説明

メモリ装置およびその動作方法

【課題】磁気メモリ素子へのデータを書込む方法を改善する。
【解決手段】スピントルクトランスファランダムアクセスメモリ(STRAM)メモリセルのような磁気メモリ素子に、データを書込むための方法および装置。さまざまな実施形態に従えば、書込電流が磁気メモリセルを通して印加されて、所望の磁化状態への素子の磁気歳差運動を開始する。フィールドアシスト電流の流れは、書込電流の連続した印加の間に磁気メモリ素子に隣接して実質的に印加されて、素子上に磁場を誘起する。フィールドアシスト電流は、書込電流が停止された後も持続され、所望の磁化状態へのフィールドアシストされた歳差を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明のさまざまな実施形態は、概して、スピントルクトランスファランダムアクセスメモリ(STRAM)メモリセルのような磁気メモリ素子へデータを書込むための方法および装置に向けられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
さまざまな実施形態に従えば、書込電流が磁気メモリ素子を通して印加されて、所望の磁化状態への素子の磁化歳差運動を開始する。フィールドアシスト電流の流れは、書込電流の連続的な印加の間に磁気メモリ素子に隣接して実質的に開始され、素子上に磁場を誘起する。フィールドアシスト電流は、書込電流が停止された後も持続し、所望の磁化状態へのフィールドアシストされた歳差を提供する。
【0003】
本発明のさまざまな実施形態を特徴付けるこれらのおよびさまざまな他の特徴および利点は、以下の詳細な議論および添付の図面に照らして理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】データ記憶装置の機能ブロック表現を提供する図である。
【図2】図1のメモリモジュールの一部を示す図である。
【図3】図2の磁気メモリ素子についての例示的な構造を示す図である。
【図4】図2〜図3のように構成されたメモリセルの構造を示す図である。
【図5】さまざまな実施形態に従って印加され得る、重なり合う書込電流およびフィールドアシスト電流のグラフである。
【図6】さらなる実施形態において印加され得る、重なり合う書込電流およびアシスト電流のグラフである。
【図7】メモリセルに隣接するアシスト層の一構造を示す図である。
【図8】さまざまな実施形態に従って実行されるステップを一般的に示した「フィールドアシスト電流を用いたデータ書込み」ルーチンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
詳細な説明
本開示は、限定されないが、スピントルクトランスファランダムアクセスメモリ(STRAM)セルのような磁気メモリ素子にデータが書込まれ得る態様における改善を記載する。
【0006】
ソリッドステート磁気メモリセルは、データビットの不揮発性記憶を提供するために用いられ得る。いくつかの磁気メモリセル構造は、磁気トンネリング接合(MTJ)のような、プログラム可能な抵抗性素子を含む。MTJは、選択された方向に固定された磁化方向を有する固定基準層を含む。自由層は、トンネリングバリヤ層によって、基準層から分離され、自由層は選択的に可変な磁化方向を有する。固定層に対する自由層の方向は、セルの全体的な電気抵抗を確立し、それは読出検出動作の間に検出され得る。
【0007】
磁気メモリ素子は、コンパクトな半導体アレイ環境においてデータを効果的に記憶することが見出されているが、そのような素子に関連する1つの課題は、異なるプログラム状態を生成するために必要とされる電力である。相対的に高い振幅、長い持続時間の電流パルスが、選択されたプログラム状態にメモリ素子を信頼性高くプログラムするために必要となり得ることが見出されている。
【0008】
したがって、本開示は、概して磁気メモリ素子へのデータのフィールドアシスト書込みに向けられる。アシスト電流は、プログラミング(データ書込み)動作の間、メモリセルに隣接して印加される。アシスト電流は、メモリ素子上において、それへの書込電流の印加中および印加後に作用するアンペア(アシスト)場(ampere field)を生成する。アシスト場は、書込作業および持続時間を低減することができるとともに、所望の状態への磁化歳差運動の確率を増加することができる。
【0009】
図1は、本発明のさまざまな実施形態に従って構築され、かつ動作されるデータ記憶装置100の、単純化されたブロック図を与える。本装置は、装置のためのデータ記憶を提供するために、ポータブル電子機器に結合され得るメモリカードを構成することが企図される。しかしながら、主張される主題はそれに限定されるものではないことが理解されるであろう。
【0010】
装置100は、コントローラ102およびメモリモジュール104を含むように示される。コントローラ102は、ホスト(個別に図示せず)とのインターフェース動作を含む装置の上位制御を提供する。コントローラ機能は、ハードウェアでまたはプログラム可能なプロセッサを介して実現され得、あるいはメモリモジュール104内に直接含まれ得る。他の特徴は、同様に装置100に含まれ、限定されないが、I/Oバッファ、ECC回路、および局部コントローラキャッシュを含み得る。
【0011】
メモリモジュール104は、図2に示されるような不揮発性メモリセル106のソリッドステートアレイを含む。各セル106は、抵抗性検知メモリ素子108およびスイッチングデバイス110を含む。メモリ素子108は、図2においては可変抵抗として表わされており、素子は、セルへのプログラミング入力に応答して異なる電気抵抗を確立する。スイッチングデバイス110は、読出動作および書込動作中に、個々のセルへの選択的アクセスを容易にする。
【0012】
いくつかの実施形態においては、メモリセル106は、スピントルクトランスファランダムアクセスメモリ(STRAM)セルとして特徴付けられる。メモリ素子108は、磁気トンネリング接合(MTJ)として特徴付けられ、スイッチングデバイスはnMOSFET(nチャンネル金属酸化半導体電界効果トランジスタ)として特徴付けられる。他のセル構造を容易に用いることができることが理解されるであろう。
【0013】
セル106へのアクセスは、ビットライン(BL)112、ソースライン(SL)114、およびワードライン(WL)116を含むさまざまな制御ラインの使用を通して実行される。選択されたワードライン116に沿ったすべてのセル106は、読出動作および書込動作中に現在アクセスされるメモリのページを形成し得る。アレイは、行および列に配置された、任意の数のM×Nメモリセルを含み得る。2つの制御ラインのみが各セルに直接結合される交点アレイを用いることができる。
【0014】
図2に示されるさまざまなビットライン112、ソースライン114、および制御ライン116は、アレイにわたって直交して伸延し、必要に応じて、互いに平行あるいは垂直であり得る。適当なドライバ回路(図示せず)が、さまざまな制御ラインに結合され、個別のセル106へ、選択された読出電流および書込電流を流す。
【0015】
図3は、図2からの選択されたメモリ素子108の縦型積層図を提供する。MTJ118は、導電性の上部電極122および下部電極120(それぞれ、TEおよびBE)によって分離される。MTJ118は、選択された方向に固定された磁化方向を有する基準層(RF)124を含む。基準層124は、永久磁石のように、隣接固定層によって確立される固定磁化方向を有する反強磁性固定層のような多くの形態をとり得る。合成反強磁性(synthetic antiferromagnetic:SAF)構造が代替的に用いられ得る。トンネリングバリヤ層126は、軟強磁性自由層128から基準層124を分離し、時折記憶層とも称される。
【0016】
自由層128は、素子108への書込電流の印加に応答して確立される、選択的にプログラム可能な磁化方向を有する。自由層128のプログラムされた磁化方向は、基準層124の方向と同じ方向(平行)でもよいし、基準層126の方向と反対の方向(逆平行)であってもよい。平行方向は、メモリセルを通してより低い抵抗RLを与え、逆平行方向はセルを通してより高い抵抗RHを与える。
【0017】
基準層124および自由層128の磁化方向は垂直(すなわち、図面に対して縦方向)となることが予期されるが、これは必ずしも必要とはされない。参考のために、自由層の平行方向は層の容易軸に沿った磁化を提供し、自由層の逆平行方向は層の困難軸に沿った磁化を提供する。
【0018】
図3には示されないが、上部電極122は、関連するビットライン112(図2)との電気的接触を確立し、下部電極120は、関連するスイッチングデバイス110との電気的接触を確立する。
【0019】
図3は、フィールドアシスト層130をさらに示す。アシスト層130は、MTJ118に隣接して伸延し、介在する電気的絶縁層132によって分離され得る。アシスト層130が、ビットライン112に平行であるような、選択された方向にアレイにわたって伸延する第4の制御ラインを備えることが企図される。
【0020】
図4は、いくつかの実施形態に従う図2〜図3のメモリセルを示す。他のセル構成を用いることができることが理解されるであろう。図4において、ベース半導体基板134には、局所化されたN+ドープ領域136,138が与えられる。ゲート構造140は、領域136,138に広がって、スイッチングデバイス110のようなnチャンネルトランジスタを形成する。セル106についての選択されたワードライン116は、ゲート140に結合される。
【0021】
導電性構造142は、ドープ領域138から伸延し、下部電極120およびMTJ118を支持する。次に、上部電極122は、横方向に伸延するビットライン112に接続される。第2の導電性構造144は、縦方向に伸延するソースライン114によってドープ領域136と相互接続する。
【0022】
書込動作の間、スピン(書込)電流が、セル106を通して印加される。書込電流は、ビットライン112からソースライン114へ、またはその逆のいずれかで流れる。電流の方向は、自由層の磁化を所望の方向へ歳差するように選択される。
【0023】
書込電流が開始された後、フィールドアシスト電流がアシスト層130に沿って流される。少なくともいくつかの実施形態においては、アシスト電流は自由層122の容易軸または困難軸のいずれにも揃わないが、その代わりに、α=45°のような、自由層の容易軸に対して固定された角度で印加される。
【0024】
アシスト電流は、スイッチング動作を実行するために必要とされる臨界スイッチング電流密度を低減することを助けるアンペア場を生成する。書込電流に対してある角度で、アシスト電流から印加される場のために、スイッチング前の自由層についての初期磁化角度は大きく(たとえば、約5〜10°のオーダ)、それによって、同様にスイッチング時間も低減する。
【0025】
書込みの間に確立されたスピン電流は、歳差磁化スイッチング効果を誘起し得る。自由層は、スイッチングの直前の初期状態、および初期状態とは反対のスイッチング事象後の最終状態の2つの磁化状態のうちの1つのみを確立する。磁化歳差運動の少なくともいくつかの形態のリンギング性のために、スイッチング電流パルス幅は、最終磁化が逆平衡状態に決まることを保障するように、つまり、印加された書込電流が、書込動作の結果において、自由層を初期状態から最終の所望の状態に変化することを保障するように十分に制御されるべきである。最終磁化状態におけるいくらかの不確実さが、特に、より短い期間の書込パルスが印加されたときに生じ得る。通常の状況の下では、単一の試み(たとえば、単一の書込パルス)の後に自由層が所望の最終状態に切換わる高い確率を達成することは困難であり得る。
【0026】
したがって、さまざまな実施形態は、書込電流およびアシスト電流の連続的な印加における重複手法を用いる。図5は、書込電流(I1)およびアシスト電流(I2)についてのそれぞれの電流波形150,152を示す。波形は、経過時間x軸154および結合された振幅y軸156に対してプロットされる。書込電流波形150は、第1の方向の第1の書込電流パルス158と、対向する第2の方向の第2の書込電流パルス160とを含む。
【0027】
これらの書込電流パルス158,160は、反対の状態へのセル106のプログラミングを実行する。これらのパルスは、名目上振幅および継続時間が等しいように示されるが、当業者は、逆平行スイッチングパルスが、平衡スイッチングの実行のために必要とされるパルスより、振幅および/または持続時間がより大きくてもよいことを理解するであろう。
【0028】
アシスト電流波形152は、対応するパルス162,164を含む。これらのパルスは、示されるように、書込電流パルス158,160を、重なり合いながら追跡する。アシスト電流パルス162,164は、等しい振幅および持続時間であるように示されるが、これらのパルスも、書込電流パルスの方向に応じて変化し得ることが理解されるであろう。さらに、電流パルスは、さまざまな形状をとり得ることができ、それは、時間とともに振幅が増加または減少する形状を含む。
【0029】
この手法において、時刻T1において、(158のような)小さな書込電流パルスI1が印加されて、自由層128の磁化反転が開始される。書込電流が継続して印加されている間に、(162のような)アシスト電流パルスI2が引き続いて時刻T2において印加される。いくつかの実施形態においては、アシスト電流は、当初、最終磁化状態の方向と同じまたはそれに近い方向を有するアンペア場を生成する。両電流は時刻T3まで印加され、その点において、書込電流パルス158が停止する。アシスト電流パルス162は、時刻T4まで継続して印加され、その後にアシスト電流も除去される。
【0030】
書込電流パルス158からのスピン電流が停止されると(時刻T3)、アシスト電流パルス162の継続した印加は、局部エネルギ最小化状態を決定することを助け、それは1に近い値までスイッチング確率を大幅に増加し得る。つまり、1回の書込試行において自由層が実際に所望のプログラムされた状態に決定される確率が、書込電流停止後のアンペア場の継続した存在によって、実質的に保証される。この確率関数は、外部バイアス場に応じた指数関数でモデル化される。一般論として、アンペア場が強いほど、確率関数が単位状態(unit case)(たとえば、P=1の確率)により高く近づく。
【0031】
図6は、歳差磁化スイッチングが実行され得る、代替的な態様を示す。図6は、図5と類似しており、書込電流(I1)波形170と、アシスト電流(I2)波形172とを含む。これらの波形は、対応する電流パルス174,176および178,180を含み、それらは、上述のように、概して連続的に印加される。
【0032】
書込電流パルス178,180は、各々、選択された比較的高周波数において、高周波成分を有するものとして特徴付けられる。高周波アシスト電流パルスが、高周波数で変化するアンペア場を与える。一般的に、アシスト電流の周波数は、強磁性共振状態を確立し、自由層の歳差角度が急速に増加し、所望の状態への高速スイッチングを促進する。書込電流も、または代替的に連続した高周波パルスとして印加されてもよい。
【0033】
図7は、上記のフィールドアシストされた歳差を達成する1つの手法を示す。図7においては、アシスト層130は、アレイ104にわたって、ビットライン112に関連して、平衡で間隔をもって延びる導体として伸延する。それぞれの書込電流I1およびアシスト電流I2が示される。アシスト場の向きがアシスト層130に沿って流れる電流の向きに依存することに注意すべきである。アシスト層導体はアレイにわたって他の方向に伸延することもでき、ビットライン112に垂直またはいくらか他の角度(たとえば、ビットラインに対して45°)を含むことが理解されるであろう。アシスト場を同様に生成するために、局部コイルまたは必要とされるアシスト場を生成するアシスト層を提供するように適合された他の構造のような、他の機構を用いることができる。
【0034】
アシスト層130は、アシスト層に所望の方向のフィールドアシスト電流の必要とされる流れを確立する、個別の電流ドライバ190,192に結合される。同様に、ビットラインドライバ194およびソースラインドライバ196は、協働してメモリセル106に所望の方向の書込電流を流す。
【0035】
本明細書で提示されたさまざまな実施形態の各々において、アシスト場は、所望の磁化歳差の効果を得るために、過度に大きくする必要はない。多くの場合、書込(スピン)電流によって確立される関連したセルスイッチング場(Hc)よりも約10倍小さいアシスト場が、3〜5倍の係数でスイッチング場の分布を低減し、かつ大幅なマージンによってスイッチング確率を増加するのに十分であり得ることが見出された。これは、空間効果、低電力および低コスト設計の選択を可能にする。
【0036】
図8は、上述の議論に従って実行されるステップを一般的に示す「磁場アシスト電流を用いたデータ書込み」ルーチン200を記載する。アレイ104に書込まれるべきデータが、ステップ202にて受信され、装置100は、受信データを記憶するために、個々の状態にプログラムされるべきさまざまなセルを認識する。各選択されたセルについて、ステップ204にて書込電流パルスが印加されて、所望の状態へのセルのプログラミングを開始する。
【0037】
ステップ206にて、書込電流の継続的な印加の間に、フィールドアシスト電流の流れが引き続いて開始される。書込(スピン)電流がステップ208にて停止され、引き続いて、ステップ210にてアシスト電流が停止される。必要に応じて、ステップ212にて、読出し検証動作がセルについて実行されて、セルが所望の状態に到達しているか否かを判定してもよい。しかしながら、フィールドアシスト電流が所望の最終状態への磁化歳差運動を保障した強化された確率は、通常動作の間における読出し検証動作を不必要にし得る。
【0038】
本明細書において上記で提示したさまざまな実施形態が、磁気メモリ素子へのデータの書込みにおいて多くの利益を提供することが理解されるであろう。本明細書で説明されたようなフィールドアシストされた磁化歳差書込みの使用は、メモリセルが1回の書込動作において所望の書込状態を達成する確率を大幅に向上することができる。アンペア場は書込電流パルスの持続時間および振幅をさらに低減することができ、それによって、より低い全体的な電力消費要件で、より高速なデータアクセス動作を提供する。
【0039】
メモリセルについての電流のみのスイッチング方法は、所望の書込状態を達成するために、相対的に厳しい(tight)書込電流均一性要件を有し得る。この要件は、本明細書で記載されたようなフィールドアシストされたスイッチングを用いて緩和され、製造容易性および磁場使用中のアレイの後続的な信頼性の双方における改善をもたらす。
【0040】
本明細書で開示されたいくつかの実施の形態から生じる関連した利益は、読出動作が、プログラム状態を検出するためにメモリセルを通して相対的に低い振幅の読出電流を印加することを含むという事実である。本明細書において具現化されるような、書込中のフィールドアシスト電流の使用は、読出動作中にメモリセルを通して流されるのに必要な書込電流の振幅を低減し得る。どれだけ書込電流振幅の減少が達成されるかに応じて、典型的な電流のみのスイッチングシステムの場合のように個別の読出電流生成回路および書込電流生成回路を必要とするよりはむしろ、装置の単一電流生成回路によって読出電流および書込電流の双方を生成することができ得る。
【0041】
本明細書において開示されたさまざまな実施形態は、一回書込型(追記型)または多数書込型メモリにおける使用に適している。STRAMメモリセルが例示的な実施形態として用いられたが、ソリッドステートメモリおよび回転磁気メモリを含む多くの異なるタイプの磁気素子構造が上記の技術を含み得るので、本開示はそれに限定されない。
【0042】
たとえ、本発明のさまざまな実施形態の多くの特徴および利点が、本発明のさまざまな実施形態の構造および機能の詳細とともに上記の説明に記載されたとしても、この詳細な説明はほんの例示的なものに過ぎず、詳細において、特に本発明の原理の範囲内で部品の構造および配列の点において、添付の特許請求の範囲に表現された語句の広く一般的な意味によって示される全範囲までの変更がなされても良いことが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0043】
100 データ記憶装置、102 コントローラ、104 メモリモジュール、106 メモリセル、108 メモリ素子、110 スイッチングデバイス、112 ビットライン、114 ソースライン、116 ワードライン、120 下部電極、122 上部電極、124 基準層、126 トンネリングバリヤ層、128 自由層、130 アシスト層、132 電気的絶縁層、134 ベース半導体基板、136,138 ドープ領域、140 ゲート、142,142 導電性構造、150 電流波形、158,160,178,180 書込電流パルス、162,164 アシスト電流パルス、170,172 波形、174,176 電流パルス、190,192 電流ドライバ、194 ビットラインドライバ、196 ソースラインドライバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
所望の磁化状態へ磁気メモリ素子の磁気歳差運動を開始するために、前記素子を通して書込電流を印加するステップと、
前記素子上に磁場を誘起するために、前記書込電流の連続した印加の間に、前記磁気メモリ素子に隣接するフィールドアシスト電流の流れを実質的に開始するステップとを備え、
前記フィールドアシスト電流は、前記書込電流が停止された後も持続され、前記所望の磁化状態へのフィールドアシストされた歳差を提供する、方法。
【請求項2】
前記フィールドアシスト電流は、前記磁気メモリ素子と隣接非接触関係で伸延する導体に沿って流れる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記磁気メモリ素子は、スイッチングデバイスに結合された磁気トンネリング接合(MTJ)を含み、
前記磁場は、選択可能な磁化方向を有する前記MTJの自由層を通過して、前記所望の状態への前記自由層の歳差切換えを容易にする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記印加するステップは、前記磁気メモリ素子に各々接続される第1の制御ラインから第2の制御ラインへ、前記磁気メモリ素子を通して前記書込電流を通すステップを含み、
前記実質的に開始するステップは、前記メモリ素子ならびに前記第1および第2の制御ラインと非接触関係で隣接して伸延する第3の制御ラインを通して、前記フィールドアシスト電流の流れを確立するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フィールドアシスト電流は、前記磁気メモリ素子の自由層の容易軸に対して、非直交の角度で流れる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記フィールドアシスト電流は、前記メモリ素子を通る前記書込電流の方向に関連して選択された前記メモリ素子に隣接する方向で導体に沿って通過する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記フィールドアシスト電流は、選択された周波数の相対的に高周波成分を有し、前記選択された周波数において、対応する時間的に変化するアンペア場(ampere field)を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記メモリ素子は、基準層と、前記基準層からトンネリングバリヤ層によって分離された自由層とを有するスピントルクトランスファランダムアクセスメモリ(STRAM)メモリセルとして特徴付けられ、
前記基準層は、固定された磁化方向を有し、
前記自由層は、前記基準層の磁化方向に対して平行方向と非平行方向との間を切換えることができる可変磁化方向を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
装置であって、
磁気メモリ素子を備え、前記磁気メモリ素子は、前記メモリ素子への書込電流の印加に応答する所望の磁化状態にプログラム可能であり、
前記装置は、
前記磁気メモリ素子への非接触接合点に伸延し、前記書込電流の連続的な印加の間にフィールドアシスト電流の流れを開始して前記素子上に磁場を誘起するように適合されたアシスト層をさらに備え、
前記フィールドアシスト電流は、前記書込電流が停止された後も持続され、前記所望の磁化状態へのフィールドアシストされた歳差を提供する、装置。
【請求項10】
前記書込電流の流れる方向に応答する選択された方向で、前記アシスト層に沿って前記フィールドアシスト電流を流すように適合された電流ドライバをさらに備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記アシスト層は、前記磁気メモリ素子と隣接非接触関係で伸延する導体を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記磁気メモリ素子は、スイッチングデバイスに結合される磁気トンネリング接合(MTJ)を含み、
前記磁場は、選択可能な磁化方向を有する前記MTJの自由層を通過して、前記所望の状態への前記自由層の歳差切換えを容易にする、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記印加するステップは、前記磁気メモリ素子に各々接続される第1の制御ラインから第2の制御ラインへ、前記磁気メモリ素子を通して前記書込電流を通すステップを含み、
前記実質的に開始するステップは、前記メモリ素子ならびに前記第1および第2の制御ラインと非接触関係で隣接して伸延する第3の制御ラインを通して、前記フィールドアシスト電流の流れを確立するステップを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記フィールドアシスト電流は、前記磁気メモリ素子の自由層の容易軸に対して、非直交の角度で流れる、請求項9に記載の装置。
【請求項15】
前記フィールドアシスト電流は、前記メモリ素子を通る前記書込電流の方向に関連して選択された前記メモリ素子に隣接する方向で導体に沿って通過する、請求項9に記載の装置。
【請求項16】
前記フィールドアシスト電流は、選択された周波数の相対的に高周波成分を有し、前記選択された周波数において、対応する時間的に変化するアンペア場を生成する、請求項9に記載の装置。
【請求項17】
装置であって、
不揮発性磁気データ記憶セルのアレイと、
前記アレイの選択されたセルを通して書込電流を流して、前記選択されたセルの自由層の磁気歳差運動を所望の磁化状態にするように適合された第1の電流ドライバと、
前記書込電流の連続的な印加の間に、前記選択されたセルの隣接するフィールドアシスト電流の流れを実質的に開始して、前記セル上に磁場を誘起するように構成された第2の電流ドライバとを備え、
前記フィールドアシスト電流は、前記書込電流が停止された後も持続され、前記所望の磁化状態へのフィールドアシストされた歳差を提供する、装置。
【請求項18】
ホスト装置からの前記アレイにデータを記憶するための要求に応答して、前記第1および第2の電流ドライバが、それぞれ前記書込電流およびフィールドアシスト電流を開始するように向けるコントローラをさらに備える、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第1の電流ドライバと前記選択されたセルとの間に結合され、前記選択されたセルに前記書込電流を伝達するように適合された第1の制御ラインと、
前記第2の電流ドライバに結合され、前記第1の制御ラインと前記選択されたセルを伴う非接触接合点を通って、前記選択されたセルに隣接する前記フィールドアシスト電流を伝達する第2の制御ラインとをさらに備える、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
ポータブルメモリカードとして特徴付けられた、請求項17に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−99210(P2012−99210A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235917(P2011−235917)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(500373758)シーゲイト テクノロジー エルエルシー (278)
【Fターム(参考)】