説明

ハイブリッド車両

【課題】 エンジンの温度が低いときであってもエンストを起こさずに暖機運転を極力短時間で行えるようにしながら、アイドル発電制御を実行するときに、バッテリーの電力を消費する状態になったり、クリープ速度が不必要に高くなる等の不利のない状態で適正に制御を実行することが可能となるハイブリッド車両を提供する。
【解決手段】 通常アイドル制御を実行するときは、アイドル運転用目標回転速度に基づいて制御を実行し、アイドル発電制御を実行するときは、エンジンの温度が低温側領域の温度であれば、アイドル運転用目標回転速度よりも低回転となる発電用のアイドル運転用目標回転速度に基づいてアイドル発電制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン及び電動モータを動力源として備えて走行装置を駆動する駆動手段と、車両各部の作動を制御する制御手段とが備えられ、前記電動モータが、前記エンジンに対してトルクアシストを行う力行作動、及び、前記エンジンの動力により発電を行う回生作動を実行可能なように前記エンジンに連動連係される状態で設けられ、前記制御手段が、アイドル運転時において前記電動モータによる前記回生作動を実行しないときは、前記エンジンの回転速度をアイドル運転用目標回転速度にするように前記エンジンの出力を調整する通常アイドル制御を実行するように構成され、且つ、 アイドル運転時において前記電動モータによる回生作動を実行するときは、前記エンジンの出力を、アイドル運転用調整範囲の上限を越えない状態で、アイドル運転用目標回転速度に相当する出力よりも大きい出力にするように調整し、且つ、前記エンジンの回転速度をアイドル運転用目標回転速度にするように前記電動モータの回生量を調整するアイドル発電制御を実行するように構成されているハイブリッド車両に関する。
【背景技術】
【0002】
上記構成のハイブリッド車両において、従来では、前記通常アイドル制御を実行する場合、及び、前記アイドル発電制御を実行する場合のいずれの場合においても、前記アイドル運転用目標回転速度として同じ値が用いられる構成となっており、前記アイドル運転用目標回転速度は、エンジンの温度が低いときは温度が高いときに比べて高回転となる状態で設定される構成となっていた。すなわち、前記エンジンの温度を検出する温度検出手段が備えられ、この温度検出手段にて検出されるエンジンの温度とそのエンジンの温度に対する前記アイドル運転用目標回転速度との相関関係を決めるマップデータが、エンジンの温度が低いときは温度が高いときに比べて高回転となるように設定されて記憶されており、前記温度検出手段の検出値とこのマップデータとからそのときのエンジンの温度に対応するアイドル運転用目標回転速度を求めて設定する構成となっており、前記通常アイドル制御を実行する場合、及び、前記アイドル発電制御を実行する場合のいずれの場合においても、上述したように求めた同じアイドル運転用目標回転速度を用いて制御を実行する構成となっていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−223140号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来構成においては、エンジンの温度が低いときは温度が高いときに比べて高回転となるように前記アイドル運転用目標回転速度が設定される構成となっており、例えば寒冷地等においてエンジンの温度が非常に低い場合には、通常アイドル制御を実行するときにおけるアイドル運転用目標回転速度はかなり高い回転速度が設定されることになる。特に、上記従来構成を低排気量のエンジンを搭載した車両に適用した場合には、エンジンの温度が例えばマイナス10℃以下となるような非常に低い温度では、アイドル運転用目標回転速度が1800〜2000rpm程度の非常に高い回転速度に設定されることになる。このようにエンジンの温度が低い場合にアイドル運転用目標回転速度を高くするのは、寒冷地等においてエンジンを始動させるような場合に、エンストを起こさないようにしながら暖機運転を極力短時間で行えるようにするためである。
【0005】
そして、上記従来構成では、前記アイドル発電制御を実行するときのアイドル運転用目標回転速度は前記通常アイドル制御を実行するときのアイドル運転用目標回転速度と同じ値に設定されるので、エンジンの温度が低い場合にはアイドル運転用目標回転速度として高い回転速度が設定され、アイドル発電制御を実行するときにも、このように高い回転速度に設定されたアイドル運転用目標回転速度に基づいて制御を実行する構成となっているから、次のような不利があった。
【0006】
すなわち、前記アイドル発電制御を実行するときには、エンジンの出力をアイドル運転用目標回転速度に相当する出力よりも大きい出力にするように調整して、エンジンの回転速度をアイドル運転用目標回転速度にするように電動モータの回生量を調整するのであるが、例えば低排気量のエンジンを搭載した車両では、エンジンの温度が低い場合には、上述したようにアイドル運転用目標回転速度が1800〜2000rpm程度の非常高い回転速度に設定され、そして、エンジンの出力がそのような高いアイドル運転用目標回転速度に相当する出力よりも更に大きい出力となるように出力調整されることになり、エンジン回転速度をアイドル運転用目標回転速度にするように電動モータの回生量が調整される。
【0007】
ところで、上記したようなアイドル発電制御を実行するときに、エンジンの出力をアイドル運転用目標回転速度に相当する出力よりも大きい出力にするように調整する場合において、エンジンの出力が予め設定されているアイドル運転用調整範囲の上限を越えないことを条件として出力調整を行う必要がある。このようなアイドル運転用調整範囲を設定するのは、アイドル運転時において、エンジン出力を無制限に大きな値に調整することは走行安全上好ましくないので、エンジンの出力をアイドル運転用調整範囲に制限するようになっている。
【0008】
その結果、上記したように、アイドル発電制御を実行するときにエンジンの出力の増大側の上限値を定める構成においては、エンジンの温度が低いときにアイドル発電制御を実行する場合において次のような不利があった。
すなわち、エンジンの温度が低いときには上述した如くアイドル運転用目標回転速度が非常に高い回転速度に設定されていると、アイドル運転用目標回転速度に相当するエンジンの出力と前記アイドル運転用調整範囲の上限値との間の差(余裕代)が少ないものになることがある。そこで、エンジンの出力をアイドル運転用目標回転速度に相当するエンジンの出力よりも大きい出力にするように調整しているときに、車両に備えられる補助機器の動力負荷がエンジンに加わると、エンジンの出力が不足してエンジンの出力だけではエンジンの回転速度をアイドル運転用目標回転速度に維持することができないような状況になるおそれがある。このとき、電動モータは回生作動ではなく力行作動を行うことによってエンジンの回転速度をアイドル運転用目標回転速度に維持しようとする。その結果、電動モータが力行するので、バッテリーを充電したいにもかかわらず、電動モータが発電するのではなくバッテリーの電力を消費してしまうことになる。
【0009】
又、上記従来構成においては、次のような不利もあった。
すなわち、従来構成では、エンジンの温度が低い場合には、アイドル運転用目標回転速度が1800〜2000rpm程度の非常高い回転速度に設定され、しかも、エンジンの出力をアイドル運転用目標回転速度に相当する出力よりも大きい出力にするように調整して、エンジンの回転速度をアイドル運転用目標回転速度にするように電動モータの回生量を調整するものであるから、エンジンの回転速度が非常に高く、しかも、大きい出力に調整されることになり、例えば、トルクコンバータを備えたオートマチック車等においてはクリープ速度が必要以上に大になってしまい、走行安全性を確保し難いものになる不利もあった。
【0010】
ところで、上記したような不利を回避するための方法として、エンジンの温度が低いときには前記アイドル発電制御の実行を禁止して、エンジンの温度が上昇して前記アイドル運転用目標回転速度が上述したような不利の生じ難い低い回転速度として求められる状態になった後に、前記アイドル発電制御の実行を許可するように制御する構成とすることも考えられるが、この構成では、バッテリーの充電状態が過放電状態となってエンジンの暖機運転よりも直ちにバッテリーへの充電を行う必要がある場合には対処できないものとなり、バッテリーの充電が行えずに電動モータの作動が不可能な状態に陥るおそれもあるから採用できないものであった。
【0011】
本発明の目的は、通常アイドル制御を実行するときは、エンジンの温度が低いときであってもエンストを起こさずに暖機運転を極力短時間で行え、しかも、アイドル発電制御を実行するときは、エンジンの温度が低いときであっても、バッテリーの電力を消費する状態になったり、オートマチック車においてクリープ速度が不必要に高くなる等の不利のない状態で適正に制御を実行することが可能となるハイブリッド車両を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1特徴構成は、エンジン及び電動モータを動力源として備えて走行装置を駆動する駆動手段と、車両各部の作動を制御する制御手段とが備えられ、前記電動モータが、前記エンジンに対してトルクアシストを行う力行作動、及び、前記エンジンの動力により発電を行う回生作動を実行可能なように前記エンジンに連動連係される状態で設けられ、前記制御手段が、アイドル運転時において前記電動モータによる前記回生作動を実行しないときは、前記エンジンの回転速度をアイドル運転用目標回転速度にするように前記エンジンの出力を調整する通常アイドル制御を実行するように構成され、且つ、アイドル運転時において前記電動モータによる回生作動を実行するときは、前記エンジンの出力を、アイドル運転用調整範囲の上限を越えない状態で、アイドル運転用目標回転速度に相当する出力よりも大きい出力にするように調整し、且つ、前記エンジンの回転速度をアイドル運転用目標回転速度にするように前記電動モータの回生量を調整するアイドル発電制御を実行するように構成されているハイブリッド車両であって、前記制御手段が、前記通常アイドル制御を実行するときは、前記エンジンの温度を検出する温度検出手段の検出情報に基づいて、前記エンジンの温度が低いときは温度が高いときに比べて高回転となる状態で前記アイドル運転用目標回転速度を求めて、その求めたアイドル運転用目標回転速度に基づいて前記通常アイドル制御を実行するように構成され、且つ、前記アイドル発電制御を実行するときは、前記温度検出手段にて検出される前記エンジンの温度が高温側領域の温度であれば、前記温度検出手段の検出情報に基づいて前記通常アイドル制御を実行するときにおけるアイドル運転用目標回転速度と同じ値となる発電用のアイドル運転用目標回転速度を求め、前記温度検出手段にて検出される前記エンジンの温度が低温側領域の温度であれば、前記温度検出手段の検出情報に基づいて前記エンジンの温度が低いときは温度が高いときに比べて高回転となる形態で且つ前記通常アイドル制御を実行するときに求められるアイドル運転用目標回転速度よりも低回転となる形態で発電用のアイドル運転用目標回転速度を求めて、前記発電用のアイドル運転用目標回転速度に基づいて前記アイドル発電制御を実行するように構成されている点にある。
【0013】
第1特徴構成によれば、前記制御手段が、前記通常アイドル制御を実行するときには、エンジンの温度を検出する温度検出手段の検出情報に基づいて、エンジンの温度が低いときは温度が高いときに比べて高回転となる状態でアイドル運転用目標回転速度を求めることになる。そして、エンジンの回転速度をその求めたアイドル運転用目標回転速度にするようにエンジンの出力を調整する。このようにエンジンの温度が低いときはエンジンの回転速度が高回転となる状態となるから、例えば寒冷地等においてエンジンを始動させるような場合等であっても、エンストを起こさないようにしながら暖機運転を極力短時間で行うことが可能となる。
【0014】
前記アイドル発電制御を実行するときは、温度検出手段にて検出されるエンジンの温度が高温側領域の温度であれば、温度検出手段の検出情報に基づいて通常アイドル制御を実行するときにおけるアイドル運転用目標回転速度と同じ値となる発電用のアイドル運転用目標回転速度を求めて、その求めた発電用のアイドル運転用目標回転速度に基づいてアイドル発電制御を実行する。そして、温度検出手段にて検出されるエンジンの温度が低温側領域の温度であれば、温度検出手段の検出情報に基づいてエンジンの温度が低いときは温度が高いときに比べて高回転となる形態で且つ通常アイドル制御を実行するときに求められるアイドル運転用目標回転速度よりも低回転となる形態で発電用のアイドル運転用目標回転速度を求めて、その求めた発電用のアイドル運転用目標回転速度に基づいてアイドル発電制御を実行することになる。
【0015】
説明を加えると、エンジンの温度が高温側領域の温度であれば、通常アイドル制御を実行するときにおけるアイドル運転用目標回転速度と同じ値となる発電用のアイドル運転用目標回転速度を求めて、その求めた発電用のアイドル運転用目標回転速度に基づいてアイドル発電制御を実行するのであるが、このとき、アイドル運転用目標回転速度は低回転であるから、電動モータがバッテリーの電力を消費する状態になったり、オートマチック車においてクリープ速度が不必要に高くなる等の不利のない状態で適正にアイドル発電制御を実行することができる。
【0016】
そして、エンジンの温度が低温側領域の温度であれば、通常アイドル制御を実行するときに求められるアイドル運転用目標回転速度よりも低回転となる形態で発電用のアイドル運転用目標回転速度を求めて、エンジンの出力をその求めたアイドル運転用目標回転速度に相当する出力よりも大きい出力にするように調整し、且つ、エンジンの回転速度を求めたアイドル運転用目標回転速度にするように電動モータの回生量を調整するのである。
【0017】
このように、エンジンの温度が低いときには、通常アイドル制御を実行するときに求められるアイドル運転用目標回転速度よりも低回転となる発電用のアイドル運転用目標回転速度に基づいてアイドル発電制御を実行するようにしたので、アイドル運転用目標回転速度に相当するエンジンの出力と前記アイドル運転用調整範囲の上限値との間の差(余裕代)が大きなものとなり、エンジンの出力をアイドル運転用目標回転速度に相当するエンジンの出力よりも大きい出力にするように調整しているときに、車両に備えられる補助機器の動力負荷がエンジンに加わることがあっても、エンジンの出力だけで回転速度をアイドル運転用目標回転速度に維持することができないような状況に陥ることを回避することができ、例えば電動モータがバッテリーの電力を消費する状態になったり、オートマチック車においてクリープ速度が不必要に高くなる等の不利のない状態で適正にアイドル発電制御を実行することが可能となるのである。
【0018】
従って、通常アイドル制御を実行するときは、エンジンの温度が低いときであってもエンストを起こさずに暖機運転を極力短時間で行え、しかも、アイドル発電制御を実行するときは、エンジンの温度が低いときであっても、バッテリーの電力を消費する状態になったり、オートマチック車においてクリープ速度が不必要に高くなる等の不利のない状態で適正に制御を実行することが可能となるハイブリッド車両を提供できるに至った。
【0019】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記制御手段が、前記アイドル発電制御を実行するときは、前記電動モータによる回生量が前進走行用の運転モードにおける電力消費量と同じか又はそれよりも多い回生量を得ることが可能となる形態で前記発電用のアイドル運転用目標回転速度を求めるように構成されている点にある。
【0020】
第2特徴構成によれば、前記アイドル発電制御を実行するときに、発電用のアイドル運転用目標回転速度が、電動モータによる回生量が前進走行用の運転モードにおける電力消費量と同じか又はそれよりも多い回生量を得ることが可能となる回転速度であることから、例えば、アイドル発電制御を実行しているときに運転者が運転モードを走行中立状態から前進走行用の運転モードに切り換えたような場合であっても、電動モータによる回生量が電力消費量よりも下回って放電状態に陥ることを適切に回避することができ、請求項1を実施するのに好適な手段が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係るハイブリッド車両の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に、本発明に係るハイブリッド車両の概略構成図を示している。このハイブリッド車両は、エンジン1と走行駆動用電動モータ2(以下、走行用モータと略称する)とが一体回転するように直結されている。つまり、エンジン1の出力軸1aに直結される状態で走行用モータ2を備えて、これらの動力により走行装置としての左右の車輪3を駆動して走行するように駆動手段としての駆動ユニットKUが構成されている。前記走行用モータ2は、エンジン1の出力軸1aにロータ2aが同一軸芯で一体回動するように連結され、そのロータ2aの外周部を囲うステータ2bが位置固定状態で図示しない車体支持部に支持される構成となっている。
【0022】
そして、この走行用モータ2は、エンジン1の作動が停止している状態においてその出力軸1aに対して駆動力を与えてエンジン1を始動させるように構成され、且つ、エンジン1が始動した後は、出力軸1aに対してエンジン回転方向と同方向の駆動力を与えてアシストを行う力行状態と、前記出力軸1aから駆動力が与えられて発電する回生状態とに切り換え可能に構成されている。つまり、走行用モータ2がエンジン1にて回転駆動される出力軸1aに対してその回転方向と同一方向にトルクを出力させる力行状態に切り換えることで、所望の走行駆動力を出力しながらエンジン1が低燃費状態となるように、エンジン1の出力に対するアシストを行うことができる構成となっている。この状態が力行作動に対応する。又、走行速度を減速させているときや定速走行しているとき、あるいは、走行しているときに限らず、走行を停止してアイドル運転を行っているとき等において、エンジン1の出力軸1aから駆動力が与えられて発電して得られた回生電力をバッテリー4に充電することができる構成となっている。この状態が回生作動に対応する。
【0023】
そして、前記駆動ユニットKUの動力は、トルクコンバータ5を介してトランスミッション6に伝えられ、このトランスミッション6内部のギア式の自動変速機構により変速された後に差動機構7を介して左右の車輪3に伝えられる構成となっている。つまり、この車両はトルクコンバータを備えたオートマチック車として構成されている。
【0024】
次に、このハイブリッド車両における制御構成について説明する。
図1及び図2に示すように、車両全体の運転状態を管理する車両制御部8、この車両制御部8からの制御情報に基づいて走行用モータ2の動作を制御するモータ制御部9、車両制御部8からの制御情報に基づいてエンジン1の出力、具体的には、電子スロットル弁10のスロットル開度及びインジェクタ11による燃料供給量を自動調整するエンジン制御部12夫々が備えられている。又、アクセル操作具13の操作量を検出するポテンショメータ式のアクセル操作量検出センサS1、ブレーキ操作具14が踏み込み操作されているか否かを検出するスイッチ式のブレーキ操作検出センサS2、走行用モータ2の回転速度、言い換えると、エンジン1の出力軸1aの回転速度を検出する回転速度検出手段としての回転速度センサS3、車輪3の車軸の回転速度に基づいて車両の走行状態としての車速を検出する車速センサS4、シフトポジションレバー17の位置を検出するシフトポジションセンサS5、バッテリー4の充電状態SOCを検出する充電状態検出部S6、エンジン1における冷却水の温度をエンジンの温度の情報として検出する温度検出手段としての温度センサS7等が備えられ、それらの各センサの検出情報が車両制御部8に入力される構成となっている。
【0025】
前記モータ制御部9は、図3に示すように、バッテリー4から供給される直流電力を三相交流電力に変換して走行用モータ2に供給する駆動用電力を制御したり、回生作動により走行用モータ2にて発生してバッテリー4に供給される回生電力を制御するインバータ28と、車両制御部8からの制御情報に基づいてパルス幅変調(PWM)されたパルス駆動信号をインバータ28における各スイッチングトランジスタの各ベース端子に供給するPWM制御回路29等を備えて構成され、走行用モータ2に通流する電流の大きさや交流電流の周波数を変更させることによりトルクや回転速度を調整したり、前記バッテリー4に充電される回生電力すなわち回生量を調整することができる構成となっている。
【0026】
前記ブレーキ操作具14により機械式制動手段KSを作動させて機械的な制動力を発生させるための構成について説明を加えると、図1に示すように、運転者の足踏み操作にてブレーキ操作具14が操作されると、その足踏み操作力に対応させて制動用の油圧操作力を発生させる周知構成のマスターシリンダ15が備えられ、このマスターシリンダ15から作動油供給路15aを通して出力される油圧操作力にて車輪3の近傍に設けられた摩擦式の制動装置16を作動させて車体を制動させる構成となっている。このような機械式制動手段KSは、ブレーキ操作具14に対する運転者の操作力が大きくなるほど、その油圧操作力すなわち機械的な制動力が大となるように変更調節自在に構成されている。
【0027】
前記シフトポジションレバー17の位置としては、「P」(駐車位置)、「R」(後進走行位置)、「N」(中立位置)、「D」(前進走行位置)があり、運転状況に応じて運転者によって適宜切り換え操作されることになる。
【0028】
前記車両制御部8は、マイクロコンピュータを備えて構成され、シフトポジションセンサS5の検出情報、アクセル操作量検出センサS1の検出情報、車速センサS4の検出情報、及び、充電状態検出部S6にて検出されるバッテリー4の充電状態SOCの情報等に基づいて、モータ制御部9およびエンジン制御部12に制御情報を指令するように構成され、モータ制御部9およびエンジン制御部12は、車両制御部8からの指令情報に基づいて走行用モータ2及びエンジン1の作動を制御するように構成されている。前記車両制御部8、前記モータ制御部9、及び、前記エンジン制御部12の夫々は、アドレスバス及びデータバス等を含む通信手段の一例としての通信バス18を介して通信可能に接続されており、上記したような各種の制御用の情報を互いに通信できるように構成されている。
従って、車両制御部8、モータ制御部9、エンジン制御部12の夫々により、車両各部の作動を制御する制御手段Hが構成される。
【0029】
次に、制御手段Hによるエンジン1及び電動モータ2の制御について説明する。
すなわち、シフトポジションレバー17が「P」(駐車位置)に操作されているとき、及び、シフトポジションレバー17が「N」(中立位置)にあるとき(走行中立状態が指令されているとき)は、基本的には、エンジン1を停止し、走行用モータ2による力行作動や回生作動は行わない。しかし、バッテリー4の充電状態SOCが設定量以下にまで低下してバッテリー4を充電する必要があるような場合には、エンジン1を作動させてエンジン1の動力を走行用モータ2の回生作動により発電した電力をバッテリー4に充電するように、エンジン1及び走行用モータ2の作動を制御するように構成されている。
【0030】
又、シフトポジションレバー17が「D」(前進走行位置)に操作されて前進走行用の運転モードが指令されている場合には、アクセル操作具13が踏み込み操作されると、アクセル操作量に応じてエンジン1の出力を調整し、且つ、後述するように走行用モータ2が力行作動や回生作動を実行するように構成されている。シフトポジションレバー17が「D」(前進走行位置)に操作されていても、ブレーキ操作にて車両が走行を停止しており、しかも、バッテリー4の充電状態SOCが高い状態である等のアイドルストップ用の条件が成立していると、エンジン1を停止させるアイドルストップ制御を実行するように構成されている。尚、このとき、ブレーキ操作が解除されるとエンジン1を始動させることになる。又、シフトポジションレバー17が「D」(前進走行位置)に操作されており、アクセル操作及びブレーキ操作のいずれも行われていない状態でアイドルストップ用の条件が成立していなければ、クリープ走行が指令される状態となる。
【0031】
そして、シフトポジションレバー17が「R」(後進走行位置)に操作されて、車体進行方向として後進方向が指令されている場合には、アクセル操作量に応じてエンジン1の出力を調整することになるが、走行用モータ2については力行作動及び回生作動のいずれも行わないようになっている。
【0032】
前記走行用モータ2の力行作動について説明する。この力行作動においては、エンジン1の回転方向と同じ方向に走行用モータ2が力行用トルクの目標値を出力するように、その力行用トルクの目標値に対応する制御情報がPWM制御回路29に与えられ、PWM制御回路29からその力行用の目標トルクに対応するパルス信号がインバータ28の各スイッチングトランジスタのベース端子に印加され、走行用モータ2が目標トルクにてエンジン1をアシストすることになる。
【0033】
次に、車両が走行している状態における走行用モータの回生作動について説明する。
この回生作動においては、走行用モータ2がエンジン1の回転方向とは反対方向に回生用トルクの目標値を出力するように、その回生用トルクの目標値に対応する制御情報がPWM制御回路29に与えられ、PWM制御回路29がその回生用の目標トルクに対応するパルス信号がインバータ28の各スイッチングトランジスタのベース端子に印加され、走行用モータ2がエンジン1に対して逆向きのトルク、つまり、回生制動力を付与するように作用することになる。そうすると、走行用モータ2がエンジン1の動力によって駆動されて発電機として作用して、インバータ28によって回生制動力に対応する回生電力に変更調整される状態でバッテリー4に充電されることになる。
【0034】
次に、車両が走行を停止してアイドル運転を行っている状態において走行用モータ2の回生作動を実行するときの制御手段Hの制御動作について説明する。
制御手段Hは、アイドル運転時において走行用モータ2による前記回生作動を実行しないときは、エンジン1の回転速度をアイドル運転用目標回転速度にするようにエンジンの出力を調整する通常アイドル制御を実行するように構成され、且つ、アイドル運転時において走行用モータ2による回生作動を実行するときは、エンジン1の出力をアイドル運転用目標回転速度に相当する出力よりも大きい出力にするように調整し、且つ、エンジン1の回転速度をアイドル運転用目標回転速度にするように走行用モータ2の回生量を調整するアイドル発電制御を実行するように構成されている。
【0035】
そして、制御手段Hは、通常アイドル制御を実行するときは、温度センサS7の検出情報に基づいて、エンジン1の温度が低いときは温度が高いときに比べて高回転となる状態で前記アイドル運転用目標回転速度を求めて、その求めたアイドル運転用目標回転速度に基づいて前記通常アイドル制御を実行するように構成され、且つ、前記アイドル発電制御を実行するときは、前記温度センサS7にて検出されるエンジン1の温度が高温側領域の温度であれば、その温度センサS7の検出情報に基づいて通常アイドル制御を実行するときにおけるアイドル運転用目標回転速度と同じ値となる発電用のアイドル運転用目標回転速度を求め、温度センサS7にて検出されるエンジン1の温度が低温側領域の温度であれば、温度センサS7の検出情報に基づいてエンジン1の温度が低いときは温度が高いときに比べて高回転となる形態で且つ通常アイドル制御を実行するときに求められるアイドル運転用目標回転速度よりも低回転となる形態で発電用のアイドル運転用目標回転速度を求めて、発電用のアイドル運転用目標回転速度に基づいてアイドル発電制御を実行するように構成されている。
【0036】
更に、制御手段Hは、アイドル発電制御を実行するときは、走行用モータ2による回生量が前進走行用の運転モード、つまり、シフトポジションレバー17が「D」(前進走行位置)に操作されている状態における電力消費量と同じか又はそれよりも多い回生量を得ることが可能となる形態で前記発電用のアイドル運転用目標回転速度を求めるように構成されている。
【0037】
以下、制御手段Hのアイドル運転時における制御動作について具体的に説明する。
図4にアイドル運転時における制御動作のフローチャートを示している。この制御では、先ず、車両が走行を停止しており、アクセル操作具13が操作されていないアイドル運転であるときに、充電状態検出部S6にて検出されるバッテリー4の充電状態SOCが設定値以上であり走行用モータ2による発電は必要でないと判断した場合には、後述するような通常アイドル制御を実行する(ステップ1、2、3)。又、バッテリー4の充電状態SOCが設定値未満であり走行用モータ2による発電が必要であると判断した場合には、後述するアイドル発電制御を実行する(ステップ4)。
【0038】
次に、図5に基づいて前記通常アイドル制御について説明する。
前記温度センサS7の検出値つまりエンジン1の温度としての冷却水温tを検出して(ステップ31)、その検出値と予め設定して記憶されているマップデータとに基づいて、そのときのエンジン1の温度に対応する基準目標回転速度Nを求める。図7(イ)に実線にて示すように、エンジン1の冷却水温tが低いときは冷却水温tが高いときに比べて高回転となる状態で、更に説明を加えると、冷却水温tが高温側の設定温度t2より低い領域では冷却水温tが低いほど高くなるように漸次変化する状態で冷却水温と基準目標回転速度Nとの相関関係がマップデータとして設定して記憶され、冷却水温tが高温側の設定温度t2より高い領域では一定の回転速度が設定されている。そして、その求めた基準目標回転速度Nを通常アイドル制御のための通常用のアイドル目標回転速度Ntとして設定する(ステップ32)。
【0039】
通常用のアイドル目標回転速度Ntを設定した後は、エンジン1の回転速度をその通常用のアイドル運転用目標回転速度Ntにするようにエンジン1の出力を調整するエンジン回転速度調整処理を実行する(ステップ33)。具体的には、前記回転速度センサS3にて検出されるエンジン1の回転速度が通常用のアイドル運転用目標回転速度Ntになるようにフィードバック制御にて電子スロットル弁10のスロットル開度及びインジェクタ11による燃料供給量を自動調整するのである。このとき、走行用モータ2については力行作動及び回生作動のいずれも行わないようになっている。
【0040】
次に、図6に基づいてアイドル発電制御について説明する。
このアイドル発電制御では、前記温度センサS7の検出値つまりエンジン1の温度としての冷却水温を検出して(ステップ41)、その検出値と予め設定して記憶されているマップデータとに基づいて、そのときのエンジン1の温度に対応する基準目標回転速度Nを求める(ステップ42)。前記マップデータは図7(イ)に実線にて示されるものであるから、これまでの処理は通常アイドル制御と同じである。
【0041】
そして、前記温度センサS7の検出値に基づいて、ステップ42にて求めた基準目標回転速度Nを補正するための補正係数Kを求める(ステップ43)。この補正係数Kについて説明を加えると、この補正係数Kは基準目標回転速度Nと同様にして、エンジン1の冷却水温と予め設定して記憶されているマップデータとに基づいて求められる構成となっている。図7(ロ)に示すように、エンジン1の冷却水温tが設定温度t3(例えば、50℃)以下の低温領域において冷却水温tが低いほど大となるように冷却水温tと補正係数Kとの相関関係がマップデータとして設定して記憶されている。エンジン1の冷却水温tが設定温度t3より高い高温領域では補正係数Kは零になる。
【0042】
次に、前記ステップ42にて求めた基準目標回転速度Nと前記ステップ43にて求めた補正係数Kとから発電用のアイドル目標回転速度Nhを演算にて求める(ステップ44)。具体的には、基準目標回転速度Nから補正係数Kを減算した値を発電用のアイドル目標回転速度Nhとして求めるのである。すなわち、発電用のアイドル目標回転速度Nhは、エンジン1の冷却水温tが設定温度t3以下の低温領域においては、図7(イ)において破線で示すように、エンジン1の冷却水温tが高いときに比べて高回転となる形態で且つ通常アイドル制御を実行するときに求められる通常用のアイドル運転用目標回転速度Ntよりも低回転となる形態で変化する状態で求められることになる。
【0043】
ここで、アイドル発電制御を実行するときは、シフトポジションレバー17が「D」(前進走行位置)に操作されている状態における電力消費量と同じか又はそれよりも多い回生量を得ることが可能となる形態で発電用のアイドル運転用目標回転速度Nhを求める構成となっている。具体的には、エンジン1の冷却水温tが低温側の設定温度t1(例えばマイナス10℃)のときの基準目標回転速度N1が1800rpmに設定され、エンジン1の冷却水温tが設定温度t1(例えばマイナス10℃)のときの補正係数K1が500rpmに設定されており、その温度における発電用のアイドル目標回転速度Nhは約1300rpmになるように設定されており、そのときの回生量が、シフトポジションレバー17が「D」(前進走行位置)に操作されている状態における電力消費量と同じか又はそれよりも多くなるように設定されている。
【0044】
次に、エンジン1の出力をステップ44にて求めた発電用のアイドル目標回転速度Nhに相当する出力よりも大きい出力にするようにエンジン1の作動を制御するエンジン出力調整処理を実行する(ステップ45)。具体的には、発電用のアイドル目標回転速度Nhに対してバッテリー4に対する充電を行えるように回生量を得るための大きめのエンジン1の目標トルクを求めて、その目標トルクを出力するように電子スロットル弁10のスロットル開度及びインジェクタ11による燃料供給量を自動調整する。但し、このようなアイドル運転状態においては、アイドル運転時に必要以上にスロットル開度を大きくすることを規制して安全性を確保するために、前記アイドル運転用調整範囲として、電子スロットル弁10にて変更調整されるスロットル開度の調整可能範囲が、零を下限値とし且つ最大開度の12〜13%程度の値を上限値とする状態で設定されている。
【0045】
そして、走行用モータ2の回転速度(エンジン1の回転速度と同じ)が発電用のアイドル目標回転速度Nhになるように走行用モータ2の回生量を変更調整する回生量調整処理を実行する(ステップ46)。説明を加えると、回転速度センサS3にて検出される走行用モータ2の回転速度の検出情報に基づいて、その走行用モータ2の回転速度の検出値が発電用のアイドル目標回転速度Nhになるようにフィードバック制御により走行用モータ2の回生量を変更調整するのである。つまり、インバータ28における各スイッチングトランジスタの各ベース端子に供給するパルス駆動信号をパルス幅変調して走行用モータ2に通流する電流の大きさや交流電流の周波数を変更させることにより、前記バッテリー4に充電される回生電力、すなわち回生量を調整するのである。その結果、エンジン1の回転速度が発電用のアイドル目標回転速度になるように調整され、且つ、走行用モータ2がエンジン1のトルクを吸収して発電するアイドル発電を行うことができるのである。
【0046】
このように構成すると、上述したように、発電用のアイドル目標回転速度Nhは、エンジン1の冷却水温tが設定温度t3以下の低温領域においては、冷却水温tが高いときに比べて高回転となる形態で且つ通常アイドル制御を実行するときに求められる通常用のアイドル運転用目標回転速度Ntよりも低回転となる形態で変化する状態で求める構成であるから、アイドル運転用目標回転速度に相当するエンジンの出力と前記アイドル運転用調整範囲の上限値との間の差(余裕代)が大きなものとなる。
【0047】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0048】
(1)上記実施形態では、前記発電用のアイドル運転用目標回転速度を求めるための構成として、前記通常アイドル制御を実行するときに求められる、そのときのエンジンの温度に対応する基準目標回転速度から前記補正係数Kを減算することにより発電用のアイドル運転用目標回転速度を求める構成としたが、このような構成に限らず、次のように構成してもよい。
【0049】
すなわち、前記温度検出手段にて検出される前記エンジンの温度が低温側領域の温度であれば、前記温度検出手段の検出情報に基づいて前記エンジンの温度が低いときは温度が高いときに比べて高回転となる形態で且つ前記通常アイドル制御を実行するときに求められるアイドル運転用目標回転速度よりも低回転となる形態となるように、エンジンの温度と発電用のアイドル運転用目標回転速度とのマップデータを設定して予め記憶しておき、温度検出手段の検出値とそのマップデータとから発電用のアイドル運転用目標回転速度を直接求めるようにしてもよい。
【0050】
又、前記通常アイドル制御を実行するときにおけるアイドル運転用目標回転速度や前記アイドル発電制御を実行するときの発電用のアイドル運転用目標回転速度を求める場合、上記したようなマップデータを用いて求める構成に代えて、エンジンの温度をパラメータとして予め設定されている演算式から求める構成としてもよい。
【0051】
(2)上記実施形態では、前記エンジンの温度が低温側領域の温度であれば、エンジンの温度が低いほど高回転となるように漸次変化する形態で冷却水温と発電用のアイドル運転用目標回転速度との相関関係が設定されるものを例示したが、このように漸次変化するものに限らず、エンジンの温度が低いときは温度が高いときに比べて高回転となるようにエンジンの温度に応じて段階的に高くなるように発電用のアイドル運転用目標回転速度を切り換えて設定するものでもよく、しかも、その切り換え段数は3段階以上であってもよく高低2段階に変化するものでもよい。
【0052】
(3)上記実施形態では、前記エンジンの温度を検出する温度検出手段として、エンジンの冷却水温を検出する構成としたが、このような構成に限らず、エンジンの温度を直接検出してもよく、あるいは、外気温度を検出してそのときのエンジンの温度として用いるようにしてもよく、前記温度検出手段は、要するにエンジンの温度を検出することができるものであればよい。
【0053】
(4)上記実施形態では、エンジンの出力軸と走行駆動用電動モータとを直結する構成のハイブリッド車両を例示したが、このような構成に限らず、エンジン及び走行駆動用電動モータが遊星ギア機構等を介して連動連結されて走行装置に動力を伝えるような伝動構成を備えるハイブリッド車両でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】ハイブリッド車両の概略構成を示す図
【図2】制御ブロック図
【図3】モータ制御部の構成を示す図
【図4】制御動作のフローチャート
【図5】制御動作のフローチャート
【図6】制御動作のフローチャート
【図7】制御用のマップデータを示す図
【符号の説明】
【0055】
1 エンジン
2 電動モータ
KU 駆動手段
H 制御手段
S7 温度検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン及び電動モータを動力源として備えて走行装置を駆動する駆動手段と、車両各部の作動を制御する制御手段とが備えられ、
前記電動モータが、前記エンジンに対してトルクアシストを行う力行作動、及び、前記エンジンの動力により発電を行う回生作動を実行可能なように前記エンジンに連動連係される状態で設けられ、
前記制御手段が、
アイドル運転時において前記電動モータによる前記回生作動を実行しないときは、前記エンジンの回転速度をアイドル運転用目標回転速度にするように前記エンジンの出力を調整する通常アイドル制御を実行するように構成され、且つ、
アイドル運転時において前記電動モータによる回生作動を実行するときは、前記エンジンの出力を、アイドル運転用調整範囲の上限を越えない状態で、アイドル運転用目標回転速度に相当する出力よりも大きい出力にするように調整し、且つ、前記エンジンの回転速度をアイドル運転用目標回転速度にするように前記電動モータの回生量を調整するアイドル発電制御を実行するように構成されているハイブリッド車両であって、
前記制御手段が、
前記通常アイドル制御を実行するときは、前記エンジンの温度を検出する温度検出手段の検出情報に基づいて、前記エンジンの温度が低いときは温度が高いときに比べて高回転となる状態で前記アイドル運転用目標回転速度を求めて、その求めたアイドル運転用目標回転速度に基づいて前記通常アイドル制御を実行するように構成され、且つ、
前記アイドル発電制御を実行するときは、
前記温度検出手段にて検出される前記エンジンの温度が高温側領域の温度であれば、前記温度検出手段の検出情報に基づいて前記通常アイドル制御を実行するときにおけるアイドル運転用目標回転速度と同じ値となる発電用のアイドル運転用目標回転速度を求め、前記温度検出手段にて検出される前記エンジンの温度が低温側領域の温度であれば、前記温度検出手段の検出情報に基づいて前記エンジンの温度が低いときは温度が高いときに比べて高回転となる形態で且つ前記通常アイドル制御を実行するときに求められるアイドル運転用目標回転速度よりも低回転となる形態で発電用のアイドル運転用目標回転速度を求めて、前記発電用のアイドル運転用目標回転速度に基づいて前記アイドル発電制御を実行するように構成されているハイブリッド車両。
【請求項2】
前記制御手段が、
前記アイドル発電制御を実行するときは、前記電動モータによる回生量が前進走行用の運転モードにおける電力消費量と同じか又はそれよりも多い回生量を得ることが可能となる形態で前記発電用のアイドル運転用目標回転速度を求めるように構成されている請求項1記載のハイブリッド車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−125218(P2006−125218A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−311178(P2004−311178)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】