説明

デュアルプラズマビーム源および方法

一対のプラズマビーム源は、交流電源の両端に接続されて、基板上に材料を析出させるためのプラズマイオンビームを交互に生成する。各プラズマビーム源は、第1の幅を有する放電キャビティと、そこから外側に延びてイオンビームを放出するノズルを備える。ノズルの開口又は出口は第2の幅を有し、第2の幅は第1の幅よりも狭い。略互いに向き合う複数の磁石は、各放電キャビティに隣接して配置されて、放電キャビティ内に磁界ヌル領域を生成する。イオン化ガスは、各放電キャビティに注入される。交流電源は、各放電キャビティ内の電極に接続され、各プラズマビーム源は、交互に陽極又は陰極の役割をする。陰極としては、少なくとも1つのマグネトロン放電領域が、放電キャビティ内に維持される。動作においては、高密度の均一なプラズマビームが陰極源から放射し、イオンビームが陽極源から放射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にプラズマおよびイオンを発生するための方法および装置、ならびにその使用法に関する。本発明は、プラズマ処理、プラズマ促進化学蒸着(PECVD)および基板のプラズマエッチングなどの工業プロセスで使用されるプラズマイオン源に関する具体的な効用を有し、こうした効用に関して記述されることになるが、宇宙応用における電気推進装置としての使用法など他の効用も企図されている。
【背景技術】
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2006年4月19日出願の米国特許出願第11/379,349号明細書(特許文献1)に関係し、その優先権を主張する。本出願は、2003年9月19日出願の国際公開PCT/US03/29204号パンフレット(特許文献2)からの優先権を主張する2005年3月17日出願の米国特許出願第10/528,386号明細書(特許文献3)、および2002年9月19日出願の米国特許仮出願第60/412,051号明細書(特許文献4)の同時係属出願の一部継続出願である。
【0003】
プラズマイオン源は、プラズマ促進化学蒸着(PECVD)、反応性イオンエッチング、プラズマ表面改質、ならびに、蒸着膜またはスパッタ膜を洗浄し、その密度を増大させ、反応性の蒸着またはスパッタリングのプロセスを支援することなど、いくつかのプロセスに有効に適用される。これらのプロセスを、フレキシブルウェブ、太陽電池パネル、ならびに建築用および車両用ガラスなど、より大きい基板に適用することがますます興味深い。
【0004】
いくつかのプラズマイオン源が市販されており、さらに多くのものが開示されてきた。市販のプラズマイオン源には、中空陰極プラズマ源、グリッドイオン源、エンドホールイオン源、クローズドドリフト型イオン源(拡張加速チャネル型および陽極層型の両方)、ならびに、米国Leybold Optics社から入手可能なAPS Proなどのインピーデッド陽極型がある。これらのプラズマイオン源は、半導体または光学フィルタのような小さい基板の用途には首尾よく適用されるが、それと比較して幅の広い基板を処理する用途には有効ではない。これは、本質的に、ビームを生成および中和するために点電子源を使用することが原因である。フィラメント、熱せられた仕事関数の低い材料、および中空陰極などの点電子源技術は、直線的に延びることが難しい。したがって、これらの点電子源を利用するイオン源およびプラズマ源は、面積の大きい基板に求められる均一で直線的なビームを生成することが難しい。陽極層イオン源の場合、均一なイオンビームが長いイオン源の全長にわたって放射されるが、これらのイオン源のイオン電流密度は低く、その使用法が限定される。
【0005】
したがって、幅の広い基板に容易に広げることができる、均一で直線的なプラズマ源またはイオン源が必要である。この理想的で直線的な源はまた、フィラメントまたはLaB陰極などの繊細または高価な電子源を必要とすべきではなく、広い処理圧力範囲にわたって動作可能でなければならない。この源はまた、物理的にコンパクトで経済的でなければならず、高密度で効率的なプラズマビームおよび/またはイオンビームを生成しなければならない。
【0006】
理想的で直線的なプラズマ源に対する他の重要な判定基準は、プラズマ源を過度にコーティングすることなく連続的なPECVD処理を維持する能力である。Lopataらによる特許文献5などの従来技術の源では、源の電極は、プロセスチャンバ内の前駆ガスおよび基板にさらされる。その結果、有用なコーティングが基板上に析出されてもよいが、源は急速にコーティングされ、処理のドリフトおよびアーク放電を引き起こす。半導体のバッチ用途では、このさらされた1つまたは複数の電極を清浄にするために、規定の時間間隔の後にエッチングプロセスが実行される。ロールツーロールウェブまたはインラインコーティングシステムなどの連続的なプロセスでは、PECVDプロセスは、停止することなく何十時間も稼働しなければならない。これらの用途では、エッチ洗浄サイクルは実用的ではない。したがって、長時間の連続プロセス実行にわたって安定な動作を維持する直線的なプラズマ源が必要とされる。
【0007】
本発明に関する従来技術は、3つのカテゴリにグループ分けすることができる。すなわち、アンバランスドマグネトロンスパッタリング源、中空陰極スパッタリング源、ならびにプラズマイオン源である。
【0008】
[アンバランスドマグネトロン源]
いくつかの刊行された論文で、WindowおよびSavvidesが、アンバランスドマグネトロン(UBM)スパッタ陰極の概念を提示した。これらの論文では、陰極からのスパッタフラックスをイオン化する能力を有する、タイプIIのアンバランスドマグネトロンが開示されている。ヌル磁界領域およびミラー磁気閉じ込め電子捕獲の基本的な動作原理が教示されている。
【0009】
WindowおよびSavvidesによって提示された平面ターゲットタイプIIのUBMが、従来技術として図13に示してある。後にWindowおよびHardingが、中央の磁性材料または高透磁率のポールをもたない、タイプIIのUBMを開示した。図13では、各磁石200は、長方形または円形のシャント板201の周辺部の回りに構成される。中央の軟鉄のポール207は、シャント板201の中心に配置される。周辺および中心のポールの磁気強度が等しくないために、マグネトロントラップ205上にヌル磁界ポイント203が生成され、このヌルポイント上の力線を強めることにより、ミラー閉じ込め領域208が生成される。動作にあたっては、マグネトロンプラズマ204は、ターゲット206をスパッタリングする。マグネトロンプラズマを離れた電子は、ミラー閉じ込め領域208内に捕獲され、第2の可視プラズマ領域を生成する。文献で提示されているように、ミラープラズマ領域は、ターゲットからのスパッタフラックスのかなりの部分をイオン化する。ミラー領域で生成されるプラズマ208はまた、基板209に放射し、成長スパッタ膜に有効に衝撃を与える。プラズマ208は、PECVD、プラズマ処理などのプラズマプロセスに使用することができる。プラズマ源の用途における使用法を見いだしながらも、ターゲット206からのスパッタフラックスは必ずしも受け入れられるとは限らず、UBMは、マグネトロンスパッタリングでは典型的なmTorr範囲で動作しなければならず、PECVD用途については、PECVD成分を濃縮することにより、さらされたターゲット206が急速に汚染される。
【0010】
[中空陰極スパッタ源]
中空陰極という用語は、従来技術での様々なスパッタ源を説明するのに使用されてきた。
【0011】
Rustは、特許文献6において、基板がキャビティの中心を貫通する中空陰極閉じ込めマグネトロンを開示している。
【0012】
Sebastianoらは、特許文献7において、陽極が開口部から反対側のプロセスチャンバ内に配置された中空陰極構成マグネトロンを開示している。陽極がこの位置にあることにより、電子は、最初に放電キャビティから放出される必要もなく、陽極に達することができるようになる。ガスは、開口部からプロセスチャンバまで分離している放電キャビティには注入されない。
【0013】
Hedgcothは、特許文献8において、プロセスチャンバから分離したキャビティ内のスパッタ源を教示している。磁界は、キャビティ円筒の軸に沿っており、マグネトロンタイプの閉じ込め領域は、キャビティ円筒壁の内側の回りに生成されると報告されている。プロセスチャンバへの開口部により、マグネトロンの経路内に不連続性が生じる。陽極は、キャビティの内側の各端部に配置される。
【0014】
Kuboらは、特許文献9において、複数のマグネトロン陰極キャビティからなるスパッタリング装置を開示している。プロセスガスは、各キャビティのベースに注入される。キャビティは、プロセスチャンバに開口している。
【0015】
Helmerらは、特許文献10において、茶碗形または環状の陰極を有するアンバランスドマグネトロンスパッタ陰極を開示している。ヌル磁界ポイントは、陰極開口部に隣接して生成される。放電キャビティは、プロセスチャンバに開口している。この特許の図6では、独立したマイクロ波アプリケータが、陰極開口部の上に取り付けられている。陰極から独立しているが、アプリケータ開口部の寸法は、陰極キャビティ以上である。一実施形態では、プロセスガスは、プロセスチャンバ開口部の反対側の、キャビティの底部でキャビティに注入される。
【0016】
Schererは、特許文献11において、中空ターゲットを用いる陰極スパッタリングによって基板をコーティングする装置を教示している。プロセスチャンバ内のキャビティの外部で弱いヌルポイントが十分に生成されるように、キャビティ内のマグネトロン放電はバランスが保たれている。
【0017】
Bardosらは、特許文献12において、直線的なアーク放電源を教示している。放電キャビティは、マグネトロン閉じ込めプラズマ領域を含まず、放電キャビティ開口部は、プロセスチャンバにさらされている。
【0018】
McLeodは、特許文献13において、ボックス形の中空陰極スパッタ源を開示している。ボックスの下端は、電気的に浮動状態にあるか、陰極に接続されている。ボックスはプロセスチャンバに開口しており、プロセスガスは、プロセスチャンバ開口部を介する以外はボックスに注入されない。
【0019】
[他のプラズマ源]
Maschwitzらは、特許文献14において、バイポーラプラズマ源、プラズマシート源、およびバイポーラプラズマ源を利用するエフュージョンセルを教示している。好ましい実施形態では、マグネトロン陰極プラズマは生成されず、中空陰極キャビティ開口部は、プロセスチャンバにさらされている。
【0020】
Miljevicは、特許文献15において、プロセスチャンバへの寸法を小さくした開口導管を有する放電キャビティを備える、中空陽極イオン電子源を開示している。放電キャビティ内には、マグネトロン閉じ込め領域またはヌル磁界ポイントはない。
【0021】
Khominichは、特許文献16において、陰極アーク蒸着法およびカスプ磁界を実現する装置を教示している。放電キャビティ内にはマグネトロン閉じ込め領域はなく、キャビティはプロセスチャンバに開口している。
【特許文献1】米国特許出願第11/379,349号明細書
【特許文献2】国際公開PCT/US03/29204号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願第10/528,386号明細書
【特許文献4】米国特許仮出願第60/412,051号明細書
【特許文献5】米国特許第5,904,952号明細書
【特許文献6】米国特許第4,915,805号明細書
【特許文献7】米国特許第4,933,057号明細書
【特許文献8】米国特許第5,073,245号明細書
【特許文献9】米国特許第5,334,302号明細書
【特許文献10】米国特許第5,482,611号明細書
【特許文献11】米国特許第5,728,280号明細書
【特許文献12】米国特許第5,908,602号明細書
【特許文献13】米国特許第6,444,100号明細書
【特許文献14】米国特許第6,444,945号明細書
【特許文献15】米国特許第4,871,918号明細書
【特許文献16】米国特許第6,103,074号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、前述および他の従来技術のプラズマイオン源を上回る改良をもたらす。より具体的には、本発明は、第1の幅を有する放電キャビティおよびそこから外側に延びるノズルをそれぞれが備える、一対のプラズマ源を使用する。各ノズルは第2の幅を有し、第2の幅は第1の幅よりも狭い。各プラズマ源は、イオン化ガスを放電キャビティに注入するための、放電キャビティ内に配置された導管、および交流電源に接続された少なくとも1つの電極をさらに備える。電極は、放電キャビティ内に少なくとも1つのマグネトロン放電領域を維持することができる。各プラズマ源は、放電キャビティに隣接して配置された複数の概ね向き合った磁石をさらに備えてもよく、これら複数の磁石は、放電キャビティ内にヌル磁界ポイントを生成する。各プラズマビーム源の電極は交流電源に接続され、各半周期中交互に、陽極電極または陰極電極として働く。各プラズマビーム源内のイオン化ガスは、イオン化され、ビーム源のノズルを通って放射する直線的なプラズマイオンビームを形成する。各源の外部では、濃縮可能な前駆ガスが分散される。前駆ガスは、プラズマイオンビームによって活性化される。基板は第1および第2のプラズマビーム源に隣接した位置に運ばれ、活性化されたガスにより基板上に薄膜が析出される。
【0023】
添付図面を参照して、より具体的に、またより明確に本発明を説明する。添付図面では、同じ番号は同じ部品を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1A は、ノズル6から放射している高密度プラズマ9のビームを生成するプラズマビーム源24の断面図を示している。ビーム源は、圧力を下げた状態でのプロセスチャンバ内(図示せず)に存在する。磁石1および2は、S極が磁性鋼のシャントボックス3によって支持された状態で、互いに向き合って配置されている。磁石1および2は、外側に向いた力線18および内側に向いた力線19からなるカスプ磁界を生成する。内側に向いた力線19は、絶縁体15およびライナ16を通って、中心シャント10に至る。カスプ磁界は、放電キャビティ26中にヌル磁界領域25を生成する。磁石1および2、ならびに終端の磁石20および21(図2参照)は、8の中のプラズマ領域9にエンドレスな電子トラップを生成する。シャント10はシャント11に接続されており、両方とも磁性鋼で作られている。ライナ16は、熱伝達を改善するために、ブロック12にろう付けされている。ブロック12は、ガンドリルで穴あけされた穴13および配管(図示せず)を介して水冷されている。シャント11は、ブロック12に固定されている。ライナ16、ブロック12、ならびにシャント10および11のアセンブリは、源の1つの電極を形成する。第2の電極は、シャントボックス3およびカバー5によって形成される。磁石は、絶縁部片14および15により、ライナ16およびブロック12から分離されたセラミックタイプである。絶縁部片14および15は、フルオロポリマーまたは電気絶縁セラミック材料から製造することができる。約3mmのギャップ100は、ボックス3をブロック12およびシャント11から分離して、ギャップ内のプラズマを除去する。ガス27は、ボックス3内のポート4を介して、源まで運ばれる。ガス27は、ボックス3とブロック12の間のギャップ100内で、ブロック12の周りを進む。次いで、ガス27は、ボックス3およびカバー5に刻まれた複数の細長い溝22に流れ込む。図1Bは、これらのガス導管の詳細を示している。ガス27は、カバー5とライナ16の間の放電キャビティ26に流れ出る。カバー5は、ガス27がそこを通ってプロセスチャンバに流れるノズル6を備える。カバー5およびノズル6は、ろう付けされた配管7を用いて水冷される。電源17の一方の極は、一方でカバー5、ボックス3、およびチャンバのグラウンドに接続される。電源17のもう一方の極は、内部ブロックアセンブリ12(したがってライナ16ならびにシャント10および11)に接続される。ブロック12は、ボックス3から出る水冷配管(配管は図示せず)に電気接続される。電源17は、標準のスパッタマグネトロンタイプとすることもでき、あるいは、パルス直流電源、中間周波数交流電源、またはRF電源とすることもできる。図1Aでは、直流電源17は、陰極をブロック12に接続して使用される。ガス27が放電キャビティ26に注入され、電源17がオンになるとき、源の領域8および9でプラズマが点火される。領域8は、源の全長にわたって延びるエンドレスなホール電流閉じ込めプラズマである。動作している源の内側を見ると、領域8の2つのローブは、図1Aの断面図を見ると分かるように、広がったドーナッツ状のプラズマとして見える。カバー5からの電界が源の内側の磁力線19を貫通するとき、領域8が生成される。電子は、これら電気力線に従おうとするとき、磁力線19によって制限される。スパッタマグネトロンまたはクローズドドリフトイオン源など他の多くのホール電流閉じ込め源において知られているように、電子を含むライナ16およびシャント10の表面ならびに力線19によって作られる静電気的および磁気的に閉じ込められた領域から、電子は逃れることができない。その結果、放電キャビティ26の内側に、閉じ込めプラズマ領域8が生じる。
【0025】
プラズマ8の結果として、プラズマ領域9が生成され維持される。磁力線18、カバー5およびノズル6の構成により、プラズマ8によって生成された電子は、カバー5およびノズル6の陽極電極に到達することができない。見て分かるように、力線18は、ライナ16から出て、収束し、ノズル6を通って出る。電子は磁力線を横切ることができないので、カバー5、ノズル6およびプラズマ8の間の電気回路は、ノズル6を通って出て、磁界18電子閉じ込め領域から排出する電子によってのみ完成することができる。電子は、磁力線18に沿って、ノズル6を通って逃れようとするとき、力線18がノズル6内で収束するため、磁気ミラーに直面するので、プラズマ9が生成される。このミラー領域は、電子の一部分を反射し、プラズマ9内に第2の閉じ込め領域39を生成する。電子は、源の一端から他端へとサイクロイド運動で移動するので、領域39はやはりクローズドドリフト磁気びんである。このホール電流のドリフトは、交差した電界および磁界、ならびにミラー領域18内の傾斜磁界が原因である。
【0026】
プラズマ8の電子が放電キャビティ26から逃れる唯一の経路は、ノズル6を通る経路である。ノズル6はまた、ガス27が放電キャビティ26からプロセスチャンバに流れる唯一の排出経路を形成する。したがって、排出ノズル6内で高温度のガス27がイオン化される。領域39内のガス27と電子が合流することにより、ノズル6からプロセスチャンバに延びる高密度プラズマ9が生成される。動作中の源24を見ると、プラズマ39およびプラズマ9が1つのプラズマであることが分かる。ノズル6の内部寸法は、放電キャビティ26の幅寸法よりも小さい。ノズル6を狭くすることにより、プロセスチャンバに到達することができるライナ16からのスパッタ材料が減り、ノズル6を通って流れるプロセスガス27のイオン化が最適化され、狭い開口部およびガス27の流出により、プロセスチャンバから放電キャビティ26へのガス流入が制限される。
【0027】
図2は、カバー5が取り除かれた状態の、図1Aに示したプラズマビーム源24の上面図である。この図は、側面の磁石1および2とともに、クローズドドリフト磁界18および19(この図では磁界18のみを示す)を生成する、終端の磁石20および21を示している。ボックス3、ライナ16、絶縁体15、中心シャント10および水冷ブロック12も、磁石1、2、20および21の下に見える。ガス27用の、ボックス3内の溝22も見える。プラズマ39は、源の中心領域内に、比較的淡いドットの領域として示してある。比較的濃いドット部分は、ノズル6を出るときのもっとも狭い区域でのプラズマ領域9に対応する。
【0028】
図3は、図1Aおよび2で示したプラズマビーム源24の等角図を示している。水冷配管は示していない(両電極との電気接続を行うためにも、水配管は有用である)。この図では、ノズル6から放射するプラズマ9が見える。プラズマ9は、ノズル6から発散する狭い均一なビームを形成する。
【0029】
図1A〜3に示すプラズマビーム源は、以下のように構成されてもよい。すなわち、磁石1および2は、幅1インチ(2.54cm)×長さ4インチ(10.16cm)×厚さ1インチ(2.54cm)のセラミックタイプである。磁石20および21は、長さ2インチ(5.08cm)×幅1インチ(2.54cm)×厚さ2インチ(5.08cm)である。ボックス3は、厚さ0.25インチ(0.635cm)の軟鋼板で作られている。ブロック12は黄銅製である。トップカバー5およびノズル6は銅製である。ノズル6内の開口部は、幅0.50インチ(1.27cm)×深さ0.75インチ(1.905cm)×長さ3.25インチ(8.255cm)である。シャント10は、シャント11と同様に軟鋼製である。ライナ16は、楕円形状に曲げられた銅シートであり、ライナ16の各内壁間の距離は、短い方の寸法(幅)が1.25インチ(3.175cm)で、長い方の寸法(長さ)が3.75インチ(9.525cm)である。ライナ16の深さは3.0インチ(7.62cm)である。図1Aを参照すると、ノズル開口部の寸法は0.50インチ(1.27cm)であり、幅115に対応する。ライナ16の幅の寸法は1.25インチ(3.175cm)であり、放電キャビティ26の幅110に対応する。
【0030】
図1A〜3の好ましい実施形態では具体的な寸法が与えられているが、当業者には理解されるように、本発明から逸脱することなく、多くの様々な変形および修正を加えることができる。たとえば、源のスケールならびに源の具体的な寸法を変更することができる。同様に、構成材料を変更することもできる。
【0031】
プラズマビーム源および放射プラズマ9は、以下の測定値によって示されるいくつかの興味深く有用な特徴を有する。
【0032】
プラズマ9は高密度であり、約300Vで1kWの直流電源出力に対して、イオン密度は1012/cmを越える。イオン飽和電流は、所与の源の寸法およびこれらの電源設定に対して、100mAを越えて測定された。(電流プローブの表面は、ノズル6の端から5cmを越えて配置され、プラズマ9をブロックしている。)プローブが接地された状態での電子電流は、1Aよりも大きい。
【0033】
プラズマ9のホール電流閉じ込めにより、プラズマ9は、源の全長にわたって均一になる傾向がある(ターンアラウンド(turnarounds)におけるマイナスエンド効果(minus end effects))。これは、析出、処理またはエッチングの均一性が要求されるすべての用途について(実際にはほとんどの用途において)重要である。3メートル以上の幅の基板を、均一に処理することができる。動作にあたっては、プラズマ9は、ノズル6から放射される約1cmの幅の均一なビームとして見える。
【0034】
プラズマビーム源(PBS)はスパッタ源ではない。源の目的は、PECVD、プラズマ処理またはエッチングプロセスである。ライナの材料をスパッタリングしている一方で、最小のスパッタ材料のみがノズルから出る。これは、少なくとも2つの要因による。マグネトロンプラズマ領域8(図1A参照)は、源の内部深くに配置され、スパッタライナ材料は、ライナ、シャント10および11、またはカバー5およびノズル6の上に再析出する傾向がある。スパッタ材料は、表面に触れることで容易に濃縮するので、設計により、源から出ようとするスパッタ材料に対して「曲がりくねった経路」が生成される。次に、上記マグネトロンプラズマ8内でプロセスガスを供給することにより、プラズマ8への供給ガスの流れが、ノズル6から離れるように方向づけされ、ノズル6からの濃縮物の流れに対抗する指向性運動量効果をもたらす。動作にあたっては、源のスパッタ速度が低いことが分かる。たとえば、数ミクロンのPECVD酸化ケイ素コーティングを析出する際に、結果として生じるコーティングは光学的に透明であった。この結果は、銅のライナ16を使用して得られた。酸素およびアルゴンのガス中でスパッタリングされた銅は、黒色コーティングとなって現れる。これは、基板上では目に見えなかった。
【0035】
この源の中では、純粋な反応性ガスを「燃やす」ことができる。多くの高密度プラズマ源は、フィラメント、仕事関数の低い材料または電界効果デバイスを実装して、電子を生成する。通常、これらの源では、アルゴンなどの不活性ガスを源に供給する。これら従来技術の源の内部で酸素などの反応性ガスを使用することにより、電子源の寿命が著しく短くなる傾向がある。反応プロセスを遂行するために、これらの源は、酸素を源の外部に供給し、酸素の一部分を、源から出るアルゴンプラズマと反応させる。この方法は、効率は低いが、代替の方法が存在しないので、今日多くのプロセスで使用されている。高密度で純粋な酸素プラズマを直接生成できることで、PBSはこの状況を変える。これは、いくつかのプロセスに対して利点を有する。また、アルゴンガスフローが必要とされないので、真空ポンピングへの要求も低減される。
【0036】
PBSは、広い範囲のプロセス圧力にわたって動作することができる。マグネトロンタイプの源では典型的であるが、PBSは、1〜100mTorrの範囲の圧力で容易に動作することができる。この圧力範囲に加えて、蒸発プロセスで使用される10−5Torrの範囲に、動作を拡張することができる。ノズル6は、源からガスが伝導することを制限するので、これを行うことができる。プロセスガス27を放電キャビティ26に供給することにより、放電キャビティ内部の圧力をmTorr領域に維持することができるが、源の外側では、はるかに低いプロセス圧力が存在する。
【0037】
絶縁PECVD膜の連続的な析出が可能である。PECVDでは、プロセス中に電極がしばしばコーティングされる。これにより、SiOなどの絶縁膜を用いると、アーク放電またはプロセスの完全停止が生じることがある。ノズルは、PBSを用いて、内部のマグネトロン電子源が汚染されないように、放電キャビティに濃縮可能なガス種が伝導することを制限する。これは、広い面積のPECVDプロセス用のPBSにとって重要な利点であり、さらに以下で議論する。
【0038】
プラズマビーム9は、プロセスチャンバ内部の自由平均行程に応じて、ノズル6から数百mmまで延びる。ビームは、たとえば3mTorrにおいて、少なくとも300mm延びる。この特徴により、ビーム源が多くの用途で優れたものになることができる。たとえば、非平面の3D基板を均一にPECVDコーティングし、処理することなどができる。
【0039】
基板は、PBSから電気的に絶縁することができる。基板は、任意選択として電気回路の一部分にすぎないので、接地すること、フローティング状態にしておくこと、または互いに異なる電源によって別々にバイアスをかけることもできる。この特徴を添付の各図で説明する。
【0040】
PBS 24は、標準の直流マグネトロン電源を使用して、または周波数0〜100MHzの様々な周波数での交流電源を用いて動作する。図1A〜3では、シャントボックス3およびカバー5は接地されている。チャンバにかかる電圧がより低くなり(安全性)、取付けがより容易になるので、これは好都合である。あるいは、外部の構成部品ボックス3およびカバー5は、電気的にフローティングさせることができる。実現可能な構成のいくつかを、添付の各図で示す。
【0041】
図4は、PECVDコーティング用途でのプラズマビーム源24を示す。アルゴンおよび酸素の混合気41が、チューブ40内の源のポート4に供給される。モノマー前駆ガス43が、源の外部に供給される。前駆ガスがプラズマ9内のイオン化ガスによって活性化されるとき、コーティングが基板23に析出する。このプロセスが、本発明の重要な利点を際立たせている。ノズル6の伝導制限、ならびにノズル5を通って出るプラズマ9の高密度および指向性により、前駆ガス43は容易には源24に入らない。コーティング実行の後、ビーム源24の放電キャビティ26に比較的PECVDコーティングがないとき、このことが分かる。従来技術のPECVD源では、プラズマ電極はプロセスにさらされる。プラズマは電極においてもっとも密度が高いので、さらされたこの電極には厚いコーティングが急速に生じ、このコーティングにより長時間のプロセス実行が難しくなる。
【0042】
源24によって処理される基板23は、多数の材料および形状を含むことができる。こうした基板には、たとえばそれだけには限らないが、フレキシブルウェブ、平面ガラス、3次元型材、金属、シリコンウェーハ、および様々な高分子材料が含まれ得る。ビーム源24では、他の多くの物理的構成およびプロセス構成が可能である。たとえば、前駆ガスは、ただちにビルドアップするという問題もなく放電キャビティ26に移すことができ、炭化水素などのいくつかのガスを、源に長期間供給することができる。PBSは、プラズマ処理、表面清浄または反応性イオンエッチングなど、PECVD以外の多くのプラズマプロセスを実行することもできる。基板を「処理する」という言葉は、これらすべてのプロセスを総称的に示すのに使用される。
【0043】
図5は、電子ビーム蒸着ウェブコーティングの用途において、蒸発物29を反応させるのに使用されるプラズマビーム源24を示す。ドラム25は、析出領域上にウェブ23を運ぶ。るつぼ27には、蒸発材料28が入っている。電子ビーム源26は、るつぼ27にビーム31を放射する。プラズマ9は、プラズマビーム源から蒸発物の煙29に向けられて、プラズマ9のイオン化ガスとの反応を促進する。シールド30は、プラズマ9の電子ビーム31への影響を制限する。本発明に先立って、蒸発物のリアクタンスを遂行するのに、中空陰極源が使用されてきた。中空陰極の外部のプラズマは拡散制限されているだけなので、元々、中空陰極は均一ではない。PBSを用いると、磁力線19は電子を含み、静電気力により、同様にイオンもプラズマ領域9内に含まれる。やはり前述の通り、電子閉じ込めのクローズドドリフトの性質により、PBSプラズマ9は基板の全幅にわたって均一である。
【0044】
図6は、遊星ギアボックスのコータ用途に適用されるプラズマビーム源24を示す。この図では、源24は、端面からではなく、その長手方向に沿って示してある。この図では、プラズマビーム9は、プラズマのシートとして見える。源24は遊星ギアを支持する基板から離れて、たとえばボックスコータの底部に配置され、他の蒸着源(たとえば、電子ビーム源または熱蒸発源)のための空き空間をもたらす。PBSビーム源24を他の蒸着源と組み合わせることで、プラズマ9の作用により、コーティングの密度を上げることができる。金属コーティングの密度を上げるために、純粋なアルゴンを使用することができ、または反応性ガスを加えることもできる。従来技術を上回るビーム源の大きな利点は、ビーム源が、源の中の酸素などの反応性ガスを直接消費できることである。従来技術では、反応性ガスによる消耗に敏感なフィラメントまたは他の電子生成手段を必要とするため、源の中で不活性ガスを使用する必要があった。これらの源では、反応性ガスは、源の外部のプロセスに供給された。チャンバ内で反応性ガスをイオン化する効率が低かったので、源のパワーおよびアルゴン流量を高くする必要があった。純粋な反応性プラズマ(または、要求に応じて、不活性および反応性の組合せ)を生成するビーム源24を用いると、プロセス効率が上がり、正確な圧力でプロセスを維持するのに必要となる総合的なポンピング速度が低減される(不必要なアルゴンを排気する必要がない)。
【0045】
図7は、シリコンウェーハなどの基板23に適用されるプラズマビーム源24を示す。この図では、ウェーハ23を支持するステージ51が移動して、ウェーハ23をプラズマ9で均一に処理する。源24から切り離して、基板23をバイアスできることが示してある。バイアス電源52は、この場合はウェーハ23に電流を通すのに十分な周波数の交流電源であるが、ステージ51に接続されている。PBS電源17は、プラズマ9を生成する。バイアス電源52がないと、絶縁基板23は通常、プラズマ9固有の浮遊電圧にまで上昇することになる。(これは、プロセス条件に応じて、PBSに対してほぼ−10〜−70ボルトである。)バイアス電源52をオンにすることにより、プラズマ9と基板23の間のプラズマ暗黒部にわたる電圧降下を、正側または負側に、プロセスに必要なレベルにまで変更することができる。
【0046】
図8は、大面積の均一なプラズマを基板上に生成するのに適用することができる2つのビーム源24aおよび24bを示している。この場合、基板は、ロール64上に巻き付けられたフレキシブルウェブ23である。源24aの磁石60および61(ならびに、図示されていないこの源の終端の磁石)は、それらのS極を内向きに向かい合わせてプラズマ9に向かうよう構成し、源24bは、N極が内向きに向かい合う磁石62および63を有すること以外は、2つのビーム源24aおよび24bは同一である。この構成は、各源の間での磁界の分担をもたらし、図に示すように閉じたプラズマ領域を生成する。
【0047】
図9は、宇宙空間での推進用途向けに構成されたPBSの断面図を示している。マグネトロン電子源の基本的な構成部品およびカスプ磁界は、前述の各図と同じである。この源では、環状の電磁石70および71により、カスプ磁界18および19が生成される。電子源マグネトロンプラズマ8は、ライナチューブ16内で生成される。ライナ16は、絶縁体板72によりボックス3から、また絶縁体リング73により電磁石71から電気的に絶縁されている。推進剤ガス27は、ポート92を介してガスキャビティ79に通される。次いで、ガス27は、ライナ16と対向する電極5との間のギャップ78を介して放電キャビティ26に流れ込む。カバー電極5は、絶縁体板76により、円形ボックス3から電気的に絶縁されている。カバー5は、電磁石70内の環状開口部にはめ込まれるノズル部分6を有する。ライナ16およびカバー5は、電源74の両端に接続されている。陰極端子がライナ16に接続されている状態の直流電源が示してある。交流電源またはRF電源も使用してよい。ボックス3は接地されている。カバー5は、電源の一方の側とともに接地することができる。
【0048】
動作にあたっては、電源74がオンになり、ガス27が放電キャビティ26に流れ込んでいるとき、マグネトロンプラズマ8によって生成される電子は、磁界18のミラー磁場領域内に捕獲され、プラズマ39および9が生成される。ノズル6を通してプラズマ9が放出されるときに、推力が生成される。推力の一成分は、磁気ノズル効果によって生成される。磁気ミラー39を通過した後、次いで電子は、さらにノズル6から空間に移動するので、磁界強度の減少に遭遇する。この負の傾斜に応答して、電子の動きは、熱スピンから力線の軸に沿った動力学的運動に変換される。次に、各電子は、静電気的にイオンを源から離れるように加速させる。領域18内の磁界を増大させて、各イオンを閉じ込めることができる場合には(これは、磁界強度が少なくとも1000ガウスを超えるときに起こる)、他の形態のイオン推力を生成することができる。この条件下では、各イオンがノズル6を通過するとき、各イオンを磁気的に閉じ込め、径方向の電界によって熱することができる。電子は、ノズルを抜け出るときに、陽極5からの静電反発力および磁気ノズル効果の両方によって加速される。
【0049】
好ましい実施形態での電子閉じ込めの他の態様は、実現可能な3軸方向の磁界電子脱出経路のうちの2つが、ライナ16により物理的に束縛されることである。3軸方向の磁界領域は、円錐形の圧縮領域171および19、ならびに平らな円板圧縮領域170を含む。ライナ16が直流回路の陰極として接続されているとき、または交流電源の負のACサイクルにあるとき、電子は、ライナ16の表面から静電気的に反射される。電子は、初めはマグネトロン閉じ込め領域8内で生成される。これらの電子は、陽極電極5に到達しようとするとき、衝突拡散により、力線19を横切り、ミラー領域39を通って進んで、カバー5に戻る前にノズル6を通って源を抜け出る。電子はまた、磁力線を横切って拡散している間、これらの力線に沿って、らせん状に動く。磁力線170がライナ16を通過するように源を構成することにより、これらの力線に沿って移動する電子は、静電気的に閉じ込められたままである。力線170が、電気的にフローティングしている表面または対向する電極5を通過することができる場合、ある数の電子が、力線170の圧縮ミラーを通り抜けて脱出することになる。1軸方向の磁界領域18のみが電子脱出口に開口できるようになることにより、プラズマ柱9を生成し維持する際に電子の有効利用が増大する。
【0050】
図10は、プラズマビーム源の他の実施形態を示している。前述の通り、この源は、円形、環状または長さを延長したような形状とすることができる。源100は、希土類磁石1および2の使用、ならびに2つの電源83および84の使用を含む。図に示すように、電源83は、陰極ライナ16をボックス3に接続する。絶縁体81は、カバー5からボックス3を電気的に分離する。電源84は、陽極カバー5をボックス3に接続する。ボックス3は接地されている。この構成を使用することにより、接地電位に対してプラズマ電位を調整することができる。接地された基板にプラズマ9を加えるとき、これが有用になりうる。プラズマ電位を上げることにより、基板に衝突するイオンエネルギーを増大させることができる。図10はまた、カバー5に組み付けられたプロセスガスマニホルド80を示している。小さい分配穴85は、ガス27を源の長手方向に沿って均一に放電キャビティ26に導く。磁石1および2をカスプ構成で互いに向き合わせることにより、ミラー領域39内に強いミラー圧縮比がもたらされる。希土類磁石1および2を用いると、ミラー頂点での磁界の強さは、容易に500ガウスを超える。電子は、ミラー領域39を通過するとき、この強い磁界に遭遇し、そのラーモア旋回半径(Larmor gyro radius)はそれに応じて小さくなる。これらの条件下では、この断面図のようにプラズマを端から見るとき、ノズル6を通り抜けるプラズマ9の幅は非常に狭く、およそ3mm程度である。これは、とりわけWindowおよびSavvidesならびにHelmerの垂直に向けられた磁石を上回る利点である。垂直に配向された磁石を用いると、ヌル領域25がマグネトロン閉じ込め領域8の上に生成されるが、通常、磁界の強さは100ガウスを下回り、電子のラーモア旋回半径はより大きくなる。図10に示す実施形態では、シャント10が、アルミニウム本体12に取り付けられている。シャント10の目的は、ライナ16のスパッタ速度を低減させることの支援、およびライナ16のスパッタリングを安定させて、ライナ16をより長持ちさせることである。この点に関しては有益であるが、基本的な源の動作に対しては必要ではない。本体12は、押し出し成形された穴82によって水冷される。絶縁体14および86は、ボックス3内の陰極本体12を支持し、陰極(本体12およびライナ16)をボックス3から電気的に絶縁する。図1Aに示すように、源100は、長手方向に伸ばした長方形でもよい。磁界領域8および9を両方とも閉路にするのに使用される終端の磁石は、この断面図には示していない。
【0051】
図11は、垂直に配向された磁石を有する、プラズマビーム源の一変形形態1100を示している。この磁石構成は、WindowおよびHardingによって教示された、タイプIIのアンバランスドマグネトロン磁界を表している。この実施形態は、磁石97および放電キャビティ103の形状の範囲を、本発明の精神の範囲内で実施できることを示している。この実施形態では、磁石97は2つの閉じ込め領域、すなわち、陰極98の表面105におけるマグネトロン閉じ込め1102、およびノズル104を通り抜けるミラー/ノズル閉じ込め93を生成する。他の好ましい実施形態では、マグネトロン電子生成領域102は、放電キャビティ103内に含まれる。放電キャビティは、ヌル磁界領域95を含む。ふた板91内のノズル開口部104は、ミラー磁場93の軸と一致している。この実施形態は以下のように構成されている。すなわち、平らなライナ98は、ガンドリルで穴あけされた穴99を介して水冷され、シャント96に組み付けられている。シャント96に加えて、磁石97および角度の付いたシャント109は、図に示した不平衡磁界を生成する。シャント96および109は磁性鋼で作られている。平面陰極98ならびに磁石構成部品96、97および109は、電気的にフローティングされているボックス90内の電気絶縁体(図示せず)によってつるされている。電気的にフローティングされている板91は、ボックス90に固定されている。ふた板91は、穴92を介して水冷される。ボックス90およびふた板91は、アルミニウムで作られ、非磁性体である。ふた板91および陰極98に水を送るための配管は示していない。ガス27は、ねじ穴100を介してボックス90にパイプで送られる。ガス27は、磁石シャント96の周りを流れて、放電キャビティ103に至る。本発明の他の実施形態では、電源108がオンになるとき、マグネトロンプラズマ102が点火し、電子をミラー閉じ込め領域106に供給する。ミラー閉じ込め領域106内に捕獲された電子は、ガス27と衝突して、やはりノズル104の開口部を通って抜け出そうとし、高密度のプラズマ94が生成される。
【0052】
図11に示した本発明の他の態様は、分離した陽極107を使用することである。図に示すように、ふた91は、電気回路の中で電極として接続されてはいない。ふた91の重要な側面は、抜け出るガス27に伝導制限を加え、それにより、ノズル104内のミラー閉じ込め領域106を通ってガスが抜け出すように強制することである。電子の移動度が高いと仮定すると、源の外部のリターン電極107を電気的に位置決めすることにより、源が点火した後、源の性能には目立った変化はほとんど生じない。陽極107は、陰極98からさらに離れているので、プラズマ102を起動するには、(ベース圧力および使用される電源108の点火電圧に応じて)キャビティ103内に圧力スパイク(pressure spike)が必要となることがある。導電性プラズマ102が点火すると、陽極電極は、プロセスチャンバ内のどんな位置に配置することもできる。陽極電極がノズル104であるとき、前述の通り、イオン加速の利点を多少得ることができる。図11に示す源では、ライナ98の材料はアルミニウムである。アルミニウムは、酸素ガス27が使用され、陰極表面105上に形成する反応生成物アルミナのスパッタリングが非常に遅いとき、良好な2次電子放出面であるという利点を有する。所与の電力に対する高い電子電流が生成され、陰極材料98がスパッタリングされる速度が遅いので、これらはビーム源の動作にとって利点である。これらの特徴を有する他の材料を使用してもよい。アルゴンプラズマ94が求められているとき、良好な陰極材料は炭素である。例外的な2次電子放出面ではないが、炭素のアルゴン中でのスパッタリングは非常に遅い。図11は断面図であることに留意されたい。前述の図に示すように、この源は、円形または長方形とすることができ、また1メートルを超える長さにまで伸ばすことができる。
【0053】
図12Aは、本発明の好ましい一実施形態による2つの源300を実装するデュアルPBS構成の断面図を示している。この実施形態では、源300は、PECVDコーティングを施すための、建築用ガラスなどの平面基板301の上方に配置されている。源300は断面図で示してあり、3mを超える長さとすることができる。ガラス基板301は、プラズマビーム源300の下のローラー306上で運ばれる。プラズマビーム源300は、磁石324および325の極性が2つの源の間で逆であること以外は同一である。シャントボックス320は、磁石324または325を支持する。コア321は、ボックス320内部で絶縁体(図示せず)によって支持されている。コア321は、ガンドリルで穴あけされた穴322および相互接続された水配管(図示せず)を介して水冷されている。ターゲットライナ312は、中心のシャント323と同様に、コア322に固定されている。これら3つの部品は、電気的に接続され、源の電極を形成する。天板305は、ガス310を、源の長手方向に沿って均一に源のキャビティ311の内部に分配するための、マニホルド309を備える。板305はまた、キャビティ311の中心にノズル306を有する。板305は、ガンドリルで穴あけされた穴328を介して水冷されている。板305は、ねじ(図示せず)を用いてボックス320に固定されている。アルミニウムのフレーム330は、板305とボックス320の間隔をあける。
【0054】
2つの源300のコア電極321は、交流電源329の両側に接続されている。電源329は、周波数範囲が20kHzから500kHzの間の交流電源である。この中間の周波数範囲は、電極表面上の絶縁膜ビルドアップを介して電流を容量結合するのに十分高い周波数であるので好ましい。やはり、定格数十kWの中間周波数の電源は、容易に利用可能であり、相対的に低コストである。これより高いまたはこれより低い周波数の電源を使用することもできる。源300、ボックス320および天板305は、接地することも、またはフローティングさせることもできる。
【0055】
反応性および/または不活性ガス310は、マニホルド309を介して、源の放電キャビティ311に送り込まれる。源300の外部では、マニホルド307が前駆ガス308を供給する。たとえば、ガス310は酸素ガスとすることができ、またガス308は、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)などのシリコン含有ガスとすることができる。前駆ガス308をPBSの外部に供給することにより、源300内部の絶縁コーティングビルドアップが最小化される。これは、従来技術のPECVD源を上回る、PBSにとって重要な利点である(図4参照)。
【0056】
動作にあたっては、源300は、それぞれ陰極電極として交代する。陰極として、放電キャビティ311の内部のマグネトロン303が点火し、ミラープラズマ302を駆動する電子を放出する。一方のPBSが陰極である間、第2のPBSは回路の陽極である。単一のPBSを用いると、時が経つにつれて、PBS内部のライナ電極312は相対的に析出がないが、アースを介する電流のリターンパスは、場合によっては絶縁膜でコーティングされることがある。この現象は「消失陽極(disappearing anode)」効果と呼ばれ、反応性スパッタリングプロセスではよく知られている。交流電源の両端間で2つのPBSを構成することにより、両方の電極312が、プロセスチャンバ内で生じる絶縁性析出から「隠れる」だけでなく、各電極が順に陰極として動作するので、薄い絶縁性ビルドアップが絶えず取り除かれる。この構成により、連続的で、長期の、絶縁膜PECVDプロセスが可能になる。電気的には、この構成は、EstesおよびWestwood、ならびにScherer、Schmitt、LatzおよびSchanzによる公開公報に記載のデュアルマグネトロン陰極装置と同様である。ノズル開口により電子生成マグネトロン放電をプロセスチャンバから分離することは、PECVD用のデュアルアンバランスドマグネトロン構成を上回るPBSの相違点および重要な利点である。
【0057】
PECVDでは、プラズマが存在すると前駆ガスの分解が起きる。プラズマ生成を駆動する電極が前駆ガスにさらされる場合、著しい割合の析出が電極上に生じる。スパッタマグネトロンタイプのプラズマ源が使用され、前駆物質が、強いレーストラック(racetrack)負グローにさらされているとき、特にこのことが当てはまる。1つまたは複数の電極上のコーティングビルドアップは、プロセスを非常に困難にする。電気回路のインピーダンスはビルドアップによって変化し、プロセスの安定性に影響を及ぼす。析出速度および材料使用量などのプロセスの効率は、析出が電極上に生じる程度にまで低減される。フレキシブルウェブまたは建築用ガラスのような基板上での長いコーティングの流れは、実用的ではない。また、さらされている電極を頻繁に清浄にし、置き換えるための保守が煩わしい。デュアルPBS構成を用いると、内部のマグネトロン陰極上のコーティングビルドアップが最小になり、PECVDコーティングの広がりを長くすることができる。
【0058】
図12Aに示すデュアルPBS構成の他の重要な特徴は、交流電源サイクルで、源300から放射するイオンビームを生成することである。図12Bは、この効果を説明するために、1つのPBSのノズル領域の詳細図を示している。交流電源を用いてデュアルPBSを動作させている間、互いに一方のPBSが陽極であり、もう一方のPBSが陰極である。陽極である間、すべての電子315は、陽極に流れて、電源に戻らなければならない。PBSの内部電極312に到達するために、電子315は、ノズル開口部306を介してキャビティ311に入らなければならない。電子315は、この開口部に向けて移動するとき、ノズル開口部306を介して放出するミラー磁界327によって妨害される。ミラー磁界327は、ノズル306内の強い磁界によって生成され、基板301により近くのそれより弱い磁界領域に延びる。電子電流の流れがミラーを横切るのを妨害されるので、電圧降下が生じる。点線316および314は、おおよそこの電圧降下の領域を示す。点線314は、ノズル306内の磁界のうちでもっとも強い領域である。点線316は、それより弱い磁界の領域であり、ミラー電子閉じ込めの開始点に近い。線316の位置は、例示する目的で示してあり、基板の位置および磁力線327の強さに応じて、基板により近くてもよい。電子315はキャビティ311に流れることを妨害されているので、ガスの原子318は、ノズル306を介してキャビティ311から流れ出ている。これらの中性原子は電子315と衝突し、イオン317が形成される。次いで、イオン317は、線314から316を横切る電界に遭遇し、源300から基板301に向けて加速される。この総合的な効果は、軸方向の電子ミラー閉じ込めを有する「エンドホール」効果を利用するイオン源と同様である。動作にあたっては、イオン317の高密度で直線のビームが、半周期ごとに源300から基板301に向けて流れる。同時に、陰極PBSから流れ出る電子は、このイオンビームを中和する。その結果として、理想的で、中和され、均一で、高密度なイオンビームが基板に衝突する。イオンエネルギーは、ほぼ60〜120eVである。
【0059】
源300を設置するとき、コア321に冷却水を送る水配管路を絶縁して電子が配管路に到達するのを防止することが重要である。プロセスチャンバ内において、電極電位にある水回りの器具または他の構成部品に電子が到達することができる場合、各電子は、陽極サイクル中にこの構成部品に流れ込むことになる。電源への「より容易な」戻り道を見つけることができる場合、電子はノズル306内のミラーインピーダンスに抵抗しようとはしないので、このことが起きる。
【0060】
イオン衝撃により膜の質が大幅に改善されることが、当技術分野でよく知られている。イオン衝撃がないと、PECVD膜は柔らかく低密度になることがある。高い品質を生み出すのに、高密度膜イオン衝撃がしばしば使用される。これは普通、基板をバイアスすることにより、または別個のイオン源を使用することにより行われる。追加の電源が必要になるが、基板をバイアスすることは相対的に簡単である。しかし、厚いプラスチックまたは建築用ガラスのような基板には、バイアスすることが難しいものもある。第2の方法である、別個のイオン源を使用することには電極暴露の問題があり、また、各イオン源は通常、大面積の高速PECVDに要求される直線的な構成および電流密度を欠いている。図12Aおよび12Bに示すデュアルPBS構成は、これらの問題を解決し、いくつかの重要な利点を有する。
【0061】
インライン建築用ガラスコーティングおよびロールコーティングフレキシブルウェブなどの用途に対して、長い連続した析出の流れが可能である。電極をコーティングから保護することの重要性は、これらの用途では強調し過ぎることはない。デュアルPBSの実際の用途においては、内部放電キャビティ311の内部のコーティングを最小限にとどめて、SiOなどの数百ミクロンの絶縁膜を基板上に析出することができる。
【0062】
磁気電子閉じ込めにより、広い面積にわたって均一な被膜が可能になる。従来技術のPECVDプロセスでは、簡略で、むき出しのRF平坦電極がしばしば使用されてきた。これらのRF電極は、急速にコーティングされるだけでなく、大きい電極にわたってプラズマの均一性を実現し維持することが難しい。
【0063】
各PBSから交互に生じる60〜120eVのイオンビームは固有であり、高密度、高品質の有用な膜を可能にする。この均一で中和されたイオンビームは、PECVDプロセスにとって非常に有益である。
【0064】
PBSから放射する高密度プラズマ、陰極からの電子ビームおよび陽極からのイオンビーム(電源とともに交代する)は、高い析出速度を達成する。たとえば、酸素ガスおよびHMDSOを使用して二酸化シリコン膜を析出する際、通常200nm〜m/minの動的析出速度が達成される。
【0065】
デュアルPBSは、非磁気的に閉じ込められるPECVD源に対して、低い圧力で動作することができる。これにより、粉末形成なしに高出力を使用することが可能になり、したがって、高い析出速度、高い膜質のプロセスが可能になる。
【0066】
デュアルPBS源300内の磁石324および325は、両方の源で同じ極が内側に向くか、または異なる極が内側に向く状態で構成することができることに留意されたい。図12Aは、異なる極が内側に向く2つの源を示している。
【0067】
プラズマビーム源は、多くの利点および用途を有する。本明細書においていくつかの構成を開示してきたが、本発明の精神の範囲内でより多くの構成が可能である。PBSの重要な用途は、広い面積の基板上でのPECVDである。この用途領域内では、多くの基板およびコーティングのプロセスが可能である。この基板の範囲には、多くの異なるサイズおよび形状が含まれる。まだ言及していないものには、狭いフレキシブルウェブおよび広いフレキシブルウェブ、建築用ガラスおよび車両ガラスまたは太陽電池パネルのような大きい平面基板、ならびに、車両フロントガラスおよび前照灯反射鏡または携帯電話のカバーのような3次元部品のグループが含まれることになる。プラスチックおよびガラスのような絶縁材料、導電性金属ならびに半導体材料など、多くの基板材料を使用することができる。広範囲の前駆物質選択が可能なPBSを使用して、PECVDによって広範囲の材料を析出することができる。前駆物質は容易に入手可能であり、安全性および環境の問題を最小限に抑え、低コストであるため、SiO、TiO、SiN、SiCおよびこれらすべての混合物のような膜は、すべて容易に析出される。また、好都合に使用可能な、前駆物質を含む多くの金属、金属窒化物および金属酸化物が、今日入手可能である。PBSを用いるPECVDは、いくつかの薄膜用途、たとえば、バリア膜、オプティカルコーティング、耐摩耗膜、機能性電気膜、光触媒コーティング、抗菌性コーティング、透明な導電性膜、カラーシフティングコーティング、および放射性膜に適用することができる。PECVD以外で、他のPBS使用法には、前述の通り、反応性イオンエッチング、プラズマ洗浄、反応性蒸着プロセスの支援、およびプラズマ処理が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1A】本発明によるプラズマビーム源の断面図である。
【図1B】図1に示した破線の円1B内に示された、プラズマビーム源のボックスの中のプロセスガス導管の拡大図である。
【図2】カバーを取り外した状態の、図1の装置の上部断面図である。
【図3】図1の装置の等角図である。
【図4】ビームが基板および別々のガス注入口に向けられている状態の、図1のプラズマビーム源の図である。
【図5】電子ビーム蒸着の用途において反応性析出を支援するために使用される、図1のプラズマビーム源の図である。
【図6】遊星ギア/ボックス(planetary/box)のコーティング用途に適用される、図1のプラズマビーム源の側面図である。
【図7】プラズマが、移動しているバイアスされた基板に向けられている状態の、図1のプラズマビーム源の図である。
【図8】互いに向き合い、反対極の磁石を有する、図1の2つのプラズマビーム源を示す図である。
【図9】宇宙スラスタ(space thruster)用途向けの、本発明の電磁バージョンの断面図である。
【図10】イオン源の特徴を改善する電力構成を有する、好ましい一実施形態を示す図である。
【図11】垂直に配向された磁石および平面陰極を実装するプラズマビーム源の断面図である。
【図12A】本発明の好ましい一実施形態による、単一の交流電源の両端に接続された2つのプラズマビーム源を示す図である。
【図12B】1つのプラズマビーム源PBSのノズル領域の詳細図である。
【図13】従来技術のアンバランスドマグネトロンスパッタ源の断面図である。
【符号の説明】
【0069】
1 磁石
2 磁石
3 シャントボックス
4 ポート
5 カバー
6 ノズル
7 配管
8 源の領域
9 高密度プラズマ
10 中心シャント
11 シャント
12 ブロック
13 穴
14 絶縁部片
15 絶縁体
16 ライナ
17 電源
18 力線
19 力線
20 終端の磁石
21 終端の磁石
22 溝
23 基板
24 プラズマビーム源
24a ビーム源
24b ビーム源
25 ヌル磁界領域
26 放電キャビティ
27 ガス
28 蒸発材料
29 蒸発物
30 シールド
31 ビーム
39 閉じ込め領域
40 チューブ
41 混合気
43 モノマー前駆ガス
51 ステージ
52 バイアス電源
60 磁石
61 磁石
62 磁石
63 磁石
64 ロール
70 電磁石
71 電磁石
72 絶縁体板
73 絶縁体リング
74 電源
76 絶縁体板76
78 ギャップ
79 ガスキャビティ
80 プロセスガスマニホルド
81 絶縁体
83 電源
84 電源
85 分配穴
86 絶縁体
90 ボックス
91 ふた板
92 ポート
93 ミラー/ノズル閉じ込め
94 高密度のプラズマ
95 ヌル磁界領域
96 シャント
97 磁石
98 陰極
99 穴
100 ギャップ
102 マグネトロン電子生成領域
103 放電キャビティ
104 ノズル
105 表面
106 ミラー閉じ込め領域
107 陽極
108 電源
109 シャント
110 幅
115 幅
170 平らな円板圧縮領域
171 円錐形の圧縮領域
300 2つの源
301 平面基板
305 天板
306 ローラー
307 マニホルド
308 前駆ガス
309 マニホルド
310 ガス
311 キャビティ
312 ターゲットライナ
314 点線
315 電子
316 点線
317 イオン
318 ガスの原子
320 シャントボックス
321 コア
322 穴
323 シャント
324 磁石
325 磁石
327 ミラー磁界
328 穴
329 交流電源
330 フレーム
1100 プラズマビーム源
1102 マグネトロン閉じ込め

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第1および第2のプラズマ源であって、第1の幅を有する放電キャビティ、前記放電キャビティから外側に延び、前記第1の幅よりも狭い第2の幅を有するノズル、前記放電キャビティ内の少なくとも1つの電極、および前記キャビティに隣接して配置され、前記放電キャビティ内に磁界ヌル領域を生成する複数の磁石をそれぞれが備える第1および第2のプラズマ源と、
b)各放電キャビティ内の前記各電極の両端に接続され、陰極および陽極として交互に前記各電極を励振する交流電力源であって、陰極電極として働いている前記各電極のそれぞれが、前記それぞれの放電キャビティ内に少なくとも1つのマグネトロン放電領域を維持することができる交流電力源と、を組み合わせて備える、プラズマを生成する装置。
【請求項2】
イオン化ガス入口が、各放電キャビティ内の前記電極と前記ノズルの間に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ミラー磁界が、前記第1のプラズマ源の前記ノズルおよび前記第2のプラズマ源の前記ノズルから放射される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記交流電力源の半周期の間、それぞれ前記第1のプラズマ源および前記第2のプラズマ源により、交互に電子の流れが妨げられる、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記プラズマ源を通過して基板を運び、それにより前記基板上に均一な析出をもたらすためのドライブをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1および第2のプラズマ源のうちのそれぞれ1つの内部に閉じ込め領域を生成するための、互いに向き合って前記第1のプラズマ源に配置される第1の組の磁石と、互いに向き合って前記第2のプラズマ源に配置される第2の組の磁石とをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1および第2のプラズマ源のうちのそれぞれ1つの内部に閉じ込め領域を生成するための、互いに平行に位置合わせされて前記第1のプラズマ源に配置される第1の組の磁石と、互いに平行に位置合わせされて前記第2のプラズマ源に配置される第2の組の磁石とをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第1および第2のプラズマ源はプロセスチャンバ内に配置され、前駆ガスを前記ノズル外部の前記プロセスチャンバに注入するための入口を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記前駆ガスはシリコン含有ガスを含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記シリコン含有ガスはヘキサメチルジシロキサンを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
不凝縮性ガスを各プラズマ源の前記放電キャビティ内に注入するための、前記ノズル以外の第2の入口を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記不凝縮性ガスは酸素を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
基板をプラズマ処理する方法であって、
a)直線的なイオンビームを前記基板上に放出するための放電キャビティおよび出口をそれぞれが備える、第1および第2のプラズマ源を設けるステップと、
b)各放電キャビティ内に配置された電極の両端に交流電力源を設け、前記第1および第2のプラズマ源内の各電極を陰極および陽極として交互に励振するステップであって、各電極は、陰極電極として働いているときに、前記放電キャビティ内に少なくとも1つのマグネトロン放電領域を維持することができるステップと、
c)前記第1および第2のプラズマ源からミラー磁界を構築するステップと、
d)前記交流電力源の半周期の間、前記第2のプラズマ源の前記放電キャビティ内の前記電極が陰極として働くときに、前記第1のプラズマ源内で前記ミラー磁界により電子の流れを妨げ、前記交流電力源の半周期の間、前記第1のプラズマ源の前記放電キャビティ内の前記電極が陰極として働くときに、前記第2のプラズマ源内で前記ミラー磁界により電子の前記流れを妨げるステップと、
e)前記第1および第2のプラズマ源のそれぞれの前記放電キャビティにイオン化ガスを注入するステップと、
f)前記妨げられた各電子に遭遇する前記イオン化ガスの原子のうちの少なくともいくらかをイオン化するステップと、
g)イオンビームの形で、各ノズルから基板に交互にイオンを放出するステップとを含む方法。
【請求項14】
前記イオンビームを通過して前記基板を運ぶステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
互いに向き合う第1の組の磁石が前記第1のプラズマ源に配置され、互いに向き合う第2の組の磁石が前記第2のプラズマ源に配置される方法であって、前記第1および第2の組の磁石を用いて、前記第1および第2のプラズマ源のうちのそれぞれ1つの内部に閉じ込め領域を生成するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記基板はガラスを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
互いに平行に位置合わせされた第1の組の磁石が前記第1のプラズマ源に配置され、互いに平行に位置合わせされた第2の組の磁石が前記第2のプラズマ源に配置される方法であって、前記第1および第2の組の磁石を用いて、前記それぞれ第1および第2のプラズマ源の内部に閉じ込め領域を生成するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記基板は金属またはプラスチックを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記プラズマ源の外部の前記プロセスチャンバ内に前駆ガスを注入するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記第1および第2のプラズマ源のそれぞれの前記放電キャビティに不凝縮性ガスを注入するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記不凝縮性ガスは酸素を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記前駆ガスはシリコン含有ガスを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記シリコン含有ガスはヘキサメチルジシロキサンを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
プラズマを生成する方法であって、
a)直線的なイオンビームを基板上に放出するための出口を有する放電キャビティをそれぞれが備える、第1および第2のプラズマ源を設けるステップと、
b)各放電キャビティ内に配置された電極の両端に交流電力源を設け、前記第1および第2のプラズマ源内の各電極を陰極および陽極として交互に励振するステップであって、各電極は、陰極電極として働いているときに、前記放電キャビティ内に少なくとも1つのマグネトロン放電領域を維持することができるステップと、
c)前記第1のプラズマ源の前記出口および前記第2のプラズマ源の前記出口からのミラー磁界を構築するステップと、
d)前記交流電力源の半周期の間、前記第2のプラズマ源の前記放電キャビティ内の前記電極が陰極として働くときに、前記第1のプラズマ源内で前記ミラー磁界により電子の流れを妨げ、前記交流電力源の半周期の間、前記第1のプラズマ源の前記放電キャビティ内の前記電極が陰極として働くときに、前記第2のプラズマ源内で前記ミラー磁界により電子の前記流れを妨げるステップと、
e)前記第1および第2のプラズマ源のそれぞれの前記放電キャビティにイオン化ガスを注入するステップと、
f)前記妨げられた各電子に遭遇する前記イオン化ガスの原子のうちの少なくともいくらかをイオン化するステップと、
g)イオンビームの形で、各出口から交互にイオンを放出するステップとを含む方法。
【請求項25】
前記イオンビームを通過して基板を運ぶステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
互いに向き合う第1の組の磁石が前記第1のプラズマ源に配置され、互いに向き合う第2の組の磁石が前記第2のプラズマ源に配置される方法であって、前記第1および第2の組の磁石を用いて、前記第1および第2のプラズマ源のうちのそれぞれ1つの内部に閉じ込め領域を生成するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
互いに平行に位置合わせされた第1の組の磁石が前記第1のプラズマ源に配置され、互いに平行に位置合わせされた第2の組の磁石が前記第2のプラズマ源に配置される方法であって、前記第1および第2の組の磁石を用いて、前記それぞれ第1および第2のプラズマ源の内部に閉じ込め領域を生成するステップを含む、請求項24に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【公表番号】特表2009−534797(P2009−534797A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506595(P2009−506595)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/009625
【国際公開番号】WO2007/124032
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(508371024)ジェネラル・プラズマ・インコーポレーテッド (6)
【Fターム(参考)】