説明

ワーク取付システムおよびワーク取付方法

【課題】汎用性が高くかつ小型化できるワーク取付システムを提供すること。
【解決手段】ワーク取付システム1は、ボディ2のインナパネル2Aにサンルーフ部材3を取り付ける。このワーク取付システム1は、サンルーフ部材3を把持して搬送する搬送ロボット4と、ボルトを締め付けるナットランナおよびCCDカメラを有する取付ロボット5と、搬送ロボット4および取付ロボット5を制御する制御装置6と、を備える。制御装置6は、搬送ロボット4を制御して、サンルーフ部材3を把持してボディ2のインナパネル2Aに搬送し、取付ロボット5を制御して、CCDカメラによりサンルーフ部材3のボルト穴およびインナパネル2Aを撮影して、これらボルト穴およびインナパネル2Aの位置を算出し、これら算出した位置に基づいて取付ロボット5の動作を補正して、ナットランナによりサンルーフ部材3の2箇所をインナパネル2Aに固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク取付システムおよびワーク取付方法に関する。詳しくは、自動車のボディにサンルーフを取り付けるワーク取付システムおよびワーク取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車のボディには、外光を採り入れるためのサンルーフが設けられる。このサンルーフは、サンルーフユニットをボディに取り付けることで、形成される。
すなわち、ボディの製造ラインには、サンルーフユニット取り付けロボットが配置されている(特許文献1参照)。このサンルーフユニット取り付けロボットは、ロボットアームと、このロボットアームの先端に設けられてサンルーフユニットを支持するハンドと、を備える。
【0003】
ハンドは、矩形枠状であり、2本の先細りテーパピンと、3台のシリンダユニットと、2本の位置決めピンと、8台のナットランナと、を備える。各ナットランナには、ボルトが挟持されている。このハンドでは、位置決めピンやナットランナの位置は、サンルーフユニットの形状に応じて、予め決定される。
【0004】
以上の取り付けロボットの動作は、以下のようになる。
まず、ハンドでサンルーフユニットを支持する。具体的には、サンルーフユニットに位置決めピンを挿通することで、サンルーフユニットをハンドに対して位置決めして、ハンドのナットランナに挟持されたボルトをサンルーフユニットのボルト穴に挿通する。
その後、ロボットアームを制御して、サンルーフユニットをボディのフロントウインド用開口からボディ内部に投入する。
【0005】
次に、ハンドの先細りテーパピンを、ボディの取り付け位置に形成された位置決め穴に挿通して、ハンドをボディに対して位置決めする。
次に、シリンダユニットを駆動して、サンルーフユニットをボディの取り付け位置に接近させるとともに、ナットランナを駆動して、ボルトをボディのナットに螺合させる。
【0006】
このような取り付けロボットによれば、1つのハンドでサンルーフユニットを搬送して取り付けることができる。
【特許文献1】特許第2672825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年では、製造ラインを効率的に稼働させるため、1つの製造ラインで複数の車種が製造される場合が多い。この場合、車種によっては、サンルーフユニットの形状が大きく異なる場合がある。
【0008】
しかしながら、以上のハンドの構造では、位置決めピンやナットランナの位置は、サンルーフユニットの形状に応じて予め決定されるため、汎用性が低く、車種毎にハンドを交換する必要があった。
また、1つのハンドでサンルーフユニットを搬送して取り付けるため、設備が大型化する、という問題があった。
【0009】
本発明は、汎用性が高くかつ小型化できるワーク取付システムおよびワーク取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のワーク取付システム(例えば、後述のワーク取付システム1)は、締結部材(例えば、後述のボルト51)を用いて、第2ワーク(例えば、後述のボディ2)の取り付け部位(例えば、後述のナット44)に第1ワーク(例えば、後述のサンルーフ部材3)を取り付けるワーク取付システムであって、前記第1ワークを把持して搬送する搬送ロボット(例えば、後述の搬送ロボット4)と、締結部材(例えば、後述のボルト51A)を締め付ける締め付け装置(例えば、後述のナットランナ23)およびカメラ(例えば、後述のCCDカメラ241)を有する取付ロボット(例えば、後述の取付ロボット5)と、前記搬送ロボットおよび取付ロボットを制御する制御手段(例えば、後述の制御装置6)と、を備え、前記制御手段は、前記搬送ロボットを制御して、前記第1ワークを把持して前記第2ワークの取り付け部位に搬送し、前記取付ロボットを制御して、前記カメラにより前記第1ワークの基準部位(例えば、後述のボルト穴33)および前記第2ワークの取り付け部位を撮影して、当該第1ワークの基準部位および前記第2ワークの取り付け部位の位置を算出し、当該算出した位置に基づいて前記搬送ロボットおよび取付ロボットのうち少なくとも一方の動作を補正して、前記締め付け装置により前記第1ワークの少なくとも2箇所を前記第2ワークの取り付け部位に固定することを特徴とする。
【0011】
本発明のワーク取付方法は、締結部材を用いて、第2ワークの取り付け部位に第1ワークを取り付けるワーク取付方法であって、前記第1ワークを把持して搬送する搬送ロボットと、締結部材を締め付ける締め付け装置およびカメラを有する取付ロボットと、を用いて、前記取付ロボットを制御して、前記カメラにより前記第2ワークの取り付け部位を撮影して、当該第2ワークの取り付け部位の位置を算出し、前記搬送ロボットを制御して、前記第1ワークを把持して前記第2ワークの取り付け部位の近傍に搬送し、前記取付ロボットを制御して、前記カメラにより前記第1ワークの基準部位を撮影して、当該第1ワークの基準部位の位置を算出し、当該算出した位置に基づいて前記取付ロボットの動作を補正して、前記締め付け装置により前記第1ワークの少なくとも2箇所を前記第2ワークの取り付け部位に固定することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、以下の手順で、第2ワークの取り付け部位に第1ワークを取り付ける。
まず、取付ロボットのカメラにより、第2ワークの取り付け部位を撮影し、この撮影画像に基づいて、この第2ワークの取り付け部位の位置を算出する。
次に、ワーク供給場所にて、搬送ロボットで第1ワークを把持し、この第1ワークを搬送して、第2ワークの取り付け部位の近傍で停止させる。
【0013】
次に、取付ロボットのカメラにより、第1ワークの基準部位を撮影し、この撮影画像に基づいて、この第1ワークの基準部位の位置を算出する。
次に、取付ロボットの締め付け装置により、第1ワークの少なくとも2箇所を締結部材で第2ワークの取り付け部位に固定する。ここで、第2ワークの取り付け部位および第1ワークの基準部位の位置を取付ロボットの動作に反映させて、取付ロボットの動作を補正する。
【0014】
このように、搬送ロボットにより、第1ワークの搬送のみを行い、取付ロボットにより、第1ワークの位置決めと取り付けのみを行って、搬送ロボットと取付ロボットとで役割を分担した。よって、搬送ロボットおよび取付ロボットのそれぞれを役割に応じて最適な構造とすることで、第1ワークの形状が機種毎に大きく異なる場合でも対応できるから、汎用性が高くなる。
また、搬送ロボットおよび取付ロボットを簡素な構成とすることができるので、システムを小型化できる。
【0015】
また、取付ロボットにカメラおよび締め付け装置を搭載したので、カメラで第1ワークや第2ワークをセンシングした後に、引き続き、締め付け装置で第1ワークを第2ワークに固定する作業を行うことができ、作業工数を短縮できる。
【0016】
本発明のワーク取付方法は、 締結部材を用いて、第2ワークの取り付け部位に第1ワークを取り付けるワーク取付方法であって、前記第1ワークを把持して搬送する搬送ロボットと、締結部材を締め付ける締め付け装置およびカメラを有する取付ロボットと、を用いて、前記取付ロボットを制御して、前記カメラにより前記第2ワークの取り付け部位を撮影して、当該第2ワークの取り付け部位の位置を算出し、前記搬送ロボットを制御して、前記第1ワークを把持して前記第2ワークの取り付け部位に向かって搬送を開始するとともに、前記取付ロボットを制御して、前記カメラにより前記第1ワークの基準部位を撮影して、当該第1ワークの基準部位の位置を算出し、前記第1ワークの基準部位および第2ワークの取り付け部位の位置に基づいて前記搬送ロボットの動作を補正して、前記第1ワークを前記第2ワークの取り付け部位の近傍に搬送し、前記第2ワークの取り付け部位の位置に基づいて前記取付ロボットの動作を補正して、前記締め付け装置により前記第1ワークの少なくとも2箇所を前記第2ワークの取り付け部位に固定することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、以下の手順で、第2ワークの取り付け部位に第1ワークを取り付ける。
まず、取付ロボットのカメラにより、第2ワークの取り付け部位を撮影し、この撮影画像に基づいて、この第2ワークの取り付け部位の位置を算出する。
【0018】
次に、ワーク供給場所にて、搬送ロボットで第1ワークを把持し、第2ワークの取り付け部位に向かって搬送を開始する。同時に、取付ロボットを制御して、カメラにより第1ワークの基準部位を撮影して、第1ワークの基準部位の位置を算出する。
【0019】
次に、前記第1ワークを前記第2ワークの取り付け部位の近傍に搬送して停止する。ここで、第1ワークの基準部位および第2ワークの取り付け部位の位置を搬送ロボットの動作に反映させて、搬送ロボットの動作を補正する。
【0020】
次に、取付ロボットの締め付け装置により、第1ワークの少なくとも2箇所を締結部材で第2ワークの取り付け部位に固定する。ここで、第2ワークの取り付け部位の位置を取付ロボットの動作に反映させて、取付ロボットの動作を補正する。
【0021】
したがって、第1ワークの搬送中に、第1ワーク基準部位の位置を算出したので、第1ワークを第2ワークの取り付け部位の近傍に正確に搬送できる。
また、第1ワークの搬送が完了した後、取付ロボットで第1ワークの基準部位を撮影することなく、直ちに、取付ロボットにより第1ワークを第2ワークの取り付け部位に固定できる。よって、サイクルタイムをさらに短縮できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、搬送ロボットにより、第1ワークの搬送のみを行い、取付ロボットにより、第1ワークの位置決めと取り付けのみを行って、搬送ロボットと取付ロボットとで役割を分担した。よって、搬送ロボットおよび取付ロボットのそれぞれを役割に応じて最適な構造とすることで、第1ワークの形状が機種毎に大きく異なる場合でも対応できるから、汎用性が高くなる。また、搬送ロボットおよび取付ロボットを簡素な構成とすることができるので、システムを小型化できる。また、取付ロボットにカメラおよび締め付け装置を搭載したので、カメラで第1ワークや第2ワークをセンシングした後に、引き続き、締め付け装置で第1ワークを第2ワークに固定する作業を行うことができ、作業工数を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るワーク取付システム1の全体斜視図である。
ワーク取付システム1は、図示しない搬送コンベアにより搬送される第2ワークとしてのボディ2に第1ワークとしてのサンルーフ部材3を取り付けるものである。
【0024】
ボディ2の正面には、フロントウインドが取り付けられるフロントウインド用開口41が形成され、ボディ2の両側面には、フロントドアが取り付けられるフロントドア用開口42が形成されている。
サンルーフ部材3は、ボディ2の内部側からボディ2の屋根43に取り付けられる。
【0025】
ワーク取付システム1は、サンルーフ部材3をボディ2の取り付け位置の近傍まで搬送する搬送ロボット4と、この搬送ロボット4により搬送されたサンルーフ部材3をボディ2に位置決めする一対の取付ロボット5と、これら搬送ロボット4および取付ロボット5を制御する制御手段としての制御装置6と、を備える。
【0026】
図2は、サンルーフ部材3およびこのサンルーフ部材3が取り付けられる取り付け部位としてのインナパネル2Aの斜視図である。
サンルーフ部材3は、矩形枠状のフレーム31と、このフレーム31の両側のフレームを跨いで設けられた補強フレーム32と、を備える。
このサンルーフ部材3の周縁部分には、基準部位としての8個のボルト穴33が形成されている。これらボルト穴33のうちサンルーフ部材3の前方両側に位置するものをボルト穴33Aとし、このボルト穴33Aの近傍には、位置決め穴34が形成されている。また、ボルト穴33のうちボルト穴33Aの後方側に隣接するものをボルト穴33Bとする。
【0027】
インナパネル2Aは、ボディ2の屋根43の内側を構成するパネルである。インナパネル2Aには、サンルーフ部材3のボルト穴33に対応して、ナット44が形成されている。これらナット44のうちサンルーフ部材3のボルト穴33Aに対応するものをナット44Aとすると、このナット44Aの近傍には、サンルーフ部材3の位置決め穴34に対応して、位置決め穴45が形成されている。また、ナット44のうちサンルーフ部材3のボルト穴33Bに対応するものをナット44Bとする。

【0028】
サンルーフ部材3は、ボルト51をボディ2の内部側からサンルーフ部材3のボルト穴33に挿通し、インナパネル2Aのナット44に螺合することで、インナパネル2Aに取り付けられる。ここで、ボルト51のうちナット44Aに螺合されるものを、ボルト51Aとする。
【0029】
図1に戻って、搬送ロボット4は、ボディ2の正面側に配置され、サンルーフ部材3を把持して、ボディ2に向かって移動することにより、この把持したサンルーフ部材3をボディ2の内部まで搬送する。
この搬送ロボット4は、搬送ハンド10と、床面上にボディ2の長さ方向に沿って移動可能に設けられて搬送ハンド10の姿勢や3次元空間における位置を変化させるロボットアーム11と、を備える。
【0030】
図3は、搬送ロボット4の搬送ハンド10の平面図である。図4は、搬送ハンド10の側面図である。図5は、搬送ハンド10の斜視図である。
搬送ハンド10は、平面視で略十字形状であり、ロボットアーム11のフランジ面11Aに対して略垂直に延びる基部12と、この基部12に設けられた把持機構13と、基部12の先端からこの基部12に直交して両側に延びる第1支持フレーム14と、基部12の先端から基部12と同じ方向に延びる第2支持フレーム15と、を備える。
【0031】
第1支持フレーム14の両端には、それぞれ、受け具141が固定されている。受け具141の上面先端側には、それぞれ、突出部142が設けられている。
なお、本実施形態では、受け具141を第1支持フレーム14の両端に固定したが、これに限らず、受け具を第1支持フレームに沿ってスライド自在な構造としてもよい。
【0032】
第2支持フレーム15の先端には、この第2支持フレーム15の両側に延びる固定把持部151が固定されている。なお、本実施形態では、固定把持部151を第2支持フレーム15の先端に固定したが、これに限らず、固定把持部を第2支持フレームに沿ってスライド自在な構造としてもよい。
また、第2支持フレーム15の先端側の上面には、サンルーフ部材3を支持する支持部152が設けられている。
【0033】
基部12は、平面視で略コの字形状であり、ロボットアーム11のフランジ面11Aに沿って延びる第1フレーム121と、この第1フレーム121の両端からロボットアーム11のフランジ面11Aに対して略垂直に延びる2本の第2フレーム122と、を備える。
各第2フレーム122の上面には、サンルーフ部材3を支持する支持部123が設けられている。
【0034】
把持機構13は、基部12の2本の第2フレーム122に跨って設けられたスライドガイド131と、このスライドガイド131に摺動可能に保持された一対のシリンダ132と、このシリンダ132の基端側に設けられた可動把持部133と、を備える。
【0035】
シリンダ132は、シリンダ本体134と、このシリンダ本体134に摺動可能に収容されたピストンロッド135と、を備える。
ピストンロッド135の先端は、上述の第1支持フレーム14に固定されている。
【0036】
この把持機構13によれば、ピストンロッド135を前進させることにより、シリンダ本体134がスライドガイド131に沿ってロボットアーム11側に移動し、可動把持部133が第2支持フレーム15の固定把持部151から離隔する。一方、ピストンロッド135を後退させることにより、シリンダ本体134がスライドガイド131に沿って第2支持フレーム15側に移動し、可動把持部133が第2支持フレーム15の固定把持部151に接近する。
【0037】
したがって、搬送ロボット4の搬送ハンド10によれば、搬送ハンド10上にサンルーフ部材3が載置されると、このサンルーフ部材3は、第1支持フレーム14の受け具141、基部12の支持部123、および第2支持フレーム15の支持部152に支持される。同時に、このサンルーフ部材3は、幅方向両端側から2つの突出部142の間に嵌合する。
その後、把持機構13を駆動することにより、可動把持部133を固定把持部151に接近させて、サンルーフ部材3の補強フレーム32に固定把持部151を当接させ、サンルーフ部材3のフレーム31の基端側に可動把持部133を当接させて、このサンルーフ部材3のフレームを長さ方向両端側から把持する。
【0038】
図1に戻って、一対の取付ロボット5は、ボディ2の両側に配置され、搬送ロボット4が搬送したサンルーフ部材3をボディ2のインナパネル2Aに固定する。
この取付ロボット5は、それぞれ、ハンド20と、床面上に設けられてハンド20の姿勢や3次元空間における位置を変化させるロボットアーム21と、を備える。
以下、ボディ2の左側に位置する取付ロボット5について説明するが、ボディ2の右側に位置する取付ロボット5についても、同様の構成であり、これら左右の取付ロボット5の外観は、ボディ2を挟んで対称となっている。
【0039】
図6は、取付ロボット5のハンド20の平面図である。図7は、ハンド20の側面図である。図8は、ハンド20の斜視図である。
ハンド20は、略L字形状の支持フレーム22と、この支持フレーム22に設けられた締め付け装置としてのナットランナ23と、支持フレーム22に設けられた撮影装置24と、を備える。
【0040】
支持フレーム22は、ロボットアーム11のフランジ面から面内方向に延びる第1フレーム221と、この第1フレーム221の先端からこの第1フレーム221に直交して延びる第2フレーム222と、を備える。
第1フレーム221と第2フレーム222との交差部分には、上方に向かって突出する位置決めピン223が設けられる。また、第2フレーム222の先端側の上面には、ワーク支持パッド224が設けられる。
【0041】
ナットランナ23は、支持フレーム22の第1フレーム221の途中に設けられ、締結部材としてのボルト51Aが嵌合するソケット231と、このソケット231を回転駆動する駆動装置232と、を備える。
このナットランナ23によれば、駆動装置232を駆動することにより、ソケット231に嵌合したボルト51Aを所定のトルクで回転させる。
【0042】
撮影装置24は、支持フレーム22の第2フレーム222の途中に設けられ、上方に向かって配置されたCCDカメラ241と、このCCDカメラ241の撮影対象を照明する環状の照明装置242と、を備える。
【0043】
取付ロボット5のハンド20によれば、図9に示すように、ハンド20上にサンルーフ部材3が載置されると、支持フレーム22の位置決めピン223は、サンルーフ部材3の位置決め穴34に挿入される。そして、このサンルーフ部材3は、この位置決めピン223および支持フレーム22のワーク支持パッド224により支持される。また、ナットランナ23のソケット231にチャックされたボルト51Aは、サンルーフ部材3のボルト穴33Aに挿通される。
【0044】
ワーク取付システム1の動作について、図10のフローチャートを参照しながら説明する。
ST1では、ボディ2の搬送を停止する。
ST2では、ボディ2の両側のフロントドア用開口42を通して、取付ロボット5をボディ2の内部に投入し、取付ロボット5のCCDカメラ241を、屋根43のインナパネル2Aに接近させる。次に、このCCDカメラ241でインナパネル2Aのナット44Bを撮影し、その後、この取付ロボット5を退避させる。
【0045】
ST3では、制御装置6により、インナパネル2Aの撮影画像に基づいて、ナット44Bの予めティーチングされた位置からのずれ量をワーク取り付け位置ずれ量として算出する。
【0046】
ST4では、図示しないワーク供給場所にて、搬送ロボット4によりサンルーフ部材3を把持させる。そして、搬送ロボット4を移動することによりサンルーフ部材3を搬送して、ボディ2のフロントウインド用開口41を通して、サンルーフ部材3をボディ2の内部に投入し、サンルーフ部材3をインナパネル2Aの下方で停止させる。
【0047】
ST5では、ボディ2のフロントドア用開口42を通して、再び、取付ロボット5をボディ2の内部に投入し、CCDカメラ241でサンルーフ部材3のボルト穴33Bを基準位置として撮影する。
【0048】
ST6では、制御装置6により、サンルーフ部材3の撮影画像に基づいて、ボルト穴33Bの予めティーチングした位置からのずれ量をワーク位置ずれ量として算出する。
【0049】
ST7では、取付ロボット5を制御してサンルーフ部材3に下方から接近させ、サンルーフ部材3の位置決め穴34に位置決めピン223を挿入するとともに、この取付ロボット5でサンルーフ部材3の両端側を支持する。ここで、取付ロボット5の動作に上述のワーク位置ずれ量を反映させて、取付ロボット5の動作を補正する。その後、搬送ロボット4をボディ2の内部から退避させる。
【0050】
ST8では、取付ロボット5を上昇させて、位置決めピン223をボディ2の位置決め穴45に挿入することで、サンルーフ部材3をボディ2のインナパネル2Aに位置決めする。ここで、取付ロボット5の動作に上述のワーク取り付け位置ずれ量およびワークずれ量を反映させて、取付ロボット5の動作を補正する。
すると、サンルーフ部材3のボルト穴33Aは、ボディ2のナット44Aに重なった状態となるので、ナットランナ23を駆動して、サンルーフ部材3のボルト穴33Aを通して、2本のボルト51Aをボディ2のナット44Aに締め付ける。
【0051】
ST9では、図示しないボルト締め付けロボットにより、ボルト51Aを除く残りのボルト51を用意し、これら残りのボルト51をサンルーフ部材3のボルト穴33に通して、ナット44に締め付ける。
【0052】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)まず、取付ロボット5のCCDカメラ241により、ボディ2のインナパネル2Aを撮影し、この撮影画像に基づいて、このインナパネル2Aのナット44の予めティーチングした位置からのずれ量を算出する。次に、ワーク供給場所にて、搬送ロボット4でサンルーフ部材3を把持し、このサンルーフ部材3を搬送して、インナパネル2Aの近傍に位置させる。次に、取付ロボット5のCCDカメラ241により、サンルーフ部材3のボルト穴33を撮影し、この撮影画像に基づいて、ボルト穴33の予めティーチングした位置からのずれ量を算出する。次に、取付ロボット5のナットランナ23により、サンルーフ部材3の2箇所をボルト51Aでインナパネル2Aに固定する。ここで、算出したインナパネル2Aのナット44のずれ量およびサンルーフ部材3のボルト穴33のずれ量を取付ロボット5の動作に反映させて、取付ロボット5の動作を補正する。
【0053】
このように、搬送ロボット4により、サンルーフ部材3の搬送のみを行い、取付ロボット5により、サンルーフ部材3の位置決めと取り付けのみを行って、搬送ロボット4と取付ロボット5とで役割を分担した。よって、搬送ロボット4および取付ロボット5のそれぞれを役割に応じて最適な構造とすることで、サンルーフ部材3の形状が機種毎に大きく異なる場合でも対応できるから、汎用性が高くなる。
また、搬送ロボット4および取付ロボット5を簡素な構成とすることができるので、ワーク取付システム1を小型化できる。
【0054】
また、取付ロボット5にCCDカメラ241およびナットランナ23を搭載したので、CCDカメラ241でサンルーフ部材3のボルト穴33やインナパネル2Aのナット44をセンシングした後に、引き続き、ナットランナ23でサンルーフ部材3をインナパネル2Aに固定する作業を行うことができ、作業工数を短縮できる。
【0055】
〔第2実施形態〕
本実施形態では、ワーク取付システム1の動作が、第1実施形態と異なる。すなわち、第1実施形態では、搬送ロボット4によるサンルーフ部材3の搬送が完了した後に、取付ロボット5でサンルーフ部材3を撮影したが、本実施形態では、搬送ロボット4によりサンルーフ部材3を搬送すると同時に、取付ロボット5でサンルーフ部材3を撮影する。
【0056】
本実施形態のワーク取付システム1の動作について、図11のフローチャートを参照しながら説明する。
本実施形態のST11〜ST13、ST17〜ST19は、第1実施形態のST1〜ST3、ST7〜ST9と同様である。
【0057】
ST14Aでは、図示しないワーク供給場所にて、搬送ロボット4によりサンルーフ部材3を把持させる。そして、搬送ロボット4を移動することにより、ボディ2のフロントウインド用開口41に向かってサンルーフ部材3の搬送を開始する。
【0058】
ST15では、搬送されるサンルーフ部材3の下方に取付ロボット5を位置させて、この状態で、サンルーフ部材3がボディ2のフロントウインド用開口41に到達するまで、この取付ロボット5を搬送ロボット4の動作に同期して移動させて、取付ロボット5のCCDカメラ241でサンルーフ部材3のボルト穴33Bを基準位置として撮影する。
【0059】
ST16では、制御装置6により、サンルーフ部材3の撮影画像に基づいて、ボルト穴33Bの予めティーチングした位置からのずれ量をワーク位置ずれ量として算出する。
【0060】
ST14Bでは、搬送ロボット4により、ボディ2のフロントウインド用開口41を通して、サンルーフ部材3をボディ2の内部に投入し、サンルーフ部材3をインナパネル2Aの下方で停止させる。
このとき、ワーク位置ずれ量およびST3で算出したワーク取り付け位置ずれ量に基づいて、サンルーフ部材3の位置決め穴34がボディ2の位置決め穴45の直下に位置するように、サンルーフ部材3を停止させる。
【0061】
本実施形態によれば、上述の(1)の効果に加えて、以下のような効果がある。
(2)サンルーフ部材3がボディ2の内部に投入された時点で、ワーク位置ずれ量およびワーク取り付け位置ずれ量を既に算出しているので、サンルーフ部材3の位置決め穴34がボディ2の位置決め穴45の直下に位置するように、サンルーフ部材3を停止させることができる。
【0062】
また、サンルーフ部材3をインナパネル2Aの下方で停止させた後、第1実施形態のようなサンルーフ部材3を撮影する工程を省略して、直ちに、取付ロボット5をサンルーフ部材3の直下に位置させることができる。そして、この状態からハンド20を上昇させるだけで、サンルーフ部材3を支持して、サンルーフ部材3をボディ2のインナパネル2Aに位置決めできる。
以上より、サイクルタイムをさらに短縮できる。
【0063】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態に係るワーク取付システムの全体斜視図である。
【図2】前記実施形態に係るワーク取付システムの第1ワークおよび第2ワークの斜視図である。
【図3】前記実施形態に係る搬送ロボットのハンドの平面図である。
【図4】前記実施形態に係る搬送ロボットのハンドの側面図である。
【図5】前記実施形態に係る搬送ロボットのハンドの斜視図である。
【図6】前記実施形態に係る取付ロボットのハンドの平面図である。
【図7】前記実施形態に係る取付ロボットのハンドの側面図である。
【図8】前記実施形態に係る取付ロボットのハンドの斜視図である。
【図9】前記実施形態に係る取付ロボットで第1ワークを支持した状態を示す分解斜視図である。
【図10】前記実施形態に係るワーク取付システムの動作のフローチャートである。
【図11】本発明の第2記実施形態に係るワーク取付システムの動作のフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
1 ワーク取付システム
2 ボディ(第2ワーク)
2A インナパネル(取り付け部位)
3 サンルーフ部材(第1ワーク)
4 搬送ロボット
5 取付ロボット
6 制御装置(制御手段)
23 ナットランナ(締め付け装置)
33 ボルト穴(基準部位)
51A ボルト(締結部材)
241 CCDカメラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結部材を用いて、第2ワークの取り付け部位に第1ワークを取り付けるワーク取付システムであって、
前記第1ワークを把持して搬送する搬送ロボットと、
締結部材を締め付ける締め付け装置およびカメラを有する取付ロボットと、
前記搬送ロボットおよび取付ロボットを制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記搬送ロボットを制御して、前記第1ワークを把持して前記第2ワークの取り付け部位に搬送し、
前記取付ロボットを制御して、前記カメラにより前記第1ワークの基準部位および前記第2ワークの取り付け部位を撮影して、当該第1ワークの基準部位および前記第2ワークの取り付け部位の位置を算出し、当該算出した位置に基づいて前記搬送ロボットおよび取付ロボットのうち少なくとも一方の動作を補正して、前記締め付け装置により前記第1ワークの少なくとも2箇所を前記第2ワークの取り付け部位に固定することを特徴とするワーク取付システム。
【請求項2】
締結部材を用いて、第2ワークの取り付け部位に第1ワークを取り付けるワーク取付方法であって、
前記第1ワークを把持して搬送する搬送ロボットと、締結部材を締め付ける締め付け装置およびカメラを有する取付ロボットと、を用いて、
前記取付ロボットを制御して、前記カメラにより前記第2ワークの取り付け部位を撮影して、当該第2ワークの取り付け部位の位置を算出し、
前記搬送ロボットを制御して、前記第1ワークを把持して前記第2ワークの取り付け部位の近傍に搬送し、
前記取付ロボットを制御して、前記カメラにより前記第1ワークの基準部位を撮影して、当該第1ワークの基準部位の位置を算出し、当該第1ワークの基準部位および第2ワークの取り付け部位の位置に基づいて前記取付ロボットの動作を補正して、前記締め付け装置により前記第1ワークの少なくとも2箇所を前記第2ワークの取り付け部位に固定することを特徴とするワーク取付方法。
【請求項3】
締結部材を用いて、第2ワークの取り付け部位に第1ワークを取り付けるワーク取付方法であって、
前記第1ワークを把持して搬送する搬送ロボットと、締結部材を締め付ける締め付け装置およびカメラを有する取付ロボットと、を用いて、
前記取付ロボットを制御して、前記カメラにより前記第2ワークの取り付け部位を撮影して、当該第2ワークの取り付け部位の位置を算出し、
前記搬送ロボットを制御して、前記第1ワークを把持して前記第2ワークの取り付け部位に向かって搬送を開始するとともに、前記取付ロボットを制御して、前記カメラにより前記第1ワークの基準部位を撮影して、当該第1ワークの基準部位の位置を算出し、
前記第1ワークの基準部位および第2ワークの取り付け部位の位置に基づいて前記搬送ロボットの動作を補正して、前記第1ワークを前記第2ワークの取り付け部位の近傍に搬送し、
前記第2ワークの取り付け部位の位置に基づいて前記取付ロボットの動作を補正して、前記締め付け装置により前記第1ワークの少なくとも2箇所を前記第2ワークの取り付け部位に固定することを特徴とするワーク取付方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−241227(P2009−241227A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−92219(P2008−92219)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】