レーザー加工装置
【課題】被加工物の上面高さ位置を検出しつつ加工用のレーザー光線の集光点位置を追随させることができるレーザー加工装置を提供する。
【解決手段】集光器7によって集光される加工用レーザー光線の集光点位置を変位せしめる集光点位置調整手段と、高さ位置検出手段8からの検出信号に基いて該集光点位置調整手段を制御する制御手段とを具備し、高さ位置検出装置8は検出用レーザー光線をのスポット形状を環状に形成する環状スポット形成手段82と、チャックテーブルに保持された被加工物の上面で反射した反射光は通過させるが被加工物の下面で反射した反射光は遮断するピンホールマスク84と、ピンホールマスク84を通過した反射光を分析し分析結果を該制御手段に送る反射光分析手段85とを具備ており、集光器7は対物レンズ72と、加工用レーザー光線は集光しないがスポット形状が環状の検出用レーザー光線は集光するウインドウレンズ73を備えている。
【解決手段】集光器7によって集光される加工用レーザー光線の集光点位置を変位せしめる集光点位置調整手段と、高さ位置検出手段8からの検出信号に基いて該集光点位置調整手段を制御する制御手段とを具備し、高さ位置検出装置8は検出用レーザー光線をのスポット形状を環状に形成する環状スポット形成手段82と、チャックテーブルに保持された被加工物の上面で反射した反射光は通過させるが被加工物の下面で反射した反射光は遮断するピンホールマスク84と、ピンホールマスク84を通過した反射光を分析し分析結果を該制御手段に送る反射光分析手段85とを具備ており、集光器7は対物レンズ72と、加工用レーザー光線は集光しないがスポット形状が環状の検出用レーザー光線は集光するウインドウレンズ73を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等のウエーハに形成されたストリートに沿ってレーザー加工を施すウエーハのレーザー加工方法およびレーザー加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体基板の表面に格子状に配列されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイスを形成する。そして、半導体ウエーハをストリートに沿って切断することによりデバイスが形成された領域を分割して個々のデバイスを製造している。また、サファイヤ基板の表面にフォトダイオード等の受光素子やレーザーダイオード等の発光素子等が積層された光デバイスウエーハもストリートに沿って切断することにより個々のフォトダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスに分割され、電気機器に広く利用されている。
【0003】
上述した半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のウエーハをストリートに沿って分割する方法として、ウエーハに形成されたストリートに沿ってパルスレーザー光線を照射することによりレーザー加工溝を形成し、このレーザー加工溝に沿って破断する方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開平10−305420号公報
【0004】
上述したウエーハに形成されたストリートに沿ってパルスレーザー光線を照射することによりレーザー加工溝を形成する加工方法においては、ウエーハに対して吸収性を有する波長(例えば355nm)のパルスレーザー光線が用いられ、集光点をウエーハの加工面に位置付けて加工する。
【0005】
しかるに、ウエーハにはウネリがあり、その厚さにバラツキがあると、レーザー光線を照射する際に集光点を加工面に位置付けることができず、均一な深さのレーザー加工溝を形成することができない。従って、ウエーハに均一な深さのレーザー加工溝を形成するためには、レーザー光線を照射する領域の凹凸を検出し、その凹凸にレーザー光線照射手段を追随させて加工する必要がある。
【0006】
上述した問題を解消するために、チャックテーブルに保持された被加工物の表面(上面)に可視光のレーザー光線を照射し、被加工物の表面(上面)で反射した面積に対応した光量に基いて被加工物の表面(上面)の高さ位置を検出する高さ位置検出手段を備えたレーザー加工装置を提案した。(例えば、特許文献2参照。)
【特許文献2】特開2007−152355号公報
【0007】
しかしながら、上記特許文献2に開示された高さ位置検出手段においては、被加工物としてのウエーハがシリコンによって形成されている場合には可視光のレーザー光線が透過しないため、被加工物の表面(上面)で反射した面積に対応した光量を正確に測定することができるが、ウエーハが透明性を有するサファイヤや石英によって形成されている場合にはレーザー光線が被加工物の表面(上面)で反射するとともに被加工物の裏面(下面)でも反射するため、被加工物の表面(上面)で反射した光だけを測定することができない。従って、上記公報に開示された高さ位置検出手段においては、透明性を有する材料によって形成された被加工物の表面位置を検出することができない。
【0008】
このように問題を解消するために本出願人は、透明性を有する材料によって形成された被加工物であってもチャックテーブルに保持された被加工物の上面高さ位置を確実に検出するための高さ位置検出装置を特願2007−231907号として提案した。この高さ位置検出装置は、検出用のレーザー光線発振手段から発振された円形のスポット形状を有する検出用のレーザー光線を環状スポット形成手段によって環状のスポット形状を有するレーザー光線に形成し、この環状のスポット形状を有する検出用のレーザー光線を被加工物に照射する。このように被加工物に照射された環状のスポット形状を有する検出用のレーザー光線は、上面で環状のスポット形状で反射するとともに、被加工物が透明性を有する場合には下面で環状のスポット形状で反射する。そして、被加工物の下面で反射した環状の反射光の径は被加工物の上面で反射した環状の反射光の径より大きいため、被加工物の下面で反射した環状の反射光をピンホールマスクによって遮断し、ピンホールマスクのピンホールを通過した被加工物の上面で反射した環状スポット形状の反射光に基いて受光量を検出する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
而して、上記検出用のレーザー光線(例えば波長が635nm)を集光する対物レンズは、被加工物の上面で反射する反射光の径と被加工物の下面で反射する反射光の径の大きさを明確に区別するためにNAを比較的大きくする必要がある。一方、加工用のレーザー光線(例えば波長が355nm)を集光する対物レンズのNAは比較的小さい(例えば0.2)。従って、同軸上に検出用のレーザー光線と加工用のレーザー光線を同時に導入して、検出用のレーザー光線によって被加工物の上面の高さ位置を検出しつつ加工用のレーザー光線の集光点位置を追随させることができないという問題がある。
【0010】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、透明性を有する材料によって形成された被加工物であってもチャックテーブルに保持された被加工物の上面高さ位置を検出しつつ加工用のレーザー光線の集光点位置を追随させることができるレーザー加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、板状の被加工物を保持する被加工物保持面を備えたチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物の上面側から加工用レーザー光線を照射する加工用レーザー光線照射手段と、該チャックテーブルと該加工用レーザー光線照射手段とを加工送り方向に相対的に移動せしめる加工送り手段とを具備し、該レーザー光線照射手段が加工用レーザー光線を発振する加工用レーザー光線発振手段と該加工用レーザー光線発振手段によって発振された加工用レーザー光線を集光する集光器とを具備しているレーザー加工装置において、
該集光器によって集光される加工用レーザー光線の集光点位置を変位せしめる集光点位置調整手段と、該チャックテーブルに保持された被加工物の上面高さ位置を検出するための高さ位置検出手段と、該高さ位置検出手段からの検出信号に基いて該集光点位置調整手段を制御する制御手段と、を具備し、
該高さ位置検出装置は、該加工用レーザー光線の波長と異なる波長の検出用レーザー光線を発振する検出用レーザー光線発振手段と、該検出用レーザー光線発振手段によって発振された検出用レーザー光線のスポット形状を環状に形成する環状スポット形成手段と、該環状スポット形成手段によってスポット形状が環状に形成された検出用レーザー光線を該集光器に導く検出用レーザー光線照射経路と、該検出用レーザー光線照射経路を介して該集光器から該チャックテーブルに保持された被加工物に照射され反射した反射光を導く検出用レーザー光線反射経路と、該検出用レーザー光線反射経路に配設され被加工物の上面で反射した反射光は通過させるが被加工物の下面で反射した反射光は遮断するピンホールマスクと、該ピンホールマスクを通過した反射光を分析し分析結果を該制御手段に送る反射光分析手段とを具備ており、
該集光器は、該加工用レーザー光線および該検出用レーザー光線を集光する対物レンズと、該加工用レーザー光線は集光しないがスポット形状が環状の該検出用レーザー光線は集光するウインドウレンズを備えている、
ことを特徴とするレーザー加工装置が提供される。
【0012】
上記加工用レーザー光線照射手段は、集光器によって集光される加工用パルスレーザー光線の光軸を加工送り方向に変更する光軸変更手段を具備していることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるレーザー加工装置は上記のように構成され、加工用レーザー光線および検出用レーザー光線を集光する集光器は加工用レーザー光線および検出用レーザー光線を集光する対物レンズと、加工用レーザー光線は集光しないが検出用レーザー光線を集光するウインドウレンズを備えているので、被加工物に照射される環状のスポット形状を有する検査用レーザー光線は対物レンズおよびウインドウレンズによって集光されるため、集光レンズのNAが大きくなった状態となる。従って、被加工物の上面で反射する環状のスポット形状と被加工物の下面で反射する環状のスポット形状の比が大きくなるので、被加工物の下面で反射した環状スポット形状の反射光をピンホールマスクによって確実に遮断することができ、透明性を有する材料によって形成された被加工物であってもチャックテーブルに保持された被加工物の上面高さ位置を検出しつつ加工用のレーザー光線の集光点位置を追随させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に従って構成されたレーザー加工装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0015】
図1には、本発明に従って構成されたレーザー加工装置の斜視図が示されている。図1に示すレーザー加工装置は、静止基台2と、該静止基台2に矢印Xで示す加工送り方向に移動可能に配設され被加工物を保持するチャックテーブル機構3と、静止基台2に上記矢印Xで示す方向(X軸方向)と直角な矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動可能に配設されたレーザー光線照射ユニット支持機構4と、該レーザー光線ユニット支持機構4に矢印Zで示す方向(Z軸方向)に移動可能に配設されたレーザー光線照射ユニット5とを具備している。
【0016】
上記チャックテーブル機構3は、静止基台2上に矢印Xで示す加工送り方向に沿って平行に配設された一対の案内レール31、31と、該案内レール31、31上に矢印Xで示す加工送り方向に(X軸方向)移動可能に配設された第一の滑動ブロック32と、該第1の滑動ブロック32上に矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動可能に配設された第2の滑動ブロック33と、該第2の滑動ブロック33上に円筒部材34によって支持されたカバーテーブル35と、被加工物保持手段としてのチャックテーブル36を具備している。このチャックテーブル36は多孔性材料から形成された吸着チャック361を具備しており、被加工物保持面としての吸着チャック361上に被加工物である例えば円盤状の半導体ウエーハを図示しない吸引手段によって保持するようになっている。このように構成されたチャックテーブル36は、円筒部材34内に配設された図示しないパルスモータによって回転せしめられる。なお、チャックテーブル36には、後述する環状のフレームを固定するためのクランプ362が配設されている。
【0017】
上記第1の滑動ブロック32は、その下面に上記一対の案内レール31、31と嵌合する一対の被案内溝321、321が設けられているとともに、その上面に矢印Yで示す割り出し送り方向に沿って平行に形成された一対の案内レール322、322が設けられている。このように構成された第1の滑動ブロック32は、被案内溝321、321が一対の案内レール31、31に嵌合することにより、一対の案内レール31、31に沿って矢印Xで示す加工送り方向に移動可能に構成される。図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、第1の滑動ブロック32を一対の案内レール31、31に沿って矢印Xで示す加工送り方向に移動させるための加工送り手段37を具備している。加工送り手段37は、上記一対の案内レール31と31の間に平行に配設された雄ネジロッド371と、該雄ネジロッド371を回転駆動するためのパルスモータ372等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド371は、その一端が上記静止基台2に固定された軸受ブロック373に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ372の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド371は、第1の滑動ブロック32の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ372によって雄ネジロッド371を正転および逆転駆動することにより、第一の滑動ブロック32は案内レール31、31に沿って矢印Xで示す加工送り方向(X軸方向)に移動せしめられる。
【0018】
上記第2の滑動ブロック33は、その下面に上記第1の滑動ブロック32の上面に設けられた一対の案内レール322、322と嵌合する一対の被案内溝331、331が設けられており、この被案内溝331、331を一対の案内レール322、322に嵌合することにより、矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動可能に構成される。図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、第2の滑動ブロック33を第1の滑動ブロック32に設けられた一対の案内レール322、322に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動させるための第1の割り出し送り手段38を具備している。第1の割り出し送り手段38は、上記一対の案内レール322と322の間に平行に配設された雄ネジロッド381と、該雄ネジロッド381を回転駆動するためのパルスモータ382等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド381は、その一端が上記第1の滑動ブロック32の上面に固定された軸受ブロック383に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ382の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド381は、第2の滑動ブロック33の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ382によって雄ネジロッド381を正転および逆転駆動することにより、第2の滑動ブロック33は案内レール322、322に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動せしめられる。
【0019】
上記レーザー光線照射ユニット支持機構4は、静止基台2上に矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に沿って平行に配設された一対の案内レール41、41と、該案内レール41、41上に矢印Yで示す方向に移動可能に配設された可動支持基台42を具備している。この可動支持基台42は、案内レール41、41上に移動可能に配設された移動支持部421と、該移動支持部421に取り付けられた装着部422とからなっている。装着部422は、一側面に矢印Zで示す方向に延びる一対の案内レール423、423が平行に設けられている。図示の実施形態におけるレーザー光線照射ユニット支持機構4は、可動支持基台42を一対の案内レール41、41に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動させるための第2の割り出し送り手段43を具備している。第2の割り出し送り手段43は、上記一対の案内レール41、41の間に平行に配設された雄ネジロッド431と、該雄ねじロッド431を回転駆動するためのパルスモータ432等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド431は、その一端が上記静止基台2に固定された図示しない軸受ブロックに回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ432の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド431は、可動支持基台42を構成する移動支持部421の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された雌ネジ穴に螺合されている。このため、パルスモータ432によって雄ネジロッド431を正転および逆転駆動することにより、可動支持基台42は案内レール41、41に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動せしめられる。
【0020】
図示の実施形態のおけるレーザー光線照射ユニット5は、ユニットホルダ51と、該ユニットホルダ51に取り付けられたレーザー光線照射手段52を具備している。ユニットホルダ51は、上記装着部422に設けられた一対の案内レール423、423に摺動可能に嵌合する一対の被案内溝511、511が設けられており、この被案内溝511、511を上記案内レール423、423に嵌合することにより、矢印Zで示す方向(Z軸方向)に移動可能に支持される。
【0021】
図示の実施形態におけるレーザー光線照射ユニット5は、ユニットホルダ51を一対の案内レール423、423に沿って上記チャックテーブル36被加工物保持面に垂直な方向である矢印Zで示す焦点位置調整方向(Z軸方向)に移動させるための第1の集光点位置調整手段53を具備している。第1の集光点位置調整手段53は、一対の案内レール423、423の間に配設された雄ネジロッド(図示せず)と、該雄ネジロッドを回転駆動するためのパルスモータ532等の駆動源を含んでおり、パルスモータ532によって図示しない雄ネジロッドを正転および逆転駆動することにより、ユニットホルダ51およびレーザビーム照射手段52を案内レール423、423に沿って矢印Zで示す集光点位置調整方向(Z軸方向)に移動せしめる。なお、図示の実施形態においてはパルスモータ532を正転駆動することによりレーザー光線照射手段52を上方に移動し、パルスモータ532を逆転駆動することによりレーザー光線照射手段52を下方に移動するようになっている。
【0022】
図示のレーザー光線照射手段52は、実質上水平に配置された円筒形状のケーシング521を含んでいる。ケーシング521内には図2に示すように加工用パルスレーザー光線発振手段6と、このケーシング521内には図2に示すように加工用パルスレーザー光線発振手段6が配設されており、ケーシング521の先端には加工用パルスレーザー光線発振手段6が発振する加工用パルスレーザー光線を上記チャックテーブル36に保持される被加工物に照射せしめる集光器7が配設されている。加工用パルスレーザー光線発振手段6は、被加工物であるウエーハに対して吸収性を有する波長の加工用パルスレーザー光線LB1を発振する。この加工用パルスレーザー光線発振手段6は、例えば波長が355nmである加工用パルスレーザー光線LB1を発振するYVO4パルスレーザー発振器或いはYAGパルスレーザー発振器を用いることができる。また、図示のレーザー光線照射手段52は、加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振された加工用パルスレーザー光線を集光器7に導く経路に配設され加工用パルスレーザー光線LB1の光軸を図1において矢印Xで示す加工送り方向(X軸方向)に変更する光軸変更手段としてのスキャニングミラー60を具備している。
【0023】
上記集光器7は、上記加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振された加工用パルスレーザー光線LB1を図2において下方に向けて方向変換する方向変換ミラー71と、該方向変換ミラー71によって方向変換された加工用パルスレーザー光線LB1を集光する凹レンズ721と凸レンズ722とからなる対物レンズ72と、該対物レンズ72を通過した加工用パルスレーザー光線LB1は集光しないが後述する検出用レーザー光線は集光するウインドウレンズ73を具備している。ウインドウレンズ73は、断面が台形状に形成され中央平面部731を通過する光線は集光しないが外周傾斜部732を通過する光線は集光するようになっている。また、集光器7は、対物レンズ72およびウインドウレンズ73はケースに収容した状態でチャックテーブル36の保持面(上面)に対して垂直な方向(図2において上下方向)に移動するためのアクチュエータ74を具備している。アクチュエータ74は、図示の実施形態においては印加する電圧値に対応して軸方向に延びる圧電素子によって構成されたピエゾモータからなっている。従って、ピエゾモータからなるアクチュエータ74は、後述する制御手段によって制御され対物レンズ72およびウインドウレンズ73を図2において上下方向に移動することにより加工用パルスレーザー光線LB1の集光点位置を変位せしめる第2の集光点位置調整手段として機能する。
【0024】
上記スキャニングミラー60は、後述する制御手段によって図2において実線で示す位置と1点鎖線で示す位置および2点鎖線で示す位置に選択的に移動せしめられるようになっている。このスキャニングミラー60が実線で示す位置に位置付けられると、加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振された加工用パルスレーザー光線は、実線で示すように集光点Pに集光される。また、スキャニングミラー60が1点鎖線で示す位置に位置付けられると、加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振された加工用パルスレーザー光線は、1点鎖線で示すように集光点Pから加工送り方向Xに所定距離左側の集光点P1に集光される。更に、スキャニングミラー60が2点鎖線で示す位置に位置付けられると、加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振された加工用パルスレーザー光線は、2点鎖線で示すように集光点Pから加工送り方向Xに所定距離右側の集光点P2に集光される。従って、スキャニングミラー60は、加工用パルスレーザー光線の光軸を加工送り方向に変更する光軸変更手段として機能する。
【0025】
図2を参照して説明を続けると、図示の実施形態におけるレーザー加工装置は、チャックテーブルに保持された被加工物の上面高さ位置を検出するための高さ位置検出手段8を具備している。高さ位置検出手段8は、検査用レーザー光線を発振する検査用レーザー光線発振手段80と、上記スキャニングミラー60と集光器7と間の経路に配設され検査用レーザー光線発振手段80から発振された検査用レーザー光線を集光器7に向けて分光せしめるダイクロックミラー81と、該ダイクロックミラー81と検査用レーザー光線発振手段80との間に配設され検査用レーザー光線発振手段80によって発振された検査用レーザー光線のスポット形状(断面形状)を環状に形成する環状スポット形成手段82と、該環状スポット形成手段82とダイクロックミラー81との間に配設され環状スポット形成手段82によってスポット形状(断面形状)が環状に形成された検査用レーザー光線をダイクロックミラー81に向ける第1の経路83aに導く第1のビームスプリッター83を具備している。
【0026】
検査用レーザー光線発振手段80は、上記加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振される加工用パルスレーザー光線の波長と異なる波長の例えば波長が635nmの検査用レーザー光線LB2aを発振するHe-Neパルスレーザー発振器を用いることができる。なお、検査用レーザー光線発振手段80から発振される検査用レーザー光線LB2aの出力は、図示の実施形態においては10mWに設定されている。ダイクロックミラー81は、加工用パルスレーザー光線LB1は通過するが検査用レーザー光線発振手段80から発振された検査用レーザー光線を集光器7に向けて反射せしめる。環状スポット形成手段82は、図示の実施形態においては検査用レーザー光線LB2aの光軸に沿って所定の間隔を持って直列に配設された一対の第1の円錐レンズ821と第2の円錐レンズ822とによって構成されている。なお、図示の実施形態においては一対の第1の円錐レンズ821と第2の円錐レンズ822は、頂点を互いに向かい合わせて配設した例を示したが、互いに背中合わせでも同じ方向に向けて配設してもよい。このように構成された環状スポット形成手段82は、検査用レーザー光線発振手段80によって発振されたスポット形状が円形の検査用レーザー光線LB2aをスポット形状が環状のレーザー光線LB2bにする。なお、環状スポット形成手段82としては、環状の穴を備えたマスク部材を用いてもよい。上記第1のビームスプリッター83は、環状スポット形成手段82によってスポット形状が環状に形成されたレーザー光線LB2bを上記ダイクロックミラー81に向けた第1の経路83aに導くとともに、ダイクロックミラー81によって分光された後述する反射光を第2の経路83bに導く。
【0027】
図示の実施形態における高さ位置検出手段8は、第2の経路83bに配設され第1のビームスプリッター83によって反射された反射光のうち検査用レーザー光線LB2の波長(図示の実施形態においては635nm)に対応する反射光のみを通過せしめるバンドパスフィルター830と、該バンドパスフィルター830を通過した反射光のうち所定の径より大きい径の反射光の通過を規制するピンホール841を備えたピンホールマスク84と、該ピンホールマスク84を通過した反射光を分析し分析結果を後述する制御手段に送る反射光分析手段85を具備している。ピンホールマスク84に形成されたピンホール841は、その直径が例えば1mmに設定されている。上記反射光分析手段85は、ピンホールマスク84のピンホール841を通過した反射光を第3の経路85aと第4の経路85bに分光する第2のビームスプリッター851と、該第2のビームスプリッター851によって第3の経路85aに分光された反射光を100%集光する集光レンズ852と、該集光レンズ852によって集光された反射光を受光する第1の受光素子853を具備している。第1の受光素子853は、受光した光量に対応した電圧信号を後述する制御手段に送る。また、図示の実施形態における反射光分析手段85は、第2のビームスプリッター851によって第4の経路85bに分光された反射光を受光する第2の受光素子854と、該第2の受光素子854が受光する反射光の受光領域を規制する受光領域規制手段855を具備している。受光領域規制手段855は、図示の実施形態においては第2のビームスプリッター851によって第4の経路85bに分光された反射光を一次元に集光するシリンドリカルレンズ855aと、該シリンドリカルレンズ855aによって一次元に集光された反射光を単位長さに規制する一次元マスク855bとからなっている。該一次元マスク855bを通過した反射光を受光する第2の受光素子854は、受光した光量に対応した電圧信号を後述する制御手段に送る。
【0028】
図示の実施形態における高さ位置検出手段8は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
図3に示すように検査用レーザー光線発振手段80から発振された円形のスポット形状S1を有する検査用レーザー光線LB2aは、環状スポット形成手段8によって環状のスポット形状S2を有する検査用レーザー光線LB2bに形成される。即ち、環状スポット形成手段82は、直径が2mmのレーザー光線LB2aを例えば外径(D1)が10mm、内径(D2)が8mmの環状のレーザー光線LB2bに拡張するとともに、平行な光線に形成する。環状スポット形成手段82によって環状のスポット形状S2に形成された検査用レーザー光線LB2bは、図2に示すように第1のビームスプリッター83によって第1の経路83aに導かれ、ダイクロックミラー81に達し、該ダイクロックミラー81によって集光器7に向けて反射される。集光器7に向けて反射された検査用レーザー光線LB2bは、上記加工用パルスレーザー光線LB1と同様に方向変換ミラー71によって図2において下方に方向変換され、凹レンズ721と凸レンズ722とからなる対物レンズ72およびウインドウレンズ73によって集光される。
【0029】
ここで、集光器7によって集光される検査用レーザー光線LB2bと加工用パルスレーザー光線LB1との集光点について、図4を参照して説明する。
例えば直径が2mmの加工用パルスレーザー光線LB1は、対物レンズ72を構成する凹レンズ721によって拡径された後に凸レンズ722によって集光され、ウインドウレンズ73の中央平面部731を通過して集光点Pで集光される。一方、検査用レーザー光線LB2bは、外径(D1)が10mm、内径(D2)が8mmの環状のスポット形状S2に形成されているので、対物レンズ72を構成する凹レンズ721によって拡径された後に凸レンズ722によって集光され、ウインドウレンズ73の外周傾斜部732を通過するため更に集光されて集光点Paで集光される。従って、検査用レーザー光線LB2bの集光点Paは、加工用パルスレーザー光線LB1の集光点Pよりレーザー光線照射方向の上流側(上側)となる。
【0030】
そして、加工用パルスレーザー光線LB1の集光点Pをチャックテーブル36に保持された被加工物Wの上面に位置付けるように上記第2の集光点位置調整手段としてのアクチュエータ74に所定の電圧(例えば5V)の電圧を印加する。この結果、環状のスポット形状S2に形成された検査用レーザー光線LB2bは、チャックテーブル36に保持された被加工物Wの上面に環状のスポット形状S3で照射され、環状のスポット形状S3の大きさで反射する(第1の反射光)。このとき、被加工物Wが透明性を有するサファイヤや石英によって形成されている場合には、検査用レーザー光線LB2bは被加工物Wを透過して下面に達し、環状のスポット形状S4の大きさで反射する(第2の反射光)。
【0031】
このように被加工物Wの上面で反射した環状スポット形状S3の第1の反射光と、被加工物Wの下面で反射した環状スポット形状S4の第2の反射光は、集光レンズ72、方向変換ミラー71、ダイクロックミラー81を介して第1のビームスプリッター83に至り、該第1のビームスプリッター83によって第2の経路83bに分光され、バンドパスフィルター830に達する。なお、上記加工用パルスレーザー光線LB1の反射光も検査用レーザー光線LB2と同様に経路を介してバンドパスフィルター830に達する。バンドパスフィルター830は上述したように検査用レーザー光線LB2の周波数に対応する反射光のみを通過せしめるように構成されているので、加工用パルスレーザー光線LB1の反射光はバンドパスフィルター830によって遮断される。このようにしてバンドパスフィルター830を通過した環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cと環状スポット形状S4の第2の反射光LB2dは、ピンホールマスク84に達する。ピンホールマスク84に形成されたピンホール841は図示の実施形態においては例えば直径が1mmに設定されており、図5に示すように環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cは通過するが、環状スポット形状S4の第2の反射光LB2dは遮断される。なお、ピンホールマスク84に形成されるピンホール841の直径は、被加工物Wの厚みや上記集光点Pbの位置等を考慮して、環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cは通過するが環状スポット形状S4の第2の反射光LB2dは遮断する値に設定する。このように、被加工物Wの下面で反射した環状スポット形状S4の第2の反射光LB2dはピンホールマスク84によって遮断され、被加工物Wの上面で反射した環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cだけがピンホールマスク84のピンホール841を通過することになる。
【0032】
上記のようにピンホールマスク84のピンホール841を通過した被加工物Wの上面で反射した環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cは、図2に示すように反射光分析手段85を構成する第2のビームスプリッター851によって第3の経路85aと第4の経路85bに分光される。第3の経路85aに分光された環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cは、集光レンズ852によって100%集光され第1の受光素子853に受光される。そして、第1の受光素子853は、受光した光量に対応した電圧信号を後述する制御手段に送る。一方、第4の経路に85bに分光された環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cは、受光領域規制手段855のシリンドリカルレンズ855aによって一次元に集光され、一次元マスク855bによって所定の単位長さに規制されて第2の受光素子854に受光される。そして、第2の受光素子854は、受光した光量に対応した電圧信号を後述する制御手段に送る。
【0033】
ここで、第1の受光素子853と第2の受光素子854によって受光される環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cの受光量について説明する。
第1の受光素子853に受光される環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cは、集光レンズ852によって100%集光されるので受光量は一定であり、第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)は一定(例えば10V)となる。一方、第2の受光素子854によって受光される環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cは、受光領域規制手段855のシリンドリカルレンズ855aによって一次元に集光された後、一次元マスク855bによって所定の単位長さに規制されて第2の受光素子854に受光されるので、図4に示すように検査用レーザー光線LB2bが被加工物Wの上面に照射される際に、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離、即ち被加工物Wの高さ位置(厚み)によって第2の受光素子854の受光量は変化する。従って、第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)は、検査用レーザー光線LB2bが照射される被加工物Wの上面高さ位置によって変化する。
【0034】
例えば、図6の(a)に示すように被加工物Wの高さ位置が高く(被加工物Wの厚みが厚く)集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)が小さい場合には、検査用レーザー光線LB2bは被加工物Wの上面に照射される環状のスポットS3aで反射する。この反射光は上述したように第2のビームスプリッター851によって第3の経路85aと第4の経路85bに分光されるが、第3の経路85aに分光された環状のスポットS3aの反射光は集光レンズ852によって100%集光されるので、反射光の全ての光量が第1の受光素子853に受光される。一方、第2のビームスプリッター851によって第4の経路85bに分光された環状のスポットS3aの反射光は、シリンドリカルレンズ855aによって一次元に集光されるので断面が略長方形となる。このようにして断面が略長方形に絞られた反射光は、一次元マスク855bによって所定の単位長さに規制されるので、第4の経路85bに分光された反射光の一部が第2の受光素子854によって受光されることになる。従って、第2の受光素子854に受光される反射光の光量は上述した第1の受光素子853に受光される光量より少なくなる。
【0035】
次に、図6の(b)に示すように被加工物Wの高さ位置が低く(被加工物Wの厚みが薄く)集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)が大きい場合には、検査用レーザー光線LB2bは被加工物Wの上面に照射される環状のスポットS3bで反射する。この環状のスポットS3bは上記環状のスポットS3aより大きい。この環状のスポットS3bの反射光は上述したように第2のビームスプリッター851によって第3の経路85aと第4の経路85bに分光されるが、第3の経路85aに分光された環状のスポットS3bの反射光は集光レンズ852によって100%集光されるので、反射光の全ての光量が第1の受光素子853に受光される。一方、第2のビームスプリッター851によって第4の経路85bに分光された環状のスポットS3bの反射光は、シリンドリカルレンズ855aによって一次元に集光されるので断面が略長方形となる。この略長方形の長辺の長さは、反射光の環状のスポットS3bが上記環状のスポットS3aより大きいので環状のスポットS3aの場合より長くなる。このようにして断面が略長方形に集光された反射光は、一次元マスク855bによって所定の長さに区切られ一部が第2の受光素子854によって受光される。従って、第2の受光素子854によって受光される光量は、上記図6の(a)に示す場合より少なくなる。このように第2の受光素子854に受光される反射光の光量は、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)、即ち被加工物Wの高さ位置が高い(被加工物Wの厚みが厚い)程多く、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)、即ち被加工物Wの高さ位置が低い(被加工物Wの厚みが薄い)程少なくなる。
【0036】
ここで、上記第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)との比と、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)、即ち被加工物Wの高さ位置との関係について、図7に示す制御マップを参照して説明する。なお、図7において横軸は第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)との比(V1/V2)で、縦軸は集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの所定の距離(基準値)に対する変位量を示している。図7に示す例においては、上述したように上記第2の集光点位置調整手段としてのアクチュエータ74に所定の電圧(例えば5V)の電圧を印加した状態において、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)が30.0mmの場合を基準値(0)として、上記電圧値の比(V1/V2)が“5”に設定されている。そして、チャックテーブルに保持された被加工物Wの高さ位置が低い(被加工物Wの厚みが薄い)場合には、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)が長くなるので、電圧値の比(V1/V2)が“5”より大きくなる。一方、チャックテーブルの保持された被加工物Wの高さ位置が高い(被加工物Wの厚みが厚い)場合には、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)が短くなるので、電圧値の比(V1/V2)が“5”より小さくなる。従って、上述したように第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)との比(V1/V2)を求め、この電圧値の比(V1/V2)を図7に示す制御マップに照合することにより、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)、即ち上記基準値からの変位量を求めることができる。なお、図7に示す制御マップは、後述する制御手段のメモリに格納される。
【0037】
図示の実施形態における高さ位置検出手段8は以上のように構成され、検査用レーザー光線発振手段80から発振された円形のスポット形状S1を有する検査用レーザー光線LB2aを環状スポット形成手段82によって環状のスポット形状S2を有する検査用レーザー光線LB2bに形成し、この環状のスポット形状S2を有する検査用レーザー光線LB2bを被加工物Wに照射する。従って、図4に示すように被加工物Wに照射された環状のスポット形状S2を有する検査用レーザー光線LB2bは、上面で環状のスポット形状S3で反射するとともに、被加工物Wが透明性を有する場合には下面で環状のスポット形状S4で反射する。そして、被加工物Wの下面で反射した環状スポット形状S4の第2の反射光LB2dはピンホールマスク84によって遮断し、ピンホールマスク84のピンホール841を通過した被加工物Wの上面で反射した環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cに基いて受光量を検出するので、被加工物Wが透明性を有する場合であっても被加工物Wの上面位置を正確に検出することができる。しかも、被加工物Wに照射される環状のスポット形状S2を有する検査用レーザー光線LB2bは、凹レンズ721と凸レンズ722とからなる対物レンズ72およびウインドウレンズ73によって集光されるので、集光レンズのNAが大きくなった状態となり、被加工物Wの上面で反射する環状のスポット形状S3と被加工物Wの下面で反射する環状のスポット形状S4の比が大きくなるので、被加工物Wの下面で反射した環状スポット形状S4の第2の反射光LB2dを上記ピンホールマスク84によって確実に遮断することができる。
【0038】
図1に戻って説明を続けると、上記レーザー光線照射手段52を構成するケーシング521の先端部には、レーザー光線照射手段52によってレーザー加工すべき加工領域を検出する撮像手段9が配設されている。この撮像手段9は、可視光線によって撮像する通常の撮像素子(CCD)の外に、被加工物に赤外線を照射する赤外線照明手段と、該赤外線照明手段によって照射された赤外線を捕らえる光学系と、該光学系によって捕らえられた赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成されており、撮像した画像信号を後述する制御手段に送る。
【0039】
図示の実施形態におけるレーザー加工装置は、図8に示す制御手段10を具備している。制御手段10はコンピュータによって構成されており、制御プログラムに従って演算処理する中央処理装置(CPU)101と、制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)102と、演算結果等を格納する読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)103と、入力インターフェース104および出力インターフェース105とを備えている。制御手段10の入力インターフェース104には、上記第1の受光素子853、第2の受光素子854および撮像手段9等からの検出信号が入力される。そして、制御手段10の出力インターフェース105からは、上記パルスモータ372、パルスモータ382、パルスモータ432、パルスモータ532、加工用パルスレーザー光線発振手段6、スキャニングミラー60、第2の集光点位置調整手段としてのアクチュエータ74、検査用レーザー光線発振手段80等に制御信号を出力する。なお、上記ランダムアクセスメモリ(RAM)103は、上述した図7に示す制御マップを格納する第1の記憶領域103a、図9に示すように上記第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)との比(V1/V2)に対応して第2の集光点位置調整手段としてのアクチュエータ74に印加する電圧を設定した制御マップを格納する第2の記憶領域103bや他の記憶領域を備えている。なお、図9に示す制御マップは、上記電圧値比(V1/V2)が“5”のとき5Vに設定されている。そして、電圧値比(V1/V2)が“5”より小さい場合にはアクチュエータ74に印加する電圧は低く、また、電圧値比(V1/V2)が“5”より大きい場合にはアクチュエータ74に印加する電圧は高くなるように設定されている。従って、図9に示す制御マップに従ってアクチュエータ74に印加する電圧を制御することにより、高さ位置検出手段8の第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)との比(V1/V2)が“5”になるように制御されることになる。この結果、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)は、一定の値に制御される。
【0040】
図示の実施形態におけるレーザー加工装置は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
図10にはレーザー加工される被加工物として光デバイスウエーハ20の斜視図が示されている。図10に示すは、サファイヤウエーハからなっており、その表面20aに格子状に配列された複数のストリート201によって複数の領域が区画され、この区画された領域に発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイス202が形成されている。
【0041】
上述した光デバイスウエーハ20のストリート201に沿ってレーザー加工溝を形成するには、光デバイスウエーハ20を図11に示すように環状のフレームFに装着されたダイシングテープTに貼着する。このとき、光デバイスウエーハ20は、表面20aを上にして裏面側をダイシングテープTに貼着する。
【0042】
上述したレーザー加工装置を用い、上記光デバイスウエーハ20の分割予定ライン201に沿ってレーザー光線を照射し、光デバイスウエーハ20にストリート201に沿ってレーザー加工溝を形成するレーザー加工の実施形態について説明する。
即ち、先ず上述した図1に示すレーザー加工装置のチャックテーブル36上に光デバイスウエーハ20の表面20aを上にして載置し、該チャックテーブル36上に光デバイスウエーハ20を吸引保持する。光デバイスウエーハ20を吸引保持したチャックテーブル36は、加工送り手段37によって撮像手段9の直下に位置付けられる。
【0043】
チャックテーブル36が撮像手段9の直下に位置付けられると、撮像手段9および制御手段10によって光デバイスウエーハ20のレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント作業を実行する。即ち、撮像手段9および制御手段10は、光デバイスウエーハ20の所定方向に形成されているストリート201と、レーザー光線照射手段52の集光器7との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、アライメントを遂行する。また、光デバイスウエーハ20に形成されている所定方向と直交する方向に形成されているストリート201に対しても、同様にアライメントが遂行される。
【0044】
上述したようにアライメントが実施されたならば、チャックテーブル36を移動して図12の(a)に示すように所定のストリート201の一端(12の(a)において左端)を集光器7の直下に位置付ける。そして、加工用パルスレーザー光線の光軸を変更する光軸変更手段としてのスキャニングミラー60を図2において1点鎖線で示す位置に位置付け、加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振された加工用パルスレーザー光線LB1が1点鎖線で示すように集光点P1に集光されるようにセットし、上記第2の集光点位置調整手段としてのアクチュエータ74に所定の電圧(例えば5V)の電圧を印加するとともに、上記第1の集光点位置調整手段53を作動して集光器7のウインドウレンズ73から光デバイスウエーハ20までの距離を30mmにする。
【0045】
次に、高さ位置検出手段8を作動してチャックテーブル36に保持された光デバイスウエーハ20の上面に検査用レーザー光線LB2bを照射するとともに、チャックテーブル36を12の(a)において矢印X1で示す方向に移動し、上述したように光デバイスウエーハ20の高さ位置を検出する。そして、制御手段10は高さ位置検出手段8の第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)との比(V1/V2)を演算し、この電圧値の比(V1/V2)に基いて図9に示す制御マップから上記第2の集光点位置調整手段としてのアクチュエータ74に印加する電圧を求め、12の(b)に示すように光デバイスウエーハ20の左端が加工用パルスレーザー光線LB1が照射される位置に達したら、求めた電圧をアクチュエータ74に印加する。このようにアクチュエータ74に電圧を印加するタイミングは、光デバイスウエーハ20の左端に検査用レーザー光線LB2bが照射されてから光デバイスウエーハ20の左端が加工用パルスレーザー光線LB1が照射される位置に達するまで遅延手段によって遅延される。この遅延時間はチャックテーブル36の移動速度に対応して予め設定されている。例えば、上記集光点Pと集光点P1との間隔が2mmで加工速度が100mm/秒のときは2/100秒(0.02秒)遅延させる。このようにして制御手段10は、アクチュエータ74に電圧を印加するとともに、加工用パルスレーザー光線発振手段6を作動する。以後、制御手段10は、高さ位置検出手段8の第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)との比(V1/V2)が“5”になるようにアクチュエータ74に印加する電圧を制御する。この結果、12の(c)に示すように集光器7が光デバイスウエーハ20の凹凸に対応して上下し、集光器7の対物レンズ72およびウインドウレンズ73から光デバイスウエーハ20上面までの距離(H)は所定の値に制御される。従って、光デバイスウエーハ20には、12の(c)に示すように上面から均一な深さのレーザー加工溝210が形成される。
【0046】
なお、上記レーザー加工における加工条件は、例えば次のように設定されている。
レーザー :YVO4 パルスレーザー
波長 :355nm
繰り返し周波数 :100kHz
平均出力 :5W
集光スポット径 :φ10μm
加工送り速度 :100mm/秒
【0047】
上述したように光デバイスウエーハ20に形成された所定のストリート201に沿って上記レーザー加工を実行したならば、第1の割り出し送り手段38を作動してチャックテーブル36を光デバイスウエーハ20に形成されたストリート201の間隔分だけ図13に示す状態から紙面に垂直や方向(図1において矢印Yで示す割り出し送り方向)に移動する。そして、図13の(a)に示すようにストリート201の他端(13の(a)において右端)を集光器7の直下に位置付ける。そして、加工用パルスレーザー光線の光軸を変更する光軸変更手段としてのスキャニングミラー60を図2において2点鎖線で示す位置に位置付け、加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振された加工用パルスレーザー光線LB1が2点鎖線で示すように集光点P2に集光されるようにセットするとともに、上記第2の集光点位置調整手段としてのアクチュエータ74に所定の電圧(例えば5V)の電圧を印加する。次に、高さ位置検出手段8を作動してチャックテーブル36に保持された光デバイスウエーハ20の上面に検査用レーザー光線LB2bを照射するとともに、チャックテーブル36を13の(a)において矢印X2で示す方向に移動し、上述したように光デバイスウエーハ20の高さ位置を検出する。そして、制御手段10は高さ位置検出手段8の第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)との比(V1/V2)を演算し、この電圧値の比(V1/V2)に基いて図9に示す制御マップから上記第2の集光点位置調整手段としてのアクチュエータ74に印加する電圧を求め、13の(b)に示すように光デバイスウエーハ20の右端が加工用パルスレーザー光線LB1が照射される位置に達したら、求めた電圧を遅延手段を介してアクチュエータ74に印加する。このようにして制御手段10は、アクチュエータ74に電圧を印加するとともに、加工用パルスレーザー光線発振手段6を作動する。以後、制御手段10は、高さ位置検出手段8の第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)との比(V1/V2)が“5”になるようにアクチュエータ74に印加する電圧を制御する。
【0048】
以上のようにして、光デバイスウエーハ20の所定方向に延在する全てのストリート201に沿って上記レーザー加工を実行したならば、チャックテーブル36を90度回動せしめて、上記所定方向に対して直角に延びる各ストリート201に沿って上記レーザー加工を実行する。このようにして、光デバイスウエーハ20に形成された全てのストリート201に沿って上記加工工程を実行したならば、光デバイスウエーハ20を保持しているチャックテーブル36は、最初に光デバイスウエーハ20を吸引保持した位置に戻され、ここで光デバイスウエーハ20の吸引保持を解除する。そして、光デバイスウエーハ20は、図示しない搬送手段によって分割工程に搬送される。
【0049】
次に、高さ位置検出手段8の他の実施形態について、図14を参照して説明する。なお、図14に示す高さ位置検出手段8は、反射光分析手段85以外は上記図2に示す高さ位置検出手段8と実質的に同一であるため、同一部材には同一符号を付してその説明は省略する。
図14に示す高さ位置検出手段8を構成する反射光分析手段85は、ピンホールマスク84のピンホール841を通過したスポット形状が環状の反射光をライン状のスポット形状に変換する円錐ミラー857と、該円錐ミラー857によってライン状のスポット形状に変換された反射光の位置を検出する位置検出器858とからなっている。位置検出器858は、位置敏感型検出器(PSD)やCCDラインセンサー等を用いることができ、その検出信号を上記図8に示す制御手段10に送る。
【0050】
図15に示す高さ位置検出手段8は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
上記図2に示す高さ位置検出手段8と同様に、被加工物Wの上面で反射した環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cと被加工物Wの下面で反射した環状スポット形状S4の第2の反射光は、上記図5に示すようにピンホールマスク84に達する。そして、上述したように被加工物Wの下面で反射した環状スポット形状S4の第2の反射光LB2dはピンホールマスク84によって遮断され、被加工物Wの上面で反射した環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cだけがピンホールマスク84のピンホール841を通過することになる。
【0051】
上記のようにピンホールマスク84のピンホール841を通過した被加工物Wの上面で反射した環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cは、反射光分析手段85を構成する円錐ミラー857によりライン状のスポット形状に変換されて位置検出器858に向けて反射せしめられる。ここで、ピンホールマスク84のピンホール841を通過して円錐ミラー85に入光する環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cが、円錐ミラー857によって反射されるライン状のスポットの位置について、図15を参照して説明する。
【0052】
ピンホールマスク84のピンホール841を通過する環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cにおいては、上記図6に示すように径が小さい環状スポット形状S3aは円錐ミラー85の先端部(図15において左端部)で反射し、ライン状のスポットとなって位置検出器858に照射される。一方、径が大きい環状スポット形状S3bは円錐ミラー857の後端部(図15において右端部)で反射し、ライン状のスポットとなって位置検出器858に照射される。このように、円錐ミラー857によって反射される環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cは、環状スポットの径の大きさによって位置検出器858に照射される位置が異なる。なお、第1の反射光LB2cの環状スポットの径の大きさは、上記検査用レーザー光線LB2bが照射される被加工物Wの上面高さ位置によって変化する。
【0053】
例えば、上記図6の(a)に示すように被加工物Wの高さ位置が高く(被加工物Wの厚みが厚く)上記集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)が小さい場合には、検査用レーザー光線LB2bは被加工物Wの上面に照射される環状のスポットS3aで反射する。この環状のスポットS3aは径が小さい。一方、上記図6の(b)に示すように被加工物Wの高さ位置が低く(被加工物Wの厚みが薄く)集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)大きい場合には、検査用レーザー光線LB2bは被加工物Wの上面に照射される環状のスポットS3bで反射する。この環状のスポットS3bは上記環状のスポットS3aより径が大きい。このように、被加工物Wの上面で反射された第1の反射光LB2cの環状のスポットは、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)が小さい程径が小さく、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)が大きい程径が大きくなる。従って、被加工物Wの上面で反射された第1の反射光LB2cを上記図15に示すようにピンホールマスク84のピンホール841を通過させた後、反射光分析手段85の円錐ミラー857でライン状のスポットに変換して位置検出器858に照射し、該位置検出器858に照射されたライン状のスポットの位置に基いて被加工物Wの上面高さ位置を求めることができる。
【0054】
ここで、上記位置検出器858に照射されたライン状のスポットの位置に対応して位置検出器86から出力される位置信号と、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)、即ち被加工物Wの高さ位置との関係について、図16に示す制御マップを参照して説明する。なお、図16において横軸は位置検出器86から出力される位置信号(G)で、縦軸は集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの所定の距離(基準値)に対する変位量を示している。図16に示す例においては、上述したように上記第2の集光点位置調整手段としてのアクチュエータ74に所定の電圧(例えば5V)の電圧を印加した状態において、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)が30.0mmの場合、上記位置検出器86から出力される位置信号(G)が“5”に設定されている。そして、チャックテーブルに保持された被加工物Wの高さ位置が低い(被加工物Wの厚みが薄い)場合には、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)が長くなるので、上記位置検出器86から出力される位置信号(G)が“5”より大きくなる。一方、チャックテーブルの保持された被加工物Wの高さ位置が高いい(被加工物Wの厚みが厚い)場合には、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)が短くなるので、上記位置検出器86から出力される位置信号(G)が“5”より小さくなる。従って、上述したように位置検出器86から出力される位置信号(G)を図16に示す制御マップに照合することにより、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H) 、即ち上記基準値からの変位量を求めることができる。なお、図16に示す制御マップは、上記図8に示す制御手段10のランダムアクセスメモリ(RAM)103に格納される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に従って構成されたレーザー加工装置の斜視図。
【図2】図1に示すレーザー加工装置に装備されるレーザー光線照射手段およびチャックテーブルに保持された被加工物の高さ位置検出手段の構成を示すブロック図。
【図3】図2に示す高さ位置検出手段を構成する環状スポット形成手段によって円形スポット形状のレーザー光線を環状スポット形状に形成する状態を示す説明図。
【図4】図2に示すレーザー光線照射手段および高さ位置検出装置を構成する集光器による加工用のレーザー光線と検査用のレーザー光線の集光状態を示す説明図。
【図5】図2に示す高さ位置検出手段を構成する第1のビームスプリッターによって分光された反射光の一部がピンホールマスクによって遮断されるとともに他の一部が通過する状態を示す説明図。
【図6】図2に示す高さ位置検出装置によってチャックテーブルに保持された厚みが異なる被加工物にレーザー光線を照射する状態を示す説明図。
【図7】図2に示す高さ位置検出手段を構成する第1の受光素子から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子から出力される電圧値(V2)との比と、集光器から被加工物の上面までの所定距離を基準とした変異との関係を示す制御マップ。
【図8】図1に示すレーザー加工装置に装備される制御手段を示すブロック図。
【図9】図2に示す高さ位置検出手段を構成する第1の受光素子から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子から出力される電圧値(V2)との比と、集光器を構成するアクチュエータに印加する電圧との関係を示す制御マップ。
【図10】被加工物としての光デバイスウエーハの斜視図。
【図11】図10に示す光デバイスウエーハを環状のフレームに装着されたダイシングテープの表面に貼着した状態を示す斜視図。
【図12】図1に示すレーザー加工装置によって図10に示す光デバイスウエーハのストリートに沿ってレーザー加工を実施している状態を示す説明図。
【図13】図1に示すレーザー加工装置によって図10に示す光デバイスウエーハのストリートに沿ってレーザー加工を実施している状態を示す説明図。
【図14】図1に示すレーザー加工装置に装備されるレーザー光線照射手段およびチャックテーブルに保持された被加工物の高さ位置検出手段の他の実施形態を示す構成を示すブロック図。
【図15】図14に示す高さ位置検出装置を構成する円錐ミラーによって反射されるライン状のスポットの位置が環状スポットの径の大きさによって変化する状態を示す説明図。
【図16】図14に示す高さ位置検出装置の位置検出器から出力される位置信号(G)と、集光器から被加工物の上面までの所定距離を基準とした変異との関係を示す制御マップ。
【符号の説明】
【0056】
1:レーザー加工装置
2:静止基台
3:チャックテーブル機構
36:チャックテーブル
37:加工送り手段
374:X軸方向位置検出手段
38:第1の割り出し送り手段
384:Y軸方向位置検出手段
4:レーザー光線照射ユニット支持機構
42:可動支持基台
43:第2の割り出し送り手段
5:レーザー光線照射ユニット
6:加工用パルスレーザー光線発振手段
7:集光器
71:方向変換ミラー
72:対物レンズ
73:ウインドウレンズ
74:アクチュエータ
8:高さ位置検出装置
80:検査用レーザー光線発振手段
81:ダイクロックミラー
82:環状スポット形成手段
83:第1のビームスプリッター
830:バンドパスフィルター
84:ピンホールマスク
85:反射光分析手段
851:第2のビームスプリッター
852:集光レンズ
853:第1の受光素子
854:第2の受光素子
855:受光領域規制手段
857:円錐ミラー
858:位置検出器
9:撮像手段
10:制御手段
20:光デバイスウエーハ
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等のウエーハに形成されたストリートに沿ってレーザー加工を施すウエーハのレーザー加工方法およびレーザー加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体基板の表面に格子状に配列されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイスを形成する。そして、半導体ウエーハをストリートに沿って切断することによりデバイスが形成された領域を分割して個々のデバイスを製造している。また、サファイヤ基板の表面にフォトダイオード等の受光素子やレーザーダイオード等の発光素子等が積層された光デバイスウエーハもストリートに沿って切断することにより個々のフォトダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスに分割され、電気機器に広く利用されている。
【0003】
上述した半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のウエーハをストリートに沿って分割する方法として、ウエーハに形成されたストリートに沿ってパルスレーザー光線を照射することによりレーザー加工溝を形成し、このレーザー加工溝に沿って破断する方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開平10−305420号公報
【0004】
上述したウエーハに形成されたストリートに沿ってパルスレーザー光線を照射することによりレーザー加工溝を形成する加工方法においては、ウエーハに対して吸収性を有する波長(例えば355nm)のパルスレーザー光線が用いられ、集光点をウエーハの加工面に位置付けて加工する。
【0005】
しかるに、ウエーハにはウネリがあり、その厚さにバラツキがあると、レーザー光線を照射する際に集光点を加工面に位置付けることができず、均一な深さのレーザー加工溝を形成することができない。従って、ウエーハに均一な深さのレーザー加工溝を形成するためには、レーザー光線を照射する領域の凹凸を検出し、その凹凸にレーザー光線照射手段を追随させて加工する必要がある。
【0006】
上述した問題を解消するために、チャックテーブルに保持された被加工物の表面(上面)に可視光のレーザー光線を照射し、被加工物の表面(上面)で反射した面積に対応した光量に基いて被加工物の表面(上面)の高さ位置を検出する高さ位置検出手段を備えたレーザー加工装置を提案した。(例えば、特許文献2参照。)
【特許文献2】特開2007−152355号公報
【0007】
しかしながら、上記特許文献2に開示された高さ位置検出手段においては、被加工物としてのウエーハがシリコンによって形成されている場合には可視光のレーザー光線が透過しないため、被加工物の表面(上面)で反射した面積に対応した光量を正確に測定することができるが、ウエーハが透明性を有するサファイヤや石英によって形成されている場合にはレーザー光線が被加工物の表面(上面)で反射するとともに被加工物の裏面(下面)でも反射するため、被加工物の表面(上面)で反射した光だけを測定することができない。従って、上記公報に開示された高さ位置検出手段においては、透明性を有する材料によって形成された被加工物の表面位置を検出することができない。
【0008】
このように問題を解消するために本出願人は、透明性を有する材料によって形成された被加工物であってもチャックテーブルに保持された被加工物の上面高さ位置を確実に検出するための高さ位置検出装置を特願2007−231907号として提案した。この高さ位置検出装置は、検出用のレーザー光線発振手段から発振された円形のスポット形状を有する検出用のレーザー光線を環状スポット形成手段によって環状のスポット形状を有するレーザー光線に形成し、この環状のスポット形状を有する検出用のレーザー光線を被加工物に照射する。このように被加工物に照射された環状のスポット形状を有する検出用のレーザー光線は、上面で環状のスポット形状で反射するとともに、被加工物が透明性を有する場合には下面で環状のスポット形状で反射する。そして、被加工物の下面で反射した環状の反射光の径は被加工物の上面で反射した環状の反射光の径より大きいため、被加工物の下面で反射した環状の反射光をピンホールマスクによって遮断し、ピンホールマスクのピンホールを通過した被加工物の上面で反射した環状スポット形状の反射光に基いて受光量を検出する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
而して、上記検出用のレーザー光線(例えば波長が635nm)を集光する対物レンズは、被加工物の上面で反射する反射光の径と被加工物の下面で反射する反射光の径の大きさを明確に区別するためにNAを比較的大きくする必要がある。一方、加工用のレーザー光線(例えば波長が355nm)を集光する対物レンズのNAは比較的小さい(例えば0.2)。従って、同軸上に検出用のレーザー光線と加工用のレーザー光線を同時に導入して、検出用のレーザー光線によって被加工物の上面の高さ位置を検出しつつ加工用のレーザー光線の集光点位置を追随させることができないという問題がある。
【0010】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、透明性を有する材料によって形成された被加工物であってもチャックテーブルに保持された被加工物の上面高さ位置を検出しつつ加工用のレーザー光線の集光点位置を追随させることができるレーザー加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、板状の被加工物を保持する被加工物保持面を備えたチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物の上面側から加工用レーザー光線を照射する加工用レーザー光線照射手段と、該チャックテーブルと該加工用レーザー光線照射手段とを加工送り方向に相対的に移動せしめる加工送り手段とを具備し、該レーザー光線照射手段が加工用レーザー光線を発振する加工用レーザー光線発振手段と該加工用レーザー光線発振手段によって発振された加工用レーザー光線を集光する集光器とを具備しているレーザー加工装置において、
該集光器によって集光される加工用レーザー光線の集光点位置を変位せしめる集光点位置調整手段と、該チャックテーブルに保持された被加工物の上面高さ位置を検出するための高さ位置検出手段と、該高さ位置検出手段からの検出信号に基いて該集光点位置調整手段を制御する制御手段と、を具備し、
該高さ位置検出装置は、該加工用レーザー光線の波長と異なる波長の検出用レーザー光線を発振する検出用レーザー光線発振手段と、該検出用レーザー光線発振手段によって発振された検出用レーザー光線のスポット形状を環状に形成する環状スポット形成手段と、該環状スポット形成手段によってスポット形状が環状に形成された検出用レーザー光線を該集光器に導く検出用レーザー光線照射経路と、該検出用レーザー光線照射経路を介して該集光器から該チャックテーブルに保持された被加工物に照射され反射した反射光を導く検出用レーザー光線反射経路と、該検出用レーザー光線反射経路に配設され被加工物の上面で反射した反射光は通過させるが被加工物の下面で反射した反射光は遮断するピンホールマスクと、該ピンホールマスクを通過した反射光を分析し分析結果を該制御手段に送る反射光分析手段とを具備ており、
該集光器は、該加工用レーザー光線および該検出用レーザー光線を集光する対物レンズと、該加工用レーザー光線は集光しないがスポット形状が環状の該検出用レーザー光線は集光するウインドウレンズを備えている、
ことを特徴とするレーザー加工装置が提供される。
【0012】
上記加工用レーザー光線照射手段は、集光器によって集光される加工用パルスレーザー光線の光軸を加工送り方向に変更する光軸変更手段を具備していることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるレーザー加工装置は上記のように構成され、加工用レーザー光線および検出用レーザー光線を集光する集光器は加工用レーザー光線および検出用レーザー光線を集光する対物レンズと、加工用レーザー光線は集光しないが検出用レーザー光線を集光するウインドウレンズを備えているので、被加工物に照射される環状のスポット形状を有する検査用レーザー光線は対物レンズおよびウインドウレンズによって集光されるため、集光レンズのNAが大きくなった状態となる。従って、被加工物の上面で反射する環状のスポット形状と被加工物の下面で反射する環状のスポット形状の比が大きくなるので、被加工物の下面で反射した環状スポット形状の反射光をピンホールマスクによって確実に遮断することができ、透明性を有する材料によって形成された被加工物であってもチャックテーブルに保持された被加工物の上面高さ位置を検出しつつ加工用のレーザー光線の集光点位置を追随させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に従って構成されたレーザー加工装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0015】
図1には、本発明に従って構成されたレーザー加工装置の斜視図が示されている。図1に示すレーザー加工装置は、静止基台2と、該静止基台2に矢印Xで示す加工送り方向に移動可能に配設され被加工物を保持するチャックテーブル機構3と、静止基台2に上記矢印Xで示す方向(X軸方向)と直角な矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動可能に配設されたレーザー光線照射ユニット支持機構4と、該レーザー光線ユニット支持機構4に矢印Zで示す方向(Z軸方向)に移動可能に配設されたレーザー光線照射ユニット5とを具備している。
【0016】
上記チャックテーブル機構3は、静止基台2上に矢印Xで示す加工送り方向に沿って平行に配設された一対の案内レール31、31と、該案内レール31、31上に矢印Xで示す加工送り方向に(X軸方向)移動可能に配設された第一の滑動ブロック32と、該第1の滑動ブロック32上に矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動可能に配設された第2の滑動ブロック33と、該第2の滑動ブロック33上に円筒部材34によって支持されたカバーテーブル35と、被加工物保持手段としてのチャックテーブル36を具備している。このチャックテーブル36は多孔性材料から形成された吸着チャック361を具備しており、被加工物保持面としての吸着チャック361上に被加工物である例えば円盤状の半導体ウエーハを図示しない吸引手段によって保持するようになっている。このように構成されたチャックテーブル36は、円筒部材34内に配設された図示しないパルスモータによって回転せしめられる。なお、チャックテーブル36には、後述する環状のフレームを固定するためのクランプ362が配設されている。
【0017】
上記第1の滑動ブロック32は、その下面に上記一対の案内レール31、31と嵌合する一対の被案内溝321、321が設けられているとともに、その上面に矢印Yで示す割り出し送り方向に沿って平行に形成された一対の案内レール322、322が設けられている。このように構成された第1の滑動ブロック32は、被案内溝321、321が一対の案内レール31、31に嵌合することにより、一対の案内レール31、31に沿って矢印Xで示す加工送り方向に移動可能に構成される。図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、第1の滑動ブロック32を一対の案内レール31、31に沿って矢印Xで示す加工送り方向に移動させるための加工送り手段37を具備している。加工送り手段37は、上記一対の案内レール31と31の間に平行に配設された雄ネジロッド371と、該雄ネジロッド371を回転駆動するためのパルスモータ372等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド371は、その一端が上記静止基台2に固定された軸受ブロック373に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ372の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド371は、第1の滑動ブロック32の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ372によって雄ネジロッド371を正転および逆転駆動することにより、第一の滑動ブロック32は案内レール31、31に沿って矢印Xで示す加工送り方向(X軸方向)に移動せしめられる。
【0018】
上記第2の滑動ブロック33は、その下面に上記第1の滑動ブロック32の上面に設けられた一対の案内レール322、322と嵌合する一対の被案内溝331、331が設けられており、この被案内溝331、331を一対の案内レール322、322に嵌合することにより、矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動可能に構成される。図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、第2の滑動ブロック33を第1の滑動ブロック32に設けられた一対の案内レール322、322に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動させるための第1の割り出し送り手段38を具備している。第1の割り出し送り手段38は、上記一対の案内レール322と322の間に平行に配設された雄ネジロッド381と、該雄ネジロッド381を回転駆動するためのパルスモータ382等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド381は、その一端が上記第1の滑動ブロック32の上面に固定された軸受ブロック383に回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ382の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド381は、第2の滑動ブロック33の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された貫通雌ネジ穴に螺合されている。従って、パルスモータ382によって雄ネジロッド381を正転および逆転駆動することにより、第2の滑動ブロック33は案内レール322、322に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動せしめられる。
【0019】
上記レーザー光線照射ユニット支持機構4は、静止基台2上に矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に沿って平行に配設された一対の案内レール41、41と、該案内レール41、41上に矢印Yで示す方向に移動可能に配設された可動支持基台42を具備している。この可動支持基台42は、案内レール41、41上に移動可能に配設された移動支持部421と、該移動支持部421に取り付けられた装着部422とからなっている。装着部422は、一側面に矢印Zで示す方向に延びる一対の案内レール423、423が平行に設けられている。図示の実施形態におけるレーザー光線照射ユニット支持機構4は、可動支持基台42を一対の案内レール41、41に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動させるための第2の割り出し送り手段43を具備している。第2の割り出し送り手段43は、上記一対の案内レール41、41の間に平行に配設された雄ネジロッド431と、該雄ねじロッド431を回転駆動するためのパルスモータ432等の駆動源を含んでいる。雄ネジロッド431は、その一端が上記静止基台2に固定された図示しない軸受ブロックに回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ432の出力軸に伝動連結されている。なお、雄ネジロッド431は、可動支持基台42を構成する移動支持部421の中央部下面に突出して設けられた図示しない雌ネジブロックに形成された雌ネジ穴に螺合されている。このため、パルスモータ432によって雄ネジロッド431を正転および逆転駆動することにより、可動支持基台42は案内レール41、41に沿って矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に移動せしめられる。
【0020】
図示の実施形態のおけるレーザー光線照射ユニット5は、ユニットホルダ51と、該ユニットホルダ51に取り付けられたレーザー光線照射手段52を具備している。ユニットホルダ51は、上記装着部422に設けられた一対の案内レール423、423に摺動可能に嵌合する一対の被案内溝511、511が設けられており、この被案内溝511、511を上記案内レール423、423に嵌合することにより、矢印Zで示す方向(Z軸方向)に移動可能に支持される。
【0021】
図示の実施形態におけるレーザー光線照射ユニット5は、ユニットホルダ51を一対の案内レール423、423に沿って上記チャックテーブル36被加工物保持面に垂直な方向である矢印Zで示す焦点位置調整方向(Z軸方向)に移動させるための第1の集光点位置調整手段53を具備している。第1の集光点位置調整手段53は、一対の案内レール423、423の間に配設された雄ネジロッド(図示せず)と、該雄ネジロッドを回転駆動するためのパルスモータ532等の駆動源を含んでおり、パルスモータ532によって図示しない雄ネジロッドを正転および逆転駆動することにより、ユニットホルダ51およびレーザビーム照射手段52を案内レール423、423に沿って矢印Zで示す集光点位置調整方向(Z軸方向)に移動せしめる。なお、図示の実施形態においてはパルスモータ532を正転駆動することによりレーザー光線照射手段52を上方に移動し、パルスモータ532を逆転駆動することによりレーザー光線照射手段52を下方に移動するようになっている。
【0022】
図示のレーザー光線照射手段52は、実質上水平に配置された円筒形状のケーシング521を含んでいる。ケーシング521内には図2に示すように加工用パルスレーザー光線発振手段6と、このケーシング521内には図2に示すように加工用パルスレーザー光線発振手段6が配設されており、ケーシング521の先端には加工用パルスレーザー光線発振手段6が発振する加工用パルスレーザー光線を上記チャックテーブル36に保持される被加工物に照射せしめる集光器7が配設されている。加工用パルスレーザー光線発振手段6は、被加工物であるウエーハに対して吸収性を有する波長の加工用パルスレーザー光線LB1を発振する。この加工用パルスレーザー光線発振手段6は、例えば波長が355nmである加工用パルスレーザー光線LB1を発振するYVO4パルスレーザー発振器或いはYAGパルスレーザー発振器を用いることができる。また、図示のレーザー光線照射手段52は、加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振された加工用パルスレーザー光線を集光器7に導く経路に配設され加工用パルスレーザー光線LB1の光軸を図1において矢印Xで示す加工送り方向(X軸方向)に変更する光軸変更手段としてのスキャニングミラー60を具備している。
【0023】
上記集光器7は、上記加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振された加工用パルスレーザー光線LB1を図2において下方に向けて方向変換する方向変換ミラー71と、該方向変換ミラー71によって方向変換された加工用パルスレーザー光線LB1を集光する凹レンズ721と凸レンズ722とからなる対物レンズ72と、該対物レンズ72を通過した加工用パルスレーザー光線LB1は集光しないが後述する検出用レーザー光線は集光するウインドウレンズ73を具備している。ウインドウレンズ73は、断面が台形状に形成され中央平面部731を通過する光線は集光しないが外周傾斜部732を通過する光線は集光するようになっている。また、集光器7は、対物レンズ72およびウインドウレンズ73はケースに収容した状態でチャックテーブル36の保持面(上面)に対して垂直な方向(図2において上下方向)に移動するためのアクチュエータ74を具備している。アクチュエータ74は、図示の実施形態においては印加する電圧値に対応して軸方向に延びる圧電素子によって構成されたピエゾモータからなっている。従って、ピエゾモータからなるアクチュエータ74は、後述する制御手段によって制御され対物レンズ72およびウインドウレンズ73を図2において上下方向に移動することにより加工用パルスレーザー光線LB1の集光点位置を変位せしめる第2の集光点位置調整手段として機能する。
【0024】
上記スキャニングミラー60は、後述する制御手段によって図2において実線で示す位置と1点鎖線で示す位置および2点鎖線で示す位置に選択的に移動せしめられるようになっている。このスキャニングミラー60が実線で示す位置に位置付けられると、加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振された加工用パルスレーザー光線は、実線で示すように集光点Pに集光される。また、スキャニングミラー60が1点鎖線で示す位置に位置付けられると、加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振された加工用パルスレーザー光線は、1点鎖線で示すように集光点Pから加工送り方向Xに所定距離左側の集光点P1に集光される。更に、スキャニングミラー60が2点鎖線で示す位置に位置付けられると、加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振された加工用パルスレーザー光線は、2点鎖線で示すように集光点Pから加工送り方向Xに所定距離右側の集光点P2に集光される。従って、スキャニングミラー60は、加工用パルスレーザー光線の光軸を加工送り方向に変更する光軸変更手段として機能する。
【0025】
図2を参照して説明を続けると、図示の実施形態におけるレーザー加工装置は、チャックテーブルに保持された被加工物の上面高さ位置を検出するための高さ位置検出手段8を具備している。高さ位置検出手段8は、検査用レーザー光線を発振する検査用レーザー光線発振手段80と、上記スキャニングミラー60と集光器7と間の経路に配設され検査用レーザー光線発振手段80から発振された検査用レーザー光線を集光器7に向けて分光せしめるダイクロックミラー81と、該ダイクロックミラー81と検査用レーザー光線発振手段80との間に配設され検査用レーザー光線発振手段80によって発振された検査用レーザー光線のスポット形状(断面形状)を環状に形成する環状スポット形成手段82と、該環状スポット形成手段82とダイクロックミラー81との間に配設され環状スポット形成手段82によってスポット形状(断面形状)が環状に形成された検査用レーザー光線をダイクロックミラー81に向ける第1の経路83aに導く第1のビームスプリッター83を具備している。
【0026】
検査用レーザー光線発振手段80は、上記加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振される加工用パルスレーザー光線の波長と異なる波長の例えば波長が635nmの検査用レーザー光線LB2aを発振するHe-Neパルスレーザー発振器を用いることができる。なお、検査用レーザー光線発振手段80から発振される検査用レーザー光線LB2aの出力は、図示の実施形態においては10mWに設定されている。ダイクロックミラー81は、加工用パルスレーザー光線LB1は通過するが検査用レーザー光線発振手段80から発振された検査用レーザー光線を集光器7に向けて反射せしめる。環状スポット形成手段82は、図示の実施形態においては検査用レーザー光線LB2aの光軸に沿って所定の間隔を持って直列に配設された一対の第1の円錐レンズ821と第2の円錐レンズ822とによって構成されている。なお、図示の実施形態においては一対の第1の円錐レンズ821と第2の円錐レンズ822は、頂点を互いに向かい合わせて配設した例を示したが、互いに背中合わせでも同じ方向に向けて配設してもよい。このように構成された環状スポット形成手段82は、検査用レーザー光線発振手段80によって発振されたスポット形状が円形の検査用レーザー光線LB2aをスポット形状が環状のレーザー光線LB2bにする。なお、環状スポット形成手段82としては、環状の穴を備えたマスク部材を用いてもよい。上記第1のビームスプリッター83は、環状スポット形成手段82によってスポット形状が環状に形成されたレーザー光線LB2bを上記ダイクロックミラー81に向けた第1の経路83aに導くとともに、ダイクロックミラー81によって分光された後述する反射光を第2の経路83bに導く。
【0027】
図示の実施形態における高さ位置検出手段8は、第2の経路83bに配設され第1のビームスプリッター83によって反射された反射光のうち検査用レーザー光線LB2の波長(図示の実施形態においては635nm)に対応する反射光のみを通過せしめるバンドパスフィルター830と、該バンドパスフィルター830を通過した反射光のうち所定の径より大きい径の反射光の通過を規制するピンホール841を備えたピンホールマスク84と、該ピンホールマスク84を通過した反射光を分析し分析結果を後述する制御手段に送る反射光分析手段85を具備している。ピンホールマスク84に形成されたピンホール841は、その直径が例えば1mmに設定されている。上記反射光分析手段85は、ピンホールマスク84のピンホール841を通過した反射光を第3の経路85aと第4の経路85bに分光する第2のビームスプリッター851と、該第2のビームスプリッター851によって第3の経路85aに分光された反射光を100%集光する集光レンズ852と、該集光レンズ852によって集光された反射光を受光する第1の受光素子853を具備している。第1の受光素子853は、受光した光量に対応した電圧信号を後述する制御手段に送る。また、図示の実施形態における反射光分析手段85は、第2のビームスプリッター851によって第4の経路85bに分光された反射光を受光する第2の受光素子854と、該第2の受光素子854が受光する反射光の受光領域を規制する受光領域規制手段855を具備している。受光領域規制手段855は、図示の実施形態においては第2のビームスプリッター851によって第4の経路85bに分光された反射光を一次元に集光するシリンドリカルレンズ855aと、該シリンドリカルレンズ855aによって一次元に集光された反射光を単位長さに規制する一次元マスク855bとからなっている。該一次元マスク855bを通過した反射光を受光する第2の受光素子854は、受光した光量に対応した電圧信号を後述する制御手段に送る。
【0028】
図示の実施形態における高さ位置検出手段8は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
図3に示すように検査用レーザー光線発振手段80から発振された円形のスポット形状S1を有する検査用レーザー光線LB2aは、環状スポット形成手段8によって環状のスポット形状S2を有する検査用レーザー光線LB2bに形成される。即ち、環状スポット形成手段82は、直径が2mmのレーザー光線LB2aを例えば外径(D1)が10mm、内径(D2)が8mmの環状のレーザー光線LB2bに拡張するとともに、平行な光線に形成する。環状スポット形成手段82によって環状のスポット形状S2に形成された検査用レーザー光線LB2bは、図2に示すように第1のビームスプリッター83によって第1の経路83aに導かれ、ダイクロックミラー81に達し、該ダイクロックミラー81によって集光器7に向けて反射される。集光器7に向けて反射された検査用レーザー光線LB2bは、上記加工用パルスレーザー光線LB1と同様に方向変換ミラー71によって図2において下方に方向変換され、凹レンズ721と凸レンズ722とからなる対物レンズ72およびウインドウレンズ73によって集光される。
【0029】
ここで、集光器7によって集光される検査用レーザー光線LB2bと加工用パルスレーザー光線LB1との集光点について、図4を参照して説明する。
例えば直径が2mmの加工用パルスレーザー光線LB1は、対物レンズ72を構成する凹レンズ721によって拡径された後に凸レンズ722によって集光され、ウインドウレンズ73の中央平面部731を通過して集光点Pで集光される。一方、検査用レーザー光線LB2bは、外径(D1)が10mm、内径(D2)が8mmの環状のスポット形状S2に形成されているので、対物レンズ72を構成する凹レンズ721によって拡径された後に凸レンズ722によって集光され、ウインドウレンズ73の外周傾斜部732を通過するため更に集光されて集光点Paで集光される。従って、検査用レーザー光線LB2bの集光点Paは、加工用パルスレーザー光線LB1の集光点Pよりレーザー光線照射方向の上流側(上側)となる。
【0030】
そして、加工用パルスレーザー光線LB1の集光点Pをチャックテーブル36に保持された被加工物Wの上面に位置付けるように上記第2の集光点位置調整手段としてのアクチュエータ74に所定の電圧(例えば5V)の電圧を印加する。この結果、環状のスポット形状S2に形成された検査用レーザー光線LB2bは、チャックテーブル36に保持された被加工物Wの上面に環状のスポット形状S3で照射され、環状のスポット形状S3の大きさで反射する(第1の反射光)。このとき、被加工物Wが透明性を有するサファイヤや石英によって形成されている場合には、検査用レーザー光線LB2bは被加工物Wを透過して下面に達し、環状のスポット形状S4の大きさで反射する(第2の反射光)。
【0031】
このように被加工物Wの上面で反射した環状スポット形状S3の第1の反射光と、被加工物Wの下面で反射した環状スポット形状S4の第2の反射光は、集光レンズ72、方向変換ミラー71、ダイクロックミラー81を介して第1のビームスプリッター83に至り、該第1のビームスプリッター83によって第2の経路83bに分光され、バンドパスフィルター830に達する。なお、上記加工用パルスレーザー光線LB1の反射光も検査用レーザー光線LB2と同様に経路を介してバンドパスフィルター830に達する。バンドパスフィルター830は上述したように検査用レーザー光線LB2の周波数に対応する反射光のみを通過せしめるように構成されているので、加工用パルスレーザー光線LB1の反射光はバンドパスフィルター830によって遮断される。このようにしてバンドパスフィルター830を通過した環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cと環状スポット形状S4の第2の反射光LB2dは、ピンホールマスク84に達する。ピンホールマスク84に形成されたピンホール841は図示の実施形態においては例えば直径が1mmに設定されており、図5に示すように環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cは通過するが、環状スポット形状S4の第2の反射光LB2dは遮断される。なお、ピンホールマスク84に形成されるピンホール841の直径は、被加工物Wの厚みや上記集光点Pbの位置等を考慮して、環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cは通過するが環状スポット形状S4の第2の反射光LB2dは遮断する値に設定する。このように、被加工物Wの下面で反射した環状スポット形状S4の第2の反射光LB2dはピンホールマスク84によって遮断され、被加工物Wの上面で反射した環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cだけがピンホールマスク84のピンホール841を通過することになる。
【0032】
上記のようにピンホールマスク84のピンホール841を通過した被加工物Wの上面で反射した環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cは、図2に示すように反射光分析手段85を構成する第2のビームスプリッター851によって第3の経路85aと第4の経路85bに分光される。第3の経路85aに分光された環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cは、集光レンズ852によって100%集光され第1の受光素子853に受光される。そして、第1の受光素子853は、受光した光量に対応した電圧信号を後述する制御手段に送る。一方、第4の経路に85bに分光された環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cは、受光領域規制手段855のシリンドリカルレンズ855aによって一次元に集光され、一次元マスク855bによって所定の単位長さに規制されて第2の受光素子854に受光される。そして、第2の受光素子854は、受光した光量に対応した電圧信号を後述する制御手段に送る。
【0033】
ここで、第1の受光素子853と第2の受光素子854によって受光される環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cの受光量について説明する。
第1の受光素子853に受光される環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cは、集光レンズ852によって100%集光されるので受光量は一定であり、第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)は一定(例えば10V)となる。一方、第2の受光素子854によって受光される環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cは、受光領域規制手段855のシリンドリカルレンズ855aによって一次元に集光された後、一次元マスク855bによって所定の単位長さに規制されて第2の受光素子854に受光されるので、図4に示すように検査用レーザー光線LB2bが被加工物Wの上面に照射される際に、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離、即ち被加工物Wの高さ位置(厚み)によって第2の受光素子854の受光量は変化する。従って、第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)は、検査用レーザー光線LB2bが照射される被加工物Wの上面高さ位置によって変化する。
【0034】
例えば、図6の(a)に示すように被加工物Wの高さ位置が高く(被加工物Wの厚みが厚く)集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)が小さい場合には、検査用レーザー光線LB2bは被加工物Wの上面に照射される環状のスポットS3aで反射する。この反射光は上述したように第2のビームスプリッター851によって第3の経路85aと第4の経路85bに分光されるが、第3の経路85aに分光された環状のスポットS3aの反射光は集光レンズ852によって100%集光されるので、反射光の全ての光量が第1の受光素子853に受光される。一方、第2のビームスプリッター851によって第4の経路85bに分光された環状のスポットS3aの反射光は、シリンドリカルレンズ855aによって一次元に集光されるので断面が略長方形となる。このようにして断面が略長方形に絞られた反射光は、一次元マスク855bによって所定の単位長さに規制されるので、第4の経路85bに分光された反射光の一部が第2の受光素子854によって受光されることになる。従って、第2の受光素子854に受光される反射光の光量は上述した第1の受光素子853に受光される光量より少なくなる。
【0035】
次に、図6の(b)に示すように被加工物Wの高さ位置が低く(被加工物Wの厚みが薄く)集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)が大きい場合には、検査用レーザー光線LB2bは被加工物Wの上面に照射される環状のスポットS3bで反射する。この環状のスポットS3bは上記環状のスポットS3aより大きい。この環状のスポットS3bの反射光は上述したように第2のビームスプリッター851によって第3の経路85aと第4の経路85bに分光されるが、第3の経路85aに分光された環状のスポットS3bの反射光は集光レンズ852によって100%集光されるので、反射光の全ての光量が第1の受光素子853に受光される。一方、第2のビームスプリッター851によって第4の経路85bに分光された環状のスポットS3bの反射光は、シリンドリカルレンズ855aによって一次元に集光されるので断面が略長方形となる。この略長方形の長辺の長さは、反射光の環状のスポットS3bが上記環状のスポットS3aより大きいので環状のスポットS3aの場合より長くなる。このようにして断面が略長方形に集光された反射光は、一次元マスク855bによって所定の長さに区切られ一部が第2の受光素子854によって受光される。従って、第2の受光素子854によって受光される光量は、上記図6の(a)に示す場合より少なくなる。このように第2の受光素子854に受光される反射光の光量は、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)、即ち被加工物Wの高さ位置が高い(被加工物Wの厚みが厚い)程多く、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)、即ち被加工物Wの高さ位置が低い(被加工物Wの厚みが薄い)程少なくなる。
【0036】
ここで、上記第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)との比と、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)、即ち被加工物Wの高さ位置との関係について、図7に示す制御マップを参照して説明する。なお、図7において横軸は第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)との比(V1/V2)で、縦軸は集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの所定の距離(基準値)に対する変位量を示している。図7に示す例においては、上述したように上記第2の集光点位置調整手段としてのアクチュエータ74に所定の電圧(例えば5V)の電圧を印加した状態において、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)が30.0mmの場合を基準値(0)として、上記電圧値の比(V1/V2)が“5”に設定されている。そして、チャックテーブルに保持された被加工物Wの高さ位置が低い(被加工物Wの厚みが薄い)場合には、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)が長くなるので、電圧値の比(V1/V2)が“5”より大きくなる。一方、チャックテーブルの保持された被加工物Wの高さ位置が高い(被加工物Wの厚みが厚い)場合には、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)が短くなるので、電圧値の比(V1/V2)が“5”より小さくなる。従って、上述したように第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)との比(V1/V2)を求め、この電圧値の比(V1/V2)を図7に示す制御マップに照合することにより、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)、即ち上記基準値からの変位量を求めることができる。なお、図7に示す制御マップは、後述する制御手段のメモリに格納される。
【0037】
図示の実施形態における高さ位置検出手段8は以上のように構成され、検査用レーザー光線発振手段80から発振された円形のスポット形状S1を有する検査用レーザー光線LB2aを環状スポット形成手段82によって環状のスポット形状S2を有する検査用レーザー光線LB2bに形成し、この環状のスポット形状S2を有する検査用レーザー光線LB2bを被加工物Wに照射する。従って、図4に示すように被加工物Wに照射された環状のスポット形状S2を有する検査用レーザー光線LB2bは、上面で環状のスポット形状S3で反射するとともに、被加工物Wが透明性を有する場合には下面で環状のスポット形状S4で反射する。そして、被加工物Wの下面で反射した環状スポット形状S4の第2の反射光LB2dはピンホールマスク84によって遮断し、ピンホールマスク84のピンホール841を通過した被加工物Wの上面で反射した環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cに基いて受光量を検出するので、被加工物Wが透明性を有する場合であっても被加工物Wの上面位置を正確に検出することができる。しかも、被加工物Wに照射される環状のスポット形状S2を有する検査用レーザー光線LB2bは、凹レンズ721と凸レンズ722とからなる対物レンズ72およびウインドウレンズ73によって集光されるので、集光レンズのNAが大きくなった状態となり、被加工物Wの上面で反射する環状のスポット形状S3と被加工物Wの下面で反射する環状のスポット形状S4の比が大きくなるので、被加工物Wの下面で反射した環状スポット形状S4の第2の反射光LB2dを上記ピンホールマスク84によって確実に遮断することができる。
【0038】
図1に戻って説明を続けると、上記レーザー光線照射手段52を構成するケーシング521の先端部には、レーザー光線照射手段52によってレーザー加工すべき加工領域を検出する撮像手段9が配設されている。この撮像手段9は、可視光線によって撮像する通常の撮像素子(CCD)の外に、被加工物に赤外線を照射する赤外線照明手段と、該赤外線照明手段によって照射された赤外線を捕らえる光学系と、該光学系によって捕らえられた赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成されており、撮像した画像信号を後述する制御手段に送る。
【0039】
図示の実施形態におけるレーザー加工装置は、図8に示す制御手段10を具備している。制御手段10はコンピュータによって構成されており、制御プログラムに従って演算処理する中央処理装置(CPU)101と、制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)102と、演算結果等を格納する読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)103と、入力インターフェース104および出力インターフェース105とを備えている。制御手段10の入力インターフェース104には、上記第1の受光素子853、第2の受光素子854および撮像手段9等からの検出信号が入力される。そして、制御手段10の出力インターフェース105からは、上記パルスモータ372、パルスモータ382、パルスモータ432、パルスモータ532、加工用パルスレーザー光線発振手段6、スキャニングミラー60、第2の集光点位置調整手段としてのアクチュエータ74、検査用レーザー光線発振手段80等に制御信号を出力する。なお、上記ランダムアクセスメモリ(RAM)103は、上述した図7に示す制御マップを格納する第1の記憶領域103a、図9に示すように上記第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)との比(V1/V2)に対応して第2の集光点位置調整手段としてのアクチュエータ74に印加する電圧を設定した制御マップを格納する第2の記憶領域103bや他の記憶領域を備えている。なお、図9に示す制御マップは、上記電圧値比(V1/V2)が“5”のとき5Vに設定されている。そして、電圧値比(V1/V2)が“5”より小さい場合にはアクチュエータ74に印加する電圧は低く、また、電圧値比(V1/V2)が“5”より大きい場合にはアクチュエータ74に印加する電圧は高くなるように設定されている。従って、図9に示す制御マップに従ってアクチュエータ74に印加する電圧を制御することにより、高さ位置検出手段8の第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)との比(V1/V2)が“5”になるように制御されることになる。この結果、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)は、一定の値に制御される。
【0040】
図示の実施形態におけるレーザー加工装置は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
図10にはレーザー加工される被加工物として光デバイスウエーハ20の斜視図が示されている。図10に示すは、サファイヤウエーハからなっており、その表面20aに格子状に配列された複数のストリート201によって複数の領域が区画され、この区画された領域に発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイス202が形成されている。
【0041】
上述した光デバイスウエーハ20のストリート201に沿ってレーザー加工溝を形成するには、光デバイスウエーハ20を図11に示すように環状のフレームFに装着されたダイシングテープTに貼着する。このとき、光デバイスウエーハ20は、表面20aを上にして裏面側をダイシングテープTに貼着する。
【0042】
上述したレーザー加工装置を用い、上記光デバイスウエーハ20の分割予定ライン201に沿ってレーザー光線を照射し、光デバイスウエーハ20にストリート201に沿ってレーザー加工溝を形成するレーザー加工の実施形態について説明する。
即ち、先ず上述した図1に示すレーザー加工装置のチャックテーブル36上に光デバイスウエーハ20の表面20aを上にして載置し、該チャックテーブル36上に光デバイスウエーハ20を吸引保持する。光デバイスウエーハ20を吸引保持したチャックテーブル36は、加工送り手段37によって撮像手段9の直下に位置付けられる。
【0043】
チャックテーブル36が撮像手段9の直下に位置付けられると、撮像手段9および制御手段10によって光デバイスウエーハ20のレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント作業を実行する。即ち、撮像手段9および制御手段10は、光デバイスウエーハ20の所定方向に形成されているストリート201と、レーザー光線照射手段52の集光器7との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、アライメントを遂行する。また、光デバイスウエーハ20に形成されている所定方向と直交する方向に形成されているストリート201に対しても、同様にアライメントが遂行される。
【0044】
上述したようにアライメントが実施されたならば、チャックテーブル36を移動して図12の(a)に示すように所定のストリート201の一端(12の(a)において左端)を集光器7の直下に位置付ける。そして、加工用パルスレーザー光線の光軸を変更する光軸変更手段としてのスキャニングミラー60を図2において1点鎖線で示す位置に位置付け、加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振された加工用パルスレーザー光線LB1が1点鎖線で示すように集光点P1に集光されるようにセットし、上記第2の集光点位置調整手段としてのアクチュエータ74に所定の電圧(例えば5V)の電圧を印加するとともに、上記第1の集光点位置調整手段53を作動して集光器7のウインドウレンズ73から光デバイスウエーハ20までの距離を30mmにする。
【0045】
次に、高さ位置検出手段8を作動してチャックテーブル36に保持された光デバイスウエーハ20の上面に検査用レーザー光線LB2bを照射するとともに、チャックテーブル36を12の(a)において矢印X1で示す方向に移動し、上述したように光デバイスウエーハ20の高さ位置を検出する。そして、制御手段10は高さ位置検出手段8の第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)との比(V1/V2)を演算し、この電圧値の比(V1/V2)に基いて図9に示す制御マップから上記第2の集光点位置調整手段としてのアクチュエータ74に印加する電圧を求め、12の(b)に示すように光デバイスウエーハ20の左端が加工用パルスレーザー光線LB1が照射される位置に達したら、求めた電圧をアクチュエータ74に印加する。このようにアクチュエータ74に電圧を印加するタイミングは、光デバイスウエーハ20の左端に検査用レーザー光線LB2bが照射されてから光デバイスウエーハ20の左端が加工用パルスレーザー光線LB1が照射される位置に達するまで遅延手段によって遅延される。この遅延時間はチャックテーブル36の移動速度に対応して予め設定されている。例えば、上記集光点Pと集光点P1との間隔が2mmで加工速度が100mm/秒のときは2/100秒(0.02秒)遅延させる。このようにして制御手段10は、アクチュエータ74に電圧を印加するとともに、加工用パルスレーザー光線発振手段6を作動する。以後、制御手段10は、高さ位置検出手段8の第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)との比(V1/V2)が“5”になるようにアクチュエータ74に印加する電圧を制御する。この結果、12の(c)に示すように集光器7が光デバイスウエーハ20の凹凸に対応して上下し、集光器7の対物レンズ72およびウインドウレンズ73から光デバイスウエーハ20上面までの距離(H)は所定の値に制御される。従って、光デバイスウエーハ20には、12の(c)に示すように上面から均一な深さのレーザー加工溝210が形成される。
【0046】
なお、上記レーザー加工における加工条件は、例えば次のように設定されている。
レーザー :YVO4 パルスレーザー
波長 :355nm
繰り返し周波数 :100kHz
平均出力 :5W
集光スポット径 :φ10μm
加工送り速度 :100mm/秒
【0047】
上述したように光デバイスウエーハ20に形成された所定のストリート201に沿って上記レーザー加工を実行したならば、第1の割り出し送り手段38を作動してチャックテーブル36を光デバイスウエーハ20に形成されたストリート201の間隔分だけ図13に示す状態から紙面に垂直や方向(図1において矢印Yで示す割り出し送り方向)に移動する。そして、図13の(a)に示すようにストリート201の他端(13の(a)において右端)を集光器7の直下に位置付ける。そして、加工用パルスレーザー光線の光軸を変更する光軸変更手段としてのスキャニングミラー60を図2において2点鎖線で示す位置に位置付け、加工用パルスレーザー光線発振手段6から発振された加工用パルスレーザー光線LB1が2点鎖線で示すように集光点P2に集光されるようにセットするとともに、上記第2の集光点位置調整手段としてのアクチュエータ74に所定の電圧(例えば5V)の電圧を印加する。次に、高さ位置検出手段8を作動してチャックテーブル36に保持された光デバイスウエーハ20の上面に検査用レーザー光線LB2bを照射するとともに、チャックテーブル36を13の(a)において矢印X2で示す方向に移動し、上述したように光デバイスウエーハ20の高さ位置を検出する。そして、制御手段10は高さ位置検出手段8の第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)との比(V1/V2)を演算し、この電圧値の比(V1/V2)に基いて図9に示す制御マップから上記第2の集光点位置調整手段としてのアクチュエータ74に印加する電圧を求め、13の(b)に示すように光デバイスウエーハ20の右端が加工用パルスレーザー光線LB1が照射される位置に達したら、求めた電圧を遅延手段を介してアクチュエータ74に印加する。このようにして制御手段10は、アクチュエータ74に電圧を印加するとともに、加工用パルスレーザー光線発振手段6を作動する。以後、制御手段10は、高さ位置検出手段8の第1の受光素子853から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子854から出力される電圧値(V2)との比(V1/V2)が“5”になるようにアクチュエータ74に印加する電圧を制御する。
【0048】
以上のようにして、光デバイスウエーハ20の所定方向に延在する全てのストリート201に沿って上記レーザー加工を実行したならば、チャックテーブル36を90度回動せしめて、上記所定方向に対して直角に延びる各ストリート201に沿って上記レーザー加工を実行する。このようにして、光デバイスウエーハ20に形成された全てのストリート201に沿って上記加工工程を実行したならば、光デバイスウエーハ20を保持しているチャックテーブル36は、最初に光デバイスウエーハ20を吸引保持した位置に戻され、ここで光デバイスウエーハ20の吸引保持を解除する。そして、光デバイスウエーハ20は、図示しない搬送手段によって分割工程に搬送される。
【0049】
次に、高さ位置検出手段8の他の実施形態について、図14を参照して説明する。なお、図14に示す高さ位置検出手段8は、反射光分析手段85以外は上記図2に示す高さ位置検出手段8と実質的に同一であるため、同一部材には同一符号を付してその説明は省略する。
図14に示す高さ位置検出手段8を構成する反射光分析手段85は、ピンホールマスク84のピンホール841を通過したスポット形状が環状の反射光をライン状のスポット形状に変換する円錐ミラー857と、該円錐ミラー857によってライン状のスポット形状に変換された反射光の位置を検出する位置検出器858とからなっている。位置検出器858は、位置敏感型検出器(PSD)やCCDラインセンサー等を用いることができ、その検出信号を上記図8に示す制御手段10に送る。
【0050】
図15に示す高さ位置検出手段8は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
上記図2に示す高さ位置検出手段8と同様に、被加工物Wの上面で反射した環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cと被加工物Wの下面で反射した環状スポット形状S4の第2の反射光は、上記図5に示すようにピンホールマスク84に達する。そして、上述したように被加工物Wの下面で反射した環状スポット形状S4の第2の反射光LB2dはピンホールマスク84によって遮断され、被加工物Wの上面で反射した環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cだけがピンホールマスク84のピンホール841を通過することになる。
【0051】
上記のようにピンホールマスク84のピンホール841を通過した被加工物Wの上面で反射した環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cは、反射光分析手段85を構成する円錐ミラー857によりライン状のスポット形状に変換されて位置検出器858に向けて反射せしめられる。ここで、ピンホールマスク84のピンホール841を通過して円錐ミラー85に入光する環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cが、円錐ミラー857によって反射されるライン状のスポットの位置について、図15を参照して説明する。
【0052】
ピンホールマスク84のピンホール841を通過する環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cにおいては、上記図6に示すように径が小さい環状スポット形状S3aは円錐ミラー85の先端部(図15において左端部)で反射し、ライン状のスポットとなって位置検出器858に照射される。一方、径が大きい環状スポット形状S3bは円錐ミラー857の後端部(図15において右端部)で反射し、ライン状のスポットとなって位置検出器858に照射される。このように、円錐ミラー857によって反射される環状スポット形状S3の第1の反射光LB2cは、環状スポットの径の大きさによって位置検出器858に照射される位置が異なる。なお、第1の反射光LB2cの環状スポットの径の大きさは、上記検査用レーザー光線LB2bが照射される被加工物Wの上面高さ位置によって変化する。
【0053】
例えば、上記図6の(a)に示すように被加工物Wの高さ位置が高く(被加工物Wの厚みが厚く)上記集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)が小さい場合には、検査用レーザー光線LB2bは被加工物Wの上面に照射される環状のスポットS3aで反射する。この環状のスポットS3aは径が小さい。一方、上記図6の(b)に示すように被加工物Wの高さ位置が低く(被加工物Wの厚みが薄く)集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)大きい場合には、検査用レーザー光線LB2bは被加工物Wの上面に照射される環状のスポットS3bで反射する。この環状のスポットS3bは上記環状のスポットS3aより径が大きい。このように、被加工物Wの上面で反射された第1の反射光LB2cの環状のスポットは、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)が小さい程径が小さく、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)が大きい程径が大きくなる。従って、被加工物Wの上面で反射された第1の反射光LB2cを上記図15に示すようにピンホールマスク84のピンホール841を通過させた後、反射光分析手段85の円錐ミラー857でライン状のスポットに変換して位置検出器858に照射し、該位置検出器858に照射されたライン状のスポットの位置に基いて被加工物Wの上面高さ位置を求めることができる。
【0054】
ここで、上記位置検出器858に照射されたライン状のスポットの位置に対応して位置検出器86から出力される位置信号と、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)、即ち被加工物Wの高さ位置との関係について、図16に示す制御マップを参照して説明する。なお、図16において横軸は位置検出器86から出力される位置信号(G)で、縦軸は集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの所定の距離(基準値)に対する変位量を示している。図16に示す例においては、上述したように上記第2の集光点位置調整手段としてのアクチュエータ74に所定の電圧(例えば5V)の電圧を印加した状態において、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)が30.0mmの場合、上記位置検出器86から出力される位置信号(G)が“5”に設定されている。そして、チャックテーブルに保持された被加工物Wの高さ位置が低い(被加工物Wの厚みが薄い)場合には、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)が長くなるので、上記位置検出器86から出力される位置信号(G)が“5”より大きくなる。一方、チャックテーブルの保持された被加工物Wの高さ位置が高いい(被加工物Wの厚みが厚い)場合には、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H)が短くなるので、上記位置検出器86から出力される位置信号(G)が“5”より小さくなる。従って、上述したように位置検出器86から出力される位置信号(G)を図16に示す制御マップに照合することにより、集光器7のウインドウレンズ73から被加工物Wの上面までの距離(H) 、即ち上記基準値からの変位量を求めることができる。なお、図16に示す制御マップは、上記図8に示す制御手段10のランダムアクセスメモリ(RAM)103に格納される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に従って構成されたレーザー加工装置の斜視図。
【図2】図1に示すレーザー加工装置に装備されるレーザー光線照射手段およびチャックテーブルに保持された被加工物の高さ位置検出手段の構成を示すブロック図。
【図3】図2に示す高さ位置検出手段を構成する環状スポット形成手段によって円形スポット形状のレーザー光線を環状スポット形状に形成する状態を示す説明図。
【図4】図2に示すレーザー光線照射手段および高さ位置検出装置を構成する集光器による加工用のレーザー光線と検査用のレーザー光線の集光状態を示す説明図。
【図5】図2に示す高さ位置検出手段を構成する第1のビームスプリッターによって分光された反射光の一部がピンホールマスクによって遮断されるとともに他の一部が通過する状態を示す説明図。
【図6】図2に示す高さ位置検出装置によってチャックテーブルに保持された厚みが異なる被加工物にレーザー光線を照射する状態を示す説明図。
【図7】図2に示す高さ位置検出手段を構成する第1の受光素子から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子から出力される電圧値(V2)との比と、集光器から被加工物の上面までの所定距離を基準とした変異との関係を示す制御マップ。
【図8】図1に示すレーザー加工装置に装備される制御手段を示すブロック図。
【図9】図2に示す高さ位置検出手段を構成する第1の受光素子から出力される電圧値(V1)と第2の受光素子から出力される電圧値(V2)との比と、集光器を構成するアクチュエータに印加する電圧との関係を示す制御マップ。
【図10】被加工物としての光デバイスウエーハの斜視図。
【図11】図10に示す光デバイスウエーハを環状のフレームに装着されたダイシングテープの表面に貼着した状態を示す斜視図。
【図12】図1に示すレーザー加工装置によって図10に示す光デバイスウエーハのストリートに沿ってレーザー加工を実施している状態を示す説明図。
【図13】図1に示すレーザー加工装置によって図10に示す光デバイスウエーハのストリートに沿ってレーザー加工を実施している状態を示す説明図。
【図14】図1に示すレーザー加工装置に装備されるレーザー光線照射手段およびチャックテーブルに保持された被加工物の高さ位置検出手段の他の実施形態を示す構成を示すブロック図。
【図15】図14に示す高さ位置検出装置を構成する円錐ミラーによって反射されるライン状のスポットの位置が環状スポットの径の大きさによって変化する状態を示す説明図。
【図16】図14に示す高さ位置検出装置の位置検出器から出力される位置信号(G)と、集光器から被加工物の上面までの所定距離を基準とした変異との関係を示す制御マップ。
【符号の説明】
【0056】
1:レーザー加工装置
2:静止基台
3:チャックテーブル機構
36:チャックテーブル
37:加工送り手段
374:X軸方向位置検出手段
38:第1の割り出し送り手段
384:Y軸方向位置検出手段
4:レーザー光線照射ユニット支持機構
42:可動支持基台
43:第2の割り出し送り手段
5:レーザー光線照射ユニット
6:加工用パルスレーザー光線発振手段
7:集光器
71:方向変換ミラー
72:対物レンズ
73:ウインドウレンズ
74:アクチュエータ
8:高さ位置検出装置
80:検査用レーザー光線発振手段
81:ダイクロックミラー
82:環状スポット形成手段
83:第1のビームスプリッター
830:バンドパスフィルター
84:ピンホールマスク
85:反射光分析手段
851:第2のビームスプリッター
852:集光レンズ
853:第1の受光素子
854:第2の受光素子
855:受光領域規制手段
857:円錐ミラー
858:位置検出器
9:撮像手段
10:制御手段
20:光デバイスウエーハ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の被加工物を保持する被加工物保持面を備えたチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物の上面側から加工用レーザー光線を照射する加工用レーザー光線照射手段と、該チャックテーブルと該加工用レーザー光線照射手段とを加工送り方向に相対的に移動せしめる加工送り手段とを具備し、該レーザー光線照射手段が加工用レーザー光線を発振する加工用レーザー光線発振手段と該加工用レーザー光線発振手段によって発振された加工用レーザー光線を集光する集光器とを具備しているレーザー加工装置において、
該集光器によって集光される加工用レーザー光線の集光点位置を変位せしめる集光点位置調整手段と、該チャックテーブルに保持された被加工物の上面高さ位置を検出するための高さ位置検出手段と、該高さ位置検出手段からの検出信号に基いて該集光点位置調整手段を制御する制御手段と、を具備し、
該高さ位置検出装置は、該加工用レーザー光線の波長と異なる波長の検出用レーザー光線を発振する検出用レーザー光線発振手段と、該検出用レーザー光線発振手段によって発振された検出用レーザー光線のスポット形状を環状に形成する環状スポット形成手段と、該環状スポット形成手段によってスポット形状が環状に形成された検出用レーザー光線を該集光器に導く検出用レーザー光線照射経路と、該検出用レーザー光線照射経路を介して該集光器から該チャックテーブルに保持された被加工物に照射され反射した反射光を導く検出用レーザー光線反射経路と、該検出用レーザー光線反射経路に配設され被加工物の上面で反射した反射光は通過させるが被加工物の下面で反射した反射光は遮断するピンホールマスクと、該ピンホールマスクを通過した反射光を分析し分析結果を該制御手段に送る反射光分析手段とを具備ており、
該集光器は、該加工用レーザー光線および該検出用レーザー光線を集光する対物レンズと、該加工用レーザー光線は集光しないがスポット形状が環状の該検出用レーザー光線は集光するウインドウレンズを備えている、
ことを特徴とするレーザー加工装置。
【請求項2】
該加工用レーザー光線照射手段は、該集光器によって集光される該加工用パルスレーザー光線の光軸を加工送り方向に変更する光軸変更手段を具備している、請求項1記載のレーザー加工装置。
【請求項1】
板状の被加工物を保持する被加工物保持面を備えたチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物の上面側から加工用レーザー光線を照射する加工用レーザー光線照射手段と、該チャックテーブルと該加工用レーザー光線照射手段とを加工送り方向に相対的に移動せしめる加工送り手段とを具備し、該レーザー光線照射手段が加工用レーザー光線を発振する加工用レーザー光線発振手段と該加工用レーザー光線発振手段によって発振された加工用レーザー光線を集光する集光器とを具備しているレーザー加工装置において、
該集光器によって集光される加工用レーザー光線の集光点位置を変位せしめる集光点位置調整手段と、該チャックテーブルに保持された被加工物の上面高さ位置を検出するための高さ位置検出手段と、該高さ位置検出手段からの検出信号に基いて該集光点位置調整手段を制御する制御手段と、を具備し、
該高さ位置検出装置は、該加工用レーザー光線の波長と異なる波長の検出用レーザー光線を発振する検出用レーザー光線発振手段と、該検出用レーザー光線発振手段によって発振された検出用レーザー光線のスポット形状を環状に形成する環状スポット形成手段と、該環状スポット形成手段によってスポット形状が環状に形成された検出用レーザー光線を該集光器に導く検出用レーザー光線照射経路と、該検出用レーザー光線照射経路を介して該集光器から該チャックテーブルに保持された被加工物に照射され反射した反射光を導く検出用レーザー光線反射経路と、該検出用レーザー光線反射経路に配設され被加工物の上面で反射した反射光は通過させるが被加工物の下面で反射した反射光は遮断するピンホールマスクと、該ピンホールマスクを通過した反射光を分析し分析結果を該制御手段に送る反射光分析手段とを具備ており、
該集光器は、該加工用レーザー光線および該検出用レーザー光線を集光する対物レンズと、該加工用レーザー光線は集光しないがスポット形状が環状の該検出用レーザー光線は集光するウインドウレンズを備えている、
ことを特徴とするレーザー加工装置。
【請求項2】
該加工用レーザー光線照射手段は、該集光器によって集光される該加工用パルスレーザー光線の光軸を加工送り方向に変更する光軸変更手段を具備している、請求項1記載のレーザー加工装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−262219(P2009−262219A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−117558(P2008−117558)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】
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