説明

ナビゲーション装置

【課題】
本発明では、運転者の視線に応じた分かり易い交差点の案内を行うことができると共に、交差点の映像を全表示するナビゲーション装置と比べて、画面に表示させる情報量を低減させることができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明に係るナビゲーション装置は、車両を運転する運転者に対して、該車両の進行方向にある交差点周辺に関する施設情報に基づき前記交差点における案内を行うナビゲーション装置であって、運転者の視線の方向を検出する視線方向検出手段と、視線方向検出手段により検出された視線の方向と施設情報とに基づき、運転者が注目する施設を特定する注目施設特定手段と、注目施設特定手段により特定された施設に関する情報を用いて、交差点における案内を行う交差点案内手段と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交差点における経路案内を行う技術であって、運転者が走行中に注目する施設を目印に利用して当該経路案内を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置において、必要以上に多くの情報を表示することなく、利用者にとって必要な交通情報を分かり易く表示するために、視点方向の交差点付近の施設情報のみを選択して表示する技術が公開されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平11−14382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記技術では、ナビゲーション装置が経路案内をする場合において、右左折をする交差点を指示するときに目印として表示している施設が実際に見えていない場合や、当該目印として表示している施設が運転者の注目している施設とは異なる場合があるという問題点があった。
【0004】
そこで、本発明では、上記問題点に鑑み、運転者の視線に応じた分かり易い交差点の案内を行うことができると共に、交差点の映像を全表示するナビゲーション装置と比べて、画面に表示させる情報量を低減させることができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るナビゲーション装置は、車両を運転する運転者に対して、該車両の進行方向にある交差点周辺に関する施設情報に基づき前記交差点における案内を行うナビゲーション装置であって、運転者の視線の方向を検出する視線方向検出手段と、視線方向検出手段により検出された視線の方向と施設情報とに基づき、運転者が注目する施設を特定する注目施設特定手段と、注目施設特定手段により特定された施設に関する情報を用いて、交差点における案内を行う交差点案内手段と、を有することを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係るナビゲーション装置の一形態では、注目施設特定手段は、視線方向検出手段により検出された視線の方向と車両の進行方向にある交差点周辺に関する地図情報とに基づき、運転者が注目する施設を特定することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るナビゲーション装置の一形態では、注目施設特定手段により特定された施設に関する情報であって、運転者が交差点を通過する際に注目する施設に関する情報を記憶する施設情報記憶手段を有し、交差点案内手段は、施設情報記憶手段により記憶された施設に関する情報を用いることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るナビゲーション装置の一形態では、交差点案内手段は、注目施設特定手段により特定された施設に関する情報であって、交差点案内手段による案内を行う時点において運転者が注目する施設に関する情報を用いることを特徴とする。
【0009】
従って、本発明では、運転者の視線に応じた分かり易い交差点の案内を行うことができると共に、交差点の映像を全表示するナビゲーション装置と比べて、画面に表示させる情報量を低減させることができるナビゲーション装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、運転者の視線に応じた分かり易い交差点の案内を行うことができると共に、交差点の映像を全表示するナビゲーション装置と比べて、画面に表示させる情報量を低減させることができるナビゲーション装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0012】
(本実施の形態に係るナビゲーション装置の動作原理)
図1〜図3を用いて、本実施の形態に係るナビゲーション装置の動作原理を説明する。図1は、本実施の形態に係るナビゲーション装置100の概要を説明する図であり、図2は、ナビゲーション装置100の動作原理を説明する図である。そして、図3は、車載カメラ250の設置例を説明する図である。
【0013】
本発明に係るナビゲーション装置100は、車両300の運転者310に対して目的地までの経路を案内するための装置であり、特に、交差点における案内に特徴を有する。本実施の形態では、図1で示すように、車両300の進行方向にある交差点において、運転者310が車両300を操作して、当該交差点を左折する場合を想定する。
【0014】
交差点における案内において、単に、交差点までの距離や曲がる方向を案内されるだけでは、複雑な交差点などで、運転者310にとって適切な経路を把握することが難しい場合がある。また、交差点の拡大地図を表示すると共に、右左折の目印として施設を表示されても、運転者310からはその施設を確認できない場合もあり、これでは交差点の案内として不十分である。
【0015】
そこで、本発明では、図1で示すように、車両300が交差点にある程度接近した際に、運転者310の視線の方向を検出する。そして、その視線方向にある施設320を特定し、当該施設320を目印として交差点における案内を行うところに特徴を有する。当該施設320は、運転者310が当該交差点を過去通過した際に高い頻度で注目していた施設であっても良いし、この交差点案内を通過する時に運転者310がまさに注目している施設であっても良い。
【0016】
上記のような特徴を有することから、本発明では、運転者の視線に応じて分かり易い交差点の案内を行うことができると共に、交差点案案内において運転者に提示する情報量を低減したナビゲーション装置を提供することができる。
【0017】
ナビゲーション装置100は、運転者認証部110、視線判断部120、経路案内機能部130、交差点案内部140、記憶装置230、車載カメラ250、表示装置260、認証機器280を有する。ただし、記憶装置230は、ナビゲーション装置100の外部に設置する形態としても良い。
【0018】
認証機器280は、運転者310の認証を行うための認証情報を取得する機器である。例えば、認証機器280は、車両300のエンジンを始動させるためのイグニッションキーから発信される微弱な電波を受信することによって個人特定用IDを取得するセンサの形態でも良いし、運転者310に個人特定用IDを直接入力させるキーボードの様な形態でも良い。この場合であれば、上記の認証情報は個人特定用IDとなる。また、認証機器280は、運転者の静脈パターンを取得するセンサの形態でも良い。この場合には、上記の認証情報は、個人毎の静脈パターンとなる。
【0019】
車載カメラ250は、運転者310の視線の方向を検出するために、運転者310の頭部の画像データを取得する装置である。例えば、車載カメラ250は、図3で示すように車両300の運転席側ダッシュボード上に設置され、運転者310の頭部を撮影する。表示装置260は、ナビゲーション装置100が交差点における案内を行う場合に、当該交差点周辺の拡大地図等を表示するための装置である。
【0020】
記憶装置230は、認証機器280から取得された個人特定用IDなどの認証情報を照合することによって運転者310を特定するための認証情報DB(DataBase)232を有する。
【0021】
また、記憶装置230は、目的地までの経路案内に使用する地図情報DB234を有する。また、地図情報DB234は、交差点における案内を行うためにも使用され、当該地図情報DB234には交差点における案内の目印となり得る施設に関する情報も含まれている。例えば、地番と施設名がリンクして保持される形態でも良く、また、当該施設が入居している階数に関する情報について保持されても良い。
【0022】
また、記憶装置230は、注目施設履歴情報DB236を有する。ここで、注目施設履歴情報DB236とは、交差点を通過する毎に運転者310が注目した施設に関する履歴情報をデータベース化したものであり、運転者310が当該施設に注目した回数に関する情報を含むものである。また、履歴情報とは、車両300が当該交差点を通過した(または、注目施設履歴情報DB236に記録された)日時、天気、注目した施設名、注目していた時間等の情報を含むものとする。
【0023】
運転者認証部110は、認証機器280と接続され、当該認証機器280が取得した認証情報と、記憶装置230が有する認証情報DB232とを比較することで、運転者310の認証を行う。ここで、運転者310の認証を行う理由は、運転者毎に適切な目印を利用して交差点案内をするためである。
【0024】
運転者認証部110は、認証機器接続部112と運転者特定部114とを有する。認証機器接続部112は、認証機器280から個人特定用ID等の認証情報を取得し、運転者特定部114へ該認証情報を通知する。
【0025】
運転者特定部114は、認証機器接続部112から通知された該認証情報と、記憶装置230に記憶される認証情報DB232とを比較して、運転者310の認証を行う。
【0026】
また、運転者特定部114は、認証ができた運転者310に関する情報を認証情報DB232に記憶する。ここで、運転者310に関する情報には、運転者310の認証、特定ができた旨の情報を含むものとする。
【0027】
視線判断部120は、車載カメラ250が取得した運転者310の頭部の画像データに基づき、運転者310の視線の方向を検出し、さらに、当該視線の方向と地図情報とに基づき、運転者310が注目している施設を特定する。視線判断部120は、視線情報取得部122と注目施設特定部124とを有する。
【0028】
視線情報取得部122は、例えば、図3で示すように設置された車載カメラ250において撮影された運転者310の頭部に関する画像データを取得する。そして、視線情報取得部122は、当該画像データに画像認識処理を施して、運転者310の視線の方向を検出する。
【0029】
例えば、視線情報取得部122は、上記画像データから運転者310の左右の鼻孔の位置を検出し、当該検出された鼻孔の位置に基づき左右の目の位置を検出する。続いて、視線情報取得部122は、白目の中の黒目の位置に基づいて運転者310の視線の方向を検出する形態が考えられる。また、視線情報取得部122は、上記のような視線の方向に加えて、運転者310の視線の上下の角度を検出する形態としても良い。
【0030】
そして、視線情報取得部122は、運転者310の視線の方向に関する情報を注目施設特定部124へ通知する。また、視線情報取得部122は、特許請求の範囲における視線方向検出手段における処理を行う。
【0031】
注目施設特定部124は、車両300の現在位置に関する情報と、地図情報DB234と、視線情報取得部122から通知された運転者310の視線の方向に関する情報とに基づき、運転者310が注目している施設を特定する。ここで、上記現在位置に関する情報は、後述する位置検出装置240から取得する形態としても良い。
【0032】
例えば、図1で示すような位置関係にある場合、注目施設特定部124は、地図上で、自車位置を起点に運転者310の視線の方向へ施設を探索した結果として、施設320を特定する。
【0033】
そして、注目施設特定部124は、運転者310が注目している施設に関する情報を交差点案内部140へ通知する。ここで、交差点案内部140に対する通知は、交差点案内部140から当該情報の通知要求があった場合、それに応答して通知する形態でも良く、他方、注目している施設を特定した後、自動的に当該通知をする形態としても良い。また、注目施設特定部124は、特許請求の範囲における注目施設特定手段における処理を行う。
【0034】
また、注目施設特定部124は、運転者310が注目している建物に関する情報に加えて、運転者310の視線の上下の角度を考慮して、運転者310が注目する階数まで特定する形態としても良い。そして、注目施設特定部124は、当該階数を特定した結果と地図情報DB232とに基づき、運転者310が注目する施設を特定する形態としても良い。
【0035】
経路案内機能部130は、後述する位置検出装置240から取得する自車位置に関する情報と地図情報DB234とに基づき、運転者310に対して、目的地までの経路案内を行う。また、経路案内機能部130は、図1で示すように交差点へ近付いた際に、交差点案内部140に対して、当該交差点において案内を行うべき旨の通知を行う。
【0036】
交差点案内部140は、地図情報DB234に基づき交差点における案内を行う。また、交差点案内部140は、特許請求の範囲における交差点案内手段による処理を行う。交差点案内部140は、履歴施設判定部142、注目施設判定部144、交差点案内作成部146、交差点案内出力部148を有する。
【0037】
履歴施設判定部142は、経路案内機能部130から、車両300が近付いた交差点において案内を行うべき旨の通知を受信する。また、履歴施設判定部142は、注目施設履歴情報DB236の中から、経路案内機能部130によって通知された交差点に関して、運転者310が過去に注目した施設の履歴情報を取得する。
【0038】
そして、履歴施設判定部142は、施設毎の注目された回数、過去に当該交差点を通過した回数、通過してからの経過期間、過去に通過した際の日時・天気・交差点への進入方向等に基づいて、運転者310が当該交差点を通過する際に高い頻度で注目した施設があるか否か、交差点における案内に使用できる施設か否かを判定する。ここで、高い頻度で注目した施設があるか否かの判定は、施設毎の注目された回数と所定の閾値とを比較することによって行う。当該所定の閾値に関する情報は、注目施設履歴情報DB236に含まれる形態としても良い。
【0039】
上記の判定においては、施設が注目された回数のみならず、交差点案内を行う時刻と過去に施設が注目された際の時刻が近いか否か、交差点案内を行う時刻の天気と過去に施設が注目された際の天気が似通っているか否か等の情報についても判定の要素とされる。時刻、天気によっては、交差点案内の目印とする施設の見え方が変化することから、各時点で適した施設を用いて交差点案内をするためである。
【0040】
例えば、履歴施設判定部142は、当該交差点を通過する際注目した回数が一定回数以上である施設があり、履歴情報における当該交差点を通過した時刻と現在の時刻とが似通っていれば、当該施設を交差点案内の目印として有効であると判定する。また、例えば、過去に当該施設を注目した回数は多いが、直近の通過日時から一定の期間が経過していた場合、当該施設を交差点案内の目印として無効と判定する。
【0041】
注目施設判定部144は、注目施設特定部124により通知された施設に関する情報を取得する。そして、注目施設判定部144は、地図情報DB234に基づいて、当該施設を交差点における案内に利用できるか否かを判定する。例えば、運転者310が脇見運転等をして、交差点付近の目印となる施設を見ていない場合に、注目施設判定部144は、当該施設を交差点における案内には利用できないと判定する。
【0042】
また、注目施設判定部144は、注目施設履歴情報DB236に、交差点名、交差点進入方向、交差点通過時の日時・天気、注目施設特定部124より通知された施設に関する情報を、運転者310に関する情報と共に記録する。
【0043】
交差点案内作成部146は、運転者310に対して提供するために、地図情報DB234に基づき、交差点における案内を作成する。また、交差点案内作成部146は、履歴施設判定部142により交差点案内における目印として有効と判定された施設に関する情報を利用して、交差点案内を作成する。また、交差点案内作成部146は、注目施設判定部144により交差点案内における目印として有効と判定された施設に関する情報を利用して、交差点案内を作成する。
【0044】
ここで、特定の施設を利用した交差点案内とは、当該交差点に関する地図の中で、当該特定の施設を強調表示して案内する形態や、当該特定の施設のみを表示して案内する形態が考えられる。また、特定の施設を利用した交差点案内は、地図情報による案内と、音声による案内とを合わせて行う形態としても良い。
【0045】
交差点案内出力部148は、交差点案内作成部146により作成された交差点案内を表示装置260に表示させ、当該交差点案内が音声案内を含む場合には、当該音声案内をスピーカから出力させる。
【0046】
また、本実施の形態においては、ナビゲーション装置100は記憶装置230を有し、当該記憶装置230に記憶された地図情報DB234を利用して、運転者の注目する施設を特定するものとして説明をしたが、路車間通信又はセンター通信等により交差点周辺に関する施設情報又は地図情報を取得し、当該施設情報又は地図情報を利用して運転者の注目する施設を特定する形態としても良い。
【0047】
以下では、ナビゲーション装置100の処理の流れを説明する。認証情報取得部112が、認証機器280から運転者310を特定するための認証情報を取得し、当該認証情報を運転者特定部114に通知する。そして、運転者特定部114が、認証情報取得部112により通知された認証情報と、記憶装置230に記憶された認証情報DB232とを比較して、運転者310の認証ができれば、特定された運転者310に関する情報を認証情報DB232に記憶する。
【0048】
一方、視線情報取得部122が、車載カメラ250により取得された運転者310の頭部に関する画像データを取得し、当該画像データに基づき運転者310の視線の方向を検出する。そして、注目施設特定部124が、視線情報取得部122から取得した運転者310の視線の方向に関する情報と、地図情報DB234と、現在位置に関する情報とに基づき、運転者310が注目している施設を特定し、当該施設に関する情報を交差点案内部140に通知する。
【0049】
他方、経路案内機能部130が、車両300が間もなく通過する交差点に関し、運転者310に案内を行うべき旨の通知を交差点案内部140に対して行う。そして、履歴施設判定部142が、経路案内機能部130から上記通知を受信すると、注目施設履歴情報DB326の中から、当該通知に関する交差点における履歴情報を取得する。続けて、履歴施設判定部142が、上記で取得した履歴情報に関する施設を、この交差点における交差点案内の目印として使用することができるか否かについて判定する。
【0050】
そして、履歴施設判定部142により、この交差点において高い頻度で注目された施設があり、交差点案内に使用できると判定された場合には、交差点案内作成部146が、当該施設を利用して当該交差点の案内を作成し、それを交差点案内出力部148が表示装置260に作成された案内を表示する。
【0051】
また、履歴施設判定部142が、この交差点において交差点案内に使用できる施設がないと判定した場合、注目施設判定手段144が、注目施設特定部124により通知された施設が交差点案内に利用できる施設か否かを判定する。そして、注目施設判定手段144により当該施設が交差点案内に利用できると判定された場合、交差点案内作成部146が、当該施設を利用して当該交差点の案内を作成し、それを交差点案内出力部148が表示装置260に作成された案内を表示する。
【0052】
また、注目施設判定部144が運転者310の注目している施設は交差点案内として使用することができないと判定した場合、交差点案内作成部146は、初期設定に従って、交差点の案内を作成し、それを交差点案内出力部148が表示装置260に表示する。
【0053】
本発明では、上記の様な処理を行うことで、運転者の視線に応じた分かり易い交差点の案内を行うことができると共に、交差点の映像を全表示するナビゲーション装置と比べて、画面に表示させる情報量を低減させることができるナビゲーション装置を提供することができる。
【0054】
(本実施の形態に係るナビゲーション装置のハードウェア構成)
図4を用いて、本実施の形態に係るナビゲーション装置のハードウェア構成を説明する。図4は、本実施の形態に係るナビゲーション装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。ナビゲーション装置100は、CPU(Central Processing Unit)200、ROM(Read−Only Memory)210、RAM(Ramdom Access Memory)220、HDD(Hard Disc Drive)230、位置検出装置240、車載カメラ250、表示装置260、スピーカ270、認証装置280を有する。
【0055】
CPU200は、ROM210に記憶されたプログラムを実行する装置で、RAM220に展開(ロード)されたデータを、プログラムの命令に従って演算処理し、ナビゲーション装置100の全体を制御する。ROM210は、CPU200が実行するプログラムやデータを記憶している。RAM220は、CPU200でROM210に記憶されたプログラムを実行する際に、実行するプログラムやデータが展開(ロード)され、演算の間、演算データを一時的に保持する。
【0056】
HDD230は、基本ソフトウェアであるOS(Operating System)、本実施の形態に係るアプリケーションプログラムや機能拡張用のプラグインなどを、関連するデータとともに記憶する装置である。本実施の形態でHDD230には、運転者310の認証を行うための認証情報DB232、目的地までの経路案内に利用する地図情報DB234、交差点を通過する際に運転者310が注目した施設に関する履歴情報である注目施設履歴情報DB236が記憶されている。
【0057】
位置検出装置240は、車両の現在位置を測定する装置であり、移動距離を検出する車速センサ、移動方位を検出する角速度センサ、GPS(Global Positioning System)レシーバ、位置計算用CPU等で構成されている。車載カメラ250は、例えば、図3で示すように車両300の運転席側ダッシュボード上に設置される。また、車載カメラ250は、運転者310の頭部を撮影し、撮影結果である画像データを出力する。ここで、車載カメラ250は、CCD(Charge Coupled Device)カメラであっても良いし、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラであっても良い。また、他の形態のカメラであっても良い。
【0058】
表示装置260は、ハードキーによるキースイッチとLCD(Liquid Crystal Display)とから構成され、ナビゲーション装置100が有する機能をユーザが利用する際や、各種設定を行う際などのユーザインタフェースとして機能する装置である。本実施の形態では、表示装置260には、目的地までの経路案内に用いられる地図や交差点案内で使用する拡大地図等が表示される。スピーカ270は、電気信号を物理振動に変えて、音楽や音声などの音を生み出す装置である。本実施の形態では、運転者310に対して目的地までの経路案内を行う場合に、表示装置260に表示される地図とリンクして、スピーカ270から音声による案内が流れる。
【0059】
認証装置280は、運転者310の認証を行うIDを取得するための装置である。例えば、認証用IDを取得する形態については、車両300のエンジンを始動させるためのキー発信される微弱な電波を受信して上記IDを取得する形態や、運転者310にキーボード等の入力装置から入力させた上記IDを取得する形態が考えられる。
【0060】
本実施の形態に係るナビゲーション装置100の各処理は、CPU200が、ROM210又はHDD230に記憶された各処理に対応するプログラムを実行することにより実現される形態としても良いし、当該各処理をハードウェアで実現する形態としても良い。
【0061】
(運転者認証部の処理について)
図5を用いて、本実施の形態に係る運転者認証部の処理について説明する。図5は、本実施の形態に係る運転者認証部110の処理理例を示すフローチャートである。ここでは、運転者310が車両300のエンジンを始動される際に、運転者310を認証する処理を行うものとする。また、運転者310を特定するための認証用IDは、車両300のイグニッションキーから発信される電波から取得されるものとする。
【0062】
S10で運転者認証部110が処理を開始する。S12で運転者310が、イグニッションキーを鍵穴に挿してエンジンを始動させると、認証機器280が当該イグニッションキーから運転者310の認証用IDを取得する。
【0063】
次に、S12で認証情報取得部112が、認証機器280から運転者310の認証用IDを取得する。そして、認証情報取得部112が、取得した認証用IDを運転者特定部114に通知する。S14で運転者特定部114が、認証情報取得部112から通知を受けた認証用IDと、認証情報DB232とを比較して、運転者310の特定を行う。
【0064】
S16で運転者特定部114が、S14で比較した認証用IDが一致し、運転者310の特定ができた場合(S16でYesの場合)、S18で運転者特定部114が、特定できた運転者310の情報を認証情報DB232に記憶させ、S20で運転者認証部110は処理を終了する。S16で運転者特定部114が、S14で比較した認証用IDが一致せず、運転者310の特定ができない場合(S16でNoの場合)、S20で運転者認証部110が処理を終了する。
【0065】
上記のように運転者310を特定することで、交差点で注目する施設が運転者毎に異なる場合であっても、個々の運転者に適した施設を使用して交差点案内をすることができる。
【0066】
(視線判断部の処理について)
図6を用いて、本実施の形態に係る視線判断部の処理について説明する。図6は、本実施の形態に係る視線判断部120の処理例を示すフローチャートである。ここでは、図1で示すように車両300が交差点に近付いた際、運転者310に対して交差点案内を行う処理について説明する。
【0067】
S30で視線判断部120が処理を開始する。S32で図3に示すように設置された車載カメラ250が、運転者310を前方から撮影して、運転者310の頭部の画像データを取得する。そして、S32で視線情報取得部122が、車載カメラ250により撮影された画像データを取得して、当該画像データに対する画像認識処理を施して運転者の目の位置を検出する。さらに、S32で視線情報取得部124が、検出した目の位置周辺の画像に対して更なる画像認識処理を施し、白目の中での黒目の位置に基づき、運転者310の視線の方向を特定する。そして、視線情報取得部122が、特定した視線の方向に関する情報を注目施設特定部124へ通知する。
【0068】
S34で注目施設特定部124が、運転者310の視線の方向に関する情報と、地図情報DB234に関する地図情報と、位置検出装置240により検出される車両300の現在位置に関する情報とに基づいて、運転者310が注目している施設320を特定する処理を行う。ここで、注目施設特定部124は、図1に示す地図上で、車両300の現在位置から視線方向に、手前から遠い方へ順に施設の探索を行っていくことで、運転者310が注目している施設320を特定する。
【0069】
S36で注目施設特定部124が、運転者310の注目している施設を特定できた場合(S36でYesの場合)、S38で注目施設特定部124が、施設320に関する情報を交差点案内部140に通知して、S40で視線判断部120が処理を終了する。S36で注目施設特定部124が、運転者310の注目している施設を特定できない場合(S36でNoの場合)、S40で視線判断部120が処理を終了する。
【0070】
上記のような処理を行うことで、交差点案内を行う時点において運転者が注目する施設を用いた交差点案内が可能となる。また、運転者が交差点を通過する際に注目する施設を特定し、当該施設に関する情報を履歴として記憶しておくことで、再度この交差点を通過する際に行う交差点案内の目印として当該施設を用いることができる。
【0071】
また、本実施の形態においては、ナビゲーション装置100は記憶装置230を有し、当該記憶装置230に記憶された地図情報DB234を利用して、運転者の注目する施設を特定するものとして説明をしたが、路車間通信又はセンター通信等により交差点周辺に関する施設情報又は地図情報を取得し、当該施設情報又は地図情報を利用して運転者の注目する施設を特定する形態としても良い。
【0072】
(本実施の形態に係る交差点案内部の処理について)
図7を用いて、本実施の形態に係る交差点案内部の処理について説明する。図7は、本実施の形態に係る交差点案内部140の処理例を示すフローチャートである。ここでは、図1で示すように車両300が交差点に近付いた際、運転者310に対して交差点案内を行う処理について説明する。また、運転者310は、図1で示すように施設320に注目しているものとする。
【0073】
S50で交差点案内部140が処理を開始する。S52で履歴施設判定部142が、経路案内機能部130から通知された交差点案内を作成すべき旨の通知を受信する。S54で履歴施設判定部142が、注目施設履歴情報DB236の中から、経路案内機能部130から通知された交差点に関する履歴情報を取得する。そして、S54で履歴施設判定部142が、取得した履歴情報に基づき、運転者310が当該交差点を通過する際に高い頻度で注目する施設があるか否かを判定する。
【0074】
S56で履歴施設判定部142が、運転者310が当該交差点を通過する際に高い頻度で注目した施設があると判定した場合(S56でYesの場合)、S58で履歴施設判定部142が、当該施設に関する情報を交差点案内作成部146に通知する。そして、S58で交差点案内作成部146が、履歴施設判定部142から通知された施設に関する情報と、当該施設周辺の地図情報とに基づいて、当該施設を用いた交差点拡大図や音声案内を作成する。
【0075】
S56で履歴施設判定部142が、運転者310が当該交差点を通過する際に高い頻度で注目した施設はないと判定した場合(S56でNoの場合)、S60で注目施設判定部142が、注目施設特定部124から通知された運転者310が注目する施設320に関する情報を取得する。
【0076】
S62で注目施設判定部144が、運転者310が注目する施設320が交差点案内に利用できる施設であるか否かを判定する。S64で注目施設判定部144が、施設320を交差点案内に利用できると判定した場合(S64でYesの場合)、S66で注目施設判定部144が、この交差点の名称、現在日時、施設320に関する情報等を注目施設履歴情報DB236に記憶する。
【0077】
S70で交差点案内作成部146が、注目施設判定部142から通知された施設320に関する情報と、施設320周辺の地図情報とに基づいて、施設320を用いた交差点拡大図や音声案内を作成する。
【0078】
S64で注目施設判定部144が、施設320を交差点案内に利用できないと判定した場合(S64でNoの場合)、S68で交差点案内作成部146が、初期設定に従って交差点拡大図や音声案内を作成する。
【0079】
S72で交差点案内作成部146が、作成した交差点案内を交差点案内出力部148に転送し、交差点案内出力部148が、受信した交差点案内に関する交差点拡大図を表示装置260に表示し、当該交差点案内に関する音声案内をスピーカ270から出力する。
【0080】
上記のような処理を行うことで、運転者が過去において注目した施設を用いて交差点案内を行うことができる。また、上記のような処理を行うことで、交差点案内がされる時点において運転者が注目している施設を用いた交差点案内も行うことができる。
【0081】
(総括)
本発明では、運転者の視線に応じた分かり易い交差点の案内を行うことができると共に、交差点の映像を全表示するナビゲーション装置と比べて、画面に表示させる情報量を低減させることができるナビゲーション装置を提供することができる。
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本実施の形態に係るナビゲーション装置の概要を説明する図である。
【図2】本実施の形態に係るナビゲーション装置の動作原理を説明する図である。
【図3】本実施の形態に係る車載カメラの設置例を説明する図である。
【図4】本実施の形態に係るナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図5】本実施の形態に係る運転者認証部の処理例を示すフローチャートである。
【図6】本実施の形態に係る視線判断部の処理例を示すフローチャートである。
【図7】本実施の形態に係る交差点案内部の処理例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0083】
100 ナビゲーション装置
110 運転者認証部
112 認証情報取得部
114 運転者特定部
120 視線判断部
122 視線情報取得部
124 注目施設特定部
130 経路案内機能部
140 交差点案内部
142 履歴施設判定部
144 注目施設判定部
146 交差点案内作成部
148 交差点案内出力部
200 CPU
210 ROM
220 RAM
230 HDD
240 位置検出装置
250 車載カメラ
260 表示装置
270 スピーカ
280 認証装置
300 車両
310 運転者
320 運転者が交差点で注目する施設

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を運転する運転者に対して、前記車両の進行方向にある交差点周辺に関する施設情報に基づき前記交差点における案内を行うナビゲーション装置であって、
前記運転者の視線の方向を検出する視線方向検出手段と、
前記視線方向検出手段により検出された前記視線の方向と前記施設情報とに基づき、前記運転者が注目する施設を特定する注目施設特定手段と、
前記注目施設特定手段により特定された前記施設に関する情報を用いて、前記交差点における案内を行う交差点案内手段と、を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記注目施設特定手段は、前記視線方向検出手段により検出された前記視線の方向と前記車両の進行方向にある交差点周辺に関する地図情報とに基づき、前記運転者が注目する施設を特定することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記注目施設特定手段により特定された前記施設に関する情報であって、前記運転者が前記交差点を通過する際に注目する前記施設に関する情報を記憶する施設情報記憶手段を有し、
前記交差点案内手段は、前記施設情報記憶手段により記憶された前記施設に関する情報を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記交差点案内手段は、前記注目施設特定手段により特定された前記施設に関する情報であって、当該交差点案内手段による前記案内を行う時点において前記運転者が注目する前記施設に関する情報を用いることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−257964(P2009−257964A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107990(P2008−107990)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】