説明

ナノ線メモリ

【課題】単純な構造のナノ点を有するメモリを利用してマルチレベルを保存することができるメモリ素子を提供する。
【解決手段】ソース210及びソース210と対応するドレイン220と、ソース210とドレイン220との間を連結するように形成されているナノチャンネル230とを含み、ナノチャンネル230は、ソース210及びドレイン220の電圧によってソース210とドレイン220との間を電気的に連結するナノ線と、ナノ線上に吸着されて形成され、電荷を補集する複数のポテンシャルを有するナノ点とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ線メモリに関する。より詳細には、ナノ線をチャンネルとして有し、ナノ線に吸着されているナノ点(nano dot)を利用したナノ線メモリに関する。
【背景技術】
【0002】
ナノ点を含む不揮発性メモリは、ゲート電極に負又は正の電圧を印加し、ナノ点に電荷を注入又は排出しつつ、ソースとドレイン上のしきい電圧を変動させることによって、メモリとして動作する。このようなメモリは、その工程が一般的な半導体工程のように多くのプロセスを経由するようになり、このような複雑な工程を利用することによって、工程費用が高く策定することができるという問題がある。また、従来のメモリは、その状態が2つ、すなわち1又は0の形態を有するようになり、マルチレベルの形態を保存することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国登録特許第10−0783188号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10−0061932号公報
【特許文献3】特開2006−228844号公報
【特許文献4】特開2008−004791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、単純な構造のナノ点を有するメモリを利用してマルチレベルを保存することができるメモリ素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係るナノ線メモリは、ソース及び前記ソースと対応するドレインと、前記ソースと前記ドレインとの間を連結するように形成されているナノチャンネルと、を含み、前記ナノチャンネルは、前記ソース及び前記ドレインの電圧によって前記ソースと前記ドレインとの間を電気的に連結するナノ線と、前記ナノ線上に形成され、電荷を補集する複数のポテンシャルを有するナノ点とを含むことを特徴とする。
【0006】
前記ナノ線は、ドーピングされた半導体で形成することができる。
【0007】
前記ナノ点は、ドーピングされた半導体又は半導体物質と金属の合成であるシリサイド物質で形成することができる。
【0008】
前記ナノチャンネルは、1つ以上の前記ナノ点を含むことができる。
【0009】
前記ソース及び前記ドレインは、金属を含むシリサイドで形成することができる。
【0010】
前記ナノ線メモリは、前記ナノ点に隣接し、前記ナノ点のポテンシャルエネルギーの高さを調節するゲートをさらに含むことができる。
【0011】
前記ナノ線メモリは、前記ナノ点の数と同一の数の前記ゲートを含むことができる。
【0012】
前記ナノ線メモリは、複数の前記ゲートを介して前記ナノ点のポテンシャルエネルギーを順次的に又は非順次調節することができる。
【0013】
複数の前記ナノ点の電荷濃度をそれぞれ調節し、不揮発性と揮発性のハイブリッド形態を有することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるナノ線不揮発性メモリは、単純な形態の構造を有するので、工程が単純になり、ゲートを利用して複数のエネルギー状態を調節することによって、マルチレベルの電流レベルを作ることができ、ゲート及びエネルギー準位を調節することによって、不揮発性メモリ又は揮発性メモリとして動作可能であり、エネルギー準位を調節するゲートをさらに設けることによって、揮発性メモリと不揮発性メモリのハイブリッド構造を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施例に係るナノ線メモリの平面図である。
【図2】図1のナノ線チャンネルを拡大した断面図である。
【図3】電圧によるナノ線メモリの状態を示す構成図である。
【図4】図1のナノ線メモリの動作原理を示す構成図である。
【図5】本発明の第1実施例による電流−電圧曲線である。
【図6】本発明の第2実施例に係るナノ線メモリの平面図である。
【図7】図6のナノ線メモリの動作原理を示すグラフである。
【図8】図6のナノ線メモリの動作原理を示すグラフである。
【図9】図6のナノ線メモリの動作原理を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照して本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように本発明の実施例を詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されるものではない。なお、図面において、本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分を省略し、明細書全般において、同様の部分に同様の参照符号を付けた。
【0017】
明細書全般において、ある部分が任意の構成要素を「含む」とするとき、これは別段の定めがない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0018】
以下、図1乃至図5を参照して、本発明によるナノ線メモリについて説明する。図1は、本発明の第1実施例に係るナノ線メモリの平面図であり、図2は、図1のナノ線チャンネルを拡大した断面図である。
【0019】
図1を参照すれば、本発明の第1実施例に係るナノ線メモリは、基板200上にソース210とドレイン220及びナノチャンネル230を含む。すなわち、基板200上にソース210とドレイン220が離隔されて形成され、ソース210とドレイン220との間を連結するようにナノチャンネル230が形成されている。
【0020】
図2のように、ナノチャンネル230は、ソース210とドレイン220との間の露出された基板200の上にナノ線233、すなわちナノワイヤで形成され、ナノ線233で形成されたナノチャンネル230の上に複数のナノ点(nano dot)235が吸着されて形成されている。
【0021】
基板200は、シリコン、ガラス、その他の絶縁性を有する物質で形成されており、ソース210とドレイン220は、金属とのシリサイド、ドーピングされたシリコン及び半導体とドーピングされた半導体で形成されることができ、ナノチャンネル230を形成するナノ線233は、ドーピングされた半導体で形成され、ナノ点235は、ドーピングされた半導体又は金属を利用してナノ線233の上に直接吸着させることによって形成することができる。
【0022】
本発明の第1実施例に係るナノ線メモリは、別途のゲート及びゲート絶縁膜を含まないので、製造工程が単純化される。
【0023】
以下、図1のナノ線メモリの動作原理について説明する。図3は、電圧によるナノ線メモリの状態を示す構成図であり、図4は、図1のナノ線メモリの動作原理を示す構成図であり、図5は、本発明の第1実施例による電流−電圧曲線である。
【0024】
図3は、本発明の第1実施例の一例として、Pdナノ点235がV25ナノ線233、すなわちナノチャンネルの上に吸着されて形成されたナノ線メモリを示すものである。
【0025】
Pdナノ点235がV25ナノ線233に吸着された初期の状態は、A状態の通りである。
【0026】
すなわち、ナノ点235がナノ線233の上に吸着されることによって、ナノ線233とナノ点235との間には、ナノショットキー障壁が形成される。点線で表示された部分は、ナノ線に形成される空乏領域510である。
【0027】
ナノ点235では、図3のように、電荷が丸く分布する。このような状態は、ナノ点235とナノ線233の上に水520が吸着された時、B状態のようにその領域が拡大される。すなわち、ナノ線233の空乏領域510とナノ点235での電子分布領域がそれぞれ拡大される。
【0028】
このような空乏領域510が増加し、且つ空乏領域510に正の電荷を有する欠点ポテンシャル(defect potential)が形成されるため、流れる電流の量が電圧の大きさによって異なって分布するようになる。
【0029】
図4及び図5を参照すれば、まず、空乏領域510に起因して、ナノ点235の周囲には、ナノショトキー障壁が形成され、このような障壁の形成によって、低いソース−ドレイン電圧V=V1では、非常に小さい電子流れ530が発生し、電流の量がI状態のように低い値を示す。
【0030】
しかし、電圧の大きさがますます高くなるにつれて、電圧に起因して発生するポテンシャルは、空乏による障壁より高くなり、これにより、電子流れ530が非常に大きくなり、電流の値は、II状態のように急激に増加する。このような電圧がますます大きくなれば、III状態に発展し、この際、ナノ−ショトキー障壁より高いエネルギーを有するポテンシャルを有するようになる。このため、ソース−ドレイン間の電子は、ナノ点235に流れ込むようになり、ナノ点235に補集される状態となる。
【0031】
III状態で電圧を低減すれば、電子の補集が続くと共に、補集された電子がナノ点235から離脱し、電子流れ530として取り出される。
【0032】
しかし、IV状態のように、ナノ点235から離脱される電子は、空乏領域510に存在する正の電荷との引力に起因して、補集される電子の量に比べて少ない量で排出される。したがって、IV状態の電流の値もIII状態より低い値を示す。
【0033】
しかし、電圧が次第に減少すれば、正電荷との引力によってとどまっていたナノ点内の電子の離脱が加速化され、このため、VとVI状態になる。この際、VI状態では、同一の電圧であるI状態より多い電流を流す。
【0034】
すなわち、空乏領域510に正電荷が分布し、且つナノ点235内に流入された電子が排出される時、空乏領域510の正電荷によって引力が発生し、外部に排出されるときの電流が流入されるときの電流と異なる値を有するヒステリシスを示すようになる。
【0035】
このように、本発明の第1実施例に係るナノ線メモリ素子は、別途のゲート絶縁膜及びゲート電極による電流の流れでなく、ドレイン電圧を調節し、ナノ点に電荷を閉じ込むことによって、メモリ動作が可能である。
【0036】
以下、図6乃至図9を参照して本発明の第2実施例について説明する。図6は、本発明の第2実施例に係るナノ線メモリの平面図であり、図7乃至図9は、図6のナノ線メモリの動作原理を示すグラフである。
【0037】
図6を参照すれば、ナノ線メモリは、図1と同様の構造を有する。すなわち、基板610の上に対応するソース630とドレイン620が形成され、ソース630とドレイン620との間にナノチャンネル690が形成されている。
【0038】
また、第2実施例に係るナノ線メモリは、ナノチャンネル690上のナノ点660、680の数と同一の数のゲート640、650をさらに含む。
【0039】
すなわち、図6のように、ナノ点660、680が2つである場合、2つのゲート640、650それぞれのナノ点660、680に対応して形成されている。
【0040】
このようなゲート640、650は、対応するナノ点660、680のポテンシャルエネルギーをそれぞれ調節し、具体的な動作は、図7乃至図9に示された通りである。
【0041】
図7を参照すれば、第1実施例のように、ドレインに正の電圧が加えられたとき、各欠点ポテンシャルは、ソースのフェルミレベルより低くなり、それぞれの欠点ポテンシャルは、電荷で満たされる。
【0042】
このように満たされた電荷は、ゲート電圧が印加されていない図7の状態では、ドレイン側に流れるようになる。
【0043】
この際、図8及び図9のように、それぞれの欠点ポテンシャルにかかっているゲート電圧を調節し、図8のように、ゲート電圧を高めれば、欠点ポテンシャルの深さが深くなるため、欠点ポテンシャルにとどまっている電荷は、ドレイン側にトンネリングすることが難しくなるので、不揮発性メモリとして動作し、図9のように、それぞれの欠点ポテンシャルにかかっているゲート電圧を低めれば、欠点ポテンシャルの深さが低くなり、電荷が補集されないため、ソースからドレインまで電荷の移動が発生する。
【0044】
このような方法を利用してそれぞれナノ点での電荷の量を調節することによって、マルチレベルの信号を保存することができる。すなわち、複数のナノ点及びゲート電圧を調節することによって現われる安定した電流の値を複数個で調節し、マルチレベル信号を制御することができる。
【0045】
したがって、不揮発性を有するナノ線メモリを示す第1実施例とは異なって、第2実施例のナノ線メモリは、揮発性及び不揮発性をゲートを利用して調節することができる。
【0046】
また、このような欠点ポテンシャルの深さを調節することによって、不揮発性と揮発性メモリのハイブリッド構造を示すことができる。
【0047】
すなわち、ナノ点の大きさ及び電荷の濃度を調節することによって、欠点ポテンシャルの深さが変わるようになる。このように異なって現われるポテンシャルの深さを利用して不揮発性及び揮発性メモリハイブリッド形態を具現することができる。
【0048】
例えば、図7のように、2つのゲート640、650を用いてエネルギーを調節するナノ線メモリの場合、両方のナノ点が互いに異なる電荷濃度を有すれば、低い電荷濃度を有するナノ点は、揮発性メモリとして使用可能であり、高い電荷濃度を有するナノ点は不揮発性メモリとして活用可能である。
【0049】
電荷の濃度が高いほど、深いポテンシャル井戸を形成すると共に、空乏領域に正電荷を多く有するようになるので、不揮発性メモリとして活用され、低い濃度を有するナノ点は、ゲート電極を利用してそのポテンシャルの深さを調節することによって、揮発性メモリとして活用可能である。
【0050】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明の権利は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明及び添付の図面の範囲内で様々に変形して実
施することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
200 基板
210 ソース
220 ドレイン
230 ナノチャンネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース及び前記ソースと対応するドレインと、
前記ソースと前記ドレインとの間を連結するように形成されているナノチャンネルと
を含み、
前記ナノチャンネルは、
前記ソース及び前記ドレインの電圧によって前記ソースと前記ドレインとの間を電気的に連結するナノ線と、
前記ナノ線上に形成され、電荷を補集する複数のポテンシャルを有するナノ点と
を含むことを特徴とするナノ線メモリ。
【請求項2】
前記ナノ線は、ドーピングされた半導体で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のナノ線メモリ。
【請求項3】
前記ナノ点は、ドーピングされた半導体又は半導体物質と金属の合成であるシリサイド物質で形成されていることを特徴とする請求項2に記載のナノ線メモリ。
【請求項4】
前記ナノチャンネルは、1つ以上の前記ナノ点を含むことを特徴とする請求項3に記載のナノ線メモリ。
【請求項5】
前記ソース及び前記ドレインは、金属を含むシリサイドで形成されていることを特徴とする請求項1に記載のナノ線メモリ。
【請求項6】
前記ナノ線メモリは、
前記ナノ点に隣接し、前記ナノ点のポテンシャルエネルギーの高さを調節するゲートをさらに含むことを特徴とする請求項4に記載のナノ線メモリ。
【請求項7】
前記ナノ線メモリは、前記ナノ点の数と同一の数の前記ゲートを含むことを特徴とする請求項6に記載のナノ線メモリ。
【請求項8】
前記ナノ線メモリは、複数の前記ゲートを介して前記ナノ点のポテンシャルエネルギーを順次的に又は非順次的に調節することを特徴とする請求項7に記載のナノ線メモリ。
【請求項9】
複数の前記ナノ点の電荷濃度をそれぞれ調節し、不揮発性と揮発性のハイブリッド形態を有することを特徴とする請求項8に記載のナノ線メモリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−3871(P2011−3871A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267542(P2009−267542)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(596180076)韓國電子通信研究院 (733)
【氏名又は名称原語表記】Electronics and Telecommunications Research Institute
【住所又は居所原語表記】161 Kajong−dong, Yusong−gu, Taejon korea
【Fターム(参考)】