プロキシミティ露光装置、プロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法、及び表示用パネル基板の製造方法
【課題】プロキシミティ露光装置において、基板を移動するステージをリニアモータにより駆動する際、ステージの温度変化を小さくして、パターンの焼付けを精度良く行う。
【解決手段】ステージの温度を検出し、運転開始時又は運転中に、マスクホルダ20にマスク2が保持され、かつチャック10に基板1が搭載されていない状態で、検出したステージの温度が下限値未満であるとき、リニアモータによりステージを駆動して、リニアモータの熱でステージの温度を下限値より高い基準値以上に上げる第1の慣らし運転を行う。運転開始前又は運転中にステージの温度が下限値未満に下がっても、露光処理中のステージの温度変化が小さくなり、パターンの焼付けが精度良く行われる。
【解決手段】ステージの温度を検出し、運転開始時又は運転中に、マスクホルダ20にマスク2が保持され、かつチャック10に基板1が搭載されていない状態で、検出したステージの温度が下限値未満であるとき、リニアモータによりステージを駆動して、リニアモータの熱でステージの温度を下限値より高い基準値以上に上げる第1の慣らし運転を行う。運転開始前又は運転中にステージの温度が下限値未満に下がっても、露光処理中のステージの温度変化が小さくなり、パターンの焼付けが精度良く行われる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ装置等の表示用パネル基板の製造において、プロキシミティ方式を用いて基板の露光を行うプロキシミティ露光装置、プロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法、及びそれらを用いた表示用パネル基板の製造方法に係り、特に基板を移動するステージをリニアモータにより駆動するプロキシミティ露光装置、プロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法、及びそれらを用いた表示用パネル基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示用パネルとして用いられる液晶ディスプレイ装置のTFT(Thin Film Transistor)基板やカラーフィルタ基板、プラズマディスプレイパネル用基板、有機EL(Electroluminescence)表示パネル用基板等の製造は、露光装置を用いて、フォトリソグラフィー技術により基板上にパターンを形成して行われる。露光装置としては、レンズ又は鏡を用いてマスクのパターンを基板上に投影するプロジェクション方式と、マスクと基板との間に微小な間隙(プロキシミティギャップ)を設けてマスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ方式とがある。プロキシミティ方式は、プロジェクション方式に比べてパターン解像性能は劣るが、照射光学系の構成が簡単で、かつ処理能力が高く量産用に適している。
【0003】
近年、表示用パネルの各種基板の製造では、大型化及びサイズの多様化に対応するため、比較的大きな基板を用意し、表示用パネルのサイズに応じて、1枚の基板から1枚又は複数枚の表示用パネル基板を製造している。その場合、プロキシミティ方式では、基板の一面を一括して露光しようとすると、基板と同じ大きさのマスクが必要となり、高価なマスクのコストがさらに増大する。そこで、基板より比較的小さなマスクを用い、ステージにより基板をXY方向へステップ移動して、基板の一面を複数のショットに分けて露光する方式が主流となっている。
【0004】
従来、プロキシミティ露光装置において、ステージの駆動には、ボールねじ等の送りねじが使用されていた。しかしながら、表示用パネルの大画面化に伴って基板が大型化する程、基板の移動を高速かつ高精度に行いたいという要求が強くなり、従来のステージでは、基板を移動する速度及び精度の向上に限界があった。
【0005】
送りねじに代わる機構として、磁石又はコイルを内蔵した固定子と、コイル又は磁石を内蔵した可動子とを用いるリニアモータが開発されている。固定子と可動子は、わずかな隙間を介して接触しない様に設置され、コイルに電流を流すと、コイルの電流と磁石の磁界とから、フレミングの左手の法則によって、可動子に推力(ローレンツ力)が働く。固定子と可動子が非接触で摩擦が無いため、高速かつ高精度な移動が可能である。この様なリニアモータを使用したプロキシミティ露光装置として、特許文献1及び特許文献2に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−258195号公報
【特許文献2】特開2009−258196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
プロキシミティ露光装置において、基板を移動するステージをリニアモータにより駆動する場合、ステージの重量が大きく移動距離も長いため、リニアモータの負荷が大きく、リニアモータから多量の熱が発生する。そのため、通常の運転時と、基板の供給が停止してステージの移動を休止したときとで、ステージの温度が大きく変化する。ステージの温度が大きく変化すると、熱膨張によるステージの変形量が大きく変化するため、ステージにより移動される基板の位置及び水平方向に対する傾きが変動して、パターンの焼付け精度が低下するという問題がある。
【0008】
本発明の課題は、プロキシミティ露光装置において、基板を移動するステージをリニアモータにより駆動する際、ステージの温度変化を小さくして、パターンの焼付けを精度良く行うことである。また、本発明の課題は、パターンの焼付けを精度良く行って、高品質な表示用パネル基板を製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプロキシミティ露光装置は、基板を搭載するチャックと、マスクを保持するマスクホルダと、チャックを移動するステージと、ステージを駆動するリニアモータとを備えたプロキシミティ露光装置であって、ステージの温度を検出する検出手段と、リニアモータを制御する制御手段とを備え、制御手段が、運転開始時又は運転中に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、検出手段により検出したステージの温度が下限値未満であるとき、リニアモータによりステージを駆動して、リニアモータの熱でステージの温度を下限値より高い基準値以上に上げる第1の慣らし運転を行うものである。
【0010】
また、本発明のプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法は、基板を搭載するチャックと、マスクを保持するマスクホルダと、チャックを移動するステージと、ステージを駆動するリニアモータとを備えたプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法であって、ステージの温度を検出し、運転開始時又は運転中に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、検出したステージの温度が下限値未満であるとき、リニアモータによりステージを駆動して、リニアモータの熱でステージの温度を下限値より高い基準値以上に上げる第1の慣らし運転を行うものである。
【0011】
ステージの温度を検出し、運転開始時又は運転中に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、検出したステージの温度が下限値未満であるとき、リニアモータによりステージを駆動して第1の慣らし運転を行うので、第1の慣らし運転が終了した後、チャックに搭載する基板が準備されると、直ちに露光処理を開始することができる。そして、第1の慣らし運転によりステージの温度を下限値より高い基準値以上に上げるので、運転開始前又は運転中にステージの温度が下限値未満に下がっても、露光処理中のステージの温度変化が小さくなり、パターンの焼付けが精度良く行われる。
【0012】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置は、制御手段が、運転中に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、検出手段により検出したステージの温度が下限値以上かつ基準値より高い上限値未満であるとき、チャックに搭載する基板が準備されるまで、リニアモータによりステージを駆動して、リニアモータの熱でステージの温度を下限値以上かつ上限値未満に保つ第2の慣らし運転を行うものである。
【0013】
また、本発明のプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法は、運転中に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、検出したステージの温度が下限値以上かつ基準値より高い上限値未満であるとき、チャックに搭載する基板が準備されるまで、リニアモータによりステージを駆動して、リニアモータの熱でステージの温度を下限値以上かつ上限値未満に保つ第2の慣らし運転を行うものである。
【0014】
運転中に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、検出したステージの温度が下限値以上かつ基準値より高い上限値未満であるとき、チャックに搭載する基板が準備されるまで、リニアモータによりステージを駆動して、リニアモータの熱でステージの温度を下限値以上かつ上限値未満に保つ第2の慣らし運転を行うので、運転中のステージの温度変化が小さくなり、パターンの焼付けが精度良く行われる。そして、運転中に、チャックに搭載する基板が準備されると、直ちに露光処理が開始される。
【0015】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置は、制御手段が、第1の慣らし運転及び第2の慣らし運転の終了時刻と、第1の慣らし運転及び第2の慣らし運転におけるステージの移動回数とを記憶し、運転開始時に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転の終了時刻から所定時間が経過しているとき、または直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転におけるステージの移動回数が所定回数未満であるとき、リニアモータによりステージを駆動して第1の慣らし運転を行うものである。
【0016】
また、本発明のプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法は、第1の慣らし運転及び第2の慣らし運転の終了時刻と、第1の慣らし運転及び第2の慣らし運転におけるステージの移動回数とを記憶し、運転開始時に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転の終了時刻から所定時間が経過しているとき、または直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転におけるステージの移動回数が所定回数未満であるとき、リニアモータによりステージを駆動して第1の慣らし運転を行うものである。
【0017】
運転開始前にステージの温度が下限値未満に下がらなくても、運転開始時に、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転の終了時刻から所定時間が経過しているとき、または直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転におけるステージの移動回数が所定回数未満であるとき、第1の慣らし運転が行われるので、ステージの温度変化がさらに小さくなり、パターンの焼付けがさらに精度良く行われる。
【0018】
本発明の表示用パネル基板の製造方法は、上記のいずれかのプロキシミティ露光装置を用いて基板の露光を行い、あるいは、上記のいずれかのプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法を用いてステージの温度を制御して、基板の露光を行うものである。ステージの温度変化が小さくなり、パターンの焼付けが精度良く行われるので、高品質な表示用パネル基板が製造される。
【発明の効果】
【0019】
本発明のプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法によれば、ステージの温度を検出し、運転開始時又は運転中に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、検出したステージの温度が下限値未満であるとき、リニアモータによりステージを駆動して、リニアモータの熱でステージの温度を下限値より高い基準値以上に上げる第1の慣らし運転を行うことにより、運転開始前又は運転中にステージの温度が下限値未満に下がっても、露光処理中のステージの温度変化を小さくして、パターンの焼付けを精度良く行うことができる。
【0020】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法によれば、運転中に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、検出したステージの温度が下限値以上かつ基準値より高い上限値未満であるとき、チャックに搭載する基板が準備されるまで、リニアモータによりステージを駆動して、リニアモータの熱でステージの温度を下限値以上かつ上限値未満に保つ第2の慣らし運転を行うことにより、運転中のステージの温度変化を小さくして、パターンの焼付けを精度良く行うことができる。そして、運転中に、チャックに搭載する基板が準備されると、直ちに露光処理を開始することができる。
【0021】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法によれば、第1の慣らし運転及び第2の慣らし運転の終了時刻と、第1の慣らし運転及び第2の慣らし運転におけるステージの移動回数とを記憶し、運転開始時に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転の終了時刻から所定時間が経過しているとき、または直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転におけるステージの移動回数が所定回数未満であるとき、リニアモータによりステージを駆動して第1の慣らし運転を行うことにより、ステージの温度変化をさらに小さくして、パターンの焼付けをさらに精度良く行うことができる。
【0022】
本発明の表示用パネル基板の製造方法によれば、ステージの温度変化を小さくして、パターンの焼付けを精度良く行うことができるので、高品質な表示用パネル基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の側面図である。
【図3】本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の正面図である。
【図4】本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置からYステージより上の部分を取り除いた状態を示す上面図である。
【図5】慣らし運転を行うか否かを判断する処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】第1の慣らし運転の動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】第1の慣らし運転を終了するか否かを判断する処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】第2の慣らし運転の動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】第2の慣らし運転を終了するか否かを判断する処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図11】液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の概略構成を示す図である。また、図2は本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の側面図、図3は本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の正面図である。プロキシミティ露光装置は、ベース3、Xガイド4、Xステージ5、Yガイド6、Yステージ7、θステージ8、チャック支持台9、チャック10、マスクホルダ20、複数のリニアモータ、固定子取り付けベース33,43、可動子取り付けベース34、温度センサー50、駆動回路60、及び主制御装置70を含んで構成されている。なお、図2及び図3では、駆動回路60、及び主制御装置70が省略されている。プロキシミティ露光装置は、これらの他に、基板1をチャック10へ搬入し、また基板1をチャック10から搬出する基板搬送ロボット、露光光を照射する照射光学系、装置内の温度管理を行う温度制御ユニット等を備えている。
【0025】
なお、以下に説明する実施の形態におけるXY方向は例示であって、X方向とY方向とを入れ替えてもよい。
【0026】
基板1は、基板1の露光を行う露光位置から離れたロード/アンロード位置において、図示しない基板搬送ロボットにより、チャック10へ搬入され、またチャック10から搬出される。チャック10への基板1のロード及びチャック10からの基板1のアンロードは、チャック10に設けた複数の突き上げピンを用いて行われる。突き上げピンは、チャック10の内部に収納されており、チャック10の内部から上昇して、基板1をチャック10にロードする際、基板搬送ロボットから基板1を受け取り、基板1をチャック10からアンロードする際、基板搬送ロボットへ基板1を受け渡す。
【0027】
図1及び図2において、チャック10は、基板1の露光を行う露光位置にある。露光位置の上空には、マスク2を保持するマスクホルダ20が設置されている。図1において、マスクホルダ20には、露光光が通過する開口20aが設けられており、開口20aの下方には、マスク2が装着されている。マスクホルダ20の下面の開口20aの周囲には、吸着溝が設けられており、マスクホルダ20は、吸着溝により、マスク2の周辺部を真空吸着して保持している。マスクホルダ20に保持されたマスク2の上空には、図示しない照射光学系が配置されている。露光時、照射光学系からの露光光がマスク2を透過して基板1へ照射されることにより、マスク2のパターンが基板1の表面に転写され、基板1上にパターンが形成される。
【0028】
図2及び図3において、チャック10は、チャック支持台9を介してθステージ8に搭載されており、θステージ8の下にはYステージ7及びXステージ5が設けられている。Xステージ5は、ベース3に設けられたXガイド4に搭載され、Xガイド4に沿ってX方向へ移動する。Yステージ7は、Xステージ5に設けられたYガイド6に搭載され、Yガイド6に沿ってY方向へ移動する。θステージ8は、Yステージ7に搭載され、θ方向へ回転する。チャック支持台9は、θステージ8に搭載され、チャック10を複数箇所で支持する。
【0029】
Xステージ5のX方向への移動及びYステージ7のY方向への移動により、チャック10は、ロード/アンロード位置と露光位置との間を移動される。ロード/アンロード位置において、Xステージ5のX方向への移動、Yステージ7のY方向への移動、及びθステージ8のθ方向への回転により、チャック10に搭載された基板1のプリアライメントが行われる。露光位置において、Xステージ5のX方向への移動及びYステージ7のY方向への移動により、チャック10に搭載された基板1のXY方向へのステップ移動が行われる。そして、Xステージ5のX方向への移動、Yステージ7のY方向への移動、及びθステージ8のθ方向への回転により、基板1のアライメントが行われる。また、図示しないZ−チルト機構によりマスクホルダ20をZ方向へ移動及びチルトすることによって、マスク2と基板1とのギャップ合わせが行われる。
【0030】
なお、本実施の形態では、マスクホルダ20をZ方向へ移動及びチルトすることにより、マスク2と基板1とのギャップ合わせを行っているが、チャック支持台9にZ−チルト機構を設けて、チャック10をZ方向へ移動及びチルトすることにより、マスク2と基板1とのギャップ合わせを行ってもよい。
【0031】
本実施の形態では、Xステージ5を駆動する駆動機構として、2つのリニアモータを使用する。各リニアモータは、磁石を内蔵した板状の固定子31と、コイルを内蔵した板状の可動子32とを有する。
【0032】
図3において、ベース3には、X方向(図3の図面奥行き方向)へ伸びる溝が設けられている。ベース3の溝の左右の隅には、X方向へ伸びる固定子取り付けベース33がそれぞれ取り付けられている。各固定子取り付けベース33には、各リニアモータの固定子31が取り付けられている。各リニアモータの固定子31は、固定子取り付けベース33により、ベース3に設けた溝内に立てた状態でX方向へ伸ばして取り付けられている。一方、Xステージ5の下面には、断面がT字型の可動子取り付けベース34が取り付けられている。可動子取り付けベース34の左右の側面には、各リニアモータの可動子32が取り付けられている。各リニアモータの可動子32は、共通の可動子取り付けベース34により、Xステージ5にそのリニアモータの固定子31と向き合わせて取り付けられている。2つのリニアモータは、固定子31と可動子32とを横方向に向き合わせて、左右対称に配置されている。
【0033】
固定子31と可動子32とが横方向に向き合わせて左右対称に配置された2つのリニアモータを用いて、Xガイド4に沿ってXステージ5を移動して、基板1のX方向への移動を行う。各リニアモータで発生する磁気吸引力が互いに打ち消し合い、Xガイド4に掛かる負荷が軽減される。そして、ベース3にX方向へ伸びる溝を設け、各リニアモータの磁石を内蔵した板状の固定子31を、ベース3の溝内に立てた状態でX方向へ伸ばして取り付け、各リニアモータのコイルを内蔵した板状の可動子32を、Xステージ5にそのリニアモータの固定子31と向き合わせて取り付けるので、ベース3とXステージ5との間にリニアモータの固定子31及び可動子32を配置する空間を確保するための台を設ける必要がなく、装置全体の高さが抑えられる。
【0034】
図4は、本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置からYステージより上の部分を取り除いた状態を示す上面図である。本実施の形態では、Yステージ7を駆動する駆動機構として、2つのリニアモータを使用する。各リニアモータは、磁石を内蔵した板状の固定子41と、コイルを内蔵した板状の可動子42とを有する。
【0035】
図2及び図4において、各リニアモータの可動子42は、Yステージ7のY方向(図2の図面奥行き方向)へ伸びる側面に取り付けられている。Xステージ5の上面の左右の端には、Y方向へ伸びる固定子取り付けベース43がそれぞれ取り付けられている。各リニアモータの固定子41は、各固定子取り付けベース43により、Xステージ5に立てた状態でそのリニアモータの可動子42と向き合わせてY方向へ伸ばして取り付けられている。2つのリニアモータは、固定子41と可動子42とを横方向に向き合わせて、左右対称に配置されている。
【0036】
固定子41と可動子42とが横方向に向き合わせて左右対称に配置された2つのリニアモータを用いて、Yガイド6に沿ってYステージ7を移動して、基板1のY方向への移動を行う。各リニアモータで発生する磁気吸引力が互いに打ち消し合い、Yガイド6に掛かる負荷が軽減される。そして、各リニアモータのコイルを内蔵した板状の可動子42を、Yステージ7のY方向へ伸びる側面に取り付け、各リニアモータの磁石を内蔵した板状の固定子41を、Xステージ5にそのリニアモータの可動子42と向き合わせてY方向へ伸ばして取り付けるので、Xステージ5とYステージ7との間にリニアモータの固定子41及び可動子42を配置する空間を確保するための台を設ける必要がない。そのため、ステージ全体の重心が高くならず、ステージ全体の運動性能が低下しない。また、Xステージ5に溝を設ける必要がなく、Xステージ5の剛性が低下しない。
【0037】
図1において、駆動回路60は、主制御装置70の制御により、リニアモータの可動子32,42のコイルへ電流を供給して、リニアモータを駆動する。このとき、特に、Xステージ5は重量が大きく移動距離も長いため、リニアモータの負荷が大きく、リニアモータの可動子32から多量の熱が発生する。そのため、通常の運転時と、基板1の供給が停止してXステージ5の移動を休止したときとで、Xステージ5の温度が大きく変化する。Xステージ5の温度が大きく変化すると、熱膨張によるXステージ5の変形量が大きく変化するため、Xステージ5により移動される基板1の位置及び水平方向に対する傾きが変動して、パターンの焼付け精度が低下する。
【0038】
そこで、本実施の形態では、ステージの慣らし運転を行って、Xステージ5の温度を所定の範囲に制御する。以下、本発明の一実施の形態によるステージ温度制御方法について説明する。図2及び図4において、Xステージ5の側面には、温度センサー50が取り付けられている。温度センサー50は、Xステージ5の温度を検出し、検出結果を図1の主制御装置70へ出力する。本実施の形態では、プロキシミティ露光装置の運転状態(自動運転開始時又は自動運転中)と、温度センサー50により検出したXステージ5の温度とに応じて、第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転の二種類の慣らし運転を行う。
【0039】
図5は、慣らし運転を行うか否かを判断する処理の一例を示すフローチャートである。図1の主制御装置70は、まず、プロキシミティ露光装置が自動運転開始時であるか否かを判断する(ステップ301)。プロキシミティ露光装置が自動運転開始時である場合、主制御装置70は、マスクホルダ20にマスク2が保持されているか否かを判断する(ステップ302)。マスクホルダ20にマスク2が保持されていない場合、慣らし運転を行っても露光処理を開始できないので、マスクホルダ20にマスク2が装着されるまで、慣らし運転は行わない。
【0040】
マスクホルダ20にマスク2が保持されている場合、主制御装置70は、チャック10に基板1が搭載されているか否かを判断する(ステップ303)。自動運転開始時は、チャック10に基板1が搭載されていないはずであるが、何らかの理由でチャック10に基板1が搭載されている場合、チャック10に搭載された基板1を装置外へ搬出した後、ステップ303へ戻る。
【0041】
チャック10に基板1が搭載されていない場合、主制御装置70は、温度センサー50により検出したXステージ5の温度が予め定めた下限値未満であるか否かを判断する(ステップ304)。Xステージ5の温度が下限値未満である場合、主制御装置70は、第1の慣らし運転を行う。
【0042】
Xステージ5の温度が下限値未満でない場合、主制御装置70は、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転の終了時刻から所定時間が経過しているか否か判断する(ステップ305)。自動運転開始時に、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転の終了時刻から所定時間が経過している場合、主制御装置70は、第1の慣らし運転を行う。
【0043】
直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転の終了時刻から所定時間が経過していない場合、主制御装置70は、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転におけるXステージ5の移動回数が所定回数未満であるか否かを判断する(ステップ306)。自動運転開始時に、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転におけるXステージ5の移動回数が所定回数未満である場合、主制御装置70は、第1の慣らし運転を行う。直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転におけるXステージ5の移動回数が所定回数未満でない場合、ステップ311へ行く。
【0044】
ステップ301においてプロキシミティ露光装置が自動運転開始時でない場合、及びステップ306において直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転におけるXステージ5の移動回数が所定回数未満でない場合、主制御装置70は、プロキシミティ露光装置が自動運転中であるか否かを判断する(ステップ311)。プロキシミティ露光装置が自動運転中でない場合、ステップ301へ戻る。プロキシミティ露光装置が自動運転中である場合、主制御装置70は、マスクホルダ20にマスク2が保持されているか否かを判断する(ステップ312)。マスクホルダ20にマスク2が保持されていない場合、慣らし運転を行っても露光処理を開始できないので、マスクホルダ20にマスク2が装着されるまで、慣らし運転は行わない。
【0045】
マスクホルダ20にマスク2が保持されている場合、主制御装置70は、チャック10に基板1が搭載されているか否かを判断する(ステップ313)。自動運転中でチャック10に基板1が搭載されている場合、チャック10に搭載された基板1の露光処理を行って、基板1を装置外へ搬出した後、ステップ313へ戻る。
【0046】
チャック10に基板1が搭載されていない場合、主制御装置70は、温度センサー50により検出したXステージ5の温度が予め定めた下限値未満であるか否かを判断する(ステップ314)。Xステージ5の温度が下限値未満である場合、主制御装置70は、第1の慣らし運転を行う。
【0047】
Xステージ5の温度が下限値未満でない場合、主制御装置70は、Xステージ5の温度が下限値以上かつ予め定めた上限値未満であるか否かを判断する(ステップ315)。Xステージ5の温度が下限値以上かつ上限値未満である場合、主制御装置70は、第2の慣らし運転を行う。Xステージ5の温度が上限値以上である場合、主制御装置70は、慣らし運転を行わない。
【0048】
なお、慣らし運転を行うか否かを判断する処理は、図5に示した例に限らず、次の条件を満足するか否かを判断するものであれば、判断の順序を変更してもよい。
第1の慣らし運転を行う条件:
自動運転開始時又は自動運転中に、マスクホルダ20にマスク2が保持されており、チャック10に基板1が搭載されておらず、Xステージ5の温度が下限値未満である事。
または、自動運転開始時に、マスクホルダ20にマスク2が保持されており、チャック10に基板1が搭載されておらず、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転の終了時刻から所定時間が経過している事。
または、自動運転開始時に、マスクホルダ20にマスク2が保持されており、チャック10に基板1が搭載されておらず、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転におけるXステージ5の移動回数が所定回数未満である事。
第2の慣らし運転を行う条件:
自動運転中に、マスクホルダ20にマスク2が保持されており、チャック10に基板1が搭載されておらず、Xステージ5の温度が下限値以上かつ上限値未満である事。
【0049】
図6は、第1の慣らし運転の動作の一例を示すフローチャートである。主制御装置70は、まず、基板供給停止フラグをセットする(ステップ401)。基板供給停止フラグがセットされている間、基板搬送ロボットへの基板1の供給が停止される。この基板供給停止フラグによる基板の供給停止は、装置のオペレータの操作によりキャンセルすることができる。
【0050】
次に、主制御装置70は、慣らし運転中フラグをセットする(ステップ410)。慣らし運転中フラグがセットされている間、基板搬送ロボットは、基板1のチャック10への搬入を行わない。
【0051】
続いて、主制御装置70は、慣らし運転を行う準備として、Z−チルト機構を原点位置へ移動して(ステップ420)、マスクホルダ20を上昇させる。また、主制御装置70は、慣らし運転を行う準備として、チャック10に設けられた複数の突き上げピンを原点位置へ移動して(ステップ430)、突き上げピンをチャック10の内部に収納する。そして、主制御装置70は、駆動回路60を制御してリニアモータを駆動させ、第1の慣らし運転を行う。
【0052】
第1の慣らし運転では、Xステージ5及びYステージ7が、基板1の露光処理時と同様に移動される。主制御装置70は、まず、リニアモータによりXステージ5及びYステージ7を駆動して、チャック10をロード/アンロード位置へ移動させる(ステップ440)。そして、主制御装置70は、Xステージ5及びYステージ7を、ロード/アンロード位置において、基板1のチャック10へのロードに要する時間と同じ時間だけ待機させる(ステップ441)。次に、主制御装置70は、リニアモータによりXステージ5及びYステージ7を駆動して、チャック10を露光位置における1回目のショットを行う位置へ移動させる(ステップ442)。そして、主制御装置70は、Xステージ5及びYステージ7を、その位置において、マスク2と基板1とのギャップ合わせ、基板1のアライメント、及び基板1の露光に要する時間と同じ時間だけ待機させる(ステップ443)。
【0053】
続いて、主制御装置70は、チャック10が露光位置における最後のショットを行う位置にあるか否かを判断する(ステップ444)。チャック10が露光位置における最後のショットを行う位置にない場合、主制御装置70は、リニアモータによりXステージ5及びYステージ7を駆動して、チャック10を露光位置における次のショットを行う位置へ移動させ(ステップ445)、ステップ443へ戻る。
【0054】
チャック10が露光位置における最後のショットを行う位置にある場合、主制御装置70は、第1の慣らし運転におけるXステージ5及びYステージ7の移動回数を更新する(ステップ446)。そして、主制御装置70は、第1の慣らし運転を終了するか否かを判断する(ステップ447)。
【0055】
図7は、第1の慣らし運転を終了するか否かを判断する処理の一例を示すフローチャートである。主制御装置70は、まず、基板供給停止フラグによる基板の供給停止が装置のオペレータの操作によりキャンセルされたか否かを判断する(ステップ501)。基板の供給停止がキャンセルされた場合、主制御装置70は、第1の慣らし運転を終了する。
【0056】
基板の供給停止がキャンセルされていない場合、主制御装置70は、第1の慣らし運転におけるXステージ5の移動回数が予め定めた所定回数に達したか否かを判断する(ステップ502)。Xステージ5の移動回数が所定回数に達した場合、主制御装置70は、第1の慣らし運転を終了する。
【0057】
Xステージ5の移動回数が所定回数に達していない場合、主制御装置70は、温度センサー50により検出したXステージ5の温度が予め定めた基準値以上であるか否かを判断する(ステップ503)。この基準値は、下限値と上限値の間の値とする。Xステージ5の温度が基準値以上である場合、主制御装置70は、第1の慣らし運転を終了する。
【0058】
Xステージ5の温度が基準値以上でない場合、主制御装置70は、装置に何らかの異常が発生し、又は装置が停止したか否かを判断する(ステップ504)。装置に何らかの異常が発生し、又は装置が停止した場合、主制御装置70は、第1の慣らし運転を終了する。そうでない場合、主制御装置70は、第1の慣らし運転を継続する。
【0059】
なお、第1の慣らし運転を終了するか否かを判断する処理は、図7に示した例に限らず、次の条件を満足するか否かを判断するものであれば、判断の順序を変更してもよい。
第1の慣らし運転を終了する条件:
基板供給停止フラグによる基板の供給停止がキャンセルされた事。
または、Xステージ5の移動回数が所定回数に達した事。
または、Xステージ5の温度が基準値以上である事。
または、装置に異常が発生し、又は装置が停止した事。
【0060】
図6のステップ447において、第1の慣らし運転を終了する場合、主制御装置70は、リニアモータによりXステージ5及びYステージ7を駆動して、チャック10をロード/アンロード位置へ移動させる(ステップ450)。続いて、主制御装置70は、基板供給停止フラグをクリアし(ステップ451)、また慣らし運転中フラグをクリアする(ステップ460)。そして、主制御装置70は、第1の慣らし運転の終了時刻と、第1の慣らし運転におけるXステージ5及びYステージ7の移動回数とを記憶する。第1の慣らし運転を終了しない場合、ステップ440へ戻る。
【0061】
Xステージ5の温度を検出し、自動運転開始時又は自動運転中に、マスクホルダ20にマスク2が保持され、かつチャック10に基板1が搭載されていない状態で、検出したXステージ5の温度が下限値未満であるとき、リニアモータによりXステージ5及びYステージ7を駆動して第1の慣らし運転を行うので、第1の慣らし運転が終了した後、基板搬送ロボットに基板1が供給されると、直ちに露光処理を開始することができる。そして、第1の慣らし運転によりXステージ5の温度を下限値より高い基準値以上に上げるので、自動運転開始前又は自動運転中にXステージ5の温度が下限値未満に下がっても、露光処理中のXステージ5の温度変化が小さくなり、パターンの焼付けが精度良く行われる。
【0062】
さらに、自動運転開始前にXステージ5の温度が下限値未満に下がらなくても、自動運転開始時に、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転の終了時刻から所定時間が経過しているとき、または直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転におけるXステージ5の移動回数が所定回数未満であるとき、第1の慣らし運転が行われるので、Xステージ5の温度変化がさらに小さくなり、パターンの焼付けがさらに精度良く行われる。
【0063】
図8は、第2の慣らし運転の動作の一例を示すフローチャートである。主制御装置70は、まず、慣らし運転中フラグをセットする(ステップ610)。慣らし運転中フラグがセットされている間、基板搬送ロボットは、基板1のチャック10への搬入を行わない。
【0064】
続いて、主制御装置70は、慣らし運転を行う準備として、Z−チルト機構を原点位置へ移動して(ステップ620)、マスクホルダ20を上昇させる。また、主制御装置70は、慣らし運転を行う準備として、チャック10に設けられた複数の突き上げピンを原点位置へ移動して(ステップ630)、突き上げピンをチャック10の内部に収納する。そして、主制御装置70は、駆動回路60を制御してリニアモータを駆動させ、第2の慣らし運転を行う。
【0065】
第1の慣らし運転と同じく、第2の慣らし運転では、Xステージ5及びYステージ7が、基板1の露光処理時と同様に移動される。主制御装置70は、まず、リニアモータによりXステージ5及びYステージ7を駆動して、チャック10をロード/アンロード位置へ移動させる(ステップ640)。そして、主制御装置70は、Xステージ5及びYステージ7を、ロード/アンロード位置において、基板1のチャック10へのロードに要する時間と同じ時間だけ待機させる(ステップ641)。次に、主制御装置70は、リニアモータによりXステージ5及びYステージ7を駆動して、チャック10を露光位置における1回目のショットを行う位置へ移動させる(ステップ642)。そして、主制御装置70は、Xステージ5及びYステージ7を、その位置において、マスク2と基板1とのギャップ合わせ、基板1のアライメント、及び基板1の露光に要する時間と同じ時間だけ待機させる(ステップ643)。
【0066】
続いて、主制御装置70は、チャック10が露光位置における最後のショットを行う位置にあるか否かを判断する(ステップ644)。チャック10が露光位置における最後のショットを行う位置にない場合、主制御装置70は、リニアモータによりXステージ5及びYステージ7を駆動して、チャック10を露光位置における次のショットを行う位置へ移動させ(ステップ645)、ステップ643へ戻る。
【0067】
チャック10が露光位置における最後のショットを行う位置にある場合、主制御装置70は、第2の慣らし運転におけるXステージ5及びYステージ7の移動回数を更新する(ステップ646)。そして、主制御装置70は、第2の慣らし運転を終了するか否かを判断する(ステップ647)。
【0068】
図9は、第2の慣らし運転を終了するか否かを判断する処理の一例を示すフローチャートである。主制御装置70は、まず、基板搬送ロボットへ基板1が供給されたか否かを判断する(ステップ701)。基板搬送ロボットへ基板1が供給された場合、主制御装置70は、第2の慣らし運転を終了する。
【0069】
基板搬送ロボットへ基板1が供給されていない場合、主制御装置70は、温度センサー50により検出したXステージ5の温度が下限値未満であるか否かを判断する(ステップ702)。Xステージ5の温度が下限値未満である場合、主制御装置70は、第2の慣らし運転を終了する。
【0070】
Xステージ5の温度が下限値未満でない場合、主制御装置70は、Xステージ5の温度が上限値以上であるか否かを判断する(ステップ703)。Xステージ5の温度が上限値以上である場合、主制御装置70は、第2の慣らし運転を終了する。
【0071】
Xステージ5の温度が上限値以上でない場合、主制御装置70は、装置に何らかの異常が発生し、又は装置が停止したか否かを判断する(ステップ704)。装置に何らかの異常が発生し、又は装置が停止した場合、主制御装置70は、第2の慣らし運転を終了する。そうでない場合、主制御装置70は、第2の慣らし運転を継続する。
【0072】
なお、第2の慣らし運転を終了するか否かを判断する処理は、図9に示した例に限らず、次の条件を満足するか否かを判断するものであれば、判断の順序を変更してもよい。
第2の慣らし運転を終了する条件:
基板搬送ロボットへ基板1が供給された事。
または、Xステージ5の温度が下限値未満である事。
または、Xステージ5の温度が上限値以上である事。
または、装置に異常が発生し、又は装置が停止した事。
【0073】
図8のステップ647において、第2の慣らし運転を終了する場合、主制御装置70は、リニアモータによりXステージ5及びYステージ7を駆動して、チャック10をロード/アンロード位置へ移動させる(ステップ650)。続いて、主制御装置70は、慣らし運転中フラグをクリアする(ステップ660)。そして、主制御装置70は、第2の慣らし運転の終了時刻と、第2の慣らし運転におけるXステージ5及びYステージ7の移動回数とを記憶する。第2の慣らし運転を終了しない場合、ステップ640へ戻る。
【0074】
自動運転中に、マスクホルダ20にマスク2が保持され、かつチャック10に基板1が搭載されていない状態で、検出したXステージ5の温度が下限値以上かつ基準値より高い上限値未満であるとき、 基板搬送ロボットへ基板1が供給されるまで、リニアモータによりXステージ5を駆動して、リニアモータの熱でXステージ5の温度を下限値以上かつ上限値未満に保つ第2の慣らし運転を行うので、自動運転中のXステージ5の温度変化が小さくなり、パターンの焼付けが精度良く行われる。そして、自動運転中に、基板搬送ロボットへ基板1が供給されると、直ちに露光処理が開始される。
【0075】
以上説明した実施の形態によれば、Xステージ5の温度を検出し、自動運転開始時又は自動運転中に、マスクホルダ20にマスク2が保持され、かつチャック10に基板1が搭載されていない状態で、検出したXステージ5の温度が下限値未満であるとき、リニアモータによりXステージ5を駆動して、リニアモータの熱でXステージ5の温度を下限値より高い基準値以上に上げる第1の慣らし運転を行うことにより、自動運転開始前又は自動運転中にXステージ5の温度が下限値未満に下がっても、露光処理中のXステージ5の温度変化を小さくして、パターンの焼付けを精度良く行うことができる。
【0076】
さらに、自動運転中に、マスクホルダ20にマスク2が保持され、かつチャック10に基板1が搭載されていない状態で、検出したXステージ5の温度が下限値以上かつ基準値より高い上限値未満であるとき、基板搬送ロボットへ基板1が供給されるまで、リニアモータによりXステージ5を駆動して、リニアモータの熱でXステージ5の温度を下限値以上かつ上限値未満に保つ第2の慣らし運転を行うことにより、自動運転中のXステージ5の温度変化を小さくして、パターンの焼付けを精度良く行うことができる。そして、自動運転中に、基板搬送ロボットへ基板1が供給されると、直ちに露光処理を開始することができる。
【0077】
さらに、第1の慣らし運転及び第2の慣らし運転の終了時刻と、第1の慣らし運転及び第2の慣らし運転におけるXステージ5の移動回数とを記憶し、自動運転開始時に、マスクホルダ20にマスク2が保持され、かつチャック10に基板1が搭載されていない状態で、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転の終了時刻から所定時間が経過しているとき、または直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転におけるXステージ5の移動回数が所定回数未満であるとき、リニアモータによりXステージ5及びYステージ7を駆動して第1の慣らし運転を行うことにより、Xステージ5の温度変化をさらに小さくして、パターンの焼付けをさらに精度良く行うことができる。
【0078】
なお、以上説明した実施の形態では、Xステージ5の温度を検出する温度センサー50を設け、第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転を行って、Xステージ5の温度を制御していたが、同様にして、Yステージ7の温度を検出する温度センサーを設け、第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転を行って、Yステージ7の温度を制御してもよい。
【0079】
本発明のプロキシミティ露光装置を用いて基板の露光を行い、あるいは、本発明のプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法を用いてステージの温度を制御して、基板の露光を行うことにより、ステージの温度変化を小さくして、パターンの焼付けを精度良く行うことができるので、高品質な表示用パネル基板を製造することができる。
【0080】
例えば、図10は、液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。薄膜形成工程(ステップ101)では、スパッタ法やプラズマ化学気相成長(CVD)法等により、基板上に液晶駆動用の透明電極となる導電体膜や絶縁体膜等の薄膜を形成する。レジスト塗布工程(ステップ102)では、ロール塗布法等により感光樹脂材料(フォトレジスト)を塗布して、薄膜形成工程(ステップ101)で形成した薄膜上にフォトレジスト膜を形成する。露光工程(ステップ103)では、プロキシミティ露光装置や投影露光装置等を用いて、マスクのパターンをフォトレジスト膜に転写する。現像工程(ステップ104)では、シャワー現像法等により現像液をフォトレジスト膜上に供給して、フォトレジスト膜の不要部分を除去する。エッチング工程(ステップ105)では、ウエットエッチングにより、薄膜形成工程(ステップ101)で形成した薄膜の内、フォトレジスト膜でマスクされていない部分を除去する。剥離工程(ステップ106)では、エッチング工程(ステップ105)でのマスクの役目を終えたフォトレジスト膜を、剥離液によって剥離する。これらの各工程の前又は後には、必要に応じて、基板の洗浄/乾燥工程が実施される。これらの工程を数回繰り返して、基板上にTFTアレイが形成される。
【0081】
また、図11は、液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。ブラックマトリクス形成工程(ステップ201)では、レジスト塗布、露光、現像、エッチング、剥離等の処理により、基板上にブラックマトリクスを形成する。着色パターン形成工程(ステップ202)では、染色法、顔料分散法、印刷法、電着法等により、基板上に着色パターンを形成する。この工程を、R、G、Bの着色パターンについて繰り返す。保護膜形成工程(ステップ203)では、着色パターンの上に保護膜を形成し、透明電極膜形成工程(ステップ204)では、保護膜の上に透明電極膜を形成する。これらの各工程の前、途中又は後には、必要に応じて、基板の洗浄/乾燥工程が実施される。
【0082】
図10に示したTFT基板の製造工程では、露光工程(ステップ103)において、図11に示したカラーフィルタ基板の製造工程では、ブラックマトリクス形成工程(ステップ201)及び着色パターン形成工程(ステップ202)の露光処理において、本発明のプロキシミティ露光装置又は本発明のプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法を適用することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 基板
2 マスク
3 ベース
4 Xガイド
5 Xステージ
6 Yガイド
7 Yステージ
8 θステージ
9 チャック支持台
10 チャック
20 マスクホルダ
31,41 固定子
32,42 可動子
33,43 固定子取り付けベース
34 可動子取り付けベース
50 温度センサー
60 駆動回路
70 主制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ装置等の表示用パネル基板の製造において、プロキシミティ方式を用いて基板の露光を行うプロキシミティ露光装置、プロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法、及びそれらを用いた表示用パネル基板の製造方法に係り、特に基板を移動するステージをリニアモータにより駆動するプロキシミティ露光装置、プロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法、及びそれらを用いた表示用パネル基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示用パネルとして用いられる液晶ディスプレイ装置のTFT(Thin Film Transistor)基板やカラーフィルタ基板、プラズマディスプレイパネル用基板、有機EL(Electroluminescence)表示パネル用基板等の製造は、露光装置を用いて、フォトリソグラフィー技術により基板上にパターンを形成して行われる。露光装置としては、レンズ又は鏡を用いてマスクのパターンを基板上に投影するプロジェクション方式と、マスクと基板との間に微小な間隙(プロキシミティギャップ)を設けてマスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ方式とがある。プロキシミティ方式は、プロジェクション方式に比べてパターン解像性能は劣るが、照射光学系の構成が簡単で、かつ処理能力が高く量産用に適している。
【0003】
近年、表示用パネルの各種基板の製造では、大型化及びサイズの多様化に対応するため、比較的大きな基板を用意し、表示用パネルのサイズに応じて、1枚の基板から1枚又は複数枚の表示用パネル基板を製造している。その場合、プロキシミティ方式では、基板の一面を一括して露光しようとすると、基板と同じ大きさのマスクが必要となり、高価なマスクのコストがさらに増大する。そこで、基板より比較的小さなマスクを用い、ステージにより基板をXY方向へステップ移動して、基板の一面を複数のショットに分けて露光する方式が主流となっている。
【0004】
従来、プロキシミティ露光装置において、ステージの駆動には、ボールねじ等の送りねじが使用されていた。しかしながら、表示用パネルの大画面化に伴って基板が大型化する程、基板の移動を高速かつ高精度に行いたいという要求が強くなり、従来のステージでは、基板を移動する速度及び精度の向上に限界があった。
【0005】
送りねじに代わる機構として、磁石又はコイルを内蔵した固定子と、コイル又は磁石を内蔵した可動子とを用いるリニアモータが開発されている。固定子と可動子は、わずかな隙間を介して接触しない様に設置され、コイルに電流を流すと、コイルの電流と磁石の磁界とから、フレミングの左手の法則によって、可動子に推力(ローレンツ力)が働く。固定子と可動子が非接触で摩擦が無いため、高速かつ高精度な移動が可能である。この様なリニアモータを使用したプロキシミティ露光装置として、特許文献1及び特許文献2に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−258195号公報
【特許文献2】特開2009−258196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
プロキシミティ露光装置において、基板を移動するステージをリニアモータにより駆動する場合、ステージの重量が大きく移動距離も長いため、リニアモータの負荷が大きく、リニアモータから多量の熱が発生する。そのため、通常の運転時と、基板の供給が停止してステージの移動を休止したときとで、ステージの温度が大きく変化する。ステージの温度が大きく変化すると、熱膨張によるステージの変形量が大きく変化するため、ステージにより移動される基板の位置及び水平方向に対する傾きが変動して、パターンの焼付け精度が低下するという問題がある。
【0008】
本発明の課題は、プロキシミティ露光装置において、基板を移動するステージをリニアモータにより駆動する際、ステージの温度変化を小さくして、パターンの焼付けを精度良く行うことである。また、本発明の課題は、パターンの焼付けを精度良く行って、高品質な表示用パネル基板を製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のプロキシミティ露光装置は、基板を搭載するチャックと、マスクを保持するマスクホルダと、チャックを移動するステージと、ステージを駆動するリニアモータとを備えたプロキシミティ露光装置であって、ステージの温度を検出する検出手段と、リニアモータを制御する制御手段とを備え、制御手段が、運転開始時又は運転中に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、検出手段により検出したステージの温度が下限値未満であるとき、リニアモータによりステージを駆動して、リニアモータの熱でステージの温度を下限値より高い基準値以上に上げる第1の慣らし運転を行うものである。
【0010】
また、本発明のプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法は、基板を搭載するチャックと、マスクを保持するマスクホルダと、チャックを移動するステージと、ステージを駆動するリニアモータとを備えたプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法であって、ステージの温度を検出し、運転開始時又は運転中に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、検出したステージの温度が下限値未満であるとき、リニアモータによりステージを駆動して、リニアモータの熱でステージの温度を下限値より高い基準値以上に上げる第1の慣らし運転を行うものである。
【0011】
ステージの温度を検出し、運転開始時又は運転中に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、検出したステージの温度が下限値未満であるとき、リニアモータによりステージを駆動して第1の慣らし運転を行うので、第1の慣らし運転が終了した後、チャックに搭載する基板が準備されると、直ちに露光処理を開始することができる。そして、第1の慣らし運転によりステージの温度を下限値より高い基準値以上に上げるので、運転開始前又は運転中にステージの温度が下限値未満に下がっても、露光処理中のステージの温度変化が小さくなり、パターンの焼付けが精度良く行われる。
【0012】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置は、制御手段が、運転中に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、検出手段により検出したステージの温度が下限値以上かつ基準値より高い上限値未満であるとき、チャックに搭載する基板が準備されるまで、リニアモータによりステージを駆動して、リニアモータの熱でステージの温度を下限値以上かつ上限値未満に保つ第2の慣らし運転を行うものである。
【0013】
また、本発明のプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法は、運転中に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、検出したステージの温度が下限値以上かつ基準値より高い上限値未満であるとき、チャックに搭載する基板が準備されるまで、リニアモータによりステージを駆動して、リニアモータの熱でステージの温度を下限値以上かつ上限値未満に保つ第2の慣らし運転を行うものである。
【0014】
運転中に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、検出したステージの温度が下限値以上かつ基準値より高い上限値未満であるとき、チャックに搭載する基板が準備されるまで、リニアモータによりステージを駆動して、リニアモータの熱でステージの温度を下限値以上かつ上限値未満に保つ第2の慣らし運転を行うので、運転中のステージの温度変化が小さくなり、パターンの焼付けが精度良く行われる。そして、運転中に、チャックに搭載する基板が準備されると、直ちに露光処理が開始される。
【0015】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置は、制御手段が、第1の慣らし運転及び第2の慣らし運転の終了時刻と、第1の慣らし運転及び第2の慣らし運転におけるステージの移動回数とを記憶し、運転開始時に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転の終了時刻から所定時間が経過しているとき、または直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転におけるステージの移動回数が所定回数未満であるとき、リニアモータによりステージを駆動して第1の慣らし運転を行うものである。
【0016】
また、本発明のプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法は、第1の慣らし運転及び第2の慣らし運転の終了時刻と、第1の慣らし運転及び第2の慣らし運転におけるステージの移動回数とを記憶し、運転開始時に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転の終了時刻から所定時間が経過しているとき、または直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転におけるステージの移動回数が所定回数未満であるとき、リニアモータによりステージを駆動して第1の慣らし運転を行うものである。
【0017】
運転開始前にステージの温度が下限値未満に下がらなくても、運転開始時に、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転の終了時刻から所定時間が経過しているとき、または直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転におけるステージの移動回数が所定回数未満であるとき、第1の慣らし運転が行われるので、ステージの温度変化がさらに小さくなり、パターンの焼付けがさらに精度良く行われる。
【0018】
本発明の表示用パネル基板の製造方法は、上記のいずれかのプロキシミティ露光装置を用いて基板の露光を行い、あるいは、上記のいずれかのプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法を用いてステージの温度を制御して、基板の露光を行うものである。ステージの温度変化が小さくなり、パターンの焼付けが精度良く行われるので、高品質な表示用パネル基板が製造される。
【発明の効果】
【0019】
本発明のプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法によれば、ステージの温度を検出し、運転開始時又は運転中に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、検出したステージの温度が下限値未満であるとき、リニアモータによりステージを駆動して、リニアモータの熱でステージの温度を下限値より高い基準値以上に上げる第1の慣らし運転を行うことにより、運転開始前又は運転中にステージの温度が下限値未満に下がっても、露光処理中のステージの温度変化を小さくして、パターンの焼付けを精度良く行うことができる。
【0020】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法によれば、運転中に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、検出したステージの温度が下限値以上かつ基準値より高い上限値未満であるとき、チャックに搭載する基板が準備されるまで、リニアモータによりステージを駆動して、リニアモータの熱でステージの温度を下限値以上かつ上限値未満に保つ第2の慣らし運転を行うことにより、運転中のステージの温度変化を小さくして、パターンの焼付けを精度良く行うことができる。そして、運転中に、チャックに搭載する基板が準備されると、直ちに露光処理を開始することができる。
【0021】
さらに、本発明のプロキシミティ露光装置及びプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法によれば、第1の慣らし運転及び第2の慣らし運転の終了時刻と、第1の慣らし運転及び第2の慣らし運転におけるステージの移動回数とを記憶し、運転開始時に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転の終了時刻から所定時間が経過しているとき、または直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転におけるステージの移動回数が所定回数未満であるとき、リニアモータによりステージを駆動して第1の慣らし運転を行うことにより、ステージの温度変化をさらに小さくして、パターンの焼付けをさらに精度良く行うことができる。
【0022】
本発明の表示用パネル基板の製造方法によれば、ステージの温度変化を小さくして、パターンの焼付けを精度良く行うことができるので、高品質な表示用パネル基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の側面図である。
【図3】本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の正面図である。
【図4】本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置からYステージより上の部分を取り除いた状態を示す上面図である。
【図5】慣らし運転を行うか否かを判断する処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】第1の慣らし運転の動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】第1の慣らし運転を終了するか否かを判断する処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】第2の慣らし運転の動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】第2の慣らし運転を終了するか否かを判断する処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図11】液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の概略構成を示す図である。また、図2は本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の側面図、図3は本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置の正面図である。プロキシミティ露光装置は、ベース3、Xガイド4、Xステージ5、Yガイド6、Yステージ7、θステージ8、チャック支持台9、チャック10、マスクホルダ20、複数のリニアモータ、固定子取り付けベース33,43、可動子取り付けベース34、温度センサー50、駆動回路60、及び主制御装置70を含んで構成されている。なお、図2及び図3では、駆動回路60、及び主制御装置70が省略されている。プロキシミティ露光装置は、これらの他に、基板1をチャック10へ搬入し、また基板1をチャック10から搬出する基板搬送ロボット、露光光を照射する照射光学系、装置内の温度管理を行う温度制御ユニット等を備えている。
【0025】
なお、以下に説明する実施の形態におけるXY方向は例示であって、X方向とY方向とを入れ替えてもよい。
【0026】
基板1は、基板1の露光を行う露光位置から離れたロード/アンロード位置において、図示しない基板搬送ロボットにより、チャック10へ搬入され、またチャック10から搬出される。チャック10への基板1のロード及びチャック10からの基板1のアンロードは、チャック10に設けた複数の突き上げピンを用いて行われる。突き上げピンは、チャック10の内部に収納されており、チャック10の内部から上昇して、基板1をチャック10にロードする際、基板搬送ロボットから基板1を受け取り、基板1をチャック10からアンロードする際、基板搬送ロボットへ基板1を受け渡す。
【0027】
図1及び図2において、チャック10は、基板1の露光を行う露光位置にある。露光位置の上空には、マスク2を保持するマスクホルダ20が設置されている。図1において、マスクホルダ20には、露光光が通過する開口20aが設けられており、開口20aの下方には、マスク2が装着されている。マスクホルダ20の下面の開口20aの周囲には、吸着溝が設けられており、マスクホルダ20は、吸着溝により、マスク2の周辺部を真空吸着して保持している。マスクホルダ20に保持されたマスク2の上空には、図示しない照射光学系が配置されている。露光時、照射光学系からの露光光がマスク2を透過して基板1へ照射されることにより、マスク2のパターンが基板1の表面に転写され、基板1上にパターンが形成される。
【0028】
図2及び図3において、チャック10は、チャック支持台9を介してθステージ8に搭載されており、θステージ8の下にはYステージ7及びXステージ5が設けられている。Xステージ5は、ベース3に設けられたXガイド4に搭載され、Xガイド4に沿ってX方向へ移動する。Yステージ7は、Xステージ5に設けられたYガイド6に搭載され、Yガイド6に沿ってY方向へ移動する。θステージ8は、Yステージ7に搭載され、θ方向へ回転する。チャック支持台9は、θステージ8に搭載され、チャック10を複数箇所で支持する。
【0029】
Xステージ5のX方向への移動及びYステージ7のY方向への移動により、チャック10は、ロード/アンロード位置と露光位置との間を移動される。ロード/アンロード位置において、Xステージ5のX方向への移動、Yステージ7のY方向への移動、及びθステージ8のθ方向への回転により、チャック10に搭載された基板1のプリアライメントが行われる。露光位置において、Xステージ5のX方向への移動及びYステージ7のY方向への移動により、チャック10に搭載された基板1のXY方向へのステップ移動が行われる。そして、Xステージ5のX方向への移動、Yステージ7のY方向への移動、及びθステージ8のθ方向への回転により、基板1のアライメントが行われる。また、図示しないZ−チルト機構によりマスクホルダ20をZ方向へ移動及びチルトすることによって、マスク2と基板1とのギャップ合わせが行われる。
【0030】
なお、本実施の形態では、マスクホルダ20をZ方向へ移動及びチルトすることにより、マスク2と基板1とのギャップ合わせを行っているが、チャック支持台9にZ−チルト機構を設けて、チャック10をZ方向へ移動及びチルトすることにより、マスク2と基板1とのギャップ合わせを行ってもよい。
【0031】
本実施の形態では、Xステージ5を駆動する駆動機構として、2つのリニアモータを使用する。各リニアモータは、磁石を内蔵した板状の固定子31と、コイルを内蔵した板状の可動子32とを有する。
【0032】
図3において、ベース3には、X方向(図3の図面奥行き方向)へ伸びる溝が設けられている。ベース3の溝の左右の隅には、X方向へ伸びる固定子取り付けベース33がそれぞれ取り付けられている。各固定子取り付けベース33には、各リニアモータの固定子31が取り付けられている。各リニアモータの固定子31は、固定子取り付けベース33により、ベース3に設けた溝内に立てた状態でX方向へ伸ばして取り付けられている。一方、Xステージ5の下面には、断面がT字型の可動子取り付けベース34が取り付けられている。可動子取り付けベース34の左右の側面には、各リニアモータの可動子32が取り付けられている。各リニアモータの可動子32は、共通の可動子取り付けベース34により、Xステージ5にそのリニアモータの固定子31と向き合わせて取り付けられている。2つのリニアモータは、固定子31と可動子32とを横方向に向き合わせて、左右対称に配置されている。
【0033】
固定子31と可動子32とが横方向に向き合わせて左右対称に配置された2つのリニアモータを用いて、Xガイド4に沿ってXステージ5を移動して、基板1のX方向への移動を行う。各リニアモータで発生する磁気吸引力が互いに打ち消し合い、Xガイド4に掛かる負荷が軽減される。そして、ベース3にX方向へ伸びる溝を設け、各リニアモータの磁石を内蔵した板状の固定子31を、ベース3の溝内に立てた状態でX方向へ伸ばして取り付け、各リニアモータのコイルを内蔵した板状の可動子32を、Xステージ5にそのリニアモータの固定子31と向き合わせて取り付けるので、ベース3とXステージ5との間にリニアモータの固定子31及び可動子32を配置する空間を確保するための台を設ける必要がなく、装置全体の高さが抑えられる。
【0034】
図4は、本発明の一実施の形態によるプロキシミティ露光装置からYステージより上の部分を取り除いた状態を示す上面図である。本実施の形態では、Yステージ7を駆動する駆動機構として、2つのリニアモータを使用する。各リニアモータは、磁石を内蔵した板状の固定子41と、コイルを内蔵した板状の可動子42とを有する。
【0035】
図2及び図4において、各リニアモータの可動子42は、Yステージ7のY方向(図2の図面奥行き方向)へ伸びる側面に取り付けられている。Xステージ5の上面の左右の端には、Y方向へ伸びる固定子取り付けベース43がそれぞれ取り付けられている。各リニアモータの固定子41は、各固定子取り付けベース43により、Xステージ5に立てた状態でそのリニアモータの可動子42と向き合わせてY方向へ伸ばして取り付けられている。2つのリニアモータは、固定子41と可動子42とを横方向に向き合わせて、左右対称に配置されている。
【0036】
固定子41と可動子42とが横方向に向き合わせて左右対称に配置された2つのリニアモータを用いて、Yガイド6に沿ってYステージ7を移動して、基板1のY方向への移動を行う。各リニアモータで発生する磁気吸引力が互いに打ち消し合い、Yガイド6に掛かる負荷が軽減される。そして、各リニアモータのコイルを内蔵した板状の可動子42を、Yステージ7のY方向へ伸びる側面に取り付け、各リニアモータの磁石を内蔵した板状の固定子41を、Xステージ5にそのリニアモータの可動子42と向き合わせてY方向へ伸ばして取り付けるので、Xステージ5とYステージ7との間にリニアモータの固定子41及び可動子42を配置する空間を確保するための台を設ける必要がない。そのため、ステージ全体の重心が高くならず、ステージ全体の運動性能が低下しない。また、Xステージ5に溝を設ける必要がなく、Xステージ5の剛性が低下しない。
【0037】
図1において、駆動回路60は、主制御装置70の制御により、リニアモータの可動子32,42のコイルへ電流を供給して、リニアモータを駆動する。このとき、特に、Xステージ5は重量が大きく移動距離も長いため、リニアモータの負荷が大きく、リニアモータの可動子32から多量の熱が発生する。そのため、通常の運転時と、基板1の供給が停止してXステージ5の移動を休止したときとで、Xステージ5の温度が大きく変化する。Xステージ5の温度が大きく変化すると、熱膨張によるXステージ5の変形量が大きく変化するため、Xステージ5により移動される基板1の位置及び水平方向に対する傾きが変動して、パターンの焼付け精度が低下する。
【0038】
そこで、本実施の形態では、ステージの慣らし運転を行って、Xステージ5の温度を所定の範囲に制御する。以下、本発明の一実施の形態によるステージ温度制御方法について説明する。図2及び図4において、Xステージ5の側面には、温度センサー50が取り付けられている。温度センサー50は、Xステージ5の温度を検出し、検出結果を図1の主制御装置70へ出力する。本実施の形態では、プロキシミティ露光装置の運転状態(自動運転開始時又は自動運転中)と、温度センサー50により検出したXステージ5の温度とに応じて、第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転の二種類の慣らし運転を行う。
【0039】
図5は、慣らし運転を行うか否かを判断する処理の一例を示すフローチャートである。図1の主制御装置70は、まず、プロキシミティ露光装置が自動運転開始時であるか否かを判断する(ステップ301)。プロキシミティ露光装置が自動運転開始時である場合、主制御装置70は、マスクホルダ20にマスク2が保持されているか否かを判断する(ステップ302)。マスクホルダ20にマスク2が保持されていない場合、慣らし運転を行っても露光処理を開始できないので、マスクホルダ20にマスク2が装着されるまで、慣らし運転は行わない。
【0040】
マスクホルダ20にマスク2が保持されている場合、主制御装置70は、チャック10に基板1が搭載されているか否かを判断する(ステップ303)。自動運転開始時は、チャック10に基板1が搭載されていないはずであるが、何らかの理由でチャック10に基板1が搭載されている場合、チャック10に搭載された基板1を装置外へ搬出した後、ステップ303へ戻る。
【0041】
チャック10に基板1が搭載されていない場合、主制御装置70は、温度センサー50により検出したXステージ5の温度が予め定めた下限値未満であるか否かを判断する(ステップ304)。Xステージ5の温度が下限値未満である場合、主制御装置70は、第1の慣らし運転を行う。
【0042】
Xステージ5の温度が下限値未満でない場合、主制御装置70は、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転の終了時刻から所定時間が経過しているか否か判断する(ステップ305)。自動運転開始時に、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転の終了時刻から所定時間が経過している場合、主制御装置70は、第1の慣らし運転を行う。
【0043】
直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転の終了時刻から所定時間が経過していない場合、主制御装置70は、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転におけるXステージ5の移動回数が所定回数未満であるか否かを判断する(ステップ306)。自動運転開始時に、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転におけるXステージ5の移動回数が所定回数未満である場合、主制御装置70は、第1の慣らし運転を行う。直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転におけるXステージ5の移動回数が所定回数未満でない場合、ステップ311へ行く。
【0044】
ステップ301においてプロキシミティ露光装置が自動運転開始時でない場合、及びステップ306において直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転におけるXステージ5の移動回数が所定回数未満でない場合、主制御装置70は、プロキシミティ露光装置が自動運転中であるか否かを判断する(ステップ311)。プロキシミティ露光装置が自動運転中でない場合、ステップ301へ戻る。プロキシミティ露光装置が自動運転中である場合、主制御装置70は、マスクホルダ20にマスク2が保持されているか否かを判断する(ステップ312)。マスクホルダ20にマスク2が保持されていない場合、慣らし運転を行っても露光処理を開始できないので、マスクホルダ20にマスク2が装着されるまで、慣らし運転は行わない。
【0045】
マスクホルダ20にマスク2が保持されている場合、主制御装置70は、チャック10に基板1が搭載されているか否かを判断する(ステップ313)。自動運転中でチャック10に基板1が搭載されている場合、チャック10に搭載された基板1の露光処理を行って、基板1を装置外へ搬出した後、ステップ313へ戻る。
【0046】
チャック10に基板1が搭載されていない場合、主制御装置70は、温度センサー50により検出したXステージ5の温度が予め定めた下限値未満であるか否かを判断する(ステップ314)。Xステージ5の温度が下限値未満である場合、主制御装置70は、第1の慣らし運転を行う。
【0047】
Xステージ5の温度が下限値未満でない場合、主制御装置70は、Xステージ5の温度が下限値以上かつ予め定めた上限値未満であるか否かを判断する(ステップ315)。Xステージ5の温度が下限値以上かつ上限値未満である場合、主制御装置70は、第2の慣らし運転を行う。Xステージ5の温度が上限値以上である場合、主制御装置70は、慣らし運転を行わない。
【0048】
なお、慣らし運転を行うか否かを判断する処理は、図5に示した例に限らず、次の条件を満足するか否かを判断するものであれば、判断の順序を変更してもよい。
第1の慣らし運転を行う条件:
自動運転開始時又は自動運転中に、マスクホルダ20にマスク2が保持されており、チャック10に基板1が搭載されておらず、Xステージ5の温度が下限値未満である事。
または、自動運転開始時に、マスクホルダ20にマスク2が保持されており、チャック10に基板1が搭載されておらず、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転の終了時刻から所定時間が経過している事。
または、自動運転開始時に、マスクホルダ20にマスク2が保持されており、チャック10に基板1が搭載されておらず、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転におけるXステージ5の移動回数が所定回数未満である事。
第2の慣らし運転を行う条件:
自動運転中に、マスクホルダ20にマスク2が保持されており、チャック10に基板1が搭載されておらず、Xステージ5の温度が下限値以上かつ上限値未満である事。
【0049】
図6は、第1の慣らし運転の動作の一例を示すフローチャートである。主制御装置70は、まず、基板供給停止フラグをセットする(ステップ401)。基板供給停止フラグがセットされている間、基板搬送ロボットへの基板1の供給が停止される。この基板供給停止フラグによる基板の供給停止は、装置のオペレータの操作によりキャンセルすることができる。
【0050】
次に、主制御装置70は、慣らし運転中フラグをセットする(ステップ410)。慣らし運転中フラグがセットされている間、基板搬送ロボットは、基板1のチャック10への搬入を行わない。
【0051】
続いて、主制御装置70は、慣らし運転を行う準備として、Z−チルト機構を原点位置へ移動して(ステップ420)、マスクホルダ20を上昇させる。また、主制御装置70は、慣らし運転を行う準備として、チャック10に設けられた複数の突き上げピンを原点位置へ移動して(ステップ430)、突き上げピンをチャック10の内部に収納する。そして、主制御装置70は、駆動回路60を制御してリニアモータを駆動させ、第1の慣らし運転を行う。
【0052】
第1の慣らし運転では、Xステージ5及びYステージ7が、基板1の露光処理時と同様に移動される。主制御装置70は、まず、リニアモータによりXステージ5及びYステージ7を駆動して、チャック10をロード/アンロード位置へ移動させる(ステップ440)。そして、主制御装置70は、Xステージ5及びYステージ7を、ロード/アンロード位置において、基板1のチャック10へのロードに要する時間と同じ時間だけ待機させる(ステップ441)。次に、主制御装置70は、リニアモータによりXステージ5及びYステージ7を駆動して、チャック10を露光位置における1回目のショットを行う位置へ移動させる(ステップ442)。そして、主制御装置70は、Xステージ5及びYステージ7を、その位置において、マスク2と基板1とのギャップ合わせ、基板1のアライメント、及び基板1の露光に要する時間と同じ時間だけ待機させる(ステップ443)。
【0053】
続いて、主制御装置70は、チャック10が露光位置における最後のショットを行う位置にあるか否かを判断する(ステップ444)。チャック10が露光位置における最後のショットを行う位置にない場合、主制御装置70は、リニアモータによりXステージ5及びYステージ7を駆動して、チャック10を露光位置における次のショットを行う位置へ移動させ(ステップ445)、ステップ443へ戻る。
【0054】
チャック10が露光位置における最後のショットを行う位置にある場合、主制御装置70は、第1の慣らし運転におけるXステージ5及びYステージ7の移動回数を更新する(ステップ446)。そして、主制御装置70は、第1の慣らし運転を終了するか否かを判断する(ステップ447)。
【0055】
図7は、第1の慣らし運転を終了するか否かを判断する処理の一例を示すフローチャートである。主制御装置70は、まず、基板供給停止フラグによる基板の供給停止が装置のオペレータの操作によりキャンセルされたか否かを判断する(ステップ501)。基板の供給停止がキャンセルされた場合、主制御装置70は、第1の慣らし運転を終了する。
【0056】
基板の供給停止がキャンセルされていない場合、主制御装置70は、第1の慣らし運転におけるXステージ5の移動回数が予め定めた所定回数に達したか否かを判断する(ステップ502)。Xステージ5の移動回数が所定回数に達した場合、主制御装置70は、第1の慣らし運転を終了する。
【0057】
Xステージ5の移動回数が所定回数に達していない場合、主制御装置70は、温度センサー50により検出したXステージ5の温度が予め定めた基準値以上であるか否かを判断する(ステップ503)。この基準値は、下限値と上限値の間の値とする。Xステージ5の温度が基準値以上である場合、主制御装置70は、第1の慣らし運転を終了する。
【0058】
Xステージ5の温度が基準値以上でない場合、主制御装置70は、装置に何らかの異常が発生し、又は装置が停止したか否かを判断する(ステップ504)。装置に何らかの異常が発生し、又は装置が停止した場合、主制御装置70は、第1の慣らし運転を終了する。そうでない場合、主制御装置70は、第1の慣らし運転を継続する。
【0059】
なお、第1の慣らし運転を終了するか否かを判断する処理は、図7に示した例に限らず、次の条件を満足するか否かを判断するものであれば、判断の順序を変更してもよい。
第1の慣らし運転を終了する条件:
基板供給停止フラグによる基板の供給停止がキャンセルされた事。
または、Xステージ5の移動回数が所定回数に達した事。
または、Xステージ5の温度が基準値以上である事。
または、装置に異常が発生し、又は装置が停止した事。
【0060】
図6のステップ447において、第1の慣らし運転を終了する場合、主制御装置70は、リニアモータによりXステージ5及びYステージ7を駆動して、チャック10をロード/アンロード位置へ移動させる(ステップ450)。続いて、主制御装置70は、基板供給停止フラグをクリアし(ステップ451)、また慣らし運転中フラグをクリアする(ステップ460)。そして、主制御装置70は、第1の慣らし運転の終了時刻と、第1の慣らし運転におけるXステージ5及びYステージ7の移動回数とを記憶する。第1の慣らし運転を終了しない場合、ステップ440へ戻る。
【0061】
Xステージ5の温度を検出し、自動運転開始時又は自動運転中に、マスクホルダ20にマスク2が保持され、かつチャック10に基板1が搭載されていない状態で、検出したXステージ5の温度が下限値未満であるとき、リニアモータによりXステージ5及びYステージ7を駆動して第1の慣らし運転を行うので、第1の慣らし運転が終了した後、基板搬送ロボットに基板1が供給されると、直ちに露光処理を開始することができる。そして、第1の慣らし運転によりXステージ5の温度を下限値より高い基準値以上に上げるので、自動運転開始前又は自動運転中にXステージ5の温度が下限値未満に下がっても、露光処理中のXステージ5の温度変化が小さくなり、パターンの焼付けが精度良く行われる。
【0062】
さらに、自動運転開始前にXステージ5の温度が下限値未満に下がらなくても、自動運転開始時に、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転の終了時刻から所定時間が経過しているとき、または直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転におけるXステージ5の移動回数が所定回数未満であるとき、第1の慣らし運転が行われるので、Xステージ5の温度変化がさらに小さくなり、パターンの焼付けがさらに精度良く行われる。
【0063】
図8は、第2の慣らし運転の動作の一例を示すフローチャートである。主制御装置70は、まず、慣らし運転中フラグをセットする(ステップ610)。慣らし運転中フラグがセットされている間、基板搬送ロボットは、基板1のチャック10への搬入を行わない。
【0064】
続いて、主制御装置70は、慣らし運転を行う準備として、Z−チルト機構を原点位置へ移動して(ステップ620)、マスクホルダ20を上昇させる。また、主制御装置70は、慣らし運転を行う準備として、チャック10に設けられた複数の突き上げピンを原点位置へ移動して(ステップ630)、突き上げピンをチャック10の内部に収納する。そして、主制御装置70は、駆動回路60を制御してリニアモータを駆動させ、第2の慣らし運転を行う。
【0065】
第1の慣らし運転と同じく、第2の慣らし運転では、Xステージ5及びYステージ7が、基板1の露光処理時と同様に移動される。主制御装置70は、まず、リニアモータによりXステージ5及びYステージ7を駆動して、チャック10をロード/アンロード位置へ移動させる(ステップ640)。そして、主制御装置70は、Xステージ5及びYステージ7を、ロード/アンロード位置において、基板1のチャック10へのロードに要する時間と同じ時間だけ待機させる(ステップ641)。次に、主制御装置70は、リニアモータによりXステージ5及びYステージ7を駆動して、チャック10を露光位置における1回目のショットを行う位置へ移動させる(ステップ642)。そして、主制御装置70は、Xステージ5及びYステージ7を、その位置において、マスク2と基板1とのギャップ合わせ、基板1のアライメント、及び基板1の露光に要する時間と同じ時間だけ待機させる(ステップ643)。
【0066】
続いて、主制御装置70は、チャック10が露光位置における最後のショットを行う位置にあるか否かを判断する(ステップ644)。チャック10が露光位置における最後のショットを行う位置にない場合、主制御装置70は、リニアモータによりXステージ5及びYステージ7を駆動して、チャック10を露光位置における次のショットを行う位置へ移動させ(ステップ645)、ステップ643へ戻る。
【0067】
チャック10が露光位置における最後のショットを行う位置にある場合、主制御装置70は、第2の慣らし運転におけるXステージ5及びYステージ7の移動回数を更新する(ステップ646)。そして、主制御装置70は、第2の慣らし運転を終了するか否かを判断する(ステップ647)。
【0068】
図9は、第2の慣らし運転を終了するか否かを判断する処理の一例を示すフローチャートである。主制御装置70は、まず、基板搬送ロボットへ基板1が供給されたか否かを判断する(ステップ701)。基板搬送ロボットへ基板1が供給された場合、主制御装置70は、第2の慣らし運転を終了する。
【0069】
基板搬送ロボットへ基板1が供給されていない場合、主制御装置70は、温度センサー50により検出したXステージ5の温度が下限値未満であるか否かを判断する(ステップ702)。Xステージ5の温度が下限値未満である場合、主制御装置70は、第2の慣らし運転を終了する。
【0070】
Xステージ5の温度が下限値未満でない場合、主制御装置70は、Xステージ5の温度が上限値以上であるか否かを判断する(ステップ703)。Xステージ5の温度が上限値以上である場合、主制御装置70は、第2の慣らし運転を終了する。
【0071】
Xステージ5の温度が上限値以上でない場合、主制御装置70は、装置に何らかの異常が発生し、又は装置が停止したか否かを判断する(ステップ704)。装置に何らかの異常が発生し、又は装置が停止した場合、主制御装置70は、第2の慣らし運転を終了する。そうでない場合、主制御装置70は、第2の慣らし運転を継続する。
【0072】
なお、第2の慣らし運転を終了するか否かを判断する処理は、図9に示した例に限らず、次の条件を満足するか否かを判断するものであれば、判断の順序を変更してもよい。
第2の慣らし運転を終了する条件:
基板搬送ロボットへ基板1が供給された事。
または、Xステージ5の温度が下限値未満である事。
または、Xステージ5の温度が上限値以上である事。
または、装置に異常が発生し、又は装置が停止した事。
【0073】
図8のステップ647において、第2の慣らし運転を終了する場合、主制御装置70は、リニアモータによりXステージ5及びYステージ7を駆動して、チャック10をロード/アンロード位置へ移動させる(ステップ650)。続いて、主制御装置70は、慣らし運転中フラグをクリアする(ステップ660)。そして、主制御装置70は、第2の慣らし運転の終了時刻と、第2の慣らし運転におけるXステージ5及びYステージ7の移動回数とを記憶する。第2の慣らし運転を終了しない場合、ステップ640へ戻る。
【0074】
自動運転中に、マスクホルダ20にマスク2が保持され、かつチャック10に基板1が搭載されていない状態で、検出したXステージ5の温度が下限値以上かつ基準値より高い上限値未満であるとき、 基板搬送ロボットへ基板1が供給されるまで、リニアモータによりXステージ5を駆動して、リニアモータの熱でXステージ5の温度を下限値以上かつ上限値未満に保つ第2の慣らし運転を行うので、自動運転中のXステージ5の温度変化が小さくなり、パターンの焼付けが精度良く行われる。そして、自動運転中に、基板搬送ロボットへ基板1が供給されると、直ちに露光処理が開始される。
【0075】
以上説明した実施の形態によれば、Xステージ5の温度を検出し、自動運転開始時又は自動運転中に、マスクホルダ20にマスク2が保持され、かつチャック10に基板1が搭載されていない状態で、検出したXステージ5の温度が下限値未満であるとき、リニアモータによりXステージ5を駆動して、リニアモータの熱でXステージ5の温度を下限値より高い基準値以上に上げる第1の慣らし運転を行うことにより、自動運転開始前又は自動運転中にXステージ5の温度が下限値未満に下がっても、露光処理中のXステージ5の温度変化を小さくして、パターンの焼付けを精度良く行うことができる。
【0076】
さらに、自動運転中に、マスクホルダ20にマスク2が保持され、かつチャック10に基板1が搭載されていない状態で、検出したXステージ5の温度が下限値以上かつ基準値より高い上限値未満であるとき、基板搬送ロボットへ基板1が供給されるまで、リニアモータによりXステージ5を駆動して、リニアモータの熱でXステージ5の温度を下限値以上かつ上限値未満に保つ第2の慣らし運転を行うことにより、自動運転中のXステージ5の温度変化を小さくして、パターンの焼付けを精度良く行うことができる。そして、自動運転中に、基板搬送ロボットへ基板1が供給されると、直ちに露光処理を開始することができる。
【0077】
さらに、第1の慣らし運転及び第2の慣らし運転の終了時刻と、第1の慣らし運転及び第2の慣らし運転におけるXステージ5の移動回数とを記憶し、自動運転開始時に、マスクホルダ20にマスク2が保持され、かつチャック10に基板1が搭載されていない状態で、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転の終了時刻から所定時間が経過しているとき、または直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転におけるXステージ5の移動回数が所定回数未満であるとき、リニアモータによりXステージ5及びYステージ7を駆動して第1の慣らし運転を行うことにより、Xステージ5の温度変化をさらに小さくして、パターンの焼付けをさらに精度良く行うことができる。
【0078】
なお、以上説明した実施の形態では、Xステージ5の温度を検出する温度センサー50を設け、第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転を行って、Xステージ5の温度を制御していたが、同様にして、Yステージ7の温度を検出する温度センサーを設け、第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転を行って、Yステージ7の温度を制御してもよい。
【0079】
本発明のプロキシミティ露光装置を用いて基板の露光を行い、あるいは、本発明のプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法を用いてステージの温度を制御して、基板の露光を行うことにより、ステージの温度変化を小さくして、パターンの焼付けを精度良く行うことができるので、高品質な表示用パネル基板を製造することができる。
【0080】
例えば、図10は、液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。薄膜形成工程(ステップ101)では、スパッタ法やプラズマ化学気相成長(CVD)法等により、基板上に液晶駆動用の透明電極となる導電体膜や絶縁体膜等の薄膜を形成する。レジスト塗布工程(ステップ102)では、ロール塗布法等により感光樹脂材料(フォトレジスト)を塗布して、薄膜形成工程(ステップ101)で形成した薄膜上にフォトレジスト膜を形成する。露光工程(ステップ103)では、プロキシミティ露光装置や投影露光装置等を用いて、マスクのパターンをフォトレジスト膜に転写する。現像工程(ステップ104)では、シャワー現像法等により現像液をフォトレジスト膜上に供給して、フォトレジスト膜の不要部分を除去する。エッチング工程(ステップ105)では、ウエットエッチングにより、薄膜形成工程(ステップ101)で形成した薄膜の内、フォトレジスト膜でマスクされていない部分を除去する。剥離工程(ステップ106)では、エッチング工程(ステップ105)でのマスクの役目を終えたフォトレジスト膜を、剥離液によって剥離する。これらの各工程の前又は後には、必要に応じて、基板の洗浄/乾燥工程が実施される。これらの工程を数回繰り返して、基板上にTFTアレイが形成される。
【0081】
また、図11は、液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。ブラックマトリクス形成工程(ステップ201)では、レジスト塗布、露光、現像、エッチング、剥離等の処理により、基板上にブラックマトリクスを形成する。着色パターン形成工程(ステップ202)では、染色法、顔料分散法、印刷法、電着法等により、基板上に着色パターンを形成する。この工程を、R、G、Bの着色パターンについて繰り返す。保護膜形成工程(ステップ203)では、着色パターンの上に保護膜を形成し、透明電極膜形成工程(ステップ204)では、保護膜の上に透明電極膜を形成する。これらの各工程の前、途中又は後には、必要に応じて、基板の洗浄/乾燥工程が実施される。
【0082】
図10に示したTFT基板の製造工程では、露光工程(ステップ103)において、図11に示したカラーフィルタ基板の製造工程では、ブラックマトリクス形成工程(ステップ201)及び着色パターン形成工程(ステップ202)の露光処理において、本発明のプロキシミティ露光装置又は本発明のプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法を適用することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 基板
2 マスク
3 ベース
4 Xガイド
5 Xステージ
6 Yガイド
7 Yステージ
8 θステージ
9 チャック支持台
10 チャック
20 マスクホルダ
31,41 固定子
32,42 可動子
33,43 固定子取り付けベース
34 可動子取り付けベース
50 温度センサー
60 駆動回路
70 主制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搭載するチャックと、
マスクを保持するマスクホルダと、
前記チャックを移動するステージと、
前記ステージを駆動するリニアモータとを備えたプロキシミティ露光装置であって、
前記ステージの温度を検出する検出手段と、
前記リニアモータを制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、運転開始時又は運転中に、前記マスクホルダにマスクが保持され、かつ前記チャックに基板が搭載されていない状態で、前記検出手段により検出した前記ステージの温度が下限値未満であるとき、前記リニアモータにより前記ステージを駆動して、前記リニアモータの熱で前記ステージの温度を下限値より高い基準値以上に上げる第1の慣らし運転を行うことを特徴とするプロキシミティ露光装置。
【請求項2】
前記制御手段は、運転中に、前記マスクホルダにマスクが保持され、かつ前記チャックに基板が搭載されていない状態で、前記検出手段により検出した前記ステージの温度が下限値以上かつ基準値より高い上限値未満であるとき、前記チャックに搭載する基板が準備されるまで、前記リニアモータにより前記ステージを駆動して、前記リニアモータの熱で前記ステージの温度を下限値以上かつ上限値未満に保つ第2の慣らし運転を行うことを特徴とする請求項1に記載のプロキシミティ露光装置。
【請求項3】
前記制御手段は、第1の慣らし運転及び第2の慣らし運転の終了時刻と、第1の慣らし運転及び第2の慣らし運転における前記ステージの移動回数とを記憶し、
運転開始時に、前記マスクホルダにマスクが保持され、かつ前記チャックに基板が搭載されていない状態で、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転の終了時刻から所定時間が経過しているとき、または直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転における前記ステージの移動回数が所定回数未満であるとき、前記リニアモータにより前記ステージを駆動して第1の慣らし運転を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプロキシミティ露光装置。
【請求項4】
基板を搭載するチャックと、
マスクを保持するマスクホルダと、
チャックを移動するステージと、
ステージを駆動するリニアモータとを備えたプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法であって、
ステージの温度を検出し、
運転開始時又は運転中に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、検出したステージの温度が下限値未満であるとき、リニアモータによりステージを駆動して、リニアモータの熱でステージの温度を下限値より高い基準値以上に上げる第1の慣らし運転を行うことを特徴とするプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法。
【請求項5】
運転中に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、検出したステージの温度が下限値以上かつ基準値より高い上限値未満であるとき、チャックに搭載する基板が準備されるまで、リニアモータによりステージを駆動して、リニアモータの熱でステージの温度を下限値以上かつ上限値未満に保つ第2の慣らし運転を行うことを特徴とする請求項4に記載のプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法。
【請求項6】
第1の慣らし運転及び第2の慣らし運転の終了時刻と、第1の慣らし運転及び第2の慣らし運転におけるステージの移動回数とを記憶し、
運転開始時に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転の終了時刻から所定時間が経過しているとき、または直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転におけるステージの移動回数が所定回数未満であるとき、リニアモータによりステージを駆動して第1の慣らし運転を行うことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のプロキシミティ露光装置を用いて基板の露光を行うことを特徴とする表示用パネル基板の製造方法。
【請求項8】
請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載のプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法を用いてステージの温度を制御して、基板の露光を行うことを特徴とする表示用パネル基板の製造方法。
【請求項1】
基板を搭載するチャックと、
マスクを保持するマスクホルダと、
前記チャックを移動するステージと、
前記ステージを駆動するリニアモータとを備えたプロキシミティ露光装置であって、
前記ステージの温度を検出する検出手段と、
前記リニアモータを制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、運転開始時又は運転中に、前記マスクホルダにマスクが保持され、かつ前記チャックに基板が搭載されていない状態で、前記検出手段により検出した前記ステージの温度が下限値未満であるとき、前記リニアモータにより前記ステージを駆動して、前記リニアモータの熱で前記ステージの温度を下限値より高い基準値以上に上げる第1の慣らし運転を行うことを特徴とするプロキシミティ露光装置。
【請求項2】
前記制御手段は、運転中に、前記マスクホルダにマスクが保持され、かつ前記チャックに基板が搭載されていない状態で、前記検出手段により検出した前記ステージの温度が下限値以上かつ基準値より高い上限値未満であるとき、前記チャックに搭載する基板が準備されるまで、前記リニアモータにより前記ステージを駆動して、前記リニアモータの熱で前記ステージの温度を下限値以上かつ上限値未満に保つ第2の慣らし運転を行うことを特徴とする請求項1に記載のプロキシミティ露光装置。
【請求項3】
前記制御手段は、第1の慣らし運転及び第2の慣らし運転の終了時刻と、第1の慣らし運転及び第2の慣らし運転における前記ステージの移動回数とを記憶し、
運転開始時に、前記マスクホルダにマスクが保持され、かつ前記チャックに基板が搭載されていない状態で、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転の終了時刻から所定時間が経過しているとき、または直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転における前記ステージの移動回数が所定回数未満であるとき、前記リニアモータにより前記ステージを駆動して第1の慣らし運転を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプロキシミティ露光装置。
【請求項4】
基板を搭載するチャックと、
マスクを保持するマスクホルダと、
チャックを移動するステージと、
ステージを駆動するリニアモータとを備えたプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法であって、
ステージの温度を検出し、
運転開始時又は運転中に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、検出したステージの温度が下限値未満であるとき、リニアモータによりステージを駆動して、リニアモータの熱でステージの温度を下限値より高い基準値以上に上げる第1の慣らし運転を行うことを特徴とするプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法。
【請求項5】
運転中に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、検出したステージの温度が下限値以上かつ基準値より高い上限値未満であるとき、チャックに搭載する基板が準備されるまで、リニアモータによりステージを駆動して、リニアモータの熱でステージの温度を下限値以上かつ上限値未満に保つ第2の慣らし運転を行うことを特徴とする請求項4に記載のプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法。
【請求項6】
第1の慣らし運転及び第2の慣らし運転の終了時刻と、第1の慣らし運転及び第2の慣らし運転におけるステージの移動回数とを記憶し、
運転開始時に、マスクホルダにマスクが保持され、かつチャックに基板が搭載されていない状態で、直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転の終了時刻から所定時間が経過しているとき、または直前の第1の慣らし運転又は第2の慣らし運転におけるステージの移動回数が所定回数未満であるとき、リニアモータによりステージを駆動して第1の慣らし運転を行うことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のプロキシミティ露光装置を用いて基板の露光を行うことを特徴とする表示用パネル基板の製造方法。
【請求項8】
請求項4乃至請求項6のいずれか一項に記載のプロキシミティ露光装置のステージ温度制御方法を用いてステージの温度を制御して、基板の露光を行うことを特徴とする表示用パネル基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−192867(P2011−192867A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58791(P2010−58791)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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