説明

ナビゲーション装置

【課題】ユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしている場合に、地図画面の向きを切り替えて見やすくする。
【解決手段】ユーザのスクロール操作に基づいて、所定数以上の方向へのスクロール操作が所定時間内に検出された場合や、逆方向へのスクロール操作が続けて検出された場合には、ユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしていると判定する(ステップS20)。スクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしていると判定された場合、それまで表示されていたヘディングアップ地図から切り替えて、ノースアップ地図を表示する(ステップS30)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図をスクロールするナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるナビゲーション装置が従来から知られている。このナビゲーション装置は、縮尺の小さな地図については車両の進行方向を画面上向きにしたヘディングアップによる地図を表示し、縮尺の大きな地図については北を画面上向きにしたノースアップによる地図を表示する。そして、縮尺の小さなヘディングアップによる地図を表示しているときに、ユーザが一定時間以上続けて地図スクロール操作をすると、縮尺の大きなノースアップによる地図へと自動的に切り替える。
【0003】
【特許文献1】特開平7−334077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるナビゲーション装置によれば、ユーザが一定時間以上続けて地図スクロール操作をすることにより、地図の向きが自動的にヘディングアップからノースアップに切り替えられる。したがって、ユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしている場合、地図スクロール操作が一定時間以上続けられないために、地図の向きが切り替えられないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明による車載地図表示装置は、地図画面を表示する表示手段と、ユーザによるスクロール操作を検出する検出手段と、検出手段により検出されたスクロール操作に基づいて、ユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしているか否かを判定する判定手段と、判定手段によりユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしていると判定された場合、表示手段に表示された地図画面の向きを切り替える地図方向切替手段とを備えるものである。
請求項2の発明は、請求項1の車載地図表示装置において、判定手段は、特定の地図スクロール操作が検出手段により検出された場合に、ユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしていると判定するものである。
請求項3の発明は、請求項2の車載地図表示装置において、判定手段は、所定数以上の方向へのスクロール操作が所定時間内に検出手段により検出された場合に、ユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしていると判定するものである。
請求項4の発明は、請求項2の車載地図表示装置において、判定手段は、逆方向へのスクロール操作が続けて検出手段により検出された場合に、ユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしていると判定するものである。
請求項5の発明は、請求項1〜4いずれか一項の車載地図表示装置において、地図方向切替手段は、自車両の進行方向を画面上向きにしたヘディングアップ地図から、北方向を画面上向きにしたノースアップ地図に切り替えることにより、地図画面の向きを切り替えるものである。
請求項6の発明は、請求項5の車載地図表示装置において、表示手段にノースアップ地図が表示されている場合、地図方向切替手段は、判定手段によりユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしていると判定されても、地図画面の向きを切り替えないこととするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしている場合に、地図画面の向きを切り替えて見やすくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。このナビゲーション装置は車両に搭載されており、探索した推奨経路を地図上に表示してその推奨経路に従って自車両を目的地まで誘導するものである。図1に示すナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、入力装置17およびディスクドライブ18を有している。ディスクドライブ18には、地図データが記録されたDVD−ROM19が装填される。
【0008】
制御回路11は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行する。これにより、たとえば目的地の設定、推奨経路の探索、地図の表示などの様々な処理や制御がナビゲーション装置1において行われる。
【0009】
現在地検出装置14は、自車両の現在地すなわち自車位置を検出する装置であり、たとえば、自車両の進行方向を検出する振動ジャイロセンサ14a、車速を検出する車速センサ14b、GPS衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ14c等の各種センサ類からなる。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出される自車位置に基づいて、後述する経路探索開始点を決定したり、自車位置マークを地図上に示したりすることができる。
【0010】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを一時的に格納する。この画像データは、地図を表示するための地図描画用データや各種の図形データ等からなり、DVD−ROM19に記録されている地図データなどに基づいて、制御回路11により作成される。作成された画像データが制御回路11から画像メモリ15に出力されることによって、表示モニタ16に地図が表示される。
【0011】
入力装置17は、車両の目的地や経由地(以下、これらを合わせて単に目的地という)をユーザが設定したりするための各種入力スイッチを有している。この入力装置17は、操作パネルやリモコンなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16に表示される画面指示に従って入力装置17を操作することにより、地名や地図上の位置などを指定して目的地を設定することができる。入力装置17にはユーザのスクロール操作を検出するためのスクロール操作スイッチが設置されており、ユーザはこれを用いて表示モニタ16に表示された地図を任意の方向にスクロールすることができる。
【0012】
ディスクドライブ18は、装填されたDVD−ROM19より、地図を表示するための地図データを読み出す。この地図データには、ルート探索に用いられる経路計算データ、推奨経路に従って自車両を目的地まで誘導するために用いられる交差点名称や道路名称などの経路誘導データ、道路を表す道路データなどが含まれている。また、河川や鉄道、地図上の各種施設等(ランドマーク)など、道路以外の地図要素を表す背景データなども地図データに含まれている。
【0013】
道路データにおいて、道路区間を表す最小単位はリンクと呼ばれており、各道路は複数のリンクによって構成されている。リンク同士を接続している点はノードと呼ばれ、このノードはそれぞれに位置情報(座標情報)を有している。このノードの位置情報によって、リンク形状、すなわち道路の形状が決定される。
【0014】
なお、ここではDVD−ROMを用いた例について説明しているが、DVD−ROM以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスク、メモリーカードなどから地図データを読み出すこととしてもよい。あるいは、外部より携帯電話回線などを介して送信される地図データを受信し、その地図データを用いることとしてもよい。すなわち、地図データの取得にはどのような方法を用いてもよい。
【0015】
ユーザが入力装置17を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、現在地検出装置14により検出された現在地を経路探索開始点として、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算を行うことにより、現在地から目的地までのルート探索を行う。ルート探索の結果求められた推奨経路は、その表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、他の道路とは区別して地図上に表される。これにより、ユーザは推奨経路を表示モニタ16に表示された地図上において認識することができる。また、この推奨経路に従って自車両が走行できるよう、ナビゲーション装置1は、ユーザに対して画像や音声などによる進行方向指示を行うことにより、自車両を誘導する。このように、地図を表示して推奨経路に従って自車両を目的地まで誘導することにより、目的地までのルート案内が行われる。
【0016】
図2は、ナビゲーション装置1において表示モニタ16に表示される地図画面の一例である。この地図画面には、自車位置を示す自車位置マーク21と、地図の向いている方位を示す方位マーク22とが表示されている。方位マーク22が示している向きにより、図2の地図画面は左側が北方向であることが分かる。また、自車位置マーク21の向きから自車両は東に向かっていることが分かる。このように自車両の進行方向を画面上向きにして表示される地図は、ヘディングアップ地図と呼ばれる。
【0017】
入力装置17に設置されたスクロール操作スイッチをユーザが操作すると、その操作方向に応じて図2の地図画面がスクロールする。たとえば、右斜め上方向へのスクロールを指示すると、その方向へと地図がスクロールして行き、図3のような地図画面が表示される。その状態からスクロール方向を右方向に変化させると、次に図4のような地図画面が表示される。さらにスクロール方向を左方向に変化させると、続けて図5のような地図画面が表示される。
【0018】
以上説明したように、ユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしているような場合には、図5の地図画面から地図の向きが変化し、図6のような地図画面が表示される。この地図画面は、方位マーク22が示している向きにより、自車両の進行方向ではなく、北方向が画面上向きとなっていることが分かる。このように北方向を画面上向きにして表示される地図は、ノースアップ地図と呼ばれる。
【0019】
ユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしていると判断するには、次の二つの方法を用いることができる。一つ目の方法は、所定数以上の方向、たとえば図3、4および5のように三つ以上の方向へのスクロール操作が所定時間内に入力装置17において検出された場合に、ユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしていると判断する。二つ目の方法は、逆方向、たとえば図4および5のように右方向と左方向へのスクロール操作が続けて入力装置17において検出された場合に、ユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしていると判断する。なお、ここで説明した二つの方法はあくまで一例であるため、他の方法を用いて判断してもよい。
【0020】
以上説明したような特定の地図スクロール操作が入力装置17によって検出されることにより、ユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしていると判断された場合には、ヘディングアップ地図からノースアップ地図へと切り替えることで、表示モニタ16に表示される地図画面の向きが切り替えられる。なお、スクロール操作をしていない通常時の地図画面において、ヘディングアップ地図ではなくノースアップ地図を表示するようにユーザが予め設定していた場合は、地図画面の向きを切り替えずにそのままノースアップ地図画面の表示を続ければよい。
【0021】
以上説明したようなスクロール操作の際に制御回路11において実行されるフローチャートを図7に示す。ステップS10では、入力装置17のスクロール操作スイッチに対して、ユーザからのスクロール操作が入力されたか否かを判定する。スクロール操作が入力された場合、次のステップS20へ進む。
【0022】
ステップS20では、ステップS10で検出したスクロール操作において、ユーザがスクロール方向に迷っているか否かを判定する。この判定には、前述のような判断方法を用いることができる。すなわち、前述したような特定の地図スクロール操作が検出された場合には、スクロール方向に迷っていると判定することができる。スクロール方向に迷っていると判定した場合は、次のステップS30へ進んでノースアップ地図を表示モニタ16に表示する。これにより、それまでに表示していたヘディングアップ地図からノースアップ地図へと地図画面の向きが切り替えられる。ステップS30を実行したら、ステップS40へ進む。一方、スクロール方向に迷っていないとステップS20において判定した場合は、ステップS30を実行せずにステップS40へ進む。
【0023】
ステップS40では、ステップS10で検出したスクロール操作におけるスクロール方向に応じて、表示している地図画面のスクロール処理を行う。ステップS40を実行したらステップS10へ戻り、上記のような処理を繰り返す。以上説明したようにして、地図画面のスクロールを行う。
【0024】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)入力装置17により検出されたスクロール操作に基づいて、ユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしているか否かを判定し(ステップS20)、スクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしていると判定された場合、ノースアップ地図を表示する(ステップS30)ことにより、表示モニタ16に表示された地図画面の向きを切り替えることとした。このようにしたので、ユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしている場合に、地図画面の向きを切り替えて見やすくすることができる。
【0025】
(2)ステップS20では、特定の地図スクロール操作が検出された場合に、ユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしていると判定することができる。すなわち、所定数以上の方向へのスクロール操作が所定時間内に検出された場合に、ユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしていると判定することができる。または、逆方向へのスクロール操作が続けて検出された場合に、ユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしていると判定することができる。このようにすれば、ユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしているか否かを簡単に判定することができる。
【0026】
(3)ステップS30において、ヘディングアップ地図からノースアップ地図に切り替えることにより、表示モニタ16に表示された地図画面の向きを切り替えることとしたので、ユーザが理解しやすい向きで地図画面を表示することができる。
【0027】
(4)ノースアップ地図が表示されている場合は、ステップS20でユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしていると判定されても、そのままノースアップ地図の表示を続けて地図画面の向きを切り替えないこととしたので、ユーザが理解しやすい向きを維持することができる。
【0028】
なお、以上説明した実施の形態では、ユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしていると判断された場合に、ノースアップ地図画面へと切り替える例を説明した。しかし、スクロール操作が開始されたときや、スクロール操作が一定時間以上続けられた場合に、ノースアップ地図画面へと切り替えるようにしてもよい。また、ノースアップ地図画面の代わりに、ユーザが予め設定した方位を画面上向きにした地図画面を表示することとしてもよい。
【0029】
上記で説明したような地図の表示方法は、車両用のナビゲーション装置以外にも、地図を表示する様々な車載装置について適用可能である。すなわち本発明は、地図画面を表示し、ユーザの操作に応じてその地図画面を任意の方向にスクロールする各種の車載装置について適用することができる。
【0030】
上記の実施の形態では、表示手段を表示モニタ16、検出手段を入力装置17によりそれぞれ実現し、判定手段および地図方向切替手段を制御回路11の処理によってそれぞれ実現することとした。判定手段はステップS20、地図方向切替手段はステップS30の処理によってそれぞれ実現することとした。しかし、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記の実施形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項の対応関係には何ら限定も拘束もされない。また、以上説明した各実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】表示される地図画面の一例を示す図である。
【図3】右斜め上方向へスクロール中の地図画面例を示す図である。
【図4】右方向へスクロール中の地図画面例を示す図である。
【図5】左方向へスクロール中の地図画面例を示す図である。
【図6】スクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしている場合に表示されるノースアップ地図画面の例を示す図である。
【図7】スクロール操作の際に実行されるフローチャートである。
【符号の説明】
【0032】
1 ナビゲーション装置
11 制御回路
12 ROM
13 RAM
14 現在地検出装置
15 画像メモリ
16 表示モニタ
17 入力装置
18 ディスクドライブ
19 DVD−ROM
21 自車位置マーク
22 方位マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図画面を表示する表示手段と、
ユーザによるスクロール操作を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出されたスクロール操作に基づいて、ユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によりユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしていると判定された場合、前記表示手段に表示された地図画面の向きを切り替える地図方向切替手段とを備えることを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項2】
請求項1の車載地図表示装置において、
前記判定手段は、特定の地図スクロール操作が前記検出手段により検出された場合に、ユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしていると判定することを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項3】
請求項2の車載地図表示装置において、
前記判定手段は、所定数以上の方向へのスクロール操作が所定時間内に前記検出手段により検出された場合に、ユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしていると判定することを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項4】
請求項2の車載地図表示装置において、
前記判定手段は、逆方向へのスクロール操作が続けて前記検出手段により検出された場合に、ユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしていると判定することを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか一項の車載地図表示装置において、
前記地図方向切替手段は、自車両の進行方向を画面上向きにしたヘディングアップ地図から、北方向を画面上向きにしたノースアップ地図に切り替えることにより、地図画面の向きを切り替えることを特徴とする車載地図表示装置。
【請求項6】
請求項5の車載地図表示装置において、
前記表示手段にノースアップ地図が表示されている場合、前記地図方向切替手段は、前記判定手段によりユーザがスクロール方向に迷いながら地図スクロール操作をしていると判定されても、地図画面の向きを切り替えないことを特徴とする車載地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−225370(P2007−225370A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−45104(P2006−45104)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】