説明

モータ駆動回路及びモータ駆動回路の検査方法

【課題】複数のFETのゲートリーク電流をまとめて測定することができる。
【解決手段】電流計38の他端を、モータ駆動回路10の端子28及び30と接続した状態で、検査用探針40の他端を検査用パッド42に接触させると、検査用パッド42を介して、P−MOSFET24A及び24B、並びにN−MOSFET26A及び26Bのゲート端子に電圧が印加される。P−MOSFET24A及び24B、並びにN−MOSFET26A及び26Bのゲート端子に電圧が印加されると、ゲートリーク電流が、P−MOSFET24A及び24B、並びにN−MOSFET26A及び26Bの各々のゲート・ソース間を流れ、端子28及び30を介して電流計へ流れ、電流計によってゲートリーク電流が検出され、ゲートリーク電流の大きさが正常時のゲートリーク電流値より大きいか否かを判断することにより、モータ駆動回路を検査することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動回路及びモータ駆動回路の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスイッチ回路装置では、FET(電界効果トランジスタ)のゲート端子とソース端子との間に測定器を接続し、ゲート・ソース間に電圧を印加することで、ゲートリーク電流を測定することが行われている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−254086
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のスイッチ回路装置では、各FETのゲートリーク電流を個別に測定しているため、検査用パッド又は検査用端子の数が増加すると共に検査工数が増加して時間がかかる、という問題がある。
【0004】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、複数のFETのゲートリーク電流をまとめて測定することができるモータ駆動回路及びモータ駆動回路の検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係るモータ駆動回路は、モータの一方の電極に接続される一対の第1の電界効果トランジスタ、及び該モータの他方の電極に接続される一対の第2の電界効果トランジスタを備えるインバータ回路と、前記一対の第1の電界効果トランジスタ及び前記一対の第2の電界効果トランジスタのゲートの各々に、前記第1の電界効果トランジスタ及び前記第2の電界効果トランジスタの各々をオンオフさせるための制御信号を入力するように接続された制御回路と、各々一端が前記第1の電界効果トランジスタのゲートに接続されると共に、他端が共通に接続され、前記ゲートに流入する方向に流れる電流を通過させ、前記ゲートから流出する方向に流れる電流の通過を阻止する一対の第1の素子と、各々一端が前記第2の電界効果トランジスタのゲートに接続されると共に、他端が共通に接続され、前記ゲートに流入する方向に流れる電流を通過させ、前記ゲートから流出する方向に流れる電流の通過を阻止する一対の第2の素子と、を含んで構成されている。
【0006】
また、請求項2記載の発明に係るモータ駆動回路は、前記第1の素子及び前記第2の素子の各々を、カソードが前記ゲートに接続されたダイオード、または、コレクタとベースとが短絡するようにダイオード接続され、かつエミッタが前記ゲートに接続されると共にコレクタが共通に接続されたトランジスタで構成されている。
【0007】
また、請求項3記載の発明に係るモータ駆動回路は、前記第1の素子及び前記第2の素子の各々を、カソードが前記ゲートに接続されたダイオード、または、エミッタとベースとが短絡するようにダイオード接続され、かつコレクタが前記ゲートに接続されると共にエミッタが共通に接続されたトランジスタで構成されている。
【0008】
また、請求項4記載の発明に係るモータ駆動回路は、前記第1の素子及び前記第2の素子の共通接続された側をパッドまたは端子に接続している。
【0009】
また、請求項5記載の発明に係るモータ駆動回路の検査方法は、請求項1〜請求項4のいずれか1項記載のモータ駆動回路の前記第1の素子及び前記第2の素子の共通接続された側の少なくとも1つと前記第1の電界効果トランジスタ及び前記第2の電界効果トランジスタの少なくとも1つのソースとの間に電圧を印加し、前記第1の素子及び前記第2の素子の共通接続された側の少なくとも1つから前記第1の素子及び前記第2の素子の少なくとも1つを介して、前記第1の電界効果トランジスタ及び前記第2の電界効果トランジスタの少なくとも1つのゲートからソース方向に電流を流すことにより、前記第1の電界効果トランジスタ及び前記第2の電界効果トランジスタを検査する。
【0010】
また、請求項6記載の発明に係るモータ駆動回路は、モータの第1の電機子巻線に接続される一対の第1の電界効果トランジスタ、モータの第2の電機子巻線に接続される一対の第2の電界効果トランジスタ、及びモータの第3の電機子巻線に接続される一対の第3の電界効果トランジスタを備えるインバータ回路と、前記一対の第1の電界効果トランジスタ、前記一対の第2の電界効果トランジスタ、及び前記一対の第3の電界効果トランジスタのゲートの各々に、前記第1の電界効果トランジスタ、前記第2の電界効果トランジスタ、及び前記第3の電界効果トランジスタの各々をオンオフさせるための制御信号を入力するように接続された制御回路と、各々一端が前記第1の電界効果トランジスタのゲートに接続されると共に、他端が共通に接続され、前記ゲートに流入する方向に流れる電流を通過させ、前記ゲートから流出する方向に流れる電流の通過を阻止する一対の第1の素子と、各々一端が前記第2の電界効果トランジスタのゲートに接続されると共に、他端が共通に接続され、前記ゲートに流入する方向に流れる電流を通過させ、前記ゲートから流出する方向に流れる電流の通過を阻止する一対の第2の素子と、各々一端が前記第3の電界効果トランジスタのゲートに接続されると共に、他端が共通に接続され、前記ゲートに流入する方向に流れる電流を通過させ、前記ゲートから流出する方向に流れる電流の通過を阻止する一対の第3の素子と、を含んで構成されている。
【0011】
また、請求項7記載の発明に係るモータ駆動回路は、前記第1の素子、前記第2の素子、及び前記第3の素子の各々を、カソードが前記ゲートに接続されたダイオード、または、コレクタとベースとが短絡するようにダイオード接続され、かつエミッタが前記ゲートに接続されると共にコレクタが共通に接続されたトランジスタで構成されている。
【0012】
また、請求項8記載の発明に係るモータ駆動回路は、前記第1の素子、前記第2の素子、及び前記第3の素子の各々を、カソードが前記ゲートに接続されたダイオード、または、エミッタとベースとが短絡するようにダイオード接続され、かつコレクタが前記ゲートに接続されると共にエミッタが共通に接続されたトランジスタで構成されている。
【0013】
また、請求項9記載の発明に係るモータ駆動回路は、前記第1の素子、前記第2の素子、及び前記第3の素子の共通接続された側をパッドまたは端子に接続している。
【0014】
また、請求項10記載の発明に係るモータ駆動回路の検査方法は、請求項6〜請求項9のいずれか1項記載のモータ駆動回路の前記第1の素子、前記第2の素子、及び前記第3の素子の共通接続された側の少なくとも1つと前記第1の電界効果トランジスタ、前記第2の電界効果トランジスタ、及び前記第3の電界効果トランジスタの少なくとも1つのソースとの間に電圧を印加し、前記第1の素子、前記第2の素子、及び前記第3の素子の共通接続された側の少なくとも1つから前記第1の素子、前記第2の素子、及び前記第3の素子の少なくとも1つを介して、前記第1の電界効果トランジスタ、前記第2の電界効果トランジスタ、及び前記第3の電界効果トランジスタの少なくとも1つのゲートからソース方向に電流を流すことにより、前記第1の電界効果トランジスタ、前記第2の電界効果トランジスタ、及び前記第3の電界効果トランジスタを検査する。
【0015】
請求項1〜請求項5の発明によれば、一対の第1の素子及び一対の第2の素子の共通接続された側の少なくとも1つと一対の第1の電界効果トランジスタ及び一対の第2の電界効果トランジスタの少なくとも1つのソースとの間に電圧を印加することで、一対の第1の電界効果トランジスタ及び一対の第2の電界効果トランジスタの少なくとも1つのゲート・ソース間を流れるゲートリーク電流をまとめて測定することができる。
【0016】
請求項1〜請求項5の発明では、一対の第1の素子及び一対の第2の素子の共通接続された側と一対の第1の電界効果トランジスタ及び一対の第2の電界効果トランジスタのソースとの間に電圧を印加することで、一対の第1の電界効果トランジスタ及び一対の第2の電界効果トランジスタの両方を同時に測定することが好ましい。
【0017】
請求項6〜請求項10の発明によれば、一対の第1の素子、一対の第2の素子、及び一対の第3の素子の共通接続された側の少なくとも1つと一対の第1の電界効果トランジスタ、一対の第2の電界効果トランジスタ、及び一対の第3の電界効果トランジスタの少なくとも1つのソースとの間に電圧を印加することで、一対の第1の電界効果トランジスタ、一対の第2の電界効果トランジスタ、及び一対の第3の電界効果トランジスタの少なくとも1つのゲート・ソース間を流れるゲートリーク電流をまとめて測定することができる。
【0018】
請求項6〜請求項10の発明では、一対の第1の素子、一対の第2の素子、及び一対の第3の素子の共通接続された側と一対の第1の電界効果トランジスタ、一対の第2の電界効果トランジスタ、及び一対の第3の電界効果トランジスタのソースとの間に電圧を印加することで、一対の第1の電界効果トランジスタ、一対の第2の電界効果トランジスタ、及び一対の第3の電界効果トランジスタをまとめて測定することが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
図1及び図2に示すように、第1の実施の形態に係るモータ駆動回路10は、モータ制御部12と駆動回路14とインバータ回路16とで構成されている。
【0021】
モータ制御部12は、図示しない演算装置であるCPUや記憶装置であるRAM,ROM等を含んだマイクロコンピュータ等で構成されている。
【0022】
モータ制御部12の出力端は、駆動回路14の入力端と接続され、モータ制御部12の入力端は、ボンディングパッド18を介してリードフレーム20と接続されている。
【0023】
リードフレーム20は、例えば図示しない操作スイッチや各種センサと接続されている。
【0024】
駆動回路14の出力端は、インバータ回路16と4個のダイオード22A、22B、22C、及び22Dと接続されている。
【0025】
インバータ回路16は、電力変換素子として、2つのPチャンネル型のMOSFET(以下、P−MOSFETという。)24A及び24Bと、2つのNチャンネル型のMOSFET(以下、N−MOSFETという。)26A及び26Bとを備えており、P−MOSFET24A及び24B、並びにN−MOSFET26A及び26Bのゲート端子の各々は、駆動回路14の出力端と接続されている。
【0026】
P−MOSFET24A及び24Bのソース端子は、端子28と接続され、N−MOSFET26A及び26Bのソース端子は、端子30と接続されている。
【0027】
P−MOSFET24A及びN−MOSFET26Aのドレイン端子は、DCモータ46のプラス端子48Aに接続された端子32Aに接続され、P−MOSFET24B及びN−MOSFET26Bのドレイン端子は、DCモータ46のマイナス端子48Bに接続された端子32Bに接続されている。
【0028】
ダイオード22A及び22Cのカソードの各々は、P−MOSFET24A及び24Bのゲート端子に接続され、ダイオード22B及び22Dのカソードの各々は、N−MOSFET26A及び26Bのゲート端子に接続されている。
【0029】
また、ダイオード22A、22B、22C、及び22Dの各々のアノードは、検査用パッド42に共通に接続されている。
【0030】
次に、本実施の形態のモータ駆動回路10のゲートリーク電流の検査方法について説明する。
【0031】
ゲートリーク電流検査時は、ゲートリーク電流検査装置34を使用する。
【0032】
ゲートリーク電流検査装置34は、直流を出力する検査用電源36と電流計38と検査用探針40とで構成されている。
【0033】
検査用電源36のマイナス端子は、電流計38の一端と接続され、プラス端子は、検査用探針40の一端と接続される。
【0034】
電流計38の他端を、モータ駆動回路10の端子28及び30と接続した状態で、検査用探針40の他端を検査用パッド42に接触させると、検査用パッド42を介して、ダイオード22A、22B、22C、及び22Dを介して、P−MOSFET24A及び24B、並びにN−MOSFET26A及び26Bのゲート端子に電圧が印加される。
【0035】
P−MOSFET24A及び24Bのゲート端子に電圧が印加されると、ゲートリーク電流が、P−MOSFET24A及び24Bの各々のゲート・ソース間を流れ、端子28を介して電流計へ流れる。
【0036】
また、N−MOSFET26A及び26Bのゲート端子に電圧が印加されると、ゲートリーク電流が、N−MOSFET26A及び26Bの各々のゲート・ソース間を流れ、端子30を介して電流計へ流れ、電流計によってゲートリーク電流が検出され、ゲートリーク電流の大きさが正常時のゲートリーク電流値より大きいか否かを判断することにより、モータ駆動回路を検査することができる。
【0037】
次に、本実施の形態の検査終了後のモータ駆動回路10を用いてモータ駆動するときの動作について説明する。
【0038】
モータ駆動時は、モータ駆動回路10の端子32A及び32B間にDCモータ46のプラス端子48A及びマイナス端子48Bを接続し、端子28に図示しない直流電源(例えば、車載用バッテリー)のプラス端子を接続し、端子30に直流電源のマイナス端子を接続する。
【0039】
駆動回路14は、モータ制御部12から出力された制御信号が入力されると、制御信号に基いてスイッチング信号を生成し、生成したスイッチング信号をインバータ回路16のP−MOSFET24A及び24B、並びにN−MOSFET26A及び26Bのゲート端子に入力する。
【0040】
DCモータ46を正転させるときは、P−MOSFET24A及びN−MOSFET26Bをオン状態にし、P−MOSFET24B及びN−MOSFET26Aをオフ状態とするスイッチング信号を入力する。
【0041】
また、逆転させるときは、P−MOSFET24B及びN−MOSFET26Aをオン状態にし、P−MOSFET24A及びN−MOSFET26Bをオフ状態とするスイッチング信号を入力する。
【0042】
このとき、ダイオード22A、22B、22C、及び22Dが設けられているため、オン状態にするスイッチング信号が、オフ状態にするFETに入力されることはない。
【0043】
以上説明したように、本実施の形態に係るモータ駆動回路は、4個のダイオードの各々のアノードを1個の検査用パッドに接続することで4個のFETの各々のゲート・ソース間を流れるゲートリーク電流の全てを1度に測定することができるので、検査用パッドの削減及び測定工数を低減し、測定時間を短縮することができる。
【0044】
また、第1の実施の形態において、図3及び図4に示すように、第1の実施の形態の検査用パッド42に代えて検査用端子44を用いてもよい。
【0045】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と対応する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
図5に示すように、本実施の形態に係るモータ駆動回路10は、第1の実施の形態の検査用パッド42に代えて検査用パッド42A及び42Bが用いられており、ダイオード22A及び22Bのアノードが、検査用パッド42Aに接続され、ダイオード22C及び22Dのアノードが、検査用パッド42Bに接続されている。
【0047】
次に、本実施の形態に係るモータ駆動回路10のゲートリ−ク電流検査方法について説明する。
【0048】
まず、ゲートリーク電流検査装置34の電流計38の他端を、モータ駆動回路10の端子28及び30と接続した状態で、検査用探針40の他端を検査用パッド42Aに接触させると、検査用パッド42Aを介して、ダイオード22A及び22Bを介して、P−MOSFET24A及びN−MOSFET26Aのゲート端子に電圧が印加される。
【0049】
P−MOSFET24Aのゲート端子及びN−MOSFET26Aのゲート端子に電圧が印加されると、ゲートリーク電流が、P−MOSFET24A及びN−MOSFET26Aのゲート・ソース間を流れ、端子28及び端子30を介して電流計へ流れる。
【0050】
これにより、電流計の値を読み取ることにより、P−MOSFET24A及びN−MOSFET26Aを検査することができる。
【0051】
次に、検査用探針40の他端を検査用パッド42Bに接触させると、検査用パッド42Bに検査用電源36から電圧が印加され、上記と同様にP−MOSFET24B及びN−MOSFET26Bを検査することができる。
【0052】
本実施の形態の検査終了後のモータ駆動回路10を用いてモータ駆動するときの動作は、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態に係るモータ駆動回路は、1個の検査用パッドでFETの各々のゲート・ソース間を流れるゲートリーク電流を1対のFET毎に測定しているので、第1の実施の形態に比べ、検査精度を上げることができる。
【0054】
また、第2の実施の形態において、図6に示すように、第2の実施の形態の検査用パッド42A及び42Bに代えて検査用端子44A及び44Bを用いてもよい。
【0055】
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と対応する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0056】
図7に示すように、第3の実施の形態に係るモータ駆動回路10は、第1の実施の形態のDCモータ46に代えてブラシレスモータ50を制御する回路である。
【0057】
駆動回路14の出力端は、インバータ回路16と6個のダイオード22A、22B、22C、22D、22E、及び22Fと接続されている。
【0058】
インバータ回路16は、3つのP−MOSFET24A、24B、及び24Cと3つのN−MOSFET26A、26B、及び26Cとを備えており、P−MOSFET24A、24B、及び24C、並びにN−MOSFET26A、26B、及び26Cのゲート端子の各々は、駆動回路14の出力端と接続されている。
【0059】
P−MOSFET24A、24B、及び24Cのソース端子は、端子28と接続され、N−MOSFET26A、26B、及び26Cのソース端子は、端子30と接続されている。
【0060】
P−MOSFET24A及びN−MOSFET26Aのドレイン端子は、端子32Aに接続され、P−MOSFET24B及びN−MOSFET26Bのドレイン端子は、端子32Bに接続され、P−MOSFET24C及びN−MOSFET26Cのドレイン端子は、端子32Cに接続されている。
【0061】
ダイオード22A、22C、及び22Eのカソードの各々は、P−MOSFET24A、24B、及び24Cのゲート端子に接続され、ダイオード22B、22D、及び22Fのカソードの各々は、N−MOSFET26A、26B、及び26Cのゲート端子に接続されている。
【0062】
また、ダイオード22A、22B、22C、22D、22E、及び22Fの各々のアノードは、検査用パッド42に共通に接続されている。
【0063】
本実施の形態のモータ駆動回路10のゲートリーク電流の測定方法は、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0064】
次に、本実施の形態の検査終了後のモータ駆動回路10を用いてモータを駆動するときの動作について説明する。
【0065】
モータ駆動時は、モータ駆動回路10の端子32A、32B、及び32Cにブラシレスモータ50の図示しないU相、V相、及びW相の3相電機子巻線を接続し、端子28に図示しない直流電源(例えば、車載用バッテリー)のプラス端子を接続し、端子30に直流電源のマイナス端子を接続する。
【0066】
モータ制御部12は、図示しない磁石回転子の位置に応じた制御信号を駆動回路14へ出力する。
【0067】
駆動回路14は、モータ制御部12から出力信号が入力されると、制御信号に基いて120°方形波通電のスイッチング信号を生成し、生成された120°方形波通電のスイッチング信号は、インバータ回路16のP−MOSFET24A、24B、及び24C、並びにN−MOSFET26A、26B、及び26Cのゲート端子に入力される。
【0068】
ブラシレスモータ50は、例えば、P−MOSFET24A及びN−MOSFET26Bをオン状態にすると、3相電機子巻線のU相からV相へ電流が流れ、3相電機子巻線のU相及びV相で回転磁界が発生する。磁石回転子は、回転磁界からトルクを受けて回転する。
【0069】
なお、ダイオード22A及び22Dが設けられているためP−MOSFET24A及びN−MOSFET26Bをオン状態にしても、P−MOSFET24B及び24C、並びにN−MOSFET26A、及び26Cはオフ状態となる。
【0070】
以上説明したように、本実施の形態に係るモータ駆動回路は、6個のダイオードの各々のアノードを1個の検査用パッドに接続することで6個のFETの各々のゲート・ソース間を流れるゲートリーク電流の全てを1度に測定することができるので、検査用パッドの削減及び測定工数を低減し、測定時間を短縮することができる。
【0071】
なお、本実施の形態では、検査用パッド42を1個用いた場合を例に説明したが、3個の検査用パッド42A、42B、及び42Cを用いて、検査用パッド42Aにダイオード22A及び22Bのアノードを接続し、検査用パッド42Bにダイオード22C及び22Dのアノードを接続し、検査用パッド42Cにダイオード22E及び22Fのアノードを接続し、ゲートリーク電流の測定を3箇所で行って1対のFET毎に検査を行ってもよい。
【0072】
また、第3の実施の形態において、図8に示すように、第3の実施の形態の検査用パッド42に代えて検査用端子44を用いてもよい。
【0073】
次に、第4の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態と対応する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0074】
図9に示すように、本実施の形態に係るモータ駆動回路10は、第2の実施の形態のP−MOSFET24A及び24Bに代えてN−MOSFET126A及び126Bが用いられている。
【0075】
N−MOSFET126Aのソース端子は、DCモータ46のプラス端子48Aに接続された端子32Aに接続され、N−MOSFET126Bのソース端子は、DCモータ46のマイナス端子48Bに接続された端子32Bに接続されている。
【0076】
N−MOSFET126A及び126Bのドレイン端子は、端子30と接続されている。
【0077】
次に、本実施の形態に係るモータ駆動回路10のゲートリ−ク電流検査方法について説明する。
【0078】
まず、ゲートリーク電流検査装置34の電流計38の他端を、モータ駆動回路10の端子30、端子32A、及び32Bと接続した状態で、検査用探針40の他端を検査用パッド42Aに接触させると、検査用パッド42Aを介して、ダイオード22A及び22Bを介して、N−MOSFET126A及び26Aのゲート端子に電圧が印加される。
【0079】
N−MOSFET126A及び26Aのゲート端子に電圧が印加されると、ゲートリーク電流が、N−MOSFET126A及び26Aのゲート・ソース間を流れ、端子32A及び端子30を介して電流計へ流れる。
【0080】
これにより、電流計の値を読み取ることにより、N−MOSFET26A及び126Aを検査することができる。
【0081】
次に、検査用探針40の他端を検査用パッド42Bに接触させると、検査用パッド42Bに検査用電源36から電圧が印加され、検査用パッド42Bを介して、ダイオード22C及び22Dを介して、N−MOSFET126B及び26Bのゲート端子に電圧が印加される。
【0082】
N−MOSFET126B及び26Bのゲート端子に電圧が印加されると、ゲートリーク電流が、N−MOSFET126B及び26Bのゲート・ソース間を流れ、端子32B及び端子30を介して電流計へ流れる。
【0083】
これにより、電流計の値を読み取ることにより、N−MOSFET126B及び26Bを検査することができる。
【0084】
本実施の形態の検査終了後のモータ駆動回路10を用いてモータ駆動するときの動作は、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0085】
以上説明したように、本実施の形態に係るモータ駆動回路は、1個の検査用パッドでFETの各々のゲート・ソース間を流れるゲートリーク電流を1対のFET毎に測定しているので、第1の実施の形態に比べ、検査精度を上げることができる。
【0086】
なお、本実施の形態では、検査用パッド42A及び42Bを用いた場合を説明したが、第1の実施の形態のように1個の検査用パッド42又は検査用端子44を用いて、ダイオード22A、22B、22C、及び22Dのアノードを検査用パッド42又は検査用端子44に接続してもよい。
【0087】
また、本実施の形態において、第2の実施の形態のように検査用パッド42A及び42Bに代えて検査用端子44A及び44Bを用いてもよい。
【0088】
さらに、本実施の形態において、第3の実施の形態のようにDCモータ46に代えてブラシレスモータ50を用いてもよい。
【0089】
なお、上記第1の実施の形態〜第4の実施の形態では、ダイオードを用いた場合を説明したが、ダイオードに代えて、コレクタとベースとを短絡してダイオード接続したトランジスタ又はエミッタとベースとを短絡してダイオード接続したトランジスタを用いてもよい。コレクタとベースとを短絡してダイオード接続したトランジスタを用いる場合には、エミッタ端子をFETのゲート端子に接続し、コレクタ端子を共通接続する。また、エミッタとベースとを短絡してダイオード接続したトランジスタを用いる場合には、コレクタ端子をFETのゲート端子に接続し、エミッタ端子を共通接続する。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】第1の実施の形態に係るモータ制御回路の回路図である。
【図2】第1の実施の形態に係るモータ制御回路の概略図である。
【図3】第1の実施の形態に係るモータ制御回路の変形例を示す回路図である。
【図4】第1の実施の形態に係るモータ制御回路の変形例を示す概略図である。
【図5】第2の実施の形態に係るモータ制御回路の回路図である。
【図6】第2の実施の形態に係るモータ制御回路の変形例を示す回路図である。
【図7】第3の実施の形態に係るモータ制御回路の回路図である。
【図8】第3の実施の形態に係るモータ制御回路の変形例を示す回路図である。
【図9】第4の実施の形態に係るモータ制御回路の回路図である。
【符号の説明】
【0091】
10…モータ駆動回路、12…モータ制御部(制御回路)、16…インバータ回路(インバータ回路)、22A…ダイオード(第1の素子)、22B…ダイオード(第1の素子)、22C…ダイオード(第2の素子)、22D…ダイオード(第2の素子)、22E…ダイオード(第3の素子)、22F…ダイオード(第3の素子)、24A…P−MOSFET(第1の電界効果トランジスタ)、24B…P−MOSFET(第2の電界効果トランジスタ)、24C…P−MOSFET(第3の電界効果トランジスタ)、26A…N−MOSFET(第1の電界効果トランジスタ)、26B…N−MOSFET(第2の電界効果トランジスタ)、26C…N−MOSFET(第3の電界効果トランジスタ)、42…検査用パッド(パッド)、44…検査用端子(端子)、46…DCモータ(モータ)、48A…プラス端子(一方の電極)、48B…マイナス端子(他方の電極)50…ブラシレスモータ(モータ)、126A…N−MOSFET(第1の電界効果トランジスタ)、126B…N−MOSFET(第2の電界効果トランジスタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの一方の電極に接続される一対の第1の電界効果トランジスタ、及び該モータの他方の電極に接続される一対の第2の電界効果トランジスタを備えるインバータ回路と、
前記一対の第1の電界効果トランジスタ及び前記一対の第2の電界効果トランジスタのゲートの各々に、前記第1の電界効果トランジスタ及び前記第2の電界効果トランジスタの各々をオンオフさせるための制御信号を入力するように接続された制御回路と、
各々一端が前記第1の電界効果トランジスタのゲートに接続されると共に、他端が共通に接続され、前記ゲートに流入する方向に流れる電流を通過させ、前記ゲートから流出する方向に流れる電流の通過を阻止する一対の第1の素子と、
各々一端が前記第2の電界効果トランジスタのゲートに接続されると共に、他端が共通に接続され、前記ゲートに流入する方向に流れる電流を通過させ、前記ゲートから流出する方向に流れる電流の通過を阻止する一対の第2の素子と、
を含むモータ駆動回路。
【請求項2】
前記第1の素子及び前記第2の素子の各々を、カソードが前記ゲートに接続されたダイオード、または、コレクタとベースとが短絡するようにダイオード接続され、かつエミッタが前記ゲートに接続されると共にコレクタが共通に接続されたトランジスタで構成した請求項1記載のモータ駆動回路。
【請求項3】
前記第1の素子及び前記第2の素子の各々を、カソードが前記ゲートに接続されたダイオード、または、エミッタとベースとが短絡するようにダイオード接続され、かつコレクタが前記ゲートに接続されると共にエミッタが共通に接続されたトランジスタで構成した請求項1記載のモータ駆動回路。
【請求項4】
前記第1の素子及び前記第2の素子の共通接続された側をパッドまたは端子に接続した請求項1〜請求項3のいずれか1項記載のモータ駆動回路。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項記載のモータ駆動回路の前記第1の素子及び前記第2の素子の共通接続された側の少なくとも1つと前記第1の電界効果トランジスタ及び前記第2の電界効果トランジスタの少なくとも1つのソースとの間に電圧を印加し、
前記第1の素子及び前記第2の素子の共通接続された側の少なくとも1つから前記第1の素子及び前記第2の素子の少なくとも1つを介して、前記第1の電界効果トランジスタ及び前記第2の電界効果トランジスタの少なくとも1つのゲートからソース方向に電流を流すことにより、前記第1の電界効果トランジスタ及び前記第2の電界効果トランジスタを検査するモータ駆動回路の検査方法。
【請求項6】
モータの第1の電機子巻線に接続される一対の第1の電界効果トランジスタ、モータの第2の電機子巻線に接続される一対の第2の電界効果トランジスタ、及びモータの第3の電機子巻線に接続される一対の第3の電界効果トランジスタを備えるインバータ回路と、
前記一対の第1の電界効果トランジスタ、前記一対の第2の電界効果トランジスタ、及び前記一対の第3の電界効果トランジスタのゲートの各々に、前記第1の電界効果トランジスタ、前記第2の電界効果トランジスタ、及び前記第3の電界効果トランジスタの各々をオンオフさせるための制御信号を入力するように接続された制御回路と、
各々一端が前記第1の電界効果トランジスタのゲートに接続されると共に、他端が共通に接続され、前記ゲートに流入する方向に流れる電流を通過させ、前記ゲートから流出する方向に流れる電流の通過を阻止する一対の第1の素子と、
各々一端が前記第2の電界効果トランジスタのゲートに接続されると共に、他端が共通に接続され、前記ゲートに流入する方向に流れる電流を通過させ、前記ゲートから流出する方向に流れる電流の通過を阻止する一対の第2の素子と、
各々一端が前記第3の電界効果トランジスタのゲートに接続されると共に、他端が共通に接続され、前記ゲートに流入する方向に流れる電流を通過させ、前記ゲートから流出する方向に流れる電流の通過を阻止する一対の第3の素子と、
を含むモータ駆動回路。
【請求項7】
前記第1の素子、前記第2の素子、及び前記第3の素子の各々を、カソードが前記ゲートに接続されたダイオード、または、コレクタとベースとが短絡するようにダイオード接続され、かつエミッタが前記ゲートに接続されると共にコレクタが共通に接続されたトランジスタで構成した請求項6記載のモータ駆動回路。
【請求項8】
前記第1の素子、前記第2の素子、及び前記第3の素子の各々を、カソードが前記ゲートに接続されたダイオード、または、エミッタとベースとが短絡するようにダイオード接続され、かつコレクタが前記ゲートに接続されると共にエミッタが共通に接続されたトランジスタで構成した請求項6記載のモータ駆動回路。
【請求項9】
前記第1の素子、前記第2の素子、及び前記第3の素子の共通接続された側をパッドまたは端子に接続した請求項6〜請求項8のいずれか1項記載のモータ駆動回路。
【請求項10】
請求項6〜請求項9のいずれか1項記載のモータ駆動回路の前記第1の素子、前記第2の素子、及び前記第3の素子の共通接続された側の少なくとも1つと前記第1の電界効果トランジスタ、前記第2の電界効果トランジスタ、及び前記第3の電界効果トランジスタの少なくとも1つのソースとの間に電圧を印加し、
前記第1の素子、前記第2の素子、及び前記第3の素子の共通接続された側の少なくとも1つから前記第1の素子、前記第2の素子、及び前記第3の素子の少なくとも1つを介して、前記第1の電界効果トランジスタ、前記第2の電界効果トランジスタ、及び前記第3の電界効果トランジスタの少なくとも1つのゲートからソース方向に電流を流すことにより、前記第1の電界効果トランジスタ、前記第2の電界効果トランジスタ、及び前記第3の電界効果トランジスタを検査するモータ駆動回路の検査方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−75025(P2010−75025A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243177(P2008−243177)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】