説明

ナビゲーション装置およびその方法

【課題】車両の前方を撮像した実写画像に表示される非案内経路の道路に対応付けて、案内経路ではないことを示すオブジェクト(例えば、アイコンなど)を重畳表示することによって、実写画像に表示されている道路のうち、車両が進むべき道路を瞬時に把握することが可能なナビゲーション装置およびその方法を提供する。
【解決手段】車両の前方を撮像した実写画像を表示して経路案内を行うナビゲーション装置である。実写案内制御部10は、実写画像を用いて実写案内画像を生成する。アイコン表示道路選択部11は、車両が進むべき経路ではないことを示す非経路アイコンの表示対象となる道路を選択する。非経路アイコン重畳部12は、実写案内制御部10によって生成された実写案内画像に、アイコン表示道路選択部11によって選択された道路に対応付けた非経路アイコンを重畳する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関し、より特定的には、車両の前方を撮像した実写画像を表示して経路案内を行うナビゲーション装置およびその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、目的地が設定されると、予め格納されている地図データを用いて、現在位置から目的地までの経路を探索した後、探索された経路に沿って、車両を目的地まで案内するナビゲーション装置が広く普及している。また、近年のナビゲーション装置は、HDD(Hard Disc Drive)またはDVD(Digital Versatile Disc)など大容量の情報記録媒体を利用して、詳細な地図データを記憶することができる。例えば、3次元的な鳥瞰図で表示される画像や、視認性のよい3次元CG(コンピュータグラフィックス)地図画像を用いたドライバーズ・ビューなど、案内画面の視認性やリアリティを追求した様々な地図画像が用いられている。
【0003】
また、車載カメラで撮影した車両外部の様子を示す実写画像に案内図形(案内対象地点において車両が進むべき方向を示す矢印等の図形)を重畳表示して、車両を目的地まで案内する案内画像表示(実写案内)と、地図情報を用いた案内画像表示(地図案内)をユーザの好みに合わせて選択可能であることが記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−63572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている従来の走行案内画像表示方法においては、案内対象交差点の手前に他の交差点が接近している場合や、複雑な形状をした案内対象交差点を曲がる場合には、実写画像に映っている道路のうち、車両が進むべき道路をユーザが咄嗟に把握することができなかった。また、案内対象交差点が先行車両等の障害物によって遮蔽されている場合には、実写画像において、案内対象交差点および案内図形(矢印)の視認性が著しく低下してしまう問題がある。その結果、ユーザは、案内図形がどの道路または案内対象交差点を指しているか的確に分からず、誤った交差点を曲がってしまうことがあった。さらに、案内図形が示す方向を確認するために画面を注視しなければならず、ユーザにとって不便であった。
【0005】
それゆえに本発明は、車両の前方を撮像した実写画像に表示される非案内経路の道路に対応付けて、案内経路ではないことを示すオブジェクト(例えばアイコンなど)を重畳表示することによって、実写画像に表示されている道路のうち、車両が進むべき道路を瞬時に把握することが可能なナビゲーション装置およびその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、以下の構成を備えたナビゲーション装置によって達成される。
本発明は、車両の前方を撮像した実写画像を表示して経路案内を行うナビゲーション装置であり、実写画像を用いて実写案内画像を生成する実写案内制御部と、車両が進むべき経路ではないことを示す非経路アイコンの表示対象となる道路を選択するアイコン表示道路選択部と、実写案内制御部によって生成された実写案内画像に、アイコン表示道路選択部によって選択された道路に対応付けた非経路アイコンを重畳する非経路アイコン重畳部とを備える。
【0007】
これにより、ナビゲーション装置は、車両が進むべき経路ではないことを示す非経路アイコンをユーザが案内経路と間違ってしまう可能性のある道路に対応付けて案内表示画像に重畳表示することができる。その結果、ユーザは走行中においても案内経路を容易に認識することができる。
【0008】
また、アイコン表示道路選択部は、実写画像に表示される道路のうち、非経路アイコンの表示対象となる道路を選択してもよい。
【0009】
これにより、ナビゲーション装置は、実写画像中の道路からユーザが案内経路と間違ってしまう可能性のある道路を、車両が進むべき経路ではないことを示す非経路アイコンを表示させる道路として選択することができる。その結果、ユーザは、実写画像から瞬時に案内経路把握することができ、ユーザが案内経路と間違ってしまう可能性のある道路を案内経路として認識することを防ぐことができる。
【0010】
また、アイコン表示道路選択部は、案内対象交差点における車両の進むべき経路の方向である案内方向と車両が進むべき経路以外の道路の方向との一致度を算出する方向一致度算出部を含んでいる。また、方向一致度算出部によって算出された一致度に基づいて、当該車両が進むべき経路以外の道路から非経路アイコンの表示対象となる道路を選択してもよい。
【0011】
また、アイコン表示道路選択部は、案内対象交差点と車両が進むべき経路以外の道路との接近度を算出する交差点接近度算出部を含んでいる。また、交差点接近度算出部によって算出された接近度に基づいて、当該車両が進むべき経路以外の道路から非経路アイコンの表示対象となる道路を選択してもよい。
【0012】
また、交差点接近度算出部は、案内対象交差点と車両が進むべき経路以外の道路との位置関係に基づいて、案内対象交差点と車両が進むべき経路以外の道路との接近度を算出してもよい。
【0013】
また、アイコン表示道路選択部は、非経路アイコンの表示対象となる道路の重要度を取得する道路重要度取得部を含んでいる。また、道路重要度取得部よって取得された重要度に基づいて、非経路アイコンの表示対象となる道路を選択してもよい。
【0014】
これにより、ナビゲーション装置は、車両が進むべき経路ではないことを示す非経路アイコンの表示対象となる道路に関して、案内対象交差点における車両の進むべき経路の方向である案内方向と車両が進むべき経路以外の道路の方向との一致度、案内対象交差点と車両が進むべき経路以外の道路との接近度、および非経路アイコンの表示対象となる道路の重要度を取得することができる。その結果、車両が進むべき経路ではないことを示す非経路アイコンの表示対象となる道路のうち、ユーザが案内経路と間違ってしまう可能性が高い道路を選択することができる。また、実写案内画像に非経路アイコンの表示対象となる道路のみに非経路アイコンを重畳表示することができ、ユーザは案内画面から必要な情報のみを容易に取得することができる。
【0015】
また、アイコン表示道路選択部は、車両の前方方向の障害物による案内対象交差点または案内経路の遮蔽度を算出する遮蔽度算出部を含んでいる。また、遮蔽度算出部によって算出された遮蔽度に基づいて、非経路アイコンの表示対象となる道路を選択してもよい。
【0016】
また、遮蔽度算出部は、実写画像において、案内対象交差点が表示されている領域である交差点領域のうち、車両の前方方向の障害物と重なる領域の割合を算出し、算出された割合に基づいて、遮蔽度を算出してもよい。
【0017】
これにより、ナビゲーション装置は、車両の前方方向の障害物による案内対象交差点または案内経路の遮蔽度を取得することができる。その結果、車両が進むべき経路ではないことを示す非経路アイコンの表示対象となる道路に関して、非案内経路アイコンを表示することが特に有効となる、障害物によって案内対象交差点、または、案内経路を視認できない場合にのみ、非案内経路アイコンを重畳表示することが可能となる。
【0018】
また、アイコン表示道路選択部は、前記実写画像において、非経路アイコンの表示対象となる道路を検出する道路認識手段を含んでいる。また、道路認識手段による検出結果に基づいて、非経路アイコンを表示するか否かを選択してもよい。
【0019】
これにより、ナビゲーション装置は、画像認識手段によって非経路アイコンの表示対象となる道路を検出することができる。また、先行車両等の障害物によって非経路アイコンの表示対象となる道路が遮蔽されていない場合、実写案内画像に、非経路アイコンを非経路アイコンの表示対象となる道路に対応付けて重畳表示させることができる。この結果、案内表示の分かりやすさを向上させることができる。
【0020】
本発明の目的は、以下のステップを備えたナビゲーション方法によって達成される。
本発明は、車両の前方を撮像した実写画像を表示して経路案内を行うナビゲーション方法であり、実写画像を用いて実写案内画像を生成する実写案内制御ステップと、車両が進むべき経路ではないことを示す非経路アイコンの表示対象となる道路を選択するアイコン表示道路選択ステップと、実写案内制御ステップによって生成された実写案内画像に、アイコン表示道路選択ステップによって選択された道路に対応付けた非経路アイコンを重畳する非経路アイコン重畳ステップとを備える。
【0021】
これにより、ナビゲーション装置は、非経路アイコンをユーザが案内経路と間違ってしまう可能性のある道路に対応付けて案内表示画像に重畳表示することができる。したがって、ユーザは走行中においても案内経路を容易に認識することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、上記説明から明らかなように、案内経路ではないことを示す非経路アイコンを、実写画像のユーザが案内経路と間違ってしまう可能性のある道路に対応付けて重畳することによって、ユーザは、実写画像に表示されている道路のうち、車両が進むべき経路を瞬時に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1を参照して、本発明における実施形態に係るナビゲーション装置について説明する。なお、図1は、実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示す機能ブロック図である。また、各図面において、本発明に関係のない構成要素は省略している。
【0024】
図1において、ナビゲーション装置は、映像取得部1、測位部2、地図DB3、入力部4、表示部5、および制御部6を備える。
【0025】
映像取得部1は、例えばCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)などを利用したカメラで撮像された映像を取得する。映像を取得するカメラは、車両天井部、車両先端部またはルームミラー背面などの場所に設置されて、好ましくは、車両前方方向を撮像する。なお、車両前方方向に限らず、車両の左右方向や後方方向などの前方方向以外の車両外部を撮像するものでも構わない。
【0026】
測位部2は、車両の現在位置、速度、および方位を検出する。例えば、測位部2は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機、車速センサ、およびジャイロセンサなどの測位センサである。GNSS受信機は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機であり、衛星からの電波を受信し、それを復調することで受信機の現在位置を検出する。
【0027】
地図DB3は、例えばHDD(Hard Disc Drive)またはDVD(Digital Versatile Disc)などで構成される。地図DB3には、道路の形状データおよび交差点の位置データなどの地図情報が予め格納されている。ただし本発明はこれに限らず、地図情報は、図示しない通信手段(例えば、携帯電話)を通じて、センター設備から適宜ダウンロードして地図DB3に格納される構成であってもよい。
【0028】
ここで、図2A〜図2Cを参照して、地図DB3に格納される地図情報について説明する。地図DB3は、例えばノードデータ、補間ノードデータ、およびリンクデータなどを格納している。なお、図2A〜図2Cは、地図DB3に格納されている地図情報のうち、本実施形態に関連する地図情報の一部を抜粋した地図情報の一例を示す図である。
【0029】
図2Aは、交差点や合流地点など複数の方向に道路が分岐する地点(ノード)に関するノードデータである。ノードデータは、ノード毎に、緯度および経度などの位置情報、当該ノードに接続するリンクの数、およびリンクのIDから構成されている。図2Bは、リンク上に存在し、リンクが直線状でない場合など、リンクの形状を表現するための曲折点を示す補間ノードデータである。補間ノードデータは、補間ノード毎に、緯度および経度などの位置情報、および当該補間ノードを示す存在リンクIDから構成される。図2Cは、ノードとノードを結ぶ道路を示すリンクデータである。リンクデータは、リンク毎に、リンクの端点である始点ノードおよび終点ノード、リンクの長さ(単位は、例えばメートルやキロメートルなど)、一般道路や高速道路などを示す道路種別、道路幅、上述の補間ノードの数、および当該補間ノードを示すIDから構成されている。なお、リンクデータには、車線数または通行規制の情報が含まれていてもよい。
【0030】
次に、図3を参照して、ノードデータ、補間ノードデータ、およびリンクデータを用いて表される地図の一例について説明する。図3において、ノード(Node15)は、3つのリンクと接続し、さらに、リンクL6で別のノード(Node12)と結ばれている。また、リンクL6には、リンクの形状を形成する補間ノード(CN8およびCN9)が存在する。なお、リンクが直線道路である場合には、補間ノードが存在しないことは言うまでもない。
【0031】
入力部4は、例えばリモートコントローラー、タッチパネル、音声入力用のマイクと音声認識エンジンなどで構成され、ユーザの指示を受け付ける。ユーザによって入力される指示は、例えば目的地の設定、探索経路の選択、経路案内の開始、画面表示の切替などである。
【0032】
表示部5は、例えばディスプレイで構成され、ユーザに対して情報を表示する。具体的には、目的地への案内を示す案内画像を表示する。表示部5は、例えば後述する地図案内制御部9で生成される地図情報を用いた案内画像および/または後述する実写案内制御部10で生成される実写画像を用いた案内画像を表示する。
【0033】
制御部6は、例えばCPU(Central Processing Unit)で構成される。また、制御部6は、経路探索部7、案内モード切替部8、地図案内制御部9、実写案内制御部10、アイコン表示道路選択部11、および非経路アイコン重畳部12を含んでいる。
【0034】
経路探索部7は、入力部4から入力された目的地、測位部2が検出した車両の現在位置、および地図DB3に格納される地図情報などを参照して、現在位置から目的地に至る最適経路を探索する。
【0035】
案内モード切替部8は、測位部2が検出した車両の現在位置と、経路探索部7で探索された案内経路、および地図DB3に格納されている地図情報を参照して、車両の現在位置から次に通過する案内対象交差点までの距離を算出する。また、案内モード切替部8は、算出された距離が所定の距離(以下、案内モード切替距離と称す)に到達していない場合には、後述する地図案内制御部9によって生成される地図情報を用いた案内画像を表示して案内を行う案内モード(以下、地図案内モードと称す)に設定する。一方、案内モード切替部8は、算出された距離が案内モード切替距離以下に到達した場合には、後述する実写案内制御部10によって生成される実写画像を用いた案内画像を表示して案内を行う案内モード(以下、実写案内モード)に設定する。
【0036】
地図案内制御部9は、地図DB3に格納される地図情報を用いて所定領域の案内画像(以下、地図案内画像と称す)を生成する。ここで、所定領域とは、表示部5の表示画面に表示できる領域である。さらに、地図案内制御部9は、地図画像上において、経路探索部7で探索された経路の表示色を他の道路と異なる色に設定する。また、探索された経路は、他の道路より線幅を太く設定されてもよい。
【0037】
実写案内制御部10は、経路探索部7で探索された案内経路、測位部2が検出した車両の現在位置、および地図DB3に格納される地図情報である道路形状データなど(例えば、ノードデータ、補間ノードデータ、およびリンクデータ)に基づいて、案内対象交差点での車両の進むべき方向を示す矢印形状の案内図形を作成する。さらに、実写案内制御部10は、映像取得部1によって取得された実写画像に案内図形を重畳した案内画像(以下、実写案内画像と称す)を生成する。
【0038】
ここで、図4〜図8を参照して、実写案内制御部10における案内図形および実写案内画像の生成方法について説明する。なお、図4は、実写案内制御部10における案内図形および実写案内画像の生成する動作の流れを示すフローチャートである。
【0039】
まず、実写案内制御部10は、地図DB3に格納される地図情報による3次元地図、および映像取得部1によって取得された車両前方の様子を示す実写画像の撮像方向と撮像範囲を定めるパラメータであるカメラ位置、カメラ角(水平角、仰角)、焦点距離、および画像サイズに基づいて、3次元地図におけるカメラ視野空間を求める(ステップS1)。ここで、3次元地図とは、緯度、経度、および高度の位置情報で表される地図である。また、撮像方向と撮像範囲を定めるパラメータは、画角などの他のパラメータを用いて、換算されてもよい。また、3次元地図から高度情報を除いた2次元地図を用いてもよい。
【0040】
また、カメラ視野空間は、図5に示すような方法で求められる。なお、図5は、カメラ視野空間を説明するための図である。まず、図5において、視点E(カメラ位置)からカメラ角方向に焦点距離fだけ離れた点Fを求める。さらに、点Fに表示部5の表示画面の縦横比に相当する横x縦yの平面(カメラ画面)が視点Eと点Fを結んだベクトルに垂直になるように設定される。次に、視点Eからカメラ画面の4隅の点へと結ぶ半直線によって得られる3次元空間が算出される。また、3次元空間は理論上無限遠まで延びるが、視点Eから適当な距離だけ離れたところで打ち切り、当該空間を視野空間とする。
【0041】
次に、ステップS2において、実写案内制御部10は、3次元地図において、上述の方法で求められるカメラ視野空間内に存在する道路を検出する(以下、道路検出処理と称す)。なお、図6は、経路探索部7により探索された案内経路上の案内対象交差点を含む3次元地図およびカメラ視野空間を車両進行方向に対してその上方向からの様子を示す図である。具体的には、図6の例のように、斜線で示した領域がカメラ視野空間内に存在する道路として検出される。さらに、道路検出処理において、上述した地図DB3に格納されるノードデータ、補間ノードデータ、およびリンクデータに基づいて、検出された道路の形状データや道路幅などが抽出される。
【0042】
次に、ステップS3において、実写案内制御部10は、道路検出処理により検出された道路のうち、経路探索部7によって探索された案内経路に該当する道路の形状データや道路幅などに基づいて、案内対象交差点での車両の進むべき方向を示す案内図形(矢印)を作成する。なお、図7は、案内図形の形状および配置位置の求め方を説明するための図である。続いて、図7に示す例のように、作成された案内図形は、カメラ視野空間内に存在する道路のうち、案内経路に該当する道路に配置される。なお、案内図形は、図7に示す矢印形状に限らず、例えば単なる折れ線であってもよい。
【0043】
次に、ステップS4において、実写案内制御部10は、図5に示すカメラ画面を投影面として上記配置された案内図形を透視投影する(投影処理)。これにより、案内図形が投影される投影面が映像取得部1によって取得されるカメラ画面と一致するため、案内図形は、実写画像に表示されている道路(案内経路)上に重畳される(図8参照)。なお、実写画像に案内図形を重畳する際に、白線検知、道路端検知等の周知の画像認識技術を用いて、カメラで撮像された実写画像中の道路の位置を検出し、案内図形の重畳位置を補正するようにしてもよい。
【0044】
アイコン表示道路選択部11は、実写案内画像において、案内経路でないことを示すオブジェクト(以下、非経路アイコンと称す)の表示対象となる道路を選択する。ここで、非経路アイコンは、実写画像に表示される非案内経路の道路上に重畳表示され、当該道路が案内経路ではないことを示す。また、非経路アイコンは、いわゆるアイコン以外の文字や、×マークなどの非経路を表すものであればどのような表示形態であっても構わない。なお、アイコン表示道路選択部11によって選択される道路の詳細については後述する。
【0045】
非経路アイコン重畳部12は、上述の実写案内制御部10によって生成された実写案内画像において、当該実写案内画像に表示されるアイコン表示道路選択部11によって選択された道路に非経路アイコンを重畳する。
【0046】
次に、図9〜図10を参照して、アイコン表示道路選択部11および非経路アイコン重畳部12における動作の流れについて説明する。なお、図9は、アイコン表示道路選択部11および非経路アイコン重畳部12における動作の流れを示すフローチャートである。
【0047】
まず、アイコン表示道路選択部11は、上述の道路検出処理によって検出された道路のうち、案内対象交差点において車両が進むべき経路(以下、案内経路と称す)以外の道路を非経路アイコンの表示候補の道路(以下、アイコン表示候補道路と称す)として抽出する(ステップS11)。例えば、図10において、アイコン表示候補道路は、道路R1〜R5である。なお、図10は、経路探索部7により探索された案内経路上の案内対象交差点を含む3次元地図およびカメラ視野空間を、車両進行方向に対してその上方向からの様子を示す図である。
【0048】
次に、アイコン表示道路選択部11は、抽出されたアイコン表示候補道路のうち、非経路アイコンを重畳表示すべき道路(以下、アイコン表示道路と称す)を決定する(ステップS12)。具体的には、アイコン表示道路選択部11は、案内対象交差点における案内経路の方向(例えば、図10においては、左折)とアイコン表示候補道路の方向との一致度、アイコン表示候補道路の案内対象交差点に対する接近度、および道路種別を用いたアイコン表示候補道路の重要度に基づいて、ユーザが間違う可能性が高い道路をアイコン表示道路として決定する。つまり、上述の3つの指標(案内経路の方向とアイコン表示候補道路の方向との一致度、アイコン表示候補道路の案内対象交差点に対する接近度、アイコン表示候補道路の重要度)のそれぞれが全て高い値である道路が、案内経路と間違われやすい道路である。
【0049】
ここで、アイコン表示道路選択部11によって選択されるアイコン表示道路の選択条件の詳細について説明する。まず、アイコン表示道路選択部11が、案内対象交差点における案内経路の方向(以下、案内方向と称す)とアイコン表示候補道路の方向とが一致するか否かを判定し、その一致度を算出する場合を説明する。例えば、図10において、案内対象交差点における案内方向は左折であるので、案内方向と同じ方向(左折方向)のアイコン表示候補道路、つまり道路R2およびR4の一致度は、高い値(例えば、1)に設定され、それ以外の道路(R1、R3、およびR5)の一致度は、低い値(例えば、0)に設定される。ただし、本発明はこれに限らず、案内方向とアイコン表示候補道路の方向との一致度は、案内対象交差点において案内経路の曲がる角度と、アイコン表示候補道路と案内経路と交差する角度が類似しているほど、高い値に設定されるようにしてもよい。
【0050】
また、アイコン表示道路選択部11は、アイコン表示候補道路の案内対象交差点に対する接近度を算出する。アイコン表示候補道路の案内対象交差点に対する接近度は、各アイコン表示候補道路から案内対象交差点までの距離(最短距離)が所定の距離以下か否かによって設定される。例えば、アイコン表示候補道路から案内対象交差点までの距離が所定の距離(例えば、100m)以下の場合には、アイコン表示候補道路の接近度は、高い値(例えば、1)に設定され、アイコン表示候補道路から案内対象交差点までの距離が所定の距離より大きい場合には、アイコン表示候補道路の接近度は、低い値(例えば、0)に設定される。これにより、図10において、案内対象交差点から100m以内にある道路R1、R3、R4、およびR5の接近度は、1に設定され、100m以上離れている道路R2の接近度は、0に設定される。ただし、本発明はこれに限らず、アイコン表示候補道路の案内対象交差点に対する接近度は、各アイコン表示候補道路から案内対象交差点までの距離に基づいて、案内対象交差点から近い順に、高い値に設定されるようにしてもよい。
【0051】
また、アイコン表示候補道路が案内対象交差点より手前に存在するかまたは奥に存在するかによって、アイコン表示候補道路の案内対象交差点に対する接近度が設定されるようにしてもよい。具体的には、アイコン表示候補道路が案内対象交差点の手前、つまり案内対象交差点と自車両との間に存在する場合には、実写画像において、案内対象交差点より手前に存在するアイコン表示候補道路は、大きく表示される。その結果、ユーザは、案内対象交差点より手前に存在するアイコン表示候補道路を案内経路と間違えてしまう可能性が高い。この場合には、案内対象交差点より手前に存在するアイコン表示候補道路の接近度は、案内対象交差点より奥に存在するアイコン表示候補道路の接近度より高い値に設定される。
【0052】
また、アイコン表示道路選択部11は、上述したリンクデータの属性情報である道路種別情報を用いてアイコン表示候補道路の重要度を取得する。ここで、道路種別とは、図12の例のように、5種類の種別に分類されており、それぞれの種別は、1から5まで5段階にランク付けされている(数字が大きいほどランクが高いことを示す)。なお、図12は、道路種別とランクとの関係の一例を示す図である。アイコン表示道路選択部11は、例えば、ランクが3以上である国道、都道府県道、および一般道路(幹線)を重要な道路として、その重要度を高い値(例えば、1)に設定し、ランク2以下である一般道路(その他)および細街路の道路は、重要度を低い値(例えば、0)に設定される。これにより、図10において、道路R1、R3、R4、およびR5の重要度は、1に設定され、道路R2の重要度は、0に設定される。ただし、本発明はこれに限らず、アイコン表示候補道路の重要度は、案内対象交差点での右折または左折後の案内経路と選択されたアイコン表示候補道路とのランクが近い道路ほど、ユーザが間違える可能性が高いので、高い値に設定されるようにしてもよい。
【0053】
アイコン表示道路選択部11は、案内方向とアイコン表示候補道路の方向との一致度、アイコン表示候補道路の案内対象交差点に対する接近度、およびアイコン表示候補道路の重要度について3つの設定された値(以下、指標と称す)に基づいて、アイコン表示道路を選択する。例えば、アイコン表示道路選択部11は、全ての指数が1に設定されたアイコン表示候補道路をアイコン表示道路として選択する。具体的には、図11において、アイコン表示道路選択部11は、アイコン表示道路として道路R4を選択する。なお、図11は、アイコン表示道路選択部11で決定された複数のアイコン表示候補道路の各指標の値の一例を示す図である。
【0054】
また、いずれのアイコン表示道路を選択するかは、上述の3つの指標(案内経路の方向とアイコン表示候補道路の方向との一致度、アイコン表示候補道路の案内対象交差点に対する接近度、アイコン表示候補道路の重要度)の組み合わせに限らず、例えばいずれかの組み合わせ、もしくはいずれか1つの指標のみを用いるようにしてもよい。さらに、上述の3つの指標以外に、他の指標を用いてもよい。
【0055】
図9に戻り、ステップS13において、非経路アイコン重畳部12は、3次元地図におけるアイコン表示道路の位置を算出する。続いて、ステップS14において、実写案内制御部10におけるステップS4の処理と同様の、カメラ画面を投影面として3次元地図における非経路アイコンを透視投影する(投影処理)。これにより、案内図形が投影される投影面が映像取得部1によって取得されるカメラ画面と一致するため、非経路アイコンは、実写画像に表示されるアイコン表示道路上に重畳される(図13参照)(ステップS15)。
【0056】
以上のように、本実施形態に係るナビゲーション装置によれば、図13の例のように、案内矢印が実写画像中の案内経路上に重畳表示されるとともに、実写画像のユーザが案内経路と間違ってしまう可能性のある道路(アイコン表示道路)の上に非経路アイコンが重畳表示される。これにより、ユーザは走行中においても瞬時にどの道路を曲がるべきかを実写案内画像から認識することができる。
【0057】
また、案内経路以外の実写画像に表示されている道路の全てに、非経路アイコンを重畳表示するのではなく、案内経路と間違う可能性が高い道路にのみ非経路アイコンを表示する。これにより、案内画面の視認性を低下させることなく、ユーザは案内画面から必要な情報のみを容易に取得することができる。
【0058】
また、図13の例のように、非経路アイコンを実写画像の対応する道路上に重畳表示するとしたが、本発明はこれに限らず、非経路アイコンと非経路アイコンの表示が対象となる道路との対応付けが分かるように表示すれば、どのような表示形態であってもかまわない。なお、非経路アイコンの表示態様は、図13に示した表示態様に限らず、非案内経路であることが認識できればどのような表示態様であってもかまわない。
【0059】
次に、図14を参照して、本実施形態のナビゲーション装置の動作の流れについて説明する。なお、図14は、本実施形態に係るナビゲーション装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【0060】
図14において、ユーザが入力部4から目的地を入力して、目的地が設定されたか否かを判定する(ステップS21)。判定の結果、目的地が設定されると(ステップS11でYes)、測位部2が車両の現在位置を検出して、経路探索部7は、現在位置から目的地に至る最適経路を探索する(ステップS22)。また、経路案内が開始されると、測位部2は、所定の時間間隔で車両の現在位置を検出する。続いて、車両の現在位置と最適経路を照合して目的地に到着したか否かを判定する(ステップS23)。判定の結果、目的地に到着していない場合(ステップS23でNo)には、処理は、ステップS24に進む。一方、目的地に到着した場合(ステップS23でYes)には、処理は、終了する。
【0061】
次に、ステップS24において、案内モード切替部8は、車両の現在位置から目的地に至る経路中に案内対象交差点が存在するか否かを検索する。検索の結果、車両の現在位置から目的地に至る経路中に案内対象交差点が存在しない場合(ステップS24でNo)には、処理は、ステップS27に進む。ステップS27において、案内モード切替部8は、地図案内モードに切り替えて、地図案内画像を用いて経路案内が行われる。一方、車両の現在位置から目的地に至る経路中に案内対象交差点が存在する場合(ステップS24でYes)には、処理は、ステップS25に進む。続いて、ステップS25において、案内モード切替部8は、車両の現在位置から次に通過する案内対象交差点までの距離を算出する。なお、以降では車両の現在位置から案内対象交差点までの距離は定期的に算出されるものとする。
【0062】
次に、ステップS26において、案内モード切替部8は、車両から案内対象交差点までの距離が案内モード切替距離(例えば、200m)以下か否かを判定する。そして、案内対象交差点までの距離が案内モード切替距離に到達していない場合(ステップS26でNo)には、処理は、ステップS27に進む。一方、案内対象交差点までの距離が案内モード切替距離に到達した場合(ステップS26でYes)には、処理は、ステップS28に進む。ステップS28において、案内モード切替部8は、実写案内モードに切り替えて、映像取得部1によって取得された実写画像を用いて経路案内を行う。ここで、実写案内モードでは、上述したように案内矢印を実写画像上に重畳する処理(ステップS1〜S4)と非経路アイコンを実写画像上に重畳する処理(ステップS11〜S15)が行われ、ユーザに実写画像を用いた案内が行われる。
【0063】
次に、ステップS29において、案内モード切替部8は、車両が案内対象交差点を通過したか否かを判定する。判定の結果、車両が案内対象交差点を通過していない場合(ステップS29でNo)には、処理は、ステップS28に戻り、実写案内モードを継続し、実写画像を用いて経路案内が行われる。一方、車両が案内対象交差点を通過した場合(ステップS29でYes)には、処理は、ステップS23に戻る。
【0064】
なお、上記の実施形態では、案内対象交差点までの距離が所定の距離以下に達した場合に、車両が進行すべき方向を示す案内図形の表示を行ったが、車両が進行すべき方向を示す案内図形の表示とともに、案内対象交差点に近づいていることを図示しない音声出力部からユーザに音声で通知してもよい。例えば、「200m先、左折です。」等の音声を出力してもよい。さらに、車両位置と案内対象交差点との距離が所定距離になった場合に、音声出力部から、例えば、「まもなく左方向です。」等の音声を出力してもよい。
【0065】
なお、本実施形態の変形例として、アイコン表示道路選択部11は、実写画像から種々の情報を認識する画像認識手段(図示せず)を含んでおり、画像認識手段による認識結果を、非経路アイコンの表示または非表示を決定する条件として用いてもよい。
【0066】
例えば、図15Aを参照して、アイコン表示道路選択部11が車両の前方を撮像した実写画像において先行車両等の障害物による案内対象交差点の遮蔽度を取得する場合を説明する。なお、図15Aにおいて、道路R11が案内経路である。
【0067】
まず、画像認識手段は、車両の前方を撮像した実写画像において先行車両等の障害物を検出する。具体的には、画像認識手段は、先行車両等の障害物が表示されている領域(以下、先行車両領域と称す)を検出する。
【0068】
ここで、先行車両領域を検出する手法としては、単眼カメラやステレオカメラを用いた公知の手法があり、本実施例においては、どちらであってもよい。例えば、単眼カメラを用いた車両検出手法としては、輝度値を参照する手法(車線上の輝度値を取得して路面上の障害物を検出する手法)や、射影変換画像を利用する手法(2フレーム間で射影変換画像の差分をとって移動物体を検出する手法)、先行車両のエッジを検出する手法(水平方向と垂直方向のエッジを検出して障害物を検出する手法)等がある。また、ステレオカメラを用いた車両検出手法としては、距離画像から先行車両の輪郭を抽出する手法や、ステレオ逆射影変換を用いて高さ情報を持つ物体を検出する手法、道路平面領域を抽出して路上の障害物を検出する手法などがある。さらに、他の検出手法としては、先行車両が存在しない状態で撮影した道路画像データを位置情報と関連付けて図示しない記憶手段に記憶しておき、測位部2の測位結果に基づいて、映像取得部1によって取得された実写画像と、現在の走行位置に対応する道路画像データとの差分をとることによって先行車両を検出することもできる。
【0069】
上述の手法により、画像認識手段は、映像取得部1によって取得された実写画像に基づいて、先行車両領域を検出する。具体的には、図15Bにおいて、斜線で示す領域が検出された先行車両領域である。車両の前方を撮像した実写画像に複数の先行車両領域が存在する場合には、複数の先行車両領域の総和としてもよい。
【0070】
次に、アイコン表示道路選択部11は、車両の前方を撮像した実写画像において、案内対象交差点が表示されている領域(以下、交差点領域と称す)のうち、先行車両領域と重なる領域(以下、重なり領域と称す)を検出し、交差点領域に占める重なり領域の割合を算出する(図15B参照)。ここで、交差点領域とは、図15Aの例のように、案内対象交差点およびその周辺の所定範囲が含まれる点線で囲まれる領域である。これにより、算出された割合が閾値以上の場合には、案内対象交差点周辺の領域が先行車両によって遮蔽されているとみなして、アイコン表示道路選択部11は、案内対象交差点の遮蔽度として、高い値(例えば、1)に設定する。一方、算出された割合が閾値未満の場合には、案内対象交差点周辺の領域が先行車両によって遮蔽されていないとみなして、アイコン表示道路選択部11は、案内対象交差点の遮蔽度として、低い値(例えば、0)に設定する。なお、交差点領域を設定する際、案内対象交差点において車両が進むべき方向に応じて交差点領域の位置を変えるようにしてもよい。例えば、車両が案内対象交差点で右に曲がるときは、交差点領域は案内対象交差点の右側を多く含むように設定してもよい。
【0071】
ところで、案内対象交差点が遮蔽されている場合には、案内矢印がどの交差点での車両が進むべき方向を指示しているのか分かりづらく、ユーザは、実写画像に表示されている他のアイコン表示候補道路(特に、案内対象交差点と自車両との間にある道路R12)を案内経路と勘違いしやすい。したがって、アイコン表示道路選択部11は、上述した案内方向とアイコン表示候補道路の方向との一致度、アイコン表示候補道路の案内対象交差点に対する接近度、アイコン表示候補道路の重要度に、さらに、案内対象交差点の遮蔽度に基づいて、アイコン表示道路を選択するようにしてもよい。
【0072】
例えば、図15Bの例では、先行車両が案内対象交差点を遮蔽しているので、案内対象交差点の遮蔽度は、1に設定される。したがって、案内方向とアイコン表示候補道路の方向との一致度、アイコン表示候補道路の案内対象交差点に対する接近度、およびアイコン表示候補道路の重要度についての各指標の値が全て高い値(例えば、1)であるアイコン表示候補道路が、非経路アイコンを表示するアイコン表示道路として設定される。この場合、道路R12はアイコン表示道路として設定される。これにより、図15Cの例のように、道路R12に非経路アイコンが重畳表示される。
【0073】
一方、図15Dの例では、先行車両が案内対象交差点を遮蔽していないので、案内対象交差点の遮蔽度は、0に設定される。この場合、道路R12は、案内方向とアイコン表示候補道路の方向との一致度、アイコン表示候補道路の案内対象交差点に対する接近度、およびアイコン表示候補道路の重要度についての各指標の値が全て高い値(例えば、1)であるが、非経路アイコンは重畳表示されない。
【0074】
以上のように、本変形例によれば、上述の案内方向とアイコン表示候補道路の方向との一致度、アイコン表示候補道路の案内対象交差点に対する接近度、およびアイコン表示候補道路の重要度に、さらに、先行車両が案内対象交差点を遮蔽しているか否かに関する遮蔽度をも考慮してアイコン表示候補道路からアイコン表示道路を決定することができる。これにより、ユーザは案内対象交差点を視認できなくても、実写画像に表示されているユーザが案内経路と間違ってしまう可能性のある道路(案内対象交差点と自車両との間にある道路)を案内道路と間違うことを防止することができる。
【0075】
また、他の変形例として、上述の3つの指標(案内経路の方向とアイコン表示候補道路の方向との一致度、アイコン表示候補道路の案内対象交差点に対する接近度、アイコン表示候補道路の重要度)に、案内対象交差点の周辺に存在する建物、街路樹などが案内経路を遮蔽しているか否かに基づく遮蔽度をも考慮してアイコン表示候補道路からアイコン表示道路を決定することができる。例えば、図15Eのように、案内経路が建物などによって隠れてしまっている場合には、ユーザは実写画像に表示されている他の道路(例えば、道路R12)を案内経路と間違えやすい。そこで、案内経路が建物などによって隠れてしまっている場合には、非経路アイコンを実写画像に重畳し、そうでない場合には、非経路アイコンを実写画像に重畳しないようにしてもよい。
【0076】
さらに、他の変形例として、画像認識手段は、実写画像において、アイコン表示候補道路を検出するようにしてもよい。例えば、アイコン表示候補道路が、実写画像において、画像認識手段によって検出されない(例えば、障害物によって遮蔽されている)道路である場合には、アイコン表示道路として選択されない。
【0077】
具体的には、図16において、案内経路とアイコン表示候補道路R21〜R25のうち、道路R24が、案内方向とアイコン表示候補道路の方向との一致度、アイコン表示候補道路の案内対象交差点に対する接近度、およびアイコン表示候補道路の重要度に基づいて、非経路アイコンを表示する対象の道路だと決定された場合、画像認識手段は、道路R24の道路のエッジを検出する。検出の結果、道路R24のエッジが検出された場合には、実写案内画像において、道路R24を視認することができるので、非経路アイコン重畳部12は、実写画像の道路R24に非経路アイコンを重畳する。
【0078】
一方、道路R24のエッジが検出されない場合には、何らかの障害物(例えば、先行車両、建物、街路樹など)によって道路R24が遮蔽されているので、非経路アイコンは重畳表示されない。つまり、障害物によってアイコン表示道路が遮蔽されている場合において、実写画像のアイコン表示道路に非経路アイコンを重畳表示しても、実写画像の障害物上に非経路アイコンが重畳表示されてしまい、視認性が低下して、かえって分かりにくい表示となってしまう。したがって、実写画像に表示されているアイコン表示候補道路のうち、アイコン表示道路選択部11によって決定されたアイコン表示道路を視認することができる場合にのみ、非経路アイコンが重畳表示されるので、案内表示の分かりやすさを、さらに向上させることができる。
【0079】
なお、本発明では、全て車両の前方を向いたカメラで撮像された実写画像に非経路アイコンを重畳表示するとして説明を行ったが、あらかじめ記憶媒体に保存されている実写画像や通信によって取得した実写画像に非経路アイコンを重畳表示してもかまわない。
【0080】
また、本発明を詳細に説明したが、上記説明はあらゆる意味において例示的なものであり限定的なものではない。本発明の範囲から逸脱することなしに多くの他の改変例及び変形例が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明に係るナビゲーション装置は、車両内に設置されるカーナビゲーション装置、または、携帯電話などの移動体端末におけるナビゲーション装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】第1の実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示す機能ブロック図
【図2A】第1の実施形態に係る地図DB3に格納される地図情報のうち、ノードデータの一例を示す図
【図2B】第1の実施形態に係る地図DB3に格納される地図情報のうち、補間データの一例を示す図
【図2C】第1の実施形態に係る地図DB3に格納される地図情報のうち、リンクデータの一例を示す図
【図3】ノードデータ、補間ノードデータ、およびリンクデータを用いて表される地図の一例を示す図
【図4】実写案内制御部10における案内図形および実写案内画像の生成する動作の流れを示すフローチャート
【図5】カメラ視野空間の求め方を説明するための図
【図6】3次元地図およびカメラ視野空間を車両進行方向に対してその上方向からの様子を示す図
【図7】案内図形の形状および配置位置の求め方を説明するための図
【図8】第1の実施形態に係る実写案内画像の表示例
【図9】アイコン表示道路選択部11および非経路アイコン重畳部12における動作の流れを示すフローチャート
【図10】経路探索部7により探索された案内経路上の案内対象交差点を含む3次元地図およびカメラ視野空間を、車両進行方向に対してその上方向からの様子を示す図
【図11】アイコン表示道路選択部11で算出されたおよび取得された複数のアイコン表示候補道路の各指標の値の一例を示す図
【図12】道路種別とランクとの関係の一例を示す図
【図13】実写画像に案内図形および非経路アイコンを重畳表示する表示例
【図14】本実施形態に係るナビゲーション装置の動作の流れを示すフローチャート
【図15A】自車両から案内対象交差点までに先行車両が存在しない場合における車両の前方を示す実写画像の表示例
【図15B】自車両から案内対象交差点までに先行車両が存在する場合における車両の前方を示す実写画像の表示例
【図15C】実写画像に案内図形および非経路アイコンを重畳表示する表示例
【図15D】実写画像に案内図形を重畳表示する表示例
【図15E】実写画像に案内図形および非経路アイコンを重畳表示する表示例
【図16】実写画像に案内図形および非経路アイコンを重畳表示する表示例
【符号の説明】
【0083】
1 映像取得部
2 測位部
3 地図DB
4 入力部
5 表示部
6 制御部
7 経路探索部
8 案内モード切替部
9 地図案内制御部
10 実写案内制御部
11 アイコン表示道路選択部
12 非経路アイコン重畳部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方を撮像した実写画像を表示して経路案内を行うナビゲーション装置であって、
前記実写画像を用いて実写案内画像を生成する実写案内制御部と、
車両が進むべき経路ではないことを示す非経路アイコンの表示対象となる道路を選択するアイコン表示道路選択部と、
前記実写案内制御部によって生成された実写案内画像に、前記アイコン表示道路選択部によって選択された道路に対応付けた非経路アイコンを重畳する非経路アイコン重畳部とを備えた、ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記アイコン表示道路選択部は、前記実写画像に表示される道路のうち、非経路アイコンの表示対象となる道路を選択することを特徴とする、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記アイコン表示道路選択部は、案内対象交差点における車両の進むべき経路の方向である案内方向と車両が進むべき経路以外の道路の方向との一致度を算出する方向一致度算出部を含み、
前記方向一致度算出部によって算出された一致度に基づいて、当該車両が進むべき経路以外の道路から非経路アイコンの表示対象となる道路を選択することを特徴とする、請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記アイコン表示道路選択部は、案内対象交差点と車両が進むべき経路以外の道路との接近度を算出する交差点接近度算出部を含み、
交差点接近度算出部によって算出された接近度に基づいて、当該車両が進むべき経路以外の道路から非経路アイコンの表示対象となる道路を選択することを特徴とする、請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記交差点接近度算出部は、案内対象交差点と車両が進むべき経路以外の道路との位置関係に基づいて、案内対象交差点と車両が進むべき経路以外の道路との接近度を算出することを特徴とする、請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記アイコン表示道路選択部は、非経路アイコンの表示対象となる道路の重要度を取得する道路重要度取得部を含み、
前記道路重要度取得部よって取得された重要度に基づいて、非経路アイコンの表示対象となる道路を選択することを特徴とする、請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記アイコン表示道路選択部は、車両の前方方向の障害物による案内対象交差点または案内経路の遮蔽度を算出する遮蔽度算出部を含み、
前記遮蔽度算出部によって算出された遮蔽度に基づいて、非経路アイコンの表示対象となる道路を選択することを特徴とする、請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記遮蔽度算出部は、前記実写画像において、案内対象交差点が表示されている領域である交差点領域のうち、車両の前方方向の障害物と重なる領域の割合を算出し、算出された割合に基づいて、遮蔽度を算出することを特徴とする、請求項7に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
前記アイコン表示道路選択部は、前記実写画像において、非経路アイコンの表示対象となる道路を検出する道路認識手段を含み、
前記道路認識手段による検出結果に基づいて、非経路アイコンを表示するか否かを選択することを特徴とする、請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
車両の前方を撮像した実写画像を表示して経路案内を行うナビゲーション方法であって、
前記実写画像を用いて実写案内画像を生成する実写案内制御ステップと、
車両が進むべき経路ではないことを示す非経路アイコンの表示対象となる道路を選択するアイコン表示道路選択ステップと、
前記実写案内制御ステップによって生成された実写案内画像に、前記アイコン表示道路選択ステップによって選択された道路に対応付けた非経路アイコンを重畳する非経路アイコン重畳ステップとを備えた、ナビゲーション方法。


【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図15E】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−2965(P2008−2965A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−172947(P2006−172947)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】