説明

ナノ粒子充填アンダーフィル接着用組成物を含む電子アセンブリおよびその製造方法

【課題】各構成部材が均一な線膨張を提供し、接続部の熱機械疲労の原因を減少させた高信頼性の、電子部品と基板の間にアンダーフィル接着剤を含む電子アセンブリを提供する。
【解決手段】基板14に電気的に接着されて基板との間にアンダーフィル接着剤16を有する電子部品を含み、アンダーフィル接着剤16が、ポリエポキシド樹脂と、硬化触媒と、融剤と、球形の非凝集、非晶質かつ固体である表面処理ナノ粒子18との混合物から本質的になる硬化性アンダーフィル接着用組成物の反応生成物を含む、ここで、化性アンダーフィル接着用組成物は25℃における粘度が1,000〜100,000センチポアズである、電子アセンブリ10。さらに、表面処理ナノ粒子が5〜600ナノメートルの平均粒度を有する、電子アセンブリ10、及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ粒子充填硬化性アンダーフィル接着用組成物を含む電子アセンブリおよびその製造方法に関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロニクス産業において、抵抗器、キャパシタ、インダクター、トランジスタ、集積回路、チップキャリアなどの電子部品は典型的には、2つの方法の1つにおいて基板または回路ボード上に搭載される。第1の方法において、部品はボードの片面に搭載され、部品からのリードがボードの孔を貫通して伸びている。半田をボードの反対側の面に適用し、リードを固定して電気接続を設ける。第2の方法において、部品を、それらを搭載するボードの同じ面に半田付けする。これらの後者のデバイスは「面実装」であると言われる。
【0003】
電子部品の面実装はそれを使用して非常に小さい回路構造を製造することができ、自動化された方法において容易に使用することができるという点で、望ましい技術である。面実装デバイスの1つの群は、基板の表面に置かれたパッドに付着させた多数の接続リードを有する集積化電子部品を含む。電子部品またはそれが付着される基板が、電子部品または基板上のボンディングパッドに相応する位置に配置された半田の小さいバンプまたはボールを設けられる。半田バンプが基板および部品上の相応するパッドと接触するように、電子部品がそれを基板と接触して配置することによって基板に電気実装される。前記アセンブリを半田が溶融するかまたはリフローする点まで加熱し、次いでアセンブリを冷却し、固化した半田によって電子部品を基板に結合する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この技術の1つの問題は、電子部品、半田、および基板が多くの場合、かなり異なった熱膨張率を有するということである。結果として、アセンブリが使用中に加熱する時の異なった膨張速度は、非常に大きな応力をもたらし、例えば、接続部の熱機械疲労を引き起こし、デバイスの信頼性に影響を与える故障につながる。
【0005】
熱硬化性エポキシ樹脂が、異なった熱膨張の作用を最小にするために使用されている。ポリエポキシドが、電子部品の外面を囲み、半田によって占められていない電子部品と基板との間のスペースを占めるアンダーフィルとして使用されている。従来のシリカ充填剤、すなわち、1マイクロメータ〜50マイクロメータ以上の粒度を有するシリカをアンダーフィル組成物中に混入することによって、改良されたアンダーフィル材料を調合した。かかるシリカ充填剤の高配合量が望ましい熱膨張率を提供する場合があるが、かかる量はまた、アンダーフィル接着用組成物の流動を妨げる望ましくない粘度を提供する場合がある。又、かかる粒子は、電子アセンブリのアンダーフィルのために使用される時に小さい形状の周りにおよび小さい隙間の間に閉じ込められる場合があり、半田がリフローされる前にアンダーフィル接着用組成物が部品と基板との間に配置されるなら、半田バンプとボンディングパッドとの間の電気接続を妨げる場合がある。又、これらの比較的大きな充填剤粒子は、アンダーフィルの調合時に沈降する傾向がある。硬化する前に充填剤粒子が沈降することにより、不均一な熱膨張率を有するアンダーフィルをもたらすことがある。粒子の沈降は貯蔵寿命を短くし、又、パッケージ入りのアンダーフィル接着用組成物にこの沈降が起こる場合、分配問題を引き起こすことがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第一の態様として、
基板に電気的に接着されて基板との間にアンダーフィル接着剤を有する電子部品を含み、前記アンダーフィル接着剤が、ポリエポキシド樹脂と、硬化触媒と、融剤と、球形の非凝集、非晶質かつ固体である表面処理ナノ粒子との混合物から本質的になる硬化性アンダーフィル接着用組成物の反応生成物を含む、ここで、前記化性アンダーフィル接着用組成物は25℃における粘度が1,000〜100,000センチポアズである、電子アセンブリに関する。
本発明は、第二の態様として、第一の態様において、
さらに、前記表面処理ナノ粒子が5〜600ナノメートルの平均粒度を有する電子アセンブリに関する。
本発明は、第三の態様として、第一の態様の電子アセンブリを製造する方法であって、電子部品を提供する工程と、
基板を提供する工程と(ここで前記電子部品または前記基板のどちらか一方が半田バンプを有し、他方が電気ボンディングパッドを有している)、
ポリエポキシド樹脂と、
硬化触媒と、
融剤と、
球形の非凝集、非晶質かつ固体である表面処理ナノ粒子と
から本質的になる硬化性アンダーフィル接着用組成物を提供する工程と、
前記半田バンプが前記電気ボンディングパッドと整列して硬化性アセンブリを形成するように前記硬化性組成物を前記電子部品と前記基板との間に配置する工程と、
前記硬化性アセンブリに熱を加えて前記接着用組成物を硬化させる工程とを含む、電子アセンブリの製造方法に関する。
本発明は、硬化性樹脂と表面改質ナノ粒子とを含む硬化性接着用組成物を利用する電子アセンブリおよび電子アセンブリの製造方法を提供する。表面改質ナノ粒子を使用することにより、硬化してノーフローアンダーフィル方法の半田付け方法を妨げずに望ましい熱膨張率(CTE)を有すると共に毛管アンダーフィル方法に使用するために有用な粘度範囲を提供するアンダーフィル接着剤を提供することができる硬化性アンダーフィル接着用組成物を提供する。「有用な粘度範囲」は、硬化性接着用組成物が先ずダイを配置する間に、次いで半田をリフローさせる間に下降電子部品によって移動させられるか、または電子部品下でおよび半田付けされる電子部品と基板との間で吸上げられることができる粘度を意味する。
【0007】
1つの態様において、本発明は、基板に電気的に接着されて基板との間にアンダーフィル接着剤を有する電子部品を提供するものであり、前記アンダーフィル接着剤が、ポリエポキシド樹脂と、硬化触媒と、実質的に球形の非凝集、非晶質かつ固体である表面処理ナノ粒子とを含む硬化性混合物の反応生成物を含む。
【0008】
別の態様において、本発明は、半田バンプまたは電気ボンディングパッドをその上に有する電子部品を提供する工程と、電気ボンディングパッドまたは半田バンプをその上に有する基板を提供する工程と、ポリエポキシド樹脂と、硬化触媒と、融剤と、実質的に球形の非凝集、非晶質かつ固体である表面処理ナノ粒子との硬化性混合物を含む硬化性接着用組成物を提供する工程と、前記半田バンプが前記電気ボンディングパッドと整列してアセンブリを形成するように前記硬化性組成物を前記電子部品と前記基板との間に配置する工程と、前記アセンブリに熱を加えて前記接着用組成物を硬化させ、電気接続を形成する工程とを含む、電子アセンブリの製造方法を提供する。
【0009】
好ましくは、硬化性接着用組成物は本質的に揮発物を含有せず、すなわち、組成物の硬化中に放出または形成される揮発性物質を本質的に含有しない。本明細書中で用いた用語「硬化性(curable)」は、化学的または物理的に架橋して、普通の使用条件下で維持されるガラス状、不溶解性、ノンフロー性網目を形成できることを意味する。「アンダーフィル接着剤(underfill adhesive)」は、硬化後の硬化性接着用組成物の反応生成物である。「非凝集(Non−agglomerated)」ナノ粒子は、凝集粒子、例えばヒュームドシリカと比較したときに、実質的に単体の、単一粒子を意味する。
【0010】
本発明のノーフロー方法は、1)重力以外に、半田バンプと、相応する電気的接触ボンディングパッドとの間の電気的接触を設けるために電子部品に適用された付加的な力、2)接着用組成物を硬化し、半田をリフローさせるために必要とされた量を超える粘度調節のための付加的な熱、3)半田バンプが、半田がリフローする間に電気的接続を設けるために特定または不規則な形状を有すること、および4)アンダーフィル接着用組成物が1つより多い層において分配されること(前記層のすべてが充填されるわけではない)を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の電気アセンブリの実施態様の略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1つの実施態様において、本発明は、アンダーフィル接着剤で基板に電気的に接着された電子部品を含む電気アセンブリを提供する。アンダーフィル接着剤は、樹脂と、硬化触媒と、表面処理ナノ粒子とを含む硬化性接着用組成物の反応生成物である。表面処理ナノ粒子は非晶質、実質的に球形であり、非凝集かつ実質的に無機質である。又、硬化性接着用組成物はフラックスまたは融剤を含有してもよい。
【0013】
図1を参照すると、電気アセンブリ10が、表面処理ナノ粒子18を含有するアンダーフィル接着剤16によって基板14に接着された電子部品12を含む。この実施態様において、電子部品12が、半田バンプ20とボンディングパッド22との接触によって基板に電気的に接着される。
【0014】
電子部品12は特に限定されず、半田バンプまたはボンディングパッドをその上に有するかまたは半田バンプを有することができる何れの電子部品であってもよい。電子部品の具体例には、集積回路チップ、抵抗器、キャパシタなどがあるがそれらに限定されない。有用な基板は、電気ボンディングパッドまたは半田バンプを有する基板、または電気ボンディングパッドを有することができる基板である。基板のタイプは特に限定されず、プリント回路ボードおよびフレキシブル回路などがある。この発明において、電気アセンブリはまた、基板に接着されたパッケージであってもよい。パッケージにおいて、チップは、薄く小さい回路ボード上に配置され、封入される。半田ボールをボードの下部に置き、基板への接続を可能にする。
【0015】
本発明の硬化性接着用組成物は、1種以上のポリエポキシド樹脂を含有する。有用なポリエポキシド樹脂には、例えば、グリシジルエステル、グリシジルエーテル、グリシジル官能性アミノフェノール、グリシジルアミン、またはエポキシ化オレフィン、およびその組合せなど、置換または非置換脂肪族、脂環式、芳香族、および/または複素環ポリエポキシドがある。
【0016】
本発明の組成物において有用なポリエポキシド樹脂の具体例には、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびビスフェノールFのジグリシジルエーテル、脂肪族モノグリシジルエーテル、脂肪族ジグリシジルエーテル、脂肪族多官能性グリシジルエーテル、および脂肪族グリシジルエステルなどがあるがそれらに限定されない。
【0017】
ビスフェノールAのジグリシジルエーテルである有用なポリエポキシド樹脂の例には、テキサス州、ヒューストンのレゾリューションパフォーマンスプロダクションズ(Resolution Performance Productions(Houston,TX))から入手可能なエポン(EPON)TM樹脂825、826、828、および1462、ミシガン州、ミッドランドのダウケミカルカンパニー(Dow Chemical Company(Midland,MI))から入手可能なディー.イー.アール(D.E.R.)TM330、331、および332、およびニューヨーク州、ブルースターのバンティコ(Vantico(Brewster,NY))から入手可能なアラルダイト(ARALDITE)TMGY6008、GY6010、およびGY2600などがあるがそれらに限定されない。
【0018】
ビスフェノールFのジグリシジルエーテルである有用なポリエポキシド樹脂の例には、テキサス州、ヒューストンのレゾリューションパフォーマンスプロダクションズから入手可能なエポンTM樹脂862、ニューヨーク州、ブルースターのバンティコから入手可能なアラルダイトTMGY281、GY282、GY285、PY306、およびPY307などがあるがそれらに限定されない。
【0019】
有用な一、二、および多官能性グリシジルエーテル樹脂には、ニューヨーク州、ブルースターのバンティコから入手可能なXB4122、MY0510、タックティックス(TACTIX)TM556およびタックティックスTM742、およびテキサス州、ヒューストンのレゾリューションパフォーマンスプロダクションズから入手可能なエポンTM1510、ヘロキシ(HELOXY)TMモディファイヤー107、ヘロキシTMモディファイヤー48などがあるがそれらに限定されない。
【0020】
ポリエポキシド樹脂は、それらが実質的にイオン性種を含有しないという点で、イオン清浄であるのが好ましい。又、ポリエポキシド樹脂が実質的にヒドロキシル官能価を含有しないのが好ましい。残留イオン性ハロゲンの除去は、先ず、ポリエポキシド樹脂を塩基と反応させることによって達成されてもよい。塩基は、加水分解性ハロゲン化物を含む材料に基づいてモル当量を超える量において存在している。この量は、出発ポリエポキシド樹脂に依存する。例えば、他の酸が存在していない場合、加水分解性ハロゲン化物のppmに基づいて理論量の塩基を用いることができる。他の状態において、例えば、100パーセント〜200パーセントの塩基が必要とされる。ポリエポキシド樹脂を室温において塩基と配合して混合物を形成してもよく、または他の状態において、ポリエポキシド樹脂を予熱してもよい。従って、加熱および撹拌工程が、塩基との反応前およびその間、塩基処理工程と同時に、または塩基がエポキシ樹脂に添加された後に行われてもよい。この順序は、出発ポリエポキシド樹脂によって決められる。
【0021】
塩基の選択は、出発ポリエポキシド樹脂に依存する。本発明の方法において有用な適した塩基の例としてはには、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム、および水酸化リチウムなどの水酸化物、水素化リチウム、水素化ナトリウム(場合により鉱油に溶かした)、および水素化カリウムなどの水素化物、ナトリウムエトキシドなどの第一、第二、および第三(例えば、テトラヒドロフラン(THF)に溶かしたカリウムt−ブトキシド)アルコキシド、炭酸カリウムおよび炭酸ナトリウムなどの炭酸塩、および第四級アンモニウム塩などがあるがそれらに限定されない。
【0022】
概して、塩基強度および温度は、ハロヒドリンがポリエポキシドに近づき、かつポリエポキシドが重合しない塩基強度および温度である。例えば、エピクロロヒドリン誘導ポリエポキシド樹脂の1つのケースでは、THFに溶かしたカリウムt−ブトキシドが25℃において適しているが、樹脂が70℃において重合した。
【0023】
水素化ナトリウムなどの非求核性塩基の使用は、エステルなどの他の塩基(加水分解)感受性官能価と反応せずにハロヒドリンを近づける有利な作用を有すると考えられる。
【0024】
非求核性塩基が用いられる場合、方法は好ましくは、以下の工程、すなわち、(a)分子蒸留を用いて加水分解性ハロゲン化物を含有する材料を含むポリエポキシド樹脂を蒸留させ、ポリエポキシド樹脂蒸留物をもたらす工程と、(b)加水分解性ハロゲン化物を含有する材料に基づいたモル当量を超える量において存在している塩基と前記ポリエポキシド樹脂蒸留物を反応させる工程と、を含む。
【0025】
初期の蒸留工程が、ヒドロキシル官能価を含有する高分子量材料と共に湿分を除去する。生成物は、蒸留する前に水および二酸化炭素で中和されて残留水素化ナトリウムを除去するか、または中和せずに直接に蒸留されてもよい。
【0026】
撹拌しながら混合物をハロヒドリンの反応に適した温度まで加熱してポリエポキシド樹脂を形成する。例えば、混合物を加熱マントル(heat mantel)を用いて加熱してもよい。概して、混合物を1分〜12時間、20℃〜200℃で加熱する。しかしながら、温度および時間は、出発ポリエポキシド樹脂、塩基強度および溶解度、ポリエポキシド樹脂の重合に対しての塩基の触媒活性、および商業性に依存する。
【0027】
ポリエポキシド樹脂と塩基とが配合された後、塩基処理工程の前およびその間、または塩基の添加および塩基処理工程と同時に、この加熱および混合を行うことができる。
【0028】
通常、混合物を加熱して粘度を変えるが、それは次に塩基の分散を助ける。
【0029】
次いで、加熱した混合物を必要ならば二酸化炭素を用いて中和し、未精製の生成物を形成する。水素化物については、この中和工程は必要とされない場合がある。場合により、この時点で、濾過によって残留塩を未精製の生成物から除去してもよい。
【0030】
次に、未精製の生成物を分子蒸留によって単離し、生成物を生じさせる。例えば、ロールドフィルム蒸発器またはワイプフィルム蒸発器を用いてもよい。ロールドフィルム蒸発器によって、未精製の生成物は、効率的な、自動クリーニングローラワイパー装置によって垂直加熱面にわたって均一な薄膜に分散させられる。蒸発させられた材料は、内部冷却器までの短距離を移動する。低い作業温度によって比較的小さい真空を用いる。(UIC社(UIC Inc.)、製造までの研究室の短行程真空蒸留(Short Path Vacuum Distillation from Laboratory to Production)、1997年)。ワイプフィルム蒸発器によって、自動クリーニングローラワイパーの代わりにワイパーを用いる。
【0031】
蒸留条件は未精製の生成物の沸点に依存する。
【0032】
出発原料中に存在している場合がある非凝縮性材料、すなわち、ポリエポキシド樹脂が分子蒸留の間に除去される。
【0033】
生じたポリエポキシド樹脂が、加水分解性ハロゲン化物の低レベル、すなわち、1〜100ppm、好ましくは10ppm未満、より好ましくは1ppm未満を有する。
【0034】
生じた生成物は、高分子量材料を含有しないのが好ましい。高分子量材料を含有しない、の意味は本明細書中では、ダイマーおよびダイマーより高分子量を有する材料を含有しないと定義される。エポキシド当量は、理論エポキシド当量かその付近(すなわち、理論エポキシド当量の2パーセント以内、好ましくは1パーセント以内である)であり、蒸留物の液体クロマトグラフィーが98パーセントより多いモノマーポリエポキシド樹脂を示す。これらのデータは、ヒドロキシル官能価を実質的に含有しないポリエポキシド樹脂を示す。
【0035】
精製されたポリエポキシド樹脂は、それほど高純度でない変種よりも高い硬化ガラス転移温度を有し、それは有利である。又、精製されたポリエポキシド樹脂は、生成物の稠度により比較的予測可能である。粘度は、同じポリエポキシド樹脂のそれほど高純度でない変種より低い。ポリエポキシド生成物中に残留塩基がなく、有利である。残留塩基は、カチオン硬化ポリエポキシドを阻害することがある。若干の残留塩基を有する、テキサス州、ヒューストンのレゾリューションパフォーマンスプロダクションズから入手可能なエポンTM樹脂1462などの他の低加水分解性ハロゲン化物のポリエポキシド樹脂は、黄色(3未満のガードナーカラースケール値)を有する。精製されたポリエポキシド生成物は無色である。例えば、ガードナー試験(ASTM D1544−80)を用いて、ガードナーカラースケール値は、精製エポンTM樹脂828について0.1未満である。
【0036】
上記のポリエポキシド樹脂精製方法はバッチ式、または連続式であってもよい。
【0037】
イオン的にきれいなポリエポキシド樹脂の好ましい製造方法が、「加水分解性ハロゲン化物を含有する材料および他の高い分子量材料をエピハロヒドリン誘導エポキシ樹脂から除去する方法」(“Process for the Elimination of Materials Containing Hydrolyzable Halides and Other High Molecular Weight Materials from Epihalohydrin Derived Epoxy Resins”)と題された米国特許出願公開第2002−0022709A1号明細書(マーダー(Mader)ら)に記載されている。
【0038】
ポリエポキシド樹脂が、接着用組成物、すなわち、ポリエポキシド樹脂と、硬化触媒と、任意選択の融剤と、ナノ粒子と、の100部当たり10〜70部、好ましくは20〜60部、より好ましくは30〜50部の量、(そして10〜70部の間の任意の整数または小数値の量)において本発明の硬化性接着用組成物中に存在している。
【0039】
本発明の硬化性接着用組成物は場合により、しかし好ましくは、熱硬化性樹脂が存在している時に1種以上の触媒を含有する。本発明の組成物中の硬化触媒の機能は、熱硬化性樹脂の硬化を加速することである。有用な硬化触媒は、エポキシド単独重合ならびに融剤とポリエポキシド樹脂との共反応を促進する硬化触媒である。さらに、有用な硬化触媒は周囲条件下で潜在的であるが、80℃以上の温度に加熱される時に活性化されて反応を加速する。有用な硬化触媒のクラスには、置換イミダゾール、金属アセチルアセトネート、金属酢酸塩、金属ハロゲン化物、金属イミダゾール錯体、および金属アミン錯体などがある。硬化触媒の先述したクラスに有用な金属には、Sc3+,Cu2+,Mo2+,Ru3+,Rh3+,Cd2+,La3+,Hf4+,In3+,Tl1+,Tl3+,Pb2+,Pb3+,Ti4+,Ce3+,Ce4+,Pr3+,Eu3+,Gd3+,Tb3+,Dy3+,Ho3+,Er3+,Tm3+,Lu3+,Th3+,Co2+,Co3+,Fe2+,Fe3+,Ni2+,Pd2+,Pt2+,Ga3+,Y3+,V3+,Sm3+,Nd3+,Cr3+,Li1+,Be2+,K1+,Ca2+,Na1+,Ba2+,Sr2+,Zn2+,Mg2+,またはAg1+などがある。代表的な硬化触媒には、例えば、亜鉛イミダゾレートおよび銅イミダゾレートなどの金属イミダゾール錯体、ならびに、例えば4,5−ジフェニルイミダゾールなどの置換イミダゾールなどがある。硬化触媒は、例えば、0.02〜10重量パーセント、0.05〜5重量パーセント、または0.25〜2重量パーセントの量において本発明の組成物中に存在している。
【0040】
本発明の組成物に使用するために適したナノ粒子は形状が実質的に球形であり、1ナノメーター〜1マイクロメーター未満の範囲の平均粒径を有し、化学組成が実質的に無機系である。ナノ粒子はシリカなどの本質的に単一酸化物を含むことができ、または別のタイプの酸化物が上に堆積される1つのタイプの酸化物のコア(または金属酸化物以外の材料のコア)を含むことができる。概して、ナノ粒子は、5ナノメーター〜500ナノメーター、10ナノメーター〜300ナノメーター、または10ナノメーター〜100ナノメーターの寸法(平均粒度)の範囲であってもよく、5〜500ナノメーターのどの範囲の寸法であってもよい。ナノ粒子が、所与の平均粒度あたりの比較的狭い粒度分布を有することもまた望ましい。
【0041】
又、ナノ粒子の凝集が沈殿、ゲル化、またはゾル粘度の顕著な増大をもたらすことがあるので、ナノ粒子が実質的に非凝集状態のままであることが望ましい。従って、本発明の組成物の調製に使用するためのナノ粒子の特に望ましいクラスには、無機ナノ粒子のゾル(例えば、液体媒体中の無機ナノ粒子の分散系)、特に非晶質シリカのゾルがある。かかるゾルは、いろいろな技術によって、そして(水が液体媒体の働きをする)ヒドロゾル、(有機液体が用いられる)オルガノゾル、および(液体媒体が水と有機液体との両方を含む)混合ゾルなどのいろいろな形で調製されてもよい。例えば、米国特許第2,801,185号明細書(イラー(Iler))および同4,522,958号明細書(ダス(Das)ら)、ならびにR.K.イラー(R.K.Iler)著、「シリカの化学的性質(The Chemistry of Silica)」、ジョン・ワイリー&サンズ(John Wiley & Sons)、ニューヨーク(1979年)に記載された技術および形式を参照のこと。
【0042】
シリカヒドロゾルは、それらの表面化学と商業的入手性のために、本発明の組成物の調製に使用するために好ましい。かかるヒドロゾルはいろいろな粒度と濃度において、例えば、メリーランド州、アシュランドのニアコルプロダクツ社(Nyacol Products,Inc.(Ashland,MD))、イリノイ州、オークブルックのナルコケミカルカンパニー(Nalco Chemical Company(Oakbrook,IL))、およびデラウェア州、ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.duPont de Nemours and Company(Wilmington,DE))から入手可能である。水に溶かしたシリカ10〜50重量パーセントの濃度が一般に有用であり、(除去される水が比較的少ないので)30〜50重量パーセントが好ましい。必要ならば、例えば、(溶液の得られたナトリウム含有量が酸化ナトリウムに基づいて約1重量パーセント未満であるように)、約8または9のpHまで酸でアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液を部分中和することによって、シリカヒドロゾルを調製することができる。シリカヒドロゾルの別の調製方法、例えば、ケイ酸ナトリウムの電気透析、イオン交換、シリコン化合物の加水分解、および元素のシリコンの溶解が、上記のイラーによって記載されている。
【0043】
硬化性樹脂組成物の調製は一般に、無機ナノ粒子の表面の少なくとも一部がポリエポキシド樹脂中へのナノ粒子の分散性を促進するように改質されることを必要とする。この表面改質は、本技術分野において周知である様々な異なった方法によって達成され得る。(例えば、米国特許第2,801,185号明細書(イラー)同第4,522,958号明細書(ダス(Das)ら)、および同第5,648,407号明細書(ゴエツ(Goetz)ら)において記載された表面改質技術を参照のこと。)
【0044】
例えば、シリカナノ粒子がオルガノシラン、例えば、アルキルクロロシラン、トリアルコキシアリールシラン、またはトリアルコキシアルキルシランによって処理されるか、または他の化合物、例えば、オルガノチタネートによって処理されてもよく、それらは、化学結合(共有結合、またはイオン結合)によってか、または強い物理的結合によって粒子の表面に結合することができ、又、選択されたポリエポキシド樹脂と化学的に相溶性である。オルガノシランによる処理が概して好ましい。芳香環含有ポリエポキシド樹脂が利用されるとき、同様に少なくとも1個の芳香環を含有する表面処理剤は概して、ポリエポキシド樹脂と相溶性であり、従って好ましい。
【0045】
硬化性接着用組成物を調製する時に、一般に、ヒドロゾル(例えば、シリカヒドロゾル)に水溶性有機液体(例えば、アルコール、エーテル、アミド、ケトン、またはニトリル)および、場合により、(アルコールが有機液体として用いられる場合)、オルガノシランまたはオルガノチタネートなどの表面処理剤を配合することができる。表面処理剤は、粒子を有機樹脂中に分散させることを可能にする粒子表面上の有機コーティングを提供するのに十分な量で用いられるのがよい。アルコールが、ゾルに添加される水混和性溶剤として用いられる場合、アルコールは表面改質剤の働きをすることができる。オルガノシランまたはオルガノチタネートが好ましい表面改質剤である。オルガノシランまたはオルガノチタネートをシリカヒドロゾル/有機溶剤混合物に直接に添加することができる。表面改質剤の反応を金属酸化物粒子の表面に促進させるために一般に加熱が必要とされる。酸、塩基またはフッ化物イオンまたは塩化物イオンなどのイオンによってナノ粒子表面への表面改質剤の反応を触媒することができる。
【0046】
使用した表面改質剤の量は、粒子の表面積にある程度依存している。比較的小さい粒子は、比較的大きな表面積対容積比を有し、従って比較的小さい粒子は比較的大きな粒子より多い表面改質剤の量を必要とする。粒子上の有機表面改質剤の総量は、非常に小さい粒子、すなわち、5ナノメーターについては40重量パーセントもある場合があり、または比較的大きな粒子についてはわずか3パーセントである場合がある。
【0047】
アルコールと粒子表面との反応によって、アルコールを用いて粒子を改質することができる。ヒドロゾルを高沸点アルコールと混合し、蒸留によって水を除去することによって、この方法を実施することができる。水が除去されるとき、アルコールがナノ粒子表面と反応し、粒子を有機樹脂中に分散させることを可能にする共有結合したコーティングを提供する。いずれの方法も、表面に付着するかまたは表面に結合した有機基を有するナノ粒子(すなわち、「実質的に無機系の」ナノ粒子)を含むオルガノゾルを提供する。
【0048】
次に、得られたオルガノゾルに硬化性樹脂組成物を配合し、有機液体を、例えば、回転式蒸発器を用いて除去することができる。強固に結合した揮発性成分をも除去するのに十分な温度まで真空下で加熱することによって有機液体を除去するのが好ましい。ストリッピング時間および温度は一般に、硬化性樹脂組成物の前渡し(advancement)を最小にしたまま、揮発物の除去を最大にするように選択され得る。
【0049】
この段階において揮発物を十分に除去することができないと組成物を硬化する間のボイド形成につながり、アンダーフィル接着剤の熱機械的性質の劣化をもたらす。これは、電子アンダーフィル接着剤において特に深刻な問題である。揮発性成分は、硬化および結合プロセスの間にボイドの形成をもたらす場合があり、電子アセンブリの信頼性に対する悪影響を有する場合がある。又、除去されていない揮発物は、硬化樹脂網目を可塑化し、それによってその高温性質を低下させることがある。概して、約2重量パーセント未満(好ましくは、約1.5重量パーセント未満)の揮発物量を有する樹脂ゾルは、所望の熱機械的性質を有するボイドのないアンダーフィル接着剤を提供する。
【0050】
上記の表面処理剤が硬化性樹脂と相溶性であるように適切に選択されない場合、前記薬剤がナノ粒子表面に強固に結合しない場合、および/または適当でない量の薬剤が用いられる場合、揮発物の除去は、(表面に結合したどんな揮発物も失われるために)ゲル形成をもたらすことがある。相溶性に関して、処理粒子および樹脂は一般に、安定したゾルの形成を確実にするために混合の正のエンタルピーを有するのがよい。(表面処理剤の溶解パラメーターを硬化性樹脂の溶解パラメーターと整合させることによって、溶解パラメーターをこれを実施するためにしばしば便利に使用することができる。)揮発物の除去により、概して18〜54容積パーセント(好ましくは、24〜50容積パーセント)、および18〜54容積パーセントの間の任意の整数または小数値の量もしくは範囲の実質的に無機系のナノ粒子を含有することができる、硬化性樹脂組成物が得られる。
【0051】
硬化性樹脂中に表面処理ナノ粒子を分散させる別の方法は、先ず、表面改質剤を付着させた後に溶剤/水溶液から粒子を乾燥させることである。これは、熱を適用することによって、いくつかの場合には真空を適用し、溶剤および水を蒸発させることによって達成されてもよい。次に、高剪断混合装置によって乾燥粉末を有機樹脂中に分散させることができる。有機樹脂中にナノ粒子を分散させた後、熱および真空を適用して残留していることがあるどんな微量の揮発性成分をも除去することが望ましい場合がある。
【0052】
表面改質剤のタイプの選択は、粒子が分散される有機樹脂のタイプに依存する。表面改質は、組成物中で用いられた有機樹脂と相溶性である有機表面付着コーティングを提供しなくてはならない。例えば、芳香族エポキシ樹脂中に粒子を分散させるとき、芳香族基含有表面改質剤が好ましいことがある。脂肪族ポリアクリレートが用いられている場合、脂肪族基含有表面改質剤が好ましいことがある。
【0053】
又、表面改質は、硬化プロセスの間にナノ粒子を硬化性樹脂に共有結合する部位を提供することができる。例えば、ポリアクリレートが用いられている場合、アクリル反応性基を有する粒子が望ましいことがある。
【0054】
本発明の硬化性接着用組成物中の表面処理ナノ粒子の量は一般的には、全組成物の30〜70重量パーセント、より一般的には35重量パーセント〜65重量パーセントであり、30重量パーセント〜70重量パーセントの間の任意の整数または小数値の量もしくは任意の範囲であってもよい。
【0055】
さらに、融材を硬化性接着用組成物に添加し、組成物に溶融能力を与えてもよい。接着性を本質的に阻害したり、または組成物の尚早の硬化を起こさないどんな融剤をも添加することができる。有用な融剤には、例えば、カルボン酸、酸無水物などの酸、およびキレート融剤がある。有用なキレート融剤には、例えば、2個の原子(例えば、2個の炭素原子)によって互いに分離される(すなわち、互いにベータ位の原子に位置している)芳香族ヒドロキシル酸素原子とイミノとの両方を有するキレート融剤がある。ベータ原子は、イミノ基の炭素または窒素原子のどちらか、または両方に対してベータ位に位置している原子を指す。有用なキレート融剤の例には、2,2’−[1,4−フェニレン−ビス(ニトリロメチリジン)]ビスフェノール、2,2’−[1,3−フェニレン−ビス(ニトリロメチリジン)]ビスフェノール、2,2’−[1,2−フェニレン−ビス(ニトリロメチリジン)]ビスフェノール、2,2’−[1,3−プロパン−ビス(ニトリロメチリジン)]ビスフェノール、2,2’−[1,2−エタン−ビス(ニトリロメチリジン)]ビスフェノール、2,2’−[1,2−プロパン−ビス(ニトリロメチリジン)]−ビスフェノール、2,2’−[1,2−シクロヘキシルビス(ニトリロメチリジン)]ビスフェノール、および2−[[(2−ヒドロキシフェニル)イミノ]メチル]フェノールなどのシッフ塩基タイプ化合物がある。
【0056】
一般に、上に記載したオルガノゾルに熱硬化性樹脂を配合し、次いで揮発物を除去することによって硬化性アンダーフィル接着用組成物を製造する。次いで、融剤、触媒、および他の添加剤を添加することができる。
【0057】
ノーフローアンダーフィル方法において、半田ボールがボンディングパッドと接触することができるように、硬化性接着用組成物の粘度は、電子部品が基板上に降下するときに押し出されるために半田のリフローの間に十分に低くなければならない。
【0058】
毛管アンダーフィル方法において、硬化性接着用組成物の粘度は、それが電子部品と基板との間に吸上げることができるように十分に低くなければならない。一般に、吸上げプロセスの間、高温が用いられる。200ポアズ未満、一般に100ポアズ未満の室温における粘度が望ましい。低粘度の樹脂を選択することによって、ナノ粒子の配合量、および寸法によって、硬化性アンダーフィル接着用組成物の粘度を調節することができる。
【0059】
アンダーフィルの熱膨張率(CTE)が半田のCTEに近いことが望ましく、好ましくは20〜50ppm/℃の範囲、望ましくは約25〜45ppm/℃の範囲であるかまたは20〜50ppm/℃の間の任意の整数または小数値の量である。20ppm/℃にできるだけ近いCTEを有することが望ましいが、粘度は典型的には、充填剤量が増大するときに管理しにくくなる。
【0060】
電子アセンブリの接着方法
別の実施態様において、本発明は、電子部品または基板のどちらかが半田バンプを有する、接点または電気パッドを有する電子部品を提供する工程と、接点または電気ボンディングパッドを有する基板を提供する工程と、前記半田バンプが前記電気ボンディングパッドと整列してアセンブリを形成するように本発明の硬化性組成物を前記電子部品と前記基板との間に提供する工程と、前記アセンブリに有効量の熱を加えて樹脂を硬化させ、電気的接続を形成する工程と、を含む電子アセンブリの製造方法を提供する。本発明の硬化性接着用組成物は、電子部品を接着するためにノーフローまたは毛管アンダーフィル方法のどちらにおいて用いられてもよい。
【0061】
1つの実施態様(ノーフロー方法)において、(融剤を有する)本発明の硬化性接着用組成物は、接着用組成物を電子部品の表面または基板のどちらかに適用することによって、電子部品と基板との間に配置される。接着用組成物は、液体またはフィルムの形状であってもよい。この方法のための液体硬化性接着用組成物は、25℃において1,000〜100,000センチポアズの範囲の粘度を有するのが望ましい。フィルムは粘着性または不粘着性であってもよく、電子部品と基板との間の間隙をふさぐために適切な厚さを有しなくてはならない。又、フィルムがリフローサイクルの間に溶融し、半田バンプをボンディングパッドと接触させるために粘度が十分に低くなるのがよい。液体硬化性接着用組成物は、ニードル分配、型紙なせん(stencil printing)、またはスクリーン印刷によって電子部品に適用されてもよく、フィルムの形の硬化性接着用組成物を先ず、寸法通りに切断し、次いで半田バンプを有する表面または相応する電気ボンディングパッドを有する表面に単に置けばよい。次に、液体接着用組成物を直接または間接的な加熱によって乾燥させる。
【0062】
次に、電気ボンディングパッドと半田バンプとが整列されるように、基板と電子部品とを配置する。次いで、半田のリフローを起こすように前記アセンブリを加熱する。かかる加熱は典型的には、加熱プロフィルを提供する個別の熱管理を有する多領域オーブンを利用する。
【0063】
試験方法
ガラス転移温度(Tg)
硬化した無充填樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)を、以下のように示差走査熱量測定(DSC)を用いて確認した。4ミリグラム〜8ミリグラムの重量の未硬化試料を、窒素パージ下で10℃/分の速度、約35℃〜275℃においてモデル2920変調DSC(デラウェア州、ニューキャッスルのTAインストルメント(TA Instruments,New Castle, DE)から入手可能)を用いて熱走査した。次に、試料を約30℃まで空気冷却させた。第2の加熱を同様にして実施し、実質的に硬化した樹脂試料のガラス転移温度(Tg)を得た。Tgは、曲線のガラス状からゴム状の転移部分の中点値とみなされた。
【0064】
熱膨張率(CTE)
熱膨張率(CTE)は、以下のように熱機械分析器(TMA)モデルSS120C(現在、ウィスコンシン州、マジソンのサーモハーケ(Thermo Haake(Madison,WI))として知られているカリフォルニア州、トランスのセイコーインストルメント社(Seiko Instruments Incorporated(Torrance,CA))から入手可能)を用いて測定した。約0.125インチ(0.32cm)の厚さを有する硬化された、充填剤入り樹脂試料を、0.0098ニュートンの負荷を有する円形石英膨張プローブ(circular quartz expansion probe)を用いて測定した。試料を窒素パージ下で2回、30〜200℃まで熱走査した。Tgより低いCTE(本明細書中でα1として示した)を第2の走査を用いて確認した。実施例2、3、および比較例1および3については、適切な量の触媒が添加される、無触媒の融剤含有組成物の一部を用いて試料を調製した。実施例1については、第2の試料を実施例2について記載したように調製した。
【0065】
粘度
充填剤入り無触媒硬化性樹脂試料の複素粘度をレオロジー動的解析(RDA)を用いて以下のように測定した。(ニュージャージー州、ピスキャタウェイのレオメトリクス社(Rheometrics Inc.(Piscataway,NJ))から市販されている)レオメトリクス(Rheometrics)RDA−II動的機械分析器を、硬化性樹脂組成物の複素粘度を測定するために平行プレート動作モードにおいて使用した。2〜3グラムの無触媒硬化性樹脂組成物を、各々25ミリメートルの直径を有する2つの平行プレートの間に配置した。樹脂を25℃(77°F)において充填した。次に樹脂の充填された1.0ミリメートルの間隙を設けるようにプレートを閉じた。過剰な樹脂を金属へらで端縁からこすり取った。25℃(77°F)において15〜0.01Hzの剪断速度スィープおよび50パーセントの歪みを用いて粘度を測定した。記載された粘度は1.0Hzにおいて得られた。
【0066】
固形分の量
無触媒(充填剤入り)マスターバッチ調合物の固形分の量を、熱天秤分析器(デラウェア州、ニューキャッスルのTAインストルメンツ(TA Instruments(New Castle,DE))から入手可能なモデルナンバー2950)を用いて熱重量分析によって測定した。約30ミリグラムの重さの試料を、20℃/分の温度走査速度において60cc/分の空気パージ下で35℃〜900℃まで熱走査した。
【0067】
粒度の測定
フォトン相関分光分析法を使用することによって粒子の非常に稀薄な分散系の粒度を測定する、粒度分布プロセッサ分析と多重散乱角検出とを備えたコールター(Coulter)(登録商標)N4プラスサブミクロンパーティクルサイザー(フロリダ州、マイアミのコールターコーポレーション(Coulter Corporation(Miami,FL))から入手可能)を用いて粒度を確認した。
【0068】
コールター(登録商標)N4プラスに使用するために設計された使い捨てのポリスチレン試料ホルダー中に濃縮分散系の一滴を置くことによって、水性分散系の測定を実施した。次に、試料ホルダーに約4mlの蒸留水を充填し、均一な混合物となるように手で振った。次いで、稀釈した試料を有するホルダーをコールター(登録商標)N4プラス中に置き、散乱強度が許容範囲内であるかどうか確認するために測定した。測定に対して許容範囲内の散乱強度をもたらす濃度レベルに達するように必要に応じて付加的な希釈を行った。
【0069】
次に、測定する前に5分間、試料を25℃で平衡させた。単峰性分析法を用いて90°の散乱角において測定を実施し、水に対して屈折率については1.333、25℃での粘度については0.890センチポアズの値を割り当てた。この方法は、水中の粒子の平均粒度分布および標準偏差を確定した。
【0070】
コールター(登録商標)N4プラス用に設計された石英試料ホルダー内のテトラヒドロフラン(THF)中に試料を分散させることによって水以外の溶剤中の粒子の粒度の測定を実施し、均一な分散系となるように手で振った。
【0071】
測定に対して許容範囲内の散乱強度をもたらす濃度レベルに達するように必要に応じて付加的な希釈を行った。上に記載したように測定を実施したが、以下の変更があった。25℃でのTHFの粘度は0.456センチポアズであると推定され、屈折率は1.407であると推定された。
【0072】
電気接続性
4ワイヤー試験および2つのデイジーチェーン回路を用いて付着されたダイと回路ボードボンディングパッドとの間の接続の電気抵抗を測定することによって、シリコンダイがその上に付着された回路ボードを電気接続性について測定した。4ワイヤー試験は、10ボルトの開放電圧を有する1.0ミリアンペアの電源ドライブを使用した。2つのデイジーチェーン回路のどちらかが1000ミリオームより大きい抵抗を示した場合、ボードは試験に不合格とみなされた。この試験に合格したボードは、750〜900ミリオームのデイジーチェーン回路抵抗を示した。
【0073】
シリコンダイが付着された回路ボードの一般製造法
0.25ミリメートルのピッチを有する64個の外周パッドを有する、それぞれ5ミリメートル×5ミリメートルの寸法のシリコンダイ(インディアナ州、ココモのデルフィ・デルコ・エレクトロニクス・システムズ(Delphi Delco Electronics Systems(Kokomo,IN))から入手可能な商品名「PB10」)を使用し、集積回路チップをその上に有する試験用回路ボードを製造した。ダイ(「チップ」とも称される)を2パッドのジャンパ対で配線し、チップパッド上に約135マイクロメータの直径を有する共融スズ−鉛半田バンプを設けた。無電解メッキニッケル/金で被覆された64個の銅金属化ボンディングパッドを有する、約1×2.5×0.062インチ(2.54×6.35×0.16cm)の寸法のFR−4基板にこれらを付着させた。2つのインターディジテイティッドデイジーチェーンループを用いてダイに接続するように基板の設計および配線を行った。インターディジテイティッド回路を2つの金属配線層を用いて配線したが、その内部領域は回路線のない基板パッドによって境界をつけられた。デイジーチェーンループは、ループ抵抗の微細な変化を4ワイヤー試験検出することを可能にする回路配線を有した。又、これらのループの1つは、単一パッドジャンパ対のほぼ理想的な4ワイヤー試験を可能にする回路配線を有した。以下の領域を除いてボードを半田マスクで覆った。1)すべてのボンディングパッドと交差し、従ってそれらを露出したままにする連続したチャネル、2)基板の反対側の面上の第2のインターディジテイティッドデイジーチェーン配線層に接続されたビア(vias)、3)ポゴピンアレイ試験プローブを用いて電気測定を実施するために用いたビア(インプット/アウトプットパッド)。
【0074】
試験回路ボードを炉内で210℃において10分間、乾燥させ、次いで炉から除去し、室温(約25℃)まで冷却させた。硬化性接着用組成物を約11ミリグラム、3つの方法のうちの1つで適用した。すなわち、1)硬化性樹脂を室温(約25℃(77°F))においてパッドによって境界をつけられた領域の中心に置いた。2)硬化性樹脂を、70℃に予熱されたボード上の境界づけられた領域の中心に適用し(これは、使用されたホットプレートの設定であった)、その後、樹脂およびボードの温度を少なくとも1分間、70℃に維持した。または3)硬化性樹脂を(ホットプレート上で)70℃に予熱されたボード上の境界づけられた領域の中心に適用し、カミソリの歯を樹脂全体にわたって圧伸してそれをボンディングパッドの上に広げ、その後に、ボード上の全樹脂を11ミリグラムにするのに十分な付加的な硬化性樹脂を添加した。次に、樹脂とボードとを少なくとも1分間、70℃に維持した。
【0075】
バンプ形成されたシリコンダイを、2kgの圧力および2秒の停滞時間を用いて室温において東レ半自動式COGボンダー(日本、滋賀県の大津市の東レエンジニアリング社から入手可能)を用いてボード上に配置した。次に、ダイが付着されたボードをカッド(Quad)/QCRゾーン対流リフロー装置(英国、バックス、ハイウィコウムのカッドヨーロッパリミテッド(Quad Europe Limited(High Wycombe,Bucks,UK))から入手可能)に通し、共融スズ/鉛半田リフロープロフィルにかけた。リフローオーブンは、それぞれ、170℃、150℃、150℃、および250℃に設定された約18インチ(46cm)の大体の長さを各々有する4つの温度領域(領域1−4)を有した。15インチ/分(38cm/分)のライン速度を使用した。これは、150℃、最高温度225℃で2分の停滞時間をもたらした。Sn/Pb共融半田の融解温度を超える時間は、接着剤中に埋め込まれた熱電対を用いて測定した時に約75秒であった。チップがそれに接着された試験基板が得られ、上記の「電気接続性」に記載したように測定された。
【0076】
ポリエポキシド樹脂の精製
ここで用いられるポリエポキシド樹脂を精製し、イオン性不純物(例えば、塩化物イオン)を除去し、それらがヒドロキシル官能価を実質的に含有しないようにした。用いた手順は、上に記載した米国特許出願公開第2002−0022709A1号明細書(マーダー(Mader)ら)に記載された手順である。
【実施例】
【0077】
実施例1
エポキシ樹脂と約123ナノメーターの直径を有するシリカ粒子とのブレンドを調製し、次のように評価した。オーバーヘッド撹拌機、冷却器、および温度計を備え、100グラムのナルコTX11005(イリノイ州、シカゴのオンデオナルコ(Ondeo Nalco(Chicago,IL))から入手可能な実験用製品、ロットナンバーXE1H0202A1として得られる、約30重量パーセントの固形分量、約123ナノメートルの粒度、25℃において1.21の比重、25℃において9.5のpH、および6.2センチポアズの粘度を有する、カリウム安定化水性シリカゾル)を含有する反応フラスコに、300グラムの1−メトキシ−2−プロパノールと0.68グラムのフェニルトリメトキシシランとの混合物(ウィスコンシン州、ミルウォーキーのアルドリッチケミカルカンパニー(Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI))から入手可能)を撹拌しながら5分にわたってゆっくりと添加した。次に、加熱用マントルを用いて混合物を95℃まで加熱し、20時間そこに保持した。次いで、加熱用マントルを除去し、フラスコの内容物を、撹拌しながら室温まで冷却させ、その後、内容物をアルミニウムトレー中に流し込み、室温の換気フード内で15〜24時間、空気乾燥させて本質的にさらさらした粉末をもたらした。乾燥粒子の一部を3時間、脱イオン水で撹拌し、その後20時間、放置した。固形分を濾過し、脱イオン水で2回洗浄し、室温の換気フード内で24時間、空気乾燥させ、シランカップリング剤のコーティングをその上に有する、出発直径が約123ナノメーターであるシリカ粒子の、若干の容易に壊れる小さい凝集塊を含有する粉末をもたらした。
【0078】
アセトン、258重量部(pbw)を、乾燥シリカ粒子64.5pbwと混合した。この混合物に、エポン(登録商標)862(テキサス州、ヒューストンのレゾリューションパフォーマンスプロダクションズから入手可能なビスフェノールFのジグリシジルエーテル)23.8pbwおよびMY0510(ニューヨーク州、ブルースターのバンティコから入手可能なパラアミノフェノールのトリグリシジルエーテル)11.7pbwを添加した。このブレンドを約5分間、高速剪断ミキサ(マサチューセッツ州、イーストロングメドウのシルバーソンマシンズ(Silverson Machines(East Longmeadow,MA))から入手可能なシルバーソンラボラトリーミキサモデル(Silverson Laboratory Mixer Model)L4R)を用いて室温において混合し、次いで、室温において少なくとも3時間、放置し、その後、1マイクロメータのガラスシリンジフィルター(ミシガン州、アンアーバーのゲルマンラボラトリー(Gelman Laboratory(Ann Arbor,MI))の1マイクロメータのガラス繊維膜、PN4523Tを有するアクロディスク(Acrodisc)(登録商標)25ミリメートルシリンジフィルター)を通して濾過し、アセトンとエポキシ樹脂との溶液中のシリカ粒子の分散系を提供した。前記分散系を、最初に、アスピレータ真空、次いで真空ポンプを用いて、回転式蒸発器を用いて125℃において45分間、濃縮した。この無触媒マスターバッチ分散系の得られた組成物を熱重量分析(TGA)によって分析し、粒子配合量が64.5重量パーセントであると確認された。
【0079】
このマスターバッチ分散系15グラムに、0.97グラムのエポン(登録商標)862、0.48グラムのMY0510、および2.9グラムのN,N’−ビス(サリチリデン)−1,2−プロパンジアミン(以下の表においてN,N’−BS−1,2−PDと称される)(オレゴン州、ポートランドのTCIアメリカ(TCI America(Portland,OR))から入手可能)を添加し、得られた組成物を3000rpmにおいて5分間、スピードミキサTMDAC150FV(サウスカロライナ州、ランドラムのフラックテック社(Flack Tek Inc.(Landrum,SC))から入手可能)と混合し、無触媒の融剤含有組成物を提供した。この組成物2.0グラムに、エポン(登録商標)862、エポン(登録商標)828(テキサス州、ヒューストンのレゾリューションパフォーマンスプロダクションズから入手可能ビスフェノールAのジグリシジルエーテル)、および4,5−ジフェニルイミダゾール(以下の表において4,5−DPIと称される)の等しい分量(重量に基づく)を含有する触媒混合物0.06グラムを添加した。この組成物を、3400rpmにおいて2分間、スピードミキサTMを用いて混合し、最終硬化性接着用組成物をもたらした。
【0080】
以下の特性、すなわち、粘度(触媒を添加する前)、ガラス転移温度、熱膨張率、およびシリコンダイを回路ボードに付着させるためのアンダーフィル接着剤としての実用性を上記の試験方法に記載したように確認した。アンダーフィル材料として評価するとき、硬化性接着用組成物を、上記の「シリコンダイの付着された回路ボードの一般製造法」に記載された3つの方法の各々を用いて以下のように適用した。すなわち、2つの試料は方法1を用い、4つの試料は方法2を用い、2つの試料は方法3を用いた。
【0081】
実施例2
実施例1を繰り返したが、以下の変更があった。ナルコTX11005を酸性イオン交換樹脂(ウィスコンシン州、ミルウォーキーのアルドリッチケミカルカンパニーから入手可能なアンバーライト(Amberlite)(登録商標)IR−120プラスイオン交換樹脂、カタログNo.21,653−4、スルホン酸官能価を有する強酸性ゲルタイプ樹脂)で処理し(使用する前に、イオン交換樹脂を約30分間、大量の過剰な水に浸漬し、次いで10マイクロメータのナイロン織物メッシュを通して濾過し、これを3回、実施した)、(pHペーパーを用いて測定した時に)約2〜約3のpHをもたらした。これを室温において約30分〜約45分間、撹拌し、その後、10マイクロメータのナイロン織物メッシュを通して濾過した。濾液ゾル(filtrate sol)を水酸化アンモニウムで処理し、(pHペーパーを用いて測定した時に)約8〜約9のpHにした。次に、この材料にシラン表面処理を実施し、実施例1において記載したように、無触媒の融剤含有組成物を調製するために用いた。無触媒の融剤含有組成物6.1グラムに、0.71グラムのエポン(登録商標)862、0.37グラムのMY0510、0.45グラムのN,N’−ビス(サリチリデン)−1,2−プロパンジアミン(以下の表においてN,N’−BS−1,2−PDと称される)、および実施例1において記載した触媒混合物0.27グラムを添加し、最終硬化性接着用組成物をもたらした。
【0082】
以下の特性、すなわち、熱膨張率、およびシリコンダイを回路ボードに付着させるためのアンダーフィル接着剤としての実用性を上記の試験方法に記載したように確認した。アンダーフィル材料として評価するとき、硬化性接着用組成物を、「シリコンダイの付着された回路ボードの一般製造法」に記載された方法1を用いて4つの試料に適用した。
【0083】
実施例3
エポキシ樹脂とそれぞれ20ナノメーターおよび123ナノメーターのおよその粒径を有する2つの異なった寸法のシリカ粒子とを含有するブレンドを調製し、次のように評価した。最初に、実施例1に記載した手順を用いて、一方が比較的小さい粒子を含有し、もう一方がより大きい粒子を含有する、2つの別個のマスターバッチ前駆組成物を調製することによって、エポキシ樹脂中にシリカナノ粒子を含有する無触媒マスターバッチ配合物を提供した。比較的小さい粒子を有するマスターバッチ前駆組成物を、以下の量を用いて製造した。すなわち、700グラムのナルコ2327(イリノイ州、シカゴのオンデオナルコから入手可能な、約40重量パーセントの固形分量、約20ナノメートルの粒度、1.29の比重、25℃において9.3のpH、および20センチポアズの粘度を有する、アンモニウム安定化水性シリカゾル)、1200グラムの1−メトキシ−2−プロパノール、および37グラムのフェニルトリメトキシシランを使用し、シランカップリング剤のコーティングをその上に有する、開始直径が20ナノメートルであるシリカ粒子をもたらした。60pbwのアセトンに溶かした処理された小粒子30pbwに、13.4pbwのエポン(登録商標)862、6.6pbwのMY0510を混合しながら添加し、エポキシ樹脂のアセトン溶液に溶かした処理された小粒子の分散系をもたらした。この分散系を濾過し、約20ナノメーターの出発直径を有するシリカ粒子を含有するマスターバッチ前駆体をもたらした。約123ナノメーターの出発直径を有するシリカ粒子を含有するマスターバッチ前駆組成物を、1.0グラムの固体シリカに対して0.11ミリモルのシランカップリング剤を用いて同様にして調製した。次に、2つの濾過された前駆組成物を1:1(w/w)比率で配合し、出発寸法がそれぞれ約20ナノメーターおよび123ナノメーターである2つの異なった寸法のシリカ粒子を含有する無触媒マスターバッチを濃縮した。配合されたマスターバッチの粒子配合量をTGAによって確認すると、60.1重量パーセントであった。
【0084】
この配合されたマスターバッチブレンド20グラムに、実施例1において記載したようにスピードミキサTMDAC 150FVを用いてN,N’−ビス(サリチリデン)−1,2−プロパンジアミン3.4グラムを添加し、無触媒の融剤含有組成物をもたらした。最後に、この組成物1.9グラムに実施例1において記載した触媒混合物0.06グラムを添加し、最終硬化性接着用組成物をもたらした。
【0085】
以下の特性、すなわち、粘度(触媒を添加する前)、ガラス転移温度、熱膨張率、およびシリコンダイを回路ボードに付着させるためのアンダーフィル接着剤としての実用性を上記の試験方法に記載したように確認した。アンダーフィル材料として評価するとき、硬化性接着用組成物を、上記の「シリコンダイの付着された回路ボードの一般製造法」に記載された3つの方法の各々を用いて以下のように適用した。すなわち、2つの試料は方法1を用い、2つの試料は方法2を用い、4つの試料は方法3を用いた。
【0086】
実施例4
エポキシ樹脂と300ナノメーターの直径を有するシリカ粒子とのブレンドを調製し、次のように評価した。オーバーヘッド撹拌機、冷却器、および温度計を備えた反応フラスコに、「5296964」という名称の水性ゾル200グラム(日本、東京の触媒化学工業株式会社(Catalysts and Chemicals Industries Company,Ltd.(Tokyo,Japan))から得られた、固形分約21.8重量パーセントの固形分量を有する300ナノメーターのシリカ粒子の水性懸濁液)および350グラムの1−メトキシ−2−プロパノールを添加した。かかる粒子を、ストーバー(Stober)ら著、Journal of Colloid and Interface Science,vol.26,62〜69ページ(1968年)に記載された手順を用いて調製することができる。フラスコの内容物を、急速に撹拌しながら90℃まで加熱用マントルで加熱した。混合物のpHが9.5になるまで水酸化アンモニウムを添加し、1時間、90℃において撹拌を続けた。次に、0.87グラムのフェニルトリメトキシシランを添加し、反応物を24時間、上記のように撹拌しながら90℃まで加熱した。次いで、加熱用マントルを除去し、フラスコの内容物を、撹拌しながら室温まで冷却させ、その後、内容物をアルミニウムトレー中に流し込み、室温の換気フード内で24時間、空気乾燥させて本質的にさらさらした粉末をもたらした。乾燥粒子を取り、3時間、脱イオン水で撹拌し、その後、20時間放置した。固形分を濾過し、脱イオン水で2回洗浄し、室温の換気フード内で24時間、空気乾燥させ、シランカップリング剤のコーティングをその上に有する、出発直径が約300ナノメーターであるシリカ粒子の、若干の容易に壊れる小さい凝集塊を含有する粉末をもたらした。
【0087】
エポキシ樹脂ブレンド中のシリカ粒子を含有する無触媒マスターバッチ配合物を、実施例1において記載した手順を用いて調製したが、以下の変更があった。150グラムのアセトンに溶かした乾燥した300ナノメーターの粒子15グラムに、エポキシ樹脂、エポン(登録商標)862:エポン(登録商標)828/1:1(w:w)のブレンド10グラムを高剪断速度で混合しながら添加した。得られた混合物を、最初に、アスピレータ真空、次いで真空ポンプを用いて、回転式蒸発器で150℃において30分間、濃縮し、固形分60.0重量パーセントの粒子配合量の計算値を有する無触媒マスターバッチをもたらした。
【0088】
無触媒の融剤含有組成物を実施例1に記載したようにこのマスターバッチを用いて調製したが、以下の変更があった。5.1グラムのマスターバッチと0.94グラムのN,N’−ビス(サリチリデン)−1,2−プロパンジアミンとを使用した。最後に、この無触媒の融剤含有組成物2.1グラムに、実施例1に記載した触媒混合物0.07グラムを添加し、最終硬化性接着用組成物をもたらした。
【0089】
以下の特性、すなわち、粘度(触媒を添加する前)、ガラス転移温度、およびシリコンダイを回路ボードに付着させるためのアンダーフィル接着剤としての実用性を上記の試験方法に記載したように確認した。アンダーフィル材料として評価するとき、硬化性接着用組成物を、上記の「シリコンダイの付着された回路ボードの一般製造法」に記載された方法1を用いて8つの試料に適用した。
【0090】
実施例5
エポキシ樹脂と約550ナノメーターの直径を有するシリカ粒子とのブレンドを実施例4に記載したように調製および評価したが、以下の変更があった。「5296965」という名称の水性ゾル(日本、東京の触媒化学工業株式会社から得られた、固形分20.6重量パーセントの550ナノメーターのシリカ粒子の水性懸濁液)および0.82グラムのフェニルトリメトキシシランを使用した。かかる粒子を、ストーバー(Stober)ら著、Journal of Colloid and Interface Science,vol.26,62〜69ページ(1968年)に記載された手順を用いて調製することができる。調製後に、シリカ粒子/エポキシ樹脂ブレンドを、ペイントミルを用いてさらに混合し、均一な分散系を確実にした。無触媒マスターバッチが、60.0重量パーセントの粒子配合量の計算値を有した。無触媒の融剤含有組成物を、0.89グラムのN,N’−ビス(サリチリデン)−1,2−プロパンジアミンを用いて調製した。最終硬化性接着用組成物を、実施例1に記載した触媒混合物0.06グラムを用いて調製した。
【0091】
以下の特性、すなわち、粘度(触媒を添加する前)、およびシリコンダイを回路ボードに付着させるためのアンダーフィル接着剤としての実用性を上記の試験方法に記載したように確認した。アンダーフィル材料として評価するとき、硬化性接着用組成物を、上記の「シリコンダイの付着された回路ボードの一般製造法」に記載された方法1を用いて8つの試料に適用した。
【0092】
実施例6
エポキシ樹脂とそれぞれ約20ナノメーターおよび4500ナノメーターの粒径を有する2つの異なった寸法のシリカ粒子とを含有するブレンドを、以下のように調製および評価した。最初に、300グラムのシルスター(SILSTAR)LE−05S(ニューヨーク州、ホワイトプレインズのJCI USA社(JCI USA,Inc.(White Plains,NY))から入手可能な、4.5マイクロメータ(4500ナノメーター)の平均粒径を有する球形シリカ充填剤)、300グラムのエタノール、および300グラムの水を、オーバーヘッド撹拌機、冷却器、および温度計を備えた反応フラスコに添加した。混合物を撹拌し、60℃まで加熱し、pHが9〜10になるまで、60℃に達した後に撹拌を続けながら水酸化アンモニウムを添加した。60℃での撹拌を1時間続けた。次に、60〜65℃の温度に維持したまま、撹拌しつつ、フェニルトリメトキシシラン5.95グラムを添加した。次いで、さらに24時間、60〜65℃において撹拌した後に混合物を濾過し、400グラムの水で、その後に、400グラムのエタノールで洗浄し、周囲条件において一晩乾燥させ、次いで4時間、100℃で乾燥させた。乾燥粒子を300マイクロメータの金属スクリーンを通してふるい分けし、シランカップリング剤のコーティングをその上に有する、出発平均直径が約4500ナノメーターであるシリカ粒子の粉末をもたらした。
【0093】
エポキシ樹脂ブレンド中のシリカ粒子を含有する無触媒マスターバッチ配合物を、実施例1に記載した手順を用いて調製したが、以下の変更があった。比較的小さい(20ナノメーター)シランカップリング剤の被覆された使用したシリカ粒子を実施例3に記載したように調製した。これらの比較的小さいシリカ粒子にエポキシ樹脂を配合し、濾過し、濃縮して、TGAによって測定した時に固形分42.5重量パーセントの粒子配合量を有するマスターバッチ前駆組成物のバッチをもたらした。
【0094】
この無触媒組成物18.1グラムに、予め調製したシランカップリング剤の被覆された7500ナノメーターのシリカ粒子7.7グラムおよびN,N’−ビス(サリチリデン)−1,2−プロパンジアミン4.5グラムを添加した。得られた組成物を、実施例1に記載したようにスピードミキサTMDAC150FVによって混合し、無触媒の融剤含有組成物をもたらした。実施例1に記載したように無触媒の融剤含有組成物2.2グラムと触媒混合物0.06グラムとを配合することによって、触媒添加された最終融剤含有組成物を調製した。この最終硬化性接着用組成物は、固形分50.0パーセントの粒子配合量の計算値を有し、比較的小さいシリカ粒子と比較的大きいシリカ粒子の等量を有した。
【0095】
以下の特性、すなわち、粘度(触媒を添加する前)、およびシリコンダイを回路ボードに付着させるためのアンダーフィル接着剤としての実用性を上記の試験方法に記載したように確認した。アンダーフィル材料として評価するとき、硬化性接着用組成物を、「シリコンダイの付着された回路ボードの一般製造法」に記載された方法1を用いて4つの試料に適用した。
【0096】
実施例7
エポキシ樹脂と2つの異なった寸法のシリカ粒子(それぞれおよその粒度20ナノメーターおよび2000ナノメーターを有する)とを含有するブレンドを、以下のように調製および評価した。実施例6を繰り返したが、以下の変更があった。4500ナノメーターのシリカ粒子の代わりに、シルスターLE−02S(ニューヨーク州、ホワイトプレインズのJCI USA社から入手可能な10マイクロメータより小さい最大粒度を有する、2.0マイクロメータ(2000ナノメーター)の粒径を有する球状シリカ充填剤(D50、マイクロトラック(MicroTrac))、水およびエタノール各々100グラムを1.5グラムのフェニルトリメトキシシランと共に用いて調製したシランカップリング剤被覆シリカ粒子を用いた。シランカップリング剤を添加した後に、混合物を60℃において16時間、撹拌した。水およびエタノールで洗浄した後に、処理シリカ粒子を100℃において3時間、真空オーブン中で乾燥させ、シランカップリング剤のコーティングをその上に有する、出発平均直径が2000ナノメーターであるシリカ粒子をもたらした。処理粒子はふるい分けされなかった。
【0097】
比較的小さい粒子を含有する無触媒組成物17.7グラムに、予め調製した、シランカップリング剤の被覆された2000ナノメーターのシリカ粒子7.5グラムおよびN,N’−ビス(サリチリデン)−1,2−プロパンジアミン4.4グラムを添加し、無触媒の融剤含有組成物をもたらした。実施例1に記載したように無触媒の融剤含有組成物2.1グラムと触媒混合物0.06グラムとを配合することによって、触媒添加された最終融剤含有組成物を調製した。この最終硬化性接着用組成物は、固形分50.0重量パーセントの粒子配合量の計算値を有し、比較的小さいシリカ粒子と比較的大きいシリカ粒子の等量を有した。
【0098】
以下の特性、すなわち、粘度(触媒を添加する前)、およびシリコンダイを回路ボードに付着させるためのアンダーフィル接着剤としての実用性を上記の試験方法に記載したように確認した。アンダーフィル材料として評価するとき、硬化性接着用組成物を、「シリコンダイの付着された回路ボードの一般製造法」に記載された方法1を用いて4つの試料に適用した。
【0099】
実施例8
実施例1を繰り返したが、以下の変更があった。700グラムのナルコ、TX11005に、アンバーライトIR−120プラスイオン交換樹脂3.0グラムを添加し、混合物を室温において30分間、撹拌した。次に、イオン交換樹脂を10マイクロメータのメッシュサイズを有するクロスを用いて除去した。前記溶液を反応フラスコ中に戻し、pHペーパーで測定した時に分散系がpH=9を示すまで水酸化アンモニウム水溶液を滴下した。1400グラムの1−メトキシ−2−プロパノールと4.8グラムのフェニルトリメトキシシランとの予混合溶液を、撹拌しながら約5分にわたってゆっくりと添加し、得られた混合物を90℃において24時間、撹拌した。得られた分散系を取り、一晩、室温において乾燥させた。シランカップリング剤のコーティングをその上に有する、出発直径が約123ナノメーターであるシリカ粒子の、若干の容易に壊れる小さい凝集塊を含有する粉末が得られた。アセトン750グラムを、乾燥したシリカ粒子250グラムと混合した。この分散系を約5分間、高速剪断ミキサを用いて室温において混合し、次いで、室温において2時間放置し、その後、1マイクロメータガラスシリンジフィルターを通して濾過し、(加熱オーブン内で蒸発によって測定した時に)アセトンに溶かしたシリカ粒子の固形分24パーセントの分散系をもたらした。この分散系480グラムに15.0グラムのエポン(登録商標)862および16.1グラムの4−ヘキサヒドロメチル無水フタル酸を添加した。前記分散系を、真空ポンプを備えた回転式蒸発器を用いて125℃において40分間、濃縮した。この無触媒マスターバッチ分散系の組成をTGAによって分析し、粒子配合量を確認すると64.3パーセントであった。この無触媒マスターバッチ分散系44.6グラムに、4.0グラムのエポン(登録商標)828、2.2グラムの4−ヘキサヒドロメチル無水フタル酸、1.64グラムの2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−n−酪酸、および0.23グラムのテトラブチルホスホニウムテトラフェニルボレートを添加した。得られた混合物を3400rpmにおいて5分間、スピードミキサ(SpeedMixer)TMで混合し、最終硬化性接着用組成物をもたらした。
【0100】
以下の特性、すなわち、粘度、ガラス転移温度、熱膨張率、およびシリコンダイを回路ボードに付着させるためのアンダーフィル接着剤としての実用性を上記の試験方法に記載したように確認した。アンダーフィル材料として評価するとき、硬化性接着用組成物を、上記の「シリコンダイの付着された回路ボードの一般製造法」に記載された方法1を用いて適用した。
【0101】
比較例1
ポリエポキシド樹脂と4500ナノメーターの平均直径を有するシリカ粒子とのブレンドを以下のように調製および評価した。スピードミックス(Speed Mix)TMカップ(サウスカロライナ州、ランドラムのフラックテック社(Flack Tek Inc.,Landrum,SC)から入手可能)に、4.7グラムのエポン(登録商標)862、2.3グラムのMY0510、および3.0グラムのN,N’−ビス(サリチリデン)−1,2−プロパンジアミン(実施例6に記載したように処理された)、10グラムのシルスター(Silstar)LE−05Sおよび0.4グラムのCAB−OSIL(登録商標)TS−720(イリノイ州、タスコラのキャボット・コーポレーション(Cabot Corporation(Tuscola,IL))から入手可能な(疎水性)ヒュームドシリカ)を添加した。この混合物を3000rpmにおいて5分間、スピードミキサTMを用いて撹拌し、無触媒の融剤含有組成物をもたらした。実施例1に記載したように2.2グラムの無触媒の融剤含有組成物と0.07グラムの触媒混合物とを配合することによって、最終硬化性接着用組成物を調製した。
【0102】
以下の特性、すなわち、粘度(触媒を添加する前)、ガラス転移温度、熱膨張率、およびシリコンダイを回路ボードに付着させるためのアンダーフィル接着剤としての実用性を上記の試験方法に記載したように確認した。アンダーフィル材料として評価するとき、硬化性接着用組成物を、上記の「シリコンダイの付着された回路ボードの一般製造法」に記載された3つの方法の2つを用いて以下のように適用した。すなわち、8つの試料は方法1を用い、4つの試料は方法2を用いた。
【0103】
比較例2
ポリエポキシド樹脂と2000ナノメーターの粒径を有するシリカ粒子とのブレンドを比較例1に記載したように調製および評価したが、以下の変更があった。実施例7において調製したように処理されたシルスターLE−02SをシルスターLE−05Sの代わりに用いた。実施例1に記載したように2.4グラムの無触媒の融剤含有組成物と0.07グラムの触媒混合物とを配合することによって、最終硬化性接着用組成物を調製した。
【0104】
以下の特性、すなわち、粘度(触媒を添加する前)およびシリコンダイを回路ボードに付着させるためのアンダーフィル接着剤としての実用性を上記の試験方法に記載したように確認した。アンダーフィル材料として評価するとき、硬化性接着用組成物を、上記の「シリコンダイの付着された回路ボードの一般製造法」に記載された3つの方法の2つを用いて以下のように適用した。すなわち、6つの試料は方法1を用い、2つの試料は方法2を用いた。
【0105】
比較例3
融剤および硬化触媒を含有するが本発明のナノメーターサイズのシリカ粒子を含有しないポリエポキシド樹脂ブレンドを比較例1に記載したように調製したが、以下の変更があった。使用した成分および量は、15グラムのエポン(登録商標)862、7.5グラムのMY0510、9.6グラムのN,N’−ビス(サリチリデン)−1,2−プロパンジアミン(9.6g)、および0.66グラムのTS−720であった。実施例1に記載したように1.8グラムの無触媒の融剤含有組成物と0.11グラムの触媒混合物とを配合することによって、最終硬化性接着用組成物を調製した。
【0106】
以下の特性、すなわち、粘度(触媒を添加する前)、ガラス転移温度、熱膨張率、およびシリコンダイを回路ボードに付着させるためのアンダーフィル接着剤としての実用性を上記の試験方法に記載したように確認した。アンダーフィル材料として評価するとき、硬化性接着用組成物を、上記の「シリコンダイの付着された回路ボードの一般製造法」に記載された3つの方法の2つを用いて以下のように適用した。すなわち、3つの試料は方法1を用い、2つの試料は方法2を用いた。
【0107】
【表1】

【表2】

【0108】
【表3】

【0109】
実施例9
実施例1を繰り返したが、以下の変更があった。450グラムのナルコ、TX11005に、700グラムの1−メトキシ−2−プロパノールと3.07グラムのフェニルトリメトキシシランとの混合物を撹拌しながら約5分間にわたってゆっくりと添加した。乾燥粒子を取り、2時間、脱イオン水で撹拌し、次に、20時間放置した。シランカップリング剤のコーティングをその上に有する、出発直径が約123ナノメーターであるシリカ粒子の、若干の容易に壊れる小さい凝集塊を含有する粉末が得られた。アセトン150pbwを、乾燥したシリカ粒子38.4pbwと混合した。この分散系を約5分間、高速剪断ミキサを用いて室温において混合し、次いで、室温において少なくとも4時間放置し、その後、1マイクロメータのガラスシリンジフィルターを通して濾過し、(加熱オーブン内で蒸発によって測定した時に)アセトンに溶かしたシリカ粒子の固形分18.1パーセントの分散系をもたらした。この分散系155グラムに、15.0グラムのエポン(登録商標)862および13.4グラムの4−ヘキサヒドロメチル無水フタル酸をゆるやかに混合しながら添加した。前記分散系を、最初にアスピレータ真空、次いで真空ポンプを用いて、回転式蒸発器を用いて125℃において20分間、濃縮した。51gのこの無触媒マスターバッチ分散系に、0.26グラムの1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール(日本、香川の四国化成から入手可能な「キュアゾール(Curezol)2E4MZ−CN」)を添加し、得られた組成物を3分間、スピードミキサTMで混合し、最終硬化性接着用組成物をもたらした。この材料の粘度を、上記の「粘度」試験方法に記載したように測定すると、39.0ポアズ(3.9Pa−sec.)であった。この最終硬化性組成物を次のように毛管アンダーフィルとして評価した。
【0110】
半田バンプ形成フリップチップがそれに対して接着された試験ボードを設けた。約14ミリグラムの最終硬化性組成物が部分的にフリップチップの外面の周りに容易に分散され、ボード基板とフリップチップの間にすぐに吸上げられ、この領域を完全にふさぐのが観察された。これを150℃において40分間、硬化させた。これらの結果は、毛管プロセスを用いて本発明の最終硬化性組成物を適用することができることを示す。
【0111】
実施例10Aおよび10B
水性ゾル中のナノ粒子の粒度を、シラン表面処理を実施してポリエポキシド樹脂中に混合する前と後の両方に測定した。より詳しくは、水性ゾルナルコTX11005の試料を、「粒度の測定」において記載したように粒度について測定し(これは実施例10Aとされる)、次に、実施例1に記載したようにシラン表面処理が行われる。処理ナノ粒子7.5パーセント(w/w)を含有する得られた1−メトキシ−2−プロパノール混合物266pbwに、エポン(登録商標)828を20pbw、添加した。次に、1時間、この時間にわたり温度を125℃まで上昇させる間に回転式蒸発器および真空ポンプを用いて水および溶剤を除去し、表面処理ナノ粒子をその中に有するポリエポキシド樹脂の均一な、非凝集分散系をもたらした。「粒度の測定」に記載したようにこの樹脂を粒度について評価した(これは実施例10Bとされる)。結果を表3に示す。
【0112】
比較例4
実施例10Bを繰り返したが、以下の変更があった。200pbwの1−メトキシ−2−プロパノールに、水性ゾルのナルコTX11005を66.6pbw添加し、未処理ナノ粒子の均一な分散系をもたらした。この分散系に、20pbwのエポン(登録商標)828を添加した。このブレンドを濃縮したとき、水および溶剤の約半分を除去した後に硬質ゲルが形成された。
【0113】
実施例11Aおよび11B
水性ゾルナルコ2329(イリノイ州、シカゴのオンデオナルコから入手可能な、40重量パーセントの固形分量、75ナノメートルの粒度、40g/m2の表面積、25℃において1.29の比重、25℃において8.4のpH、および10センチポアズの粘度を有する、ナトリウム安定化水性シリカゾル)(これは実施例11Aと呼ばれる)、およびシラン表面処理の行われた後にこれらの粒子を含有するポリエポキシド樹脂の均一な、非凝集分散系(これは実施例11Bとされる)について粒度の測定を実施した。結果を表3に示す。
【0114】
比較例5
実施例11Bを、未処理ナノ粒子が使用される比較例4について記載したのと同様に繰り返し、比較例4のように、ブレンドが濃縮される間に硬質ゲルが形成された。
【0115】
実施例12Aおよび12B
実施例10Aおよび10Bについて記載したのと同様に、「5296965」と呼ばれる水性ゾル(これは実施例12Aとされる)、およびシラン表面処理の行われた後にこれらの粒子を含有するポリエポキシド樹脂の均一な、非凝集分散系(これは実施例12Bとされる)について粒度の測定を実施した。結果を表3に示す。
【0116】
比較例6
実施例12Bを、未処理ナノ粒子が使用される比較例4について記載したのと同様に繰り返した。これは、ブレンドの濃縮後にポリエポキシド樹脂中の凝集粒子の粗粒状分散系をもたらした。
【0117】
実施例13
実施例10Aについて記載したのと同様に、「5296964」と呼ばれる水性ゾルについて粒度の測定を実施した(これは、実施例13とされる)。結果を表3に示す。
【0118】
【表4】

本発明に関連する発明の実施の形態について以下に列挙する。
[実施形態1]
基板に電気的に接着されて基板との間にアンダーフィル接着剤を有する電子部品を含み、前記アンダーフィル接着剤が、ポリエポキシド樹脂と、硬化触媒と、実質的に球形の非凝集、非晶質かつ固体である表面処理ナノ粒子との混合物を含む硬化性アンダーフィル接着用組成物の反応生成物を含む、電子アセンブリ。
[実施形態2]
前記硬化性アンダーフィル接着用組成物が融剤をさらに含む、実施形態1に記載の電子アセンブリ。
[実施形態3]
前記表面処理ナノ粒子が5〜600ナノメートルの平均粒度を有する、実施形態1に記載の電子アセンブリ。
[実施形態4]
前記表面処理ナノ粒子が30〜70重量パーセントの量において前記アンダーフィル接着剤中に存在している、実施形態1に記載の電子アセンブリ。
[実施形態5]
前記表面処理ナノ粒子がオルガノシランで表面処理される、実施形態1に記載の電子アセンブリ。
[実施形態6]
前記アンダーフィル接着剤の熱膨張率が20〜50ppm/℃の範囲である、実施形態1に記載の電子アセンブリ。
[実施形態7]
前記表面処理ナノ粒子がシリカを含む、実施形態1に記載の電子アセンブリ。
[実施形態8]
前記ポリエポキシドが、全組成物100部当たり10〜70部の量において前記アンダーフィル接着剤中に存在している、実施形態1に記載の電子アセンブリ。
[実施形態9]
前記表面処理ナノ粒子が、35〜65重量パーセントの量において前記アンダーフィル接着剤中に存在している、実施形態1に記載の電子アセンブリ。
[実施形態10]
前記ポリエポキシドがヒドロキシル官能価を実質的に含まない、実施形態1に記載の電子アセンブリ。
[実施形態11]
前記表面処理ナノ粒子が10〜300ナノメートルの平均粒度を有する、実施形態1に記載の電子アセンブリ。
[実施形態12]
前記表面処理ナノ粒子が20〜150ナノメートルの平均粒度を有する、実施形態1に記載の電子アセンブリ。
[実施形態13]
前記表面処理ナノ粒子が20〜125ナノメートルの平均粒度を有する、実施形態1に記載の電子アセンブリ。
[実施形態14]
前記表面処理ナノ粒子が100〜500ナノメートルの平均粒度を有する、実施形態1に記載の電子アセンブリ。
[実施形態15]
前記融剤がカルボン酸、酸無水物、キレート剤、およびその組合せからなる群から選択される、実施形態2に記載の電子アセンブリ。
[実施形態16]
前記ポリエポキシドがビスフェノールFのジグリシジルエーテルとパラアミノフェノールのトリグリシジルエーテルとの混合物である、実施形態1に記載の電子アセンブリ。
[実施形態17]
前記表面処理ナノ粒子が、2つ以上の表面処理ナノ粒子のブレンドを含み、各々が10〜150ナノメートルの平均粒度を有する、実施形態1に記載の電子アセンブリ。
[実施形態18]
1マイクロメータより大きい平均粒径を有する充填剤粒子をさらに含む、実施形態1に記載の電子アセンブリ。
[実施形態19]
前記電子部品が、集積回路チップ、抵抗器、キャパシタ、パッケージ、およびその組合せからなる群から選択される、実施形態1に記載の電子アセンブリ。
[実施形態20]
前記基板がプリント回路基板またはフレキシブル回路である、実施形態1に記載の電子アセンブリ。
[実施形態21]
電子部品を提供する工程と、
基板を提供する工程と(ここで前記電子部品または前記基板のどちらか一方が半田バンプを有し、他方が電気ボンディングパッドを有している)、
ポリエポキシド樹脂と、
硬化触媒と、
融剤と、
実質的に球形の非凝集、非晶質かつ固体である表面処理ナノ粒子と
を含む硬化性アンダーフィル接着用組成物を提供する工程と、
前記半田バンプが前記電気ボンディングパッドと整列して硬化性アセンブリを形成するように前記硬化性組成物を前記電子部品と前記基板との間に配置する工程と、
前記硬化性アセンブリに熱を加えて前記接着用組成物を硬化させる工程とを含む電気アセンブリの製造方法。
[実施形態22]
前記硬化性アンダーフィル接着用組成物が、前記半田バンプを前記電気ボンディングパッドと整列させる前に前記電子部品と前記基板との間に配置される、実施形態21に記載の方法。
[実施形態23]
前記硬化性アンダーフィル接着用組成物が、前記半田バンプを前記電気ボンディングパッドと整列させて、前記半田をリフローさせた後に前記電子部品と前記基板との間に配置される、実施形態21に記載の方法。
[実施形態24]
前記硬化性アンダーフィル接着剤組成物の粘度が25℃において1,000〜100,000センチポアズの範囲である、実施形態21に記載の方法。
[実施形態25]
前記表面処理ナノ粒子が5〜600ナノメートルの平均粒度を有する、実施形態21に記載の方法。
[実施形態26]
前記表面処理ナノ粒子が、30〜70重量パーセントの量において前記アンダーフィル接着剤中に存在している、実施形態21に記載の方法。
[実施形態27]
前記表面処理ナノ粒子がシリカを含む、実施形態21に記載の方法。
[実施形態28]
熱が適用されてさらに前記半田をリフローさせる、実施形態21に記載の方法。
[実施形態29]
前記表面処理ナノ粒子が、35〜65重量パーセントの量において前記硬化性アンダーフィル接着用組成物中に存在している、実施形態21に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に電気的に接着されて基板との間にアンダーフィル接着剤を有する電子部品を含み、前記アンダーフィル接着剤が、ポリエポキシド樹脂と、硬化触媒と、融剤と、球形の非凝集、非晶質かつ固体である表面処理ナノ粒子との混合物から本質的になる硬化性アンダーフィル接着用組成物の反応生成物を含む、ここで、前記化性アンダーフィル接着用組成物は25℃における粘度が1,000〜100,000センチポアズである、電子アセンブリ。
【請求項2】
さらに、前記表面処理ナノ粒子が5〜600ナノメートルの平均粒度を有する、請求高1に記載の電子アセンブリ。
【請求項3】
請求項1記載の電子アセンブリを製造する方法であって、電子部品を提供する工程と、
基板を提供する工程と(ここで前記電子部品または前記基板のどちらか一方が半田バンプを有し、他方が電気ボンディングパッドを有している)、
ポリエポキシド樹脂と、
硬化触媒と、
融剤と、
球形の非凝集、非晶質かつ固体である表面処理ナノ粒子と
から本質的になる硬化性アンダーフィル接着用組成物を提供する工程と、
前記半田バンプが前記電気ボンディングパッドと整列して硬化性アセンブリを形成するように前記硬化性組成物を前記電子部品と前記基板との間に配置する工程と、
前記硬化性アセンブリに熱を加えて前記接着用組成物を硬化させる工程とを含む、電子アセンブリの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−177679(P2010−177679A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53565(P2010−53565)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【分割の表示】特願2004−507300(P2004−507300)の分割
【原出願日】平成15年5月13日(2003.5.13)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】