説明

バルブ駆動装置

【課題】 ウェイストゲートバルブ1の開閉制御を行う電動アクチュエータの最終作動段であるロッド4のストローク位置を直接検出し、ロッド4のストローク量の制御性を向上することを課題とする。
【解決手段】 リンク機構のリンクレバー3を介して、ウェイストゲートバルブ1に連結するロッド4のセンシング部搭載面上にセンシング部9を一体的に設置している。そして、ストロークセンサのホールICによってロッド4と一体に動くセンシング部9のストローク位置を検出しているので、電動アクチュエータの最終作動段であるロッド4のストローク位置を直接検出することができる。この結果、ロッド4のストローク位置の検出精度が向上するため、ロッド4のストローク量の制御性、つまりウェイストゲートバルブ1の開度制御の制御性を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの回転軸の回転を減速機構で減速し、減速機構の回転運動を往復直線運動に変換して、バルブを駆動するバルブ駆動装置に関するもので、特にウェイストゲートバルブ制御用アクチュエータまたはEGRバルブ制御用アクチュエータに用いて好適なバルブ駆動装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来より、バルブを駆動するバルブ駆動装置として、図12および図13に示したように、電動モータ101および軸線方向に往復移動するロッド102を備えた電動アクチュエータが公知である(例えば、特許文献1参照)。
この電動アクチュエータは、電動モータ101の回転を2段減速する減速機構と、この減速機構の回転運動をロッド102の直線運動に変換する往復スライダリンク機構と、ロッド102を往復移動方向に支持するスラスト軸受103とを備えている。このスラスト軸受103は、ロッド102の軸線方向に貫通する貫通孔を有し、アクチュエータケースの軸受孔に保持固定されている。
減速機構は、電動モータ101の出力軸に固定されたピニオンギヤ104、ピニオンギヤ104と噛み合って回転する中間ギヤ105、およびこの中間ギヤ105と噛み合って回転する最終ギヤ106等を有している。また、中間ギヤ105は、支持軸111の外周に回転自在に取り付けられている。また、最終ギヤ106は、支持軸112の外周に回転自在に取り付けられている。
【0003】
電動アクチュエータのロッド102には、ファーストピボット113を介してトグルレバー107が連結されている。また、最終ギヤ106には、セカンドピボット114を介してトグルレバー107が連結されている。そして、ファーストピボット113は、トグルレバー107の第1嵌合孔に打ち込まれてトグルレバー107に固定されており、セカンドピボット114は、トグルレバー107の第2嵌合孔に打ち込まれてトグルレバー107に固定されている。
特許文献1に記載の電動アクチュエータは、電動モータ101が減速機構の3つのギヤ104〜106を回転させ、最終ギヤ106にセカンドピボット114を介して連結したトグルレバー107がロッド102をその軸線方向に押圧(あるいは引き戻)して最終ギヤ106の回転運動をロッド102の往復直線運動に変換するように構成されている。
ここで、108は電動アクチュエータにより開閉制御される円板状のバルブである。ロッド102とバルブ108との間には、リンクレバー119が設置されている。
【0004】
[従来の技術の不具合]
ところで、近年、自動車に搭載されるエンジンの排気ガスの規制強化に伴い、排出ガス関係のOBD(車載診断装置による故障診断機能)装着が義務づけられている。
そこで、特許文献1に記載の電動アクチュエータを、EGRバルブの開閉制御やウェイストゲートバルブの開閉制御用のバルブ駆動装置として使用する場合、OBD要件として、ロッド102のストローク位置を直接検出する必要がある。ところが、特許文献1に記載の電動アクチュエータでは、ロッド102のストローク位置を直接検出することができなかった。
【0005】
また、特許文献1に記載の電動アクチュエータでは、ロッド102のストローク位置を直接検出するためにセンシングレバー(センシング部)109が記載されているが、センシングレバー109とストロークセンサ(センサ本体)との関係が明確に記載されていない。
また、特許文献1に記載の電動アクチュエータは、図示構造上、リンクレバー119が動くとロッド102がその軸線周りに振れる。このロッド102の振れを吸収するために、ガタを設けているが、ロッド102の動きに対してリンクレバー119の作動が追従しない。これにより、電動アクチュエータの制御対象であるバルブ108の動きとロッド102の動きとが一致せず、ロッド102のストローク量の制御性が悪化するという問題が生じている。
また、リンクレバー119にガタを設けない場合、図示の構造では、ロッド102の振れが吸収できないため、ロッド102のスラスト軸受103に力がかかり、ロッド102がスラスト軸受103の内周をこじり、ロッド102が作動不能となる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2009/062928号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、最終作動段であるロッドのストローク位置を直接検出することのできるバルブ駆動装置を提供することにある。また、ロッドのストローク量の制御性を向上することのできるバルブ駆動装置を提供することにある。さらに、ロッドの故障を検出することのできるバルブ駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、ロッドのストローク軸方向(往復移動方向)への移動量(ロッドのストローク量)に応じてバルブの開閉制御を行うバルブ駆動装置において、ロッドに一体的に設置されたセンシング部、およびこのセンシング部のストローク位置を検出するセンサを有するロッドストローク検出手段を備えたことを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、バルブを開閉制御するロッドにセンシング部を一体的に設置しているので、バルブ駆動装置の最終作動段であるロッドのストローク位置を直接検出することができる。この結果、ロッドのストローク位置の検出精度が向上するため、ロッドのストローク量の制御性、つまりバルブの開度制御の制御性を向上することができる。また、センサで検出されるセンシング部のストローク位置が、所定時間が経過しても設定された目標位置に到達または接近しない場合には、ロッドまたはバルブ駆動装置の故障と判断することができる。つまりバルブ、ロッドまたはバルブ駆動装置の故障診断を実施できる。これにより、OBD要件を満足できる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、バルブの動作パターンに対応した形状のカム溝を有し、減速機構の回転に伴って回転するカムと、このカムのカム溝に移動自在に挿入されるフォロワとによって変換機構を構成している。
請求項3に記載の発明によれば、フォロワを回転自在に支持する支軸を有し、一端側がフォロワおよび支軸を介してカムに連結し、他端側がバルブに連結するロッドにセンシング部を一体的に設置している。
【0010】
請求項4に記載の発明によれば、ロッドの支軸を通じてフォロワがカムを押す力がモータ駆動時の負荷となるが、ロッドの軸線方向の中心線上の荷重作用方向と、カムとフォロワとの接触面上の共通接線方向とが垂直に交差する位置関係となっているので、ロッドからの荷重(バルブ反力)がカムを回転させる方向に働かないようになる。
したがって、バルブの全閉時または全開時に、ロッドからの荷重(バルブ反力)に抗して、バルブの全閉位置または全開位置に静止状態でバルブを保持するのに必要なモータ保持電流を低減できるので、消費電力を抑えることができる。
ここで、仮に、請求項4に記載の発明、つまりバルブ駆動装置を、バルブを全閉位置または全開位置に駆動する使用頻度の多いアクチュエータ(例えばウェイストゲートバルブやEGRバルブを開閉制御するアクチュエータ)に適用した場合であっても、バルブの全閉時または全開時の消費電力(消費電流)が少なくすることができる。
【0011】
請求項5に記載の発明によれば、ロッドの軸線方向の中心線上に、カムの回転中心およびフォロワの回転中心がある位置関係(構成)となっている。これにより、バルブの全閉時または全開時に、バルブの全閉位置または全開位置にバルブを保持するのに必要なモータ保持電流を効果的に低減できるので、消費電力をより低減することができる。
【0012】
請求項6および請求項17に記載の発明によれば、モータ(の出力軸)の回転を(所定の減速比となるように)減速する減速機構を、モータによって回転駆動される第1ギヤ、およびこの第1ギヤと噛み合って回転する第2ギヤによって構成している。
減速機構として、例えばモータの出力軸に固定されるピニオンギヤ、このピニオンギヤに噛み合って回転する中間ギヤ、およびこの中間ギヤに噛み合って回転する最終ギヤ等を有する2段減速ギヤ機構を用いても良い。また、減速機構として、ウォームギヤ(その他ヘリカルギヤ、スパーギヤ、出力ギヤ)等を有する多段減速ギヤ機構を用いても良い。
【0013】
請求項7に記載の発明によれば、ロッドの荷重作用方向のバルブ全閉側を基準とした場合、フォロワ、カムの回転中心、ロッドの順に設置される位置関係(構成)となっている。これにより、バルブの全閉時または全開時に、バルブの全閉位置または全開位置にバルブを保持するのに必要なモータ保持電流を効果的に低減できるので、消費電力をより低減することができる。
【0014】
請求項8に記載の発明によれば、カムの回転中心とフォロワの回転中心とを結ぶ直線と、カムの回転中心と第1ギヤの回転中心とを結ぶ直線とが略一致(略同一直線上に位置)する位置関係(構成)となっている。
ここで、第2ギヤの回転軸とカムの回転軸とを共通化(同一部品で構成)した場合、カムの回転角度と第2ギヤの作動角度とが等しくなる。
このとき、カムの回転中心とフォロワの回転中心とを結ぶ直線と、カムの回転中心(=第2ギヤの回転中心)と第1ギヤの回転中心(=第1ギヤと第2ギヤとの噛み合い位置)とを結ぶ直線とが略一致する位置関係としたことにより、カムの作動軌跡(の投影面)内に第2ギヤの作動軌跡をほぼ一致させる(入れる)ことができる。したがって、カムの作動軌跡と第2ギヤの作動軌跡とが大きく異なる装置と比べて、バルブ駆動装置の体格を小型化できるので、車両等への搭載性を向上することができる。
【0015】
請求項9に記載の発明によれば、ロッドストローク検出手段は、ロッドのストローク軸方向(往復移動方向)と並行な方向にセンシング部のストローク検出方向を有している。つまりセンシング部は、このセンシング部のストローク検出方向とロッドのストローク軸方向(往復移動方向)とを並行にしてロッドに一体的に設置されている。
これによって、請求項1に記載の発明の効果を向上できる。
なお、ロッドの中心をストローク軸方向(往復移動方向)に真っ直ぐに延びるロッド軸中心線とセンシング部の中心をセンシング部のストローク検出方向に真っ直ぐに延びる中心線とが一致しているが、センシング部のストローク検出方向とロッドのストローク軸方向(往復移動方向)とが並行であれば、ロッド軸中心線からオフセットさせて設置しても良い。
【0016】
請求項10に記載の発明によれば、ロッドをそのストローク軸方向(往復移動方向)に支持するロッド軸受と、このロッド軸受の軸線方向と並行な方向に延長されたスライドシャフトとを備えている。
そして、バルブを全閉位置から開弁位置(中間位置、全開位置を含む)にモータ駆動した際、あるいはバルブを全開位置から閉弁位置(中間位置、全閉位置を含む)にモータ駆動した際に、ロッド軸受(の軸線方向)とスライドシャフト(の軸方向)との2軸に沿ってロッドを平行移動させることにより、ロッド軸受とスライドシャフトでロッドのストローク軸方向(往復移動方向)のガタと回転方向の振れとを規制することができる。したがって、ロッドに一体的に設置したセンシング部の動きが規制されるため、特にセンシング部を「直線的」に移動させることができる。その結果、ロッドのストローク位置の検出精度を向上することができる。
【0017】
請求項11および請求項19に記載の発明によれば、バルブとは、ロッドのストローク軸方向(往復移動方向)の先端側に設置されるポペットバルブのことである。
この場合、バルブ駆動装置を、EGRバルブ等の排気ガス制御バルブを開閉制御するアクチュエータとして使用することができる。
【0018】
請求項12および請求項20に記載の発明によれば、バルブ駆動装置のロッドとバルブとの間に、ロッドの直線運動をバルブの回転運動に変換するリンク機構を設置している。 このリンク機構は、ロッドとバルブとを連結するレバー等を有している。
ロッドは、レバーを回転自在に支持する第1ヒンジピンを有している。例えば第1ヒンジピンは、ロッドに一体的に形成、あるいはロッドに固定されている。
バルブは、レバーを回転自在に支持する第2ヒンジピンを有している。例えば第2ヒンジピンは、バルブに一体的に形成、あるいはバルブに固定されている。
バルブ駆動装置のロッドに駆動されるバルブとは、第1ヒンジピン、レバーおよび第2ヒンジピンを介して、ロッドのストローク軸方向(往復移動方向)の先端側に連結されるヒンジバルブのことである。
この場合、バルブ駆動装置を、ウェイストゲートバルブまたはEGRバルブ等の排気ガス制御バルブを開閉制御するアクチュエータ、あるいは可変容量ターボチャージャの制御用アクチュエータとして使用することができる。
【0019】
請求項13および請求項21に記載の発明によれば、変換機構に連結する第1ロッド、およびバルブに連結する第2ロッドによってロッドを構成している。そして、バルブ駆動装置に、第1ロッドをストローク軸方向(往復移動方向)に支持するロッド軸受と、第1ロッドと第2ロッドとを連結する回転自在継手(球面体(ボール)、ナット付きソケットのガイド、球面軸受、連結ピン)とを設けている。
ところで、第2ロッドがそのストローク軸方向(往復移動方向)の一方側(例えばバルブ開き側またはバルブ閉じ側)にストロークしてレバーを回転させると、レバーの回転範囲に応じて第2ロッドが振れる(例えば第2ロッドがその中心軸線周りの回転方向に揺動する)。
【0020】
ここで、第1ロッドと第2ロッドとが一体部品の場合、第2ロッドに振れが出ると、ロッド軸受にラジアル方向の力が加わり(作用し)、第1ロッドがロッド軸受の内周をこじり、第1ロッドが作動不能になる可能性がある。そこで、第1ロッドと第2ロッドとを別体部品で構成し、第1ロッドと第2ロッドとの間に回転自在継手を設置したことにより、第2ロッドの振れを回転自在継手により吸収する。
これによって、第1ロッドがロッド軸受の内周をこじり、第1ロッドが作動不能になる不具合の発生を抑えることができる。
【0021】
請求項14および請求項22に記載の発明によれば、ロッドのストローク軸方向(往復移動方向)の中心線と、レバーの作動角度の中心線(レバー全閉時中心線とレバー全開時中心線との角度中心線)とが垂直に交差する位置関係(構成)となっている。これにより、バルブの開閉によるロッドの振れ角度が最も小さくなる。
ここで、ロッドのストローク量が少ない設定の場合(ロッドの振れ<ロッドとロッド軸受との間のガタ)には、仮に第1ロッドと第2ロッドとが一体部品の場合であっても、ロッドがロッド軸受の内周をこじり、ロッドが作動不能になる不具合の発生を抑えることができる。
また、ロッドのストローク量が多い設定の場合には、回転自在継手の摺動範囲を少なくすることができるため、回転自在継手の信頼性を向上することができる。
【0022】
請求項15に記載の発明は、ロッドのストローク軸方向(往復移動方向)への移動量(ロッドのストローク量)に応じてバルブの開閉制御を行うバルブ駆動装置において、ロッドのストローク軸方向(往復移動方向)と並行な方向に延長されたスライドシャフトと、連結部を介してロッド(および変換機構)に連結すると共に、スライドシャフト上をスライドするガイドと、このガイドに一体的に設置されたセンシング部、およびこのセンシング部のストローク位置を検出するセンサを有するロッドストローク検出手段とを備えたことを特徴としている。
【0023】
請求項15に記載の発明によれば、スライドシャフト上をスライドするガイドにセンシング部を一体的に設置しているので、バルブ駆動装置の最終作動段であるロッドのストローク位置を直接検出することができる。この結果、ロッドのストローク位置の検出精度が向上するため、ロッドのストローク量の制御性、つまりバルブの開度制御の制御性を向上することができる。また、センサで検出されるセンシング部のストローク位置が、所定時間が経過しても設定された目標位置に到達または接近しない場合には、ロッドまたはバルブ駆動装置の故障と判断することができる。つまりバルブ、ロッドまたはバルブ駆動装置の故障診断を実施できる。これにより、OBD要件を満足できる。
【0024】
ここで、バルブ駆動装置、特に変換機構は、ガイドが無い状態であっても、往復スライダリンクとして作動するが、上述したように、リンク機構のレバー(ロッドとバルブとを連結するレバー)の回転範囲に対応してロッドに振れが生じる。そして、ロッドのストローク位置(動き)を検出するように、ロッドにセンシング部を一体的に設置した場合、ロッドの振れがセンサの検出精度に影響を及ぼす可能性がある。
そこで、ロッドのストローク軸方向(往復移動方向)と並行な方向にスライドシャフトを設置し、且つスライドシャフト上にガイドを設置し、更に、ガイドにセンシング部を一体的に設置することにより、スライドシャフト上をガイドがスライドする。この結果、ロッドの振れの影響を受けることなく、センシング部のストローク位置を検出することで、ロッドストローク検出手段でロッドのストローク位置(動き)を検出することが可能となるので、センサの検出精度を向上することができる。
【0025】
請求項16に記載の発明によれば、ロッドをそのストローク軸方向(往復移動方向)に支持するロッド軸受と、このロッド軸受の軸線方向と並行な方向に延長されたスライドシャフトとを備えている。
そして、バルブを全閉位置から開弁位置(中間位置、全開位置を含む)にモータ駆動した際、あるいはバルブを全開位置から閉弁位置(中間位置、全閉位置を含む)にモータ駆動した際に、ロッド軸受(の軸線方向)とスライドシャフト(の軸方向)との2軸に沿ってロッドを平行移動させることにより、ロッド軸受とスライドシャフトでロッドのストローク軸方向(往復移動方向)のガタと回転方向の振れとを規制することができる。したがって、ガイドに一体的に設置したセンシング部の動きが規制されるため、特にセンシング部を「直線的」に移動させることができる。その結果、ロッドのストローク位置の検出精度を向上することができる。
【0026】
請求項18に記載の発明によれば、減速機構は、第2ギヤの外側に突出した第1ピボットを有している。例えば第1ピボットは、第2ギヤに一体的に形成、あるいは第2ギヤに固定されている。
また、変換機構とロッドおよびガイドとを連結する連結部は、第1ピボットと同一方向に突出した第2ピボットによって構成されている。例えば第2ピボットは、ロッドおよびガイドに一体的に形成、あるいはロッドおよびガイドに固定されている。
変換機構は、一端側が第1ピボットに回転自在に支持され、他端側が第2ピボットに回転自在に支持されたリンクレバーを有している。
【0027】
ここで、上述したように、リンク機構のレバー(ロッドとバルブとを連結するレバー)の回転範囲に対応してロッドに振れが生じるが、このロッドの振れは、第2ピボットで吸収することができる。そして、ガイドにセンシング部を一体的に設置しているので、ロッドの振れがセンシング部に伝わることはなく、ロッドのストローク位置の検出精度を向上することができる。
請求項23に記載の発明によれば、ロッドまたはガイドに一体的に設置されるセンシング部は、磁性体を含んで構成されている。また、センシング部に近接する部品は、非磁性体によって形成(構成)されている。そして、センサは、センシング部のストローク位置に対応して磁石が発生する磁場が変化し、この磁場の変化を検出する非接触式の磁気検出素子を有している。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】電動アクチュエータのバルブ全閉状態を示した説明図である(実施例1)。
【図2】電動アクチュエータのバルブ全閉状態を示した断面図である(実施例1)。
【図3】電動アクチュエータのバルブ全開状態を示した説明図である(実施例1)。
【図4】電動アクチュエータのバルブ全開状態を示した断面図である(実施例1)。
【図5】ロッドとリンクレバーとの接続位置関係を示した説明図である(実施例1、3及び4)。
【図6】電動アクチュエータのバルブ全閉状態を示した説明図である(実施例2)。
【図7】電動アクチュエータのバルブ全閉状態を示した説明図である(実施例3)。
【図8】電動アクチュエータのバルブ全閉状態を示した断面図である(実施例3)。
【図9】電動アクチュエータのバルブ全開状態を示した説明図である(実施例3)。
【図10】電動アクチュエータのバルブ全開状態を示した断面図である(実施例3)。
【図11】電動アクチュエータのバルブ全閉状態を示した説明図である(実施例4)。
【図12】電動アクチュエータを示した正面図である(従来の技術)。
【図13】電動アクチュエータを示した側面図である(従来の技術)。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
本発明は、最終作動段であるロッドのストローク位置を直接検出し、ロッドのストローク量の制御性を向上すると共に、ロッドの故障を検出するという目的を、ロッドに一体的にセンシング部を設置することで実現した。また、ロッドと一緒にストロークするガイドに一体的にセンシング部を設置することで実現した。
【実施例1】
【0030】
[実施例1の構成]
図1ないし図5は本発明の実施例1を示したもので、図1および図2はウェイストゲートバルブ(ヒンジバルブ)の全閉時における電動アクチュエータの作動状態を示した図で、図3および図4はウェイストゲートバルブの全開時における電動アクチュエータの作動状態を示した図である。
【0031】
本実施例のバルブ駆動装置は、ウェイストゲートバルブ(ヒンジバルブ)1を開閉駆動する電動アクチュエータとして使用される。
ウェイストゲートバルブ1は、内燃機関(エンジン)に設置されるターボチャージャのウェイストゲート流路を開閉する排気ガス制御弁の弁体である。このウェイストゲートバルブ1は、エンジン運転時に、エンジン制御ユニット(ECU)からの制御信号に基づいて、バルブ全閉位置(図1参照)からバルブ全開位置(図3参照)に至るまでのバルブ作動範囲で回転動作されることで、ウェイストゲート流路の開口面積(排気ガス流通面積)を変更する。
ウェイストゲートバルブ1の背面(隔壁:バルブシートに着座する着座面に対して反対側の端面)には、L字状のシャフト2が一体的に設けられている。
なお、ウェイストゲートバルブ1の詳細は後述する。
【0032】
電動アクチュエータは、ウェイストゲートバルブ1のシャフト2にリンクレバー3等のリンク機構を介して連結すると共に、軸線方向に往復移動するロッド4を備えている。この電動アクチュエータは、ロッド4のストローク軸方向(荷重作用方向)への移動量(ロッド4のストローク量)に応じてウェイストゲートバルブ1の開閉制御を行う。
電動アクチュエータは、ロッド4の他に、ロッド4をその往復移動方向(ロッド4のストローク軸方向)に摺動自在に支持するロッド軸受(スラスト軸受)6と、このスラスト軸受6の軸線方向と並行な方向に延長されたスライドシャフト7と、ロッド4に対して、ウェイストゲートバルブ1を閉じる側(バルブ全閉側)に付勢する付勢力(スプリング荷重)を発生するコイルスプリング8と、ロッド4のストローク位置を検出するロッドストローク検出装置(センシング部9、ストロークセンサS)と、スラスト軸受6およびスライドシャフト7等の構成部品を収容するアクチュエータケースとを備えている。ここで、電動アクチュエータのロッド4は、そのストローク軸方向の先端側が、アクチュエータケースの円環状の端面よりアクチュエータケース外部側に突出している。
なお、電動アクチュエータの詳細は、後述する。
【0033】
エンジンは、複数の気筒を有する多気筒ディーゼルエンジンが採用されている。このエンジンの複数(各気筒毎)の吸気ポートには、吸入空気が流れる吸気管が接続されている。この吸気管の途中には、ターボチャージャのコンプレッサ、インタークーラ、スロットルバルブおよびインテークマニホールド等が設置されている。
また、エンジンの複数(各気筒毎)の排気ポートには、排気ガスが流れる排気管が接続されている。この排気管の途中には、エキゾーストマニホールドおよびターボチャージャのタービン等が設置されている。
【0034】
ターボチャージャは、タービンとコンプレッサとを備え、吸入空気をコンプレッサで圧縮し、圧縮された空気をエンジンの各気筒毎の燃焼室に送り込むターボ過給機である。
タービンは、渦巻形状のタービンハウジングを備えている。このタービンハウジング内には、タービンインペラ(タービンホイール)が設置されている。
コンプレッサは、渦巻形状のコンプレッサハウジングを備えている。このコンプレッサハウジング内には、コンプレッサインペラ(コンプレッサホイール)が設置されている。 また、タービンインペラとコンプレッサインペラとは、ロータシャフトによって一体となって回転するように連結されている。
ターボチャージャは、タービンインペラが排気ガスにより回転駆動されると、コンプレッサインペラも回転し、このコンプレッサインペラが吸入空気を圧縮する。
【0035】
ここで、本実施例のターボチャージャのタービンハウジングには、ウェイストゲート流路およびウェイストゲートバルブ1が設けられている。
ウェイストゲート流路は、タービンハウジングに導入された排気ガスを、タービンインペラを経由しないで、つまりタービンインペラを迂回(バイパス)してタービンインペラよりも下流側の排気通路へ流すためのバイパス通路(流体通路)である。
あるいはウェイストゲート流路は、エンジンより流出した排気ガスを、エキゾーストマニホールドの集合部よりも下流側から分岐して、ターボチャージャのタービンよりも排気ガス流方向の下流側で吸気通路に合流させる、つまり排気ガスをタービンハウジングよりバイパスさせるためのバイパス通路(流体通路)である。
【0036】
本実施例のウェイストゲート流路は、タービンハウジングの入口部の隔壁で開口した上流側連通孔(ウェイストゲートポート)と、タービンハウジングの出口部の隔壁で開口した下流側連通孔とを連通する。
ウェイストゲートバルブ1は、例えばステンレス鋼等の金属材料によって円板形状に形成されている。このウェイストゲートバルブ1は、電動アクチュエータのロッド4の軸線方向の先端部に接続されて、タービンハウジングの入口部の隔壁(バルブシート)に対して着座、離脱して、ウェイストゲート流路、特にウェイストゲートポートを開閉する排気ガス制御弁である。
【0037】
ウェイストゲートバルブ1のシャフト2と電動アクチュエータのロッド4との間には、電動アクチュエータのロッド4の直線運動をウェイストゲートバルブ1の回転運動に変換するリンク機構が設置されている。
このリンク機構は、図1、図3および図5に示したように、一端側が電動アクチュエータのロッド4の荷重作用方向(往復移動方向)の先端側に連結し、且つ他端側がウェイストゲートバルブ1のシャフト2の先端側(バルブ側に対して反対側)に連結したリンクレバー3等を有している。
ここで、ロッド4の荷重作用方向の先端側には、ロッド4の裏面側から打ち込まれて表面側に突出した第1ヒンジピン11が固定(または一体的に形成)されている。
また、ウェイストゲートバルブ1のシャフト2には、第1ヒンジピン11と同一方向に突出した第2ヒンジピン12が一体的に形成(または固定)されている。
【0038】
リンクレバー3は、第1ヒンジピン11の外周に回転自在に支持されている。また、リンクレバー3は、第2ヒンジピン12に固定されている。
第1ヒンジピン11は、ウェイストゲートバルブ1、シャフト2およびリンクレバー3等を回転自在に支持している。
第2ヒンジピン12は、途中で直角に屈曲したシャフト2の電動アクチュエータ側端部に固定されている。この第2ヒンジピン12は、ターボチャージャのタービンハウジングの側壁部に回転自在に支持されている。また、第2ヒンジピン12の中心は、ウェイストゲートバルブ1の回転中心となっている。
以上によって、ウェイストゲートバルブ1は、第1ヒンジピン11、リンクレバー3、第2ヒンジピン12を介して、ロッド4の荷重作用方向の先端側に連結されるヒンジバルブを構成する。
【0039】
次に、本実施例の電動アクチュエータの詳細を図1ないし図5に基づいて説明する。
電動アクチュエータは、ロッド4、スラスト軸受6およびコイルスプリング8の他に、ロッド4に対して平行配置されたスライドシャフト7と、ロッド4に一体的に設置されたセンシング部9と、このセンシング部9のストローク位置を検出するストロークセンサSと、電力の供給を受けて駆動力(モータトルク)を発生する電動モータMと、この電動モータMの回転を2段減速する減速機構と、この減速機構の回転運動を往復直線運動に変換する変換機構と、これらの各構成部品を収容するアクチュエータケースとを備えている。
【0040】
減速機構は、3つの減速ギヤにより構成されている。減速機構は、電動モータMのモータシャフト(回転軸、出力軸)13に固定されたピニオンギヤ(モータギヤ)14、このピニオンギヤ14と噛み合って回転する中間ギヤ(第1ギヤ)15、およびこの中間ギヤ15と噛み合って回転する最終ギヤ(第2ギヤ)16等によって構成されている。
変換機構は、回転するプレートカム17、このプレートカム17のカム溝18内に移動自在に挿入されるフォロワ19、およびこのフォロワ19を回転自在に支持するピボットピン20等によって構成されている。
【0041】
ここで、電動アクチュエータのアクチュエータケースは、電動モータMを収容保持するモータハウジング21と、減速機構および変換機構を回転自在に収容するギヤハウジング22と、このギヤハウジング22の開口部を塞ぐセンサカバー(蓋体)23とを備えている。
モータハウジング21、ギヤハウジング22は、金属材料によって形成されている。また、センサカバー23は、金属材料または樹脂材料によって形成されている。
電動アクチュエータのロッド4は、その軸線方向と同一方向の荷重作用方向に真っ直ぐに延びている。このロッド4は、フォロワ19およびピボットピン20を介して、プレートカム17に連結(接続)する第1ロッド24と、リンク機構(リンクレバー3等)を介して、ウェイストゲートバルブ1のシャフト2に連結(接続)するプレート状の第2ロッド26と、第1ロッド24の第1連結部25と第2ロッド26の第2連結部27とを連結する回転自在継手28とによって構成されている。これらのロッド部品は、例えばステンレス鋼等の金属材料(非磁性体)によって形成されている。
【0042】
第1ロッド24は、フォロワ19およびピボットピン20を介して、プレートカム17から荷重を受けるプレート状の入力部31、およびスラスト軸受6に摺動自在に支持される断面円形状の中継部(接続ロッド)32を有している。
入力部31の軸線方向の一端部(中継部32側に対して反対側の端部)には、ピボットピン20が嵌合する嵌合孔33が形成されている。なお、ピボットピン20は、入力部31の裏面側から打ち込まれて表面側に突出して入力部31に接続(固定)されている。
入力部31の表面は、センシング部9を樹脂モールド成形またはネジ締結等により固定するためのセンシング部搭載面となっている。
【0043】
また、入力部31の一方の側面からは、ガイドアーム34が外側に向けて突出している。このガイドアーム34には、スライドシャフト7の軸方向に貫通する軸受孔35が形成されている。この軸受孔35の孔壁面には、スライドシャフト7の外周に摺動自在に支持されるスラスト軸受36が圧入嵌合されている。このスラスト軸受36の内部には、スライドシャフト7の軸方向に貫通する貫通孔(摺動孔)が形成されている。
中継部32は、入力部31の他端側に溶接固定されている。この中継部32の外周には、コイルスプリング8から荷重作用方向のバルブ全閉側に付勢する荷重を受け止める荷重受け部である円環状のスプリングシート37が装着されている。また、中継部32には、回転自在継手28を締結固定するための外周ネジ38が形成されている。外周ネジ38は、スラスト軸受6より第2ロッド26側に突出すると共に、回転自在継手28に接続する円柱状の第1連結部25の外周に形成されている。
【0044】
第2ロッド26の軸線方向の一端部(中継部32側の端部)には、回転自在継手28に接続するプレート状の第2連結部27が設けられている。この第2連結部27には、回転自在継手28が嵌合する嵌合孔(図示せず)が形成されている。
第2ロッド26の軸線方向の他端部(中継部32側に対して反対側の端部)には、第1ヒンジピン11が嵌合する嵌合孔(図示せず)が形成されている。なお、第1ヒンジピン11は、第2ロッド26の裏面側から打ち込まれて表面側に突出して第2ロッド26に接続(固定)されている。
【0045】
回転自在継手28は、第1ロッド24の第1連結部25に締結固定されるソケット41と、第2ロッド26の第2連結部27に圧入固定される連結ピン42と、ソケット41と連結ピン42との間に設置された球面軸受とを備えている。
ソケット41には、第1連結部25の外周に嵌め合わされるスリーブ43が設けられている。このスリーブ43には、外周ネジ38に螺合するナット44が固定されている。
連結ピン42は、第2連結部27の表面側から打ち込まれて裏面側に突出し、球面軸受を貫通し、更に、球面軸受の裏面側に突出した後に、突出部分の先端が鍔状に潰されて第2ロッド26に接続(固定)されている。
【0046】
球面軸受は、内周に凹球面を有するガイド(アウタレース)45と、外周に凸球面を有するボール(球面体、インナレース)46とを備えている。ガイド45は、ソケット41のスリーブ43の連結ピン42側の端部に一体的に設けられている。また、ガイド45は、連結ピン42の周囲を周方向に取り囲むように円環状に形成されている。
ボール46の凸球面は、ガイド45の凹球面の曲率中心と同一の中心点を中心にした所定の曲率半径を有している。
回転自在継手28は、第1ロッド24と第2ロッド26とを、第1連結部25の中心軸線に垂直な方向の中心線を中心にして第2連結部27を揺動可能(回動可能)に連結している。これにより、第2ロッド26の振れを吸収することができるので、第1ロッド24がその回転方向に振れなくなる。
【0047】
ここで、ギヤハウジング22の側壁よりバルブ側に位置する円筒状のベアリングホルダ47には、ロッド4の軸方向に貫通する軸受孔48が形成されている。この軸受孔48の孔壁面には、スラスト軸受6が圧入嵌合されている。
スラスト軸受6は、ロッド4の第1ロッド24の中継部32をそのストローク軸方向(往復移動方向)に摺動自在に支持するものである。このスラスト軸受6の内部には、ロッド4の軸方向に貫通する貫通孔(摺動孔)が形成されている。
【0048】
また、ギヤハウジング22のベアリングホルダ47の軸受孔48の軸線方向と並行となる側壁に配置された円筒状の嵌合部49には、スライドシャフト7の軸方向に貫通する嵌合孔50が形成されている。この嵌合孔50の孔壁面には、スライドシャフト7が圧入嵌合されている。
スライドシャフト7は、嵌合部49の内面側から打ち込まれてギヤハウジング22に接続(固定)されている。このスライドシャフト7は、スラスト軸受6の貫通孔の軸線方向と並行な方向に真っ直ぐに延びる円柱状のガイドレールである。また、スライドシャフト7の外周には、スラスト軸受36を介して、ロッド4の第1ロッド24に一体的に形成されたガイドアーム34がスライドシャフト7の軸線方向に摺動自在に支持されている。これにより、スライドシャフト7は、ロッド4のストローク軸方向(往復移動方向)と平行な方向にロッド4のガイドアーム34を誘導することができる。
これによって、電動アクチュエータのロッド4は、スラスト軸受6の貫通孔の軸線方向とスライドシャフト7の軸線方向の2軸に沿って平行移動することが可能となる。
【0049】
また、ギヤハウジング22の側壁よりバルブ側に突出する円筒状のスプリングホルダ51内には、コイルスプリング8が収容されている。
コイルスプリング8は、ロッド4に対して、ウェイストゲートバルブ1を閉じる側(バルブ全閉側)に付勢する付勢力(荷重)を発生するロッド(バルブ)付勢手段である。このコイルスプリング8の一端は、ロッド4の第1ロッド24に設けられたスプリングシート37に保持され、コイルスプリング8の他端は、ベアリングホルダ47の端部とスプリングホルダ51とを連結する円環状の隔壁(閉鎖壁)52に保持されている。
これによって、電動アクチュエータのロッド4、特に第1ロッド24には、コイルスプリング8からのスプリング荷重(バルブ全閉側に付勢する荷重)が作用している。
【0050】
減速機構は、電動モータMのトルクを変換機構に伝達する動力伝達機構を構成する。この減速機構は、上述したように、ピニオンギヤ14、中間ギヤ15および最終ギヤ16等によって構成されている。また、減速機構は、電動モータMのモータシャフト13に対して並列配置された2つの第1、第2支持軸(中間ギヤシャフト、最終ギヤシャフト)53、54を備えている。これらの中間ギヤシャフト53および最終ギヤシャフト54は、互いに並列配置されている。また、3つのギヤ14〜16は、ギヤハウジング22の減速ギヤ収納空間内において回転自在に収容されている。
【0051】
中間ギヤシャフト53は、ギヤハウジング22の嵌合孔に打ち込まれてギヤハウジング22の嵌合部に圧入固定されている。この中間ギヤシャフト53の中心軸線は、中間ギヤ15の回転中心を構成している。また、中間ギヤシャフト53の中間ギヤ15の端面より突出した突出部の外周には、円環状の周方向溝が形成されている。この周方向溝には、中間ギヤシャフト53の外周に中間ギヤ15を嵌め合わせた際に、中間ギヤシャフト53からの中間ギヤ15の抜け止めを行うワッシャおよびCリングが装着されている。
【0052】
最終ギヤシャフト54は、ギヤハウジング22の嵌合孔55に打ち込まれて円筒状の嵌合部56に圧入固定されている。この最終ギヤシャフト54の中心軸線は、最終ギヤ16の回転中心を構成している。また、最終ギヤシャフト54の外周には、2つのベアリング(軸受)57を介して、最終ギヤ16が回転自在に支持されている。また、最終ギヤシャフト54の最終ギヤ16の端面より突出した突出部の外周には、円環状の周方向溝が形成されている。この周方向溝には、最終ギヤシャフト54の外周に最終ギヤ16を嵌め合わせた際に、最終ギヤシャフト54からの最終ギヤ16の抜け止めを行うワッシャおよびCリングが装着されている。
【0053】
ピニオンギヤ14は、金属材料または樹脂材料によって形成されている。このピニオンギヤ14は、モータシャフト13の外周に圧入固定されている。ピニオンギヤ14の外周には、中間ギヤ15と噛み合う複数の凸状歯(ピニオンギヤ部)61が周方向全体に形成されている。
中間ギヤ15は、金属材料または樹脂材料によって形成されており、中間ギヤシャフト53の外周に回転自在に嵌め合わされている。この中間ギヤ15は、中間ギヤシャフト53の周囲を周方向に取り囲むように設置された円筒部を有している。この円筒部の外周には、円環状の最大外径部(径大部)が一体的に形成されている。
【0054】
中間ギヤ15の径大部の外周には、ピニオンギヤ14の凸状歯61と噛み合う複数の凸状歯(大径ギヤ部)62が周方向全体に形成されている。また、円筒部(径小部)の外周には、最終ギヤ16と噛み合う複数の凸状歯(小径ギヤ部)63が周方向全体に形成されている。
最終ギヤ16は、金属材料または樹脂材料によって形成されており、2つのベアリング57を介して、最終ギヤシャフト54の外周に回転自在に嵌め合わされている。この最終ギヤ16は、最終ギヤシャフト54の周囲を周方向に取り囲むように設置された円筒部を有している。この円筒部には、円筒部の外周面より扇状に広がるフランジ64を有している。
最終ギヤ16のフランジ64の外周部には、中間ギヤ15の凸状歯63と噛み合う複数の凸状歯(扇状の大径ギヤ部)65が所定の角度分だけ扇状に形成されている。
【0055】
変換機構は、最終ギヤ16の回転運動をロッド4の直線運動に変換する運動方向変換機構である。この変換機構は、最終ギヤ16の最終ギヤシャフト54を中心にして最終ギヤ16と一体的に回転するプレートカム17、このプレートカム17のカム溝18内に移動自在に挿入されるフォロワ19、およびこのフォロワ19を回転自在に支持するピボットピン20等によって構成されている。
プレートカム17は、金属材料によって所定の形状に形成されており、最終ギヤ16のカム装着部に固定されている。なお、最終ギヤ16が樹脂材料で形成されている場合、プレートカム17は最終ギヤ16にインサート成形される。また、最終ギヤ16が金属材料で形成されている場合、最終ギヤ16とプレートカム17とを焼結金属等で一体化しても良い。このように構成することで、最終ギヤ16の回転軸とプレートカム17の回転軸とが共通化されるため、最終ギヤ16の回転中心(最終ギヤシャフト54の回転中心)とプレートカム17の回転中心とが一致する。また、最終ギヤ16の作動角度(最終ギヤ作動角)とプレートカム17の回転角度(カム回転角)とが等しくなる。
【0056】
プレートカム17のカム溝18は、ウェイストゲートバルブ1の動作パターンに対応した湾曲形状のガイド部である。
ここで、プレートカム17のカム形状およびプレートカム17の回転角度は、ウェイストゲートバルブ1を全閉位置から全開位置まで駆動するのに必要なロッドストローク量に対して決定される。
【0057】
フォロワ19は、金属材料によって円筒形状に形成されており、ピボットピン20の外周に回転自在に嵌め合わされている。このフォロワ19は、ピボットピン20の周囲を周方向に取り囲むように円筒部を有している。
ピボットピン20は、ロッド4の嵌合孔33に打ち込まれてロッド4に圧入固定されている。なお、ピボットピン20のフォロワ19の円筒部の端面より突出した突出部には、フォロワ19の抜け止めを行うために潰されて鍔状にカシメられたフランジが形成されている。
また、フォロワ19の回転中心は、プレートカム17の回転中心と共に、ロッド4の荷重作用方向(ストローク軸方向)上に設置されている。
【0058】
電動モータMは、電動アクチュエータの動力源であって、モータハウジング21のモータ収納空間内に収容保持されている。この電動モータMは、ECUによって通電制御されるように構成されている。
そして、ECUには、CPU、ROM、RAM等の機能を含んで構成される周知の構造のマイクロコンピュータが設けられている。そして、ECUは、ストロークセンサS、クランク角度センサ、アクセル開度センサ、スロットル開度センサ、過給圧センサおよび車速センサ等の各種センサのセンサ出力信号に基づいて、スロットルバルブの電動アクチュエータ、ウェイストゲートバルブ1の電動アクチュエータを制御する。
【0059】
ストロークセンサSは、ロッド4に一体的に設置されたセンシング部9と共に、ロッド4のストローク位置を検出するロッドストローク検出装置を構成する。
先ずセンシング部9は、磁場、磁力を発生する磁石(マグネット)および磁性ブロック(磁性体)によって構成されている。このセンシング部9は、ロッド4の第1ロッド24の入力部31のセンシング部搭載面上にモールド成形またはネジ締結固定によってロッド4に一体的に設置されている。なお、磁石をストロークセンサS側に設置してセンシング部9を磁性体のみで構成しても良い。
【0060】
ストロークセンサSは、センシング部9を伴って形成される磁気回路の途中に位置するようにセンサカバー23に設置されている。このストロークセンサSは、センシング部9の磁石または磁性ブロックに対向するように設置されたホールIC、およびセンシング部9の磁性ブロックと共に、磁石より放出した磁束をホールICに集中させる磁性ブロック(磁性体)等によって構成されている。
なお、センシング部9の磁石と磁性ブロックおよびストロークセンサSのホールICと磁性ブロックによって、磁気回路が形成される。
【0061】
ホールICは、センシング部9のストローク位置に対応して変化する磁場を検出するホール素子(非接触式の磁気検出素子)と増幅回路とを一体化したICチップのことで、ホールIC自身に鎖交する磁束密度に対応した電圧信号(センサ出力信号)をECUに出力する。なお、非接触式の磁気検出素子として、ホールICの代わりに、ホール素子単体または磁気抵抗素子(MR素子)を使用しても良い。また、非接触式の磁気検出素子の代わりに、ストロークセンサSとして可変抵抗式のポテンショメータ(接触式の位置検出素子)を使用しても良い。
【0062】
また、ストロークセンサSは、ウェイストゲートバルブ1が全閉位置と全開位置との間にある場合、センシング部9のストローク位置(基準位置に対する相対位置)とロッド4のストローク量とが対応しており、また、ロッド4のストローク位置とウェイストゲートバルブ1のバルブ開度とが対応している。このため、ECUは、センシング部9のストローク位置、つまり磁場の変化に対応して出力されるセンサ出力信号を測定して、ロッド4のストローク量を求め、このロッド4のストローク量からウェイストゲートバルブ1のバルブ開度を求め、このバルブ開度からウェイストゲート流路を流れる排気ガスの流量を求めることが可能である。
【0063】
ここで、センシング部9のストローク位置をセンシングする方式として、ホールIC、ホール素子またはMR素子を使用して、非接触での磁気検出で実施する場合、センシング部9とストロークセンサSのホールICとで構成される磁気回路の近傍に磁性体があると、非接触式の磁気検出素子が検出する磁場が安定して確保できない可能性がある。そこで、本実施例の電動アクチュエータでは、センシング部9に近接する部品(ロッド4、最終ギヤ16、プレートカム17、フォロワ19、ピボットピン20、最終ギヤシャフト54)を非磁性体(ステンレス鋼等の非磁性金属、非磁性樹脂等)で構成することで、磁気回路への外乱影響を回避している。
【0064】
[実施例1の作用]
次に、本実施例のウェイストゲートバルブ1の開閉制御を行う電動アクチュエータの作動を図1ないし図5に基づいて簡単に説明する。
【0065】
ECUは、過給圧センサにより検出される過給圧が設定値に満たない場合、ウェイストゲートバルブ1が全閉状態となるように、電動モータMへの電力供給を制御する。
これによって、電動アクチュエータの構成部品が、図1および図2に示した全閉状態に止まるため、ウェイストゲートバルブ1が全閉状態を継続する。これにより、ウェイストゲート流路は閉鎖される。
この結果、エンジンより排出された排気ガスの全量は、ターボチャージャのタービンハウジングの入口部から流入してタービンインペラを回転させ、タービンハウジングの出口部から排出される。
一方、吸気管内に吸い込まれた吸入空気は、タービンインペラの回転により駆動されるコンプレッサインペラによって圧縮されて圧力(過給圧)が上昇する。そして、圧力が上昇した吸入空気は、エンジンに吸い込まれる。
【0066】
ECUは、過給圧センサにより検出される過給圧が設定値以上に上昇した場合、つまり予め設定された最大過給圧を超える場合、ウェイストゲートバルブ1が全開状態となるように、電動モータMへの電力供給を制御する。
これによって、電動モータMのモータシャフト13が全開方向に回転する。これにより、モータトルクが、ピニオンギヤ14、中間ギヤ15、最終ギヤ16に伝達される。そして、最終ギヤ16からモータトルクが伝達されたプレートカム17が、最終ギヤ16の回転に伴って所定の回転角度(最終ギヤ16の作動角度と等しい回転角度)だけ全開方向に回転する。
【0067】
すると、ピボットピン20がカム溝18を摺動(滑動)して、カム溝18の全閉位置から全開位置まで移動することにより、ロッド4の第1ロッド24がコイルスプリング8を圧縮しながらロッド4の荷重作用方向のバルブ開側に直線移動する(押し出される)。すると、ロッド4の直線移動に伴って、第1ロッド24の第1連結部25、回転自在継手28(ソケット41、球面軸受、連結ピン42)および第2ロッド26の第2連結部27がロッド4の荷重作用方向のバルブ開側に直線移動する。
さらに、第2ロッド26の直線移動に伴って、第1ヒンジピン11がロッド4の荷重作用方向のバルブ開側にロッド4が直線移動することにより、リンクレバー3が第2ヒンジピン12を中心にして全開方向に回転する。すると、第2ヒンジピン12の回転に伴ってウェイストゲートバルブ1も第2ヒンジピン12を中心にして全開方向に回転する。これにより、ウェイストゲートバルブ1がバルブシートより離脱して全開状態となるため、ウェイストゲート流路が開放される。
この結果、エンジンからタービンハウジングの入口部に流入した排気ガスの一部がタービンインペラをバイパスするウェイストゲート流路を通ってタービンハウジングの出口部に排出される。これにより、タービンインペラに作用する排気エネルギーが減少し、タービンインペラの回転速度が低下するので、ターボチャージャの過回転が防止される。
また、過給圧または排気圧が過大とならないようになる。また、タービンインペラの過回転に伴うタービンインペラの破損等を防止される。
【0068】
ECUは、過給圧センサにより検出される過給圧が設定値よりも低下した場合、ウェイストゲートバルブ1が全閉状態となるように、電動モータMへの電力供給を制御する。
これによって、電動モータMのモータシャフト13が全閉方向に回転する。これにより、モータトルクが、ピニオンギヤ14、中間ギヤ15、最終ギヤ16、プレートカム17に伝達される。そして、プレートカム17が、最終ギヤ16の回転に伴って所定の回転角度だけ全閉方向に回転する。
すると、ピボットピン20がカム溝18を摺動(滑動)して、カム溝18の全開位置から全閉位置まで移動することにより、ロッド4の荷重作用方向のバルブ閉側にロッド4が直線移動する(引き戻される)。すると、ロッド4の直線移動に伴って第1ロッド24の第1連結部25、回転自在継手28(ソケット41、球面軸受、連結ピン42)および第2ロッド26の第2連結部27がロッド4の荷重作用方向のバルブ閉側に直線移動する。 さらに、第2ロッド26の直線移動に伴って、第1ヒンジピン11がロッド4の荷重作用方向のバルブ閉側に直線移動することにより、リンクレバー3が第2ヒンジピン12を中心にして全閉方向に回転する。すると、第2ヒンジピン12の回転に伴ってウェイストゲートバルブ1も第2ヒンジピン12を中心にして全閉方向に回転する。これにより、ウェイストゲートバルブ1がバルブシートに着座して全閉状態となるため、ウェイストゲート流路が閉鎖される。
【0069】
[実施例1の特徴1]
以上のように、本実施例の電動アクチュエータにおいては、図5に示したように、ウェイストゲートバルブ1のシャフト2と電動アクチュエータのロッド4との間に、ロッド4の直線運動をウェイストゲートバルブ1の回転運動に変換するリンク機構を設置している。このリンク機構は、一端側が第1ヒンジピン11を介してロッド4の第2ロッド26に連結し、且つ他端側が第2ヒンジピン12を介してウェイストゲートバルブ1のシャフト2に連結したリンクレバー3等によって構成されている。
【0070】
そして、本実施例のリンク機構は、ロッド4の軸線方向の中心線上(ロッド軸中心線RC上)の荷重作用方向(ストローク軸方向)と、リンクレバー3の作動角度の中心線(レバー全閉時中心線LCCとレバー全開時中心線LCOとの角度中心線)LCとが垂直に交差する位置関係(構成)となっている。
これによって、ウェイストゲートバルブ1の開閉によるロッド4の振れ角度が最も小さくなるので、ロッド4のストローク量が少ない設定の場合(ロッド4の振れ<ロッド4とスラスト軸受6との間のガタ)、仮に第1ロッド24と第2ロッド26とが一体部品で構成されている場合であっても、ロッド4がスラスト軸受6の貫通孔の内周をこじり、ロッド4、つまり電動アクチュエータが作動不能になる不具合の発生を抑えることができる。 また、ロッド4のストローク量が多い設定の場合には、回転自在継手28の摺動範囲を少なくすることができるため、回転自在継手28の信頼性を向上することができる。
【0071】
また、電動アクチュエータにおいては、リンク機構のリンクレバー3を介して、ウェイストゲートバルブ1に連結するロッド4にセンシング部9を一体的に設置している。そして、ストロークセンサSのホールICによってロッド4の第1ロッド24と一体で動くセンシング部9のストローク位置を検出しているので、電動アクチュエータの最終作動段であるロッド4のストローク位置を直接検出することができる。この結果、ロッド4のストローク位置の検出精度が向上するため、ロッド4のストローク量の制御性、つまりウェイストゲートバルブ1の開度制御の制御性を向上することができる。
また、ストロークセンサSのホールICで検出されるセンシング部9のストローク位置が、所定時間が経過しても設定された目標位置に到達または接近しない場合には、ロッド4または電動アクチュエータの故障(例えばウェイストゲートバルブ1またはロッド4の作動不能状態等)と判断することができる。つまりウェイストゲートバルブ1、ロッド4または電動アクチュエータの故障診断を実施できる。これにより、OBD要件を満足できる。
【0072】
また、本実施例の電動アクチュエータにおいては、ロッド4をそのストローク軸方向(往復移動方向)に支持するスラスト軸受6と、このスラスト軸受6の軸線方向と並行な方向に延長されたスライドシャフト7とを備えている。
そして、電動モータM、減速機構および変換機構によって、ウェイストゲートバルブ1を全閉位置から開弁位置(中間位置、全開位置を含む)にモータ駆動した際、あるいはウェイストゲートバルブ1を全開位置から閉弁位置(中間位置、全閉位置を含む)にモータ駆動した際に、スラスト軸受6の貫通孔の軸線方向とスライドシャフト7の軸線方向との2軸に沿ってロッド4を平行移動させることにより、スラスト軸受6とスライドシャフト7とでロッド4のストローク軸方向(往復移動方向)のガタと回転方向の振れとを規制することができる。したがって、ロッド4に一体的に設置したセンシング部9の動きが規制されるため、特にセンシング部9を「直線的」に移動させることができる。その結果、ロッド4のストローク位置の検出精度を向上することができる。
【0073】
ここで、第2ロッド26がそのストローク軸方向(往復移動方向)の一方側(例えばバルブ開き側またはバルブ閉じ側)にストロークしてリンクレバー3を回転させると、リンクレバー3の回転範囲に応じて第2ロッド26が振れる。例えば第2ロッド26がその中心軸線周りの回転方向に揺動する。
ここで、第1ロッド24と第2ロッド26とが一体部品の場合、第2ロッド26に振れが出ると、スラスト軸受6にラジアル方向の力が加わり(作用し)、第1ロッド24がスラスト軸受6の貫通孔の内周をこじり、第1ロッド24が作動不能になる可能性がある。
【0074】
そこで、本実施例の電動アクチュエータにおいては、ロッド4を、フォロワ19およびピボットピン20を介して、プレートカム17に連結する第1ロッド24と、リンクレバー3等のリンク機構を介して、ウェイストゲートバルブ1のシャフト2に連結する第2ロッド26とに分割して別体部品で構成している。
そして、第1ロッド24の第1連結部25と第2ロッド26の第2連結部27との間に、回転自在継手28を設置している。なお、回転自在継手28は、第1ロッド24の第1連結部25に連結されるソケット41、第2ロッド26の第2連結部27に連結される連結ピン42、およびソケット41と連結ピン42との間に設置された球面軸受等によって構成されている。
以上のように、第1ロッド24と第2ロッド26とを別体部品で構成し、第1ロッド24の第1連結部25と第2ロッド26の第2連結部27との間に、回転自在継手28を設置したことにより、第2ロッド26の振れを回転自在継手28の球面軸受により吸収することができる。これによって、第1ロッド24がスラスト軸受6の貫通孔の内周をこじり、第1ロッド24、つまり電動アクチュエータが作動不能になる不具合の発生を抑えることができる。
【0075】
[実施例1の特徴2]
ここで、電動アクチュエータにおいては、一般的に、ウェイストゲートバルブ1の全閉時または全開時に、ロッド4のピボットピン20を通じてフォロワ19の側面がプレートカム17のカム溝18の溝側面を押す力(バルブ反力)がモータ駆動による全閉作動時または全開作動時の負荷となる。
このロッド4からの荷重(バルブ反力)がプレートカム17を、ウェイストゲートバルブ1を閉じる側または開く側に回転させる方向に働くと、プレートカム17がバルブ全閉方向またはバルブ全開方向に回転する可能性があるので、ウェイストゲートバルブ1を全開位置または全閉位置で静止状態とするため、ウェイストゲートバルブ1の全開時または全閉時においても多くのモータ保持電流を必要とする。
【0076】
そこで、本実施例の電動アクチュエータにおいては、ウェイストゲートバルブ1の全開時および全閉時に、ロッド4の軸線方向の中心線上(ロッド軸中心線RC上)の荷重作用方向と、プレートカム17のカム溝18の溝側面とフォロワ19の側面との接触面上の共通接線T方向とが垂直に交差する位置関係(構成)となっている。
また、電動アクチュエータにおいては、ロッド軸中心線RC上に、プレートカム17の回転中心COおよびフォロワ19の回転中心FOがある位置関係(構成)となっている。 また、電動アクチュエータにおいては、ロッド4の荷重作用方向のバルブ全閉側を基準とした場合、つまりロッド4の荷重作用方向のバルブ全閉側に位置するフォロワ19を先頭にして、フォロワ19、プレートカム17の回転中心CO、ロッド4の第1ロッド24の中継部32、回転自在継手28、第2ロッド26の順に設置される位置関係(構成)となっている。
【0077】
以上のような構造によって、ウェイストゲートバルブ1の全開時および全閉時に、ロッド4を通じて、カム溝18に挿入されるフォロワ19がプレートカム17のカム溝18の溝側面を押す力がモータ駆動時の負荷となっているが、ロッド軸中心線RC上の荷重作用方向と、プレートカム17のカム溝18の溝側面とフォロワ19の側面との接触面上の共通接線T方向とが垂直に交差する位置関係となっているので、ロッド4からプレートカム17に伝わる荷重(バルブ反力)がプレートカム17を回転させる方向に働かないようになる。
したがって、ウェイストゲートバルブ1の全開時および全閉時に、ロッド4からプレートカム17に伝わる荷重(バルブ反力)に抗して、全開位置および全閉位置に静止状態でウェイストゲートバルブ1を保持するのに必要なモータ保持電流を共に低減できるので、消費電力を抑えることができる。
ここで、本実施例のように、ウェイストゲートバルブ1を全閉位置および全開位置に駆動する使用頻度の多い電動アクチュエータに適用した場合であっても、ウェイストゲートバルブ1の全閉時および全開時の消費電力(消費電流)を低減することができる。
【0078】
また、本実施例の電動アクチュエータにおいては、プレートカム17の回転中心COとフォロワ19の回転中心FOとを結ぶ直線と、プレートカム17の回転中心COと中間ギヤ15の回転中心CGOとを結ぶ直線とが略一致する位置関係(構成)となっている。
ここで、最終ギヤ16の回転軸とプレートカム17の回転軸とを共通化(同一部品で構成)した場合、最終ギヤ16の作動角度とプレートカム17の回転角度とが等しくなる。 このとき、プレートカム17の回転中心COとフォロワ19の回転中心FOとを結ぶ直線と、プレートカム17の回転中心(=最終ギヤ16の回転中心)COと中間ギヤ15の回転中心CGO(=中間ギヤ15の凸状歯63と最終ギヤ16の凸状歯65との噛み合い位置)とを結ぶ直線とが略一致する位置関係としたことにより、プレートカム17の作動軌跡の投影面内に最終ギヤ16の作動軌跡をほぼ一致させる(入れる)ことができる。したがって、プレートカム17の作動軌跡と最終ギヤ16の作動軌跡とが大きく異なる装置と比べて、電動アクチュエータの体格を小型化できるので、自動車等の車両のエンジンルームへの搭載性を向上することができる。
【実施例2】
【0079】
図6は本発明の実施例2を示したもので、EGRバルブを駆動する電動アクチュエータを示した図である。
【0080】
エンジンには、エンジンの排気ガス中に含まれる有害物質(NOx等)の低減を図るという目的で、エンジンの排気ガスの一部であるEGRガスを排気管から吸気管に還流させるための排気ガス還流管(EGRガスパイプ)を備えた排気ガス還流装置(EGR装置)が設置されている。EGRガスパイプの途中には、排気ガス流量制御弁が設置されている。
排気ガス流量制御弁は、EGRガスパイプの内部を流れるEGRガスの流量を可変制御するEGRバルブ67と、ロッド4のストローク量に応じてEGRバルブ67を開閉制御するバルブ駆動装置である電動アクチュエータとを備えている。
【0081】
EGRバルブ67は、EGRガスパイプの内部に設置されたバルブシート68に対して着座、離脱して排気ガス流路(EGRガス流路)69を閉鎖、開放する弁体である。
電動アクチュエータは、実施例1と同様に、ロッド4と、スラスト軸受6と、コイルスプリング8と、電動モータMと、減速機構(3つの減速ギヤ:ピニオンギヤ14、中間ギヤ15、最終ギヤ16)と、変換機構(プレートカム17、フォロワ19、ピボットピン20)と、これらを収容するアクチュエータケース(モータハウジング21、ギヤハウジング22、センサカバー23)とを備えている。
【0082】
ロッド4は、実施例1と異なり、入力部31および中継部32を有する第1ロッド24のみによって構成されている。第1ロッド24の中継部32の軸線方向の先端側(第1連結部25側)には、排気ガス流量制御弁の弁体であるEGRバルブ67が接続されている。このEGRバルブ67は、電動アクチュエータのロッド4の軸線方向(荷重作用方向)の先端に設置されたポペットバルブである。また、EGRバルブ67は、その円板状部(バルブ頭部)の背面側が、バルブシート68に着座するように構成されている。
なお、排気ガス流量制御弁を、排気管の排気通路とEGRガスパイプのEGRガス流路69との分岐部に設置しても良く、また、吸気管の吸気通路とEGRガスパイプのEGRガス流路69との合流部に設置しても良い。
【実施例3】
【0083】
図7ないし図10は本発明の実施例3を示したもので、図7および図8はウェイストゲートバルブ(ヒンジバルブ)の全閉時における電動アクチュエータの作動状態を示した図で、図9および図10はウェイストゲートバルブの全開時における電動アクチュエータの作動状態を示した図である。
【0084】
本実施例の減速機構の最終ギヤ16の表面上には、変換機構のリンクレバー70を回転自在に支持する第1ピボットピン71が嵌合する嵌合孔(図示せず)が形成されている。 電動アクチュエータのロッド4は、断面円形状の第1連結部25およびプレート状の第2連結部27等を有している。第1連結部25の軸線方向の一端側には、第2ピボットピン(変換機構の連結部)72が嵌合する嵌合孔33が形成されている。
ロッド4の第1連結部25には、第2ピボットピン72を介して、スライドシャフト7上をその軸線方向に往復移動(スライド)するスライドガイド5が連結されている。このスライドガイド5の第1連結部25と重なり合う部分には、第2ピボットピン72が嵌合する嵌合孔74が形成されている。
【0085】
スライドガイド5のセンシング部搭載面上には、センシング部9がモールド成形またはネジ締結固定によって一体的に設置されている。そして、センサカバー23には、センシング部9に対向するようにホールICを設置したストロークセンサSが搭載されている。 また、スライドガイド5の一方の側面からは、ガイドアーム75が外側に向けて突出している。このガイドアーム75には、スライドシャフト7の軸方向に貫通する軸受孔76が形成されている。この軸受孔76の孔壁面には、スライドシャフト7の外周に摺動自在に支持される2つのスラスト軸受77が圧入嵌合されている。このスラスト軸受77の内部には、スライドシャフト7の軸方向に貫通する貫通孔(摺動孔)が形成されている。
【0086】
また、スライドシャフト7の外周には、スラスト軸受77を介して、スライドガイド5に一体的に形成されたガイドアーム75を、ロッド4のストローク軸方向(往復移動方向)と平行な方向に誘導することができる。
また、ギヤハウジング22の円筒部78には、ロッド4がその軸線方向に貫通する軸受孔79が形成されている。なお、図7ないし図10の軸受孔79には、実施例1及び2と異なり、ロッド軸受(スラスト軸受6)が装着されていないが、軸受孔79の孔壁面にロッド4とのガタを許容しつつ、ロッド4をその軸線方向に摺動自在に支持する軸受を設置しても良い。
【0087】
本実施例の減速機構は、実施例1及び2と同様に、ピニオンギヤ14、中間ギヤ15および最終ギヤ16等によって構成されている。なお、中間ギヤシャフト53の中心軸線は、中間ギヤ15の回転中心を構成している。また、最終ギヤシャフト54の中心軸線は、最終ギヤ16の回転中心を構成している。
本実施例の変換機構は、一端側が最終ギヤ16に連結し、且つ他端側がロッド4に連結したリンクレバー70等を有している。
ここで、最終ギヤ16の嵌合孔には、その最終ギヤ16の表面側に突出するように第1ピボットピン71が固定(または一体的に形成)されている。
また、ロッド4の嵌合孔33には、第1ピボットピン71と同一方向に突出した第2ピボットピン72が一体的に形成(または固定)されている。
リンクレバー70の一端側には、第1ピボットピン71が貫通する第1ピン挿通孔81が形成されている。また、リンクレバー70の他端側には、第2ピボットピン72が貫通する第2ピン挿通孔82が形成されている。そして、リンクレバー70は、第1ピボットピン71の外周に回転自在に支持されている。また、リンクレバー70は、第2ピボットピン72の外周に回転自在に支持されている。
【0088】
ここで、電動アクチュエータ、特にリンクレバー70等の変換機構は、スライドガイド5が設置されていない場合であっても、往復スライダリンクとして作動するが、実施例1で説明したように、リンク機構のリンクレバー(ロッド4の第2連結部27とウェイストゲートバルブ1のシャフト2とを連結するレバー)3の回転範囲に対応してロッド4の第1、第2連結部25、27に振れが生じる。そして、ロッド4のストローク位置(動き)を検出するように、ロッド4にセンシング部9を一体的に設置した場合、ロッド4の第1、第2連結部25、27の振れがストロークセンサSのホールICの検出精度に影響を及ぼす可能性がある。
【0089】
そこで、本実施例の電動アクチュエータにおいては、ロッド4の第1、第2連結部25、27のストローク軸方向(往復移動方向)と並行な方向にスライドシャフト7を設置し、且つ第2ピボットピン72を介して、ロッド4の第1連結部25に連結するスライドガイド5をスライドシャフト7上に設置し、更に、スライドガイド5のセンシング部搭載面上にセンシング部9を一体的に設置することにより、スライドシャフト7上をスライドガイド5がスライドシャフト7の軸線方向に往復移動(スライド)する。この結果、ロッド4の振れの影響を受けることなく、ストロークセンサSのホールICによって、センシング部9のストローク位置を検出することで、ホールICからのセンサ出力信号を入力するECUにおいてロッド4のストローク位置(動き)を精度良く検出することが可能となるので、ストロークセンサSの検出精度を向上することができる。これにより、ロッド4のストローク量の制御性、ウェイストゲートバルブ1の開度制御を向上することができる。
【0090】
また、本実施例の電動アクチュエータにおいても、実施例1と同様に、ウェイストゲートバルブ1のシャフト2と電動アクチュエータのロッド4との間に設置されるリンク機構の構成が、ロッド4の軸線方向の中心線(ロッド軸中心線RC)と、リンクレバー3の作動角度の中心線LCとが垂直に交差する位置関係となっている(図5参照)。
【実施例4】
【0091】
図11は本発明の実施例4を示したもので、ウェイストゲートバルブ(ヒンジバルブ)の全閉時における電動アクチュエータの作動状態を示した図である。
【0092】
本実施例の電動アクチュエータは、実施例3と同様に、第2ピボットピン72を介して、ロッド4の第1ロッド24に連結するスライドガイド5を備えている。
本実施例の変換機構は、実施例3と同様に、減速機構の最終ギヤ16の回転をロッド4、スライドガイド5およびセンシング部9の直線運動(ストローク軸方向の往復移動)に変換するリンクレバー70等を有している。
また、電動アクチュエータは、実施例1と同様に、ロッド4の第1ロッド24をそのストローク軸方向(往復移動方向)に摺動自在に支持するスラスト軸受6と、このスラスト軸受6の貫通孔の軸線方向と並行な方向に延長されたスライドシャフト7とを備えている。
【0093】
スラスト軸受6は、ギヤハウジング22のベアリングホルダ47の軸受孔48の孔壁面に圧入嵌合されている。また、スライドシャフト7は、ギヤハウジング22の嵌合部49の嵌合孔50の孔壁面に圧入嵌合されている。
以上のように、本実施例の電動アクチュエータにおいては、実施例3の構成に、スラスト軸受6を追加している。これにより、スライドガイド5、スラスト軸受6およびスライドシャフト7によって、ロッド4とスライドガイド5とのスライド方向(ストローク軸方向)の振れおよびロッド4の回転方向の振れを規制できるので、実施例1と同様に、ストロークセンサSのホールICの検出精度(センシング精度)を向上することができる。
【0094】
ここで、実施例1でも説明したように、ロッド4の第2ロッド26がそのストローク軸方向(往復移動方向)の一方側にストロークしてリンクレバー3を回転させると、リンクレバー3の回転範囲に応じて第2ロッド26が振れる。そして、第2ロッド26に振れが出ると、スラスト軸受6にラジアル方向の力が加わり(作用し)、第1ロッド24がスラスト軸受6の貫通孔の内周をこじり、第1ロッド24が作動不能になる可能性がある。
そこで、本実施例の電動アクチュエータは、実施例1と同様に、ロッド4を第1ロッド24および第2ロッド26の別体部品で構成し、更に、第1ロッド24の第1連結部25と第2ロッド26の第2連結部27との間に回転自在継手28を設置している。なお、回転自在継手28は、実施例1と同様に、ソケット41、連結ピン42および球面軸受等によって構成されている。
したがって、第2ロッド26の振れを回転自在継手28の球面軸受により吸収することができるので、第1ロッド24がその軸心を中心にした軸心周りの回転方向に振れなくなる。これによって、第1ロッド24がスラスト軸受6の貫通孔の内周をこじり、第1ロッド24、つまり電動アクチュエータが作動不能になる不具合の発生を抑えることができる。
【0095】
また、本実施例の電動アクチュエータにおいても、実施例1及び3と同様に、ウェイストゲートバルブ1のシャフト2と電動アクチュエータのロッド4との間に設置されるリンク機構の構成が、ロッド4の軸線方向の中心線(ロッド軸中心線RC)と、リンクレバー3の作動角度の中心線LCとが垂直に交差する位置関係となっている(図5参照)。
これによって、ウェイストゲートバルブ1の開閉によるロッド4の振れ角度が最も小さくなるので、ロッド4のストローク量が少ない設定の場合(ロッド4の振れ<ロッド4とスラスト軸受6との間のガタ)、仮に第1ロッド24と第2ロッド26とが一体部品で構成されている場合であっても、ロッド4がスラスト軸受6の貫通孔の内周をこじり、ロッド4、つまり電動アクチュエータが作動不能になる不具合の発生を抑えることができる。 また、ロッド4のストローク量が多い設定の場合には、回転自在継手28の摺動範囲を少なくすることができるため、回転自在継手28の信頼性を向上することができる。
【0096】
[変形例]
本実施例では、本発明のバルブ駆動装置として、ウェイストゲートバルブ1を開閉制御するウェイストゲートバルブ制御用の電動アクチュエータに適用しているが、本発明のバルブ駆動装置として、ロッドが往復直線運動し、レバーを介してバルブの回転運動に変換され、バルブの開閉状態を制御する可変容量ターボチャージャ制御用の電動アクチュエータに適用しても良い。
【0097】
また、本実施例では、バルブ駆動装置により駆動されるバルブ構造として、ヒンジバルブまたはポペットバルブを採用している。つまりバルブ駆動装置により駆動されるバルブ構造に関係なく、電動アクチュエータ等のバルブ駆動装置として構成できる。なお、ウェイストゲートバルブ1およびEGRバルブ67の他に、流体流量を制御する流量制御バルブ制御用の電動アクチュエータ等のバルブ駆動装置としても使用できる。例えばウェイストゲートバルブ1の開度を連続的または段階的に変更することで、ウェイストゲート流路を通る排気ガスの流量を調整して過給圧を制御するようにしても良い。
また、エンジンとして、ディーゼルエンジンだけでなく、ガソリンエンジンを用いても良い。
【符号の説明】
【0098】
M 電動モータ(動力源)
S ストロークセンサ(ロッドストローク検出手段)
1 ウェイストゲートバルブ
2 ウェイストゲートバルブのシャフト
3 リンク機構のリンクレバー
4 電動アクチュエータのロッド
5 スライドガイド
6 スラスト軸受(ロッド軸受)
7 スライドシャフト
8 コイルスプリング(ロッド(バルブ)付勢手段)
9 センシング部(ロッドストローク検出手段)
11 リンク機構の第1ヒンジピン
12 リンク機構の第2ヒンジピン
14 減速機構のピニオンギヤ
15 減速機構の中間ギヤ(第1ギヤ)
16 減速機構の最終ギヤ(第2ギヤ)
17 変換機構のプレートカム
18 プレートカムのカム溝
19 変換機構のフォロワ
20 変換機構のピボットピン(ロッドの支軸)
24 第1ロッド
26 第2ロッド
28 回転自在継手
70 変換機構のリンクレバー
71 変換機構の第1ピボットピン
72 変換機構の第2ピボットピン(連結部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に往復移動するロッドを備え、
前記ロッドの軸線方向と同一方向であるストローク軸方向への移動量に応じてバルブの開閉制御を行うバルブ駆動装置において、
動力源であるモータの回転を減速する減速機構と、
この減速機構の回転運動を前記ロッドの直線運動に変換する変換機構と、
前記ロッドに一体的に設置されたセンシング部、およびこのセンシング部のストローク位置を検出するセンサを有するロッドストローク検出手段と
を備えたことを特徴とするバルブ駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブ駆動装置において、
前記変換機構は、
前記バルブの動作パターンに対応した形状のカム溝を有し、前記減速機構の回転に伴って回転するカムと、
前記カム溝に移動自在に挿入されるフォロワと
を備えたことを特徴とするバルブ駆動装置。
【請求項3】
請求項2に記載のバルブ駆動装置において、
前記ロッドは、前記フォロワを回転自在に支持する支軸を有し、一端側が前記フォロワおよび前記支軸を介して前記カムに連結し、他端側が前記バルブに連結することを特徴とするバルブ駆動装置。
【請求項4】
請求項3に記載のバルブ駆動装置において、
前記バルブの全閉時または全開時に、前記ロッドの軸線方向の中心線上の荷重作用方向と、前記カムと前記フォロワとの接触面上の共通接線方向とが垂直に交差する位置関係となっていることを特徴とするバルブ駆動装置。
【請求項5】
請求項4に記載のバルブ駆動装置において、
前記ロッドの軸線方向の中心線上に、前記カムの回転中心および前記フォロワの回転中心がある位置関係となっていることを特徴とするバルブ駆動装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載のバルブ駆動装置において、
前記減速機構は、前記モータによって回転駆動される第1ギヤ、およびこの第1ギヤと噛み合って回転する第2ギヤを有していることを特徴とするバルブ駆動装置。
【請求項7】
請求項6に記載のバルブ駆動装置において、
前記ロッドの荷重作用方向のバルブ全閉側を基準とした場合、前記フォロワ、前記カムの回転中心、前記ロッドの順に設置される位置関係となっていることを特徴とするバルブ駆動装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載のバルブ駆動装置において、
前記カムの回転中心と前記フォロワの回転中心とを結ぶ直線と、前記カムの回転中心と前記第1ギヤの回転中心とを結ぶ直線とが略一致する位置関係となっていることを特徴とするバルブ駆動装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1つに記載のバルブ駆動装置において、
前記ロッドストローク検出手段は、前記ロッドのストローク軸方向と並行な方向に前記センシング部のストローク検出方向を有していることを特徴とするバルブ駆動装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のうちのいずれか1つに記載のバルブ駆動装置において、
前記ロッドをそのストローク軸方向に支持するロッド軸受と、このロッド軸受の軸線方向と並行な方向に延長されたスライドシャフトとを備え、
前記変換機構は、前記バルブを全閉位置から開弁位置にモータ駆動した際、あるいは前記バルブを全開位置から閉弁位置にモータ駆動した際に、前記ロッド軸受と前記スライドシャフトとの2軸に沿って前記ロッドを平行移動させることを特徴とするバルブ駆動装置。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のうちのいずれか1つに記載のバルブ駆動装置において、
前記バルブとは、前記ロッドのストローク軸方向の先端側に設置されるポペットバルブのことであることを特徴とするバルブ駆動装置。
【請求項12】
請求項1ないし請求項10のうちのいずれか1つに記載のバルブ駆動装置において、
前記ロッドと前記バルブとの間に設置されて、前記ロッドの直線運動を前記バルブの回転運動に変換するリンク機構を備え、
前記リンク機構は、前記ロッドと前記バルブとを連結するレバーを有し、
前記ロッドは、前記レバーを回転自在に支持する第1ヒンジピンを有し、
前記バルブは、前記レバーを回転自在に支持する第2ヒンジピンを有し、
前記バルブとは、前記第1ヒンジピン、前記レバーおよび前記第2ヒンジピンを介して、前記ロッドのストローク軸方向の先端側に連結されるヒンジバルブのことであることを特徴とするバルブ駆動装置。
【請求項13】
請求項12に記載のバルブ駆動装置において、
前記ロッドは、前記変換機構に連結する第1ロッド、および前記バルブに連結する第2ロッドを有し、
前記第1ロッドをそのストローク軸方向に支持するロッド軸受と、
前記第1ロッドと前記第2ロッドとを連結する回転自在継手と
を備えたことを特徴とするバルブ駆動装置。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載のバルブ駆動装置において、
前記ロッドのストローク軸方向の中心線と、前記レバーの作動角度の中心線とが垂直に交差する位置関係となっていることを特徴とするバルブ駆動装置。
【請求項15】
軸線方向に往復移動するロッドを備え、
前記ロッドの軸線方向と同一方向であるストローク軸方向への移動量に応じてバルブの開閉制御を行うバルブ駆動装置において、
動力源であるモータの回転を減速する減速機構と、
前記ロッドに連結する連結部を有し、前記減速機構の回転運動を前記ロッドの直線運動に変換する変換機構と、
前記ロッドのストローク軸方向と並行な方向に延長されたスライドシャフトと、
前記連結部を介して前記ロッドに連結すると共に、前記スライドシャフト上をスライドするガイドと、
このガイドに一体的に設置されたセンシング部、およびこのセンシング部のストローク位置を検出するセンサを有するロッドストローク検出手段と
を備えたことを特徴とするバルブ駆動装置。
【請求項16】
請求項15に記載のバルブ駆動装置において、
前記ロッドをそのストローク軸方向に支持するロッド軸受を備え、
前記スライドシャフトは、前記ロッド軸受の軸線方向と並行な方向に延長されており、 前記変換機構は、前記バルブを全閉位置から開弁位置にモータ駆動した際、あるいは前記バルブを全開位置から閉弁位置にモータ駆動した際に、前記ロッド軸受と前記スライドシャフトとの2軸に沿って前記ロッドおよび前記ガイドを平行移動させることを特徴とするバルブ駆動装置。
【請求項17】
請求項15または請求項16に記載のバルブ駆動装置において、
前記減速機構は、前記モータによって回転駆動される第1ギヤ、およびこの第1ギヤと噛み合って回転する第2ギヤを有していることを特徴とするバルブ駆動装置。
【請求項18】
請求項17に記載のバルブ駆動装置において、
前記減速機構は、前記第2ギヤの外側に突出した第1ピボットを有し、
前記連結部は、前記第1ピボットと同一方向に突出した第2ピボットであって、
前記変換機構は、一端側が前記第1ピボットに回転自在に支持され、他端側が前記第2ピボットに回転自在に支持されたリンクレバーを有していることを特徴とするバルブ駆動装置。
【請求項19】
請求項15ないし請求項18のうちのいずれか1つに記載のバルブ駆動装置において、 前記バルブとは、前記ロッドのストローク軸方向の先端側に設置されるポペットバルブのことであることを特徴とするバルブ駆動装置。
【請求項20】
請求項15ないし請求項18のうちのいずれか1つに記載のバルブ駆動装置において、 前記ロッドと前記バルブとの間に設置されて、前記ロッドの直線運動を前記バルブの回転運動に変換するリンク機構を備え、
前記リンク機構は、前記ロッドと前記バルブとを連結するレバーを有し、
前記ロッドは、前記レバーを回転自在に支持する第1ヒンジピンを有し、
前記バルブは、前記レバーを回転自在に支持する第2ヒンジピンを有し、
前記バルブとは、前記第1ヒンジピン、前記レバーおよび前記第2ヒンジピンを介して、前記ロッドのストローク軸方向の先端側に連結されるヒンジバルブのことであることを特徴とするバルブ駆動装置。
【請求項21】
請求項20に記載のバルブ駆動装置において、
前記ロッドは、前記変換機構に連結する第1ロッド、および前記バルブに連結する第2ロッドを有し、
前記第1ロッドをそのストローク軸方向に支持するロッド軸受と、
前記第1ロッドと前記第2ロッドとを連結する回転自在継手と
を備えたことを特徴とするバルブ駆動装置。
【請求項22】
請求項20または請求項21に記載のバルブ駆動装置において、
前記ロッドのストローク軸方向の中心線と、前記レバーの作動角度の中心線とが垂直に交差する位置関係となっていることを特徴とするバルブ駆動装置。
【請求項23】
請求項1ないし請求項22のうちのいずれか1つに記載のバルブ駆動装置において、
前記センシング部は、磁性体を含んで構成されており、
前記センシング部に近接する部品は、非磁性体によって構成されており、
前記センサは、前記センシング部のストローク位置に対応して磁石が発生する磁場が変化し、この磁場の変化を検出する非接触式の磁気検出素子を有していることを特徴とするバルブ駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−247398(P2011−247398A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124348(P2010−124348)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】