説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション装置の検索方法及び検索プログラム

【課題】ユーザが意図する範囲のデータを容易に取得することができるナビゲーション装置、ナビゲーション装置の検索方法及び検索プログラムを提供する。
【解決手段】検索データ16を記憶する検索データ記憶部15を備え、運転者が提示する条件に基づいて検索データ16を検索するナビゲーションユニット1aにおいて、自車位置を特定し、自車両周辺の検索データ16を検索するナビECU2と、運転者の顔の向きを検出する顔方向検出部6を備える。また、ナビECU2は、自車位置と運転者の顔の向きとに応じて、検索データ16の絞り込み範囲を設定し、自車両周辺に関する検索データ16の中から、絞り込み範囲に該当する検索データ16を抽出するとともに、検索された検索データ16をディスプレイに出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、ナビゲーション装置の検索方法及び検索プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりナビゲーション装置は、施設、特定の地点等を検索するための検索用のデータベースを備え、ユーザが提示した検索条件に基づいてデータベースを検索し、検索されたデータをリスト等にしてディスプレイに出力する。
【0003】
例えば「ガソリンスタンド」等の条件でデータベースを検索すると、膨大な量のデータが出力されるため、通常では上記条件に加えて、検索対象の地域名を入力し、地域を限定する等の条件を付加する。しかしこの場合でも、限定された地域に存在する全ての施設等が検索されるため、ユーザにとって必要性が低い情報まで出力されてしまう。
【0004】
このように必要性の低いデータまで出力されると、さらにデータを絞り込むための操作回数が多くなるとともに、必要な情報に辿り着くまで時間がかかる等の問題が生じる。これに対し、特許文献1では、自車両の進行方向に存在する周辺施設の検索を行うナビゲーション装置が記載されている。
【特許文献1】特開2006−266757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載された装置では、進行方向を基準とした所定範囲に存在する施設を検索することができるが、検索時の自車両の進行方向に依存してしまうため、運転者が進行方向を変更する場合や、上記所定範囲以外の施設等を検索したい場合には、適切な検索範囲とはならない。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザが意図する範囲のデータを容易に取得することができるナビゲーション装置、ナビゲーション装置の検索方法及び検索プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、検索データを記憶する検索データ記憶手段を備え、運転者が提示する条件に基づいて前記検索データを検索するナビゲーション装置において、自車位置を特定する自車位置特定手段と、自車位置に基づき、自車両周辺の前記検索データを検索する周辺検索手段と、運転者の顔の向きを検出する顔向き方向検出手段と、自車位置と運転者の顔の向きとに応じて、前記検索データの絞り込み範囲を設定する範囲設定手段と、前記周辺検索手段により検索された自車両周辺に関する検索データの中から、前記絞り込み範囲に該当する前記検索データを抽出するデータ抽出手段と、抽出された前記検索データを出力手段に出力する出力制御手段とを備えたことを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記範囲設定手段は、運転者の顔の向きを含む所定角度範囲を前記絞り込み範囲とすることを要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のナビゲーション装置において、前記
顔方向検出手段は、鉛直方向における運転者の顔の向きを検出し、鉛直方向の顔の向きに応じて、前記絞り込み範囲の長さを設定することを要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記周辺検索手段により自車両周辺の前記検索データを検索した後に、運転者の発話の有無を判断し、運転者による発話が検出された際に、その発話内容を解析する音声認識手段をさらに備え、発話内容が絞り込み命令である場合には、前記範囲設定手段は、自車位置と運転者の顔の向きとに応じて、前記検索データの前記絞り込み範囲を設定し、前記データ抽出手段は、前記絞り込み範囲に基づき前記検索データの絞り込みを行うことを要旨とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、検索データを記憶する検索データ記憶手段と、前記検索データを検索する制御手段とを用いて、運転者が提示する条件に基づいて前記検索データを検索するナビゲーション装置の検索方法において、前記制御手段が、自車位置に基づき、自車両周辺の前記検索データを検索するとともに、運転者の顔の向きを検出して自車位置と運転者の顔の向きとに応じて絞り込み範囲を設定し、検索された自車両周辺に関する前記検索データの中から、前記絞り込み範囲に該当する前記検索データを抽出し、抽出された前記検索データを出力手段に出力することを要旨とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、検索データを記憶する検索データ記憶手段と、前記検索データを検索する制御手段とを用いて、運転者が提示する条件に基づいて前記検索データを検索するナビゲーション装置の検索プログラムにおいて、前記制御手段を、自車位置を特定する自車位置特定手段と、自車位置に基づき、自車両周辺の前記検索データを検索する周辺検索手段と、運転者の顔の向きを検出する顔向き方向検出手段と、自車位置と運転者の顔の向きとに応じて、前記検索データの絞り込み範囲を設定する範囲設定手段と、前記周辺検索手段により検索された自車両周辺に関する検索データの中から、前記絞り込み範囲に該当する前記検索データを抽出するデータ抽出手段と、抽出された前記検索データを出力手段に出力する出力制御手段として機能させることを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、ナビゲーション装置は、周辺検索が行われた際に、運転者の顔の向きに応じて絞り込み範囲を設定し、絞り込み範囲に含まれる施設又は地点又は交通情報等に絞り込む。このため、運転者の顔の向きによってデータの絞り込みができるので、ユーザが意図する範囲のデータを容易に取得することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、絞り込み範囲は、運転者の顔の向きを含む所定角度範囲であるので、運転者が検索したい範囲を的確に判断し、必要性の高いデータを抽出することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、絞り込み範囲の長さは、鉛直方向における運転者の顔の向きに応じて設定されるので、運転者が比較的遠いところを見ている状態では、絞り込み範囲を長く設定し、比較的近いところを見ている状態では検索対象範囲を短く設定することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、運転者の発話内容が絞り込み命令である場合には、絞り込み範囲を設定する。このため、絞り込み条件を手動操作で入力する必要がないので、発話及び顔の向きだけで、運転者が検索したい情報を絞り込むことができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、周辺検索が行われた際に、運転者の顔の向きに応じて絞り込み範囲を設定し、絞り込み範囲に含まれる施設又は地点又は交通情報等に絞り込む
。このため、運転者の顔の向きによってデータの絞り込みができるので、ユーザが意図する範囲のデータを容易に取得することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、周辺検索が行われた際に、検索プログラムに基づき、運転者の顔の向きに応じて絞り込み範囲を設定し、絞り込み範囲に含まれる施設又は地点又は交通情報等に絞り込む。このため、運転者の顔の向きによってデータの絞り込みができるので、ユーザが意図する範囲のデータを容易に取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図9に従って説明する。図1は、本実施形態のナビゲーションシステム1の構成を示すブロック図である。
ナビゲーションシステム1は、各種センサ及びタッチパネルディスプレイ35等とデータを送受信するナビゲーション装置としてのナビユニット1aとを備えている。ナビユニット1aは、自車両C(図7参照)に搭載されたナビゲーションECU(以下、単にナビECU2という)を有している。尚、ナビECU2は、自車位置特定手段、周辺検索手段、顔向き方向検出手段、範囲設定手段、データ抽出手段、制御手段、出力制御手段に対応している。
【0020】
ナビECU2は、GPS(Global Positioning System)アンテナ30が受信した、緯
度・経度等の座標を示す位置検出信号を入力して、電波航法により自車両Cの絶対位置を算出する。また、車両側I/F3を介して、自車に設けられた車速センサ31及びジャイロセンサ32から車速パルス、角速度をそれぞれ入力する。ナビECU2は、車速パルス及び角速度を用いる自律航法により、基準位置からの相対位置を算出し、電波航法で算出した絶対位置と組み合わせて自車位置を特定する。
【0021】
また、ナビゲーションシステム1は、地図データ記憶部10を備えている。地図データ記憶部10は、内蔵ハードディスク、又は光ディスク等の外部記憶媒体である。この地図データ記憶部10には、目的地までの経路を探索するための各経路ネットワークデータ(以下、経路データ11という)と、出力手段としてのタッチパネルディスプレイ35に地図画面35aを出力するための各地図描画データ12とが格納されている。
【0022】
経路データ11は、全国を区画したメッシュ内の道路に関するデータである。図2(a)に示すように、経路データ11は、各メッシュの識別子であるメッシュID11aと、メッシュ内の各リンクの識別子を示すリンクID11bとを有している。ノードは、交差点、インターチェンジ、道路の端点等を示し、リンクは各ノードを接続するデータ要素である。
【0023】
また、リンクID11bには、リンクの始点及び終点を示すノードのノード座標11c、道路の種別を示す道路種別11d、経路探索のためのリンクコスト11e等が関連付けられている。
【0024】
また、地図描画データ12は、全国の地図を分割したメッシュ毎に格納され、広域の地図から狭域の地図まで各階層毎に分かれている。図2(b)に示すように、地図描画データ12は、メッシュID12a、道路、市街地等を描画するための背景データ12b、形状補間データ、道路幅等の道路形状を示す道路データ12c等を有している。
【0025】
また、ナビゲーションシステム1は、地図描画処理部4(図1参照)を備えている。地図描画処理部4は、自車位置周辺の地図を描画するための地図描画データ12を地図データ記憶部10から読出し、出力用のデータを生成する。また、出力用データに基づく映像信号をタッチパネルディスプレイ35に出力し、図1に示すような地図画面35aを表示
する。また、地図描画処理部4は、この地図画面35aのうち、自車両Cの現在位置に相当する位置に、自車指標35bを重畳する。
【0026】
また、ナビECU2は、交通情報受信部37を備えている。交通情報受信部37は、例えば、道路近傍に設置され、VICS(登録商標、Vehicle Information and Communication System)を構成するビーコン等から、その周辺の渋滞情報等を受信する。ナビECU2は、交通情報受信部37から交通情報を受信すると、内蔵するメモリ等にその交通情報を一時記憶する。また、この交通情報に基づいて、地図画面35a上に渋滞区間を強調表示したり、推奨する経路を変更する。尚、交通情報を記憶する上記メモリは、検索データ記憶手段に該当する。
【0027】
さらに、ナビECU2は、タッチパネルディスプレイ35の図示しないコントローラからタッチパネルに接触したユーザの指の接触位置を入力する。また、ナビECU2は、タッチパネルディスプレイ35に隣設された音声入力ボタンBや、ステアリングコラム等に設けられた、音声認識を実行するための音声入力ボタン(図示略)が操作された際に、各音声入力ボタンBから、操作が行われたことを示す検出信号を入力する。
【0028】
ナビECU2は、タッチパネル操作、又は音声入力ボタンBの押釦による音声認識の実行命令を入力すると、音声認識手段としての音声認識部5を制御して、運転者(ユーザ)による発話を待機する。尚、運転者は、音声認識によって施設、地点等の検索を行う際に、自車両Cに対する方向で検索データを絞り込みたい場合には、その方向を向いて発話するようになっている。
【0029】
音声認識部5は、音声認識用LSI、音声認識データベース等(図示略)を備えている。音声認識部5は、車室内に設けられたマイク34(図1参照)から運転者の発話に基づく音声信号を入力する。音声認識データベースには、音響モデル、認識辞書、言語モデル等が記憶されている。音声認識部5は、音響モデルを用いて、音声の特徴量と音素とを関連付け、認識辞書を照合して、検出した音素列と対応付けられた単語を検索する。さらに、言語モデルによって、検出した単語間の接続確率や、係り受け関係を検証する。そして、各単語の接続する確率が高い場合には認識結果を確定する。認識結果が確定されると、音声認識部5は、認識結果をナビECU2に出力し、ナビECU2は、認識結果に基づくコマンドを、各種制御回路に出力する。
【0030】
また、ナビECU2は、検索データ記憶手段としての検索データ記憶部15に記憶された検索データ16を用いて、施設、地点等を検索する。図3に示すように、検索データ16は、管理ヘッダ16a、ジャンル定義データ16b、検索対象データ16c、座標データ16dを有している。管理ヘッダ16aは管理用のデータである。ジャンル定義データ16bは、「空港」、「ガソリンスタンド」、「名所・旧跡」等の施設や特定の地点を検索するためのジャンルや、住所、電話番号、郵便番号等のデータである。検索対象データ16cは、施設名称、地点名称等のデータである。座標データ16dは、その施設又は地点の座標を示すデータである。
【0031】
ナビECU2は、タッチパネル操作又は音声認識によって、運転者が指定するジャンル、住所等の検索条件を取得すると、その検索条件に基づき、検索データ記憶部15内を検索する。また、運転者の操作により「周辺検索」が指定されると、ナビECU2は、自車位置周辺の施設又は特定の地点を検索する。このとき、ナビECU2は、自車位置の緯度及び経度に基づいて、自車位置から所定距離内の施設又は特定の地点を検索データ16を用いて検索する。又は、自車位置が含まれるメッシュのID等に基づき、自車位置周辺のメッシュを特定し、そのメッシュに含まれる施設又は特定の地点を検索する。
【0032】
自車位置周辺の検索データ16を検索すると、検索により抽出した検索データ16を用いてリストを作成し、例えば図4に示すような検索リスト画面35pをタッチパネルディスプレイ35に表示する。検索リスト画面35pでは、抽出された検索対象データ16cに含まれる施設名称等をリストLとして表示している。リスト表示されたこれらの施設や地点は、方角等を指定せずに検索された施設又は地点である。また、検索リスト画面35pの隣には、各施設又は各地点が、自車位置からみてどの方向にあるかを示す方向表示部35qがそれぞれ表示されている。尚、周辺検索結果を示す画面は、検索リスト画面35p以外の表示形式の画面でもよい。
【0033】
また、図1に示すように、ナビユニット1aは、音声プロセッサ7及び顔方向検出部6を備えている。音声プロセッサ7は、音声データ等を記憶しており、渋滞情報等の各種音声をスピーカ36から出力する。
【0034】
顔方向検出部6は、自車両Cに設けられた顔方向検出センサ33から、顔の向きを示す検出信号を受信する。顔方向検出センサ33は、本実施形態ではカメラから構成される。この顔方向検出センサ33は、例えば車室内であって、運転席S(図6参照)に着座した運転者Dの顔を撮影可能に取り付けられている。顔方向検出部6は、顔方向検出センサ33が取得した画像データに基づき、公知の画像処理によって、運転者Dの顔の水平方向(図6中x方向及びy方向)の向き及び鉛直方向(図6中z方向)の向きを検出する。
【0035】
水平方向の向きを検出する場合には、例えば、図5に示す基準方向Diを向いた運転者Dの顔を撮影し、それをテンプレートとして予めメモリに記憶する。また、顔方向検出センサ33が新たに撮影を行うと、新たに取得した画像データと該テンプレートとを比較して、運転者Dの顔の水平方向の向きを演算する。又は、運転者Dの顔を撮影した画像データに対し、エッジ検出や、特徴点抽出処理を行い、顔の方向を検出するようにしても良い。このとき、顔方向検出部6は、図6に示すように、顔の向きD1の基準方向Diに対する相対角度θ1又は相対方位(ベクトル)を演算する。顔の向きD1の相対角度θ1又は相対方位を演算すると、顔方向検出部6は、ナビECU2に相対角度θ1又は相対方位を出力する。
【0036】
鉛直方向の顔の向きを検出する場合も、同様に公知の画像処理方法を用いる。例えば、新たに顔方向検出センサ33から画像データを入力した際に、その画像データと基準方向を向いた運転者Dの顔を撮影したテンプレートとを比較し、顔の俯角又は仰角を演算する。このとき、ナビECU2は、図8に示すように基準位置を向いた運転者Dの顔の向き(図中Di方向)に対する相対角度θ3を算出する。運転者Dが比較的遠方をみている状態では、相対角度θ3は基準方向Diよりも鉛直方向(z方向)上方、即ち仰角になる。運転者Dが自車両Cの近くを見ている状態では、相対角度θ3は基準方向Diよりも鉛直方向(z方向)下方、即ち俯角になる。
【0037】
ナビECU2は、顔方向検出部6から取得した相対角度θ1,θ3又は相対方位を用いて、上記した周辺検索による検索結果を、方角によって絞り込むための絞り込み範囲を設定する。具体的には、ナビECU2は、自車位置と、自車両Cの路面に対する進行方向とを取得し、自車両Cの自車位置及び進行方向に基づき、運転者Dの顔の向きを、路面座標系の軸(図7ではX軸)に対する絶対方向に変換する。このとき、図7に示すように、例えば、顔方向検出部6から取得した水平方向の相対角度θ1又は相対方位に、自車両Cの方向を加味して、運転者Dの顔の向きを絶対角度θ2又は絶対方位として算出する。
【0038】
さらに、ナビECU2は、自車位置を中心点とし、顔の向きD1の絶対方向を中心とした所定角度範囲φ(例えば45°)の扇形の対象エリアAを算出する。さらに、経路データ11を用いて、対象エリアA内の道路に沿って自車位置から所定距離L1以内のエリア
を、絞り込み範囲Z2とする。このとき、ナビECU2は、鉛直方向の顔の向きを示す相対角度θ3に基づき、相対角度θ3が基準方向(図8中Di方向)に対して仰角(上方)である場合には、所定距離L1を比較的長く設定し(例えば5km)、俯角(下方)である場合には、所定距離L1を比較的短く設定する(例えば2km)。
【0039】
このように絞り込み範囲Z2が設定されると、ナビECU2は、絞り込み範囲Z2に基づき、周辺検索で検索された施設又は地点や、交通情報の絞り込みを行う。このとき、既に周辺検索によって抽出された検索データ16の座標データ16d等を用いて、絞り込み範囲Z2に含まれる検索データ16を絞り込む。また、交通情報の絞り込みを行う際には、交通情報受信部37から取得し、ナビECU2に記憶された交通情報のうち、絞り込み範囲Z2に含まれる渋滞情報や案内情報があるか否かを交通情報に含まれるデータに基づき判断し、該当する交通情報がある場合には、その交通情報を抽出する。
【0040】
次に本実施形態の処理手順について、図9に従って説明する。ナビECU2は、自車両Cの現在位置を取得する(ステップS1)。また、タッチパネル操作、音声認識等により、周辺検索が指定されているか否かを判断する(ステップS2)。
【0041】
周辺検索が指定されていると判断した場合には(ステップS2においてYES)、自車位置に基づき、自車位置周辺の施設又は地点を検索する周辺検索を上記した手順で行う(ステップS3)。さらに、周辺検索の結果、抽出された施設又は地点をリストLとして検索リスト画面35pに表示する(ステップS4)。尚、自車位置周辺の交通情報が検索された場合には、交通情報を地点名称とともに画面に表示したり、地図画面35aに表示された道路沿いに表示する。
【0042】
さらに、ナビECU2は、音声入力ボタンBの操作が行われたか否かを判断する(ステップS5)。音声入力ボタンBの操作が行われていない間は(ステップS5においてNO)、リストLの表示を継続する。このとき地図画面35aに戻るためのタッチパネル操作が行われた場合等には、その割り込み指令を実行する。
【0043】
音声入力ボタンBが操作されたと判断すると(ステップS5においてYES)、ナビECU2は、顔方向検出部6から、ドライバーの顔の向きを検出する(ステップS6)。本実施形態では、上記したように、基準方向に対する水平方向の相対角度θ1,θ3又は相対方位を取得する。
【0044】
また、ナビECU2は、運転者Dにより、方向を指示する発話の有無を判断する(ステップS7)。具体的には、音声認識部5により、運転者Dの発話内容を解析して、予め定められた絞り込み命令のコマンドと一致するか否かを判断する。例えば、方向を指示するコマンドが、「この方向」である場合、音声認識部5は、運転者Dの発話内容が「この方向」と一致するか否かを判断する。
【0045】
音声認識の結果、方向を指示する発話内容を検出しない場合には(ステップS7においてNO)、音声入力ボタンBの操作から所定時間(例えば10秒)が経過したか否かを判断する(ステップS8)。所定時間が経過したと判断した場合には(ステップS8においてYES)、音声の入力待ち状態を解除して(ステップS9)、ステップS4に戻る。所定時間が経過していないと判断した場合には(ステップS8においてNO)、ステップS6に戻り、顔の向きを再び検出する。
【0046】
一方、音声認識の結果、方向を指示する発話内容を検出すると(ステップS7においてYES)、絞り込み範囲Z2を設定する(ステップS10)。このとき、上記したように、ドライバーの顔の向きを示す水平方向の相対角度θ1又は相対方位に自車両Cの絶対方
向を加味して、絶対角度θ2又は絶対方位を算出する。さらに、図7に示すように顔の向きD1を中心に所定角度範囲φ(例えば45°)の扇形の対象エリアAを算出する。また、経路データ11を用いて、対象エリアA内に含まれる道路沿いに所定距離L1以内のエリアを、施設や特定の地点、交通情報の絞り込み範囲Z2とする。このとき、所定距離L1は、鉛直方向の顔の向きを示す相対角度θ3に基づき設定する。
【0047】
また、ナビECU2は、リストLに含まれる施設、地点や交通情報のうち、絞り込み範囲Z2に含まれる施設、地点や交通情報があるか否かを判断する(ステップS11)。絞り込み範囲Z2に含まれる施設、地点や交通情報が無いと判断した場合には(ステップS11においてNO)、運転者Dが指定する方角であって、自車両周辺の施設等がないことを示す検索結果をタッチパネルディスプレイ35に表示する(ステップS12)。
【0048】
一方、絞り込み範囲Z2に含まれる施設、地点や交通情報があると判断した場合には(ステップS11においてYES)、絞り込み範囲Z2に含まれる施設、地点や交通情報の検索データ16を抽出する(ステップS13)。また、抽出された施設、地点や交通情報のリストLをタッチパネルディスプレイ35に表示する(ステップS14)。その結果、例えば図5に示すような絞り込み結果画面35tが表示される。この絞り込み結果画面35tには、運転者Dが顔の向きによって指示した施設、地点や交通情報がリストLとして表示されているので、運転者Dは手動操作によってデータを絞り込むことなく、必要な情報を確認することができる。
【0049】
このように処理を終了すると、ステップS1に戻り、上記した処理を繰り返す。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、ナビECU2は、顔方向検出部6により、運転者Dの顔の向きを検出するようにした。また、自車位置に基づいて自車両周辺の施設又は特定の地点又は交通情報を検索する周辺検索を行った際に、自車位置と運転者Dの顔の向きに応じて、検索データの絞り込み範囲Z2を設定し、周辺検索された施設又は地点又は交通情報の中から、絞り込み範囲Z2に該当する施設又は地点又は交通情報を抽出するようにした。さらに、抽出された検索データ16をタッチパネルディスプレイ35に表示するようにした。このため、周辺検索によって検索されたデータの絞り込みの際に、運転者Dは手動操作をする必要がなく、顔の向きを変えるだけで絞り込みを行うことができる。従って、手動操作で絞り込み操作を行うよりも、運転者Dの手間を軽減することができる。
【0050】
(2)上記実施形態では、ナビECU2は、運転者Dの顔の向きを含む所定角度範囲φを絞り込み範囲Z2とするようにした。このため、運転者Dが検索したい方角を的確に判断し、必要性が高いデータを抽出することができる。
【0051】
(3)上記実施形態では、ナビECU2は、顔方向検出部6により鉛直方向における運転者Dの顔の向きを検出し、鉛直方向の顔の向きに応じて、絞り込み範囲Z2の長さを設定するようにした。このため、運転者Dが比較的遠いところを見ている状態では、絞り込み範囲Z2を長く設定し、比較的近いところを見ている状態では絞り込み範囲Z2を短く設定することができる。従って、運転者Dが検索したい範囲を的確に判断し、必要性が高いデータを抽出することができる。
【0052】
(4)上記実施形態では、音声認識部5により、運転者Dの発話を検出及び解析し、その発話内容が所定の絞り込み命令である場合に、自車位置と運転者Dの顔の向きとに応じて検索データ16の絞り込み範囲Z2を設定して、絞り込み範囲Z2に基づき検索データ16の絞り込みを行うようにした。このため、絞り込み条件を手動操作で入力する必要がないので、発話及び顔の向きだけで、運転者Dが検索したい情報を絞り込むことができる。
【0053】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、顔方向検出センサ33は、カメラとしたが、その他のセンサでもよい。
【0054】
・上記実施形態では、ドライバーの顔の水平方向の向きと鉛直方向の向きとを検出するようにしたが、水平方向のみでもよい。
・上記実施形態では、交通情報受信部37は、VICSから送信された交通情報を受信するようにしたが、その他のシステムから交通情報、案内情報を受信するようにしてもよい。例えば、FM多重放送を用いるRDS/TMC(Radio Data System/Traffic Message Channel)や、道路近傍に設置された路側機と車載装置との間で通信を行う路車間通信、又は各車載装置の間で通信を行う車車間通信によって交通情報、案内情報を受信するようにしてもよい。
【0055】
・上記実施形態では、検索結果をタッチパネルディスプレイ35に表示するようにしたが、出力制御手段としての音声プロセッサ7により、出力手段としてのスピーカ36から音声を出力して検索結果を案内しても良い。
【0056】
・上記実施形態では、運転者Dの瞳の位置等を検出する視線検出手段を用いて、運転者が見ている方向を検出するようにしてもよい。そして、自車位置と運転者の視線の向きとに応じて検索対象範囲を設定するようにしてもよい。
【0057】
・周辺検索(ステップS3)の際、さらにジャンルを指定して検索を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本実施形態のナビゲーションシステムのブロック図。
【図2】(a)は経路データ、(b)は地図描画データの説明図。
【図3】検索データの説明図。
【図4】ディスプレイに表示される検索リスト画面の画面図。
【図5】絞り込み結果画面の画面図。
【図6】運転者の水平方向の顔の向きを検出する処理の説明図。
【図7】顔の向きを示す相対方向を路面に対する絶対方向に変換する処理の説明図。
【図8】運転者の鉛直方向の顔の向きを検出する処理の説明図。
【図9】本実施形態の処理手順を示すフロー。
【符号の説明】
【0059】
1a…ナビゲーション装置としてのナビユニット、2…自車位置特定手段、周辺検索手段、顔向き方向検出手段、範囲設定手段、データ抽出手段、制御手段、出力制御手段としてのナビECU、5…音声認識手段としての音声認識部、7…出力制御手段としての音声プロセッサ、15…検索データ記憶手段としての検索データ記憶部、16…検索データ、35…出力手段としてのタッチパネルディスプレイ、36…出力手段としてのスピーカ、D…運転者、Z2…絞り込み範囲。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検索データを記憶する検索データ記憶手段を備え、運転者が提示する条件に基づいて前記検索データを検索するナビゲーション装置において、
自車位置を特定する自車位置特定手段と、
自車位置に基づき、自車両周辺の前記検索データを検索する周辺検索手段と、
運転者の顔の向きを検出する顔向き方向検出手段と、
自車位置と運転者の顔の向きとに応じて、前記検索データの絞り込み範囲を設定する範囲設定手段と、
前記周辺検索手段により検索された自車両周辺に関する検索データの中から、前記絞り込み範囲に該当する前記検索データを抽出するデータ抽出手段と、
抽出された前記検索データを出力手段に出力する出力制御手段と
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記範囲設定手段は、運転者の顔の向きを含む所定角度範囲を前記絞り込み範囲とすることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のナビゲーション装置において、
前記顔向き方向検出手段は、鉛直方向における運転者の顔の向きを検出し、鉛直方向の顔の向きに応じて、前記絞り込み範囲の長さを設定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、
前記周辺検索手段により自車両周辺の前記検索データを検索した後に、運転者の発話の有無を判断し、運転者による発話が検出された際に、その発話内容を解析する音声認識手段をさらに備え、
発話内容が絞り込み命令である場合には、前記範囲設定手段は、自車位置と運転者の顔の向きとに応じて、前記検索データの前記絞り込み範囲を設定し、前記データ抽出手段は、前記絞り込み範囲に基づき前記検索データの絞り込みを行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
検索データを記憶する検索データ記憶手段と、前記検索データを検索する制御手段とを用いて、運転者が提示する条件に基づいて前記検索データを検索するナビゲーション装置の検索方法において、
前記制御手段が、
自車位置に基づき、自車両周辺の前記検索データを検索するとともに、運転者の顔の向きを検出して自車位置と運転者の顔の向きとに応じて絞り込み範囲を設定し、
検索された自車両周辺に関する前記検索データの中から、前記絞り込み範囲に該当する前記検索データを抽出し、抽出された前記検索データを出力手段に出力することを特徴とするナビゲーション装置の検索方法。
【請求項6】
検索データを記憶する検索データ記憶手段と、前記検索データを検索する制御手段とを用いて、運転者が提示する条件に基づいて前記検索データを検索するナビゲーション装置の検索プログラムにおいて、
前記制御手段を、
自車位置を特定する自車位置特定手段と、
自車位置に基づき、自車両周辺の前記検索データを検索する周辺検索手段と、
運転者の顔の向きを検出する顔向き方向検出手段と、
自車位置と運転者の顔の向きとに応じて、前記検索データの絞り込み範囲を設定する範
囲設定手段と、
前記周辺検索手段により検索された自車両周辺に関する検索データの中から、前記絞り込み範囲に該当する前記検索データを抽出するデータ抽出手段と、
抽出された前記検索データを出力手段に出力する出力制御手段として機能させることを特徴とするナビゲーション装置の検索プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−298522(P2008−298522A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−143526(P2007−143526)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】