説明

ナビゲーション装置、表示制御方法、表示制御プログラム、および記録媒体

【課題】目的地までの経路全体の走行を支援すること。
【解決手段】ナビゲーション装置100は、移動体に搭載され、目的地までの経路を誘導する。探索部101は、目的地までの経路を探索する。取得部102は、移動体の現在位置の情報を取得する。表示制御部103は、現在位置の情報に基づいて、探索された経路上に移動体の現在位置を示す自車位置マークを表示させるとともに、経路上の自車位置マークの前後のいずれかに、または自車位置マークと同位置に、移動体の移動開始に伴って移動し且つ経路と同じ経路を辿る自車位置マークとは異なる他のマークを表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両などの移動体に搭載されるナビゲーション装置、表示制御方法、表示制御プログラム、および記録媒体に関する。ただし、この発明は、上述のナビゲーション装置、表示制御方法、表示制御プログラム、および記録媒体に限られない。
【背景技術】
【0002】
近年、車両などの移動体には、目的地点までの経路を誘導するナビゲーション装置が搭載されている。このようなナビゲーション装置では、右左折を要する案内交差点付近にて当該交差点を拡大表示することにより、経路を詳細に案内することがおこなわれている。たとえば、自車位置が案内交差点から所定距離内に位置すると、案内交差点における進行方向を矢印にて表示するとともに、当該矢印を点滅させるようにした技術が提案されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−190696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術は、交差点自体が複雑な場合や交差点が連続する場合には表示された矢印だけでは利用者にとって進行方向が分かり難いことがあるといった問題が一例として挙げられる。また、特許文献1の技術は、案内交差点のみにて詳細な案内がおこなわれるものの、目的地までの経路全体を通して走行を支援することができないといった問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかるナビゲーション装置は、移動体に搭載され、目的地までの経路を誘導するナビゲーション装置において、目的地までの経路を探索する探索手段と、前記移動体の現在位置の情報を取得する取得手段と、前記現在位置の情報に基づいて、前記経路上に前記移動体の現在位置を示す自車位置マークを表示させるとともに、前記経路上の前記自車位置マークの前後のいずれかに、または前記自車位置マークと同位置に、前記移動体の移動開始に伴って移動し且つ前記経路と同じ経路を辿る前記自車位置マークとは異なる他のマークを表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、請求項11の発明にかかる表示制御方法は、移動体に搭載され、目的地までの経路を誘導するナビゲーション装置の表示制御方法において、目的地までの経路を探索する探索工程と、前記移動体の現在位置の情報を取得する取得工程と、前記現在位置の情報に基づいて、前記経路上に前記移動体の現在位置を示す自車位置マークを表示させるとともに、前記経路上の前記自車位置マークの前後のいずれかに、または前記自車位置マークと同位置に、前記移動体の移動開始に伴って移動し且つ前記経路と同じ経路を辿る前記自車位置マークとは異なる他のマークを表示させる表示制御工程と、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、請求項12の発明にかかる表示制御プログラムは、請求項11に記載の表示制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0008】
また、請求項13の発明にかかる記録媒体は、請求項12に記載の表示制御プログラムをコンピュータに読み取り可能に記録したことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるナビゲーション装置、表示制御方法、表示制御プログラム、および記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
(実施の形態)
(ナビゲーション装置の機能的構成)
この発明の実施の形態にかかるナビゲーション装置100の機能的構成について説明する。図1は、実施の形態にかかるナビゲーション装置100の機能的構成の一例を示すブロック図である。図1において、ナビゲーション装置100は、移動体に搭載されるものであり、探索部101と、取得部102と、表示制御部103と、表示部104と、変更部105とを備えて構成される。
【0011】
探索部101は、目的地までの推奨経路を探索する。目的地は、たとえば、利用者からの入力により設定される施設や道路上の地点などである。探索部101による推奨経路の探索に際しては、ダイクストラ法またはこれに準じた手法が用いられる。
【0012】
取得部102は、移動体の現在位置の情報を取得する。取得部102は、GPS衛星からの電波をGPSユニットにより受信することにより現在位置の情報を取得する。現在地点を示す情報は、たとえば緯度・経度、高度などの、地図データ上の1点を特定する情報である。
【0013】
表示制御部103は、現在位置の情報に基づいて、探索された経路上に移動体の現在位置を示す自車位置マークを表示させるとともに、当該経路上の自車位置マークの前後のいずれかに、または自車位置マークと同位置に、移動体の移動開始に伴って移動し且つ当該経路と同じ経路を辿る自車位置マークとは異なる他のマークを表示させる。
【0014】
具体的には、表示制御部103は、自車位置マークよりも所定距離(以下「先導距離」という)先を移動する先導マークを他のマークとして表示させる。先導距離は、誘導するための距離であり、具体的には、100m、200mといった距離として予め設定される。
【0015】
また、表示制御部103は、先導マークが所定の案内地点に差し掛かった際に、先導マークを、案内地点における案内内容に対応して表示させることも可能である。案内内容に対応して表示させるとは、たとえば、分岐点や交差点において拡大表示をして走行レーンの案内をおこなう場合、誘導する走行レーンに、先導マークを通過させる動的な表示をおこなうことである。この場合、移動体が当該誘導地点に到達するまで、先導マークの動的な通過の表示を、繰り返しおこなったり、点滅させたりしてもよい。
【0016】
また、表示制御部103は、変更部105を備える。変更部105は、先導距離を変更する。具体的には、変更部105は、案内地点にて当該案内地点の属性に応じて、自車位置マークからの先導距離を短くする。案内地点の属性は、交差点が何差路かという交差点の属性や、一時停止を要する交差点かという属性などである。より具体的には、たとえば、変更部105は、一時停止を要する交差点付近において、先導マークの移動量を低減させ、自車が追いついて来るのを待ち、通常より短い先導距離にて表示させる。
【0017】
なお、右左折を要する交差点や一時停止を要する交差点では、当該交差点にて先導マークを停止させ、自車位置が当該交差点に到達するまで待機させて表示することも可能である。つまり、自車位置マークと先導マークとを同位置にすること、換言すれば、先導距離を一時的に0にすることも可能である。また、変更部105は、移動体の速度、または表示する地図の縮尺に応じて、先導距離を変更する。なお、変更部105は、利用者からの入力に基づいて予め設定される先導距離を変更することも可能である。
【0018】
また、先導マークは、丸や三角などのマーク形状であってもよいが、利用者にとって見間違いが少なく、先導されているということを容易に認識できるという観点から、車両のマークとすることが望ましい。車両のマークは、具体的には、イラスト状のマークであり、たとえば普通乗用車、二輪車、四輪駆動車、レース用車両、バス、トラック、緊急自動車などが挙げられる。
【0019】
また、先導マーク以外の他のマークを表示させる一例として、表示制御部103が、探索された経路の各地点における到達予定時刻に、各地点上に移動する推奨マークを他のマークとして表示させることが挙げられる。具体的には、表示制御部103は、経路上の各ノードへの到達予定時刻に、当該ノードに位置するように推奨マークを移動させて表示させる。
【0020】
なお、移動体の自車位置マークが推奨マークに比べて所定距離(時間)以上、先行して表示される場合には、つまり、移動体の速度が速い場合には、図示せぬ通知部により減速する旨を通知するようにしてもよい。また、道路の混雑状況や天候などを加味した上で、移動体の自車位置マークが推奨マークに所定距離(時間)以上、離れて追従して表示される場合には、つまり、移動体の速度が遅い場合には、図示せぬ通知部により加速する旨を通知するようにしてもよい。
【0021】
また、先導マークおよび推奨マーク以外の他のマークを表示させる一例として、表示制御部103が、移動体の走行履歴情報に基づく過去の自車の走行状態を示したゴーストマークを他のマークとして表示させることが挙げられる。なお、この場合、図示せぬ格納部に走行履歴情報が格納されているとともに、当該走行履歴情報に、同一の経路を走行した際の履歴情報が含まれていることを前提とする。表示制御部103は、この同一の経路を走行した際の履歴について、過去の出発時刻を現在の出発時刻に置き換えることにより、現在の画面上にゴーストマークを表示させる。
【0022】
ゴーストマークとして表示される過去の走行履歴情報は、たとえば、当該経路の走行において高燃費の走行をした場合の履歴や、法令を遵守した場合の履歴のほか、後述するように移動時間が最も短い走行をした場合の履歴である。なお、ゴーストマークとして表示される過去の履歴情報を複数記録しておき、利用者から履歴情報の選択を受け付けるようにしてもよい。また、複数車線の道路における走行した車線の情報を取得できる場合には、当該走行した車線の情報を記録しておき、たとえば、ドライバーズビューなどの表示形式において、ゴーストマークを記録した車線の位置に対応して配置することも可能である。
【0023】
特に、表示制御部103は、移動体の走行履歴情報に基づき、移動時間が最も短い当該経路の移動履歴を用いてゴーストマークを表示させる。移動時間が最も短いものとは、最短の時間で移動した際の走行履歴である。なお、今回の走行において、ゴーストマークよりも早く目的地に到達した場合、つまり、今までに最短の時間で当該経路を移動した場合、今回の走行履歴情報を格納部に格納し、次回の同一の経路の走行における履歴情報として用いる。
【0024】
また、表示制御部103は、ゴーストマークを半透明に表示させる。半透明とは、当該マークを表示しつつ、マークの向こう側の地図画像や施設画像などを透過させた表示形式である。なお、上述した推奨マークも、半透明に表示させてもよい。
【0025】
(ナビゲーション装置の表示制御処理手順)
つぎに、図2を用いて、ナビゲーション装置の表示制御処理手順について説明する。図2は、本実施の形態にかかるナビゲーション装置の表示制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0026】
図2のフローチャートにおいて、ナビゲーション装置100は、図示せぬ目的地設定部が目的地を設定するまで待機状態にあり(ステップS201:Noのループ)、目的地を設定すると(ステップS201:Yes)、探索部101が目的地までの経路を探索する(ステップS202)。そして、移動体が走行を開始したか否かを判断する(ステップS203)。なお、走行の開始の判断は、図示せぬ検知部によって検知される、速度の検知結果や、パーキングブレーキの解除またはパーキングギヤの解除などの検知結果に基づいておこなわれる。
【0027】
移動体が走行を開始するまで待機状態にあり(ステップS203:Noのループ)、移動体が走行を開始すると(ステップS203:Yes)、自車位置マークの前後のいずれかに、または自車位置マークと同位置に他のマークを移動させて表示する(ステップS204)。このあと、目的地に到達していない場合(ステップS205:No)、ステップS204における他のマークの表示を継続しておこない、目的地に到達すると(ステップS205:Yes)、一連の処理を終了する。
【0028】
以上説明したように、本実施の形態にかかるナビゲーション装置100によれば、経路上の自車位置マークの前後のいずれかに、または自車位置マークと同位置に、移動体の移動開始に伴って移動し且つ経路と同じ経路を辿る自車位置マークとは異なる他のマークを表示させるようにしたので、目的地までの経路全体の走行を支援し、利用者は他のマークを参考にして走行することができる。
【0029】
また、先導マークを他のマークとして表示させるようにすれば、複雑な交差点や、交差点が連続する場合であっても、地図画面上で先導マークが先に走行を示してくれるので、利用者にとって分かり易い経路の誘導をおこなうことができ、経路からの逸脱を防止することができる。
【0030】
また、先導マークが所定の案内地点に差し掛かった際に、先導マークを、案内地点における案内内容に対応して表示させるようにすれば、拡大表示などの詳細な案内がおこなわれる際に、これに対応して先導マークを表示させることができる。したがって、利用者にとって、より分かり易い誘導をおこなうことができる。
【0031】
また、先導距離を変更可能にすれば、たとえば、利用者が任意に先導距離を設定することができ、利用者にとって見易い位置に先導マークを表示させることができる。
【0032】
また、案内地点にて当該案内地点の属性に応じて、先導距離を短くするようにすれば、たとえば交差点が連続するような場所にて右左折交差点を通り過ぎてしまうといったことを抑止できるとともに、一時停止を要する交差点における一時不停止を抑止することができる。
【0033】
また、移動体の速度、または地図の縮尺に応じて、先導距離を変更するようにすれば、走行状態や表示状態に応じて最適な先導距離を保持して誘導をおこなうことができる。
【0034】
また、先導マークを車両のマークとすれば、丸形状や三角形状などのマークに比べて見間違いが少なくなる。また、従来のような単調な表示画面に興趣性を与えることができ、利用者は、追尾している感覚で当該車両のマークを目印にして誘導経路を辿ることができる。
【0035】
また、探索された経路の各地点における到達予定時刻に、各地点上に移動する推奨マークを他のマークとして表示させるようにすれば、模範となる走行を提示することができ、利用者は、速度超過または速度過不足時における速度を修正することができ、目的地への到達時刻を目的地到達予定時刻に近付けることができる。
【0036】
また、移動体の走行履歴情報に基づく過去の自車の走行状態を示したゴーストマークを他のマークとして表示させるようにすれば、運転者個々に自らの最適な走行を参考にして走行することができる。また、利用者は、自らの走行を参考にすることにより、以前よりも良好な運転を心掛けることができ、興趣性を得ながら、運転技能の向上にも役立てることができる。
【0037】
また、移動時間が最も短い走行状態を示したゴーストマークを他のマークとして表示させるようにすれば、利用者は、自らの走行のうち最短のものを参考にして走行することができる。
【実施例】
【0038】
以下に、本発明の実施例について説明する。
【0039】
(ナビゲーション装置のハードウェア構成)
図3を用いて、本実施例にかかるナビゲーション装置300のハードウェア構成について説明する。図3は、本実施例にかかるナビゲーション装置300のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0040】
図3において、ナビゲーション装置300は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、磁気ディスクドライブ304と、磁気ディスク305と、光ディスクドライブ306と、光ディスク307と、音声I/F(インターフェース)308と、スピーカ309と、入力デバイス310と、映像I/F311と、ディスプレイ312と、通信I/F313と、GPSユニット314と、各種センサ315と、カメラ316とを備えている。また、各構成部301〜316はバス320によってそれぞれ接続されている。
【0041】
CPU301は、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。ROM302やフラッシュROM等の書換え可能な不揮発性メモリは、ブートプログラム、現在位置算出プログラム、経路探索プログラム、経路誘導プログラム、表示制御プログラム、などの各種プログラムを記録している。また、RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。
【0042】
現在位置算出プログラムは、たとえば、後述するGPSユニット314の出力情報に基づいて、車両の現在位置(ナビゲーション装置300の現在位置)を算出させる。
【0043】
経路探索プログラムは、後述する磁気ディスク305に記録されている地図データなどを利用して、出発地点から目的地点までの最適な経路を探索させる。ここで、最適な経路とは、目的地点までの最短(または最速)経路やユーザが指定した条件に最も合致する経路などである。また、目的地点のみならず、立ち寄り地点や休憩地点までの経路を探索してもよい。探索された誘導経路は、CPU301を介して音声I/F308や映像I/F311へ出力される。
【0044】
経路誘導プログラムは、経路探索プログラムを実行することによって探索された誘導経路情報、現在位置算出プログラムを実行することによって算出された車両の現在位置情報、磁気ディスク305から読み出された地図データに基づいて、リアルタイムな経路誘導情報を生成させる。生成された経路誘導情報は、CPU301を介して音声I/F308や映像I/F311へ出力される。
【0045】
表示制御プログラムは、現在位置算出プログラムによって算出された現在位置の情報に基づいて、経路探索プログラムによって探索された経路上に車両の現在位置を示す自車位置マークを表示させるとともに、経路上の自車位置マークの前後のいずれかに、または自車位置マークと同位置に、当該経路と同じ経路を辿る他のマークを表示させる処理をおこなうためのものである。
【0046】
表示制御プログラムは、具体的には、自車位置マークよりも所定距離(以下「先導距離」という)先を移動する先導マークを表示させる先導プログラム、経路の各地点における到達予定時刻に各地点上に移動する推奨マークを表示させる推奨誘導プログラム、または移動体の走行履歴情報に基づく過去の自車の走行状態を示したゴーストマークを表示させるゴーストプログラムを有する。なお、先導プログラムは、案内地点の属性や移動体の速度などに応じて先導距離を変更して先導マークを表示させることも可能である。CPU301は、表示制御プログラムとしての先導プログラム、推奨誘導プログラム、およびゴーストプログラムのうち、いずれか一つのプログラムを実行する。
【0047】
表示制御プログラムによって生成された情報は、音声I/F308や映像I/F311へ出力される。なお、CPU301は、上述した実施の形態における探索部101、表示制御部103、および変更部105に相当する。
【0048】
磁気ディスクドライブ304は、CPU301の制御にしたがって磁気ディスク305に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク305は、磁気ディスクドライブ304の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク305としては、たとえば、HD(ハードディスク)やFD(フレキシブルディスク)を用いることができる。磁気ディスク305は、イラスト状の複数の車両のマークや、車両の走行履歴情報を記録するほか、ナビゲーション機能に用いられる地図データなども記録する。なお、磁気ディスク305は、上述した実施の形態における図示せぬ格納部に相当する。
【0049】
光ディスクドライブ306は、CPU301の制御にしたがって光ディスク307に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク307は、光ディスクドライブ306の制御にしたがってデータの読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク307は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。また、この着脱自在な記録媒体として、光ディスク307のほか、MO、メモリカードなどであってもよい。
【0050】
音声I/F308は、スピーカ309に接続される。スピーカ309からは、たとえば、先導マークの状態を示す経路の案内に関する情報や、推奨マークに比べて所定距離以上離れて走行している場合には加速または減速する旨の情報のほか、ゴーストマークの位置に関する情報などを出力する。なお、この音声I/F308とスピーカ309は、上述し
た実施の形態におけるナビゲーション装置100の図示せぬ通知部に相当する。
【0051】
入力デバイス310は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、マウス、タッチパネルなどが挙げられる。入力デバイス310は、リモコン、キーボード、マウス、タッチパネルのうち、いずれか一つの形態によって実現されてもよいし、複数の形態によって実現されてもよい。この入力デバイス310を利用して、上述した先導モード、推奨誘導モード、ゴーストモード、通常の誘導をおこなう通常モードのいずれかを選択する入力がおこなわれる。また、この入力デバイス310を利用して、上述した車両のマークを選択する入力や、先導距離の入力をおこなうことも可能である。
【0052】
映像I/F311は、ディスプレイ312と接続される。映像I/F311は、具体的には、たとえば、ディスプレイ312全体の制御をおこなうグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいて、ディスプレイ312を表示制御する制御ICなどによって構成される。
【0053】
ディスプレイ312には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。このディスプレイ312は、たとえば、CRT、TFT液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを採用することができる。ディスプレイ312からは、地図画面上に自車位置マーク以外にも、他のマークとしての車両のマークが表示される。なお、映像I/F311とディスプレイ312は、上述した実施の形
態における表示部104に相当する。
【0054】
通信I/F313は、無線を介してネットワークに接続され、ナビゲーション装置300とCPU301とのインターフェースとして機能する。通信I/F313は、さらに、無線を介してインターネットなどの通信網に接続され、この通信網とCPU301とのインターフェースとしても機能する。また、通信I/F313は、VICSセンターから配信されビーコンやFM多重放送などから受信する渋滞や交通規制などの道路情報や、インターネットを用いて配信されるプローブ情報などを受信する機能を有する。
【0055】
GPSユニット314は、GPS衛星からの電波を受信し、車両の現在地点を示す情報を出力する。GPSユニット314の出力情報は、CPU301による車両の現在地点の算出に際して利用される。現在地点を示す情報は、たとえば緯度・経度、高度などの、地図データ上の1点を特定する情報である。なお、GPSユニット314は、上述した実施の形態における取得部102に相当する。
【0056】
各種センサ315は、車速センサ、加速度センサ、角速度センサなどの、車両の位置や挙動を判断することが可能な情報を出力する。各種センサ315の出力値は、CPU301による車両の現在地点の算出や、速度や方位の変化量の測定などに用いられる。
【0057】
カメラ316は、車両外部の状況を撮影する。撮影される画像は、動画および静止画である。撮影された画像は、磁気ディスク305に記録される。
【0058】
図1に示した本実施の形態におけるナビゲーション装置100が備える、探索部101と、取得部102と、表示制御部103と、表示部104と、変更部105とは、図3に示したナビゲーション装置300におけるROM302やフラッシュROM等の書換え可能な不揮発性メモリ、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などに記録されたプログラムやデータを用いて、CPU301が所定のプログラムを実行し、ナビゲーション装置300における各部を制御することによってその機能を実現する。
【0059】
すなわち、本実施例のナビゲーション装置300は、ナビゲーション装置300における記録媒体としてのROM302やフラッシュROM等の書換え可能な不揮発性メモリに記録されている表示制御プログラムをCPU301が実行することにより、図1に示したナビゲーション装置100が備える機能を、図2に示した表示制御処理手順で実行することができる。
【0060】
(CPUがおこなう先導モード時における表示制御処理の概要)
つぎに、図4を用いて、CPU301がおこなう先導モード時における表示制御処理の概要について説明する。図4は、CPU301がおこなう先導モード時における表示制御処理の概要を示すフローチャートである。
【0061】
図4において、ナビゲーション装置300におけるCPU301は、目的地を設定したか否かを判断する(ステップS401)。目的地を設定するまで待機状態にあり(ステップS401:Noのループ)、目的地を設定すると(ステップS401:Yes)、目的地までの経路を探索する(ステップS402)。なお、実施例においては、予め先導モードが設定されているものとするが、ステップS402の処理の後、ディスプレイ312にモード選択を受け付ける表示画面を出力し、入力デバイス310を介して利用者からのモード選択を受け付けるようにしてもよい。
【0062】
また、本実施例においては、自車位置マークから先導マークまでの距離(以下「先導距離」という)が予め100mに設定されているものとするが、ステップS402の処理の後、先導距離の入力を受け付ける画面を表示し、利用者からの先導距離の入力を受け付けるようにしてもよい。さらに、本実施例においては、先導マークを予め設定された車両のマークとするが、ステップS402の処理の後、磁気ディスク305に記録される複数の車両のマークを表示するとともに、当該マークの選択を受け付ける表示画面を出力し、利用者からの先導マークの選択を受け付けるようにしてもよい。
【0063】
ステップS402の処理の後、GPSユニット314によって取得された自車位置の緯度経度情報を用いて、経路上の自車位置より100m前方の位置を算出する(ステップS403)。さらに、算出した位置に先導マークをディスプレイ312に表示する(ステップS404)。このあと、各種センサ315によって取得した速度の情報などを用いて、走行を開始したか否かを判断する(ステップS405)。走行を開始するまで待機状態にあり(ステップS405:Noのループ)、走行を開始すると(ステップS405:Yes)、移動した自車位置の緯度経度情報を用いて経路上の100m前方の位置を算出する(ステップS406)。
【0064】
そして、算出した位置に先導マークを移動して表示させる(ステップS407)。なお、ステップS407における表示画面の詳細については、図5を用いて後述する。このあと、目的地までに案内地点があるか否かを判断する(ステップS408)。目的地までに案内地点があると判断した場合(ステップS408:Yes)、車両が案内地点に位置したか否かを判断する(ステップS409)。車両が案内地点に位置していないと判断すると(ステップS409:No)、ステップS406における自車位置より100m前方の位置を算出する。なお、案内地点に位置していないと判断した場合(ステップS409:No)、ステップS406移行後の処理では、ステップS408における処理を省略し、すなわち、ステップS407の後、ステップS409に移行する処理をおこなう。
【0065】
ステップS409において、案内地点に位置したと判断した場合(ステップS409:Yes)、レーン表示をおこなう案内地点か否かを判断する(ステップS410)。レーン表示をおこなう案内地点であると判断した場合(ステップS410:Yes)、拡大した表示画面の走行レーンに先導マークを通過させる表示をおこなう(ステップS411)。なお、ステップS411における表示画面の詳細については、図7を用いて後述する。
【0066】
一方、ステップS410において、レーン表示をおこなう案内地点ではないと判断した場合(ステップS410:No)、一時停止を要する一時停止交差点か否かを判断する(ステップS412)。一時停止交差点であると判断した場合(ステップS412:Yes)、一時停止交差点にて先導マークを停止させて表示する(ステップS413)。なお、ステップS413における表示画面の詳細については、図6を用いて後述する。
【0067】
このあと、車両が一時停止交差点に到達したか否かを判断する(ステップS414)。車両が一時停止交差点に到達していないと判断した場合(ステップS414:No)、ステップS413に移行し、一時停止交差点にて先導マークを停止させて表示し続ける。一方、車両が一時停止交差点に到達したと判断した場合(ステップS414:Yes)、ステップS406に移行して、先導マークを100m先に表示させるための処理をおこなう。なお、上述した説明では、一時停止交差点にて先導マークを停止させるようにしているが、一時停止交差点に限られることなく、全ての案内交差点や、右左折交差点も対象とする。
【0068】
また、ステップS412において、一時停止交差点ではないと判断した場合(ステップS412:No)、ステップS406に移行して、先導マークを100m先に表示させるための処理をおこなう。また、ステップS408において、目的地までに案内地点がないと判断した場合(ステップS408:No)、目的地まで500m以下か否かを判断する(ステップS415)。目的地まで500m以下ではないと判断した場合(ステップS415:No)、ステップS406に移行して、先導マークを100m先に表示させるための処理をおこなう。なお、目的地まで500m以下ではないと判断した場合(ステップS415:No)、ステップS406移行後の処理では、ステップS408における処理を省略し、すなわち、ステップS407の後、ステップS415に移行する処理をおこなう。
【0069】
目的地まで500m以下であると判断した場合(ステップS415:Yes)、先導マークを画面から消去する(ステップS416)。そして、自車位置マークのみを表示させ、目的地に到達するまで待機し(ステップS417:Noのループ)、目的地に到達すると(ステップS417:Yes)、一連の処理を終了する。
【0070】
なお、本フローチャートでは、先導マークを自車位置マークの100m先に配置させるようにしているが、たとえば、車両の速度が所定速度(たとえば80km/h)を超えた場合に、先導マークの位置を所定距離(たとえば200m)先に配置させるようにすることも可能である。また、表示する地図の縮尺が所定の縮尺以下となった場合にも、先導マークの位置を所定距離先に配置させるようにすることも可能である。このように、移動体の速度、または地図の縮尺に応じて、先導距離を変更することにより、走行状態や表示状態に応じて最適な先導距離を保持して誘導をおこなうことが可能になる。
【0071】
上述した処理によれば、経路上の自車位置マークの前方、または一時的に自車位置マークと同位置に、先導マークを表示させるようにしたので、目的地までの経路全体の走行を支援し、利用者は他のマークを参考にして走行することができる。特に、複雑な交差点や、交差点が連続する場合であっても、地図画面上で先導マークが先に走行を示してくれるので、利用者にとって分かり易い経路の誘導をおこなうことができ、経路からの逸脱を防止することができる。
【0072】
(先導マークを表示した表示画面の一例)
つぎに図5を用いて、先導マークを表示した表示画面の一例について説明する。図5は、先導マークを表示した表示画面の一例を示した説明図である。図5に示す表示画面は、図4のステップS407において表示される表示画面であり、すなわち、自車位置の100m前方に先導マークを表示させている画面を示している。
【0073】
図5において、ディスプレイ312に表示される表示画面には、車両の現在位置を示す自車位置マーク501と、自車位置マークの100m先を経路に沿って移動する先導マーク502と、目的地までの推奨経路503と、一時停止交差点504とが表示されている。たとえば、車両が加速し、表示画面上を移動する自車位置マーク501の移動速度が上がると、先導マーク502の移動速度も上がり、自車位置マーク501と先導マーク502との間隔が表示画面上において100mの間隔を保つようになっている。この表示画面において、車両が一時停止交差点504に近付いたとすると図6に示す表示画面に移行する。
【0074】
このような表示画面によれば、先導マークを車両のマークとしたので、丸形状や三角形状などのマークに比べて見間違いが少なくなる。また、従来のような単調な表示画面に興趣性を与えることができ、利用者は、追尾している感覚で当該車両のマークを目印にして誘導経路を辿ることができる。
【0075】
(一時停止交差点における先導マークの表示の一例)
つぎに図6を用いて、一時停止交差点における先導マークの表示の一例について説明する。図6は、一時停止交差点における先導マークの表示の一例を示した説明図である。図6に示す表示画面は、図4のステップS413において表示される表示画面であり、すなわち、一時停止交差点にて先導マークを停止させて表示させた際の画面を示している。
【0076】
図6に示すように、車両が一時停止交差点504の100m手前に差し掛かると、先導マーク502を一時停止させて表示する。このとき、一時停止を要する旨の情報がスピーカ309から出力される。そして、車両が一時停止交差点504に到達すると、先導マーク502を推奨経路503の左折方向に移動させるとともに、自車位置マーク501の100m前方に配置させ、先までの先導マーク502と自車位置マーク501との位置関係に戻る。
【0077】
このような表示画面によれば、案内地点にて当該案内地点の属性に応じ、一時停止交差点などでは、先導距離を短くするようにしたので、一時不停止を抑止することができる。また、一時停止交差点に限らず、右左折を要する交差点においても先導距離を短くするようにすれば、右左折交差点を通り過ぎてしまうといったことを抑止できる。
【0078】
(走行レーンに先導マークを通過させる際の表示の一例)
つぎに図7を用いて、走行レーンに先導マークを通過させる際の表示の一例について説明する。図7は、走行レーンに先導マークを通過させる際の表示の一例を示した説明図である。図7に示す表示画面は、図4のステップS411において表示される表示画面であり、すなわち、拡大した表示画面にて先導マークを表示させる表示画面を示している。
【0079】
図7において、ディスプレイ312に表示される表示画面には、拡大画面710と、通常地図画面720とが表示されている。図7に示す表示画面は、車両が案内交差点の手前100mに位置したときの画面を示している。拡大画面710は、案内交差点721の拡大図を示しており、車両がレーン情報を有する案内交差点に近付いた際(たとえば100m以内)に表示される。右折レーン711には、先導マーク502が動的に表示される。すなわち、先導マーク502を実線で示している位置から破線で示している位置まで動的に移動させる。このとき、右折方向を案内する旨の情報がスピーカ309から出力される。
【0080】
この動的な表示は、車両が案内交差点721に位置するまで連続的に複数回おこなってもよく、つまり、先導マーク502を実線で示している位置から破線で示している位置まで移動させた後に、先導マーク502を消去するとともに、再度実線で示している位置に表示させて破線で示している位置まで移動させるという表示を繰り返しおこなってもよい。
【0081】
一方、通常地図画面720に表示している先導マーク502は、車両が案内交差点721に近付くにつれて、右折方向に移動し、自車位置マーク501との表示画面上での間隔100mを保持するようになっている。なお、この場合においても、図6に示した一時停止交差点504の場合と同様に、先導マーク502を案内交差点721に停止させておくようにすることも可能である。
【0082】
このような表示画面によれば、先導マークが所定の案内地点に差し掛かった際に、先導マークを、案内地点における案内内容に対応して表示させるようにし、具体的には、拡大した表示画面の走行レーンに先導マークを通過させる表示をおこなうようにしたので、利用者にとって、より分かり易い誘導をおこなうことができる。
【0083】
(CPUがおこなう推奨誘導モード時における表示制御処理の概要)
つぎに、図8を用いて、CPU301がおこなう推奨誘導モード時における表示制御処理の概要について説明する。図8は、CPU301がおこなう推奨誘導モード時における表示制御処理の概要を示すフローチャートである。
【0084】
図8において、ナビゲーション装置300におけるCPU301は、目的地を設定したか否かを判断する(ステップS801)。目的地を設定するまで待機状態にあり(ステップS801:Noのループ)、目的地を設定すると(ステップS801:Yes)、目的地までの経路を探索する(ステップS802)。なお、実施例においては、予め推奨誘導モードが設定されているものとするが、上述先導モードの説明にて補足したように、ステップS802の処理の後、ディスプレイ312にモード選択を受け付ける表示画面を出力し、入力デバイス310を介して利用者からのモード選択を受け付けるようにしてもよい。
【0085】
そして、探索した経路の各ノードの通過予定時間の情報を取得する(ステップS803)。さらに、ディスプレイ312に表示される自車位置マークと同位置に推奨マークを表示する(ステップS804)。このあと、各種センサ315によって取得した速度の情報などを用いて、走行を開始したか否かを判断する(ステップS805)。走行を開始するまで待機状態にあり(ステップS805:Noのループ)、走行を開始すると(ステップS805:Yes)、各ノードの通過予定時間に、各ノードに位置するように推奨マークを移動して表示する(ステップS806)。なお、通過予定時間には、通信I/F313により受信した交通情報に含まれる渋滞情報などが加味されている。
【0086】
そして、車両の現在位置と推奨マークとの距離が所定距離以上あるか否かを判断する(ステップS807)。なお、この所定距離は、目的地までの距離や、休憩時間等を含む所要時間などに応じて変更可能であり、たとえば、所要時間の1割のズレに相当する距離である。車両の現在位置と推奨マークとの距離が所定距離以上あると判断した場合(ステップS807:Yes)、車両の現在位置が推奨マークよりも先行しているか否かを判断する(ステップS808)。
【0087】
車両の現在位置が推奨マークよりも先行していると判断した場合(ステップS808:Yes)、すなわち、法定速度または指定速度以上の速度での走行が続いている場合や休憩をとっていない場合、音声I/F308および映像I/F311を制御して、スピーカ309およびディスプレイ312から減速する旨を通知する(ステップS809)。なお、減速する旨には、休憩を促す通知を含む。
【0088】
そして、現在位置と推奨マークとの距離が所定距離を下回ったか否かを判断する(ステップS810)。現在位置と推奨マークとの距離が所定距離を下回っていない場合(ステップS810:No)、ステップS809における通知を継続しておこなう。現在位置と推奨マークとの距離が所定距離を下回ると(ステップS810:Yes)、後述するステップS813に移行する。
【0089】
なお、現在位置と推奨マークとの距離が所定距離を下回っていない場合(ステップS810:No)、ステップS809における通知を継続しておこなうことに限らず、ステップS802に移行し、現在位置から目的地までの経路を再探索するとともに自車位置マークと同位置に推奨マークを表示し直してもよい。このようにすることで、目的地到達時刻は変わってしまうものの、利用者は、表示画面上にて推奨マークが自車位置マークに近付いてくることを待つことなく、即座に推奨マークを参考にした走行をおこなうことができる。なお、自車位置マークと同位置に推奨マークを表示し直した後は、後述するステップS813以降の処理に移行すればよい。
【0090】
また、車両の現在位置が推奨マークよりも先行していないと判断した場合(ステップS808:No)、すなわち、速度が過不足な状態での走行が続いている場合、音声I/F308および映像I/F311を制御して、スピーカ309およびディスプレイ312から加速する旨を通知する(ステップS811)。
【0091】
そして、現在位置と推奨マークとの距離が所定距離を下回ったか否かを判断する(ステップS812)。現在位置と推奨マークとの距離が所定距離を下回っていない場合(ステップS812:No)、ステップS811における通知を継続しておこなう。現在位置と推奨マークとの距離が所定距離を下回ると(ステップS812:Yes)、後述するステップS813に移行する。
【0092】
なお、上述したステップS810にて補足したように、ステップS812においても、現在位置と推奨マークとの距離が所定距離を下回っていない場合(ステップS812:No)、ステップS811における通知を継続しておこなうことに限らず、ステップS802に移行し、現在位置から目的地までの経路を再探索するとともに自車位置マークと同位置に推奨マークを表示し直してもよい。このようにすることで、目的地到達時刻は変わってしまうものの、利用者は、表示画面上にて自車位置マークが推奨マークに追いつくことを待つことなく、即座に推奨マークを参考にした走行をおこなうことができる。なお、自車位置マークと同位置に推奨マークを表示し直した後は、後述するステップS813以降の処理に移行すればよい。
【0093】
一方、ステップS807において、車両の現在位置と推奨マークとの距離が所定距離以上ないと判断した場合(ステップS807:No)、目的地まで500m以下か否かを判断する(ステップS813)。目的地まで500m以下ではないと判断した場合(ステップS813:No)、ステップS806に移行して、推奨マークを表示させるための処理をおこなう。
【0094】
目的地まで500m以下であると判断した場合(ステップS813:Yes)、推奨マークを画面上から消去する(ステップS814)。そして、自車位置マークのみを表示させ、目的地に到達するまで待機し(ステップS815:Noのループ)、目的地に到達すると(ステップS815:Yes)、一連の処理を終了する。
【0095】
上述した処理によれば、探索された経路の各地点(ノード)における到達予定時刻に、各地点上に移動する推奨マークを表示させるようにしたので、模範となる走行を提示することができ、利用者は、速度超過または速度過不足時に速度を修正することができる。したがって、安全運転を励行し、目的地への到達時刻を目的地到達予定時刻に近付けることができる。特に、長距離を運転する際に、疲労によって速度超過や速度過不足に伴う目的地への到達時刻の変動を抑止することができ、目的地到達予定時刻通りに目的地に到達することができる。
【0096】
(CPUがおこなうゴーストモード時における表示制御処理の概要)
つぎに、図9を用いて、CPU301がおこなうゴーストモード時における表示制御処理の概要について説明する。図9は、CPU301がおこなうゴーストモード時における表示制御処理の概要を示すフローチャートである。
【0097】
図9において、ナビゲーション装置300におけるCPU301は、目的地を設定したか否かを判断する(ステップS901)。目的地を設定するまで待機状態にあり(ステップS901:Noのループ)、目的地を設定すると(ステップS901:Yes)、目的地までの経路を探索する(ステップS902)。なお、実施例においては、予めゴーストモードが設定されているものとするが、上述先導モードの説明にて補足したように、ステップS902の処理の後、ディスプレイ312にモード選択を受け付ける表示画面を出力し、入力デバイス310を介して利用者からのモード選択を受け付けるようにしてもよい。
【0098】
そして、磁気ディスクドライブ304を制御して、磁気ディスク305に保存されている走行履歴情報から、当該経路における移動時間の最も短い履歴情報を読み込む(ステップS903)。なお、ステップS903においては、当該経路における移動時間の最も短い履歴情報に限らず、当該経路の走行における燃費の良好な履歴情報や、法令を遵守した度合いの良好な履歴情報などを読み込んでもよい。また、これら履歴情報の中から、利用者による選択を受け付けるようにしてもよい。
【0099】
このあと、読み込んだ履歴情報の出発時刻を現在の出発時刻に置き換えて、ゴーストマークを通過させる位置および時間を算出する(ステップS904)。そして、自車位置マークと同位置にゴーストマークを表示させる(ステップS905)。このあと、各種センサ315によって取得した速度の情報などを用いて、走行を開始したか否かを判断する(ステップS906)。走行を開始するまで待機状態にあり(ステップS906:Noのループ)、走行を開始すると(ステップS906:Yes)、算出した位置および時間にゴーストマークを移動させて表示する(ステップS907)。
【0100】
このあと、目的地に到達したか否かを判断する(ステップS908)。目的地に到達していないと判断した場合(ステップS908:No)、ステップS907におけるゴーストマークの表示を継続しておこなう。目的地に到達すると(ステップS908:Yes)、ゴーストマークを画面上から消去する(ステップS909)。なお、ゴーストマークを画面上から消去しないようにすることも可能である。
【0101】
このあと、ゴーストマークより先に目的地に到達したか否かを判断する(ステップS910)。ゴーストマークより先に目的地に到達したと判断した場合(ステップS910:Yes)、磁気ディスクドライブ304を制御し、磁気ディスク305に今回の走行履歴を保存して(ステップS911)、一連の処理を終了する。ゴーストマークより後に目的地に到達した場合(ステップS910:No)、一連の処理を終了する。なお、ゴーストマークより後に目的地に到達した場合であっても、たとえば、利用者からの選択により、磁気ディスク305に今回の走行履歴を保存することも可能である。
【0102】
(ゴーストマークを表示した表示画面の一例)
つぎに図10を用いて、ゴーストマークを表示した表示画面の一例について説明する。図10は、ゴーストマークを表示した表示画面の一例を示した説明図である。図10に示す表示画面は、図9のステップS907において表示される表示画面であり、すなわち、ゴーストマークを移動させて表示する画面を示している。
【0103】
図10において、ディスプレイ312に表示される表示画面は、ドライバーズビューの表示形式に表示されており、ゴーストマーク1001と、走行道路1002と、案内情報1003とが表示されている。ゴーストマーク1001は、過去に走行道路1002を走行した際の自車の画像を示しており、半透明に表示されている。また、走行したレーンの情報を含む走行履歴情報が磁気ディスク305に記録されている場合には、レーンの情報を反映させ、すなわち、過去に走行したレーンにゴーストマーク1001を表示させればよい。このようにすることで、利用者は、以前に走行したレーンも参考にして走行することが可能になる。
【0104】
図10に示す表示画面の状態にて、車両が減速した場合や、過去に現在位置付近にて加速した履歴があった場合(ゴーストマーク1001が加速した場合)などでは、ゴーストマーク1001がさらに前方を先行し、自車位置との距離が増加するに応じて小さく表示される。また、この状態にて車両が加速した場合や、または過去にこの位置にて減速した履歴があった場合(ゴーストマーク1001が減速した場合)などでは、自車がゴーストマーク1001を追い越すことがあるが、このようなときには、ゴーストマーク1001が表示されなくなる。また、ゴーストマーク1001が表示されていない状態から、自車の減速などによりゴーストマーク1001が自車を追い越すように表示されることもある。
【0105】
なお、ドライバーズビューではゴーストマーク1001の表示および非表示が繰り返しおこなわれることがあるが、平面地図による表示画面では、表示画面内に表示される道路の範囲内でゴーストマーク1001は常時表示される。
【0106】
上述したゴーストモードによれば、移動体の走行履歴情報に基づく過去の自車の走行状態を示したゴーストマークを他のマークとして表示させるようにしたので、運転者個々に自らの最適な走行を参考にして走行することができる。また、利用者は、自らの走行を参考にすることにより、以前よりも良好な運転を心掛けることができ、興趣性を得ながら、運転技能の向上にも役立てることができる。
【0107】
また、移動時間が最も短い走行状態を示したゴーストマークを他のマークとして表示させるようにすれば、利用者は、自らの走行のうち最短のものを参考にして走行することができる。
【0108】
以上説明したように、本発明のナビゲーション装置、表示制御方法、表示制御プログラム、および記録媒体によれば、目的地までの経路全体の走行を支援し、利用者は他のマークを参考にして走行することができる。
【0109】
なお、本実施例で説明した表示制御方法は、予め用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】実施の形態にかかるナビゲーション装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態にかかるナビゲーション装置の表示制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】本実施例にかかるナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図4】CPUがおこなう先導モード時における表示制御処理の概要を示すフローチャートである。
【図5】先導マークを表示した表示画面の一例を示した説明図である。
【図6】一時停止交差点における先導マークの表示の一例を示した説明図である。
【図7】走行レーンに先導マークを通過させる際の表示の一例を示した説明図である。
【図8】CPUがおこなう推奨誘導モード時における表示制御処理の概要を示すフローチャートである。
【図9】CPUがおこなうゴーストモード時における表示制御処理の概要を示すフローチャートである。
【図10】ゴーストマークを表示した表示画面の一例を示した説明図である。
【符号の説明】
【0111】
100 ナビゲーション装置
101 探索部
102 取得部
103 表示制御部
104 表示部
105 変更部
300 ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載され、目的地までの経路を誘導するナビゲーション装置において、
目的地までの経路を探索する探索手段と、
前記移動体の現在位置の情報を取得する取得手段と、
前記現在位置の情報に基づいて、前記経路上に前記移動体の現在位置を示す自車位置マークを表示させるとともに、前記経路上の前記自車位置マークの前後のいずれかに、または前記自車位置マークと同位置に、前記移動体の移動開始に伴って移動し且つ前記経路と同じ経路を辿る前記自車位置マークとは異なる他のマークを表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記自車位置マークよりも所定距離(以下「先導距離」という)先を移動する先導マークを前記他のマークとして表示させることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記先導マークが所定の案内地点に差し掛かった際に、前記先導マークを、前記案内地点における案内内容に対応して表示させることを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記先導距離を変更する変更手段を備えることを特徴とする請求項2または3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記変更手段は、前記案内地点にて当該案内地点の属性に応じて、前記先導距離を短くすることを特徴とする請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記変更手段は、前記移動体の速度、または地図の縮尺に応じて、前記先導距離を変更することを特徴とする請求項5または6に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記先導マークは、車両のマークであることを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、前記経路の各地点における到達予定時刻に、前記各地点上に移動する推奨マークを前記他のマークとして表示させることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記表示制御手段は、前記移動体の走行履歴情報に基づく過去の自車の走行状態を示したゴーストマークを前記他のマークとして表示させることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
前記表示制御手段は、前記移動体の走行履歴情報に基づき、移動時間が最も短い当該経路の移動履歴を用いて前記ゴーストマークを表示させることを特徴とする請求項9に記載のナビゲーション装置。
【請求項11】
移動体に搭載され、目的地までの経路を誘導するナビゲーション装置の表示制御方法において、
目的地までの経路を探索する探索工程と、
前記移動体の現在位置の情報を取得する取得工程と、
前記現在位置の情報に基づいて、前記経路上に前記移動体の現在位置を示す自車位置マークを表示させるとともに、前記経路上の前記自車位置マークの前後のいずれかに、または前記自車位置マークと同位置に、前記移動体の移動開始に伴って移動し且つ前記経路と同じ経路を辿る前記自車位置マークとは異なる他のマークを表示させる表示制御工程と、
を含むことを特徴とする表示制御方法。
【請求項12】
請求項11に記載の表示制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とする表示制御プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の表示制御プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータに読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−198267(P2009−198267A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39396(P2008−39396)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(595105515)インクリメント・ピー株式会社 (197)
【Fターム(参考)】