行するために低速クロック(例えば、37KHz)を使用し続ける。マイクロ制御装置84は、感知器カウンタを調べることによって、感知器を読み取るべき時であるか否かを決定する。感知器を読み取るべき時であれば、後述の様に、マイクロ制御装置84は各々の感知器からデータを順次に読み取って記憶する。感知器を読み取るべき時でなければ、タグ14は、マイクロ制御装置84が一定の期間に亙って特定の数の遷移を探索するという予備識別を実行することによって、FLPの存在を探索する。例えば、タグ14は、送信がFLPらしいということを示していることが分かる25msの期間に亙って最少でも71個の遷移を探索する様にプログラムされていてよい。遷移とは二進遷移(例えば、0から1、またはその逆)のことであると定義されている。送信がFLPらしいということを予備識別が示せば、タグは呼掛モードへ入る。送信がFLPらしいということを予備識別が示さなければ、マイクロ制御装置84は自律送信(AT)カウンタを調べることによってATを実行すべき時であるか否かを決定する。ATを実行すべき時でなければ、マイクロ制御装置84はそのカウンタを調整して(例えば、そのカウンタを減少させて)深い休眠モードへ戻る。ATを実行すべき時であれば、マイクロ制御装置84は、呼掛モードへ覚醒し、高速クロック(例えば、4MHz)を始動させて、ATを実行する(例えば、マイクロ制御装置84は最後に記憶された感知器データをRT30へ送信する)。
【0067】
呼掛モード中では、タグ14は、高速クロックを始動させ、順方向リンクパケット(FLP)の少なくとも一部を読み取って、そのFLPが有効であるか否かを決定する。各々のFLP内における奇偶検査ビット、検査合計、または巡回冗長検査(CRC)の様な誤り検出ビットを送信することによって、誤り検出が完遂される。タグ14は、その時、その送信が有効なFLPであることを確かめるためにその誤り検出ビットを検査する。タグは、そのFLPがプリアンブルビット、データビット、誤り検出ビット(例えば、CRC)及びポストアンブルビットを含んでいることを確実にするためにも検査し、また、全バイト数(例えば、127)が有効なFLPを示していることを確かめるために検査する。タグ14がFLP内の誤り(例えば、CRCが有効でない)を検出すれば、その欠陥FLPが無視され且つ/またはタグ14はそのFLPが再送信されることを要求する。
【0068】
一つの実施形態では、マイクロ制御装置84は、まずFLPの先頭部分(例えば、最初の四バイト)を調べ、その送信が有効なFLPであると思われることをその先頭部分が示していれば、位相同期回路(PLL)をオンにして、CRCが有効であることを検査するためにFLPの残りをその後に読み取る。FLPが有効なCRCを含んでいれば、タグ14はそのFLPに応答する。そうではなく、FLPが無効であると決定されれば、マイクロ制御装置84は予め決められている期間の間(例えば、高速カウンタがゼロに等しくなるまで)有効なFLPを探索し続ける。その所定の期間の間に有効な呼掛信号が検出されなければ、マイクロ制御装置84は高速クロックをオフにして再び深い休眠モードへ入る。所定の期間の間に有効な呼掛信号が検出されれば、タグはその有効な呼掛信号に応答する。
【0069】
タグ14がFLPを探索し続ける期間は、タグ14のプログラム可能な機構である。一つの実施形態では、タグ14は(上述の)高速カウンタと範囲外カウンタとを含んでいる。送信が無効なFLPであるとタグ14が決定すると、高速カウンタが始動される。その後、高速カウンタがヌル値(オールゼロ)を含むまで、予め決められている速度で、この高速カウンタは一だけ調整される(一だけ増加または減少される)。その時、タグ14は深い休眠モードへ入る。一つの有効なFLPが検出されると、範囲外カウンタが始動される。その後、範囲外カウンタがヌル値を含むまで、予め決められている速度で、この範囲外カウンタは一だけ調整される(一だけ増加または減少される)。その時、タグ14は深い休眠モードへ入る。ヌル値が発生するまでの持続期間は、開始値を所定の値に設定することによってプログラム可能である。これらの高速カウンタ及び範囲外カウンタは、例えば、無効のFLPが検出された場合よりも有効なFLPが検出された場合の方が、深い休眠モードが開始されるまでの時間が大きくなる様に、異なる値を含む様に設定され得る。要するに、高速カウンタは深い休眠へ戻る前にFLPらしきものを探索する長さを決定し、範囲外カウンタは少なくとも一つの有効なFLPを受信した後にFLPを探索し続ける長さを決定する。従って、範囲外カウンタは一般に高速カウンタよりも大きな値(もっと長い期間)に設定される。
【0070】
図18は、ETMSの一つの実施形態の部品を示している。本システムは、タグ14、関連する読取機/送受信機(RT)30及び読取機処理装置32を含む呼掛機26、固定ゲート読取機30G、手持形読取機30H、車載読取機30V、監視読取機30S、野外支援コンピュータ48、及び遠隔サーバ50を含んでいる。遠隔記憶されているタイヤパラメータデータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはインターネットを経由してアクセスされてよい。
【0071】
読取機/送受信機(RT)30は、一つの実施形態では、一つ以上のタイヤタグ14のためにRF通信を開始する。RT30の一つの形態は、固定位置(例えば、ガソリンスタンド、格納庫、運搬道路等)に置かれている固定ゲート読取機30Gである。固定ゲート読取機30Gは、一つ以上のタイヤタグ14と通信して、タイヤ空気圧データ、温度データ、状況データ(例えば、警報状態)、車両ID、及びタイヤIDを含むデータを収集する。RT30は、一つ以上のタイヤタグ14からこのデータの履歴(履歴データ)を取得してもよい。この履歴データは、イーサネット(登録商標)リンク、インターネットリンク、有線リンク、無線リンク、マイクロ波リンク、衛星リンク、光リンク、ケーブルリンク、RFリンク、LANリンク、またはその他の適切な通信リンクの様な通信チャネルによって、RT30からタイヤデータベースへ送られる。
【0072】
RT30は携帯つまり手持形読取機30Hを具備していてもよく、図18を参照されたい。その様な手持形読取機30Hは、タイヤタグ14と通信し、温度、圧力、及びID情報を含むデータを収集し、履歴データを取得する。手持形読取機30Hは、固定読取機を使用できない位置や、タグをプログラムすること及び/または人間のユーザによって物理的に点検され得るタイヤ上のタグからのデータをダウンロードすることがもっと簡単である場合に、使用されてよい。手持形読取機30Hは、準備進路上、タイヤ販売店、車両の非使用中、作業場での検査中、ダンプカー基地、または燃料トラックによる燃料の供給中の様な種々の場所及び時で、タイヤタグ14と通信するために使用されてよい。従って、手持形読取機30Hは、タイヤの温度、圧力、タイヤID、及びタイヤ履歴データを含む最後に記憶されたタグデータの「現場での読取」を提供する。
【0073】
RT30のもう一つの形態は、(図18に示されている)車載読取機30Vつまり車両12に取り付けられている読取機である。各々の車載読取機30Vも、タイヤの空気圧、温度、状況、車両ID、タイヤ位置、及びタイヤIDを含むタグデータを一つ以上のタグ14から検索して、例えば遠隔サーバ50に存在しているタイヤデータベースへこのデータを転送することができる。
【0074】
RT30は、大きな交差点、車両準備進路、ショベルカー基地、粉砕機基地、ダンプカー基地、積込み機基地、整備作業場、タイヤ販売店等の様な、被監視車両が通過しなければならない特定の位置に、戦略的に配置されていてよい(これも図18に示されている)監視読取機30Sを含んでいてもよい。これらの読取機30Sは、それらの近傍を移動する車両12上のタグ14からの、タイヤの識別、圧力、温度、及び警報送信を含むタグデータの自律送信を読み取ることができる。通常は、履歴データは監視読取機30Sによってタグ14から収集されない。タグデータは、衛星リンク、RFリンク、またはLANリンク等の様な通信チャネルを経由して、RP32、野外支援コンピュータ48、及び/または遠隔サーバ50へ通信される。あるいは、タグデータは車両監視システムへ通信されてよい。監視読取機30Sは主に受信専用読取機である(つまり、これらはタグ14へ指令信号を送信しない)。反対に、タグ14は自律的な基準でタグデータを周期的に(または警報状態に応答して)送信し、このタグデータは監視読取機30Sによって読み取られ得る。
【0075】
タグ14がその様にプログラムされていれば、(車載読取機30V、手持形読取機30H、または固定ゲート読取機30Gの様な)RTはタグ14から送信される警報信号を検出するかもしれない。一つの実施形態では、タイヤ10が予めプログラムされているパラメータ閾値の範囲を超えていれば、その様な警報信号がタグ14によって周期的間隔でRT30へ送信される。RT30は、この信号を検出して、警報状態にあるタイヤ10の位置を決定することができる。RT30は、RFリンク、衛星リンク、またはその他の通信リンクの様な通信チャネルを経由して、その様な警報状態を周期的(頻繁な)間隔で遠隔サーバ50へ自動的に送信する。タイヤタグ14は、一般に、温度及び空気圧の閾値がタイヤ10の動作に許容されている温度及び空気圧の最高及び/または最低範囲に等しい様に、プログラムされている。
【0076】
一つの実施形態では、RT30は警報信号を認識する。一旦、警報信号が認識されると、タイヤタグ14はその警報信号の送信を中止する様にプログラムされていてよい。あるいは、電池94(図16)を大事に使うために、タグ14は予め決められている期間後に警報信号の送信を停止する様にプログラムされていてもよい。そうなっていれば、タグデータが後にRT30へダウンロードされた時に、RT30によって、範囲外状態が認識されて警報状態が認識される。その警報信号は、範囲外状態(例えば、温度または圧力)、実際の温度値及び/または圧力値等を含む種々の情報を含んでいてよい。車載読取機30Vは単に警報信号とこの警報信号が発せられた時刻とを受信する必要があるだけでもよく、野外支援コンピュータ48及び/または遠隔サーバ50はタイヤの管理のために実際の温度及び/または圧力のデータを必要としてもよい。監視読取機30Sは、圧力警報状態及び/または温度警報状態を示す送信を例えば14から受信して、その情報を遠隔サーバ50へ中継してよい。
【0077】
タイヤタグの機構
総てのタイヤタグ14及び/またはRT30は、下記の機構を含む様にプログラムされていてよい。
圧力の読取−−RT30は、タイヤ10の圧力を読み取る、つまり、タイヤ/ホイール空洞内の内部空気圧力を平方インチ当たりのポンド(psi)で読み取る能力を有している。RT30は等価常温充填圧力(例えば、20℃/68.0°Fので圧力)を計算することもできる
温度の読取−−RT30はタイヤ10の温度を読み取る能力を有している。装着位置の様な要因のために、タグ14の温度は空気温度のみに帰すべきでないかもしれない。
【0078】
特有のタイヤ識別番号−−この番号は特定のタイヤ10を明確に識別する。このタイヤ識別番号は一般にタイヤシリアル番号である。この番号は、タグインストーラによって(例えば、手持形読取機30Hを経由して)タグ14内へプログラムされる。タイヤシリアル番号はタイヤ製造者によって割り当てられる。
タイヤ商標番号−−このタイヤ商標番号は、そのタイヤを識別し、タイヤシリアル番号よりも読取が容易である。この番号は一般にユーザによってタイヤに記されている。この番号も、タグインストーラによって(例えば、手持形読取機30Hを経由して)タグ14内へプログラムされてよい。
タイヤタイプ番号−−タイヤタイプは、タイヤのタイプを識別し、タイヤ製造者によって割り当てられる。この番号も、タグインストーラによって(例えば、手持形読取機30Hを経由して)タグ14内へプログラムされてよい。
【0079】
機能識別(FID)番号−−例えば、タグ、タイヤ、及び車両上におけるタイヤの位置を識別する略記識別番号。例えばタイヤが車両の別の部分へ交替されると、この機能ID番号は変更されることができる。このFID番号はRT30によってタグ14内へプログラムされている。
特有のタグ識別番号−−このタグ識別番号は特定のタグ14を識別する。このタグ識別番号は、一般にタグシリアル番号であるが、例えばタイヤ及び車両上におけるタイヤの位置も識別してよい。タグシリアル番号は、タイヤ製造者によって割り当てられて、タグ14のROM内へプログラムされる。
【0080】
タイヤ履歴データ−−タグ14は、一定の期間中の温度及び空気圧の様な履歴データを記録するRAM記憶装置16を含んでいる。この履歴データは、そのデータがいつ記録されたのかを示すタイムスタンプと共に記録される。このデータは、タグ14から(直接または間接に)RP32、野外支援コンピュータ48、または遠隔サーバ50へダウンロードされてよい。タグ記憶装置16は感知器データを周期的に記憶する。一つの実施形態では、約1,000データレコードが同時に記憶されてよい。しかし、記憶可能なレコードの数は記憶装置16の大きさにしか制限されない。感知器データが記憶装置16へ記憶される速度はユーザによって選択可能である。新たに測定された感知器データ用の場所がもうなければ(つまり、タグ記憶装置が満杯)、最も古い記憶データが上書きされる。
タイヤ履歴データの更新−−タグ14は、以前にRT30へ送信されていない新たなタイヤ履歴データのみの転送を可能にする。更に、タグは、現在のタイヤ履歴データの一部(全部を含む)の転送を可能にする。
【0081】
書込能力−−タグ14は、ホイール位置、車両番号、パラメータ閾値等を含むユーザ定義データをユーザがタグ記憶装置16内へ書き込むことを可能にする。このデータは、認可されたユーザのみがデータをタグ14へ書き込むことができる様に保護されているパスワードであってよい。
自動データ収集−−タグ14は、外部作動なしに、予め決められている間隔で自己覚醒し、感知器の読取を受け取り、これらの読取を記憶装置に記憶し、休眠状態へ入る能力を有している。タグ14は通常はデフォルト覚醒間隔(例えば、2.5秒)で工場から予めプログラムされているが、ユーザはこの覚醒間隔を変更することができる。
【0082】
自律送信(AT)−−タグ14は、外部作動なしに、予め決められている間隔で自己覚醒し、感知器の読取を受け取り、この感知器データをRTへ送信し、休眠状態へ入る様にプログラムされていてよい。感知器測定機能は、タグ14の送信機能とは独立に作動させられる。タグ14は通常はデフォルト覚醒間隔(例えば、2.5秒)で工場から予めプログラムされているが、ユーザはこの覚醒間隔を変更することができる。タグ覚醒間隔は一般にAT間隔よりも多く、これらの間隔の両方がユーザによってプログラムされてよい。AT内に、タグ14は最後に記憶された感知器の読取(例えば、圧力及び/または温度)を送信する。
【0083】
警報送信−−タグ14は、外部作動なしに、予め決められている間隔で自己覚醒し、最後に記憶された感知器データを調べ、警報状態が存在している(つまり、感知器データ値が記憶されている閾値の範囲を超えている)か否かを決定し、その様な状態が存在していれば警報信号を送信して、休眠状態へ戻る様にプログラムされていてよい。この警報機構はユーザによって使用可能にされるかまたは使用禁止にされることができる。タグ14は通常はデフォルト覚醒間隔(例えば、2.5秒)で工場から予めプログラムされているが、ユーザはこの覚醒間隔を変更することができる。タイヤパラメータが予め決められている閾値の範囲を超えていれば(つまり、タイヤ10の動作に許容されているパラメータ閾値を超過しているかまたはそれ未満であれば)、タグ14は覚醒モード中に警報信号を送信する。一時間の様な何らかの期間の後に警報信号が認識されなければ、タグ14は電池電力を大事に使うために信号の送信を中止する。警報が時間切れでも、タグ14は動作し続ける。RT30は、警報信号を認識して、警報信号を終結させることをタグ14に指令することもできる。非警報状態へ戻ると、警報機構がユーザによって使用可能にされていれば、警報機構を回復させる。
【0084】
機密保護−−タグ14は異なるレベルのパスワード保護を提供する。第一は製造者レベルにあり(製造者はその特有のタグ識別番号をパスワードで保護してよい)、第二はユーザレベルにある(ユーザはユーザ定義データの様な総てのプログラム可能なデータをパスワードで保護してよい)。
タグ停止−−タグ停止指令は、温度読取や空気圧読取、ユーザ定義データ、タグ履歴データ等の様な、記憶装置16内に記憶されている総てのデータを消去する。これはタグ14をそれが最初に製造された時と同じ状態へ戻す。一旦、停止させられると、タグ14はもはや如何なる外部指令にも応答しない。この機構はパスワードで保護されている。記憶されている総てのデータを消去する一つの方法は、タグ14をその最も警戒を怠らない状態(つまり、呼掛モード)へ覚醒させて、電池が消耗するまで総ての電池消費動作(例えば、高速クロック、RF受信機、感知器、PLL等)を始動させることである。この機能は、もしかすると有用なタイヤデータを誰もそのタイヤから取得することができない様に、例えばタイヤ10が廃棄される時に使用されてよい。
【0085】
ユーザデータの消去−−この機能は、総てのユーザ定義データ(例えば、全車両名、パラメータ閾値、ホイール位置データ等)を消去して、そのタグ14を製造者レベルのデフォルト値へ戻す。この機能は、例えばそのタイヤ10の所有者の変更時に使用されてよい。
無線周波数動作−−特許請求の範囲に記載されているシステムは、ISM周波数帯(902〜928MHz)で動作することが好ましい。
通信−−タグ14は、本明細書に記載されている様に、固定ゲート読取機30G、手持形読取機30H、車載読取機30V、及び/または監視読取機30Sの様なRT30と通信することができる。
データの表示−−タグデータは通例の測定装置に表示される(例えば、圧力についてはpsi、温度については℃及び/または°F)。
電力−−タグ14は、タグ14と一緒に含まれている電源94によって電力を供給される。一般に、電源94は交換可能ではない(保守項目ではない)。
タグ寿命−−現在の電池能力ではタグの全寿命は約2年よりも長く、この約2年という寿命は、通常の動作状態では、タグが監視しているタイヤの平均寿命よりも長い。
【0086】
オフ機能−−タグ14は、例えばタイヤ空気圧が40psi(またはその他の予め選択されている何らかの圧力)未満になっている場合を認識することができる。その様な圧力は、タイヤ10が装着されていないか、またはタグ14がタイヤ10に取り付けられる前に棚にあることを示している。タイヤ空気圧がその様な閾値未満になると、タグ14は感知器情報の報告及び記憶を中止する。このことは、不要時におけるタグ14の動作を防止する。しかし、タグ14は、タイヤ空気圧がその閾値(例えば、40psiまたはその他の予め選択されている何らかの圧力)を超えた時に完全機能状態へ自分自身をオンすることができる様に、感知器圧力を監視し且つ順方向リンクパケット(FLP)を探すことができる。
【0087】
読取機範囲−−固定ゲート読取機30Gについては、読取機範囲は、読取機アンテナ28と車両12の同じ側のどのホイール位置におけるタグ14からも少なくとも10メートル以内である(この範囲は、車両12が時速20キロメートルまでで移動することが可能である)。手持形読取機30Hが固定タイヤ10を読み取ることについては、読取機の範囲は、読取機30Hと車両12の同じ側のどのホイール位置におけるタグ14からも約5メートルである。車載読取機30Vについては、読取機は、その読取機の範囲内(例えば、読取機30Vと車両12の同じ側)にあるタイヤタグ14から信号を受信することができる。車載読取機30Vは、車両12が約時速90キロメートルまでで移動中にタグ14を読み取ることができる。監視読取機30Sは、(車両12が約時速73キロメートルまでで移動中に)読取機アンテナ28から約50メートルまでのタイヤタグを監視することができると推定される
【0088】
定義
オンデマンド(またはオンサイト)−−RT30が通信を始動させ、タグ14が例えば、温度、圧力、タイヤID、及び/またはその他のタイヤパラメータ情報を表す最後に記憶された感知器データで応答する、双方向通信。
警報−−タグ14が警報信号をRT30へ送信する片方向通信。その警報信号は、範囲外状態(例えば、温度または圧力)、実際の温度値及び/または圧力値等を含む種々の情報を含んでいてよい。警報信号は、予めプログラムされている閾値を一つ以上のタイヤパラメータが超えている時に送信される。
自律送信(AT)−−タグ14が、最後に記憶された感知器データ(またはその他の予めプログラムされているデータ)を周期的時間間隔でRT30へ送信する片方向通信。
【0089】
タイヤ履歴データの更新−−RT30が通信を始動させ、温度、圧力またはその他の記憶されているデータを含む以前に送信されていない新しいタイヤ履歴データでタグ14がRT30に応答する双方向通信。
順方向リンク−−RT30からタイヤタグ14への片方向通信。RT30(監視読取機30Sを除く)は、一つ以上のタイヤタグ14へRF信号を周期的に送信する。順方向リンク信号は、一つ以上のタグ14を探しているか、または一つ以上のタグ14と直接に通信している。
戻りリンク−−タイヤタグ14からRT30への片方向通信。タグ14は、戻りリンクを経由して、RT30へ応答(例えば、タグデータ)を送信する。順方向と戻りとの両方のリンクのタイミング並びにシステムのその他の特性がこの明細書中に記載されている。
【0090】
本発明の更なる説明
再び図1、15を参照すると、タイヤデータの取得方法が示されている。呼掛モード中では、RT30は、特定のタイヤタグ14が呼び掛けられている時にのみその特定のタイヤタグ14から感知器データ及びその他のデータを取得することができる。一つの実施形態では、タイヤタグ14は、(1)特有のID(例えば、タグシリアル番号)、(2)機能的ID、及び/または(3)タグ呼掛の間にRT30によって割り当てられる一時的ID、によって呼び掛けられ得る。タグの取得は後にもっと詳細に記載されている。
【0091】
RT30が特定のタイヤ10からのタイヤ温度やタイヤ空気圧を要求していれば、RT30はその特定のタイヤ10に対応するタイヤタグ14の記憶装置16内における規定記憶位置からのデータを要求する。これらの記憶位置は、そのタグ14によって取得された感知器データを記憶している。このデータは、戻りリンクパケット(RLP)を経由してRT30へ送信され得る。そのRT30は、感知器72、74(図16参照)用の較正係数の送信を要求することもできる。タイヤのタイプ、車両上におけるタイヤの位置、車両ID、及び/またはタイヤIDを含む、タグ記憶装置16に記憶されているその他の情報が要求されてもよい。要求された情報が一旦検索されると、RT30は、プログラム可能な期間の間休眠モード(例えば、深い休眠モード)へ入ることをタグ14に命令する。あるいは、一旦タグ14が予め決められている期間(例えば、2〜3秒)の間RT30の範囲外になると休眠モードへ戻る様に、そのタグがプログラムされていてもよい。深い休眠モードへ入ることは、そのタグ呼掛セッションを完了させる。その後、新しい呼掛セッションが開始され得る。
【0092】
タイヤタグ14は、コスト的に有効で、低電力しか使用せず、連邦通信委員会規則第15部(47C.R.F.§15)に従っていることが望ましい。スペクトル拡散のない(自由空間での)許容最大出力は−1dBMである。戻りリンク(つまり、タグから読取機へ)は、幾つかの利用可能な無線周波数チャネルのうちの何れか一つで送信する能力を有している。このことは、妨害装置からの信号を防止する手段をタグ14に提供する。一つの実施形態では、タグ14は、異なる戻りリンクチャネルの各々で順次にFLPに応答する。もう一つの実施形態では、RT30は戻りリンクチャネルを監視して、混信量の最も少ないチャネルで送信することをタグ14に指令する。自律送信(AT)についは、タグ14は、戻りリンクチャネルの何れかまたは総てで戻りリンクパケット(RLP)を送信するオプションを有している。
【0093】
一つの実施形態では、四つの戻りリンクチャネルが存在しており、タグ14は各々のチャネルで順次に戻りリンクパケット(RLP)を送信する。例えば、タグ14がそのシリアル番号を有するRT30へチャネル1で応答すれば、そのタグ14は次の読取機指令へはチャネル2で応答する。もしRT30がタグから欠陥データを受信すれば、RT30は、そのデータを無視して、データを再送信することをタグ14に指令する。その時、タグ14はチャネル3でそのデータを再送信する。その受信されたデータが再び崩れているともしRT30が決定すれば、RT30はデータを再送信することをタグ14に指令する。一つの実施形態では、データの再送信は、そのデータが五回送られる(各チャネルで一回、例えば、チャネル1、2、3、4及び1−最初のチャネルは二回試行される)まで続けられる。もしそれでもRT30が良好なデータを受信しなければ、RT30は予め決められている期間の間はその特定のタグ14へ送信することを中止する。
【0094】
あるいは、RT30は、その四つの戻りリンクチャネルを監視して、そのチャネルが最も少ない雑音量及び/または混信量を有しているのかを示している、どのチャネルが最も低い受信信号強度(RSS)を有しているのかを決定することができる。従って、最も低いRSSを有しているチャネルの信号混信が最も少ない。従って、どのチャネルが最も低いRSSを有しているのかをRT30が決定した後、RT30は、最も低いRSSを有する戻りリンクチャネルに対応する順方向リンクパケット(FLP)内の二ビットを送信し、そのチャネルで戻りリンクパケットを送信することをタイヤタグ14に命令する。妨害信号の持続期間は数秒のオーダであると予想され得る。従って、RT30ははっきりしている戻りリンクチャネルを数秒毎に調べる。RT30は、示されている戻りリンクチャネルでタグ信号を受信する様に自分自身を同調させて、ヌル指令(オールゼロ)を送信する。このヌル指令は、RT30がRSSレベルを監視している間にその他の何れかのタグが応答することを防止するために同報通信される。もう一つのチャネルが最も低いRSSを有していると決定されるまで、特定のタグ14が応答することを指令されるチャネルに最も低いRSSチャネルがなる。更に、RSSの最も低いチャネルは通じていてその他の送信と混信していないので、そのチャネルが選択される。各々のRT30は受信信号強度(RSS)表示器を有しており、この表示器はタグ14が応答を試行していることをそのRT30に示す。そのRT30は、入ってきた戻りリンクチャネル上の受信信号強度を調べる。その後、RT30は、最も低いRSSを有しているチャネルで応答する様にタグ14に命令する順方向リンクパケットを送信し、タグ送信のためにそのチャネルを監視する。
【0095】
順方向リンク通信の間、パケットはRT30からタグ14へ送られる。戻りリンク通信の間、パケットはタグ14からRT30へ送られる。受信されたタグデータは、その後、読取機処理装置(RP)32へ伝達される(図1、15を参照)。
【0096】
順方向リンクは振幅変位電鍵操作(ASK)変調を使用する。902MHzと928MHzとの間に散在されている50チャネルが存在している。拡散スペクトル送信を使用すると、読取機アンテナ28から放射され得る許容最大出力は+36dBMである。一つの実施形態では、順方向リンクにおけるデータ転送速度は、毎秒7.5キロビット(Kbps)である。
四つまでの通信チャネルを含む戻りリンクは周波数変位電鍵操作(FSK)変調を使用する。これらのチャネルは902〜928MHz間である程度均等に離隔されている。
【0097】
47C.R.F.§15のもとで、拡散スペクトル送信(つまり、周波数ホッピング)を使用すると、自由空間内で放射され得る許容最大出力は+36dBMである(拡散スペクトル送信を使用しなければ、自由空間内における許容最大出力は−1dBMである)。順方向リンクでは、送信される出力量はタイヤ壁のすぐ外側で測定される。しかし、一つの実施形態では、タイヤ壁を貫通してFLPを送信することによって10〜15dBMが失われる。タイヤ壁を貫通する送信に起因する減衰に加えて、その他のタイヤ及び/または車両12の部品からの混信に起因して追加的な減衰が生じるかもしれない。
【0098】
システムは、タグ14から送信されるデータ/命令よりもはるかに少ないデータ/命令しかタグ14へ送信しない。順方向リンクのデータ転送速度は7.5Kbpsであり、戻りリンクのデータ転送速度は60Kbpsである。これらのデータ転送速度が非対称である理由は、システムの複雑なものの大部分がタグ14よりもむしろRT30に設置されているからである。このことは、より簡単なタグ回路を可能にし、タグ14が7.5Kbpsというより低速度でFLPデータを読み取ることによってより少ない電力しか消費しないことを可能にしている。RT30は、タグ14によって60Kbpsで戻されているデータを読み取るのに十分な精巧さを有している。更に、タイヤタグ14はもっと速い速度でデータを伝えるので、タイヤタグ14はもっと短い期間の間オンにされる。タイヤタグ14の電池寿命はシステムの総ての有用さの重要点であるので、このことは重要な利点である。
【0099】
図19に戻ると、RT30の部品の概要が示されている。通信規約が半二重である(つまり、何れの時においても、読取機/送受信機(RT)30はデータを送信するかまたは受信するかの何れかである)ので、送信/受信(TR)スイッチ100が備えられている。RT30のこの図示されている実施形態は多重システム内で使用されていないので、RTアンテナ28が送信動作と受信動作との両方で使用されている。RT30がフィルタ等の様な追加的な部品を含んでいることが分かるが、簡単化のために、これらの回路はこの分野で周知であるので示されていない。受信通路では、低雑音増幅器102がFSK受信機104の前端にある。入ってきたRLPデータはマイクロ制御装置106へ送信される。各々のRLPは、マイクロ制御装置106によって受信されて、有効かどうかを決定するために調べられる。FLPがタグ14へ送信される時は、このFLPは最初にASK送信機107を介して高出力増幅器108へ供給される。増幅された信号は、その後、タグ14への送信のために読取機アンテナ28に接続されているTRスイッチ100の反対側へ送られる。
【0100】
一つには最低限として50チャネルと明示している連邦通信委員会規則第15部(47C.R.F.§15)の理由から五十の順方向リンクチャネルが選択されたが、50超のチャネルがこの拡散スペクトルシステム内で使用され得ることは明らかである。同様に、タグ14からRT30へデータを送信するために使用されている4つの戻りリンクチャネルも、異なる数のチャネルへ変更されてよい。
【0101】
大きなトラックの様な多数のタイヤの車両と共に本システムが使用される場合は、動作の同期が予期されている。詳細には、図15に示されている様に二つのRT30A、30Bを使用する場合には、第一のRTが例えば車両12の一方側用に選定されていてよく、第二のRTが車両12の他方側用に選定されていてよい。車両12の第一の側における第一のRT30Aからの指令信号は、特定の戻りリンクチャネル、例えばチャネル1、3のみを使用するためにその信号を受信することをタイヤタグ14に命令してよい。車両12の第二の側における第二のRT30Bは、別の戻りリンクチャネル、例えばチャネル2、4で送信するためにその信号を受信することをタイヤタグ14に命令してよい。この機構は、異なる二つのタイヤからデータを同時に読み取るかまたは同一のタイヤからデータを二回読み取る危険を減らすために実施される。二つのRT30が同一のタグ14を読み取る状況では、RP32とFSK受信機104との一方または両方が、その重複データを認識してその様なデータを削除する様に構成されている。
【0102】
その他の状況では、二つのタグ14が同時に覚醒して両方のタグがRTアンテナ28の範囲内にある可能性がある。もしこのことが発生すれば、両方のタグ14が同一の戻りリンクチャネルで同一のメッセージに応答しているかもしれないので、混信が生じるかもしれない。範囲内にあるかもしれない多くのタグから一つのタグを識別してこの一つのタグと通信するために、RT30は、後述の様なSARアルゴリズムを使用し、及び/または、そのタグの特有のタグシリアル番号または機能的ID番号を送信することによって特定のタグ14へ送信する。
【0103】
図20は、図16に示されているタイヤタグ14のもっと詳細なブロック図である。PICマイクロ制御装置200はタイヤタグ14の動作のための種々の信号を受信及び送信する。このマイクロ制御装置200は、Microchip Technology Inc.によって製造されたマイクロ制御装置であって二つの内部発振器、内部RAM、内部ROM、内部A/D変換器、及びその他の通例の構造を有するモデルPIC16C717であってよい。これは特許請求の範囲に記載されているシステム内で使用され得る多くのマイクロ制御装置のうちの一つであることが分かるが、電池寿命を極限まで増加させるために、二つの発振器が二つのクロック速度を可能にするので二つの発振器が望ましい。二つのクロックを有することは、高速クロックの使用を最小限にする(従って、電池電力を大事に使う)ことを設計者に可能にする。これら二つの発振器は、内部マイクロ制御装置発振器である必要はない。
【0104】
図20に示されているタイヤタグ14は、互いに別個且つ独立である二つの特有の機能、つまり(1)データ測定機能、及び(2)データ受信及び送信機能、を有している。第一の独立の機能を実行するために、マイクロ制御装置200は例えば圧力感知器206及び温度感知器208を使用することによってタイヤパラメータを測定する。マイクロ制御装置200は、探索モードへ周期的に覚醒し且つ(その他の作業の中で)感知器206、208にタイヤパラメータを測定させる様にプログラムされている。その測定パラメータは、その後、マイクロ制御装置200へ送られてその内部RAMに記憶される。探索モードの完了と同時に、マイクロ制御装置200は深い休眠モードへ戻る。
【0105】
第二の独立の機能では、マイクロ制御装置200は、読取機/送受信機(RT)30からのFLPを調べ、有効なFLPが受信されていれば、RT30へ一つ以上のRLPを送信する。従って、このデータ送信機能はパラメータ測定機能から独立している。別個のデータ測定機能を有していることは、従来技術に対する利点を提供する本発明の特有の形態である。タグ14内に記憶されているタイヤパラメータをRT30が要求した時は、タグのマイクロ制御装置200は単にそのRAMにアクセスして最後に記憶されたパラメータデータをRT30へ送信するだけである。従って、マイクロ制御装置200は、RT30からの呼掛指令に応答して感知器206、208に電力を供給する必要はない。このことは、本システムが従来技術のシステムよりも高速で動作することを可能にする。更に、マイクロ制御装置200は、いつの時点でも、もう一つの機能(例えば、データ測定)から独立している一つの機能(例えば、データの受信及び送信)を処理しさえすればよい。タグ14は、第一のモード中で感知器パラメータを測定するか、または、第二のモード中でデータを送信する。これらの機能は互いに独立である。パラメータ測定機能は、RT30からの何らかの外部呼掛指令に応答して実行されることはない。
【0106】
具体的に言うと、マイクロ制御装置200は深い休眠モードから意識清明休眠モードへ周期的に覚醒する。意識清明休眠モード中では、マイクロ制御装置200は、低速クロックを始動させ、探索モードカウンタを調べることによって探索モードへ入るべき時であるか否かを決定する。探索モードカウンタは、探索モードへ入るべき時である(例えば、カウンタがオールゼロを含んでいる)ことを示すか、または、何らかのその他の値を示す。探索モードへ入るべき時でなければ、マイクロ制御装置200は、探索モードカウンタを調整して(例えば、カウンタを減少させて)、深い休眠モードへ戻る。
【0107】
探索モードへ入るべき時であれば、マイクロ制御装置200は探索モードへ入って低速クロックを使用し続ける。マイクロ制御装置200は、感知器カウンタを調べることによって、感知器を読み取るべき時であるか否かを決定する。感知器を読み取るべき時であれば、マイクロ制御装置200は、後述の様に、各々の感知器からデータを順次に読み取って記憶する。感知器を読み取るべき時でなければ、マイクロ制御装置200は感知器カウンタを調整して予備識別を実行する(つまり、送信が順方向リンクパケットらしいか否かを決定する)。その送信がFLPらしいとマイクロ制御装置200が決定すれば、マイクロ制御装置200は呼掛モードへ入る。その送信がFLPらしいとマイクロ制御装置200が決定しなれば、マイクロ制御装置200は、自律送信(AT)カウンタを調べることによって、ATを実行すべき時であるか否かを決定する。ATの時でなければ、マイクロ制御装置200は、そのカウンタを調整して(例えば、そのカウンタを減少させて)、深い休眠モードへ戻る。ATの時であれば、マイクロ制御装置200は、呼掛モードへ覚醒し、高速クロックを始動させて、ATを実行する(つまり、最後に記憶された感知器データをRT30へ送信する)。
【0108】
探索モード中で感知器を読み取るために、マイクロ制御装置200は定電流源204を作動させるために感知器電力線202に信号を出し、定電流源204が今度は圧力感知器206及び温度感知器208を作動させる。増幅器210、212も感知器電力線202を経由してオンにされる。増幅器210、212は、夫々感知器206、208によって生じさせられたアナログ信号を増幅する。マイクロ制御装置200は、タイヤ10に生じる動的物理効果に起因する感知器206、208からのデータ中における何らかの不規則をデジタル的に濾過及び平滑化するためのA/D変換器及びデジタル信号処理コードを含んでいる。例えば、圧力データは、タイヤ10が動いて角度位置や地形等の関数として曲がるので、ある程度不規則になり得る。マイクロ制御装置200は、オンにされたばかりの部品204〜212からの過渡現象を無視してそれらの部品が正常な安定状態動作を呈することを可能にするために、感知器の読取を受け取る前に短期間待つ。その後、マイクロ制御装置200は、入力線214、216上の増幅された感知器信号のA/D変換を実行する。信号線214は、マイクロ制御装置RAM内に記憶される増幅された圧力感知器データを伝える。同様に、信号線216は、やはりマイクロ制御装置200のRAM内に記憶される増幅された温度感知器データを伝える。探索モードの最後に、マイクロ制御装置200は、感知器電力線202への電力をオフにし、それによって部品204〜212を無活動モードにする。マイクロ制御装置200へは電池に接続されている入力ピン218を経由して電力が供給される。
【0109】
最低/最高感知器値、連続データサンプル等を含む構成値及び履歴データを記憶するために、シリアルEEPROM220が使用されている。履歴データはマイクロ制御装置RAMからEEPROM220へ周期的に書き込まれる。EEPROMは、不揮発性記憶装置であるので、その情報を維持するために電力を必要とせず、電池電力を大事に使うためにオフにされ得る。
【0110】
第二の機能(つまり、データの受信及び送信)を実行するために、マイクロ制御装置200は、探索モードの間、送信がRTからの順方向リンクパケットらしいか否かを決定するために予備識別を実行する。その送信がFLPらしいとマイクロ制御装置200が決定すれば、マイクロ制御装置200は、呼掛モードへ入って、その送信が有効なFLPであるか否かを決定する。最初の段階として、タグ受信機電力がマイクロ制御装置200からASK受信機224へ線222で供給される。一つの実施形態では、タグ受信機224は利得増大トランジスタを有するダイオード検出器として組み立てられている。順方向リンクデータを検出するために、周知の比較回路が受信機224に結合されている。タグアンテナ226によって受信されたデータ信号は、低域通過フィルタ228を通り送信/受信(TR)スイッチ230を経由してASK受信機224へ供給される。データ受信期間中はTRスイッチ230が受信状態に設定されている。受信機224からのデータ信号はマイクロ制御装置200へ供給される。呼掛モードにおけるデータ受信中に、マイクロ制御装置200は送信が有効な順方向リンクパケットであるか否かを決定する。FLPは、感知器情報、タグ位置、ユーザ定義データ等の様な情報を提供することをタイヤタグ14に命令する指令信号を含んでいる。圧力感知器データ及び温度感知器データの取得及び記憶は、(上述の様に)データ受信機能(つまり、RT30からの有効な順方向リンクパケットの探索)とは独立の別個の機能である。
【0111】
呼掛モード中では、タグ14はデータを受信及び送信することができる。呼掛モードへ入ると同時に、マイクロ制御装置200は、高速クロックを始動させ、FLPの最初の部分(例えば、最初の四バイト)を調べ、その送信が有効なFLPらしいことをその部分が示していれば、イネーブル線234を経由して送信機232の位相同期回路(PLL)段をオンにし、その後に、CRCが有効であるか否かを調べるためにFLPの残り(例えば、最後の二バイト)を読み取る。FLPが有効なCRCを含んでいれば、タグ14はそのFLPに応答する。
【0112】
選択されている戻りリンクチャネルを自動追跡するためにPLLが一定の量の時間を必要とするので、FLPの一部のみを読み取った後にPLLがオンにされる。送信イネーブル線236を作動させることによって送信機232がオンにされ、送信イネーブル線236はその送信機の高出力増幅器段を使用可能にする。FSK送信機232が一旦作動させられると、以前に記憶された圧力データ及び温度データを含んでいるかもしれずFLPによって要求されたデータが、マイクロ制御装置200によってデータ線231でFSK送信機232へ供給される。このデータを送信するために、TRスイッチ230が受信状態から送信状態へ変更される。そのデータは、その後、低域通過フィルタ228を介して送られ、タグアンテナ226を経由して送信される。呼掛モードの完了と同時に、マイクロ制御装置200は、(PLL、送信機、感知器、高速クロック等の様な)タグ部品をオフにして、深い休眠モードを再び始める。このことが、マイクロ制御装置200の第二の独立機能(つまり、データの受信及び送信)を終了させる。
【0113】
一つの実施形態では、FSK送信機232は別個の四つのチャネルで送信する様に設計されている。FSK送信機232に利用可能な四つのチャネルのうちの特定の一つの選択を可能にするために、FSK送信機232にチャネル選択線238が備えられている。なお、何れかの個々のRLP送信の間、四つの送信チャネルのうちの一つだけが正常に使用される。
【0114】
従って、第二のデータ受信/送信機能の実行中は、探索モードのマイクロ制御装置200は、送信がRT30のうちの一つからのFLPらしいか否かを調べるために予備識別を実行する。その送信がFLPらしいとマイクロ制御装置200が決定すれば、マイクロ制御装置200は呼掛モードへ入る。その送信がFLPらしいとマイクロ制御装置200が決定しなければ、タグ14は予め決められている期間の間再び深い休眠モードへ入る。呼掛モード中では、送信が有効なFLPであると確認され、以前に総ての適切な送信防護及び通信規約が後に続かれていれば、タグ14に記憶されている要求されたデータがRT30へ送信される。休眠、覚醒、FLPの探索、及びデータを送信するかまたは深い休眠モードへ再び入るというこの周期は、タグ14の連続的な機能である。
【0115】
再び図17を参照すると、本発明の一つの実施形態によるタイヤタグ14の種々のモードとこれらのモードのタイミングとが示されている。示されている様に、タグ14は約600ms間の深い休眠モードにある。その後、タグ14はほぼ25ms間の意識清明休眠モードへ移行する。探索モードへ入るべき時であれば、タグ14は、探索モードへもっと覚醒して、予め決められている時間の間、予備識別を実行する(つまり、送信がFLPらしいか否かを決定する)。その送信がFLPらしくなければ、タグ14は単に別の600ms間の深い休眠モードを再び始める。その後、FLPらしき送信が検出されるまで、タグ14はこの処理を繰り返す。FLPらしき送信が検出された時は、タグ14は有効なFLPを探すための呼掛モードへ完全に覚醒する。その時、タグ14は、例えば、タイヤの温度及び空気圧に関する記憶データをRT30へ送信することによって、有効なFLPに応答する。なお、上記のタイミングはユーザによってプログラム可能である。RT30がタグ14から感知器データを取得しようとする時間も、ユーザによってプログラム可能である。探索モードの間は、タグ14も予め決められている時にタイヤパラメータデータを測定及び記憶する。これらの時は、予備識別が実行される時とは一般に異なっている。一つの実施形態では、感知器データはタグ14によって30秒毎に読み取られる。更に、タグ14がRT30と自律的に通信(例えば、ATを送信)しようとしてもよい。
【0116】
再び図20を参照すると、線240上の送信/受信制御信号は、線236にイネーブル信号を送信することによって制御される。水晶振動子242、244が四つの戻りリンクチャネルの周波数を制御する。水晶振動子242、244の組合せ、位相同期回路(PLL)、及び周波数分割器が、公知の方法で、四つの戻りリンクチャネル用の四つのFSK周波数を供給する。
【0117】
タグ14による送信用に使用されるべき戻りリンクチャネルは、幾つかの方法で決定されてよい。タグは、戻りリンクチャネルを順次に選択(つまり、各々のRLP毎に異なる戻りリンクチャネルを使用)してよい。あるいは、RT30は特定のチャネルを使用することをタグ14に命令してよい。使用すべき最良の戻りリンクチャネルを決定する一つの方法はRT30にヌル指令を送信させることであり、このヌル指令はタグ14に送信させない。このことは、四つの戻りリンクチャネルの各々における受信信号強度(RSS)をRT30が決定することを可能にする。その後、最も低い信号強度(つまり、最も少ない雑音/混信量)を有する戻りリンクチャネルに応答を送信することをRT30がタグ14に命令する。
【0118】
一つの実施形態では、マイクロ制御装置200は、その内部クロックを発生させるために4MHz水晶振動子の様な外部水晶振動子を必要とする。もう一つの実施形態では、マイクロ制御装置200は、低速クロック(37KHz)及び高速クロック(4MHz)を生じさせるための二つの内部発振器を含んでおりMicrochip, Inc.によって製造されたモデルPIC16C717である。従って、PIC16C717マイクロ制御装置には外部水晶振動子が必要とされない。更にもう一つの実施形態では、マイクロ制御装置200は、異なる周波数を有する二つ以上のクロックを発生させるために、二つ以上の外部水晶振動子(または、一つの水晶振動子と周波数分割器)を使用する。タグ14は、電力を大事に使う様に、異なる機能を実行するための異なるクロック速度を含むことが好ましい。タグ14は、その機能の大部分を実行するために低速クロックを使用して、より多くのタグ電力を消費する高速クロックが使用される時間を最小限にする。電力を大事に使うことも、休眠モードを含む異なる動作モードをタグ14が含むことが好ましい理由である。
【0119】
タグ14は、例えば、タグ14がタイヤの異常を感知したと監視読取機または車載読取機が検出することを可能にするために、RT30へ警報信号を送信する。使用可能にされていると、警報状態が自律送信(AT)パケットの送信を始動させる。警報状態は、タグ感知器206、208によって決定されている通りの過熱状態及び/または過圧/圧力不足状態を含む。警報閾値はプログラム可能であるので、各々のタイヤパラメータ(例えば、温度及び空気圧)に対して、最高設定値と最低設定値との両方が選択され得る。タグ14の記憶装置に記憶されている閾値を温度が超えているか、または、予め決められている閾値を圧力が超過あるいは不足していると、タグ14が検出すると、タグ14は警報信号を始動させる。
【0120】
A.タイヤ温度補正
タイヤが供用状態で動かされる時は、タイヤは曲がることによって働く。この曲がりは、少なくともある程度は、車両がある位置から別の位置へ移動する時に負荷を支持し、隆起や衝撃を吸収し、車両の移動を可能にするためのコーナリング及びトラクションを提供することによって、引き起こされる。この働きは、各々のタイヤ内における熱の発生に帰着する。最後に、この熱は、例えば、リム及び車両懸架装置への伝導、放射、周囲の雰囲気への対流、タイヤが接触している地面つまり車道への伝導によって、タイヤによって放散される。
【0121】
一般に、タイヤが供用中に経験する温度上昇は、そのタイヤが支持する負荷、車両の移動速度、及び車両が移動する時にその車両が耐える操縦、によって決定される。これらの要因が極端になるほど、熱の発生が多くなる。タイヤ自体の熱の発生に対する追加的な要因はタイヤの空気圧である。適切に空気注入されているタイヤに比べて、空気圧不足のタイヤは、所定の動作条件下でより激しく働く(つまり、より多く曲がる)。より激しく働くタイヤはより多くの熱を発生させる。更に、ブレーキドラムまたは駆動モータの様な車両におけるその他の熱発生部品の存在が、タイヤに熱を与える。
【0122】
タイヤ製造者によって製造されている各々のタイヤは、特定のタイヤ空気圧とそのタイヤ空気圧における一定の耐負荷容量とに対して設計されている。特定の動作温度に対する特定のタイヤ空気圧を明示するよりも、目標常温充填タイヤ空気圧がそのタイヤに対して明示される協定にタイヤ製造者が同意した。その常温充填温度は、一定の基準温度であり、通常は20℃(68°F)に等しく設定されている。規定温度(例えば、20℃)における規定目標常温充填タイヤ空気圧に適切に空気注入されているタイヤは、特定の製造者が明示しているかもしれない速度等の様なその他の使用条件を条件として、一般に、規定負荷支持容量内で満足に機能する。
【0123】
特に採掘動作の様な一定の動作環境では、タイヤは設計負荷容量かまたはその近傍で動作するかなりの時間を過ごすかもしれない。これらの環境では、そのタイヤは製造過程における設備利用を極限まで増加させるために可能な限り十分に緊張させられ、その結果、そのタイヤは熱を発生させる。これらのタイプの動作におけるタイヤの寸法及び質量は大きくて莫大な熱量を供給し、この莫大な熱量は上述の手段を通じた冷却をゆっくりとした過程にする。その様な環境におけるタイヤはそのタイヤが周囲の空気と同じ温度まで冷却するのを可能にするのに十分な休止時間をめったに経験せず、そのために、常温充填温度における常温充填タイヤ空気圧の測定が困難且つ稀である。その結果、タイヤが供用された後における殆どのタイヤ空気圧測定は、そのタイヤが最初に空気注入された常温以外の温度で行われる。これらの測定は動作時タイヤ空気圧測定と呼ばれる。
【0124】
タイヤ及びリム構造内に含まれている空気量は(タイヤ修理工による)意図的な働きまたは(タイヤ構造に対する傷害による)意図的でない働きによる以外の空気の著しい追加または損失がない閉鎖系であるので、この系は下記で表される理想気体の法則によって支配される。
PV=nRT
ここで、総ての単位をSI(国際単位系)で表して、
P=気体によって及ぼされる圧力
V=気体を含んでいる室の体積
n=系内に含まれている気体のモル数
R=系内の気体に特有の定数
T=気体の温度
である。Rの値は、固定されており、一般に圧縮空気または幾つかの場合には窒素であるタイヤ内の特定の気体混合物に依存している。幾つかのタイヤは、そのタイヤの内部にUltraseal International, Inc.のUltraseal Tire
Life Extenderも使用している。追加的な空気が追加または損失されないとすると、nの値も一定である。タイヤ構造が、変形可能ではあるが、織物または鋼鉄の形の本体コードの存在のために本質的に非伸張性であるので、Vの値(タイヤ及びリム構造によって規定されている室の体積)は少なくとも第一次近似として一定である。従って、この式中の唯一の変数は、気体の温度及び圧力になる。従って、
PV=nRT 及び k=T/P=V/nR(一定)
である。
【0125】
上述の様に、タイヤが熱くなると、タイヤの内部空気圧は、増加して、測定時に実際は深刻な圧力不足である場合にそのタイヤが適切に加圧されていることを示すかもしれない。空気圧不足のタイヤは、適切に空気注入されているタイヤに比べて、所定の動作条件下で激しく働く。
【0126】
本発明は、組合せ気体法則(シャルルの法則とボイルの法則との両方)を使用することによって、現在の(動作時の)如何なるタイヤの空気圧及び温度に対しても、測定されるべきタイヤ10の周囲の(常温の)等価圧力を可能にする。測定タイヤ空気圧が十分である様に思えても、計算された常温タイヤ空気圧が現在の測定温度に対してタイヤ内の不十分な圧力を示すかもしれないので、このことは重要である。従って、本発明は、現在の(動作時の)タイヤの温度及び空気圧を使用することによって、周囲の(常温の)等価タイヤ空気圧を決定する。
【0127】
タイヤの等価常温充填圧力を決定する本発明の方法は、米国特許第6,025,777号に開示されている予測方法とは異なる。この米国特許の第10欄第8〜21行に記載されている例は、将来の圧力の「予測」を示しており、将来の必要性に基づくタイヤ空気圧の予備調整を可能にしている。この米国特許は、予め決められている基準に基づく現在の実際の圧力を決定していない。更に、この米国特許は、この目的のために、組合せ気体法則を使用していない。それとは違って、本発明は、組合せ気体法則を使用して周囲の温度における対応常温圧力を計算するために、現在の(動作時の)圧力及び温度を使用する。
【0128】
タイヤが上述の働きに耐えてその働きの経過中に昇温するので、上述の単純化された式によって支配されている通りにそのタイヤの空気圧が上昇する。タイヤの空気室の温度及び空気圧が二つの異なる時点t1、t2で測定されると、それらの温度及び圧力の対応値は次の式で関係付けられるはずである。
k1=k2=T1/P1=T2/P2
ここで、P1=時刻t1における圧力(タイヤ製造者によって明示されている常温充填基準圧力)(SI単位で)
P2=時刻t2における圧力(現在の動作時圧力)(SI単位で)
T1=時刻t1における温度(常温充填基準温度−20℃)
T2=時刻t2における温度(現在の動作時温度)(℃で)
である。
【0129】
更に、時刻t2において温度及びタイヤ空気圧が測定され、時刻t1における温度が既知であれば、時刻t1における圧力は容易に計算され得る。更に一段階進んで、時刻t1は当該タイヤが周囲の温度(説明のために20℃であるとする)で最初に空気注入された時刻であり、且つ、時刻t2における温度及び空気圧が任意の何らかの期間の間供用されていた後のそのタイヤの運転状態を表していれば、等価常温充填タイヤ空気圧(この場合はP1)は上述の式から計算され得る。この値は、その後、そのタイヤが適切に空気注入されているか否かを決定するためにそのタイヤ用にタイヤ製造者によって明示されている目標常温充填タイヤ空気圧と比較され得る。
【0130】
実際には、今日では、手持形圧力計を使用して、供用中のタイヤの動作時タイヤ空気圧を容易に測定することができる。しかし、そのタイヤの内部空気室の温度も知らなければ、そのタイヤの等価常温充填タイヤ空気圧について推測することができるだけである。空気室温度をも測定するために、弁棒を通してタイヤ室内へ熱電対プローブを挿入することの様な種々の手段が用いられてよい。しかし、その様な測定は、測定を行うために車両が安全な位置に停止していなければならないので、時間及び人手を必要としてその車両の供用時間を減じる。
【0131】
今日の殆どの場合には、動作時タイヤ空気圧測定のみが行われて、特定のタイヤが点検修理を必要としているか否かを決定するために一定の推定または比較が行われる。しかし、下記の例が示すことができる様に、この様にして取得されたデータは、等価常温充填タイヤ空気圧についての推定に誤解を生じさせていることがある。
【0132】
共に最初は100psiの目標常温充填タイヤ空気圧まで空気注入されており且つこれらの測定が同じ較正圧力計を使用して20℃で行われている同じ車両の二つのタイヤの動作を考察する。その車両を供用して、あるかなりの期間(多分3日)後にその同じ較正圧力計で動作時タイヤ空気圧を測定する。典型的な結果は、両方のタイヤが117psiという動作時タイヤ空気圧を示すということになる。両方のタイヤがその同じ動作時タイヤ空気圧を示し且つタイヤ温度情報が知られていないので、下記の事項が推定されるはずである。
両方のタイヤが同じ温度まで昇温した。
その温度上昇が上記に示されている式に従って圧力応答を作り出した。
両方のタイヤに対する等価常温充填タイヤ空気圧は依然として100psiである。
【0133】
両方のタイヤが空気損失に起因して等価常温充填タイヤ空気圧における同じ変化を経験することはありそうもなく、しかも、両方のタイヤが同じ車両に装着されているという事実のためにこれら両方のタイヤが同様に供用されているので、このことは合理的な推定である。これらのタイヤは多分それ以上の注意もなく供用されたままであろう。
【0134】
実際、その状況は非常にゆゆしい。第一のタイヤは、上記の推定に一致して、記載されている動作環境にとって完全に正常な状態である100psiという等価常温充填タイヤ空気圧と約65℃という対応タイヤ室温度とを有しているかもしれない。しかし、第二のタイヤには、実際には、タイヤから幾らかの空気が抜き取られるパンクがあるかもしれない。第二のタイヤからは幾らかの空気が抜き取られているので、この第二のタイヤは、圧力不足であり、今ではより多く働いており、約97℃の温度まで空気室を加熱した。この高い温度は(上記の式の通りに)より高い圧力を引き起こすので、動作時タイヤ空気圧の読取は実際には117psiである。しかし、97℃と117psiという動作時タイヤ空気圧との組合せは、90psi以下という等価常温充填タイヤ空気圧を生じさせる。
【0135】
このタイヤは、今では少なくとも10psiの空気圧不足であり、この実際の空気圧不足のためにゴムが焼けてそのタイヤが破損しそうなほど高温かもしれない。しかし、タイヤ空気室温度を知らなければ、この情報は得られず、そのタイヤは何らの注意も受けることなく供用されたままにされるかもしれない。
【0136】
実際の動作時タイヤ空気圧及び実際のタイヤ室温度を知ることによって、等価常温充填タイヤ空気圧が容易に計算されることができ、空気圧不足である様な点検修理の必要なタイヤは即時に注意を払われることができる。その時、点検修理の必要のないその他のタイヤは、日常の目視検査以外の注意を払われない様にできる。この様にして、問題のあるタイヤにのみタイヤの点検修理が向けられることができて、点検修理の効率が達成され得る。更に、空気漏れの様な問題の早期識別は、タイヤに対する更なる損傷と、新しいタイヤ、点検修理時間、設備の損傷、設備の無駄な利用、潜在的な二次的損傷または負傷の様な関連コストとをもしかすると削除することができる、即時の点検修理に通じることができる。これらの利益の総てが、動作時タイヤ空気圧と実際のタイヤ室温度とを報告するこのETMS(タイヤタグシステム)によって提供され得る。これらの報告は運転者の何らの介在もなしに自動的に提供され、等価常温充填タイヤ空気圧の計算が評価用に利用可能になる。このETMSシステムは、計算された等価常温充填タイヤ空気圧を既知の目標常温充填タイヤ空気圧と即時に比較することもでき、特定のタイヤに対する注意または点検修理の必要性に要員を自動的に気付かせる。
【0137】
図21〜23は、常温充填タイヤ空気圧の計算を試行することの問題を示す実際のタイヤ測定からのデータを示しているグラフである。例えば、三つのグラフ総てにおけるLFfffc17タイヤ(左前)を表しているデータを考える。なお、図22における報告された動作時圧力は、ほぼ111psiと117psiの間である。これは満足な動作時圧力である。しかし、図23における左前タイヤ用の報告された動作時温度は、非常に高くて約160°Fと180°Fとの間である。図23のグラフは、そのタイヤの計算された常温タイヤ空気圧が、そのタイヤで問題が生じたことを示す不満足な状態である91psiと94psiとの間であることを示している。
【0138】
B.蒸気圧補正
更に、本発明は、測定されたタイヤ空気圧をタイヤ内の蒸気圧に従って補正することによって、タイヤ蒸気圧を補償する。タイヤ内の流体上で収集された気体の圧力を得るために、その流体の分圧が考慮されなければならない。液体が液体から気体状態へ変化する時にその液体が圧力を及ぼすことを、物理学は示している。この圧力は「蒸気圧」として知られている。通常は、これは、タイヤ内における液体冷却製品の使用を除いて、ETMSの圧力測定にとって要因ではない。これらの製品は殆どが水を含んでおり、十分な量の冷媒がタイヤに加えられていてそのタイヤの最高動作温度で存在する液体が常に存在していると思われる。これらの推定を仮定すれば、冷媒が使用されていれば、ETMSシステムはタイヤの温度に基づいて水蒸気圧を補正する。冷媒の使用は、使用されるべき補正用のデータベース内で示されていなければならない。
【0139】
蒸気圧は測定されたタイヤ空気圧を増加させる。この追加的な測定圧力を補正するために、計算された蒸気圧寄与が、測定された圧力から減じられる。この蒸気圧は次の式を使用して計算される。
PVP=(2.4×10-6)*e[0.0433(Temp+273)] (SI単位で)
【0140】
水、Tire Life、またはその他の公知の液体の様な流体の分圧は、各々の流体用の周知の表から得られ得る。その表は、所定の増分の気体温度と各々の所定温度増分に対する対応分圧とを含んでいる。適切な表からの適切な値でマイクロコンピュータ200をプログラミングすることによって、タグ14またはRT30は上述の様な周知の方法でタイヤ10内の蒸気圧を補正することができる。
【0141】
C.標高圧力補正
更に、周囲の(常温)タイヤ空気圧が高度と共に変化するので、本システムは、タイヤが使用されている位置の標高に周囲の(常温)圧力がどの程度基づくべきかを計算することができる。この圧力補償は、より正確な結果圧力の読取を提供するために実行される。このETMSシステムは圧力を絶対圧力として測定する。この情報は、そのシステムの位置に関連する形式で示される必要がある。つまり、その報告された計器圧力は、その位置で測定された圧力と一致しなければならない。このETMSシステムによって測定された絶対圧力は、その位置の標高に基づいて計器圧力へ変換されなければならない。この変換は、その位置における大気圧を絶対圧力から減じることよって行われる。大気圧は次の式を使用することによって計算される。
Patmos=(6.6×10-9)*(標高2)
−0.00053*標高+14.69 (SI単位で)
【0142】
一つの実施形態では、タグ14はタイヤの絶対常温圧力を与え、標高が既知であれば、この絶対常温圧力はその位置の標高を相殺するために補正され得る。
【0143】
本発明の追加的説明
上述の様に、タグ14は幾つかの動作モードを有している。一つの実施形態では、タグは、ヌル値に備えて探索モードカウンタをサンプリングすることによって、探索モードへ入るべき時であるか否かを決定するために、深い休眠モードから意識清明休眠モードへ周期的に覚醒する。探索モードカウンタがオールゼロを含んでいれば、タグ14は探索モードへ入る。探索モード中では、タグ14は、(1)感知器測定を受け取って記憶し、(2)順方向リンクパケットらしきものの存在を調べる、という少なくとも二つの独立機能を実行する。受信された送信がFLPらしいことを予備識別が示せば、タグ14は、そのFLPが有効であることを確認する呼掛モードへ入り、そのFLPが有効であれば、それに応答する。有効なFLPを読み取る処理は、その呼掛が完了するまで続く。その後、タグ14は深い休眠モードへ戻る。
【0144】
タグ14がRT30の範囲内でなければ、RT呼掛への応答は明らかに存在しない。しかし、タグ14がRT30の視界内へ来れば、特定のタグ14を検出及び識別する一つの方法は特有の逐次近似ルーチン(SAR)アルゴリズムを使用することである。このアルゴリズムは、(特有のタグシリアル番号及び/または特有のタイヤ識別番号の様な)識別番号によってタグを識別する。特定のタグ14を識別するもう一つの方法は、機能的ID(FID)番号及び/または一時的ID番号を使用することである。FIDによる識別は、速い取得が要求されており且つ圧力及び温度の様な通例のタイヤ位置及び簡単なタイヤパラメータの読取以上の情報が必要でない場合に使用されるべきである。
【0145】
一つの実施形態では、タグ14は、工場で符号化された(各々のタグに特有の)そのシリアル番号、(タグ及び車両上のその位置を識別する(一般に、0と63との間の)短い番号である)そのFID番号、または(特定の呼掛セッション中にのみタグを識別する短い番号である)一時的ID番号によって識別され得る。SAR処理は、タグをその特有のID(例えば、そのシリアル番号)によって識別するために使用される。タグの特有のIDは、捕捉するのにもっと長くかかってもよいが、機能的ID番号よりも多目的に使用できる。24ビットのタグシリアル番号を使用すれば、16000000個超の特有のタグが識別され得る。
【0146】
特有の逐次近似ルーチン(SAR)の一つの実施形態が、図24、25に示されている流れ図に図示されている。RT30は、RTアンテナ28の視界内へ移動しているタイヤ10に装着されているタグ14から読取を行う。SAR処理は、特定のタグを識別するのに必要とされる時間を短縮し、通信処理を速め、特定のタグ14からデータを読み取ることを促進し、エネルギーを大事に使う。
【0147】
図24、25の実施形態では、各々のタグ14は3バイトの整数(24ビット)のタグ識別番号で識別されている(従って、16000000個超のタグが各々特有のタグシリアル番号を有することができる)。これらのシリアル番号は逐次近似ルーチン(SAR)を使用して読み取られている。指令及び応答アルゴリズムは、RT30が最高で24指令周期以内に特有のタグシリアル番号に目標を合わせることを可能にする方法で、総ての見渡し可能なタグの各々のビットに呼び掛ける。指令周期は、一つのFLP指令信号をタグへ送信し且つ一つのRLP応答を受信することとして規定されている。このアルゴリズムは、一定数のビットを有するマスク比較器値を特定のタグのシリアル番号と比較することによって、(多数のタイヤタグの中で)未知のタグシリアル番号を識別するために使用され得る。このSARアルゴリズムは、マスク比較器値のもう一つのビットをあらわにするために、マスク値を一ずつ順次に増加させることを含んでいる。修正されたマスク比較器値は、その後、タグのシリアル番号と、一致するまで比較される。タグ14は、一致を検出すると、そのFLP指令信号に応答する。一つの実施形態では、比較器値は24ビットであり、マスク値は5ビットである。
【0148】
タイヤタグ14の立場からSAR論理を示している流れ図が、図24に示されている。タグマイクロ制御装置84は、RTから受信された比較器値(例えば、十六進数の10)(ブロック400)とそのタグの特有のタグシリアル番号(例えば、十六進数の12)(ブロック402)との間で、論理XOR動作を実行する。この論理XORの結果がブロック404に与えられている。ブロック404内の結果とRTから受信されたマスク番号(例えば、十六進数の01)(ブロック406)との間で、論理AND動作が実行される。論理ANDの結果がゼロであれば(ブロック408)、比較器値はタグシリアル番号と一致した。従って、RTが正しいタグを捕捉したことを確認するために、タグ14はそのシリアル番号で応答する(ブロック410)。ブロック412で、論理ANDの結果が(この例の場合の様に)ゼロでなければ、その処理が続かなければならない。従って、タグ14は応答しない(ブロック414)。
【0149】
RTの立場からSAR捕捉処理を示している流れ図が、図25に示されている。最初に、総てのマスクビットが論理ゼロに設定され、タグ視界内フラグが偽に設定される(ブロック420)。SAR指令がその後に送信される(ブロック422)。総てのマスクビットが論理ゼロであれば、送信される比較器値はオールゼロである。このヌル指令を送信することは、RT30の範囲内の総てのタグ14に応答すべきことを命令している。
【0150】
RT30は、その後、何れかのタグが範囲内にあるか否かを決定するために、戻りリンクチャネル上のRSSレベルを監視する(ブロック450)。一つ以上のタグ14がRT30の範囲内であることをRSSのレベルが示していれば、タグ視界内フラグが真に設定される(ブロック452)。RT30はその後にマスク値を一だけ増加させる(ブロック446)(つまり、比較器値の第一ビットがあらわにされる)。ブロック448で、マスク値が24よりも大きいか否かをRT30が決定する。マスク値が24を超えていなければ、修正された比較器値を含むもう一つのSAR指令をRT30が送信し(ブロック422)、タグが応答するまでかまたはマスク値が24に等しくなる(つまり、全24ビットの比較器値が送信される)までこの処理が続く。マスク値が24よりも大きければ、RTは後述の様にタグ取得確認が実行されるブロック426へ進む。
【0151】
あるいは、RT30が一つのタグから良好な応答を受信すれば(ブロック424)、RTはそのタグを捕捉した。良好な応答とは、良好なRSSと良好なCRCとを有する戻りリンク信号のことである。正しいタグをRTが捕捉したことを確認するために、比較器値がタグ14からの応答値(つまり、そのシリアル番号)に等しく設定され且つマスク値が24の全マスク値に等しく設定される(ブロック426)。マスク値を24に設定することは、全24ビットの応答値がタグ14へ送られることを可能にする。RT30は、そのタグ14との更なる通信を簡単化するためにそのタグに割り当てるための一時的ID番号も選択する。その後、RT30は、(応答値に等しい)マスクされていない比較器値とその一時的ID番号とを含むSAR指令をタグ14へ送信する(ブロック428)。タグ14からの良好な応答をRT30が受信すれば(ブロック430)、シリアル番号捕捉は完了する(ブロック432)。応答がないかまたはSAR指令に対する欠陥応答があれば(ブロック434)、シリアル番号捕捉は失敗した(ブロック436)。
【0152】
あるいは、戻りリンク応答がないかもしれず(ブロック438)、そのことは、現在のマスク値に一致するタグがRT30の範囲内にないことを示している。その後、RT30は、視界内フラグが設定されているか否かを決定する(ブロック442)。視界内フラグが設定されていなければ、RT30は新しいSAR指令を開始する(ブロック420)。そうではなく、視界内フラグが設定されていれば、RT30はブロック444で視界内フラグをクリアしてブロック446へ続く。ブロック446では、マスク値が一だけ増加させられる。ブロック448では、RT30はマスク値が24よりも大きいか否かを決定する。マスク値が24よりも大きくなければ、RT30はもう一つのSAR指令を送信し(ブロック422)、タグが応答するまでかまたはマスク値が24に等しくなる(つまり、全24ビットの比較器値が送信される)までこの処理が続く。マスク値が24よりも大きければ、RTはブロック426へ進み、このブロック426では上述の様に比較器値がタグ14からの応答値に等しくされ且つ一時的ID番号が割り当てられる。
【0153】
一時的IDが上述されているが、RT30は、全タグシリアル番号、機能的ID、一時的ID、またはその他の何らかの特有の識別子を使用することによって通信するために、特定のタグを選択することができる。
【0154】
図15を参照すると、RP32は、RT30A、30Bから受信された情報を収集して、RT30A、30Bへ指令を出すためのスケジューラ33を動かす。スケジューラ33は、RTの一つによって送信されるべき指令のスケジュールを作り出す。例えば、RT30A、30Bの一つによって特定のタイヤタグ14が捕捉されていれば、そのタイヤタグ14へ一時的ID番号を送信することを一つの指令がRT30に命令すべきかもしれない。そのような決定はRP32によって行われる。データは、一つの実施形態では2.45GHzの拡散スペクトルモデムである無線モデム42の様な通信チャネルによって送信されるが、通信チャネルは無線モデム42に限定されない。このデータは、野外支援コンピュータ(FSC)48に結合されている相補モデム46へ送信される。一つの実施形態では、RT30A及び/またはRP32が、選択されたタグ群の中から、特定のタグ14からの信号を識別することができる様に、一時的IDがその特定のタグ14に割り当てられる。一時的IDが割り当てられていると、タグ14は、(1)その一時的ID、(2)その特有のID(例えば、タグシリアル番号)、または(3)機能的ID、を明確に識別する指令にのみ応答する。これらの識別番号はタグ群内の特定のタグを識別する。タグ14はFLPの範囲内にある間は捕捉されたままである。タグ14が範囲外になると、タグ14は予め決められている期間の後に(例えば、範囲外カウンタがゼロに達した後に)休眠する。あるいは、RT30は、一般に、呼掛モードが完了すると深い休眠モードへ入る様にタグ14に指令する。
【0155】
タグ14が明確に識別され(捕捉され)て例えば一時的IDを与えられれば、RT30は一定のデータ(例えば、選択された記憶装置位置の内容)を要求する指令信号を送信することによってタグ14に呼び掛ける。このデータは、最新の圧力読取及び温度読取、タイヤタグのホイール位置、車両番号、タグシリアル番号、閾タイヤ空気圧値、閾タイヤ温度値、ユーザ定義データ、並びにm=利得及びb=オフセット値として式y=mx+bを解くために使用され得る感知器用の較正係数(この較正データは生の感知器データを調整するために使用される)を含んでいてよい。このデータは、RT30によって受信され、RP32へ転送され、野外支援コンピュータ48及び/または遠隔サーバ50へ供給される。
【0156】
一つの実施形態では、タグ14及び読取機/送受信機(RT)30は、特定の指令/応答通信規約に従ってそれらの受信/送信機能を実行する。RT30とタグ14との間で通信するための基本的な手段は、タグ記憶装置16への及びタグ記憶装置16からの読取及び/または書込から成っている。温度、圧力、及び較正係数の様な特定の情報へのアクセスのために、予め定義されているデータ構造がタグ記憶装置内の戦略的位置を規定する。タグ記憶装置16も、タグ14の機能的動作を定義するソフトウェアコードを記憶している。
【0157】
要求された総てのタグデータをRT30Aが首尾よく取得していると、タグ14を深い休眠モードに置く指令信号をRT30Aが一般に出す。一つの実施形態では、深い休眠モードは約30秒間続く様に設計されている。この持続期間はタグ14が再覚醒した時にこのタイヤタグがRT30の視界外にあることを確実にし、従って、同じタイヤタグの過誤重複読取を防止する。しかし、種々の環境ではもっと長いまたはもっと短い深い休眠モードが望ましいことが分かる。更に、同じタイヤタグの過誤重複読取は、特定のタイヤタグからのデータをそのタイヤタグのシリアル番号と関係付けることによって削除され得る。しかし、タグ14を約30秒間休眠させることは、同じタグ14の重複読取を防止するための簡単な方法である。最初のタグ14が深い休眠モードに置かれると、同じ車両12上のタイヤかもしれない次のタグ14をシステムがその後に読む。
【0158】
休眠モードの一つの実施形態が図17に示されている。タグ14は予め決められている期間(例えば、約600ms)の間深い休眠モードにある。その後、タグ14は、探索モードへ入るべき時であるか否かを決定するために、数ミリ秒の間意識清明休眠モードへ覚醒し、探索モードへ入るべき時でなければ、タグ14は深い休眠モードを再び始める。どこかの時点で、タグ14は探索モード(低速クロックを動かしている)へ入る。タグ14が探索モードに留まっている時間は、感知器が読み取られるべきであるか否か及び受信された送信がFLPらしいか否かを含む幾つかの変数に依存する。FLPらしきものが検出されると、呼掛モード(高速クロックを動かしている)中でそのFLPらしきものが読み取られて確認される。タグ14が呼掛モードにある時間も、幾つかの変数に依存する。最後に記憶された感知器の読取を報告するために、タグ14は約100ms間だけオンになっている必要があってもよい。それと対照してみると、タグ履歴データをダウンロードすることは、タグ14が約20秒間オンになっていることを必要とするかもしれない。種々のモードの持続期間はタグ14のプログラム可能な機構である。上記の時間は種々のモードの持続期間の単なる説明例である。これらの時間は、具体的な応用に依存してもっと長かったりもっと短かったりしてもよい。
【0159】
再び図20を参照すると、探索モード処理がもっと詳細に記載されている。タグ14は、内部フラグをクリアすること、内部レジスタ及び/またはカウンタを初期化すること、及び外部ハードウェア機能をそれらのオフ状態へ初期化することによって、短縮された再設定処理を最初に実行する。その後、タグ14は、感知器を読み取るべき時であるか否かを決定し、感知器を読み取るべき時であれば、感知器データを読み取って記憶する。その後、タグはASK受信機224をオンにして予備識別探索機能を使用可能にする(つまり、ASK受信機は順方向リンクパケットらしき送信を探し始める)。一つの実施形態では、タグ14は固定期間、一般に25msの間、順方向リンクパケットを探す。この時間中、タグ14は、FLPを示す一定数の遷移(一般に25msの間に71遷移)を有する送信を探している。FLPらしきものが検出されれば、タグ14は呼掛モードへ入る。しかし、FLPらしきものの存在を予備識別が示さなければ、タグ14は自律送信(AT)を実行すべき時であるか否かを決定し、自律送信を実行すべき時でなければ、プログラム可能な期間(一般に600ms)の間の深い休眠モードへ戻る。種々のモードの持続期間は、具体的な応用に依存して調整されてよいタグ14のプログラム可能な機構である。結局、タグ14は探索モードへ再覚醒して予備識別を再び実行する。この処理はタグ14がFLPらしきものを検出するまで繰り返され、タグ14がFLPらしきものを検出した時にタグは呼掛モードへ入る。再び、覚醒期間、休眠モードの持続期間、及び(感知器測定及び自律送信の様な)間隔は、総てユーザによってプログラム可能である。
【0160】
タグ14からのデータは、ユーザによるデータ入力用のキーボードとユーザへのデータ出力用の表示装置とを含む野外支援コンピュータ48を経由して、アクセスされ得る。その表示装置は、タイヤの圧力、タイヤの温度、較正係数、圧力及び温度の履歴、タグ識別番号、タイヤ位置等のタグデータをユーザに提供する。このデータは、野外支援コンピュータ48にダウンロードされて保管され得る。周期的に、新しいデータファイルが作り出されることができ、保管されているタグデータが遠隔サーバ50へダウンロードされることができる。遠隔サーバ50は、遠隔ユーザにタイヤデータを提供し、そのユーザが特定のタグを特定の車両タイヤと関係付け、特定のタグにタイヤ位置を割り当て、または踏面深さや車両タイプ等の様なその他のユーザ定義データを入力することを可能にするために、システムにウェブインタフェースを提供することもできる。
【0161】
図15に示されている実施形態は野外支援コンピュータ48がモデム42、46を経由して読取機処理装置32と通信していることを示しているが、これらの部品(つまり、FSC48及びRP32)は単一の装置または大きな距離で分離されている装置であってもよい。部品の配置は、システムの要求よりもむしろこれらの部品が使用される実施によって決められる。ETMSと共に使用可能な種々の部品のもう一つの概要である図18によって示されている様に、種々のオプションが提供され得る。
【0162】
更に、上述の様に、RP32、野外支援コンピュータ48、及び遠隔サーバ50は、二つ以上の別個のコンピュータ、異なる仮想装置に区分されているコンピュータ、または二つの部品として作動すると共に第三の部品として作動する第二のコンピュータに接続されている一つの仮想装置であってよい。更に、要求/応答通信規約(例えば、遠隔サーバがRP32からのデータを要求する)を使用して、または押しつけ通信規約(例えば、データが遠隔サーバ50によって要求されていなくても、RP32がその様なデータを遠隔サーバ50へ周期的に送信する)を使用して、これらの部品間でデータが送信され得る。
【0163】
図26〜36は、ユーザがタイヤデータにアクセスし且つ一定のタグパラメータを設定することができる方法を示すウェブブラウザ画面の画面ショットを示している。図26は、特定のタグ、日付及び時刻、並びにタグの現在状況(正常、警戒、または警報)を識別する状況画面を示している。警戒は許容範囲外の最初のレベルであり、警報は許容範囲からひどく離れている。図27は、記憶されている温度、測定された圧力、及び車両の前部における二つのタグ用の表示時刻における計算された常温圧力読取を示している。
【0164】
語句「現在」の使用は、本明細書では、タイヤ周囲の(常温)圧力または温度と対照的に、タイヤの現在の(測定された)動作時温度または圧力を示している。図28は、車両"Temp Vehicle"の左前部(LF)における特定のタグ(SN16776728)についての、一定の期間における、現在の温度データ(Temperature)、計算された常温充填圧力データ(Cold-fill)、及び現在の計器圧力データ(Gauge)を含む履歴データを示している。図29は、一定の期間における常温充填圧力データ及び現在の温度データを含むタグデータのグラフ表示装置を示している。
【0165】
図30は、車両名称、製造者、モデル、状況(オンラインまたはオフライン)、及び状態(関連する車両タイヤの何れかが警報状態にあるか否か)を含む、具体的な車両についてのタグ情報を示している。図31は、具体的なタイヤと関連するタグ情報を示している。この画面は、(タイヤ商標番号、タイヤシリアル番号、及びタグシリアル番号を含む)名称、製造者、モデル、車両上のタイヤの位置、タイヤの寸法、状況、及び状態の様な一定のタグデータをユーザが編集することを可能にする。
【0166】
図32は、(ユーザの位置、名称、電話番号等を含む)そのタイヤタグのユーザと、最後のログイン、失敗したログイン試行の数、容認されるログイン試行の最高数、及びアカウントが使用禁止にされているか否かの様なログイン情報とを、確認するユーザ概要を示している。これらのパラメータは、適切なパスワードを有するユーザによって編集され得る。図33は、システムに関する疑問についてユーザが電子メール経由でタグ製造者に連絡することができる方法を示している。
【0167】
図34は、認可されたユーザが、例えば特定の車両上の特定のタイヤに特定のタグを割り当てるために車両データを編集し、そのタイヤの製造者及びモデル番号を識別し、特定の車両に車両識別番号(VIN)を割り当てること等を行うことができる方法を示している。図35は、認可されたユーザが、例えば、タイヤシリアル番号、タイヤ商標、圧力閾値、タイヤ位置、そのタイヤがその車両に装着されている時間、及びそのタイヤが使用されてきた全時間数を入力するために、タイヤデータを編集することを可能にするもう一つの画面を示している。この画面は、編集されているそのタイヤに特定のタグをそのユーザが割り当てることをも可能にしている。図36は、タグシリアル番号と温度及び空気圧警報閾値とを入力することによって、認可されたユーザが新しいタグを作り出す(プログラムする)ことを可能にしている。
【0168】
図37は、本発明の一つの実施形態による受信/送信通信規約の概要を示している。最も一般的なRT指令は、タグに対するデータの読取または書込に関係している(ブロック300)。任意的な機構は、一時的ID、機能的ID及び/または特有のタグIDによって個々のタグを識別すること(ブロック302)と、呼掛モードが完了すると深い休眠モードへ入るべきことをタグ14に指令することによってタグとの通信を終了させること(ブロック304)と、を含んでいる。呼掛モードは、(1)深い休眠モードへ入るべきことをRT30がタグに指令した時、(2)高速カウンタが満了した時、または(3)範囲外カウンタが満了した時、に完了する。
【0169】
図38は、FLP310及びRLP312のタイミングを示している。図示されている様に、これらのパケットは半二重方式でインタリーブされている。RT30は、FLP310を送信し、その後、次のFLP310を送信する前に応答のRLP312を得るために規定の期間待つ。この規定の期間はRLPの持続期間よりも長い。一つの実施形態では、図40に示されている様に、FLPの持続期間は7.33msであり、FLP間の期間は2.7msであり、RLPの持続期間は1.3msである。RT30はこの方式で連続的に送信及び受信する。図38を参照すると、四つの時間仕様が存在している。T1及びT2はRTからのFLPに関係しており、T3及びT4はタグ14からのRLPに関係している。
【0170】
時間T1はあるFLPと次のFLPとの間の順方向リンク沈黙時間(つまり、RT30が送信していない時間)を表している。この時間の間、RT30は、タグ14からのRLP応答を待っているか、またはアイドルモードにある。一つの実施形態では、この期間は2.7msである。時間T1の持続期間はプログラム可能である。
【0171】
時間T2はRT30からの順方向リンクパケットの持続期間を表している。期間T2はRT30によって制御される。一つの実施形態では、この期間は15.8msである。時間T2の持続期間はプログラム可能である。
【0172】
時間T3はRLPの最後と次のFLPとの間のアイドル時間を表している(つまり、時間T3はタグ応答の最後と次のRT送信の最初との間の時間を表している)。一つの実施形態では、この期間は0.7msである。時間T3の持続期間はプログラム可能である。
【0173】
時間T4はタグ14からのRLP応答の持続期間を表している。期間T4はタグ14によって制御される。一つの実施形態では、この期間は1.33msである。時間T4の持続期間はプログラム可能である。
【0174】
正常な動作モード中では、ETMS用の無線通信規約は指令/応答構成を使用する。RT30は、周期的間隔で順方向リンクパケット(FLP)を送信し、FLP同士の間の規定時間でタイヤタグ14からの戻りリンクパケット(RLP)を受信する。RT30は、既知の位置にあるかまたは特定の時間に(範囲内に)存在しているタグ14に依存することができない。固定ゲート読取機の場合には、タグ14は通常はRT30の範囲内に存在していない。作業場所と固定ゲート読取機の位置とに依存して、タグは一時間に2回から一日に一回かまたはそれよりも少なくRT30の範囲内にあるだけでよい。タグがRT30の範囲内にある時間は、数秒程度に短くても数時間程度に長くてもよい。これらの不確実さのために、タグ14がRT30からのFLP指令を聞き損ねない様に、タグ14は頻繁に覚醒して十分に長くそのままでいなければならない。
【0175】
探索モード中では、タグ14は、低速クロック(例えば、37KHz)を使用し、FLPらしき送信を探索する。タグ14は、一般に、毎時数千回、探索モード動作を実行する。このため、探索モードはタグの電池電力を最も多く消費する。探索モードの間、タグ14は予備識別を実行する(つまり、タグ14はFLPを示す一定数の遷移を有する送信を探索する)。FLPを示す送信の検出と同時に、タグは、呼掛モードへ入り、高速クロック(例えば、4MHz)を始動させ、有効なFLPの存在を確認して、それに応答する。
【0176】
一つの実施形態では、FLPデータ及びRLPデータはマンチェスター符号化されており、このことは、全データビットに遷移が存在していることを意味している。その様な符号化は、タグ受信機が波形からクロックを確立するのに役立つ。更に、その様な符号化は、タグ14が、送信がFLPらしいか否かを決定する(つまり、予備識別を実行する)ために、規定の間隔の間に一定数の遷移を検出することを可能にする。マンチェスター符号化の線図は図39に見ることができる。
【0177】
図40に示されている様に、FLPは、RT30からタグ14へのパケットとして規定されており、短いプリアンブルを有している。一つの実施形態では、プリアンブルは、論理0の六ビットを含んでおり、論理1で終わっている。波形内における論理0から論理1への遷移は、後続のビットがデータであることをタグ14に合図している。FLPは7.5Kbpsで送信される。一つの実施形態では、FLPの形式は次の通りである。
プリアンブル=7ビット(0.93ms)
データ=32ビット(4.27ms)
巡回冗長検査(CRC)=16ビット(2.13ms)
ポストアンブル=72ビット(8.47ms)
FLP送信用の合計時間=15.8ms
【0178】
CRCはFLP内のデータを確認する一つの方法である。その他の方法は、奇偶検査ビットや検査合計等の使用を含んでいる。正しいCRCを有するFLPは有効なパケットである。有効なFLPのデータ含有量は、そのタグが応答を必要としているか否かを明示している。RLPはタグ14からRT30への送信として規定されている。RLPの形式はFLPに類似しているが、RLPはFLPよりも速い速度で送信される。一つの実施形態では、RLPはFLPよりも8倍速い60Kbpsで送信される。RLPの形式は次の通りである。
プリアンブル=32ビット(533μs)
データ 32ビット(533μs)
CRC 16ビット(267μs)
RLP送信用の合計時間=1.33ms
【0179】
FLP及びRLPのタイミングは、図40、41のタイミング線図に示されている。一つの実施形態では、タグ14はRLPを送信する前に準備をしなければならない。例えば、送信機232の位相同期回路(PLL)は、規定の戻りリンクチャネルをロックするのに7ms程度かかる。FLPにポストアンブルがなければ、その場合にはタグは自分が応答しなければならないことを知っており、FLPにおけるCRCの最後とRLPの最初との間の時間は、図41に示されている様に1msに過ぎない。この時間は、PLLが戻りリンクチャネルをロックすることを可能にするのに十分な時間ではない。一つのオプションは、たとえタグが応答する必要がなくても、有効なFLPが存在している場合は常にPLLをオンにすることである。もう一つのオプションはFLPとRLPとの間のオフ時間を延長することであるが、その場合は、FLPが検出されることを確実にするために、タグ受信機224は覚醒期間よりももっと長い間オンのままでいなければならない。このことは、電池の使用を増加させ、タグ14の寿命を縮める。
【0180】
従って、より良いオプションは、図40に示されている様にFLP送信にポストアンブルを付加することである。その場合、タグ14はFLPのデータ部を読み取り、応答が要求されていれば、PLLをオンさせ、その後にCRCを確認し、CRCに問題がなければ続行することができる。そうではなく、CRCに問題があるとタグ14が決定すれば、タグ14はPLLをオフすることができる。CRCを確認する前にデータを読み取ることは、FLPの残部(CRC及びポストアンブル)が受信されて読み取られている間はPLLが落ち着くことを可能にする。タグ14はFLPの一部を調べた後にしかPLLを使用可能にしないので、タグのPLLがオンである時間が最小限にされる。従って、この方式のパケットインタリーブは、(固定ゲート読取機の場合には長期間になり得る)応答を要求している無効のFLPが存在している場合にPLLがオンである時間を最小限にすることによって、タグの電池電力を保存する。
【0181】
従って、一つの実施形態では、FLPは、電池消費を最小限にする方法を提供するポストアンブルを含んでいる。図40のタイミング線図は、(プリアンブル及びポストアンブルを含んでいる)FLPとRLPとのタイミングを示している。ポストアンブルが7ビットの代わりに72ビットで構成されていることを除いて、ポストアンブルはFLPのプリアンブルと同じ形式を有している。プリアンブルと同様に、ポストアンブルも一で終わるゼロのストリームである(つまり、ポストアンブルは71個のゼロを含んでいて一で終わっている)。論理ゼロから論理一への遷移はFLPの最後を意味している。(FLPのポストアンブルに起因する)FLPとRLPとの間の増加した時間は、戻りリンクチャネル上でPLLをロックさせるのに十分な時間をタグ14に与える。このことは、PLLをオンさせる様にタグ14がFLPによって明確に指令された後にのみ、タグ14がPLLをオンさせることを意味している。このことはPLLがオンである時間を減少させ、それによって、タグ14がFLPの存在下にある時に電池電力を節約する。ポストアンブルも、有効なFLPが存在していない時に受信機224がオンである時間を最小限にすることによって、電池電力を大事に使う。
【0182】
タグ14は、FLPらしきものを探索するために、時々受信機224をオンにしなければならない。FLPらしきものの存在を検出するためには、受信機224は、送信が少なくとも71個の遷移を含んでいるか否かを決定するために、ほぼ25ms間オンでなければならない。FLPはマンチェスター符号化されている(つまり、全データビットに遷移が存在している)ので、FLPはこの間隔の間に少なくとも71個の遷移を有する。ポストアンブルなしに同じパケット間タイミングが使用されると、受信機224は約50msの間電力を供給されている必要がある。従って、ポストアンブルの使用は、タグ受信機224によって使用される電力を50%だけ減少させる。図42は、種々の覚醒時間を有する三つのタグと、これらが総てFLPの存在を検出する方法とを示している。タグ14がFLPらしきものの存在を検出すると、タグ14は、その送信を読み取ってその送信がRT30からの有効なFLPであるか否かを確認するために、呼掛モードへ移行して受信機224をオンのままにしておく。
【0183】
上記の通信規約は、PLLを使用可能にする様に有効なFLPによって明確に指令された時にのみタグ14がPLLを使用可能にし、また、タグに受信機224をオンにさせ且つFLPの探索のために必要とされる最少時間をポストアンブルの使用が短縮させるので、電池電力を大事に使う。
【0184】
図43は、本発明の一つの実施形態に従うタイヤタグのファームウェアの機能と、それらの互いの関係とを示す流れ図である。タグのファームウェアの正常な処理の流れは、深い休眠から意識清明休眠へハードウェアによって始動させられる覚醒、初期化、感知器の処理、探索、自律送信、有効なFLPの呼掛及び処理、並びに深い休眠への復帰を含んでいる。これらの機能は正常処理中に使用される。これらの機能の各々は、下記にもっと詳細に説明されている。
【0185】
深い休眠はマイクロプロセッサのハードウェア機能である。一定のレジスタがが、予め決められている休眠時間の間監視タイマー(WDT)を構成する様に設定される。深い休眠モードの間、マイクロプロセッサは作動しておらず総てのクロックは停止されている。従って、深い休眠モード中では最少電力量しか消費されない。WDTが時間切れになると、マイクロプロセッサはその低速クロックモードで開始される。休眠からのこの最初の覚醒は意識清明休眠と呼ばれる。図44〜54は、図43に示されている機能の各々を示している詳細な流れ図である。
【0186】
図44は、本発明の一つの実施形態に従う意識清明休眠処理を示す流れ図である。タグ14は深い休眠から意識清明休眠へ直接に入る(ブロック480)。ブロック482で、タグ14はリセット信号の原因を決定する。その原因が電源オンリセット(POR)または予期されないWDTリセットであったとタグ14が決定すれば、タグ14は初期化へ進む(ブロック484)。そうではなく、その原因が予期された監視タイマ(WDT)リセットであれば、タグソフトウェアはブロック486へ進む。そこで、タグ14は深い休眠レジスタがオールゼロを含んでいるか否かを決定する。深い休眠レジスタがオールゼロを含んでいれば、タグ14は初期化へ進む(ブロック484)。そうではなく、深い休眠レジスタがオールゼロを含んでいなければ、タグは深い休眠レジスタを減少させて(ブロック488)深い休眠モードへ戻る(ブロック490)。
【0187】
図45は、本発明の一つの実施形態に従う初期化処理を示す流れ図である。この初期化処理は、休眠状態の終了に起因して(ブロック500)、予期されないWDTリセットに起因するか若しくは呼掛処理ループ中に遭遇される障害状態に起因して(ブロック502)、または電源オンリセット(POR)に起因して(ブロック504)、意識清明休眠処理から入られる。初期化処理が休眠処理の正常な終了から入られれば(ブロック500)、タグはブロック522へ進む。POR(ブロック504)は、電池がタグ14内に取り付けられる時に、正常に発生する。初期化処理がPORから入られていれば、診断及び状況バイトを含む全記憶装置がクリアされ、履歴データ保管ポインタがリセットされる(ブロック506)。初期化が障害状態に起因して入られていれば(ブロック502)、タグはブロック508で適切な診断状況エラービットをセットする。タグ14はその後にそのEEPROMから構成値を読み取る(ブロック510)。そのEEPROMのヘッダバイトが有効でなければ(ブロック512)、タグはブロック518へ進む。EEPROMのヘッダバイトが有効であれば、タグはそのEEPROM値を使用して初期化を行うブロック514へ進む。ブロック516では、タグは整合性検査を実行する。この整合性検査が問題なければ、タグはブロック522へ進む。そうではなく、EEPROMから読み込まれた値が整合性検査処理に落ちれば、タグは適切な診断状況エラービットをセットし(ブロック518)デフォルト値を使用してタグを構成する(ブロック520)。構成値が読み込まれると、総てのタイマ及びモードが初期化される(ブロック522)。その後、タグ14は感知器処理を続ける。
【0188】
図46、47は、本発明の一つの実施形態に従う感知器処理を示す流れ図を示している。タグ14は、感知器の読取が使用可能にされているか否かを最初に調べる(ブロック600)。感知器の読取が使用可能にされていなければ、タグ14は探索機能へ進む(ブロック618)。感知器の読取が使用可能にされていれば、タグ14は、感知器レジスタ(カウンタ)がゼロに等しいか否かを決定することによって(ブロック602)、感知器を読み取るべき時か否かを決める。感知器レジスタがゼロに等しくなければ、タグ14は感知器レジスタを減少させて(ブロック604)探索機能へ進む(ブロック618)。感知器レジスタがゼロに等しければ、タグ14は、感知器レジスタを再読込みし、感知器電源をオンにし、アナログ−デジタル変換器(A/D)の入力を温度感知器へ設定し、感知器を安定させるために遅延を始動させる(ブロック606)。遅延(ブロック608)の後に、タグ14はA/D入力から温度値を読み取りその後にA/D入力を圧力感知器へ設定する(ブロック610)。圧力感知器が安定させられている間に、タグ14は必要な何れかの信号濾過を実行して温度データを記憶装置に記憶する(ブロック612)。その後、タグ14はA/D入力から圧力値を読み取って感知器回路をオフにする(ブロック614)。タグ14は圧力データについて必要な何れかの信号濾過を実行してその圧力データを記憶装置に記憶する(ブロック616)。
【0189】
図47では、タグ14は履歴データの保管が使用可能にされているか否かを調べる(ブロック618)。履歴データの保管が使用可能にされていれば、タグ14は、保管レジスタがゼロに等しいか否かを決定することによって、履歴データを保管すべき時か否かを決める(ブロック620)。保管レジスタがゼロに等しくなければ、タグ14は保管レジスタを減少させる(ブロック622)。保管レジスタがゼロに等しければ、タグ14は、保管レジスタを再読込みし、温度読取及び空気圧読取を履歴データEEPROM保管内に保管する(ブロック624)。その後、タグ14は警報機能が使用可能にされているか否かを調べる(ブロック626)。警報機能が使用可能にされていなければ、タグ14は探索機能へ進む(ブロック632)。警報機能が使用可能にされていれば、タグ14は、温度及び空気圧の値が予め決められている範囲内か否かを調べるために、温度及び空気圧の値を調べる(ブロック628)。温度及び空気圧の値が予め決められている範囲内であれば、タグ14は探索機能へ進む(ブロック632)。温度及び空気圧の値が予め決められている範囲内でなければ、タグ14は、自律送信警報モードを使用可能にする警報フラグを設定し(ブロック630)、その後に探索機能へ進む(ブロック632)。
【0190】
図48は、本発明の一つの実施形態に従う探索機能を示す流れ図である。タグ14は、固定間隔、一般には25msの間、受信機224をオンにする(ブロック650)。その後、タグ14は、受信されたデータ送信が固定間隔の間に特定の数、一般には71、を超える遷移を含んでいたか否かを決定する(ブロック652)。受信されたデータ送信が固定間隔の間に特定の数を超える遷移を含んでいれば、その受信されたデータ送信は考えられ得る順方向リンクパケット(FLP)であり、タグ14は呼掛機能へ進む(ブロック656)。受信されたデータ送信が固定間隔の間に特定の数を超える遷移を含んでいなければ、タグ14は受信機224をオフにして(ブロック654)自律送信(AT)機能へ進む(ブロック658)。
【0191】
図49は、本発明の一つの実施形態に従う呼掛機能を示す流れ図である。呼掛モード中では、タグ14はマイクロプロセッサの高速クロックを使用可能にする(ブロック700)。呼掛機能は、呼掛タイマが満了するまで、タグ14が幾つかの作業をループ内で反復的に実行する、フォアグラウンド処理である。呼掛タイマが満了すると、タグ14は休眠する。あるいは、FLP指令は呼掛が完了すると深い休眠モードへ入るべきことをタグ14に命令してよい。これらの作業は、監視タイマー(WDT)をリセットすること(ブロック702)、整合性検査処理を呼び出すことによって障害状態を探すこと(ブロック704)、有効なFLPを調べること(ブロック706)、FLP指令に応答すること、及び戻りリンクパケット(RLP)を送信すること、を含んでいる。
【0192】
一つの実施形態では、呼掛タイマ(カウンタ)は二つの値のうちの一つと共に読み込まれる。高速度値は最初の有効なFLPを探索する長さを明示している(ブロック700)。受信範囲外値は、少なくとも一つの有効なFLPが受信された後にFLPの探索が続けられる長さを明示している(ブロック708)。有効なFLPが受信されると、タグ14はそのFLPがこの特定のタグに対して意図されているのか否かを調べる(ブロック710)。一つの実施形態では、タグ14はそのFLPが指令またはSAR要求であるか否かを調べる(ブロック712)。その後、タグ14は適切なSAR処理(ブロック714)または指令処理(ブロック716)を呼び出す。これらの処理は、今度は、一般に、RLP処理を呼び出す(ブロック718)。呼掛ループを支援するこれらの機能は、バックグラウンド機能であり、割込サービスルーチン、FLP処理ルーチン、RLP処理ルーチン、EEPROMインタフェースルーチン、整合性検査ルーチン、指令処理ルーチン、及びSAR処理ルーチンを含んでいる。割込サービスルーチンは事象駆動され、その他のルーチンは必要時に呼び出される。呼掛処理は呼掛タイマが満了する時に終結させられ(ブロック720)、その時タグは深い休眠モードへ入る(ブロック722)。
【0193】
図50は、本発明の一つの実施形態に従う割込サービスルーチンを示す流れ図である。この割込サービスルーチンは、タグ14の動作モードの機能としての内部事象及び外部事象に対応している(ブロック750)。ブロック751で、タグ14はその事象の原因を決定する。ブロック752で、タグはその事象が受信機データの遷移に起因していたのか否かを決定する。割込が受信機データの遷移によって発生させられていたのであれば、割込サービスルーチンは、有効なFLPの実際の検出が実行されるFLP処理ルーチンを呼び出す(ブロック754)。割込が受信機データの遷移によって発生させられていたのでなければ、タグ14は第一の内部タイマ(タイマ0)が満了しているのか否かを決定する(ブロック756)。第一の内部タイマが満了していれば、その内部タイマゼロ割込は、FLPの探索やRLPの送信等の様な働きを始動させる(ブロック758)。第一の内部タイマが満了していなければ、タグは第二の内部タイマ(タイマ1)が満了しているのか否かを決定する(ブロック760)。第二の内部タイマが満了していれば、タグはその呼掛ループを終結させる(ブロック762)。第二の内部タイマが満了していなければ、その割込は予期された原因なしで発生しており、そのことは障害状態を示している。従って、タグ14は診断状況語内にエラービットを設定する(ブロック764)。
【0194】
図51は、本発明の一つの実施形態に従う順方向リンクパケット(FLP)の形式を示している。各々のFLPは、プリアンブル、データ、CRC、及びポストアンブルを含んでいる。FLPはパケット処理ルーチンによって呼掛モード中で処理される。FLPは、予備識別、ビット伝送速度の測定、データ検出、データシフト、及びパケットの確認を含む一連の事象を実行することによって、読み取られる。
【0195】
パケット処理ルーチンは、FLP及びRLPに関係するシリアルビット通信規約を処理する。受信機224がデータ遷移を検出すると、割込が起動され、この割込が今度はパケット処理ルーチンを呼び出させる。タグ14は、受信機雑音と有効なFLPかもしれない送信とを識別しなければならない。過大な受信機雑音があれば、呼掛ループが全周期を完了させて探索処理を再び使用可能にする(つまり、遷移割込を再び使用可能にする)ことができるまで、予備識別処理はFLPの探索を終結させる。
【0196】
図52は、本発明の一つの実施形態に従うパケット処理予備識別の流れ図を示している。ブロック800で、タグ14は割込サービスルーチンから入る。その後、タグ14は、プリアンブル受取フラグが設定されているか否かを決定する(ブロック802)。プリアンブルフラグは、タグ14が有効なプリアンブル列(例えば、25ms間の71個の遷移)を見つけたか否かを示している。プリアンブルフラグが設定されていれば、タグ14はブロック804へ進んでシフトデータ処理を開始する。プリアンブルフラグが設定されていなければ、タグはビット遷移時間間隔が長過ぎたのか否かを決定する(ブロック806)(つまり、遷移に時間が掛かり過ぎている)。ビット遷移時間間隔が長過ぎたのでなければ、タグ14はブロック808へ進む。ビット遷移時間間隔が長過ぎたのであれば、タグ14は、ブロック810で、最後の遷移がプリアンブル終結に適切な極性(例えば、論理一)であったのか否かを決定する。最後の遷移が適切な極性でなかったのであれば、タグ14は予備識別ルーチンを再初期化してシフトデータ処理へ出て行く(ブロック816)。そうではなく、最後の遷移が適切な極性であったのであれば、タグ14は十分なプリアンブル遷移が検出されたのか否かを決定する(ブロック812)。十分なプリアンブル遷移が検出されたのであれば、タグは、そのプリアンブル受取フラグを設定し、(データ検出のための)時間間隔閾値を計算し、FLPデータビットを数えるためのループカウンタを初期化し、その後にシフトデータ処理へ出て行く(ブロック814)。十分なプリアンブル遷移が検出されたのでなければ、タグはブロック816へ進む。
【0197】
ブロック808で、タグ14はビット遷移時間間隔が短過ぎたのか(つまり、遷移が互いに接近し過ぎでいたのか)否かを決定する。ビット遷移時間間隔が短過ぎたのであれば、タグ14はブロック816へ進む。ビット遷移時間間隔が短過ぎたのでなければ、タグは多過ぎるプリアンブルビットがあったのか否かを決定する(ブロック818)。多過ぎるプリアンブルビットがあったのであれば、タグは、FLPの探索を終結させ、遷移割込を使用禁止にする(ブロック820)。多過ぎるプリアンブルビットがなかったのであれば、タグはシフトデータ処理へ出て行く(ブロック822)。
【0198】
図53は、本発明の一つの実施形態に従うパケット処理シフトデータ処理を示している。タグ14はブロック830でシフトデータ処理に入る。その後、タグ14は、ビット遷移時間間隔が上記の閾値であるか否かを決定する(ブロック832)。ビット遷移時間間隔が上記の閾値でなければ、タグは出て行って次の遷移を待つ(ブロック834)。ビット遷移時間間隔が上記の閾値であれば、タグ14は第一の順方向リンクデータビットをシフトする(ブロック836)。次に、タグ14は現在のデータビットが戻りリンクチャネルビットのうちの一つであるか否かを決定する(ブロック838)。現在のデータビットが戻りリンクチャネルビットのうちの一つであれば、そのビットが戻りリンクチャネルレジスタ内へシフトされ(ブロック840)、その後にタグ14は遷移割込サービスから出て行く(ブロック842)。現在のデータビットが戻りリンクチャネルビットのうちの一つでなければ、順方向リンクレジスタ内へビットがシフトされる(ブロック844)。その後、タグはシフトが完了しているのか否かを決定する(ブロック846)。シフトが完了していなければ、タグ14は遷移割込サービスから出て行く(ブロック842)。シフトが完了していれば、タグは、誤り検出ビット(例えば、奇偶検査ビット、検査合計、またはCRC)に間違いがないか否かをタグ14が決定するブロック848へ進む。誤り検出ビットに間違いがあれば、タグ14はパケット処理ルーチンを終結させてもう一つのFLPを待つ(ブロック850)。誤り検出ビットに間違いがなければ、タグ14は、パケットOKフラグを設定し、遷移割込を使用禁止にし、遷移割込サービスから出て行く(ブロック852)。
【0199】
図54は、本発明の一つの実施形態に従う指令ルーチン(つまり、呼掛モードの応答部分)を示している。このルーチンは、RT30から受信された有効なFLP指令を処理する。この指令ルーチンは、単一の順方向リンクパケット時間間隔を超えて広がる長いマクロ指令をも分析する。長いマクロ指令は第一の指令によって始動させられ、その結果(例えば、データ)は第二の指令によって検索される。
【0200】
具体的に言うと、この指令ルーチンはブロック900で呼掛処理から呼び出される。タグ14はFLP指令が有効であるか否かを調べる(ブロック902)。FLP指令が有効でなければ、タグ14は、診断状況語内に指令エラービットを設定し(ブロック904)、そのパケットを無視する(ブロック906)。FLP指令が有効であれば、タグ14はそのFLP指令が長いマクロ指令であるか否かを調べる(ブロック908)。そのFLP指令が長いマクロ指令であれば、タグ14は、その長いマクロを実行し始めて、その結果をタグRAM内に記憶する(ブロック910)。一つの実施形態では、タグ14はタグシリアル番号を含む戻りリンクパケット(RLP)を組み立てる(ブロック912)。そのFLP指令が長いマクロでなかったのであれば、タグ14はその指令に応答するデータを含むRLPを組み立てる(ブロック914)。何れの場合にも、タグ14は、その後、要求時に、その結果のRLPを送信する(ブロック916)。
【0201】
図55は、本発明の一つの実施形態に従うEEPROMルーチンの流れ図である。タグ14は、履歴データを保管し、製造者定義データ及びユーザ定義データ、構成定数、並びに(頻繁にはアクセスされず確実に維持されることが求められている)その他のデータを不揮発性記憶装置内に記憶する。このルーチンは、EEPROM読出、EEPROM書込、履歴保管及び構成転送を含んでいる。具体的に言うと、タグ14はEEPROM先頭ポインタがEEPROM最後尾ポインタに等しいか否かを最初に決定する(ブロック950)。EEPROM先頭ポインタがEEPROM最後尾ポインタに等しくなければ、タグはブロック958へ進む。そうではなく、EEPROM先頭ポインタがEEPROM最後尾ポインタに等しければ、タグは、ブロック952へ進んで、超過(またはあふれ)状態が可能にされているか否かを決定する。超過状態が可能にされていなければ、タグは、超過エラービットを設定して(ブロック954)、呼出処理へ進む(ブロック962)。超過状態が可能にされていれば、EEPROM最後尾ポインタが一だけ増加され、そのEEPROM最後尾ポインタがラップアラウンドされ、必要であれば超過ビットが設定される(ブロック956)。ブロック958では、タグ14は、そのRAM内のデータをEEPROMへ転送し、EEPROMの先頭ポインタ位置で始まるそのデータを記憶する。次に、タグ14は、ブロック960で、EEPROM先頭ポインタをRAMデータの最後へ(つまり、RAMデータの後の利用可能な最初の記憶装置位置へ)増加させ、必要であればそのポインタをラップさせる。タグ14はその後に呼出処理へ戻る(ブロック962)。
【0202】
周期的に覚醒し、感知器測定を行い、その様な測定を外部装置へ通信する等の上記の処理は、タイヤタグ以外の実施形態でも使用され得ることが分かる。例えば、開示されている処理は、車両/車軸負荷、タイヤの回転(走行距離)、排気物質、油圧、電池充電、冷媒レベル、ブレーキの磨耗、トランスミッション流体レベル、パワーステアリング流体レベル、ブレーキ流体レベル、クラッチ流体レベル、風防ワイパ流体レベル、ヘッドライト及びテールライトの状況等の様なその他の車両パラメータを測定するためにも使用され得る。これらのパラメータは、無線通信規約を経由して遠隔装置と通信するタグを使用することによって、タイヤパラメータとほぼ同じ方法で監視され得る。その様なタグは、電池寿命を大事に使うために、本明細書に記載されている休眠/覚醒ルーチンを使用することができる。これらの及びその他の実施形態は、この開示されている発明の範囲内である。
【0203】
一つの実施形態では、タイヤ10の内側に装着されるタイヤタグ14を含む新規なタイヤ電子管理システムが開示されており、そのタグは、タイヤパラメータを測定し、生の感知器データを濾過し、データを記憶し、且つそのタイヤパラメータを遠隔RT30へ報告する小さなマイクロ制御装置84を有している。そのタグ14は、FLPらしきものを探索するために、周期的に覚醒する。FLPらしきものが検出されれば、タグは、もっと覚醒し、その送信が有効なFLPであることを確認し、その送信が有効なFLPであれば、そのFLP指令に応答する。タグ14がRTから有効な指令を受信すると、このタグ14は一つ以上のRLPを経由して応答データを送信する。一般に、RT30は、最初は、例えばSAR処理を使用して、タグ14にそのシリアル番号で呼び掛ける。タグシリアル番号が確認されると、通常は一時的IDがそのタグ14に割り当てられる。その後、RT30は、そのタグ記憶装置16に記憶されているタイヤパラメータの様なデータを要求する。その後、タグ14は応答のRLPをRT30へ送信する。呼掛モードの完了と同時に、タグ14は深い休眠モードを再び始める。
【0204】
この新規なタイヤタグシステムを使用することによる利益は、(1)タイヤ感知器を読み取り且つ遠隔読取機/送受信機(RT)30と通信するために必要な電力を最小限にすること、(2)感知器データをデジタル的に濾過すること、(3)感知器データを保管すること、及び(4)種々の環境に順応する様にタグをプログラミングすること、を含んでいる。両方のタイヤの側壁を貫通する送信を強め、反対側のタイヤへの装着を可能にし、且つRT30によってタイヤタグに呼び掛けることをより容易にする、特有のアンテナも提供される。
【0205】
従って、タグ14が遠隔RT30のRF範囲内にある時にそのRT30から受信された順方向リンクパケットを経由して、タグ14はその内部記憶装置に対する読取及び書込アクセスを提供する。更に、タグ14は、予めプログラムされている構成(例えば、周期的間隔の経過または警報状態)に応答して戻りリンクパケットが自動的に送信される、自律送信(AT)モードを有している。警報状態は、高いまたは低いタイヤ空気圧及び/または高い温度を含んでいる。警報信号は、圧力または温度の様なパラメータの一つが予め決められている範囲を超えている時にはいつも発生される。この警報信号は周期的に送信される。送信の期間はユーザによって変えられ得る。タグ14がRT30の範囲内にある場合にはATデータは送信されず、それは、もし送信されると、その他のタグが、(1)有効な順方向リンクパケットを探索しており、(2)それらの自分のATデータを送信している場合に、混信が生じるからである。従って、タグ14は圧力データ及び温度データを周期的に記憶しており、範囲外状態が検出されると、警報信号が次のAT間隔時に送信される。
【0206】
本発明の特定の実施形態が詳細に提示及び開示されたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく種々の実施形態における本発明の変更及び修正が成されることが、当業者には明らかである。本明細書に記載されているものとは僅かにのみ異なる他の構成部分、段階、方法及び技術も、本発明の範囲内である。従って、本発明の範囲は、本明細書に記載されている特定の実施形態によって限定されるべきではなく、特許請求の範囲及びその等価物によって規定されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ内に装着されるタイヤタグを具備しており、
一つ以上のタイヤパラメータを測定するための感知器と、
周波数変位電鍵操作(FSK)変調を使用して、測定された前記タイヤパラメータを表すデータ信号を送信するための、送信機と、
前記感知器及び前記送信機に結合されており、前記感知器を第一の周期的間隔で作動させるための、マイクロプロセッサと、
振幅変位電鍵操作(ASK)変調を使用して前記タイヤタグへ呼掛信号を送信し且つ前記タイヤタグからデータ信号を受信するための遠隔設置される読取機/送受信機(RT)と
を含むタイヤ電子管理システム。
【請求項2】
前記マイクロプロセッサが、第二の周期的間隔で前記タグ送信機を作動させ、監視読取機、固定ゲート読取機、車載読取機、及び携帯読取機から成る群から選択された読取機へ、前記測定されたタイヤパラメータを表すデータ信号を送信する請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ASK呼掛信号がKbpsにおける第一の速度で前記タイヤタグへ送信され、
前記FSKデータ信号がKbpsにおける前記第一の速度よりも速い第二の速度で前記タイヤタグから前記RTへ送信される請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第一の速度が約7.5Kbpsであり、
前記第二の速度が約60Kbpsである請求項3に記載のシステム。
【請求項1】
タイヤ内に装着されるタイヤタグを具備しており、
一つ以上のタイヤパラメータを測定するための感知器と、
周波数変位電鍵操作(FSK)変調を使用して、測定された前記タイヤパラメータを表すデータ信号を送信するための、送信機と、
前記感知器及び前記送信機に結合されており、前記感知器を第一の周期的間隔で作動させるための、マイクロプロセッサと、
振幅変位電鍵操作(ASK)変調を使用して前記タイヤタグへ呼掛信号を送信し且つ前記タイヤタグからデータ信号を受信するための遠隔設置される読取機/送受信機(RT)と
を含むタイヤ電子管理システム。
【請求項2】
前記マイクロプロセッサが、第二の周期的間隔で前記タグ送信機を作動させ、監視読取機、固定ゲート読取機、車載読取機、及び携帯読取機から成る群から選択された読取機へ、前記測定されたタイヤパラメータを表すデータ信号を送信する請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ASK呼掛信号がKbpsにおける第一の速度で前記タイヤタグへ送信され、
前記FSKデータ信号がKbpsにおける前記第一の速度よりも速い第二の速度で前記タイヤタグから前記RTへ送信される請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第一の速度が約7.5Kbpsであり、
前記第二の速度が約60Kbpsである請求項3に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【公開番号】特開2011−248903(P2011−248903A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127196(P2011−127196)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【分割の表示】特願2002−513709(P2002−513709)の分割
【原出願日】平成13年7月26日(2001.7.26)
【出願人】(503036601)ブリヂストン/ファイヤーストーン・インコーポレイティッド (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【分割の表示】特願2002−513709(P2002−513709)の分割
【原出願日】平成13年7月26日(2001.7.26)
【出願人】(503036601)ブリヂストン/ファイヤーストーン・インコーポレイティッド (3)
【Fターム(参考)】
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