説明

デュアル硬化ポリマーおよびそれらの調製方法と使用

ポリマーは放射線および湿気硬化の両方のメカニズムによって硬化する。このポリマーはヒドロシリル化によって調製される。ポリマーは接着組成物に有用である。ポリマーは、式(I)、(R22SiO2/2)b、(R2SiO3/2)c、(SiO4/2)d、(R1')f、および(R23SiO1/2)gの単位を含み、ここで、各R1は独立に酸素原子または2価の炭化水素基であり;各R1'は独立に2価の炭化水素基であり;各R2は、独立に、末端脂肪族不飽和を有さない1価の有機基であり;各Xは独立に1価の加水分解性基であり;各Jは独立に1価のエポキシ官能性有機基であり;下付き文字aは1またはそれを超える値を有し;下付き文字bは0またはそれを超える値を有し;下付き文字cは0またはそれを超える値を有し;下付き文字dは0またはそれを超える値を有し;下付き文字eは1またはそれを超える値を有し;下付き文字fは0またはそれを超える値を有し;下付き文字gは0またはそれを超える値を有し;下付き文字sは、1、2、または3であり;下付き文字tは、1、2、または3である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2006年12月21日に出願された米国特許仮出願第60/876276号の利益を主張する。米国特許仮出願第60/876276号は参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
デュアル硬化シリコーンポリマーは、2つの異なる硬化メカニズムによって硬化する官能基を有する。このポリマーを含む組成物は、エレクトロニクス用途、例えば、コンフォーマルコーティング剤、シーラント、および接着剤として有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許仮出願第60/876276号
【特許文献2】米国特許第4772675号
【特許文献3】米国特許第5484950号
【特許文献4】米国特許第3159601号
【特許文献5】米国特許第3220972号
【特許文献6】米国特許第3296291号
【特許文献7】米国特許第3419593号
【特許文献8】米国特許第3516946号
【特許文献9】米国特許第3814730号
【特許文献10】米国特許第3989668号
【特許文献11】米国特許第4784879号
【特許文献12】米国特許第5036117号
【特許文献13】米国特許第5175325号
【特許文献14】EP 0 347 895 B
【特許文献15】米国特許第4310469号
【特許文献16】米国特許第4313988号
【特許文献17】欧州特許出願No. EP 0 562 922
【特許文献18】米国特許第4962076号
【特許文献19】米国特許第5051455号
【特許文献20】米国特許第5053442号
【特許文献21】米国特許第4753977号の4欄、35行から5欄、57行まで
【特許文献22】米国特許第4143088号の7欄、15行から10欄、35行まで
【特許文献23】米国特許第4087585号
【特許文献24】米国特許第5194649号
【特許文献25】米国特許第5248715号
【特許文献26】米国特許第5744507号の4〜5欄
【特許文献27】米国特許第4962076号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
放射線(例えば、紫外、UV)硬化コーティングは、硬化を実施するために、視線(line of sight)照射に頼る。UV硬化は、迅速な、必要な時に行える低温硬化プロセスであり、このため、製作者は、大きな処理量で、小さなスペースにおいて、硬化した大量の材料を製造できる。このことが、電子回路基板製造業者にとって、UV硬化を魅力的な技術にしている。しかし、部品が搭載された回路基板の複雑な構造は、部品の下の「影の部分(shadow area)」により、それらを、UV硬化のための理想的な候補であるとはとても言えないものにしている。
【0005】
UV硬化コーティングにおいて、2つの化学が広範に用いられる;1つはアクリレートであり、他方はエポキシである。アクリレートに基づく系は、光で生成するラジカル化学種が引き金となる。光開始および重合におけるラジカルの半減期は比較的短いので、活性な照射が行われている時にだけ重合は起こる。エポキシに基づく系は、カチオンメカニズムを通じて硬化し、このメカニズムによって、通常オニウム塩の形で潜在する酸が、UV線によってフラグメント化して強酸を生じ、次いで、これがエポキシ基の自己付加を開始してエーテル結合を生成させる。反応性カチオン中心は比較的長い半減期を有するので、重合は、硬化マトリックスの特質に応じて、何日も続き得る。堅い系では、カチオン中心はマトリックスに捕捉された状態になり、ポストベーク(post-bake)が、マトリックスの可動性を、したがって硬化を増大させるために使用され得る。柔らかいシリコーンエポキシでは、重合は室温で継続し得る。
【0006】
いくつかの手法が影の部分の硬化(shadow cure)の問題に対処するために提案されてきた。1つの例は、ベーキングコーティングである。UV照射後の回路基板のポストベーキングは、UVを用いる目的を台無しにする、費用の掛かる第2工程である。さらに、熱が、カチオン性化学種を硬化させるためのオニウム塩の分解を開始し得る。同様に、熱は、アクリレートに基づく系を硬化させるための過酸化物または超過酸化物のようなラジカル生成化学種を分解し得る。
【0007】
影の部分の硬化の問題に対処する代わりの手法は、いわゆるデュアル硬化材料である。このような材料に対する従来の方法は、第2のメカニズムとして嫌気性ラジカル開始剤系を有する、UVが引き金となりラジカルで開始されるアクリレート官能性シロキサンを通じてであるか、または逆に、下に示されるメトキシシラン官能性材料のような、湿気で開始されるシリコーン室温硬化(RTV)化学を通じてである。
【0008】
【化1】

【0009】
この種類のシリコーンアクリレートポリマーは、通常、線状シラノール官能性ポリジメチルシロキサン流体をトリメトキシアクリルシランにより末端キャッピング(capping)することによって誘導される。アクリレート化シリコーンは入手可能であるが、それらは、1)従来のヒドロシリル化の方法を通じて製造することが困難であること、および2)そのアクリレート基が合成の間に熱重合する傾向がある、という欠点を有する。この方法はまた、利用できるポリマーの構造が限定されており、限られた数のシラノールポリマーだけ;通常、シラノールエンドブロック化(endblocked)線状ポリマーがあるにすぎない。シランのアルコキシ基の1つが、シラノール流体と縮合して、縮合に利用できる2つのアルコキシ基を残すにすぎない時、これは2次硬化速度を低下させる。上で例示されたもののようなポリマーにおいて、唯一の設計変数は、下付き文字zによって表される重合度(DP)である。この方法を通じて製造されるシリコーンポリマーは、また、存在する縮合触媒によって引き起こされるバックバイティング(backbiting)反応により、フラグメント化する傾向を有する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ポリマーは、次の単位を含む。
【0011】
【化2】

【0012】
ここで、下付き文字aは1またはそれを超える値を有し;下付き文字eは1またはそれを超える値を有し;量(a+e)は3またはそれを超える値を有し;各下付き文字sは、独立に、1、2、または3の値を有し;各下付き文字tは、独立に、1、2、または3の値を有し;各R1は、独立に、酸素原子または2価の炭化水素基であり;各R2は、独立に、末端脂肪族不飽和を有さない1価の炭化水素基であり;各Xは、独立に、1価の加水分解性基であり;各Jは、独立に、1価の放射線硬化性基である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に記載されるポリマーは、次の単位式を有する。
【0014】
【化3】

【0015】
(R22SiO2/2)b、(R2SiO3/2)c、(SiO4/2)d、(R1')f、および(R23SiO1/2)g。ポリマーの全ての単位の合計は50から2500、選び得るものとして50から1000の範囲であり得る。下付き文字bと量(a+b+c+d+e+f+g)の比は、0.8から0.999の範囲であり得る。選び得るものとして、この比は0.93から0.98であり得る。各ポリマー鎖は、平均で、少なくとも1つの次の式の基、
【0016】
【化4】

【0017】
および、少なくとも1つの次の式の基を有し得る。
【0018】
【化5】

【0019】
上の式において、各R1は、独立に、酸素原子、または2価の有機基(例えば、2価の炭化水素基)である。選び得るものとして、各R1は2価の炭化水素基である。各R1'は2価の炭化水素基である。適切な2価の炭化水素基の例には、アルキレン基、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキシレン、オクチレンが、選び得るものとしてエチレンが;またフェニレンのようなアリーレン基、または次のいずれかの式のようなアルキルアリーレン基が含まれる。
【0020】
【化6】

【0021】
選び得るものとして、各R1および各R1'は、アルキレン基、例えばエチレンであり得る。
【0022】
上の式において、各R2は、独立に、末端脂肪族不飽和を有さない(ヒドロシリル化によって反応しない)1価の有機基である。R2に対する適切な基の例には、置換および無置換1価炭化水素基が含まれる。適切な無置換1価炭化水素基には、アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、ヘキシル、へプチル、オクチル、ウンデシル、オクタデシル、メチルエチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、1-メチルブチル、1-エチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1,2-ジメチルプロピル、および2,2-ジメチルプロピル;シクロアルキル、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびメチルシクロヘキシル;ならびに、アリール、例えばフェニル、トリル、キシリル、ベンジル、および2-フェニルエチルが含まれる。R2に対する1価置換炭化水素基の例には、これらに限らないが、1価ハロゲン化炭化水素基、例えば、クロロメチルおよびクロロプロピル基によって例示される塩素化アルキル基;フッ素化アルキル基、例えば、フルオロメチル、2-フルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、4,4,4,3,3-ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3-ヘプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3-ノナフルオロヘキシル、および8,8,8,7,7-ペンタフルオロオクチル;塩素化シクロアルキル基、例えば、2,2-ジクロロシクロプロピル、2,3-ジクロロシクロペンチル;ならびに、フッ素化シクロアルキル基、例えば、2,2-ジフルオロシクロプロピル、2,3-ジフルオロシクロブチル、3,4-ジフルオロシクロヘキシル、および3,4-ジフルオロ-5-メチルシクロヘプチルが含まれる。R2に対する1価置換炭化水素基の例には、これらに限らないが、酸素原子により置換された炭化水素基、例えば、グリシドキシアルキル、ならびに、窒素原子により置換された炭化水素基、例えば、アミノアルキルおよびシアノ官能性基(例えば、シアノエチルおよびシアノプロピル)が含まれる。選び得るものとして、各R2は、アルキル基、例えばメチル基であり得る。
【0023】
上の式において、各Xは、独立に、1価の加水分解性基である。適切な1価の加水分解性基には、アシルオキシ基、アルケニルオキシ、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、ヒドロキシル基、ケトン基、またはこれらの組合せが含まれる。適切なアシルオキシ基は、アセトキシ、オクタノイルオキシ、およびベンゾイルオキシによって例示される。適切なアルケニルオキシ基は、イソプロペニルオキシおよび1-エチル-2-メチルビニルオキシによって例示される。適切なアルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシおよびブトキシ、選び得るものとしてメトキシによって例示される。適切なアルコキシアルコキシ基は、メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、およびメトキシプロポキシによって例示される。
【0024】
上の式において、各Jは、独立に、1価のエポキシ官能基である。適切なエポキシ官能基の例には、3,4-エポキシシクロヘキシル;エポキシエチル(オキシラニル);エポキシメチル;グリシドキシ;グリシドキシアルキル、例えば、グリシドキシメチル、2-グリシドキシエチル、3-グリシドキシプロピルおよび4-グリシドキシブチル;エポキシシクロヘキシルアルキル基、例えば、4-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシル、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピル、3,4-エポキシ-4-メチルシクロヘキシル、2,3-エポキシシクロペンチル、および(2,3-エポキシシクロペンチル)メチル;ならびに、オキシラニルアルキル、例えば、4-オキシラニルブチルおよび8-オキシラニルオクチルが含まれる。
【0025】
選び得るものとして、各Jは脂環式エポキシ官能基であり得る。脂環式エポキシ官能基の例には、次のいずれかが含まれる。
【0026】
【化7】

【0027】
ここで、各下付き文字kは、独立に、1から5の範囲の値を有する。
【0028】
前記の単位式を有するMDQ樹脂は、次の式(I)を有する。
【0029】
【化8】

【0030】
ここで、
R1およびR2は前記の通りであり;
各Rは、独立に、R1、R2、A、E、および共有結合からなる群から選択され;
A:Eは、20:80から50:50の範囲の値を有するモル比であり;
各下付き文字hは、独立に、1から25の範囲の値を有する。選び得るものとして、各RはAおよびEからなる群から選択され得る。
【0031】
基Aは、末端に、次の式の単位を含む。
【0032】
【化9】

【0033】
基Aは、さらに、1から10個のさらなる単位を含み得る。さらなる単位は、R22SiO2/2、R2SiO3/2、SiO4/2、R23SiO1/2、R1'、およびこれらの組合せを含み得る。選び得るものとして、基Aは次の式の単位、
【0034】
【化10】

【0035】
を1つの末端に、また、式R1'の単位を別の末端に含み得る。ここで、単位
【0036】
【化11】

【0037】
および単位R1'はさらなる単位によって隔てられている。選び得るものとして、基Aは、次の式(II)を有し得る。
【0038】
【化12】

【0039】
ここで、下付き文字xは、1またはそれを超える値を有する。選び得るものとして、下付き文字xは、1から5の範囲の値を有し得る。これらの式において、R1、R2、X、および下付き文字tは前記の通りである。
【0040】
基Eは、末端に、次の式の単位を含む。
【0041】
【化13】

【0042】
基Eは、さらに、1から10個のさらなる単位を含み得る。さらなる単位は、R22SiO2/2、R2SiO3/2、SiO4/2、R23SiO1/2、R1'、およびこれらの組合せを含み得る。基Eは次の式の単位、
【0043】
【化14】

【0044】
を1つの末端に、また、式R1'の単位を別の末端に含み得る。ここで、単位
【0045】
【化15】

【0046】
および単位R1'は、さらなる単位によって隔てられている。選び得るものとして、基Eは、次の式(III)を有し得る。
【0047】
【化16】

【0048】
ここで、下付き文字yは、1またはそれを超える値を有する。選び得るものとして、下付き文字yは、1から5の範囲の値を有し得る。これらの式において、R1、R2、J、および下付き文字sは前記の通りである。
【0049】
MDQ樹脂の例には、次の式が含まれる。
【0050】
【化17】

【0051】
ここで、R1、R2、X、J、ならびに下付き文字h、s、t、x、およびyは前記の通りである。
【0052】
選び得るものとして、ポリマーは、次の式の混合物を含み得る。
【0053】
【化18】

【0054】
ここで、Meはメチル基を表し、Etはエチレン基を表し、またEpchexは、エポキシシクロヘキシル基を表す。
【0055】
選び得るものとして、ポリマーは、線状であり得る。線状ポリマーの例は式(X)を有する。
【0056】
【化19】

【0057】
ここで、下付き文字iは、1、2、または3の値を有し;下付き文字jは1から1,000の範囲の値を有し;下付き文字kは、0またはそれを超える値を有し;下付き文字mは、1、2、または3の値を有し;量(i+k+m)は、3またはそれを超え;各Rは、独立に、AおよびEからなる群から選択され;基AおよびEは前記の通りである。当業者は、式(X)の誘導体もまた、式(X)のポリマーに加えて、またはその代わりに使用され得ることを認めるであろう。式(X)の誘導体の例において、式R22SiO2/2のj個の単位は、(R22SiO2/2)b'、(R2SiO3/2)c'、(SiO4/2)d'、(R1')f'、(R23SiO1/2)g'、およびこれらの組合せを含む単位によって置き換えられてもよく、ここで、量(b'+c'+d'+f')は、50から1000の範囲であってよく、g'は0またはそれを超える値を有する。
【0058】
ポリマーの製造方法
前記ポリマーは以下を含む成分を一緒にすることによって調製され得る:
(A)1分子当たり、平均で、ケイ素に結合した1個の水素原子、および1から3個の末端加水分解性基を有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン、ここで、ケイ素に結合した水素原子および加水分解性基はポリオルガノハイドロジェンシロキサンの異なるケイ素原子に結合している;
(B)1分子当たり、平均で、ケイ素に結合した1個の水素原子、および1から3個の末端放射線硬化性基を有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン、ここで、ケイ素に結合した水素原子および放射線硬化性基はポリオルガノハイドロジェンシロキサンの異なるケイ素原子に結合している;
(C)1分子当たり、平均で、少なくとも3個の末端脂肪族不飽和有機基を有する有機官能性ポリマー;および
(D)ヒドロシリル化触媒。
ポリマーを製造するために使用される成分、および得られるポリマー自体は、アミン、アミド、アクリレート、およびオキシムを含む基を有さないということがあり得る。理論に拘束されようとは思わないが、これらのアミン、アミド、アクリレート、およびオキシムを含む基はこの方法によってポリマーを製造することを難しくし得ること、アクリレート基はこの方法の間に重合する傾向があり得ること、またはこれらの両方が考えられる。「アミン、アミド、アクリレート、およびオキシムを含む基を有さない」は、本明細書に記載されている方法によってポリマーが生成されるように、アミン、アミド、アクリレート、およびオキシム官能基を含む有機基を、成分が全く有さない、または十分に少量のこれらの有機基を有することを意味する。
【0059】
成分(A)末端加水分解性基を有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン
成分(A)は、次の式の単位、
【0060】
【化20】

【0061】
を1つの末端に、また、ケイ素に結合した水素原子を別の末端に含む。単位、
【0062】
【化21】

【0063】
および水素原子は、1から10個のさらなる単位によって隔てられて存在し得る。
【0064】
【化22】

【0065】
および水素原子を隔てるさらなる単位は、R22SiO2/2、R2SiO3/2、SiO4/2、R23SiO1/2、R1'、またはこれらの組合せを含み得る。選び得るものとして、成分(A)は、次の式(XI)を有し得る。
【0066】
【化23】

【0067】
ここで、R1、R1'、R2、X、ならびに下付き文字tおよびxは、前記の通りである。添加される成分(A)の量は、成分(C)の基R3の1モル当たり、0.05モルから0.5モルの範囲であり得る。成分(A)およびその調製方法は、当技術分野において知られている。例えば、Klosowski他の米国特許第4772675号は、成分(A)の例およびそれらの調製方法を開示する(しかし、米国特許第4772675号は、本明細書に記載されているポリマーを開示しない)。手短に言えば、その方法は、3つの加水分解性基を有するアルケニル官能性シランを、ケイ素に結合した複数の水素原子を末端に有するポリオルガノシロキサンと反応させることを含む。2モルを超えるポリオルガノシロキサンが、1モルのシランおよびヒドロシリル化触媒(例えば、下に記載されるもの)と一緒にされる。得られる生成物は、次に、任意選択で、蒸留され得る。
【0068】
成分(B)放射線硬化性基を有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン
成分(B)は、次の式の単位、
【0069】
【化24】

【0070】
を1つの末端に、また、ケイ素に結合した水素原子を別の末端に含む。単位、
【0071】
【化25】

【0072】
および水素原子は、1から10個のさらなる単位によって隔てられて存在し得る。単位、
【0073】
【化26】

【0074】
および水素原子を隔てるさらなる単位は、R22SiO2/2、R2SiO3/2、SiO4/2、R23SiO1/2、R1'、またはこれらの組合せを含み得る。選び得るものとして、成分(B)は、次の式(XII)を有し得る。
【0075】
【化27】

【0076】
ここで、R2、J、ならびに下付き文字sおよびyは、前記の通りである。添加される成分(B)の量は、成分(C)の基R3の1モル当たり、0.5モルから0.95モルの範囲であり得る。組成物に添加される成分(B)と成分(A)の相対モル量は、(80):(20)から(50):(50)の範囲であり得る。成分(B)およびその調製方法は、当技術分野において知られている。例えば、Crivelloの米国特許第5484950号は、成分(B)およびその調製方法を開示する(しかし、米国特許第5484950号は、本明細書に記載されているポリマーを開示しない)。手短に言えば、米国特許第5484950号の方法は、ジヒドロシロキサン、エポキシ官能基のような放射線硬化性基を有するオレフィン、およびヒドロシリル化触媒を、溶媒中で一緒にして加熱することを含む。その後、触媒は失活させられ、得られる混合物は蒸留される。
【0077】
成分(C)複数の脂肪族不飽和基を有する有機官能性ポリマー
成分(C)は、次の式の単位:R23SiO1/2、R22SiO2/2、R2SiO3/2、SiO4/2、R1'、(R22)R3SiO1/2、(R32)R2SiO1/2、(R2)R3SiO2/2、R32SiO2/2、およびR3SiO3/2を、成分(C)の1分子当たり平均で少なくとも3つのR3が存在するという条件で、含み得る。R1'およびR2は前記の通りであり、各R3は、独立に、末端脂肪族不飽和を有する有機基である。R3は、アクリレート官能基;メタクリレート官能基;アルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プロペニル、およびブテニル;アルキニル基、例えば、エチニル、プロピニル、およびブチニル;ならびに、アリールアルケニル、例えば、スチリルによって例示される。選び得るものとして、各R3は、ビニルのようなアルケニル基であり得る。
【0078】
成分(C)は次の式(XIII)を有し得る。
【0079】
【化28】

【0080】
ここで、R1、R2、R3、および下付き文字hは前記の通りである。
【0081】
選び得るものとして、成分(C)は次の式(XIV)を有し得る。
【0082】
【化29】

【0083】
ここで、R2およびR3は前記の通りであり;下付き文字iは、1、2、または3の値を有し;下付き文字jは、1から1,000の範囲の値を有し;下付き文字kは、0またはそれを超える値を有し;下付き文字mは、1、2、または3の値を有し;量(i+k+m)は、3またはそれを超える。選び得るものとして、iおよびmはそれぞれ1の値を有する。
【0084】
成分(D)ヒドロシリル化触媒
成分(D)はヒドロシリル化触媒である。成分(D)として、成分(A)、(B)、および(C)を合わせた重量に対して、0.1から1000ppm、選び得るものとして1から500ppm、選び得るものとして2から200、選び得るものとして5から150ppmの範囲の量の白金族金属が添加される。
【0085】
適切なヒドロシリル化触媒は、当技術分野において知られており、市販されている。成分(D)は、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、もしくはイリジウム金属から選択される白金族金属、またはこれらの有機金属化合物、あるいはこれらの組合せを含み得る。成分(D)は、クロロ白金酸、クロロ白金酸六水和物、二塩化白金、およびこれらの化合物と低分子量オルガノポリシロキサンとの錯体、またはマトリックス中に、もしくはコアシェル型の構造にマイクロカプセル化された白金化合物などの化合物によって例示される。白金と低分子量オルガノポリシロキサンとの錯体には、白金と1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンとの錯体が含まれる。選び得るものとして、触媒は、白金と1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンとの錯体を含み得る。触媒が低分子量オルガノポリシロキサンと白金との錯体である場合、触媒の量は、硬化性シリコーン組成物の重量に対して、0.04%から0.4%の範囲であり得る。
【0086】
成分(D)に適するヒドロシリル化触媒は、例えば、米国特許第3159601号、米国特許第3220972号、米国特許第3296291号、米国特許第3419593号、米国特許第3516946号、米国特許第3814730号、米国特許第3989668号、米国特許第4784879号、米国特許第5036117号、および米国特許第5175325号、ならびにEP 0 347 895 Bに記載されている。
【0087】
ポリマーの使用
前記ポリマーは組成物へと配合され得る。組成物は、
(a)前記ポリマー、および
(b)光開始剤、
を含む。
【0088】
光開始剤は、当技術分野において知られている放射線硬化性シリコーン組成物のための通常のどのような光開始剤(例えば、Crivelloの米国特許第4310469号およびKoshar他の米国特許第4313988号、ならびに欧州特許出願No. EP 0 562 922に記載されているもの)であってもよい。光開始剤はカチオン性光開始剤を含み得る。カチオン性光開始剤は、150から800nmの範囲の波長を有する放射線に暴露することで、ポリマーの硬化(架橋)を開始できるどのようなカチオン性光開始剤であってもよい。カチオン性光開始剤の例には、これらに限らないが、オニウム塩が含まれる。
【0089】
適切なオニウム塩には、R42I+MGw-、R43S+MGw-、R43Se+MGw-、R44P+MGw-、およびR44N+MGw-から選択される式を有する塩が含まれ、ここで、各R4は、独立に、1から30個の炭素原子を有する置換または無置換1価炭化水素基であり;Mは、遷移金属、希土類金属、ランタニド金属、メタロイド、リン、および硫黄から選択される元素であり;Gは、ハロ(例えば、クロロ、ブロモ、ヨード)であり;wは、積w(Gの電荷+Mの酸化数)=-1であるような値を有する。炭化水素基上の置換基の例には、これらに限らないが、C1からC8のアルコキシ、C1からC16のアルキル、ニトロ、クロロ、ブロモ、シアノ、カルボキシル、メルカプト、ならびに複素環式芳香族基、例えば、ピリジル、チオフェニル、およびピラニルが含まれる。Mによって表される金属の例には、これらに限らないが、遷移金属、例えば、Fe、Ti、Zr、Sc、V、Cr、およびMn;ランタニド金属、例えば、Pr、およびNd;他の金属、例えば、Cs、Sb、Sn、Bi、Al、Ga、およびIn;メタロイド、例えばB、およびAs;ならびにPが含まれる。式MGw-は、非塩基性で非求核性のアニオンを表す。式MGw-を有するアニオンの例には、これらに限らないが、BF4-、PF6-、AsF6-、SbF6-、SbCl6-、およびSnCl6-が含まれる。
【0090】
オニウム塩の例には、これらに限らないが、ビス-ジアリールヨードニウム塩、例えば、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセナートおよびビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモナートによって例示されるビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム塩;アルキルフェニルヨードニウム塩、例えば、アルキルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモナート;スルホン酸のジアリールヨードニウム塩、スルホン酸のトリアリールスルホニウム塩、ホウ酸のジアリールヨードニウム塩、ならびにホウ酸のトリアリールスルホニウム塩が含まれる。
【0091】
スルホン酸のジアリールヨードニウム塩の例には、これらに限らないが、ペルフルオロアルキルスルホン酸のジアリールヨードニウム塩、例えば、ペルフルオロブタンスルホン酸のジアリールヨードニウム塩、ペルフルオロエタンスルホン酸のジアリールヨードニウム塩、ペルフルオロオクタンスルホン酸のジアリールヨードニウム塩、および、トリフルオロメタンスルホン酸のジアリールヨードニウム塩;ならびに、アリールスルホン酸のジアリールヨードニウム塩、例えば、パラ-トルエンスルホン酸のジアリールヨードニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸のジアリールヨードニウム塩、ベンゼンスルホン酸のジアリールヨードニウム塩、および3-ニトロベンゼンスルホン酸のジアリールヨードニウム塩が含まれる。
【0092】
スルホン酸のトリアリールスルホニウム塩の例には、これらに限らないが、ペルフルオロアルキルスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩、例えば、ペルフルオロブタンスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩、ペルフルオロエタンスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩、ペルフルオロオクタンスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩、およびトリフルオロメタンスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩;ならびに、アリールスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩、例えば、パラ-トルエンスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩、ベンゼンスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩、および3-ニトロベンゼンスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩が含まれる。
【0093】
ホウ酸のジアリールヨードニウム塩の例には、これらに限らないが、ペルハロアリールホウ酸のジアリールヨードニウム塩が含まれる。ホウ酸のトリアリールスルホニウム塩の例には、これらに限らないが、ペルハロアリールホウ酸のトリアリールスルホニウム塩が含まれる。
【0094】
カチオン性光開始剤は、単一のカチオン性光開始剤、または、それぞれが前記の、2種以上の異なるカチオン性光開始剤を含む組合せであり得る。カチオン性光開始剤の濃度は、組成物の重量に対して、0.01%から15%、選び得るものとして、0.1%から5%、選び得るものとして、0.1%から2%の範囲であり得る。
【0095】
さらなる成分
本発明の組成物は、1種または複数のさらなる成分を任意選択でさらに含んでいてもよい。さらなる成分の例には、(c)フィラー、(d)フィラー処理剤、(e)溶媒、(f)縮合反応触媒、(g)接着促進剤、(h)着色剤(例えば、染料もしくは顔料)、(i)反応性希釈剤(すなわち、成分(a)の官能基と反応する溶媒、例えば、アルコール、エポキシ、ビニルエーテル、無水物、もしくはオキセタン)、(j)ラジカル生成剤(例えば、過酸化物)、(k)貯蔵寿命延長剤、(l)酸化防止剤、(m)架橋剤、(n)腐食抑制剤、またはこれらの組合せが含まれる。
【0096】
成分(c)は、組成物の重量に対して、0.1%から20%の範囲の量で組成物に任意選択で添加され得るフィラーである。適切な強化および増量フィラーの例には、フュームドシリカ、沈降シリカ、石英、粉砕炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄、二酸化チタン、珪藻土、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸亜鉛が含まれる。
【0097】
フィラーは、成分(d)表面処理剤、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、およびこれらの組合せによって例示されるオルガノアルコキシシラン;トリメチルクロロシランによって例示されるオルガノハロシラン;オルガノシラザン、例えば、ヘキサメチルジシラザン;オルガノシロキサンオリゴマー、例えば、ヒドロキシ末端ジメチルシロキサンオリゴマー、ヒドロキシ末端メチルフェニルシロキサンオリゴマー、ヒドロキシ末端メチルビニルシロキサンオリゴマー、ならびにこれらの組合せにより任意選択で処理されていてもよい。フィラーは、例えば、フィラーを組成物の他の成分と混合する前または後で、処理剤をフィラーと混合することによって、前もって、またはin situに処理され得る。成分(d)の量は、組成物の重量に対して、0.001%から2%の範囲であり得る。
【0098】
組成物は、成分(e)溶媒を、任意選択でさらに含み得る。適切な溶媒は、有機溶媒、例えば、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ヘキサン、ヘプタン、およびこれらの組合せ;ならびに、非架橋性シリコーン溶媒、例えば、トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、トリメチルシロキシ末端ポリメチルフェニルシロキサン、およびこれらの組合せによって例示される。成分(e)の量は、組成物の重量に対して、0.001%から90%の範囲であり得る。
【0099】
本発明の組成物は、成分(f)縮合反応触媒を、任意選択でさらに含み得る。縮合反応触媒は、ルイス酸;第1級、第2級、または第3級有機アミン;金属酸化物;チタン化合物;スズ化合物;ジルコニウム化合物;あるいはこれらの組合せであり得る。成分(f)は、金属の起電力系列における鉛からマンガンまでの範囲(両端を含む)の金属のカルボン酸塩を含み得る。選び得るものとして、成分(f)は、キレート化チタン化合物、チタナート(例えば、テトラアルコキシチタナート)、またはこれらの組合せを含み得る。適切なチタン化合物の例には、これらに限らないが、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセタート)、テトラブトキシチタナート、テトラブチルチタナート、テトライソプロピルチタナート、およびビス-(エトキシアセトアセトナート)ジイソプロポキシチタン(IV)、ならびにこれらの組合せが含まれる。選び得るものとして、成分(f)は、スズ化合物、例えば、ジブチルスズジアセタート、ジブチルスズジラウラート、ジブチルスズオキシド、スタナスオクトアート、酸化スズ、またはこれらの組合せを含み得る。
【0100】
縮合反応触媒の例は、当技術分野において知られており、米国特許第4962076号;米国特許第5051455号;米国特許第5053442号;米国特許第4753977号の4欄、35行から5欄、57行まで;および米国特許第4143088号の7欄、15行から10欄、35行までに開示されている。成分(f)の量は、選択される触媒のタイプおよび組成物の残りの成分の選択を含めて、様々な要素に依存するが、成分(f)の量は、組成物の重量に対して、0.001%から5%の範囲であり得る。
【0101】
成分(g)は接着促進剤である。適切な接着促進剤の例には、アルコキシシラン、例えば、エポキシ官能性アルコキシシラン、もしくはメルカプト官能性化合物;アルコキシシランとヒドロキシ官能性ポリオルガノシロキサンとの組合せ;メルカプト官能性化合物;不飽和化合物;エポキシ官能性シラン;エポキシ官能性シロキサン;組合せ、例えば、エポキシ官能性シランもしくはエポキシ官能性シロキサンとヒドロキシ官能性ポリオルガノシロキサンとの反応生成物;またはこれらの組合せが含まれる。組成物に添加される接着促進剤の量は、選択される特定の接着促進剤、組成物の他の成分、および組成物の最終用途を含めて、様々な要素に依存するが、その量は、組成物の重量に対して、0.1%から5%の範囲であり得る。
【0102】
成分(g)は、不飽和化合物またはエポキシ官能性化合物であり得る。適切なエポキシ官能性化合物は、当技術分野において知られており、市販されており、例えば、米国特許第4087585号;米国特許第5194649号;米国特許第5248715号;および米国特許第5744507号の4〜5欄を参照。成分(g)は、不飽和またはエポキシ官能性アルコキシシランを含み得る。例えば、官能性アルコキシシランは、式R5nSi(OR6)(4-n)を有し得る。ここで、下付き文字nは1、2、または3の値を有し、選び得るものとして、nは1である。
【0103】
各R5は、独立に、少なくとも1つのR5は不飽和有機基またはエポキシ官能性有機基であるという条件で、1価の有機基である。R5に対するエポキシ官能性有機基は、3-グリシドキシプロピルおよび(エポキシシクロヘキシル)エチルによって例示される。R5に対する不飽和有機基は、3-メタクリロイルオキシプロピル、3-アクリロイルオキシプロピル、および不飽和1価炭化水素基、例えばビニル、アリル、ヘキセニル、ウンデシレニルによって例示される。
【0104】
各R6は、独立に、少なくとも1個の炭素原子の無置換、飽和炭化水素基である。R6は、4個までの炭素原子を、選び得るものとして、2個までの炭素原子を有し得る。R6は、メチル、エチル、プロピル、およびブチルによって例示される。
【0105】
適切なエポキシ官能性アルコキシシランの例には、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルジエトキシシランおよびこれらの組合せが含まれる。適切な不飽和アルコキシシランの例には、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、ウンデシレニルトリメトキシシラン、3-メタクリルロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、およびこれらの組合せが含まれる。選び得るものとして、適切な接着促進剤の例には、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、およびグリシドキシプロピルトリメトキシシランとアルミニウムキレートまたはジルコニウムキレートとの組合せが含まれる。
【0106】
成分(g)は、前記のように、ヒドロキシ末端ポリオルガノシロキサンとエポキシ官能性アルコキシシランとの反応生成物のようなエポキシ官能性シロキサン、またはヒドロキシ末端ポリオルガノシロキサンとエポキシ官能性アルコキシシランとの物理的ブレンドを含み得る。成分(g)は、エポキシ官能性アルコキシシランとエポキシ官能性シロキサンとの組合せを含み得る。例えば、成分(g)は、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、およびヒドロキシ末端メチルビニルシロキサンと3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの反応生成物の混合物、または、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよびヒドロキシ末端メチルビニルシロキサンの混合物、または、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよびヒドロキシ末端メチルビニル/ジメチルシロキサンコポリマーの混合物によって例示される。反応生成物としてでなく、むしろ物理的ブレンドとして用いられる場合、これらの成分は、複数の構成要素のキットとして別々に保管され得る。
【0107】
適切なメルカプト官能性化合物には、オルガノメルカプタン、メルカプト含有シラン、またはこれらの組合せが含まれる。適切なメルカプト含有シランには、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランが含まれる。適切なメルカプト官能性化合物は米国特許第4962076号に開示されている。
【0108】
成分(h)は着色剤(例えば、染料または顔料)である。適切な着色剤の例には、カーボンブラックおよびStan-Tone 50SP01 Green(これは、PolyOneから市販されている)が含まれる。着色剤の例は、当技術分野において知られており、米国特許第4962076号、米国特許第5051455号、および米国特許第5053442号に開示されている。組成物に添加される着色剤の量は、組成物の他の成分を含めて、様々な要素に依存するが、その量は、組成物の重量に対して、0.001%から20%の範囲であり得る。
【0109】
成分(i)はラジカル生成剤である。適切なラジカル生成剤の例には、過酸化物が含まれる。組成物に添加されるラジカル生成剤の量は、組成物の他の成分を含めて、様々な要素に依存するが、その量は、組成物の重量に対して、0.1%から10%の範囲であり得る。
【0110】
成分(j)は反応性希釈剤である。成分(j)は、成分(a)の官能基と反応する溶媒、例えば、アクリレート、アルコール、無水物(例えば、無水マレイン酸)、エポキシ(例えば、1官能性エポキシ化合物)、オキセタン、ビニルアセタート、ビニルエステル、ビニルエーテル、フルオロアルキルビニルエーテル、ビニルピロリドン(例えば、N-ビニルピロリドン)、スチレン、またはこれらの組合せであり得る。
【0111】
適切なアルコールの例には、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、デカノール、およびこれらの組合せが含まれる。適切なエポキシ化合物の例には、グリシジルエーテル、例えば、ブチルグリシジルエーテル、クレシルグリシジルエーテル、脂肪族グリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、およびシクロヘキサンジメタノールのグリシジルエーテル;ならびに、ネオペンチルグリコールに基づく2官能性反応性希釈剤、および1,4-ブタンジオールのジグリシジルエーテルが含まれる。これらのエポキシ化合物は当技術分野において知られており、Air Productsから、EPODIL(登録商標)741、742、746、747、748、749、750、751、757、および759の商用名で市販されている。反応性希釈剤として適切な別のエポキシ化合物は、Hexion Specialty Chemicals, Inc.(米国、テキサス州、ヒューストン)から、Heloxy Modifier 7、8、61、および116の商用名で入手可能である。適切なビニルエーテルの例には、これらに限らないが、ブタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、およびこれらの組合せが含まれる。ビニルエーテルは当技術分野において知られており、BASF AG(ドイツ)から市販されている。成分(j)の量は、選択される特定の反応性希釈剤のような様々な要素に依存するが、その量は、組成物の重量に対して、0.5から50%の範囲であり得る。
【0112】
成分(n)は腐食抑制剤である。適切な腐食抑制剤の例には、ベンゾトリアゾール、メルカプタベンゾトリアゾール(mercaptabenzotriazole)、ならびに市販の腐食抑制剤、例えば、R. T. Vanderbilt(米国、コネティカット州、Norwalk)による、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール誘導体(CUVAN(登録商標)826)およびアルキルチアジアゾール(CUVAN(登録商標)484)が含まれる。成分(n)の量は、組成物の重量に対して、0.05%から0.5%の範囲であり得る。
【0113】
本発明の組成物は、雰囲気温度で、記載された比率の前記ポリマーおよび光開始剤、ならびに任意のさらなる成分を一緒にすることによって調製され得る。一緒にすることは、バッチまたは連続プロセスのいずれかで、ミル加工、ブレンド、撹拌のような当技術分野において知られている技術のいずれかにより混合することによって実施され得る。具体的な装置は、成分の粘度および生成する組成物の粘度によって決められる。
【0114】
本発明の組成物は、例えば、基板上にコーティングを作製するために使用され得る。選び得るものとして、組成物は、例えば基板の間隙を埋めるために、シーラントとして使用され得る。選び得るものとして、組成物は、例えば、基板を互いに接着させるために、接着剤として使用され得る。組成物は、第1基板(例えば電子デバイス)を、第2基板(例えば回路基板)に接着するために使用され得る。前記組成物の使用方法は、
(i)組成物を基板に付ける工程、および
(ii)組成物を硬化させる工程、
を含む。
【0115】
基板は、平坦な、複雑な、または不規則な輪郭線を有する堅いまたは柔らかい任意の材料であってよい。基板は、電磁スペクトルの可視領域(400から700nm)における光に対して、透明または不透明であり得る。また、基板は、電気の導体、半導体、または不導体であり得る。さらに、基板は、電子デバイス、例えば個別のデバイスまたは集積回路であり得る。
【0116】
基板の例には、これらに限らないが、半導体、例えば、シリコン、二酸化ケイ素の表面層を有するシリコン、炭化ケイ素、インジウムリン、およびガリウムヒ素;石英;溶融石英;酸化アルミニウム;セラミック;ガラス;金属箔;ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、およびポリエチレンナフタラート;フルオロカーボンポリマー、例えば、ポリテトラフルオロエチレンおよびポリフッ化ビニル;ポリアミド、例えばナイロン;ポリイミド;ポリエステル、例えば、ポリ(メチルメタクリラート);エポキシ樹脂;ポリエーテル;ポリカルボナート;ポリスルホン;ならびにポリエーテルスルホンが含まれる。
【0117】
個別のデバイスの例には、これらに限らないが、ダイオード、例えば、PINダイオード、電圧基準(voltage reference)ダイオード、バラクターダイオード、アバランシュダイオード、DIAC、ガンダイオード、スナップ(Snap)ダイオード、IMPATTダイオード、トンネルダイオード、ツェナーダイオード、通常の(p-n)ダイオード、およびショットキーダイオード;トランジスター、例えば、バイポーラートランジスター(絶縁ゲートバイポーラートランジスター(IGBT)およびダーリントントランジスターが含まれる)、および電界効果トランジスター(FET)(金属酸化物半導体FET(MOSFET)、接合型FET(JFET)、金属-半導体FET(MESFET)、有機FETが含まれる)、高電子移動度トランジスター(HEMT)、および薄膜トランジスター(TFT)(有機電界効果トランジスターが含まれる);サイリスター、例えば、DIAC、TRIAC、およびシリコン制御整流器(SCR)、分散バッファ(distributed buffer)-ゲートターンオフ(DB-GTO)サイリスター、ゲートターンオフ(GTO)サイリスター、MOFSET制御サイリスター(MCT)、変型(modified)アノードゲートターンオフ(MA-GTO)サイリスター、静電誘導サイリスター(SITh)、および電界制御サイリスター(FCTh);バリスター;抵抗器;コンデンサー;キャパシター;サーミスター;ならびに、オプトエレクトロニクスデバイス、例えば、フォトダイオード、太陽電池(例えば、GIGS太陽電池および有機光ヴォルタ電池)、フォトトランジスター、光電子増倍管、光集積回路(IOC)素子、光依存性抵抗器、レーザーダイオード、発光ダイオード(LED)、および有機発光ダイオード(OLED)(低分子OLED(SM-OLED)およびポリマー発光ダイオード(PLED)が含まれる)が含まれる。
【0118】
集積回路の例には、これらに限らないが、モノリシック集積回路、例えばメモリーIC(DRAMおよびSRAM、ならびにROM(読み出し専用記憶)を含めて、RAM(ランダムアクセスメモリー)が含まれる);論理回路;アナログ集積回路;ハイブリッド集積回路(薄膜ハイブリッドICおよび厚膜ハイブリッドICが含まれる);薄膜バッテリー;ならびに燃料電池が含まれる。
【0119】
本発明の組成物は、基板の少なくとも一部に付けられる。組成物は、基板の一部の上の連続コーティング、基板全体の上の連続コーティング、または不連続コーティングであり得る。さらに、不連続コーティングは、基板上に、規則的なまたは不規則なパターンを形成し得る。
【0120】
本発明の組成物は、スピンコーティング;ディップコーティング;スプレー;ブラシ塗り;ならびに印刷(例えば、スクリーン印刷およびステンシル印刷)を含めて、通常の方法を用いて基板上に付けることができる。例えば、シリコーン組成物は、スピンコーティングによって、200から5,000rpmの範囲の速度で、5から60秒で付けることができる。回転速度、回転時間、および組成物の粘度は、生成する得られるコーティングが所望の厚さを有するように調節され得る。
【0121】
工程(ii)は、紫外線もしくは大気中の湿気または両方に組成物を曝すことによって実施され得る。選び得るものとして、工程(ii)は、熱もしくは大気中の湿気または両方に組成物を曝すことによって実施されてもよい。
【0122】
組成物を紫外線に曝すことは、任意の通常の手段によって、例えば、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノン-水銀ランプ、またはメタルハライドランプによって例示される光源を用いて、実施され得る。用いられる条件は、254nmの放射線の量が0.01から10J/cm2の範囲にあるようなものであり得る。選び得るものとして、組成物は、ポリマーを硬化(架橋)させるのに十分な線量で、150から800nm、選び得るものとして250から400nmの範囲の波長を有する放射線に暴露することによって硬化され得る。放射線量は、50から1,000mJ/cm2、選び得るものとして200から500mJ/cm2の範囲であり得る。光学フィルター(特定の波長のUV線への暴露のため)が、光源に、任意選択で取り付けられてもよい。
【0123】
前記の式におけるJは、エポキシ官能基であるので、特にJが脂環式エポキシ基である場合、ポリマーは、主たるUV硬化メカニズムとして、カチオン性硬化である。理論に拘束されようとは思わないが、カチオン性エポキシは酸素によって阻害されないので、このことは、カチオン性硬化は高温でと同様に雰囲気温度の下で、照射されてないセグメントへと継続されるという点で、カチオン系が固有の2次硬化メカニズムを有するという理由で、プロセス要件の改善という利点をもたらし得ると考えられる。雰囲気温度でのこの固有の2次硬化が、先行技術の組成物を用いた時、工業的に実施されるには余りに遅い特定の用途において、本明細書に記載のポリマーは、UVおよび湿気による硬化速度の両方(互いに独立に)を、さらには物理的性質を細かく調整することを許容し得る。
【0124】
(実施例)
これらの実施例は、当業者に本発明を例示するために含められる。しかし、当業者は、本開示を考慮に入れて、特許請求の範囲に記載されている本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多くの変更が、開示されている具体的な実施形態になされ、やはり、同様のまたは類似の結果を得ることができることを理解するはずである。全ての量、比、およびパーセンテージは、特に断らなければ、重量による。
【0125】
(実施例1)
MDQ樹脂の調製
成分(A1)、(B1)、(C1)、および(D1)を混合した。成分(C1)の100モル当たりの成分(A1)と(B1)の相対的モル量、および生成したポリマーのDPを、表1に示す。
【0126】
成分(A1)は次の式(XV)を有していた。
【0127】
【化30】

【0128】
成分(B1)は次の式(XVI)を有していた。
【0129】
【化31】

【0130】
成分(C1)は次の式(XVII)を有しており、ここで、下付き文字h'は1の平均値を有していた。
【0131】
【化32】

【0132】
成分(D1)は、触媒量の白金触媒であった。
【0133】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0134】
前記のデュアル硬化性シリコーン組成物は、すでに開示されているデュアル硬化系を凌ぐいくつかの利点をもたらす。カチオンメカニズムによる雰囲気温度での固有の2次硬化(Jがエポキシ官能性である時)が遅すぎる用途において、本発明のポリマーは、硬化した組成物の物理的性質の細かい調整を許容し得る、また本発明のポリマーは、互いに独立にUVおよび湿気による硬化速度の細かい調整を許容する。
【0135】
前記ポリマーの調製方法において、成分(A)および(B)は、ポリマーを得るように、成分(C)に容易に添加でき、ポリマーは、UVおよび湿気の手段を通じて迅速に硬化し、上で段落[0007]において示したもののような単なる線状エンドブロック化類似物を凌ぐ、改善された接着性および物理的性質を有する。これらのポリマーはまた、ポリマー末端のメトキシのような3つまでの加水分解性基の存在により、段落[0007]に記載のものを凌ぐ、2次硬化における硬化速度上のかなりの優位性を示す。末端に複数の官能基を有することにより、それほどDPを変えることなく、湿気硬化を、さらには放射線硬化を最適化することが許容される。DPは、機械的性質、さらには粘度に直接影響を及ぼし、粘度は、投与(dispensing)を容易にし、ポリマーを含む組成物における一層大きなフェラーレベルの可能性を許容するために、できる限り小さくされ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の式の単位:
【化1】

[式中、
下付き文字aは1またはそれを超える値を有し、
下付き文字eは1またはそれを超える値を有し、
量(a+e)は3またはそれを超える値を有し、
各下付き文字sは、独立に、1、2、または3の値を有し、
各下付き文字tは、独立に、1、2、または3の値を有し、
各R1は、独立に、酸素原子または2価の炭化水素基であり、
各R2は、独立に、末端脂肪族不飽和を有さない1価の炭化水素基であり、
各Xは、独立に、1価の加水分解性基であり、
各Jは、独立に、1価のエポキシ官能性有機基である]
を含むポリマー。
【請求項2】
次の式の単位:(R22SiO2/2)b、(R2SiO3/2)c、(SiO4/2)d、(R1')f、および(R23SiO1/2)g[式中、下付き文字bは0またはそれを超える値を有し、下付き文字cは0またはそれを超える値を有し、下付き文字dは0またはそれを超える値を有し、下付き文字fは0またはそれを超える値を有し、下付き文字gは0またはそれを超える値を有し、R1'は2価の炭化水素基である]をさらに含む、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
次の式(I):
【化2】

[式中、
各Rは、独立に、EおよびAからなる群から選択され、
A:Eは、20:80から50:50の範囲の値を有するモル比であり;
各下付き文字hは、独立に、1から25の範囲の値を有し;ここで、
基Aは、次の式の単位、
【化3】

を末端に、ならびに、R22SiO2/2、R2SiO3/2、SiO4/2、R23SiO1/2、R1'、およびこれらの組合せからなる群から選択される1から10個のさらなる単位を含み、
基Eは、次の式の単位、
【化4】

を末端に、ならびに、R22SiO2/2、R2SiO3/2、SiO4/2、R23SiO1/2、R1'、およびこれらの組合せからなる群から選択される1から10個のさらなる単位を含み;R1'は2価の炭化水素基である]
を有する、請求項2に記載のポリマー。
【請求項4】
次の式(X)、
【化5】

[式中、
下付き文字iは、1、2、または3の値を有し;
下付き文字jは、1から1,000の範囲の値を有し;
下付き文字kは、0またはそれを超える値を有し;
下付き文字mは、1、2、または3の値を有し;
量(i+k+m)は、3またはそれを超え;
各Rは、独立に、AおよびEからなる群から選択され;ここで、
基Aは、次の式の単位、
【化6】

を末端に、ならびに、R22SiO2/2、R2SiO3/2、SiO4/2、R23SiO1/2、R1'、およびこれらの組合せからなる群から選択される1から10個のさらなる単位を含み、
基Eは、次の式の単位、
【化7】

を末端に、ならびに、R22SiO2/2、R2SiO3/2、SiO4/2、R23SiO1/2、R1'、およびこれらの組合せからなる群から選択される1から10個のさらなる単位を含み;R1'は2価の炭化水素基である]
を有するか、またはこれらの誘導体である、請求項2に記載のポリマー。
【請求項5】
基Aが、次の式(II):
【化8】

[式中、下付き文字xは、1またはそれを超える値を有する]
を有する、請求項3または4に記載のポリマー。
【請求項6】
基Eが、次の式(III):
【化9】

[式中、下付き文字yは、1またはそれを超える値を有する]
を有する、請求項3または4に記載のポリマー。
【請求項7】
(A)1分子当たり、平均で、ケイ素に結合した1個の水素原子、および1から3個の末端加水分解性基を有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン[ここで、ケイ素に結合した水素原子および加水分解性基は、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの異なるケイ素原子に結合している];
(B)1分子当たり、平均で、ケイ素に結合した1個の水素原子、および1から3個の末端エポキシ官能性有機基を有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン[ここで、ケイ素に結合した水素原子および放射線硬化性基はポリオルガノハイドロジェンシロキサンの異なるケイ素原子に結合している];
(C)1分子当たり、平均で、少なくとも3個の末端脂肪族不飽和有機基を有する有機官能性ポリマー;および
(D)ヒドロシリル化触媒;
を含む成分を一緒にする工程を含む、請求項1または2に記載のポリマーの製造方法。
【請求項8】
成分(A)が、次の式の単位、
【化10】

を1つの末端に、ケイ素に結合した水素原子を別の末端に含み、ここで、単位、
【化11】

と水素原子とは、R22SiO2/2、R2SiO3/2、SiO4/2、R23SiO1/2、R1'、およびこれらの組合せからなる群から選択される1から10個のさらなる単位によって隔てられており;ここで、
各R1は、独立に、酸素原子または2価の炭化水素基であり、
各R1'は、独立に、2価の炭化水素基であり、
各R2は、独立に、末端脂肪族不飽和を有さない1価の有機基であり、
各Xは、独立に、1価の加水分解性基であり、
下付き文字tは、1、2、または3の値を有する、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
成分(B)が、次の式の単位、
【化12】

を1つの末端に、ケイ素に結合した水素原子を別の末端に含み、ここで、単位、
【化13】

と水素原子とは、R22SiO2/2、R2SiO3/2、SiO4/2、R23SiO1/2、R1'、およびこれらの組合せからなる群から選択される1から10個のさらなる単位によって隔てられており;ここで、
各R1'は、独立に、2価の炭化水素基であり、
各R2は、独立に、末端脂肪族不飽和を有さない1価の有機基であり、
Jは、1価のエポキシ官能性有機基であり、また
下付き文字sは、1、2、または3の値を有する、
請求項7に記載の方法。
【請求項10】
成分(A)が、次の式(XI):
【化14】

[式中、
下付き文字tは、1、2、または3の値を有し;
各R1は、独立に、2価の炭化水素基であり;
各R2は、独立に、末端脂肪族不飽和を有さない1価の炭化水素基であり;
各Xは、独立に、1価の加水分解性基であり;
下付き文字xは、1またはそれを超える値を有する]
を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
成分(B)が、次の式(XII):
【化15】

[式中、
下付き文字sは、1、2、または3の値を有し;
各R2は、独立に、末端脂肪族不飽和を有さない1価の炭化水素基であり;
各Jは、独立に、1価のエポキシ官能性有機基であり;
下付き文字yは、1またはそれを超える値を有する]
を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
成分(C)が、次の式(XIII):
【化16】

[式中、
各R2は、独立に、末端脂肪族不飽和を有さない1価の炭化水素基であり;
各R3は、独立に、末端脂肪族不飽和を有する有機基であり;
各下付き文字hは、独立に、1から25の範囲の値を有する]
有する、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
成分(C)が、次の式(XIV):
【化17】

[式中、
R2およびR3は前記の通りであり;
下付き文字iは、1、2、または3の値を有し;
下付き文字jは、1から1,000の範囲の値を有し;
下付き文字kは、0またはそれを超える値を有し;
下付き文字mは、1、2、または3の値を有し;
量(i+k+m)は、3またはそれを超え;
各R2は、独立に、末端脂肪族不飽和を有さない1価の炭化水素基であり;
各R3は、独立に、末端脂肪族不飽和を有する有機基である]
有する、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
(a)請求項1または2に記載のポリマー、および
(b)光開始剤
を含む組成物。
【請求項15】
(i)請求項14に記載の組成物を基板に付ける工程、および
(ii)組成物を、紫外線もしくは大気中の湿気、または両方に曝す工程
を含む方法。
【請求項16】
(i)請求項14に記載の組成物を基板に付ける工程、および
(ii)組成物を、熱もしくは大気中の湿気、または両方に曝す工程
を含む方法。
【請求項17】
基板が、電子デバイスおよび回路基板からなる群から選択される、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
接着剤、シーラント、またはコーティング剤としての、請求項14に記載の組成物の使用。
【請求項19】
(c)フィラー、(d)フィラー処理剤、(e)溶媒、(f)縮合反応触媒、(g)接着促進剤、(h)着色剤、(i)反応性希釈剤、(j)ラジカル生成剤、(k)貯蔵寿命延長剤、(l)酸化防止剤、(m)架橋剤、(n)腐食抑制剤、またはこれらの組合せからなる群から選択される1種または複数のさらなる成分をさらに含む、請求項14に記載の組成物。

【公表番号】特表2010−513664(P2010−513664A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542800(P2009−542800)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/025215
【国際公開番号】WO2008/088523
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】