説明

ナビゲーション装置、方法及びプログラム

【課題】車両と離れた場所にいる車両の所有者や車両との待ち合わせを行う者等に対して、車両等の駐車位置、目的地又は待ち合わせ場所への誘導情報を提供するが可能なナビゲーション装置、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】端末位置情報取得部47は、端末通信部46が受信した携帯端末20の現在位置情報を地図上の座標データ、マップコード等として取得する手段である。端末出発地・目的地設定部48は、車両の現在位置計算部41、目的地受付部42及び経路設定部43から、現在位置情報又は目的地情報を取得し、車両の現在位置あるいは目的地を、携帯端末20の目的地として設定する手段である。端末経路設定部49は、端末位置情報取得部47において取得される携帯端末20の端末位置情報に基づいて携帯端末20の出発地を設定するとともに、端末出発地・目的地設定部48で設定される端末目的地への誘導経路を設定する手段である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両と離れた場所にいる車両の所有者や車両との待ち合わせを行う者等に対して、車両等の駐車位置、目的地又は待ち合わせ場所への誘導情報を提供するナビゲーション装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年急速に普及したナビゲーション装置は、地図上の道路や地名、建物などを数値化して得られたデータベースをCD−ROM等の記憶媒体に保持させ、それらデジタル地図データベースに基づいて目的地を設定し、予め装置が保持している道路データベースにしたがって誘導路を探索計算し、得られた誘導路と、GPS、ジャイロ、車速パルス等の航法データから逐次計算する自車位置を周辺地図上に画面表示したり、指定される目的地への最適な経路についても、計算のうえ画面表示や合成音声で誘導案内(ナビゲーション)するものである。
【0003】
このようなナビゲーション装置においては、電話回線を通じてインターネット上のサーバマシンと接続し、サーバマシンのデータベースより車両の位置を含む地図データや、観光情報、渋滞情報、規制情報等の各種データを適時に受信するというような、外部機器との送受信を行う技術が提案されている。
【特許文献1】特開平9−166450号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような外部のサーバマシンとの通信によって各種データを取得するナビゲーション装置では、ナビゲーション装置おいて設定された現在地情報や目的地情報等を装置を搭載する車両の外から直接取得することはできなかった。また、ナビゲーション装置内で求められた経路、誘導情報などを車両外の端末に送信する手段はなかった。
【0005】
すなわち、ナビゲーション装置から外部サーバマシンにナビゲーション装置の位置情報を送信し、常にサーバ側におけるナビゲーション装置の位置情報を更新しておくことにより、例えば歩行者がサーバにアクセスして当該ナビゲーション装置の各種データを取得することは可能であるが、サーバの管理コストが大きく、個人情報の管理等も困難であった。また、ナビゲーション装置の位置情報を常に更新しなければならないため、通信コストが過大となっていた。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するもので、その目的は、車両と離れた場所にいる車両の所有者や車両との待ち合わせを行う者等に対して、車両等の駐車位置、目的地又は待ち合わせ場所への誘導情報を提供するができるナビゲーション装置、方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、外部端末装置との通信を行う通信手段と、前記外部端末装置からの受信データから外部端末装置の位置情報を取得する端末位置情報取得手段と、前記外部端末装置が車両に到達できる地点に関する車両位置情報を取得する車両位置情報取得手段と、前記車両位置情報に基づいて、前記外部端末装置の出発地と目的地を設定する端末出発地目的地設定手段と、前記端末出発地から前記端末目的地までの最適な誘導経路を設定する端末経路設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項5の発明は、請求項1の発明を方法という見方から捉えたもので、コンピュータ又は電子回路が、外部端末装置との通信を行う通信処理と、前記外部端末装置からの受信データから外部端末装置の位置情報を取得する端末位置情報取得処理と、前記外部端末装置が車両に到達できる地点に関する車両位置情報を取得する車両位置情報取得処理と、前記車両位置情報に基づいて、前記外部端末装置の出発地と目的地を設定する端末出発地目的地設定処理と、前記端末出発地から前記端末目的地までの最適な誘導経路を設定する端末経路設定処理とを実行することを特徴とする。
【0009】
請求項9の発明は、請求項1,5の発明をコンピュータのプログラムという見方から捉えたもので、コンピュータを制御することにより、外部端末装置に対する経路設定及び誘導案内させるナビゲーションプログラムにおいて、このプログラムは、前記コンピュータに、前記外部端末装置と通信させ、前記外部端末装置からの受信データから外部端末装置の位置情報を取得させ、前記外部端末装置が車両に到達できる地点に関する車両位置情報を取得させ、前記車両位置情報に基づいて、前記外部端末装置の出発地と目的地を設定させ、前記端末装置の端末出発地から端末目的地までの最適な誘導経路を設定させることを特徴とする。
【0010】
以上の態様では、車両と離れた場所にいる車両の所有者や車両との待ち合わせを行う者等に対して、車両等の駐車位置、目的地又は待ち合わせ場所への誘導情報を提供するができる。したがって、駐車場などで車両の駐車位置がわからなくなってしまった場合や、車両が移動されてしまった場合においも、車両に搭載されたナビゲーション装置が応答できる状態であれば、車両までの誘導情報を自動的に応答することにより、車両を目的地として当該目的地に的確にたどり着くことが可能となる。また、車両の運転を行う者が、待ち合わせを行う者と携帯電話などを用いて待ち合わせ場所を決定したり、説明したりする手間が省けるため、運転者を煩わせるようなことがない。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1記載の発明において、前記車両位置情報は、センサ群から得る航法データにより計算される車両の現在位置、またはユーザによる指示により設定された車両の目的地を含み、前記車両位置情報取得手段は、車両の目的地設定の有無を判別し、前記車両の目的地が設定されている場合には、当該車両目的地を車両位置情報とし、前記端末出発地目的地設定手段は、前記車両目的地を前記端末目的地として設定することを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項2の発明を方法という見方から捉えたもので、請求項5記載の発明において、前記車両位置情報は、センサ群から得る航法データにより計算される車両の現在位置、またはユーザによる指示により設定された車両の目的地を含み、前記車両位置情報取得処理は、車両の目的地設定の有無を判別し、前記車両の目的地が設定されている場合には、当該車両目的地を車両位置情報とし、前記端末出発地目的地設定処理は、前記車両目的地を前記端末目的地として設定することを特徴とする。
【0013】
請求項10の発明は、請求項2,6の発明をコンピュータのプログラムという見方から捉えたもので、請求項9記載の発明において、前記車両位置情報は、センサ群から得る航法データにより計算される車両の現在位置、またはユーザによる指示により設定された車両の目的地を含み、前記車両位置情報を取得させる方法は、車両の目的地設定の有無を判別し、前記車両の目的地が設定されている場合には、当該車両目的地を車両位置情報とし、前記端末出発地と端末目的地を設定させる方法は、前記車両目的地を前記端末目的地として設定させるものであることを特徴とする。
【0014】
以上の態様では、車両が目的地へ向かって走行している場合、車両は最終的には当該目的地へ到達するため、車両の目的地が設定されている場合には、その目的地を車両位置情報とし、それに基づいて端末の目的地を設定することによって、外部端末装置を有する歩行者等はその車両の乗員と確実に待ち合わせることができる。また、車両が目的地を設定していない場合には、その車両が今後どこへ向かうのかを判断出来ないため、外部端末装置を有する車両に到達するために、その車両の現在位置を目的地に設定することで、端末目的地を確定することができる。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記端末位置情報には、前記外部端末装置の交通手段情報が含まれ、前記端末出発地目的地設定手段は、前記交通手段情報に公共交通手段での移動が含まれる場合に、前記車両位置情報に基づく端末目的地近傍の当該公共移動手段の乗降地点を前記出発地として設定することを特徴とする。
【0016】
請求項7の発明は、請求項3の発明を方法という見方から捉えたもので、請求項5又は6に記載の発明において、前記端末位置情報には、前記外部端末装置の交通手段情報が含まれ、前記端末出発地目的地設定処理は、前記交通手段情報に公共交通手段での移動が含まれる場合に、前記車両位置情報に基づく端末目的地近傍の当該公共移動手段の乗降地点を前記出発地として設定することを特徴とする。
【0017】
請求項11の発明は、請求項3,7の発明をコンピュータのプログラムという見方から捉えたもので、請求項9又は10に記載の発明において、前記端末位置情報には、前記外部端末装置の交通手段情報が含まれ、端末出発地と端末目的地を設定させる方法は、前記交通手段情報に公共交通手段での移動が含まれる場合に、前記車両位置情報に基づく端末目的地近傍の当該公共移動手段の乗降地点を前記出発地として設定させるものであることを特徴とする。
【0018】
以上の態様では、外部端末装置の端末位置情報に、現在の交通手段情報が含まれるため、例えば、外部端末装置を持つ者が電車で移動中の場合、現在位置を出発地として端末の経路計算を行ったのでは、公共交通手段を考慮しない誘導経路が探索されてしまう場合があるが、端末目的地近傍の乗降地点を出発地とすることにより、端末目的地へのより正確な経路誘導が可能となる。
【0019】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明において、前記端末経路設定手段は、前記端末出発地から端末目的地までの距離が所定の距離よりも長い場合には、経路設定を行わないことを特徴とする。
【0020】
請求項8の発明は、請求項4の発明を方法という見方から捉えたもので、請求項5乃至7のいずれか1項に記載の発明において、前記端末経路設定処理は、前記端末出発地から端末目的地までの距離が所定の距離よりも長い場合には、経路設定処理を行わないことを特徴とする。
【0021】
請求項12の発明は、請求項4,8の発明をコンピュータのプログラムという見方から捉えたもので、請求項9乃至11のいずれか1項に記載の発明において、前記誘導経路を設定させる方法は、前記端末出発地から端末目的地までの距離が所定の距離よりも長い場合には、経路設定を行わないものであることを特徴とする。
【0022】
以上の態様では、端末出発地から端末目的地までの距離が一定の距離より長い場合には、車両と外部端末装置を有する者との目的地での到着時間が不明確となる場合が考えられ、正確な誘導情報提供することが困難になる。そこで、端末出発地と端末目的地との距離が予め設定した距離以上に離れている場合には、経路設定は行わず、例えば、誘導距離圏外である旨のメッセージ等を外部端末装置へ送ることによって、外部端末へのより効率的な経路誘導を行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、車両と離れた場所にいる車両の所有者や車両との待ち合わせを行う者等に対して、車両等の駐車位置、目的地又は待ち合わせ場所への誘導情報を提供することが可能なナビゲーション装置、方法及びプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明のナビゲーション装置(以下「本装置」と呼ぶ)、対応するナビゲーション方法及びプログラムを実施するための最良の実施形態について、図を参照して説明する。なお、すでに説明した従来の技術と共通の前提事項は再言しない。
【0025】
[1.構成]
[1−1.全体構成]
本装置は、車載型のナビゲーション装置で、図1の機能ブロック図に示す以下の各要素を備える。すなわち、GPSのアンテナやレシーバを含む絶対位置・方位検出部1と、ジャイロ等を利用した相対方位検出部2と、車より得られるパルスを処理する車速検出部3は、ナビゲーション用の航法データを得るセンサ群である。ディスク制御部12は、ハードディスク、DVD−ROM、CD−ROMなどのドライブで、道路リンクを用いた道路地図データのデータベースを読み取る役割を果たし、携帯電話などを経由するサーバからの情報提供(いわゆるオフボード)で置き換えることもできる。
【0026】
また、処理部4は、システム全体の制御を司るメインCPU及びその周辺回路で、センサ群(1〜3)から得る航法データに基づく現在位置の計算及びマップマッチングを含むナビゲーション処理を、前記道路地図データを用いて行う部分である。
【0027】
また、メモリMのうち、ROM5は、処理部4のCPUのためのプログラムを格納し、DRAM(ダイナミックRAM)6は、前記CPUにより処理されるデータを格納し、SRAM(スタティックRAM)7は、メイン電源OFF時も設定等の情報をバッテリーバックアップし、VRAM(ビデオRAM)8は表示部10に表示する画像のビットパターンの書込み用である。
【0028】
また、表示部10は地図やメニューなどの情報を表示する部分で、例えばTFT液晶パネルなどである。入力部11はユーザからの様々な命令や情報の入力を受け付ける部分で、例えばスイッチ類やタッチパネルなどである。ユーザインタフェース部9は、表示部10や入力部11と、処理部4とを結び信号の伝達、変換、タイミング制御などを行う部分である。
【0029】
通信装置及び処理部13は、FM放送波を受信すると共にVICSなど所望のデータを取り出す部分であるとともに、有線又は無線モデムなどのネットワーク機器を経由して携帯電話やPDAあるいはBluetooth(商標)を搭載した端末など(以下、携帯端末20という。)と通信を行い、携帯端末20に本装置で処理したデータを送信する部分である。なお、携帯端末20は、端末の現在位置を把握可能な機能、例えば、GPS機能や最寄の無線アクセスポイントにアクセスして当該アクセスポイントの緯度経度情報を取得する手段等を備えており、把握した現在位置情報を最寄の無線アクセスポイント経由あるいは携帯端末の基地局経由での通信回線を利用して、本装置と通信を行うものである。
【0030】
[1−2.メインCPU及びその周辺回路の役割]
メインCPU及びその周辺回路4は、上記のようなプログラムの作用によって、図1に示す下記の各部分としての役割を実現するように構成されている。すなわち、現在位置計算部40は、自車位置を逐次計算するための手段であり、具体的には、GPS航法測位と自律航法測位とを組み合わせることで自車位置を計算するように構成される。ここで、GPS航法測位は、人工衛星からの電波に基づいて絶対位置・方位検出部1で得られる情報を使って現在位置を計算するものである。また、自律航法測位は、地磁気及び自車の速度に基づいて相対方位検出部2及び車速検出部3から得られる情報を使って現在位置を計算するものである。
【0031】
また、目的地受付部42は、前記道路地図データを記録したデータベースからの施設検索や地図上でのカーソル指定などにより、目的地の指定すなわち入力を受け付ける手段である。経路設定部43は、現在位置検出部40により検出される現在位置から、目的地受付部42により指定された目的地に到達するまでの経路を、道路地図データに基づいて計算し、結果として得られた経路を設定する手段である。
【0032】
地図表示部45は、算出された自車位置、経路及び道路地図データに基づいて、自車位置周辺の地図あるいは広域表示した地図を、表示部10に三次元表示又は他の態様で表示する手段である。また、案内部44は、経路のうち表示する部分や点滅強調などの要素を決めたり、合成音声の併用などにより誘導案内を制御する手段である。
【0033】
端末通信部46は、通信装置及び処理部13を介して、携帯端末20から送信される携帯端末20の現在位置データを受信し、本装置1から送信する誘導経路データを送信する手段である。また、端末位置情報取得部47は、端末通信部46が受信した携帯端末20の現在位置情報を地図上の座標データ、マップコード等として取得する手段である。
【0034】
端末出発地・目的地設定部48は、車両の現在位置計算部41、目的地受付部42及び経路設定部43から、現在位置情報又は目的地情報を取得し、車両の現在位置あるいは目的地を、携帯端末20の目的地(以下、端末目的地という。)として設定する手段である。
【0035】
端末経路設定部49は、端末位置情報取得部47において取得される携帯端末20の端末位置情報に基づいて携帯端末20の出発地(以下、端末出発地という。)を設定するとともに、端末出発地・目的地設定部48で設定される端末目的地への誘導経路を設定する手段である。また、設定された誘導経路は、端末通信部46へ誘導経路情報として送信され、そこから携帯端末20へ送信される。
【0036】
ここで、端末経路設定部49における携帯端末20の出発地は、下記の場合に応じて複数の設定手法によって設定される。すなわち、端末経路設定部49は、目的地受付部42から送信される情報に基づいて車両の目的地が決定されているか否かを判別し、目的地が設定されている場合には、その目的地を端末目的地として設定し、目的地が設定されていない場合には、現在位置計算部41に基づく現在位置を端末目的地として設定するように構成されている。また、携帯端末20の現在位置から目的地までの経路にバスや電車等の公共交通手段が含まれる場合には、端末目的地に対して最近傍の公共交通手段の乗降地点を出発地として設定するように構成されている。さらに、端末目的地として設定された地点が、端末の出発地として設定された地点から、所定の距離、例えば、5kmを越えるような場合には、経路設定を行わないように構成されている。
【0037】
[2.作用]
以上のような本実施形態による処理の詳細を、図2のフローチャートを参照して説明する。なお、自車のナビゲーションに関しては、目的地受付部42により目的地を設定し、、経路設定部43において現在位置から目的地への誘導経路が計算され、案内部44及び地図表示部45によって誘導案内が行われることは、通常のナビゲーション装置と同様であるので、説明を省略し、以下では、携帯端末20に対する誘導経路情報提供判断を2つの態様に分けて説明する。
【0038】
[2−1.誘導情報提供判断1]
図2のフローチャートに示す処理は、例えばユーザが駐車場に車を停め、駐車場から離れた場所にある施設へ移動した後、その施設から自車へ戻る場合の案内情報を携帯端末へ送信する処理に関するものである。
【0039】
図2に示すように、まず、端末通信部46が、携帯端末20より送られる端末の現在地情報を通信装置及び処理部13を介して受信する(S201)。このとき、端末通信部46は、まずこの現在位置情報を送信するユーザが応答可能ユーザ、すなわち、誘導経路情報を提供する必要あるいは条件を備えた対象か否か判別する(S202)。ここで、応答可能ユーザか否かは、例えば、図3に示す「誘導情報送信条件」画面において予め設定しておく。具体的には、応答可能なユーザを装置1への「登録者のみ」とするか、登録ユーザに限らず「すべて」とするかを設定する。なお、この条件は、上記の2つに限らず、任意に指定可能である。
【0040】
上記のような設定の下、アクセスするユーザが応答可能ユーザでない場合(S202の「NO」)には処理を終了する(END)。一方、送信ユーザが応答可能ユーザの場合には(S202の「YES」)、端末通信部46は、前記現在位置情報を端末位置情報取得部47へ送る。端末位置情報取得部47においては、この現在位置情報が、端末位置情報として構成され(S203)、さらに端末出発地・目的地設定部48へ送られる。ここで、端末位置情報は、携帯端末20の最寄の施設名、携帯端末20の現在位置における緯度及び経度情報及び駐車位置の緯度及び経度、全国をメッシュ分割し各々のメッシュ及びメッシュ内での相対位置を一律に表現したマップコード(ここでは、高精度マップコード)とから構成されている。
【0041】
端末出発地・目的地設定部48は、車両の現在位置計算部41に基づいて車両の現在位置を端末目的地として設定し(S204)、端末現在位置を出発地として設定する(S205)。このようにして端末出発地・目的地設定部48において設定された端末の出発地と目的地は、端末目的地情報として端末経路設定部49へ送られる。そして、端末経路設定部49は、端末出発地から端末目的地までの最適な誘導経路を計算する(S206)。計算された誘導経路は、誘導経路情報として設定され(S207)、端末通信部46へ送られる(S208)。この誘導経路情報には、自車現在位置情報、端末目的地のマップコード及び端末出発地から端末目的地までの詳細図から構成される。そして、この誘導経路情報は、端末通信部46から通信装置及び処理部13を介して携帯端末20へ送信して処理を終了する(END)。
【0042】
[2−2.誘導情報提供判断2]
図5のフローチャートに示す処理は、例えば、車両の乗員が待ち合わせをしている携帯端末20を有する歩行者等(車両の所有者ではない者)に対して車両又は車両が目的地としている場所への案内を行うための情報を歩行者の携帯端末20に送信するための処理に関するものである。
【0043】
具体的には、車両が、ある遊園地を目的地としてその遊園地に向かって走行している場合、車両は最終的には遊園地又はその駐車場に到達するため、携帯端末20を有する歩行者は車両の目的地である遊園地又はその駐車場に行けばその車両の乗員と落ち合うことができる。また、車両が目的地を設定していない場合には、その車両が今後どこへ向かうのかを判断できないため、車両に到達するために、その車両の現在位置を目的地として設定することとなる。以下、処理を詳述する。
【0044】
図5に示すように、まず、端末通信部46が、携帯端末20より送られる端末の現在地情報を通信装置及び処理部13を介して受信する(S501)。次に、端末通信部46は、前記現在位置情報を端末位置情報取得部47へ送る。端末位置情報取得部47においては、この現在位置情報が、端末位置情報として取得され(S502)、さらに端末出発地・目的地設定部48へ送られる。ここで、端末位置情報は、図6に示すように携帯端末20の最寄の施設名、携帯端末20のユーザの徒歩・車又は電車等の交通手段情報、緯度及び経度情報及びディスク制御部12に格納された地図データと共通のマップコードとから構成されている。
【0045】
端末出発地・目的地設定部48は、まず、端末目的地を設定する。すなわち、目的地受付部42からの情報に基づいて、車両の目的地が設定されているか否かを確認する(S503)。車両目的地が設定されている場合には(S503の「YES」)、当該目的地を端末目的地として設定し(S504)、目的地が設定されていない場合には(S503の「NO」)、車両の現在位置を端末目的地として設定する(S505)。
【0046】
次に、端末出発地・目的地設定部48において端末出発地を設定する。すなわち、上記端末位置情報におけるユーザの交通手段情報が「電車」又は「バス」等の公共交通手段を含む場合には(S506の「YES」)、端末目的地からの最寄の乗降地点(駅やバス停)を出発地として設定し(S507)、公共交通手段を含まない「徒歩」や「車」の場合には(S506の「NO」)、端末現在位置を出発地として設定する(S508)。
【0047】
このようにして端末出発地・目的地設定部48において設定された端末の出発地と目的地は、端末目的地情報として端末経路設定部49へ送られる。端末経路設定部49は、設定した端末出発地から端末目的地までの距離が、誘導範囲内か否か、すなわち、所定の距離範囲内にあるか否かを判定する(S509)。
【0048】
ここで、この誘導範囲内か否かについては、図4に示した「誘導情報送信条件」の設定画面において、予め設定した距離に基づいて判断する。具体的には、端末出発地から端末目的地までの距離の上限を「5km以内」、「10km以内」又は「すべて」のいずれかから選択することにより設定しておく。なお、この距離は必須の構成ではなく、任意に変更可能である。また、前記端末位置情報におけるユーザの交通手段状態が「車」であった場合には、誘導範囲内か否かの判定を行わずに次の処理進むようにしても良い。
【0049】
この結果、端末目的地が誘導範囲内にない場合には(S509の「NO」)、誘導案内圏外にあることを端末通信部46を介して携帯端末20へ通知し(S510)、処理を終了する(END)。一方、端末目的地が誘導範囲内にある場合には(S509の「YES」)、端末出発地から端末目的地までの最適な誘導経路を計算する(S511)。
【0050】
このようにして計算された誘導経路は、誘導経路情報として設定され(S512)、端末通信部46へ送られる(S513)。この誘導経路情報は、図7に示すように、自車現在位置情報、車両の「停止中」あるいは「移動中」などの状態、端末目的地への車両の予想到着時刻、端末目的地からの車両予定出発時刻、端末目的地のマップコード及び端末出発地から端末目的地までの概略図から構成される。そして、このような誘導経路情報は、端末通信部46から通信装置及び処理部13を介して携帯端末20へ送信して処理を終了する(END)。
【0051】
[3.効果]
以上のような本実施形態によれば、車両と離れた場所にいる車両の所有者や車両との待ち合わせを行う者等の有する携帯端末に対して、車両の現在位置、目的地又は待ち合わせ場所への誘導経路情報を提供するができる。したがって、車両の所有者が駐車場などで車両の駐車位置がわからなくなってしまった場合や、車両が移動されてしまった場合においも、車両に搭載されたナビゲーション装置が応答できる状態であれば、端末出発地から車両までの誘導情報を自動的に応答することにより、車両を端末目的地として当該目的地に的確にたどり着くことが可能となる。また、車両の運転を行う者が、待ち合わせを行う者と携帯電話などを用いて待ち合わせ場所を決定したり、説明したりする手間が省けるため、運転者を煩わせるようなことがない。
【0052】
また、車両の目的地が設定されている場合には、その目的地を車両位置情報とし、それに基づいて端末目的地を設定することによって、携帯端末を有する歩行者等は目的地において、車両の乗員と確実に待ち合わせることができる。また、車両が目的地を設定していない場合には、その車両が今後どこへ向かうのかを判断出来ないため、携帯端末を有する車両に到達するために、その車両の現在位置を目的地に設定することで、端末目的地を確定することができる。
【0053】
携帯端末の端末位置情報に、ユーザの徒歩・車又は電車等の交通手段情報が含まれるため、例えば、携帯端末を持つ者が電車で移動中の場合、現在位置を出発地として端末の経路計算を行ったのでは、公共交通手段を考慮しない誘導経路が探索されてしまう場合があるが、端末目的地近傍の乗降地点を出発地とすることにより、端末目的地へのより正確な経路誘導が可能となる。
【0054】
また、端末経路設定部では、端末出発地と端末目的地との距離が予め設定した距離以上に離れている場合には、経路設定は行わず、誘導範囲内にないことを端末へ通知することによって、携帯端末へのより効率的な経路誘導を行うことができる。
【0055】
[4.他の実施形態]
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、次に例示するような他の実施形態も含むものである。例えば、図2又は図5のフローチャートに示すように、「(1) 誘導情報送信条件」、「(2) 車両目的地判別」、「(3) 公共交通手段判別」、「(4) 誘導範囲判別」は、いずれも必須の処理ではなく、適宜組み合わせて採用可能な処理である。すなわち、本発明の携帯端末20への誘導経路情報の提供処理は、図8のフローチャートに示すS801〜S807を満たすことを条件として、本発明の効果を奏することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の実施形態における誘導情報提供判断1の処理を示すフローチャート。
【図3】本発明の実施形態における誘導情報送信条件設定の画面例を示す図。
【図4】本発明の実施形態における誘導情報提供判断1の端末位置情報を示す図。
【図5】本発明の実施形態における誘導情報提供判断2の処理を示すフローチャート。
【図6】本発明の実施形態における誘導情報提供判断2の端末位置情報を示す図。
【図7】本発明の実施形態における誘導情報提供判断2の誘導経路情報を示す図。
【図8】本発明の他の実施形態における処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0057】
1…絶対位置・方位検出部
2…相対方位検出部
3…車速検出部
4…処理部(メインCPU及びその周辺回路)
5…ROM
6…ダイナミックRAM(DRAM)
7…スタティックRAM(SRAM)
8…ビデオRAM(VRAM)
9…ユーザインターフェース部
10…表示部
11…入力部
12…ディスク制御部
13…通信装置及び処理部
20…携帯端末
41…現在位置計算部
42…目的地受付部
43…経路設定部
44…案内部
45…地図表示部
46…端末通信部
47…端末位置情報取得部
48…端末目的地設定部
49…端末経路設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部端末装置との通信を行う通信手段と、
前記外部端末装置からの受信データから外部端末装置の位置情報を取得する端末位置情報取得手段と、
前記外部端末装置が車両に到達できる地点に関する車両位置情報を取得する車両位置情報取得手段と、
前記車両位置情報に基づいて、前記外部端末装置の出発地と目的地を設定する端末出発地目的地設定手段と、
前記端末出発地から前記端末目的地までの最適な誘導経路を設定する端末経路設定手段とを備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記車両位置情報は、センサ群から得る航法データにより計算される車両の現在位置、またはユーザによる指示により設定された車両の目的地を含み、
前記車両位置情報取得手段は、車両の目的地設定の有無を判別し、前記車両の目的地が設定されている場合には、当該車両目的地を車両位置情報とし、
前記端末出発地目的地設定手段は、前記車両目的地を前記端末目的地として設定することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記端末位置情報には、前記外部端末装置の利用者が利用している交通手段に関する交通手段情報が含まれ、
前記端末出発地目的地設定手段は、前記交通手段情報に公共交通手段が含まれる場合に、前記車両位置情報に基づく端末目的地近傍の当該公共交通手段の乗降地点を前記出発地として設定することを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記端末経路設定手段は、前記端末出発地から端末目的地までの距離が所定の距離よりも長い場合には、経路設定を行わないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
コンピュータ又は電子回路が、
外部端末装置との通信を行う通信処理と、
前記外部端末装置からの受信データから外部端末装置の位置情報を取得する端末位置情報取得処理と、
前記外部端末装置が車両に到達できる地点に関する車両位置情報を取得する車両位置情報取得処理と、
前記車両位置情報に基づいて、前記外部端末装置の出発地と目的地を設定する端末出発地目的地設定処理と、
前記端末出発地から前記端末目的地までの最適な誘導経路を設定する端末経路設定処理とを実行することを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項6】
前記車両位置情報は、センサ群から得る航法データにより計算される車両の現在位置、またはユーザによる指示により設定された車両の目的地を含み、
前記車両位置情報取得処理は、車両の目的地設定の有無を判別し、前記車両の目的地が設定されている場合には、当該車両目的地を車両位置情報とし、
前記端末出発地目的地設定処理は、前記車両目的地を前記端末目的地として設定することを特徴とする請求項5記載のナビゲーション方法。
【請求項7】
前記端末位置情報には、前記外部端末装置の利用者が利用している交通手段に関する交通手段情報が含まれ、
前記端末出発地目的地設定処理は、前記交通手段情報に公共交通手段が含まれる場合に、前記車両位置情報に基づく端末目的地近傍の当該公共交通手段の乗降地点を前記出発地として設定することを特徴とする請求項5又は6に記載のナビゲーション方法。
【請求項8】
前記端末経路設定処理は、前記端末出発地から端末目的地までの距離が所定の距離よりも長い場合には、経路設定処理を行わないことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載のナビゲーション方法。
【請求項9】
コンピュータを制御することにより、外部端末装置に対する経路設定及び誘導案内させるナビゲーションプログラムにおいて、
このプログラムは、前記コンピュータに、
前記外部端末装置と通信させ、
前記外部端末装置からの受信データから外部端末装置の位置情報を取得させ、
前記外部端末装置が車両に到達できる地点に関する車両位置情報を取得させ、
前記車両位置情報に基づいて、前記外部端末装置の出発地と目的地を設定させ、
前記端末装置の端末出発地から端末目的地までの最適な誘導経路を設定させることを特徴とするナビゲーションプログラム。
【請求項10】
前記車両位置情報は、センサ群から得る航法データにより計算される車両の現在位置、またはユーザによる指示により設定された車両の目的地を含み、
前記車両位置情報を取得させる方法は、車両の目的地設定の有無を判別し、前記車両の目的地が設定されている場合には、当該車両目的地を車両位置情報とし、
前記端末出発地と端末目的地を設定させる方法は、前記車両目的地を前記端末目的地として設定させるものであることを特徴とする請求項9記載のナビゲーションプログラム。
【請求項11】
前記端末位置情報には、前記外部端末装置の利用者が利用している交通手段に関する交通手段情報が含まれ、
端末出発地と端末目的地を設定させる方法は、前記交通手段情報に公共交通手段が含まれる場合に、前記車両位置情報に基づく端末目的地近傍の当該公共移動手段の乗降地点を前記出発地として設定させるものであることを特徴とする請求項9又は10記載のナビゲーションプログラム。
【請求項12】
前記誘導経路を設定させる方法は、前記端末出発地から端末目的地までの距離が所定の距離よりも長い場合には、経路設定を行わないものであることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載のナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−275519(P2006−275519A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−90253(P2005−90253)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】