説明

リトグラフィー投影装置

【課題】リトグラフィー投影装置の提供。
【解決手段】マスクステージのX、YおよびRx位置が、マスクステージに装着された各グリッド格子の変位を測定する2つの光学式エンコダー読取りヘッド10,11を使用して測定され、グリッド格子12,13は、マスクMA自体上のパターンと同一平面となるようにマスクテーブルMTの切取り部に設けるのが好ましい。他の自由度におけるテーブル位置の測定は、容量性または光学式高さセンサHSで測定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線投影ビームを供給する放射装置と、所望のパターンにしたがって投影ビームにパターンを付与する作用を果たすパターン付与手段を支える支持構造体と、基板を保持する基板テーブルと、基板のターゲット部に、パターンが付与されたビームを投影する投影装置とを含むリトグラフィー投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で使用されている用語「パターン付与手段」は、広義に、基板のターゲット部に形成されるべきパターンに対応するパターンが付与された断面を入射放射線ビームに付与するために使用することができる手段を表すものと解釈されるべきであり、この文脈において、用語「光弁」も使用することができる。一般に、上記パターンは、集積回路またはその他のデバイス(以下を参照)のような、ターゲット部に形成されるデバイスの特定の機能層に対応する。このパターン付与手段の例は、以下のものを含む:
* マスク:マスクの概念は、リトグラフィーにおいて周知であり、種々のハイブリッドマスクだけでなく、2進交互位相変位および減衰位相変位のような型式のマスクを含む。このマスクを放射線ビームに配置することにより、マスクのパターンに応じて、選択的に、マスクに衝突する放射線の透過(透過性マスクの場合)、あるいは、反射(反射性マスクの場合)が生じる。マスクの場合、支持構造体は、一般的に、マスクテーブルであり、マスクテーブルにより、マスクは、入射放射線ビームの所望の位置で保持可能であり、望む場合、ビームに対して移動可能である。
* プログラマブルミラー配列:このデバイスの例は、粘弾性制御層と反射面とを有するマトリックスアドレス可能な面である。この装置の背後にある基本的概念は、(例えば、)反射面のアドレス領域は、入射光を回折光として反射し、非アドレス領域は、入射光を非回折光として反射する。適切なフィルタを使用して、上記非回折光は、反射ビームからフィルタ除去され、回折光のみを残すことができ、このように、ビームは、マトリックスアドレス面のアドレスパターンにしたがってパターンが付与される。必要なマドリックスアドレス指定は、適切な電子手段を使用して行うことができる。このミラー配列に関する更に詳しい情報は、例えば米国特許第5296891号および第5523193号明細書(それらの記載内容を本明細書の記載として援用する)で確認できる。プログラマブル(プログラム可能な)ミラー配列の場合、上記支持構造体は、例えば、固設することができる、あるいは必要な場合、移動することができるフレームまたはテーブルとして具体化することができる。
* プログラマブルLCD配列:この構造の例が、本明細書中に参考用に組込まれている米国特許第5229872号に示されている。上述のように、この場合の支持構造体は、例えば、固設することができる、あるいは必要な場合、移動することができるフレームまたはテーブルとして具体化することができる。単純化のために、この明細書の残部は、所定の箇所で、特にマスクおよびマスクテーブルに関連する例に向けることができるが、しかし、この例に記載されている一般的原理は、上述のようなパターン付与手段のより広い文脈で理解されるべきである。
【0003】
リトグラフィー投影装置は、例えば、集積回路(ICs)の製造において使用することができる。この場合に、パターン付与手段は、ICの個々の層に対応する回路パターンを付与することができ、このパターンは、放射線感受性材料(レジスト)の層で被覆された基板(シリコンウエーハ)の(例えば、1または複数のダイを備える)ターゲット部に描画することができる。一般に、単一のウエーハは、一つづつ投影装置を介して連続的に照射される隣接ターゲット部網全体を包含する。マスクテーブル上でのマスクによるパターン付与を採用するこの装置においては、2つの異なる型式の機械を区別することができる。或る型式のリトグラフィー投影装置では、各ターゲット部が、1回の作動でターゲット部の全マスクパターンを露光することによって照射される。このリトグラフィー投影装置は、一般に、ウエーハステッパーと称する。一般に走査ステップ装置(ステップ・アンド・スキャン装置)と称される代替装置では、投影ビーム下で所定の基準方向(走査方向)にマスクパターンを斬進的に走査し、これと同期して、該基準方向に対してパラレル(同方向)またはアンチパラレル(反対方向)に基板テーブルを走査することによって、各ターゲット部が照射される。一般に、投影装置は、倍率M(一般に、<l)を有し、基板テーブルの走査速度Vは、マクステーブルの走査速度のM倍である。本明細書中で説明されているリトグラフィーデバイスに関する更に詳しい情報は、例えば米国特許第6046792号明細書(その記載内容を本明細書の記載として援用する)で確認できる。
【0004】
リトグラフィー投影装置を使用する製造プロセスにおいて、(例えば、マスクの)パターンが、放射線感受性材料(レジスト)の層によって一部が被覆された基板に描画される。この描画ステップ(段階)前に、基板は、プライミング、レジストコーテイングおよびソフトベーク(軽焼成)のような各種処置を受けるだろう。露光後、基板は、後露光ベーク(PEB:現像前ベークとも言う)、現像、ハードベークおよび描画部の測定/検査のようなその他の処置を受けるだろる。この一連の処置は、デバイス(例えば、IC)の個々の層にパターンを付与する基礎として用いられる。パターン付与された層は、この後、エッチング、イオン注入(ドーピング)、メタライゼーション、酸化、機械化学的研磨など、全て個々の層を仕上げるための各種プロセスを受けるだろう。複数層が必要な場合、全処置またはその変形処置を、新たな各層に対して繰返す必要がある。最終的に、一連のデバイスが基板(ウエーハ)上に形成される。これらのデバイスは、この後、ダイシングまたはソーイング(鋸切断)のような技術によって互いに分離され、次いで、個々のデバイスがキャリアに装着され、ピンなどに接続されるだろう。このプロセスに関する他の情報は、「Microchip Fabrication: A Practical Guide to Semiconductor Processing」と題する書籍(第3版、ピーター・バン・ザント著、マックグロー・ヒル出版社、1997年発行、ISBN 0-07-067250-4)(その記載内容を本明細書の記載として援用する)で確認できる。
【0005】
単純化のために、投影装置は、以下で、「レンズ」と称することができるが、この用語は、広く、例えば、屈折光学、反射光学および反射屈折光学系を含む、各種投影装置を包含するものとして解釈するべきである。放射装置は、放射投影ビームの配向、形状付与、あるいは制御のために、これら各種型式の設計構造のいずれかにしたがって作動する部品を含むことができ、これらの部品は、以下で、総括的または単独で、「レンズ」と称することもできる。さらに、リトグラフィー装置は、2つ以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有する型式であってもよい。この「マルチステージ」デバイスでは、追加のテーブルが、平行に使用可能であり、あるいは、1つ以上の他のテーブルが露光のために使用されている時に、準備ステップ(段階)を、1以上のテーブルで実施可能である。ツインステージリトグラフィー装置は、例えば、米国特許第5969441号および国際公開公報第WO 98/40791号に記載されている(それらの内容を本明細書の記載として援用する)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
集積回路およびリトグラフィー液晶デイスプレーパネルの製造のためのマイクロリトグラフィーの最も挑戦的な条件の一つが、テーブルの位置決めである。例えば、100nm未満のリトグラフィーは、最高2ms-1までの速度で、全6自由度(DOF)において最高1nmまでのオーダーでの動的精度および機械間の整合を基板およびマスクの位置決めステージに要求する。
【0007】
この位置決め条件の要求に対する一般的なアプローチは、ステージ位置決めアーキテクチャーを、マイクロメートル精度であるが、全動作範囲にわたって移動し、微細位置決めモジュールが縦列される粗位置決めモジュール(例えば、X−Yテーブルあるいはガントリーテーブル)に再分割することである。微細位置決めモジュールは、粗い位置決めモジュールの残留誤差を最後の数ナノメートルに訂正するためのものであるが、非常に限られた範囲の移動を収容するだけでよい。このナノメートル位置決めに対して一般的に使用されるアクチュエータは、圧電アクチュエータあるいは音声コイル型形電磁アクチュエータを含む。微細モジュールでの位置決めは通常の場合、全6DOFにおいて実施されるが、大きな範囲での移動は、2DOFを超えてほとんど必要とされず、したがって、粗モジュール設計をかなり容易にする。
【0008】
粗位置決めに必要なマイクロメートル精度は、光学あるいは磁性インクリメンタルエンコーダーのような比較的簡単な位置センサを使用して容易に達成することができる。これらは、1DOF(自由度1)での測定を可能とする単軸デバイス、あるいは、1996年、米国、カリフォルニア、Proc. ASPE Annual Meeting でのSchaeffel 他著「 Integrated electro-dynamic multi-coordinate drives」、第456〜461頁に記載されている、より最近のマルチDOF(自由度最高3)デバイスであってもよい。同様なエンコーダ(例えば、Dr. J. Heidenhain GmbHによって製造されている位置測定装置型式PP281R)も商業的に利用可能である。これらのセンサは、サブマイクロメートルレベル(マイクロメートル未満の水準)の分解能を難なく提供することが可能である。しかしながら、絶対的精度、および、特に、長い移動範囲にわたる熱安定性は、容易に達成できない。
【0009】
他方で、微細位置決めモジュールの端部でのマスクおよび基板テーブルの位置測定は、全動作範囲にわたるナノメートル精度および安定性を有しつつ、全6DOFにおいてサブナノメートル分解能(ナノメートル未満の分解能)で行う必要がある。これは、一般に、追加の較正機能(例えば、基板テーブル上での干渉計ミラーの平面度の較正)のための余分な軸を有する多軸干渉計を使用して全6DOFにおける変位を測定して達成される。
【0010】
この干渉計システムの背後にある技術は、非常に成熟しているが、その適用は問題がないことはない。干渉計の最も大きな欠点の1は、Schellekens P.H.J.著「Absolute measurement accuracy of technical laser interferometers」 Ph.D. Thesis,TU Eindhoven, 1986年に記載されている波長の環境圧力および温度への依存性であり、この依存性は、以下の式で表される:
【数1】


ここで、
【数2】


P: 大気圧(Pa)
T: 大気温(℃)
H: 水蒸気圧(Pa)
C: CO2量(ppm)
【0011】
これは、光学リトグラフィーシステムの熱設計における大きな問題の1つのままである。一般に、干渉計の光路に沿う温度および圧力の双方は、例えば、エアーシャワーで供給される乾燥し(クラス1より良い)清浄な空気の使用によってmKおよびmbarのレベルに積極的に制御される必要がある。
【0012】
さらに、直交度および共平面性のための多軸干渉計の装着調整および残留誤差を除去するその後の較正手順は、双方共、極めて複雑で時間を要する。この調整および較正手順後でも、測定は、干渉計ブロックの相対位置が安定状態にある場合にのみ、正確であるにすぎない。干渉計ブロックが装着される、度量衡フレーム(骨組)に関するナノメートル寸法安定性条件は、インバー(Invar:合金名)またはゼロダー(Zerodur)のような低熱膨張率またはゼロ熱膨張率(CTE)、またはmKレベルへの能動的熱安定性、または両者を有する材料で形成する必要がある。さらに、操作中のレーザビームの指向安定性は、なんらかの形態の自動化ルーチンによって定期的に較正される必要がある追加の余弦またはアッベ誤差を招くことがある。
【0013】
干渉計システムは、(正確であるべき光路の)長さの変化を測定可能な相対的測定系であるにすぎないことは当然のことである。各自由度におけるゼロ基準は、いわゆる国際公開公報第WO98/39689号に記載されているアラインメントセンサのような別の装置で形成できるにすぎない。
【0014】
現在の技術水準のリトグラフィーシステムの測定系は、環境振動から非常に離隔しているが、0.5x10-9mのオーダーの熱変形は、完全に防止できない。したがって、基板またはマスクテーブルの位置は、直接光学式描画システムに対して測定されるのが望ましい。干渉計を直接、例えば、レンズに装着することは、困難かつ不所望である。しかし、レンズに対する相対的な長さの測定は、複雑さおよびコストの増加を犠牲にして、差動干渉法によって実現することができるだけである。
【0015】
この6DOF干渉式測定に必要なマルチビームは、1つのレーザ源によって十分な光パワーを充分に供給することはできず、したがって、波長整合が更に要求される複数源を必要とする。レーザおよび検出器の組合せの全熱損失は、50Wを超え、これは、測定系の寸法安定性の許容レベルを充分に越える値である。したがって、レーザおよび検出器の双方は、光学式リンクを介して離隔して装着される必要がある。
【0016】
この干渉法をベースとするシステムは、技術的に実行可能であり、実施されているが、簡単、頑丈かつ経済的ではない。
【0017】
干渉計に代わる、長距離変位測定のためのマイクロメートルまたはナノメートルの分解能を有する最も明白な代替手段は、光学式インクリメンタルエンコーダー(incremental encoder)である。サブナノメートルの分解能を有する光学式エンコーダーが、ここ数年利用可能になり、単軸干渉法の実行可能な代替手段として奨励されている。サブナノメートルの分解能は、(4096xまでの)補間技術との組合せで(最高512nmまでの)微細ピッチ格子を使用することによって達成される。しかし、このエンコーダーの大部分は、1DOFにおいてのみ、長さを測定する。このように、このエンコーダーの大部分は、全6DOFにおける同時ナノ測定に容易に適合しない。困難の1は、他の5DOFにおける寄生移動に対する変位信号のクロストークのレベルが高いということである。
【0018】
本発明の目的は、リトグラフィー投影装置で使用される改良された変位測定装置(システム)、特に、既存装置の有する問題が解決または改善された装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明によれば、放射線投影ビームを与える放射装置と、所望のパターンにしたがって投影ビームにパターンを付与する作用を果たすパターン付与手段を支える支持構造体と、基板を保持する基板テーブルと、基板のターゲット部にパターンが付与されたビームを投影する投影装置とを含むリトグラフィー投影装置であって、少なくとも2つの自由度で前記支持構造体と前記基板テーブルの一方を備え、可動対象物の位置を測定する変位測定装置で特徴づけられ、前記変位測定装置は、前記可動対象物に装着された少なくとも1つのグリッド格子と2つの自由度において前記グリッド格子の変位を測定する少なくとも1つのセンサヘッドとを含むリトグラフィー投影装置が提供される。
【0020】
本発明は、放射線投影ビームを与える放射装置と、所望のパターンにしたがって投影ビームにパターンを付与する作用を果たすパターン付与手段を支える支持構造体と、基板を保持する基板テーブルと、基板のターゲット部に、パターンが付与されたビームを投影する投影装置とを含むリトグラフィー投影装置であって、少なくとも2つの自由度で前記支持構造体と前記基板テーブルの一方を備え、可動対象物の位置を測定する変位測定装置で特徴づけられ、前記変位測定装置は、基準系に装着された少なくとも1つのグリッド格子と2つの自由度において前記グリッド格子に対する前記可動対象物の変位を測定するために前記可動対象物に装着された少なくとも1つのセンサヘッドとを含むリトグラフィー投影装置も提供する。
【0021】
2Dグリッドエンコーダーの大きな利点は、測定グリッドが格子板に永続的に固定可能であるということである。格子が完全に直交せず、真直でもなく、また、直線状でなくても、これは、格子板が(熱または弾性による)歪みを受けない限り、不変である。この直線性または直交度誤差は、例えば、真空干渉法によってそれほどの困難を伴うことなく較正することができる。較正は、各格子に対して一回実施するだけでよく、あるいは、位置決め繰返し性だけに関心がある場合は、全く実施する必要はない。グリッドエンコーダーの使用により、単軸エンコーダーをベースとした解決法と比較したとき、誤差項目から軌道の真直度および直交度がほぼ除去される。
【0022】
したがって、本発明は、グリッド格子およびサブナノメートル(ナノメートル未満)のエンコーデイング原理を組合せることによって、少なくとも3共面自由度(X、Y、Rz)において、干渉法に代わる解決法を提供することができる。
【0023】
ナノメートル分解能を有するエンコーダーの残りの自由度における寄生運動に対する出力感度の問題を解決するために、本発明で使用されるシステムは、格子から外れた単色源からの平行入射光の一次回折の干渉パターンを利用する。この方法により、検出器での信号は、高次高調波を含まず、過度のエラーを伴うことなく、非常に高度の補間を行うことを可能とする。さらに、非測定方向における格子に対する読取りヘッドの更に大きな位置許容度を可能とする。この検出器に関する更に詳しい情報は、米国特許第5643730号明細書(その記載内容を本明細書の記載として援用する)で確認できる。
【0024】
本発明で使用されている一般的なシステムは、10μmまたはこれより小さい周期を有し、2DOFにおける干渉式読取り(エンコーダー)ヘッドと各軸に対して20,000の係数までの補間器とを有するグリッド格子を備える。
【0025】
残りの3DOF、すなわち、ZとRxとRyとの測定のために、光学式三角測量で光ファイバー後方散乱の干渉式センサ(空気中で非常に短い光路を有することがあり、したがって、環境変動に敏感でないことがある)、容量性または誘電性センサを含む種々の短範囲変位検知技術を用いることができる。
【0026】
現在、容量性センサおよび光センサが他の測定原理よりも好まれているが、他の測定原理は、本発明の幾つかの適用例には好適であることがある。ゼロダー(Zerodur)チャックに対する誘電性センサの使用は、導電性ターゲットがセンサに必要であるために、問題がある。他方で、空気近接センサ(空気マイクロメーター)は、分解能および動作距離が制約されると共に、ターゲットに所定の力を及ぼす。
【0027】
光センサは、干渉式であれ三角測量式であれ、比較的大きな(数ミリメートル)動作距離を有するように形成可能であり、この比較的大きな動作距離は、組立て公差を緩くするのを助ける。容量性センサに比して、光センサは、通常の場合、より高い帯域幅を有し、絶対距離センサとして形成することができる。しかし、絶対センサとして、光センサは、定期的較正を必要とする機械的ドリフト(熱またはその他の)のために、長時間の安定性に問題がある。
【0028】
他方で、容量性センサは、非常に高い安定性を有する絶対センサとして形成することができる。さらに、距離測定は、比較的大きなターゲット面で実施され、ターゲット面の局部的不均一性の影響を低減するのを助ける。容量性センサは、測定範囲およびスタンドオフクリアランス(stand-off clearance:離隔間隔)が制約されているが、リトグラフィー適用例においては、現在好まれている選択である。
【0029】
エンコーダーを基本とするナノ位置決めシステムは、干渉法に代わる有利な代替手段を提供し、実施するのが非常に簡単である。より優れた測定安定性が、X−Y面の測定グリッドがマスクテーブル上に永続的に固定されるということによって達成することができ、マスクテーブルは、ゼロダーのようなゼロCTE材料で実施されたときに、長時間寸法的に安定し、熱に影響されない。これは、とくに、157nmあるいはこれより小さい波長を用いるリトグラフィー投影装置の場合に、干渉計ビームの光路のすぐ周りの領域の環境コントロールに対する厳しい要求をかなり緩和する。このデバイスは、ビームを吸収せず、空気中で強く吸収されるガスで清浄にする必要があり、干渉計ビームの長さにわたるエアシャワーの必要性を避けることによって、本発明は、パージガスの消費量を実質的に低減することができる。
【0030】
投影光学に対するマスクの位置も、差動装置を用いる構成を使用せずに、エンコーダー解決法で測定可能である。読取りヘッドを投影光学の上部に直接配置することにより、読取りヘッドの熱散逸に関してより大きな要求が課されるが、積極的冷却または光ファイバーでリンクされた離隔した光源および検出器のようなこれを低減する技術が、既に利用可能であり、現在の技術水準の干渉計システムにおいて既に展開されている。
【0031】
本発明は、放射線感受性材料層によって少なくとも一部が覆われる基板を提供し、放射装置を使用して放射線投影ビームを提供し、パターン付与手段を使用して、投影ビームのその横断面にパターンを形成し、放射線感受性材料層のターゲット部に、パターンが付与された放射線ビームを投影するステップを有するデバイス製造法であって、それに装着された少なくとも1つのグリッド格子と前記支持構造体と前記基板テーブルの一方の変位を少なくとも自由度2で測定するステップ(段階)によって特徴づけられる。
【0032】
本発明は、さらに、可動支持構造体に保持されたパターン付与手段に基準パターンを提供し、前記基準パターンは、少なくともリトグラフィー投影装置の走査方向の前較正された位置に複数の基準マークを有し、さらに、投影レンズに対して一定の位置でイメージセンサを基板テーブル上で保持し、前記基準マークのそれぞれの像を順に前記透過型イメージセンサに投影するように前記支持構造体を位置決めし、基準マークのそれぞれが、前記イメージセンサに投影されたときに、少なくとも第1の自由度において前記支持構造体の位置を測定するステップを有する、リトグラフィー投影装置を較正する方法を提供する。
【0033】
本明細書において、とくに、ICsの製造における本発明の装置の使用について参照しているが、この装置は多くの他の可能な適用例を有していることが明白に理解されるべきである。例えば、この装置は、集積光学システムと、磁気ドメインメモリー、液晶デイスプレーパネル、薄膜磁気ヘッドなどの案内および検出パターンとの製造で用いることができる。当業者は、これらの他の適用例との関連で、本明細書中の用語「レチクル」、「ウエーハ」あるいは「ダイ」は、より一般的用語「マスク」、「基板」および「照射領域」(exposure area)あるいは「ターゲット領域」のそれぞれで代えられると考えられるべきである。
【0034】
本明細書において、用語「放射線」および「ビーム」は、(例えば、365,248,193,157または126nmの波長を有する)紫外線およびEUV(例えば、5〜20nmの範囲の波長を有する超紫外線)ならびにイオンビームまたは電子ビームのような粒子線を含む、全てのタイプの電磁放射線を含むために使用されている。
【0035】
本発明は、直交したX、YおよびZ方向とRiで示すI方向に平行な軸を中心とする回転とをベースとした座標系を参照して以下に説明されている。Z方向は、「垂直」、XおよびY方向は、「水平」と称することができる。しかし、反対の記載がない限り、これは、装置の特定の向きを必要とするものと解釈されるべきでない。
【0036】
本発明およびその付随する利点は、例示的実施形態および添付図面を参照して以下で更に説明されている。図中、同一の部材は、同一の参照符号で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1実施形態によるリトグラフィー投影装置を示す図。
【図2】位置測定装置を示す、公知のリトグラフィー装置のマスクステージの斜視図。
【図3】本発明の第1実施形態による位置測定装置を示す、リトグラフィー装置のマスクステージの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、本発明の特定の実施形態によるリトグラフィー投影装置を概略的に示す。このリトグラフィー投影装置は、放射線(例えば、紫外線)の投影ビームPBを供給する放射装置Ex,ILを含み、特別な場合には、該放射装置が放射線源LAをも有し、さらに、マスクMA(例えば、レチクル)を保持するマスクホルダに設けられ、マスクをアイテムPLに対して正確に位置決めする第1位置決め手段に接続された第1対象物テーブル(マスクテーブル)MTと、基板W(例えば、レジスト被覆シリコンウエーハ)を保持する基板ホルダに設けられ、基板を品目PLに対して正確に位置決めする第2位置決め手段に接続された第2対象物テーブル(基板テーブル)WTと、マスクMAの照射部を基板Wのターゲット部C(例えば、1または複数のダイ)上で描画する投影装置(レンズ)PLとを含む。図示のように、このリトグラフィー投影装置は透過型である(すなわち、透過マスクを有する)。しかしながら、一般的に言って、リトグラフィー投影装置は、例えば、(反射マスクを有する)反射型であってもよい。代替的に、リトグラフィー投影装置は、前記のような型式のプログラム可能なミラー配列のような他の種類のパターン付与手段を用いてもよい。
【0039】
放射線源LA(例えば、エキシマレーザ)は、放射線ビームを生成する。このビームは、直接、あるいは、例えば、ビームエキスパンダーExのようなコンデイショニング手段を横断後、照明系(照明器)内に供給される。照明器ILは、ビームに、強度分布の外側および/または内側のラジアル距離(一般に、それぞれσ−外側およびσ−内側と称される)を設定する調整手段AMを備えてもよい。さらに、照明器は、一般的に、積分器INおよびコンデンサCOのような種々のその他の部品を備える。このように、マスクMAに衝突するビームPBは、その横断面に所望の均一性および強度分布を有する。
【0040】
放射線源LAは、リトグラフィー投影装置のハウジング内にあってもよいが(放射線源LAが、例えば、水銀灯であるときに、該当することが多い)、リトグラフィー投影装置から離隔していてもよく、放射線源が生成する放射線ビームが、(例えば、好適な指向ミラーの助けで、)装置内に導かれることが図1に関連して留意されるべきであり、後者の場合の説明は、放射線源LAがエキシマレーザである場合に該当することが多い。本発明および特許請求の範囲は、これらの場合の双方を含む。
【0041】
ビームPBは、その後、マスクテーブルMT上に保持されたマスクMAを捕らえる。マスクMAを横断後、ビームPBは、レンズPLを通過し、このレンズは、ビームPBを基板Wのターゲット部C上で集束する。第2位置決め手段(および干渉式測定手段IF)の助けで、基板テーブルWTは、正確に移動して、例えば、ビームPBの通路に異なるターゲット部Cを位置決めすることができる。同様に、第1位置決め手段は、例えば、マスクMAをマスクライブラリーから機械的に取出し後、あるいは、走査中に、ビームPBの通路に対してマスクMAを正確に位置決めするために使用することができる。一般に、対象物テーブルMT,WTの移動は、長ストロークモジュール(粗位置決め)および短ストロークモジュール(微細位置決め)の助けで実現され、これらのモジュールは、図1に明瞭に示されていない。しかし、(走査ステップ装置とは対照的な)ウエーハステッパの場合、マスクテーブルMTは、短ストロークアクチュエータに単に接続したり、あるいは、固定することができる。
【0042】
図示された装置は、2つの異なるモードで使用することができる:
1.ステップモードにおいて、マスクテーブルMTは、事実上静止状に維持され、全マスク像が、1回の作動(すなわち、単一フラッシュ)でターゲット部C上に投影される。基板テーブルWTは、この後、xおよび/またはy方向に変位され、異なるターゲット部Cが、ビームPBによって照射される;
2.走査モードにおいて、所定のターゲット部Cが単一フラッシュで露光されない点を除いて、ほぼ同じ説明が適用される。その代わりに、マスクテーブルMTは、速度vで所定方向(いわゆる、走査方向、例えば、y方向)に移動可能であり、これにより、投影ビームPBは、マスク像全体を走査し;同時に、基板テーブルWTは、速度V=Mvで同方向または反対方向に同時に移動し、ここで、MはレンズPLの倍率(一般的に、1/4または1/5)である。このように、比較的大きなターゲット部Cの露光を、分解能について妥協することなく行なうことができる。
【0043】
本発明の第1実施形態によれば、マスクテーブルの変位測定手段は、ゼロダーから形成されたテーブルを有する6DOF非干渉式ナノ測定系を備え、テーブルの下側で2つのグリッド格子が露光される。これらの格子の各々(Y方向に沿うテーブルのいずれかの側の1つ)は、例えば、10mmx500mmの測定範囲を有する。レンズ上部のいずれかの側に装着された2つの2座標読取りヘッドは、レンズに対するX、Y、Rzにおけるマスクテーブルの変位を測定し、Xに対する余分な情報を有する。2次元格子は、ゼロダーの略ゼロ熱膨張率(CCTE)のために、合理的温度範囲にわたってナノメートルレベルに対して寸法的に安定し、したがって、寸法基準の「永続的」フレームを提供する。ピッチおよびロールによるアッベ誤差を最小とするために、格子は、マスクのパターンが付与された面と同一平面であるのが好ましい。X、Y1およびY2における追加の指標チャネルも実施して、レンズに対するゼロ基準を形成することができる。
【0044】
他の3つの自由度(Z、Rx、Ry)における変位は、最小3つのナノ高さゲージによって測定することができる。特に透過マスクの場合、レンズおよびマスクテーブルの中央部を鮮明に維持する必要がある。このように、実施に際しては、4センサ配置が好都合である。
【0045】
X−Y平面の変位と同様に、ゼロダー(Zerodur)テーブル上に検知ターゲット(光センサの場合、反射面、あるいは、容量性センサの場合、電極)およびレンズ上部上にセンサの活動部を有することがより好都合である。これは、とりわけ、センサケーブルを移動するナノ位置決めされたマスクテーブルに延ばす必要性を避ける。高さゲージは、そのターゲットとして2D格子を使用することができ、あるいは、別個のターゲットが、ゼロダーテーブルに設けることができる。
【0046】
干渉計の場合と反対に、センサヘッドおよびターゲット面の実際の装着位置および直交度は、リトグラフィー機械で較正手順によって決定することができるために、安定している限り、厳しくない。既述のように、レーザ干渉計は、正確性の点で匹敵するものがないが、インクリメンタルエンコーダーは、レーザ干渉計が環境条件による影響を受けるために、繰返し性の点で優れている。
【0047】
本発明で使用される格子は、非常に制御された環境(例えば、真空)でレーザ干渉計を使用して製造され、可能な最高の精度を有するマスターエンコーダー格子を形成するのが好ましい。その後、生産格子が、エンコーダー固有の高繰返し性を利用してマスターから複製される。複製品は、さらに、マスタ格子あるいは真空干渉計のいずれかに対して較正することができる。
【0048】
較正の実行可能性における困難な要因は、誤差の空間周波数含量である。高空間周波数誤差を有するエンコーダーは、訂正の適用を測定された位置データにイニシャライズするために、高密度の較正データと高精度基準マークとを必要とする。
【0049】
本発明の変位測定装置について説明する前に、本発明の利点を強調するために、図2を参照して従来のシステムの概略について説明する。
【0050】
従来のシステムにおいて、マスクテーブルMTは、Y方向における比較的長い移動範囲を有し、描画プロセス中にマスクの走査に適応する。この長範囲移動全体にわたって、マスクテーブルMTのY位置は、マスクテーブルMTに装着された1または複数のミラーまたは反射器に測定ビームを向ける2つY1−IF、Y2−IFを使用して測定される。測定ビームは、2つの離隔した点としてマスクテーブル上に入射し、これにより、2つの読取りの差を利用してマスクテーブルのRz位置を決定することができる。マスクテーブルの移動範囲の少なくとも1つの端において、測定ビームは、かなりの距離にわたって延び、したがって、このビームが通過する大気の屈折率の変化は、大きな誤差を位置測定に招くことがある。マスクテーブルのX位置は、X干渉計X−IFによって測定される。X方向におけるマスクテーブルの移動範囲は、Y方向よりかなり小さく、したがって、X干渉計の光路長はそれほど長い必要はなく、X干渉計は、Y方向におけるマスクテーブルの移動範囲全体にわたってX位置を測定する必要がある。これは、X干渉計X−IFの測定ビームがマスクテーブルMTの側部に装着されかつマスクテーブルMTの走査範囲より大きな長さを有するミラーに配向される必要があるということを要求する。
【0051】
従来のシステムにおいては、3つの干渉計が、3つの自由度、すなわち、X、YおよびRz(ヨー)において、マスクテーブルの変位を測定する。他の3自由度、すなわち、Z、Rx(ピッチ)およびRy(ロール)における位置は、マスクテーブルMTの底部で離隔した3点の垂直位置を測定する3つのハイトセンサHSからの出力を適切に処理することによって提供される。
【0052】
比較のために、本発明の第1実施形態の装置が図3に示されている。干渉計Y1−IF、Y2−IFおよびX−IFの代わりに、本発明は、各グリッド格子12,13の変位を測定する2つの光学式読取りヘッド10,11を使用する。グリッド格子12,13は、マスクMAのいずれかの側に1つが設けられ、マスクテーブルMTの、2方向の矢印で示した全移動範囲の走査に十分に適応する長さをY方向に有する。グリッド格子12,13は、切取り部に配置され、マスクMA上のパターンと実質的に同一平面上である。エンコーダー読取りヘッド10,11および3つの高さセンサHSが、図3の点線の楕円によって示すように、投影装置の上部部材に装着されるか、あるいは、固定される。
【0053】
エンコーダー読取りヘッド10,11は、例えば、水冷ジャケットを組込むことによって、温度を積極的に制御して、読取りヘッドが散逸した熱を除去し、読取りヘッド自体と読取りヘッドが装着される投影光学との熱安定性を維持することができる。また、読取りヘッドの光源および検出器は、離れて配置し、光ファイバーを介して読取りヘッドに連結して、読取りヘッド光学における局部的な熱の発生を最小としかつ可能な最も高い指向安定性を維持することができる。
【0054】
図2および図3から判るように、エンコーダー測定装置は、さらによりコンパクトであり、測定基準系をウエーハレベルからレチクルレベルに延ばす必要性を除去し、この2つは垂直方向においてほぼ1m離れている。この結果、測定系の構造は、その動的特性における大きな改良によって、さらにより簡単でありかつよりコンパクトである。この概念を更に利用して、投影光学に対するマスク自体のX−Y位置を測定することができる。これは、マスクのパターン領域の周りのクロムボーダー(chrome border:クロム縁)に直接、反射格子を配置することによって行うことができる。これはマスクのコストを増すが、例えば、処理中の寸法変化によるマスク平面における歪は、自動的に防ぐことができる。X、YおよびRzにおける基準指標位置が利用可能であることは、さらに追加の利点である。
【0055】
絶対的に正確ではないが繰返し性が高い本発明のエンコーダーシステムは、直接走査(Y)方向において真空干渉計のような長さ基準系に対して較正することができることは重要である。較正は、長時間のドリフトを監視するために、理想的には、オフライン較正プラットフォームにおいてだけでなく、機械内のその場でも実施されるべきである。
【0056】
オフライン較正のために、エンコーダー格子は、読取りヘッドと共に、直接走査(Y)方向において、真空干渉計のような長さ基準系に対して較正することができる。これは、1回測定であり、制御された状態で機械外において実施することができる。このようにして得られた誤差マップは、ルックアップ誤差表に、あるいは、機械で実施された誤差訂正ルーチンにおける多項式の係数として記憶することができる。誤差マップは、X変位依存性を除去するために、Y方向においてだけでなく、X方向においても較正することができる。横(X)方向における較正は、Yにおける長移動範囲のために、基準フラットミラーに対して基準平面ミラー干渉計システムを使用して実施される。
【0057】
装置におけるその場での較正を実施するために、基準干渉計システムを設けることが好ましいが、スペース条件は、一般にこれを不可能とする。代わりに、走査方向における較正がマスクの両端における照明フィールドに対応する領域にわたるマスクの領域および残りの範囲の3つの部分に分割される較正スキーム(scheme:計画)が使用される。
【0058】
マスクが光学系の中心線を通過する移動範囲の中央部において、エンコーダーシステムは、多数の基準マークがプリントされかつ露光される基準マスク(例えば、ゼロダーから形成された超平坦マスク)を使用して較正することができる。基準マークの空中像は、ウエーハステージ干渉式システムIFを使用して一定位置において基準系RFに対して保持される基板テーブルWTに装着された透過型イメージセンサで検出される。一方で、基準マスクは、マスクステージにおいて、連続したマーカーに移動し、エンコーダーの位置が、注目されかつ基準マスク上のマーカーの前較正位置と比較される。基準マスク上のマーカーの位置は、オフラインでかつ定期的に、絶対長さ基準に対して前較正することができる。
【0059】
走査方向におけるエンコーダーのX依存性は、マスクおよび基板テーブルWTを同等量だけ偏心位置に変位し、複数の偏心位置で上記手順を繰返すことによって、較正することもできる。
【0060】
(レチクルレベルでの露光スリットのサイズに等しい、)両端でのマスク領域のすぐ外側の移動範囲も、露光のオーバーレイ品質にとって極めて重要である。これらの領域における非常に正確な較正が、透過型イメージセンサが走査方向において露光フィールドの最外側位置で捕らえるように、基板テーブルWTを変位することによって、レンズの歪で生じた誤差を含むことなく、得ることができる。中央領域に関して説明した較正は、この後、マスクの全長にわたって繰返され、透過型イメージセンサは偏心位置で基準系に対して静止状に維持される。この手順で生成される誤差マップは、例えば、最小二乗適合ルーチンを使用して中央位置でオリジナルマップに組合される。
【0061】
マスクテーブルMTが加速あるいは設定フェースである上記2つの範囲の外側では、移動サイクルは、露光の実際のオーバーレイ品質にほとんど影響はなく、したがって、精度条件は厳しくない。これらの領域におけるエンコーダーシステムの高空間周波数誤差は、マスクテーブルの慣性を利用して速度変化をフィルタ除去するように、マスクテーブルMTを一定速度かつ低帯域幅サーバーコントロール下での移動に設定することによって較正することができる。速度は、この後、一定と仮定され、エンコーダーシステムの位置データ速度の不規則性は、高周波数誤差の尺度を与える。
【0062】
X方向におけるエンコーダーシステムの較正は、横軸に沿う基準マスク上の多数のマーカーを使用して同様に実施することができる。Y移動によるX依存性の較正のために、マスクテーブルMTは、訂正されたY軸を使用して一定したヨー(Rz)を維持しかつ2つのX測定ヘッドを使用してYからのXの位置のクロストークを記録して、走査方向に移動させることができる。
【0063】
本発明の特定の実施形態について上述したが、本発明は、説明した以外の態様で実施可能であることは理解されるであろう。とくに、上述の実施形態はリトグラフィー装置においてマスクテーブルの位置を測定するシステムであるが、本発明は、基板(ウエーハ)テーブルおよびマルチステージデバイスにも同様に適用可能であることが理解されるであろう。また、グリッド格子は、測定または基準系のような装置の固設部に装着可能であり、センサヘッドは、可動対象物に装着可能である。
【符号の説明】
【0064】
10,11 光学式読取りヘッド
12,13 グリッド格子
PB 投影ビーム
LA 放射線源
MT マスクテーブル
MA マスク
WT 基板テーブル
W 基板
PL 投影装置
C ターゲット部
IL 照明系
Ex ビームエキスパンダー
MAM 調整手段
IN 積分器
CO コンデンサ
IF 干渉式測定手段
HS ハイト(高さ)センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線投影ビームを与える放射装置と、
所望のパターンにしたがって投影ビームにパターンを付与する作用を果たすパターン付与手段を支える支持構造体と、
基板を保持する基板テーブルと、
基板のターゲット部にパターン付与されたビームを投影する投影装置とを含むリトグラフィー投影装置において、
前記支持構造体と前記基板テーブルの一方を含む可動対象物の位置を少なくとも自由度2で測定する変位測定装置を有し、
前記変位測定装置は、前記可動対象物に装着された少なくとも1つのグリッド格子と、自由度2で前記グリッド格子の変位を測定する少なくとも1つのセンサヘッドとを含むことを特徴とするリトグラフィー投影装置。
【請求項2】
前記変位測定装置は、離隔した位置で前記可動対象物に装着された2つのグリッド格子と、それぞれ前記グリッド格子のそれぞれの変位を測定する2つのセンサヘッドとを備える請求項1に記載されたリトグラフィー投影装置。
【請求項3】
前記グリッド格子または前記各グリッド格子が、前記可動対象物の本体内に直接組込まれている請求項1または請求項2に記載されたリトグラフィー投影装置。
【請求項4】
放射線投影ビームを与える放射装置と、
所望パターンにしたがって投影ビームにパターンを付与する作用を果たすパターン付与手段を支える支持構造体と、
基板を保持する基板テーブルと、
基板のターゲット部にパターンが付与されたビームを投影する投影装置とを含むリトグラフィー投影装置において、
前記支持構造体と前記基板テーブルの一方を含む可動対象物の位置を少なくとも自由度2で測定する変位測定装置を含み、
前記変位測定装置は、基準系に装着された少なくとも1つのグリッド格子と、前記グリッド格子に対する前記可動対象物の変位を自由度2で測定するために前記可動対象物に装着された少なくとも1つのセンサヘッドとを含むことを特徴とするリトグラフィー投影装置。
【請求項5】
前記可動対象物は、走査描画のために第1方向に移動可能であり、前記グリッド格子または前記各グリッド格子は、前記第1方向の前記可動対象物の移動範囲よりも大きなあるいは等しい長さを前記第1方向に有する請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載されたリトグラフィー投影装置。
【請求項6】
前記グリッド格子または前記各グリッド格子は、前記支持構造体によって支えられる前記パターン付与手段あるいは前記基板テーブルによって保持される基板の機能面と実質的に同一平面になるように配置される請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載されたリトグラフィー投影装置。
【請求項7】
前記変位測定装置は、さらに、前記グリッド格子または前記各グリッド格子と理想的グリッド格子との間の差を表す訂正情報を記憶するメモリーと前記センサヘッドまたは前記各センサヘッドによって出力された測定を訂正するデータ処理手段とを含む請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載されたリトグラフィー投影装置。
【請求項8】
前記変位測定装置は、さらに、前記グリッド格子または前記各グリッド格子およびセンサヘッドによって測定されない自由度において前記可動対象物の位置を測定する1または複数の容量性または光センサを含む請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載されたリトグラフィー投影装置。
【請求項9】
前記グリッド格子または前記各グリッド格子は、前記可動対象物の基準位置を規定する各センサヘッドによって検出可能な基準マークを含む請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載されたリトグラフィー投影装置。
【請求項10】
前記センサヘッドまたは前記各センサヘッドは、エンコーダヘッドを含む請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載されたリトグラフィー投影装置。
【請求項11】
前記変位測定装置は、さらに、前記センサヘッドまたは前記各センサヘッドの出力を補間(内挿)する補間器を含む請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載されたリトグラフィー投影装置。
【請求項12】
前記支持構造体は、マスクを保持するマスクテーブルを含む請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載されたリトグラフィー投影装置。
【請求項13】
前記放射装置は、放射線源を含む請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載されたリトグラフィー投影装置。
【請求項14】
放射線感受性材料層によって少なくとも一部が覆われる基板を提供し、
放射装置を使用して放射線投影ビームを提供し、
パターン付与手段を使用して、投影ビームのその横断面にパターンを形成し、
放射線感受性材料層のターゲット部に、パターンが付与された放射線ビームを投影するステップを有するデバイス製造法であって、
それに装着された少なくとも1つのグリッド格子と少なくとも1つのセンサヘッドとを使用して、前記支持構造体および前記基板テーブルの1つの変位を少なくとも自由度2で測定するステップによって特徴づけられるデバイス製造方法。
【請求項15】
請求項14の方法に従って製造されるデバイス。
【請求項16】
可動支持構造体に保持されたパターン付与手段に基準パターンを提供し、前記基準パターンは、少なくともリトグラフィー投影装置の走査方向の前較正された位置に複数の基準マークを有し、さらに、投影レンズに対して一定の位置で透過型イメージセンサを基板テーブル上で保持し、
前記基準マークのそれぞれの像を順に前記イメージセンサに投影するように前記支持構造体を位置決めし、
基準マークのそれぞれが、前記イメージセンサに投影されたときに、少なくとも第1の自由度において前記支持構造体の位置を測定するステップを含むリトグラフィー投影装置の較正方法。
【請求項17】
前記イメージセンサは、投影装置の中心線の下側に配置される請求項16に記載されたリトグラフィー投影装置の較正方法。
【請求項18】
前記イメージセンサは、投影レンズの照射フィールドの端位置に配置される請求項16に記載されたリトグラフィー投影装置の較正方法。
【請求項19】
前記可動支持構造体の位置は、それに装着された少なくともグリッド格子と少なくとも1つのセンサヘッドとを使用して測定される請求項16から請求項18までのいずれか1項に記載されたリトグラフィー投影装置の較正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−164618(P2009−164618A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16792(P2009−16792)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【分割の表示】特願2001−251788(P2001−251788)の分割
【原出願日】平成13年8月22日(2001.8.22)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】