説明

プラズマ処理装置

【課題】処理される試料の温度の精度あるいは信頼性を向上させたプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】内側でプラズマが形成される処理室3と、該処理室内の下方に配置され、その上面に試料5が載置される試料台であってその内部に冷凍サイクルの冷媒が通流して蒸発器として動作する円筒形を有する試料台4と、該試料台4の内部に配置され、前記円筒の中心について同心状に配置された前記冷媒の流路と、前記試料台4の下方に配置され、該試料台4の振動を検出する少なくとも1つの検知器37と、前記冷凍サイクル上の圧縮機と前記試料台4との間に配置され、前記検知器37の出力から前記流路内側を通流する前記冷媒の乾き度を検出し、その結果に基づいて前記試料台4に流入する前記冷媒の温度を調節する調節部33と、を備えたプラズマ処理装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空容器内部の処理室内に配置された試料台状に載せられた半導体ウエハなど基板状の試料をこの処理室内で形成されたプラズマを用いて処理するプラズマ処理装置に係り、試料台内部に冷凍サイクルを循環する冷媒の流路を備えて試料台の温度を調節しつつ試料を処理するプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より半導体デバイスの製造工程においては、プラズマエッチング装置やプラズマCVD装置などにより、半導体ウエハなどの試料に対しプラズマ処理が行われている。これらプラズマ処理においては、試料の温度が処理結果に強く影響する。具体的には、プラズマエッチング処理においては、エッチングによって試料表面に形成される加工パターンの寸法や加工形状に影響し、プラズマCVD処理においては、試料表面に形成される膜の品質や成膜速度に影響する。そのため、これらプラズマ処理において試料基板の表面に施す処理の質を向上させるために、試料温度を管理することは非常に重要である。
【0003】
このようなプラズマ処理においては、試料の温度を制御するために、試料を保持する試料台の内部に配置された温度調節手段により、試料台内部および試料保持面の温度を調節する技術が採用されてきた。例えば、試料台内部に冷媒の流路を形成し、この流路内に液体冷媒を流入させることにより、冷媒とそれが接する流路壁面との間の熱伝達によって熱交換させることで試料台の温度を調節し、その試料を所望の温度に調節する装置体系が用いられている。このような場合は、配管を介して試料台に冷媒温度調節部(例えば、チラーユニット等)を接続し、冷媒温度調節部内の冷却装置又は加熱装置により所定の温度に調節された冷媒が試料台内部の流路内に供給され熱交換した後、再度冷媒温度調節部に戻される。
【0004】
このような冷媒温度調節部では、一旦この液体冷媒を貯留するタンクに溜めて、その温度を調節した後に冷媒を試料台に供給する構成である。この構成では、温度調節のために多量の冷媒を用いるため冷媒の熱容量が大きくなり、その結果、試料および試料台への入熱量が変化しても試料の温度を一定に保つために有利である。しかし一方で、積極的に試料および試料台の温度を、大きく且つ速く変化させようとした場合、冷媒の熱容量が大きいために温度変化の速度を大きくできないという問題があった。また、液体冷媒と流路との間の熱交換が熱伝達のみであり伝熱量が小さいことも、試料台および試料の温度変化を速くできない原因であった。
【0005】
一方、半導体デバイスの製造においては、前述したようなプラズマ処理における試料である半導体ウエハの大口径化に伴い、処理中に試料に印加される電力は増加傾向にあり、その結果、試料および試料台への入熱量は以前よりも大きくなってきている。そのため、このような大きな入熱に対しても安定して高速且つ高精度に半導体基板の温度の調節を行う技術が求められている。さらに、半導体デバイス構造の複雑化や半導体基板表面の膜の多層化により、複数の膜の各々を処理する各処理ステップに応じて、試料の温度を素早く適正に調節することが望まれている。
【0006】
また従来の冷媒温度調節部では、液体冷媒が試料台内部の流路を流れながら流路の壁と液体冷媒との間の熱伝達を行っているため液体冷媒の温度は、流路の入口に入ってから出口から出るまでに徐々に上がっていくことになる。試料台表面の温度は、流路を流れる冷媒の温度の影響を受けるため、このような冷媒の温度変化は、試料台表面の面内温度分布の悪化につながる恐れがある。その結果、試料の面内温度分布の悪化が起こり、プラズマ処理の面内分布の悪化を引き起こす原因となり得る。
【0007】
このような課題に対して、試料台冷却するための冷媒が循環する経路を、圧縮機と凝縮器と膨張弁と蒸発器からなる冷凍サイクルとして構成し、試料台内の冷媒の流路において冷媒を沸騰・蒸発させて試料台を冷却する、すなわち試料台を冷凍サイクルの蒸発器として作用させる、いわゆる直接膨張式の冷媒温度調節部により試料台の温度を調節する技術が提案されている。このような技術の例としては、特開平6−346256号公報(特許文献1)や特開2005−83864号公報(特許文献2)に開示されたものが知られている。
【0008】
これらの従来技術には、例えば代替フロンR410a(ハイドロフルオロカーボン)を冷媒として、試料台内部の冷媒流路に導入して当該試料台を蒸発器として動作させる冷凍サイクルを構成して、冷媒の蒸発潜熱を冷媒と流路壁面との間の熱交換に利用し、試料および試料台への大きな入熱量にも対応してその温度を調節する技術が開示されている。また、膨張弁の開度を調節することによって流路内の冷媒の圧力を素早く調節することで冷媒の温度を素早く変化させることができ、その結果、試料台および試料の温度を所望に変動させて試料の処理の精度や再現性を向上させるものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−346256号公報
【特許文献2】特開2005−89864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1および特許文献2に開示されている直接膨張式の冷媒温度調節部を用いた試料台の温度調節機構では、試料台にプラズマからの入熱がある場合でも、流路での冷媒が気液混相流の状態であるときには冷媒の温度が一定となる。それに対し冷媒の液体の部分が完全に蒸発して気体だけになるドライアウトと呼ばれる状態になった場合は、冷媒の温度は上昇する。
【0011】
そのため、試料台の冷媒入口から入り、試料台内部の流路を循環し、出口から出て行く途中で、プラズマからの入熱により徐々に乾き度が上がり試料台の内部でドライアウトになった場合、ドライアウトになった地点よりも下流側では、その上流側よりも冷媒の温度が高くなり、その結果試料台の温度分布が不均一、あるいは所期のものとすることができず、試料の処理の再現性や精度が損なわれてしまう。これを防止するためには、上記冷媒のドライアウトまたはその生起の兆候を検知,検出することが必要であるが、このような課題について上記従来技術では考慮されていなかった。
【0012】
また、特許文献1および特許文献2に開示されている直接膨張式の冷媒温度調節部は、試料台内部が冷凍サイクルを構成するために、循環させる冷媒の圧力が試料台外部で温度が調節された冷媒が供給され試料台を冷凍サイクルの一部として用いない場合と比べより高圧になる。例えば、前述したチラーユニットによって液体冷媒を循環させる構成においては、冷媒が0.4〜0.8MPa(4〜8気圧)程度の圧力であるのに対し、特許文献1および特許文献2に開示の技術では、例えば代替フロンR410aを用いた場合には、冷媒が2.0〜4.0MPa(20〜40気圧)程度の高圧に達する。
【0013】
なお、試料を載置する試料台は、その表面を溝状に削ることによって冷媒流路を構成した金属円盤と、もう1枚の金属円盤とを接合することによって一般的に製造される。そのため、冷媒の圧力によって冷媒流路にかかる力は、これら2枚の金属円盤を剥離させるように作用する。そのため、冷媒が0.4〜0.8MPa程度の圧力の場合には、接合の強度を容易に確保できるのに対し、冷媒が2.0〜4.0MPa程度の高圧になる場合には、接合部が剥離し試料台の破損につながる危険性が高くなるという課題がある。また、前述したように試料台内部の冷媒は沸騰しながら流動するが、その沸騰に伴って試料台に振動が生じるため、試料台を構成する2枚の金属円盤の接合部の剥離が発生する危険性は増大する。
【0014】
プラズマ処理は一般的に数Pa程度に減圧された処理室の内部で行われるため、その処理室内部に配置された試料台の外周部の接合部が剥離し、冷媒が試料台の外部に漏れた場合には、その冷媒が気化することによって処理室内の圧力が上昇し、プラズマ処理に支障をきたす。また冷媒が代替フロンだった場合には、それが水素・フッ素・炭素の化合物であるために、プラズマ中にそれらの成分が拡散することによってプラズマ処理に支障をきたす。また、その試料台の外周部の接合部は有効に接合され、試料台の外部への冷媒の漏れが無かったとしても、内周部の接合部が剥離し冷媒流路の短絡が発生した場合には、設けていた流路以外の領域に冷媒の流れが発生してしまう。試料台内部の流路は厳密に設計されたものであるため、冷媒の流れが乱れることによって、試料台の温度分布が本来意図していないものに変わり、その結果、試料表面に施されるプラズマ処理の面内の分布が変化することになる。
【0015】
このように、試料台内部の流路を流れているときの冷媒のドライアウトの検知手段や試料台の接合部の剥離や試料台の破損を検知するという課題について、上記従来技術では考慮されていなかった。このため、プラズマ処理装置による処理の精度,再現性や信頼性が損なわれてしまうという問題が生じる点について考慮されていなかった。
【0016】
本発明の目的は、処理の精度あるいは信頼性を向上させたプラズマ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的は、真空容器内部に配置され内側でプラズマが形成される処理室と、この処理室内の下方に配置されその上面に試料が載置される試料台であってその内部に冷凍サイクルの冷媒が通流して蒸発器として動作する円筒形を有する試料台と、前記試料台の内部に配置され前記円筒の中心について同心状に配置された前記冷媒の流路と、前記試料台の下方に配置されこの試料台の振動を検出する少なくとも1つの検知器と、この検知器からの出力から前記流路内側を通流する前記冷媒の乾き度を検出した結果に基づいて前記冷凍サイクルを構成する圧縮機または膨張弁の動作を調節する調節部とを備えたプラズマ処理装置により達成される。
【0018】
また、前記検知器からの出力から前記流路内側を通流する前記冷媒の乾き度を検出した結果に基づいて前記冷凍サイクル上の前記圧縮機と前記試料台との間に配置され前記試料台に流入する冷媒の温度を調節する調節部とを備えたプラズマ処理装置により達成される。
【0019】
さらに、前記試料台の下面に配置され前記冷媒の前記試料台内部への入口の近傍の箇所と連結されて少なくとも1つの前記検知器が配置されたことにより達成される。
【0020】
さらにまた、前記試料台の下面に配置された前記冷媒の出口の近傍の箇所に連結されて前記検知器が配置されたことにより達成される。
【0021】
さらにまた、前記冷媒の流路が前記試料台の内部で前記中心からの異なる半径方向の距離に同心状に多重に配置された複数の円弧状の流路とこれらの円弧状の流路のうちの2つを連結する連結路とを有し、前記試料台の下面であって前記連結路の近傍に前記検知器が配置されたことにより達成される。
【0022】
さらにまた、前記連結路の平面形が前記円弧状の流路の曲率よりも小さな曲率を有した平面形を有したことにより達成される。
【0023】
さらにまた、前記試料台の前記流路が上下2つの部材が接合されて構成されたものであり、前記試料台の下面の連結路の近傍の箇所に連結して配置された前記検知器からの出力から前記上下の部材の接合の不備を検出することにより達成される。
【0024】
さらにまた、前記試料台の下面に接して配置された電気的に絶縁性を有する部材を有し、この絶縁性を有する部材に接して前記検知器が配置されたことにより達成される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例に係るプラズマ処理装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す実施例の試料台の構成を拡大して示す横及び縦断面図である。
【図3】図1に示す第1実施例の試料台に配置された各振動センサの検出した出力を時系列に示すグラフである。
【図4】図1に示す実施例の変形例に係る試料台の構成の概略を示す横及び縦断面図である。
【図5】図1に示す実施例の別の変形例に係る試料台の構成の概略を示す横及び縦断面図である。
【図6】図1に示す実施例の別の変形例に係る試料台の構成の概略を示す横及び縦断面図である。
【図7】図6に示す変形例において圧力計が検出した出力を時系列に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0027】
以下、本発明の実施例について図1乃至図3を用いて説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施例に係るプラズマ処理装置の構成の概略を示す縦断面図である。特に、本実施例は、マイクロ波による電界と磁界とを用いてECRプラズマを形成して真空容器の内部の処理室内に配置された半導体ウエハ等の基板状の試料をエッチングするプラズマ処理装置の構成を示している。
【0029】
本実施例において、真空容器を構成し円筒形状を有する処理室壁1の上に同じく真空容器の上部を構成し内外を気密に封止する円板状の石英によって構成された処理室蓋2を配置し、これにより内部に減圧される処理室3が構成される。処理室3の内部の下方には円筒形状を有する試料台4が設けられ、この上面の載置面に試料5(本実施例では、半導体ウエハ)が保持される。
【0030】
処理室3の上部にはガス導入管6の開口が設けられ、開口からエッチング処理を行うための反応性の高いガスである処理ガス7が処理室3内に導入される。処理室3の下部には排気口8が設けられ、処理室3に導入された処理ガス7や、プラズマ,エッチングによって生じた反応生成物の粒子が排気される。排気口8の先には圧力調節バルブ9と真空ポンプの一種であるターボ分子ポンプ12が設けられ、圧力調節バルブ9の開度を調節することにより、処理室3の圧力が数Pa程度に調節される。
【0031】
処理室3の上部の処理室蓋2を経由し、マイクロ波10が印加され、これと処理室壁1の周りに配置されたソレノイドコイル(図示しない)によって生じる磁場との相互作用により処理室3内にプラズマ11が発生する。このプラズマ11に試料5を曝すことにより、プラズマエッチング処理が行われる。
【0032】
また、本実施例では円形の半導体ウエハである試料5の温度を制御するために、試料台4の内部に冷媒流路20が設けられている。この冷媒流路20には、直接膨張式の冷凍サイクルを用いた冷媒温度調節部21が接続されており、冷媒として代替フロンが流路20に流される。
【0033】
冷媒温度調節部21は、圧縮機22,凝縮器23,膨張弁24−1および膨張弁24−2,蒸発器26からなっている。試料台4から出た冷媒は、開度が調節された膨張弁24−2を経由し蒸発器26に導入され、そこで乾き度がほぼ0になるまで気化される。その後、冷媒は圧縮機22に導入され、そこで圧縮され、そして凝縮器23に導入される。
【0034】
凝縮器23には冷却水25が導入されており、これにより凝縮器23に導入された冷媒が冷却され、その結果凝縮される。凝縮された冷媒は、開度が調節された膨張弁24−1に導入され、その開度によって所望の圧力に調節された後に冷媒流路20に導入され、沸騰・気化しながら循環する。
【0035】
上記の冷凍サイクルの構成により、試料台4が所望の温度に制御される。なお、試料台4の内部に導入された冷媒は沸騰しながら試料台4を温調するので、言わば試料台4が第1の蒸発器として機能し、冷媒温度調節部21の内部の蒸発器26は第2の蒸発器として機能することになる。
【0036】
また、図示しないが、膨張弁24−1と試料台4との間の配管、および膨張弁24−2と試料台4との間の配管は断熱材で覆われており、これにより断熱されている。
【0037】
なお、膨張弁24−1の開度を小さくすると冷媒流路20内部の冷媒の圧力が下がるため温度が下がり、逆に膨張弁24−1の開度を大きくすると冷媒の圧力が上がるため温度が上がる。また、膨張弁24−2の開度を小さくすると冷媒流路20内部の冷媒の圧力が上がるため温度が上がり、逆に膨張弁24−2の開度を大きくすると冷媒の圧力が下がるため温度が下がる。
【0038】
圧縮機22の回転数を上げると試料台4に導入される冷媒の流速が上がるため圧力が上がり温度が上がる。これら膨張弁24−1と膨張弁24−2の開度および圧縮機22の回転数を制御することにより試料台4が所望の温度に制御され、その結果、試料5がプラズマエッチング処理に適した目標温度に制御される。
【0039】
本実施例の試料台4の下面の複数の箇所には、振動を検知する検知器である振動センサ37−1〜3が配置されており、これにより配置した場所近傍での振動が検出される。なお、本実施例では振動センサとしてAEセンサ(Acoustic Emission Sensor)を使用した。
【0040】
図2は、図1に示す実施例の試料台の構成を拡大して示す横及び縦断面図である。図2(a)は試料台4の断面を上から見た図である。
【0041】
本実施例で使用される試料台4の内部には、この図に示される様に複数の異なる半径の位置に略同心円状に冷媒流路が多重に配置された平面形が円弧形の部分を複数備えている。ここで、ある半径の位置での任意の円弧状の流路から、外側あるいは内側にある異なる半径位置の円弧状の流路に冷媒を通流させるために流路同士を連結して配置された曲率半径がより小さな円弧状の平面形を有する通路が配置されており、この通路の部分またはこれが配置された試料台4の部分を屈曲部と呼ぶ。
【0042】
冷媒入口30から導入された冷媒は、矢印で示されるように二方向に分かれて冷媒流路20に沿って循環し、屈曲部31を経由してさらに内側の流路へと流される。このように略同心円状の流路と屈曲部31とを経由し循環した後に、冷媒は冷媒出口32近傍で合流すると共に冷媒出口32から試料台4の外に排出され、図1に示したような冷媒温度調節部21に戻る。このような構成により異なる半径の位置での周方向の試料または試料台の温度の均一性が向上する。
【0043】
また、図2(b)は試料台4の近傍の構成を示した図である。試料台4は、2枚の金属製(例えばアルミニウム合金製)の円板35−1および円板35−2により構成されている。円板35−1の底面には、図2(a)に示したような上方から見た平面形状の流路断面が矩形状の溝が配置されており、円板35−1の底面において溝が掘られていない領域と、円板35−2の上面とを接合することによって、冷媒流路20が構成されている。そのため、接合している領域は図2(a)においてハッチングで示されている部分となる。
【0044】
本実施例では、振動センサを試料台4の下面に配置し、冷媒によって発生する振動を測定することにより、冷媒の状態を検出した。また、接合された円板35−1および円板35−2の剥離に伴う振動も検出した。
【0045】
以下、図2(b)を用いて振動センサの配置場所について説明する。なお配置場所について理解を助けるために、図2(a)にも振動センサ37−1〜3の配置場所を破線で示した。
【0046】
試料台4の下面であり且つ冷媒入口30の近傍に振動センサ37−1を、試料台4の下面であり且つ内側冷媒出口32の近傍に振動センサ37−3を、それぞれ配置した。またさらに、試料台4の下面であり且つ屈曲部31の近傍に振動センサ37−2を配置した。これらの場所にそれぞれ振動センサを配置することにより、それぞれの近傍での振動を検出できる。例えば振動センサ37−1は冷媒入口30の近傍に配置されているため、冷媒入口30近傍での振動を検出できる。また、これらの振動センサ37−1〜3で検出した振動の信号は、信号処理部39に送られ処理される。
【0047】
以下、振動センサ37−1〜3で検出した振動の具体的な評価処理の方法について説明する。本実施例において試料台4の下面に振動センサ37−1〜3を配置した目的は、主に気液混相の状態にある冷媒の沸騰に伴う振動を検出するためである。しかし、それ以外にも試料台4の下面で検出される振動が存在する。例えば、プラズマ処理装置を配置している場所の床からの振動や処理室壁1に取り付けられたターボ分子ポンプ12の振動などがそれであり、これらは本実施例での検出におけるノイズ成分となる。
【0048】
そこで冷媒の沸騰に伴う振動とノイズ成分とを分離するために、音などの振動データの分析に一般的に用いられている高速フーリエ解析を用いたスペクトル解析を行い、振動データの周波数とそれにおける強度を示すパワースペクトルに変換できる。また、得られたパワースペクトルをデシベル変換することにより音圧レベル(Sound Pressure Level)が得られる。デシベル変換とはパワースペクトルを基準値との比の常用対数によって表現するものであり、一般的に式(1)により、ある周波数における強度pから音圧レベルLpが得られる。
【0049】
Lp=20×log10(p/p0) …(1)
ここで、p0=20×10-6[Pa](パスカル)
得られた音圧レベルはノイズ成分を含んだデータであるので、ある閾値未満のものをノイズとみなし、それ以上のものを冷媒の沸騰に伴う振動の分析に使用する。本実施例では、閾値を0とした。この操作により振動センサによるデータのノイズ成分のうち、弱いものは除去される。例えば前述したノイズの1つである、プラズマ処理装置を配置している場所の床からの振動はこの操作により除去される。
【0050】
以上のような方法を用いて整理した、振動センサ37−1および振動センサ37−3により検出した結果を時系列のデータとして図3(a)および図3(c)にそれぞれ示す。また、複数ある振動センサ37−2のうちの1つによる検出結果を図3(b)に示す。図3は、図1に示す第1実施例の試料台に配置された各振動センサの検出した出力を時系列に示すグラフである。なお、これらのグラフは、処理室3においてプラズマ11を発生させた状態で、且つ冷媒温度調節部21により冷媒流路20に冷媒を供給している状態で得られたものであり、横軸は周波数、縦軸は音圧レベルを示す。
【0051】
ここで、特に図3(c)は冷媒出口32でドライアウトが発生していない場合に得られた検出結果を示している。図3(a)のグラフ中で、ピーク40−aは450Hz,900Hz,1350Hzの周波数に現れている。これらは、ターボ分子ポンプ12の回転数27000rpmの基本周波数450Hzとその2次周波数900Hzと3次周波数1350Hzと一致するためターボ分子ポンプ12の運転に起因するものと判断される。
【0052】
また、図3(b)と図3(c)にそれぞれ示される振動センサ37−2と振動センサ37−3の検出結果においても、ピーク40−aと全く同じ周波数(すなわち450Hz,900Hz,1350Hz)に、それぞれピーク40−bとピーク40−cに示されるピークが現れている。またさらに、これらのピーク40−a〜cの音圧レベルはほとんど同じである。これは試料台4が処理室壁1に機械的に接続されているために、試料台4の下面に配置された振動センサ37−1〜3にほぼ同じ強度でターボ分子ポンプ12の振動が伝わり、その結果、ほとんど同じ音圧レベルで振動を検出したためである。
【0053】
また図3(a)〜(c)では、ピーク40−a〜cの他に、650Hz近辺にピーク41−a〜cがそれぞれ現れている。ここで、ターボ分子ポンプ12を運転させ、かつ冷媒温度調節部21の運転を停止し、冷媒流路20への冷媒の供給を止めた状態での振動センサ37−2の検出結果を図3(d)に示す。冷媒が流れている場合には、図3(b)に示すように650Hz近辺にピーク41−bが現れていたのに対し、冷媒が流れていない場合には、図3(d)に示されるように650Hz近辺にピークは現れない。また、ここでは示さないが、冷媒が流れていない場合には、振動センサ37−1および振動センサ37−3の検出結果においても、図3(d)と同様に650Hz近辺にピークが現れなかった。そのためピーク41−a〜cは冷媒が通流しているときだけに現れると判断される。
【0054】
ここで冷媒が流れている状態である図3(a)〜(c)における650Hz近辺のピーク41−a〜cを比較すると、そのピークの大きさに差が生じている。ここで冷媒入口30の近傍に配置した振動センサ37−1でのピーク41−aの高さがごく小さいものであることから、このピークは冷媒の沸騰に伴う振動によって生じたものである。なぜならば、冷媒入口30の近傍では、乾き度がほとんど0の状態である冷媒が冷媒流路20に導入された直後であり、プラズマ11からの入熱をほとんど受けていないために、ほとんど沸騰が起きず、その結果、振動がほとんど発生しないためである。
【0055】
また、図3(b)に示される屈曲部31の近傍に配置された振動センサ37−2の検出結果では、冷媒が冷媒入口30から屈曲部31まで流れる過程でプラズマ11からの入熱を受け、沸騰が盛んに起きることにより振動が大きくなり、その結果650Hz近辺のピーク41−bはピーク41−aよりも高くなる。またさらに屈曲部31−1よりも下流側の位置にある内側冷媒出口32近傍に配置された振動センサ37−3の検出結果(図3(b))では、ピーク41−cはピーク41−bよりも音圧レベルが低くなっている。これは、冷媒が屈曲部31から冷媒出口32へと流れる過程でプラズマ11からの入熱により沸騰が続き、乾き度が高く、すなわち気液混相状態にある冷媒のうち液体の割合が少なくなったため、沸騰によって生じる振動の大きさが小さくなったためである。
【0056】
以上より、図3(a)〜(c)における650Hz近辺のピーク41−a〜cは沸騰によって生じる振動によるものであると断定される。
【0057】
次に、冷媒が冷媒出口32に達するまでにドライアウトが発生し、その結果冷媒出口32での冷媒が全て気体になった状態での振動センサ37−3の検出結果を図3(e)に示す。なお、冷媒出口32でのドライアウトは、プラズマ11から試料台4への入熱量が大きすぎたり、冷媒流路20に導入される冷媒の流速が小さすぎたりする場合に起きる。この図3(e)に示されるようにドライアウトが起きた場合は650Hz近辺でのピークは現れない。
【0058】
図3(a)〜(c)のピーク41−a〜cが示す沸騰による振動は、液体中で気泡が生成する時と、気液界面まで上昇し気泡が弾ける時に発生する。そのため、図3(e)に示されるように、冷媒出口32においてドライアウトとなっている場合には、冷媒が全て蒸発し気体のみになったため振動が生じず、650Hz近辺のピークが現れなかった。
【0059】
以上より、冷媒出口32の近傍に配置した振動センサ37−3での検出結果において、冷媒の沸騰を示すピーク41−cが現れている場合にはドライアウトが起きていない状態であり、ピーク41−cが現れていない場合にはドライアウトが起きていると見なせる。
【0060】
以上のような、振動センサ37−1〜3で検出されたそれぞれの振動データに対し高速フーリエ解析を用いたスペクトル解析を施し、パワースペクトルへの変換およびデシベル変換により音圧レベルを算出し、それが0以上のピークを抽出し、冷媒の沸騰を示すピークを同定し、その高さによりドライアウトの有無を判断する処理は、信号処理部39によって行われる。
【0061】
ここで、本実施例が、ドライアウトの兆候が検出されたと信号処理部39で判断された場合での動作について説明する。本実施例では、振動センサ37−3での検出結果で冷媒の沸騰を示すピーク41−cの音圧レベルが、ある閾値(例えば3デシベル)よりも低くなった場合には、冷媒の流量が増やされる。これにより冷媒の流速を上げ、完全に気化する前に冷媒出口32から排出させられるため、ドライアウトが回避される。
【0062】
このために冷媒温度調節部21内の圧縮機22の回転数が増大される。ただし、圧縮機22の回転数を上げると、冷媒流路20内の冷媒の温度が上がり、試料台4および試料5の温度が上がってしまう。その結果、試料5が目標温度よりも上がってしまうため、エッチング処理に悪影響が生じてしまう。
【0063】
これを防ぐため、冷媒温度調節部21において圧縮機22の回転数が増加されると共に、膨張弁24−1の開度を下げるか、もしくは膨張弁24−2の開度が大きくされる。この動作によって、冷媒の流速を上げながら冷媒を温度の増大が抑制される。また、このような操作を行うことにより、冷媒出口32での乾き度が下がり、振動センサ37−3の検出結果のピーク41−cがある閾値よりも高くなった場合にはドライアウトが抑制されたものと判断して、圧縮機22の回転数や膨張弁24−1および膨張弁24−2の開度を維持し続けても良い。このような動作により、ドライアウトが抑制されながら試料5の温度が所望の範囲内に維持、調節されて試料の処理の精度及び信頼性が向上する。
【0064】
上記のような冷媒の流量と温度の調節を行う上で、圧縮機22の回転数と膨張弁24−1および膨張弁24−2の開度と、冷媒の温度もしくは試料台4の温度との相関、関係を、予め実験等により求めてそのデータを記録しておくことが望ましい。本実施例では、冷媒の温度調節部制御部33は、図示しない内部の記憶装置に記憶されたデータを演算器が読み出し、同様に記憶装置に記憶されていたプログラムに沿って、上記データを用いて設定すべき冷媒の温度の値に選択し、当該温度に調節するように冷媒温度調節部21に指令信号を入出力インターフェースを介して発信する。
【0065】
信号を受信した冷凍サイクルの圧縮機22の回転数と膨張弁24−1および膨張弁24−2の開度は図示しないこれらの駆動装置によって動作が調節され、冷媒の温度が所望の値に調節される。またさらに、試料台4に温度計を配置するか、冷媒温度調節部21の内部に配置した温度計27により冷媒の温度を計測し、その温度が所定の範囲内になるように上記圧縮機22等を動作させる指令を冷媒の温度調節部制御部33から発信してもよい。
【0066】
なお、本実施例では冷媒の沸騰に伴う振動のピークは650Hz付近に現れたが、必ずこの周波数に現れるとは限らない。この振動は前述したように気泡の生成と消失によるものであるため、冷媒の粘度,密度,表面張力などの物性や乾き度の影響を受ける。またそれらの物性は冷媒の種類や、温度の影響を受けるため、冷媒の沸騰による振動のピークが、どの周波数に現れるかを事前に予測するのは困難である。しかしながら、冷媒の沸騰による振動と混同する可能性があるターボ分子ポンプ12の振動は、前述したように非常に音圧レベルが高く、またそのピークの周波数は回転数の整数倍に現れることから判別することが可能となる。
【0067】
そのため、本実施例では、冷媒の沸騰に伴う振動とターボ分子ポンプ12の振動とを区別して冷媒の沸騰に係る振動のスペクトルを検出する。また、前述したように、冷媒の沸騰が生じている位置での検出結果(図3(b))と、冷媒温度調節部21−1の運転を停止し冷媒流路20への冷媒の供給を止めた場合での検出結果(図3(d))とを比較することにより、冷媒の沸騰に伴う振動を示すピークの周波数を確定することが容易となる。
【0068】
なお、本実施例の試料台4においては、冷媒入口30と冷媒出口32のそれぞれに1個ずつと、6箇所の屈曲部31の近傍に1個ずつ、合計8個の振動センサ37−1〜3を配置したが、配置する個数はこれに限るものではない。本実施例に示した冷媒流路20の構造では、冷媒が冷やされることは無く、冷媒流路20の壁面から熱を受けて沸騰しながら通流するため、通流した距離が長いほど、すなわち冷媒出口に近いほど一般的に乾き度が高くなる。そのため冷媒出口32の近傍の1箇所のみに振動センサ37−3を配置し冷媒の沸騰に伴う振動を検出すれば、最低限のドライアウト検知は可能である。
【0069】
さらに、屈曲部31近傍の箇所に配置された振動センサ37−2で当該屈曲部31での振動を検出することにより、冷媒を通流させつつ冷媒の蒸発が正常に生じているか、試料台4の冷却が行われているか、異常な状態であるかが誠意度良く判別できる。また、振動センサ37−1で冷媒入口30近傍での振動を検出することにより、冷媒入口30付近での冷媒の乾き度が0(0%)かこれに近接した値(冷媒は飽和液状態)となっているか否かを精度良く判別できるため、冷媒温度調節部21による冷媒の温度の調節の要否と精度とを向上させることができる。
【0070】
また、プラズマ11から試料5や試料台4が受ける熱量が非常に大きく且つ冷媒の流量が少ない場合は、冷媒入口30から導入された冷媒が屈曲部31に達するまでにドライアウトが生じる可能性もある。その場合には冷媒の沸騰に伴う振動を示すピークが振動センサ37−2および振動センサ37−3では検出されず、振動センサ37−1のみで検出される。その場合は、前述したような屈曲部31と冷媒出口32との間でドライアウトが生じた場合よりもさらに冷媒の流量を増やす必要があるため、圧縮機22の回転数をさらに上げると共に、膨張弁24−1の開度を下げるか、もしくは膨張弁24−2の開度を上げることによって、冷媒の流速を上げながら冷媒を目標温度に保てる。このように冷媒流路20のどの地点でドライアウトが生じているかを判断することにより、冷媒流量の制御の信頼性を高められる。そのため、本実施例に示したように複数の振動センサを配置することが望ましい。
【0071】
また、前述したように流路の下の位置で、且つ冷媒入口30と冷媒出口32との間の位置に振動センサを配置することにより、ドライアウトの生起の兆候とその箇所との検出の精度及びこれらの検出の結果に基づいて行われる冷媒の供給の調節による蒸発して生起した気泡の溜りの低減とドライアウトの抑制の効果が向上する。また、これらの検知手段は屈曲部31等の近傍に配置することが望ましい。
【0072】
なぜなら、冷媒流路20においては、屈曲部31で各々の流路での曲率半径が最も小さくなるため冷媒の内圧により円板35−1と円板35−2とを剥離させようとする応力の集中が屈曲部31の近傍の接合部で起きやすく、剥離や亀裂等接合の不備が生起する可能性が高くなる。そこで、屈曲部31の近傍に振動センサ37−2を配置することにより、冷媒の沸騰による振動だけでなく、接合部の剥離が発生した場合にはそれに伴う振動が検出され、剥離の発生の検出が可能となる。
【0073】
このような構成においては、振動を検出した結果は各振動センサ37−1,2等から信号が出力され信号処理部39に送られ、この信号処理部39内の演算器によって接合部の剥離に伴う振動と判断された場合には、処理結果が装置制御部43に通信手段を介して送信され、装置制御部43は予め内部の記憶手段に記憶されたプログラムに従って異常が起きたことをプラズマ処理装置に具備された報知手段を用いて報知、或いは使用者の指令入力機のモニタ上に表示する。例えば、指令入力用のCRTモニタに表示される制御用の画面上に警告を表示させ作業者に知らせられる。
【0074】
以上のように、試料台4の下面に配置された検知手段からの出力を受信して通流する冷媒の乾き度やドライアウトの生起を検出し、この結果に基づいて冷媒温度調節部21が冷凍サイクルの動作或いは冷媒の通流、試料台4内の冷媒流路20に導入する冷媒の温度を所望の値を調節することよりドライアウトの生起を抑制し、処理中の試料5の温度を所望の範囲内に維持して、処理の精度と歩留まり、再現性が向上する。また、試料台4の接合部の剥離が生じやすい屈曲部31での剥離の発生を早期に検出することで、保守点検に要する作業の量や時間を低減してプラズマ処理装置の信頼性或いは装置による処理の効率とが向上する。
【0075】
〔変形例1〕
上記の実施例では試料台4の内部の冷媒流路20は1系統、つまり冷媒流路20に供給される冷媒は1つの条件に調節され、試料台4は実質的に1つの温度に調節される構成であった。その場合は、試料台4の表面や試料5の温度は面内でほぼ均一となる。
【0076】
それに対し、試料台4の内部に複数系統、例えば2系統の冷媒流路を形成し、外側の系統よりも内側の系統に高い温度の冷媒を導入したときには、試料台4や試料5の温度を内側で高い凸型の分布にすることができる。
【0077】
ゲート電極を形成するエッチング処理工程においては、処理で生じた反応生成物の密度が内周側で高くなるため、試料5の温度を内側で高くすることにより反応生成物のゲートへの付着係数を下げ、その結果、ゲート電極寸法を試料5の面内で均一になるように処理することが一般的に行われている。このように試料5および試料台4の温度分布を制御するために、試料台4の内部に複数系統の冷媒流路を形成した場合の構成を、上記実施例の変形例として図4を用いて説明する。
【0078】
以下、図4は、図1に示す実施例の変形例に係る試料台の構成の概略を示す横及び縦断面図である。図4(a)は試料台4の上断面を示す図である。試料台4には、半径方向に温度分布を持たせるために、内側冷媒流路20−1と外側冷媒流路20−2を設け、それらを第1実施例と同様に略同心円状の流路と屈曲部とからなる構造とした。また、内側冷媒流路20−1と外側冷媒流路20−2とには、上記実施例で説明した直接膨張方式の冷媒温度調節部21−1と冷媒温度調節部21−2とがそれぞれ接続されている。
【0079】
内側冷媒流路20−1においては、内側冷媒入口30−1から導入された冷媒が二方向に分かれて内側冷媒流路20−1に沿って循環し、屈曲部31−1を経由してさらに内周側の流路に流れる。前述した二方向に分かれて流れていた冷媒は、内側冷媒出口32−1近傍で合流すると共に内側冷媒出口32−1から試料台4の外に排出され、図4に示したような冷媒温度調節部21−1に戻る。
【0080】
同様に、外側冷媒流路20−2においても、外側冷媒入口30−2から導入された冷媒は二手に分かれて外側冷媒流路20−2に沿って循環し、屈曲部31−2を経由してさらに内周側の流路に流れる。前述した二手に分かれて流れた冷媒は、外側冷媒出口32−2で合流すると共に外側冷媒出口32−2から試料台4の外に流される。
【0081】
また、図4(b)は試料台4の近傍の構成を示した図である。上記実施例と同様に、試料台4の下面であり且つ内側冷媒入口30−1の近傍に振動センサ37−1を、試料台4の下面であり且つ内側冷媒出口32−1の近傍に振動センサ37−3を、試料台4の下面であり且つ外側冷媒入口30−2の近傍に振動センサ37−4を、試料台4の下面であり且つ外側冷媒出口32−2の近傍に振動センサ37−6を配置した。またさらに、試料台4の下面であり且つ屈曲部31−1の近傍に振動センサ37−2を、試料台4の下面であり且つ屈曲部31−2の近傍に振動センサ37−6を配置した。
【0082】
これらの場所にそれぞれ振動センサを配置することにより、実施例と同様に、それらの近傍での振動を検出できる。また、これらの振動センサ37−1〜6で検出した振動の信号は、信号処理部39に送られ処理される。
【0083】
これら振動センサ37−1〜6による検出の方法は第1実施例と同様である。すなわち、内側冷媒入口30−1,屈曲部31−1,内側冷媒出口32−1,外側冷媒入口30−2,屈曲部31−2および外側冷媒出口32−2における冷媒の振動を振動センサ37−1〜6で検出する。また、振動センサ37−1〜6で検出されたそれぞれの振動データに対し高速フーリエ解析を用いたスペクトル解析を施し、パワースペクトルへの変換およびデシベル変換により音圧レベルを算出し、それが0以上のピークを抽出し、冷媒の沸騰を示すピークを同定し、その高さによりドライアウトの有無を判断する処理を、信号処理部39によって行い、内側冷媒出口32−1もしくは外側冷媒出口32−2で冷媒のドライアウトが生じているか否かを判断する。
【0084】
また、ドライアウトの兆候が検出されたことが信号処理部39で判断された場合には、温度調節部制御部33により冷媒温度調節部21−1もしくは冷媒温度調節部21−2内の圧縮機22の回転数と膨張弁24−1および膨張弁24−2の開度が第1実施例と同様に制御され、ドライアウトを防止しながら内側冷媒流路20−1および外側冷媒流路20−2の内部の冷媒温度を所望の値に制御できる。また、試料台4の接合部の剥離が振動センサ37−1〜6によって検知された場合には、異常が起きたことを示す警告を装置制御部43によってプラズマエッチング装置に出す。
【0085】
以上のような装置構成および操作を実施することにより、試料台4に複数系統の冷媒流路すなわち内側冷媒流路20−1および外側冷媒流路20−2を設けた場合でも、実施例と同様に、ドライアウトを防止しながらそれぞれに導入する冷媒の温度を所望の値に制御し、その結果試料4の温度分布を制御でき良好なエッチング処理を行える。また第1実施例と同様に、試料台4の接合部の剥離が生じやすい屈曲部31−1および屈曲部31−2での剥離の発生を検知することができる。
【0086】
ここで、本実施例における内側冷媒入口30−1と内側冷媒出口32−1との位置関係について説明する。本実施例では内側冷媒入口30−1を内側冷媒出口32−1よりも内周側に配置した。
【0087】
また、本実施例では試料5の温度を外周部よりも中央部で高い凸分布にするために、内側冷媒流路20−1に導入する冷媒の温度を、外側冷媒流路20−2に導入する冷媒の温度よりも高くした。そのとき、内側冷媒入口30−1から導入された乾き度がほぼ0の冷媒は、プラズマ11からの入熱を受けて沸騰し、乾き度が上がりながら内側冷媒流路20−1の内周側を循環し、屈曲部31−1を経由し、その後は内側冷媒流路20−1の外周側を、プラズマ11から加熱されると共に外周側の隣にある外側冷媒流路20−2から冷却されながら循環し、内側冷媒出口32−1から排出される。
【0088】
その場合は、屈曲部31−1での冷媒の乾き度を充分高くしておくことにより、もし外側冷媒流路20−2からの冷却熱量がプラズマ11からの加熱熱量よりも大きく、乾き度が下がりながら内側冷媒流路20−1の外周側を循環したとしても、内側冷媒出口32−1に到達するまでに乾き度が下がり0になることが抑制される。そのため、内側冷媒流路20−1から導入された冷媒は、内側冷媒出口32−1から排出されるまでに乾き度が0になることは無い。このように気液混相の冷媒の乾き度が0ではない場合は、冷媒の温度は変化しないため、内側冷媒流路20−1を流れる過程で冷媒温度は変化しない。そのため、試料台4および試料5は周方向に偏りのない温度分布を実現できる。
【0089】
それに対し、本実施例とは逆に、内側冷媒入口30−1を内側冷媒出口32−1よりも外周側に配置した場合は、例えば図4(a)においては、内側冷媒出口32−1から冷媒を導入し、内側冷媒入口30−1から排出するようになる。そして内側冷媒流路20−1に導入する冷媒の温度を、外側冷媒流路20−2に導入する冷媒の温度よりも高くした場合は、内側冷媒出口32−1から導入された乾き度がほぼ0の冷媒は、プラズマ11からの加熱による入熱を受けると共に、外周側の隣にある外側冷媒流路20−2の最内周の流路から冷却されながら循環し、屈曲部31−1に到達する。
【0090】
この場合に、もし外側冷媒流路20−2からの冷却熱量がプラズマ11からの加熱熱量よりも大きい場合には、乾き度が0のまま冷媒の温度が下がりながら内側冷媒流路20−1の外周側を循環し屈曲部31−1に到達することになる。そのため内側冷媒流路20−1での周方向の温度分布が偏り、試料台4および試料5の周方向の温度分布が偏り、その結果、試料5のプラズマ処理の面内分布の均一性が著しく損なわれてしまう。
【0091】
なお、本実施例の様に内側冷媒入口30−1を内側冷媒出口32−1よりも内周側に配置した場合の屈曲部31−1における冷媒の乾き度の最適値は、外側冷媒流路20−2からの冷却熱量とプラズマ11からの加熱熱量とによって影響される。例えば前者が後者よりも大きければ屈曲部31−1を経由した冷媒は内側冷媒流路の外周側の流路を循環するときに乾き度が徐々に低くなる。そのため内側冷媒出口32−1から排出されるまでに冷媒の乾き度が0にならないように、屈曲部31−1での乾き度は充分高くしておく必要がある。
【0092】
逆に、外側冷媒流路20−2からの冷却熱量がプラズマ11からの加熱熱量よりも小さい場合には、屈曲部31−1を経由した冷媒は内側冷媒流路の外周側の流路を循環するときに乾き度が徐々に高くなる。そのため内側冷媒出口32−1から排出されるまでに冷媒の乾き度が1にならないように、つまりドライアウトが生じないように、屈曲部31−1での乾き度を充分低くしておく必要がある。このようにプラズマからの入熱量と、隣り合う冷媒流路からの冷却量を予め計算や実験によって求め、さらに最適な屈曲部31−1での乾き度を求めておけば、プラズマ処理中に振動センサ37−2によって、乾き度が最適な値になっているか否かを確認できる。すなわち、屈曲部31−1での乾き度の最適値が高く1(100%)に近い場合には、冷媒の液体部分が少なくなるべきなので、図3(b)に示すピーク41−bが低くなっているべきである。
【0093】
また逆に屈曲部31−1での乾き度の最適値が低い場合には、冷媒の液体部分が多く沸騰が盛んに起きているために図3(b)に示すピーク41−bが高くなっているべきである。以上のようにプラズマ処理中に振動センサ37−1および振動センサ37−3によって内側冷媒入口30−1および内側冷媒出口32−1での振動を検出すると共に、振動センサ37−2によって、屈曲部31−1振動を検出することにより、内側冷媒流路20−1の全領域において乾き度が0あるいはドライアウトが生じるのを防止できる。
【0094】
また冷媒流路の配置に関しては、試料台4の内部に複数系統の冷媒流路を設け、それぞれの系統に異なる温度の冷媒を導入する場合には、本実施例に示したように、より低い温度の冷媒が通る冷媒流路と隣り合う流路に冷媒が到達する前に、プラズマ11からの加熱によって乾き度が上がるようにすることが望ましい。これにより試料台4および試料5の周方向の温度分布の偏りを無くし、その結果、試料5のプラズマエッチング処理の面内分布を均一にすることができる。
【0095】
〔変形例2〕
以下、本発明の第3実施例について図4を用いて説明する。第2実施例では、振動センサ37−1〜37−6を試料台4の下面に直接配置していた。しかし、エッチング処理においては、プラズマ11中のイオンを被処理体である試料5に引き込むために、試料台4に高周波電源53を接続して高周波を印加する場合が多い。その場合には、高周波が振動センサ37−1〜37−6に悪影響を及ぼすため、それらを試料台4の下面に直接配置できない。本発明の第2実施例はこの課題に対処するものであり、実施例1と同様に試料台4に導入する冷媒の沸騰による振動を振動センサで検出し、冷媒のドライアウトを検知するが、第1実施例と異なり試料台4下部に電気的に絶縁性の材料(例えばアルミナセラミクス)で構成された配管を配置し、その絶縁性の配管に振動センサを配置し、振動を検出する。
【0096】
図5は本実施例で用いる試料台の近傍と、それに接続された構成部品を示したものである。また、ここでは試料台4を上から見た断面図は示さないが、本発明の第2実施例に示した試料台4と同様なものを用いる。試料台4の下側を構成する円板35−2の、内側冷媒入口30−1,内側冷媒出口32−1,外側冷媒入口30−2および外側冷媒出口32−2と接続する部分には円形の穴が形成されており、その穴に絶縁性配管51−1〜4がそれぞれ挿入され接続されている。これら絶縁性配管51−1〜4のそれぞれの上部にはOリング57が配置され軸シール構造になっており、内側冷媒流路20−1に導入または内側冷媒流路20−1から排出される冷媒が漏れないようにシールされている。さらに、これら絶縁性配管51−1〜4には振動センサ37−1,振動センサ37−3,振動センサ37−4および振動センサ37−6がそれぞれ直接配置されている。また、図示しないが、振動センサ37−1,振動センサ37−3,振動センサ37−4および振動センサ37−6が配置されていない領域の絶縁性配管51−1〜4は断熱材で覆われており、これにより断熱されている。
【0097】
これら絶縁性配管51−1〜4は試料台4の下面に強固に接触・固定されていることにより、内側冷媒入口30−1,内側冷媒出口32−1,外側冷媒入口30−2および外側冷媒出口32−2における冷媒による振動を、絶縁性配管51−1〜4を経由して、それぞれ振動センサ37−1,振動センサ37−3,振動センサ37−4および振動センサ37−6によって検出できる。
【0098】
さらに、内側冷媒流路20−1の屈曲部31−1および外側冷媒流路20−2の屈曲部31−2の真下かつ試料台4の下面には絶縁性の材料によって構成された部材である絶縁性配管55−1および絶縁性配管55−2がそれぞれ強固に接触・固定されており、その絶縁性配管55−1および絶縁性配管55−2にはそれぞれ振動センサ37−2および振動センサ37−5が強固に接触・固定されている。これにより、屈曲部31−1および屈曲部31−2における冷媒の振動を、振動センサ37−2および振動センサ37−5によって検出できる。この構成においては、それぞれの絶縁性配管55−1〜4と試料台4とがそれぞれ強固に接触・固定されているために、絶縁性配管55−1〜4のどの位置に振動センサ37−1,振動センサ37−3,振動センサ37−4および振動センサ37−6を配置しても振動は検出できる。しかしながら、それぞれの振動センサが試料台4から離れ、冷媒温度調節部21−1もしくは冷媒温度調節部21−2に近い位置に配置された場合は、膨張弁24−1や膨張弁24−2や圧縮機22などの駆動部品の振動も検出されるためにSN比が下がってしまう。そのため、それぞれの振動センサはそれぞれの絶縁性配管の試料台4に近い領域に配置することが望ましい。
【0099】
この振動センサ37−1〜6による検出の方法は第1実施例と同様である。すなわち、内側冷媒入口30−1,屈曲部31−1,内側冷媒出口32−1,外側冷媒入口30−2,屈曲部31−2および外側冷媒出口32−2における冷媒の振動を振動センサ37−1〜6で検出し、信号処理部39によって処理されたデータを用いて内側冷媒出口32−1もしくは外側冷媒出口32−2で冷媒のドライアウトが生じているか否かを判断する。また、ドライアウトが起きそうになったと信号処理部39で判断された場合には冷媒温度調節部21−1もしくは冷媒温度調節部21−2内の圧縮機22の回転数と膨張弁24−1および膨張弁24−2の開度を第1実施例と同様に制御すれば、ドライアウトを防止しながら内側冷媒流路20−1および外側冷媒流路20−2の内部の冷媒温度を所望の値に制御できる。
【0100】
以上のような装置構成および操作を実施することにより、試料台4に高周波を印加する場合においても、第1実施例と同様に、ドライアウトを防止しながら内側冷媒流路20−1と外側冷媒流路20−2に導入する冷媒の温度を所望の値に制御し、その結果試料4の温度分布を制御でき良好なエッチング処理を行える。また第1実施例と同様に、試料台4の接合部の剥離が生じやすい屈曲部31−1および屈曲部31−2での剥離の発生を検知することができる。
【0101】
〔変形例3〕
第1および第2実施例においては、試料台4の接合部での剥離を振動センサ37−1〜6によって検知する構造となっている。それに対し第3実施例は、冷媒温度調節部21−1もしくは冷媒温度調節部21−2と試料台4との間の配管に圧力計を配置し、それによって冷媒の圧力を検出して試料台4の接合部の剥離や冷媒漏れの発生を検知する。以下、図6,図7を用いて第3実施例について説明する。
【0102】
図6は本実施例で用いる試料台4の近傍と、それに接続された構成部品を示したものである。また、この試料台4の構造は図2(a)に上断面図を示したものと同じ構造であり、同じ符号を用いて説明する。
【0103】
内側冷媒流路20−1および外側冷媒流路20−2には冷媒温度調節部21−1および冷媒温度調節部21−2がそれぞれ接続されており、それぞれの流路に冷媒が供給される。ここで、冷媒温度調節部21−1の内部の膨張弁24−1の下流で且つ内側冷媒入口30−1との間の配管には圧力計60−1が接続されており、内側冷媒流路20−1での冷媒の圧力とほぼ同じ圧力を測れる。
【0104】
このような構成において圧力計60−1で検出した冷媒の圧力の時間変化を図6(a)に示す。冷媒の設定温度を上下に変化させず、またプラズマ11から試料5および試料台4への入熱量が変化しない場合には、圧力安定領域72−1の様に冷媒の圧力は時間的に変化せず一定となる。そのような状態において試料台4の接合部で剥離が生じた場合、冷媒流路の容積が急激に増えるために冷媒の圧力が低下し、圧力変化72−2が生じる。そして剥離の進展が止まると容積の変化が止まるため、冷媒の圧力変化72−2も止まり圧力安定領域72−3の様に再び一定となる。このような現象は圧力の変化として、特定の時間内での圧力の減少とその回復或いは圧力が安定した値から急激に減少した後元の圧力の値と同じか近接した値に回復するといった時系列の圧力の変動として現れる。この様な冷媒の圧力を検出した結果は信号処理部39に送られる。
【0105】
図7(a)に示したような圧力安定領域72−1と圧力安定領域72−3との間に圧力変化72−2が現れ、その大きさが予め決められた閾値以上になった場合には剥離が生じているとして信号処理部39により判定され、処理結果が装置制御部43に送られ、或いは受診した信号処理部39からの信号に基づいて装置制御部43の演算器により判定され、これにより異常が起きたことを示す警告をプラズマエッチング装置に出す。例えばプラズマエッチング装置の制御画面に警告を表示させ作業者に知らせる。
【0106】
また、一般的にプラズマエッチング装置では同じ処理条件を用いて複数のウエハ処理を繰り返すため、その際に冷媒圧力の検出結果を保存しておき、過去の同種の処理での冷媒圧力の検出結果と比較することによっても冷媒圧力の変化を検知しても良い。図6(b)に破線で示すように正常にプラズマエッチング処理された場合の冷媒圧力の検出結果75−1と、同図に実線で示すように圧力変化72−2が現れた場合の検出結果75−2とを比較することによって、より確実に試料台4の接合部の剥離に伴う圧力変動を検知できる。
【0107】
なお本実施例では膨張弁24−1の下流で且つ内側冷媒入口30−1との間に圧力計60−1を配置したが、配置する場所はそこに限るものではない。圧力計60−1の配置の目的は冷媒流路20−1の内部の冷媒の圧力の検出なので、その圧力にできるだけ近い圧力を測定できる場所が望ましい。そのため、膨張弁24−1と内側冷媒入口30−1との間の様に、バルブ類などコンダクタンスが低い部品が無いことが必要である。そのため、内側冷媒出口32−1の下流で且つ膨張弁24−2との間に圧力計60−1を配置しても良い。
【0108】
なお、本実施例では内側冷媒流路20−1の内部を流れる冷媒の圧力を検出するために内側冷媒入口30−1と冷媒温度調節部21−1との間に圧力計60−1を配置したが、同様に外側冷媒入口30−2と冷媒温度調節部21−2との間に圧力計60−2を配置することにより、外側冷媒流路20−2の内部を流れる冷媒の圧力を検出でき、信号処理部39と装置制御部43により、試料台4の接合部の剥離を検知し、作業者に異常を知らせることができる。なお、本実施例のように試料台4の内部に内側冷媒流路20−1と外側冷媒流路20−2の複数系統(本実施例では2系統)の冷媒流路がある場合には、その全ての系統において冷媒流路と冷媒温度調節部との間に圧力計を配置することが望ましい。
【0109】
以上の様に冷媒温度調節部21−1および冷媒温度調節部21−2と試料台4との間に圧力計24−1を配置し、冷媒の圧力を検出し、その時間変動を捉えることによって試料台4の接合部の剥離を検知し、作業者に異常を知らせることができる。
【0110】
以上説明した第1〜第3実施例を適用することにより、プラズマ処理装置に直接膨張式の温度調節部を用いた場合に起こりえるドライアウトの防止および試料台4の接合部の剥離の検知を行うことができる。
【0111】
上記実施の例によれば、試料台内部の冷媒の乾き度を精度良く検出して冷媒の通流を調節し処理中の試料または試料台の温度の値或いは試料の周方向または径方向の温度の分布を所望のものに近づけることができる。また、試料台内部の通路を構成する部材同士の接合された部分の剥離を早期に精度良く検出することができる。これらの作用により、プラズマ処理装置の試料の処理の精度、再現性あるいは信頼性が向上される。
【符号の説明】
【0112】
1 処理室壁
2 処理室蓋
3 処理室
4 試料台
5 試料
6 ガス導入管
7 処理ガス
8 排気口
9 圧力調節バルブ
10 マイクロ波
11 プラズマ
12 ターボ分子ポンプ
20−1 内側冷媒流路
20−2 外側冷媒流路
21−1,2 冷媒温度調節部
22 圧縮機
23 凝縮器
24−1,2 膨張弁
25 冷却水
26 蒸発機
27 温度計
30−1 内側冷媒入口
30−2 外側冷媒入口
31−1,2 屈曲部
32−1 内側冷媒出口
32−2 外側冷媒出口
33 温度調節部制御部
35−1,2 円板
37−1〜6 振動センサ
39 信号処理部
40−a,40−b,40−c,41−a,41−b,41−c ピーク
41 冷媒沸騰による振動のピーク
43 装置制御部
51−1〜6,55−1,2 絶縁性配管
53 高周波電源
57 Oリング
60−1,2 圧力計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器内部に配置され内側でプラズマが形成される処理室と、この処理室内の下方に配置されその上面に試料が載置される試料台であってその内部に冷凍サイクルの冷媒が通流して蒸発器として動作する円筒形を有する試料台と、前記試料台の内部に配置され前記円筒の中心について同心状に配置された前記冷媒の流路と、前記試料台の下方に配置されこの試料台の振動を検出する少なくとも1つの検知器と、この検知器からの出力から前記流路内側を通流する前記冷媒の乾き度を検出した結果に基づいて前記冷凍サイクルを構成する圧縮機または膨張弁の動作を調節する調節部とを備えたプラズマ処理装置。
【請求項2】
真空容器内部に配置され内側でプラズマが形成される処理室と、この処理室内の下方に配置されその上面に試料が載置される試料台であってその内部に冷凍サイクルの冷媒が通流して蒸発器として動作する円筒形を有する試料台と、前記試料台の内部に配置され前記円筒の中心について同心状に配置された前記冷媒の流路と、前記試料台の下方に配置されこの試料台の振動を検出する少なくとも1つの検知器と、この検知器からの出力から前記流路内側を通流する前記冷媒の乾き度を検出した結果に基づいて前記冷凍サイクル上の前記圧縮機と前記試料台との間に配置され前記試料台に流入する冷媒の温度を調節する調節部とを備えたプラズマ処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のプラズマ処理装置であって、前記試料台の下面に配置され前記冷媒の前記試料台内部への入口の近傍の箇所と連結されて少なくとも1つの前記検知器が配置されたプラズマ処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載のプラズマ処理装置であって、前記試料台の下面に配置された前記冷媒の出口の近傍の箇所に連結されて前記検知器が配置されたプラズマ処理装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載のプラズマ処理装置であって、前記冷媒の流路が前記試料台の内部で前記中心からの異なる半径方向の距離に同心状に多重に配置された複数の円弧状の流路とこれらの円弧状の流路のうちの2つを連結する連結路とを有し、前記試料台の下面であって前記連結路の近傍に前記検知器が配置されたプラズマ処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載のプラズマ処理装置であって、前記連結路の平面形が前記円弧状の流路の曲率よりも小さな曲率を有した平面形を有したプラズマ処理装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載のプラズマ処理装置であって、前記試料台の前記流路が上下2つの部材が接合されて構成されたものであり、前記試料台の下面の連結路の近傍の箇所に連結して配置された前記検知器からの出力から前記上下の部材の接合の不備を検出するプラズマ処理装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載のプラズマ処理装置であって、前記試料台の下面に接して配置された電気的に絶縁性を有する部材を有し、この絶縁性を有する部材に接して前記検知器が配置されたプラズマ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−156277(P2012−156277A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13565(P2011−13565)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】