説明

上り坂あるいは高荷重下での車両の走行開始方法

本発明は、主に上り坂あるいは高荷重下での車両の起動方法に関する。この方法は駆動系を含む動力伝達装置(1.1)を実施する。この駆動系は特にエンジン(2)、クラッチ(3)、電気機械(4)、及び車輪(6)から形成される。本発明によれば、車両が坂道で停止するかあるいは低速度で走行しているが、エンジン(2)は停止し、車両が加速した際、エンジン(2)は電気機械(4)から機械的に独立している起動装置(7)を用いて起動する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、上り坂あるいは車両の高荷重下での走行開始方法に関する。本発明は、上り坂や高荷重下での車両が走行開始する際、車両の加速を最適化し、特に車輪に加えられるトルクの連続性を保証することを目的とする。本発明は、自動車の分野において特に有利に適用されるが、あらゆる種類のハイブリッドエンジン式地上車両にも利用することができる。
【0002】
本明細書では、「起動」という用語は、エンジンのクランクシャフトが回転を開始することを示す。「走行開始」という用語は、車両が動き出すこと、速度0から0でない速度に移行することを示す。同様に、「走行開始」という用語は、車両が低速度で走行している際に、慣性力とは別の大きな力を車両に加えるときにも用いられる。言い換えれば、車両を発進させる際、慣性力とは別の大きな力を加えて車両を走行開始させる。「作動」という言葉は、電気機械について、その電源が入れられるときに用いられる。
【0003】
駆動を実施するために熱エネルギーおよび電気エネルギーを併用するハイブリッドと呼ばれる車両が知られている。そのような車両では、エネルギー効率を最適化するようにエネルギーが併用される。このエネルギー効率の最適化により、ハイブリッド車両の大気汚染および燃料消費は、熱エネルギーのみで動作するために効率が最適化されていない車両よりはるかに少なくなる。ハイブリッド車両用動力伝達装置には複数のタイプの装置が知られている。
【0004】
まず、エンジン及び一対の電気機械を含むハイブリッドタイプの伝達装置が知られている。車輪のシャフト、エンジンシャフト、および2つの電気機械のシャフトは、機械アセンブリを介して相互に連結されている。この機械アセンブリは、一般に少なくとも2つの遊星歯車で構成される。そのような伝達装置は、フランス特許出願公開FR−A−2832357号に記載されている。
【特許文献1】FR−A−2832357
【0005】
また、1つのエンジンとただ1つの電気機械とを含むハイブリッドタイプの伝達装置も知られている。このエンジンのシャフト及びこの電気機械のシャフトはクラッチを介して互いに連結されている。そのような装置は異なる2つのモードで動作することができる。電気モードと呼ばれる第1モードでは、電気機械だけが車両の車輪を駆動する。ハイブリッドモードと呼ばれる第2モードでは、電気機械およびエンジンがともに車両を駆動する。
【0006】
ハイブリッドモードにおいては、電気機械によって供給される動力により、エンジンのトルクおよび回転数をそのエネルギー消費が最適化される動作点に合うように、車輪のシャフトに加えられるトルクを調節することができる。
【0007】
この目的のため、伝達装置の各機構、すなわちエンジン、クラッチ、電気機械及びギアボックスは近接する制御装置によって操作され、制御装置自体も、監視コンピュータと呼ばれる専用のコンピュータによって制御される。このコンピュータは単独であってもよく、あるいはエンジンコンピュータなど別のコンピュータ内に組み込んでもよい。この監視コンピュータは、特に、伝達装置の種々の機構の動作間の同期を行うためのプログラムを実行する。この同期は、運転者の加速意思にできるだけ応えるように実行される。
【0008】
より詳細には、監視コンピュータは、ユーザが希望する加速および車両の走行状況に応じて、装置の種々の機構を操作し、動作モードを選定し、種々の機構の遷移段階を調整し、エンジンおよび電気機械の動作点を選択する。走行状況とは、車両のパラメータ、ならびに車両の運転に影響を与える可能性がある外部パラメータを意味する。たとえば車両の速度および加速度は車両のパラメータであるが、道路の湿度または外の気温は外部パラメータとなる。
【0009】
図1は先行技術による駆動力伝達装置1の略図である。この駆動力伝達装置1は、駆動系を構成する、エンジン2、クラッチ3、電気機械4、ギアボックス5または電圧調整器のような変速器要素5と車輪6とを含む。
【0010】
より詳細には、クラッチ3は、第1クラッチディスク8および第2クラッチディスク9を含む。第1クラッチディスク8は、エンジン2のシャフト10に連結される。第2クラッチディスク9は、電気機械4のシャフト11に連結される。さらに、電気機械4のシャフト11は変速器要素5の入力部13に、車輪6のシャフト12は変速器要素5の出力部14に、それぞれ連結される。
【0011】
駆動力伝達装置1は2つの異なるモードで動作することができる。電気モードでは、車輪6のシャフト12はもっぱら電気機械4によって駆動される。そのときクラッチ3は開いた状態であり、その結果、エンジン2のシャフト10と電気機械4のシャフト11は相互に連結されない。この電気モードでは、通常、電気機械4はモーターとして動作する。従って一つの特定の実施形態では、機械4は特にインバータ19を介してバッテリなどの蓄積システム18からエネルギーを供給される。バッテリ18は直流電圧を供給する。電気モードでは、従ってインバータ19は、バッテリの端子20と21の間で測定される直流電圧を、電気機械4の位相22〜24に印加される交流電圧に変換する。
【0012】
ハイブリッドモードでは、車輪6のシャフト12は、エンジン2および電気機械4によって駆動される。そのときクラッチ3は閉じた状態であり、その結果、エンジン2のシャフト10と車輪6のシャフト12は相互に連結される。電気機械4は、モーターまたは発電機として動作し、車輪6のシャフト12上で測定されるトルクを設定トルクに合わせて調整するために、車輪6のシャフト12に動力を伝達する。前記同様に、電気機械4はバッテリ18との間でエネルギーを授受する。
【0013】
ハイブリッドモードおよび電気モードにおいては、車両の減速に対応する充電段階の間、電気機械4は発電機として動作する。この充電段階の間、電気機械4はエネルギーをバッテリ18に供給する。従って、インバータ19は、電気機械4の位相22〜24で測定される交流電圧を、バッテリ18の端子20および21に印加される直流電圧に変換する。
【0014】
実際には、電気機械4は三相同期装置である。このタイプの装置は、コンパクトであり良好な効率を有するという利点を示す。
【0015】
一つの特定の実施形態では、駆動力伝達装置1はフライホイール25を含む。
【0016】
また、先行技術による駆動力伝達装置1は、監視コンピュータ26を含む。この監視コンピュータ26は、通信バス31を介して相互に接続された、マイクロプロセッサ26.1、プログラムメモリ26.2、データメモリ26.3、および入出力インタフェース26.4を含む。
【0017】
データメモリ26.3は、駆動力伝達装置1の種々の機構、すなわちエンジン2、クラッチ3、電気機械4、および変速器要素5の特性に特に対応するデータD1〜DNを保持する。データD1〜DNのうちのいくつかは、たとえばこれらの機構2〜5の応答時間に対応する。他のデータD1〜DNは、たとえば、これらの機構2〜5に連結されたシャフトに適用可能な最大トルクおよび最小トルクに対応する。
【0018】
入出力インタフェース26.4は、センサ(図示せず)の出力側でみられる信号M1〜MNを受信する。これらのセンサにより、車両の走行状況を検出することができる。たとえば加速度センサ及び速度センサにより、所与のある時点での車両の加速度及び速度をそれぞれ知ることができる。湿度センサにより、車両が湿っている道路にあるか否かを検出することができる。さらにインタフェース26.4は、運転者が望む車輪トルクに対応するMACC信号を受信する。実際、運転者が加速を望む場合、ペダル29を足で踏む。このペダル29の踏み込まれた度合に応じて、MACC信号が生成される。
【0019】
マイクロプロセッサ26.1は、データD1〜DN、走行状況、および運転者が希望する加速度に応じて、ある特定のモードで駆動力伝達装置1の動作開始ならびに車輪6のシャフト12上で測定されるトルクの調整を引き起こすプログラムP1〜PNのうちの1つを実行する。より詳細には、プログラムP1〜PNのうちの1つを実行する際、信号OMTHがエンジン2に、OEMBがクラッチ3に、OMELが電気機械4に、OBVが変速器要素5にそれぞれ送信されるように、マイクロプロセッサ26.1はインタフェース26.4を制御する。動作モードをシフトする場合、プログラムP1〜PNのうちのいくつかが、あるモードから他のモードへの移行を保証する信号OMTH、OEMB、OMELおよびOBVの送信を行う。
【0020】
さらに駆動力伝達装置1の機構2〜5はそれぞれ、図示しない内部制御システムを含む。これらの制御システムにより、これらの機構2〜5に連結されたシャフト上で測定されるトルクの値を調節することができる。
【0021】
一例では、運転者からの小さな加速要求のために、監視コンピュータ26は種々の機構2〜5を制御し、電気モードで駆動力伝達装置1を動作させる。車輪6のシャフト12に加えられるトルクは従って電気機械4のシャフト11で測定されるトルクと、減速比は別にして、全体的に同じである。反対に、大きな加速要求のために、監視コンピュータ26は種々の機構2〜5を制御し、ハイブリッドモードで駆動力伝達装置1を動作させる。車輪6のシャフト12に加えられたトルクは、従って、電気機械4のシャフト11で測定されるトルクに等しく、従って、エンジン2のシャフト10と機械4のシャフトに加えられるトルクの総量に等しい。
【0022】
別の一例では、加速は要求されても、車両は上り坂で停止する。図2は上り坂で車両27が走行開始するのが考察される状況を示す。より詳細には、図2で車両27は水平面29と角度αをなす道路28にある。停止状態のままでかつハンドブレーキがかかっていないのに、車両27が移動する傾向にある場合、道路28は傾斜している。
【0023】
前記資料の続きで、車両27が道路28で矢印30に沿う傾斜の方向で上りながら走行開始を実行するのを考察する。変形形態では、加速要求されても、車両27は道路28上で低速度で、例えば時速15kmよりも低い速度で走行する。また同様に、水平道路で荷を積んだ車両の走行開始は、上り坂での走行開始に類似し得る。実際、車両の質量と角度αとの間には相関関係がある。この相関関係では、車両の質量が重くなればなるほど、角度αは大きくなる。
【0024】
前述した図のすべての場合において、車両27の加速が常に定量でき、この車両27が運転者が要求する加速にできる限り早く達することに留意すべきである。加速が常に定量できるように、アクセルペダル29のストロークは常に車両27の縦動力上で効果がなければならない。従って、所与の角度のペダル29の踏み込みは、車両27の走行状況及び動作モードがどうであれ、全体的に同じ加速を常に発生させなければならない。さらに、車両27の走行状況及び動作モードがどうであれ、要求された加速度に達するのに駆動力伝達装置1で必要な時間は受け入れなければならない。この時間が受け入れられるために、エンジン2のトルクが使用できる前記時間は短く、電気機械4のトルクは可能な限り最良なレベルで保たれなければならない。実際、電気機械4は概して運転者からの加速要求を電気機械のみに保証することはできない。従って、車両27の加速度を上げるためにエンジン2のトルクをできるだけ早く保持できるようにすることが必要である。
【0025】
図3は、先行技術による駆動力伝達装置1の種々の機構2〜5上で測定される信号のタイミング図を示す。これらの信号は、車両27が停止状態あるいは低速度で走行している一方で、傾斜の上り方向で加速要求がなされる際、測定可能である。
【0026】
より詳細には、図3はクラッチ3上で測定されるトルクに対応するトルク信号CEMB、電気機械4のシャフト11上で測定されるトルクに対応するCMEL、エンジン2のシャフト10上で測定されるトルクに対応するCMTHを示す。
【0027】
図3は、同じく車輪6のシャフト12に加える設定トルクに対応するトルク信号CCONSおよび車輪6のこのシャフト12で実際にみられるトルクに対応するトルク信号CREELの時間変化も示している。設定トルク信号CCONSは、信号MACCと、センサから出力される信号M1〜MNから生成される。
【0028】
信号OEMBおよびOMELは、クラッチ3および電気機械4を制御するために、監視コンピュータ26によってこれらの装置に送られる。簡略化のために、エンジン2を制御する信号OMTHおよび変速器要素5を制御する信号OBVは図示していない。
【0029】
最後に、図3は、電気機械4の回転速度WMELおよびエンジン2の回転速度WMTHの時間変化も同じタイミング図で示している。
【0030】
時点t0で、車両は停止している。電気機械4およびエンジン2は従って回転速度ゼロを有する。時点t0で、運転者は足を使って加速要求を実行し、坂道にあっても車両を走行開始させる。
【0031】
時点t0と時点t1との間で、駆動力伝達装置1は第1加速段階に入る。この第1段階では、前記設定トルクCCONSは指数関数的に増加し、特に運転者の前記加速要求に適合する。この設定トルクCCONSは増加し、その結果、時点t1で電気機械4のピークトルク値CMELMAXより上回る値V1に既に達している。さらに、時点t0とt1との間で、電気機械4のトルク信号CMELは線形的に増加し、この機械4の公称トルクCMELNOMで安定する。電気機械4の回転速度WMELは線形的に増加するが、時点t1より前ではエンジン2を起動させるのに十分ではない。この時、エンジン2は停止しており、そのシャフト10は電気機械4のシャフト11と連結していない。従って、エンジン2はトルクCMTHおよびゼロの回転速度WMTHを有する。エンジン2が停止しているので、車輪6のシャフト12で測定されるトルクCREELは電気機械4のトルクCMELに等しい。この時、車輪6のシャフト12で測定されるトルクCREELは、期待される設定トルクCCONSよりも下回っている。どのトルクもクラッチ3では測定されない。
【0032】
時点t1とt2の間で、駆動力伝達装置1は第2加速段階に入る。この第2段階では、第1段階のように、電気機械4のみが車両を駆動する。この第2段階はエンジン2を起動させることを目的とする。より詳細には、この第2段階では、設定トルクCCONSはCMELMAXよりも上回る値V1を常に有する。時点t1で、電気機械4は、エンジン2の起動に関与するのに十分な回転速度WMELを有する。この時、第1信号31はコンピュータ26によってクラッチ3へ送信される。この信号31は、駆動トルクCARRをエンジン2に伝達しエンジンの回転を始動させるようこのクラッチ3を操作する。この駆動トルクCARRは駆動系から取り出される。従って、第2信号32は、前記信号31と同時にコンピュータ26によって電気機械4に送信される。この信号32は、そのトルクCMELが、クラッチ3によって取り出される駆動トルクCARRを補償するよう電気機械4を操作する。このようにして、第2加速段階では、クラッチのトルク信号CEMBが減少し、駆動トルクCARRの値に等しい負の値に達する。この間、電気機械4のトルク信号CMELは、駆動トルクCARRの値とは逆の−CARRだけ増加する。すると、エンジン2の起動トルクに対応するエンジン2のトルク信号CMTHが測定される。このとき、エンジン2は、増加するが電気機械4の回転速度WMELよりは下回る値に留まる回転速度WMTHを有する。従って、エンジン2は車輪6のシャフト12にトルクを依然として伝達していない。従って、シャフト12上で測定されるトルクCREELは、このシャフト12上で期待される設定トルクCCONSよりも常に下回る。この第2加速段階は、エンジン2にその最初の圧縮を受けさせることを目的とする。この最初の圧縮を受けた後、エンジン2は、自律的になるのに十分な回転速度WMTHで動作する。
【0033】
時点t2とt3の間で、駆動力伝達装置1は第3加速段階に入る。この第3段階で、エンジン2は回転数を上げ、次にクラッチディスク8および9は互いに滑ることができる。より詳細には、この第3段階では、設定トルク信号CCONSは常に前期値V1を有する。電気機械4のトルク信号CMELは減少して値CNOM−CARRから電気機械4の公称トルク値CMELNOMになる。そして、クラッチ3のトルク信号CEMBは再度ゼロになる。従って駆動トルクの伝達段階は時点t2とt3の間で終了する。エンジン2のシャフト10は依然として電気機械4のシャフト11に連結されず、トルクCREELは常に電気機械4のトルクCMELに等しい。従って、トルクCREELは設定トルクCCONSよりもかなり下回ったままである。電気機械4のシャフト11の回転速度WMELは線形的に増加する。そして、エンジン2のシャフト10の回転速度WMTHは増加し、時点t3で電気機械4の回転速度WMELを上回るようになる。この回転速度WMELは、減速比は別にして、車輪のシャフトの回転速度に相当する。
【0034】
時点t3とt4の間で、駆動力伝達装置1は第4加速段階に入る。この第4段階では、第1行程でエンジン2の接近が生じ、続いてクラッチ3が繋がる。より詳細には、まず初めに時点t3でエンジン2の回転速度が電気機械4の回転速度よりも大きくなるとすぐに、信号33は監視コンピュータ26によってクラッチ3へ送信される。この信号33はクラッチディスク8および9を互いに滑らせることを制御する。エンジン2は従ってクラッチ3を介して車輪6のシャフト12へそのトルクCMTHの一部を伝達する。従って、クラッチ3で測定できるトルク信号CMEBは測定可能な形で増加するが、電気機械4のトルク信号CMELは減少する。トルク信号CREELも増加する。さらに、エンジン2の接近の際、エンジン2の回転速度WMTHは電気機械の回転速度に向けて収束する。これらの2つの速度が等しくなると、信号34が監視コンピュータ26によってクラッチ3に送信される。この信号34はクラッチ3の接続を制御する。従って、エンジンの回転速度WMTHと機械の回転速度WMELは同一になる。トルク信号CREELは、全体的にクラッチ3が繋がる瞬間に、常に値V1に等しい設定トルクCCONSの値に達する。
【0035】
時点t4とt5の間で、駆動力伝達装置1は第5加速段階に入る。この第5段階では、既に前記値に達していない場合は、装置1のエンジン機構2と4が最適なトルクの設定信号に向かって収束する。
【0036】
シャフト12で測定されるトルク信号CREELが示されるタイミング図で、設定トルク信号CCONSはまた点線でも表される。線影をつけた部分35は定量できないと言われる領域を表し、運転者は希望する加速を得られない。言い換えると、定量できない前記領域35では、加速の欠如があり、運転者は車輪6のシャフト12に加えられるトルクを制御できない。前記領域35は、電気機械4が利用されることが可能な最大トルク及びエンジン2が使える時間T1次第である。
【0037】
ここで、前記領域35は、設定トルクCCONSと車輪6のシャフト12で測定されるトルクCREELとの間で大きな違いがあるので、特に幅広い。実際、時点t0と時点t4との間で、電気機械4はそのピークトルクCMELMAXでは動作できない。というのも、電気機械4は、その回転数がどうであれ、クラッチによって取り出される駆動トルクCARRを補償することができるトルクの余裕を持っていなければならないからである。言い換えれば、電気機械4は、駆動トルクCARRを補償できるようなより大きいトルクでいつでも動作できるように、常に最大限でその公称トルクCMELNOM(あるいはまだ小さいトルクで何度も)で動作しなければならない。
【0038】
さらに、前期定量できない領域35はここでは特に長い、というのもエンジン2の使用時間T1が長いからである。この時間T1が長いのは、電気機械4がエンジン2の起動に関与するのに十分な回転数WMELを有していなければならないからである。実際、電気機械4が停止する時、あるいは速度比確保される時、エンジン2を起動させることは不可能である。
【0039】
前記定量できない領域35はとても大きいので、運転者の安全を保証するような方法を実行するのは困難である。実際、そのような方法で、車両は、運転者の加速要求がなされる瞬間に比べて、セカンドギアの指令からのとても長い応答時間を有する。こういうわけで、概して、車両が坂道にあるとき、エンジン2は停止しないのである。そのため、動力駆動力伝達装置1は、加速度計と/または傾斜度計のようなセンサを含み、車両が坂道にあるかどうかを検出することができる。さらに、車両は積載量センサを含み、車両の重量を量り、かつ車両が重量超過であるかどうかを検出する。既知のハイブリッド車両は従って坂道あるいは高荷重で走行するとすぐにその利点を失う、というのもこの状態の場合、多くのエネルギーを消費するエンジン2は決して停止しないからである。
【0040】
さらに、そのような走行開始方法では、クラッチ3の操作及び電気機械4の管理を実行するにはとても大きな難点が生じる。これらの難点は機構2〜5の高い感度に主に起因する。実際、温度が変わると、これらの機構2〜5は同じ応答時間をもたない。さらに、温度が変わると、これらの装置2〜5に結合されたシャフト上で測定されるトルクは変化する。
【0041】
従って、クラッチ3による駆動トルクCARRの採取と、電気機械4による補償トルクCNOM−CARRの適用との時間を完全に一致させることは困難である。ところが、トルクの採取におけるこの同期は、エンジン2の起動時にトルクの断絶がないことを保証するために必要である。また、クラッチによって取り出されるトルクと全く等しい補償トルクを加えることも困難である。実際、駆動トルクCARRの伝達の際にクラッチ3に加えるべきトルクを見積もることは困難である。
【0042】
従って、本発明は、上り坂あるいは高荷重下での車両の臨界走行開始の際、定量できない領域を縮小することを提案し、エンジンを使用できる時間の問題を特に解決する。
【0043】
この目的のため、本発明では、伝達装置の既知の構造に、電気機械から独立した起動システムを追加する。本発明では、従ってエンジンに駆動トルクを伝達しエンジンを起動するのはもはやクラッチではなく起動システムである。従ってこの起動システムにより、エンジンの起動の問題と車両の駆動系の問題とを分けて考えることが可能となる。
【0044】
本発明によれば、車両を上り坂で走行開始させるために、あるいは低速度から大きな加速を生じさせるために、加速要求とともに起動システムを使用してエンジンを起動する。この時、加速要求があると、車輪のシャフトで使用できるトルクは、エンジンのシャフトで測定されるトルクと電気機械のシャフトで測定されるトルクとの総量に等しい。従って、たとえ車両が坂道にあっても、車両の加速はとても迅速に生じる。本発明で、前記定量できない領域の長さは従って著しく縮小する。
【0045】
この起動システムにより、クラッチおよび電気機械の特性をよりよく活用することが可能になる。従って、クラッチによって取り出される駆動トルクを補償するために電気機械がトルクに余裕をもつことはもはや必要ではなくなる。従って、坂道で走行開始する際、電気機械は車両の駆動を保証するために、エンジンが利用できない間ずっとその最大トルクで動作する。また、概して、クラッチが開いたままである限り電気機械をピークトルクで動作させる。電気機械がそのピークトルクCMELMAXで動作することができることにより、定量できない領域の幅を著しく縮小することができる。
【0046】
その結果、本発明で道路の傾斜を検出するためにセンサを利用することはもはや必要はなくなる。そして、車両が坂道にあるか、あるいは荷を積みすぎている場合、エンジンを作動させたままにすることはもはや必要なくなる。
【0047】
さらに、起動システムを導入することにより、走行開始の際、クラッチ及び電気機械の操作が簡略化される。また、新しい構造により、クラッチ及び電気機械の作動の同期を回避することができる。実際、この新しい構造では、クラッチはもはやエンジンの駆動には直接関与しないので、駆動トルクを補償するために電気機械によって加えられるトルクの見積もりの問題は解消されている。
【0048】
従って、本発明は、上り坂と/あるいは高荷重下での車両の走行開始方法に関するものであって、
−車両は停止しているか低速度であり、かつエンジンは停止していて、
−電気機械を含む動力伝達装置を使用し、
−この電気機械は、一方ではクラッチによって車両のエンジンに、他方では車両の車輪のシャフトに連結され、
−電気機械をまず作動させ、かつ
−電気機械とは機械的に独立している起動システムによって駆動トルクを伝達するエンジンを起動する
ことを特徴とする方法に関する。
【0049】
本発明は、以下の説明を読み添付の図面を検討することにより、よりよく理解されよう。これらの図は、例示のために示したものであり、決して本発明を限定するものではない。
【0050】
図4は、本発明による駆動力伝達装置1.1の略図である。先行技術による駆動力伝達装置1と同様に、この駆動力伝達装置1.1は、エンジン2、クラッチ3、電気機械4、変速器要素5および車輪6を含む。車両の4つの機構2〜5および車輪6は駆動系を形成し、先行技術による駆動力伝達装置1と同じように配置されている。さらに本発明によれば、駆動力伝達装置1.1は、エンジン2に連結された起動システム7を含む。
【0051】
この起動システム7はエンジン2に連結され、前記エンジンを回転駆動して起動する。前記起動システム7は電気機械4からは機械的に独立している。実際、起動システム7はこの駆動系から動力を取り出さずにエンジン2を起動する。その結果、エンジン2を起動しても、車輪6のシャフト12に加えられるトルクの連続性には影響がない。
【0052】
従って起動システム7は駆動には全く関与しない。
【0053】
その結果、前記起動システムは、エンジン2を起動するのにちょうど足りる動力、すなわち電気機械4の動力よりもかなり小さく、高い電源電圧を必要としない動力を発生するように設計される。
【0054】
一つの特定の実施形態では、エンジン2は、そのシャフト10の末端に接続された第1プーリ15を含む。起動システム7は、そのシャフト31の末端に接続された第2プーリ16を含む。ベルト17がこれら2つのプーリ15および16の溝を通り、起動システム7をエンジン2に連結する。
【0055】
本発明では、電気機械4は常にバッテリなどの蓄積装置18に接続される。変形形態では、蓄積システム18は慣性機械または超電導体である。
【0056】
一つの特定の実施形態では、駆動力伝達装置1.1はフライホイール25をも含むことができる。このフライホール25は、このエンジン2とクラッチ3の間で、エンジン2のシャフト10に連結される。
【0057】
さらに、本発明による駆動力伝達装置1.1は、監視コンピュータ26も含む。プログラムP1〜PNのうちの1つを実行する際、マイクロプロセッサ26.1は、インタフェース26.4を制御し、起動システム7を制御するために、信号OMTH、OEMB、OMEL、OBVに加え、信号ODEMを前記起動システム7に送信する。このエンジン2が、所与の動力の場合に、自身の燃料消費が最少となる最適の動作点で常に動作するように、信号OMTHはエンジン2を、OMELは電気機械4をそれぞれ制御する。動作モードがシフトする場合は、プログラムP1〜PNのうちいくつかは、信号OMTH、OEMB、OMEL、OBV及びODEMを送信し、モードの変化に伴う駆動を許可する。
【0058】
起動システム7は、図示しないが内部制御システムも含む。この制御システムにより、この起動システム7がエンジン2のシャフト10に加える駆動トルクの値を調節することができる。
【0059】
前記クラッチ3は乾式または湿式である。
【0060】
図5は、本発明による駆動力伝達装置1.1の種々の機構2〜5上で測定される信号のタイミング図を示す。図2の場合と同様、これらの信号は、車両の上り坂での走行開始の際、測定可能である。
【0061】
説明の簡略化のために、坂道でのこの走行開始の際、主要な役割をする信号OEMB及びODEMだけを表示することにする。
【0062】
時点t0で、前述したように、車両は上り坂で停止していて、運転者による加速要求が実行される。従って、電気機械4及びエンジン2の回転速度はいずれもゼロである。変形例では、車両は非常に低い速度で走行し、電気機械4は低い回転速度WMELを有する。
【0063】
時点t0とt1の間で、駆動力伝達装置1.1は第1加速段階に入る。この第1加速段階で、電気機械4だけが車両の駆動を保証する。より詳細には、この第1段階では、設定トルク信号CCONSは指数関数的に増加し、その結果、時点t1で、電気機械4のピークトルクCMELMAXに概ね等しい。さらに、電気機械4を作動させ、電気機械4のトルク信号CCONSはトルク信号CCONSの速度に追従する。実際、駆動力伝達装置1の電気機械4に反して、エンジン2が使用できない時、電気機械4はそのピークトルクCMELMAXで動作することを許可される。電気機械4がそのピークトルクCMELMAXで動作できるようになると、トルクCREELは所与の設定トルクCCONSに等しくなる。従って、エンジン2はゼロのトルクCMTHを有する。さらに、エンジン2の回転速度WMTHはゼロであるが、電気機械4の回転速度WMELは線形的に増加する。
【0064】
時点t1とt2の間で、駆動力伝達装置1.1.は第2加速段階に入る。この第2段階は、エンジン2を起動させることを目的とする。この目的のため、時点t1で、監視コンピュータ26によってプログラムP1〜PNのうちの1つが実行されると、信号40が起動システム7に送られる。この信号40は、運転者の加速要求の後、300ms未満で送信される。この信号40は、エンジン2に駆動トルクを供給する起動システム7を制御し、回転させる。このエンジン2の起動トルクに対応するトルク信号CMTHは従って測定可能である。エンジン2のシャフト10は電気機械4のシャフト11に依然として連結されず、この電気機械4のみが車両の駆動を依然として保証する。さらに、設定トルクCCONSは常に指数関数的に増加し、その結果、時点t2で、電気機械4のピークトルクCMELMAXの値よりも大きい値V1に既に達している。電気機械4のトルクCMELは、トルクに関して、この機械4のピークトルクの値を維持し続ける。従って、車輪6のシャフト12で測定されるトルクCREELは設定トルクCCONSよりもわずかに小さい。エンジン2は、従って、電気機械4の回転速度よりも小さい回転速度WMTHを有する。エンジン2は最初の圧縮を受け、一例では4、5、自律するのに十分な回転数に達する。エンジン2が自律するとすぐに、コンピュータ26は起動システム7に信号を送り、この起動システム7は切断される、つまり停止する。
【0065】
時点t2とt3の間で、駆動力伝達装置1.1は第3加速段階に入る。この第3段階で、エンジン2は回転数を上げる。より詳細には、この第3段階では、電気機械4が常にそのピークトルクCMELMAXで動作するが、設定トルク信号CCONSは常に前記値V1を有する。前記機械4のシャフト11とエンジン2のシャフト10は連結されていないので、トルク信号CREELはトルク信号CMELと同じである。このエンジン2の前記回転速度WMTHは、時点t3で電気機械4の回転速度WMELを上回るように増加する。電気機械の回転速度WMELは常に線形的に増加する。トルクCEMBはどれもクラッチ3では測定されない。第3段階は、後程わかるように、エンジン2の回転数を上げて、クラッチディスク8および9を相互に滑らすことができるようにすることを目的とする。
【0066】
時点t3とt4の間で、駆動力伝達装置1.1は第4加速段階に入る。この第4段階では、第1行程でエンジン2が接近して、次に第2の行程でクラッチ3が繋がる。より詳細には、まず初めに、時点t3で、信号41はクラッチ3へ送信される。この信号41は、前述した信号33のように、クラッチディスク8および9が互いに滑るのを制御する。エンジン2は、従って、クラッチ3を介して車輪6のシャフト12でそのトルクCMTHの一部を伝達する。クラッチ3がトルクを駆動系に伝達するのと同様に、トルク信号CEMBは測定可能な形で増加する。この時、電気機械4のトルク信号CMELは減少するが、設定トルクCCONSに達成することができる。一般的は、クラッチ3が繋がっているとき、設定トルクCCONSが守られるとすぐに、電気機械4をピークトルクCMELMAXよりも下回るトルクで動作させ、バッテリのエネルギーを無駄に消費しない。トルクCCONSが達成されない場合は、クラッチ3繋がった後、電気機械4は常にそのピークトルクCMELMAXで動作する。さらに、エンジンが接近する際、エンジン2の回転速度WMTHは電気機械4の回転速度WMELに収束する。これらの二つの速度がほぼ等しい場合、クラッチ3にその接続を制御するために信号42を送信する。実際には、エンジン2の回転速度WMTHと電気機械4の回転速度WMELのとの違いが機械4の回転速度の0%と15%の間を含む値よりも絶対値で下回った時、前記信号42が送信される。この時、エンジンの回転速度WMTHおよび電気機械の回転速度WMELは同じになる。
【0067】
時点t4とt5の間で、駆動力伝達装置1.1は第5加速段階に入る。この第5段階では、設定トルク信号CCONSは、測定可能な形で増加する。表示した例で、トルクCCONSは段階的に増加する。前と同様に、この第5段階で、装置1.1の機構2および4は、最適なトルク設定値にまだ達していない場合、それに向けて収束する。より詳細には、エンジン2のトルクCMTHは、このトルクの大きさが第1トルク設定信号に達するように変化する。電気機械(4)のトルクCMELは、このトルクの大きさが第2トルク設定信号に達するように変化する。これらの二つのトルクの設定信号はエンジン2の消費を最適化する。
【0068】
さらに、クラッチのトルク信号CEMBは、エンジン2のトルク信号CMTHを超えるまで増加する。
【0069】
従って、エンジン2の起動時にクラッチ3は開いており、t0とt3との間の所定の時間中、開いたままである。この時間は、運転者が要求する設定トルクCCONSおよび/またはエンジン2が自律的になるまでに要する時間の関数とすることができる。変形形態では、クラッチ3は、エンジン2の起動時にすでに閉じている。この変形形態においては、起動システム7および電気機械4は、ともにエンジン2への駆動トルクCARRの伝達に関与する。一例では、起動システム7は、電気機械4とエンジン2がそれを介して連結される第2減速ユニットよりも小さな変速比を有する第1減速ユニットを介してエンジン2に連結され、その結果、起動システム7によってエンジン2のシャフト10に加えられるトルクは、電気機械によってこのシャフト10に加えられるトルクより大きくなる。
【0070】
変形形態では、エンジン2の起動は時点t0から制御される。この変形例では、前記信号40は時点t0から送信される。
【0071】
図2の場合と同様に、設定トルク信号CCONSはトルク信号CREELのタイミング図でも表される。線影をつけた前期領域43は、本発明による駆動力伝達装置1.1の車輪6のシャフト12に加えられるトルクの定量できない領域を表す。この領域43の範囲は前期領域35よりもかなり小さい。
【0072】
実際、前記領域43は前記領域35よりも縦座標軸方向に大変狭い、というのも本発明では、エンジン2が使用できないので、前記電気機械4はそのピークトルクCMELMAXで動作できるからである。実際、この駆動トルクは、電気機械4から独立している起動システム7によって加えられるので、
電気機械4はここではエンジン2の駆動トルクを補償しない。従って、上り坂で車両が走行開始する間中、前記トルク信号CREELは、運転者に要求された設定トルク信号CCONSに非常に近い。
【0073】
さらに、前記領域45は、前記領域35よりも横座標軸方向に大変短くなっている、というのも本発明では、エンジン2のトルクを非常に迅速に利用できるからである。従って、駆動力伝達装置1.1でのエンジン2が利用できる時間T2は、装置1でのエンジン2が利用できる時間T1よりも大変短い。というのも、本発明では、電気機械4が、エンジン2を起動させる前に特定の回転数に達するのを待つ必要はないからである。
【0074】
さらに、本発明では、起動システム7による駆動トルクの伝達の際、エンジン2と電気機械4によって、クラッチ3で適用された作用は互いに独立している。電気機械4による一つの作用は、車両を走行開始させる作用である。エンジン2による一つの作用は、起動システム7による一つの作用であり、エンジン2を起動する作用である。従って、本発明はまた機械的ではないクラッチ3を含む駆動力伝達装置1.1で実行されることも可能である。
【0075】
本発明による方法での走行開始は、先行技術による方法よりも堅牢(ロバスト)である。実際、車両の走行状況がどうであれ、起動システム7はエンジン2を一定のトルクで起動させることができる。
【0076】
従って、本発明のおかげで、エンジン2が停止していても車両は上り坂での臨界加速要求あるいは高荷重に応じることができ、運転者の安全を保証する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】先行技術による動力伝達装置の略図である。
【図2】上り坂での車両の略図である。
【図3】上り坂での走行開始の際、先行技術の伝達装置の機構上で測定される信号の時間変化を表すタイミング図である。
【図4】起動システムを含む本発明による伝達装置の略図である。
【図5】上り坂での走行開始の際、本発明による伝達装置の機構上で測定される信号の時間変化を表すタイミング図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上り坂、及び/または高荷重下での車両の走行開始方法であって、車両は停止しているかあるいは低速度で移動しており、かつエンジンは走行開始当初は停止していて、
一方ではクラッチ(3)によってエンジン(2)に連結され、他方では車輪(6)のシャフト(12)に連結された電気機械(4)を含む動力伝達装置(1.1)を使用し、
運転手が加速を要求した際に、電気機械(4)のトルクを増加させ始め、
エンジン(2)を、このエンジン(2)に連結され、かつ電気機械(4)とは機械的に独立した起動システム(7)によって、駆動トルク(CARR)を前記エンジンに伝達しながら起動させ、
いったんエンジン(2)が起動すると、自律のために最初の圧縮が行われるのを待ち、次に起動システム(7)を切断する、方法。
【請求項2】
前記エンジン(2)の起動時に、クラッチ(3)が開状態であり、所定の期間、開状態のままであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
クラッチ(3)が開状態である限り、電気機械(4)をそのピークトルク(CMELMAX)で動作させることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
電気機械(4)を作動させ、かつエンジン(2)を起動させた後、エンジン(2)のシャフトの回転速度(WMTH)を、車輪のシャフトの速度に対応する電気機械(4)のシャフトの回転速度(WMEL)を上回るまで増加させることを特徴とする請求項2または3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
電気機械(4)を作動させ、かつエンジン(2)を起動させた後、一方(8)がエンジン(2)のシャフト(10)に連結され、他方(9)が電気機械(4)のシャフト(11)に連結されたクラッチ(3)のクラッチディスク(8、9)を相互に滑らせることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
エンジン(2)のシャフトの回転速度(WMTH)を電気機械(4)のシャフトの回転速度(WMEL)に収束させ、かつ、エンジン(2)のシャフトの回転速度(WMTH)と電気機械(4)のシャフトの回転速度(WMEL)が実質的に等しいときにクラッチ(3)を繋ぐことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
上記走行開始後の車両の加速時において、クラッチ(3)が繋がっている間、設定トルク(CCONS)が得られた後は、電気機械(4)を、そのトルクがピークトルク(CMELMAX)を下回るように動作させことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
クラッチ(3)を繋ぎ、
エンジン(2)のトルクを、第1設定トルク信号に達するように変化させ、
電気機械(4)のトルクを、第2設定トルク信号に達するように変化させる方法であって、
前記設定信号がエンジンの燃費の点で最適であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法を実行可能な装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−531389(P2008−531389A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557552(P2007−557552)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【国際出願番号】PCT/FR2006/050163
【国際公開番号】WO2006/092523
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(505371025)
【Fターム(参考)】