説明

モータサイクル

モータサイクルが乗車位置を定め、該位置は走行方向においてエンジンの後部かつ後部タイヤ(23)の前に位置する乗り手の足部に対して設けられ、これら位置では乗り手の足の内側間の距離が後部タイヤ(23)の幅よりも小さくなることがある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモータサイクルに関する。
【背景技術】
【0002】
モータサイクルは、簡単なモペット・スルー・スクータ、いわゆる十代の若者を目的に設計されたエンジン容量が比較的低い「始動機付きモータサイクル」、公知のハーレーダビッドソンなどのレトロ調のツーリング・モータサイクル、高い乗車位置で設計されたダートトラック及びモトクロス用モータサイクルから、速度と性能に重点を置いたスポーツ及びレース用モータサイクルまでの種々の異なる形式がある。
【0003】
以下の詳細な説明から明白であるように、本発明は主として、スポーツ及びレース用モータサイクルに関する。しかしながら、本発明の広い適用範囲は、それに限定されない。本明細書中に開示され、それら自体が新規であると確信される多数の特徴は、モータサイクルの他の形式においてより広い実用性を有することになる。
【0004】
現代の軽量複合材料の使用は、スポーツ及びレース用モータサイクルの全総量の減少を可能にしてきた。空気力学的に形状化された車体の使用は、モータサイクル及びその乗り手によって示される有効断面全体に対して走行中のモータサイクルを通過する有益な空気流が達成されることを可能にしてきた。しかしながら、従来のモータサイクルの基本設計は、この有効断面が軽減できる程度において有効となる限界があった。乗り手の足の位置が最大傾き角度を有効に定義するが、これは、乗り手の足を置くペダル又は足載せ台(足載せ台)が地面に接触してはならないからである。このように、理論的には、乗り手の足に対してより低い位置が、モータサイクルに対し全高をより低くし、このように有効断面をかなり減少させることを可能にする一方で、こうした減少が、激しいカーブを曲がるときに乗り手を危険にさらすことなく実行できることには限界があった。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、乗車位置を定めるモータサイクルが提供され、走行方向においてエンジンの後部、後部タイヤの前に配置される位置が設けられ、これら位置において乗り手の足の内側の距離が後部タイヤの幅よりも小さくなってもよい。
【0006】
好ましい実施の形態は、以下の特徴の1つ以上を有する。すなわち、モータサイクルは、後輪を支持し、走行方向における乗り手の足の前方位置でモータサイクルの残りの部分に結合されるスイングアームを備えたリヤ・サスペンションを有し、このスイングアームは、走行方向における乗り手の足の位置においてモータサイクルの内側面を占有する。後輪への駆動は、モータサイクルのほぼ内側面に位置し、乗り手の足の後部の位置でスイングアーム上又はそこに取り付けられるクロスシャフトに結合される第1のベルト若しくはチェーンを介して、さらにクロスシャフトを後輪に結合させる1つ以上の第2のベルト若しくはチェーンによって伝達される。2つの第2のベルト若しくはチェーンは後輪の各側面にそれぞれ設けられる。モータサイクルは、ベルト用の出力ホイール、又はチェーン用の出力スプロケットを有するギアボックスを有し、スイングアームは、前記出力ホイール若しくはスプロケットの軸線と同軸の回転継手によってモータサイクルの残りの部分に結合される。スイングアームは、ギアボックスと、乗り手の足の位置に対応する後輪との間に狭い部分を設けるようにくびれている。そのくびれた部分は、ある程度の側方へのコンプライアンス(柔軟性、変形のしやすさ)を付与する。スイングアームは片面式であり、その片側面で後輪の車軸に結合される。あるいはまた、スイングアームは、モータサイクルの内側面に対してほぼ左右対称であり、ダブル・ヨーク構成を含み、これは、後輪に対し両面式であり、モータサイクルの両面上の後輪車軸に結合され、回転継手によってモータサイクルの残りの部分に結合される他端に2つのアームを有する。モータサイクルは、フレームレスであり、スイングアームはギアボックス・ケーシングに取り付けられる。モータサイクルは、ギアボックスに取り付けられ、ギアボックスの後部に乗り手の足の位置を定める足載せ台を支持するサブフレームが設けられている。リヤ・サスペンションは、サブフレームとスイングアームとの間を結合するバネ及び/又はダンパ構造を含む。このバネ及び/又はダンパ構造は、ダンパ本体の下に取り付けられるバンプ・ストップを備えたスルーロッド式のダンパを含み、このバネは積層された片持ち式設計である。あるいはまた、リヤ・サスペンションは、バネ及びダンパ構造を備えることもでき、ここでダンパはスイングアームとモータサイクルの残りの部分との間に結合され、トーションバーはスイングアームとモータサイクルの残りの部分との間の回転連結器に組み込まれる。クロスシャフトは、後車軸の高さよりも上に配置され、さらにギアボックス出力ホイール若しくはスプロケットの高さよりも上に配置される。チェーン/ベルト張力は、スイングアームに対して垂直方向及び/又は水平方向にクロスシャフトの位置を調整することによって調節可能である。
【0007】
代替的配置において、スイングアーム・ピボットは、出力ホイール又はスプロケット・ピボットと同軸ではない。更なる代替例において、スイングアームが、ギアボックス/エンジン・ユニットよりもむしろフレームに結合され、サブフレームが、フレームの一部、若しくは該フレームに取り付けられる別個のサブフレームから構成することもできる。
【0008】
モータサイクルデザインでは従来よりも、乗り手の足の位置がより近接している状態で、乗車位置が全体高さに関してより低くされることもできるが、これは、乗り手の足の位置が近接し、大きく曲がる場合に乗り手を危険にさらすことなく垂直方向に低くすることができるからである。これにより、モータサイクルを通過する空気流に対する有効断面をより小さくすることが可能である。
【0009】
乗り手が低いタック位置をとることができる場合、空気流に対する有効断面が更に減少される。モータサイクルのための多くの従来のフロント・サスペンション・システムは、乗り手がハンドルバーの位置レベルまで、少なくとも部分的にハンドルバーの間へと頭部を下げることを防止する。こうしたことを可能にする新規なフロント・サスペンション・システムが本明細書中に記載される。
【0010】
したがって、本発明のモータサイクルの好ましい実施の形態は、3つの自由度、即ち、ホイールスピン、サスペンショントラベル、及びステアリングを備え、モータサイクルの残りの部分から前輪及びハンドルバーを支持するフロント・サスペンション・システムを備えている。このサスペンション・システムは、ホイールスピンを付与するように車輪が回転継手によって結合される第1の構造、及び、左右のそれぞれのハンドルバーを含み、ラインに沿って第1の構造に対し第2の構造の動作を可能にする構造によって第1の構造に結合される第2の構造から構成される。上記第1の構造は、球面自由度を付与しモータサイクルの中央内側面に配置される継手、及びモータサイクルの前記残りの部分を備えたそれぞれの回転継手によって、第1の構造に取り付けられる上側及び下側のそれぞれのスイングアームによってモータサイクルの前記残りの部分に結合され、回転継手はモータサイクルの中央内側面に対して法線となる軸線を有する。ステアリングは、球面自由度を付与する前記2つの継手を介して軸線回りに設けられ、第2の構造は、自由度を自由に維持しながら、モータサイクルの前記残りの部分に対して主に平行移動の自由度を制止するリンケージによってモータサイクルの前記残りの部分に結合される。
【0011】
抑制された主に平行移動の自由度は、ほぼ直立方向であることが好ましい。「直立」方向とは、モータサイクルの傾斜角度がゼロであるときに厳密に垂直方向となるモータサイクルの内側面内の方向であることを意味する。
【0012】
第2の構造及びモータサイクルの前記残りの部分の間でリンケージによって自由が制限される主たる方向は、直立方向に厳密に位置合わせされる必要はないが、直立方向から45度内にあることが好ましく、「ほぼ直立方向に」という用語は、これを意味するように理解すべきである。この主たる方向は、ハンドルバーが回転され、又はサスペンションが上下すると、変更することもある。主たる方向は、45度の範囲内でステアリング軸に平行なラインにほぼ沿っていればよい。
【0013】
前記リンケージは異なる形状をとることもできる。1つの可能性は、モータサイクルの残りの部分に球面自由度を付与する第1の継手と、この第1の継手と剛性的に結合され第2の構造に球面自由度を付与する第2の継手と、を有する二重球面リンケージ(「ドッグボーン」式連結と呼ばれることが多い)である。
【0014】
代替的な構造において、前記リンケージは、キャリッジ/トラック構造によって提供され、湾曲トラックが第2の構造及びモータサイクルの前記残りの部分の一方に取り付けられ、第2の構造及びモータサイクルの残りの部分の他方にはキャリッジが取り付けられ、該キャリッジがトラックを追随するように拘束され、トラックがステアリング軸にほぼ垂直な平面に延出し、その湾曲部がステアリング軸上に実質的に中心を有し、第2の構造及び前記残り部分の前記一方と、キャリッジ若しくはトラックとの接続が、球面自由度を付与する継手を介した接続であり、それらの1つの要素が第2の構造及び前記残りの部分の前記一方に固定して取り付けられ、他方の要素がステアリング軸からほぼ放射状の方向にキャリッジ又はトラックに対して自由に平行移動可能である。
【0015】
トラックが延出する平面は、ステアリング軸に対し厳密に垂直である必要はなく、その湾曲部がステアリング軸上に厳密に中心を有する必要がなく、さらに、前記他の要素が自由に平行移動可能である方向がステアリング軸に対し厳密に放射状である必要もない。しかしながら、好ましくは乗り手によって知覚されるようなハンドルバーの位置は、モータサイクルの使用時に相当量の距離を変化すべきではない。
【0016】
一実施の形態において、ラインに沿って第1の構造に対して第2の構造の動作を可能にする前記構造が、角柱状継手(prismatic joint)から構成される。
【0017】
角柱状継手とは、スライド方向に対して回転せずにスライド動作を行なう継手を意味する。必ずしもそうではないが、スライド動作は直線に沿ったものであることが好ましい。
【0018】
第1の実施の形態の好ましい配置において、第1の構造はヨークから構成され、第2の構造は、また、2つのハンドルバーの接続点を含む中央部分を有するヨークを備える。第2の構造は、転動体線形軸受(rolling element linear bearing)、好ましくは交差ころスライド(crossed roller slide)によって第1の構造に接続される。
【0019】
第2の実施の形態において、ラインに沿って第1の構造に対して第2の構造の動作を可能にする前記構造は、一対の垂直方向に離間されたリンクから構成され、各リンクは、回転継手によって第1の構造及び第2の構造に結合される。この構造は湾曲経路に沿った動作を付与することを理解されたい。
【0020】
球面自由度を付与する前述した継手のいずれも球面継手であればよく、あるいは、同じ自由度、例えばジンバルを有効に提供する少なくとも1つの他の継手によって行なうこともできる。2軸ジンバルは、スイングアームに関連付けられる球面自由度を付与する継手に対して十分であり、ジンバルの2つの軸が、スイングアームをモータサイクルの前記残りの部分に接続させる回転継手、及びスイングアームに関連付けられる球面自由度を付与する2つの継手を結ぶ直線によって定義されるステアリング軸に、それぞれ平行に位置合わせされるのであれば、第3の軸は必要ではない。
【0021】
好ましい構造は、以下の特徴の1つ以上を有する。すなわち、下側スイングアームは片面式であり、針状ころ軸受(needle roller bearing)によってエンジンの正面から旋回される。上側スイングアームは、一対の針状ころ軸受によってエンジンのシリンダヘッドから旋回されるウィッシュボーン形状である。前輪スポークは、片面にずれて置かれている。バネ−ダンパ・サスペンションユニットのダンパは、シリンダヘッド及び下側スイングアーム間に取り付けられる。第1の構造は、代替的構造における両面式よりもむしろ片面式であればよい。
【0022】
下側スイングアームのための好ましい構造が片面式であるのに対して、代替的に、大径車輪軸受けを通過する両面式とすることもできる。同様に、上側スイングアームが好ましくはウィッシュボーン構造を備えた両面式である一方、片面式でもよく、車輪エンベロープ内部に配置されてもよい。サスペンション支柱(ストラット)は、下側スイングアームよりもむしろ上側スイングアームに結合されてもよく、ライジングレート(rising rate)ロッカ機構によって、いずれかのスイングアームに結合されてもよい。
【0023】
上側及び下側のそれぞれのスイングアームをモータサイクルの残りの部分に結合させる回転継手の一つは、バネ−ストラット・サスペンションユニットのバネ要素を提供するトーションバーを介して行なわれてもよい。ピストン−シリンダ・ダンパは、トーションバーに関連付けられるスイングアーム若しくは他のスイングアームと、モータサイクルの残りの部分との間に結合されて、バネ−ストラット・サスペンションユニットの支柱構成要素を提供してもよい。
【0024】
好ましい構造は、フロント・サスペンション部材がエンジンに取り付けられるように従来のフレームを排除することであるが、本明細書中に定義されるようなフロント・サスペンションは従来のフレームと同様にうまく使用することができ、その場合、上側及び下側のそれぞれのスイングアームはエンジンよりもむしろそのフレームに好適に結合されることになる。
【0025】
好ましい構造において、モータサイクルの中央内側面から側面へのある程度のコンプライアンスは、下側スイングアームと、該アームを直立部に結合する球面継手との間に設けられる。前記球面継手の内側部を取り付ける下部構造と、下側スイングアームの主要部とを接続する曲げ部材を使用する構造について以下に説明する。好ましくは、この曲げ部材は、前記内側部を中央内側面に直角な平面内の前記主要部に対して円弧経路に沿って移動させ、そこに中心を持つように配置される。このようなある程度の側方へのコンプライアンスの付与は、上側スイングアーム及び/又は下側スイングアームを用いて直立部をモータサイクルの残りの部分に結合させるモータサイクル自体において新規であると考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は、より詳細には、添付図面を参照して単なる一例として以下に記載される。
【0027】
最初に図1、図2a乃至図2dを参照すると、本発明の教示にしたがって構成されたモータサイクル2に着座した乗り手1が示され、この乗り手1は、従来のように、乗り手の両手がそれぞれ左側ハンドルバー3及び右側ハンドルバー4を握っている状態の概して直立着座姿勢で乗車している。このモータサイクル2は、前方に透明スクリーン6を含む車体構造5を有する。
【0028】
図2bの上面図に最良に図示されるように、車体構造はほぼひとしずくの涙の形状であり、図1及び図2a乃至図2dに示されるように乗り手が直立位置で着座されている状態でも、乗り手の足部及び脚部が車体構造輪郭内に基本的に収容されるので、モータサイクルが速度を上げて走行するときの空気流にさらされることがないことに留意されたい。
【0029】
空気流に対し乗り手によって与えられる断面積をさらに減少するために、図1、図2a乃至図2dに対応する、乗り手の胴体がエンジン及び/又は燃料供給部(これらの図には示されず)上に身をかがめている姿勢とは異なり、別な方法で、図3、図4a乃至図4bに示すような第2のほぼうつ伏せ乗車姿勢をとることができる。結果として、このタック位置における乗り手の断面積が空気流に対する抵抗を低くしている。これらの図から乗り手の重量の一部がその膝部によって支持されることもまた、理解されるだろう。
【0030】
特に図2a及び図4aの正面図ならびに図2d及び図4dの背面図から明らかであるように、乗り手の足及び下肢の位置は普通ではない。この乗車位置において、常として、乗り手の足はエンジン9(図5)の後部、後部タイヤ10の前に配置されるが、これらに示されたモータサイクルにおいて、乗り手の両足8間の距離は後部タイヤ10の幅よりも小さい。結果として、図2a及び図4aの正面図ならびに図2d及び図4dの背面図から最良に理解されるように、足載せ台やペダル、及びその上に置かれる乗り手の足は車体構造5の外形(輪郭)内部に容易に収容されるので、それが基本的に空気流に対する抵抗を示すことはない。乗り手の足がこれまでの設計によるモータサイクルよりも実質的により接近する乗車姿勢を定めることによって、全体の乗車姿勢が、モータサイクル上に身を乗り出して危険なカーブを曲がるときに、乗り手を危険にさらすことなく、垂直方向に低くすることができる。
【0031】
図6、図7、図8及び図10から最も良く理解できるように、エンジン及びギアボックスから後輪へ駆動を伝達するための別の構造に結合されるリヤ・サスペンションに対する新規な構造を採用することによって、この実施の形態のモータサイクルにおいて、乗り手の両足間の離間距離の軽減が達成される。
【0032】
モータサイクルのリヤ・サスペンションは、モータサイクルの残りの部分(一般には、エンジン及びギアボックスを支持するモータサイクル・フレーム)に対して後輪を支持し、2つの自由度(即ち、ホイールスピン及びサスペンショントラベル)を後輪に備えるように必要とされる。ギアボックス出力シャフトから後輪へのドライブ・トルクを伝達するための手段をさらに設けなければならない。
【0033】
現在のモータサイクルにおいて、サスペンショントラベルが回転継手(revolute joint)によってフレームに取り付けるスイングアームによって行なわれ、その軸線がモータサイクルの内側中心面に垂直に延出するのが従来式である。一般に、スイングアームは、ヨークのアームが2本のアーム間の回転軸を支持するために後輪のいずれか一方の側に延出するヨーク構造を有することになる。しかしながら、レース用モータサイクルの実用性を見出す共通した変形が車輪若しくはタイヤをより簡単に交換させるための、片面式スイングアームである。後輪への駆動は、直接ギアボックス出力シャフト上の車輪若しくはスプロケットから後輪上の車輪若しくはスプロケットへと走行するチェーン若しくはベルトによって行なわれることもできる。代わりの構造は、ギアボックス出力シャフトから後部回転軸上のベベル駆動装置へと駆動を伝達するための駆動軸を設けることである。これら2つのいずれの場合にも、足載せ台間の空間は、後部タイヤの幅、及び駆動構造に安全操作に必要なクリアランスを加えたものによって決定される。したがって、一般的なチェーンドライブ構造において、足載せ台の位置の幅は以下のように決定される。すなわち、後部タイヤ幅+チェーンクリアランス+チェーン幅+フレームまでのクリアランス+フレーム幅である。ゆえに、このような従来のモータサイクルにおいて、足載せ台の内側端部間の最小距離は、いずれの側面においても、後部タイヤ幅(例えば190mm)+約50mmを加えたものとなり、合計290mm以上となる。この状況は、シャフト駆動システムに対するのとほぼ同じである。
【0034】
一方、図6、図7、図8及び図10に図示される構造において、実質的にモータサイクルの中央内側面にあり、後部回転軸17よりも高い位置においてスイングアーム16から支持されるクロスシャフト15に取り付けられるスプロケット14の回りを走行する一次チェーン13によって、ギアボックス12の出力スプロケット11からの駆動が受け取られる。第2の駆動チェーン18は、クロスシャフト15に取り付けられる第2のスプロケット19回りを通過し、後部回転軸17に取り付けられるスプロケット20に駆動を伝達する。この構成では、運転者の足は、モータサイクルの走行方向上の位置に配置されることができ、ここで唯一の駆動構成要素は、モータサイクルのほぼ中央内側面に位置する一次チェーン13である。この位置でくびれた形状21を有するスイングアーム16を設けることによって、足載せ台22は、駆動構造、及びリヤ・サスペンションのスイングアームを妨害することなく共に近接させて位置決めすることができる。その結果、左右のフットペダル22間の離間位置は、後部タイヤ23の幅よりも容易に小さくすることができる。
【0035】
モータサイクルの本実施の形態において、スイングアーム16は、直接ギアボックス12上に枢軸を置き、この場合は針状ころ軸受24によって軸支され、その回転軸が、モータサイクルの中央内側面に対する法線であり、ギアボックス出力スプロケット11の軸と同軸である。ゆえに、モータサイクルの図示された実施の形態は、従来のフレームを有していない。むしろ、ギアボックス及びエンジンが、従来のフレームの代わりに構造上の部品の働きをする。代替的な構造において、リヤ・サスペンション及び駆動構造の図示された形態は、従来のフレームを有するモータサイクルにおいても使用され得ることは容易に認識されたい。
【0036】
従来のチェーン駆動構造では、その地点においてフレームを非常に幅広にすることなく、出力スプロケットと同軸であるスイングアームピボットを達成することが困難である。モータサイクルの中央内側面に出力スプロケットを設けることによって、スイングアームは、ギアボックス出力スプロケット軸と同軸である軸上に容易に収容されることができる。このことは、サスペンショントラベル範囲にわたってほぼ一定のチェーン張力、及びより一貫性のある非しゃがみ姿勢を実現する。
【0037】
通常、モータサイクル・エンジンのクランク・シャフトは、車輪と同じ回転感覚で動作する。しかしながら、一部のレース用モータサイクルは、コーナリングの際のジャイロ力を相殺するために、逆向きクランク回転で設計される。中心スプロケット11に対する更なる駆動ギアの提供は、こうした好ましい逆向きクランク回転を行なうために、容易に使用されることができる。
【0038】
クロスシャフト15は、スイングアーム16上、若しくは該アームに取り付けられ、その上側に取り付けられる。チェーン張力は、クロス・シャフトを垂直に及び/又は水平に移動させて、一次及び二次のそれぞれの駆動チェーン上に適切な張力を得ることによって調整されることもできる。このことは、スイングアームに対してクロスシャフト軸受け支えにシム(詰め木)を入れることによって容易に達成できる。この手段によって、チェーン・テンションは、簡素化、軽量化、及び剛性化された設計が可能にするスイングアームに対して固定した位置における回転軸で達成することができる。クロスシャフト自体がバネ下質量に加わることになるが、それが後輪のスイングアーム・ピボット24からの距離の約半分であるときに、その質量の4分の1を全体の構造の有効バネ下質量に寄与するのみとなる。
【0039】
図6及び図8に最良に示されるように、足載せ台22はギアボックス12のハウジングに26においてボルトで締められるサブフレーム25に取り付けられる。図6、図8及び図10に示すように、リヤ・サスペンションバネ及びダンパ・ユニットは、サブフレーム25及びスイングアーム16の間に取り付けられる。図示された配置において、ダンパ27は、ダンパ本体の下に取り付けられるバンプ・ストップ27aを有する通しロッド形である。他の構造、例えばダンパ構造上のコイルバネが使用できるけれども、バネ28が足載せ台領域内におけるパッキングを容易にするために積み重ねた片持ちばり設計であることが好ましい。ダンパ上のコイルバネは、ライジングレート・ロッカ機構によってスイングアーム16に接続されることもできる。図10に最良に示された図示の配置において、バネは、複数の、一般におよそ25個の薄板バネや重ね板バネから成り、これらバネは一端においてアーム28bに結合される垂直スタック28aにほぼ水平に取り付けられ配置され、このアームはスイングアーム16上で旋回され、他端においてギアボックス12の後部にボルト止めされて、片持ちばり式にギアボックス12から延出する。スタック28aはサブフレーム25の領域内に容易に収めることができる。この薄板バネの片持ちばり式スタック及びモータサイクルのリヤ・サスペンションにおけるその使用はそれ自体が新規であると考えられる。
【0040】
スイングアーム16のくびれ部分は、水平方向よりも垂直方向が幅広である。これは、高剛性を垂直方向に駆動チェーン負荷のラインに沿って供給する。同時に、特にくびれ領域21における比較的低い側方剛性は、高い傾き角度で乗り心地を改良するために側方コンプライアンス(横方向の柔軟性)を付与する。スイングアーム16の後部は、非常に高剛性とされて、二次駆動チェーン張力からの変形を回避する。
【0041】
図面に示されるモータサイクルの実施の形態はまた、乗り手がかがんだ乗車姿勢に押し込まれるとき低い姿勢をとることを可能にする新規形式のフロント・サスペンションを組み込む。
【0042】
多くの異なるトポロジーは、図11、図12、図13a乃至図13o図、及び図14の概略図を参照して詳細に説明されるようなモータサイクル・フロント・サスペンション・システムに対して実現可能である。
【0043】
基本的に、図11に示されるように、同じ4つの本体は、すべてのモータサイクルのトポロジーに存在する。これらは、車輪W、直立部U、ハンドルバーH、及び主要モータサイクル構造、通常はフレームFから構成される。これらの構成要素間に、ステアリング軸Sがさらに定義される。これらの4つの構成要素は、回転、球面、角柱、回転の各結合、及び平行移動制止継手(translation-restraining joint)として図12に概略的に示される多数の代替的継手によって連結される。二重球面(double-spherical)あるいはドッグボーン(犬用の骨)式などもある。この意味における「回転結合」によって、各本体の他の5つの自由度に制約を置くことなしに1つの本体から他の本体に角度位置を移動させる手段が意図されるが、他の自由度がその結合によって定義される角度関係に十分に影響を及ぼすこともある。このような回転結合の一般例は、回転継手で本体のそれぞれに取り付けられるウィッシュボーン式であり、このウィッシュボーンの外側地点は、球面継手、又は、各本体に接続され且つ角柱状継手と結合されるフック継手(Hooks joint)で結合される。「平行移動制止継手」によって、残りの自由度を自由にしたまま、主に平行移動の自由度を制限するリンケージが意図される。こうした平行移動制止継手の一般的な例は、2つの球面継手が剛体的に結合される二重球面若しくはドッグボーン式継手である。
【0044】
図13は、第1の実施の形態の新規なトポロジー、及び既に周知の14のトポロジーを含む15の異なるトポロジーを概略的に図示している。図14は、本発明の範囲内にある更なる新規なトポロジーを概略的に示し、その実施の形態は、図17乃至図32を参照して以下に詳述される。図13a乃至13j及び図13l乃至図13oの周知のトポロジーの多くにしたがうデザインの写真及び図面は、「モータサイクル取り扱い及びシャーシ設計、技術及び科学(Motorcycle Handling and Chassis Design, the Art and Science)」(トニー・フォール、2002年発行)に見ることができる。
【0045】
図13a、13b及び図13cに示されるトポロジーは、主構造又はフレーム構造F上の回転継手によって、ステアリング軸Sを定めることができる。図13aのトポロジーは、標準テレスコピック・フォーク(fork)を使用する。図13bのトポロジーは、先導リンク・フォーク又は後続リンク・フォークを使用する。図13cのトポロジーは、ガーダー(girder:桁)・フォークを使用する。
【0046】
図13d、図13e、図13f及び図13gに示されたトポロジーは、主構造若しくはフレームF上に取り付けられた1つの球面継手及び直立部U及び主構造若しくはフレームF間に結合されたウィッシュボーン上に取り付けられた継手の間のステアリング軸を定義する。図13dのトポロジーは、エルフ・マッカーソン・ストラットシステムである。図13e及び図13fのトポロジーは、BMWによって採用され、図13gのトポロジーはエルフによって採用されている。
【0047】
図13h、図13i、図13j及び図13kのそれぞれのトポロジーにおいて、ステアリング軸は、直立部U及び主構造若しくはフレームF間で結合される2つのウィッシュボーン上に取り付けられる球面継手間に定義されている。図13hのトポロジーが、とりわけBMWによって使用されている。図13jのトポロジーは、とりわけヤマハによって使用されている。エルフは、図13jのトポロジーを使用している。図13kは、本明細書中に詳細に記載される第1の実施の形態のモータサイクルのフロント・サスペンション構造において使用されるトポロジーを概略的に示し、これは、それ自体が新規であると確信されている。図13l、図13m、図13n及び図13oに示されるトポロジーは、他の方法でステアリング軸を定義する。図13lのトポロジーは、ビモータ(Bimota)によって使用されている。図13mのトポロジーは、オーリンズ(Ohlins)で使用するために提案されているが、一部の更なるコンプライアンスを要求するようであり、一方、図13n及び図13oのそれぞれのトホロジーもまた、文字通りに提案されていて、図13oの場合は、更なるコンプライアンスを必要とするようである。
【0048】
以下に詳細に説明されるように、本発明のモータサイクルの第1の実施の形態に関して採用された図13kに示されたトポロジーは、第三者によって既に提案され使用されているトポロジーとは異なるものと考えられ、以下に説明するように顕著な利点を有する。図14のトポロジーは図13kのものの変形であり、図17乃至図32を参照して詳細に記載されるような本発明のモータサイクルの第2の実施の形態によって使用され、以下に詳細に説明されるように、図13kのトポロジーを超える特定の利点を提供する。
【0049】
モータサイクルの前輪の任意のフロント・サスペンション・システムは、3つの自由度、即ち、ホイールスピン、サスペンショントラベル、及びステアリングを提供するように設計されることになる。
【0050】
添付図面の図6乃至9、図15及び図16をここで参照すると、前輪29は前輪車軸において回転継手31によって直立部30に結合される。直立部30は両側にあって、逆「U」字形状をとり、前輪29のいずれかの側面上に延びる脚部32を有し、それらの下端部で前輪軸を支持する。「U」字形状の直立部30の2つの脚部32は、湾曲部分33で結合される。直立部30は、回転継手によって主構造に接続される上部スイングアーム34及び下部スイングアーム35によってモータサイクルの主構造に取り付けられ、回転継手のそれぞれの軸は、モータサイクルの中央内側面に垂直であり、モータサイクルの中央内側面に配置された球面継手によって直立部30に接続されている。下側スイングアーム35は片面式であり、針状ローラ・ベアリングとして適切に設けられた、回転継手37によってエンジンブロック36に結合される。スイングアーム35の他端は球面継手38によって直立部30に結合され、その雌部分は、直立部30の右側脚部の内側から取り付けられる。球面継手38がモータサイクルの中央内側面上に位置するために、前輪29のスポーク39は、左側にくぼみが作られていなければならない。当然ながら、鏡像配置は等しく実現可能であり、モータサイクルの左側に単一の下部スイングアームがあり、車輪スポークは右側にくぼみが作られている。この実施の形態における上部スイングアーム34は、両面形状であるが、これは、一対の針状ローラ・ベアリング40によってエンジンのシリンダ・ヘッド41に対し回転されるウィッシュボーン形状として設けられる。上部スイングアーム34は、単純な球面ベアリング42によって直立部30の中央湾曲部33に結合される。ブレーキ・キャリパ43もまた、直立部30の右側脚部から支持され、前輪29のリム45に取り付けられるディスク44と協動することもできる。
【0051】
左右のハンドルバー3及び4は、その中心が一般に開いたほぼヨーク形状の構造46に取り付けられる。
【0052】
図示された構造では、前輪が、2つのスイングアームの長さ、及びそれらがモータサイクルの主構造と直立部30とにそれぞれ取り付けられる位置によって定義される経路に沿ってサスペンショントラベル内を移動する。ここではバネ・ダンパ形状のサスペンション・ユニット47が、内側ピストンと同軸に取り付けられた外側コイルバネ48を有し、シリンダ・ダンパ構造49は、下側スイングアーム35及びシリンダブロック41間に取り付けられ、個々の針状ローラ・ベアリング若しくはブッシュ51及び52の双方によって旋回される。
【0053】
前輪29は、それぞれのスイングアームが直立部30に取り付ける2つの球面継手38及び42を介して軸回りに操向される。車輪がサスペンション走程内を移動するとき、ハンドルバー構造46は、モータサイクルのメイン構造に対してほぼ固定した位置のままにあるべきであり、ある機構によってハンドルバー構造が直立部30に接続されることが必要である。ハンドルバーは、直立部に直接取り付けられることができない。本明細書中に詳細に記載されたモータサイクルの第1の実施の形態で具体化されたトポロジーにおいて、角柱状継手がハンドルバーと直立部を接続する。角柱状継手は、クロス・ローラ・スライドなどの転動体リニア・ベアリングによって提供される。これらは、直立部の各脚部32、及びハンドルバー構造46のヨークから下方に延出する2つのアーム53の間において作動する。
【0054】
ステアリング軸がサスペンショントラベルとともにわずかに移動するので、ハンドルバーもまた、本体構造に対して移動することになり、回転継手若しくは球面継手でもって、通常の方法で本体構造に固定されることはできない。この問題は、ハンドルバー構造がサスペンショントラベルの方向に十分に移動することを抑制するが、そうでない場合にハンドルバー構造を自由にして直立部の位置に追随させる二重球面式(又はドッグボーン式)リンケージを備えたモータサイクルの主構造にハンドルバー構造46を接続することにより、本明細書中に示された構造においては克服される。図示された構造において、ドッグボーン式リンケージ54は、ハンドルバー構造46を備えた第1の球面継手55、及び符号60でシリンダ・ヘッドから取り付けられるウィッシュボーン形状ブラケット59の外側端部58の他端57において第2の球面継手を有する。ハンドルバー構造と、直立部と、ドッグボーン式リンケージとの間のリニア軸受けの作用線は、サスペンショントラベルによるハンドルバーの最小動作を許容するように選択される。ドッグボーン式リンケージは、その目的が、乗り手によってハンドルバーに付加される垂直方向の圧力に耐えることのみであるので、極めて強度が高いことは必要ではない。
【0055】
本明細書中に示されるようなダブルスイングアーム・フロント・サスペンション構造の使用は、前輪及びモータサイクルの主構造間に、従来のテレスコピック・フォークより強固な接続を行なう。図13h、図13i及び図13jのそれぞれのトポロジーを使用する従来のダブルスイングアーム・フロント・サスペンション・システムは、ハンドルバー及び直立部間にある形態の回転結合を必要とする。直立部への接続は直接的ではないので、これらの結合は、好ましくない操縦感覚を引き起こす傾向がある。この問題は、第1の実施の形態において克服されるが、角柱状継手によって極めて直接的な接続が行なわれ、この継手は特に図示された構造において剛性アーム及びタイトクロス式ローラ・スライドによって提供される。
【0056】
図6乃至図9、図15及び図16に記載され図示されるサスペンションのタイプは、ブレーキをかけるとき滑りスライダに重荷重が作用する従来のテレスコピック・フォークと比較して、極めて低い摩擦を有する。ダブルスイングアーム・フロント・サスペンション・システムは、多かれ少なかれアンチダイブ特性をもたらすように調整され得ることもあり、フルバンプにおいて約50%のアンチダイブとなるようフルドループ(full droop)で比較的低いアンチダイブを有するように調整されてもよい。
【0057】
負荷をステアリングヘッドに移動するための構造的に剛性のフレームと、負荷をもとの車輪中心部に返すための構造的に剛性のフォークとを備えた従来のサスペンション・システムと比較して、図6乃至図9、図15及び図16に記載され図示された構造はより効果的であり、ゆえに結果として構造的により軽量化されることになる。現代の複合材料と結びつけられる構造上の効率性は、バネ下質量が低くなり、ゆえにサスペンションの性能が改良される結果となる。図9の正面図から理解され得るように、従来の円筒状テレスコピックフォーク構造と比較して、前面面積が大きく減少される。この結果、フロント・サスペンションからの抗力が軽減されるのみならず、ラジエータへの流れの改良が可能になる。図示された構造において、ディスク及びブレーキ・キャリパーは、車輪形状の内部に完全に隠れ、それによって従来の構造と比較して前面面積が小さくなる。
【0058】
この第1の実施の形態に対して図示される構造はまた、非常に低いタック姿勢を可能にする。2つのヨークが約250mmだけ離れている従来のテレスコピックフォークと比較して、図示されたハンドルバー構造は、最大250mmまでの垂直高さしか維持できなくなる可能性を有する単一のヨークのみを有し、乗り手が完全にタックした状態の極めて低い姿勢をとることになるが、これは、特に、上記で詳細に説明されたモータサイクルの図示の実施の形態の他の特徴により、乗り手の足が実質的に近接して位置決めされるので、乗り手の足を低くすることが必要とされる場合よりも顕著に低くすることを可能にする。
【0059】
ハンドルバー及び直立部間の角柱状継手は、多数の異なる形状をとることもできる。具体的には、これらは、転動体リニア軸受け及びブッシュ形リニア軸受けの他の形状を含むものでもよい。それらはまた、直線上にあるよりもむしろ大きい半径のアーク上で移動する転動体若しくはブッシュ型のリニア軸受けの形状をとることもでき、あるいは何か別の非線形経路の拘束を有するものであってもよい。
【0060】
効果的に、球面自由度を付与する継手を効果的に設ける普通の球面軸受け38及び42に対する等価的な構造は、下側及び上側のそれぞれのスイングアームに対して使用することもできる。具体的には、3軸ジンバルを使用することもできる。特定の場合には、2つの軸がそれぞれスイングアームをフレームに接続する回転軸受けと平行に配置され、直立部上のステアリング軸と位置合わせされてもよい。各ジンバルの2つの軸はなお、必ずしも交差する必要はない。
【0061】
直立部が両面式よりもむしろ片面式であり、下側スイングアームが大径の車輪軸受けを通過する両面式であり、上側スイングアームが片面式で車輪エンベロープ(輪郭)内にあることもまた理解されたい。いずれのスイングアームも車輪エンベロープ内にない場合(スイングアーム構造において図13hのトポロジーのそれではなく)、両方のスイングアームが両面式であり、例えば、ウィッシュボーン形状であってもよい。
【0062】
サスペンションユニットがモータサイクルの主構造及び下側スイングアームの間に結合されて示されているが、該サスペンションユニットは代わりに上側スイングアームに取り付けられてもよい。サスペンションユニットは、ライジングレート・ロッカ機構によって、どちらかのスイングアームに結合されることもできる。さらに他の変異形では、サスペンションユニットが、テレスコピックフォークのようなリニア軸受に直接作動することもできるが、このことがドッグボーン式結合に対する更に剛性の高い取り付けを要求することにもなる。むしろ図示のように、ブレーキ・ディスクは、原則的には、車輪のどちらかの側に取り付けられるハブであってもよい。多数の直線形又は回転式ステアリング・ダンパは、本来周知であるが、付加することもできる。
【0063】
最後に、記載且つ図示されるフロント・サスペンション構造は、構成上の支持機能の働きをするエンジンに直接結合されている。ほぼ同様のフロント・サスペンション構造は、従来のフレームと共に同じようにうまく使用することができる。
【0064】
図14は、第1の記載された実施の形態において、具体化される図13kに対する代替的トポロジーを概略的に示し、角柱状継手は、同様に、直立部Uに対してラインに沿ってハンドルバーHの動作を可能にする代替的構造と置き換えられる。
【0065】
図14の概略図、ならびに添付図面の図17乃至図26、図31及び図32を参照すると、本発明によって構成されるモータサイクルの第2の実施の形態が示され、その図示されたフロント・サスペンションは、モータサイクルの前輪に対するフロント・サスペンション・システムと同様に、3つの自由度、即ち、ホイールスピン、サスペンショントラベル、及びステアリングを提供するように設計される。
【0066】
この実施の形態において、前輪101が前輪車軸で回転継手103によって直立部102と結合されることが理解される。直立部102は両面式であり、逆「U」字形状をとり、前輪101の両側で動作する脚部104を有し、それらの下端において前輪軸103を支持する。「U」字状の直立部102の2つの脚部104は、湾曲部105によって結合される。直立部102は、それぞれの回転継手108、109によって主構造に接続される上側スイングアーム106及び下側スイングアーム107によってモータサイクルの主構造に取り付けられ、それら回転継手の軸線はモータサイクルの中央内側面に垂直であり、モータサイクルの中央内側面に位置決めされた球面継手110、111によって直立部102に接続される。
【0067】
下側スイングアーム107は、図17乃至図26、図31及び図32の実際的な実施の形態において基本的に片面式であり、前輪101の左側付近を通過する。しかしながら、それは、部分的にウィッシュボーン形状を有し、その近接端部112は、図22の図面及び図23の斜視図に最良に示されるように二股に分かれて、それぞれ脚部112a、112bを定めている。近接端部112におけるスイングアーム107は、脚部112a、112bに対する円筒形端部における2つの針状ころ軸受を含む回転継手によってモータサイクルのエンジン・ブロック113に結合される。図23を参照すると、一方の脚部112aは、トーションバー114の一端と結合され、他方の脚部112bはトーションバー114に対して第3の針状ころ軸受を介して自由に回転可能である。トーションバーの他端はブラケット116に結合され、該ブラケットは、リンクロッド(図示せず)を介してエンジン・ブロック113に結合される。トーションバー114は、この構造におけるダンパのバネ、バネサスペンションユニットを提供する。あるいはまた、ダンパ回りにバネを備えたダンパシステム上にある従来のコイルバネを使用することもできる。スイングアーム107の他端は、球面継手111によって直立部102と結合され、その雌部117は、直立部102の左側脚部の内側から取り付けられる。球面継手111が、モータサイクルの中央内側面に位置するために、前輪101のスポーク118は、右側がへこんでいなければならない。鏡像構造は、当然のことながら、モータサイクルの右側上の単一の下側スイングアームと、左側にへこんだ車輪スポークを備えるものとなる。この実施の形態における上側スイングアーム106は、両面式形状であり、エンジンの円筒形ヘッド121からの一対の針状ころ軸受120によって旋回されるウィッシュボーン119として設けられる。上側スイングアーム106は、普通の球面軸受110によって直立部102の中心湾曲部105に結合される。ブレーキ・キャリパ122は、直立部102の左脚部から支持され、前輪101のリム124に取り付けられるディスク123と協動することもできる。
【0068】
左右のハンドルバー125及び126は、乗り手に極めて低いタック姿勢を取らせるために一般に中心が開放されるほぼヨーク形状の構造127上に取り付けられる。
【0069】
図示の構造では、前輪は、2つのスイングアームの長さ、及びモータサイクルの主構造と直立部102とに対するそれらの取り付け位置によって画定される経路に沿ったサスペンショントラベルを移動する。サスペンション・ダンパ・ユニット128は、下側スイングアーム107及びシリンダブロック113間に取り付けられ、それぞれの継手129及び130によって回転され、これら継手は、針状ころ軸受、ブッシュ、あるいは球面継手でもよい。
【0070】
前輪101は、2つの球面継手110及び111を介して軸線回りに操向され、それぞれのスイングアームが直立部102に結合する。車輪がサスペンショントラベル内を移動するときに、ハンドルバー構造127は、モータサイクルの主構造に対してほぼ固定した位置のままである必要があり、ハンドルバー構造を直立部102に接続するための構造が必要である。ハンドルバーは、直立部に直接に取り付けることはできない。この第2の実施の形態のモータサイクルにおいて具体化されるトポロジーにおいて、ハンドルバー構造127は、上側離間リンク131及び下側離間リンク132によって直立部102に結合され、回転継手133、134、135及び136によって、直立部102と、ハンドルバー構造127とにそれぞれ結合され、これらの継手はそれぞれ、針状ころ軸受として設けられてもよい。これら継手の位置は、サスペンショントラベルに対し備えたハンドルバーの最小動作をもたらすために最適化される。ハンドルバー構造が移動方向における直立部の後部に位置決めされるとき、従来のフロント・サスペンション構造よりも下側になることがある。図示の構造において、前輪は、完全にバンプした際の拘束機構とほぼ同じ高さになることがあり、これにより乗り手のヘルメットが完全にタックされた位置になるように極めて低くすることができる。このことは、250mmも離間された2つのヨークを有する従来のテレスコピックフォークと比較されることもあり、乗り手が完全にタックされた姿勢をとることができる最も低い位置が約250mm高いことを意味する。
【0071】
従来のテレスコピックフォーク構造のように、直立部及びハンドルバー構造がテレスコープ形ではないので、直立部の脚部は移動方向に狭くなる形状で形成されることができ、空気流に対して有効断面を減少させる。継手133及び134は、湾曲部105を備えた中央ブロック137の固体に結合し、該湾曲部は、前輪の幅よりも小さい空気流に対する断面を示す。この幅の狭いサスペンション構造は、ハンドルバー構造127が直立部102の後方に配置されるという事実と結びつき、リンク131、132及びブロック137のいずれの側面上にラジエータ138は、ハンドルバー構造127と干渉することなく位置決めされる(図17及び図18参照)空間を画定する。その結果、ラジエータは、従来の構造におけるサスペンション構造より後部に配置される必要はなく、エンジン構成要素は、従来はラジエータによって占有されていた空間内に通常は存在する場合よりも更に前方に配置されることができる。さらに、図17及び図18に示されるラジエータ構造において、ラジエータは、前輪及びテレスコピックフォークにより乱される従来の構造における通常の空気流と比較して極めて清浄な空気流より利益を得る。
【0072】
ハンドルバーの動作は、ハンドルバー構造127及びモータサイクルの主構造との結合によって更に抑制され、平行移動の自由度を顕著に抑制し、一方で他の自由度における自由を可能にする。
【0073】
上記で説明したように、抑制した自由度は、主として平行移動であり、その主たる方向はほぼ直立であるが、直立部はモータサイクルの傾き角度がゼロであるとき正確に垂直方向となるモータサイクルの中央内側面上における方向であり、正確に直立である必要はない。この抑制した方向は、ハンドルバーの向き、又はサスペンションの上下により変化することがある。自由が抑制される主たる方向は、直立部から45度範囲内であることが好ましい。この主たる方向は、ステアリング軸に平行なラインにほぼ位置合わせされてもよいが、一方でそこから最大45度まで外れることがある。
【0074】
前記結合は、異なる形態をとることがある。1つの可能性は、上記に述べられた第1の実施の形態において使用される種類の二重球面結合(「ドッグボーン」式結合と呼ばれることが多い)である。図14を参照すると、二重球面結合は、球面自由状態にモータサイクルの残部を設ける第1の継手139、及び第1の継手に結合され、球状自由状態にハンドルバー構造127を設ける第2の継手140を有することができる。
【0075】
ハンドルバー構造127及びモータサイクルの残部の代替的結合構造は、図17乃至図26、図31及び図32の実際的な実施の形態において使用され、図24及び図26に最良に示され、ハンドルバー構造127上に取り付けられる湾曲トラック141を含み、該トラックは、トラックに追随するように制約されるキャリッジ142と協動する。トラック141は、球面継手110、111によって定義されるステアリング軸にほぼ垂直な平面において湾曲され、トラック141の湾曲部の中心は、ステアリング軸上に位置することが好ましい。図25及び図26の拡大図から理解できるように、トラック141は、143でハンドルバー構造127に固定して取り付けられる略I字形状を備えた湾曲ブロックによって形成され、キャリッジ142はこれに対してトラックに沿って動くような形状とされている。円筒形ロッド144は、キャリッジ142の上側面上の2つの軸方向端部サポート145及び146間の固定位置に取り付けられる。普通の球面軸受の内側部(図面では見られない)は、円筒形ロッド144に取り付けられ、それに沿って摺動自在である。この球面軸受の内側部は、シリンダ・ヘッド121に取り付けられるブラケット149からの2つの拡張部148によって支持される球面軸受の外側部分147と協動する。ロッド144は、ステアリング軸から放射方向に拡張する。理解されるように、この結合構造は、ステアリング軸に略平行な方向でのモータサイクルの主構造に対するハンドルバー構造の動作を制約し、一方で、5つの他の自由度を可能にする。
【0076】
容易に理解されるように、キャリッジがハンドルバー構造に固定して取り付けられ、一方でトラックがモータサイクルの主構造から支持される反対の構成を提供することもできる。これら協動する円筒形ロッドと普通の球面軸受の取り付けもまた、キャリッジとトラックとの関係のように反対にすることもできる。
【0077】
トラック141が図示された構造において拡張する平面が、ステアリング軸に対してほぼ垂直であるが、一方で厳密にそうである必要はない。同様に、その曲線は、ステアリング軸上に又はそこに近接した中心を持つことが好ましいが、厳密に半径となる必要はない。回転継手133、134、135及び136のそれぞれの位置、ならびにリンク131及び132のそれぞれの長さによっては、トラック141の平面がステアリング軸に対する垂直状態から外れる程度、トラック141の曲線の中心がステアリング軸に対して離れている程度、及びロッド144の向きがステアリング軸からの半径方向と異なる程度は、ハンドルバーの向きの異なる角度において、サスペンションの上下における変化とともに異なることになる。しかしながら、ハンドルバーの位置は、乗り手によって認識されるように、モータサイクルの使用において実質的な量を伴った変化をすべきではない。
【0078】
第1及び第2の実施の形態の実際の構造において、第2の実施の形態におけるサスペンショントラベルを伴うハンドルバー構造の動きがかなり小さいものであることが見出された。
【0079】
従来の二重スイングアーム・フロント・サスペンション構造は、従来のテレスコピックフォークよりも、モータサイクルの前輪及びフレーム間におるより剛性の高い接続を行なうことで周知である。ここで、これと同じ利点が、別個のフレームなしにサスペンション構造をエンジンに直接結合することで、軽量化に加えて強度があるという利点が得られる。剛性リンクアーム131、132及び密着ローラ軸受を介しての直立部102及びハンドルバー構造127の接続は、好ましい操縦感覚を付与する。
【0080】
第2の実施の形態と関連して記載され図示されるサスペンションのタイプは、滑りスライダがブレーキをかけるときに重荷重下に置かれる従来のテレスコピックフォークと比較して、摩擦が非常に低い。二重スイングアーム・フロント・サスペンション・システムは、多かれ少なかれアンチダイビング特性を付与するために調整されることができ、フルドループではフルバンプ状態でのアンチダイビングのおそらくは50%まで上昇する比較的低いアンチダイビングの状態を有するように調整されることもできる。
【0081】
ステアリングヘッドに負荷を移送するために構造的に剛性のフレーム、及び車輪の中心に負荷を下へと戻すための構造的に堅固なフォークを備えた従来の懸架装置と比較すると、この第2の実施の形態の構造は、より効率的であり、このように結果として構造的にさらに軽量化されることもできる。現代の複合材料の使用と結び付けられる構造的有効性は、バネ下質量の低下と、サスペンションの性能を結果として改善する結果となる。上記に説明されたように、顕著に減少された前面面積は、従来の円筒形テレスコピックフォーク構造と比較すると、フロント・サスペンションからの抗力の減少と、ラジエータへの空気流の改善がもたらされる結果になる。図示された構造において、ディスク及びブレーキ・キャリパもまた、車輪形状内部に完全に隠され、このように従来の構造と比較して前面面積が低いことを示している。
【0082】
効果的に球面の自由度をもたらす継手を提供する普通の球面軸受110及び111に対する等価の構造は、下側及び上側のそれぞれのスイングアームに対して使用することもできる。具体的には、3軸ジンバルを使用することもできる。特定の場合に、2つの軸がそれぞれスイングアームをモータサイクルの残り部分に接続する回転継手と平行に配置され、直立部上のステアリング軸に位置合わせさせる場合に、2軸ジンバルを使用することもできる。各ジンバルの2つの軸は、なお必ずしも交差する必要はない。
【0083】
直立部が、両面式であるよりも片面式であり、下側スイングアームが大径車輪軸受を横切る両面式であり、上側スイングアームが片面式であって車輪エンベロープ内にあることもまた、理解されたい。どちらのスイングアームも車輪エンベロープ内にない場合、いずれのスイングアームも両面式であり、例えば、ウィッシュボーン形状を備えている。
【0084】
図17乃至図27に図示される配置において、サスペンションユニットは、バネ及びダンパ式であり、このバネはトーションバー114によって設けられ、ダンパーは、下側スイングアーム107及びエンジンブロック113との間に結合されるピストン及びシリンダ・ダンパ150によって設けられ、その他の構造も可能である。このように、サスペンションダンパは、エンジン及び上側スイングアームの間に結合されることもできる。サスペンションユニットは、ライジングレート・ロッカー機構によってどちらかのスイングアームに結合されることもできる。図示したものよりもむしろ、ブレーキ・ディスクは、原則的に車輪のいずれかの側面に取り付けられるハブであってもよい。直線型又は回転型のステアリングダンパの多数の形状はそれ自体周知であるが、追加されることもできる。
【0085】
最後に、この第2の実施の形態のフロント・サスペンション構造は、構造上の支持機能の働きをするエンジンに直接結合されるように示されている。実質的に同様のフロント・サスペンション構造は、従来のフレームと共に同様にうまく使用することもできる。
【0086】
モータサイクル・フレーム及びサスペンション・システムは、使用されているデザイン及び材料の制約条件内で通常は合理的に可能な範囲で剛性を有するように形成される。
【0087】
しかしながら、一定量の横方向の柔軟性が改良された安定性、乗心地、及び雰囲気を与えることができるという経験的及び理論的な証拠がともに存在する。特に高い傾斜角度(垂直方向から45度以上)で走行するモータサイクルの場合において、現代のレース用マシン機械によくあることであるが、小量の側方へのコンプライアンスは、サスペンションの効果に大きく貢献することができる。
【0088】
克服すべき問題は、モータサイクルの機能及び特にそのサスペンションの他の特徴を損なわないようにして側方コンプライアンスを導入することである。
【0089】
上記の第1の実施の形態の説明において、どの程度の横方向のたわみが、垂直方向又はねじれに対するコンプライアンスを顕著に増加させることなくリヤ・サスペンションのデザインに組み込むことができるかを説明してきた。図1乃至図15及び図16において述べられ示された実際の構造において、スイングアームの幅の狭い部分がフロント・ドライブ・チェーンによって中央に負荷がかけられ、それによってチェーン負荷によってねじり又は側方変形を被ることになる最終的な駆動構造を説明する。
【0090】
以下により詳細に説明されるように、制御された側方たわみの程度は、フロント・サスペンションに導入されることもできる。添付図面の図27乃至図30を参照すると、下側スイングアーム107の修正バージョンは、これら図面に示されている。この構造において、球面継手111の内部151は、概して152で示される下部構造(サブストラクチャ)に取り付けられ、これは、複数の曲げ部材154、155及び156ならびにダンパ・ユニット157によって下側スイングアーム107の主要部153に結合される。図27に示すように、下部構造152は、部分的に下側スイングアーム107の主要部153内を延出するように取り付けられる。曲げ部材154、155の2つは、直立方向(即ち、傾斜角度ゼロで垂直となる方向)に位置合わせされ、固定部158によって下部構造152に結合され、球面継手111に近い位置で固定部159によってスイングアーム107の主要部153に結合される。同様に、他の曲げ部材156は、固定部160によって下部構造152に結合され、固定部161によって下側スイングアーム107の主要部153に結合される。図27乃至図30から、それぞれの曲げ部材が2つのくびれ部162を含み、モータサイクル内側面にほぼ平行に位置合わせされていて、くびれ部162は直立方向におけるその平面にほぼ平行に延出する。
【0091】
理解されるように、曲げ部材154及び155が位置合わせされ、単一ユニットとして有効に作動するのであれば、この構造は、下部構造152と、下側スイングアーム107の主要部153との平行四辺形関係を効果的に定義し、その結果として、下部構造152は、スイングアーム107に対してモータサイクルの内側面から側方に効果的に曲がることができる。図29aと図30a、図29bと図30b、さらに図29cと図30cにおいてそれぞれ完全左側、中間地点、完全右側に示される側方動作は、下側スイングアーム107の主要部153と、下部構造152との間に結合されるダンパ・ユニット157によって制約され、その動作のラインは、モータサイクルの中央内側面にほぼ垂直である。図示された構造において、ダンパ157のシリンダ163が下部構造152に結合され、一方、ダンパ157のピストン164は、更なる一対の曲げ部材165、166及び固定部167によって下側スイングアーム107の主要部153に結合される。曲げ部材165及び166はまた、モータサイクルの中央内側面にほぼ垂直な方向に二重にくびれ、延出する。それらのくびれ部168は、モータサイクルの中央内側面にほぼ平行な直立方向に位置合わせされる。
【0092】
この構造は、また、ピストン164と、下側スイングアームの主要部153との平行四辺形状接続を付与し、曲げ部材154、155及び156の湾曲の結果として生じる、モータサイクルの長手方向(前後方向)における球面継手111と下側スイングアーム107との動作を受け入れることになる。このことは、曲げ部材154、155及び156に関して記載された構造が下側スイングアームの主要部に対する有効な円弧形状の球面継手111の内側部151の動作をもたらすからであり、この円弧形状は、モータサイクルの中央内側面と直角に交差する平面上に位置している。円弧形状は、その中間地点位置で球面継手111の前に直接位置する中心部と、曲げ部材154、155及び156のくびれ位置間の隔たりに等しい半径と、を有する。図30a、図30b及び図30cの断面図から理解できるように、ダンパ157は、ダンパ本体長さを最小限にする通しロッド形状である。この構造の横バネ率は、より薄肉か、厚肉のいずれかのくびれ部分を有する対応するアイテムに対する曲げ部材を変化させることによって容易に調整される。
【0093】
実際的な配置において、上記に述べた構造によって行なわれる側方への移動は、中間地点に対してほぼ±10mmであればよい。この構造は、車輪組立品についてのファウリング、又は、ステアリングの移動、サスペンショントラベル及び側方への移動の全範囲にわたる直立部についてのファウリングを回避する。車輪、ブレーキ・ディスク、及びブレーキ・キャリパはすべて、直立部に対するそれらの固定位置を維持し、この構造がもたらす側方へのコンプライアンスの影響を受けることが全くないことが理解される。ハンドルバー及び直立部間の接続もまた、この構造の影響を受けることが全くなく、乗り手からタイヤ接触パッチへの接続が側方コンプライアンスの影響を受けない状態でなければならない。曲げ部材154、155及び156は、くびれ部分の位置合わせの方向に非常に高い剛性を有するので、スイングアーム組立品の中央内側面の直立方向における剛性、及びサスペンション・ダンパユニットに対する剛性のいずれも大きくは減少しない。軸受けやリンケージよりもむしろ曲げ部材を使用することは、軸受けにおける自由な遊び、又は別個のバネ構成要素を設ける必要性を回避する。これらもまた摩擦が非常に低い。曲げ部材154、155及び156は、張力及び圧縮において非常に剛性が高く、制動荷重のもとで顕著に変形することはない。曲げ部材が実際に従動リンクとしての働きをすると、そのメカニズムは、不変ステアリング形状を付与するブレーキ重荷重のもとで集中する傾向がある。
【0094】
ダンパ157を設けることにより、下側スイングアーム及び下部構造間でうまく側面への動作がうまく減衰され、モータサイクルのフレーム又はフロント・サスペンション・フォークのどちらかが可撓性である場合にフロント・サスペンション・システムにおけるある程度の側面へのコンプライアンスに対して他の従来の提案では容易に達成できないことであった。直立部と球面継手との間よりもむしろ、下側スイングアーム107及びその関連する球面継手111間にコンプライアンスを設けることがステアリング軸と接触パッチとの関係を維持することを意味する。
【0095】
曲げ部材の位置は、下側スイングアーム及び下部構造に対して採用された特定の形状に応じて変更されることができる。最小限2つの曲げ部材がなければならないが、3つより多くてもよい。曲げ部材が好適には、すべて同一長を有するものであればよいが、これは絶対不可欠ではない。
【0096】
上記に記載された構造にあるように、下側スイングアームに対する球面継手の結果として生じる動作がモータサイクルの中央内側面に垂直な平面にほぼ円弧形状をなし、その平面上に中心を有するという条件で、下部構造及び下側スイングアーム間の他の曲げ接続を用いることもできる。下部構造及びスイングアームへのダンパの結合もまた、変更することができる。したがって、ダンパは、モータサイクルの中央内側面に対して垂直であるよりもむしろ、ダンパ本体がほぼ平行に位置するように、ロッカ構造を介して接続されることができる。実質的には好ましくはないが、曲げ部材はリンク及び回転継手を含む平行四辺形リンケージと置き換えることもできる。ダンパ・ユニット上のコイルバネが、曲げ部材と平行に、あるいはその代わりに使用することもでき、弾性バンプ部材などの更なるバネ要素は、特に動作の許容値付近で非線形バネ特性を付与するためにダンパ・ユニットあるいは他のどこかに設けることもできる。
【0097】
フロント・サスペンションに側面へのたわみコンプライアンスを導入するために上記に述べられたシステムは、それ自体が新規であると考えられ、上下それぞれのスイングアームを含む他のフロント・サスペンション・トポロジーの実用性を見いだすこともできる。
【0098】
本明細書中に記載且つ図示されるモータサイクルの第2の実施の形態は、リヤ・サスペンションの特徴、及び、第1の実施の形態に記載される乗り手の足の配置のすべてを含むことができる。しかしながら、図31及び図32に示すように、修正された後部スイングアーム及びチェーン/ベルト駆動装置は、有利に使用することができる。スイングアーム169は、第1の実施の形態よりもモータサイクルの内側面により大きな範囲を占め、内側面における剛性を向上させる。同時に、より大きなスイングアーム169のばね下質量は、クロスシャフト171の位置の後方に切抜き170を含むことによって減少される。第1の実施の形態のように、二次駆動チェーン172が、クロスシャフト171上のスプロケット173と、後部車軸175上に取り付けられるスプロケット174回りを通り、駆動を後輪176に伝達する。しかしながら、一次駆動チェーン177は、スイングアーム169内の回転のために取り付けられる更なるスプロケット178回りを通るようにされる。第1の実施の形態のリヤ・サスペンション・システムにおいて、クロスシャフトの垂直及び/又は水平方向の移動には、チェーン張力の調整が、双方の駆動チェーンに影響を及ぼす調整とともに必要であり、ここでは、クロスシャフト171及び更なるスプロケット178の両方が偏心アジャスタ(図示せず)上に取り付けられるので、それらは独立して移動されることもある。クロスシャフト上の偏心アジャスタは、二次チェーン172上の張力を調整するために使用され、一次チェーン177上に張力を及ぼすことになる。更なるスプロケット178上の偏心アジャスタは、一次チェーン177上の張力を修正するために使用される。
【0099】
図31はまた、他のリヤ・サスペンション・ダンパ構造を示している。ピストン及びシリンダ・ダンパ180のシリンダ179は符号181でエンジン・ブロックに結合され、一方、ピストン182は符号183でリヤ・サスペンション・スイングアームの上部に結合される。バネ及びダンパ型サスペンション・ユニットのバネは、リヤ・サスペンション・スイングアームとモータサイクルの残り部との間のピボット184に組み込まれるトーション・バーによって設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】図1は、本発明の教示にしたがって構成されるモータサイクルの実施の形態に直立姿勢で着座した乗り手の斜視図である。
【図2】図2a、図2b、図2c及び図2dは、図1の乗り手及びモータサイクルを示し、それぞれ正面図、上面図、側面図、及び背面図である。
【図3】図3は、乗り手がタック位置にあることを示す、図1に類似した図である。
【図4】図4a、図4b、図4c及び図4dは、図3の乗り手及びモータサイクルを示し、それぞれ正面図、上面図、側面図、及び背面図である。
【図5】図5は、内部構造体を示すために車体及びシートが省略された、図3に類似した図である。
【図6】図6は、明確にするために部品が省略されている図1乃至図5のモータサイクルの内部構造体の斜視図である。
【図7】図7は、図6の構造の平面図である。
【図8】図8は、図6及び図7の構造の右側面図である。
【図9】図9は、図6、図7及び図8の構造の正面図である。
【図10】図10は、モータサイクルの中央内側面において図7の線X−Xに沿った、後輪、リヤ・サスペンション・システム、及び関連部品の断面図である。
【図11】図11は、モータサイクル・フロント・サスペンションの4つの主要素を示す概略図である。
【図12】図12は、図11の構成要素を相互接続するための異なるトポロジーに使用され得る継手の異なる形状を示す概略図である。
【図13】図13a乃至図13oは、異なるモータサイクル・フロント・サスペンションのそれぞれのトポロジーの概略図である。
【図14】図14は、更なる代わりのモータサイクル・フロント・サスペンションのトポロジーの概略図である。
【図15】図15は、右側面から前方を見る、図1乃至図9のモータサイクルにおけるフロント・サスペンション・システム及び関連付けられる構造の斜視図である。
【図16】図16は、図9の方向XVI−XVIにおけるモータサイクルの中央内側面に沿った、フロント・サスペンション・システム及び関連付けられる構造の断面図である。
【図17】図17は、ラジエータの位置決めを示すために前方整形板(フロント・フェアリング)を省略した、図14に概略図示されたトポロジーを具体化するモータサイクルの実際の実施の形態の側面図である。
【図18】図18は、ラジエータの位置決めを示すために前方整形板(フロント・フェアリング)を省略した、図14に概略図示されたトポロジーを具体化するモータサイクルの実際の実施の形態の正面図である。
【図19】図19は、フロント・ホイール、ラジエータ、及びその他の部品が省略された、図17及び図18のモータサイクルの拡大正面図である。
【図20】図20は、図17及び図18のモータサイクルの前側部分の、部品が省略された斜視図である。
【図21】図21は、図17及び図18のモータサイクルのフロント・サスペンション・システム及び関連部品の側面図である。
【図22】図22は、図21の構造の底面図である。
【図23】図23は、カバーが省略された図21に示される下方スイングアームと、トーション・バー・ユニットの斜視図である。
【図24】図24は、図21の構造の平面図である。
【図25】図25は、図21の部品の拡大図である。
【図26】図26は、図24の部品の拡大図である。
【図27】図27は、一定の横のコンプライアンスを付与するのに適合される改良型下方スイングアームの拡大斜視図である。
【図28】図28は、図27のスイングアームの下部構造を拡大した斜視図である。
【図29】図29a、図29b及び図29cは、図13の下部構造の完全左側配置、中間配置、完全右側配置をそれぞれ示す図である。
【図30】図30a、図30b及び図30cは、球面継手の動作平面上に沿った断面図に見られるのと同様な図である。
【図31】図31は、リヤ・サスペンション・スイングアームを示すために部品を省略した、図17乃至図26のモータサイクルの図2に対応する側面図である。
【図32】図32は、駆動構造を示すためにスイングアームを省略した、図31に類似した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗車位置を定めるモータサイクルであって、走行方向においてエンジンの後部及び後部タイヤの前に配置される乗り手の足に対して複数の位置が設けられ、これら位置において、乗り手の足の内側間の距離が後部タイヤの幅より小さくてもよい、モータサイクル。
【請求項2】
後輪を支持し、走行方向における乗り手の足の前方の位置でモータサイクルの残りの部分に結合されるリヤ・サスペンション・スイングアームを備えたリヤ・サスペンションを有し、このリヤ・サスペンション・スイングアームが、走行方向における乗り手の足の位置においてモータサイクルの内側面を占有する、
請求項1に記載のモータサイクル。
【請求項3】
後輪への駆動が、モータサイクルの略内側面に位置し、乗り手の足の後部の位置にリヤ・サスペンション・スイングアーム上に若しくは該アームから取り付けられるクロスシャフトに結合される第1のベルト又はチェーンを介して、さらにクロスシャフトを後輪に結合させる1つ以上の第2のベルト又はチェーンによってギアボックスから伝達される、請求項2に記載のモータサイクル。
【請求項4】
2つの第2のベルト又はチェーンが、後輪の各側面に1つずつ設けられる、請求項3に記載のモータサイクル。
【請求項5】
ギアボックスが、ベルト用出力ホイール、又は、チェーン用出力スプロケットを有し、リヤ・サスペンション・スイングアームが、前記出力ホイール若しくはスプロケットの軸と同軸の回転継手によってモータサイクルの残りの部分と結合される、請求項2に記載のモータサイクル。
【請求項6】
前記リヤ・サスペンション・スイングアームには、乗り手の足の位置に対応するギアボックス及び後輪の間に幅の狭いくびれた部分が設けられている、請求項2に記載のモータサイクル。
【請求項7】
前記くびれた部分が、一定の側方コンプライアンスを付与する、請求項6に記載のモータサイクル。
【請求項8】
前記リヤ・サスペンション・スイングアームが片面式であり、その片面において後輪の車軸に結合される、請求項2に記載のモータサイクル。
【請求項9】
前記リヤ・サスペンション・スイングアームが、モータサイクルの内側面に対して略左右対称であり、二重ヨーク構造を含み、後輪に対して両面式であり、モータサイクルの両側で後輪車軸と結合され、他端に2つのアームを有し、回転継手によってモータサイクルの残りの部分に結合される、請求項3に記載のモータサイクル。
【請求項10】
モータサイクルがフレームレスであり、リヤ・サスペンション・スイングアームがギアボックス・ケーシングに取り付けられる、請求項3に記載のモータサイクル。
【請求項11】
ギアボックスに又はギアボックスへ取り付けられ、乗り手の足の位置を定めるギアボックスより後方で乗り手用の足載せ台を支持する、サブフレームを備えた、請求項10に記載のモータサイクル。
【請求項12】
前記リヤ・サスペンションが、サブフレーム及びスイングアームの間に結合されるバネ及び/又はダンパ構造を含む、請求項11に記載のモータサイクル。
【請求項13】
前記バネ及び/又はダンパ構造が、ダンパ本体の下に取り付けられるバンプ・ストップを備えた通しロッドタイプのダンパを含み、バネが積層された片持ち式デザインである、請求項12に記載のモータサイクル。
【請求項14】
前記リヤ・サスペンションが、バネ及びダンパ構造を含み、該構造において、ダンパがスイングアーム及びモータサイクルの残りの部分の間に結合され、トーションバーが、スイングアーム及びモータサイクルの残りの部分の間に回転結合状態で組み込まれる、請求項2に記載のモータサイクル。
【請求項15】
クロスシャフトが、後部車軸の高さよりも上であって、出力ホイール若しくはギアボックスのスプロケットの高さよりも上に配置される、請求項3に記載のモータサイクル。
【請求項16】
チェーン/ベルト張力が、スイングアームに対して垂直方向及び/又は水平方向にクロスシャフトの位置を調整することによって、且つ/あるいは、第1のベルト若しくはチェーンのその周囲を回動する更なるスプロケットを調整することによって、調節可能である、請求項3に記載のモータサイクル。
【請求項17】
3つの自由度、即ち、ホイールスピン、サスペンショントラベル、及びステアリングをもって、モータサイクルの残りの部分から前輪及びハンドルバーを支持する、フロント・サスペンション・システムを備え、このサスペンション・システムが、ホイールスピンを付与するように車輪が回転継手によって結合される第1の構造と、左右それぞれのハンドルバーを含み、ラインに沿って第1の構造に対して第2の構造の動作を可能にする構造によって第1の構造に結合される第2の構造と、を含み、前記第1の構造が、球面自由度を付与しモータサイクルの中央内側面に配置される継手によって、第1の構造に取り付けられる上下それぞれのスイングアームによって、及びモータサイクルの前記残りの部分を備えたそれぞれの回転継手によって、モータサイクルの前記残りの部分に結合され、前記回転継手がモータサイクルの中央内側面に対して法線となる軸線を有し、ステアリングが、球面自由度を付与する2つの前記継手を介して軸線回りに設けられ、前記第2の構造が、モータサイクルの前記残りの部分に対して主に平行移動の自由度を抑止するリンケージによって残りの自由度を自由な状態に維持しながら、モータサイクルの前記残りの部分に結合される、請求項1に記載のモータサイクル。
【請求項18】
3つの自由度、即ち、ホイールスピン、サスペンショントラベル、及びステアリングを有して、モータサイクルの残りの部分から前輪及びハンドルバーを支持する、フロント・サスペンション・システムを備え、このサスペンション・システムが、ホイールスピンを付与するように車輪が回転継手によって結合される第1の構造と、左右それぞれのハンドルバーを含み、ラインに沿って第1の構造に対して第2の構造の動作を可能にする構造によって第1の構造に結合される第2の構造と、を含み、前記第1の構造が、球面自由度を付与しモータサイクルの中央内側面に配置される継手によって、第1の構造に取り付けられる上下それぞれのスイングアームによって、及びモータサイクルの前記残りの部分を備えたそれぞれの回転継手によって、モータサイクルの前記残りの部分に結合され、前記回転継手がモータサイクルの中央内側面に対して法線となる軸線を有し、ステアリングが、球面自由度を付与する2つの前記継手を介して軸線回りに設けられ、前記第2の構造が、モータサイクルの前記残りの部分に対して主に平行移動の自由度を抑止するリンケージによって残りの自由度を自由な状態に維持しながら、モータサイクルの前記残りの部分に結合される、モータサイクル。
【請求項19】
抑止された主に平行移動の自由度が、ほぼ直立方向にある、請求項17又は18に記載のモータサイクル。
【請求項20】
前記リンケージが、モータサイクルの残りの部分に球面自由度を付与する第1の継手と、該第1の継手と堅固に結合され第2の構造に球面自由度を付与する第2の継手と、を有する両面式球面リンケージを含む、請求項17又は18に記載のモータサイクル。
【請求項21】
前記リンケージが、キャリッジ−トラック構造によって提供され、この構造において、湾曲したトラックが、前記第2の構造及び前記モータサイクルの残りの部分の一方に取り付けられ、第2の構造及びモータサイクルの前記残りの部分の他方にはキャリッジが取り付けられ、該キャリッジが、トラックを追随するように拘束され、該トラックが、ステアリング軸にほぼ垂直な平面上に延出し、その曲線がステアリング軸上に略中心を置き、第2の構造及び前記残りの部分の前記一方と、キャリッジ若しくはトラックとの結合が球面自由度を付与する継手を介し、その1つの要素が第2の構造及び前記残りの部分の前記一方に固定して取り付けられ、他の要素がステアリング軸から略放射方向にキャリッジ若しくはトラックに対して自由に平行移動可能である、請求項17又は18に記載のモータサイクル。
【請求項22】
ラインに沿った第1の構造に対し第2の構造の動作を可能にする前記構造が角柱状継手を含む、請求項17又は18に記載のモータサイクル。
【請求項23】
前記第1の構造がヨークを含み、前記第2の構造もまた、ヨークを含み、その中心部が2つのハンドルバー間の接続を含み、第2の構造が、転動体線形軸受け、好ましくは交差ころスライドによって第1の構造に接続される、請求項22に記載のモータサイクル。
【請求項24】
ラインに沿って第1の構造に対し第2の構造の動作を可能にする前記構造が、一対の垂直に離間されたリンクを含み、各リンクが回転継手によって第1の構造と第2の構造のそれぞれに結合される、請求項17又は18に記載のモータサイクル。
【請求項25】
第2の構造が、モータサイクルの走行方向において第1の構造の後部に設けられ、前記垂直方向に離間されたリンクによって結合され、それにより、第1の構造から後方に、第2の構造から前方に延出する前記リンクに沿って外側よりにスペースを画定し、モータサイクルのエンジンを冷却するためのラジエータが前記スペースに配置される、請求項24に記載のモータサイクル。
【請求項26】
球面自由度を付与する前記継手はそれぞれ、球面軸受け、及び同一の自由度を効果的にともに付与する1つ以上の継手から独立して選択される、請求項17又は18に記載のモータサイクル。
【請求項27】
上下それぞれのスイングアームに関連する球面自由度を付与する継手の一方又は両方は、二軸ジンバルを含み、該ジンバルの2つの軸がそれぞれ、スイングアームをモータサイクルの前記残りの部分に接続する回転継手と、スイングアームに関連する球面自由度を付与する2つの継手を結合するラインによって定義されるステアリング軸とに平行に位置合わせされる、請求項26に記載のモータサイクル。
【請求項28】
モータサイクルがフレームレスであり、上下それぞれのスイングアームの少なくとも1つが片面式でありエンジンの正面から旋回される、請求項17又は18に記載のモータサイクル。
【請求項29】
上側スイングアームがウィッシュボーンの形態である、請求項17又は18に記載のモータサイクル。
【請求項30】
下側スイングアームが片面式であり、前輪スポークが片側にずれて配置される、請求項17又は18に記載のモータサイクル。
【請求項31】
下側スイングアームが、大径車輪軸受けを通過する両面式である、請求項17又は18に記載のモータサイクル。
【請求項32】
上下それぞれのスイングアームのうち少なくとも1つには、前記スイングアームと前記モータサイクルの残りの部分との間に結合される、バネ−ダンパ・サスペンション・ユニットのダンパを備えている、請求項17又は18に記載のモータサイクル。
【請求項33】
バネ−ダンパ構造のバネが、前記上下それぞれのスイングアームのどちらかの軸線上のトーションバーによって設けられる、請求項32に記載のモータサイクル。
【請求項34】
モータサイクルの中央内側面の側面へのコンプライアンスが、下側スイングアームと、該アームを第1の構造に結合する球面継手との間に付与される、請求項17又は18に記載のモータサイクル。
【請求項35】
3つの自由度、即ち、ホイールスピン、サスペンショントラベル、及びステアリングを有して、モータサイクルの残りの部分から前輪及びハンドルバーを支持する、フロント・サスペンション・システムを備えたモータサイクルであって、該サスペンション・システムが、ホイールスピンを付与するように車輪が回転継手によって結合される第1の構造と、左右それぞれのハンドルバーを含む第2の構造と、を含み、前記第1の構造が、球面自由度を付与しモータサイクルの中央内側面に配置される継手によって第1の構造に取り付けられる少なくとも1つのスイングアームによって、さらにモータサイクルの前記残りの部分を備えた回転継手によって、モータサイクルの前記残りの部分に結合され、前記回転継手がモータサイクルの中央内側面に対して法線となる軸線を有し、ステアリングが、球面自由度を付与する前記継手を介して軸線回りに設けられ、前記第2の構造が、第1の継手によって第1の構造に結合され、第2の継手によってモータサイクルの前記残りの部分に結合され、前記第1及び第2のそれぞれの継手が、モータサイクルの前記残りの部分に対してハンドルバーの動作を可能にして、前記ステアリング軸回りにステアリングを生じ、ある程度の側方コンプライアンスが、このスイングアーム若しくはスイングアームの少なくとも1つとの間に設けられ、その関連する継手が球面自由度を付与する、モータサイクル。
【請求項36】
(下側の)前記スイングアームが、主要部及び下部構造を含み、該下部構造が、球面自由度を付与する前記継手の内部分を取り付け、下部構造が1つ以上の曲がり部材によって主要部に結合される、請求項34又は請求項35に記載のモータサイクル。
【請求項37】
中央内側面に直角であり中心を該中央内側面に置く平面内で前記主要部に対して円弧状経路内で前記内部分を移動させるように少なくとも2つの曲がり部材が配置される、請求項36に記載のモータサイクル。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13a】
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【図13b】
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【図13c】
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【図13d】
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【図13e】
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【図13f】
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【図13g】
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【図13h】
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【図13i】
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【図13j】
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【図13k】
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【図13l】
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【図13m】
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【図13n】
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【図13o】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29a】
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【図29b】
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【図29c】
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【図30a】
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【図30b】
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【図30c】
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【図31】
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【図32】
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【公表番号】特表2008−534370(P2008−534370A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503595(P2008−503595)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【国際出願番号】PCT/GB2006/001192
【国際公開番号】WO2006/103461
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(507326135)スピリット モーターサイクル テクノロジー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】