説明

パレット検査装置

【課題】パレットの平板の被検査部の外観態様によらず、その破損の有無を検知することができるようにする。
【解決手段】パレット検査装置200は、検査対象であるパレット10を支持するパレット支持部221,222と、パレット支持部221,222に支持されたパレット10の平板11の被検査部に対し、その幅方向両側の斜め方向から検査光を照射するように設けられた一対の光源228と、一対の光源228から検査光が照射された平板11の被検査部の画像を取得する画像取得部229と、を備える。一対の光源228は、画像取得部229で外観態様が消去された平板11の被検査部の画像が取得される検査光を出射するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレットの検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パレットは、工場施設等において、貨物を運搬するために用いられるパネル状の荷台である。例えば、多数の段ボール箱等を一度にまとめて搬送するような場合、それらをまずパレット上に積み上げ、そして、パレットごとフォークリフト等で運搬するといったことが行われる。
【0003】
かかるパレットは、重量物が載せられて移動を繰り返すといった破損しやすい条件下で使用されるため、定期的に、或いは、使用の度に、破損の有無についての検査が行われる。例えば、特許文献1〜3には、パレットの平板に照射した検査光の反射光により、その破損の有無を検知することが開示されている。
【0004】
ところで、パレットとしては、安価であるということから木製のものが広く使用されている。木製のパレットは、一般的には、上下それぞれに間隔をおいて並行に延びるように複数の平板が設けられていると共に、上下の平板間に挟まれ且つそれらと直交する方向に延びるように間隔をおいて複数のリブ材が設けられており、各平板がリブ材に釘打ちされて、上下それぞれの平板間が横方向に連結されると共に上下の平板間が連結されて全体が一体化し、それによって上下それぞれに複数の平板により構成された盤面を有するパネル状に形成された構成となっている。そして、かかる木製のパレットの場合、釘打ち箇所から木目に沿って亀裂が発生し、それが割れや欠損に発展するといった破損が多く見受けられる。
【特許文献1】実公平6−8489号公報
【特許文献2】特開平9−159432号公報
【特許文献3】特開平9−159433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、木材は除去不能な沈着した汚れや腐食を伴うため、仮に同種の木製のパレットであっても、使用期間や使用環境等の使用履歴が相異すれば、平板の外観態様は著しく異なるものとなってしまう。例えば、使用期間が短く、主として屋内で使用されるパレットの場合、平板の外観態様は木目表面であるが、使用期間が長く、主として屋外で使用されるパレットの場合、平板の外観態様は黒色表面である。このように、検査対象であるパレットの平板の外観態様は多種多様であるため、従来の光学的検査方法では検査光を照射しても平板の外観態様によっては有効な反射光が得られないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、パレットの平板の被検査部の外観態様によらず、その破損の有無を検知することができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、間隔をおいて並行に延びるように設けられた複数の木製の平板により構成される盤面を有するパレットの検査装置であって、
検査対象であるパレットを支持するパレット支持部と、
上記パレット支持部に支持されたパレットの平板の被検査部に対し、その幅方向両側の斜め方向から検査光を照射するように設けられた一対の光源と、
上記一対の光源から検査光が照射された平板の被検査部の画像を取得する画像取得部と、
を備え、
上記一対の光源は、上記画像取得部で外観態様が消去された平板の被検査部の画像が取得される検査光を出射するように構成されている。
【0008】
また、本発明は、間隔をおいて並行に延びるように設けられた複数の木製の平板により構成される盤面を有するパレットの検査方法であって、
検査対象であるパレットの平板の被検査部に対し、その幅方向両側の斜め方向から検査光を照射するステップと、
上記検査光が照射された平板の被検査部の画像を取得するステップと、
を備え、
上記検査光として、上記画像を取得するステップにおいて、外観態様が消去された平板の被検査部の画像が取得されるものを用いる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、検査対象であるパレットの平板の被検査部に対し、その幅方向両側の斜め方向から検査光を高照度に照射し、それによって外観態様が消去された平板の被検査部の画像を取得することにより、平板の被検査部の外観態様によらず、破損を影として検出することができ、従って、単一の光学的方法により、平板の破損の有無を検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る検査対象である木製のパレット10を示す。
【0012】
この木製のパレット10は、間隔をおいて並行に延びるように設けられた上側の複数の平板11(図1では7枚)と、その上側の複数の平板11の下方に、それらに対応して、間隔をおいて並行に同一方向に延びるように設けられた下側の複数の平板11(図1では7枚)と、これらの平板11の両端部及び中央部のそれぞれに、上下の平板11間に挟まれ且つ平板11と直交する方向に延びるように間隔をおいて設けられた複数のリブ材12(図1では3本)と、を備えている。そして、パレット10は、各平板11がリブ材12に釘打ちされて、上下それぞれの平板11間が横方向に連結されると共に上下の平板11間が連結されて全体が一体化し、それによって上下それぞれに複数の平板11により構成された盤面を有するパネル状に構成されている。パレット10は、例えば、縦及び横が900〜1300mm、並びに厚さが130〜160mmに形成されている。また、平板11は、例えば、長さが900〜1300mm、幅が100〜180mm(なお、一般に、両側のものはそれらの間に配されるものよりも若干広幅である。)、及び厚さが15〜30mmの板材で構成され、リブ材12は、例えば、長さが900〜1300mm、幅が80〜120mm、及び厚さが40〜60mmの角材で構成されている。さらに、平板11間の隙間は例えば30〜40mmである。
【0013】
以上のような木製のパレット10は、木材が除去不能な沈着した汚れや腐食を伴うため、同種のものであっても、使用期間や使用環境等の使用履歴が相異すれば、平板11の外観態様が著しく異なる。例えば、使用期間が短く、主として屋内で使用されるパレット10の場合、平板11の外観態様は木目表面であるが、使用期間が長く、主として屋外で使用されるパレット10の場合、平板11の外観態様は黒色表面である。
【0014】
図2及び3は、本実施形態に係るパレット検査装置200を示す。
【0015】
このパレット検査装置200は、上流側から下流側に順に設けられた未検査パレットマガジン部210、パレット検査部220、及び良パレットマガジン部230と、動作制御部240と、により構成されている。
【0016】
未検査パレットマガジン部210は、マガジン本体211と送出チェーン搬送機212とを備えている。
【0017】
マガジン本体211は、側面が枠体によって構成された矩形筒状に形成されている。このマガジン本体211には、平板11が同一方向に延びるように積層された複数の未検査パレット10が、平板11の延びる方向が上流側から下流側に向かう方向に一致するように収容される。
【0018】
送出チェーン搬送機212は、駆動源に結合した駆動プーリを含む一対のプーリとそれらに巻き掛けられた搬送チェーンとを有し、マガジン本体211の底部の両側のそれぞれに搬送チェーンが上流側から下流側に延びるように設けられている。送出チェーン搬送機212は動作制御部240に接続されている。
【0019】
マガジン本体211には、側部にパレット係止支持機構及び底部に上下リフト機構がそれぞれ設けられている。そして、常態においては、このパレット係止支持機構が、積層された複数のパレット10の最下位のものに係止し、それによってそれらの複数のパレット10をマガジン本体211内に収容して支持するように構成されている。また、パレット10の切り出し動作においては、上下リフト機構が上昇して最下位のパレット10に接触すると、パレット係止支持機構がその最下位のパレット10への係止を解除して、積層された複数のパレット10を上下リフト機構によって支持し、続いて、上下リフト機構が下降する過程で、パレット係止支持機構が下から2つめのパレット10に係止し、それによってそれよりも上側の複数のパレット10を支持し、一方、最下位のパレット10だけを上下リフト機構と共に降下させて送出チェーン搬送機212上に載置し、送出チェーン搬送機212によってマガジン本体211の外に送り出すように構成されている。
【0020】
マガジン本体211には、上流側側面に大きな開口が設けられており、一方、未検査パレットマガジン部210の上流側には搬送機構を有するパレット供給コンベア30が設けられており、このパレット供給コンベア30からその上流側側面の開口を介してマガジン本体211に積層されたパレット10を供給するように構成されている。
【0021】
パレット検査部220は、上流側及び下流側チェーン搬送機221,222と上側及び下側ゴミ取り機223,224と集塵機225と上側及び下側平板検査機226,227とを備えている。
【0022】
上流側チェーン搬送機221は、駆動源に結合した駆動プーリを含む一対のプーリとそれらに巻き掛けられた搬送チェーンとを有し、未検査パレットマガジン部210の送出チェーン搬送機212に連続して、マガジン本体211から送り出されるパレット10の両側のそれぞれに対応するように設けられている。
【0023】
下流側チェーン搬送機222は、駆動源に結合した駆動プーリを含む一対のプーリとそれらに巻き掛けられた搬送チェーンとを有し、上流側チェーン搬送機221から搬送方向にパレット搬送受け渡し可能な間隔をおいて、上流側チェーン搬送機221から搬送されるパレット10の両側のそれぞれに対応するように設けられている。
【0024】
これらの上流側及び下流側チェーン搬送機221,222が、パレット10を平板11の延びる方向に搬送するパレット搬送機構を有するパレット支持部を構成している。
【0025】
上側ゴミ取り機223は、駆動源に結合した長尺ローラー状ブラシで構成され、上流側チェーン搬送機221の搬送路の後段部において、軸方向が搬送方向に直交すると共にブラシが上流側チェーン搬送機221で搬送されるパレット10の上側の盤面(上側の複数の平板11により構成される盤面)に接触するようにパレット搬送面の上方に設けられている。
【0026】
下側ゴミ取り機224は、駆動源に結合した長尺ローラー状ブラシで構成され、上流側チェーン搬送機221の搬送路における上側ゴミ取り機223のやや上流側において、軸方向が搬送方向に直交すると共にブラシが上流側チェーン搬送機221で搬送されるパレット10の下側の盤面(下側の複数の平板11により構成される盤面)に接触するようにパレット搬送面の下方の上流側チェーン搬送機221間に設けられている。
【0027】
集塵機225は、上方に開口した集塵口を有し、その集塵口が上側及び下側ゴミ取り機223,224の下方に位置付けられるように設けられている。
【0028】
図4は、上側及び下側平板検査機226,227を示す。
【0029】
上側平板検査機226は、平板11に検査光を照射すると共にその反射光を受光して平板11の有無を検知する光学センサーで構成され、上流側チェーン搬送機221と下流側チェーン搬送機222との間の隙間のパレット搬送面の上方に、搬送される検査対象であるパレット10の上側の各平板11に対応するように複数設けられている(図3及び4では7個)。各上側平板検査機226の出射面から搬送されるパレット10の上側の平板11の被検査部、つまり、平板11の表面までの距離は例えば150〜250mmである。上側平板検査機226を構成する光学センサーとしては、例えば、光電センサー等が挙げられる。
【0030】
下側平板検査機227は、光源228と画像取得処理機とを有し、上流側チェーン搬送機221と下流側チェーン搬送機222との間の隙間におけるパレット搬送面の下方に設けられている。
【0031】
光源228は、搬送される検査対象であるパレット10の下側の各平板11に対応して一対設けられている。一対の光源228は、平板11の被検査部、つまり、平板11の表面の幅方向両側の斜め方向から検査光を照射するように位置決めされている。各光源228からの検査光の平板11の被検査部への入射角は例えば15〜35°である。一対の光源228間の間隔は、両端の平板11に対応したもので例えば150〜160mmであり、それらの間の平板11に対応したもので例えば120〜130mmである。また、一対の光源228は、後述のカメラ229で、外観態様が消去された平板11の被検査部の画像、つまり、平板11の被検査部を高照度に照射して外観態様の如何によらず同一態様の画像が取得される検査光を出射するように構成されている。具体的には、一対の光源228は、平板11の被検査部の照度が800lx(ルクス)以上となる検査光を出射するように構成されていることが好ましく、1000lx以上となる検査光を出射するように構成されていることがより好ましい。このような高照度は、一般的な画像解析分野では、分析に支障を来たし、使用が回避されるものである。また、検査光は、赤色光、青色光、緑色光、或いは、その他の色の光であってもよいが、これらのうち赤色光が好ましい。ここで、赤色の検査光は波長620〜700nmの検査光である。各光源228の発光輝度は例えば200〜300cd/mである。かかる光源228としては、例えば、図5に示すようなLEDをマトリクス状に配列した面状発光体、具体的には、モリテックス社製のMBRL−C(R、G、B)7530等が挙げられる。なお、図3及び4では、上流側に四対の光源228が設けられ、また、下流側に三対の光源228が設けられているが、前者が奇数番目の平板11に対応するものであり、後者が偶数番目の平板11に対応するものである。
【0032】
画像取得処理機は、カメラ229とそれに接続されたコントローラとで構成されている。
【0033】
カメラ229は、上流側チェーン搬送機221と下流側チェーン搬送機222との間の隙間における光源228よりもさらに下方に、検査光が照射される平板11の被検査部が撮影されるように、平板11が2枚につき1台の割合で複数設けられている(図3及び4では4台)。各カメラ229は、平板11の被検査部が、対向する方向から撮影されるように設けられていても、また、傾斜する方向から撮影されるように設けられていてもどちらでもよい。各カメラ229の先端から搬送されるパレット10の下側の平板11の被検査部までの距離は例えば400〜550mmである。かかるカメラ229としては、例えば、CCDカメラ、具体的には、キーエンス社製のCV−020等が挙げられる。
【0034】
コントローラは、カメラ229から送られてくる平板11の被検査部の画像をディスプレイに表示すると共に、それをデータ化して濃淡を画像解析することにより破損の有無を検知するように構成されている。具体的には、平板11の被検査部の画像の濃淡において、平板11の延びる方向に沿って所定幅(例えば3mm)の影を所定長(例えば200mm)以上検出したときには、それを破損と検知するように構成されている。かかるコントローラとしては、例えば、キーエンス社製のCV−3500等が挙げられる。
【0035】
この画像取得処理機が、カメラ229によって平板11の被検査部の画像を取得する画像取得部を構成すると共に、コントローラによってその画像の濃淡を画像解析して破損の有無を検知する破損検知部を構成している。
【0036】
以上のパレット検査部220の上流側及び下流側チェーン搬送機221,222、上側及び下側ゴミ取り機223,224、集塵機225、並びに上側及び下側平板検査機226,227は、それぞれ動作制御部240に接続されている。また、上側及び下側ゴミ取り機223,224、集塵機225、並びに上側及び下側平板検査機226,227は、カバーCで覆われていると共に、その内部において、上側及び下側ゴミ取り機223,224、並びに集塵機225が設けられた部分と上側及び下側平板検査機226,227が設けられた部分とが仕切られている。
【0037】
良パレットマガジン部230は、マガジン本体231と受入チェーン搬送機232とを備えている。
【0038】
マガジン本体231は、側面が枠体によって構成された矩形筒状に形成されている。
【0039】
受入チェーン搬送機232は、駆動源に結合した駆動プーリを含む一対のプーリとそれらに巻き掛けられた搬送チェーンとを有し、マガジン本体231の底部に、パレット検査部220の下流側チェーン搬送機222に連続して、送り込まれる検査済パレット10の両側のそれぞれに対応するように設けられている。受入チェーン搬送機232は動作制御部240に接続されている。
【0040】
マガジン本体231には、側部にパレット係止支持機構及び底部に上下リフト機構がそれぞれ設けられている。そして、常態においては、このパレット係止支持機構が、積層された複数のパレット10の最下位のものに係止し、それによってそれらの複数のパレット10をマガジン本体231内に収容して支持するように構成されている。また、検査済みの良パレット10の受入動作においては、受入チェーン搬送機232が検査済の良パレット10を受け入れた後、上下リフト機構が上昇してその受け入れた良パレット10を持ち上げ、それが最下位のパレット10に接触すると、パレット係止支持機構が最下位のパレット10への係止を解除して、その受け入れた良パレット10の上に積層された複数のパレット10を載置すると共に、その受け入れた良パレット10が最下位となって積層された複数のパレット10を上下リフト機構によって支持し、続いて、上下リフト機構が下降する過程で、パレット係止支持機構が最下位の受け入れた良パレット10に係止し、それによってその受け入れた良パレット10が加えられた複数のパレット10を支持するように構成されている。さらに、検査済みの不良パレット10の排出動作においては、受入チェーン搬送機232が検査済の不良パレット10を受け入れた後、受入チェーン搬送機232がその不良パレット10をそのままマガジン本体231の下流側側面から排出するように構成されている。
【0041】
動作制御部240は、未検査パレットマガジン部210、パレット検査部220、及び良パレットマガジン部230を動作制御するコンピュータで構成されており、未検査パレットマガジン部210のマガジン本体211の外側に設けられている。
【0042】
次に、このパレット検査装置200によるパレット10の検査方法について説明する。
【0043】
まず、パレット供給コンベア30から未検査パレットマガジン部210のマガジン本体211に積層した未検査パレット10を供給する。ここで、パレット供給コンベア30には、平板11の延びる方向が一致するようにパレット10を積層し、また、マガジン本体211には、平板11の延びる方向が上流側から下流側に向かう方向に一致するようにパレット10を収容する。
【0044】
そして、動作制御部240のスイッチをオンすると、未検査パレットマガジン部210においては、送出チェーン搬送機212が稼働する。このとき、送出チェーン搬送機212により、マガジン本体211の横長開口からパレット10が一枚ずつ順に送り出される。
【0045】
パレット検査部220においては、上流側及び下流側チェーン搬送機221,222、上側及び下側ゴミ取り機223,224、集塵機225、並びに上側及び下側平板検査機226,227が稼働する。
【0046】
このとき、上流側チェーン搬送機221により、未検査パレットマガジン部210から送り出されたパレット10が上流側から下流側に向かって搬送される。
【0047】
上流側チェーン搬送機221による搬送過程では、上側ゴミ取り機223の回転するブラシにより、パレット10の上側の盤面(上側の複数の平板11により構成される盤面)のゴミ等が除去され、また、下側ゴミ取り機224の回転するブラシにより、下側の盤面(下側の複数の平板11により構成される盤面)のゴミ等が除去される。上側及び下側ゴミ取り機223,224により除去されたゴミ等は集塵機225により回収される。
【0048】
下流側チェーン搬送機222により、上流側チェーン搬送機221で搬送されたパレット10が受け取られて良パレットマガジン部230側に搬送される。
【0049】
上流側チェーン搬送機221から下流側チェーン搬送機222への受け渡し過程では、上側平板検査機226により、搬送されるパレット10の上側の複数の平板11のそれぞれが、その延びる方向に沿って移動する被検査部に検査光が照射されると共に、その反射光の検出の有無から平板11の有無が検知される。具体的には、上側平板検査機226は、検査光の反射光を検出したときには平板11が有ると判断する一方、反射光を検出しないときには平板11が無いと判断し、それによって平板11の有無を検知し、その平板11の有無の検知情報を動作制御部240に送る。
【0050】
また、下側平板検査機227により、搬送されるパレット10の下側の複数の平板11のそれぞれが、その延びる方向に沿って移動する被検査部にその幅方向両側の斜め方向からパルス状に検査光が照射されると共に、その画像が画像解析されて破損の有無が検知される。具体的には、下側平板検査機227は、各平板11に対して、一対の光源228により、その幅方向両側の斜め方向から平板11の被検査部が高照度となるようにパルス状の検査光を照射し、カメラ229により、検査光で外観態様が消去された平板11の被検査部の画像を取得し、コントローラにより、その画像の濃淡を画像解析し、そして、平板11の延びる方向に沿って所定幅の影を所定長以上検出したときには破損が有ると判断する一方、それ以外のときには破損が無いと判断し、それによって平板11の破損の有無を検知し、その平板11の破損の有無の検知情報を動作制御部240に送る。ここで、一対の光源228は、奇数番目の平板11に対応するものが上流側に設けられていると共に偶数番目の平板11に対応するものが下流側に設けられているので、図6(a)及び(b)に示すように、相互に隣接する奇数番目の平板11及び偶数番目の平板11では、その延びる方向における被検査部の位置が相異し、また、カメラ229は、平板11が2枚につき1台の割合で設けられているので、図7に示すように、被検査部の位置が延びる方向において相異する一対の平板11の画像が取得される。
【0051】
以上のように、検査対象であるパレット10の平板11の被検査部に対し、その幅方向両側の斜め方向から検査光を高照度に照射し、それによって外観態様が消去された平板11の被検査部の画像を取得することにより、平板11の被検査部の外観態様によらず、破損を影として検出することができ、従って、単一の光学的方法により、平板11の破損の有無を検知することができる。
【0052】
良パレットマガジン部230においては、受入チェーン搬送機232が稼働する。このとき、受入チェーン搬送機232によりパレット検査部220からの検査済パレット10がマガジン本体231内に受け入れられる。
【0053】
そして、動作制御部240は、上側及び下側平板検査機226,227からの情報に基づいて、良パレットマガジン部230を動作制御する。このとき、検査済パレット10が、上側のいずれの平板11も有り且つ下側のいずれかの平板11にも破損が無い場合には、それが良パレット10と判断されて、マガジン本体231内に積層される。一方、検査済パレット10が、上側のいずれかの平板11が無い場合、及び/又は、下側のいずれかの平板11に破損が有る場合には、それが不良パレット10と判断されて、良パレットマガジン部230から排出される。
【0054】
なお、本実施形態では、検査対象であるパレット10を上側及び下側の平板11とリブ材12とで構成したものとしたが、特にこれに限定されるものではなく、間隔をおいて並行に延びるように設けられた複数の木製の平板により構成される盤面を有するものであれば他の構成のものであってもよい。
【0055】
また、本実施形態では、上側平板検査機226を光学センサーで構成したが、特にこれに限定されるものではなく、機械的なリミットスイッチであっても、下側平板検査機227と同様の構成であってもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、設置された上側及び下側平板検査機226,227により搬送されるパレット10を検査する構成としたが、特にこれに限定されるものではなく、移動する上側及び/又は下側平板検査機により載置されたパレットを検査する構成であってもよい。
【実施例】
【0057】
上記実施形態と同様の構成のパレット検査装置を用い、一対の光源から照射される検査光(赤色光)によるパレットの平板の被検査部の照度を変量し、破損した平板を有するパレットを含む複数のパレットについて検査する実験を行った。なお、光源としてモリテックス社製のMBRL−CR7530、並びに、画像取得処理機を構成するカメラとしてキーエンス社製のCV−020及びコントローラとしてキーエンス社製のCV−3500をそれぞれ用いた。また、破損判定基準として幅3mm以上且つ長さ200mm以上の影を検出した場合を破損有りと判断するように設定した。
【0058】
実験の結果、照度が500lx未満では、パレットの平板の破損を検知することはできなかった。照度が500lx以上800lx未満では、パレットの平板の破損を検知することができる場合がある一方、それを見逃してしまう場合も含まれた。800lx以上では、パレットの平板の破損を見逃すことなく検知することができた。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、パレットの検査装置及び検査方法について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施形態に係るパレットの斜視図である。
【図2】実施形態に係るパレット検査装置の側面図である。
【図3】実施形態に係るパレット検査装置の平面図である。
【図4】上側及び下側平板検査機を示す斜視図である。
【図5】面状発光体の光源を示す平面図である。
【図6】光源から平板への検査光の照射状態を示す(a)正面図及び(b)側面図である。
【図7】カメラで撮影された相互に隣接する一対の平板の画像写真である。
【符号の説明】
【0061】
10 パレット
11 平板
200 パレット検査装置
221 上流側チェーン搬送機(パレット支持部)
222 下流側チェーン搬送機(パレット支持部)
227 下側平板検査機
228 光源
229 カメラ(画像取得部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をおいて並行に延びるように設けられた複数の木製の平板により構成される盤面を有するパレットの検査装置であって、
検査対象であるパレットを支持するパレット支持部と、
上記パレット支持部に支持されたパレットの平板の被検査部に対し、その幅方向両側の斜め方向から検査光を照射するように設けられた一対の光源と、
上記一対の光源から検査光が照射された平板の被検査部の画像を取得する画像取得部と、
を備え、
上記一対の光源は、上記画像取得部で外観態様が消去された平板の被検査部の画像が取得される検査光を出射するように構成されているパレット検査装置。
【請求項2】
上記一対の光源が出射する検査光が、平板の被検査部の照度が800lx以上となるものである請求項1に記載されたパレット検査装置。
【請求項3】
上記一対の光源が出射する検査光が赤色である請求項1又は2に記載されたパレット検査装置。
【請求項4】
上記画像取得部が取得した平板の被検査部の画像の濃淡を画像解析して破損の有無を検知する破損検知部をさらに備えた請求項1乃至3のいずれかに記載されたパレット検査装置。
【請求項5】
上記パレット支持部がパレットを平板の延びる方向に搬送するパレット搬送機構を有し、該パレット搬送機構によってパレットを搬送することにより上記一対の光源から検査光が照射される平板の被検査部がその延びる方向に沿って移動するように構成されている請求項1乃至4のいずれかに記載されたパレット検査装置。
【請求項6】
間隔をおいて並行に延びるように設けられた複数の木製の平板により構成される盤面を有するパレットの検査方法であって、
検査対象であるパレットの平板の被検査部に対し、その幅方向両側の斜め方向から検査光を照射するステップと、
上記検査光が照射された平板の被検査部の画像を取得するステップと、
を備え、
上記検査光として、上記画像を取得するステップにおいて、外観態様が消去された平板の被検査部の画像が取得されるものを用いるパレット検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−42193(P2009−42193A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−210571(P2007−210571)
【出願日】平成19年8月11日(2007.8.11)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】