説明

パターン評価方法、パターン位置合わせ方法およびプログラム

【課題】 短時間でかつ高い精度でパターンの形状評価及び位置合わせを行なう。
【解決手段】 検査パターンの輪郭データと設計パターンの距離変換データとの演算により距離輪郭データを生成し、この距離輪郭データに基づいて形状一致度を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン評価方法パターン位置合わせ方法およびプログラムに関し、例えば製品の形状検査を対象とする。
【背景技術】
【0002】
検査対象であるパターン(以下、検査パターンという)の形状をその基準図形との相違を指標として用いることにより評価する方法が様々な工業分野で広く採用されている。例えば、半導体のデバイスパターンの評価には、パターンの検査画像としてSEM(Scanning Electron Microscope)画像とその設計データであるCAD(Computer Aided Design)データとを用いて、デバイスパターンの加工形状とその設計形状との相似度を算出し、パターンの良否を判定するということが行われている。以下、このような従来の評価方法の一例について説明する。
【0003】
まず、検査画像であるSEM画像から検査パターンの輪郭を検出する。また、設計パターンとして、CAD図形がGDSII等のバイナリファイルで与えられている場合は、それを二値画像として展開することにより、同様にして設計パターンの輪郭情報を検出する。
【0004】
次に、上記SEM画像と二値画像との画像照合により両者のパターンの位置検出を行なう。具体的には両パターンの相対的位置を所定の態様で徐々に変更し、そのときの相違度または類似度をその都度算出し、その値が最大または最小になる位置を検出する。相違度としては、相互相関や画像の明るさを正規化した正規化相関等のパラメータが一般的に用いられている。上記の画像マッチングにより、SEM画像の輪郭とCAD図形とを重ね合わせる。
【0005】
続いて、重ね合わされたパターンに一つまたは幾つかのROI(Region of interest)を設定し、そのROI内での両パターンの輪郭間の寸法を計測する。このようにして得られた一つまたは幾つかの寸法値を、別途定めた規格に照合することにより検査パターンの合否を判定する。
【0006】
しかしながら、上述した従来技術には以下のような問題があった。
【0007】
まず、検査パターンの輪郭とCAD図形との重ね合わせの正否がパターン形状に依存するので、異なる形状のパターン同士では一致度を比較することは困難であった。また、画像照合およびパターンの相違度計算という二つの画像処理を連続して実行する必要があるため、計算に時間がかかり、ひいてはパターン形状評価のコストを押し上げるという問題があった。さらに、画像マッチングに使用する閾値については明確な基準が無く、その設定は、現状では作業者の経験に依存している。
【特許文献1】特開平10−163283号公報
【特許文献2】特開2002−183235号公報
【特許文献3】特開2000−232057号公報
【特許文献4】特開平10−270332号公報
【特許文献5】特開2000−275010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、短時間でかつ高い精度でパターンの形状評価および位置合わせを行なうことにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の手段により上記課題の解決を図る。
即ち、本発明によれば、
検査対象パターンの輪郭点を含む形状データである輪郭データから第1の配列データを生成する手順と、
前記検査対象パターンの検査基準となる基準パターンの輪郭点を含む前記基準パターンの輪郭データから第2の配列データを生成する手順と、
前記第2の配列データの構成要素の値を、その構成要素から最も近い輪郭点までの距離の値の関数値に変換する処理である配列変換処理を前記第2の配列データの各構成要素について行なうことにより、第3の配列データを生成する手順と、
前記第1の配列データと前記第3の配列データとの間で演算処理を実行して第4の配列データを生成する手順と、
前記第4の配列データの構成要素を用いて前記検査対象パターンと前記基準パターンとの一致の度合いを与える数値を算出する手順と、
を備えるパターン評価方法が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、
検査対象パターンの画像である第1の画像を取得し、前記第1の画像から前記検査対象パターンの輪郭点を含む形状データである輪郭データを検出し、検出した前記輪郭データから第1の配列データを生成する手順と、
前記検査対象パターンの検査基準となる基準パターンの輪郭点を含む形状データである輪郭データから第2の配列データを生成する手順と、
前記第2の配列データの構成要素の値を、その構成要素から最も近い輪郭点までの距離の値の関数値に変換する処理である配列変換処理を前記第2の配列データの各構成要素について行なうことにより、第3の配列データを生成する手順と、
前記第1の配列データと前記第3の配列データとの間で演算処理を実行して第4の配列データを生成する手順と、
前記第4の配列データの構成要素の値の大きさに応じて設定されたカラーテーブルを参照してインデックスカラーをマッピングすることにより前記第4の配列データを第2の画像に変換する手順と、
前記第1の画像に前記第2の画像を重ね合わせて表示する手順と、
を備えるパターン評価方法が提供される。
【0011】
また、本発明によれば、
検査対象パターンの輪郭点を含む形状データである輪郭データから第1の配列データを生成する手順と、
前記検査対象パターンの検査基準となる基準パターンの輪郭点を含む前記基準パターンの輪郭データから第2の配列データを生成する手順と、
前記第2の配列データの構成要素の値を、その構成要素から最も近い輪郭点までの距離の値の関数値に変換する処理である配列変換処理を前記第2の配列データの各構成要素について行なうことにより、第3の配列データを生成する手順と、
前記第1の配列データと前記第3の配列データとの間で演算処理を実行して第4の配列データを生成する手順と、
前記第4の配列データの構成要素を用いて前記検査対象パターンと前記基準パターンとの一致の度合いを与える数値を算出する手順と、
算出された前記数値と、設定された基準とに基づいて前記検査対象パターンと前記基準パターンとの位置合せを実行する手順と、
を備えるパターン位置合せ方法が提供される。
【0012】
さらに、本発明によれば、上述したパターン評価方法をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、短時間でかつ高い精度でパターンの形状評価および位置合わせを行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明では、リソグラフィー工程やエッチング工程等の半導体の製造工程で形成される微細パターンの形状検査を適宜取り上げる。しかしながら、本発明はこれらの場合に限定されることなく、他の様々な産業分野におけるパターン形状検査全般に適用可能である点に留意されたい。
【0015】
(1)第1の実施の形態
図1は本発明の第1の実施の形態の概略手順を説明するブロックチャートである。また、図2は、図1に示すパターン評価方法の評価対象である検査パターンの検査画像の一例を示す図である。さらに、図3は、図2に示す検査パターンの基準パターンとしての設計データに基づくパターン(以下、単に「設計パターン」という)の一例を示す図である。本実施形態では、基準パターンとして設計データを用いるが、基準パターンはこれに限ることなく、例えば良品と判定された製品パターンの画像を用いても良い。この場合は検査画像について後述するように、輪郭を検出する処理が必要である(B14)。
【0016】
以下、図2に示す検査画像の輪郭を図3に示す設計パターンに照合してそのパターン形状を評価する場合を例に取り上げて説明する。ここで、図2に示す検査画像の位置は何らかの手段で設計データを基準に設定されているものとする。この位置合わせの方法としては例えば検査パターンと設計パターンとの相関マッチングを用いる方法や、より単純には重心を一致させる方法等、様々な方法が考えられる。いずれの位置合わせの方法を採用する場合でも、パターン評価の目的に適合した位置合わせを実行することが重要である。
【0017】
以下では、汎用的な説明のために、画像データを配列データとして扱っている。グレイスケール画像の場合、画像データのピクセル座標が配列データのポインタアドレスに、画像データの階調値が配列データの要素値に対応している。画像データと配列データの違いは、画像データの階調値には規格化された0および自然数の値のみが許されるのに対し、配列データの要素値には負数や小数を含むあらゆる数値が許されるという点である。本明細書において単に「配列」というときは、配列データのデータ構造を意味しており、一般的には2次元の配列が用いられる。しかしながら、ビットプレーン(bit plane)方式の2次元配列や1次元配列等、計算を実行するプログラミング言語やコンピュータシステムに応じて最適なデータ構造を採用すれば良い。
【0018】
まず、図1に示すように、コンピュータに検査画像および設計データを読み込む(B2,B12)。次に、検査画像中で検査パターンに対応するROIを指定して、検査パターンの全周囲にわたって輪郭Es2を検出する。輪郭Es2(図2参照)の検出は閾値法や直線近似法、およびその他のどのような方法を用いても良い。輪郭点もサブピクセルの分解能で検出する必要があり、図2の画像サイズを100×100ピクセルとすると、1/10ピクセルのサンプリング分解能で検出された輪郭データは輪郭点位置に値1を、それ以外には値0を持つ1000×1000の配列Aとしてコンピュータの記憶装置に格納される。
【0019】
設計データ(図3の設計パターンEr2を参照)がバイナリデータとして与えられている場合は、それを図形にレンダリングして、設計パターンの輪郭データを輪郭点位置に値1を、それ以外の位置に値0を持つ配列Bとして求める(図1、B16)。この際、検査画像の倍率を基にして、設計データEr2の縮尺が決定される。後述するパターン評価をサブピクセルの精度で実施する場合には、配列Aに合わせた輪郭点検出のサンプリング分解能を採用し、例えば1000×1000の配列として配列Bをコンピュータの記憶装置に格納する必要がある。しかしながら、必ずしも配列Aのサイズに合わせる必要はなく、例えば、配列Bのサイズが500×500であっても良い。むしろ、計算速度向上のためには、配列A、配列Bともに適度なサンプリング分解能を選択する必要がある。
【0020】
次に、配列Bに配列変換処理を実行して配列Cを生成する(図1、B18)。本実施形態において、配列変換処理とは、配列Bの各要素から値1を持つ要素までの最短距離を距離値としてその要素の値に代入するという変換処理をいう。本実施形態ではユークリッド距離を距離値と定義して配列変換処理を実行する。距離値は様々に定義することができ、ユークリッド距離の他、例えば4近傍距離(City Block)、8近傍距離(Chessboard)、八角形距離、準ユークリッド距離を用いることができる。距離値は整数でないためこのままでは画像として扱えないが、例えば距離値を8ビット値に規格化して配列変換画像を生成することが可能である。図3に示す設計パターンEr2に対してこのような画像変換処理を実行した配列Cを図4に模式的に示す。同図中、明るい箇所が距離値0、即ち輪郭を示す。図4では、暗い階調に移っていくに従って輪郭線から離隔していく、即ち、距離値が大きくなっていく様子が示されている。パターン評価の精度があまり要求されない場合は、この配列変換画像を用いてこの後の処理を進めていくことで計算時間の短縮が期待できる。しかしながら、高精度のパターン評価が要求される場合には、この段階では配列変換処理の結果を配列データCとして扱う。
【0021】
図1に戻り、配列Aと配列Cとでサンプリング分解能が異なっている場合、分解能の小さい配列に合わせて分解能の大きい配列をサブ配列に分割する必要があるが(B22)、本実施形態ではサンプリング分解能は同一とする。また、配列Aのサイズが配列Bのサイズよりも大きい場合は、配列Aのサイズを配列Bのサイズに揃えることも必要であるが(B22)、本実施形態では配列サイズもまた同一とする。以上の条件の下で、配列Aと配列Cとの互いに対応するポインタ位置の要素間で積を取り、その結果を同じサイズの配列Dの同じポインタ位置に移す(B24)。このようにして生成された配列Dは配列データとして正負の符号を含んだ数値を保持している。
【0022】
続いて、配列Dの要素の合計Sを求める(B26)。この合計値Sは検査パターン形状の設計パターンからの距離の総和であり、両者のパターンの一致度を表わしている。例えば、検査パターンの形状が設計パターンと全く同一であればSの値は0となり、設計パターンから外れるに従ってSの値は増大する。
【0023】
上述した手順により、例えば、2つの異なる検査パターンのうち、どちらが設計されたパターンに近いかを定量的に判定することができる。また、Sの閾値を設定し、検査パターンの設計パターンとの一致度によって検査パターンの合否を判定することも可能である(B28)。
【0024】
本実施形態によれば、極めて短時間で上記評価および位置合せを行なうことができるので、処理に用いるCPU(Central Processing Unit)のリソースの効率を高めることができる。
【0025】
(2)第2の実施の形態
前述した第1の実施の形態では、検査パターンと基準パターンとの一致度Sを算出したが、本実施形態では上記一致度Sを算出する以外に、検査パターンがその設計パターンとどれだけ一致しかつどのように一致しているか(していないか)を、配列Dを画像に変換して検査画像に重ねて表示することにより視覚的に表示する方法について説明する。
【0026】
上記第1の実施の形態で説明したように、配列データDには要素として距離値が入っているためこのままでは画像として表示することができない。また、1/10画素の精度で輪郭が検出されているためにこのままでは検査画像と単純に重ね合わせることもできない。このため、10×10の領域を単位として配列を分割して画素を定義し、その領域の合計を8ビットの整数値にさらに変換してその値を画素値とした画像変換処理を実行する。目視による把握をさらに容易にするために、適切なカラーテーブルを参照して8ビットのグレイスケールをインデックスカラー画像へと変換し、検査画像と重ね合わせて表示する。このような変換処理を行なったインデックスカラー画像と検査画像とを重ね合わせた画像の一例を図5に模式的に示す。同図のような表現態様では、輪郭点は1画素を単位としているため、正確な輪郭位置を表現することはできないが、輪郭のどの部分が設計データからどの程度外れているかを容易に把握することができる。図5に示す重ね合わせ画像Img4では、符号R(赤色)で指示する部分が設計パターンに近く、Y(黄色)→G(黄緑色)…と波長が短い色を表わす符号になるにつれて、設計パターンから離れていくことが表現されている。
【0027】
本実施形態では、配列データDを最終的に画像変換して画像として表示したが、高い形状評価精度がそれほど要求されない場合は、検査パターンおよび設計パターンの輪郭、さらに配列変換処理結果を画像として取り扱えば、配列データDははじめから距離輪郭画像として与えられる。
【0028】
(3)第3の実施の形態
画像データを配列データとして容易に一般化できる。以下では説明を簡単にするために配列データを画像データとして扱う。従って、配列のポインタ座標は画像の画素座標に、配列値は画像の階調値として記述される。また設計データは事前に設計パターンにレンダリングしてあるものとする
上述した第1および第2の実施の形態では検査パターンと設計パターンとの相対的位置は正規化相関法等によって定められており、その位置関係における形状の一致度を評価したが、例えば配列Dの要素の合計Sなど、得られた一つまたは複数の数値を一定の基準に照合することにより最適な位置関係を求めても良い。そのためには検査パターンと設計パターンとの相対的位置を走査して上記第1の実施の形態で述べた手順を繰り返し、
1)要素値の合計
2)要素値の分散
3)要素値が0である要素の数
等の数値を相対位置毎に求める。これにより、例えば、要素値の合計を最小にする相対位置を求めれば、検査パターンと設計パターンの位置合わせを実施することが可能になる。この位置合わせ結果は通常の相関マッチングによる結果とは異なる場合もあり、検査目的によっては本実施形態の方法による位置合わせ結果の方が好ましい場合がある。その他のルールを適応すれば、さらに多様な要求に対応することが可能である。
【0029】
(4)第4の実施の形態
本実施形態では設計データに重みが取り込まれている場合について説明する。この重みは、検査の際にオペレータが入力しても良いし、設計データに予め入力されていて、それをパターンにレンダリングする際にコンピュータが読み取ることとしてもかまわない。いずれにせよ、指定された設計パターンの、例えば辺またはコーナ等のパターン構成要素の配列変換処理の影響を、指定された重みで取り込んで計算することにより、異なる結果が得られる。
【0030】
(5)第5の実施の形態
本実施形態では設計データに許容寸法の最小値と最大値とが入っている場合について説明する。具体的手順は上述した第1の実施の形態と実質的に同一であるので、処理結果を図6乃至図9に示す。即ち、図6は、図2に示す検査画像と同一の検査画像を再掲したものであり、図7は、許容寸法の最小値(Er4a)と最大値(Er4b)とを含む設計パターンを示す。これらの最小値(Er4a)と最大値(Er4b)は、例えば上限値対応配列データおよび下限値対応配列データにそれぞれ対応する。図8は、図7の設計パターンに画像変換処理を実行して得られた配列を示す図である。さらに、図9は、図7に示す配列のインデックスカラー画像と検査画像とを重ね合わせた画像の一例を模式的に示す。
【0031】
(6)第6の実施の形態
本実施形態の特徴は、上述した第3の実施の形態において、ある位置関係における検査パターンと設計パターンとの形状の一致度を表わす一つまたは複数の数値(例えば配列Dの要素の合計S)を一定の基準に照合して最適な位置関係を求める際に、関数式を用いて算出可能な値を新たな距離値として採用する点にある。
【0032】
検査パターンの形状が複雑である場合の他、良品と判定された製品パターンを基準パターンとする場合で製品パターンの撮像画像の倍率が小さかった場合では、基準パターンの輪郭の密度が大きくなり、そのため、配列変換処理により生成される配列データの要素がほとんど一様になってしまう。その結果、位置合せの精度が低くなるという問題が発生する。本実施形態は、このような場合に、基準パターン内での形状の差異を誇張して明確化するために、次式で算出される値を新たな距離値として定義した上で配列データを生成する。
A×exp(−C×D) …式(1)
ここで、Aは任意の値であり、Cは指数関数の減衰パラメータとしての定数であり、さらに、Dは検査パターン形状の設計パターンからの距離である。この場合、定数Cとして検査パターンの粗密に応じた値を選択することにより、例えば密なパターンではより大きなCの値を設定することにより、正確なパターン位置合せ結果を得ることができる。
【0033】
(7)プログラム
上述したパターン評価方法およびパターン位置合せ方法の一連の手順は、プログラムに組み込み、レシピファイルとしてコンピュータに読込ませて実行させても良い。これにより、汎用のコンピュータを用いて上述したパターン評価方法およびパターン位置合せ方法を実現することができる。また、上述したパターン評価方法およびパターン位置合せ方法の一連の手順をコンピュータに実行させるプログラムとしてフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読込ませて実行させても良い。
【0034】
記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の携帯可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でも良い。また、上述したパターン評価方法およびパターン位置合せ方法の一連の手順を組込んだプログラムをインターネット等の通信回線(無線通信を含む)を介して頒布しても良い。さらに、上述したパターン評価方法およびパターン位置合せ方法の一連の手順を組込んだプログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、または記録媒体に収納して頒布しても良い。
(8)半導体装置の製造方法
上述したパターン評価方法およびパターン位置合せ方法を半導体装置の製造工程に適用することにより、高いスループットおよび歩留まりで半導体装置を製造することが可能になる。
【0035】
(9)まとめ
以上のように本発明は、パターン評価方法、パターン位置合せ方法に適用できるものであり、特に(a)〜(c)のような構成を特徴としている。
【0036】
(a)パターンの形状評価
(a1)パターン評価方法において、
検査対象パターンの輪郭点を含む形状データである輪郭データから第1の配列データを生成する手順と、
前記検査対象パターンの検査基準となる基準パターンの輪郭点を含む前記基準パターンの輪郭データから第2の配列データを生成する手順と、
前記第2の配列データの構成要素の値を、その構成要素から最も近い輪郭点までの距離の値の関数値に変換する処理である配列変換処理を前記第2の配列データの各構成要素について行なうことにより、第3の配列データを生成する手順と、
前記第1の配列データと前記第3の配列データとの間で演算処理を実行して第4の配列データを生成する手順と、
前記第4の配列データの構成要素を用いて前記検査対象パターンと前記基準パターンとの一致の度合いを与える数値を算出する手順と、
を備える。
(a2)パターン評価方法において、
検査対象パターンの画像である第1の画像を取得し、前記第1の画像から前記検査対象パターンの輪郭点を含む形状データである輪郭データを検出し、検出した前記輪郭データから第1の配列データを生成する手順と、
前記検査対象パターンの検査基準となる基準パターンの輪郭点を含む形状データである輪郭データから第2の配列データを生成する手順と、
前記第2の配列データの構成要素の値を、その構成要素から最も近い輪郭点までの距離の値の関数値に変換する処理である配列変換処理を前記第2の配列データの各構成要素について行なうことにより、第3の配列データを生成する手順と、
前記第1の配列データと前記第3の配列データとの間で演算処理を実行して第4の配列データを生成する手順と、
前記第4の配列データの構成要素の値の大きさに応じて設定されたカラーテーブルを参照してインデックスカラーをマッピングすることにより前記第4の配列データを第2の画像に変換する手順と、
前記第1の画像に前記第2の画像を重ね合わせて表示する手順と、
を備える。
【0037】
また、(a1)(a2)の望ましい実施態様として、次のものがあげられる。
(1)前記配列変換処理により得られた前記関数値は、前記基準パターンの輪郭の内側に対応する値と外側に対応する値とで正負の符号が異なることを特徴とする。
(2) 前記基準パターンは設計データを用いて生成されることを特徴とする。
(3) Aを任意の値、Cを指数関数の減衰パラメータとしての定数、Dを検査パターン形状の前記基準パターンからの距離とすると、前記関数値は、次式
A×exp(−|C×距離値|)
により計算される、ことを特徴とする。
(4) 前記設計データは、基準パターンの構成要素ごとに設定された前記配列変換に対する重みを含み、
前記配列変換処理は、前記重みを用いて配列変換を実行する手順を含む、
ことを特徴とする。
(5) 前記基準パターンは、設計許容値の上限の情報と下限の情報とを含む設計データであり、
前記第2の配列データは、前記上限の設計許容値に対応した上限値対応配列データと、前記下限の設計許容値に対応した下限値対応配列データとを含み、
前記第3の配列データの値は、前記上限値対応配列データと前記下限値対応配列データとで規定される範囲内にのみ帰属する、ことを特徴とする。
(6) 前記基準パターンは、設計許容値の上限の情報と下限の情報とを含む設計データであり、
前記第2の配列データは、前記上限の設計許容値に対応した上限値対応配列データと、前記下限の設計許容値に対応した下限値対応配列データとを含み、
前記第3の配列データは、前記上限値対応配列データと前記下限値対応配列データとで規定される範囲の内外で正負の符号が異なる値で構成される、ことを特徴とする。
【0038】
(b)パターンの位置合せを行う方法
(b1)パターン位置合せ方法において、
検査対象パターンの輪郭点を含む形状データである輪郭データから第1の配列データを生成する手順と、
前記検査対象パターンの検査基準となる基準パターンの輪郭点を含む前記基準パターンの輪郭データから第2の配列データを生成する手順と、
前記第2の配列データの構成要素の値を、その構成要素から最も近い輪郭点までの距離の値の関数値に変換する処理である配列変換処理を前記第2の配列データの各構成要素について行なうことにより、第3の配列データを生成する手順と、
前記第1の配列データと前記第3の配列データとの間で演算処理を実行して第4の配列データを生成する手順と、
前記第4の配列データの構成要素を用いて前記検査対象パターンと前記基準パターンとの一致の度合いを与える数値を算出する手順と、
算出された前記数値と、設定された基準とに基づいて前記検査対象パターンと前記基準パターンとの位置合せを実行する手順と、
を備える。
【0039】
また、(b)の望ましい実施態様として、
(1) 前記輪郭データは、前記検査対象パターンの画像である第1の画像から検出されたデータであり、
前記第4の配列データの構成要素の値の大きさに応じて設定されたカラーテーブルを参照してインデックスカラーをマッピングして前記第4の配列データを変換して第2の画像を生成する手順と、
前記第1の画像に前記第2の画像を重ね合わせて表示する手順と、
をさらに備えることを特徴とする。
(2) 前記配列変換処理により変換された前記関数値は、前記基準パターンの輪郭の内側に対応する値と外側に対応する値とで正負の符号が異なることを特徴とする請求項9または10に記載のパターン位置合せ方法。
(3) 前記基準パターンは設計データを用いて生成されることを特徴とする。
(4) Aを任意の値、Cを指数関数の減衰パラメータとしての定数、Dを検査パターン形状の前記基準パターンからの距離とすると、前記関数値は、次式
A×exp(−|C×距離値|)
により計算される、ことを特徴とする。
(5) 前記設計データは、基準パターンの構成要素ごとに設定された前記配列変換に対する重みを含み、
前記配列変換処理は、前記重みを用いて配列変換を実行する手順を含む、
ことを特徴とする。
(6) 前記基準パターンは、設計許容値の上限の情報と下限の情報とを含む設計データであり、
前記第2の配列データは、前記上限の設計許容値に対応した上限値対応配列データと、2前記下限の設計許容値に対応した下限値対応配列データとを含み、
前記第3の配列データの値は、前記上限値対応配列データと前記下限値対応配列データとで規定される範囲内にのみ帰属する、ことを特徴とする。
(7) 前記基準パターンは、設計許容値の上限の情報と下限の情報とを含む設計データであり、
前記第2の配列データは、前記上限の設計許容値に対応した上限値対応配列データと、前記下限の設計許容値に対応した下限値対応配列データとを含み、
前記第3の配列データは、前記上限値対応配列データと前記下限値対応配列データとで規定される範囲の内外で正負の符号が異なる値で構成される、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施の形態の概略手順を説明するブロックチャートである。
【図2】図1に示すパターン評価方法の評価対象である検査パターンの検査画像の輪郭の一例を示す図である。
【図3】図2に示す検査パターンの基準パターンとしての設計パターンの一例を示す図である。
【図4】図3に示す設計パターンの配列変換画像である。
【図5】本発明の第2の実施の形態により得られたインデックスカラー画像の一例を示す模式図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態が適用される検査画像の輪郭の一例を示す図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態が適用される設計パターンの一例を示す図である。
【図8】図9に示す設計パターンの配列変換画像である。
【図9】本発明の第5の実施の形態により得られた距離輪郭画像の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
Dyg:結合部(欠陥箇所)
Es2,4:検査画像の輪郭
Er2,Er4a,Er4b:設計パターン
Img2,Img6:配列変換画像
Img4,Img8:距離輪郭画像
G:黄緑色
R:赤色
Y:黄色

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象パターンの輪郭点を含む形状データである輪郭データから第1の配列データを生成する手順と、
前記検査対象パターンの検査基準となる基準パターンの輪郭点を含む前記基準パターンの輪郭データから第2の配列データを生成する手順と、
前記第2の配列データの構成要素の値を、その構成要素から最も近い輪郭点までの距離の値の関数値に変換する処理である配列変換処理を前記第2の配列データの各構成要素について行なうことにより、第3の配列データを生成する手順と、
前記第1の配列データと前記第3の配列データとの間で演算処理を実行して第4の配列データを生成する手順と、
前記第4の配列データの構成要素を用いて前記検査対象パターンと前記基準パターンとの一致の度合いを与える数値を算出する手順と、
を備えるパターン評価方法。
【請求項2】
検査対象パターンの画像である第1の画像を取得し、前記第1の画像から前記検査対象パターンの輪郭点を含む形状データである輪郭データを検出し、検出した前記輪郭データから第1の配列データを生成する手順と、
前記検査対象パターンの検査基準となる基準パターンの輪郭点を含む形状データである輪郭データから第2の配列データを生成する手順と、
前記第2の配列データの構成要素の値を、その構成要素から最も近い輪郭点までの距離の値の関数値に変換する処理である配列変換処理を前記第2の配列データの各構成要素について行なうことにより、第3の配列データを生成する手順と、
前記第1の配列データと前記第3の配列データとの間で演算処理を実行して第4の配列データを生成する手順と、
前記第4の配列データの構成要素の値の大きさに応じて設定されたカラーテーブルを参照してインデックスカラーをマッピングすることにより前記第4の配列データを第2の画像に変換する手順と、
前記第1の画像に前記第2の画像を重ね合わせて表示する手順と、
を備えるパターン評価方法。
【請求項3】
前記配列変換処理により得られた前記関数値は、前記基準パターンの輪郭の内側に対応する値と外側に対応する値とで正負の符号が異なることを特徴とする請求項1または2に記載のパターン評価方法。
【請求項4】
検査対象パターンの輪郭点を含む形状データである輪郭データから第1の配列データを生成する手順と、
前記検査対象パターンの検査基準となる基準パターンの輪郭点を含む前記基準パターンの輪郭データから第2の配列データを生成する手順と、
前記第2の配列データの構成要素の値を、その構成要素から最も近い輪郭点までの距離の値の関数値に変換する処理である配列変換処理を前記第2の配列データの各構成要素について行なうことにより、第3の配列データを生成する手順と、
前記第1の配列データと前記第3の配列データとの間で演算処理を実行して第4の配列データを生成する手順と、
前記第4の配列データの構成要素を用いて前記検査対象パターンと前記基準パターンとの一致の度合いを与える数値を算出する手順と、
算出された前記数値と、設定された基準とに基づいて前記検査対象パターンと前記基準パターンとの位置合せを実行する手順と、
を備えるパターン位置合せ方法。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載のパターン評価方法をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−275952(P2006−275952A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−99052(P2005−99052)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】