ディスプレイにおけるUV硬化性導電性材料
本発明は、基板と、少なくとも一つのUV硬化性導電性層と、画像形成性層とを含んでなる、ディスプレイ・デバイスに関する。また本発明は、基板と、第1の透明導電性層と、光変調層と、第2の導電性層とを含んでなるディスプレイ・デバイスであって、前記第2の導電性層がUV硬化性である、ディスプレイ・デバイスに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイにおける紫外線(UV)硬化性導電性材料の使用に関する。具体的には、本発明は、可撓性を有する基板上のポリマー分散型キラル・ネマチック液晶ディスプレイ内で用いることができる。
【背景技術】
【0002】
現在、情報は、パーマネント・インクを担持する集成紙シートを使用して表示されるか、或いは、電子的に変調される表面、例えば陰極線ディスプレイ又は液晶ディスプレイ上に表示される。このように表示されたプリント情報は、変更を加えることができない。情報の変更を可能にするデバイス、例えば電気的に更新されるディスプレイはしばしば重く、そして高価である。磁気書込み領域を介して情報をシート材料に加えて、例えばチケット情報又は金融情報を担持することもできる。しかし、磁気的に書込まれたこのようなデータは、目には見えない。
【0003】
電力なしに、電子的に変化可能なデータを維持するメディア・システムが存在する。このようなシステムは電気泳動材料(Eink)、Gyricon、又はポリマー分散型コレステリック材料であることが可能である。電子的に更新可能なこのようなディスプレイの一例は、米国特許第3,600,060号明細書に見いだすことができる。この明細書に示されたデバイスは、場に対して応答性の双安定ディスプレイを形成するための、コーティングされ、次いで乾燥させられた水性ゼラチン中のコレステリック液晶エマルジョンを有する。また、米国特許第3,816,786号明細書には、電場に対して応答性のカプセル化コレステリック液晶層が開示されている。この明細書に記載された電極は透明又は不透明であってよく、種々の金属又はグラファイトから形成することができる。一つの電極は光吸収性でなければならないことが開示されており、そして光吸収性電極は、導電性材料、例えば炭素を含有するペイントから調製されることが示唆されている。
【0004】
電子書込み型の可撓性を有するディスプレイ・シートの製作が米国特許第4,435,047号明細書に開示されている。基板は、第1の導電性電極と、一つ又は二つ以上のカプセル化液晶層と、導電性インクの第2の電極とを担持する。導電性インクは、光を吸収するための背景を形成するので、情報担持ディスプレイ領域は、背景の非ディスプレイ領域とは対照的に暗く見える。対向する導電性領域に加えられた電位は、液晶材料に作用することにより、ディスプレイ領域を暴露する。液晶材料はネマチック液晶なので、ディスプレイは、エネルギーを断たれたときに、すなわち場が不在になると、画像を提供することを止める。第1の可撓性を有する基板がパターン形成され、コーティングされる。このコーティング上には、第2の前パターン形成された基板が結合される。
【0005】
Fergasonの特許明細書には、光を吸収し、場の不在においては画像を維持しないネマチック液晶の使用が開示されている。ポリマー・カプセル材料中又は液晶中の色素を使用することにより、入射光を吸収する。色素は溶液の一部であり、固形のサブミクロン粒子ではない。この特許明細書にはさらに、例2においてキラル・ドーパントの使用が開示されている。このドーパントはネマチック液晶の応答時間を改善するが、しかし光反射状態では動作しない。
【0006】
米国特許第5,251,048号明細書に開示された光変調セルは、ポリマー分散型キラル・ネマチック液晶を有する。キラル・ネマチック液晶は、光の特定の可視波長を反射するプレーナー(planar)状態と、散乱光を前方に透過するフォーカル・コニック状態との間で、電子的に駆動されるという特性を有する。コレステリック液晶としても知られるキラル・ネマチック液晶は潜在的にいくつかの環境において、電場の不在時に、多数の所与の状態のうちの一つを維持する能力を有する。後ろ側の基板の外面に黒色ペイントを塗布することにより、光吸収層を提供する。この光吸収層は、セグメント線及び走査線の交差によって定義された変化可能なディスプレイ領域の外部に、非変化性の背景を形成する。第1のガラス基板がパターン形成される。第1の基板から固定的なスペースを置いて、パターン形成された第2のガラス基板が設けられている。キャビティには液晶が充填されている。
【0007】
米国特許第6,394,870号明細書には、スクリーン印刷によって不透明な導電性インクを像様パターンで直接的にデポジットすることが開示されている。ポリマー分散型コレステリック材料上に直接的に導体が印刷される。このような形態を有するディスプレイは、光吸収バッキングを必要とする。この発明は、樹脂マトリックス中のスクリーン印刷可能な炭素によって形成された第2の導体を印刷することによって、光吸収体を形成する。炭素は可視線を吸収するが、しかし、紫外線応答性導電性配合物を硬化させるのに使用できる紫外線をも吸収する。紫外線硬化型銀インクが使用されるとすれば、銀の反射によってプレーナー状態と透過性フォーカル・コニック状態との間に形成されるコントラストはごく僅かなものになる。不透明な導電性インクの乾燥プロセスは、インクを硬化させるのに何分もの時間を必要とする。
【0008】
紫外線硬化性有機混合物、光開始剤、銀粉、及び銀フレーク組成物を含む光硬化性銀組成物が、米国特許第6,290,881号明細書に開示されている。銀フレーク組成物は、銀粉の20重量%以上を含む。開示された組成物を使用することにより、種々異なる基板上に銀含有コーティングを生成することができる。しかし、この材料は、ディスプレイ・デバイスにおける使用に関しては、開示されていない。
【0009】
コレステリック液晶は、反射状態にある時に、可視スペクトルの一部を反射する。反射状態は中性色バランスを有することが好ましい。反射状態において中性濃度を示すコレステリック・ディスプレイを提供することが有用である。このようなディスプレイが、シンプルで低廉なプロセスを用いて製作されることが有用である。このようなプロセスは、第2の導体を形成するための低廉な高速法を含むことが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
より容易且つ迅速に硬化させることができる、画像形成層上にパターン形成された第2の導体が依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、基板と、少なくとも一つのUV硬化性導電性層と、画像形成性層とを含んでなる、ディスプレイ・デバイスに関する。本発明はまた、基板と、第1の透明導電性層と、光変調層と、第2の導電性層とを含んでなるディスプレイ・デバイスであって、前記第2の導電性層がUV硬化性である、ディスプレイ・デバイスに関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明はいくつかの利点を含む。これらの利点の全てが単一の実施態様に組み込まれるわけではない。銀インクの紫外線硬化は、印刷された第2の導体の高速の製作及び硬化を可能にする。暗層は、ポリマー分散型コレステリック材料と共にこのようなプロセスを用いることを可能にする。インク中の銀内容物を取替えると、印刷される材料のコストが低減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本明細書中に使用される「液晶ディスプレイ(LCD)」は、種々の電子デバイスに使用される一種のフラットパネル型ディスプレイである。LCDは最小限、基板と、少なくとも一つの導電性層と、液晶層とを含む。LCDは、二つの偏光材料シートを含んでもよく、偏光シート間には液晶溶液が位置する。偏光材料シートは、ガラス又は透明なプラスチックから成る基板を含んでよい。
【0014】
液晶(LC)は光スイッチとして使用される。基板は通常、透明な導電性導体を有するように製造される。電極内には、電気的な「駆動」信号がカップリングされる。駆動信号は電場を誘発する。この電場は、LC材料における相変化又は状態変化を引き起こすことができ、LCはその相及び/又は状態に基づいて、異なる光反射特性を示す。
【0015】
本発明において、支持体に硬化性材料が塗布される。硬化性材料は、硬化性の任意の材料を含んでよく、また、コーティングを形成するために塗布することができる。硬化性材料は、硬化するための何らかの化学的メカニズム、例えば架橋並びにキャリヤ溶剤の蒸発を必要とする材料を含んでよい。1実施態様の場合、硬化性材料は高分子材料を含んでよい。コーティングの一例としては、画像形成性層、光変調層、導電性層、色コントラスト層、誘電層及びバリア層が挙げられる。硬化性材料は基板に直接的に塗布することができ、或いは、キャリヤ材料、例えば溶剤と一緒に塗布し、このキャリヤ材料を後で除去することにより、硬化プロセスを容易にすることができる。
【0016】
当業者に知られた任意の方法によって、硬化性材料を支持体に塗布することにより層を形成することができる。いくつかの方法の例は、スクリーン印刷、ホッパー・コーティング、グラビア印刷、リソグラフ及びフォトリソグラフ印刷、噴霧、及び蒸着を含むことができる。
【0017】
1実施態様の場合、支持体に、少なくとも一つの画像形成性層が塗布される。画像形成性層は、電気的に画像形成可能な材料を含有することができる。電気的に画像形成可能な材料は、発光材料又は光変調材料であってよい。発光材料はその性質において無機又は有機であってよい。特に好ましいのは有機発光ダイオード(OLED)又は高分子発光ダイオード(PLED)である。光変調材料は反射性又は透過性であってよい。光変調材料は、電気化学材料、電気泳動材料、例えばジリコン(Gyricon)粒子、エレクトロクロミック材料、又は液晶であってよい。液晶材料はねじれネマッティック(TN)、超ねじれネマチック(STN)、強誘電性、磁性、又はキラル・ネマチック液晶であってよい。特に好ましいのは、キラル・ネマチック液晶である。キラル・ネマチック液晶は、ポリマー分散型液晶(PDLC)であってよい。しかし、いくつかの事例において付加的な利点を提供するために、積み重ねられた画像形成層又は複数の支持層を有する構造が、任意に選択される。
【0018】
好ましい実施態様の場合、電気的に画像形成可能な材料は、電場でアドレスされ、次いで電場が除去されたあとでその画像を維持する。この特性は典型的には「双安定」と呼ばれる。「双安定性」を示す特に好適な電気的に画像形成可能な材料は、電気化学材料、電気泳動材料、例えばGyricon粒子、エレクトロクロミック材料、磁性材料、又はキラル・ネマチック液晶である。特に好ましいのはキラル・ネマチック液晶である。キラル・ネマチック液晶は、ポリマー分散型液晶(PDLC)であってよい。
【0019】
最も好ましいのは、コンベンショナルなポリマー分散型光変調材料を担持する支持体である。液晶(LC)は光スイッチとして使用される。支持体は通常、透明な導電性導体を有するように製造される。電極内には、電気的な「駆動」信号がカップリングされる。駆動信号は電場を誘発する。この電場は、LC材料における相変化又は状態変化を引き起こすことができ、LCはその相及び/又は状態に基づいて、異なる光反射特性を示す。
【0020】
液晶は、中間相における分子の配列に応じて、ネマチック(N)、キラル・ネマチック(N*)、又はスメクチックであってよい。キラル・ネマチック液晶は、ねじれネマチック及び超ねじれネマチックのピッチよりも微細なピッチを有する液晶のタイプを意味する。キラル・ネマチック液晶がこのように名付けられるのは、ホスト・ネマチック液晶にキラル物質を添加することによりこのような液晶配合物が一般に得られるからである。キラル・ネマチック液晶を使用することにより、双安定及び多安定の反射型ディスプレイを提供することができる。このようなディスプレイは、不揮発性「メモリー」の特性により、ディスプレイ画像を維持するための連続駆動回路を必要せず、これにより、電力消費量を著しく低減する。キラル・ネマチック液晶は、場の不在において双安定であり、二つの安定なテクスチャーは、反射プレーナーテクスチャー、及び弱散乱フォーカル・コニック・テクスチャーである。プレーナーテクスチャーの場合、キラル・ネマチック液晶分子の螺旋軸は、液晶が配置された支持体に対してほぼ平行である。フォーカル・コニック・テクスチャーの場合、液晶分子の螺旋軸は、概ねランダムに配向される。キラル・ネマチック材料中のキラル・ドーパントの濃度を調節することにより、分子のピッチ長、ひいては分子が反射する輻射線の波長を調節することができる。科学研究の目的で、赤外線を反射するキラル・ネマチック材料が使用されている。商業的なディスプレイは最も多くの場合、可視光を反射するキラル・ネマチック材料から製作される。米国特許第5,667,853号明細書(引用することにより本明細書中に組み入れる)に記載されているような、ガラス基板に被さる化学エッチングされた透明導電性層を含む、いくつかのLCDデバイスが知られている。
【0021】
例えばフラットパネル型ディスプレイにおいて使用することができる、LCDの代わりとなるディスプレイ技術がある。注目すべき例は、有機又はポリマー発光デバイス(OLED)又は(PLED)である。これらのデバイスは、いくつかの層から成っており、これらの層のうちの一つは、デバイスを横切って電圧を印加することにより電界発光を作るることができる有機材料である。OLEDデバイスは典型的には、基板、例えばガラス又はプラスチック・ポリマーに形成された積層体である。ルミネセント発光有機固形物から成る発光層、並びに隣接する半導体層が、アノードとカソードとの間にサンドイッチされる。半導体層は、正孔注入層及び電子注入層であってよい。PLEDは、ルミネセント発光有機材料がポリマーである、OLEDの亜種と考えることができる。発光層は、数多くの発光有機固形物、例えば好適には蛍光又は化学ルミネセント発光有機化合物であるポリマーのいずれかから選択することができる。このような化合物及びポリマーは、8-ヒドロキシキノレートの金属イオン塩、三価金属キノレート錯体、三価金属架橋キノレート錯体、シッフ塩基二価金属錯体、錫(IV)金属錯体、金属アセチルアセトネート錯体、有機配位子を組み込む金属二座配位子錯体(例えば2-ピコリルケトン、2-キナルジルケトン、又は2-(o-フェノキシ)ピリジンケトン)、ビスホスホネート、二価金属マレオニトリルジチオレート錯体、分子電荷移動錯体、希土類混合キレート、(5-ヒドロキシ)キノキサリン金属錯体、アルミニウムtris-キノレート、及びポリマー、例えばポリ(p-フェニレンビニレン)、ポリ(ジアルコキシフェニレンビニレン)、ポリ(チオフェン)、ポリ(フルオレン)、ポリ(フェニレン)、ポリ(フェニルアセチレン)、ポリ(アニリン)、ポリ(3-アルキルチオフェン)、ポリ(3-オクチルチオフェン)、及びポリ(N-ビニルカルバゾール)を含む。カソード及びアノードを横切って電位が加えられると、電子注入層から電子が、そして正孔注入層から正孔が発光層内に注入され、これらが再結合して光を放つ。OLED及びPLEDは、下記米国特許明細書に記載されており、これら全てを引用することにより本明細書中に組み入れる:米国特許第5,707,745号明細書(Forrest他)、同第5,721,160号明細書(Forrest他)、同第5,757,026号明細書(Forrest他)、同第5,834,893号明細書(Bulovic他)、同第5,861,219号明細書(Thompson他)、同第5,904,916号明細書(Tang他)、同第5,986,401号明細書(Thompson他)、同第5,998,803号明細書(Forrest他)、同第6,013,538号明細書(Burrows他)、同第6,046,543号明細書(Bulovic他)、同第6,048,573号明細書(Tang他)、同第6,048,630号明細書(Burrows他)、同第6,066,357号明細書(Tang他)、同第6,125,226号明細書(Forrest他)、同第6,137,223号明細書(Hung他)、同第6,242,115号明細書(Thompson他)、及び同第6,274,980号明細書(Burrows他)。
【0022】
典型的なマトリックス・アドレス型発光ディスプレイ・デバイスの場合、単一の基板上に多数の発光デバイスが形成され、規則的な格子パターンで群を成すように配列される。活性化は行及び列によって、又は個々のカソード・パス及びアノード・パスを用いて活性マトリックス内で行うことができる。OLEDはしばしば、先ず基板上に透明電極をデポジットし、そしてこれをパターン形成して複数の電極部分にすることにより製造される。次いで、有機層を透明電極上にデポジットする。電極層上に金属電極を形成することができる。例えば米国特許第5,703,436号明細書(Forrest他)(引用することにより本明細書中に組み入れる)では、正孔注入電極として、透明インジウム錫酸化物(ITO)が使用され、そして電子注入のためにはMg--Ag--ITO電極層が使用される。
【0023】
現代のキラル・ネマチック液晶材料は通常、キラル・ドーパントと合体された少なくとも一種のネマチック・ホストを含む。好適なキラル・ネマチック液晶組成物は好ましくは、正の誘電異方性を有し、そしてフォーカル・コニック・テクスチャーとねじれプレーナーテクスチャーとを形成するのに効果的な量のキラル材料を含む。キラル・ネマチック液晶材料が好ましいのは、これらの反射特性、双安定性及びグレースケール・メモリーが優れているからである。キラル・ネマチック液晶は典型的には、所望のピッチ長を形成するのに十分な量のネマチック液晶とキラル材料との混合物である。
【0024】
キラル・ネマチック液晶材料及びセル、並びにポリマー安定化型キラル・ネマチック液晶及びセルが当業者に知られており、例えば米国特許第5,695,682号明細書、米国特許出願第07/969,093号明細書、同第08/057,662号明細書、Yang他、Appl. Phys. Lett. 60(25)第3102-04頁(1992)、Yang他、J. Appl. Phys. 76(2)、第1331頁(1994)、国際特許出願第PCT/US92/09367号明細書、及び国際特許出願第PCT/US92/03504号明細書に記載されている。これらの内容を全てを引用することにより本明細書に組み入れる。
【0025】
好適な商業的なネマチック液晶は例えば、E. Merckによって製造されたE7、E48、E44、E31、E80、TL202、TL203、TL204及びTL205を含む。キラル・ネマチック材料は例えば、Merck Ltd.から得られる下記材料:BL061、BL100、BL101、BL087、BL118、BL036のうちの一つ又は二つ以上を含んでよい。正の誘電異方性を有するネマチック液晶、及び特にシアノビフェニルが好ましいが、負の誘電異方性を有するものを含む、当業者に知られた事実上いかなるネマチック液晶も、本発明において使用するのに適している。キラル・ネマチック液晶材料は、Merck BL112、BL126、BL-03、BL-048、BL-033であってよく、これらはHawthorne, N.Y.在、EM Industriesから入手可能である。その他の好適な材料は、ZLI-3308、ZLI-3273、ZLI-5048-000、ZLI-5049-100、ZLI-5100-000、ZLI-5800-000及びMLC-6041-100を含むことができる。他の光反射性又は拡散変調性の電気的に作業される材料、例えば油中のマイクロカプセル化された電気泳動材料をコーティングすることもできる。ネマチック・ホストの例は、5CB又はMBBAを含有する混合物である。
【0026】
本発明は、光変調層として、連続マトリックス中に分散されたキラル・ネマチック液晶組成物を採用することができる。このような材料は、「ポリマー分散型液晶」材料又は「PDLC」材料と呼ばれる。このような材料は、種々の方法によって形成することができる。例えば、Doane他(Applied Physics Letters 48, 269(1986))には、ポリマー・バインダー中のネマチック液晶5CBの約0.4 mm小滴を含むPDLCが開示されている。この文献を引用することにより本明細書中に組み入れる。PDLCを調製するために、相分離法が用いられる。モノマー及び液晶を含有する溶液をディスプレイ・セル中に充填し、次いでこの材料を重合する。重合時に、液晶は不混和性となり、核生成して小滴を形成する。West他(Applied Physics Letters 63, 1471(1993))(引用することにより本明細書中に組み入れる)には、ポリマー・バインダー中のキラル・ネマチック混合物を含むPDLCが開示されている。PDLCを調製するためにもう一度相分離法を用いる。ポリマーのための架橋剤と一緒に、液晶材料及びポリマー(ヒドロキシで官能化されたポリメチルメタクリレート)を、共通の有機溶剤トルエン中に溶解し、そしてインジウム錫酸化物(ITO)支持体上にコーティングする。高温でトルエンを蒸発させると、ポリマー・バインダー中の液晶材料の分散体が形成される。
【0027】
液晶材料は、当業者に知られた方法、例えば乳化法又は相分離法によって形成することができる。好ましい実施態様の場合、限定凝集処理を用いて、液晶材料を加工することにより、均一なサイズを有する液晶材料エマルジョンを形成することができる。このような方法は、米国特許出願第10/095,379号明細書に開示されている。この明細書全体を引用することにより本明細書中に組み入れる。この方法は、微粉砕シリカ、及び凝集を限定する材料、例えばduPont Corporation製のLUDOXの存在において、液晶材料を均質化することにより実施することができる。水性浴に促進剤材料を添加することにより、コロイド粒子を液-液界面に駆出することができる。好ましい実施態様の場合、水浴内の促進剤として、アジピン酸及び2-(メチルアミノ)エタノールのコポリマーを使用することができる。超音波を使用して液晶材料を分散させることにより、1μm未満のサイズの液晶ドメインを形成することができる。超音波エネルギーを除去すると、液晶材料は凝集して、均一サイズのドメインになる。最小ドメイン・サイズと最大ドメイン・サイズとの比は好ましくは、約1:2だけ変化する。液晶材料に対してシリカ及びコポリマーの量を変化させることにより、顕微鏡で測定して、平均直径約1、3及び8μmの平均ドメイン・サイズのエマルジョンを生成することができる。これらのエマルジョンは、後続のコーティングのためにゼラチン溶液中に希釈することができる。
【0028】
好ましくは、ドメインは、扁平化された球体であり、平均して長さよりも著しく小さな厚み、好ましくは50%以上小さい厚みを有している。より好ましくはドメインの厚み(深さ)と長さとの比は、平均して1:2〜1:6である。ドメインの扁平化は、コーティングの適正な配合及び十分に急速な乾燥によって達成することができる。ドメインの好ましい平均直径は2〜30μmである。画像形成層の好ましい厚さは、先ずコーティングされたときには10〜150μmであり、乾燥させられたときには2〜20μmである。
【0029】
液晶材料の扁平化されたドメインは、長軸と短軸とを有するものとして定義することができる。ディスプレイ又はディスプレイ・シートの好ましい実施態様の場合、長軸のサイズは、ドメインの大部分に関して、セル(又は画像形成層)の厚さよりも大きい。このような寸法の関係は、米国特許第6,061,107号明細書に示されている。この明細書の全体を引用することにより本明細書中に組み入れる。
【0030】
好ましい実施態様の場合、ディスプレイのコントラストは、N*LCドメインの実質的な単層だけを使用することにより、最大化される。「実質的な単層」という用語は、本明細書中では、ディスプレイ平面に対して垂直方向において、ディスプレイのほとんどの点で、好ましくはディスプレイの点(面積)の75 %以上、最も好ましくはディスプレイの点(面積)の90 %以上で、電極間には単一のドメイン層がサンドイッチされているにすぎないことを意味する。換言すれば、大抵の場合には、電極間に単一ドメインだけしかないディスプレイの点(又は面積)の量と比較して、ディスプレイの点(又は面積)のわずかな部分(好ましくは10 %未満)しか、ディスプレイ平面に対して垂直方向において、電極間に単一ドメインよりも多くのドメイン(二つ又は三つ以上のドメイン)を有さない。
【0031】
単層に必要な材料量は、完全密封パックされたドメイン配列を想定して、個々のドメイン・サイズに基づいて計算することによって正確に見極めることができる。実際には、ギャップが発生する欠陥、及びオーバーラップする小滴又はドメインによる何らかの不均一が生じるおそれがある。これに基づいて、算出量は、好ましくは単層ドメイン被覆に必要とされる量の150 %未満、好ましくは、単層ドメイン被覆に必要とされる量の125 %以下、より好ましくは、ドメインの単層に必要とされる量の110 %以下である。さらに、コーティングされた小滴のジオメトリ及びブラッグ反射条件に基づいて、種々異なるドーピングが施されたドメインを適切に選択することにより、視角及び広帯域特徴を改善することができる。
【0032】
一つ又は二つ以上の液晶層は他の成分を含有することもできる。例えば、液晶材料自体によって色が導入されるが、多色性色素を添加することにより、セルによって反射される色を増強し、又は変化させることもできる。同様に、添加剤、例えばヒュームド・シリカを液晶混合物中に溶解することにより、種々のキラル・ネマチック・テクスチャーの安定性を調節することができる。0.25 %〜1.5 %の量の色素を使用することもできる。
【0033】
本発明と共に、少なくとも一つの導電性層を利用することができる。好ましくは、導電性層のうちの少なくとも一つがUV硬化性である。UV硬化性導電性層は、UV硬化性でない導電性材料との組み合わせで使用することができる。他の実施態様の場合、複数の導電性層がUV硬化性であってよい。
【0034】
導電率をより高くするために、導電性層は銀をベースとする層を含んでよい。銀をベースとする層は、銀だけを含有するか、又は異なる元素、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、カドミニウム(Cd)、金(Au)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、錫(Sn)、インジウム(In)、タンタル(Ta)、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、セリウム(Ce)、ケイ素(Si)、鉛(Pb)又はパラジウム(Pd)を含有する銀を含有する。
【0035】
好ましい実施態様の場合、導電性層は、金、銀及び金/銀合金のうちの少なくとも一つ、例えば、より薄い金層が一方又は両方の側にコーティングされた銀層を含む。Polaroid Corporationによる国際公開第99/36261号パンフレットを参照されたい。このパンフレットを引用することにより本明細書中に組み入れる。別の実施態様の場合、導電性層は、銀合金層、例えば酸化インジウムセリウム(InCeO)層が一方又は両方の側にコーティングされた銀層を含んでよい。米国特許第5,667,853号明細書を参照されたい。この明細書を引用することにより本明細書中に組み入れる。UV硬化性導電性層は、より薄い金属層が一方又は両方の側にコーティングされた銀層として塗布することもできる。
【0036】
導電性層は、アルミニウム、錫、銀、白金、炭素、タングステン、モリブデン又はインジウムのような材料を使用して、真空環境において形成することができる。これらの金属の酸化物を使用して、パターン形成可能な導電性層を暗くすることができる。金属材料は、抵抗加熱、カソード・アーク、電子ビーム、スパッタリング又はマグネトロン励起から生じたエネルギーによって励起することができる。導電性層は、酸化錫又はインジウム錫酸化物から成るコーティングを含むことができ、その結果、層は透明となる。二つ以上の導電性層を設けることができる。
【0037】
好適な材料は、好適な支持構造、例えば一つ又は二つ以上の電極上又は電極間に配置された電気的変調型材料を含んでよい。本明細書中で使用される「電気的変調型材料」という用語は、任意の好適な不揮発性材料を含むものとする。電気的変調型材料に適した材料が、米国特許出願第09/393,553号明細書、及び米国特許仮出願第60/099,888号明細書に記載されている。これら両出願明細書の内容を引用することにより本明細書中に組み入れる。
【0038】
電気的変調型材料は、粒子又は微視的な容器又はマイクロカプセルの配列を有する印刷可能な導電性インクであってもよい。各マイクロカプセルは、流体、例えば誘電流体又はエマルジョン流体の電気泳動組成物、及び着色粒子又は荷電粒子又はコロイド材料の懸濁液を含有する。マイクロカプセルの直径は典型的には30〜300μmである。1実施態様によれば、粒子は誘電粒子に対して視覚的にコントラストを成す。別の例によれば、電気的変調型材料は、回転可能なボールを含んでよい。これらのボールは回転することにより、異なる着色表面領域を暴露し、そして前方観察位置及び/又は後方非観察位置の間を移動することができる。このような材料は例えばジリコンである。具体的には、ジリコンはねじれ回転要素から成る材料であり、これらの要素は、液体が充填された球体キャビティ内に含有され、エラストマー媒質中に埋め込まれている。回転要素は、外部電場を印加することにより、光学特性の変化を示すように形成することができる。所与の極性を有する電場を印加すると、回転要素の1セグメントがディスプレイの観察者に向かって回転し、このセグメントを観察者が見ることできる。対向極性を有する電場を印加すると、要素が回転して、第2の異なるセグメントを観察者に晒すことになる。ジリコン・ディスプレイは、電場がディスプレイ集成体にアクティブに印加されるまで、所与の形態を維持する。ジリコン粒子の直径は典型的には約100μmである。ジリコン材料は、米国特許第6,147,791号明細書、同第4,126,854号明細書、及び同第6,055,091号明細書に開示されている。これらの明細書の内容を引用することにより本明細書中に組み入れる。
【0039】
1実施態様によれば、マイクロカプセルには、黒色色素又は着色色素中の荷電白色粒子を充填することができる。電気的変調型材料、及び本発明と共に使用するのに適したインクの配向を制御するか又は生じさせることができる集成体を製作する方法の例は、国際公開第98/41899号パンフレット、国際公開第98/19208号パンフレット、国際公開第98/03896号パンフレット、及び国際公開第98/41898号パンフレットに示されている。これらの内容を引用することにより本明細書中に組み入れる。
【0040】
電気的変調型材料は、米国特許第6,025,896号明細書に開示された材料を含むこともできる。この明細書の内容を引用することにより本明細書中に組み入れる。この材料は、多数のマイクロカプセル内にカプセル化された液状分散媒質中の荷電粒子を含む。荷電粒子は異なるタイプの色及び電荷極性を有してよい。例えば白色正荷電粒子を黒色負荷電粒子と共に採用することができる。上記マイクロカプセルは一対の電極間に配置されるので、荷電粒子の分散状態を変化させることにより、所望の画像が材料によって形成され、そして表示される。荷電粒子の分散状態は、電気的変調型材料に印加された、制御された電場を介して変化させられる。好ましい実施態様によれば、マイクロカプセルの粒子直径は5μm〜200μmであり、荷電粒子の粒子直径は、マイクロカプセルの粒子直径の1000分の1〜5分の1のサイズである。
【0041】
さらに、電気的変調型材料はサーモクロミック材料を含んでよい。サーモクロミック材料は、熱が加えられると、透明と不透明との間で交互にその状態を変化させることができる。こうして、サーモクロミック画像形成材料は、特定の画素位置に熱を加えることにより画像を現像して、画像形成する。サーモクロミック画像形成材料は、熱が材料に再び加えられるまで、特定の画像を維持する。書換え可能な材料は透明なので、下に位置するUV蛍光印刷、デザイン及びパターンを書換え可能な材料を通して見ることができる。
【0042】
電気的変調型材料は、表面安定化型強誘電性液晶(SSFLC)を含むこともできる。表面安定化型強誘電性液晶は、密な間隔で配置されたガラス・プレート間に強誘電性液晶材料を閉じ込めることにより、液晶の天然螺旋形態を抑制する。セルは、印加された電場の符号を交互に変えるだけで、光学的に区別可能な二つの安定状態間で迅速に切換わる。
【0043】
エマルジョン中に懸濁された磁性粒子は、本発明と共に使用するのに適した付加的な画像形成材料を含む。人間及び/又は機械によって読むことができる兆候を作成、更新又は変更するためには、磁力を加えることにより、磁性粒子で形成された画素を変化させる。当業者には明らかなように、種々の双安定の不揮発性画像形成材料が利用可能であり、本発明において実施することができる。
【0044】
電気的変調型材料は、単色、例えば黒、白又は透明なものとして構成することもでき、また蛍光、玉虫色、生体発光、白熱、紫外線、赤外線であってよく、或いは、波長に対して特異的な輻射線吸収材料又は輻射線放出材料を含んでよい。電気的変調型材料層は複数あってよい。電気的変調型材料の異なる層又は領域が、異なる特性又は色を有してよい。さらに、種々の層の特性は、互いに異なっていてよい。例えば一つの層は、可視光範囲において情報を見る又は表示するのに使用することができるのに対して、第2の層は紫外線に応答するか、又は紫外線を放出する。或いは、見ることができない層は、輻射線吸収特性又は輻射線放出特性を有する非電気的変調型材料から構成することもできる。本発明との関連において採用された電気的変調型材料の特徴は、これが兆候の表示を維持するのに電力を必要としないことである。
【0045】
硬化性層は誘電材料を含んでよい。本発明の目的上、誘電層は導電性ではない層であるか、又は電気の流れをブロックする層である。この誘電材料は、UV硬化性で熱可塑性のスクリーン印刷可能な材料、例えばAcheson Corporation製のElectrodag 25208誘電コーティングを含んでよい。誘電材料は、誘電層を形成する。この層は、画像領域を規定するための開口を含んでよい。これらの画像領域は開口と合致する。画像は透明基板を通して見られるので、兆候の画像は鏡像として形成される。
【0046】
誘電材料は、続いて光変調層に第2の電極を結合するための接着層を形成することができる。熱及び圧力に関与するコンベンショナルな貼合わせ技術を採用することにより、永久的な耐久性のある結合を達成する。或る特定の熱可塑性ポリエステル、例えばBostic Corp.製のVITEL 1200及び3200樹脂、ポリウレタン、例えばMorton International製のMORTHANE CA-100、ポリアミド、例えばUnion Camp Corp.製のUNIREZ 2215、ポリビニルブチラール、例えばMonsanto製のBUTVAR B-76、及びポリ(ブチルメタクリレート)、例えばICI Acrylics Inc.製のELVACITE 2044が、導電性層と光変調層との間に実質的な結合を提供することもできる。
【0047】
誘電接着層は、乾燥厚1〜3μmで一般の有機溶剤からコーティングすることができる。誘電接着層は、水性溶剤又は分散体からコーティングすることもできる。ポリビニルアルコール、例えばAir Products製のAIRVOL 425又はMM-51、及びポリ(メチルビニルエーテル/無水マレイン酸)、例えばGAF Corp製のGANTREZ AN-119を水中に溶解し、続いて第2の電極上にコーティングし、厚さ1〜3μmまで乾燥させ、そして光変調層に貼合わせることができる。或る特定のポリアミドの水性分散体、例えばArizona Chemical製のMICROMID 142LTL、ポリエステル、例えばEastman Chemical Products Inc.製のAQ 29D、スチレン/ブタジエンコポリマー、例えばReichhold Chemicals製のTYLAC 68219-00、及びアクリル酸/スチレンコポリマー、例えばSpecialty Polymer Inc.製のRayTech 49及びRayKote 234Lを、前述の誘電接着層として利用することもできる。
【0048】
硬化プロセスは、コーティング硬化の当業者に知られている任意の手段、例えば光、熱、空気流、化学反応、又はその他のエネルギー源を加えることにより生じることができる。硬化プロセスの光活性化は、紫外線、可視光、赤外線、又はこれらの組み合わせに当て、これにより次いで化学反応を開始して、例えば架橋重合を介して材料を硬化させることにより生じることができる。
【0049】
典型的な硬化プロセスは、いくつかの工程:(a)開始、(b)機械搬送硬化、及び(c)巻取りロール硬化で行われる。コーティングを硬化させるためには二つの主要な方法、つまり化学線及び熱による方法がある。化学線硬化の場合、揮発分10%未満のプレポリマー・インクの重合を、電磁エネルギーを加えることにより開始する。このプロセスには、386ナノメーター未満のUV波長を用いる。線量限界は100〜700 mJ/cm2であり、300〜500 mJ/cm2が好ましい。温度及び空気流は当業者にとっては標準的である。機械硬化は、UV硬化においてはほとんど行われないが、プロセスを十分に完成するためには付加的な時間が必要となる。巻取りロールの場合、ウェブは、完全に硬化させるために、ラップ間接触なしの時間を必要とする。温度限界は10〜100℃であり、20〜30℃が好ましく、湿度限界は0〜90 %であり、40〜60 %が好ましく、そして空気流限界は0〜4000 fpmであり、0〜15 fpmが好ましい。数多くの種類のガスのいずれかの存在は、このプロセスに有用であり、空気又は窒素が好ましい。
【0050】
熱硬化性溶剤コーティングは、コーティング全体の最大75%であってよい揮発分を駆除するために拡散及び対流に依存する。開始及び搬送硬化は、ウェブに沿って、又はウェブを横切って運動する高温ガスを加えることにより行われる。空気搬送技術がよく知られており、これらのプロセスのために標準的技法が存在する。巻取りロールの場合、乾燥作業は通常は継続しないが、ラップ間が接触しないように層が所定の間隔を置いて設けられると、乾燥作業は継続することができる。温度限界は20〜100℃であり、70〜90℃が好ましく、湿度限界は20〜60 %であり、30〜50 %が好ましく、そして空気流限界は0〜4000 fpmであり、0〜15 fpmが好ましい。
【0051】
液晶は、中間相における分子の配列に応じて、ネマチック(N)、キラル・ネマチック(N*)、又はスメクチックであってよい。キラル・ネマチック液晶(N*LC)ディスプレイは、典型的には反射性であり、すなわちバックライトが必要でなく、偏光フィルム又はカラー・フィルターを使用することなしに機能することができる。
【0052】
本発明の好ましい実施態様の場合、ディスプレイ・デバイス又はディスプレイ・シートは単に、ディスプレイ面に対して垂直な線に沿った、液晶材料から成る単一の画像形成層、好ましくは可撓性を有する基板上にコーティングされた単層を有する。対向する基板の間にそれぞれ鉛直方向に積み重ねられた画像形成層と比較して、このような構造は、モノクロ棚ラベルなどに特に有利である。しかし、積み重ねられた画像形成層を有する構造は、何らかの事例において付加的な利点を提供するための任意の選択肢ではある。
【0053】
現代のキラル・ネマチック液晶材料は通常、キラル・ドーパントと合体された少なくとも一種のネマチック・ホストを含む。一般に、ネマチック液晶相は、有用な複合特性を提供するように組合わされた1種又は2種以上のメソゲニック成分から構成されている。多くのこのような材料は商業的に入手可能である。キラル・ネマチック液晶混合物のネマチック成分は、適切な液晶特性を有する任意の好適なネマチック液晶混合物又は組成物から成ることができる。本発明における使用に適したネマチック液晶は、好ましくは、ネマチック又はネマトゲニック物質から、例えばアゾキシベンゼン、ベンジリデンアニリン、ビフェニル、ターフェニル、フェニル又はシクロヘキシルベンゾエート、シクロヘキサンカルボン酸のフェニル又はシクロヘキシルエステル;シクロヘキシル安息香酸のフェニル又はシクロヘキシルエステル;シクロヘキシルシクロヘキサンカルボン酸のフェニル又はシクロヘキシルエステル;安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸及びシクロヘキシルシクロヘキサンカルボン酸のシクロヘキシルフェニルエステル;フェニルシクロヘキサン;シクロヘキシルビフェニル;フェニルシクロヘキシルシクロヘキサン;シクロヘキシルシクロヘキサン;シクロヘキシルシクロヘキセン;シクロヘキシルシクロヘキシルシクロヘキサン;1,4-ビス-シクロヘキシルベンゼン;4,4-ビス-シクロヘキシルビフェニル;フェニル-又はシクロヘキシルピリミジン;フェニル-又はシクロヘキシルピリジン;フェニル-又はシクロヘキシルピリダジン;フェニル-又はシクロヘキシルジオキサン;フェニル-又はシクロヘキシル-1,3-ジチアン;1,2-ジフェニルエタン;1,2-ジシクロヘキシルエタン;1-フェニル-2-シクロヘキシルエタン;1-シクロヘキシル-2-(4-フェニルシクロヘキシル)エタン;1-シクロヘキシル-2',2-ビフェニルエタン;1-フェニル-2-シクロヘキシルフェニルエタン;任意にはハロゲン化されたスチルベン;ベンジルフェニルエーテル;トラン;置換型桂皮酸及びエステルの既知のクラス;及びネマチック又はネマトゲニック物質の更なるクラスから選択された低分子量の化合物から構成される。これらの化合物における1,4-フェニレン基は、横方向にモノ又はジフッ素化することもできる。この好ましい実施態様の液晶材料は、このタイプのアキラル化合物に基づいている。これらの液晶材料の成分として考えられ得るもっとも重要な化合物は、下記式R'-X-Y-Z-R''によって特徴付けすることができる。上記式中、同一又は異なるものであってよいX及びZはそれぞれの事例において、互いに独立して、-Phe-、Cyc-、Phe-Phe-、-Phe-Cyc-、-Cyc-Cyc-、Pyr-、-Dio-、-B-Phe-及び-B-Cyc-によって形成された群から選択された二価基であり;Pheは無置換型又はフッ素置換型1,4-フェニレンであり、Cycはトランス-1,4-シクロヘキシレン又は1,4-シクロヘキセニレンであり、Pyrはピリミジン-2,5-ジイル又はピリジン-2,5-ジイルであり、Dioは1,3-ジオキサン-2,5-ジイルであり、そしてBは2-(トランス-1,4-シクロヘキシル)エチル、ピリミジン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイルである。これらの化合物におけるYは、下記二価基-CH=CH-、-C≡C-、-N=N(O)-、-CH=CY'-、-CH=N(O)-、CH2-CH2-、-CO-O-、CH2-O-、-CO-S-、CH2-S-、-COO-Phe-COO-又は単結合から選択され、Y'はハロゲン、好ましくは塩素又は-CNであり;R'及びR''はそれぞれの事例において、互いに独立して、炭素原子数1〜18、好ましくは1〜12のアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルカノイルオキシ、アルコキシカルボニル又はアルコキシカルボニルオキシであり、或いはR'及びR''の一方が、-F、-CF3、-OCF3、-Cl、-NCS又は-CNである。これらの化合物のほとんどの場合、R'及びR''はそれぞれの事例において、互いに独立して、鎖長が異なるアルキル、アルケニル又はアルコキシであり、ネマチック媒質中の炭素原子の合計は、一般に2〜9、好ましくは2〜7である。ネマチック液晶相は典型的には2〜20種、好ましくは2〜15種の成分から成る。上記材料のリストは、排他的又は限定的であることを意図するものではない。リストは、使用に適した種々の代表的な材料又は混合物を開示し、これらは、電気光学液晶組成物中の活性要素を含む。
【0054】
好適なキラル・ネマチック液晶組成物は好ましくは、正の誘電異方性を有し、そしてフォーカル・コニック・テクスチャーとねじれプレーナーテクスチャーとを形成するのに効果的な量のキラル材料を含む。キラル・ネマチック液晶材料が好ましいのは、これらの反射特性、双安定性及びグレースケール・メモリーが優れているからである。キラル・ネマチック液晶は典型的には、所望のピッチ長を形成するのに十分な量のネマチック液晶とキラル材料との混合物である。好適な商業的なネマチック液晶は例えば、E. Merck(ドイツ国Darmstadt)によって製造されたE7、E44、E48、E31、E80、BL087、BL101、ZLI-3308、ZLI-3273、ZLI-5048-000、ZLI-5049-100、ZLI-5100-000、ZLI-5800-000、MLC-6041-100、TL202、TL203、TL204及びTL205を含む。正の誘電異方性を有するネマチック液晶、及び特にシアノビフェニルが好ましいが、負の誘電異方性を有するものを含む、当業者に知られた事実上いかなるネマチック液晶も、本発明において使用するのに適している。当業者には明らかなように、本発明において使用するには、他のネマチック材料が好適であることもある。
【0055】
中間層の螺旋ねじれを誘発し、これにより可視光の反射を可能にするために、ネマチック混合物に添加されるキラル・ドーパントは、任意の有用な構造クラスを有していてよい。ドーパントは、いくつかの特性に応じて選択される。これらの特性はとりわけ、ネマチック・ホストとの化学的適合性、螺旋ねじれ力、温度感受性、及び耐光性を含む。多くのキラル・ドーパント・クラスは当業者に知られている:例えばG. Gottarelli及びG. Spada, Mol. Cryst. Liq. Crys., 123, 377(1985);G. Spada及びG. Proni, Enantiomer, 3, 301(1998)及びこれらの文献における参考文献(これらを引用することにより本明細書中に組み入れる)。よく知られた典型的なドーパント・クラスは、1,1-ビナフトール誘導体;米国特許第6,217,792号明細書(この明細書を引用することにより本明細書中に組み入れる)に開示されているようなイソソルビド(D-1)及び同様のイソマニド・エステル;米国特許第6,099,751号明細書(この明細書を引用することにより本明細書中に組み入れる)に開示されているようなTADDOL誘導体(D-2);及び、2003年8月29日付けで出願されたT. Welter他による米国特許出願第10/651,692号明細書(発明の名称「Chiral Compounds and Compositions Containing the Same」)(この明細書を引用することにより本明細書中に組み入れる)に開示されているようなペンディング・スピロインダン・エステル(D-3)を含む。
【0056】
【化1】
【0057】
液晶材料のピッチ長は、下記等式(1):
λmax=navp0
(上記式中、λmaxはピーク反射波長、すなわちこの波長において反射率が最大であるような波長であり、navは、液晶材料の平均屈折率であり、そしてp0は、キラル・ネマチック螺旋の天然ピッチ長である。)に基づいて調節することができる。
【0058】
キラル・ネマチック螺旋及びピッチ長の定義、並びにその測定方法は、書籍Blinov, L. M., Electro-optical and Magneto-Optical Properties of Liquid Crystals, John Wily & Sons Ltd. 1983(これを参考のため本明細書に引用する)に見いだすことができるように、当業者に知られている。ピッチ長は、液晶材料におけるキラル材料の濃度を調節することにより、ピッチ長が改変される。キラル・ドーパントの大抵の濃度に関して、ドーパントによって誘発されたピッチ長は、ドーパントの濃度に対して反比例する。比例定数は下記等式(2):
【0059】
p0=1/(HTP.c)
(cはキラル・ドーパントの濃度であり、HTPは比例定数である)
によって与えられる。
【0060】
いくつかの用途の場合、強い螺旋ねじれと、ひいては短いピッチ長とを示すLC混合物を有することが望ましい。例えばキラル・ネマチック・ディスプレイを選択的に反射する際に使用される液晶混合物において、ピッチは、キラル・ネマチック螺旋によって反射された波長の最大値が可視光範囲内にあるように選択されなければならない。他の考えられ得る用途は、光学素子、例えばキラル・ネマチック広帯域偏光子、フィルター・アレイ、又はキラル液晶リターデーション・フィルムのためのキラル液晶相を有するポリマー・フィルムである。これらの中には、能動的及び受動的光学素子又はカラー・フィルター及び液晶ディスプレイ、例えばSTN、TN、AMD-TN、温度補償、無ポリマー型又はポリマー安定化型のキラル・ネマチック・テクスチャー(PFCT、PSCT)ディスプレイがある。考えられ得るディスプレイ産業用途は、ノートブック型及びデスクトップ型コンピューター、計器盤、ビデオゲーム機、テレビ電話、携帯電話、ハンドヘルドPC、PDA、e-ブック、ビデオカメラ、衛星ナビゲーション・システム、店舗及びスーパーマーケットの価格設定システム、幹線道路標識、情報ディスプレイ、スマートカード、玩具、及びその他の電子デバイスの超軽量の可撓性の低廉なディスプレイを含む。
【0061】
キラル・ネマチック液晶材料及びセル、並びにポリマー安定化型キラル・ネマチック液晶材料及びセルが、米国特許出願第07/969,093号明細書、同第08/057,662号明細書、Yang他、Appl. Phys. Lett. 60(25)第3102-04頁(1992)、Yang他、J. Appl. Phys. 76(2)、第1331頁(1994)、国際特許出願第PCT/US92/09367号明細書、及び国際特許出願第PCT/US92/03504号明細書に記載されている。これら全てを引用することにより本明細書中に組み入れる。
【0062】
好ましい実施態様の場合、光変調層は第1の導体上にデポジットされる。光変調層はキラル・ネマチック液晶を含有する。選択された材料は好ましくは、高い光学的且つ電気的異方性を示し、材料が電気的に配向されたときに、キャリア・ポリマーの屈折率とマッチングする。このような材料の例は、E. MerckのBL-03、BL-048又はBL-033であり、これらはHawthorne, N.Y.在、EM Industriesから入手可能である。他の光反射性又は拡散変調性の電気的に作業される材料、例えば油中のマイクロカプセル化された電気泳動材料をコーティングすることもできる。
【0063】
液晶は、コレステリック液晶としても知られているキラル・ドープ型ネマチック液晶、例えば米国特許第5,695,682号明細書に開示された液晶であってよい。種々の強度及び継続時間を有する場を印加することにより、反射状態から透過状態へキラル・ドープ型ネマチック材料の状態が変化する。これらの材料の利点は、場が除去されたあと、所与の状態を無期限に維持することである。コレステリック液晶材料は、Hawthorne, N.Y.在、EM Industriesから入手可能なBL112、BL118又はBL126であってよい。光変調層は二つの条件において効果的である。
【0064】
可撓性を有するプラスチック基板は、薄い導電性金属フィルムを支持する任意の可撓性を有する自立性プラスチック・フィルムであってよい。「プラスチック」は、通常は高分子合成樹脂から形成される高分子物質であり、この高分子物質は、他の成分、例えば硬化剤、充填剤、強化剤、着色剤及び可塑剤と組み合わせることができる。プラスチックは、熱可塑性材料及び熱硬化性材料を含む。
【0065】
可撓性を有するプラスチック・フィルムは、自立性であるのに十分な厚さ及び機械的完全性を有さなければならないが、剛性であるほど厚くあるべきではない。典型的には、可撓性を有するプラスチック・フィルムの厚さは、複合フィルムの最も厚い層である。結果として、基板は、完全に構造化された複合フィルムの機械的且つ熱的な安定性をかなりの程度まで決定する。
【0066】
可撓性を有するプラスチック基板材料の別の有意な特徴は、そのガラス転移温度(Tg)である。Tgは、プラスチック材料がガラス状態からゴム状態へ変化することになるガラス転移温度として定義される。Tgは、材料が実際に流動する前の所定の範囲を含んでよい。可撓性を有するプラスチック基板に適した材料は、ガラス転移温度が比較的低い、例えば最大150℃の熱可塑性材料、並びに、ガラス転移温度がより高い、例えば150℃を上回る材料を含む。可撓性を有するプラスチック基板のための材料の選択は、製造プロセス条件、例えばデポジション温度及びアニール温度、並びに製造後条件、例えばディスプレイ製造業者のプロセス・ラインにおける条件のようなファクターに依存することになる。下で論議するプラスチック基板のうちの或るものは、最小200℃までのより高い処理温度に耐えることができ、また或るものは、300〜350℃までのより高い処理温度に、損傷なしに耐えることができる。
【0067】
典型的には、可撓性を有するプラスチック基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、セルロースアセテート、脂肪族ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオリド、ポリ(メチル(x-メタクリレート)、脂肪族又は環状ポリオレフィン、ポリアリーレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、テフロン(登録商標)ポリ(ペルフルオロ-アルボキシ)フルオロポリマー(PFA)、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、ポリ(エーテルケトン)(PEK)、ポリ(エチレンテトラフルオロエチレン)フルオロポリマー(PETFE)、及び、ポリ(メチルメタクリレート)及び種々のアクリレート/メタクリレートのコポリマー(PMMA)である。脂肪族ポリオレフィンは、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、及び配向されたポリプロピレン(OPP)を含むポリプロピレンを含むことができる。環状ポリオレフィンはポリ(ビス-シクロペンタジエン))を含むことができる。好ましい可撓性を有するプラスチック基板は、環状ポリオレフィン又はポリエステルである。種々の環状ポリオレフィンは、可撓性を有するプラスチック基板に適している。その例は、Japan Synthetic Rubber Co.(日本国東京)製のArton(商標);Zeon Chemicals L.P.(日本国東京)製のZeanor T;及びCelanese A. G.(ドイツ国Kronberg)製のTopas(商標)を含む。Artonは、ポリマーのフィルムであるポリ(ビス-シクロペンタジエン))濃縮物である。或いは、可撓性を有するプラスチック基板は、ポリエステルであってもよい。好ましいポリエステルは、芳香族ポリエステル、例えばAryliteである。プラスチック基板の種々の例が上に示されているが、言うまでもなく、基板は他の材料、例えばガラス及び石英から形成することもできる。
【0068】
可撓性を有するプラスチック基板は、硬質コーティングで強化することができる。典型的には、硬質コーティングはアクリル・コーティングである。このような硬質コーティングは典型的には厚さ1〜15μm、好ましくは2〜4μmであり、そして適切な重合可能な材料のラジカル重合によって提供することができる。このラジカル重合は、熱又は紫外線によって開始される。基板に応じて、種々異なる硬質コーティングを使用することができる。基板がポリエステル又はArtonである場合、特に好ましい硬質コーティングは、「Lintec」として知られるコーティングである。LintecはUV硬化型ポリエステルアクリレートとコロイド・シリカとを含有する。Arton上にデポジットされると、Lintecは、水素を除いて、35原子%のC、45原子%のO、及び20原子%のSiから成る表面組成を有する。別の特に好ましい硬質コーティングは、Tekra Corporation(New Berlin, Wisconsin)によって「Terrapin」の商品名で販売されているアクリル・コーティングである。
【0069】
1実施態様の場合、シートは、ポリマー分散型光変調材料を支持する。シートは基板を含む。基板は高分子材料、例えばポリエステル・プラスチックから形成されたKodak Estarフィルムベースから成っていてよく、その厚さは20〜200μmであってよい。例えば基板は、透明ポリエステルの80μm厚シートであってよい。他のポリマー、例えば透明ポリカーボネートを使用することもできる。或いは、基板15は薄い透明ガラスであってよい。
【0070】
LCDは、少なくとも一つの透明導電性層を含有する。この層は典型的には一次金属酸化物から成る。この導電性層は、他の金属酸化物、酸化インジウム、酸化ハフニウム、二酸化チタン、酸化カドミウム、酸化ガリウムインジウム、五酸化ニオビウム及び二酸化錫を含んでよい。Polaroid Corporationによる国際公開第99/36261号パンフレットを参照されたい。このパンフレットを引用することにより本明細書中に組み入れる。一次酸化物、例えばITOに加えて、少なくとも一つの導電性層は二次金属酸化物、例えばセリウム、チタニウム、ジルコニウム、及び/又はタンタルの酸化物を含んでもよい。Fukuyoshi他(Toppan Printing Co.)の米国特許第5,667,853号明細書を参照されたい。この明細書を引用することにより本明細書中に組み入れる。他の透明導電性酸化物の一例としては、ZnO2、Zn2SnO4、Cd2SnO4、Zn2In2O5、MgIn2O4、Ga2O3--In2O3、又はTaO3が挙げられる。導電性層は、下側に位置する層の1種又は2種以上の材料に応じて、例えば低温スパッタリング技術、又は直流スパッタリング技術、例えばDC-スパッタリング又はRF-DCスパッタリングによって形成することができる。導電性層は、酸化錫又はインジウム錫酸化物(ITO)、又はポリチオフェンから成る透明な導電性層であってよく、ITOが好ましい材料である。典型的には、導電性層は、スクエア当たり250オーム未満の抵抗まで、基板にスパッタリングされる。或いは、導電性層は、金属、例えば銅、アルミニウム又はニッケルから形成された不透明な電気的導体であってもよい。導電性層が不透明な金属である場合、この金属は、光吸収導電性層を形成するための金属酸化物であってよい。
【0071】
インジウム錫酸化物(ITO)が好ましい導電性材料である。それというのも、ITOは良好な環境安定性、最大90%の透過率、及びスクエア当たり最小20オームの抵抗率を有するコスト的に効果的な導体であるからである。好ましいITO層の例は、光の可視域、すなわち400 nm超〜700 nmにおいて80 %以上の%透過率(%T)を有するので、フィルムはディスプレイ用途に有用となる。好ましい実施態様の場合、導電性層は、多結晶性の低温ITO層を含む。ITO層の厚さは、プラスチック上に20〜60 オーム/スクエアの抵抗率を達成するように、10〜120 nm又は50〜100 nmである。好ましいITO層の例は、60〜80 nm厚である。
【0072】
導電性層は好ましくはパターン形成される。導電性層は好ましくはパターン形成されることにより、複数の電極になる。パターン形成された電極を使用することにより、LCDデバイスを形成することができる。別の実施態様の場合、二つの導電性基板を、互いに面した状態で位置決めし、これらの間にコレステリック液晶を位置決めすることにより、デバイスを形成する。パターン形成されたITO導電性層は、種々の寸法を有してよい。寸法の例は、線幅10μm、線間の距離、すなわち電極幅200μm、カット深さ、すなわちITO導体の厚さ100ナノメーターを含むことができる。60、70、及び100ナノメーターを上回るオーダーのITO厚さも可能である。
【0073】
ディスプレイは、光変調層の表面に塗布された第2の導電性層を含有することもできる。第2の導電性層は、光変調層全体にわたって場を担持するのに十分な導電率を有するのが望ましい。第2の導電性層は、アルミニウム、錫、銀、白金、炭素、タングステン、モリブデン又はインジウムのような材料を使用して、真空環境において形成することができる。これらの金属の酸化物を使用して、パターン形成可能な導電性層を暗くすることができる。金属材料は、抵抗加熱、カソード・アーク、電子ビーム、スパッタリング又はマグネトロン励起から生じたエネルギーによって励起することができる。第2の導電性層は、酸化錫又はインジウム錫酸化物から成るコーティングを含むことができ、その結果、層は透明となる。或いは、第2の導電性層は、印刷された導電性インクであってもよい。
【0074】
導電率をより高くするために、導電性層は銀をベースとする層を含んでよい。銀をベースとする層は、銀だけを含有するか、又は異なる元素、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、カドミニウム(Cd)、金(Au)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、錫(Sn)、インジウム(In)、タンタル(Ta)、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、セリウム(Ce)、ケイ素(Si)、鉛(Pb)又はパラジウム(Pd)を含有する銀を含有する。好ましい実施態様の場合、導電性層は、金、銀及び金/銀合金のうちの少なくとも一つ、例えば、より薄い金層が一方又は両方の側にコーティングされた銀層を含む。Polaroid Corporationによる国際公開第99/36261号パンフレットを参照されたい。このパンフレットを引用することにより本明細書中に組み入れる。別の実施態様の場合、導電性層は、銀合金層、例えば酸化インジウムセリウム(InCeO)層が一方又は両方の側にコーティングされた銀層を含んでよい。米国特許第5,667,853号明細書を参照されたい。この明細書を引用することにより本明細書中に組み入れる。
【0075】
第2の導電性層をパターン形成して、紫外線を多層導体/基板構造に輻射することができるので、導電性層の部分がこの構造からアブレートされる。プラスチック・フィルムに被さる金属導電性層をパターン形成し、導体/基板構造上のパターンを走査することにより導電性層を直接的にアブレートするために、赤外線(IR)ファイバー・レーザーを採用することも知られている。国際公開第99/36261号パンフレット、及び「42.2: A New Conductor Structure for Plastic LCD Applications Utilizing 'All Dry' Digital Laser Patterning」1998 SID International Symposium Digest of Technical Papers, Anaheim, Calif., 1998年5月17-22日、第29巻、1998年5月17日、第1099-1101頁を参照されたい。両文献を引用することにより本明細書中に組み入れる。
【0076】
LCDは、導電性層と基板との間に少なくとも一つの「機能層」を含むこともできる。機能層は保護層又はバリア層を含んでよい。好ましいバリア層は、気体バリア又は湿分バリアとして作用することができ、またSiOx、AlOx又はITOを含むことができる。保護層、例えばアクリル硬質コートは、レーザー光が保護層と基板との間の機能層に達するのを防止し、これによりバリア層及び基板の双方を保護するように機能する。機能層は、基板に対する導電性層の接着プロモーターとして役立つこともできる。
【0077】
別の実施態様の場合、高分子支持体がさらに静電防止層を含むことにより、ロール搬送又はシート仕上げ中のシート又はウェブ上に形成される不所望な帯電を管理することができる。液晶は電圧によって状態間で切換えられるので、ウェブ表面上の十分な電圧の電荷蓄積が、電場を形成することができる。この電場は放電時に、液晶の一部を切換えることができる。巻取り、搬送、スリッティング、細断及び仕上げが、多くのウェブ基板上に帯電を引き起こし得ることが、写真ウェブ材料の当業者によく知られている。高帯電は、一方の側で導電性であるが他方の側では導電性ではないプラスチック・ウェブに特有の問題である。ウェブの一方の側に電荷が放電するまで蓄積し、感光性写真材料においては、放電の結果カブリが生じるおそれがある。カブリは、放電から引き起こされたスパークの結果として生じる、制御されない露光である。同様の予防措置及び静電管理が、製造中又は液晶ディスプレイの最終用途において必要である。本発明の別の実施態様の場合、静電防止の表面抵抗率は105〜1012である。1012を上回ると、静電防止層は典型的には、写真システムにおいてはカブリを予防する程度まで電荷蓄積を防止するのに十分な電荷の伝導を可能にせず、又は液晶ディスプレイにおいては不所望な点切換えを防止するのに十分な電荷の伝導を可能にしない。105を上回る層は帯電を防止しはするものの、大抵の静電防止材料は本来導電性ではなく、105よりも導電率が高いこれらの材料の場合、通常は、ディスプレイの透過特性全体を低減する材料と関連する何らかの色がある。静電防止層は、ITOの高導電性層とは離れており、これがウェブ基板の、ITO層の側とは反対側に位置していると、最良の静電制御を可能にする。静電防止層はウェブ基板自体を含んでよい。
【0078】
機能層の一つのタイプは色コントラスト層であってよい。色コントラスト層は輻射線反射層又は輻射線吸収層であってよい。好ましくは反射又は吸収される輻射線は光輻射線である。いくつかの事例において、それぞれのディスプレイの最も後ろ側の基板は、好ましくは黒くペイントされてよい。黒色ペイントは、ディスプレイの裏に達する赤外線を吸収する。スタック型セル・ディスプレイの場合、コントラストは、最後の可視セルの裏側の基板を黒色にペイントすることにより改善することができる。ペイントは好ましくは赤外線を通す。このことは、コントラストを改善し、しかも赤外ディスプレイの観察特性を変えない黒色の背景を有する可視セルを効果的に提供する。赤外域において透明なペイント、例えば黒色ペイントが、当業者に知られている。例えばコンピュータ・キー上に文字を印刷するために使用される多くのタイプの黒色ペイントは、赤外線を通す。1実施態様の場合、光吸収体は、入射光に対向する側に位置決めすることができる。完全に展開させられたフォーカル・コニック状態において、キラル・ネマチック液晶は透明であり、入射光を通す。この入射光は光吸収体によって吸収されることにより、黒色画像を形成する。フォーカル・コニック状態が徐々に展開することにより、キラル・ネマチック材料がプレーナー状態からフォーカル・コニック状態に変化するのにつれて、観察者は、反射光が黒色に遷移するのを知覚することになる。光透過状態への遷移は漸進的であり、低電圧時間を変化させることにより、可変の反射レベルが可能になる。これらの可変レベルは、対応するグレイ・レベルに位置付けすることができ、そして場が除去されると、光変調層は所与の光学状態を無期限に維持する。このプロセスは米国特許第5,437,811号明細書により十分に論議されている。この明細書を引用することにより本明細書中に組み入れる。
【0079】
色コントラスト層は他の色であってもよい。別の実施態様の場合、暗層は粉砕された非導電性顔料を含む。材料は1μm未満に粉砕されることにより、「ナノ顔料」を形成する。このような顔料は、極めて薄い層又は「サブミクロン(1μm未満)」層において光の波長を吸収する上で効果的である。好ましい実施態様の場合、暗層は、400ナノメーター〜700ナノメーター波長の可視光スペクトル全体にわたる光の全ての波長を吸収する。暗層は、一組又は複数の顔料分散体を含有することもできる。例えば3種の異なる顔料、例えばメディアン直径120ナノメーターまで粉砕されたイエロー顔料、メディアン直径210ナノメーターまで粉砕されたマゼンタ顔料、及びメディアン直径110ナノメーターまで粉砕されたシアン顔料、例えばSunfast(商標) Blue Pigment 15:4顔料が組合わされる。これら3種の顔料の混合物は、可視スペクトル全体にわたって均一な光吸収を生み出す。好適な顔料が容易に入手可能であり、これらは可視スペクトル全体にわたって光吸収性であるように構成されている。加えて、好適な顔料は不活性であり、電場を担持しない。
【0080】
色コントラスト層内に使用される好適な顔料は、任意の着色材料であってよく、これらの材料は、組込まれる媒質中で実際には不溶性である。好ましい顔料は有機材料であり、この有機材料において、炭素が水素原子及び少なくとも一つの元素、例えば窒素、酸素及び/又は遷移金属に結合されている。有機顔料の色相は主として、一つ又は二つ以上の発色団、すなわち可視光の吸収に関与する、分子中の共役二重結合の系の存在によって定義される。好適な顔料は、Industrial Organic Pigments: Production, Properties, Applications (W. Herbst and K. Hunger著、1993年、Wiley Publishers)に記載された顔料を含む。この文献を引用することにより本明細書中に組み入れる。これらの顔料の一例としては、アゾ顔料、例えばモノアゾ・イエロー及びオレンジ、ジアゾ、ナフトール、ナフトール・レッド、アゾ・レーキ、ベンズイミダゾロン、ジアゾ縮合物、金属錯体、イソインドリノン及びイソインドリン多環式顔料、例えばフタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、ジケトピロロ-ピロール、及びチオインディゴ、及びアントリキノン顔料、例えばアントラピリミジン、トリアリールカルボニウム及びキノフタロンが挙げられる。層の色は、液晶材料の吸収/反射波長と組合わされると特定の結果を生み出すように調節することができる。この層は補色コントラスト層と呼ぶことができる。
【0081】
本発明の実施において有用な保護層は、よく知られた多数の技術、例えば浸漬コーティング、ロッド・コーティング、ブレード・コーティング、エアナイフ・コーティング、グラビア・コーティング、リバース・ロール・コーティング、押出コーティング、スライド・コーティング、及びカーテン・コーティングなどのうちのいずれかで塗布することができる。液晶粒子及びバインダーは好ましくは、コーティング組成物を形成するために、液状媒質中で混ぜ合わされる。液状媒質は、媒質、例えば水又はその他の水溶液であってよく、この媒質中に親水性コロイドが界面活性剤と共に、又は界面活性剤を伴わずに分散される。
【0082】
液晶材料は、好ましくは、限定凝集処理を用いて加工することにより、均一なサイズを有する液晶材料エマルジョンを形成することができる。このことは、微粉砕シリカ、及び凝集を限定する材料、例えばduPont Corporation製のLUDOXの存在において、液晶材料を均質化することにより実施することができる。水性浴に促進剤材料を添加することにより、コロイド粒子を液-液界面に駆出することができる。好ましい実施態様の場合、水浴内の促進剤として、アジピン酸及び2-(メチルアミノ)エタノールのコポリマーを使用することができる。超音波を使用して液晶材料を分散させることにより、1μm未満のサイズの液晶ドメインを形成することができる。超音波エネルギーを除去すると、液晶材料は凝集して、均一サイズのドメインになる。最小ドメイン・サイズと最大ドメイン・サイズとの比は好ましくは、約1:2だけ変化する。液晶材料に対してシリカ及びコポリマーの量を変化させることにより、顕微鏡で測定して、平均直径約1、3及び8μmの平均ドメイン・サイズのエマルジョンを生成することができる。これらのエマルジョンは、後続のコーティングのためにゼラチン溶液中に希釈することができる。
【0083】
液晶の小滴サイズの制御は極めて難しい。なぜならば、このような材料は連続的に凝集して、単一相が生じるまで常にサイズ増大し続ける小滴になるという性質を有するからである。液晶小滴を有する層を含有する写真要素を調製する上で、液晶小滴のサイズ、及び小滴サイズの均一性が、写真画質に関して、また写真要素が採用された装置、例えばカメラ、及び写真処理装置などの他の部分との接触時におけるその写真要素の引掻き抵抗に関して、望ましいパラメーターであることが判っている。前述の同時係属中の米国特許第5,529,891号明細書に、具体的な実施態様が示されている。この明細書を引用することにより本明細書中に組み入れる。
【0084】
本明細書中に記載された液晶小滴は、粒子懸濁安定剤を含有する連続水性相中に液晶小滴の不連続相を形成し、液晶小滴サイズを低減し、そして小滴表面に対する粒子懸濁安定剤の作用により、小滴の凝集を限定することによって調製される。
【0085】
1実施態様の場合、液晶小滴は、限定凝集法によって形成することができ、液晶はこの方法に適した溶剤中に溶解され、この溶剤は、小滴サイズが凝集を限定することによって確立された後、蒸発によって除去される。第2の実施態様の場合、永久溶剤を液晶と混合することができる。この混合物は、水性媒質中に分散させることができ、小滴のサイズは、懸濁安定剤の作用により、凝集を限定することによって形成される。より高い表面エネルギーを有する永久溶剤は、小滴中に残り、ひいては、上述の手順におけるような蒸発工程を回避する。これらの方法のいずれも、狭い粒子サイズ分布をもたらすと共に、小滴の平均粒子サイズが、分散体の調製に採用された粒子懸濁安定剤の量によって制御される。こうして、採用された特定の液晶は一般に、揮発性溶剤又は永久溶剤と混合し、次いで、粒子懸濁安定剤と促進剤とを含有する水性媒質中に分散させることができる。促進剤の目的は、粒子懸濁安定剤を液晶小滴と水媒質との界面に駆出することである。水性媒質中の液晶小滴の分散体を、高速撹拌、超音波装置、及びホモジナイザーを含む任意の好適な装置によって強力に撹拌することにより、最終的に望まれるサイズ未満に、液晶小滴の粒子サイズを低減することができる。この場合、粒子懸濁安定剤の存在は、平衡に達するまで、そして粒子サイズがこれ以上成長しなくなるまで、凝集レベルを制御する。揮発性溶剤を含む調製の場合、次いで、温度を溶剤の気化温度を上回る温度に上昇させることにより、溶剤を駆除することができる。小滴は、画像形成要素の調製において使用するためのコーティング組成物を調製する際に採用することができる。永久溶剤を使用する場合、永久溶剤を含む小滴が、コーティング組成物の調製に直接的に使用される。
【0086】
液晶小滴を含有する層を塗布するのに適した配合物を提供するために、上記方法のいずれかによって調製された分散体は、親水性コロイドと組合わされる。ゼラチンが好ましい材料である。液晶小滴から粒子懸濁安定剤が除去されるのを防止するために、ゼラチン添加前に液晶分散体と共に界面活性剤が含まれてよい。界面活性剤は、液晶小滴の更なる凝集を防止するのを助ける。
【0087】
滑性を取り囲み、そして液晶小滴の凝集を防止するのに役立つ懸濁安定剤に関しては、限定凝集技術によってエチレン系不飽和型モノマーを付加反応させることにより高分子粒子を形成する、当業者に知られた任意の好適なコロイド安定剤、例えば無機材料(例えば金属塩又は水酸化物又は酸化物又はクレイ)、有機材料(例えば澱粉、スルホン化架橋型有機ホモポリマー及び米国特許第2,932,629号明細書に記載されているような樹脂ポリマー);米国特許第4,833,060号明細書に記載されているようなシリカ;コポリマー、例えば米国特許第4,965,131号明細書に記載されているようなコポリ(スチレン-2-ヒドロキシエチルメタクリレート-メタクリル酸-エチレングリコールジメタクリレート)を採用することができる。上記明細書全てを引用することにより本明細書中に組み入れる。シリカが好ましい懸濁安定剤である。
【0088】
懸濁安定剤を液晶小滴と水性相との界面に懸濁安定剤を駆出するのに適した促進剤は、スルホン化ポリスチレン、アルギネート、カルボキシルメチルセルロース、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド又はテトラメチルアンモニウムクロリド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムクロリド、ジエチルアミノエチルメタクリレート、水溶性複合樹脂アミン縮合物、例えばジエタノールとアジピン酸との水溶性縮合物(例えばポリ(アジピン酸-コ-メチルアミノエタノール)、エチレンオキシドの水溶性縮合物、尿素、及びホルムアルデヒド及びポリエチレンイミン;ゼラチン、グルー、カゼイン、アルブミン、グルテン及びメトキシセルロースを含む。好ましい促進剤は、トリエチルフェニルアンモニウムクロリドである。
【0089】
親水性コロイドが、液晶小滴表面から懸濁安定剤を除去するのを防止するために、コーティング組成物を調製するための混合工程に、好適なアニオン性界面活性剤、例えばポリイソプロピルナフタレン-ナトリウムスルホネート、ナトリウムドデシルスルフェート、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、並びに米国特許第5,326,687号明細書及びリサーチディスクロージャー(Research Disclosure)308119のSection XI(1989年12月)、表題「Photographic Silver Halide Emulsions, Preparations, Addenda, Processing, and Systems」(これら双方を引用することにより本明細書中に組み入れる)に示されたアニオン性界面活性剤を含むことができる。芳香族スルホネートがより好ましく、ポリイソプロピルナフタレンスルホネートが最も好ましい。
【0090】
好適な親水性バインダーは、天然物質及び合成物質の双方、すなわち天然物質、例えばタンパク質、タンパク質誘導体、セルロース誘導体(例えばセルロースエステル)、ゼラチン及びゼラチン誘導体、多糖及びカゼインなど、並びに合成透水性コロイド、例えばポリ(ビニルラクタム)、アクリルアミドポリマー、ポリ(ビニルアルコール)及びその誘導体、加水分解ポリビニルアセテート、アルキル及びスルホアルキル及びメタクリレートのポリマー、ポリアミド、ポリビニルピリジン、アクリル酸ポリマー、無水マレイン酸コポリマー、ポリアルキレンオキシド、メタクリルアミドコポリマー、ポリビニルオキサゾリジノン、マレイン酸コポリマー、ビニルアミンコポリマー、メタクリル酸コポリマー、アクリロイルオキシアルキルアクリレート及びメタクリレート、ビニルイミダゾールコポリマー、ビニルスルフィド、及びスチレンスルホン酸を含有するホモポリマー又はコポリマーを含む。ゼラチンが好ましい。
【0091】
1実施態様の場合、液晶材料は、水溶性バインダー材料、例えば脱イオン・ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)又はポリエチレンオキシド(PEO)を含有する水性浴内に分散される。このような化合物は、写真フィルムと連携する設備において、機械コーティング可能である。バインダーのイオン含量は低いことが望ましい。このようなバインダー中のイオンの存在は、分散された液晶材料を横切って電場を発生させるのを妨げる。加えて、バインダー中のイオンは電場の存在において移動し、光変調層を化学的に損傷するおそれがある。液晶及びゼラチンのエマルジョンを厚さ5〜30μmまでコーティングすることにより、光変調層の光特性を最適化する。コーティング厚、液晶ドメインのサイズ、及び液晶材料のドメインの濃度は、光学特性が最適になるように構成される。従来、剪断ミル又はその他の機械的分離手段を用いて液晶の分散を実施することにより、光変調層内部に液晶ドメインを形成する。
【0092】
LCDは機能層を含むこともできる。図1に示されたLCD 10の1実施態様の場合、多層可撓性支持体15に第1の導電性層20がコーティングされている。この第1の導電性層20はパターン形成することができ、この層20上には、光変調液晶層30がコーティングされる。第2の導電性層40が塗布され、これには誘電層をオーバーコートすることができる。この誘電層には、誘電導電性列接点が取り付けられ、導電性層と誘電導電性列接点との相互接続を可能にするビア(via)が含まれる。液晶層30と第2の導電性層40との間には、任意のナノ顔料含有機能層を塗布することができる。
【0093】
ディスプレイ基板15上には一つ又は二つ以上の第1の導体20が形成されている。第1の導体20は酸化錫、インジウム錫酸化物(ITO)又はポリチオフェンであってよく、ITOが好ましい材料である。典型的には、第1の導体20の材料は、ディスプレイ基板15上の層としてスパッタリング又はコーティングされ、スクエア当たり1000オーム未満の抵抗を有する。第1の導体20は、例えばコンベンショナルなリソグラフィ手段又はレーザー・エッチング手段によって、導電性層内に形成することができる。透明有機導体20、例えばPEDT/PSS、PEDOT/PSSポリマー(これらの材料はBayer AG Electronic ChemicalsによってBaytron(RTM)として販売されている)を印刷することにより、透明な第1の導体20を形成することもできる。
【0094】
コレステリック液晶層30が第1の導体20に被さる。コレステリック液晶層30は、1997年12月9日にDoane他に発行された米国特許第5,695,682号明細書(その開示内容を引用することにより本明細書中に組み入れる)に開示されているようなコレステリック液晶材料を含有することができる。このような材料は、高異方性ネマチック液晶混合物を使用して形成され、キラル・ドーピング剤を添加することにより、入射光を反射する干渉パターンが形成されるまで、液晶平面内に螺旋ねじれが提供される。種々の強度及び継続時間を有する場を印加することにより、キラル・ネマチック(コレステリック)液晶材料を反射状態、近透明/透過状態、又は中間状態に駆動することができる。これらの材料の利点は、電場の不在において両方とも安定な第1及び第2の光学状態を維持できることである。材料は、場が除去されたあと、所与の状態を無期限に維持する。コレステリック液晶材料は、2種の成分系、例えばHawthorne, N.Y.在、EM Industriesから入手可能なMDA-00-1444(ドープされていないネマチック)及びMDA-00-4042(高キラル・ドーパント濃度を有するネマチック)を使用して、形成することができる。
【0095】
好ましい実施態様の場合、コレステリック液晶層30は、ゼラチン、好ましくは脱イオンされた写真等級ゼラチン中に分散されたコレステリック液晶材料である。例えば液晶材料は、5 %ゼラチン水溶液中の8 %コレステリック液晶で混合される。混合物を分散させることにより、水性懸濁液中8〜10μm直径の液晶ドメインを有するエマルジョンを形成する。これらのドメインは、2000年1月6日付けでStephenson他によって出願された同時係属中の米国特許第09/478,683号明細書に記載された限定凝集技術を用いて形成することができる。エマルジョンを、ポリエステル・ディスプレイ基板15上の第1の導体20上にコーティングし、そして乾燥させることにより、約9μm厚のポリマー分散型コレステリック・コーティングを提供することができる。ゼラチンの代わりに、その他の有機バインダー、例えばポリビニルアルコール(PVA)又はポリエチレンオキシド(PEO)を使用することができる。このようなエマルジョンは写真フィルムの製造時に採用されるタイプのコーティング設備を使用して、機械コーティングすることができる。Stephenson他による米国特許第6,423,368号明細書に開示されているように、コレステリック層30を塗布する前に、第1の導体20上にゲル下層を塗布することができる。
【0096】
図2は、従来の知識に基づく、それぞれ入射光に応答するプレーナー状態及びフォーカル・コニック状態におけるキラル・ネマチック液晶材料を示す。左側の図面では、高電圧場が印加され、素早くゼロ電位に切換えられたあと、液晶分子はプレーナー液晶72として整列する。プレーナー液晶は、プレーナー反射光62として入射光60の一部を反射する。キラル・ドーパント濃度はピーク反射を規定する。ピーク反射の周りの帯域幅は、ネマチック液晶の光複屈折に対して比例する。図2の右側では、より低い電圧場を印加することにより、キラル・ネマチック液晶材料の分子が分解して、フォーカル・コニック液晶74として知られる傾斜セルになる。フォーカル・コニック材料の配向は、反射性ではなく、ほぼ透明であるか又は散乱/透過性である。低電圧時間を変化させることにより、分子が反射プレーナー状態72と光散乱フォーカル・コニック状態74との間の配向を成すことを可能にする。
【0097】
完全に展開させられたフォーカル・コニック状態74において、コレステリック液晶は光散乱性であり、入射光60は前方に散乱させられ、そして光吸収体42によって吸収されることにより、黒色(又は黒みを帯びた暗色)画像領域の外見を形成することができる。プレーナー状態からフォーカル・コニック状態へ徐々に展開することにより、コレステリック材料が反射プレーナー状態72から、完全に展開させられた光散乱フォーカル・コニック状態74に変化するのにつれて、観察者は、明るいプレーナー反射光62が黒色に遷移するのを知覚することになる。場が除去されると、コレステリック液晶層30は、所与の光学状態を無期限に維持する。この状態は、1995年8月1日にDoane他に発行された米国特許第5,437,811号明細書により十分に論議されている。コレステリック材料は、光吸収体42が高光吸収性であることを必要とする。
【0098】
図3は、コレステリック液晶材料を含有するドメインを示す断面図である。コレステリック液晶材料は、弓状表面に固定される。入射光60は、斜角60'を成して、又は相対的に直角60を成してドメインに衝突することができる。斜角を成して光が衝突するコレステリック材料は、より短い波長の光を反射する。ピーク反射波長及び光の帯域幅は、コレステリック液晶材料特性、並びにドメインのサイズ及び形状の双方の関数である。
【0099】
図4は、変化するドメイン・サイズに伴うポリマー分散型コレステリック液晶のスペクトル分布を、分光光度計によって測定したプロットである。測定されたコレステリック液晶は、二つの平らなガラス・スライド間で測定して550ナノメーターのピーク反射を有するMerck BL-118であった。コレステリック液晶材料をゼラチン含有水浴内で分散し、そして一定の量をITO導体上にコーティングして乾燥させた。乾燥させたコレステリック・コーティング上に、第2の導体を印刷し、材料をプレーナー(反射)状態に切換えることにより、反射率を測定した。エマルジョンとして2.9、5.0、8.2及び10.0μmの直径を有するドメインに対して、スペクトル分布を測定した。ドメインは乾燥させられると平らになり、種々の傾斜の表面を有する。ドメイン・サイズが増大すると、プレーナー反射光も増大する。図4によって明らかなように、平面液晶が固定されている弓状表面が、光のより短い波長を反射することにより、スペクトル分布は、より短い波長に向かって5 ナノメーターのピーク反射率シフトを有した。このことはディスプレイを設計するときに考慮に入れることができる。好ましくは、ディスプレイ・シートは、ピーク反射波長が570〜590ナノメーターのポリマー分散型コレステリック液晶材料を含む。
【0100】
図1に戻ると、相補光吸収層35が、コレステリック液晶材料30に被さっている。好ましい実施態様の場合、相補光吸収層35は、1μm未満に粉砕された顔料から成っており、これによりバインダー中に「ナノ顔料」を形成する。このような顔料は、極めて薄い層(サブマイクロメーター)層内に組み込まれると、光の波長を吸収する上で極めて効果的である。このような顔料を電気的に不活性であるように選択することにより、ディスプレイ10に印加されたディスプレイ電場を分解して妨害することを防止することができる。このような顔料は、2002年8月16日付けで出願された同時係属中の米国特許出願第10/222,396号明細書に開示されている。この明細書を引用することにより本明細書中に組み入れる。フィルター層は異なる色相を有する2種又は3種以上の顔料を含むことができる。
【0101】
好ましい実施態様の場合、相補光吸収層35は、プレーナー状態における液晶によって法線反射された光の大部分を吸収し、そしてコレステリック液晶層30によって反射されない光部分を透過する。駆動電圧を最小限に抑える一方で、許容できる光吸収度を提供するために、相補光吸収層35はできるだけ薄くするべきである。顔料は極めて効率的な光吸収体であり、この目的に理想的に適している。好ましい実施態様の場合、コレステリック液晶層30の厚さは4〜10μmである。コレステリック液晶材料のための、状態を変化させる場は、典型的にはコーティング厚1μm当たり10ボルトである。相補光吸収層35は、場を担持する二つの導体間に配置されているので、層はコレステリック液晶層30よりも著しく薄くあるべきである。実際には相補光吸収層35の厚さは、約1μm未満、好ましくは0.5μm以下であるべきである。相補光吸収層35内のバインダーの量も、駆動電圧の増大を最小限に抑えるために低くあるべきである。顔料との比が1:1のゼラチン・バインダーが、次に塗布される層に対する良好な結合強度を有する層を提供し、駆動電圧の増大を最小限に抑えることができることが判った。
【0102】
本発明において、相補光吸収層35をコレステリック液晶層30上にコーティングすることにより、光吸収層35を提供する。光吸収層35は、プレーナー反射光に対してフォーカル・コニック状態において高コントラストの暗画像領域を提供する。相補光吸収層35はさらにプレーナー状態において、(下側の反射面によって反射することができる光を選択的に透過することを介して)コレステリック液晶によって作業されない波長における所定の光量を提供する。相補光吸収層35は、コレステリック液晶層30のデポジションと同時に、又は別個の工程でコーティングすることができる。好ましい実施態様の場合、写真画像形成要素を形成する際に使用されるような多層コーティング設備が、コレステリック液晶層30と相補光吸収層35とを、二つの同時デポジット層として提供する。相補光吸収層35はコレステリック層30よりも著しく薄く、従って上述のように、製造されたディスプレイにおけるコレステリック液晶材料の状態を変化させるのに必要な電場強度に及ぼす相補光吸収層35の影響は最小限である。
【0103】
図1の実施態様の参照を続けると、第2の導体40が相補光吸収層35に被さっている。第2の導体40は、コレステリック液晶層30を横切って電場を誘発するのに十分な導電性を有している。この場は、ポリマー分散型液晶材料の光学状態を変化させるのに十分に強い。第2の導体40は、反射性で導電性の配合物、例えばAllied Photochemical(Kimball, Michigan)製のUVAG(RTM)0010材料をスクリーン印刷することにより形成される。このようなスクリーン印刷可能な導電性材料は、紫外線硬化性樹脂中に微粉砕された銀を含む。印刷された層の完全な輻射線硬化を可能にするのに十分に薄い導電性ペースト層を形成するように留意しなければならない。Allied Photochemicalの仕様書が示唆したところによれば、UVAGペーストは、未硬化ペーストの完全硬化を可能にするために、最大厚25μmで印刷されるのが好ましい。この層の更なる利点は、これが製造材料コストを低減し、ディスプレイの可撓性を最大化するように、可能な限り薄いことである。
【0104】
印刷されたままの銀ペーストは非導電性である。印刷後、材料を0.40ジュール/cm2を上回る紫外線に当てると、樹脂は急速に重合して、耐久性のある表面を形成することになる。ディスプレイは高強度ランプ下で、ペーストを完全硬化させる速度で導電性状態にされる。ディスプレイの製造コストを最小限にするためには、スクリーン印刷が好ましい。
【0105】
相補光吸収層35内の顔料に十分な量のポリマーを提供することにより、第2の導体40上に印刷可能な表面を形成する。或いは、熱硬化型銀担持樹脂をスクリーン印刷することにより、第2の導体40を形成することもできる。このような材料の一例は、熱硬化型銀インクであるAcheson Electrodaga 461SSである。熱硬化型インクは、紫外線硬化型インクよりも硬化時間が著しく長く、またディスプレイ内の他の層に影響を与えるおそれのある揮発性溶剤を含有する。第1及び第2の導体は、アドレス可能なマトリックスを製造するためにパターン形成することができる。
【0106】
図7は、本発明によるディスプレイの光学状態を概略的に示す断面図である。左側のダイヤグラムは、コレステリック液晶材料がプレーナー状態にあるときの光路を示す。入射光60はプレーナー液晶72に衝突し、プレーナー液晶72は、プレーナー反射光62として入射光60の一部を反射する。残りの光は相補光吸収層35を通る。相補光吸収層35を通る光の一部は吸収され、そして残りの光は反射性の第2の導体40に衝突する。光は第2の導体40から反射され、相補光吸収層35を2度目に通り、次いでプレーナー液晶材料72を通ることにより、相補光64になる。図7の右側では、液晶材料はフォーカル・コニック状態にあり、相補光吸収層35はプレーナー状態72で反射された光の波長を吸収する。液晶材料がフォーカル・コニック状態74にある場合、コレステリック液晶の実質的に反射波長外の光は、相補光64を提供し続ける。
【0107】
相補光が用途において必要でない場合、光吸収層35は、反射光を完全にブロックする材料から形成することができる。このような顔料は米国特許出願第10/222,396号明細書に開示されている(これを引用することにより本明細書中に組み入れる)。相補光74のないディスプレイの場合、光吸収層35は、反射性の第2の導体40を使用してコレステリック材料の活性化を可能にする。光吸収層35はさらに、反射性の第2の導体40が紫外線硬化性銀材料を使用して形成されるのを可能にする。
【0108】
図8は、人間の目の3色「チャネル」(赤、緑及び青)の応答を示すプロットである。「チャネル」とは、人間の目の網膜内に含有される種々異なるタイプの光受容体(円錐体)を意味する。このプロットは、1931 CIE Standard Colorimetric オブザーバーから採用されている。本発明によるディスプレイから反射された光は、三つの全ての色チャネルのほぼ等しい刺激(曲線下面積)を有し、従って中性色(白/グレイ)に見える。コレステリック液晶の帯域幅は約100ナノメーターである。明るさを最大化するためにこの領域内でピーク波長を選択することが好ましい。このような帯域幅に対応して最大刺激を有するピーク波長は、ほぼ580ナノメーターである。この波長において、緑(G)及び赤(R)の受容体の刺激はオーバーラップし、530〜630ナノメーターの波長の光によって共通して刺激される。
【0109】
図9は、582ナノメーターのピーク反射と100ナノメーターの帯域幅を有するコレステリック液晶に対する人間の目の応答を示すプロットである。緑(G)及び赤(R)の曲線下面積によって表される、緑及び赤のチャネルの刺激はほぼ等しい。等しい面積の青色光が観察者に提供されると、光全体が中性色(白/グレイ)を有することになる。
【0110】
図10は、本発明の1実施態様によるプレーナー状態におけるディスプレイ・シートの1実施態様の光応答である。液晶のプレーナー状態のピーク反射は、可視光スペクトルの緑(G)部分及び赤(R)部分の両方を刺激させる光が刺激されるように設定される。相補光吸収層35は、青(B)色光の一部を反射して、実質的に中性色又は白みを帯びた色(W)をもたらす光を形成するように構成された1種又は2種以上の顔料/色素を含むコーティングであってよい。従って、液晶材料がプレーナー状態にある場合、全ての反射光は、(1)液晶に由来する反射光及び(2)光吸収層によって透過され、そして反射面によって反射された光、の両方を含む。後者の反射光は、カラー・フィルター処理された第2の反射光と呼ぶこともできる。それというのも光吸収層はカラー・フィルターとして機能するからである。
【0111】
図11は、液晶がフォーカル・コニック状態にあるときの、図10のディスプレイ・シートの光応答である。相補光吸収層35は、赤(R)及び緑(G)の場合、プレーナー状態で反射される光の波長の実質的な光量を吸収する。青(B)色光の一部が、青又は青みを帯びた画像層を形成するために反射される。ディスプレイはこれにより、コレステリック液晶材料をプレーナー状態とフォーカル・コニック状態との間で電気的に切換えることにより、中性色状態と暗青色状態との間で切換わることができる。
【0112】
図12は、本発明によるディスプレイのための試験シートからの光の反射を示すプロットである。プレーナー状態(P)において、575ナノメーターにおけるピークプレーナー反射光は、相補光吸収層からの反射青色光にマッチングした。フォーカル・コニック(FC)状態中に試験シートが書込まれるときには、コレステリック液晶材料は近透明/透過性であり、FCスペクトルは、印刷された銀反射体との組み合わせで作業する相補光吸収層の関数プロットである。相補光吸収層は、シアン顔料とマゼンタ顔料とから成る。これらの顔料は一緒に、コレステリック液晶材料がプレーナー状態にあるときに反射されるスペクトルにおいて高い光吸収率を有する。マゼンタ顔料、Pigment Violet 29は、約540ナノメーターでピーク吸収を有し、シアン顔料、Sunfast Blue 15:4は、約620ナノメーターでピーク吸収を有する。図10に見られるように、2種の顔料の組み合わせは、525ナノメーター及び635ナノメーターの波長から95%光吸収率を提供する。これらの顔料は、オーバーラップする領域で極めて高い吸収率を有し、そして約575ナノメーターでピークを有する。反射光25 %のピークが約450ナノメーターの青色域内で発生することにより、可視スペクトルの緑部分及び赤部分において反射された光のバランスをとる。コレステリック液晶材料によって作業されない可視スペクトル部分(この場合は青部分)は、コレステリック液晶材料の状態とは無関係に一定の反射率である。
【0113】
図10に戻ると、短波長光の成分、又は青(B)色光が、相補光吸収層35と反射性の第2導体40との組み合わせによって加えられる。図8に戻ると、この図から見られるように、短波長青(B)色光を加えることにより、さらに赤(R')受容体が刺激され、見掛け赤(R)色チャネル刺激が増大する。従って、コレステリック液晶材料のピーク波長を、より短い波長に調節することにより、緑色光を増大させ、そして赤色光を減少させることができるので、青色光の付加と共に、プレーナー状態で効果的に中性色のディスプレイが形成される。青色光成分は、光の緑及び赤成分の知覚された強度とほぼ又は実質的にマッチングし、そして優位の緑強度に対して赤のバランスをとるために少量の刺激を提供するべきである。この用途に適した顔料は不完全であり、種々の成分の最終配合物は、試行及び数学モデルの使用によって確立される。
【0114】
好ましい実施態様の場合、画像形成層が第1の比較的高い反射状態にあるときには、ディスプレイ・シートからの反射光のCIE三刺激値X、Y及びZは、互いから20%以内にある。液晶材料がプレーナー状態にあるとき、ディスプレイ・シートからの総反射光のCIE三刺激値X、Y及びZは、カラー・フィルター処理された第2反射光なしの、液晶に由来する光だけのCIE三刺激値よりも、互いに20パーセント接近する。X、Y及びZ値は、当業者には明らかなように三刺激測色計R、G、B測定値に基づいて概算することができる。
【0115】
当業者には明らかなように、本発明に基づいてディスプレイを形成することにより、青−中性色、又は青−白みを帯びた色以外のコントラスト色を含むことができる。例えば、マゼンタ−白、赤−白、及び黄−白の組み合わせを得ることができる。高反射率状態は「白」又は「白みを帯びた色」であり、これは明るく、実質的に中性色であることを意味する。そして白以外の色は、より暗い色合いの色を意味する。コレステリック液晶材料のピーク波長を変化させることにより、他の可視スペクトル域における選択的な反射及び透過を可能にすることができる。例えば、青、緑又はこれら2色間の中間の波長においてだけ反射するように、ピーク波長を調節することができる。コレステリック液晶材料は、主として赤色光を反射するように設定することができる。それぞれの事例において、プレーナー状態で反射された波長において高吸収率を提供し、そして他の波長に対しては不変部分を提供するように、相補光吸収材料を選択することができる。或る特定の事例において、ディスプレイは、いずれも中性色ではない二つのコントラスト色/状態を提供することができる。しかし通常実際には、できるだけ明るい中性色状態を有することが好ましい。相補的な青色顔料と反射性の第2の導体とを有する580 ナノメーターに近いコレステリック液晶材料は、比較的明るい中性色コントラストを提供する。
【0116】
剛性基板又は複数の基板を使用して、相補光吸収材料と反射性導体とを有するディスプレイを形成するための方法を用いることができる。本発明を利用して、基板が反射性の第2の導体の背後に移動された状態で、ディスプレイを形成することができる。
【実施例】
【0117】
例1
ポリエステル・スクリーン・メッシュを使用して、光吸収層35上に標準UVAG 0010銀ペーストを印刷した。1インチ当たり305本の糸を有し、それぞれの糸の直径が34μmである、Lumbarton, New Jersey在、Sefar America MEC Division製のSefar PECAP LE 7-305-34からメッシュを形成した。フォトマスクを使用して、感光性乳剤をメッシュに塗布して硬化させた。第2導体40に対応する領域内で、マスキングされた硬化されていない乳剤を除去した。銀ペーストをメッシュを通して印刷すると、ペーストは、16μm厚の第2コンダクター40を形成した。
【0118】
図5は、印刷された第2の導体内に非導電性領域を有する、本発明によるディスプレイを示す側面図である。スクリーンを使用して形成され、その厚さでコーティングされたディスプレイは、プレーナー状態において書き込まれた領域内に、より暗い斑点を有した。層40内の非導電性未硬化領域41は、数μm厚であっても、コレステリック材料に印加される有効場強度を低減することになる。銀がそれらの領域内で硬化していないこと、そしてコレステリック材料が完全にプレーナー状態に駆動されるのを防止する、印加された場の強度を、非導電性未硬化領域が低減することが仮説として取り上げられた。しかし、印刷された銀の第2の導体を完全に硬化させるのに十分な紫外線は、コレステリック材料を損傷する。
【0119】
例2
図6は、完全に硬化された、印刷された第2の導体を有する、本発明によるディスプレイを示す側面図である。第2の試験において、新しいスクリーン、Sefar 7-355-34メッシュを使用することにより11μm厚の第2の導体40を有するディスプレイを形成した。SF1銀フレークを有するUVAG 0010ペーストを使用して、第2の導体40を形成した。UVAG 10 w/SF1は、銀フレークと、標準UVAG 0010材料よりも小さな最大粒子サイズを有する銀粒子との組み合わせであった。小さな粒子サイズは、均一なインク・デポジション、及び紫外線硬化エネルギーの浸透の両方を可能にすると考えられる。結果として得られたディスプレイは、プレーナー状態中に書込まれた領域内に斑点を有さなかった。より微細な銀粒子を有するより薄い銀層は、印刷された銀インクを通して紫外線硬化を可能にした。紫外線硬化性樹脂及び銀を使用した共形の第2の導体40の場合、ペーストは、他の用途において許容可能な25μm厚よりも薄くなければならない。元の16μm層厚を著しく下回る、好ましくは11μmの層が、ペーストの完全な硬化を可能にし、非導電性未硬化層41が、導電性材料と、ディスプレイの残りの部分との間に存在するのを防止する。相補光吸収層35内の顔料に十分な量のポリマーを提供することにより、第2の導体40上に、印刷可能な表面を形成する。
【0120】
例3
本発明によるシートを形成するための試験を行った。シートは、150μm厚のポリエステルシート上に、ITO(スクエア当たり300オーム)を用いて、シートを構成した。上記配合に基づくポリマー分散型液晶コレステリック材料をブレンドして、575ナノメーターのピーク波長を有するようにした。コレステリック液晶材料を8.3 μm・ドメインに分散し、ITO導体上にコーティングした。
【0121】
1.74 %の溶解ゼラチン、平均直径110ナノメーターまで粉砕された0.74 %のSunfast Blue 15:4、及び平均直径210ナノメーターまで粉砕された0.1.55%のPigment Violet 29を有する相補顔料溶液を形成した。溶液を、1 m2当たり10.76グラムでポリマー分散型コレステリック液晶上にコーティングして乾燥させることにより、相補光吸収層を形成した。乾燥させた層は0.5μm厚未満であった。相補光吸収層上に、SF1銀フレークを有する11μm厚のUVAG 0010ペーストで、第2の導体を印刷した。印刷後、樹脂材料を0.40ジュール/cm2を上回る紫外線に当てることにより、耐久性のある表面を形成した。プレーナー状態において書込まれた、結果として得られたディスプレイには、斑点はなかった。
【0122】
以前の試験で、試験配合物中のポリマー分散型コレステリック液晶材料が、この材料がプレーナー状態にある場合には、575ナノメーターで光の約25 %を反射することが見極められた。印刷された銀の有効反射率は、可視スペクトル全体にわたって均一に65 %であることが見いだされた。色素濃度は、相補光吸収層を通り、印刷された第2の銀導体によって反射され、そして相補光吸収層を通って戻る光の通過が、450ナノメーターのピーク反射波長で測定して、約25 %の反射青色光を有するように選択された。
【0123】
図12は、本発明によるディスプレイのための試験シートからの光の反射を示すプロットである。プレーナー状態(P)において、575ナノメーターにおけるピークプレーナー反射光は、相補光吸収層からの反射青色光にマッチングした。フォーカル・コニック(FC)状態中に試験シートが書込まれるときには、コレステリック液晶材料は近透明/透過性であり、FCスペクトルは、印刷された銀反射体との組み合わせで作業する相補光吸収層の関数プロットである。相補光吸収層は、シアン顔料とマゼンタ顔料とから成る。これらの顔料は一緒に、コレステリック液晶材料がプレーナー状態にあるときに反射されるスペクトルにおいて高い光吸収率を有する。マゼンタ顔料、Pigment Violet 29は、約540ナノメーターでピーク吸収を有し、シアン顔料、Sunfast Blue 15:4は、約620ナノメーターでピーク吸収を有する。図10に見られるように、2種の顔料の組み合わせは、525ナノメーター及び635ナノメーターの波長から95%光吸収率を提供する。これらの顔料は、オーバーラップする領域で極めて高い吸収率を有し、そして約575ナノメーターでピークを有する。反射光25 %のピークが約450ナノメーターの青色域内で発生することにより、可視スペクトルの緑部分及び赤部分において反射された光のバランスをとる。コレステリック液晶材料によって作業されない可視スペクトル部分(この場合は青部分)は、コレステリック液晶材料の状態とは無関係に一定の反射率である。
【0124】
図13は、人間の目によって知覚された、プレーナー状態における図12のシートの赤、緑及び青成分のプロットである。各色の曲線下面積は、三つ全ての色チャネルに関してほぼ等しかった。従って、シートは中性色の明るいグレーの外観を有した。試験シートがフォーカル・コニック状態中に書込まれると、材料は明るい青であるように見えた。二つの状態間の視覚的な差異は申し分のないものであった。
【0125】
本発明は、試験シートを形成するために使用されたものとは異なる材料及び方法で置き換えて実施することができる。印刷された銀の代わりに蒸着金属を使用することができる。反射性がより高い材料、例えばアルミニウムを使用することにより、ディスプレイが改善される。試験シートに使用された相補顔料の代わりに、顔料又は色素の一つ又は二つ以上の組み合わせを使用することにより、プレーナー反射波長における光の吸収率をより高くする一方、一定の青色反射を維持することができる。
【0126】
特定の好ましい実施態様を具体的に参照しながら、本発明を詳細に説明してきたが、言うまでもなく、本発明の思想及び範囲内で変更形及び改変形をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】図1は、本発明による第1のポリマー分散型コレステリック液晶ディスプレイを示す斜視図である。
【図2】図2は、従来のディスプレイと一致した、入射光に応答する面状態及びフォーカル・コニック状態におけるコレステリック(「キラル・ネマチック」液晶材料を示す概略断面図である。
【図3】図3は、コレステリック液晶材料を含有するドメインを示す断面図である。
【図4】図4は、変化するドメイン・サイズに伴うポリマー分散型コレステリック液晶のスペクトル分布を示すプロットである。
【図5】図5は、印刷された第2の導体内に非導電性領域を有する、本発明によるディスプレイを示す側面図である。
【図6】図6は、完全に硬化された、印刷された第2の導体を有する、本発明によるディスプレイを示す側面図である。
【図7】図7は、本発明によるディスプレイの光学状態を概略的に示す断面図である。
【図8】図8は、人間の目の1931 CIE色マッチング関数である。
【図9】図9は、582 ナノメーターのピーク反射を有する理論上のコレステリック液晶に対応する人間の目の応答を示すプロットである。
【図10】図10は、本発明によるプレーナー状態におけるディスプレイ・シートの光応答である。
【図11】図11は、フォーカル・コニック状態における、図8のディスプレイ・シートの光応答である。
【図12】図12は、本発明による、試験時のディスプレイ・シートの1実施態様からの光の反射を示すプロットである。
【図13】図13は、プレーナー状態における図12のディスプレイ・シートの赤、緑及び青成分のプロットである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイにおける紫外線(UV)硬化性導電性材料の使用に関する。具体的には、本発明は、可撓性を有する基板上のポリマー分散型キラル・ネマチック液晶ディスプレイ内で用いることができる。
【背景技術】
【0002】
現在、情報は、パーマネント・インクを担持する集成紙シートを使用して表示されるか、或いは、電子的に変調される表面、例えば陰極線ディスプレイ又は液晶ディスプレイ上に表示される。このように表示されたプリント情報は、変更を加えることができない。情報の変更を可能にするデバイス、例えば電気的に更新されるディスプレイはしばしば重く、そして高価である。磁気書込み領域を介して情報をシート材料に加えて、例えばチケット情報又は金融情報を担持することもできる。しかし、磁気的に書込まれたこのようなデータは、目には見えない。
【0003】
電力なしに、電子的に変化可能なデータを維持するメディア・システムが存在する。このようなシステムは電気泳動材料(Eink)、Gyricon、又はポリマー分散型コレステリック材料であることが可能である。電子的に更新可能なこのようなディスプレイの一例は、米国特許第3,600,060号明細書に見いだすことができる。この明細書に示されたデバイスは、場に対して応答性の双安定ディスプレイを形成するための、コーティングされ、次いで乾燥させられた水性ゼラチン中のコレステリック液晶エマルジョンを有する。また、米国特許第3,816,786号明細書には、電場に対して応答性のカプセル化コレステリック液晶層が開示されている。この明細書に記載された電極は透明又は不透明であってよく、種々の金属又はグラファイトから形成することができる。一つの電極は光吸収性でなければならないことが開示されており、そして光吸収性電極は、導電性材料、例えば炭素を含有するペイントから調製されることが示唆されている。
【0004】
電子書込み型の可撓性を有するディスプレイ・シートの製作が米国特許第4,435,047号明細書に開示されている。基板は、第1の導電性電極と、一つ又は二つ以上のカプセル化液晶層と、導電性インクの第2の電極とを担持する。導電性インクは、光を吸収するための背景を形成するので、情報担持ディスプレイ領域は、背景の非ディスプレイ領域とは対照的に暗く見える。対向する導電性領域に加えられた電位は、液晶材料に作用することにより、ディスプレイ領域を暴露する。液晶材料はネマチック液晶なので、ディスプレイは、エネルギーを断たれたときに、すなわち場が不在になると、画像を提供することを止める。第1の可撓性を有する基板がパターン形成され、コーティングされる。このコーティング上には、第2の前パターン形成された基板が結合される。
【0005】
Fergasonの特許明細書には、光を吸収し、場の不在においては画像を維持しないネマチック液晶の使用が開示されている。ポリマー・カプセル材料中又は液晶中の色素を使用することにより、入射光を吸収する。色素は溶液の一部であり、固形のサブミクロン粒子ではない。この特許明細書にはさらに、例2においてキラル・ドーパントの使用が開示されている。このドーパントはネマチック液晶の応答時間を改善するが、しかし光反射状態では動作しない。
【0006】
米国特許第5,251,048号明細書に開示された光変調セルは、ポリマー分散型キラル・ネマチック液晶を有する。キラル・ネマチック液晶は、光の特定の可視波長を反射するプレーナー(planar)状態と、散乱光を前方に透過するフォーカル・コニック状態との間で、電子的に駆動されるという特性を有する。コレステリック液晶としても知られるキラル・ネマチック液晶は潜在的にいくつかの環境において、電場の不在時に、多数の所与の状態のうちの一つを維持する能力を有する。後ろ側の基板の外面に黒色ペイントを塗布することにより、光吸収層を提供する。この光吸収層は、セグメント線及び走査線の交差によって定義された変化可能なディスプレイ領域の外部に、非変化性の背景を形成する。第1のガラス基板がパターン形成される。第1の基板から固定的なスペースを置いて、パターン形成された第2のガラス基板が設けられている。キャビティには液晶が充填されている。
【0007】
米国特許第6,394,870号明細書には、スクリーン印刷によって不透明な導電性インクを像様パターンで直接的にデポジットすることが開示されている。ポリマー分散型コレステリック材料上に直接的に導体が印刷される。このような形態を有するディスプレイは、光吸収バッキングを必要とする。この発明は、樹脂マトリックス中のスクリーン印刷可能な炭素によって形成された第2の導体を印刷することによって、光吸収体を形成する。炭素は可視線を吸収するが、しかし、紫外線応答性導電性配合物を硬化させるのに使用できる紫外線をも吸収する。紫外線硬化型銀インクが使用されるとすれば、銀の反射によってプレーナー状態と透過性フォーカル・コニック状態との間に形成されるコントラストはごく僅かなものになる。不透明な導電性インクの乾燥プロセスは、インクを硬化させるのに何分もの時間を必要とする。
【0008】
紫外線硬化性有機混合物、光開始剤、銀粉、及び銀フレーク組成物を含む光硬化性銀組成物が、米国特許第6,290,881号明細書に開示されている。銀フレーク組成物は、銀粉の20重量%以上を含む。開示された組成物を使用することにより、種々異なる基板上に銀含有コーティングを生成することができる。しかし、この材料は、ディスプレイ・デバイスにおける使用に関しては、開示されていない。
【0009】
コレステリック液晶は、反射状態にある時に、可視スペクトルの一部を反射する。反射状態は中性色バランスを有することが好ましい。反射状態において中性濃度を示すコレステリック・ディスプレイを提供することが有用である。このようなディスプレイが、シンプルで低廉なプロセスを用いて製作されることが有用である。このようなプロセスは、第2の導体を形成するための低廉な高速法を含むことが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
より容易且つ迅速に硬化させることができる、画像形成層上にパターン形成された第2の導体が依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、基板と、少なくとも一つのUV硬化性導電性層と、画像形成性層とを含んでなる、ディスプレイ・デバイスに関する。本発明はまた、基板と、第1の透明導電性層と、光変調層と、第2の導電性層とを含んでなるディスプレイ・デバイスであって、前記第2の導電性層がUV硬化性である、ディスプレイ・デバイスに関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明はいくつかの利点を含む。これらの利点の全てが単一の実施態様に組み込まれるわけではない。銀インクの紫外線硬化は、印刷された第2の導体の高速の製作及び硬化を可能にする。暗層は、ポリマー分散型コレステリック材料と共にこのようなプロセスを用いることを可能にする。インク中の銀内容物を取替えると、印刷される材料のコストが低減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本明細書中に使用される「液晶ディスプレイ(LCD)」は、種々の電子デバイスに使用される一種のフラットパネル型ディスプレイである。LCDは最小限、基板と、少なくとも一つの導電性層と、液晶層とを含む。LCDは、二つの偏光材料シートを含んでもよく、偏光シート間には液晶溶液が位置する。偏光材料シートは、ガラス又は透明なプラスチックから成る基板を含んでよい。
【0014】
液晶(LC)は光スイッチとして使用される。基板は通常、透明な導電性導体を有するように製造される。電極内には、電気的な「駆動」信号がカップリングされる。駆動信号は電場を誘発する。この電場は、LC材料における相変化又は状態変化を引き起こすことができ、LCはその相及び/又は状態に基づいて、異なる光反射特性を示す。
【0015】
本発明において、支持体に硬化性材料が塗布される。硬化性材料は、硬化性の任意の材料を含んでよく、また、コーティングを形成するために塗布することができる。硬化性材料は、硬化するための何らかの化学的メカニズム、例えば架橋並びにキャリヤ溶剤の蒸発を必要とする材料を含んでよい。1実施態様の場合、硬化性材料は高分子材料を含んでよい。コーティングの一例としては、画像形成性層、光変調層、導電性層、色コントラスト層、誘電層及びバリア層が挙げられる。硬化性材料は基板に直接的に塗布することができ、或いは、キャリヤ材料、例えば溶剤と一緒に塗布し、このキャリヤ材料を後で除去することにより、硬化プロセスを容易にすることができる。
【0016】
当業者に知られた任意の方法によって、硬化性材料を支持体に塗布することにより層を形成することができる。いくつかの方法の例は、スクリーン印刷、ホッパー・コーティング、グラビア印刷、リソグラフ及びフォトリソグラフ印刷、噴霧、及び蒸着を含むことができる。
【0017】
1実施態様の場合、支持体に、少なくとも一つの画像形成性層が塗布される。画像形成性層は、電気的に画像形成可能な材料を含有することができる。電気的に画像形成可能な材料は、発光材料又は光変調材料であってよい。発光材料はその性質において無機又は有機であってよい。特に好ましいのは有機発光ダイオード(OLED)又は高分子発光ダイオード(PLED)である。光変調材料は反射性又は透過性であってよい。光変調材料は、電気化学材料、電気泳動材料、例えばジリコン(Gyricon)粒子、エレクトロクロミック材料、又は液晶であってよい。液晶材料はねじれネマッティック(TN)、超ねじれネマチック(STN)、強誘電性、磁性、又はキラル・ネマチック液晶であってよい。特に好ましいのは、キラル・ネマチック液晶である。キラル・ネマチック液晶は、ポリマー分散型液晶(PDLC)であってよい。しかし、いくつかの事例において付加的な利点を提供するために、積み重ねられた画像形成層又は複数の支持層を有する構造が、任意に選択される。
【0018】
好ましい実施態様の場合、電気的に画像形成可能な材料は、電場でアドレスされ、次いで電場が除去されたあとでその画像を維持する。この特性は典型的には「双安定」と呼ばれる。「双安定性」を示す特に好適な電気的に画像形成可能な材料は、電気化学材料、電気泳動材料、例えばGyricon粒子、エレクトロクロミック材料、磁性材料、又はキラル・ネマチック液晶である。特に好ましいのはキラル・ネマチック液晶である。キラル・ネマチック液晶は、ポリマー分散型液晶(PDLC)であってよい。
【0019】
最も好ましいのは、コンベンショナルなポリマー分散型光変調材料を担持する支持体である。液晶(LC)は光スイッチとして使用される。支持体は通常、透明な導電性導体を有するように製造される。電極内には、電気的な「駆動」信号がカップリングされる。駆動信号は電場を誘発する。この電場は、LC材料における相変化又は状態変化を引き起こすことができ、LCはその相及び/又は状態に基づいて、異なる光反射特性を示す。
【0020】
液晶は、中間相における分子の配列に応じて、ネマチック(N)、キラル・ネマチック(N*)、又はスメクチックであってよい。キラル・ネマチック液晶は、ねじれネマチック及び超ねじれネマチックのピッチよりも微細なピッチを有する液晶のタイプを意味する。キラル・ネマチック液晶がこのように名付けられるのは、ホスト・ネマチック液晶にキラル物質を添加することによりこのような液晶配合物が一般に得られるからである。キラル・ネマチック液晶を使用することにより、双安定及び多安定の反射型ディスプレイを提供することができる。このようなディスプレイは、不揮発性「メモリー」の特性により、ディスプレイ画像を維持するための連続駆動回路を必要せず、これにより、電力消費量を著しく低減する。キラル・ネマチック液晶は、場の不在において双安定であり、二つの安定なテクスチャーは、反射プレーナーテクスチャー、及び弱散乱フォーカル・コニック・テクスチャーである。プレーナーテクスチャーの場合、キラル・ネマチック液晶分子の螺旋軸は、液晶が配置された支持体に対してほぼ平行である。フォーカル・コニック・テクスチャーの場合、液晶分子の螺旋軸は、概ねランダムに配向される。キラル・ネマチック材料中のキラル・ドーパントの濃度を調節することにより、分子のピッチ長、ひいては分子が反射する輻射線の波長を調節することができる。科学研究の目的で、赤外線を反射するキラル・ネマチック材料が使用されている。商業的なディスプレイは最も多くの場合、可視光を反射するキラル・ネマチック材料から製作される。米国特許第5,667,853号明細書(引用することにより本明細書中に組み入れる)に記載されているような、ガラス基板に被さる化学エッチングされた透明導電性層を含む、いくつかのLCDデバイスが知られている。
【0021】
例えばフラットパネル型ディスプレイにおいて使用することができる、LCDの代わりとなるディスプレイ技術がある。注目すべき例は、有機又はポリマー発光デバイス(OLED)又は(PLED)である。これらのデバイスは、いくつかの層から成っており、これらの層のうちの一つは、デバイスを横切って電圧を印加することにより電界発光を作るることができる有機材料である。OLEDデバイスは典型的には、基板、例えばガラス又はプラスチック・ポリマーに形成された積層体である。ルミネセント発光有機固形物から成る発光層、並びに隣接する半導体層が、アノードとカソードとの間にサンドイッチされる。半導体層は、正孔注入層及び電子注入層であってよい。PLEDは、ルミネセント発光有機材料がポリマーである、OLEDの亜種と考えることができる。発光層は、数多くの発光有機固形物、例えば好適には蛍光又は化学ルミネセント発光有機化合物であるポリマーのいずれかから選択することができる。このような化合物及びポリマーは、8-ヒドロキシキノレートの金属イオン塩、三価金属キノレート錯体、三価金属架橋キノレート錯体、シッフ塩基二価金属錯体、錫(IV)金属錯体、金属アセチルアセトネート錯体、有機配位子を組み込む金属二座配位子錯体(例えば2-ピコリルケトン、2-キナルジルケトン、又は2-(o-フェノキシ)ピリジンケトン)、ビスホスホネート、二価金属マレオニトリルジチオレート錯体、分子電荷移動錯体、希土類混合キレート、(5-ヒドロキシ)キノキサリン金属錯体、アルミニウムtris-キノレート、及びポリマー、例えばポリ(p-フェニレンビニレン)、ポリ(ジアルコキシフェニレンビニレン)、ポリ(チオフェン)、ポリ(フルオレン)、ポリ(フェニレン)、ポリ(フェニルアセチレン)、ポリ(アニリン)、ポリ(3-アルキルチオフェン)、ポリ(3-オクチルチオフェン)、及びポリ(N-ビニルカルバゾール)を含む。カソード及びアノードを横切って電位が加えられると、電子注入層から電子が、そして正孔注入層から正孔が発光層内に注入され、これらが再結合して光を放つ。OLED及びPLEDは、下記米国特許明細書に記載されており、これら全てを引用することにより本明細書中に組み入れる:米国特許第5,707,745号明細書(Forrest他)、同第5,721,160号明細書(Forrest他)、同第5,757,026号明細書(Forrest他)、同第5,834,893号明細書(Bulovic他)、同第5,861,219号明細書(Thompson他)、同第5,904,916号明細書(Tang他)、同第5,986,401号明細書(Thompson他)、同第5,998,803号明細書(Forrest他)、同第6,013,538号明細書(Burrows他)、同第6,046,543号明細書(Bulovic他)、同第6,048,573号明細書(Tang他)、同第6,048,630号明細書(Burrows他)、同第6,066,357号明細書(Tang他)、同第6,125,226号明細書(Forrest他)、同第6,137,223号明細書(Hung他)、同第6,242,115号明細書(Thompson他)、及び同第6,274,980号明細書(Burrows他)。
【0022】
典型的なマトリックス・アドレス型発光ディスプレイ・デバイスの場合、単一の基板上に多数の発光デバイスが形成され、規則的な格子パターンで群を成すように配列される。活性化は行及び列によって、又は個々のカソード・パス及びアノード・パスを用いて活性マトリックス内で行うことができる。OLEDはしばしば、先ず基板上に透明電極をデポジットし、そしてこれをパターン形成して複数の電極部分にすることにより製造される。次いで、有機層を透明電極上にデポジットする。電極層上に金属電極を形成することができる。例えば米国特許第5,703,436号明細書(Forrest他)(引用することにより本明細書中に組み入れる)では、正孔注入電極として、透明インジウム錫酸化物(ITO)が使用され、そして電子注入のためにはMg--Ag--ITO電極層が使用される。
【0023】
現代のキラル・ネマチック液晶材料は通常、キラル・ドーパントと合体された少なくとも一種のネマチック・ホストを含む。好適なキラル・ネマチック液晶組成物は好ましくは、正の誘電異方性を有し、そしてフォーカル・コニック・テクスチャーとねじれプレーナーテクスチャーとを形成するのに効果的な量のキラル材料を含む。キラル・ネマチック液晶材料が好ましいのは、これらの反射特性、双安定性及びグレースケール・メモリーが優れているからである。キラル・ネマチック液晶は典型的には、所望のピッチ長を形成するのに十分な量のネマチック液晶とキラル材料との混合物である。
【0024】
キラル・ネマチック液晶材料及びセル、並びにポリマー安定化型キラル・ネマチック液晶及びセルが当業者に知られており、例えば米国特許第5,695,682号明細書、米国特許出願第07/969,093号明細書、同第08/057,662号明細書、Yang他、Appl. Phys. Lett. 60(25)第3102-04頁(1992)、Yang他、J. Appl. Phys. 76(2)、第1331頁(1994)、国際特許出願第PCT/US92/09367号明細書、及び国際特許出願第PCT/US92/03504号明細書に記載されている。これらの内容を全てを引用することにより本明細書に組み入れる。
【0025】
好適な商業的なネマチック液晶は例えば、E. Merckによって製造されたE7、E48、E44、E31、E80、TL202、TL203、TL204及びTL205を含む。キラル・ネマチック材料は例えば、Merck Ltd.から得られる下記材料:BL061、BL100、BL101、BL087、BL118、BL036のうちの一つ又は二つ以上を含んでよい。正の誘電異方性を有するネマチック液晶、及び特にシアノビフェニルが好ましいが、負の誘電異方性を有するものを含む、当業者に知られた事実上いかなるネマチック液晶も、本発明において使用するのに適している。キラル・ネマチック液晶材料は、Merck BL112、BL126、BL-03、BL-048、BL-033であってよく、これらはHawthorne, N.Y.在、EM Industriesから入手可能である。その他の好適な材料は、ZLI-3308、ZLI-3273、ZLI-5048-000、ZLI-5049-100、ZLI-5100-000、ZLI-5800-000及びMLC-6041-100を含むことができる。他の光反射性又は拡散変調性の電気的に作業される材料、例えば油中のマイクロカプセル化された電気泳動材料をコーティングすることもできる。ネマチック・ホストの例は、5CB又はMBBAを含有する混合物である。
【0026】
本発明は、光変調層として、連続マトリックス中に分散されたキラル・ネマチック液晶組成物を採用することができる。このような材料は、「ポリマー分散型液晶」材料又は「PDLC」材料と呼ばれる。このような材料は、種々の方法によって形成することができる。例えば、Doane他(Applied Physics Letters 48, 269(1986))には、ポリマー・バインダー中のネマチック液晶5CBの約0.4 mm小滴を含むPDLCが開示されている。この文献を引用することにより本明細書中に組み入れる。PDLCを調製するために、相分離法が用いられる。モノマー及び液晶を含有する溶液をディスプレイ・セル中に充填し、次いでこの材料を重合する。重合時に、液晶は不混和性となり、核生成して小滴を形成する。West他(Applied Physics Letters 63, 1471(1993))(引用することにより本明細書中に組み入れる)には、ポリマー・バインダー中のキラル・ネマチック混合物を含むPDLCが開示されている。PDLCを調製するためにもう一度相分離法を用いる。ポリマーのための架橋剤と一緒に、液晶材料及びポリマー(ヒドロキシで官能化されたポリメチルメタクリレート)を、共通の有機溶剤トルエン中に溶解し、そしてインジウム錫酸化物(ITO)支持体上にコーティングする。高温でトルエンを蒸発させると、ポリマー・バインダー中の液晶材料の分散体が形成される。
【0027】
液晶材料は、当業者に知られた方法、例えば乳化法又は相分離法によって形成することができる。好ましい実施態様の場合、限定凝集処理を用いて、液晶材料を加工することにより、均一なサイズを有する液晶材料エマルジョンを形成することができる。このような方法は、米国特許出願第10/095,379号明細書に開示されている。この明細書全体を引用することにより本明細書中に組み入れる。この方法は、微粉砕シリカ、及び凝集を限定する材料、例えばduPont Corporation製のLUDOXの存在において、液晶材料を均質化することにより実施することができる。水性浴に促進剤材料を添加することにより、コロイド粒子を液-液界面に駆出することができる。好ましい実施態様の場合、水浴内の促進剤として、アジピン酸及び2-(メチルアミノ)エタノールのコポリマーを使用することができる。超音波を使用して液晶材料を分散させることにより、1μm未満のサイズの液晶ドメインを形成することができる。超音波エネルギーを除去すると、液晶材料は凝集して、均一サイズのドメインになる。最小ドメイン・サイズと最大ドメイン・サイズとの比は好ましくは、約1:2だけ変化する。液晶材料に対してシリカ及びコポリマーの量を変化させることにより、顕微鏡で測定して、平均直径約1、3及び8μmの平均ドメイン・サイズのエマルジョンを生成することができる。これらのエマルジョンは、後続のコーティングのためにゼラチン溶液中に希釈することができる。
【0028】
好ましくは、ドメインは、扁平化された球体であり、平均して長さよりも著しく小さな厚み、好ましくは50%以上小さい厚みを有している。より好ましくはドメインの厚み(深さ)と長さとの比は、平均して1:2〜1:6である。ドメインの扁平化は、コーティングの適正な配合及び十分に急速な乾燥によって達成することができる。ドメインの好ましい平均直径は2〜30μmである。画像形成層の好ましい厚さは、先ずコーティングされたときには10〜150μmであり、乾燥させられたときには2〜20μmである。
【0029】
液晶材料の扁平化されたドメインは、長軸と短軸とを有するものとして定義することができる。ディスプレイ又はディスプレイ・シートの好ましい実施態様の場合、長軸のサイズは、ドメインの大部分に関して、セル(又は画像形成層)の厚さよりも大きい。このような寸法の関係は、米国特許第6,061,107号明細書に示されている。この明細書の全体を引用することにより本明細書中に組み入れる。
【0030】
好ましい実施態様の場合、ディスプレイのコントラストは、N*LCドメインの実質的な単層だけを使用することにより、最大化される。「実質的な単層」という用語は、本明細書中では、ディスプレイ平面に対して垂直方向において、ディスプレイのほとんどの点で、好ましくはディスプレイの点(面積)の75 %以上、最も好ましくはディスプレイの点(面積)の90 %以上で、電極間には単一のドメイン層がサンドイッチされているにすぎないことを意味する。換言すれば、大抵の場合には、電極間に単一ドメインだけしかないディスプレイの点(又は面積)の量と比較して、ディスプレイの点(又は面積)のわずかな部分(好ましくは10 %未満)しか、ディスプレイ平面に対して垂直方向において、電極間に単一ドメインよりも多くのドメイン(二つ又は三つ以上のドメイン)を有さない。
【0031】
単層に必要な材料量は、完全密封パックされたドメイン配列を想定して、個々のドメイン・サイズに基づいて計算することによって正確に見極めることができる。実際には、ギャップが発生する欠陥、及びオーバーラップする小滴又はドメインによる何らかの不均一が生じるおそれがある。これに基づいて、算出量は、好ましくは単層ドメイン被覆に必要とされる量の150 %未満、好ましくは、単層ドメイン被覆に必要とされる量の125 %以下、より好ましくは、ドメインの単層に必要とされる量の110 %以下である。さらに、コーティングされた小滴のジオメトリ及びブラッグ反射条件に基づいて、種々異なるドーピングが施されたドメインを適切に選択することにより、視角及び広帯域特徴を改善することができる。
【0032】
一つ又は二つ以上の液晶層は他の成分を含有することもできる。例えば、液晶材料自体によって色が導入されるが、多色性色素を添加することにより、セルによって反射される色を増強し、又は変化させることもできる。同様に、添加剤、例えばヒュームド・シリカを液晶混合物中に溶解することにより、種々のキラル・ネマチック・テクスチャーの安定性を調節することができる。0.25 %〜1.5 %の量の色素を使用することもできる。
【0033】
本発明と共に、少なくとも一つの導電性層を利用することができる。好ましくは、導電性層のうちの少なくとも一つがUV硬化性である。UV硬化性導電性層は、UV硬化性でない導電性材料との組み合わせで使用することができる。他の実施態様の場合、複数の導電性層がUV硬化性であってよい。
【0034】
導電率をより高くするために、導電性層は銀をベースとする層を含んでよい。銀をベースとする層は、銀だけを含有するか、又は異なる元素、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、カドミニウム(Cd)、金(Au)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、錫(Sn)、インジウム(In)、タンタル(Ta)、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、セリウム(Ce)、ケイ素(Si)、鉛(Pb)又はパラジウム(Pd)を含有する銀を含有する。
【0035】
好ましい実施態様の場合、導電性層は、金、銀及び金/銀合金のうちの少なくとも一つ、例えば、より薄い金層が一方又は両方の側にコーティングされた銀層を含む。Polaroid Corporationによる国際公開第99/36261号パンフレットを参照されたい。このパンフレットを引用することにより本明細書中に組み入れる。別の実施態様の場合、導電性層は、銀合金層、例えば酸化インジウムセリウム(InCeO)層が一方又は両方の側にコーティングされた銀層を含んでよい。米国特許第5,667,853号明細書を参照されたい。この明細書を引用することにより本明細書中に組み入れる。UV硬化性導電性層は、より薄い金属層が一方又は両方の側にコーティングされた銀層として塗布することもできる。
【0036】
導電性層は、アルミニウム、錫、銀、白金、炭素、タングステン、モリブデン又はインジウムのような材料を使用して、真空環境において形成することができる。これらの金属の酸化物を使用して、パターン形成可能な導電性層を暗くすることができる。金属材料は、抵抗加熱、カソード・アーク、電子ビーム、スパッタリング又はマグネトロン励起から生じたエネルギーによって励起することができる。導電性層は、酸化錫又はインジウム錫酸化物から成るコーティングを含むことができ、その結果、層は透明となる。二つ以上の導電性層を設けることができる。
【0037】
好適な材料は、好適な支持構造、例えば一つ又は二つ以上の電極上又は電極間に配置された電気的変調型材料を含んでよい。本明細書中で使用される「電気的変調型材料」という用語は、任意の好適な不揮発性材料を含むものとする。電気的変調型材料に適した材料が、米国特許出願第09/393,553号明細書、及び米国特許仮出願第60/099,888号明細書に記載されている。これら両出願明細書の内容を引用することにより本明細書中に組み入れる。
【0038】
電気的変調型材料は、粒子又は微視的な容器又はマイクロカプセルの配列を有する印刷可能な導電性インクであってもよい。各マイクロカプセルは、流体、例えば誘電流体又はエマルジョン流体の電気泳動組成物、及び着色粒子又は荷電粒子又はコロイド材料の懸濁液を含有する。マイクロカプセルの直径は典型的には30〜300μmである。1実施態様によれば、粒子は誘電粒子に対して視覚的にコントラストを成す。別の例によれば、電気的変調型材料は、回転可能なボールを含んでよい。これらのボールは回転することにより、異なる着色表面領域を暴露し、そして前方観察位置及び/又は後方非観察位置の間を移動することができる。このような材料は例えばジリコンである。具体的には、ジリコンはねじれ回転要素から成る材料であり、これらの要素は、液体が充填された球体キャビティ内に含有され、エラストマー媒質中に埋め込まれている。回転要素は、外部電場を印加することにより、光学特性の変化を示すように形成することができる。所与の極性を有する電場を印加すると、回転要素の1セグメントがディスプレイの観察者に向かって回転し、このセグメントを観察者が見ることできる。対向極性を有する電場を印加すると、要素が回転して、第2の異なるセグメントを観察者に晒すことになる。ジリコン・ディスプレイは、電場がディスプレイ集成体にアクティブに印加されるまで、所与の形態を維持する。ジリコン粒子の直径は典型的には約100μmである。ジリコン材料は、米国特許第6,147,791号明細書、同第4,126,854号明細書、及び同第6,055,091号明細書に開示されている。これらの明細書の内容を引用することにより本明細書中に組み入れる。
【0039】
1実施態様によれば、マイクロカプセルには、黒色色素又は着色色素中の荷電白色粒子を充填することができる。電気的変調型材料、及び本発明と共に使用するのに適したインクの配向を制御するか又は生じさせることができる集成体を製作する方法の例は、国際公開第98/41899号パンフレット、国際公開第98/19208号パンフレット、国際公開第98/03896号パンフレット、及び国際公開第98/41898号パンフレットに示されている。これらの内容を引用することにより本明細書中に組み入れる。
【0040】
電気的変調型材料は、米国特許第6,025,896号明細書に開示された材料を含むこともできる。この明細書の内容を引用することにより本明細書中に組み入れる。この材料は、多数のマイクロカプセル内にカプセル化された液状分散媒質中の荷電粒子を含む。荷電粒子は異なるタイプの色及び電荷極性を有してよい。例えば白色正荷電粒子を黒色負荷電粒子と共に採用することができる。上記マイクロカプセルは一対の電極間に配置されるので、荷電粒子の分散状態を変化させることにより、所望の画像が材料によって形成され、そして表示される。荷電粒子の分散状態は、電気的変調型材料に印加された、制御された電場を介して変化させられる。好ましい実施態様によれば、マイクロカプセルの粒子直径は5μm〜200μmであり、荷電粒子の粒子直径は、マイクロカプセルの粒子直径の1000分の1〜5分の1のサイズである。
【0041】
さらに、電気的変調型材料はサーモクロミック材料を含んでよい。サーモクロミック材料は、熱が加えられると、透明と不透明との間で交互にその状態を変化させることができる。こうして、サーモクロミック画像形成材料は、特定の画素位置に熱を加えることにより画像を現像して、画像形成する。サーモクロミック画像形成材料は、熱が材料に再び加えられるまで、特定の画像を維持する。書換え可能な材料は透明なので、下に位置するUV蛍光印刷、デザイン及びパターンを書換え可能な材料を通して見ることができる。
【0042】
電気的変調型材料は、表面安定化型強誘電性液晶(SSFLC)を含むこともできる。表面安定化型強誘電性液晶は、密な間隔で配置されたガラス・プレート間に強誘電性液晶材料を閉じ込めることにより、液晶の天然螺旋形態を抑制する。セルは、印加された電場の符号を交互に変えるだけで、光学的に区別可能な二つの安定状態間で迅速に切換わる。
【0043】
エマルジョン中に懸濁された磁性粒子は、本発明と共に使用するのに適した付加的な画像形成材料を含む。人間及び/又は機械によって読むことができる兆候を作成、更新又は変更するためには、磁力を加えることにより、磁性粒子で形成された画素を変化させる。当業者には明らかなように、種々の双安定の不揮発性画像形成材料が利用可能であり、本発明において実施することができる。
【0044】
電気的変調型材料は、単色、例えば黒、白又は透明なものとして構成することもでき、また蛍光、玉虫色、生体発光、白熱、紫外線、赤外線であってよく、或いは、波長に対して特異的な輻射線吸収材料又は輻射線放出材料を含んでよい。電気的変調型材料層は複数あってよい。電気的変調型材料の異なる層又は領域が、異なる特性又は色を有してよい。さらに、種々の層の特性は、互いに異なっていてよい。例えば一つの層は、可視光範囲において情報を見る又は表示するのに使用することができるのに対して、第2の層は紫外線に応答するか、又は紫外線を放出する。或いは、見ることができない層は、輻射線吸収特性又は輻射線放出特性を有する非電気的変調型材料から構成することもできる。本発明との関連において採用された電気的変調型材料の特徴は、これが兆候の表示を維持するのに電力を必要としないことである。
【0045】
硬化性層は誘電材料を含んでよい。本発明の目的上、誘電層は導電性ではない層であるか、又は電気の流れをブロックする層である。この誘電材料は、UV硬化性で熱可塑性のスクリーン印刷可能な材料、例えばAcheson Corporation製のElectrodag 25208誘電コーティングを含んでよい。誘電材料は、誘電層を形成する。この層は、画像領域を規定するための開口を含んでよい。これらの画像領域は開口と合致する。画像は透明基板を通して見られるので、兆候の画像は鏡像として形成される。
【0046】
誘電材料は、続いて光変調層に第2の電極を結合するための接着層を形成することができる。熱及び圧力に関与するコンベンショナルな貼合わせ技術を採用することにより、永久的な耐久性のある結合を達成する。或る特定の熱可塑性ポリエステル、例えばBostic Corp.製のVITEL 1200及び3200樹脂、ポリウレタン、例えばMorton International製のMORTHANE CA-100、ポリアミド、例えばUnion Camp Corp.製のUNIREZ 2215、ポリビニルブチラール、例えばMonsanto製のBUTVAR B-76、及びポリ(ブチルメタクリレート)、例えばICI Acrylics Inc.製のELVACITE 2044が、導電性層と光変調層との間に実質的な結合を提供することもできる。
【0047】
誘電接着層は、乾燥厚1〜3μmで一般の有機溶剤からコーティングすることができる。誘電接着層は、水性溶剤又は分散体からコーティングすることもできる。ポリビニルアルコール、例えばAir Products製のAIRVOL 425又はMM-51、及びポリ(メチルビニルエーテル/無水マレイン酸)、例えばGAF Corp製のGANTREZ AN-119を水中に溶解し、続いて第2の電極上にコーティングし、厚さ1〜3μmまで乾燥させ、そして光変調層に貼合わせることができる。或る特定のポリアミドの水性分散体、例えばArizona Chemical製のMICROMID 142LTL、ポリエステル、例えばEastman Chemical Products Inc.製のAQ 29D、スチレン/ブタジエンコポリマー、例えばReichhold Chemicals製のTYLAC 68219-00、及びアクリル酸/スチレンコポリマー、例えばSpecialty Polymer Inc.製のRayTech 49及びRayKote 234Lを、前述の誘電接着層として利用することもできる。
【0048】
硬化プロセスは、コーティング硬化の当業者に知られている任意の手段、例えば光、熱、空気流、化学反応、又はその他のエネルギー源を加えることにより生じることができる。硬化プロセスの光活性化は、紫外線、可視光、赤外線、又はこれらの組み合わせに当て、これにより次いで化学反応を開始して、例えば架橋重合を介して材料を硬化させることにより生じることができる。
【0049】
典型的な硬化プロセスは、いくつかの工程:(a)開始、(b)機械搬送硬化、及び(c)巻取りロール硬化で行われる。コーティングを硬化させるためには二つの主要な方法、つまり化学線及び熱による方法がある。化学線硬化の場合、揮発分10%未満のプレポリマー・インクの重合を、電磁エネルギーを加えることにより開始する。このプロセスには、386ナノメーター未満のUV波長を用いる。線量限界は100〜700 mJ/cm2であり、300〜500 mJ/cm2が好ましい。温度及び空気流は当業者にとっては標準的である。機械硬化は、UV硬化においてはほとんど行われないが、プロセスを十分に完成するためには付加的な時間が必要となる。巻取りロールの場合、ウェブは、完全に硬化させるために、ラップ間接触なしの時間を必要とする。温度限界は10〜100℃であり、20〜30℃が好ましく、湿度限界は0〜90 %であり、40〜60 %が好ましく、そして空気流限界は0〜4000 fpmであり、0〜15 fpmが好ましい。数多くの種類のガスのいずれかの存在は、このプロセスに有用であり、空気又は窒素が好ましい。
【0050】
熱硬化性溶剤コーティングは、コーティング全体の最大75%であってよい揮発分を駆除するために拡散及び対流に依存する。開始及び搬送硬化は、ウェブに沿って、又はウェブを横切って運動する高温ガスを加えることにより行われる。空気搬送技術がよく知られており、これらのプロセスのために標準的技法が存在する。巻取りロールの場合、乾燥作業は通常は継続しないが、ラップ間が接触しないように層が所定の間隔を置いて設けられると、乾燥作業は継続することができる。温度限界は20〜100℃であり、70〜90℃が好ましく、湿度限界は20〜60 %であり、30〜50 %が好ましく、そして空気流限界は0〜4000 fpmであり、0〜15 fpmが好ましい。
【0051】
液晶は、中間相における分子の配列に応じて、ネマチック(N)、キラル・ネマチック(N*)、又はスメクチックであってよい。キラル・ネマチック液晶(N*LC)ディスプレイは、典型的には反射性であり、すなわちバックライトが必要でなく、偏光フィルム又はカラー・フィルターを使用することなしに機能することができる。
【0052】
本発明の好ましい実施態様の場合、ディスプレイ・デバイス又はディスプレイ・シートは単に、ディスプレイ面に対して垂直な線に沿った、液晶材料から成る単一の画像形成層、好ましくは可撓性を有する基板上にコーティングされた単層を有する。対向する基板の間にそれぞれ鉛直方向に積み重ねられた画像形成層と比較して、このような構造は、モノクロ棚ラベルなどに特に有利である。しかし、積み重ねられた画像形成層を有する構造は、何らかの事例において付加的な利点を提供するための任意の選択肢ではある。
【0053】
現代のキラル・ネマチック液晶材料は通常、キラル・ドーパントと合体された少なくとも一種のネマチック・ホストを含む。一般に、ネマチック液晶相は、有用な複合特性を提供するように組合わされた1種又は2種以上のメソゲニック成分から構成されている。多くのこのような材料は商業的に入手可能である。キラル・ネマチック液晶混合物のネマチック成分は、適切な液晶特性を有する任意の好適なネマチック液晶混合物又は組成物から成ることができる。本発明における使用に適したネマチック液晶は、好ましくは、ネマチック又はネマトゲニック物質から、例えばアゾキシベンゼン、ベンジリデンアニリン、ビフェニル、ターフェニル、フェニル又はシクロヘキシルベンゾエート、シクロヘキサンカルボン酸のフェニル又はシクロヘキシルエステル;シクロヘキシル安息香酸のフェニル又はシクロヘキシルエステル;シクロヘキシルシクロヘキサンカルボン酸のフェニル又はシクロヘキシルエステル;安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸及びシクロヘキシルシクロヘキサンカルボン酸のシクロヘキシルフェニルエステル;フェニルシクロヘキサン;シクロヘキシルビフェニル;フェニルシクロヘキシルシクロヘキサン;シクロヘキシルシクロヘキサン;シクロヘキシルシクロヘキセン;シクロヘキシルシクロヘキシルシクロヘキサン;1,4-ビス-シクロヘキシルベンゼン;4,4-ビス-シクロヘキシルビフェニル;フェニル-又はシクロヘキシルピリミジン;フェニル-又はシクロヘキシルピリジン;フェニル-又はシクロヘキシルピリダジン;フェニル-又はシクロヘキシルジオキサン;フェニル-又はシクロヘキシル-1,3-ジチアン;1,2-ジフェニルエタン;1,2-ジシクロヘキシルエタン;1-フェニル-2-シクロヘキシルエタン;1-シクロヘキシル-2-(4-フェニルシクロヘキシル)エタン;1-シクロヘキシル-2',2-ビフェニルエタン;1-フェニル-2-シクロヘキシルフェニルエタン;任意にはハロゲン化されたスチルベン;ベンジルフェニルエーテル;トラン;置換型桂皮酸及びエステルの既知のクラス;及びネマチック又はネマトゲニック物質の更なるクラスから選択された低分子量の化合物から構成される。これらの化合物における1,4-フェニレン基は、横方向にモノ又はジフッ素化することもできる。この好ましい実施態様の液晶材料は、このタイプのアキラル化合物に基づいている。これらの液晶材料の成分として考えられ得るもっとも重要な化合物は、下記式R'-X-Y-Z-R''によって特徴付けすることができる。上記式中、同一又は異なるものであってよいX及びZはそれぞれの事例において、互いに独立して、-Phe-、Cyc-、Phe-Phe-、-Phe-Cyc-、-Cyc-Cyc-、Pyr-、-Dio-、-B-Phe-及び-B-Cyc-によって形成された群から選択された二価基であり;Pheは無置換型又はフッ素置換型1,4-フェニレンであり、Cycはトランス-1,4-シクロヘキシレン又は1,4-シクロヘキセニレンであり、Pyrはピリミジン-2,5-ジイル又はピリジン-2,5-ジイルであり、Dioは1,3-ジオキサン-2,5-ジイルであり、そしてBは2-(トランス-1,4-シクロヘキシル)エチル、ピリミジン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイルである。これらの化合物におけるYは、下記二価基-CH=CH-、-C≡C-、-N=N(O)-、-CH=CY'-、-CH=N(O)-、CH2-CH2-、-CO-O-、CH2-O-、-CO-S-、CH2-S-、-COO-Phe-COO-又は単結合から選択され、Y'はハロゲン、好ましくは塩素又は-CNであり;R'及びR''はそれぞれの事例において、互いに独立して、炭素原子数1〜18、好ましくは1〜12のアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルカノイルオキシ、アルコキシカルボニル又はアルコキシカルボニルオキシであり、或いはR'及びR''の一方が、-F、-CF3、-OCF3、-Cl、-NCS又は-CNである。これらの化合物のほとんどの場合、R'及びR''はそれぞれの事例において、互いに独立して、鎖長が異なるアルキル、アルケニル又はアルコキシであり、ネマチック媒質中の炭素原子の合計は、一般に2〜9、好ましくは2〜7である。ネマチック液晶相は典型的には2〜20種、好ましくは2〜15種の成分から成る。上記材料のリストは、排他的又は限定的であることを意図するものではない。リストは、使用に適した種々の代表的な材料又は混合物を開示し、これらは、電気光学液晶組成物中の活性要素を含む。
【0054】
好適なキラル・ネマチック液晶組成物は好ましくは、正の誘電異方性を有し、そしてフォーカル・コニック・テクスチャーとねじれプレーナーテクスチャーとを形成するのに効果的な量のキラル材料を含む。キラル・ネマチック液晶材料が好ましいのは、これらの反射特性、双安定性及びグレースケール・メモリーが優れているからである。キラル・ネマチック液晶は典型的には、所望のピッチ長を形成するのに十分な量のネマチック液晶とキラル材料との混合物である。好適な商業的なネマチック液晶は例えば、E. Merck(ドイツ国Darmstadt)によって製造されたE7、E44、E48、E31、E80、BL087、BL101、ZLI-3308、ZLI-3273、ZLI-5048-000、ZLI-5049-100、ZLI-5100-000、ZLI-5800-000、MLC-6041-100、TL202、TL203、TL204及びTL205を含む。正の誘電異方性を有するネマチック液晶、及び特にシアノビフェニルが好ましいが、負の誘電異方性を有するものを含む、当業者に知られた事実上いかなるネマチック液晶も、本発明において使用するのに適している。当業者には明らかなように、本発明において使用するには、他のネマチック材料が好適であることもある。
【0055】
中間層の螺旋ねじれを誘発し、これにより可視光の反射を可能にするために、ネマチック混合物に添加されるキラル・ドーパントは、任意の有用な構造クラスを有していてよい。ドーパントは、いくつかの特性に応じて選択される。これらの特性はとりわけ、ネマチック・ホストとの化学的適合性、螺旋ねじれ力、温度感受性、及び耐光性を含む。多くのキラル・ドーパント・クラスは当業者に知られている:例えばG. Gottarelli及びG. Spada, Mol. Cryst. Liq. Crys., 123, 377(1985);G. Spada及びG. Proni, Enantiomer, 3, 301(1998)及びこれらの文献における参考文献(これらを引用することにより本明細書中に組み入れる)。よく知られた典型的なドーパント・クラスは、1,1-ビナフトール誘導体;米国特許第6,217,792号明細書(この明細書を引用することにより本明細書中に組み入れる)に開示されているようなイソソルビド(D-1)及び同様のイソマニド・エステル;米国特許第6,099,751号明細書(この明細書を引用することにより本明細書中に組み入れる)に開示されているようなTADDOL誘導体(D-2);及び、2003年8月29日付けで出願されたT. Welter他による米国特許出願第10/651,692号明細書(発明の名称「Chiral Compounds and Compositions Containing the Same」)(この明細書を引用することにより本明細書中に組み入れる)に開示されているようなペンディング・スピロインダン・エステル(D-3)を含む。
【0056】
【化1】
【0057】
液晶材料のピッチ長は、下記等式(1):
λmax=navp0
(上記式中、λmaxはピーク反射波長、すなわちこの波長において反射率が最大であるような波長であり、navは、液晶材料の平均屈折率であり、そしてp0は、キラル・ネマチック螺旋の天然ピッチ長である。)に基づいて調節することができる。
【0058】
キラル・ネマチック螺旋及びピッチ長の定義、並びにその測定方法は、書籍Blinov, L. M., Electro-optical and Magneto-Optical Properties of Liquid Crystals, John Wily & Sons Ltd. 1983(これを参考のため本明細書に引用する)に見いだすことができるように、当業者に知られている。ピッチ長は、液晶材料におけるキラル材料の濃度を調節することにより、ピッチ長が改変される。キラル・ドーパントの大抵の濃度に関して、ドーパントによって誘発されたピッチ長は、ドーパントの濃度に対して反比例する。比例定数は下記等式(2):
【0059】
p0=1/(HTP.c)
(cはキラル・ドーパントの濃度であり、HTPは比例定数である)
によって与えられる。
【0060】
いくつかの用途の場合、強い螺旋ねじれと、ひいては短いピッチ長とを示すLC混合物を有することが望ましい。例えばキラル・ネマチック・ディスプレイを選択的に反射する際に使用される液晶混合物において、ピッチは、キラル・ネマチック螺旋によって反射された波長の最大値が可視光範囲内にあるように選択されなければならない。他の考えられ得る用途は、光学素子、例えばキラル・ネマチック広帯域偏光子、フィルター・アレイ、又はキラル液晶リターデーション・フィルムのためのキラル液晶相を有するポリマー・フィルムである。これらの中には、能動的及び受動的光学素子又はカラー・フィルター及び液晶ディスプレイ、例えばSTN、TN、AMD-TN、温度補償、無ポリマー型又はポリマー安定化型のキラル・ネマチック・テクスチャー(PFCT、PSCT)ディスプレイがある。考えられ得るディスプレイ産業用途は、ノートブック型及びデスクトップ型コンピューター、計器盤、ビデオゲーム機、テレビ電話、携帯電話、ハンドヘルドPC、PDA、e-ブック、ビデオカメラ、衛星ナビゲーション・システム、店舗及びスーパーマーケットの価格設定システム、幹線道路標識、情報ディスプレイ、スマートカード、玩具、及びその他の電子デバイスの超軽量の可撓性の低廉なディスプレイを含む。
【0061】
キラル・ネマチック液晶材料及びセル、並びにポリマー安定化型キラル・ネマチック液晶材料及びセルが、米国特許出願第07/969,093号明細書、同第08/057,662号明細書、Yang他、Appl. Phys. Lett. 60(25)第3102-04頁(1992)、Yang他、J. Appl. Phys. 76(2)、第1331頁(1994)、国際特許出願第PCT/US92/09367号明細書、及び国際特許出願第PCT/US92/03504号明細書に記載されている。これら全てを引用することにより本明細書中に組み入れる。
【0062】
好ましい実施態様の場合、光変調層は第1の導体上にデポジットされる。光変調層はキラル・ネマチック液晶を含有する。選択された材料は好ましくは、高い光学的且つ電気的異方性を示し、材料が電気的に配向されたときに、キャリア・ポリマーの屈折率とマッチングする。このような材料の例は、E. MerckのBL-03、BL-048又はBL-033であり、これらはHawthorne, N.Y.在、EM Industriesから入手可能である。他の光反射性又は拡散変調性の電気的に作業される材料、例えば油中のマイクロカプセル化された電気泳動材料をコーティングすることもできる。
【0063】
液晶は、コレステリック液晶としても知られているキラル・ドープ型ネマチック液晶、例えば米国特許第5,695,682号明細書に開示された液晶であってよい。種々の強度及び継続時間を有する場を印加することにより、反射状態から透過状態へキラル・ドープ型ネマチック材料の状態が変化する。これらの材料の利点は、場が除去されたあと、所与の状態を無期限に維持することである。コレステリック液晶材料は、Hawthorne, N.Y.在、EM Industriesから入手可能なBL112、BL118又はBL126であってよい。光変調層は二つの条件において効果的である。
【0064】
可撓性を有するプラスチック基板は、薄い導電性金属フィルムを支持する任意の可撓性を有する自立性プラスチック・フィルムであってよい。「プラスチック」は、通常は高分子合成樹脂から形成される高分子物質であり、この高分子物質は、他の成分、例えば硬化剤、充填剤、強化剤、着色剤及び可塑剤と組み合わせることができる。プラスチックは、熱可塑性材料及び熱硬化性材料を含む。
【0065】
可撓性を有するプラスチック・フィルムは、自立性であるのに十分な厚さ及び機械的完全性を有さなければならないが、剛性であるほど厚くあるべきではない。典型的には、可撓性を有するプラスチック・フィルムの厚さは、複合フィルムの最も厚い層である。結果として、基板は、完全に構造化された複合フィルムの機械的且つ熱的な安定性をかなりの程度まで決定する。
【0066】
可撓性を有するプラスチック基板材料の別の有意な特徴は、そのガラス転移温度(Tg)である。Tgは、プラスチック材料がガラス状態からゴム状態へ変化することになるガラス転移温度として定義される。Tgは、材料が実際に流動する前の所定の範囲を含んでよい。可撓性を有するプラスチック基板に適した材料は、ガラス転移温度が比較的低い、例えば最大150℃の熱可塑性材料、並びに、ガラス転移温度がより高い、例えば150℃を上回る材料を含む。可撓性を有するプラスチック基板のための材料の選択は、製造プロセス条件、例えばデポジション温度及びアニール温度、並びに製造後条件、例えばディスプレイ製造業者のプロセス・ラインにおける条件のようなファクターに依存することになる。下で論議するプラスチック基板のうちの或るものは、最小200℃までのより高い処理温度に耐えることができ、また或るものは、300〜350℃までのより高い処理温度に、損傷なしに耐えることができる。
【0067】
典型的には、可撓性を有するプラスチック基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、セルロースアセテート、脂肪族ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオリド、ポリ(メチル(x-メタクリレート)、脂肪族又は環状ポリオレフィン、ポリアリーレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、テフロン(登録商標)ポリ(ペルフルオロ-アルボキシ)フルオロポリマー(PFA)、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、ポリ(エーテルケトン)(PEK)、ポリ(エチレンテトラフルオロエチレン)フルオロポリマー(PETFE)、及び、ポリ(メチルメタクリレート)及び種々のアクリレート/メタクリレートのコポリマー(PMMA)である。脂肪族ポリオレフィンは、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、及び配向されたポリプロピレン(OPP)を含むポリプロピレンを含むことができる。環状ポリオレフィンはポリ(ビス-シクロペンタジエン))を含むことができる。好ましい可撓性を有するプラスチック基板は、環状ポリオレフィン又はポリエステルである。種々の環状ポリオレフィンは、可撓性を有するプラスチック基板に適している。その例は、Japan Synthetic Rubber Co.(日本国東京)製のArton(商標);Zeon Chemicals L.P.(日本国東京)製のZeanor T;及びCelanese A. G.(ドイツ国Kronberg)製のTopas(商標)を含む。Artonは、ポリマーのフィルムであるポリ(ビス-シクロペンタジエン))濃縮物である。或いは、可撓性を有するプラスチック基板は、ポリエステルであってもよい。好ましいポリエステルは、芳香族ポリエステル、例えばAryliteである。プラスチック基板の種々の例が上に示されているが、言うまでもなく、基板は他の材料、例えばガラス及び石英から形成することもできる。
【0068】
可撓性を有するプラスチック基板は、硬質コーティングで強化することができる。典型的には、硬質コーティングはアクリル・コーティングである。このような硬質コーティングは典型的には厚さ1〜15μm、好ましくは2〜4μmであり、そして適切な重合可能な材料のラジカル重合によって提供することができる。このラジカル重合は、熱又は紫外線によって開始される。基板に応じて、種々異なる硬質コーティングを使用することができる。基板がポリエステル又はArtonである場合、特に好ましい硬質コーティングは、「Lintec」として知られるコーティングである。LintecはUV硬化型ポリエステルアクリレートとコロイド・シリカとを含有する。Arton上にデポジットされると、Lintecは、水素を除いて、35原子%のC、45原子%のO、及び20原子%のSiから成る表面組成を有する。別の特に好ましい硬質コーティングは、Tekra Corporation(New Berlin, Wisconsin)によって「Terrapin」の商品名で販売されているアクリル・コーティングである。
【0069】
1実施態様の場合、シートは、ポリマー分散型光変調材料を支持する。シートは基板を含む。基板は高分子材料、例えばポリエステル・プラスチックから形成されたKodak Estarフィルムベースから成っていてよく、その厚さは20〜200μmであってよい。例えば基板は、透明ポリエステルの80μm厚シートであってよい。他のポリマー、例えば透明ポリカーボネートを使用することもできる。或いは、基板15は薄い透明ガラスであってよい。
【0070】
LCDは、少なくとも一つの透明導電性層を含有する。この層は典型的には一次金属酸化物から成る。この導電性層は、他の金属酸化物、酸化インジウム、酸化ハフニウム、二酸化チタン、酸化カドミウム、酸化ガリウムインジウム、五酸化ニオビウム及び二酸化錫を含んでよい。Polaroid Corporationによる国際公開第99/36261号パンフレットを参照されたい。このパンフレットを引用することにより本明細書中に組み入れる。一次酸化物、例えばITOに加えて、少なくとも一つの導電性層は二次金属酸化物、例えばセリウム、チタニウム、ジルコニウム、及び/又はタンタルの酸化物を含んでもよい。Fukuyoshi他(Toppan Printing Co.)の米国特許第5,667,853号明細書を参照されたい。この明細書を引用することにより本明細書中に組み入れる。他の透明導電性酸化物の一例としては、ZnO2、Zn2SnO4、Cd2SnO4、Zn2In2O5、MgIn2O4、Ga2O3--In2O3、又はTaO3が挙げられる。導電性層は、下側に位置する層の1種又は2種以上の材料に応じて、例えば低温スパッタリング技術、又は直流スパッタリング技術、例えばDC-スパッタリング又はRF-DCスパッタリングによって形成することができる。導電性層は、酸化錫又はインジウム錫酸化物(ITO)、又はポリチオフェンから成る透明な導電性層であってよく、ITOが好ましい材料である。典型的には、導電性層は、スクエア当たり250オーム未満の抵抗まで、基板にスパッタリングされる。或いは、導電性層は、金属、例えば銅、アルミニウム又はニッケルから形成された不透明な電気的導体であってもよい。導電性層が不透明な金属である場合、この金属は、光吸収導電性層を形成するための金属酸化物であってよい。
【0071】
インジウム錫酸化物(ITO)が好ましい導電性材料である。それというのも、ITOは良好な環境安定性、最大90%の透過率、及びスクエア当たり最小20オームの抵抗率を有するコスト的に効果的な導体であるからである。好ましいITO層の例は、光の可視域、すなわち400 nm超〜700 nmにおいて80 %以上の%透過率(%T)を有するので、フィルムはディスプレイ用途に有用となる。好ましい実施態様の場合、導電性層は、多結晶性の低温ITO層を含む。ITO層の厚さは、プラスチック上に20〜60 オーム/スクエアの抵抗率を達成するように、10〜120 nm又は50〜100 nmである。好ましいITO層の例は、60〜80 nm厚である。
【0072】
導電性層は好ましくはパターン形成される。導電性層は好ましくはパターン形成されることにより、複数の電極になる。パターン形成された電極を使用することにより、LCDデバイスを形成することができる。別の実施態様の場合、二つの導電性基板を、互いに面した状態で位置決めし、これらの間にコレステリック液晶を位置決めすることにより、デバイスを形成する。パターン形成されたITO導電性層は、種々の寸法を有してよい。寸法の例は、線幅10μm、線間の距離、すなわち電極幅200μm、カット深さ、すなわちITO導体の厚さ100ナノメーターを含むことができる。60、70、及び100ナノメーターを上回るオーダーのITO厚さも可能である。
【0073】
ディスプレイは、光変調層の表面に塗布された第2の導電性層を含有することもできる。第2の導電性層は、光変調層全体にわたって場を担持するのに十分な導電率を有するのが望ましい。第2の導電性層は、アルミニウム、錫、銀、白金、炭素、タングステン、モリブデン又はインジウムのような材料を使用して、真空環境において形成することができる。これらの金属の酸化物を使用して、パターン形成可能な導電性層を暗くすることができる。金属材料は、抵抗加熱、カソード・アーク、電子ビーム、スパッタリング又はマグネトロン励起から生じたエネルギーによって励起することができる。第2の導電性層は、酸化錫又はインジウム錫酸化物から成るコーティングを含むことができ、その結果、層は透明となる。或いは、第2の導電性層は、印刷された導電性インクであってもよい。
【0074】
導電率をより高くするために、導電性層は銀をベースとする層を含んでよい。銀をベースとする層は、銀だけを含有するか、又は異なる元素、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、カドミニウム(Cd)、金(Au)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、錫(Sn)、インジウム(In)、タンタル(Ta)、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、セリウム(Ce)、ケイ素(Si)、鉛(Pb)又はパラジウム(Pd)を含有する銀を含有する。好ましい実施態様の場合、導電性層は、金、銀及び金/銀合金のうちの少なくとも一つ、例えば、より薄い金層が一方又は両方の側にコーティングされた銀層を含む。Polaroid Corporationによる国際公開第99/36261号パンフレットを参照されたい。このパンフレットを引用することにより本明細書中に組み入れる。別の実施態様の場合、導電性層は、銀合金層、例えば酸化インジウムセリウム(InCeO)層が一方又は両方の側にコーティングされた銀層を含んでよい。米国特許第5,667,853号明細書を参照されたい。この明細書を引用することにより本明細書中に組み入れる。
【0075】
第2の導電性層をパターン形成して、紫外線を多層導体/基板構造に輻射することができるので、導電性層の部分がこの構造からアブレートされる。プラスチック・フィルムに被さる金属導電性層をパターン形成し、導体/基板構造上のパターンを走査することにより導電性層を直接的にアブレートするために、赤外線(IR)ファイバー・レーザーを採用することも知られている。国際公開第99/36261号パンフレット、及び「42.2: A New Conductor Structure for Plastic LCD Applications Utilizing 'All Dry' Digital Laser Patterning」1998 SID International Symposium Digest of Technical Papers, Anaheim, Calif., 1998年5月17-22日、第29巻、1998年5月17日、第1099-1101頁を参照されたい。両文献を引用することにより本明細書中に組み入れる。
【0076】
LCDは、導電性層と基板との間に少なくとも一つの「機能層」を含むこともできる。機能層は保護層又はバリア層を含んでよい。好ましいバリア層は、気体バリア又は湿分バリアとして作用することができ、またSiOx、AlOx又はITOを含むことができる。保護層、例えばアクリル硬質コートは、レーザー光が保護層と基板との間の機能層に達するのを防止し、これによりバリア層及び基板の双方を保護するように機能する。機能層は、基板に対する導電性層の接着プロモーターとして役立つこともできる。
【0077】
別の実施態様の場合、高分子支持体がさらに静電防止層を含むことにより、ロール搬送又はシート仕上げ中のシート又はウェブ上に形成される不所望な帯電を管理することができる。液晶は電圧によって状態間で切換えられるので、ウェブ表面上の十分な電圧の電荷蓄積が、電場を形成することができる。この電場は放電時に、液晶の一部を切換えることができる。巻取り、搬送、スリッティング、細断及び仕上げが、多くのウェブ基板上に帯電を引き起こし得ることが、写真ウェブ材料の当業者によく知られている。高帯電は、一方の側で導電性であるが他方の側では導電性ではないプラスチック・ウェブに特有の問題である。ウェブの一方の側に電荷が放電するまで蓄積し、感光性写真材料においては、放電の結果カブリが生じるおそれがある。カブリは、放電から引き起こされたスパークの結果として生じる、制御されない露光である。同様の予防措置及び静電管理が、製造中又は液晶ディスプレイの最終用途において必要である。本発明の別の実施態様の場合、静電防止の表面抵抗率は105〜1012である。1012を上回ると、静電防止層は典型的には、写真システムにおいてはカブリを予防する程度まで電荷蓄積を防止するのに十分な電荷の伝導を可能にせず、又は液晶ディスプレイにおいては不所望な点切換えを防止するのに十分な電荷の伝導を可能にしない。105を上回る層は帯電を防止しはするものの、大抵の静電防止材料は本来導電性ではなく、105よりも導電率が高いこれらの材料の場合、通常は、ディスプレイの透過特性全体を低減する材料と関連する何らかの色がある。静電防止層は、ITOの高導電性層とは離れており、これがウェブ基板の、ITO層の側とは反対側に位置していると、最良の静電制御を可能にする。静電防止層はウェブ基板自体を含んでよい。
【0078】
機能層の一つのタイプは色コントラスト層であってよい。色コントラスト層は輻射線反射層又は輻射線吸収層であってよい。好ましくは反射又は吸収される輻射線は光輻射線である。いくつかの事例において、それぞれのディスプレイの最も後ろ側の基板は、好ましくは黒くペイントされてよい。黒色ペイントは、ディスプレイの裏に達する赤外線を吸収する。スタック型セル・ディスプレイの場合、コントラストは、最後の可視セルの裏側の基板を黒色にペイントすることにより改善することができる。ペイントは好ましくは赤外線を通す。このことは、コントラストを改善し、しかも赤外ディスプレイの観察特性を変えない黒色の背景を有する可視セルを効果的に提供する。赤外域において透明なペイント、例えば黒色ペイントが、当業者に知られている。例えばコンピュータ・キー上に文字を印刷するために使用される多くのタイプの黒色ペイントは、赤外線を通す。1実施態様の場合、光吸収体は、入射光に対向する側に位置決めすることができる。完全に展開させられたフォーカル・コニック状態において、キラル・ネマチック液晶は透明であり、入射光を通す。この入射光は光吸収体によって吸収されることにより、黒色画像を形成する。フォーカル・コニック状態が徐々に展開することにより、キラル・ネマチック材料がプレーナー状態からフォーカル・コニック状態に変化するのにつれて、観察者は、反射光が黒色に遷移するのを知覚することになる。光透過状態への遷移は漸進的であり、低電圧時間を変化させることにより、可変の反射レベルが可能になる。これらの可変レベルは、対応するグレイ・レベルに位置付けすることができ、そして場が除去されると、光変調層は所与の光学状態を無期限に維持する。このプロセスは米国特許第5,437,811号明細書により十分に論議されている。この明細書を引用することにより本明細書中に組み入れる。
【0079】
色コントラスト層は他の色であってもよい。別の実施態様の場合、暗層は粉砕された非導電性顔料を含む。材料は1μm未満に粉砕されることにより、「ナノ顔料」を形成する。このような顔料は、極めて薄い層又は「サブミクロン(1μm未満)」層において光の波長を吸収する上で効果的である。好ましい実施態様の場合、暗層は、400ナノメーター〜700ナノメーター波長の可視光スペクトル全体にわたる光の全ての波長を吸収する。暗層は、一組又は複数の顔料分散体を含有することもできる。例えば3種の異なる顔料、例えばメディアン直径120ナノメーターまで粉砕されたイエロー顔料、メディアン直径210ナノメーターまで粉砕されたマゼンタ顔料、及びメディアン直径110ナノメーターまで粉砕されたシアン顔料、例えばSunfast(商標) Blue Pigment 15:4顔料が組合わされる。これら3種の顔料の混合物は、可視スペクトル全体にわたって均一な光吸収を生み出す。好適な顔料が容易に入手可能であり、これらは可視スペクトル全体にわたって光吸収性であるように構成されている。加えて、好適な顔料は不活性であり、電場を担持しない。
【0080】
色コントラスト層内に使用される好適な顔料は、任意の着色材料であってよく、これらの材料は、組込まれる媒質中で実際には不溶性である。好ましい顔料は有機材料であり、この有機材料において、炭素が水素原子及び少なくとも一つの元素、例えば窒素、酸素及び/又は遷移金属に結合されている。有機顔料の色相は主として、一つ又は二つ以上の発色団、すなわち可視光の吸収に関与する、分子中の共役二重結合の系の存在によって定義される。好適な顔料は、Industrial Organic Pigments: Production, Properties, Applications (W. Herbst and K. Hunger著、1993年、Wiley Publishers)に記載された顔料を含む。この文献を引用することにより本明細書中に組み入れる。これらの顔料の一例としては、アゾ顔料、例えばモノアゾ・イエロー及びオレンジ、ジアゾ、ナフトール、ナフトール・レッド、アゾ・レーキ、ベンズイミダゾロン、ジアゾ縮合物、金属錯体、イソインドリノン及びイソインドリン多環式顔料、例えばフタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、ジケトピロロ-ピロール、及びチオインディゴ、及びアントリキノン顔料、例えばアントラピリミジン、トリアリールカルボニウム及びキノフタロンが挙げられる。層の色は、液晶材料の吸収/反射波長と組合わされると特定の結果を生み出すように調節することができる。この層は補色コントラスト層と呼ぶことができる。
【0081】
本発明の実施において有用な保護層は、よく知られた多数の技術、例えば浸漬コーティング、ロッド・コーティング、ブレード・コーティング、エアナイフ・コーティング、グラビア・コーティング、リバース・ロール・コーティング、押出コーティング、スライド・コーティング、及びカーテン・コーティングなどのうちのいずれかで塗布することができる。液晶粒子及びバインダーは好ましくは、コーティング組成物を形成するために、液状媒質中で混ぜ合わされる。液状媒質は、媒質、例えば水又はその他の水溶液であってよく、この媒質中に親水性コロイドが界面活性剤と共に、又は界面活性剤を伴わずに分散される。
【0082】
液晶材料は、好ましくは、限定凝集処理を用いて加工することにより、均一なサイズを有する液晶材料エマルジョンを形成することができる。このことは、微粉砕シリカ、及び凝集を限定する材料、例えばduPont Corporation製のLUDOXの存在において、液晶材料を均質化することにより実施することができる。水性浴に促進剤材料を添加することにより、コロイド粒子を液-液界面に駆出することができる。好ましい実施態様の場合、水浴内の促進剤として、アジピン酸及び2-(メチルアミノ)エタノールのコポリマーを使用することができる。超音波を使用して液晶材料を分散させることにより、1μm未満のサイズの液晶ドメインを形成することができる。超音波エネルギーを除去すると、液晶材料は凝集して、均一サイズのドメインになる。最小ドメイン・サイズと最大ドメイン・サイズとの比は好ましくは、約1:2だけ変化する。液晶材料に対してシリカ及びコポリマーの量を変化させることにより、顕微鏡で測定して、平均直径約1、3及び8μmの平均ドメイン・サイズのエマルジョンを生成することができる。これらのエマルジョンは、後続のコーティングのためにゼラチン溶液中に希釈することができる。
【0083】
液晶の小滴サイズの制御は極めて難しい。なぜならば、このような材料は連続的に凝集して、単一相が生じるまで常にサイズ増大し続ける小滴になるという性質を有するからである。液晶小滴を有する層を含有する写真要素を調製する上で、液晶小滴のサイズ、及び小滴サイズの均一性が、写真画質に関して、また写真要素が採用された装置、例えばカメラ、及び写真処理装置などの他の部分との接触時におけるその写真要素の引掻き抵抗に関して、望ましいパラメーターであることが判っている。前述の同時係属中の米国特許第5,529,891号明細書に、具体的な実施態様が示されている。この明細書を引用することにより本明細書中に組み入れる。
【0084】
本明細書中に記載された液晶小滴は、粒子懸濁安定剤を含有する連続水性相中に液晶小滴の不連続相を形成し、液晶小滴サイズを低減し、そして小滴表面に対する粒子懸濁安定剤の作用により、小滴の凝集を限定することによって調製される。
【0085】
1実施態様の場合、液晶小滴は、限定凝集法によって形成することができ、液晶はこの方法に適した溶剤中に溶解され、この溶剤は、小滴サイズが凝集を限定することによって確立された後、蒸発によって除去される。第2の実施態様の場合、永久溶剤を液晶と混合することができる。この混合物は、水性媒質中に分散させることができ、小滴のサイズは、懸濁安定剤の作用により、凝集を限定することによって形成される。より高い表面エネルギーを有する永久溶剤は、小滴中に残り、ひいては、上述の手順におけるような蒸発工程を回避する。これらの方法のいずれも、狭い粒子サイズ分布をもたらすと共に、小滴の平均粒子サイズが、分散体の調製に採用された粒子懸濁安定剤の量によって制御される。こうして、採用された特定の液晶は一般に、揮発性溶剤又は永久溶剤と混合し、次いで、粒子懸濁安定剤と促進剤とを含有する水性媒質中に分散させることができる。促進剤の目的は、粒子懸濁安定剤を液晶小滴と水媒質との界面に駆出することである。水性媒質中の液晶小滴の分散体を、高速撹拌、超音波装置、及びホモジナイザーを含む任意の好適な装置によって強力に撹拌することにより、最終的に望まれるサイズ未満に、液晶小滴の粒子サイズを低減することができる。この場合、粒子懸濁安定剤の存在は、平衡に達するまで、そして粒子サイズがこれ以上成長しなくなるまで、凝集レベルを制御する。揮発性溶剤を含む調製の場合、次いで、温度を溶剤の気化温度を上回る温度に上昇させることにより、溶剤を駆除することができる。小滴は、画像形成要素の調製において使用するためのコーティング組成物を調製する際に採用することができる。永久溶剤を使用する場合、永久溶剤を含む小滴が、コーティング組成物の調製に直接的に使用される。
【0086】
液晶小滴を含有する層を塗布するのに適した配合物を提供するために、上記方法のいずれかによって調製された分散体は、親水性コロイドと組合わされる。ゼラチンが好ましい材料である。液晶小滴から粒子懸濁安定剤が除去されるのを防止するために、ゼラチン添加前に液晶分散体と共に界面活性剤が含まれてよい。界面活性剤は、液晶小滴の更なる凝集を防止するのを助ける。
【0087】
滑性を取り囲み、そして液晶小滴の凝集を防止するのに役立つ懸濁安定剤に関しては、限定凝集技術によってエチレン系不飽和型モノマーを付加反応させることにより高分子粒子を形成する、当業者に知られた任意の好適なコロイド安定剤、例えば無機材料(例えば金属塩又は水酸化物又は酸化物又はクレイ)、有機材料(例えば澱粉、スルホン化架橋型有機ホモポリマー及び米国特許第2,932,629号明細書に記載されているような樹脂ポリマー);米国特許第4,833,060号明細書に記載されているようなシリカ;コポリマー、例えば米国特許第4,965,131号明細書に記載されているようなコポリ(スチレン-2-ヒドロキシエチルメタクリレート-メタクリル酸-エチレングリコールジメタクリレート)を採用することができる。上記明細書全てを引用することにより本明細書中に組み入れる。シリカが好ましい懸濁安定剤である。
【0088】
懸濁安定剤を液晶小滴と水性相との界面に懸濁安定剤を駆出するのに適した促進剤は、スルホン化ポリスチレン、アルギネート、カルボキシルメチルセルロース、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド又はテトラメチルアンモニウムクロリド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムクロリド、ジエチルアミノエチルメタクリレート、水溶性複合樹脂アミン縮合物、例えばジエタノールとアジピン酸との水溶性縮合物(例えばポリ(アジピン酸-コ-メチルアミノエタノール)、エチレンオキシドの水溶性縮合物、尿素、及びホルムアルデヒド及びポリエチレンイミン;ゼラチン、グルー、カゼイン、アルブミン、グルテン及びメトキシセルロースを含む。好ましい促進剤は、トリエチルフェニルアンモニウムクロリドである。
【0089】
親水性コロイドが、液晶小滴表面から懸濁安定剤を除去するのを防止するために、コーティング組成物を調製するための混合工程に、好適なアニオン性界面活性剤、例えばポリイソプロピルナフタレン-ナトリウムスルホネート、ナトリウムドデシルスルフェート、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、並びに米国特許第5,326,687号明細書及びリサーチディスクロージャー(Research Disclosure)308119のSection XI(1989年12月)、表題「Photographic Silver Halide Emulsions, Preparations, Addenda, Processing, and Systems」(これら双方を引用することにより本明細書中に組み入れる)に示されたアニオン性界面活性剤を含むことができる。芳香族スルホネートがより好ましく、ポリイソプロピルナフタレンスルホネートが最も好ましい。
【0090】
好適な親水性バインダーは、天然物質及び合成物質の双方、すなわち天然物質、例えばタンパク質、タンパク質誘導体、セルロース誘導体(例えばセルロースエステル)、ゼラチン及びゼラチン誘導体、多糖及びカゼインなど、並びに合成透水性コロイド、例えばポリ(ビニルラクタム)、アクリルアミドポリマー、ポリ(ビニルアルコール)及びその誘導体、加水分解ポリビニルアセテート、アルキル及びスルホアルキル及びメタクリレートのポリマー、ポリアミド、ポリビニルピリジン、アクリル酸ポリマー、無水マレイン酸コポリマー、ポリアルキレンオキシド、メタクリルアミドコポリマー、ポリビニルオキサゾリジノン、マレイン酸コポリマー、ビニルアミンコポリマー、メタクリル酸コポリマー、アクリロイルオキシアルキルアクリレート及びメタクリレート、ビニルイミダゾールコポリマー、ビニルスルフィド、及びスチレンスルホン酸を含有するホモポリマー又はコポリマーを含む。ゼラチンが好ましい。
【0091】
1実施態様の場合、液晶材料は、水溶性バインダー材料、例えば脱イオン・ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)又はポリエチレンオキシド(PEO)を含有する水性浴内に分散される。このような化合物は、写真フィルムと連携する設備において、機械コーティング可能である。バインダーのイオン含量は低いことが望ましい。このようなバインダー中のイオンの存在は、分散された液晶材料を横切って電場を発生させるのを妨げる。加えて、バインダー中のイオンは電場の存在において移動し、光変調層を化学的に損傷するおそれがある。液晶及びゼラチンのエマルジョンを厚さ5〜30μmまでコーティングすることにより、光変調層の光特性を最適化する。コーティング厚、液晶ドメインのサイズ、及び液晶材料のドメインの濃度は、光学特性が最適になるように構成される。従来、剪断ミル又はその他の機械的分離手段を用いて液晶の分散を実施することにより、光変調層内部に液晶ドメインを形成する。
【0092】
LCDは機能層を含むこともできる。図1に示されたLCD 10の1実施態様の場合、多層可撓性支持体15に第1の導電性層20がコーティングされている。この第1の導電性層20はパターン形成することができ、この層20上には、光変調液晶層30がコーティングされる。第2の導電性層40が塗布され、これには誘電層をオーバーコートすることができる。この誘電層には、誘電導電性列接点が取り付けられ、導電性層と誘電導電性列接点との相互接続を可能にするビア(via)が含まれる。液晶層30と第2の導電性層40との間には、任意のナノ顔料含有機能層を塗布することができる。
【0093】
ディスプレイ基板15上には一つ又は二つ以上の第1の導体20が形成されている。第1の導体20は酸化錫、インジウム錫酸化物(ITO)又はポリチオフェンであってよく、ITOが好ましい材料である。典型的には、第1の導体20の材料は、ディスプレイ基板15上の層としてスパッタリング又はコーティングされ、スクエア当たり1000オーム未満の抵抗を有する。第1の導体20は、例えばコンベンショナルなリソグラフィ手段又はレーザー・エッチング手段によって、導電性層内に形成することができる。透明有機導体20、例えばPEDT/PSS、PEDOT/PSSポリマー(これらの材料はBayer AG Electronic ChemicalsによってBaytron(RTM)として販売されている)を印刷することにより、透明な第1の導体20を形成することもできる。
【0094】
コレステリック液晶層30が第1の導体20に被さる。コレステリック液晶層30は、1997年12月9日にDoane他に発行された米国特許第5,695,682号明細書(その開示内容を引用することにより本明細書中に組み入れる)に開示されているようなコレステリック液晶材料を含有することができる。このような材料は、高異方性ネマチック液晶混合物を使用して形成され、キラル・ドーピング剤を添加することにより、入射光を反射する干渉パターンが形成されるまで、液晶平面内に螺旋ねじれが提供される。種々の強度及び継続時間を有する場を印加することにより、キラル・ネマチック(コレステリック)液晶材料を反射状態、近透明/透過状態、又は中間状態に駆動することができる。これらの材料の利点は、電場の不在において両方とも安定な第1及び第2の光学状態を維持できることである。材料は、場が除去されたあと、所与の状態を無期限に維持する。コレステリック液晶材料は、2種の成分系、例えばHawthorne, N.Y.在、EM Industriesから入手可能なMDA-00-1444(ドープされていないネマチック)及びMDA-00-4042(高キラル・ドーパント濃度を有するネマチック)を使用して、形成することができる。
【0095】
好ましい実施態様の場合、コレステリック液晶層30は、ゼラチン、好ましくは脱イオンされた写真等級ゼラチン中に分散されたコレステリック液晶材料である。例えば液晶材料は、5 %ゼラチン水溶液中の8 %コレステリック液晶で混合される。混合物を分散させることにより、水性懸濁液中8〜10μm直径の液晶ドメインを有するエマルジョンを形成する。これらのドメインは、2000年1月6日付けでStephenson他によって出願された同時係属中の米国特許第09/478,683号明細書に記載された限定凝集技術を用いて形成することができる。エマルジョンを、ポリエステル・ディスプレイ基板15上の第1の導体20上にコーティングし、そして乾燥させることにより、約9μm厚のポリマー分散型コレステリック・コーティングを提供することができる。ゼラチンの代わりに、その他の有機バインダー、例えばポリビニルアルコール(PVA)又はポリエチレンオキシド(PEO)を使用することができる。このようなエマルジョンは写真フィルムの製造時に採用されるタイプのコーティング設備を使用して、機械コーティングすることができる。Stephenson他による米国特許第6,423,368号明細書に開示されているように、コレステリック層30を塗布する前に、第1の導体20上にゲル下層を塗布することができる。
【0096】
図2は、従来の知識に基づく、それぞれ入射光に応答するプレーナー状態及びフォーカル・コニック状態におけるキラル・ネマチック液晶材料を示す。左側の図面では、高電圧場が印加され、素早くゼロ電位に切換えられたあと、液晶分子はプレーナー液晶72として整列する。プレーナー液晶は、プレーナー反射光62として入射光60の一部を反射する。キラル・ドーパント濃度はピーク反射を規定する。ピーク反射の周りの帯域幅は、ネマチック液晶の光複屈折に対して比例する。図2の右側では、より低い電圧場を印加することにより、キラル・ネマチック液晶材料の分子が分解して、フォーカル・コニック液晶74として知られる傾斜セルになる。フォーカル・コニック材料の配向は、反射性ではなく、ほぼ透明であるか又は散乱/透過性である。低電圧時間を変化させることにより、分子が反射プレーナー状態72と光散乱フォーカル・コニック状態74との間の配向を成すことを可能にする。
【0097】
完全に展開させられたフォーカル・コニック状態74において、コレステリック液晶は光散乱性であり、入射光60は前方に散乱させられ、そして光吸収体42によって吸収されることにより、黒色(又は黒みを帯びた暗色)画像領域の外見を形成することができる。プレーナー状態からフォーカル・コニック状態へ徐々に展開することにより、コレステリック材料が反射プレーナー状態72から、完全に展開させられた光散乱フォーカル・コニック状態74に変化するのにつれて、観察者は、明るいプレーナー反射光62が黒色に遷移するのを知覚することになる。場が除去されると、コレステリック液晶層30は、所与の光学状態を無期限に維持する。この状態は、1995年8月1日にDoane他に発行された米国特許第5,437,811号明細書により十分に論議されている。コレステリック材料は、光吸収体42が高光吸収性であることを必要とする。
【0098】
図3は、コレステリック液晶材料を含有するドメインを示す断面図である。コレステリック液晶材料は、弓状表面に固定される。入射光60は、斜角60'を成して、又は相対的に直角60を成してドメインに衝突することができる。斜角を成して光が衝突するコレステリック材料は、より短い波長の光を反射する。ピーク反射波長及び光の帯域幅は、コレステリック液晶材料特性、並びにドメインのサイズ及び形状の双方の関数である。
【0099】
図4は、変化するドメイン・サイズに伴うポリマー分散型コレステリック液晶のスペクトル分布を、分光光度計によって測定したプロットである。測定されたコレステリック液晶は、二つの平らなガラス・スライド間で測定して550ナノメーターのピーク反射を有するMerck BL-118であった。コレステリック液晶材料をゼラチン含有水浴内で分散し、そして一定の量をITO導体上にコーティングして乾燥させた。乾燥させたコレステリック・コーティング上に、第2の導体を印刷し、材料をプレーナー(反射)状態に切換えることにより、反射率を測定した。エマルジョンとして2.9、5.0、8.2及び10.0μmの直径を有するドメインに対して、スペクトル分布を測定した。ドメインは乾燥させられると平らになり、種々の傾斜の表面を有する。ドメイン・サイズが増大すると、プレーナー反射光も増大する。図4によって明らかなように、平面液晶が固定されている弓状表面が、光のより短い波長を反射することにより、スペクトル分布は、より短い波長に向かって5 ナノメーターのピーク反射率シフトを有した。このことはディスプレイを設計するときに考慮に入れることができる。好ましくは、ディスプレイ・シートは、ピーク反射波長が570〜590ナノメーターのポリマー分散型コレステリック液晶材料を含む。
【0100】
図1に戻ると、相補光吸収層35が、コレステリック液晶材料30に被さっている。好ましい実施態様の場合、相補光吸収層35は、1μm未満に粉砕された顔料から成っており、これによりバインダー中に「ナノ顔料」を形成する。このような顔料は、極めて薄い層(サブマイクロメーター)層内に組み込まれると、光の波長を吸収する上で極めて効果的である。このような顔料を電気的に不活性であるように選択することにより、ディスプレイ10に印加されたディスプレイ電場を分解して妨害することを防止することができる。このような顔料は、2002年8月16日付けで出願された同時係属中の米国特許出願第10/222,396号明細書に開示されている。この明細書を引用することにより本明細書中に組み入れる。フィルター層は異なる色相を有する2種又は3種以上の顔料を含むことができる。
【0101】
好ましい実施態様の場合、相補光吸収層35は、プレーナー状態における液晶によって法線反射された光の大部分を吸収し、そしてコレステリック液晶層30によって反射されない光部分を透過する。駆動電圧を最小限に抑える一方で、許容できる光吸収度を提供するために、相補光吸収層35はできるだけ薄くするべきである。顔料は極めて効率的な光吸収体であり、この目的に理想的に適している。好ましい実施態様の場合、コレステリック液晶層30の厚さは4〜10μmである。コレステリック液晶材料のための、状態を変化させる場は、典型的にはコーティング厚1μm当たり10ボルトである。相補光吸収層35は、場を担持する二つの導体間に配置されているので、層はコレステリック液晶層30よりも著しく薄くあるべきである。実際には相補光吸収層35の厚さは、約1μm未満、好ましくは0.5μm以下であるべきである。相補光吸収層35内のバインダーの量も、駆動電圧の増大を最小限に抑えるために低くあるべきである。顔料との比が1:1のゼラチン・バインダーが、次に塗布される層に対する良好な結合強度を有する層を提供し、駆動電圧の増大を最小限に抑えることができることが判った。
【0102】
本発明において、相補光吸収層35をコレステリック液晶層30上にコーティングすることにより、光吸収層35を提供する。光吸収層35は、プレーナー反射光に対してフォーカル・コニック状態において高コントラストの暗画像領域を提供する。相補光吸収層35はさらにプレーナー状態において、(下側の反射面によって反射することができる光を選択的に透過することを介して)コレステリック液晶によって作業されない波長における所定の光量を提供する。相補光吸収層35は、コレステリック液晶層30のデポジションと同時に、又は別個の工程でコーティングすることができる。好ましい実施態様の場合、写真画像形成要素を形成する際に使用されるような多層コーティング設備が、コレステリック液晶層30と相補光吸収層35とを、二つの同時デポジット層として提供する。相補光吸収層35はコレステリック層30よりも著しく薄く、従って上述のように、製造されたディスプレイにおけるコレステリック液晶材料の状態を変化させるのに必要な電場強度に及ぼす相補光吸収層35の影響は最小限である。
【0103】
図1の実施態様の参照を続けると、第2の導体40が相補光吸収層35に被さっている。第2の導体40は、コレステリック液晶層30を横切って電場を誘発するのに十分な導電性を有している。この場は、ポリマー分散型液晶材料の光学状態を変化させるのに十分に強い。第2の導体40は、反射性で導電性の配合物、例えばAllied Photochemical(Kimball, Michigan)製のUVAG(RTM)0010材料をスクリーン印刷することにより形成される。このようなスクリーン印刷可能な導電性材料は、紫外線硬化性樹脂中に微粉砕された銀を含む。印刷された層の完全な輻射線硬化を可能にするのに十分に薄い導電性ペースト層を形成するように留意しなければならない。Allied Photochemicalの仕様書が示唆したところによれば、UVAGペーストは、未硬化ペーストの完全硬化を可能にするために、最大厚25μmで印刷されるのが好ましい。この層の更なる利点は、これが製造材料コストを低減し、ディスプレイの可撓性を最大化するように、可能な限り薄いことである。
【0104】
印刷されたままの銀ペーストは非導電性である。印刷後、材料を0.40ジュール/cm2を上回る紫外線に当てると、樹脂は急速に重合して、耐久性のある表面を形成することになる。ディスプレイは高強度ランプ下で、ペーストを完全硬化させる速度で導電性状態にされる。ディスプレイの製造コストを最小限にするためには、スクリーン印刷が好ましい。
【0105】
相補光吸収層35内の顔料に十分な量のポリマーを提供することにより、第2の導体40上に印刷可能な表面を形成する。或いは、熱硬化型銀担持樹脂をスクリーン印刷することにより、第2の導体40を形成することもできる。このような材料の一例は、熱硬化型銀インクであるAcheson Electrodaga 461SSである。熱硬化型インクは、紫外線硬化型インクよりも硬化時間が著しく長く、またディスプレイ内の他の層に影響を与えるおそれのある揮発性溶剤を含有する。第1及び第2の導体は、アドレス可能なマトリックスを製造するためにパターン形成することができる。
【0106】
図7は、本発明によるディスプレイの光学状態を概略的に示す断面図である。左側のダイヤグラムは、コレステリック液晶材料がプレーナー状態にあるときの光路を示す。入射光60はプレーナー液晶72に衝突し、プレーナー液晶72は、プレーナー反射光62として入射光60の一部を反射する。残りの光は相補光吸収層35を通る。相補光吸収層35を通る光の一部は吸収され、そして残りの光は反射性の第2の導体40に衝突する。光は第2の導体40から反射され、相補光吸収層35を2度目に通り、次いでプレーナー液晶材料72を通ることにより、相補光64になる。図7の右側では、液晶材料はフォーカル・コニック状態にあり、相補光吸収層35はプレーナー状態72で反射された光の波長を吸収する。液晶材料がフォーカル・コニック状態74にある場合、コレステリック液晶の実質的に反射波長外の光は、相補光64を提供し続ける。
【0107】
相補光が用途において必要でない場合、光吸収層35は、反射光を完全にブロックする材料から形成することができる。このような顔料は米国特許出願第10/222,396号明細書に開示されている(これを引用することにより本明細書中に組み入れる)。相補光74のないディスプレイの場合、光吸収層35は、反射性の第2の導体40を使用してコレステリック材料の活性化を可能にする。光吸収層35はさらに、反射性の第2の導体40が紫外線硬化性銀材料を使用して形成されるのを可能にする。
【0108】
図8は、人間の目の3色「チャネル」(赤、緑及び青)の応答を示すプロットである。「チャネル」とは、人間の目の網膜内に含有される種々異なるタイプの光受容体(円錐体)を意味する。このプロットは、1931 CIE Standard Colorimetric オブザーバーから採用されている。本発明によるディスプレイから反射された光は、三つの全ての色チャネルのほぼ等しい刺激(曲線下面積)を有し、従って中性色(白/グレイ)に見える。コレステリック液晶の帯域幅は約100ナノメーターである。明るさを最大化するためにこの領域内でピーク波長を選択することが好ましい。このような帯域幅に対応して最大刺激を有するピーク波長は、ほぼ580ナノメーターである。この波長において、緑(G)及び赤(R)の受容体の刺激はオーバーラップし、530〜630ナノメーターの波長の光によって共通して刺激される。
【0109】
図9は、582ナノメーターのピーク反射と100ナノメーターの帯域幅を有するコレステリック液晶に対する人間の目の応答を示すプロットである。緑(G)及び赤(R)の曲線下面積によって表される、緑及び赤のチャネルの刺激はほぼ等しい。等しい面積の青色光が観察者に提供されると、光全体が中性色(白/グレイ)を有することになる。
【0110】
図10は、本発明の1実施態様によるプレーナー状態におけるディスプレイ・シートの1実施態様の光応答である。液晶のプレーナー状態のピーク反射は、可視光スペクトルの緑(G)部分及び赤(R)部分の両方を刺激させる光が刺激されるように設定される。相補光吸収層35は、青(B)色光の一部を反射して、実質的に中性色又は白みを帯びた色(W)をもたらす光を形成するように構成された1種又は2種以上の顔料/色素を含むコーティングであってよい。従って、液晶材料がプレーナー状態にある場合、全ての反射光は、(1)液晶に由来する反射光及び(2)光吸収層によって透過され、そして反射面によって反射された光、の両方を含む。後者の反射光は、カラー・フィルター処理された第2の反射光と呼ぶこともできる。それというのも光吸収層はカラー・フィルターとして機能するからである。
【0111】
図11は、液晶がフォーカル・コニック状態にあるときの、図10のディスプレイ・シートの光応答である。相補光吸収層35は、赤(R)及び緑(G)の場合、プレーナー状態で反射される光の波長の実質的な光量を吸収する。青(B)色光の一部が、青又は青みを帯びた画像層を形成するために反射される。ディスプレイはこれにより、コレステリック液晶材料をプレーナー状態とフォーカル・コニック状態との間で電気的に切換えることにより、中性色状態と暗青色状態との間で切換わることができる。
【0112】
図12は、本発明によるディスプレイのための試験シートからの光の反射を示すプロットである。プレーナー状態(P)において、575ナノメーターにおけるピークプレーナー反射光は、相補光吸収層からの反射青色光にマッチングした。フォーカル・コニック(FC)状態中に試験シートが書込まれるときには、コレステリック液晶材料は近透明/透過性であり、FCスペクトルは、印刷された銀反射体との組み合わせで作業する相補光吸収層の関数プロットである。相補光吸収層は、シアン顔料とマゼンタ顔料とから成る。これらの顔料は一緒に、コレステリック液晶材料がプレーナー状態にあるときに反射されるスペクトルにおいて高い光吸収率を有する。マゼンタ顔料、Pigment Violet 29は、約540ナノメーターでピーク吸収を有し、シアン顔料、Sunfast Blue 15:4は、約620ナノメーターでピーク吸収を有する。図10に見られるように、2種の顔料の組み合わせは、525ナノメーター及び635ナノメーターの波長から95%光吸収率を提供する。これらの顔料は、オーバーラップする領域で極めて高い吸収率を有し、そして約575ナノメーターでピークを有する。反射光25 %のピークが約450ナノメーターの青色域内で発生することにより、可視スペクトルの緑部分及び赤部分において反射された光のバランスをとる。コレステリック液晶材料によって作業されない可視スペクトル部分(この場合は青部分)は、コレステリック液晶材料の状態とは無関係に一定の反射率である。
【0113】
図10に戻ると、短波長光の成分、又は青(B)色光が、相補光吸収層35と反射性の第2導体40との組み合わせによって加えられる。図8に戻ると、この図から見られるように、短波長青(B)色光を加えることにより、さらに赤(R')受容体が刺激され、見掛け赤(R)色チャネル刺激が増大する。従って、コレステリック液晶材料のピーク波長を、より短い波長に調節することにより、緑色光を増大させ、そして赤色光を減少させることができるので、青色光の付加と共に、プレーナー状態で効果的に中性色のディスプレイが形成される。青色光成分は、光の緑及び赤成分の知覚された強度とほぼ又は実質的にマッチングし、そして優位の緑強度に対して赤のバランスをとるために少量の刺激を提供するべきである。この用途に適した顔料は不完全であり、種々の成分の最終配合物は、試行及び数学モデルの使用によって確立される。
【0114】
好ましい実施態様の場合、画像形成層が第1の比較的高い反射状態にあるときには、ディスプレイ・シートからの反射光のCIE三刺激値X、Y及びZは、互いから20%以内にある。液晶材料がプレーナー状態にあるとき、ディスプレイ・シートからの総反射光のCIE三刺激値X、Y及びZは、カラー・フィルター処理された第2反射光なしの、液晶に由来する光だけのCIE三刺激値よりも、互いに20パーセント接近する。X、Y及びZ値は、当業者には明らかなように三刺激測色計R、G、B測定値に基づいて概算することができる。
【0115】
当業者には明らかなように、本発明に基づいてディスプレイを形成することにより、青−中性色、又は青−白みを帯びた色以外のコントラスト色を含むことができる。例えば、マゼンタ−白、赤−白、及び黄−白の組み合わせを得ることができる。高反射率状態は「白」又は「白みを帯びた色」であり、これは明るく、実質的に中性色であることを意味する。そして白以外の色は、より暗い色合いの色を意味する。コレステリック液晶材料のピーク波長を変化させることにより、他の可視スペクトル域における選択的な反射及び透過を可能にすることができる。例えば、青、緑又はこれら2色間の中間の波長においてだけ反射するように、ピーク波長を調節することができる。コレステリック液晶材料は、主として赤色光を反射するように設定することができる。それぞれの事例において、プレーナー状態で反射された波長において高吸収率を提供し、そして他の波長に対しては不変部分を提供するように、相補光吸収材料を選択することができる。或る特定の事例において、ディスプレイは、いずれも中性色ではない二つのコントラスト色/状態を提供することができる。しかし通常実際には、できるだけ明るい中性色状態を有することが好ましい。相補的な青色顔料と反射性の第2の導体とを有する580 ナノメーターに近いコレステリック液晶材料は、比較的明るい中性色コントラストを提供する。
【0116】
剛性基板又は複数の基板を使用して、相補光吸収材料と反射性導体とを有するディスプレイを形成するための方法を用いることができる。本発明を利用して、基板が反射性の第2の導体の背後に移動された状態で、ディスプレイを形成することができる。
【実施例】
【0117】
例1
ポリエステル・スクリーン・メッシュを使用して、光吸収層35上に標準UVAG 0010銀ペーストを印刷した。1インチ当たり305本の糸を有し、それぞれの糸の直径が34μmである、Lumbarton, New Jersey在、Sefar America MEC Division製のSefar PECAP LE 7-305-34からメッシュを形成した。フォトマスクを使用して、感光性乳剤をメッシュに塗布して硬化させた。第2導体40に対応する領域内で、マスキングされた硬化されていない乳剤を除去した。銀ペーストをメッシュを通して印刷すると、ペーストは、16μm厚の第2コンダクター40を形成した。
【0118】
図5は、印刷された第2の導体内に非導電性領域を有する、本発明によるディスプレイを示す側面図である。スクリーンを使用して形成され、その厚さでコーティングされたディスプレイは、プレーナー状態において書き込まれた領域内に、より暗い斑点を有した。層40内の非導電性未硬化領域41は、数μm厚であっても、コレステリック材料に印加される有効場強度を低減することになる。銀がそれらの領域内で硬化していないこと、そしてコレステリック材料が完全にプレーナー状態に駆動されるのを防止する、印加された場の強度を、非導電性未硬化領域が低減することが仮説として取り上げられた。しかし、印刷された銀の第2の導体を完全に硬化させるのに十分な紫外線は、コレステリック材料を損傷する。
【0119】
例2
図6は、完全に硬化された、印刷された第2の導体を有する、本発明によるディスプレイを示す側面図である。第2の試験において、新しいスクリーン、Sefar 7-355-34メッシュを使用することにより11μm厚の第2の導体40を有するディスプレイを形成した。SF1銀フレークを有するUVAG 0010ペーストを使用して、第2の導体40を形成した。UVAG 10 w/SF1は、銀フレークと、標準UVAG 0010材料よりも小さな最大粒子サイズを有する銀粒子との組み合わせであった。小さな粒子サイズは、均一なインク・デポジション、及び紫外線硬化エネルギーの浸透の両方を可能にすると考えられる。結果として得られたディスプレイは、プレーナー状態中に書込まれた領域内に斑点を有さなかった。より微細な銀粒子を有するより薄い銀層は、印刷された銀インクを通して紫外線硬化を可能にした。紫外線硬化性樹脂及び銀を使用した共形の第2の導体40の場合、ペーストは、他の用途において許容可能な25μm厚よりも薄くなければならない。元の16μm層厚を著しく下回る、好ましくは11μmの層が、ペーストの完全な硬化を可能にし、非導電性未硬化層41が、導電性材料と、ディスプレイの残りの部分との間に存在するのを防止する。相補光吸収層35内の顔料に十分な量のポリマーを提供することにより、第2の導体40上に、印刷可能な表面を形成する。
【0120】
例3
本発明によるシートを形成するための試験を行った。シートは、150μm厚のポリエステルシート上に、ITO(スクエア当たり300オーム)を用いて、シートを構成した。上記配合に基づくポリマー分散型液晶コレステリック材料をブレンドして、575ナノメーターのピーク波長を有するようにした。コレステリック液晶材料を8.3 μm・ドメインに分散し、ITO導体上にコーティングした。
【0121】
1.74 %の溶解ゼラチン、平均直径110ナノメーターまで粉砕された0.74 %のSunfast Blue 15:4、及び平均直径210ナノメーターまで粉砕された0.1.55%のPigment Violet 29を有する相補顔料溶液を形成した。溶液を、1 m2当たり10.76グラムでポリマー分散型コレステリック液晶上にコーティングして乾燥させることにより、相補光吸収層を形成した。乾燥させた層は0.5μm厚未満であった。相補光吸収層上に、SF1銀フレークを有する11μm厚のUVAG 0010ペーストで、第2の導体を印刷した。印刷後、樹脂材料を0.40ジュール/cm2を上回る紫外線に当てることにより、耐久性のある表面を形成した。プレーナー状態において書込まれた、結果として得られたディスプレイには、斑点はなかった。
【0122】
以前の試験で、試験配合物中のポリマー分散型コレステリック液晶材料が、この材料がプレーナー状態にある場合には、575ナノメーターで光の約25 %を反射することが見極められた。印刷された銀の有効反射率は、可視スペクトル全体にわたって均一に65 %であることが見いだされた。色素濃度は、相補光吸収層を通り、印刷された第2の銀導体によって反射され、そして相補光吸収層を通って戻る光の通過が、450ナノメーターのピーク反射波長で測定して、約25 %の反射青色光を有するように選択された。
【0123】
図12は、本発明によるディスプレイのための試験シートからの光の反射を示すプロットである。プレーナー状態(P)において、575ナノメーターにおけるピークプレーナー反射光は、相補光吸収層からの反射青色光にマッチングした。フォーカル・コニック(FC)状態中に試験シートが書込まれるときには、コレステリック液晶材料は近透明/透過性であり、FCスペクトルは、印刷された銀反射体との組み合わせで作業する相補光吸収層の関数プロットである。相補光吸収層は、シアン顔料とマゼンタ顔料とから成る。これらの顔料は一緒に、コレステリック液晶材料がプレーナー状態にあるときに反射されるスペクトルにおいて高い光吸収率を有する。マゼンタ顔料、Pigment Violet 29は、約540ナノメーターでピーク吸収を有し、シアン顔料、Sunfast Blue 15:4は、約620ナノメーターでピーク吸収を有する。図10に見られるように、2種の顔料の組み合わせは、525ナノメーター及び635ナノメーターの波長から95%光吸収率を提供する。これらの顔料は、オーバーラップする領域で極めて高い吸収率を有し、そして約575ナノメーターでピークを有する。反射光25 %のピークが約450ナノメーターの青色域内で発生することにより、可視スペクトルの緑部分及び赤部分において反射された光のバランスをとる。コレステリック液晶材料によって作業されない可視スペクトル部分(この場合は青部分)は、コレステリック液晶材料の状態とは無関係に一定の反射率である。
【0124】
図13は、人間の目によって知覚された、プレーナー状態における図12のシートの赤、緑及び青成分のプロットである。各色の曲線下面積は、三つ全ての色チャネルに関してほぼ等しかった。従って、シートは中性色の明るいグレーの外観を有した。試験シートがフォーカル・コニック状態中に書込まれると、材料は明るい青であるように見えた。二つの状態間の視覚的な差異は申し分のないものであった。
【0125】
本発明は、試験シートを形成するために使用されたものとは異なる材料及び方法で置き換えて実施することができる。印刷された銀の代わりに蒸着金属を使用することができる。反射性がより高い材料、例えばアルミニウムを使用することにより、ディスプレイが改善される。試験シートに使用された相補顔料の代わりに、顔料又は色素の一つ又は二つ以上の組み合わせを使用することにより、プレーナー反射波長における光の吸収率をより高くする一方、一定の青色反射を維持することができる。
【0126】
特定の好ましい実施態様を具体的に参照しながら、本発明を詳細に説明してきたが、言うまでもなく、本発明の思想及び範囲内で変更形及び改変形をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】図1は、本発明による第1のポリマー分散型コレステリック液晶ディスプレイを示す斜視図である。
【図2】図2は、従来のディスプレイと一致した、入射光に応答する面状態及びフォーカル・コニック状態におけるコレステリック(「キラル・ネマチック」液晶材料を示す概略断面図である。
【図3】図3は、コレステリック液晶材料を含有するドメインを示す断面図である。
【図4】図4は、変化するドメイン・サイズに伴うポリマー分散型コレステリック液晶のスペクトル分布を示すプロットである。
【図5】図5は、印刷された第2の導体内に非導電性領域を有する、本発明によるディスプレイを示す側面図である。
【図6】図6は、完全に硬化された、印刷された第2の導体を有する、本発明によるディスプレイを示す側面図である。
【図7】図7は、本発明によるディスプレイの光学状態を概略的に示す断面図である。
【図8】図8は、人間の目の1931 CIE色マッチング関数である。
【図9】図9は、582 ナノメーターのピーク反射を有する理論上のコレステリック液晶に対応する人間の目の応答を示すプロットである。
【図10】図10は、本発明によるプレーナー状態におけるディスプレイ・シートの光応答である。
【図11】図11は、フォーカル・コニック状態における、図8のディスプレイ・シートの光応答である。
【図12】図12は、本発明による、試験時のディスプレイ・シートの1実施態様からの光の反射を示すプロットである。
【図13】図13は、プレーナー状態における図12のディスプレイ・シートの赤、緑及び青成分のプロットである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、少なくとも一つのUV硬化性導電性層と、画像形成性層とを含んでなる、ディスプレイ・デバイス。
【請求項2】
前記基板が可撓性を有する、請求項1に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項3】
前記基板がガラス又はプラスチックである、請求項1に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項4】
前記基板が透明である、請求項1に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項5】
前記基板が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、セルロースアセテート、脂肪族ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオリド、ポリ(メチル(x-メタクリレート)、脂肪族又は環状ポリオレフィン、ポリアリーレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、テフロン(登録商標)ポリ(ペルフルオロ-アルボキシ)フルオロポリマー(PFA)、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、ポリ(エーテルケトン)(PEK)、ポリ(エチレンテトラフルオロエチレン)フルオロポリマー(PETFE)、及びポリ(メチルメタクリレート)アクリレート/メタクリレートコポリマー(PMMA)から成る群から選択された少なくとも一種の要素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記基板がポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記基板がポリエチレンナフタレート(PEN)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記基板がポリエステルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記基板がポリイミドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記基板がセルロースアセテートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記基板が脂肪族ポリオレフィンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記脂肪族ポリオレフィンが高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン、及び配向されたポリプロピレン(OPP)を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記基板がさらに、硬質コーティングを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層が透明である、請求項1に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項15】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層がパターン形成されている、請求項1に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項16】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層が銀をベースとする層である、請求項1に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項17】
前記銀をベースとする層が25μmよりも薄い、請求項16に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項18】
前記銀をベースとする層が16μmよりも薄い、請求項16に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項19】
前記銀をベースとする層が11μmよりも薄い、請求項16に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項20】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層がさらに、異なる元素を含む、請求項1に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項21】
前記異なる元素が、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、カドミニウム(Cd)、金(Au)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、錫(Sn)、インジウム(In)、タンタル(Ta)、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、セリウム(Ce)、ケイ素(Si)、鉛(Pb)又はパラジウム(Pd)から成る群から選択される少なくとも一つの元素を含む、請求項20に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項22】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層が、金/銀の合金を含む、請求項20に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項23】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層が、一方又は両方の側により薄い金属層がコーティングされた銀層を含む、請求項20に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項24】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層が印刷されている、請求項1に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項25】
前記画像形成性層が電気的に画像形成可能である、請求項1に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項26】
前記画像形成性層が双安定である、請求項25に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項27】
前記画像形成性層が光変調層である、請求項25に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項28】
前記光変調層が、コレステリック液晶光変調層である、請求項27に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項29】
前記コレステリック液晶光変調層が、ポリマー分散型コレステリック液晶光変調層である、請求項28に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項30】
さらに、少なくとも一つの機能層を含む、請求項1に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項31】
前記少なくとも一つの機能層が誘電層である、請求項30に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項32】
さらに、誘電導電性列接点を含む、請求項31に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項33】
さらに、該導電性層と該誘電導電性列接点との相互接続を可能にするビアを含む、請求項32に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項34】
前記少なくとも一つの機能層が色コントラスト層である、請求項30に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項35】
前記色コントラスト層がナノ顔料含有層を含む、請求項34に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項36】
前記少なくとも一つの機能層が静電防止層である、請求項30に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項37】
前記少なくとも一つの機能層が保護層である、請求項30に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項38】
基板と、第1の透明導電性層と、光変調層と、第2の導電性層とを含んでなるディスプレイ・デバイスであって、前記第2の導電性層がUV硬化性である、ディスプレイ・デバイス。
【請求項39】
前記基板が可撓性である、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項40】
前記基板がガラス又はプラスチックである、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項41】
前記基板が透明である、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項42】
前記基板が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、セルロースアセテート、脂肪族ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオリド、ポリ(メチル(x-メタクリレート)、脂肪族又は環状ポリオレフィン、ポリアリーレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、テフロン(登録商標)ポリ(ペルフルオロ-アルボキシ)フルオロポリマー(PFA)、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、ポリ(エーテルケトン)(PEK)、ポリ(エチレンテトラフルオロエチレン)フルオロポリマー(PETFE)、及びポリ(メチルメタクリレート)アクリレート/メタクリレートコポリマー(PMMA)から成る群から選択された少なくとも一種の要素を含む、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項43】
前記基板がポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項44】
前記基板がポリエチレンナフタレート(PEN)を含む、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項45】
前記基板がポリエステルを含む、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項46】
前記基板がポリイミドを含む、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項47】
前記基板がセルロースアセテートを含む、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項48】
前記基板が脂肪族ポリオレフィンを含む、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項49】
前記脂肪族ポリオレフィンが高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン、及び配向されたポリプロピレン(OPP)を含む、請求項48に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項50】
前記基板がさらに、硬質コーティングを含む、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項51】
前記第1の透明導電性層が、一次金属酸化物を含む、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項52】
前記第1の透明導電性層が、インジウム錫酸化物を含む、請求項51に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項53】
前記第1の透明導電性層がさらに、少なくとも一種の二次金属酸化物を含む、請求項51に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項54】
該少なくとも一種の二次金属酸化物が、インジウム、チタニウム、カドミウム、ガリウム-インジウム、ニオビウム、錫、セリウム、ジルコニウム、ハフニウム、又はタンタルから成る群から選択される少なくとも一つの要素を含む、請求項53に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項55】
前記第1の透明導電性層がパターン形成されている、請求項51に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項56】
前記画像形成性層が電気的に画像形成可能である、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項57】
前記画像形成性層が双安定である、請求項56に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項58】
前記画像形成性層が光変調層である、請求項56に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項59】
前記光変調層がコレステリック液晶光変調層である、請求項58に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項60】
前記コレステリック液晶光変調層が、ポリマー分散型コレステリック液晶光変調層である、請求項59に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項61】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層が透明である、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項62】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層がパターン形成されている、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項63】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層が銀をベースとする層である、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項64】
前記銀をベースとする層が25μmよりも薄い、請求項63に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項65】
前記銀をベースとする層が16μmよりも薄い、請求項63に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項66】
前記銀をベースとする層が11μmよりも薄い、請求項63に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項67】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層がさらに、異なる元素を含む、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項68】
前記異なる元素が、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、カドミニウム(Cd)、金(Au)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、錫(Sn)、インジウム(In)、タンタル(Ta)、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、セリウム(Ce)、ケイ素(Si)、鉛(Pb)又はパラジウム(Pd)から成る群から選択される少なくとも一つの要素を含む、請求項67に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項69】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層が、金/銀の合金を含む、請求項67に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項70】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層が、一方又は両方の側により薄い金属層がコーティングされた銀層を含む、請求項67に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項71】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層が印刷されている、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項72】
さらに、少なくとも一つの機能層を含む、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項73】
前記少なくとも一つの機能層が誘電層である、請求項72に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項74】
さらに、誘電導電性列接点を含む、請求項72に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項75】
さらに、導電性層と誘電導電性列接点との相互接続を可能にするビアを含む、請求項74に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項76】
前記少なくとも一つの機能層が色コントラスト層である、請求項72に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項77】
前記色コントラスト層が反射性である、請求項76に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項78】
前記色コントラスト層が輻射線吸収層である、請求項76に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項79】
前記輻射線吸収層が、前記光変調層と前記UV硬化性導電性層との間に位置決めされている、請求項78に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項80】
前記色コントラスト層がナノ顔料含有層を含む、請求項76に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項81】
前記少なくとも一つの機能層が静電防止層である、請求項72に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項82】
前記少なくとも一つの機能層が保護層である、請求項72に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項1】
基板と、少なくとも一つのUV硬化性導電性層と、画像形成性層とを含んでなる、ディスプレイ・デバイス。
【請求項2】
前記基板が可撓性を有する、請求項1に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項3】
前記基板がガラス又はプラスチックである、請求項1に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項4】
前記基板が透明である、請求項1に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項5】
前記基板が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、セルロースアセテート、脂肪族ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオリド、ポリ(メチル(x-メタクリレート)、脂肪族又は環状ポリオレフィン、ポリアリーレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、テフロン(登録商標)ポリ(ペルフルオロ-アルボキシ)フルオロポリマー(PFA)、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、ポリ(エーテルケトン)(PEK)、ポリ(エチレンテトラフルオロエチレン)フルオロポリマー(PETFE)、及びポリ(メチルメタクリレート)アクリレート/メタクリレートコポリマー(PMMA)から成る群から選択された少なくとも一種の要素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記基板がポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記基板がポリエチレンナフタレート(PEN)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記基板がポリエステルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記基板がポリイミドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記基板がセルロースアセテートを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記基板が脂肪族ポリオレフィンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記脂肪族ポリオレフィンが高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン、及び配向されたポリプロピレン(OPP)を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記基板がさらに、硬質コーティングを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層が透明である、請求項1に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項15】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層がパターン形成されている、請求項1に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項16】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層が銀をベースとする層である、請求項1に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項17】
前記銀をベースとする層が25μmよりも薄い、請求項16に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項18】
前記銀をベースとする層が16μmよりも薄い、請求項16に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項19】
前記銀をベースとする層が11μmよりも薄い、請求項16に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項20】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層がさらに、異なる元素を含む、請求項1に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項21】
前記異なる元素が、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、カドミニウム(Cd)、金(Au)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、錫(Sn)、インジウム(In)、タンタル(Ta)、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、セリウム(Ce)、ケイ素(Si)、鉛(Pb)又はパラジウム(Pd)から成る群から選択される少なくとも一つの元素を含む、請求項20に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項22】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層が、金/銀の合金を含む、請求項20に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項23】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層が、一方又は両方の側により薄い金属層がコーティングされた銀層を含む、請求項20に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項24】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層が印刷されている、請求項1に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項25】
前記画像形成性層が電気的に画像形成可能である、請求項1に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項26】
前記画像形成性層が双安定である、請求項25に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項27】
前記画像形成性層が光変調層である、請求項25に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項28】
前記光変調層が、コレステリック液晶光変調層である、請求項27に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項29】
前記コレステリック液晶光変調層が、ポリマー分散型コレステリック液晶光変調層である、請求項28に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項30】
さらに、少なくとも一つの機能層を含む、請求項1に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項31】
前記少なくとも一つの機能層が誘電層である、請求項30に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項32】
さらに、誘電導電性列接点を含む、請求項31に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項33】
さらに、該導電性層と該誘電導電性列接点との相互接続を可能にするビアを含む、請求項32に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項34】
前記少なくとも一つの機能層が色コントラスト層である、請求項30に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項35】
前記色コントラスト層がナノ顔料含有層を含む、請求項34に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項36】
前記少なくとも一つの機能層が静電防止層である、請求項30に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項37】
前記少なくとも一つの機能層が保護層である、請求項30に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項38】
基板と、第1の透明導電性層と、光変調層と、第2の導電性層とを含んでなるディスプレイ・デバイスであって、前記第2の導電性層がUV硬化性である、ディスプレイ・デバイス。
【請求項39】
前記基板が可撓性である、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項40】
前記基板がガラス又はプラスチックである、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項41】
前記基板が透明である、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項42】
前記基板が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、セルロースアセテート、脂肪族ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオリド、ポリ(メチル(x-メタクリレート)、脂肪族又は環状ポリオレフィン、ポリアリーレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、テフロン(登録商標)ポリ(ペルフルオロ-アルボキシ)フルオロポリマー(PFA)、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、ポリ(エーテルケトン)(PEK)、ポリ(エチレンテトラフルオロエチレン)フルオロポリマー(PETFE)、及びポリ(メチルメタクリレート)アクリレート/メタクリレートコポリマー(PMMA)から成る群から選択された少なくとも一種の要素を含む、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項43】
前記基板がポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項44】
前記基板がポリエチレンナフタレート(PEN)を含む、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項45】
前記基板がポリエステルを含む、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項46】
前記基板がポリイミドを含む、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項47】
前記基板がセルロースアセテートを含む、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項48】
前記基板が脂肪族ポリオレフィンを含む、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項49】
前記脂肪族ポリオレフィンが高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン、及び配向されたポリプロピレン(OPP)を含む、請求項48に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項50】
前記基板がさらに、硬質コーティングを含む、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項51】
前記第1の透明導電性層が、一次金属酸化物を含む、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項52】
前記第1の透明導電性層が、インジウム錫酸化物を含む、請求項51に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項53】
前記第1の透明導電性層がさらに、少なくとも一種の二次金属酸化物を含む、請求項51に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項54】
該少なくとも一種の二次金属酸化物が、インジウム、チタニウム、カドミウム、ガリウム-インジウム、ニオビウム、錫、セリウム、ジルコニウム、ハフニウム、又はタンタルから成る群から選択される少なくとも一つの要素を含む、請求項53に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項55】
前記第1の透明導電性層がパターン形成されている、請求項51に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項56】
前記画像形成性層が電気的に画像形成可能である、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項57】
前記画像形成性層が双安定である、請求項56に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項58】
前記画像形成性層が光変調層である、請求項56に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項59】
前記光変調層がコレステリック液晶光変調層である、請求項58に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項60】
前記コレステリック液晶光変調層が、ポリマー分散型コレステリック液晶光変調層である、請求項59に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項61】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層が透明である、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項62】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層がパターン形成されている、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項63】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層が銀をベースとする層である、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項64】
前記銀をベースとする層が25μmよりも薄い、請求項63に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項65】
前記銀をベースとする層が16μmよりも薄い、請求項63に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項66】
前記銀をベースとする層が11μmよりも薄い、請求項63に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項67】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層がさらに、異なる元素を含む、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項68】
前記異なる元素が、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、カドミニウム(Cd)、金(Au)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、錫(Sn)、インジウム(In)、タンタル(Ta)、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、セリウム(Ce)、ケイ素(Si)、鉛(Pb)又はパラジウム(Pd)から成る群から選択される少なくとも一つの要素を含む、請求項67に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項69】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層が、金/銀の合金を含む、請求項67に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項70】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層が、一方又は両方の側により薄い金属層がコーティングされた銀層を含む、請求項67に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項71】
前記少なくとも一つのUV硬化性導電性層が印刷されている、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項72】
さらに、少なくとも一つの機能層を含む、請求項38に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項73】
前記少なくとも一つの機能層が誘電層である、請求項72に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項74】
さらに、誘電導電性列接点を含む、請求項72に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項75】
さらに、導電性層と誘電導電性列接点との相互接続を可能にするビアを含む、請求項74に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項76】
前記少なくとも一つの機能層が色コントラスト層である、請求項72に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項77】
前記色コントラスト層が反射性である、請求項76に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項78】
前記色コントラスト層が輻射線吸収層である、請求項76に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項79】
前記輻射線吸収層が、前記光変調層と前記UV硬化性導電性層との間に位置決めされている、請求項78に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項80】
前記色コントラスト層がナノ顔料含有層を含む、請求項76に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項81】
前記少なくとも一つの機能層が静電防止層である、請求項72に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項82】
前記少なくとも一つの機能層が保護層である、請求項72に記載のディスプレイ・デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−526489(P2007−526489A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515073(P2006−515073)
【出願日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/017299
【国際公開番号】WO2004/109382
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/017299
【国際公開番号】WO2004/109382
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]