説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション装置の制御方法、及び、プログラム

【課題】車輌に搭載されるナビゲーション装置において、画面を分割した状態に切り替えと、分割された画面を用いたスクロールの開始とを、簡単な操作によって実行できるようにする。
【解決手段】液晶パネル31の表示画面上に地図を表示するとともに、この地図上に自車位置を表示して経路案内を行うナビゲーション装置1は、表示面31Aに表示された地図のスクロールを指示するスクロール指示操作を検出した場合に、予め記憶された分割数に応じて表示面31Aを複数の領域に分割し、各領域に地図を表示するとともに、各領域に表示された地図を、スクロール指示操作に対応してスクロールさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、このナビゲーション装置の制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載型のナビゲーション装置においては、表示装置の表示面を2分割にして2画面表示を可能にしたものが知られている。さらに、2画面表示が可能なナビゲーション装置として、詳細地図と共に広域地図を表示し、詳細地図のスクロール操作に伴う広域地図のスクロール操作を可能にしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−052844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のナビゲーション装置では、2画面表示された状態でスクロール操作をする場合、最初に画面の分割を指示する操作を行って、2画面表示に切り替えさせ、その後、スクロール操作を行っていた。通常、ナビゲーション装置は、車輌の運転手が操作するものである。従って、少ない回数の操作で所望の動作を行うことが望まれている。上記従来のナビゲーション装置においても、2画面表示への切り替えと、スクロールの開始とを指示するため、個々に操作を行う必要があり、操作が面倒であったため、操作性の向上が求められていた。
【0004】
そこで、本発明の目的は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、車輌に搭載されるナビゲーション装置において、画面を分割した状態に切り替えと、分割された画面を用いたスクロールの開始とを、簡単な操作によって実行できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、表示画面上に地図を表示するとともに、この地図上に自車位置を表示して経路案内を行うナビゲーション装置において、前記表示画面の分割数を記憶する分割数記憶手段と、前記表示画面に表示された地図のスクロールを指示するスクロール指示操作を検出する操作検出手段と、前記操作検出手段によりスクロール指示操作が検出された場合に、前記分割数記憶手段に記憶された分割数に応じて前記表示画面を複数の領域に分割し、各領域に地図を表示するとともに、各領域に表示された地図を、前記スクロール指示操作に対応してスクロールさせる表示制御手段と、を備えることを特徴とするナビゲーション装置を提供する。
本発明によれば、スクロールを指示するスクロール指示操作が行われると、表示画面が予め記憶された数の領域に分割されるとともに、分割された各領域に地図が表示され、これらの地図がスクロールされる。従って、1回の操作によって、画面を分割表示画面に切り替えさせ、さらにスクロールを行わせることができるので、より少ない回数で分割画面を用いたスクロールを実行させることができる。これにより、ナビゲーション装置の操作性の向上を図ることができ、車輌の運転者の操作負担を減らすことができる。
【0006】
本発明において、前記表示画面上における接触操作を検出するタッチパネルを備え、前記表示制御手段は、前記表示画面のいずれか又は全ての領域において地図上に自車位置を表示し、前記操作検出手段は、前記タッチパネルにより検出された操作位置と、前記表示画面上の自車位置の表示位置との相対位置関係に基づいて、前記スクロール指示操作により指定されたスクロール方向を求める構成としてもよい。
この場合、地図が表示された画面上における接触操作により、操作位置とスクロール方向との相対位置関係に基づいてスクロール方向が定まるので、操作を行う運転者は直感的にスクロール指示を行える。これにより、ナビゲーション装置の操作性をより一層高めることができる。
【0007】
また、本発明において、前記表示制御手段は、前記表示画面を分割した複数の領域に異なる縮尺で地図を表示するものとしてもよい。
この場合、分割した領域に異なる縮尺の地図が表示されることで、小縮尺の地図で自車位置を確認しつつ、詳細地図により詳細な経路を見ることができ、運転者が容易に多くの情報を得ることができる。
【0008】
さらに、本発明において、前記操作検出手段は、前記表示制御手段によって前記表示画面の各領域に地図が表示された後は、最も小さい縮尺で地図を表示する領域におけるスクロール指示操作を検出し、前記表示制御手段は、前記表示画面の各領域に地図を表示した後に、最も小さい縮尺で地図を表示する領域におけるスクロール指示操作に従って、各領域に表示された地図をスクロールさせるものとしてもよい。
この場合、縮尺が小さく、広い地域が表示された地図上で、自車位置を確認しながらスクロールの指示を行えるので、分割表示の利点を生かして、効率よく多くの情報を得ることができる。
【0009】
また、本発明は、前記表示画面の表示復帰を指示する復帰操作指示手段をさらに備え、前記表示制御手段は、前記復帰操作指示手段による指示に応じて、前記表示画面に、前記表示画面を複数の領域に分割する前の状態で地図を表示するものとしてもよい。
この場合、表示画面が分割された状態から容易に元の状態に復帰でき、ナビゲーション装置の操作性をより一層高めることができる。
【0010】
また、本発明は、表示画面上に地図を表示するとともに、この地図上に自車位置を表示して経路案内を行うナビゲーション装置の制御方法であって、前記表示画面における画面分割数が設定され、前記表示画面に表示された地図のスクロールを指示するスクロール指示操作を検出した場合に、設定された分割数に応じて前記表示画面を複数の領域に分割し、各領域に地図を表示するとともに、各領域に表示された地図を、前記スクロール指示操作に対応してスクロールさせること、を特徴とするナビゲーション装置の制御方法を提供する。
本発明によれば、スクロール指示操作に応じて、表示画面が予め記憶された数の領域に分割されるとともに、分割された各領域に地図が表示され、これらの地図がスクロールされる。従って、1回の操作によって、画面を分割表示画面に切り替えさせ、さらにスクロールを行わせることができるので、より少ない回数で分割画面を用いたスクロールを実行させることができる。これにより、操作性の高いナビゲーション装置を実現し、車輌の運転者の操作負担を減らすことができる。
【0011】
また、本発明は、表示画面上に地図を表示するとともに、この地図上に自車位置を表示して経路案内を行う車載コンピュータにより実行可能なプログラムであって、前記車載コンピュータを、前記表示画面の分割数を記憶する分割数記憶手段と、前記表示画面に表示された地図のスクロールを指示するスクロール指示操作を検出する操作検出手段と、前記操作検出手段によりスクロール指示操作が検出された場合に、前記分割数記憶手段に記憶された分割数に応じて前記表示画面を複数の領域に分割し、各領域に地図を表示するとともに、各領域に表示された地図を、前記スクロール指示操作に対応してスクロールさせる表示制御手段と、して機能させることを特徴とするプログラムを提供する。
本発明によれば、スクロール指示操作に応じて、表示画面が予め記憶された数の領域に分割されるとともに、分割された各領域に地図が表示され、これらの地図がスクロールされる。従って、1回の操作によって、画面を分割表示画面に切り替えさせ、さらにスクロールを行わせることができるので、より少ない回数で分割画面を用いたスクロールを実行させることができる。これにより、操作性の高いナビゲーション装置を実現し、車輌の運転者の操作負担を減らすことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、少ない回数の操作によって、分割画面を用いたスクロールを実行させることができるので、操作性の高いナビゲーション装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は本実施の形態に係るナビゲーション装置1の外観構成を示す斜視図である。このナビゲーション装置1は、車両に搭載されて経路案内を行うものであり、図1に示すように、車両のダッシュボード2に設けられた所定の収納スペースに嵌め込まれる装置本体10と、この装置本体10の正面に設けられた操作パネル11とを備えている。操作パネル11は、枠体としてのフェイスパネル12と、このフェイスパネル12上に設けられた複数の操作スイッチ13と、フェイスパネル12に嵌め込まれた表示パネル14とを有している。この表示パネル14には、現在地点の周辺地図、車両の現在位置、及び、目的地までの経路が表示され、これにより経路案内が行われる。
【0014】
次いで、操作パネル11に設けられた表示パネル14の構成について詳述する。
図2に示すように、表示パネル14は、液晶駆動回路基板30と、液晶パネル31と、液晶パネル31の表示面31A全体を覆うように設けられたタッチパネル32とを有している。タッチパネル32には、抵抗膜方式のものが用いられ、透明度(光透過度)が高く、液晶パネル31の表示がタッチパネル32を通して視認可能になされている。このように、本ナビゲーション装置1にあっては、フェイスパネル12に設けた操作スイッチ13に加え、タッチパネル32による操作も可能となっている。なお、表示パネル14としては、上記液晶パネル31に代えて、例えば有機EL(Electro-Luminescence)パネル等を用いることも可能である。
【0015】
図3は、ナビゲーション装置1の機能的構成を示すブロック図である。この図において、制御部100は、ナビゲーション装置1の各部を中枢的に制御するものであり、演算・制御手段としてのメインCPU(Central Processing Unit)101と、ROM102、DRAM104及びSRAM106を有する記憶部110と、タイマカウンタ112とを備えている。ROM(Read Only Memory)102は制御プログラムやデータ等を格納するものである。これらの制御プログラムやデータ等は、ナビゲーション装置1の主電源投入時に、メインCPU101によって読み出されて実行され、これにより各部の制御動作が行われる。DRAM(Dynamic Random Access Memory)104はメインCPU101がROM102から読み出したプログラムや、演算結果、演算途中のデータ等を一時的に格納するものである。SRAM(Static Random Access Memory)106はナビゲーション装置1の主電源切断時に、DRAM104に格納されているデータ等の記憶内容をバックアップするものであり、主電源切断後においても車両のバッテリーから電力が供給され、主電源切断後もバックアップすべき記憶内容を保持可能になされている。タイマカウンタ112は時間を計時するものであり、例えば、表示部140に表示される現在時刻を計時する。
【0016】
主記憶部120は比較的容量の大きな各種アプリケーションプログラムやデータ等を格納するものであり、例えばハードディスク装置を備えている。主記憶部120に格納されるものとしては、例えば経路案内のためのプログラムや、表示パネル14の表示制御のためのプログラム、経路案内のための地図データ等がある。
【0017】
記録媒体読取部130は、制御部100の制御の下、上述したカード型記録媒体やディスク型記録媒体に記録されているデータを読み取り、制御部100に出力するものであり、カード型記録媒体読取装置や、CD/DVDドライブ装置等を備えている。なお、記録媒体に地図データを格納し、この地図データを経路案内に用いる構成としても良い。
音出力部135は、制御部100の制御の下、音楽や音声を出力するものであり、DA変換器や増幅器、スピーカ等を備えている。記録媒体に記録された音楽データの再生にあっては、記録媒体読取部130によって読み取られた音楽データが音出力部135に出力され、これにより、音楽が再生される。
【0018】
表示部140は、制御部100の制御の下、地図等の各種情報を表示するものであり、描画回路142と、液晶駆動回路144と、上述した液晶パネル31とを備えている。描画回路142は、地図データ等を含む描画コマンドを制御部100から受け取り、この描画コマンドに基づいた表示を行うべく液晶駆動回路144を制御するものであり、描画プロセッサ146とVRAM148とを備えている。描画プロセッサ146は、描画コマンドに基づいて液晶パネル31に表示すべき描画データ(例えばビットマップ画像データ)を生成するものであり、VRAM(Video RAM)148は描画データを保持するものである。液晶駆動回路144はVRAM148に保持されている描画データを順次受け取り、この描画データに基づいて液晶パネル31の表示面31Aに表示するものである。これら描画回路142及び液晶駆動回路144は、上述した液晶駆動回路基板30に実装されている。
【0019】
位置検出部150は、GPS(Global Positioning System)衛星から送信されているGPS電波を受信するアンテナ(レシーバでも良い)を備え、GPS電波に基づいて、車両の現在地点を示す位置座標と、進行方向とを計算し、位置検出信号として制御部100に出力するものである。制御部100は、経路探索時に、位置検出信号により示される現在地点から目的地までの誘導経路を探索して探索結果を表示部140に表示し、また、経路案内時には、位置検出信号に基づいて現在位置の移動状況を地図と共に表示部140に表示して経路案内を行う。
【0020】
FM多重受信処理部160は、制御部100の制御の下、FM多重放送波を受信して、渋滞や事故、交通規制といったVICS情報(道路交通情報)や緊急情報、天気予報(気象情報)といった各種情報を取り出し、制御部100に出力するものである。また、ビーコン受信処理部170は、制御部100の制御の下、車両走行中の道路に関するVICS情報を受信し、制御部100に出力するものである。ここで、車両走行中にあっては、FM多重受信処理部160及びビーコン受信処理部170は、これらVICS情報や緊急情報、天気予報等の各種情報を文字情報として取得しており、この文字情報が制御部100に出力され、制御部100の制御によって、表示部140に文字(アイコン等を含む)として表示される。
【0021】
車両情報取得部200は、車両の走行状態に関する情報を取得するものである。具体的には、車両情報取得部200は、イルミ情報取得部202と、車速パルス取得部204と、パーキングブレーキ操作状態取得部206とを備えている。イルミ情報取得部202は、車両に配設されたイルミ配線の電流(或いは電圧)を検知し、車両のスモールライト(車幅灯)のオン・オフを示すイルミ信号を制御部100に出力するものである。車両のスモールライトのオン・オフを検出することで、車両の周囲の明るさを特定することが可能となり、イルミ信号によって、スモールライトの点灯が示されている場合、制御部100は、描画回路142を制御することで、液晶パネル31の輝度を高め、液晶パネル31の表示が見えにくくなるのを防止する。
【0022】
車速パルス取得部204は、車両の走行速度を示す車速パルス信号を車両に搭載されたコンピュータ、或いは、車両に取り付けられたセンサから取得し、制御部100に車速信号として出力するものである。この車速信号により車両の停車が特定可能となる。
パーキングブレーキ操作状態取得部206は、車両のパーキングブレーキレバー(或いはペダル)の操作状態を取得し、パーキングブレーキがかけられているか否かを示すパーキングブレーキ状態信号を出力するものである。すなわち、このパーキングブレーキ状態信号に基づいて車両が駐車中であるか、特に、車両が走行中(一時的な停止状態を含む)であるかが特定される。
【0023】
操作部190は、スイッチ操作部192と、タッチパネル操作部194とを備えている。スイッチ操作部192は、上述した操作スイッチ13に加え、この操作スイッチ13の操作を電気信号に変換してスイッチ信号を制御部100に出力するスイッチ回路基板(図示せず)を備えている。タッチパネル操作部194は、上述したタッチパネル32に加え、タッチパネル32に対する操作を電気信号に変換してタッチ信号を制御部100に出力するタッチパネル回路基板(図示せず)を備えている。タッチ信号には、タッチパネル32面上のタッチ操作個所の座標を示す情報が含まれており、これにより、制御部100が、タッチパネル32上のタッチ操作個所を識別可能となる。ここで、制御部100は、走行の安全を図るべく、車速信号により車両が停車中でないことが示されている場合には(具体的には、車速が0以上の場合)、操作部190からのスイッチ信号及びタッチ信号の入力を無効とし、車両が停車していないときの各種の操作を禁止している。
【0024】
以上のように構成されるナビゲーション装置1において、表示部140は、液晶パネル31の表示面31A全体に一つの地図を表示する通常表示画面、及び、液晶パネル31の表示面31Aの表示領域全体を複数の領域に区分して、各領域に地図を表示する分割表示画面の2つの表示態様で表示を行う。
また、上記ナビゲーション装置1は、経路案内機能の一つとして、スクロール検索機能を備えている。スクロール検索機能とは、表示部140により地図を表示した状態で、タッチパネル32の操作に対応して、地図を移動して表示させる機能である。ナビゲーション装置1を操作する運転者は、スクロール検索機能によって地図をスクロールさせて、任意の地点を画面上に表示させ、この地点を目的地として登録する等の操作が可能となる。また、地図上に表示されるアイコン等をもとに、地図上で目的地等を探すといった使用法も可能である。
【0025】
本実施の形態に係るナビゲーション装置1は、1回のタッチパネル32の操作に応じて、表示面31Aを2つの領域に分割して各領域に地図を表示させるとともに、各領域の地図をスクロールさせる2画面スクロール機能を具備している。
以下、この2画面スクロール機能について説明する。
【0026】
図4は、表示部140により表示される設定画面300を示す図である。
設定画面300は、操作部190の操作によって呼び出される画面である。設定画面300においては、スクロール検索機能の実行時に、表示面31A全体に一つの地図を表示する通常のスクロールを行うか、表示面31Aを2分割して2画面スクロールを行うかを設定できる。
設定画面300には、経路案内を行うための各種設定項目の設定(自宅登録など)やボタンの割付設定等を行うためのボタンが並べられ、さらに、画面分割ボタン301が配置される。この画面分割ボタン301を操作することで、スクロール検索時の表示態様が設定される。具体的には、画面分割ボタン301がタッチ操作される毎に、通常のスクロールと、2画面スクロールとが切り替えられる。この設定状態は、記憶部110(特に、DRAM104)に、画面の分割数を示す情報として記憶される。すなわち、記憶部110には、スクロール時の画面の分割数として、1(分割なし)または2(2画面)が記憶される。ここで、記憶部110は、分割数記憶手段として機能する。
【0027】
図5は、スクロール検索機能の実行に係るナビゲーション装置1の動作を示すフローチャートである。この図5に示す動作にあたって、制御部100は表示制御手段として機能し、タッチパネル操作部194は操作検出手段として機能する。
【0028】
タッチパネル32へのタッチ操作によりスクロール検索の開始が指示され、この指示をタッチパネル操作部194が検出すると(ステップS11)、制御部100は、記憶部110に記憶された分割数に基づいて、2画面スクロールが設定されているか否かを判別する(ステップS12)。
【0029】
2画面スクロールが設定されている場合(ステップS12;Yes)、制御部100は、現在表示中の地図の縮尺を記憶部110に一時的に記憶し(ステップS13)、表示面31Aを2つの領域に分割して、表示態様を2画面表示に切り替える(ステップS14)。このステップS14では、表示面31Aの右側に位置する領域に広域地図を表示し、表示面31Aの左側に位置する領域に詳細地図が表示される。
ここで、広域地図及び詳細地図とは、相対的な縮尺の大小に基づいた呼称である。一般的な広域地図の縮尺は、例えば、1/5万、1/10万、1/15万、1/30万等であり、詳細地図の縮尺は、例えば、1/100、1/500、1/1000、1/5000等であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、広域地図の方が詳細地図よりも縮尺が小さければ、各々の地図の縮尺は任意である。
【0030】
制御部100は、上記ステップS14で表示を2画面に切り替えるとともに、液晶パネル31の各々の領域に表示された地図のスクロールを開始する(ステップS15)。このステップS15では、ステップS11で指示された方向に地図をスクロールさせる。
さらに、制御部100は、タッチパネル32の操作によってスクロールが指示された場合には、指示された方向へ地図をスクロールさせる(ステップS16)。このスクロール指示は、広域地図が表示された領域で行われ、制御部100は、広域地図上における指示に従って広域地図をスクロールさせるとともに、広域地図のスクロールに合わせて、詳細地図をスクロールさせる。
ここで、制御部100は、画面を復帰させる旨の指示がなされたか否かを判別し(ステップS17)、指示がなければステップS16に戻って地図のスクロールを行う。
【0031】
また、画面を復帰させる旨の指示があった場合(ステップS17;Yes)、制御部100は、ステップS13で一時記憶した縮尺を読み出して(ステップS18)、読み出した縮尺に基づいて、表示面31A全体に一つの地図を表示し(ステップS19)、本処理を終了する。
【0032】
また、タッチパネル32へのタッチ操作によりスクロール検索の開始が指示されたときに、2画面スクロールが設定されていなかった場合(ステップS12;No)、制御部100は、表示面31A全体に表示された地図を、指示された方向へスクロールさせる動作を行う(ステップS20)。
【0033】
図6は、表示部140により表示される通常表示画面310の構成例を示す図である。
この図6に示す通常表示画面310の表示中、表示面31A全体が地図表示エリア311とされ、一つの地図が表示される。
また、通常表示画面310には、表示中の地図の縮尺を表示するスケール表示部313、現在時刻を表示する時計表示部314、及び、2画面スクロールの設定状態を表示する2画面設定表示部315が配置されている。2画面設定表示部315は、設定画面300(図4)による2画面スクロールの設定状態と、現在の表示態様との関係を表示するものであり、2画面スクロールが設定され、かつ、現在の表示態様が通常の表示である場合は「OFF」と表示され、2画面スクロールが設定されておらず、かつ、現在の表示態様が通常の表示である場合は「ON」と表示される。さらに、通常表示画面310には、経路案内動作の終了を指示するナビゲーションOFFボタン316と、現在の動作モードを表示するモード表示部317とが配置される。
そして、地図表示エリア311に表示された地図上には、自車位置を示す自車位置記号312が表示される。
【0034】
この図6に示す通常表示画面310において、画面がタッチ操作されると、この操作が、スイッチ操作部192(図3)によってスクロール指示の操作として検出される。
図7に示すように、通常表示画面310においてタッチ操作が行われると(図5のステップS11に相当)、操作位置の座標が特定され、自車位置記号312と操作位置との相対位置関係をもとに、スクロール方向が決定される。具体的には、制御部100は、符号Aで示す操作位置の座標(X2,Y2)と、自車位置記号312の座標(X1,Y1)とを比較し、これら座標の差(X2−X1,Y2−Y1)を求めることにより、符号Bで示すスクロール方向及びスクロール量を決定する。そして、表示画面が、例えば図8に示す分割表示画面330に切り替えられるとともに、上記のスクロール方向及びスクロール量に基づいて、地図がスクロール表示される(図5のステップS14〜S15に相当)。具体的には、符号Aで示す操作位置に表示されている地点が画面の中央に移動するよう、地図がスクロール表示される。
【0035】
図8に示す分割表示画面330は、表示面31Aを2つの領域に分割し、一方の領域を詳細地図表示エリア331、他方の領域を広域地図表示エリア332とした画面である。詳細地図表示エリア331には、縮尺が大きい詳細地図が表示され、広域地図表示エリア332には、縮尺が小さい広域地図が表示されている。
各々の地図には、自車位置記号312が表示される。また、詳細地図表示エリア331に表示中の地図の縮尺がスケール表示部333により表示され、広域地図表示エリア332に表示中の地図の縮尺がスケール表示部334により表示される。
なお、スケール表示部333、334における縮尺の表示形式は任意であり、1/100等といった分数表示であってもよいし、画面上の距離と実際の距離との対応を示す表示であってもよい。
また、分割表示画面330の一隅には、表示画面を、通常表示画面310に復帰させるための画面復帰ボタン335が配されており、画面復帰ボタン335が操作された場合には、スクロール動作の状態に関わらず、画面が通常表示画面310に切り替えられる(図5のステップS17〜S19に相当)。
【0036】
図8に示す分割表示画面330において、詳細地図表示エリア331及び広域地図表示エリア332に表示された地図は、いずれも、図7の地図表示エリア311に表示された地図を符号Bで示すようにスクロールされている。
つまり、ナビゲーション装置1においては、通常表示画面310の表示中にタッチ操作が行われると、分割表示画面330に切り替えられるとともに、この分割表示画面330には、上記タッチ操作により指示されたスクロール方向及びスクロール量に従ってスクロールを実行した地図が表示される。
従って、ユーザ(運転者)が1回のタッチ操作を行うだけで、通常の画面から2画面表示への切り替えと、地図のスクロールとが実行される。このため、極めて簡単な操作によって、2画面スクロールを行わせることができる。
【0037】
また、図8に示す分割表示画面330において、さらに、地図をスクロールさせることも、勿論可能である。
すなわち、分割表示画面330においてタッチ操作が行われると、操作位置の座標が取得される。ここで、制御部100は、広域地図が表示された広域地図表示エリア332におけるタッチ操作のみを検出する。そして、制御部100は、広域地図表示エリア332において、検出した操作位置と自車位置記号312との相対位置関係に基づいて、スクロール方向及びスクロール量を決定し、詳細地図表示エリア331及び広域地図表示エリア332に表示する地図をスクロール表示させる。
図9には、スクロール動作後の分割表示画面330を示す。この図9に示す分割表示画面330では、広域地図表示エリア332中に符号Cで示す地域が、詳細地図表示エリア331に表示されている。自車は符号Cの地域から外れているので、詳細地図表示エリア331には自車位置記号312が表示されない。
このように、広域地図表示エリア332に表示中の地図に基づいてスクロール操作を行うことで、自車位置から遠く離れた箇所を、少ない操作で素早く検索することができるので、非常に有用である。
【0038】
以上のように、本発明を適用した実施形態によれば、表示面31Aに地図が表示された状態でタッチパネル32の操作によってスクロールが指示されると、予め記憶部110に記憶された分割数に応じて表示面31Aの表示領域が分割され、個々の領域に地図が表示される。そして、記憶されていた分割数が2であった場合、表示面31Aを分割した分割表示画面330に、詳細地図表示エリア331と広域地図表示エリア332とが設けられ、各領域に地図が表示され、上記指示に従って各領域の地図がスクロールされる。
これにより、1回の操作によって、画面を分割表示画面に切り替えさせ、さらにスクロールを行わせることができるので、より少ない回数で分割画面を用いたスクロールを実行させることができる。これにより、ナビゲーション装置1の操作性の向上を図ることができ、運転者の操作負担を減らすことができる。
【0039】
また、ナビゲーション装置1においては、図7に示すように、自車位置記号312と操作位置との相対位置関係に基づいてスクロールの方向、及びスクロール量が定まるので、運転者が直感的にスクロール指示を行える。
さらに、ナビゲーション装置1の分割表示画面330においては、詳細地図表示エリア331と広域地図表示エリア332とに、異なる縮尺で地図が表示される。このため、小縮尺の広域地図で自車位置を確認しつつ、詳細地図により詳細な経路を見ることができ、運転者が容易に多くの情報を得ることができる。
また、分割表示画面330においては、広域地図表示エリア332におけるスクロール指示に応じて、詳細地図表示エリア331と広域地図表示エリア332の両方で地図がスクロールされる。このため、広い地域が表示された地図上で自車位置を確認しながらスクロールの指示を行えるので、分割表示の利点を生かして、効率よく多くの情報を得ることができる。
さらに、分割表示画面330に配置された画面復帰ボタン335が操作された場合には、画面が、分割前の通常表示画面310に復帰する。このとき、表示面31Aには、分割前の縮尺で地図が表示される。このため、画面の表示状態を容易に元の状態に復帰させることができる。
【0040】
なお、上記実施の形態においては、通常表示画面310または分割表示画面330の表示中に画面にタッチ操作が行われると、検出した操作位置と自車位置記号312との相対位置関係に基づいて、スクロール方向とスクロール量とが決定される例について説明した。この例では、操作位置に表示されていた地点が、スクロールによって画面の中央に移動するので、スクロール方向とスクロール量とを直感的かつ高精度で指示できるという利点があるが、タッチ操作の時間によってスクロール量が決定されるようにしてもよい。
すなわち、通常表示画面310の表示中にタッチ操作が行われると、制御部100は、操作位置の座標と自車位置記号312の座標とを比較して、スクロール方向を決定する。そして、制御部100は、画面を分割表示画面330に切り替えて、スクロールを開始する。制御部100は、タッチ操作を検出している間、予め設定された所定速度でスクロールを継続して実行し、タッチ操作が検出されなくなると、スクロールを停止する。また、分割表示画面330の表示中にタッチ操作が行われた場合も同様に、制御部100は、操作位置と自車位置記号312との相対位置関係に基づいてスクロール方向を決定し、タッチ操作されている間は、決定した方向に所定速度でスクロールを継続して行う。
この場合、運転者がタッチ操作をしている間にスクロールが行われるので、スクロール量が大きい場合であっても、直感的にスクロール量を指示することができ、少ない操作で地図を大きくスクロールさせることができる。これにより、操作性をより高めることができる。
この場合において、タッチ操作中に、時間の経過とともにスクロール速度を変化させることも可能である。例えば、タッチ操作が始まってから所定時間の間は、低速でスクロールを行い、その後は、より高速でスクロールさせてもよい。この場合、地図を大きくスクロールさせる場合の操作が、より簡単になるので、操作性の向上が期待できる。
【0041】
また、上記実施の形態においては、画面を分割した表示の一態様として、表示面31Aの表示領域を2分割した例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、液晶パネル31の表示領域内に、矩形に区分した、いわゆる子画面を設けてもよい。この場合、上記子画面に詳細地図を表示し、この子画面の背景として広域地図を表示してもよいし、その逆の構成としてもよい。
また、上記実施の形態において、表示面31Aの表示領域を3以上の領域に分割してもよく、また、ナビゲーション装置1にTV放送を受信する機能を設けて、分割された領域の一つにTV映像を表示する構成としてもよい。さらに、例えば光ディスク等の記録メディアに記録されたマルチメディア動画像(映画やTV録画映像、コンサート映像、ライブ映像等)を、分割された領域の一つに表示する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明を適用した実施の形態に係るナビゲーション装置1の外観構成を示す斜視図である。
【図2】表示パネル14の構成を示す分解斜視図である。
【図3】ナビゲーション装置1の機能的構成を示すブロック図である。
【図4】表示部140により表示される設定画面を示す図である。
【図5】ナビゲーション装置1の動作を示すフローチャートである。
【図6】通常表示画面310の構成例を示す図である。
【図7】通常表示画面310の表示中における操作の一例を示す図である。
【図8】分割表示画面330の構成例を示す図である。
【図9】分割表示画面330の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
1 ナビゲーション装置(コンピュータ)
2 ダッシュボード
10 装置本体
30 液晶駆動回路基板
31 液晶パネル
31A 表示面
32 タッチパネル
100 制御部(表示制御手段)
110 記憶部(分割数記憶手段)
140 表示部
150 位置検出部
194 タッチパネル操作部(操作検出手段)
300 設定画面
301 画面分割ボタン
310 通常表示画面
311 地図表示エリア
312 自車位置記号
313 スケール表示部
314 時計表示部
315 2画面設定表示部
317 モード表示部
330 分割表示画面
331 詳細地図表示エリア
332 広域地図表示エリア
333、334 スケール表示部
335 画面復帰ボタン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面上に地図を表示するとともに、この地図上に自車位置を表示して経路案内を行うナビゲーション装置において、
前記表示画面の分割数を記憶する分割数記憶手段と、
前記表示画面に表示された地図のスクロールを指示するスクロール指示操作を検出する操作検出手段と、
前記操作検出手段によりスクロール指示操作が検出された場合に、前記分割数記憶手段に記憶された分割数に応じて前記表示画面を複数の領域に分割し、各領域に地図を表示するとともに、各領域に表示された地図を、前記スクロール指示操作に対応してスクロールさせる表示制御手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記表示画面上における接触操作を検出するタッチパネルを備え、
前記表示制御手段は、前記表示画面のいずれか又は全ての領域において地図上に自車位置を表示し、
前記操作検出手段は、前記タッチパネルにより検出された操作位置と、前記表示画面上の自車位置の表示位置との相対位置関係に基づいて、前記スクロール指示操作により指定されたスクロール方向を求めること、
を特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記表示画面を分割した複数の領域に異なる縮尺で地図を表示すること、
を特徴とする請求項1または2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記操作検出手段は、前記表示制御手段によって前記表示画面の各領域に地図が表示された後は、最も小さい縮尺で地図を表示する領域におけるスクロール指示操作を検出し、
前記表示制御手段は、前記表示画面の各領域に地図を表示した後に、最も小さい縮尺で地図を表示する領域におけるスクロール指示操作に従って、各領域に表示された地図をスクロールさせること、
を特徴とする請求項3記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記表示画面の表示復帰を指示する復帰操作指示手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記復帰操作指示手段による指示に応じて、前記表示画面に、前記表示画面を複数の領域に分割する前の状態で地図を表示すること、
を特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
表示画面上に地図を表示するとともに、この地図上に自車位置を表示して経路案内を行うナビゲーション装置の制御方法であって、
前記表示画面における画面分割数が予め記憶され、
前記表示画面に表示された地図のスクロールを指示するスクロール指示操作を検出した場合に、
予め記憶された分割数に応じて前記表示画面を複数の領域に分割し、各領域に地図を表示するとともに、各領域に表示された地図を、前記スクロール指示操作に対応してスクロールさせること、
を特徴とするナビゲーション装置の制御方法。
【請求項7】
表示画面上に地図を表示するとともに、この地図上に自車位置を表示して経路案内を行う車載コンピュータにより実行可能なプログラムであって、
前記車載コンピュータを、
前記表示画面の分割数を記憶する分割数記憶手段と、
前記表示画面に表示された地図のスクロールを指示するスクロール指示操作を検出する操作検出手段と、
前記操作検出手段によりスクロール指示操作が検出された場合に、前記分割数記憶手段に記憶された分割数に応じて前記表示画面を複数の領域に分割し、各領域に地図を表示するとともに、各領域に表示された地図を、前記スクロール指示操作に対応してスクロールさせる表示制御手段と、
して機能させることを特徴とするプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−2928(P2008−2928A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−172182(P2006−172182)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】