説明

タービンエンジン部品の製造方法

【課題】 エーロフォイル状のブレードおよびベーンなどのタービン部材の製造が提供される。
【解決手段】 冷却付きのタービンエンジン部品が、それぞれ第一および第二の表面を有する第一および第二のピース(46、44、48)を備えることによって製造される。第一および第二の表面の一方または両方に回路(100、120)が形成される。少なくとも一つの回路(100、120)の入口(274、275)を形成するために第一の複数の開口部(114、122)が第一のピース(46)に設けられる。少なくとも一つの回路(100、120)の出口(276、277)を形成するために第二の複数の開口部(140、150)が第二のピース(44、48)に設けられる。第一および第二のピース(46、44、48)の組み合わせ物が組み立てられ、一体化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエーロフォイル状のブレードおよびベーンなどのタービン部材の製造に関する。より具体的には、本発明は多数の部品を一体化することによるタービン部材の製造に関する。
【0002】
本発明は米国空軍が結んだ契約F33615−97−C−2779に基づく米国政府の援助の下に行われた。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
ブレードおよびベーンなどのガスタービンエンジン金属部品を作成するために様々な製造技術が用いられる。技術のなかの一つのグループはインベストメント鋳造である。しかしながらある種の部品材料はインベストメント鋳造が容易ではない。このような材料はインゴットまたは他の原材料から機械加工することが要求される。直接に機械加工する場合は、内部の形状部(feature)の加工しやすさに厳しい制限が課される。したがって部品をいくつかのピースに分けて機械加工し、次いで各ピースを拡散接合によって一体化することが知られている。タービンブレードの形成(例えばTi−6Al−4Vを用いて)における拡散接合の例は米国特許第5,063,662号および同第5,711,068号に見られる。‘662特許は内部構造を有するねじれた中空ブレードを形成するための詳細な工程を開示している。工程は二つのブレード半体を拡散接合し、次いで追加の変形および機械加工を加えることを含む。‘068特許は一つのピースから二つのブレード半体を切り出して、切られていない面をつき合わせて拡散接合する、特殊な場合を開示している。
【特許文献1】米国特許第5,063,662号明細書
【特許文献2】米国特許第5,711,068号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来技術にはなお改良の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様は、一つまたは複数の内部供給通路と、一つまたは複数の外壁と、一つまたは複数の出口通路とを有するタービンエンジン部品を製造する方法を含む。ワークピースに一つまたは複数の切断が加えられて、各々一つまたは複数の切断面を有する複数の別々のサブピースが作り出される。一つまたは複数の切断面に複数の開口部が機械加工される。サブピースの組み合わせ物または類似のサブピースの組み合わせ物が再組み立ておよび一体化される。出口通路のうち少なくともいくつかが、別々のサブピースの開口部の組み合わせによって形成されるように、内部供給通路および一つまたは複数の壁の外面が機械加工される。
【0006】
種々の実施例において、通路のいくつかは、単一の開口部によって形成されてもよい。開口部のいくつかは、供給通路の関連する対の間の内部連絡通路を形成してもよい。切断は、ワイヤー放電加工を含んでもよい。少なくとも第一の切断は、弧状であってもよい。内部供給通路の機械加工は、電気化学的加工を含んでもよい。一体化は、過渡液相(transient liquid phase)(TLP)接合、拡散接合、または、溶接およびろう付けの一方または両方、を含んでもよい。部品は、圧力側表面(pressure side surface)および吸気側表面(suction side surface)を有するエーロフォイルを含んでもよい。第一のサブピースと第二のサブピースとの間の合わせ面(junction)は、圧力側表面および吸気側表面の一方に局部的に略平行であってもよい。組み合わせ物が、エーロフォイル端部ピースに対して組み付けられ、エーロフォイル端部ピースと一体化されてもよい。エーロフォイル端部ピースは、ベーンのインボード側プラットホーム、ベーンのアウトボード側プラットホーム、ブレードルート部構造、およびブレード先端シュラウドのうちの少なくとも一つを形成するように機械加工されてもよい。位置合わせ用の形状部が形成されてもよく、再組み立ては、位置合わせ用の形状部を位置合わせすることを含んでもよい。ワークピースは、耐熱性合金であってもよい。
【0007】
他の態様は、複数の金属ワークピースを第一および第二のサブピースに同じように切断し、第一および第二のサブピースにそれぞれ第一および第二の切断面を形成することを含む。複数の開口部が、各々の第一のサブピースの少なくとも第一の切断面に機械加工される。第一および第二のサブピースの対が、組み立ておよび一体化される。各々の対の複数の開口部に対して横方向に少なくとも一つの内部通路が機械加工されて、最終的にこれらは交差される。各々の対の外面が機械加工される。
【0008】
種々の実施例において、少なくとも一つの内部通路の加工は、一体化の後であってもよい。一体化は、実質的にTLP接合または拡散接合を含んでもよい。方法は、タービンエンジン部品を形成するために用いられてもよい。同じように切断することは、複数のワークピースが、第三のサブピースにさらに切断されてもよい。組み立ておよび一体化は、第一、第二、および第三のサブピースの三つ組であってもよい。同じように切断することは、複数のワークピースが、第四のサブピースにさらに切断されてもよい。組み立ておよび一体化は、第一、第二、第三、および第四のサブピースの四つ組であってもよい。切断は、複数の実質的に非平行な切断を行うことを含んでもよい。
【0009】
発明の他の態様は、金属壁を有する物品を含む。少なくとも一つの見通し線のない通路が、壁を通って延びる。弧状の一体化合わせ面が、壁の内部にある。
【0010】
種々の実施例において金属壁は、耐熱性金属合金から成ってもよい。物品は、ブレードの外側エアシールであってもよく、その合わせ面は、シールのインボード側の面に平行である。
【0011】
本発明の一つまたは複数の実施例の詳細が添付の図面および以下の説明に示されている。その他の特徴、目的、および利点は説明と図面、および請求範囲から明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
各図面中の類似の参照符号および名称は類似の部材を表す。
【0013】
図1は初期の機械加工段階の後のエーロフォイル前駆体ブロック20を示している。例示的なブロック20は初期において金属材料の単一ピースの正平行六面体(right parallelepiped)として形成されてもよい。例示的な金属材料は耐熱性金属、耐熱性金属基合金、またはこれらの金属の組み合わせに耐熱性金属の金属間化合物を伴うものであってもよい。例示的な金属はモリブデン合金およびニオブ合金であり、好ましくはそれぞれモリブデンおよびニオブの金属間化合物を伴う。例示的な金属間化合物含有量は体積で5%より大きい(より狭くは10〜80%、または20〜50%)。例示的な金属間化合物はケイ化物である。例示的な、ケイ化モリブデンを伴う実質的に純粋なモリブデンのケイ化モリブデン含有量は10〜45%である。例示的な、ケイ化ニオブを伴う実質的に純粋なニオブのケイ化ニオブ含有量は20〜80%である。
【0014】
平行六面体は軸500、502、および504を有し、参照のためにこれらはX、Y、およびZ方向と呼ばれる。ブロックの中央部分22は一定Z平面508と510との間に概略配置され、最終的にブレードまたはベーンなどのタービン部材のエーロフォイルを実質的に形成する。例示的な初期機械加工段階の第一の段階は、後にブロック20から切り出されるサブピースの整列を容易にするための位置合わせ用の形状部を形成することを含む。例示的な実施例において、この機械加工はブロックに孔を穿孔することによって行われる。例示的な実施例において孔はブロックの対向する面の間の貫通孔または穴である。例示的な孔24および26はブロックの一定X平面の間に延び、かつ軸500に平行な軸512および514を有する。孔28および30は一定Y平面の間に延び、かつ軸502に平行な軸516および518を有する。例示的な実施例において孔24、26、28、および30は中央部分22の外側の部分32および34にある。このような穿孔に際してブロックはその一つまたは複数の面を介して固定具(図示せず)内で位置合わせされてもよい。
【0015】
初期の機械加工段階の第二の段階はブロックをサブピースに切断することを含む。この例示的な切断はワイヤー放電加工(electro−discharge machining)(EDM)法によって行われる。切断を容易にするために、ブロックは穿孔された孔を介して切断用固定具内で位置合わせされてもよい。切断用固定具はサブピースとなるべきブロックの各部位を確実に保持するものであってもよい。例示的な実施例において、第一の切断40は二つの一定Y平面および二つの一定Z平面の間に延びており、Z方向504に平行な面520内にある平面切断である。この例示的な第一の切断40は前側サブピース42をブロックの残りの部分から切り離す(すなわち部分44、46、および48から切り離す。これらの部分は第二および第三の切断の後それぞれ吸気側サブピース;中心部サブピース;および圧力側サブピースとなるべきものである)。第二の切断54は弧状であるが、例示的な実施例ではZ方向504に平行である。この第二の切断54は圧力側サブピース44をブロック20の残りの部分から切り離す。第三の切断56は吸気側サブピース48を中心部サブピース46から切り離す。例示的な第三の切断56もまた弧状であり、 Z方向504に平行である。付言すれば切断は必ずしもZ方向に平行でなくともよい。平行でない切断は、捻れやテーパーなどの、翼幅方向(spanwise)にわたるブレード断面の形状、寸法、または方向の変化を有するブレードを予備形成する場合において特に有用であり得る。
【0016】
図2は第一の切断40に由来する平面的な切断面60を有する前側サブピース42を示している。吸気側サブピース44は第一の切断40に由来する平面的な第一の切断面62と、第二の切断54に由来する連続的に湾曲する凹面の第二の切断面64とを有する。中心部サブピース46は第一の切断40に由来する平面的な第一の切断面66と、第二の切断54に由来する連続的に湾曲する凸面の第二の切断面68と、第三の切断56に由来する連続的に湾曲する凹面の第三の切断面70とを有する。面68と面70とは、中心部サブピースの後縁部72を画定する会合線で会合する。吸気側サブピース48は第一の切断40に由来する平面的な第一の切断面74と、第二の切断54に由来する連続的に湾曲する凸面の第二の切断面76と、第三の切断56に由来する連続的に湾曲する凸面の第三の切断面78とを有する。
【0017】
サブピースが互いにばらばらになったならば、その切断面に様々な形状部を機械加工することができる。機械加工に先立って各々の個別のサブピースは、例えばこれらのサブピースに位置する位置合わせ用孔/穴24、26、28、および/または30の一部分を介して固定具(図示せず)内で位置合わせされてもよい。ドリルやフライス削り用ビットなどの加工工具要素は、切断面に機械加工される形状部を正確に位置決めするために、これらの孔/穴をはずして位置合わせされてもよい。図3は中心部サブピース46の吸気側切断面68を示している。例示的な実施例において、独立の互いに交差しない浅い回路100の流れ方向および翼幅方向の列が略一定の浅い深さD1(図2)に、面68に機械加工されている。各々の例示的な回路100は一連の、三つの互いに連絡する細長い長円形(obround)の溝102として形成されている(回路を通る最終的な冷却流に対してではなくエーロフォイル部分に対して下流、上流、および中間の三つ)。各々の溝102は中央の島104を取り囲んでいる。隣り合う溝102は、溝102の間の仕切り壁108を画定する中心部サブピースの無傷の部分に切られた中央の切れ目106によって互いに連絡されている。したがって、回路100は下流の溝の下流の区域(leg)110から上流の溝の上流の区域112まで延びる。各々の区域110の中央部でこれと交差して、より深い孔または盲穴114(図2)が穿孔される。同様な回路120および盲穴122が吸気側切断面70に形成されてもよい。他の回路形状および相互連絡の程度が可能であり、穴114および122についてもその他の数および形状が可能である。以下においてさらに詳しく述べるが、回路100および120は最終的に吸気側および圧力側の壁冷却回路を形成する。
【0018】
図3はさらに、吸気側切断面68にフライス加工された流れ方向の細長いスロット130が翼幅方向に並んでいるのを示している。例示的な実施例において、これらのスロットは関連する流れ方向の回路群の下流でこれと整列している。これらのスロットは各々例示的な浅い深さD2を有する平たい底部/基部を有し、比較的深い盲穴132に接する前側端部から会合線72に接する後側端部まで延びており、このようにして吸気側切断面70の後側部分を切り開いている。以下においてさらに詳しく述べるが、これらのスロット130は後縁部出口スロットの形成に寄与する。
【0019】
他のサブピース42、44および48の切断面に追加の形状部が機械加工されてもよい。例示的な実施例において、吸気側サブピース44の第二の切断面64に盲穴140が穿孔される。例示的な穴140は中心部サブピースの関連する回路100の上流側区域112と整列して位置する。同様に、吸気側サブピース48の第三の切断面78に、関連する回路120の上流側区域と整列して位置する盲穴150が穿孔される。スロット152が第二の切断面76に機械加工され、これは第三の切断面78との会合線を通って延び、再組み立てに際してスロット130と整列してこれとともに連続したスロットを形成する。翼幅方向に並んだ盲穴160が前側サブピース42の切断面60に穿孔される。再組み立てに際してこれらの穴160は中心部サブピース46の第一の切断面66と整列する。
【0020】
切断面に形状部が機械加工された後に、ブロックを再組み立てすることができる。再組み立てに際して、ピン200を孔24および26に、ピン202を孔28および30に位置させてもよい。例示的なピンはその端部が関連するブロック面と面一よりもさらに入り込むように、十分に短い。有利には、ピンは接合環境に適した合金またはその他の材料で形成され、したがって変形することなくサブピースの間の相互運動を制約(すなわち除去または低減)する。有利な材料は、1)融点および/または接合温度における強度が接合される材料のそれと同等あるいはより大きく、2)熱膨張係数が材料のそれと近い。接合温度が高い場合はタングステンが有利である。なぜならばタングステンは融点が高く、熱クリープがないので、接合面の平面内でサブピースが滑ることを防止するからである。サブピースの材料、接合に必要な温度、およびその他の接合環境条件(酸化など)に応じて、他の適当なピン合金が選択されてもよい。
【0021】
再組み立てされたブロックはプレス内に置かれる。このプレスはブロックのX平面およびY平面と係合する顎206および208を有して、ブロックを圧縮する。圧縮は加熱下で行うのが有利である。圧縮と加熱とによって各ピースは初期においてわずかに変形し、それによって、隣接する切断面が完全に再一致する。切断線が一定の幅を有する場合は、この厚さの故に二つの隣接する切断面の局部的な曲率半径は一致しない。したがってこの不一致を吸収するために変形が必要となり得る。曲率半径が大きい場所では、これに比例して不一致はほんのわずかである。半径が小さくなるにつれて、不一致がより大きくなり得る。したがって第二および第三の切断54および56を、エーロフォイルの前縁部のような曲率半径の小さな領域において、最終的なエーロフォイル吸気側および圧力側と平行させることは実際的ではなかろう。 したがって第一の切断40は中心部サブピースにエーロフォイル輪郭の曲率半径の大きな部分のみを含ませている。すなわち中心部サブピースにエーロフォイル前縁の輪郭を含ませていない。加熱および圧縮は各サブピースを互いに拡散接合してアッセンブリを再一体化するのに十分であることが有利である。別の一体化方法(例えば、過渡液相(TLP)接合、溶接、またはろう付け)を含んでもよい。
【0022】
極端に高温の接合(例えば、>3000°F、>5時間、>10psi)においては、接合を確実にするために剛性を保持しつつサブピースアッセンブリに力を加えることのできる固定具用金属はほとんどない。固定具要素206および208は重力で付勢されてもよい。例えば一方がサブピース積層物の上に加えられる大きな死荷重であり、他方が支持表面であってもよい。このようなシステムは水平に近いサブピース接合面に関連してもよい。例示的なエーロフォイルにおいて、この方法を用いる場合は前縁部サブピースの同時接合を除外してもよい。前縁部サブピースの接合は、初期における圧力側、吸気側、および中心部サブピースの第一の接合の後に、第二の接合として行われてもよい。
【0023】
一体化の後に、位置を保持するために同じ位置合わせ用形状部を用いて、エーロフォイルの外部輪郭および追加の内部形状部が機械加工されてもよい。例示的な工程は前縁254と後縁256の間に延びる吸気側表面250および圧力側表面252の粗加工を含む。吸気側表面250の大部分は比較的小さな厚さを残して、すでに一体化された切断面64に平行に延びる。表面250の前側部分は前側サブピース42に沿って形成される。吸気側表面250の機械加工によって穴140が露出され、吸気側表面への出口が画定される。同様に圧力側表面252は切断面78から距離を置いており、穴150およびスロット152を露出させる。供給通路260および262、および前縁部空洞部264などの内部形状部が機械加工されてもよい。これらはブロックのZ平面の片方または両方から機械加工されてもよい。例示的な実施例において、供給通路260と262とはウェブ266で分離されており、前縁部空洞部264はウェブ268で供給通路260から分離されている。空洞部264および通路260は穴160と交差することによって互いに連絡される。さらに通路260および262が様々な穴114および122、および穴132と交差することによって冷却回路および後縁部スロットへの入口が画定される。これに加えて翼幅方向および流れ方向に並ぶ前縁部孔270が空洞部264に向かって穿孔される。
【0024】
例示的なエーロフォイルの最終的な作動においては、通路260および262の片方または両方から空気が導入され得る(壁266を通しての衝突噴射、またはエーロフォイルの一端部での転回によって、一方が他方に供給することもあり得る)。例示的な供給通路260から、空気は穴160を通って空洞部264に入り、孔270から流出してエーロフォイル前縁の壁部分272を冷却する。これに加えて空気は通路260および262から穴114および122の入口274および275を通って冷却回路に入り、冷却回路100および120の曲がりくねった経路を通過して穴140および150の出口276および277から流出し、それによって吸気側および圧力側のエーロフォイル壁280および282を冷却する。回路は各々の入口と出口との間に見通し線(line−of−sight)をなす経路がないように、十分に曲がりくねっていることが有利である。これに加えて穴132の入口285から後縁部スロットに流入する空気が、出口287から流出する前にエーロフォイルの後側部分286を冷却する。
【0025】
エーロフォイルの冷却にはこの他に無数の変形が可能である。冷却回路は中心部サブピース46にではなく吸気側および圧力側サブピース44および48に形成されてもよい。回路は中心部サブピースと吸気側および圧力側サブピースとの合わせ面を跨いで形成されてもよい(例えば各々の隣接する切断面がパターンの対になる半分を有してもよく、また非鏡像パターンを有してもよい。後者の場合冷却空気は一方のサブピースに画定された回路を完全に通過した後に相手のサブピースの回路に流入する)。
【0026】
例示的な実施例において、吸気側および圧力側の表面と内部形状部との粗加工が終わった後に、中央部分22が外側の部分32および34から切り離されてもよい。この切断の後に中央部分は関連するタービン部材の端部の形状部を形成するために一つまたは複数の端部ピースと一体化されてもよい。例えば図6では、上述のようにして製造されたエーロフォイル294の両端に、インボード側(inboard)プラットホーム290およびアウトボード側(outboard)プラットホーム292をなす端部ピースが加えられてベーンが形成されている。このアッセンブリは拡散接合、溶接、ろう付け、およびその他の方法によって一体化されてもよい。端部ピース290および292はあらかた予備形成されて仕上げまたは準仕上げ形状になっていてもよく、また取り付け用形状部およびエーロフォイルの通路260および262と連絡する通路などの形状部の粗形成までも必要な、ブロックに近いものであってもよい。図7では上述のようにして製造されたエーロフォイル300にインボード側のルート部をなす端部ピース302が一体化されてブレードが形成されている。
【0027】
図8はブレードの外側エアシール(blade outer air seal)(BOAS)の前駆体ブロック350を示しており、これは凸面のアウトボード側表面352と凹面のインボード側表面354とを有する。例示的な第一の切断356がブロックをアウトボード側サブピース358とインボード側サブピース360とに分割する。ピン用孔362が前述したものと同様に切断356にわたって設けられてもよい。切断356はアウトボード側サブピースの凹面の切断面364と、インボード側サブピースの凸面の切断面366とを形成する。図9は回路溝370の複数の細長い列368が機械加工された後の凹面の切断面364を示している。鏡像、位相違い(out−of−phase)、またはその他の補完的な形状部(図示せず)が必要に応じて凸面の切断面366に機械加工されてもよい。
【0028】
図10は前駆体におけるBOASの輪郭を示している。これは穿孔またはその他の方法で機械加工された溝への入口380、および溝からの出口382を含む。図11および図12は断熱被覆390(図11)、フェザー(feather)シールスロット392(図12)、および取り付けフック394(図12)を有するBOASを示している。
【0029】
本発明の一つまたは複数の実施態様を説明した。しかしながら本発明の主旨および範囲から逸脱することなく様々な改変がなされ得ることは理解されるであろう。例えば現有の部品に対する交換品の製造において実施される場合は、個々の実施の詳細は現有部品の細部の影響を受けるであろう。本方法は他の部品(例えばブレード一体化型またはその他のロータ、ケース部品、燃焼器部品、排気部部品、およびその他)の製造にも応用可能である。大量生産においては所与のブロックからの個々のサブピースは必ずしも当該のブロックからの他のサブピースと再一体化される必要はなく、一つまたは複数の類似のブロックからのサブピースと一体化されてもよい。一体化は共通のまたは類似のブロックから切り出されたものではないサブピースについて行われてもよい。したがって他の実施態様は添付の請求範囲の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】タービン部材のブレード前駆体の図である。
【図2】図1の前駆体の展開断面図である。
【図3】図1の前駆体の中心部サブピースの図である。
【図4】図1の前駆体が再組み立てされた状態の断面図である。
【図5】再組み立てされた前駆体から機械加工されたエーロフォイルの断面図である。
【図6】ベーンの図である。
【図7】ブレードの図である。
【図8】ブレード外側エアシール(BOAS)前駆体の図である。
【図9】図8の前駆体の第一のサブピースの図である。
【図10】図8の前駆体の再組み立てされた状態の断面図である。
【図11】図8の前駆体から機械加工されたBOASの断面図である。
【図12】図11のBOASの図である。
【符号の説明】
【0031】
20…エーロフォイル前駆体ブロック
40…第一の切断
42…前側サブピース
44…吸気側サブピース
46…中心部サブピース
48…圧力側サブピース
54…第二の切断
56…第三の切断
60…切断面
62…第一の切断面
64…第二の切断面
66…第一の切断面
68…第二の切断面
70…第三の切断面
74…第一の切断面
76…第二の切断面
78…第三の切断面
100、120…回路
114、122、132、140、150、160…盲穴
274、275、285…入口
276、277、287…出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つまたは複数の内部供給通路と、一つまたは複数の外壁と、一つまたは複数の出口通路とを有するタービンエンジン部品を製造する方法であって、
ワークピースに一つまたは複数の切断を行って、各々一つまたは複数の切断面を有する複数の別々のサブピースを作り出し、
一つまたは複数の切断面に複数の開口部を設け、
前記サブピースの組み合わせ物または類似のサブピースの組み合わせ物を再組み立てし、
組み合わせ物を一体化し、
前記出口通路のうち少なくともいくつかが、別々の前記サブピースの前記開口部の組み合わせによって形成されるように、内部供給通路の少なくとも一部分を機械加工する、
ことを含むことを特徴とする、タービンエンジン部品を製造する方法。
【請求項2】
機械加工は、一つまたは複数の外壁の外面を機械加工することをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記通路のいくつかは、単一の前記開口部によって形成されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記開口部のいくつかは、前記供給通路の関連する対の間の内部連絡通路を形成することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記切断は、ワイヤー放電加工を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記切断のうち少なくとも第一の切断は、弧状であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記切断は、ワイヤー放電加工を含み、
前記内部供給通路の機械加工は、電気化学的加工を含む、
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
一体化は、過渡液相接合および拡散接合の一方を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
一体化は、溶接およびろう付けの一方または両方を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
部品は、圧力側表面と吸気側表面とを有するエーロフォイルを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項11】
第一の前記サブピースと第二の前記サブピースとの間の合わせ面は、前記圧力側表面および前記吸気側表面の一方に対して局部的に略平行であることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
組み合わせ物をエーロフォイル端部ピースに対して組み付け、
組み合わせ物をエーロフォイル端部ピースと一体化する、
ことをさらに含むことを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記エーロフォイル端部ピースを機械加工して、ベーンのインボード側プラットホーム、ベーンのアウトボード側プラットホーム、およびブレードルート部構造のうちの少なくとも一つを形成することをさらに含むことを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、位置合わせ用形状部を形成することをさらに含み、前記再組み立ては、前記位置合わせ用形状部を位置合わせすることを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項15】
ワークピースは、耐熱性金属から成ることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項16】
ワークピースは、耐熱性金属またはその合金から成り、かつ重量で10〜80%の一つまたは複数の金属間化合物を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項17】
一つまたは複数の内部供給通路と、一つまたは複数の外壁と、一つまたは複数の出口通路とを有する冷却付きタービンエンジン部品を製造する方法であって、
各々一つまたは複数の第一の面を有する複数の別々のピースを提供し、
一つまたは複数の第一の面に複数の開口部を設け、
前記ピースの組み合わせ物を組み立て、
組み合わせ物を一体化し、
前記出口通路のうち少なくともいくつかが、別々の前記ピースの前記開口部の組み合わせによって形成されるように、内部供給通路の少なくとも一部分と、一つまたは複数の外壁の外面とを機械加工する、
ことを含むことを特徴とする、タービンエンジン部品を製造する方法。
【請求項18】
冷却付きタービンエンジン部品を製造する方法であって、
それぞれ第一および第二の面を有する第一および第二のピースを提供し、
第一および第二の面の一方または両方に少なくとも一つの回路を形成し、
少なくとも一つの回路の入口を形成するように、第一のピースに第一の複数の開口部を設け、
少なくとも一つの回路の出口を形成するように、第二のピースに第二の複数の開口部を設け、
前記第一および第二のピースの組み合わせ物を組み立て、
組み合わせ物を一体化する、
ことを含むことを特徴とする、冷却付きタービンエンジン部品を製造するための方法。
【請求項19】
第一および第二の複数の開口部を設けることは、組み立ておよび一体化の前に行われることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
第一および第二の複数の開口部を設けることは、組み立ておよび一体化の後に行われることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項21】
第一および第二の複数の開口部が、第一および第二のピースのそれぞれ第三および第四の表面に延びていることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項22】
複数の金属ワークピースを第一および第二のサブピースに同じように切断し、第一および第二のサブピースにそれぞれ第一および第二の切断面を形成し、
各々の第一のサブピースの少なくとも前記第一の切断面に複数の開口部を機械加工し、
第一および第二のサブピースの対を組み立て、
前記組み立てられた対を一体化し、
各々の前記対の前記複数の開口部に対して略横方向に少なくとも一つの内部通路を機械加工して、最終的にそれらを交差させ、
各々の前記対の外面を機械加工する、
ことを含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
前記少なくとも一つの内部通路の前記加工は、前記一体化の後であることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記一体化は、実質的に過渡液相接合および拡散接合の一方を含むことを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項25】
タービンエンジン部品を形成するために用いられることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項26】
前記同じように切断することは、複数のワークピースを第三のサブピースにさらに切断し、
前記組み立ては、第一、第二、および第三のサブピースの三つ組みについてであり、
前記一体化は、三つ組みについてである、
ことを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項27】
前記同じように切断することは、複数のワークピースを第四のサブピースにさらに切断し、
前記組み立ては、第一、第二、第三、および第四のサブピースの四つ組みについてであり、
前記一体化は、四つ組みについてである、
ことを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記切断は、複数の実質的に非平行な切断を行うことを含むことを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項29】
金属壁と、
壁に設けられた見通し線のない通路と、
壁の内部の弧状の一体化合わせ面と、
を有することを特徴とする物品。
【請求項30】
金属壁は、耐熱性金属合金から成ることを特徴とする請求項29記載の物品。
【請求項31】
物品は、ブレードの外側エアシールであり、その合わせ面が、シールのインボード側の面に平行であることを特徴とする請求項29記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−63974(P2006−63974A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−184540(P2005−184540)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(590005449)ユナイテッド テクノロジーズ コーポレイション (581)
【氏名又は名称原語表記】UNITED TECHNOLOGIES CORPORATION
【Fターム(参考)】