説明

不揮発性メモリ

【課題】大容量NAND Flash Memory Chipに、プロセスコストが殆ど無く、SRAMに比べセル面積が小さいDRAMメモリを混載し、CHIPコストをおさえつつ、NANDのシステム性能を向上させることを可能とする複合メモリを提供すること。
【解決手段】第1絶縁膜と、第1Floating Gateと、第2絶縁膜と、第1ゲート電極からなる第1メモリセルと、第3絶縁膜と、第2Floating Gateと、第4絶縁膜と、第2ゲート電極と、第2Floating Gateと第4ゲート電極を接続する第1コンタクトからなる第1選択トランジスタと、第1メモリセルが直列に複数接続され、ビット線に接続され、第1選択トランジスタを介してソース線に接続されたもので第1セルブロックを構成し、これを複数配列する不揮発性メモリにおいて、面積S1が、面積S2に比べて大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、微細化したNAND Flash Memoryにおいて、3次元のInter Poly Dielectricを形成すること無く、誘電率の高いInter Poly Dielectricを使用することなく、セルのCoupling比を確保して、メモリセルのScalingを可能にすることを可能にする不揮発性メモリを提供する。
【背景技術】
【0002】
今日、半導体メモリは、大型コンピュータの主記憶から、パーソナルコンピュータ、家電製品、携帯電話等、至る所で利用されている。市場が大きく伸びているものは、NAND Flash Memory(NAND型Flash EEPROM)であり、各種メモリカード(SD、MMC、CFカード)やUSBメモリが、画像、動画、音声、ゲーム等の情報を記憶する媒体として、DigitalCamera、Digital Video、MP3等の音楽機器、携帯電話、Mobile PC等の記憶媒体、Digital TV等の記憶媒体として使われている。
【0003】
数百GBのNAND Flash Memoryが実現出来れば、PC用途のHDD代替も可能になる。Flash−EEPROM型の不揮発性メモリは主にNOR型とNAND型が有り、NOR型は高速Read、Read回数が10の13乗程度有り携帯機器の命令コード記憶として使われているがWriteの実効バンド幅が小さく、File記録に適していない。一方NAND型は、NORに比べて高集積化が可能性で、しかもアクセス時間が25us等と遅いがBurst Readが可能で実効バンド幅が高く、WriteもProgram時間が200us−1ms、Erase時間が数ms程度と遅いが一度にProgram、Erase出来るビット数が多く、BurstでWrite Dataを取り込み、一度に多数のビットをProgram出来るため実効バンド幅が高いメモリであり、上記のような市場で広く使われている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】K. Prall et a., "25nm 64Gb MLC NAND Technology and Scaling Challenges", IEDM Tech. Digest of Papers, pp. 102-106. Nov. 2010.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
微細化したNAND Flash Memoryにおいて、3次元のInter Poly Dielectricを形成すること無く、誘電率の高いInter Poly Dielectricを使用することなく、セルのCoupling比を確保して、メモリセルのScalingを可能にすることを可能にする不揮発性メモリを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の不揮発性メモリによれば、第1のSilicon Channel上に形成された第1の絶縁膜と、この第1の絶縁膜上に形成された第1のFloating Gateと、この第1のFloating Gate上に形成された第2の絶縁膜と、この第2の絶縁膜上に形成された第1のゲート電極と、第1のSilicon Channelに隣接して形成された第1のソース電極、第1のドレイン電極からなる第1の不揮発性メモリセルと、第2のSilicon Chanel上に形成された第3の絶縁膜と、この第3の絶縁膜上に形成された第2のFloating Gateと、この第2のFloating Gate上に形成された第4の絶縁膜と、この第4の絶縁膜上に形成された第2のゲート電極と、前記第2のFloating Gateと第4のゲート電極を接続する第1のコンタクトと、第2のSilicon Channelに隣接して形成された第2のソース電極、第2のドレイン電極からなる第1の選択トランジスタと、前記第1の不揮発性メモリセルが直列に複数接続され、その一端は、前記第1の選択トランジスタを介してビット線に接続され、他端は、前記第1の選択トランジスタを介してソース線に接続されたもので第1のセルブロックを構成し、これを複数配列する不揮発性メモリにおいて、前記第1のFloating Gateが前記第1のSilicon Channelと接する部分の前記第1の絶縁膜の面積S1が、前記第1のFloating Gateが前記第1のゲート電極と接する部分の前記第2の絶縁膜の面積S2に比べて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態を示す、NAND Flashメモリのセル断面図であり、(a)はビット線方向断面図であり、(b)はワード線方向断面図。
【図2】本実施形態の第1の実施形態を示す、NAND Flashメモリの複数セル配置の断面図。
【図3】本実施形態の第1の実施形態を示す、NAND FlashメモリセルStringの両端に配置される選択トランジスタの断面図であり、(a)はビット線方向断面図であり、(b)はワード線方向断面図。
【図4】本実施形態の第1の実施形態を示す、NAND FlashメモリセルStringの等価回路図。
【図5】本実施形態の第1の実施形態を示す、NAND FlashメモリセルStringの動作図。
【図6】本実施形態の第1の実施形態を示す、NAND Flashメモリセルの多値動作図。
【図7】本実施形態の第1の実施形態を示す、NAND Flashメモリにおける選択セルのFloatingGateと他の部分との容量、容量比を示す図。
【図8】本実施形態の第1の実施形態を示す、NAND Flashメモリセルのプログラムが最も困難になる状態でのトンネル膜に印加される電圧を示す図。
【図9】本実施形態の第1の実施形態を示す、NAND Flashメモリセルの隣接セルへのProgramによるCoupling低減によるVtシフト低減を示す図。
【図10】本実施形態の第1の実施形態を示す、NAND FlashメモリセルのProgram、VerifyReadの動作例を示す図。
【図11】本実施形態の第1の実施形態を示す、NAND Flashメモリセルのセルアレイ構成図。
【図12】本実施形態の第2の実施形態を示す、NAND Flashメモリのセル断面図であり、(a)はビット線方向断面、(b)はワード線方向断面。
【図13】本実施形態の第3の実施形態を示す、NAND Flashメモリのセル断面図(a)はビット線方向断面図であり、(b)はワード線方向断面図。
【図14】本実施形態の第4の実施形態を示す、NAND Flashメモリのセル断面図(a)はビット線方向断面図であり、(b)はワード線方向断面図。
【図15】本実施形態の第5の実施形態を示す、NAND Flashメモリのセル断面図(a)はビット線方向断面図であり、(b)はワード線方向断面図。
【図16】本実施形態の第6の実施形態を示す、NAND Flashメモリのセル断面図(a)はビット線方向断面図であり、(b)はワード線方向断面図。
【図17】本実施形態の第7の実施形態を示す、NAND Flashメモリのセル断面図(a)はビット線方向断面図であり、(b)はワード線方向断面図。
【図18】本実施形態の第8の実施形態を示す、NAND Flashメモリのセル断面図(a)はビット線方向断面図であり、(b)はワード線方向断面図。
【図19】本実施形態の第9の実施形態を示す、NAND Flashメモリのセル断面図(a)はビット線方向断面図であり、(b)はワード線方向断面図。
【図20】本実施形態の第10の実施形態を示す、NAND Flashメモリのセル断面図(a)はビット線方向断面図であり、(b)はワード線方向断面図。
【図21】比較例のNAND Flashメモリのメモリセル構造(ビット線方向断面と平面図)
【図22】比較例のNAND Flashメモリのメモリセル構造(ワード線方向断面図)。
【図23】比較例のNAND FlashメモリのErase、Program、Read動作図。
【図24】比較例のNAND Flashメモリの微細セルの断面構造。
【発明を実施するための形態】
【0008】
まず、図21〜図24を用いて本実施形態に係る比較例につき説明する。図21(a)は比較例に係るNAND Flash MemoryのセルStringの断面を表している。図21(b)は上部から見た平面図を示す。図22は図21におけるワード線方向の断面を示す。このセルStringは任意のワード線に接続するセルを独立してProgramできるが、Eraseは選択されたセルString全体をEraseする。
【0009】
図23は、比較例に係るProgram、Eraseの具体例をしている。Eraseは、セルのゲート−チャネル間に負の電圧を印加して、Floating Gateの電子をFloating Gateからチャネルに向かって抜き、セルの閾値電圧を負側にシフトさせる。Programは、選択セルだけ、ゲート電圧を18V程度に上げ、チャネル側を0Vに保ち、チャネルから電子をFloating Gateに注入して行う。Program Inhibitのセルは、チャネル側を8V程度に上げ、電子の注入を抑える。Read時は、例えば選択セルのゲートであるワード線のみを0V程度にして、閾値電圧が正なら、セルStringに電流が流れないので、ビット線電位はHighのまま、閾値電圧が負なら、セルStringに電流が流れるので、ビット線電位はLowに下がるので、“0”と“1”データの判断が出来る仕組みになっている。
【0010】
このようなNAND Flash Memoryが安定するには、Floating Gateとチャネル間の容量に比べて、Floating Gateとゲート電極(ワード線)間の容量が大きく、しかも、Floating Gateとチャネル間のトンネル絶縁膜に比べて、Floating Gateとゲート電極(ワード線)間の絶縁膜(IPD:Inter Poly Dielectric)が厚い必要がある。
【0011】
これは例えば、ワード線に18V、チャネルに0Vを印加した場合、容量比により、Floating Gateとチャネル間に印加される電圧が、Floating Gateとゲート間に印加される電圧が高くなる必要がある上、Tunnel酸化膜のほうがIDPより薄く、電子が通過し易くなる必要があるためである。この条件を満たすために、現在のNANDFlash Memoryは図23に示すように、IPD膜はFloating Gateの上部部分だけでなく、側面部分にも形成し、Floating Gateとゲート電極がIPDを介して接する面積を多くとりつつ、IPD膜を厚く形成している。
【0012】
しかしながらメモリセルの設計ルールが30nm未満になってくると、図24に示す様に、IPD膜を厚くたもつため、IPDの総容量を稼ぐためFloating Gateは細長くなってしまう。更に微細化が進むと、1セルサイズに2つの厚いIPD膜を横方向に形成することが困難になり、微細化限界に達してしまう。
【0013】
ここで、図24(a)はビット線方向の断面、図24(b)はワード線方向の断面を示している。一方、IPD膜をFloating Gateの上部だけに形成した場合、十分な容量比が得られる、Program、Eraseが正常に動作しない。又、比誘電率の非常に高いIPD膜が実現できれば、IPD膜をFloating Gateの上部だけに形成すれば動作するが、通常誘電率が高い材料は、Barrier Heightが引くのでリーク電流が大きくなり、結果として、動作が困難になる。
【0014】
又、図24(b)において側壁ゲート電極と、チャネル間を近づけると絶縁破壊、リークの恐れがあり、近づけ難く、これにより、隣接Floating Gate間の干渉が大きいことも深刻になっている。以上述べたように、従来のNAND型Flash Memoryにおいてはセルのスケールリングを進めることが困難になってきている。
【0015】
以下、上記比較例を踏まえこの実施形態につき図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
実施形態を以下に示す。図1は、本実施形態の第1の実施形態を示すNAND Flashメモリや、その他Flashメモリに適用できる、メモリセル構造を示す。
【0016】
図1(a)はビット線方向の断面を示し、図1(b)はワード線方向の断面を示す。Pwell上に形成され、ソース、ドレインの拡散層AAの間にチャネルが形成され、その上に絶縁膜(IPD)が形成され、その上にFloating Gateが形成されている。
【0017】
Floating Gateはビット線方向で見ると上辺が下辺に比べて短い台形型をしている。そのFloating Gateの上にトンネル膜形成され、その上にゲート電極が形成されている。トンネル膜に比べてIPDが厚いのが特徴となる。これら一連の膜は絶縁膜DLに覆われ、隣接セル間は間にガス或いは真空のAIRギャップが挿入されている。図1(b)で示すように、ワード線方向で各AA(Active Area)は素子分離絶縁膜STI(Shallow Trench Isolation)で分離されている。
【0018】
図2は、図1のセルが複数個配列された場合を示している。図2(a)はビット線方向の断面を示し、図2(b)はワード線方向の断面を示す。ワード線方向ではゲート電極はワード線で接続されている。ビット線方向では、セルのソース、ドレインが直列接続されている。
【0019】
図3は、NAND FlashのセルStringを形成した場合の、Stringの両端に配置される選択トランジスタの断面を示している。図3(a)はビット線方向の断面を示し、図3(b)はワード線方向の断面を示す。構造は、図1のセルとほぼ同じ構造をしているが、異なる点として、選択トランジスタはFloating Gateへ電子が注入、放出され、選択トランジスタの閾値電圧が変化すると都合が悪いので、FloatingGateの上のトンネル酸化膜を一部または、部分的に剥離し、ゲート電極と、FloatingGateは導体のコンタクト等で接続されている。
【0020】
図3の例では、全部剥離したケースだが、一部をコンタクトで形成しても良い。図1〜図3を用いてNAND FlashのセルStringを形成した場合のセルStringの回路図を図4に示す。FloatingGateは上部が短い台形型で示してあり、選択信号SGS、SGDが入る選択トランジスタは、FloatingGateとゲート電極が電気的に短絡されている。
【0021】
図5は、図1〜図4の構造の本実施形態のNAND Flashメモリにおける、1つのセルに1ビットの情報を記憶する場合のProgram、Erase、Read動作を示す。
【0022】
Erase動作では、ワード線を0Vとし、Well、ソース、ドレイン、チャネルを20V程度に上げる。この時、図1、図2に示す様に、チャネルとFloating Gateが接する部分のIPD膜の面積が、Floating Gateとゲート電極が接する面積に比べて、大きいので、たとえ、IPDの厚みがトンネル膜の厚みに比べて厚い状況でも、チャネルとFloating Gate間容量が、Floating Gateとゲート電極(ワード線)間容量に比べて大きな値を得ることが出来るので、結果として、チャネル−ゲート電極に印加した電圧20Vの内10V以上の大きな値が、Floating Gateとゲート電極間のトンネル膜側に印加される。
【0023】
これにより、FNトンネル電流により、ゲート電極側からFloatingGate側に電子が注入され、Erase動作により、選択したセルStringの全セルの閾値電圧Vtが上昇する。この時、IPD側は、印加電圧も低いし、膜厚も厚いので、電子がもれにくく、安定にFloatingGateへの注入電子量を確保することが出来るわけである。これにより、従来セルで問題であった、IPDの側壁の容量形成や、非常に高い誘電率の材料採用が不要となり、本実施形態では、IPD膜、トンネル膜共に、Si表面に並行な面に絶縁膜を形成するだけでよく、メモリセルの横方向。縦方向のScalingが容易になる。又、FloatingGateの底辺が十分広いので、セルのトランジスタとしてのShortChannel効果の抑制も出来る。
【0024】
セル情報のProgram方式を図5に示す。データを書きたい場合は、ビット線を0V(Program)にし、同じ選択ワード線で、データを書きたくないセルに接続されるビット線は2.5V程度の値にする(Program Inhibit)。
【0025】
その後、選択したセルのワード線を20V等に上げ、選択Stringの非選択セルのワード線は10V程度値に上げる。この時、データを書きたい場合は、セルノードも0Vになり、データを書きたくないセルに接続されるセルStringのセルノードは、Self−Boostされ、10V程度に上昇する。即ちProgramしたい場合は、チャネルーゲート電極間に20V、Program Inhibitの場合は、チャネルーゲート電極間に10Vが印加される訳である。
【0026】
この時、図1、図2に示す様に、チャネルとFloatingGateが接する部分のIPD膜の面積が、FloatingGateとゲート電極が接する面積に比べて、大きいので、たとえ、IPDの厚みがトンネル膜の厚みに比べて厚い状況でも、チャネルとFloatingGate間容量が、FloatingGateとゲート電極(ワード線)間容量に比べて大きな値を得ることが出来るので、結果として、チャネル−ゲート電極に印加した電圧20Vの内10V以上の大きな値が、Floating Gateとゲート電極間のトンネル膜側に印加される。これにより、FNトンネル電流により、FloatingGateからゲート電極側に電子が放出され、Program動作により、選択したセルの閾値電圧Vtが下がる。
【0027】
この時、IPD側は、印加電圧も低いし、膜厚も厚いので、電子がもれにくく、安定にFloatingGateからの放出電子量を確保することが出来るわけである。これにより、従来セルで問題であった、IPDの側壁の容量形成が不要となり、本実施形態では、IPD膜、トンネル膜共に、Si表面に並行な面に絶縁膜を形成するだけでよく、メモリセルの横方向及び縦方向のScalingが容易になる。
【0028】
Program nhibitの状態では、電圧が低いので、Floating Gateからゲート電極への電子の放出は抑制される。Programしたデータを読み出す場合は、選択セル以外をVread=5V程度にし、ビット線を0.7V程度にPrechargeし、ソース線を0Vにする。このとき、選択ワード線電位Vcr=0Vにすると、選択セルの閾値電圧が0V以上であれば、選択セルに電流が流れず、ビット線は0.7Vを保ち、選択セルの閾値電圧が0V未満であれば、選択セルに電流が流れ、ビット線電位は0.7Vから下降するので、BL電位をセンスアンプ判断すれば、“1”、“0”データの情報の読みだしが実現出来る。この時、FloatingGateの下部の幅が広いので、十分Short Channel効果を押さえることが出来る。又、トンネル膜と、IPD膜の直列容量が、従来に比べて小さくなるので、ワード線容量が小さくなり、高速動作が出来る。
【0029】
図6は、1つのセルに2ビットの情報を記憶する多値動作の場合を示す。Erase動作は図5と同等であり、Program動作は、ワード線の電位を制御することにより、トンネル膜を介して、Floating Gateから放出される電子量を制御することにより、4種類の閾値分布を得ることが出来る。この時、Read時選択ワード線の電位をVref0、Vref1、Vref2と変えることにより、セルトランジスタのON、OFF判断が出来、4つの状態:A、B、C、Eの判定が出来、2ビットの情報が読み出せるわけである。
【0030】
なお放置時、Standby時、Floating Gateに高い電位が印加されないように、図6に示す、閾値電圧の最大値は、正、負方向に同じ値程度にシフトさせる動作が望ましいといえる。
【0031】
図7に、セルサイズが40nm×40nmの場合での、本実施形態と従来のセルの場合のFloating Gateとその他の部分との容量値、容量比をSimulationで求めた場合の値を示す。Pyramidと呼ぶセルは本実施形態のセルである。本実施形態において、Floating GateとIPD膜が全体容量に対して、従来ほどではないが、十分大きな値になっていることがわかる。
【0032】
また、隣接FloatingGateや、隣接ワード線、隣接ソース、ドレインとの寄生容量が従来より小さく効果的であることがわかる。このように、本実施形態では、3次元構造のIPD膜、高誘電率のIPD膜を形成すること無く、十分なCoupling比を確保できていることがわかる。更に容量の絶対値は従来と比べ大幅に低減できており、ワード線容量の軽量化が実現できていることがわかる。
【0033】
図8に、従来、本実施形態のProgramが最もし難い状況での、トンネル膜に印加される電圧を計算で求めている。従来のセルが最もProgramし難い状況は、隣接セルのセルノードが0V、隣接セルのFloating GateがProgram後(Vt高い、即ちFloating Gate電位が低い)であり、最も選択セルのFloating Gateの電位が上がりにくくなり、トンネル膜に電圧がかかりにくい状態である。
【0034】
本実施形態のセルが最もProgramし難い状況は、隣接セルのセルノードが8V、隣接セルのFloatingGateがProgram後(Vt低い、即ちFloatingGate電位が高い)であり、最も選択セルのFloating Gateの電位が上がり易くなり、トンネル膜に電圧がかかりにくい状態である。この結果から、3次元構造のIPD膜、高誘電率のIPD膜を形成すること無く、十分な電圧がトンネル膜に印加されることがわかる。AIRギャップ有りでは11.3V、無くても10.3Vと十分な電圧がトンネル膜に印加されている。
【0035】
図9(a)、図9(b)には、従来と本実施形態のセルで4値(2ビット)の情報を記憶する場合の、隣接セルのProgramの影響度を示している。図7の容量比から、従来セルは隣接セルのProgramの有無の影響を受け易く、本実施形態は受けにくい。従来セルでは、IPDの容量に比べて、隣接Floating Gate間の容量比が40%程度もあり、周りのセルをProgramすると、そのCouplingで、選択セルがErase状態でも、閾値電圧が上昇し、Aレベルの分布と重なってしまう。これは、2ビット以上の多数の情報を記憶できないことを意味する。または、負にかなり深いErase状態を作る必要があることがわかる。
【0036】
これに対して、本実施形態は、隣接Floating Gate間の容量比が30%未満であり、周りのセルをProgramし、そのCouplingで、選択セルがErase状態でも、閾値電圧が下降するが、Aレベルの分布となることを防ぐことが可能となる。これは、2ビット以上の多数の情報を記憶できることを示す。
【0037】
図10は、本実施形態のセルで、多値ビットと記憶する時に有効なProgram、Verify Readの動作方式例を示す。本実施形態のセルにおいても、Floating Gateの電子がゲート電極側に抜け易いセルと抜け難いセルが存在する。よって、選択ワード線電位Vprogは、少しずつ低い値から高い値に上げてゆき、その途中で、Vcrを振って所望の閾値電圧に達したかどうかチェックする。セルVtは、Erase直後は高い電位なので、Vcr電位を高いほうから低い方に下げ、Vtが高いほうの状態設定にすべきセルから順に、Programが為されたかどうかチェックし、不十分にVtが下げられていないと、更にVprog電位を上げてProgramして、再度Vcrを上げてチェックする。
【0038】
更に、Vtが低い状態がターゲットのセルは更にVprogmを上げてProgramを行い、更に低いVcr電位で検査する。Programが完了したセルが接続されるビット線はHighに設定してProgram Inhibit状態にすればよい。この様に従来のProgram、Verify Readと異なる点は、Verify Read電位は高い方から低い方に順次下げる方式が望ましいことである。
【0039】
図11は、本実施形態に適用できるNAND Flashメモリのセルアレイ例を示す。Row Decoderで、選択するBlock、Pageを活性化し、ビット線に接続される。PageBufferを動作させ、Read/Program/Vrrify動作をする。
【0040】
図12(a)、図12(b)〜図20(a)、図20(b)は本実施形態の第2〜第10の実施形態を示す、本実施形態の他のメモリ構造を示す。図12(a)、図12(b)〜図20(a)、図20(b)は図1〜図11とほぼ同じ効果を持ち、図1〜図12の動作等を同じ方式が適用できる。
【0041】
図12(a)、図12(b)は本実施形態の第2の実施形態を示す、NAND Flashメモリや、その他Flashメモリに適用できる、メモリセル構造を示す。図12(a)はビット線方向の断面を示し、図12(b)はワード線方向の断面を示す。効果はほぼ図1と同じで、異なる点は、
AIRギャップが無い点であり、より製造し易い特徴があるが、隣接間の容量が増加してしまう。
【0042】
図13(a)、図13(b)は本実施形態の第3の実施形態を示す、NAND Flashメモリや、その他Flashメモリに適用できる、メモリセル構造を示す。図13(a)はビット線方向の断面を示し、図13(b)はワード線方向の断面を示す。効果はほぼ図1と同じで、異なる点は、ゲート電極幅が厚い点である。ワード線遅延がより短くなる特徴があるが、トンネル膜の容量等が増え、Coupling比が下がる欠点がある。
【0043】
図14(a)、図4(b)は本実施形態の第4の実施形態を示す、NAND Flashメモリや、その他Flashメモリに適用できる、メモリセル構造を示す。図14(a)はビット線方向の断面を示し、図14(b)はワード線方向の断面を示す。効果はほぼ図1と同じで、異なる点は、AIRギャップがワード線方向のみ無い場合を示す、AIRギャップを入れ難いワード線方向のみAIRをなくしている。製造しやすいが、トンネル膜のワード線方向との隣接容量等が増える欠点がある。
【0044】
図15(a)、図15(b)は本実施形態の第5の実施形態を示す、NAND Flashメモリや、その他Flashメモリに適用できる、メモリセル構造を示す。図15(a)はビット線方向の断面を示し、図15(b)はワード線方向の断面を示す。効果はほぼ図1と同じで、異なる点は、Floating Gateが台形でなく、ひな段になっている点である。プロセスにより、この実施形態の方が製造しやすい場合がある。
【0045】
図16(a)、図16(b)は本実施形態の第6の実施形態を示す、NAND Flashメモリや、その他Flashメモリに適用できる、メモリセル構造を示す。図16(a)はビット線方向の断面を示し、図16(b)はワード線方向の断面を示す。効果はほぼ図16と同じで、異なる点は、ゲート電極の上部が下部に比べて幅が広い特徴がある。トンネル膜の容量を減らしつつ、ワード線抵抗を減らす場合に有効といえる。
【0046】
図17(a)、図17(b)は本実施形態の第7の実施形態を示す、NAND Flashメモリや、その他Flashメモリに適用できる、メモリセル構造を示す。図17(a)はビット線方向の断面を示し、図17(b)はワード線方向の断面を示す。効果はほぼ図16と同じで、異なる点の第一は、ゲート電極下のトンネル膜がワード線方向で分断されていない点である。この実施例に示すように、他の実施例においても、IPD膜、トンネル膜ともに、Floating Gateと接している部分のみに存在しても良いし、他の部分にあっても良い、製造方法により最適な構造を選べばよいことが判る。異なる点の第2は、ワード線方向においても、FloatingGateがひな段方式になっている点である。よりFloatingGateと接するトンネル膜の面積が削減出来、Coupling比が向上する。
【0047】
図18(a)、図18(b)は本実施形態の第8の実施形態を示す、NAND Flashメモリや、その他Flashメモリに適用できる、メモリセル構造を示す。図18(a)はビット線方向の断面を示し、図18(b)はワード線方向の断面を示す。効果はほぼ図17と同じで、異なる点は、ワード線方向で、トンネル膜と接する部分のゲート電極が細くなっている点で、トンネル膜の容量が低減出来、Coupling比が向上する。
【0048】
図19(a)、図19(b)は本実施形態の第9の実施形態を示す、NAND Flashメモリや、その他Flashメモリに適用できる、メモリセル構造を示す。図19(a)はビット線方向の断面を示し、図19(b)はワード線方向の断面を示す。効果はほぼ図18と同じで、異なる点は、ワード線方向、ビット線方向ともに、FloatingGateが台形の完全Pyramid型になっている点である。よりFloatingGateと接するトンネル膜の面積が削減出来、Coupling比が向上する。
【0049】
図20(a)、図20(b)は本実施形態の第10の実施形態を示す、NAND Flashメモリや、その他Flashメモリに適用できる、メモリセル構造を示す。図20(a)はビット線方向の断面を示し、図20(b)はワード線方向の断面を示す。効果はほぼ図19と同じで、異なる点は、更にワード線の上部の幅が厚くなっており、ワード線遅延を削減出来ることにある。
【0050】
なお、本願実施形態は上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。更に、上記実施形態には種々の段階の実施形態が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の実施形態が抽出されうる。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、実施形態が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、実施形態の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が実施形態として抽出されうる。
【符号の説明】
【0051】
AA…拡散層、FG…Floating Gate、GC…ゲート電極(ワード線)、BL…ビット線、IPD…絶縁膜、TNL…トンネル膜、PWELL…P型Well、DL…絶縁膜、Vt…閾値電圧、SL…ソース線、SGS…ソース側選択ゲート、SGD…ビット線側選択ゲート、STI…素子分離、WL…ワード線、BL…ビット線、Vprogm、Vprogmk…選択セルへのProgram電圧、Vpass…非選択セルへの通過電圧、Vread…非選択セルへの読み出し電圧、Vcr…選択セルのゲートに印加される読みだし電圧、NFG…選択セルのFloating Gateと他のセルのFloating Gateとの寄生容量、NAA…選択セルのFloating Gateと他のセルのチャネル、拡散層との寄生容量、AIR…気体或いは真空部分がある部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のSilicon Channel上に形成された第1の絶縁膜と、この第1の絶縁膜上に形成された第1のFloating Gateと、この第1のFloating Gate上に形成された第2の絶縁膜と、この第2の絶縁膜上に形成された第1のゲート電極と、第1のSilicon Channelに隣接して形成された第1のソース電極、第1のドレイン電極からなる第1の不揮発性メモリセルと、
第2のSilicon Chanel上に形成された第3の絶縁膜と、この第3の絶縁膜上に形成された第2のFloating Gateと、この第2のFloating Gate上に形成された第4の絶縁膜と、この第4の絶縁膜上に形成された第2のゲート電極と、前記第2のFloating Gateと第4のゲート電極を接続する第1のコンタクトと、第2のSilicon Channelに隣接して形成された第2のソース電極、第2のドレイン電極からなる第1の選択トランジスタと、
前記第1の不揮発性メモリセルが直列に複数接続され、その一端は、前記第1の選択トランジスタを介してビット線に接続され、他端は、前記第1の選択トランジスタを介してソース線に接続されたもので第1のセルブロックを構成し、これを複数配列する不揮発性メモリにおいて、
前記第1のFloating Gateが前記第1のSilicon Channelと接する部分の前記第1の絶縁膜の面積S1が、前記第1のFloating Gateが前記第1のゲート電極と接する部分の前記第2の絶縁膜の面積S2に比べて大きい
ことを特徴とする不揮発性メモリ。
【請求項2】
前記第1のFloating Gateが前記第1のSilicon Channelと接する部分の前記第1の絶縁膜の厚みT1が、前記第1のFloating Gateが前記第1のゲート電極と接する部分の前記第2の絶縁膜の厚みT2に比べて、厚い
ことを特徴とする請求項1記載の不揮発性メモリ。
【請求項3】
前記第1のゲート電極の電位を、前記第1のソース電極、前記第1のドレイン電極より高くした場合、前記第1のFloating Gateから前記第1のゲート電極に流出する電子量が、前記第1のSilicon Channelから前記第1のFloating Gateに流入する電子量より多くなり、不揮発性メモリセルの閾値電圧が下がり情報をProgramする
ことを特徴とする請求項2記載の不揮発性メモリ。
【請求項4】
前記第1のゲート電極の電位を、前記第1のソース電極、前記第1のドレイン電極より低くした場合、前記第1のゲート電極から前記第1のFloating Gateに流入する電子量が、前記第1のFloating Gateから前記第1のSilicon Channelからに流出する電子量より多くなり、不揮発性メモリセルの閾値電圧が上がり情報をEraseする
ことを特徴とする請求項3記載の不揮発性メモリ。
【請求項5】
前記第2の絶縁膜の前記第1のFloating Gateと接する境界面と、前記第2の絶縁膜の前記第1のゲート電極と接する境界面は、前記第1のSilicon Channelと前記第1の絶縁膜が接する境界面に対して、並行である
ことを特徴とする請求項4記載の不揮発性メモリ。
【請求項6】
閾値電圧は、2種類、或いは4種類、或いは8種類、或いは16種類にグループ化され、1bit、或いは2bit、或いは3bit、あるいは4bitの情報が記憶できる
ことを特徴とする請求項5記載の不揮発性メモリ。
【請求項7】
第1のSilicon Channel上に形成された第1の絶縁膜と、この第1の絶縁膜上に形成された第1のFloating Gateと、この第1のFloating Gate上に形成された第2の絶縁膜と、この第2の絶縁膜上に形成された第1のゲート電極と、第1のSilicon Channelに隣接して形成された第1のソース電極、第1のドレイン電極からなる第1の不揮発性メモリセルにおいて、
前記第1のFloating Gateの形状が、上辺が可変に比べて短い台形の形状をしていることを特徴とする不揮発性メモリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−204405(P2012−204405A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64932(P2011−64932)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】