説明

ポリベンゾオキサゾールに基づくスクリーン印刷可能な封入材料

【課題】特に電子部品の保護コーティングを提供するための、組成物およびそのような組成物の使用方法の提供。
【解決手段】ポリベンゾオキサゾールポリマーおよび有機溶媒を含む、プリント配線板中に埋め込まれていてもよい電子部品をコーティングするためのスクリーン印刷可能な組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物、およびそのような組成物の保護コーティングのための使用に関する。1つの実施形態において、該組成物は、電子デバイス構造体、特に、埋め込まれた箔上焼成セラミックコンデンサを、プリント配線板を処理する化学薬品に対する曝露から保護するため、および環境保護のために使用される。
【背景技術】
【0002】
電子回路は、レジスタ、コンデンサ、およびインダクタのようなパッシブ型の電子部品を必要とする。パッシブ型の電子部品に関する最近の傾向は、有機プリント回路板(PCB)中に埋め込まれ、または集積されることである。プリント回路板中にコンデンサを埋め込むことを行うと、低減された回路サイズと改善された回路性能が可能になる。埋め込まれたコンデンサは、しかしながら、高い収率および性能のような他の要件と共に、高い信頼性要件を満たす必要がある。信頼性要件を満たすことは、促進寿命試験に合格することを含む。そのような促進寿命試験の1つは、埋め込まれたコンデンサを含有する回路の、5ボルトバイアス下、相対湿度85%、85℃における1000時間の曝露である。絶縁抵抗の何らかの著しい劣化は、故障を構成する。
【0003】
プリント回路板中に埋め込まれた高容量のセラミックコンデンサは、特に、デカップリング用途のために有用である。高容量のセラミックコンデンサは、「箔上焼成」技術によって形成されてもよい。箔上焼成コンデンサは、Feltenに対する特許文献1に開示されるような厚膜プロセス、またはBorlandらに対する特許文献2に開示されるような薄膜プロセスから形成されてもよい(特許文献1および2参照)。
【0004】
厚膜箔上焼成セラミックコンデンサは、金属箔基板上に厚膜コンデンサ誘電材料層を堆積させ、続いて、厚膜コンデンサ誘電体層を覆って最上部の銅電極材料を堆積させ、および、その後、窒素雰囲気中10分間のピーク期間にわたる900〜950℃のような銅厚膜焼成条件下で焼成することによって形成される。
【0005】
厚膜誘電材料の焼成の間、誘電材料のガラス成分は、軟化し、およびピーク焼成温度に達する前に流動し、融合し、機能性相を封入し、および、最終的に、一体型のセラミック/銅電極フィルムを形成する。
【0006】
箔上焼成コンデンサを含有する箔は、次いで、プリプレグ誘電体層に対して積層され、コンデンサ部品は表を下にして内層を形成し、および金属箔はエッチングされてコンデンサの箔電極および任意の付随回路網を形成してもよい。箔上焼成コンデンサを含有する内層は、慣用的なプリント配線板法によって多層プリント配線板中に直ちに組み込まれてもよい。
【0007】
焼成されたセラミックコンデンサ層は、 いくばくかの孔を含有する可能性があり、粗末な取扱いのために曲げ力に曝されるならば、微小クラックを負う可能性がある。そのような孔および微小クラックは、水分がセラミック構造体を浸透することを可能にし、および、促進寿命試験におけるバイアスおよび温度に曝露された場合に、低い絶縁抵抗および故障をもたらす可能性がある。
【0008】
また、プリント回路板製造プロセスにおいて、箔上焼成コンデンサを含有する箔は、苛性剥離フォトレジスト化学薬品および褐色または黒色酸化物処理に曝露される可能性がある。この処理は、プリプレグに対する銅箔の接着性を改善するために、しばしば使用される。これは、高温の苛性および酸性溶液への銅箔の多重曝露からなる。これらの化学薬品は、コンデンサの誘電ガラスおよびドーパントを攻撃し、および部分的に溶解する可能性がある。そのようなダメージは、しばしば、誘電体上にイオン性の表面堆積物をもたらし、これは、コンデンサが湿度に曝露された場合に低い絶縁抵抗をもたらす。また、そのような劣化は、コンデンサの促進寿命試験に悪影響を与える。
【0009】
また、いったん埋め込まれたならば、封入されたコンデンサは、はんだリフローサイクルまたは焼成サイクルに付随する熱エクスカーションのような下流のプロセス工程の間、その完全性を維持することが重要である。構造物の任意の様々な界面または層自体の中で生じる離層および/または亀裂は、組立品への水分浸透のための道を提供することによって、埋め込まれたコンデンサの完全性を損ない得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,317,023号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0011857号明細書
【特許文献3】米国特許第6,860,000号明細書
【特許文献4】米国特許第7,064,176号明細書
【特許文献5】国際公開第2007/034716号パンフレット
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Journal of Applied Polymer Science, Vol. 102, 3819-3829 (2006)
【非特許文献2】Polymer Preprints, Vol. 35(1), 437-438 (1994)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これらの問題を解決するための取り組みが必要とされる。埋め込まれたパッシブ型の電子部品を改善するための様々な取り組みが行われてきた。埋め込まれたレジスタを補強するために使用される封入材料組成物の例は、Feltenに対する特許文献3に見出すことができる(特許文献3参照)。
【0013】
ポリベンゾオキサゾール(「PBO」)類は、一般的に、水分および気体に対する低い拡散係数、高度の寸法法安定性、高い堅牢性、高いTg、低〜中程度の熱膨張係数、低い水吸収、および良好な接着性を有するので、封入材料としての有用性を有する可能性がある。しかしながら、繊維中におけるポリベンゾオキサゾール類の使用の検討において、問題が確認された。ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール繊維を用いて、P.J.Walsh らは、残留リン酸を抽出するために使用されるモルホリン、ピリジンおよびトリメチルフォスフェートのような弱塩基類および弱酸類の加水分解反応であると確認される問題があることを示した(非特許文献1参照)。オキサゾール環構造の崩壊を導くオキサゾール窒素に関与する加水分解反応が存在する証拠があった。
【0014】
該文献中で可溶性であると主張される、可溶化ジアミン成分2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6F−AP)に基づくPBO類は、L.R.Dennyらによって第22回 International SAMPE Technical Conference(1990年11月6〜8日)において、およびHoutzらによって非特許文献2において説明された(非特許文献2参照)。これらの参照は、高速空軍(Air Force)用途に役立つために必要とされる、空気力学的加熱に対して耐性のある熱可塑性キャノピー材料の探求を説明する。確認されたPBO類は、メタンスルホン酸、硫酸、クロロホルムまたはTHFのような非スクリーン印刷溶媒中で可溶であった。
【0015】
Halikらに対する特許文献4において、PBO類に熱的に転化する可溶性ポリヒドロキシアミド類は、電子パッケージに対してチップを結合させるための接着剤として使用するために調製された(特許文献4参照)。水中に無限に可溶性である溶媒は、ウエハー上にポリマー溶液をスピンコートするために使用された。スクリーン印刷用途のために、示される溶媒の多くは、沸点があまりに低すぎ、および吸水率あまりに高すぎる。示される、より高い沸点の溶媒、NMPおよびγ−ブチロラクトンは、スクリーンエマルション、スキージを攻撃しおよび/または水中に無限に可溶性であり、このことは、これらの溶媒をスクリーン印刷のために使用不可能にする。
【0016】
M.Hasegawaらに対する特許文献5において、スルホン含有PBOは、溶媒中に高い溶解度を有することが説明されているが、しかし、説明される溶媒は、許容できないペーストスクリーン印刷溶媒である(特許文献5参照)。NMPは、掲載された溶媒の1つである。N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、アセトンおよびトルエンのような、掲載された溶媒の多くは、本開示のポリベンゾオキサゾール類の全てを溶解するわけではない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
ポリベンゾオキサゾールポリマーおよび有機溶媒を含む、プリント配線板中に埋め込まれていてもよい電子部品をコートするためのスクリーン印刷可能な組成物を開示する。ポリベンゾオキサゾールポリマーは、式
【0018】
【化1】

【0019】
[式中、mは、ポリベンゾオキサゾール中の繰り返し単位の数であり、およびArは、独立して:
【0020】
【化2】

【0021】
(式中、Rは、H、CH3、C(CH33またはOCH3である);
【0022】
【化3】

【0023】
(式中、Xは、O、SO2、C(CF32、C(CH32、C=O、またはp−C65Oによって結合されたOである);
【0024】
【化4】

【0025】
; および
【0026】
【化5】

【0027】
から選択される。]
で表される繰り返し単位を含む。
【0028】
有機溶媒は、約5℃以下の融点を有し、およびα、β−不飽和シクロアルカノン類;イソプロペニルまたは環外二重結合置換型シクロアルカノン類;α−アセチルシクロアルカノン類;α−アセチルシクロアルケン類;ブテノン置換型シクロアルケン類;五を超える員環のラクタム類;二環式ケトン類;およびそれらの混合物の群から選択される。
【0029】
また、本発明は、プリント配線板またはICパッケージ基板に埋め込まれていてもよい電子部品を封入する方法を対象とする。方法は、ポリベンゾオキサゾールおよび有機溶媒を含む組成物で電子部品をスクリーン印刷する工程と、印刷された電子部品を約300℃未満の温度で焼成することによって有機溶媒を除去して、電子部品上にポリベンゾオキサゾール封入材料を形成する工程とを含む。好ましいポリベンゾオキサゾール類および有機溶媒は、上記段落において説明される。
【0030】
本発明の組成物は、プリント配線板に埋め込まれていてもよい箔上焼成セラミックコンデンサに対して、および同様に他の電子部品に対して、封入材料として適用することができる。本発明の組成物は、無機の電気絶縁性充填材類、消泡剤類および着色剤類を含んでいてもよい。
【0031】
プリント配線板またはICパッケージ基板中に埋め込まれてよい電子部品を封入する開示された方法に従って、ポリベンゾオキサゾールは、封入材料フィルム吸水率試験(ASTM D−570)に準じて2%以下、好ましくは1%以下の吸水率(ポリベンゾオキサゾールの重量に基づく)、および約260℃を超えるTgを有する。開示された別の方法において、ポリベンゾオキサゾールおよび有機溶媒を含む組成物は、以下のうちの1つまたは複数をさらに含む:電気絶縁型充填材、消泡剤および着色剤。開示された方法は、プリプレグを使用するプリント配線板中に、封入されたコンデンサを埋め込む付加的な工程を含んでいてもよく、および、ここで、コンデンサに対するポリベンゾオキサゾール封入材料の接着性およびプリプレグに対するポリベンゾオキサゾール封入材料の接着性は、IPC−TM−650接着性試験No.2.4.9に準じて測定した際に、共に2ポンド力/インチよりも大きい。開示された1つの実施形態では、印刷された箔上焼成セラミックコンデンサを焼成することによって有機溶媒を除去する工程において、焼成温度は、常に250℃未満、および好ましくは、常に200℃未満である。
【0032】
また、上述の方法に従って製造された電子部品が開示され、ここで、電子部品は、プリプレグを使用するプリント配線板中に埋め込まれた箔上焼成セラミックコンデンサである。好ましくは、埋め込まれた箔上焼成コンデンサは、260℃での5回連続はんだフロートの対象とされた場合に、プリプレグから離層しない。開示されたコンデンサに関して、85℃で相対湿度85%および5ボルトDCバイアスを用いて温湿度バイアス試験を行った場合に、コンデンサの絶縁抵抗は、1000時間後に依然として10メガオームより大きいままである。電子部品が箔上焼成セラミックコンデンサである場合には、コンデンサを30%硫酸溶液中に6分間にわたって浸漬する場合に、該硫酸溶液は、好ましくは、ポリベンゾオキサゾール封入材料を浸透しない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1(A)から(G)は、複合封入材料組成物によって被覆され、および複合封入材料の選択された化学薬品への耐性を測定するための試験媒体として使用される、市販の96%アルミナ基板上のコンデンサの調製を示す図である。
【図2】図2(A)から(E)は、封入材料によって被覆された銅箔基板上のコンデンサの調製を示す図であり、図2(F)は、図2(E)の構造の平面図を示す図であり、図2(G)は、樹脂への積層後の図2(F)の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
定義
以下の定義は、本明細書中において、開示をさらに定義しおよび説明するために使用される。
【0035】
本明細書中において使用されおよび特許請求の範囲において記載される際に、単数形で示される用語は、「少なくとも1つ」または「1または1を超える」の概念を含む。
【0036】
本明細書中において使用される「成分」は、組成物中の構成要素を指し、一方、「電子部品」は、コンデンサのような電子デバイスを指す。
【0037】
本明細書中において使用される際に、「コーティング」は、電子部品上に適用され、および加熱により乾燥されて溶媒が除去された組成物を指す。
【0038】
「プリプレグ」は、ホットプレス積層の間に、封入されたコンデンサをプリント配線板に対して接着するガラスエポキシまたはビスマレイミドトリアゾール樹脂組成物である。
【0039】
本明細書中における「埋め込まれた」は、プリント配線板中への電子部品の積層を指す。
【0040】
「消泡剤」は、封入材料ペーストをスクリーン印刷する間の気泡形成を抑制する材料である。
【0041】
本明細書中における「強化された(consolidated)」は、スクリーン印刷されたペーストから溶媒を除去した後に得られるコーティングを指す。
【0042】
試験方法
開示の組成物、実施例および比較例のための試験において使用される手順は、次のように規定される:
【0043】
コンデンサの絶縁抵抗を、ヒューレットパッカード社の高抵抗計測器を使用して測定し、およびGオームで報告する。
【0044】
剥離強度を、IPC−TM−650の方法2.4.9、改訂AまたはBの手順に準じて測定し、およびポンド/リニア・インチ(すなわちPLI)で報告する。
【0045】
静電容量および損失(散逸因子)を、ヒューレットパッカード社の4262A LCR計測器を用いて測定した。試験信号を、10kHzに設定した。
【0046】
温湿度バイアス(THB)試験。プリント配線板中に埋め込まれたセラミックコンデンサのTHB試験は、環境チャンバー内にプリント配線板を配置し、およびコンデンサを85℃、相対湿度85%および5ボルトDC バイアスに1000時間にわたって曝露することを伴う。コンデンサの絶縁抵抗を、定期的に監視する。キャパシタの故障を、絶縁抵抗が10メガオーム未満を示すコンデンサとして定義する。
【0047】
褐色酸化物試験。コンデンサを、以下の一連の工程において、Mac Dermid (コネティカット州、ウォーターベリーのMac Dermid Incorporated)褐色酸化物処理に曝露する:(1)4〜8%H2SO4溶液中60秒間浸漬(40℃)、(2)DI水中120秒間浸漬(室温)、(3)5〜10%のアミンを含む3〜4%NaOH溶液中240秒間浸漬(60℃)、(4)DI水中120秒間浸漬(室温)、(5)添加剤を含む20ml/lのH22およびH2SO4酸溶液中120秒間浸漬(40℃)、(6)1リットルのDI水中に希釈された280mlのMac DermidパートA化学薬品溶液に、1リットルのDI水中に希釈された40mlのMac DermidパートB化学薬品溶液を加えて混合することにより作製された溶液中120秒間浸漬(40℃)、および(7)480秒間にわたる脱イオン水浸漬(室温)。コンデンサの絶縁抵抗を、次いで、曝露工程後に測定する。故障を、絶縁抵抗で10メガオーム未満を示すコンデンサとして定義する。
【0048】
封入材料フィルムの水分吸収を、ASTM D570に準じて測定し、ここで、ポリベンゾオキサゾール溶液を、1オンスの銅箔基板上に20ミルのドクターナイフでコートする。湿潤コーティングを、120℃で約10分間にわたって強制ドラフト炉内で乾燥し、2ミル厚のポリベンゾオキサゾールフィルムを得る。試験方法によって指定されるような5ミル超の厚さを得るために、さらに2つの層を、乾燥されたポリベンゾオキサゾールフィルムの上面にコートし、第2および第3コートをする間に、120℃で10分間にわたって強制ドラフト炉内で乾燥する。3層コーティングを、190℃で1時間にわたって強制ドラフト炉内で乾燥する。このように形成されたポリベンゾオキサゾールフィルムを、商業的に入手可能な酸エッチング技術を用いて銅をエッチングすることにより、銅基板から除去する。1インチ×3インチの寸法の試料を自立型フィルムから切断し、120℃で1時間にわたって乾燥する。切片を重量測定し、および脱イオン水中に24時間にわたって浸漬する。試料を拭き取り乾燥し、および重量測定して重量増加を決定し、吸水率(%)を計算できるようにした。また、より大きなフィルム試料を、85℃/85%RHチャンバー中に48時間にわたって配置して、これらの条件下での試料の水吸収を測定した。
【0049】
用語解説
以下の開示、実施例および比較例において、次の略語を使用する:
【0050】
【表1】

【0051】
本明細書中に説明される組成物は、ポリベンゾオキサゾール封入材料物質を電子部品上に直接スクリーン印刷することを可能にする、予期せぬ新規な優れた封入材料組成物を提供する。また、優れた特性を有する優れた封入材料および封入された電子部品を説明する。
【0052】
ポリベンゾオキサゾール類を厚膜処方中に組み入れることは、ほとんど研究されていない。封入材料用途に関して特に興味深いのは、可溶化CF3官能基を有するジアミンモノマーを利用することである。
【0053】
本開示は、(1)1つまたは複数の可溶性ポリベンゾオキサゾールおよび(2) 選択された有機溶媒を含む厚膜封入材料組成物を提供する。
【0054】
1つまたは複数のポリベンゾオキサゾール封入材料でコートされ、熱乾燥され、およびプリント配線板中に埋め込まれる箔上焼成セラミックコンデンサを開示する。封入材料の適用と加工は、プリント配線板および集積回路(IC)パッケージプロセスと両立可能であるように企図される。また、PBO封入材料は、箔上焼成コンデンサに対して、プリント配線板および集積回路(IC)パッケージ中に埋め込まれる前および埋め込まれた後の水分、プリント配線板製造化学薬品からの保護を提供し、およびコンデンサ素子および有機成分の相対的な熱膨張係数において局在する差異によって生み出される機械的応力を、離層することなしに調整する。箔上焼成セラミックコンデンサに対する封入材料組成物の適用は、プリント配線板の内部に埋め込まれたコンデンサが、85℃、相対湿度85%、5ボルトのDCバイアス下で行われる1000時間の促進寿命試験に合格することを可能にする。
【0055】
可溶性ポリベンゾオキサゾールまたはポリベンゾオキサゾール類の混合物、選択された有機溶媒またはそのような溶媒の混合物、および任意選択的に、無機の電気絶縁性充填材、消泡剤および/または着色剤染料のうちの1つまたは複数を含む封入材料組成物が開示される。
【0056】
また、ポリベンゾオキサゾール類を使用することにより、多くの安定な封入材料が得られることが見出されており、また、これは、2%以下、好ましくは1.5%以下、より好ましくは1%以下の低い水分吸収を有する。1%以下の吸水率を有する組成物中で使用されるポリベンゾオキサゾール類は、好ましい保護特性を備える強化された物質を提供する傾向がある。吸水の量を、当業者に知られている方法であるASTM D−570によって測定した。
【0057】
ポリベンゾオキサゾール類
一般的に、本開示のポリベンゾオキサゾール成分は、式:
【0058】
【化6】

【0059】
[式中、mは、ポリベンゾオキサゾール中の繰り返し単位の数であり、およびArは、独立して:
【0060】
【化7】

【0061】
(式中、Rは、H、CH3、C(CH33またはOCH3である。);
【0062】
【化8】

【0063】
(式中、Xは、O、SO2、C(CF32、C(CH32、C=O、またはp−C65Oによって結合されるOである。);
【0064】
【化9】

【0065】
; および
【0066】
【化10】

【0067】
から選択される。]
で表されることができる。
【0068】
典型的には、ポリベンゾオキサゾール類中の繰り返し単位の数mは、10から500の範囲内であり、およびより典型的には、20から400の範囲内である。
【0069】
本開示のポリベンゾオキサゾール類は、選択されたスクリーン印刷用の溶媒中に可溶性であるように選択される。溶媒は、約5以下の融点を有し、およびα,β−不飽和シクロアルカノン類;イソプロペニルまたは環外二重結合置換型シクロアルカノン類;α−アセチルシクロアルカノン類;α−アセチルシクロアルケン類;ブテノン置換型シクロアルケン類;五を超える員環のラクタム類;二環式ケトン類;およびそれらの混合物からなる群から選択される。これらの溶媒は、以下の式によって表される。
【0070】
(1)α,β−不飽和シクロアルケンオン類
【0071】
【化11】

【0072】
式中、R1、R2、R3およびR5は、それぞれ独立に、HまたはCH3であり;R4は、H、CH3またはCH(CH3)=CH2であり;またはR3およびR6は、内部四員環を形成するメチレン基を共に形成する。
【0073】
(2)イソプロペニルまたは環外二重結合置換型シクロアルカノン類
【0074】
【化12】

【0075】
式中、R7はHであり;R8およびR9は、それぞれ独立にHまたはCH3であり(または、R7およびR8は、=C(CH32を共に形成し);R10はHであり;R11はHまたはCH(CH3)=CH2であり;R12はHまたはCH3である。
【0076】
(3)α−アセチルシクロアルケン類
【0077】
【化13】

【0078】
式中、aは0(一重C−C結合)または1であり;bは0または1であり;R13およびR14は、それぞれ独立に、HまたはCH3であり;およびR15はHまたはCH3である。
【0079】
(4)α−アセチルシクロアルカノン類
【0080】
【化14】

【0081】
式中、cは0(一重C−C結合)または1である。
【0082】
(5)ラクタム類
【0083】
【化15】

【0084】
式中、dは1または2であり;R16およびR18は、それぞれ独立に、HまたはCH3であり;およびR17はCH3である。
【0085】
(6)ビシクロケトン類、特に、フェンコン
【0086】
ポリベンゾオキサゾール類は、許容可能なスクリーン印刷溶媒中の限定された溶解度特性のために、スクリーン印刷可能な厚膜組成物中に容易に処方されない。いくつかのポリベンゾオキサゾール類は、メタンスルホン酸、硫酸、クロロホルム、THFおよびメタクレゾール中に可溶性であることが知られている一方で、拡張されたアルコール類、エーテル類およびアセテート類のような伝統的なスクリーン印刷用溶媒ファミリー中のそれらの溶解度は、充分に研究されていない。さらに、これらのポリベンゾオキサゾール類を溶解することが知られている溶媒は、許容可能なスクリーン印刷用溶媒ではなく、したがって、ポリベンゾオキサゾール類は、一般的に、厚膜ペースト処方の潜在的な候補として見なされていない。ポリベンゾオキサゾールは、スクリーン印刷の操業の間に1時間以上にわたってスクリーン上の溶液中に残存しなければならないので、典型的には190℃超の沸点を必要とし、クロロホルムおよびTHFは、スクリーン印刷用に許容できない低沸点の溶媒である。メタンスルホン酸は、あまりに高沸点過ぎて、電子部品への適用のために許容できない腐食性溶媒である。メタクレゾール(ポリベンゾオキサゾール類に関する文献に示される別の溶媒)は、正しい範囲内の沸点を有するが、しかし高度に毒性であり、および悪臭を放つ。したがって、スクリーン印刷は、しばしばクリーンルーム中の開放環境内で行われるので、これは許容できないスクリーン印刷溶媒であろう。
【0087】
本開示のポリベンゾオキサゾール類は、適当な二酸(または適当な二酸の混合物)を1つまたは複数の選択されたジアミンと反応させることによって調製される。二酸成分のジアミン成分に対するモル比は、好ましくは、0.9から1.1の間である。好ましくは、わずかにモル過剰の、安息香酸またはアニリンのようなエンドキャップ剤を、ポリベンゾオキサゾールの鎖長を制御するために、およびポリベンゾオキサゾール中にアミンまたはカルボン酸の終端の末端基が存在しないことを保証するために、添加することができる。
【0088】
本開示の実施において有用な二酸は、イソフタル酸、5−t−ブチルイソフタル酸、4,4’−オキシビス(安息香酸)、3,4’−オキシビス(安息香酸)、2,2−ビス(4−安息香酸)ヘキサフルオロプロパン、1,1,3−トリメチル−5−カルボキシ−3(p−カルボキシフェニル)インダン、4,4’−スルホニルジ安息香酸、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ビスカルボキシビフェニル、(4,4’−p−フェニレンジオキシ)ジ安息香酸、4,4’−メタン−ビス(安息香酸)、および2,2−ビス(4−安息香酸)プロパンである。最適なo−ヒドロキシフェニルジアミンは、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ)ヘキサフルオロプロパン(6F−AP)である。可溶性がより小さいヒドロキシジアミンである3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニルを、本開示の所望の選択されたスクリーン印刷用溶媒中のポリベンゾオキサゾールの溶解度によって決定される比で6F−APと組み合わせて使用することができる。
【0089】
あるいはまた、対応する二酸塩化物を使用して、周囲温度以下の温度(sub-ambient temperature)で、適当な溶媒中、および酸受容体の存在下で、o−ヒドロキシフェニルジアミンとの反応によって、ポリ(o−ヒドロキシアミド)を調製することができる。ポリ(o−ヒドロキシアミド)中間体を、次いで、化学的または熱的に脱水環化(cyclodehydrate)して、対応する可溶性ポリベンゾオキサゾールを生成することができる。
【0090】
厚膜組成物は、本開示の選択された有機溶媒を含有する。スクリーン印刷可能な組成物は、スクリーン印刷において使用するために充分に粘性であり、したがって、スクリーン印刷可能なペーストと呼ぶことができる。溶媒または溶媒の混合物の選択は、組成物中に使用されるポリベンゾオキサゾールにある程度依存する。溶媒または溶媒混合物は、特定のポリベンゾオキサゾールを溶解しなければならない。本開示の様々なポリベンゾオキサゾール類は、本開示の選択された溶媒中で様々な溶解度を有する。封入材料ペーストは、1時間以上にわたって周囲空気に接触する可能性があるので、溶媒は、水分吸収に対する高親和性を有するべきではない。 もし過剰の水が封入材料ペースト中に吸収されたならば、ポリベンゾオキサゾールは、溶解度が緩和され、スクリーンまたはステンシルをブロックさせる原因となり得る。本開示のポリベンゾオキサゾール類は、一般的なスクリーン印刷溶媒中に可溶性でないと認められた。最も一般的なスクリーン印刷溶媒は非環式であるが、しかし、ポリベンゾオキサゾール類を溶解する非環式溶媒は認められなかった。脂環式または環式とも呼ばれる構造を有するスクリーン印刷溶媒、テルピネオールは、ポリベンゾオキサゾール類を溶解しないことが認められた。本開示の実施に従って有用であることが認められた、本開示の環式の選択された溶媒のいくつかのクラスは、α,β−不飽和シクロアルカノン類、イソプロペニル置換型シクロアルカノン類、α−アセチルシクロアルカノン類、α−アセチルシクロアルケン類、ブテノン置換型シクロアルケン類、五を超える員環のラクタム類および二環式ケトン類の範疇に入る。
【0091】
参考文献は、一般化された式のいくつかのポリベンゾオキサゾール構造が、クロロホルムまたはテトラヒドロフラン(THF)のような有機液体中に可溶性であることを示した。190℃から260℃のより高い温度範囲に沸点を有し、およびクロロホルムおよびTHFの溶解度パラメーターと比較した際に約2.5と4との間のハンソン水素結合溶解度パラメーターを有する非環式およびいくつかの環式の溶媒は、ポリベンゾオキサゾール類を溶解しない。ポリベンゾオキサゾールは、7.0前後の高い水素結合溶解度パラメーターを有するメタクレゾール中に溶解するが、しかし、一般的に4.0を超える水素結合溶解度パラメーターを有する一般のスクリーン印刷溶媒のいずれにも溶解しない。これらの結果の結果として、溶解度パラメーターは、本開示のポリベンゾオキサゾール類に対する使用可能なスクリーン印刷溶媒を予測するのに有効でないことが認められた。
【0092】
代わりに、本開示の特別な選択されたクラスの溶媒は、ポリベンゾオキサゾール類を溶解して、スクリーン印刷可能なペーストを調製するために必要とされることが認められた。選択された溶媒の構造のわずかな変更は、変更された、ポリベンゾオキサゾール類を溶解することができる溶媒に、大きな影響を及ぼすことが認められた。1つの例は、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン (イソホロン)であり、これはポリベンゾオキサゾール類に対して有効な溶媒であるが、しかし、非常に似た構造の3,5,5−トリメチルシクロへキサノン(これは、シクロへキサノン環中に二重結合を有さない同一の構造である)は、ポリベンゾオキサゾール類を溶解しない。別の驚くべき結果は、置換型テトラヒドロフラン(THF)であるテトラヒドロフルフラールアセテートは、ポリベンゾオキサゾール類を溶解しないということである。本開示におけるいくつかの比較例は、これら予期せぬ結果を例示する。ポリベンゾオキサゾール類を溶解しないことが認められた環式構造を有する他の溶媒は、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、テルピネオール、ジペンテン、プロピレンカーボネートおよびフルフラールアセテートである。これら溶媒のいずれもが本開示のポリベンゾオキサゾール類を溶解しないことは驚くべきことであったが、しかしこれは本開示の選択された溶媒の構造の重要性を実証する。
【0093】
スクリーン印刷の用途のために選択された溶媒は、以下の数値のうちの任意の2つの間(両端を含む)に及ぶ通常の沸点を有する:190、200、210、220、230、240、250および260。本開示の1つの実施形態において、有用な溶媒は、(R)−5−イソプロペニル−2−メチル−2−シクロへキセノンであるカルボンである。ポリベンゾオキサゾールが可溶性のままであり、スクリーン印刷における性能が悪影響を受けず、および寿命保管(lifetime storage)もまた悪影響を受けないという条件で、共溶媒を添加してもいい。
【0094】
本開示のポリベンゾオキサゾール類がその中で可溶性でない一般のスクリーン印刷用の溶媒の例は:テキサノール、Dowanol PPh(プロピレングリコールフェニルエーテル)、Dowanol Eph(エチレングリコールフェニルエーテル)、DBE溶媒、ブチルセロソルブアセテート、カルビトール、ヘキシルカルビトール、ブチルカルビトール、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ジブチルカルビトール、ジプロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテルである。これらは全て、非環式構造の溶媒である。環式であり、およびポリベンゾオキサゾール類がその中で可溶性でない、一般のスクリーン印刷溶媒は、テルピネオールである。
【0095】
本開示のポリベンゾオキサゾール類は、芳香族の二酸および芳香族ジアミンから調製されるので、フェニル置換型(芳香族置換型とも呼ばれる)の溶媒は、ポリベンゾオキサゾール類を溶解すると思われた。しかしながら、認められたものはなかった。これらフェニル置換型溶媒の例は、アセトフェノン、フェノキシ−2−プロパノン、4−フェニル−2−ブタノンおよび1−フェノキシ−2−プロパノールである。酸化型のDowanol(登録商標)PPh、フェノキシ−2−プロパノンが、ポリベンゾオキサゾール類を溶解しないということは、驚くべきことである。なぜならば、Dowanol(登録商標)PPhは、本開示のポリベンゾオキサゾール類に対するポリ(o−ヒドロキシアミド)前駆体類のための良好なスクリーン印刷溶媒であると認められているからであり、および本開示のいくつかのケトン溶媒は、有用な溶媒であると認められているからである。
【0096】
本明細書中に記載される選択された溶媒中のポリベンゾオキサゾールの溶液は、高湿度に対して安定でなければならない。さもなければ、ポリマーは、沈降または溶液からオイルアウト(これは、粘性ポリマー層の上部に形成する低粘度の溶媒層の説明である)する可能性があるからである。ポリベンゾオキサゾールが、高い%RH条件での印刷の間に、スクリーン上と同時に溶液中に残存することが重要である。本開示の選択された溶媒は高湿度条件においてポリベンゾオキサゾール類が溶媒から分離することを可能にしないということを実証するための試験が必要であった。安定性の良好な評価を与えた試験手順は、少量のポリベンゾオキサゾール溶液を、室温の水を含有する閉鎖されたガラス容器中に配置することを含んだ。NMP中に溶解されたポリベンゾオキサゾールは、この試験でのわずか1時間後にオイルアウトした。本開示のほとんどの選択された溶媒中のポリベンゾオキサゾール溶液は、高%RHの存在下で、少なくとも24時間にわたって、および大抵は1週間を超える期間にわたって安定であった。しかしながら、溶液はわずかに濁り、ポリベンゾオキサゾール類は、感知しうるほどに溶液の粘度が変化することなく、および溶媒層の上部の分離を有さずに、溶液中に留まった。本開示の様々な選択された溶媒の性能には差があった。ラクタム溶媒中のポリベンゾオキサゾールの溶液は、NMPを除き、最大1時間の安定性を必要とする可能性のあるスクリーン印刷の操業に充分な時間にわたって、安定であった。1,3−ジメチル−2−ピペリドンおよび1,5−ジメチル−2−ピペリドン中のポリベンゾオキサゾールの溶液は、高い%RHに対して、ポリマーのわずかなオイルアウトが生じるまで最大3時間にわたって安定であった。N−メチルカプロラクタム中のポリベンゾオキサゾールの溶液は、高い%RHに対して、ポリマーがオイルアウトし始めるまで2日間にわたって安定であった。
【0097】
一般的に、充填材を含有する厚膜組成物を、混合し、および次いで三本ロールミル上でブレンドする。ペーストを、典型的には、適当な分散が達成されるまで、3パス以上にわたって逓増的なレベルの圧力でロールミル処理する。ロールミル処理後、印刷粘度要件に合わせて、溶媒を添加することによって、ペーストを処方してもよい。スクリーン印刷の間の気泡形成を低減させるために、必要に応じて消泡剤を添加してもよい。着色剤を添加して、ペーストに所望の色を付与してもよい。
【0098】
ペーストまたは液体組成物の乾燥を、対流加熱、強制空気対流加熱、気相凝縮加熱、伝導加熱、赤外線加熱、誘電加熱または当業者に知られている他の技術を含むあらゆる種類の標準的な乾燥方法によって成し遂げることができる。本明細書に記載される組成物の顕著な利益は、これらの組成物を、300℃未満の温度で、および250℃未満または200℃未満の焼成温度でさえも、乾燥することができることである。ポリマーはポリベンゾオキサゾール構造へ既に完全に転化されているので、ポリ(o−ヒドロキシアミド)と同様に、350℃を超える高い温度は、必要とされない。
【実施例】
【0099】
実施例1:ポリベンゾオキサゾール1(PBO−1)の調製
機械的攪拌機および窒素注入口を備える乾燥した3首丸底フラスコ中に、12.9119グラムの4,4’−オキシビス(安息香酸)、18.3112グラムの6F−AP、196グラムの1,2−ジクロロベンゼンおよび120.25グラムのトリメチルシリルポリフォスフェート(PPSE)を添加した。反応混合物を、攪拌し、および油浴を用いてじょじょに135℃まで加熱し、および該温度で24時間にわたって保持した。粘性混合物を、165℃までゆっくりと加熱し、この温度で15時間にわたって保持し、および次いで、室温まで冷却した。生成物を、空気駆動式のワーリングブレンダー(Waring blender)を用いてメタノール中で沈降させ、濾過し、さらに2回再ブレンドし、続いて濾過し、これらの処理工程のために総計5リットルのメタノールを使用した。固体を、水酸化アンモニウム溶液を用いて48時間にわたってソックスレー抽出し、任意の酸性不純物を除去し、DI水を用いてシンブルから洗い出し、および濾過した。固体をDI水中に再縣濁させ、および濾過し、およびDI水を用いて濾液が中性になるまで洗浄した。濾過された固体を、140℃で16時間にわたって真空炉乾燥し、23.4グラムの、40,300のMnおよび151,000のMwを有するポリベンゾオキサゾールを得た。
【0100】
実施例2:ポリベンゾオキサゾール2(PBO−2)の調製
15.0014グラムの4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビス(安息香酸)、14.0450グラムの6F−AP、150グラムの1,2−ジクロロベンゼンおよび91.67グラムのトリメチルシリルポリフォスフェートを用い、実施例1の手順に従った。反応混合物を、実施例1におけるように攪拌および加熱し、および水酸化アンモニウム溶液中での夜通しのソックスレー抽出を用いて同じ方法で処理して、洗浄および18時間にわたる140℃での真空炉乾燥後に、20.47グラムの、29,600のMnおよび85,800のMwを有するポリベンゾオキサゾールを得た。
【0101】
実施例3:ポリベンゾオキサゾール3(PBO−3)の調製
5.0134グラムの1,1,3−トリメチル−5−カルボキシ−3−(p−カルボキシフェニル)インダン、5.6606の6F−AP、60グラムの1,2−ジクロロベンゼンおよび37.07グラムのトリメチルシリルポリフォスフェートを用い、実施例1の手順に従った。反応混合物を、実施例1におけるように攪拌および加熱し、および実施例1におけるのと同じ方法で処理した。ソックスレー抽出の代わりに、固体生成物を、15%の水酸化アンモニウム水溶液中で、80℃で2時間にわたって攪拌し、濾過し、および濾液が中性になるまでDI水で固体を洗浄した。濾過された固体を、18時間にわたって140℃で真空炉乾燥して、7.8グラムの、24,500のMnおよび98,700のMwのポリベンゾオキサゾールを得た。
【0102】
実施例4:ポリベンゾオキサゾール4(PBO−4)の調製
5.000グラムの5−t−ブチルイソフタル酸、8.241グラムの6F−AP、97グラムの1,2−ジクロロベンゼンおよび54.08グラムのトリメチルシリルポリフォスフェートを用いて、実施例1の手順に従った。反応混合物を、実施例1におけるように攪拌および加熱し、および実施例1におけるのと同じ方法で処理した。ソックスレー抽出の代わりに、固体生成物を、50/50のDI水/水酸化アンモニウム溶液中で、80℃で2時間にわたって攪拌し、濾過し、および濾液が中性になるまでDI水で固体を洗浄した。濾過された固体を、18時間にわたって145℃で真空炉乾燥し、8.0グラムの、16,200および198,800のMnおよび206,300および418,000のMwを有する二山分布のポリベンゾオキサゾールを得た。
【0103】
実施例5:ポリベンゾオキサゾール5(PBO−5)の調製
3.737グラムのイソフタル酸、8.2402グラムの6F−AP、88グラムの1,2−ジクロロベンゼンおよび54.13グラムのトリメチルシリルポリフォスフェートを用いて、実施例1の手順に従った。反応混合物を、実施例1におけるように攪拌および加熱した。ほとんど固体の塊が得られ、これを、メタノールとのブレンドに先立つ処理手順において小片に切断したが、しかしその他の点では、実施例1におけるのと同じ方法で処理した。ソックスレー抽出の代わりに、固体生成物を、2時間にわたる環流で水酸化アンモニウム溶液中に攪拌し、濾過し、および濾液が中性になるまでDI水で固体を洗浄した。濾過された固体を、18時間にわたって140から150℃で真空炉乾燥して、9.6グラムの、10,900のMnおよび65,700のMwのポリベンゾオキサゾールを得た。
【0104】
実施例6:ポリベンゾオキサゾール6(PBO−6)の調製
6.128グラムの4,4’−スルホニルジ安息香酸、7.324グラムの6F−AP、98グラムの1,2−ジクロロベンゼンおよび48.09グラムのトリメチルシリルポリフォスフェートを用いて、実施例1の手順に従った。反応混合物を、実施例1におけるように攪拌および加熱し、および実施例1におけるのと同じ方法で処理した。ソックスレー抽出の代わりに、固体生成物を、50/50のDI水/水酸化アンモニウム溶液中で、80℃で2時間にわたって攪拌し、濾過し、および濾液が中性になるまでDI水で固体を洗浄した。濾過された固体を、18時間にわたって145℃で真空炉乾燥して、9.8グラムの、14,800のMnおよび40,700のMwのポリベンゾオキサゾールを得た。
【0105】
実施例7:ポリベンゾオキサゾール1のペーストの製造
カルボン中の実施例1のポリベンゾオキサゾールの固体20%の溶液を、80℃で5時間にわたって機械的に攪拌することによって調製した。溶液を、加圧し、0.2ミクロンのフィルターを通して濾過した。
【0106】
実施例8:封入されたセラミックコンデンサの調製、封入材料の化学的安定性の分析
市販の96%アルミナ基板上の20個の個別の単一化(singulate)されたコンデンサを、封入材料組成物によって被覆し、および封入材料の選択された化学薬品への耐性を測定するために試験した。コンデンサを、図1(A)から(G)に概略的に例示されるような以下の方法で調製した。
【0107】
図1(A)に示されるように、銅粉末、ガラスフリット、エチルセルロースポリマー結合剤、溶媒および界面活性剤(EP320、本願出願人から入手可能)からなる電極材料ペーストを、アルミナ基板110上にスクリーン印刷して、電極パターン120を形成した。図1(B)に示されるように、電極の区域は、0.3インチ×0.3インチであり、および、後の段階での電極への接続を可能にするための、突出する「フィンガー」を含有した。電極パターンを、120℃で10分間にわたって乾燥し、および930℃で銅厚膜の窒素雰囲気の焼成条件下で焼成した。
【0108】
図1(C)に示されるように、チタン酸バリウム粉末、ガラスフリット、エチルセルロースポリマー結合剤、溶媒、加工助剤および界面活性剤(EP312、本願出願人から入手可能)を含有する誘電材料を、電極上にスクリーン印刷して、誘電体層130を形成した。誘電体層の区域は、およそ0.33インチ×0.33インチであり、および、突出するフィンガーを除き、電極の全体を被覆していた。第1誘電体層を、120℃で10分間にわたって乾燥した。また、次いで第2誘電体層を適用し、および同じ条件を用いて乾燥した。誘電体パターンの平面図を、図1(D)に示す。
【0109】
図1(E)に示されるように、銅粉末、ガラスフリット、エチルセルロースポリマー結合剤、溶媒および界面活性剤(EP320、本願出願人から入手可能)からなる電極材料ペーストを、第2誘電体層上にスクリーン印刷して、電極パターン140を形成した。電極は、0.3インチ×0.3インチであり、しかし、アルミナ基板上に広がる突出するフィンガーを含んでいた。銅ペーストを、120℃で10分間にわたって乾燥した。
【0110】
次いで、第1誘電体層、第2誘電体層、および銅ペースト電極を、930℃で銅厚膜の焼成条件下で共焼成した。
【0111】
実施例7の封入材料組成物を、図1(F)に示されるパターンを用いて、2つのフィンガーを除いてコンデンサの電極および誘電体の全体にわたって、180メッシュのスクリーンを通してスクリーン印刷して、0.4インチ×0.4インチの封入材料層を形成した。封入材料層を、10分間にわたって120℃で乾燥した。別の封入材料の層を、実施例7において調製された処方を用いて180メッシュのスクリーンを通して直接的に第1封入材料層上に印刷し、および10分間にわたって120℃で乾燥した。最終的なスタックの側面図を、図1(G)に示す。次いで、封入材料150を、窒素下、強制ドラフト炉内で、190℃で30分間にわたって焼成した。封入材料150の最終的な厚さは、およそ10ミクロンであった。
【0112】
封入後、20個のコンデンサの平均静電容量は、63.3nF/cm2であり、平均損失因子は、2.1%であり、平均絶縁抵抗は、3.9Gオームであった。次いで、コンデンサを、前述の褐色酸化物試験の対象とした。褐色酸化物試験処理の後、20個のコンデンサの平均静電容量、損失因子および絶縁抵抗は、それぞれ、65.3nF/cm2、2.0%および3.7Gオームであった。封入されていないクーポンは、褐色酸化物試験の曝露に耐え抜けなかった。
【0113】
褐色酸化物試験の対象とされた20個の封入されたコンデンサを、次に、上記の温湿度バイアス試験に従って試験した。20個のコンデンサを、5VのDCバイアスの対象とし、および85℃/85%RHの炉内に1000時間にわたって配置し、その時間の後、静電容量、損失および絶縁抵抗を再度測定した。20個のコンデンサは、1000時間のTHB試験を耐え抜いた。20個のコンデンサの平均静電容量、損失因子および絶縁抵抗は、それぞれ、62.0nF/cm2、2.2%および1.2Gオームであった。試験した20個のコンデンサのうち2個は、10メガオーム未満の絶縁抵抗値を示した。
【0114】
実施例9:封入された箔上焼成コンデンサの調製、接着強度および離層傾向を測定するためのプリプレグおよびコアとの積層
以下のプロセスに従って、試験構造体として使用するために、箔上焼成コンデンサを製造した。図2(A)に示されるように、1オンスの銅箔210を、銅粉末、ガラスフリット、エチルセルロースポリマー結合剤、溶媒および界面活性剤(EP320、本願出願人から入手可能)からなるペーストを箔のプレプリントとしてスクリーン印刷することによって前処理して、パターン215を形成した。銅箔および粉末を、930℃で銅厚膜の焼成条件下で焼成した。各プレプリントパターンは、およそ1.67cm×1.67cmであった。4つのプレプリントの平面図を、図2(B)に示す。図2(A)〜(G)は、4個の箔上焼成コンデンサが銅箔上に製造されるプロセスを示すが、この例においては、16個の箔上焼成コンデンサの2組を製造し、および試験した。
【0115】
図2(C)に示されるように、チタン酸バリウム粉末、ガラスフリット、エチルセルロースポリマー結合剤、溶媒、加工助剤および界面活性剤(EP312、本願出願人から入手可能)を含有する誘電材料を、前処理された箔のプレプリント上にスクリーン印刷し、パターン化された第1誘電体層を形成した。誘電体層の区域は、1.22cm×1.22cmであり、およびプレプリントのパターンの範囲内であった。第1誘電体層を、120℃で10分間にわたって乾燥した。次いで、第2誘電体層を、第1誘電体層上に適用し、および同じ条件を用いて同様に乾燥した。パターン化された第1および第2誘電体層は、誘電体220を形成する。
【0116】
図2(D)に示されるように、銅粉末、ガラスフリット、エチルセルロースポリマー結合剤、溶媒および界面活性剤(EP320、本願出願人から入手可能)からなるペーストを、誘電体220上かつ誘電体の区域の範囲内にスクリーン印刷して、電極パターン230を形成し、および120℃で10分間にわたって乾燥した。電極の区域は、0.9cm×0.9cmであった。
【0117】
次いで、第1誘電体層、第2誘電体層および銅ペーストの電極を、930℃で、銅厚膜の焼成条件下で、共焼成した。
【0118】
実施例7において記載されるような封入材料組成物を、180メッシュのスクリーンを通してコンデンサ上に印刷して、封入材料層を形成した。封入材料層を、120℃で10分間にわたって乾燥した。次いで、第2封入材料層を、実施例7において調製されたペーストを使用して、180メッシュのスクリーンを用いて、直接的に第1層上に印刷した。次いで、該2層構造体を、10分間にわたって120℃で乾燥し、および、次いで、190℃で、窒素下で、30分間にわたって焼成して、図2(E)に示されるようなパターンを有する強化された2層複合封入材料240を得た。焼成された封入材料240の最終的な厚さは、およそ10ミクロンであった。該構造体の平面図を図2(F)に示す。
【0119】
箔210の部品面を、1080BT樹脂のプリプレグ250に対して、190℃および400psiで90分間にわたって積層して、図2(G)に示される構造体を形成した。この例においては、16個の箔上焼成コンデンサの1組を一片の銅箔上に形成して、剥離強度の試験のために使用し、および16個の箔上焼成コンデンサの第2の組を別の一片の銅箔上に形成して、離層試験のために使用した。
【0120】
プリプレグの封入材料に対する接着性を、IPC−TM−650接着性試験番号2.4.9を用いて試験した。接着性の結果を以下に示す。16個のコンデンサからの封入材料の平均剥離強度は、3.3ポンド/リニア・インチよりも大きかった。故障モードは、封入材料界面ではなく、コンデンサ構造体内部に存在した。
【0121】
16個の箔上焼成コンデンサの第2の組を、1080BT樹脂のプリプレグおよび銅箔の代わりにBTのコアと積層した。これらのコンデンサを、5連続はんだフロート(260℃、各曝露2分間)の対象として、熱サイクルの間に構造体が離層する傾向を測定した。超音波検査を用いて、離層が生じるかどうかを測定した。5回のサイクル後に、離層は観察されなかった。
【0122】
実施例10〜22:PBO類に対して選択された溶媒
実施例1〜6の乾燥ポリベンゾオキサゾール粒子を、様々な溶媒(10wt%のPBO/90wt%の溶媒)中に配置し、および80℃から100℃で加熱し、およびPBOが溶媒中に溶解するまで、または4時間が経過するまで観察した。溶液を室温にまで冷却し、および2日間にわたって観察した。2日後にPBOが溶液中に残存した場合に、該溶媒はPBOに対する溶媒であるとして以下に記載される。
【0123】
【表2】

【0124】
比較例1:
実施例1の組成物に対して、5.000グラムのジフェン酸、7.544グラムの6F−AP、92グラムの1,2−ジクロロベンゼンおよび49.55グラムのトリメチルシリルポリフォスフェートを添加した。反応混合物を、実施例1におけるように攪拌および加熱し、および実施例1におけるのと同じ方法で処理した。ソックスレー抽出の代わりに、固体生成物を、50/50のDI水/水酸化アンモニウム溶液中で、80℃で2時間にわたって攪拌し、濾過し、および濾液が中性になるまでDI水で固体を洗浄した。濾過された固体を、18時間にわたって140℃で真空炉乾燥して、6.8グラムのポリベンゾオキサゾールを得た。
【0125】
比較例2〜7:比較例1の溶解度
比較例1の乾燥ポリベンゾオキサゾール粒子を、様々な溶媒(10wt%のPBO/90wt%の溶媒)中に配置し、および該試料を80℃から100℃で4時間にわたって加熱した。PBOは、以下に挙げる溶媒中で溶解しなかった。
【0126】
【表3】

【0127】
このポリベンゾオキサゾールは、上記の溶媒中に、または調査した他の溶媒のいずれにも溶解しなかった。この比較例は、二酸および6F−APから調製されるポリベンゾオキサゾール類の全てが可溶性であるとは限らないことを示す。
【0128】
比較例8〜24:PBO−1から6の様々な溶媒中の溶解度の測定
実施例1〜6の乾燥ポリベンゾオキサゾール粒子を、一般のスクリーン印刷用の溶媒中に、または本発明の組成物のポリベンゾオキサゾールを溶解することを当業者が期待するであろう他の溶媒中に配置した。組成物(10wt%のPBO/90wt%の溶媒)を、80℃から100℃で4時間にわたって加熱し、PBO類が溶媒中に溶解するかどうかを確かめた。PBO類は、以下に挙げる溶媒中に溶解しなかった。
【0129】
【表4】

【0130】
比較例25:XPI−2
低水分吸収の高性能可溶性ポリイミドは、良好な封入材料特性、特に、IRはんだリフローの間の接着性および良好なTHB耐久性の結果を有することが示されている。これらのポリイミドは、特に、高pHの溶液中の接触時間が制御される場合は、選択された酸化物処理プロセスに耐えることができる。しかしながら、露出時間が所望よりも長い場合は、高pHの酸化物処理プロセスは、ポリイミドを攻撃することになる。この結果として、非常に高性能のポリマーでさえ、封入されたセラミックコンデンサの慣用的なプロセスのために必要とされる保護の全てを提供するわけではないであろうことが明らかである。以下の比較例は、ポリイミドに基づく封入材料の性能を例示する。
【0131】
化学的イミド化を用いてポリアミド酸をポリイミドに転化することによって、ポリイミドを調製した。窒素注入口、機械的攪拌機および凝縮装置を備える乾燥した3首丸底フラスコに、800.23グラムのDMAC、70.31グラムの3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、14.18グラムの2,2'−bis(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6F−AP)および0.767グラムの無水フタル酸を添加した。
【0132】
この攪拌された溶液に、1時間にわたって、113.59グラムの2,2’−ビス−3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6−FDA)を添加した。ポリアミド酸の溶液は、32℃の温度に達し、および加熱せずに16時間にわたってこれを攪拌した。104.42グラムの無水酢酸に、続いて95.26グラムの3−ピコリンを添加し、および、該溶液を1時間にわたって80℃にまで加熱した。
【0133】
溶液を室温にまで冷却し、および溶液をブレンダー中の過剰のメタノールに添加して、生成物であるポリイミドを沈降させた。固体を濾過によって回収し、および固体をメタノール中に再ブレンドすることによって2回洗浄した。生成物を、真空炉内で窒素パージを用いて150℃で16時間にわたって乾燥し、165.6グラムの、54,600の数平均分子量および151,400の重量平均分子量を有する生成物を得た。
【0134】
20gの単離されたポリイミド粉末を80gのDBE−3中に溶解することによって、スクリーン印刷可能なペーストを調製した。ポリマーが溶解した後、1.8gのRSS−1407エポキシ樹脂(テトラメチルビフェニルのジグリシジルエーテル)および0.2gのベンゾトリアゾールをポリマー溶液に添加した。これらの構成要素が溶解した後、粗(crude)ペーストを圧力下で0.2ミクロンのカートリッジフィルターを通して濾過して、最終生成物を得た。
【0135】
比較例26:封入されたセラミックコンデンサの調製、ポリイミド封入材料の化学薬品安定性の分析
実施例8に記載されるように調製された20個のコンデンサの組を使用して、比較例25において調製された封入材料ペーストの性能を評価した。比較例26のために、比較例25の封入材料組成物を、図1(F)に示されるパターンを用いて、2つのフィンガーを除いて各コンデンサの電極および誘電体の全体にわたって、180メッシュのスクリーンを通してスクリーン印刷して、0.4インチ×0.4インチの封入材料層を形成した。封入材料層を、10分間にわたって120℃で乾燥した。封入材料の別の層を、実施例7において調製された処方を用いて180メッシュのスクリーンを通して直接的に第1封入材料層上に印刷し、および10分間にわたって120℃で乾燥した。次いで、封入材料を、窒素下、強制ドラフト炉内で、190℃で30分間にわたって焼成した。封入材料の最終的な厚さは、およそ10ミクロンであった。
【0136】
封入後、20個のコンデンサの平均静電容量は、66.1nF/cm2であり、平均損失因子は2.2%であり、および平均絶縁抵抗は2.9Gオームであった。次いで、20個のコンデンサのクーポンを、前述の褐色酸化物試験の対象とした。該処理の後、平均静電容量、損失因子および絶縁抵抗は、それぞれ、68.1nF/cm2、2.3%、3.1Gオームであった。
【0137】
褐色酸化物試験の対象とされていた20個のコンデンサを、続いて、THB試験に従って、5VのDCバイアスの対象とし、および85℃/85%RHの炉内に1000時間にわたって配置し、その時間の後に、静電容量、損失および絶縁抵抗を再度測定した。20個のコンデンサのうち7個のみが、1000時間の試験を耐え抜いた。耐え抜いたコンデンサの平均値の静電容量、損失因子および絶縁抵抗は、それぞれ、62.7nF/cm2、2.4%および0.8Gオームであった。試験された20個のうち13個のコンデンサは、THB試験に従う5Vバイアス下での1000時間の曝露後に、10メガオーム未満の絶縁抵抗値を示した。
【0138】
実施例7のポリベンゾオキサゾール封入材料の、褐色酸化物試験における改善された性能は、高性能ポリイミド封入材料に勝るPBOの性能の有利点を示す。これは、驚くべき結果であった。ポリイミド類およびPBO類は両方とも様々な化学薬品に対する良好な安定性を有すると考えられるが、しかし、PBO封入材料は、高pHプロセスが必要とされる場合に予期せぬ有利点を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリベンゾオキサゾールポリマーおよび有機溶媒を含む、プリント配線板中に埋め込まれていてもよい電子部品をコーティングするためのスクリーン印刷可能な組成物であって、
該ポリベンゾオキサゾールポリマーは、 式
【化1】

[式中、mはポリベンゾオキサゾール中の繰り返し単位の数であり、およびArは、独立して、
【化2】

(式中、RはH、CH3、C(CH33またはOCH3である。);
【化3】

(式中、XはO、SO2、C(CF32、C(CH32、C=Oまたはp−C65Oによって結合されたOである。);
【化4】

;および

【化5】

から本質的になる群から独立して選択される。]で表される繰り返し単位を含み、
および有機溶媒は約5℃以下の融点を有し、および有機溶媒は、α,β−不飽和シクロアルカノン類;イソプロペニルまたは環外二重結合置換型シクロアルカノン類;α−アセチルシクロアルカノン類;α−アセチルシクロアルケン類;ブテノン置換型シクロアルケン類;五を超える員環のラクタム類;二環式ケトン類;およびそれらの混合物から本質的になる群から選択されることを特徴とするスクリーン印刷可能な組成物。
【請求項2】
プリント配線板またはICパッケージ基板中に埋め込まれた箔上焼成セラミックコンデンサであって、該コンデンサは、請求項1に記載のスクリーン印刷可能な組成物でコートされていることを特徴とする箔上焼成セラミックコンデンサ。
【請求項3】
プリント配線板またはICパッケージ基板中に埋め込まれていてもよい電子部品を封入する方法であって、電子部品を、ポリベンゾオキサゾールおよび有機溶媒を含む組成物でスクリーン印刷する工程と、印刷された電子部品を約300℃未満の温度で焼成することによって有機溶媒を除去して、電子部品上のポリベンゾオキサゾール封入材料を形成する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
ポリベンゾオキサゾールが、式
【化6】

[式中、mは、ポリベンゾオキサゾール中の繰り返し単位の数であり、およびArは、独立して:
【化7】

(式中、RはH、CH3、C(CH33またはOCH3である);
【化8】

(式中、Xは、O、SO2、C(CF32、C(CH32、C=Oまたはp−C65Oによって結合されたOである。);
【化9】

; および
【化10】

から本質的になる群から選択される。]
によって表される繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
有機溶媒が、約5℃以下の融点を有し、および有機溶媒が、α,β−不飽和シクロアルカノン類;イソプロペニルまたは環外二重結合置換型シクロアルカノン類;α−アセチルシクロアルカノン類;α−アセチルシクロアルケン類;ブテノン置換型シクロアルケン類;五を超える員環のラクタム類;二環式ケトン類;およびそれらの混合物から本質的になる群から選択されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
電子部品が、プリント配線板またはICパッケージ基板中に埋め込まれていてもよい箔上焼成セラミックコンデンサであることを特徴とする請求項3に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−161736(P2009−161736A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−308826(P2008−308826)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】