説明

ナビゲーション装置

【課題】中央分離帯がある経路上において、簡単に立ち寄ることができる施設を確実に検索することが可能となるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】自車両が中央分離帯のあるリンクを走行している場合に、右折して中央分離帯を横切り、対向車線側の施設(POI)に進入した場合には、CPU41は、右折したリンクのリンクIDと、右折地点の座標と、進入した施設(POI)に関する店舗データとをRAM42に記憶する。そして、自車両が当該施設(POI)を出た後、中央分離帯を横切って元の経路に戻った場合には、CPU41は、右折地点の座標位置及びリンクIDと、進入した施設(POI)に関する店舗データとを右折可能施設テーブル51に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路上の施設案内を行うナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、経路上の施設案内を行うナビゲーション装置に関して種々提案されている。
例えば、地図上で選ばれた目的地に到達するために目的地経路として探索したリンクに中央分離帯が存在する場合は、右側通行においては目的地に向かって右折するような進入方向となるリンクの進入側に位置するノードN2に対して、目的地からノードN2までのコストを付ける。一方、目的地に向かって右折するような進入方向となるリンクの退出側に位置するノードN1に対して、無限大のコストを付ける。そして、目的地を起点として経路探索をするナビゲーション装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平11−83520号公報(段落(0032)〜(0046)、図5〜図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記した特許文献1に記載されたナビゲーション装置では、中央分離帯の切れ目を横切って対向車線側にある施設に行くことが可能であっても、中央分離帯を迂回して到達する経路探索を行うため、経路沿いであるが、実際に立ち寄るために遠回り等が必要になり、簡単に立ち寄ることが困難であった。また、簡単に立ち寄ることが可能な施設を検索するために、中央分離帯を挟んで対向車線側にある施設を目的地から全て除外する方法もあるが、この場合には、中央分離帯の切れ目を横切って比較的簡単に立ち寄ることができる施設まで除外されてしまうという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、中央分離帯がある経路上において、簡単に立ち寄ることができる施設を確実に検索することが可能となるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため請求項1に係るナビゲーション装置は、自車位置を検出する自車位置検出手段と、地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、前記自車位置と前記地図情報とに基づいて自車両の走行道路に中央分離帯があるか否かを判定する中央分離帯判定手段と、前記中央分離帯判定手段を介して自車両の走行道路に中央分離帯があると判定した場合には、自車両の走行車線から該中央分離帯を横切って対向車線側の施設に進入したか否かを判定する進入判定手段と、前記進入判定手段を介して自車両の走行車線から前記中央分離帯を横切って対向車線側の施設に進入したと判定した場合には、前記自車位置と前記地図情報とに基づいて該中央分離帯を横切った位置に関する位置情報と該施設に関する施設情報とを取得する情報取得手段と、前記施設を出た後前記中央分離帯を再度横切って前記自車両の走行車線に戻ったか否かを判定する復帰判定手段と、前記復帰判定手段を介して前記施設を出た後前記中央分離帯を再度横切って前記自車両の走行車線に戻ったと判定した場合には、前記位置情報と前記施設情報とを中央分離帯情報として該走行車線に対応付けて記憶する中央分離帯情報記憶手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係るナビゲーション装置は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記進入判定手段を介して自車両の走行車線から前記中央分離帯を横切って対向車線側の施設に進入したと判定した場合に、該対向車線を逆走して前記施設に進入したか否かを判定する逆走判定手段を備え、前記中央分離帯情報記憶手段は、前記逆走判定手段を介して対向車線を逆走して前記施設に進入したと判定した場合には、前記中央分離帯情報を記憶しないことを特徴とする。
【0007】
更に、請求項3に係るナビゲーション装置は、請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置において、自車両周辺の地図を表示する表示手段と、前記自車位置と前記地図情報とに基づいて自車両周辺の施設を検索して自車両の走行道路沿いの施設を抽出する施設抽出手段と、前記中央分離帯判定手段を介して自車両の走行道路に中央分離帯があると判定した場合には、前記施設抽出手段を介して抽出した施設から該中央分離帯を挟んで対向車線沿いにある施設だけを削除した施設を表示対象施設として設定すると共に、前記中央分離帯情報記憶手段から自車両の走行車線に対応付けられた前記中央分離帯情報を読み出して該中央分離帯情報に関する施設を前記表示対象施設に追加設定する表示施設設定手段と、前記表示施設設定手段によって設定された前記表示対象施設を前記表示手段によって表示されている地図上に表示するように制御する表示制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
前記構成を有する請求項1に係るナビゲーション装置では、自車両の走行車線から該中央分離帯を横切って対向車線側の施設に進入し、その後、当該施設を出た後、中央分離帯を再度横切って自車両の走行車線に戻った場合には、この中央分離帯を横切った位置に関する位置情報と該施設に関する施設情報とを中央分離帯情報として該走行車線に対応付けて記憶する。
【0009】
これにより、中央分離帯がある経路上において、自車両の走行車線に対応する中央分離帯情報を読み出すことによって、この中央分離帯を横切って簡単に立ち寄ることが可能な施設と、その施設に立ち寄ることが可能な中央分離帯の切れ目の位置とを確実に検索することが可能となる。
【0010】
また、請求項2に係るナビゲーション装置では、中央分離帯を横切った後、安全に進入することが可能な施設に関する中央分離帯情報だけを記憶することが可能となる。これにより、自車両の走行車線に対応する中央分離帯情報を読み出すことによって、この中央分離帯を横切って簡単かつ安全に立ち寄ることが可能な施設と、その施設に立ち寄ることが可能な中央分離帯の切れ目の位置とを確実に検索することが可能となる。
【0011】
更に、請求項3に係るナビゲーション装置では、中央分離帯がある経路上において、自車両の走行道路沿いの施設のうちで、走行車線沿いにある施設と、中央分離帯を横切って簡単に立ち寄ることが可能な施設とだけを抽出して、自車両周辺の地図上に表示することが可能となる。これにより、ユーザは中央分離帯がある経路上においても、簡単に立ち寄ることが可能な施設を容易に選択することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るナビゲーション装置を具体化した一実施例に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例】
【0013】
[ナビゲーション装置の概略構成]
先ず、本実施例に係るナビゲーション装置の概略構成について図1に基づいて説明する。図1は本実施例に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
図1に示すように、本実施例に係るナビゲーション装置1は、自車の現在位置を検出する現在地検出処理部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーション制御部13と、操作者からの操作を受け付ける操作部14と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内等に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、不図示の道路交通情報センタや地図情報配信センタ等との間で携帯電話網等を介して通信を行う通信装置17と、液晶ディスプレイ15の表面に装着されたタッチパネル18とから構成されている。また、ナビゲーション制御部13には自車両の走行速度を検出する車速センサ21が接続されている。
【0014】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について説明すると、現在地検出処理部11は、GPS31、自車両の舵(だ)角を検出するステアリングセンサや自車両の旋回角を検出するジャイロセンサ等から構成される方位センサ32、距離センサ33等からなり、現在の自車の位置、方位、走行距離等を検出することが可能となっている。
【0015】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記憶された地図情報データベース(地図情報DB)25、中央分離帯データベース27(中央分離帯DB)27及び所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。
【0016】
また、地図情報DB25には、ナビゲーション装置1の走行案内や経路探索に使用されるナビ地図情報26が格納されている。ここで、ナビ地図情報26には、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されており、例えば、各新設道路を特定するための新設道路情報、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、道路(リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOI(Pointof Interest)に関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。
【0017】
また、リンクデータとしては、道路を構成する各リンクに関してリンクを特定するリンクID、リンクの長さを示すリンク長、リンクの始点と終点の座標位置(例えば、緯度と経度である。)、中央分離帯の有無、リンクの属する道路の幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、車線数の減少する箇所、幅員の狭くなる箇所、踏切り等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、国道、県道、細街路等の一般道のほか、高速自動車国道、都市高速道路、一般有料道路、有料橋等の有料道路を表すデータがそれぞれ記録される。
【0018】
また、店舗データとしては、各地域のコンビニエンスストア、ホテル、病院、ガソリンスタンド、駐車場、駅、空港、フェリー乗り場等のPOIに関するデータ(例えば、ジャンル、電話番号、座標位置(例えば、緯度と経度である。)、名称等である。)がPOIを特定するIDとともに記憶されている。また、地図情報DB25の内容は、不図示の地図情報配信センタから通信装置17を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
【0019】
また、中央分離帯DB27には、後述のように中央分離帯を横切って立ち寄った対向車線側の店舗等のPOIに関する施設情報と、当該中央分離帯を横切った位置に関する位置情報とを自車両の走行車線のリンクIDに対応させて記憶する右折可能施設テーブル51(図4参照)が格納されている。
【0020】
また、図1に示すように、ナビゲーション装置1を構成するナビゲーション制御部13は、ナビゲーション装置1の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述の中央分離帯を横切って立ち寄った対向車線側の店舗等のPOIに関する施設情報と、当該中央分離帯を横切った位置に関する位置情報とを走行リンクに対応させて記憶する右折可能施設登録処理のプログラム(図2参照)等が記憶されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置や、時間を計測するタイマ45等を備えている。
【0021】
更に、前記ナビゲーション制御部13には、操作部14、液晶ディスプレイ15、スピーカ16、通信装置17、タッチパネル18の各周辺装置(アクチュエータ)が電気的に接続されている。
【0022】
この操作部14は、走行開始時の現在地を修正し、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際や施設に関する情報の検索を行う場合等に操作され、各種のキーや複数の操作スイッチから構成される。そして、ナビゲーション制御部13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。
【0023】
また、液晶ディスプレイ15には、現在走行中の地図情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの推奨経路、推奨経路に沿った案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。
【0024】
また、スピーカ16は、ナビゲーション制御部13からの指示に基づいて、推奨経路に沿った走行を案内する音声ガイダンス等を出力する。ここで、案内される音声ガイダンスとしては、例えば、「200m先、○○交差点を右方向です。」等がある。
【0025】
また、通信装置17は、地図情報配信センタと通信を行う携帯電話網等による通信手段であり、地図情報配信センタとの間で最もバージョンの新しい更新地図情報等の送受信を行う。また、通信装置17は地図情報配信センタに加えて、道路交通情報センタ等から送信された渋滞情報やサービスエリアの混雑状況等の各情報から成る交通情報を受信する。
【0026】
また、タッチパネル18は、液晶ディスプレイ15の表面部に装着された透明なパネル状のタッチスイッチであり、液晶ディスプレイ15の画面に表示されたボタンや地図上を押下することによって各種指示コマンドを入力することが可能に構成されている。
【0027】
[右折可能施設登録処理]
次に、上記のように構成されたナビゲーション装置1のCPU41が実行する処理であって、中央分離帯を横切って立ち寄った対向車線側の店舗等の施設(POI)に関する施設情報と、当該中央分離帯を横切った位置に関する位置情報とを走行リンクに対応させて記憶する右折可能施設登録処理について図2に基づいて説明する。尚、左側通行について説明するが、右側通行の場合は以下の説明における左右が逆になる。
【0028】
図2は本実施例に係るナビゲーション装置1のCPU41が実行する処理であって、中央分離帯を横切って立ち寄り可能な対向車線側の施設(POI)に関する施設情報を記憶する右折可能施設登録処理を示すフローチャートである。
【0029】
尚、図2にフローチャートで示されるプログラムはナビゲーション装置1のナビゲーション制御部13が備えているROM43に記憶されており、CPU41により一定時間毎(例えば、10msec〜100msec毎)に実行される。
【0030】
図2に示すように、先ず、ステップ(以下、Sと略記する)11において、CPU41は、現在地検出処理部11の検出結果に基づいて自車の現在位置(以下、「自車位置」という。)及び自車の向きを表す自車方位を検出して、当該自車位置(例えば、緯度と経度である。)と自車方位をRAM42に記憶する。そして、CPU41は、ナビ地図情報26から自車両が現在走行しているリンクを特定して、当該リンクに関するリンクIDや中央分離帯の有無等のリンクデータを読み出し、RAM42に記憶する。また、CPU41は、当該リンクデータに含まれる「中央分離帯の有無」のデータから自車両が中央分離帯のあるリンクを走行しているか否かを判定する判定処理を実行する。
【0031】
そして、自車両が中央分離帯の無いリンクを走行していると判定した場合には(S11:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。
一方、自車両が中央分離帯の有るリンクを走行していると判定した場合には(S11:YES)、CPU41は、S12の処理移行する。S12において、CPU41は、方位センサ32により検出された自車両の舵角や旋回角と車速センサ21により検出された自車両の速度等から右折を開始したか否かを判定する判定処理を実行する。具体的には、CPU41は、所定速度以下(例えば、約4km/h以下である。)に減速して、自車方位が右側方向に約90度回転した後、走行を開始したか否かを判定する。
【0032】
そして、右折を開始していない場合には(S12:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。
一方、右折を開始した場合には(S12:YES)、CPU41は、現在地検出処理部11の検出結果に基づいて自車位置を検出し、自車両が走行しているリンクの右折地点の座標位置(位置情報)としてRAM42に記憶する。また同時に、CPU41は、ナビ地図情報26から当該右折地点が存在するリンクのリンクIDを読み出し、この右折地点の座標位置に対応させてRAM42に記憶する。
【0033】
続いて、S14において、CPU41は、右折後、対向車線側の施設(POI)に入ったか否か、つまり、中央分離帯を横切って対向車線側のガソリンスタンドやコンビニエンスストア等の施設(POI)に入ったか否かを判定する判定処理を実行する。具体的には、CPU41は、右折開始後、所定時間以内に(例えば、約1分以内である。)駐車し、且つ、現在地検出処理部11の検出結果に基づいて検出した当該駐車位置に、ナビ地図情報26からガソリンスタンドやコンビニエンスストア等の施設(POI)が有るか否かを判定する判定処理を実行する。
【0034】
そして、右折後、対向車線側のガソリンスタンドやコンビニエンスストア等の施設(POI)に入っていない場合には(S14:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。
一方、右折後、ガソリンスタンドやコンビニエンスストア等の対向車線側の施設(POI)に入った場合には(S14:YES)、CPU41は、S15の処理に移行する。S15において、CPU41は、右折後、対向車線を逆走してガソリンスタンドやコンビニエンスストア等の施設(POI)に入ったか否かを判定する判定処理を実行する。具体的には、CPU41は、現在地検出処理部11の検出結果に基づいて検出した当該駐車位置が、RAM42から読み出した右折地点の座標位置よりも対向車線のリンクに沿って始点側方向に有るか否かを判定する判定処理を実行する。
【0035】
そして、右折後、対向車線を逆走してガソリンスタンドやコンビニエンスストア等の施設(POI)に入ったと判定した場合、つまり、当該駐車位置が、RAM42から読み出した右折地点の座標位置よりも対向車線のリンクに沿って始点側方向に有る場合には(S15:YES)、CPU41は、当該処理を終了する。
【0036】
一方、右折後、対向車線を逆走しないでガソリンスタンドやコンビニエンスストア等の施設(POI)に入ったと判定した場合、つまり、当該駐車位置が、RAM42から読み出した右折地点の座標位置の真向かい、若しくは、対向車線のリンクに沿って終点側方向に有る場合には(S15:YES)、CPU41は、S16の処理に移行する。
【0037】
S16において、現在地検出処理部11の検出結果に基づいて検出した当該駐車位置にあるガソリンスタンドやコンビニエンスストア等の施設(POI)に関する店舗データ(例えば、ジャンル、電話番号、座標位置(例えば、緯度と経度である。)、名称、施設(POI)を特定するID等である。)をナビ地図情報26から読み出し、右折可能な施設(POI)データ(施設情報)としてRAM42に記憶する。
【0038】
続いて、S17において、CPU41は、駐車していた施設(POI)から出た後、すぐに中央分離帯を横切って走行していた元の経路に復帰したか否かを判定する判定処理を実行する。具体的には、CPU41は、駐車していた施設(POI)を出てから所定時間経過後に(例えば、約1分後〜2分後である。)自車位置を検出し、ナビ地図情報26から上記S13で記憶した右折地点の座標位置を通るリンク上、若しくは、そのリンクが存在する車線上に位置しているか否かを判定する判定処理を実行する。
【0039】
そして、駐車していた施設(POI)から出た後、すぐに中央分離帯を横切って走行していた元の経路に復帰していない場合には(S17:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。つまり、駐車していた施設(POI)を出てから所定時間経過後に(例えば、約1分後〜2分後である。)、上記S13で記憶した右折地点の座標位置を通るリンク上、若しくは、そのリンクが存在する車線上に位置していない場合には(S17:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。
【0040】
一方、駐車していた施設(POI)から出た後、すぐに中央分離帯を横切って走行していた元の経路に復帰している場合には(S17:YES)、CPU41は、S18の処理に移行する。つまり、駐車していた施設(POI)を出てから所定時間経過後に(例えば、約1分後〜2分後である。)、上記S13で記憶した右折地点の座標位置を通るリンク上、若しくは、そのリンクが存在する車線上に位置している場合には(S17:NO)、CPU41は、S18の処理に移行する。
【0041】
S18において、CPU41は、上記S13で記憶した右折地点の座標位置及びリンクIDと、上記S16で記憶した右折可能な施設(POI)データとをRAM42から読み出し、中央分離帯DB27に格納された右折可能施設テーブル51(図4参照)に追加記憶後、当該処理を終了する。尚、上記S13で記憶した右折地点の座標位置及びリンクIDと、上記S16で記憶した右折可能な施設(POI)データとが、右折可能施設テーブル51に既に記憶されている場合には、CPU41は、当該データを上書き記憶する。
【0042】
ここで、中央分離帯DB27に格納された右折可能施設テーブル51の一例について図3及び図4に基づいて説明する。
図3は右折可能施設テーブル51の一例を示す図である。図4は中央分離帯のある車線で右折して対向車線側の施設に進入した後、当該施設からすぐに元の経路に復帰した一例を示す図である。
【0043】
図3に示すように、右折可能施設テーブル51は、中央分離帯の有るリンクを特定する「リンクID」と、この「リンクID」で特定されるリンク上の中央分離帯を横切って右折可能な位置(例えば、緯度と経度である。)を表す「右折可能位置の座標」と、この右折可能な位置から進入できる施設(POI)、つまり、立ち寄り可能な施設(POI)を表す「右折可能な施設」とから構成されている。
【0044】
そして、図3及び図4に示すように、例えば、自車両がリンク#10上の座標(X1,Y1)で中央分離帯52を横切って右折して、施設(POI)61に進入後、再度、リンク#10に復帰した場合には、CPU41は、上記S18において、この「リンク#10」を右折可能施設テーブル51の「リンクID」に記憶し、座標(X1,Y1)を右折可能施設テーブル51の「右折可能位置の座標」に記憶する。また、CPU41は、上記S18において、施設(POI)61である店舗Aに関する店舗データを右折可能施設テーブル51の「右折可能な施設データ」に記憶する。
【0045】
また同様に、図3及び図4に示すように、例えば、自車両がリンク#10上の座標(X2,Y2)で中央分離帯52を横切って右折して、施設(POI)62に進入後、再度、リンク#10に復帰した場合には、CPU41は、上記S18において、この「リンク#10」を右折可能施設テーブル51の「リンクID」に記憶し、座標(X2,Y2)を右折可能施設テーブル51の「右折可能位置の座標」に記憶する。また、CPU41は、上記S18において、施設(POI)62である店舗Bに関する店舗データを右折可能施設テーブル51の「右折可能な施設データ」に記憶する。
【0046】
また同様に、図3及び図4に示すように、例えば、自車両がリンク#12上の座標(X3,Y3)で中央分離帯52を横切って右折して、施設(POI)63に進入後、再度、リンク#12に復帰した場合には、CPU41は、上記S18において、この「リンク#12」を右折可能施設テーブル51の「リンクID」に記憶し、座標(X3,Y3)を右折可能施設テーブル51の「右折可能位置の座標」に記憶する。また、CPU41は、上記S18において、施設(POI)63である店舗Cに関する店舗データを右折可能施設テーブル51の「右折可能な施設データ」に記憶する。
【0047】
[施設検索処理]
次に、上記のように構成されたナビゲーション装置1のCPU41が実行する処理であって、経路沿いの立ち寄り可能な施設を検索して液晶ディスプレイ15の地図上に表示する施設検索処理について図5に基づいて説明する。図5は本実施例に係るナビゲーション装置1のCPU41が実行する処理であって、経路沿いの立ち寄り可能な施設を検索して液晶ディスプレイ15の地図上に表示する施設検索処理を示すフローチャートである。
【0048】
図5に示すように、S111において、CPU41は、現在地検出処理部11の検出結果に基づいて自車位置を検出し、当該自車位置を中心とする所定範囲内に(例えば、自車位置を中心とする約10km四方の範囲内である。)存在するガソリンスタンドやコンビニエンスストア等の施設(POI)に関する店舗データをナビ地図情報26から読み出し、RAM42に記憶する。
【0049】
そして、S112において、CPU41は、現在地検出処理部11の検出結果に基づいて自車位置を再度検出し、ナビ地図情報26から自車両が現在走行しているリンクを特定する。そして、CPU41は、液晶ディスプレイ15に表示されている地図上の当該リンクが存在する車線上又は推奨経路上の全リンクのリンクデータをナビ地図情報26から読み出し、RAM42に記憶する。
【0050】
その後、CPU41は、当該リンクが存在する車線上又は推奨経路上の各リンクの始点と終点の座標位置をRAM42から順次読み出し、当該各リンクに沿って存在するガソリンスタンドやコンビニエンスストア等の施設(POI)に関する店舗データだけを、上記S111でRAM42に記憶した施設(POI)に関する店舗データから抽出して、経路沿いの施設(POI)に関する店舗データとしてRAM42に記憶する。
【0051】
続いて、S113において、CPU41は、上記S112でRAM42に記憶した当該リンクが存在する車線上又は推奨経路上の各リンクのリンクデータを順次読み出し、中央分離帯を有する各リンクを順次抽出する。そして、CPU41は、この中央分離帯を有する各リンクの対向車線側のリンク、つまり、右側の車線側のリンクの始点と終点の座標位置をRAM42から順次読み出し、当該各リンクに沿って存在するガソリンスタンドやコンビニエンスストア等の施設(POI)に関する店舗データだけを、上記S112でRAM42に記憶した経路沿いの施設(POI)に関する店舗データから削除する。つまり、上記S112でRAM42に記憶した経路沿いの施設(POI)に関する店舗データから中央分離帯を横切って進入する必要がある施設(POI)に関する店舗データだけを削除する。
【0052】
そして、S114において、CPU41は、上記S112でRAM42に記憶した当該リンクが存在する車線上又は推奨経路上の各リンクのリンクデータを順次読み出し、中央分離帯を有する各リンクのリンクIDを順次抽出し、このリンクIDが中央分離帯DB27に格納される右折可能施設テーブル51の「リンクID」に記憶されているか否かを判定する。そして、リンクIDが右折可能施設テーブル51の「リンクID」に記憶されている場合には、このリンクIDに対応する「右折可能な施設」に記憶されている店舗データを読み出し、経路沿いの施設(POI)に関する店舗データとしてRAM42に追加記憶する。
【0053】
その後、S115において、CPU41は、経路沿いの施設(POI)に関する店舗データとしてRAM42に記憶されている各店舗データを読み出し、液晶ディスプレイ15に表示されている地図上の自車両が存在する車線又は推奨経路に沿って、立ち寄り可能な施設(POI)として表示後、当該処理を終了する。
【0054】
[上記実施例の効果]
以上詳細に説明した通り、本実施例に係るナビゲーション装置1では、自車両が中央分離帯のあるリンクを走行している際に、右折して中央分離帯を横切り、対向車線側の施設(POI)に進入した場合、つまり、立ち寄った場合には、CPU41は、右折したリンクのリンクIDと、右折地点の座標と、進入した施設(POI)に関する店舗データとをRAM42に記憶する。そして、自車両が当該施設(POI)を出た後、すぐに中央分離帯を横切って元の経路に戻った場合には、CPU41は、右折地点の座標位置及びリンクIDと、進入した施設(POI)に関する店舗データとを右折可能施設テーブル51に記憶する。
【0055】
これにより、CPU41は、中央分離帯がある経路上において、右折可能テーブル52から自車両の走行車線の各リンクのリンクIDに対応する「右折可能地点の座標」と右折可能な施設」との各データを読み出すことによって、中央分離帯を横切って簡単に立ち寄ることが可能な施設(POI)に関する店舗データと、その施設(POI)に立ち寄ることが可能な右折地点の座標データとを確実に検索して取得することが可能となる。
【0056】
また、自車両が中央分離帯を横切った後、対向車線を逆走して施設(POI)に進入した場合、つまり、立ち寄った場合には、CPU41は、右折地点の座標位置及びリンクIDと、進入した施設(POI)に関する店舗データとを右折可能施設テーブル51に記憶しないため、中央分離帯を横切った後、安全に立ち寄ることが可能な施設(POI)だけを右折可能施設テーブル51に記憶することが可能となる。
【0057】
また、CPU41は、自車両が現在走行している車線沿い又は推奨経路沿いの施設のうちで、中央分離帯がある経路上においては、自車両の走行車線沿いにある施設(POI)の店舗データと、右折可能施設テーブル51から読み出した中央分離帯を横切って簡単に立ち寄ることが可能な施設(POI)の店舗データとだけを抽出して、液晶ディスプレイ15に表示されている自車両周辺の地図上に表示することが可能となる。これにより、ユーザは中央分離帯がある経路上においても、簡単に立ち寄ることが可能な施設(POI)を容易に選択することが可能となる。
【0058】
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
【0059】
例えば、上記S18において、CPU41は、上記S13で記憶した右折地点の座標位置及びリンクIDと、上記S16で記憶した右折可能な施設(POI)データとをRAM42から読み出し、通信装置17を介して不図示の地図情報配信センタへ送信するようにしてもよい。
【0060】
また、右折地点の座標位置及びリンクIDと、右折可能な施設(POI)データとをナビゲーション装置1から受信した地図情報配信センタは、右折可能施設テーブル52を作成して、順次記憶するようにしてもよい。そして、ナビゲーション装置1から右折可能施設テーブル52を送信するように要求する要求コマンドを受信した場合には、地図情報配信センタは、右折可能施設テーブル52に記憶されている各データを当該ナビゲーション装置1へ送信するように構成してもよい。また、ナビゲーション装置1のCPU41は、受信した右折可能施設テーブル52の各データを中央分離帯DB27に記憶して、右折可能施設テーブル52を更新するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本実施例に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図2】本実施例に係るナビゲーション装置のCPUが実行する処理であって、中央分離帯を横切って立ち寄り可能な対向車線側の施設(POI)に関する施設情報を記憶する右折可能施設登録処理を示すフローチャートである。
【図3】右折可能施設テーブルの一例を示す図である。
【図4】中央分離帯のある車線で右折して対向車線側の施設に進入した後、当該施設からすぐに元の経路に復帰した一例を示す図である。
【図5】本実施例に係るナビゲーション装置のCPUが実行する処理であって、経路沿いの立ち寄り可能な施設を検索して液晶ディスプレイの地図上に表示する施設検索処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0062】
1 ナビゲーション装置
11 現在地検出処理部
12 データ記録部
13 ナビゲーション制御部
14 操作部
15 液晶ディスプレイ
25 地図情報DB
27 中央分離帯DB
41 CPU
42 RAM
43 ROM
51 右折可能施設テーブル
52 中央分離帯
61〜63 施設(POI)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車位置を検出する自車位置検出手段と、
地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
前記自車位置と前記地図情報とに基づいて自車両の走行道路に中央分離帯があるか否かを判定する中央分離帯判定手段と、
前記中央分離帯判定手段を介して自車両の走行道路に中央分離帯があると判定した場合には、自車両の走行車線から該中央分離帯を横切って対向車線側の施設に進入したか否かを判定する進入判定手段と、
前記進入判定手段を介して自車両の走行車線から前記中央分離帯を横切って対向車線側の施設に進入したと判定した場合には、前記自車位置と前記地図情報とに基づいて該中央分離帯を横切った位置に関する位置情報と該施設に関する施設情報とを取得する情報取得手段と、
前記施設を出た後前記中央分離帯を再度横切って前記自車両の走行車線に戻ったか否かを判定する復帰判定手段と、
前記復帰判定手段を介して前記施設を出た後前記中央分離帯を再度横切って前記自車両の走行車線に戻ったと判定した場合には、前記位置情報と前記施設情報とを中央分離帯情報として該走行車線に対応付けて記憶する中央分離帯情報記憶手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記進入判定手段を介して自車両の走行車線から前記中央分離帯を横切って対向車線側の施設に進入したと判定した場合に、該対向車線を逆走して前記施設に進入したか否かを判定する逆走判定手段を備え、
前記中央分離帯情報記憶手段は、前記逆走判定手段を介して対向車線を逆走して前記施設に進入したと判定した場合には、前記中央分離帯情報を記憶しないことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
自車両周辺の地図を表示する表示手段と、
前記自車位置と前記地図情報とに基づいて自車両周辺の施設を検索して自車両の走行道路沿いの施設を抽出する施設抽出手段と、
前記中央分離帯判定手段を介して自車両の走行道路に中央分離帯があると判定した場合には、前記施設抽出手段を介して抽出した施設から該中央分離帯を挟んで対向車線沿いにある施設だけを削除した施設を表示対象施設として設定すると共に、前記中央分離帯情報記憶手段から自車両の走行車線に対応付けられた前記中央分離帯情報を読み出して該中央分離帯情報に関する施設を前記表示対象施設に追加設定する表示施設設定手段と、
前記表示施設設定手段によって設定された前記表示対象施設を前記表示手段によって表示されている地図上に表示するように制御する表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−122200(P2010−122200A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298878(P2008−298878)
【出願日】平成20年11月24日(2008.11.24)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】