説明

マスク位置合わせ装置及び基板処理装置

【課題】基板に対して正確にマスクの位置合わせを行え、基板ホルダや周辺部への膜の付着を確実に防止することが可能なマスク位置合わせ装置を提供する。
【解決手段】支柱軸方向の各回転軸を中心に回転する複数の支柱103と、複数の支柱103を同一方向、同一角度、同期して回転させる手段と、マスク701と基板Wの位置ずれ量を検出する手段とを具備する。また、複数の支柱103の上面部にそれぞれの支柱の回転軸から所定距離だけずらしてマスク701を支持する支持ピン101を配置する。そして、マスク701と基板Wとの位置ずれ量に基づき複数の支柱103を同一方向、同一角度、同期して回転させることによりマスク701を基板Wに対して位置合わせを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板ホルダ上でマスクと基板の位置合わせを行うマスク位置合わせ装置、及び基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体等の製造工程のうち、特にスパッタ、CVD等の成膜工程では、成膜時に基板の外周部からはみ出した膜が基板裏面、基板ホルダ又は周辺部品に付着し、パーティクルや異常放電の原因となっていた。従来、これを防ぐ為に、基板の外周から数mmの範囲を全周にわたり覆い隠すリング状のシールド(マスク)を基板上部に配置し、基板ホルダ又は周辺部への膜の付着を防いでいた。
【0003】
更に、特許文献1に記載されているようにホルダ部にパージガス供給経路を設け、マスクと基板の隙間からパージガスを吹き出すことで膜の進入を防いだりしていた。
【特許文献1】特開平8−302474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、基板の一枚当りの収率を向上する為に、基板外周部ぎりぎりまでパターンを形成するようになり、成膜範囲も基板外周ぎりぎりの位置まで拡大している。この場合、基板とマスクとのオーバーラップする範囲が少なくなり、両者の相対位置が少しでもずれると、基板裏面、基板ホルダ又は周辺部に膜が付着するという問題が生じていた。この為、基板とマスクとをより正確に配置し、基板処理を行う必要があった。
【0005】
本発明の目的は、基板に対して正確にマスクの位置合わせを行うことができ、基板裏面、基板ホルダや周辺部への膜の付着を確実に防止することが可能なマスク位置合わせ装置、及び基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のマスク位置合わせ装置は、基板の外縁を覆うマスクが基板の所定の基準点に一致するように前記マスクの位置合わせを行うマスク位置合わせ装置であって、支柱軸方向の各回転軸を中心に回転する複数の支柱と、前記複数の支柱を同一方向、同一角度、同期して回転させる駆動手段と、前記マスクの前記基準点から前記基板の所定の基準点までの位置ずれ量を検出する検出手段と、前記複数の支柱の上面部にそれぞれの前記支柱の回転軸から所定距離だけずらして配置された、前記マスクを支持するための支持ピンと、を具備し、前記検出手段で検出された位置ずれ量に基づき前記駆動手段により前記複数の支柱を同一方向、同一角度、同期して回転させることにより、前記マスクの位置合わせを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、支持ピン上にマスクを載置して支持ピンを回転させることでマスクの位置を補正するため、マスクと基板を正確に位置合わせすることができる。そのため、基板外周部ぎりぎりまでパターンを形成し、成膜範囲を基板外周ぎりぎりの位置まで拡大した場合でも、基板裏面、基板ホルダや周辺部への膜の付着を確実に防止することが可能となる。しかも、膜の進入を防止するための特殊な装置は不要であるため、コンパクトなマスク位置合わせ装置を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は本発明に係るマスク位置合わせ装置の第1の実施形態を示す斜視図である。なお、図1は装置を構成する各部を分解した状態の分解斜視図を示す。本発明に係るマスク位置合わせ装置は、後述するように水平に支持されたマスクが所定の基準点に一致するようにマスクを水平方向に移動させてマスクの位置ずれを補正し、基板に対してマスクを正確に設置するものである。マスクはリング状形状であり、基板の外縁を覆うためのものである。
【0010】
マスク位置合わせ装置は、基板(半導体ウエハ等)Wを載置する基板ホルダ105と、基板ホルダ105に設けられ、基板Wを支持しながら上下動可能に構成されたリフトピン901a、901b、901cとを備えている。また、マスク位置合わせ装置は、基板Wの外縁部を覆うように配置されたリング状のマスク701と、マスク701を上下動及び移動させるために上下動及び回転自在に構成された複数の支柱103a、103b、103cとを備えている。
【0011】
更に、マスク位置合わせ装置は、マスク701の基準点から基板Wの基準点までのずれ量を検出するマスク位置ずれ検出手段を備えている。これら複数の支柱103は支柱軸方向の各回転軸を中心に回転する。マスク位置ずれ検出手段の構成等については図3を用いて詳しく後述する。
【0012】
複数の支柱103の上面部(回転面)には、各支柱103の回転軸に対し偏心して支持ピン101a、101b、101cが配置されている。また、基板ホルダ105を遮蔽するリング状カバー107が配置されている。図1では本発明に係るマスク位置合わせ装置のみを示しているが、このマスク位置合わせ装置はプラズマ等を用いて基板処理を行う基板処理装置内に配置されている。なお、基板処理装置としては、例えば、CVD装置、発熱体CVD装置、PVD装置、又はスパッタリング装置等が挙げられる。
【0013】
本実施形態では、基板ホルダ105の外側に支柱103a、103b、103cが設けられている。マスク位置合わせ装置100は基板処理装置を構成する不図示の真空容器内に設けられている。支柱103の数は3つであるが、これに限定されるものではなく、マスク701を水平に保持できれば支柱の数は幾つであってもよい。
【0014】
3つの支持ピン101a、101b、101cは、いずれも支柱103a、103b、103cの上面部(回転面)で、支柱103a、103b、103cの回転軸から同一半径上に設けられている。即ち、3つの支持ピン101は各々の支柱103の回転面において回転軸(回転中心)から所定距離(同一距離)だけ離して配置されている。それぞれの支柱103の回転面は円板状であるが、これに限定されるものではなく、例えば、正方形、矩形等どのような形状であってもよい。
【0015】
次に、図2を参照して本実施形態に係るマスク位置合わせ装置を用いてマスクの位置補正を行う手順を説明する。なお、図中702はマスク701を載置するためのマスクベースである。マスクベース702は図1では不図示である。まず、図2(A)に示すように不図示の基板搬送手段により真空容器内に基板Wが搬送され、搬送された基板Wは上昇位置にあるリフトピン901a、901b、901cの上に載置される(基板搬入)。この時、マスク701は支柱103a、103b、103cが上昇して、基板Wが搬送される高さより高い位置で待機している。
【0016】
リフトピン901上に載置された基板Wは、マスク701との位置ずれが生じている可能性があるため、以下に説明するように基板Wの位置に合わせてマスク701の位置補正を行う。始めに、図2(B)に示すようにリフトピン901a、901b、901cを同期して下降させることにより、基板Wは基板ホルダ105の上に載置される。その後、支柱103a、103b、103cを同期して下降させることにより、マスク701をマスクベース702の上に仮セットする(マスク仮セット)。この状態では、マスク701と基板Wは直接接触しないように微小な隙間が保たれている。これは直接接触によるパーティクルや異常放電の発生を抑える為である。
【0017】
マスク701の仮セットが終了すると、マスク701と基板Wの位置ずれ量をもとにマスク701の位置出し準備を行う(図2(C))。ここで、基板ホルダ105に載置された基板Wとマスク701との位置ずれ量を検出する方法について説明する。基板Wの位置ずれ量を検出する方法としては様々な方法を利用できる。
【0018】
本実施形態では、例えば、図3に示すように基板Wに対し水平方向から基板側面へ光ビーム802を照射する複数の光学式変位センサ801を用いて検出する。図3(a)は平面図、図3(b)は側面図、図3(c)はセンサ原理図である。ここでは、光学式変位センサ801aと801bの2つのセンサを用いている。
【0019】
光学式変位センサ801a、801bは基板Wの側面に対し、各々スポット状の光ビーム802a、802bを照射する発光部と、基板Wの側面から反射して戻ってくるそれぞれの反射光を受光する受光部とを備えている。
【0020】
具体的には、各光学式変位センサは、三角測量を応用した方式で、図3(c)に示すように発光素子と光位置検出素子(PSD)の組み合わせで構成されている。発光素子には、半導体レーザ811が用いられる。駆動回路812で駆動された半導体レーザ811の光は投光レンズ813を通して集光され、測定対象物814に照射される。そして、測定対象物814から拡散反射又は正反射(不図示)された光線の一部は受光レンズ815を通して光位置検出素子816上にスポットを結ぶ。
【0021】
その測定対象物814が移動するごとにスポットも移動するので、そのスポットの位置を検出することで基準位置817から測定対象物814までの変位量を知ることができる。このように検出された基板位置情報は、信号増幅回路818で増幅されて制御装置(不図示)に送信される。
【0022】
本実施形態では、この方法を用いて図3(b)に示すように光学式変位センサ801a、801bから光ビーム802a、802bを照射し、基板Wの側面から戻ってきた反射光を検出し、基板Wの側面までの距離803a、803bを測定する。基板外周の2点の位置情報が得られれば、これらの位置座標と基板半径(一定の値)から演算により容易に基板中心点X’を算出することができる。
【0023】
なお、基板Wの外径が一定であれば2箇所の測定で良いが、基板の外径が基板W毎に異なる場合は3箇所以上の測定が必要となる。また、図3(b)に示すように基板Wをリフトピン901で上下方向に移動させながら基板側面に光軸を照射すると、光ビームを基板側面に的確に照射でき、精度よく測定することが出来る。
【0024】
同様の方法で、マスク701を支柱103で上下方向に移動させながら光学式変位センサ801a、801bから光ビームをマスク701の側面に照射し、その反射光を検出してマスク701の側面までの距離を測定する。その場合も、これらの位置座標とマスク半径(一定の値)から演算により容易にマスク中心点Xを算出することができる。
【0025】
次に、図4に示すように検出された基板Wの中心点X’と同じく検出されたマスク701の中心点Xとを比較してマスク701の移動量L(絶対値X−X’)と移動方向(ベクトルXX’)を求める。なお、マスク701と基板Wの中心だけでなく、マスク701と基板Wの外周端部を基準点としてもよい。
【0026】
次に、図5に示すようにマスク位置合わせ装置の支柱103a、103b、103c、即ち、支持ピン101a、101b、101cの回転軸に対する回転すべき角度2θを算出する。
【0027】
マスク位置ずれ検出手段により移動方向と移動量Lが判れば、移動量Lと回転角度2θの関係は次式ように表せる。Rは図5に示すように支柱103の回転軸(回転中心)と支持ピン101の中心との距離である。θは図5中に矢印で示す移動方向に対して直角で、且つ、支柱103の回転中心を通る仮想線lと、支柱103の中心と移動前及び移動後の支持ピン101の中心とを通る直線mとのなす角度である。マスク701の移動方向に対して直角で、且つ、支柱103の回転軸を通る仮想線lに対して、移動前後の支持ピン位置は軸対称であり、θは等しい。
【0028】
sinθ=L/2R
θ=sin−1(L/2R)
2θ=2sin−1(L/2R)
これらの計算は図示しないCPU等を用いた演算回路により行う。また、上述のような基板Wの中心点X’やマスク701の中心点Xを求める計算もCPU等を用いた演算回路により行う。
【0029】
次いで、図2(C)に示すように支柱103がマスク701に接しない状態で、支柱位置の修正を行う。具体的には、図5に示すようにマスクの移動方向に対して直角の仮想線lを想定する。そして、支柱103a、103b、103c、即ち、支持ピン101a、101b、101cを、それぞれ支柱中心に対して、その仮想線lを基準に角度θをなす移動前の支持ピン位置へ回転させる。
【0030】
この回転動作は、マスク701の位置合わせの前に、各支持ピン101を移動させて、マスク701の位置出し準備を行うものである。即ち、図5に示すように各支持ピン101を、支持ピン101(移動前)の位置へマスク701を支持せずに移動させることである。
【0031】
こうして、支持ピン101a、101b、101cをそれぞれの回転軸に対して仮想線lを基準にθの角度に固定した状態とする。次に、図2(D)に示すように支持ピン101a、101b、101cによりマスク701を支持しながら3つの支柱103a、103b、103cを同期して上昇させる(マスク上昇)。
【0032】
この状態で、図2(E)に示すように3つの支柱103a、103b、103cを同一方向、同一角度、同期して2θ回転させる。即ち、3つの支柱103a、103b、103cを同一方向、同一角度、同期して回転させることにより、支持ピン101に支持されたマスク701は位置ずれを補正する方向に移動量Lだけ移動する(マスク位置補正)。その場合、図5に示すようにそれぞれの支持ピン101が移動前の位置から移動後の位置まで移動量Lだけ移動した状態となる。この位置合わせにより、図4に示すマスク701の中心点Xが、基板Wの中心点X’に一致するように位置が補正された状態となる。
【0033】
次いで、図2(F)に示すようにマスク701を支持しながら、それぞれの支柱103を下降させることで、マスクベース702上にマスク701が載置され(マスクセット)、基板Wに対するマスク701の位置補正動作が完了する。この補正方法では、最大移動範囲は支柱103の半径によって決まり、2θ=180°の時に最大となる。従って、基板処理装置の仕様に合わせて修正したいずれ量に応じて最適な半径の値を選択すればよい。
【0034】
次に、図2(G)に示すように基板処理装置の真空容器内で図示しないプラズマ生成手段によりプラズマを生成し、基板Wに対して基板処理を行う(基板処理)。また、別の真空処理室等に搬出する時には図2(H)に示すように各支柱103を上昇させた後、各リフトピン901を上昇させ、図示しない基板搬出手段により基板Wを搬出する(基板上昇、搬出)。尚、マスク701は次ぎの基板に備えて各支柱103を−2θ回転させて補正前の位置に戻しておく。
【0035】
図6は支柱103の駆動機構の一例を示す。図6では図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。まず、支柱103を回転させるために支柱103の一端は位置決めモータ509に接続されている。支柱103は上下動可能なように上下シリンダ507に接続されている。
【0036】
磁性流体シール(若しくはマグネットカップリングシール)505は、チャンバ壁501を通してチャンバ内へ真空を破らずに駆動力を導入するため、支柱103と位置決めモータ509との間に設けられている。即ち、この磁性流体シール(若しくはマグネットカップリングシール)505により容器内部の真空と大気を隔離している。図6では1つの支柱103の駆動機構を示しているが、複数の支柱の駆動機構は同様である。図中503はベローズを示す。
【0037】
図7は図2(E)を用いて説明した3つの支柱103a、103b、103cを同一方向、同一角度、同期して回転させるための回転駆動機構(回転駆動手段)の一例を示す斜視図である。図7では図1と同一部分には同一符号を付している。図7に示すように3つの支柱103a、103b、103cの一端部が同一のタイミングベルト601に巻回されている。更に、タイミングベルト601を回転させるための位置決めモータ603が設けられている。位置決めモータ603を駆動してタイミングベルト601を回転させることで3つの支柱103a、103b、103cを同一方向、同一角度、同期して回転させることができる。
【0038】
図8は本発明に適用可能な支持ピン101の形状を示す。図8(A)は支持ピン101の先端を円錐形状にした例を示す。図8(B)は支持ピン101を半球形状にした例を示す。更に、図8(C)に示すように支持ピン101の面積が最小となる円柱構造としてもよい。即ち、図8(C)は支持ピン101の先端が支柱103の平面内に収まる構造としたものである。
【0039】
また、図8(D)は支持ピン101は円柱構造であり、支持ピンの軸方向の回転軸に対して回転自在な構造にした例を示す。特に、図8(D)の構造ではマスク701との摩擦を小さくでき、パーティクルの発生を防止するのに有効である。
【0040】
本実施形態では、支持ピン101上にマスク701を載置して支持ピン701を回転させることでマスク701の位置を補正するため、基板Wに対してマスク701の位置を正確に補正することができる。そのため、基板外周部ぎりぎりまでパターンを形成し、成膜範囲を基板外周ぎりぎりの位置まで拡大した場合でも、基板裏面、基板ホルダや周辺部への膜の付着を確実に防止することが可能となる。
【0041】
従って、基板裏面、基板ホルダや周辺部品へ膜が付着することによるパーティクルや異常放電の発生を抑制することができる。更に、特許文献1に記載されているような膜の進入を防止するための特殊な装置が不要であるため、コンパクトな位置合わせ装置を実現することができる。
【0042】
(第2の実施形態)
次に、図9を参照して本発明の第2の実施形態に係るマスク位置合わせ装置の構成を説明する。図9では図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。基本的な構成は図1に示すマスク位置合わせ装置と同一である。本実施形態では、図9(a)に示すようにマスク701の基準位置を出す為、マスク701を支持しながら上下動自在に構成された複数のマスク位置決めピン703a、703b、703cが設けられている。また、これら複数のマスク位置決めピン703を上下に駆動する上下機構(不図示)が追加的に設けられている。
【0043】
マスク701の裏面には、図9(b)に示すように各マスク位置決めピン703を支持するためのテーパ状の凹部704が形成されている。そして、各マスク位置決めピン703がマスク701を支持する時に図9(c)に示すようにマスク位置決めピン703の先端部が凹部704に嵌合することで、マスク701の位置ずれが生じないように正確にマスクを位置させる構造となっている。なお、図9(b)ではマスク位置決めピン703と凹部704がテーパ形状となっているが、位置決めが可能な構造であればこの形状に限定されるものではない。
【0044】
なお、本実施形態においても、支柱103の駆動機構としては図6に示す機構、3つの支柱103を同一方向、同一角度、同期して回転させる回転駆動機構としては図7に示す機構を用いることができる。更に、支持ピン101の形状としては図8に示す幾つかの形状を用いることができる。
【0045】
次に、図10を参照して本実施形態に係るマスク位置合わせ装置を用いてマスクの位置補正を行う手順を説明する。まず、図10(A)に示すように不図示の基板搬送手段により基板Wが真空容器内に搬送され、搬送された基板Wは上昇位置にあるリフトピン901a、901b、903cの上に載置される(基板搬入)。この時、マスク701は、支柱103a、103b、103cが上昇して、基板搬送高さより高い位置で待機している。
【0046】
リフトピン901上に載置された基板Wは位置ずれが生じている可能性があるため、以下に説明するように基板Wの位置に合わせてマスク701の位置補正を行う。始めに、図10(B)に示すようにリフトピン901a、901b、903cを同期して下降させることにより、基板Wは基板ホルダ105の上に載置される。この際、図3で説明した方法を用いて基板Wの中心点X’を検出する。
【0047】
その後、マスク701を支持した支柱103a、103b、103cを同期して下降させることにより、上昇位置にあるマスク位置決めピン703の上にマスク701をセットする。この時、上述のようにマスク位置決めピン703の先端部がマスク701の凹部704に嵌合した状態となる。また、その際、図3で説明した方法を用いてマスク701の中心点X(基準位置)を検出する(マスク基準位置出し)。マスクの基準位置出しが終了すると、第1の実施形態と同様にマスク701と基板Wの位置ずれ量、即ち、マスク701の移動すべき移動量Lや移動方向を算出し、それをもとにマスク701の位置出し準備を行う。
【0048】
本実施形態では、第1の実施形態とは異なり、基板Wが搬入される毎に毎回マスク701の位置検出をする必要がない。これは、マスク位置決めピン703の先端部がマスク701の凹部704に嵌合しており、マスク701の位置ずれが生じない構造となっているので、最初に基準位置を測定しておくことでその値をマスク701の基準位置とすればよいからである。
【0049】
また、図5を用いて説明したようにマスク位置合わせ装置の支柱103a、103b、103c、即ち、支持ピン101a、101b、101cの支柱の回転軸(支柱中心)に対する回転すべき角度2θを算出する。
【0050】
次いで、図2(C)の説明と同様に支柱103a、103b、103cがマスク701に接しない状態で、移動方向に対して垂直の仮想線lを想定する。そして、図10(C)に示すように支柱103、即ち、支持ピン101a、101b、101cを、それぞれ支柱中心に対して、その仮想線lを基準に角度θをなす移動前の支持ピン位置へ回転させる。
【0051】
こうして、支持ピン101a、101b、101cをそれぞれの支柱中心に対してθの角度に固定する。この状態で、図10(D)に示すように支持ピン101a、101b、101cでマスク701を支持しながら3つの支柱103a、103b、103cを同期して上昇させる(マスク上昇)。この時、マスク701と各マスク位置決めピン703が離れ、マスク701が水平方向に移動してもマスク位置決めピン703と干渉しない位置になるまで各支柱103を上昇させる。
【0052】
この状態で、図10(E)に示すように3つの支柱103a、103b、103cを同一方向、同一角度、同期して2θ回転させる。これにより、支持ピン101a、101b、101cに支持されたマスク701は位置ずれを補正する方向に移動量Lだけ移動する。これは、図2(E)と同様である。
【0053】
次いで、図10(F)に示すように各マスク位置決めピン703を降下させ、次いでマスク701を支持しながらそれぞれの支柱103を下降させる。そうすることで、マスクベース702上にマスク701が載置され(マスクセット)、基板Wに対するマスク701の位置補正動作が完了する。
【0054】
その後、図10(G)に示すように真空容器内でプラズマを発生させて基板Wに対して基板処理を行う。また、基板Wを別の真空処理室へ搬出する時には、図10(H)に示すように各支柱103を上昇させた後、各リフトピン901を上昇させて基板Wを搬送位置まで上昇させた後、図示しない基板搬出手段により基板Wを搬出する。
【0055】
本実施形態では、第1の実施形態と同様に基板Wに対してマスク701の位置を正確に補正することができ、成膜範囲を基板外周ぎりぎりの位置まで拡大した場合でも、基板裏面、基板ホルダや周辺部への膜の付着を確実に防止することが可能となる。従って、パーティクルや異常放電の発生を抑制することが可能となり、更に、コンパクトな位置合わせ装置を実現できる。
【0056】
また、本実施形態では、上述のようにマスク位置決めピン703の先端部をマスク701の裏面に形成された凹部704に嵌合させてマスク701を支持する構造であるため、基板毎にマスクの基準位置を検出する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るマスク位置合わせ装置を示す図である。
【図2】図1のマスク位置合わせ装置の位置補正手順を説明する図である。
【図3】基板及びマスクの位置ずれ検出方法を説明する図である。
【図4】マスクの位置補正を説明する図である。
【図5】基板とマスクとの位置ずれを説明する図である。
【図6】支持ピン駆動機構の一例を示す図である。
【図7】3つの支柱を同期して回転させるための同期回転機構の一例を示す概略斜視図である。
【図8】支持ピンの例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の構成を示す図である。
【図10】図9のマスク位置合わせ装置の位置補正手順を説明する図である。
【符号の説明】
【0058】
100 マスク位置合わせ装置
101a、101b、101c 支持ピン
103a、103b、103c 支柱
105 基板ホルダ
107 リング状カバー
501 チャンバ壁
503 ベローズ
505 磁性流体シール
507 上下シリンダ
509 位置決めモータ
601 タイミングベルト
603 位置決めモータ
701 マスク
702 マスクベース
703a、703b、703c マスク位置決めピン
704 凹部
801a、801b 光学式変位センサ
802a、802b 光ビーム
803a、803b センサから基板までの距離
811 半導体レーザ
812 駆動回路
813 投光レンズ
814 測定対象物
815 受光レンズ
816 光位置検出素子
817 測定対象物の基準位置
818 信号増幅回路
901a、901b、901c リフトピン
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の外縁を覆うマスクが基板の所定の基準点に一致するように前記マスクの位置合わせを行うマスク位置合わせ装置であって、
支柱軸方向の各回転軸を中心に回転する複数の支柱と、
前記複数の支柱を同一方向、同一角度、同期して回転させる駆動手段と、
前記マスクの前記基準点から前記基板の所定の基準点までの位置ずれ量を検出する検出手段と、
前記複数の支柱の上面部にそれぞれの前記支柱の回転軸から所定距離だけずらして配置された、前記マスクを支持するための支持ピンと、を具備し、
前記検出手段で検出された位置ずれ量に基づき前記駆動手段により前記複数の支柱を同一方向、同一角度、同期して回転させることにより、前記マスクの位置合わせを行うことを特徴とするマスク位置合わせ装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記基板の中心点と前記マスクの中心点を検出し、且つ、前記基板の中心点と前記マスクの中心点に基づいて前記マスクの移動すべき移動方向と移動量Lを検出し、
前記支柱の中心と前記支持ピンの中心との距離をR、前記移動方向に対して直角で前記支柱の回転中心を通る仮想線lに対して移動前後の支持ピン位置が軸対称であり、前記仮想線lと前記支柱の中心と移動前及び移動後の支持ピンの中心とを通る直線mとのなす角度をともにθとする場合、
前記複数の支柱を、それぞれ前記移動前の位置から角度2θ=2sin−1(L/2R)回転させることにより、前記マスクの位置合わせを行うことを特徴とする請求項1に記載のマスク位置合わせ装置。
【請求項3】
前記マスクの位置合わせの前に、前記複数の支柱を、前記仮想線lに対して角度θをなす移動前の支持ピンの位置へ、前記マスクを支持しない状態で回転させることを特徴とする請求項1又は2に記載のマスク位置合わせ装置。
【請求項4】
前記マスクを位置決めするための複数のマスク位置決めピンが上下動可能に設けられ、前記マスクの裏面には前記位置決めピンの先端部と嵌合する凹部が形成され、前記検出手段は、前記複数のマスク位置決めピンの先端部が前記マスクの凹部に嵌合した状態で前記マスクの中心点を検出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のマスク位置合わせ装置。
【請求項5】
前記支持ピンは、先端が半球形状又は円錐形状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のマスク位置合わせ装置。
【請求項6】
前記支持ピンと前記支柱とがそれぞれ支持ピンの軸方向の回転軸に対して回転自在であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のマスク位置合わせ装置。
【請求項7】
前記支持ピンの面積が前記支柱の平面内に収まることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のマスク位置合わせ装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のマスク位置合わせ装置を有することを特徴とする基板処理装置。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−126748(P2010−126748A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300865(P2008−300865)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000227294)キヤノンアネルバ株式会社 (564)
【Fターム(参考)】