説明

パルス幅変調されるモーター・コントローラの利得エラー相殺のための電力供給変動の抑止

ディスクドライブ・システムのボイスコイルモーター(22)の位置決めドライバ(32)が開示される。パルス幅変調される前段ドライバ(46)が、ボイスコイルモーター(22)を駆動するため「H」ブリッジに配置されるパワー・トランジスタ(50PH、50NH、50PL、50NL)に結合され、電力供給電圧(V)でバイアスがかけられる。パルス幅変調される前段ドライバ(46)は、エラー増幅器(36)からのエラー信号とランプ・クロック生成器(48)で生成されるランプ・クロック信号(RMP)との比較に従ってパワー・トランジスタ(50PH、50NH、50PL、50NL)を駆動する。ランプ・クロック生成器(48)は、電力供給電圧(V)の変動に応答してランプ・クロック信号(RMP)の高及び低限界を変調する制御回路を含む。高及び低限界のこの変調が、電力供給電圧(V)の変動に起因するパワー・トランジスタ(50)の利得の変動を補償する。制御回路は、例えば、一定の周波数を維持するため、電力供給電圧(V)の変動に従ってランプ・クロック信号(RMP)の勾配も変調し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモーター制御の分野に関し、更に特定して言えば、コンピュータ・ディスクドライブ・コントローラに用いられるようなボイスコイルモーターの制御に関連する。
【背景技術】
【0002】
業界では明白なことであるが、磁気ディスクドライブは、依然として、デスクトップ・ワークステーション及びポータブル「ラップトップ」コンピュータの両方を含む今日のコンピュータの大容量読み出し/書き込み記憶装置の主流技術である。磁気ディスクドライブは今日、ポータブル・オーディオ・システム及びプレーヤーなど、一層小型のポータブル・システムにおいても普及している。
【0003】
今日のディスクドライブには、一般に、「スピンドル」モーター及び「ボイスコイル」モーターが含まれる。スピンドル・モーターは、ディスクの所与の半径のセクターが、データ・トランスデューサ、即ち読み出し/書き込み「ヘッド」、の横を通過するように、オペレーションの間、磁気ディスクを回転させる。「ボイスコイル」モーターは、データが書き込まれている又はデータが読み出されているトラック位置に対応する、磁気ディスク表面の径方向の位置に、データ・トランスデューサを配置させる。典型的に、データ・トランスデューサは、磁気ディスクの外周の外の旋回地点から、回転する磁気ディスクの表面全体を旋回する位置決めアームの端にあり、位置決めアームの旋回が、磁気ディスク表面の上のデータ・トランスデューサの径方向の位置を変化させるようにしている。ボイスコイルモーターは、位置決めアームの旋回を、及びそれによりデータ・トランスデューサのトラック位置を制御する。
【0004】
ボイスコイルモーター・コントローラ回路は、一般に、出力ドライバ対を介してボイスコイルモーターに駆動信号を供給し、出力ドライバ対は、ボイスコイルモーターの相対する側に接続される高側の及び低側のドライバを含むのが典型的である。オペレーションにおいて、位置決めアームは、ボイスコイルモーターを介して低側のドライバに電流を供給する高側のドライバによって一方向に旋回され、ボイスコイルモーターを介して高側のドライバに電流を供給する低側のドライバによって反対の方向に旋回される。
【0005】
更なる背景として、米国特許番号第5,838,515号は、パルス幅変調された(「D級」)モードで及びリニア・モードでも動作する、デュアルモード・ボイスコイルモーター・ドライバについて記述している。当業界では周知であるように、ボイスコイルモーターの「トラック追従」動作モードは、データ・トランスデューサを所望のトラック位置に維持し、「トラック・シーク」動作モードは、位置決めアームを1つのトラック位置から別のトラック位置へ移動させる。この参照文献は、ボイスコイルモーターは、トラック・シークの間パルス幅変調されたモードで動作するが、シーク軌道(trajectory)の減速位相の開始時に、リニア・モードに配置され、トラック追従の間リニア・モードにとどまることを記述している。
【0006】
ここで図1を参照すると、従来のパルス幅変調されるボイスコイルモーターが図示されている。この例では、差動エラー信号は線ERRP、ERRMで受信される。入力線ERRPはコンパレータ3Hの非反転入力に供給され、入力線ERRMはコンパレータ3Lの非反転入力に供給される。線ERRP、ERRM上の差動エラー信号は、一般に、フィードバック信号を所望の入力レベルと比較するエラー増幅器(図示せず)によって生成される。ランプ・クロック生成器2は、所望のパルス幅変調された(PWM)出力信号の周波数に対応する周波数で三角波信号を生成し、このランプ・クロック信号をコンパレータ3H、3Lの反転入力に供給する。コンパレータ3Hの出力は、差動PWM出力増幅器4Hの入力に供給され、コンパレータ3Lの出力は、差動PWM出力増幅器4Lの入力に接続される。差動PWM出力増幅器4Hは、パワー・トランジスタ5PH、5PLのゲートに供給される出力レベルを生成し、これが差動電圧gPを定める。同様に、差動PWM出力増幅器4Lは、差動電圧gMで、パワー・トランジスタ5NH、5NLのゲートに供給される出力レベルを生成する。
【0007】
パワー・トランジスタ5は、ボイスコイルモーター(VCM)9のための技術において既知であるような、従来の「H」ブリッジで配列される。この配列では、パワー・トランジスタ5PH、5PLは、電力供給電圧Vと接地との間に直列に接続されるソース・ドレイン・パスを有し、パワー・トランジスタ5NH、5NLも同様である。VCM9は、トランジスタ5PLのドレインとトランジスタ5PHのソースとのノードVCMP(この例では、トランジスタ5PL、5PHはそれぞれnチャネル・デバイスである)と、トランジスタ5NLのドレインとトランジスタ5NHのソースとのノードVCMNとの間に接続される。従って、ノードVCMP、VCMNの相対的な電圧は、VCM9を介して導通される電流の極性及び大きさを決定する。
【0008】
ここで、図1の従来の配列のオペレーションを図2に関連して説明する。図2から明らかなように、一方の入力エラー線ERRP、ERRM上の信号と、他方のランプ・クロック生成器2からの出力信号RMPとの間の関係が、VCM9を介する電流を定める。図2に示すように、PWM出力増幅器4Hからの差動電圧gPは、ランプ・クロックRMPの瞬間電圧よりも高い、線ERRP上の電圧に応答してプラスとなり、線ERRPがランプ・クロックRMPの電圧より低い電圧のときマイナスとなる。この例では、再び図1を参照すると、プラスの差動電圧gPは、トランジスタ5PLに対してトランジスタ5PHをオンにし、これが、ノードVCMPの電圧を電力供給電圧Vに向かって引き寄せる。同様に、PWM出力増幅器4Lからの差動電圧gMは、ランプ・クロックRMPの瞬間電圧よりも低い、線ERRM上の電圧に応答してプラスとなり、線ERRMがランプ・クロックRMPの電圧よりも高い電圧のときマイナスとなる。プラスの差動電圧gMは、トランジスタ5NHに対してトランジスタ5NLをオンにし、これが、ノードVCMNの電圧を接地に向かって引き込む。
【0009】
一般に、電流は、ノードVCMP、VCMNの電圧が互いに異なるとき、ノードVCMA、VCMB間で及びVCM9を介して導通される。図2において、電流パルスT0からT3は、差動電圧gP、gMの両方がプラスの極性であるときに対応して、VCM9を介して導通されるプラスの極性の電流を図示し、電流パルスT4及びT5は、差動電圧gP、gMの両方がマイナスの極性であるときに対応して、VCM9を介するマイナスの極性の電流を図示する。この例では、パルスT0からT3にあるようなプラスの極性の電流パルスは、入力線ERRPの電圧が参照電圧Vrefを上回り、入力線ERRMの電圧が参照電圧Vrefを下回る状況に起因する。逆に、入力線ERRPが波形RMPの電圧よりも低い電圧であり、同じく波形RMPの電圧より低い電圧である入力線ERRMと組み合わさる時間の間、電流パルスT4、T5及び対応する差動電圧gP、gMで示すように、電流はVCM9を介して反対の方向に導通される。図2の例において、このマイナスの電流駆動は、入力線ERRPの電圧が参照電圧Vrefを下回って低下し、入力線ERRMの電圧が参照電圧Vrefを上回って上昇した結果である。差動電圧gP、gMが反対の極性である時間の間、ノードVCMP、VCMNの電圧は、効果的に互いに等しくなり、電流は全く導通されない。
【0010】
本発明と関連して、電力供給電圧の変動が、図1の従来のPWM VCM駆動回路のトランスコンダクタンス又はオープン・ループ・ゲインに影響を与え、従って、VCM9を介して駆動される電流に影響を与えることが分かっている。「H」ブリッジ配列のパワー・トランジスタ5を介する電流は、電力供給電圧Vに直接依存し、当然、電力供給電圧Vが一層高いとドレイン電流は一層高くなり、そのため、所与の一定のデューティ・サイクルの間、VCM9を介する電流が一層高くなることは図1から明らかである。
【0011】
図2を参照し、駆動回路の利得を考えるため、参照電圧Vrefを「擬似接地」と考えることが可能である。線ERRP、ERRMのエラー電圧が両方とも参照電圧Vrefである場合、電流は全く駆動されず、デューティ・サイクル電圧0%となる。線ERRP、ERRMのエラー電圧がランプ・クロックRMPのそれぞれのピーク電圧である場合、電流はVCM9を介して恒常的に導通される。例えば、線ERRPのエラー電圧がプラスのピーク・レベルであり、線ERRMのエラー電圧がマイナスのピーク・レベルである場合、プラスの電流がVCM9を介して100%のデューティ・サイクルで導通される。反対に、線ERRPのエラー電圧がマイナスのピーク・レベルであり、線ERRMのエラー電圧がプラスのピーク・レベルである場合、マイナスの電流がVCM9を介して同じく100%のデューティ・サイクルで導通される。
【0012】
電力供給変動の影響は、電力供給電圧Vが12ボルト、駆動段のオープン・ループ・ゲインが公称値で12、参照電圧Vrefが接地である一例で考察することができる。従って、100%のデューティ・サイクルが得られる、ランプ・クロックRMPのセンター・ツー・ピーク電圧Vpeakは、次の式から考えることができる。
【数1】


VCM9は双方向モーターであるため、この状況でのランプ・クロックRMPのピーク・ツー・ピーク電圧ランプは2ボルトとなる。しかし、±10%の電力供給電圧公差が規定される場合、電力供給電圧Vは10.8ボルトから13.2ボルトまで変動し得る。この±10%の電力供給電圧Vの変動にわたってセンター・ツー・ピーク電圧Vpeakを1ボルトに維持すると、駆動回路オープン・ループ・ゲインは、10.8から13.2まで対応して変動する。このように、電力供給電圧Vの変動は、オープン・ループ・ゲインの対応する変動を引き起こす。
【0013】
オープン・ループ・ゲインのこれらの変動の影響は、2002年4月16日に登録された米国特許番号第6,374,043号に記載されるような、デュアルモード・ボイスコイルモーター・ドライバ回路において最も明白である。リニア・モードでは、VCM駆動のフィードバック制御が、パワー・トランジスタ5の駆動における変動をなくす。また、D級又はパルス幅変調される多くのボイスコイルモーター駆動システム又はモードも、そのモードの定常状態オペレーションの間、オープン・ループ・ゲインの変動を補償するフィードバック制御を含む。しかし、米国特許番号第6,374,043号に記載されるような、デュアルモード・ボイスコイルモーター・ドライバ回路は、リニア・モードからPWMモードへの遷移を行う。遷移を行うとき、フィードバック制御ループがその結果のエラーに応答可能になるときまで、駆動回路のオープン・ループ・ゲインがボイスコイルモーターの駆動を支配する。従って、オープン・ループ・ゲインの変動は、例えば、図1のパワー・トランジスタ5の「H」ブリッジでは、駆動モード間の遷移において非常に明白なものとなり得る。
【0014】
また、従来のディスクドライブ・システムには、データ・トランスデューサの位置の制御に、及びそのためボイスコイルモーターの制御に電気的フィードバックを用いず、そのような制御に機械的位置決めデバイスを代わりに用いるものもある。このような従来のシステムでは、ボイスコイルモーター駆動回路のオープン・ループ・ゲインの変動は、データ・トランスデューサの位置決めに直接影響を与える。このような利得の変動は、トラック整定時間を長くし、ひどい場合には位置決めエラーを引き起こすと考えられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、本発明の一つの目的は、電力供給電圧の変動が補償される、パルス幅変調されるD級駆動回路を提供することである。
【0016】
本発明の更なる目的は、電力供給電圧の変動に起因するオープン・ループ・ゲインの変動が補償されるような、駆動回路を提供することである。
【0017】
本発明の更なる目的は、電力供給電圧の変動がPWM出力周波数の変動を引き起こさないような、駆動回路を提供することである。
【0018】
本発明の更なる目的は、データ・トランスデューサを選択されたディスク・トラックに配置するボイスコイルモーターへの駆動を制御するための駆動回路を含む、ディスクドライブ・システムを提供することである。
【0019】
本発明のその他の目的および利点は、当業者であれば、添付の図面と共に以下の明細書を参照することによって明らかになるであろう。
【0020】
本発明は、ディスクドライブのデータ・トランスデューサ、又は読み出し/書き込みヘッド、を位置決めするボイスコイルモーターを駆動するために有効であるような駆動回路に実装され得る。ランプ・クロック生成器は、パルス幅変調された出力駆動信号を生成する目的で、それに対してエラー信号が比較される波形を生成する。ランプ・クロック生成器は、ランプ・クロックの電圧限界、又は波形の勾配、又は両方が、電力供給電圧の変動に応答して変調されるように、出力駆動回路の電力供給電圧に応答する制御回路を含む。
【実施例】
【0021】
本発明を、その好ましい実施例、即ち、最近のコンピュータ・ディスクドライブ・システムのボイスコイルモーターの駆動回路に組み込まれるような実施例、に関連して説明する。これは、本発明がこのようなアプリケーションにおいて特に有益であると考えられるためである。しかし、本発明は、他のアプリケーションにおいても有益となるように用いられ得、そのような使用は、本明細書を参照すれば当業者には明らかであることも想到されている。
【0022】
図3は、本発明の好ましい実施例に従って構成されたディスクドライブ・システム10を全般的に示す。ディスクドライブ・システム10は、スピンドル・ドライバ回路16に応答してスピンドル・モーター14によって回転される、1つ又はそれ以上の磁気媒体ディスク12を含む。データ・トランスデューサ18は、ディスクドライブ・システム10の読み出し/書き込みヘッドであり、位置決めアーム17の端部に配置される。図1に示した多数のディスクの場合、各々が1つ又はそれ以上のデータ・トランスデューサ18を有する、多数の位置決めアーム17が提供される。ボイスコイルモーター(VCM)22は、データ・トランスデューサ18がディスク12の選択可能な径方向のトラックに位置するように、位置決めアーム17を旋回させるように動作する。ディスク12のこれらの径方向のトラックは、ディスクドライブ・システム10のオペレーションに用いられる、トラック識別データ、位置情報、及び同期化データを含む。データ・トランスデューサ18は、ディスクへのユーザー・データの記録(「書き込み」)及びディスクからのユーザー・データの読み出しの両方のため、データが書き込まれたトラック及びセクターを識別する信号を検出するため、及びヘッドがディスクのトラックに対し適切に横方向に並ぶようにするサーボバースト(servo bursts)を検出するために用いられる。
【0023】
ディスク12に記録された磁気信号に応答してヘッド18によって生成されるアナログ電気信号は、ホスト・コンピュータ・システム(図示せず)への及びホスト・コンピュータ・システムからの最終的な通信のため、データ・パス13に転送される。デジタル又はアナログのいずれかの形式でディスク12に予め記録されているサーボ信号は、1つ又はそれ以上のサーボ復調器回路(図示せず)によって検出及び復調され、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)30によって処理され、位置決めドライバ回路32を介してデータ・トランスデューサ18の位置を制御する。位置決めドライバ回路32は、スピンドル・モーター14を制御するスピンドル・ドライバ回路16と共通のマイクロコントローラ内に組み込まれ得る。位置決めドライバ回路32は、所望なように、ディスクドライブ・システム10内の他の回路と統合されてもよい。
【0024】
次に図4を参照し、ボイスコイルモーター(VCM)22自体と組み合わせて、本発明の好ましい実施例に従って位置決めドライバ回路32の構成を説明する。この説明から明らかなように、位置決めドライバ回路32は、それがリニア駆動モード及びパルス幅変調される(又はD級)駆動モードの両方を含むという点で、デュアルモードである。
【0025】
パワー・トランジスタ50は、VCM22を介する電流を駆動するために従来の「H」ブリッジで配列される。「高」側の駆動はトランジスタ50PH、50PLによって提供され、これらは、本発明のこの実施例では両方ともnチャネル・パワー金属酸化膜半導体(MOS)トランジスタである。当業界では周知であるように、所望とされる場合、VCM22を駆動するために相補型MOS(CMOS)技術を用いることもでき、この場合、トランジスタ50PHはpチャネルMOSトランジスタであり得る。高側のトランジスタ50PH、50PLのソース・ドレイン・パスは、電力供給電圧Vと接地との間に直列に接続される。同様に、「低」側の駆動はトランジスタ50NH、50NLによって提供され、これらのトランジスタも電力供給電圧Vと接地との間に直列に接続されるソース・ドレイン・パスを有する。ボイスコイルモーター22は、トランジスタ50PHのソースとトランジスタ50PLのドレインとのノードVCMPと、トランジスタ50NHのソースとトランジスタ50NLのドレインとのノードVCMNとの間に接続される。ノードVCMP、VCMNの電圧は、当業界では通常、「位相」電圧と呼ぶ。電流感知レジスタ51は、レジスタ51とVCM22との間の感知ノードISPと共に、VCM22と直列に接続される。
【0026】
一般に、当業界では周知であるように、トランジスタ50のゲートに印加される相対的な駆動は、VCM22を介する電流の極性及び大きさを決定する。例えば、トランジスタ50PHがトランジスタ50PLに比較して比較的強くオンになるように、高側の駆動トランジスタ50PH、50PLのゲートにバイアスがかけられ、トランジスタ50NLがトランジスタ50NHに比べて比較的強くオンになるように、低側の駆動トランジスタ50NH、50NLのゲートにバイアスがかけられる場合、ノードVCMPの位相電圧はノードVCMNの位相電圧よりも高くなる。この結果、電流が、トランジスタ50PHを介して供給され、VCM22を介して導通され、トランジスタ50NLを介して吸い込まれることになり、これにより、VCM22が位置決めアーム17を1つの方向に旋回させる。逆に、トランジスタ50PLがトランジスタ50PHに比較して比較的強くオンとなるように、高側の駆動トランジスタ50PH、50PLのゲートにバイアスがかけられ、トランジスタ50NHがトランジスタ50NLに比べて比較的強くオンとなるように、低側の駆動トランジスタ50NH、50NLのゲートにバイアスがかけられる場合、ノードVCMNの位相電圧はノードVCMPの位相電圧よりも高くなる。この結果、電流が、トランジスタ50NHを介して供給され、VCM22を介して導通され、トランジスタ50PLを介して吸い込まれることになり、これにより、VCM22が位置決めアーム17を反対の方向に旋回させる。
【0027】
従って、トランジスタ50のゲートに印加される電圧が、VCM22を介して導通される電流の極性及び大きさを制御する。これが、図3のディスクドライブ・システム10において位置決めドライバ回路32が達成する機能である。
【0028】
再び図4を参照すると、位置決めドライバ回路32のリニア側では、電流感知増幅器34が、その入力でノードVCMP及びISPの電圧を受信し、レジスタ51を通る電圧低下に対応しそのためVCM22を介する電流に対応する信号を生成する。この信号は、エラー増幅器36の入力で制御電圧VDACと加算され(summed)、エラー増幅器36の他方の入力は参照電圧VREFを受信する。エラー増幅器36は、当業界で既知であるように、オペレーションの安定化のため、その出力と入力との間に接続される補償フィードバック・ネットワーク37を含む。エラー増幅器36の出力は、VCM22を介する瞬間電流レベルに対応する電圧と加算された所望の電圧VDACと、参照電圧VREFとの差に対応するエラー信号である。このエラー信号は、ノードVCMP、VCMNの位相電圧に対応するフィードバック信号と共に、リニア前段(prestage)ドライバ38に供給される。エラー信号及びこれらの位相電圧に応答して、リニア前段ドライバ38は、VCM22を介する電流を定める電圧で、ブリッジ・トランジスタ50PH、50PL、50NH、50NLのゲートを駆動し、その結果、ディスク12上の所望なトラック位置をシーク又は追従する際、位置決めアーム17及びトランスデューサ18(図1)の動きを制御する。
【0029】
本発明に関連して用いられ得るような、リニア前段ドライバ38の構成及びオペレーションに関する更なる詳細は、米国特許番号第6,374,043号で提供されている。また、ボイスコイルモーター22のためのリニア・ドライバの他のアーキテクチャも本発明に関連して代替として用いられ得ることが想到されている。
【0030】
位置決めドライバ回路32のPWM側では、エラー増幅器36からのエラー信号は、差動増幅器40の1つの入力に転送され、差動増幅器40の第2の入力は参照電圧VREFを受信する。差動増幅器40は、エラー増幅器36からのエラー信号と参照電圧VREFとの間の差に対応する差動出力信号を生成する。差動増幅器40の一方の出力はコンパレータ42Pの入力に供給され、差動増幅器40の他方の出力はコンパレータ42Nの入力に供給される。コンパレータ42P、42Nの各々は、これらの入力を、ランプ・クロック生成器48によって生成されるランプ・クロック信号RAMPと比較する。以下に詳細に説明するように、ランプ・クロック信号RAMPは、電力供給電圧Vに依存するような方式でランプ・クロック生成器48によって生成される。コンパレータ42P、42Nの各々は、差動増幅器40から受信した入力とランプ・クロック信号RAMPとの間の比較に応答してフル・レール出力信号を生成し、その結果のロジック・レベルをPWM前段ドライバ46に提供し、次に、PWM前段ドライバ46は、トランジスタ50のゲートに供給される駆動信号を生成する。図4の「H」ブリッジのトランジスタ50のオペレーションは、図1に関連して上述したものに対応する。このようにして、「H」ブリッジのトランジスタ50は、VCM22に供給され、その旋回及び動きを制御する、パルス幅変調された電流を生成する。
【0031】
次に図5を参照し、本発明のオペレーションの原理を説明する。ランプ・クロック信号RMPは、公称ランプ・クロック信号であり、公称ランプ・クロック信号がそうであるように最高レベルV及び最低レベルVを有する三角波形である。一方で、ランプ・クロック信号RMPは、鋸歯波形又はパルス幅変調された出力信号を生成するのに有効であるように時間と共に変化する別の波形であってもよい。この説明では三角波形を指すが、本発明は、このような他の波形形状に同様に適用され得ることを理解されたい。擬似電圧Vrefが実際には接地、即ち0ボルト、であるこの例では、ランプ・クロック信号RMPは、電圧V=−Vである、プラス及びマイナスの極性のエクスカーションを有する。100%のデューティ・サイクルのエラー電圧ERRP、ERRMは、図5ではそれぞれ電圧V、Vで示す。ランプ・クロック信号RMPの期間は、この例では時間Tである。
【0032】
上述のように、主にパワー・トランジスタ50の「H」ブリッジでの、位置決めドライバ32のオープン・ループ・ゲインは、電力供給電圧Vが変化すると変化する。本発明に従って、この利得変動は、式1に従って、電力供給電圧Vの関数としてランプ・クロック信号のピーク振幅Vpeakを変えることによって、補償することができることが分かっている。これにより、出力PWM信号のデューティ・サイクルの変化が起こり、これが、電力供給電圧の変動に起因するオープン・ループ・ゲインの変化を補償する。例えば、電力供給電圧Vがその公称値から増加する場合、ピーク振幅Vpeakも増加し、これにより、出力PWM信号のデューティ・サイクルの減少となる。反対に、電力供給電圧Vの低減は、ランプ・クロック信号のピーク振幅Vpeakの減少によって補償され、これは、低減されたオープン・ループ・ゲインを補償する、PWMデューティ・サイクルの増加に反映される。
【0033】
また、ランプ・クロック回路の積分電流を生成するために用いられる電流源が修正されない限り、ランプ・クロックの振幅がランプ・クロック信号RMP’に変えられるにつれて、ランプ・クロック信号RMP’の周波数も変化することも分かっている。ランプ・クロック周波数はその出力の全PWM周波数を直接制御するため、多くのアプリケーションにおいて、この周波数は修正されることが好ましい。しかし、本発明の好ましい実施例に従って、ランプ・クロック周波数の完全な又は部分的な修正は任意に選択できる。
【0034】
図5に示す例では、ランプ・クロック信号RMP’は、本発明の好ましい実施例に従って、電力供給電圧Vの増加が補償されるランプ・クロック信号に対応する。この例では、補償されたランプ・クロック信号RMP’の周波数も、以下に説明するように、公称ランプ・クロック信号RMPの周波数に合うように調節される。補償されたランプ・クロック信号RMP’は、ランプ・クロック信号RMPと同じ周波数で、最大電圧V’=V+ΔVから最小電圧V’=V+ΔVまでのエクスカーションを起こす。電圧ΔV、ΔVと電力供給電圧Vの変動ΔVとの間の関係は、次のように示すことができる。
【数2】


図5から明らかなように、補償されたランプ・クロック信号RMP’に対する周波数をランプ・クロック信号RMPと同じ周波数に維持するため、補償されたランプ・クロック信号RMP’の勾配は、公称ランプ・クロック信号RMPの勾配から次の式の新しい勾配m’に変えられる。
【数3】


この補償は、補償されたランプ・クロック信号RMP’がエラー電圧ERRPを上回る又はエラー電圧ERRMを下回る(この例では公称ランプ・クロック信号RMPに起因するフル・デューティ・サイクルと比較して)時間Δtに対応する量だけ、PWMデューティ・サイクルを低減させる。デューティ・サイクル(全体の期間Tの分数として示される)の変化は、次の数式に示す。
【数4】


デューティ・サイクルのこの変化は、式2を式3に置き換えることによって、次の式で表すことができる。
【数5】


これは、電力供給電圧Vの変化の点で式2を考慮すると、次のように表すことができる。
【数6】


電力供給電圧変動に起因するオープン・ループ・ゲインの変化を補償するのは、デューティ・サイクルのこの変化である。
【0035】
図5の例に示すように、周波数を一定に維持するため、公称ランプ・クロック信号RMPの勾配mに対するランプ・クロック信号RMP’の勾配m’の変化は、以下の式のようになる。
【数7】


又は、
【数8】


これらの勾配m、m’は、従来のランプ生成器の充電及び放電に対応する。例えば、ランプ生成器の1つの種類は、無論、次の式に対応するキャパシタの充電及び放電に基づいている。
【数9】


その結果、勾配をmからm’に変えるには、ランプ生成器のキャパシタに供給される充電電流(及び放電電流)を、充電及び放電電流の差Δi=i’−iが電力供給電圧の差に対応するように変える必要がある。
【数10】


【数11】


上述のように、電力供給電圧の変動に従ってランプ生成器の充電及び放電電流を変調することにより、ランプ・クロック信号の周波数は、オープン・ループ・ゲインの変化を補償しつつ一定に維持され得る。
【0036】
当業界で既知であるように、他の種類ランプ生成器回路も業界では既知である。例えば、別の種類のランプ生成器回路は、階段関数パルスの積分値に対応する出力信号を生成する積分器を含む。積分率は、演算増幅器回路のフィードバック・キャパシタによって決まることが典型的である。従って、このようなランプ生成器回路からの出力ランプ信号の勾配は、電力供給電圧の変動に応答して静電容量値を変化させることによって変調され得ることは、当業者であればことが理解されよう。当業者であれば、本明細書を参照すれば、PWM周波数を一定に維持するために、これらの及び更に他の代替のランプ生成器回路のランプ信号の勾配の変調をもたらすことが容易に可能であることが想到されている。
【0037】
上述のように、幾つかのアプリケーションにおいて、デューティ・サイクルがオープン・ループ・ゲインの対応する変化を補償するように変調される限り、ランプ・クロック信号の周波数を、電力供給電圧の変化と共に変調させる得ることも許容し得る。更に別の代替例として、所望であれば、ランプ・クロック信号の勾配は、周波数の変化を低減させて、部分的に修正されてもよいことが想到されている。周波数が、デューティ・サイクルの変化を変調することができる範囲は、本発明の好ましい実施例の特定のアプリケーションに従って、設計者により所望なように実現され得る。
【0038】
いずれの場合でも、PWMデューティ・サイクルの補償、及びランプ・クロック信号の勾配の補償は、公称電力供給電圧Vに対応する公称値に関連して、ディスクドライブ・システムの起動時に提供され得る。好ましくは、PWMデューティ・サイクル及びランプ・クロック信号RMPの勾配がオペレーションの間に調節され得るように、電力供給電圧Vのリアルタイム監視又は測定が成されてもよい。
【0039】
従って、本発明の好ましい実施例に従って、「H」ブリッジ出力駆動回路のパワー・トランジスタ50に供給される電力供給電圧の変動に起因する、オープン・ループ・ゲインの変動を補償するために、PWMオペレーションのデューティ・サイクルが低減される。次に図6を参照し、ランプ生成器48の構成を本発明の好ましい実施例に従って詳細に説明する。この特定の例のランプ生成器48は、タイミング・キャパシタの充電及び放電に基づいており、そのようなものとして説明する。あらゆるランプ生成器回路が、ランプ・クロック信号の電圧限界を制御し及びその勾配及びそのためその周波数を制御する構成要素又は他のパラメータを必然的に含むことを考えれば、当業者であれば、本明細書を参照すれば、本発明を、アナログ方式で、他の種類のランプ生成器回路に容易に適用し得ることが想到されている。
【0040】
図6に示すように、タイミング・キャパシタ60は、充電ノードCNに接続される1つの極板、及びその反対の接地の極板を有する。電流源62H及び電流源62Lは、出力ランプ・クロック信号RMPの電圧エクスカーションがプラス及びマイナスの極性の両方であり得ることを考慮し、バイアス電圧V+及びバイアス電圧V−の間に直列に接続される。この直列接続において、スイッチ64Hが電流源62Hと充電ノードCNとの間に直列に接続され、スイッチ64Lが充電ノードCNと電流源62Lとの間に直列に接続される。以下に説明するように、スイッチ64L、64Hはレベル検出器66によって制御される。
【0041】
バッファ61は、充電ノードCNに接続される入力、及びランプ・クロック信号RMPとして供給され、更にレベル検出器66に転送される出力を有する。レベル検出器66は、ランプ・クロック信号RMPの高及び低電圧限界を示す、線VH、VL上の信号を受信する。レベル検出器66は、ランプ・クロック信号RMPの瞬間電圧を、線VH、VL上の信号に対応する高及び低電圧限界と比較し、これに従ってスイッチ64H、64Lの状態を制御する。オペレーションでは、キャパシタ60を充電するため、スイッチ64Hは閉じられ、スイッチ64Lは開放される(図6の例に示すように)。充電ノードCNからのバッファ61の出力に生じる電圧が、線VH上の信号に対応する高電圧限界に達すると、レベル検出器66は、放電半周期を開始するため、スイッチ64Hを開き、スイッチ64Lを閉じる。その後、キャパシタ60は、充電ノードCNからのバッファ61の出力の電圧が、線VL上の信号に対応する低電圧限界に達するまで、電流源62Lを介して放電し、充電半周期は、線VL上の信号に対応してレベル検出器66によるスイッチ64Lの開放及びスイッチ64Hの閉鎖を反復する。充電及び放電半周期はこのようにして継続する。
【0042】
この説明から明らかなように、充電及び放電半周期の周波数は、電流源62H、62Lの電流に依存する。本発明のこの実施例において、周波数制御回路65は、これらの充電及び放電電流を制御するため、電流源62H、62Lへの制御信号を生成する。当業界では既知であるように、電流源62H、62LはMOSトランジスタとして実装され得、この場合、周波数制御回路65がこれらの電流レベルを設定するために適切なゲート電圧を供給する。典型的に、ランプ生成器48が動作する少なくとも公称周波数は、設計によって又はユーザ制御で決定される。
【0043】
本発明の好ましい実施例に従って、線VH、VLでレベル検出器66に伝達される高及び低電圧限界は、図5に関連して上述した方式で、電力供給電圧Vの変動に応答して変調される。この例では、ランプ生成器48は、電圧コンパレータ及びランプ・クロック・コントローラ回路68を含み、これは電力供給電圧V及び参照電圧VREGをも受信し、参照電圧VREGに対して電力供給電圧VMが比較され測定される。参照電圧VREGは、バンドギャップ参照回路、電圧レギュレータ、或いは、電力供給電圧Vとは実質的に無関係である参照電圧を生成するための別の従来の回路によって生成され得る。本発明の好ましい実施例に従って、電圧コンパレータ及びランプ・クロック・コントローラ回路68は、電力供給電圧Vを参照電圧VREGと比較するため、及びこの比較に応答してレベル検出器66への線VH、VL上に適切な高及び低電圧限界信号を生成するための、適切な回路を含む。当業者であれば、本明細書を参照すれば、電圧コンパレータ及びランプ・クロック・コントローラ回路68に適切な詳細な回路を容易に導き出すことが可能であることが想到されている。
【0044】
従って、オペレーションにおいて、電力供給電圧Vが増加すると、図5に関連して上述した方式で、電圧コンパレータ及びランプ・クロック・コントローラ回路68が、線VH、VL上に適切な信号を送出することにより、レベル検出器66によって用いられる高及び低電圧限界を増加させる。反対に、電力供給電圧Vが低減すると、電圧コンパレータ及びランプ・クロック・コントローラ回路68が、線VH、VL上に適切な信号を送出することにより、レベル検出器66によって用いられる高及び低電圧限界を低減させる。いずれの場合も、ランプ・クロック信号RMPのピーク電圧Vpeakは電力供給電圧Vレベルに従って変調され、上述のように出力PWM信号のデューティ・サイクルの変化をもたらす。このデューティ・サイクルの変化は、電力供給電圧Vの変動によるオープン・ループ・ゲインの変動を補償する。
【0045】
本発明のこの好ましい実施例に従って、電力供給電圧Vの変動に応答してランプ・クロック信号RMPの周波数も制御され得る。図6に示すように、電圧コンパレータ及びランプ・クロック・コントローラ回路68は、周波数制御回路65に接続される出力も有する。このため、電圧コンパレータ及びランプ・クロック・コントローラ回路68は、電力供給電圧Vの参照電圧VREGに対する比較に応答して、周波数制御回路65に制御信号を送出することができる。従って、周波数制御回路65は、電圧コンパレータ及びランプ・クロック・コントローラ回路68によって送出される信号に応答して、電流源62H、62Lに供給されるバイアス又は制御信号を調節することができる。上述のように、PWMデューティ・サイクルを低減させるため、電圧コンパレータ及びランプ・クロック・コントローラ回路68がピーク電圧Vpeakを増加させるように電力供給電圧Vが増加する場合、電圧コンパレータ及びランプ・クロック・コントローラ回路68は、ランプ・クロック信号RMPの周波数を一定に保つため、電流源62H、62Lによって供給される充電及び放電電流も増加するように、周波数制御回路65に制御信号を送出することもできる。反対に、電力供給電圧Vが一層低いと、一層低いピーク電圧Vpeakと調和してランプ・クロック信号RMPの一定の周波数を保つように、電流源62H、62Lを介する電流を低減させるように、電圧コンパレータ及びランプ・クロック・コントローラ回路68が、周波数制御回路65に信号を送出することができる。しかし、上述のように、ランプ・クロック信号RMPの周波数のこの制御は必須ではない。また、部分的な制御が所望とされる場合、周波数は、ピーク電圧の変化を部分的にのみ補償するように調節されてもよい。
【0046】
従って、本発明の好ましい実施例に従って、電力供給電圧の変動によるパルス幅変調された信号のオープン・ループ・ゲインの変動は、ランプ・クロック信号の限界を変更することによって補償される。また、ランプ・クロック信号の周波数は、一定に維持され得、又は所望である場合、部分的に調節されてもよい。ディスクドライブのボイスコイルモーターのコンテキストにおいて、オープン・ループ・ゲイン変動のこの補償は、データ・トランスデューサ、又は読み出し書き込みヘッド、の位置決めにおける精度を改良させる。この改良される精度は、デュアルモード・ボイスコイルモーター・コントローラの駆動モード間の遷移において、及びデータ・トランスデューサ及び位置決めアームの機械的位置決め制御を用いるこれらのディスクドライブ・システムにおいて、特に明らかである。
【0047】
本発明を本発明の好ましい実施例に従って説明してきたが、もちろん、これらの実施例の変形及びその代替、即ち、本発明の利点及び利益をもたらすこのような変形及び代替は、本明細書及びその図面を参照すれば当業者には明らかであると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】ボイスコイルモーターのための従来のパルス幅変調される駆動回路の概略図の形式の電気回路図である。
【図2】図2は、図1の従来のパルス幅変調される駆動回路のオペレーションを説明するタイミング図である。
【図3】図3は、本発明の好ましい実施例に従って構成されたディスクドライブ・システムのブロック図の形式の電気回路図である。
【図4】図4は、本発明の好ましい実施例に従って構成された、図3のシステムのボイスコイルモーター駆動回路のブロック図の形式の電気回路図である。
【図5】図5は、本発明の好ましい実施例のオペレーションの原理を説明するタイミング図である。
【図6】図6は、本発明の好ましい実施例に従って構成された、図4のボイスコイルモーター駆動回路のランプ・クロック生成器の構成を説明する電気回路図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス幅変調ドライバ回路であって、
第1及び第2のトランジスタを含む第1のドライバ対であって、第1及び第2のトランジスタが、電力供給電圧と接地電圧との間に直列に接続される伝導パスを有し、第1及び第2のトランジスタの各々が制御端子を有する、第1のドライバ対、
エラー信号のランプ・クロック信号との比較に応答して第1のパルス幅変調された信号を生成するためのパルス幅変調回路、
第1のパルス幅変調された信号を受信するように結合される入力を有し、第1及び第2のトランジスタの制御端子に結合される出力を有する第1のパルス幅変調ドライバ、及び
高限界と低限界との間で周期的に変化するランプ・クロック信号を生成するためのランプ・クロック生成器であって、電力供給電圧の変動に応答して高及び低限界を変化させるための回路を含む、ランプ・クロック生成器
を含む、回路。
【請求項2】
請求項1に記載の回路であって、パルス幅変調回路は、エラー信号のランプ・クロック信号との比較に応答して第2のパルス幅変調された信号を生成することも目的としており、
第3及び第4のトランジスタを含む第2のドライバ対であって、第3及び第4のトランジスタが、電力供給電圧と接地電圧との間に直列に接続される伝導パスを有し、第3及び第4のトランジスタの各々が制御端子を有する、第2のドライバ対、及び
第2のパルス幅変調された信号を受信するように結合される入力を有し、第3及び第4のトランジスタの制御端子に結合される出力を有する第2のパルス幅変調ドライバ、
を更に含む回路。
【請求項3】
請求項1に記載の回路であって、第1及び第2のトランジスタの伝導パス間の接続の第1の位相ノードと、第3及び第4のトランジスタの伝導パス間の接続の第2の位相ノードとの間に接続される負荷を更に含む回路。
【請求項4】
請求項1に記載の回路であって、ランプ・クロック生成器が、電力供給電圧の変動に応答してランプ・クロック信号の勾配を変化させるための回路を更に含む、回路。
【請求項5】
請求項1に記載の回路であって、ランプ・クロック生成器が、
タイミング・キャパシタ、
タイミング・キャパシタを周期的に充電するための充電回路、
タイミング・キャパシタを周期的に放電するための放電回路、
タイミング・キャパシタの電圧を検出するため、低限界に達する検出された電圧に応答してタイミング・キャパシタを充電するように充電回路を制御するため、及び高限界に達する検出された電圧に応答してタイミング・キャパシタを放電するように放電回路を制御するためのレベル検出器、及び
電力供給電圧を測定するため、及び測定された電力供給電圧に応答して高及び低限界をレベル検出器に伝達するための制御回路、
を含む回路。
【請求項6】
請求項5に記載の回路であって、充電回路は、第1の制御信に応答してタイミング・キャパシタに充電電流を導通させるための第1の電流源を含み、放電回路は、第2の制御信号に応答してタイミング・キャパシタに放電電流を導通させるための第2の電流源を含み、測定された電力供給電圧に応答して充電及び放電電流を制御するため、第1及び第2の電流源に第1及び第2の制御信号を供給するための周波数制御回路を更に含む、回路。
【請求項7】
パルス幅変調される駆動回路を制御する方法であって、
高限界と低限界との間で周期的に変化するランプ・クロック信号を生成し、
エラー信号をランプ・クロック信号と比較し、
エラー信号のランプ・クロック信号との比較に応答して、或るデューティ・サイクルで第1のパルス幅変調された信号を生成し、
第1のパルス幅変調された信号に応答してドライバ・トランジスタの第1の対の制御端子を駆動し、ドライバ・トランジスタの第1の対は、電力供給電圧と接地電圧との間に直列に接続される伝導パスを有し、
公称値よりも高い電力供給電圧に応答して、第1のパルス幅変調された信号のデューティ・サイクルを低減させ、
公称値よりも低い電力供給電圧に応答して、第1のパルス幅変調された信号のデューティ・サイクルを増加させる
ことを含む方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、低減させる工程は、高限界を増加させ、低限界を低減させることを含む方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、増加させる工程は、高限界を低減させ、低限界を増加させることを含む方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、公称値よりも高い電力供給電圧に応答して、低及び高限界間のランプ・クロック信号の勾配を増加させ、公称値よりも低い電力供給電圧に応答して、低及び高限界間のランプ・クロック信号の勾配を低減させることを更に含む方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、ランプ・クロック信号を生成する工程は、充電電流でタイミング・キャパシタを充電することを含み、高限界に達するタイミング・キャパシタの電圧に応答して、タイミング・キャパシタを放電電流で放電し、低限界に達するタイミング・キャパシタの電圧に応答して、充電工程を反復する方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、公称値より高い電力供給電圧に応答して、充電及び放電電流を増加させること、及び公称値より低い電力供給電圧に応答して、充電及び放電電流を低減させることを更に含む方法。
【請求項13】
ディスクドライブ・システムであって、
磁気ディスク、
磁気ディスクの上に伸びる位置決めアーム、
位置決めアームの末端部に取り付けられるデータ・トランスデューサ、
位置決めアームを旋回させるため、位置決めアームの基部に結合されるボイスコイルモーター、
第1及び第2のトランジスタを含む第1のドライバ対であって、第1及び第2のトランジスタが、電力供給電圧と接地電圧との間に直列に接続される伝導パスを有し、ボイスコイルモーターが第1及び第2のトランジスタの伝導パス間の接続のノードに結合され、第1及び第2のトランジスタの各々が制御端子を有する、第1のドライバ対、
エラー信号のランプ・クロック信号との比較に応答して第1のパルス幅変調された信号を生成するためのパルス幅変調回路、
第1のパルス幅変調された信号を受信するように結合される入力を有し、第1及び第2のトランジスタの制御端子に結合される出力を有する、第1のパルス幅変調ドライバ、及び
高限界と低限界との間で周期的に変化するランプ・クロック信号を生成するためのランプ・クロック生成器であって、電力供給電圧の変動に応答して高及び低限界を変化させるための回路を含む、ランプ・クロック生成器
を含むシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムであって、パルス幅変調回路は、エラー信号のランプ・クロック信号との比較に応答して第2のパルス幅変調された信号も生成することも目的としており、
第3及び第4のトランジスタを含む第2のドライバ対であって、第3及び第4のトランジスタが、電力供給電圧と接地電圧との間に直列に接続される伝導パスを有し、ボイスコイルモーターが第3及び第4のトランジスタの伝導パス間の接続のノードに結合され、第3及び第4のトランジスタの各々が制御端子を有する、第2のドライバ対、及び
第2のパルス幅変調された信号を受信するように結合される入力を有し、第3及び第4のトランジスタの制御端子に結合される出力を有する第2のパルス幅変調ドライバ、
を更に含むシステム。
【請求項15】
請求項13に記載のシステムであって、ランプ・クロック生成器は、電力供給電圧の変動に応答してランプ・クロック信号の勾配を変化させるための回路を更に含むシステム。
【請求項16】
請求項13に記載のシステムであって、ランプ・クロック生成器は、
タイミング・キャパシタ
タイミング・キャパシタを周期的に充電するための充電回路、
タイミング・キャパシタを周期的に放電するための放電回路、
タイミング・キャパシタの電圧を検出するため、低限界に達する検出された電圧に応答してタイミング・キャパシタを充電するように充電回路を制御するため、及び高限界に達する検出された電圧に応答してタイミング・キャパシタを放電するように放電回路を制御するためのレベル検出器、及び
電力供給電圧を測定するため、及び測定された電力供給電圧に応答して高及び低限界をレベル検出器に伝達するための制御回路、
を含むシステム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムであって、充電回路は、第1の制御信号に応答してタイミング・キャパシタに充電電流を導通させるための第1の電流源を含み、放電回路は、第2の制御信号に応答してタイミング・キャパシタに放電電流を導通させるための第2の電流源を含み、測定された電力供給電圧に応答して充電及び放電電流を制御するため、第1及び第2の電流源に第1及び第2の制御信号を供給するための周波数制御回路を更に含む、回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−503193(P2008−503193A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515293(P2007−515293)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/018338
【国際公開番号】WO2005/119658
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(501229528)テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド (111)
【Fターム(参考)】