説明

不揮発性半導体メモリの製造方法

【課題】安定でかつ信頼性の高い不揮発性半導体メモリを形成する。
【解決手段】p型シリコン半導体基板15に溝13a,13bを形成し、この溝13a,13b底面部に、不純物拡散層12a,12bを形成する。このようなp型シリコン半導体基板15上に、シリコン酸化膜からなる第1絶縁膜16a、シリコン窒化膜からなる電荷捕獲膜16b、およびシリコン酸化膜からなる第2絶縁膜16cが順に積層された3層構造のゲート絶縁膜16が形成される。このゲート絶縁膜16上に、ゲート電極11が形成される。ここで、溝13a,13bによって形成された凸部14は、不揮発性半導体メモリ10のチャネル領域となる。この不揮発性半導体メモリ10では、素子が微細化されても、その実効的なチャネル長が確保されるので、安定で、高い信頼性を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は不揮発性半導体メモリの製造方法に関し、特に半導体基板とゲート電極との間に形成されるゲート絶縁膜内に電子を捕獲して情報を記憶する不揮発性半導体メモリの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電荷捕獲準位を持つ絶縁膜内に局所的に電子を捕獲して情報の書き込み/読み出しを行う不揮発性半導体メモリが提案されてきている(例えば、特許文献1参照。)。近年では、これを応用して、1メモリセルあたり2ビットの情報を記憶するようにした不揮発性半導体メモリも提案されてきている。
【0003】
図23は従来の不揮発性半導体メモリの構成例を示す図であって、(a)は書き込み動作、(b)は読み出し動作の各動作状態における概略断面図である。
不揮発性半導体メモリ200は、p型シリコン半導体基板201の表面領域に形成された1対の不純物拡散層202,203を有している。この不純物拡散層202,203は、不揮発性半導体メモリ200においてソース/ドレインとして機能する。p型シリコン半導体基板201上には、ゲート絶縁膜204が形成され、このゲート絶縁膜204上にゲート電極205が形成されている。
【0004】
ゲート絶縁膜204は、シリコン酸化膜からなる第1絶縁膜204a、シリコン窒化膜からなる電荷捕獲膜204b、およびシリコン酸化膜からなる第2絶縁膜204cが順に積層された3層構造になっている。
【0005】
この不揮発性半導体メモリ200における情報の書き込み/読み出しは、適当な印加電圧下で不純物拡散層202,203近傍の電荷捕獲膜204b内に形成される電荷捕獲領域に、局所的に電子が捕獲されることによって行われる。図23では、この電荷捕獲領域として、レフトビット領域206、ライトビット領域207の2つの電荷捕獲領域を示している。不揮発性半導体メモリ200は、レフトビット領域206とライトビット領域207にそれぞれ1ビット、合計2ビットの情報の書き込み/読み出しを行うことができるようになっている。
【0006】
このような不揮発性半導体メモリ200において、レフトビット領域206に情報を書き込む場合には、例えば、不純物拡散層202,203にそれぞれ5V,0Vの電圧を印加し、ゲート電極205に8V程度の電圧を印加する。これにより、図23(a)に示したように、不純物拡散層202,203間に反転層208aが形成され、不純物拡散層202近傍で生じるチャネルホットエレクトロンが、第1絶縁膜204aを飛び越えてレフトビット領域206に捕獲される。
【0007】
一方、レフトビット領域206から情報を読み出す場合には、情報の書き込み時とは逆方向の電圧を、不純物拡散層202,203に印加する。例えば、不純物拡散層202,203にそれぞれ0V,2Vの電圧を印加し、ゲート電極205に5V程度の電圧を印加する。
【0008】
ここで、レフトビット領域206に電子が捕獲されているときは、図23(b)に示したように、反転層208bが捕獲電子の影響で遮断され、不純物拡散層202,203間に電流が流れない。
【0009】
また、このレフトビット領域206に電子が捕獲されていないときに、レフトビット領域206の情報を読み出す場合には、これに対向するライトビット領域207の捕獲電子の有無は、読み出し動作に影響しないとされている。これは、ライトビット領域207に電子が捕獲されていれば、不純物拡散層203近傍で反転層208bが消失するが、その範囲はチャネル長に対して狭い範囲であり、電流への影響は無視できるほど小さいためである。また、ライトビット領域207に電子が捕獲されていなければ、反転層208bが消失することはなく、印加電圧に応じた電流が、不純物拡散層202,203間に流れることになる。
【0010】
これは、レフトビット領域206とライトビット領域207における電子の保持状態が逆になっている場合も同様である。
ところで、近年では、このような不揮発性半導体メモリを含む種々の半導体素子について、更なる微細化、高性能化および高信頼性が要求されている。
【特許文献1】特開平11−67937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、半導体素子の微細化によってそのチャネル長が短くなると、チャネル長に対する電荷捕獲領域の長さの比率が大きくなる。そのため、一方のビット領域から情報を読み出す際に、これに対向する他方のビット領域における捕獲電子の有無の影響を無視することができなくなるという問題点があった。
【0012】
図24は微細化された不揮発性半導体メモリの構成例を示す図であって、(a)は反転層が部分的に消失した状態、(b)はビット領域の位置にずれが生じた状態をそれぞれ示している。
【0013】
不揮発性半導体メモリ300では、チャネル長が短くなることで、電荷捕獲膜301に形成されるレフトビット領域302とライトビット領域303との間の距離が小さくなる。
【0014】
このような不揮発性半導体メモリ300において、例えば、レフトビット領域302に電子が捕獲されておらず、ライトビット領域303に電子が捕獲されているときに、レフトビット領域302の情報を読み出す場合を考える。
【0015】
この場合、図24(a)に示したように、チャネル領域の反転層304が、ライトビット領域303近傍で、捕獲電子の作る負電界により消失してしまう。チャネル長が短くなると、従来に比べて、この反転層304の消失範囲のチャネル長に対する比率が大きくなる。そのため、レフトビット領域302の読み出し時に、不純物拡散層305,306間に流れる電流が大きく減少し、正確な読み出し動作ができなくなるという問題が生じる可能性がある。
【0016】
また、従来の構造では、電荷捕獲膜301がチャネル領域全面に対応して形成されている。そのため、書き込み時のドレイン電圧やゲート電圧が変動すると、図24(b)に示したように、電子を捕獲したライトビット領域303がレフトビット領域302側にずれてしまう場合がある。その結果、実効的なチャネル長が短くなるという問題が生じてしまう。この問題は、短チャネル長化が進んで電荷捕獲領域であるビット領域間の距離が短くなるに従って顕著になり、結果的には、図24(a)で述べたのと同様の理由で、正確な読み出し動作ができなくなることになる。
【0017】
このような問題に対し、レフトビット領域302の読み出し時の反転層304を、対向するライトビット領域303の手前でピンチオフさせることで、その消失の影響を回避することができる可能性が考えられる。しかし、この場合には、ソース/ドレイン間またはゲート電極に、高電圧を印加しなければならない。その結果、チャネルホットエレクトロンが発生し、これが電荷捕獲膜301に捕獲されると、読み出し時に誤った書き込みが行われてしまうという問題が生じる場合がある。
【0018】
また、電荷捕獲領域に捕獲される電子を減らして電荷捕獲領域自体の範囲を狭くする方法も考えられるが、この場合、データ保持信頼性が低下してしまう。さらに、この場合には、捕獲電子が形成する負電界が小さくなることになる。例えばレフトビット領域302で捕獲電子あり、ライトビット領域303で捕獲電子なしという状態を想定する。このような状態では、捕獲電子が少ないと、レフトビット領域302の読み出し動作時に、レフトビット領域302近傍の反転層304が充分消失されず、電流が流れてしまうという問題が生じる場合がある。
【0019】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、微細化に対しても安定でかつ信頼性の高い動作を行うことのできる不揮発性半導体メモリの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明では上記課題を解決するために、半導体基板とゲート電極との間に形成されたゲート絶縁膜内に電子を捕獲する電荷捕獲領域を有する不揮発性半導体メモリの製造方法において、第1導電型の半導体基板に溝を形成し、形成された前記溝の底面部に第2導電型の不純物拡散層を形成し、前記不純物拡散層が形成された前記半導体基板上に、電荷捕獲領域が形成される電荷捕獲膜を含むゲート絶縁膜を形成することを特徴とする不揮発性半導体メモリの製造方法が提供される。
【0021】
この方法によれば、例えば図2に示す不揮発性半導体メモリ10の形成において、p型シリコン半導体基板15に溝13a,13bを形成し、この溝13a,13b底面部にn型の不純物拡散層12a,12bを形成する。そして、このp型シリコン半導体基板15上に、ゲート絶縁膜16を介してゲート電極11を形成する。これにより、溝13a,13bによって形成される凸部14をチャネル領域とする不揮発性半導体メモリ10が形成される。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、凸部を有する半導体基板上に、その凸部側壁部に電荷捕獲領域が形成されるゲート絶縁膜を形成する構成とする。これにより、不揮発性半導体メモリが微細化されても実効的なチャネル長が確保されるので、微細化が容易で、信頼性の高い不揮発性半導体メモリを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
まず、第1の実施の形態について説明する。
図1は第1の実施の形態の不揮発性半導体メモリの平面図、図2は図1のA−A断面図、図3は図1のB−B断面図である。
【0024】
不揮発性半導体メモリ10は、図1に示すように、そのゲート電極11と、ソース/ドレインとして機能する不純物拡散層12a,12bとが、直交して形成されている。
この不揮発性半導体メモリ10は、図2に示すように、2つの溝13a,13bに挟まれた凸部14が形成されたp型シリコン半導体基板15を有している。そして、この溝13a,13bの底面部に、不純物拡散層12a,12bがそれぞれ形成されている。p型シリコン半導体基板15上には、ゲート絶縁膜16が形成されている。このゲート絶縁膜16は、シリコン酸化膜からなる第1絶縁膜16a、シリコン窒化膜からなる電荷捕獲膜16b、およびシリコン酸化膜からなる第2絶縁膜16cが順に積層された3層構造になっている。このゲート絶縁膜16上に、ゲート電極11が形成されている。この不揮発性半導体メモリ10では、p型シリコン半導体基板15の凸部14がそのチャネル領域となる。
【0025】
不揮発性半導体メモリ10は、図2に示したA−A断面では、ゲート電極11が、図1中横方向に連続して形成されたメモリセルのゲート絶縁膜16上に形成される。一方、図3に示すB−B断面では、図1中縦方向に連なるメモリセルのゲート電極11が、それぞれ電気的に独立して形成されている。
【0026】
この不揮発性半導体メモリ10では、所定の電圧印加により、電荷捕獲膜16bのうち凸部14の側壁部(側壁および側壁近傍を含む)に、情報の書き込み時に電子を捕獲する電荷捕獲領域(ビット領域)が形成される。不揮発性半導体メモリ10は、電荷捕獲領域として、図2に示した不純物拡散層12a側のレフトビット領域17a、および不純物拡散層12b側のライトビット領域17bの2つのビット領域を有している。不揮発性半導体メモリ10では、レフトビット領域17aとライトビット領域17bにそれぞれ1ビット、合計2ビットの情報の書き込み/読み出しが行われるようになっている。
【0027】
図4は不揮発性半導体メモリの回路構成例を示す図である。
不揮発性半導体メモリの回路は、メモリセルアレイ、ロウデコーダ、コラムデコーダ、センスアンプ、および図示しない基準電流発生回路、入出力回路、制御回路などにより構成されている。
【0028】
メモリセルアレイは、複数のメモリセルM00,M01,・・・で構成され、各メモリセルM00,M01,・・・は、レフトビット領域およびライトビット領域の2つのビット領域を有している。
【0029】
各メモリセルM00,M01,・・・のゲート電極およびソース/ドレインは、ワード線WL0,WL1,・・・、およびビット線BL0,BL1,・・・、にそれぞれ接続されている。例えば、メモリセルM00のゲート電極はワード線WL0に接続され、ソース/ドレインは、ビット線BL0,BL1に接続されている。
【0030】
図1ないし図3に示した不揮発性半導体メモリ10における情報の書き込み/読み出し動作は、ゲート電極11およびソース/ドレインとなる不純物拡散層12a,12bに、ワード線およびビット線から所定の電圧を印加して行われる。
【0031】
図5は第1の実施の形態の不揮発性半導体メモリの動作説明図であって、(a)は書き込み動作、(b)は読み出し動作、(c)は消去動作を説明する図である。なお、図5(a)および図5(b)は、ライトビット領域17bに電子が捕獲されている状態を示している。
【0032】
まず、ライトビット領域17bに情報を書き込む場合について述べる。この場合には、例えば、ソースとなる不純物拡散層12aの電圧を0V、ドレインとなる不純物拡散層12bの電圧を5V程度としてソース/ドレイン間に電位差を生じさせる。そして、ゲート電極11に10V程度の高電圧を印加する。これにより、図5(a)に示すように、不純物拡散層12a,12b間に反転層18aが形成される。そして、不純物拡散層12b近傍で生じるチャネルホットエレクトロンが、第1絶縁膜16aを飛び越えてライトビット領域17bに捕獲される。
【0033】
ライトビット領域17bから情報を読み出す場合には、ソース/ドレイン間に、書き込みの場合と逆方向の電圧を印加する。すなわち、例えば、ドレインとなる不純物拡散層12aの電圧を2V、ソースとなる不純物拡散層12bの電圧を0V程度とし、ゲート電極11には5V程度の電圧を印加する。これにより、不純物拡散層12a,12b間に反転層18bができる。
【0034】
ここで、図5(b)に示すように、ライトビット領域17bに電子が捕獲されている場合には、その電子の負電界によってライトビット領域17b近傍には反転層18bが形成されない。その結果、ソース/ドレイン間には電流が流れない。一方、ライトビット領域17bに電子が捕獲されていない場合には、ライトビット領域17b近傍にも反転層18bが形成され(図示せず)、ソース/ドレイン間に電流が流れる。このように、不揮発性半導体メモリ10は、電荷捕獲領域における捕獲電子の有無に対応して1ビットの情報を記憶することができる。
【0035】
レフトビット領域17aへの情報の書き込み/読み出しも、ライトビット領域17bの場合と同様に行うことができる。この場合には、ライトビット領域17bへの情報の書き込み/読み出しの際に印加する電圧の方向を逆にして印加するようにする。
【0036】
また、いったん電荷捕獲領域に書き込んだ情報を消去する場合には、ゲート電極11に、例えば−10V程度の負の高電圧を印加し、p型シリコン半導体基板15には10V程度の正の高電圧を印加する。これにより、図5(c)に示すように、ライトビット領域17bに捕獲されていた電子が、FNトンネリングでp型シリコン半導体基板15内へ引き抜かれる。この際、ソース/ドレインは、オープンまたは0Vとする。レフトビット領域17aの情報を消去する場合も全く同様である。
【0037】
さらに、情報を消去する別の方法として、ゲート電極11に、例えば−10V程度の負の高電圧を印加し、不純物拡散層12bに、例えば5V程度の正の電圧を印加して行う方法もある。この方法では、電圧印加の結果、不純物拡散層12b近傍に空乏層が形成され、ここで発生するホット・ホールを、ライトビット領域17bに注入することで電荷捕獲領域を中和する。この際、不純物拡散層12aは、オープンまたは0Vとする。
【0038】
この方法によりレフトビット領域17aの情報を消去する場合には、同様に、ゲート電極11に、例えば−10V程度の負の高電圧を印加し、不純物拡散層12aに、例えば5V程度の正の電圧を印加する。そして、発生するホット・ホールを、レフトビット領域17aに注入して中和するようにする。
【0039】
また、レフトビット領域17aおよびライトビット領域17bの情報を同時に消去したい場合には、ゲート電極11に負の高電圧、不純物拡散層12a,12bの双方に正の電圧を印加すればよい。
【0040】
以上説明したように、p型シリコン半導体基板15上に、ゲート絶縁膜16を介してゲート電極11が形成された不揮発性半導体メモリ10において、そのチャネル領域を凸状に形成する。そして、p型シリコン半導体基板15の凸部14側壁部のゲート絶縁膜16内に、電荷捕獲領域が形成される。これにより、素子の微細化に対しても、実効的なチャネル長を確保することができる。したがって、素子の微細化が容易で、信頼性の高い不揮発性半導体メモリを得ることができる。
【0041】
次に、上記構成の不揮発性半導体メモリ10の製造方法について説明する。
図6および図7は第1の実施の形態の不揮発性半導体メモリの製造方法の説明図であって、図6(a)は第1のイオン注入工程、図6(b)は凸部形成工程、図6(c)は第2のイオン注入工程、図7(a)は不純物拡散層形成工程、図7(b)はゲート絶縁膜形成工程、図7(c)はポリサイド層形成工程の各工程における概略断面図である。
【0042】
まず、p型シリコン半導体基板15上に、所定のウェルを形成し、さらに、周辺回路領域の素子分離を行う(図示せず)。
次に、図6(a)に示すように、公知のイオン注入法で、p型不純物であるボロン(B)イオンを、p型シリコン半導体基板15の全面にイオン注入する。このイオン注入は、加速エネルギ30keVから90keV程度、ドーズ量5×1011ions/cm2から5×1012ions/cm2程度の条件で行う。
【0043】
次に、図6(b)に示すように、公知のフォトリソグラフィにより、p型シリコン半導体基板15上にフォトレジスト19を形成する。続けて、フォトレジスト19をマスクとしたエッチング法により、p型シリコン半導体基板15の一部を選択的に除去して溝13a,13bを形成する。これにより、p型シリコン半導体基板15に凸部14が形成される。
【0044】
なお、この溝13a,13bは、ここでは、例えば、幅0.3μm程度、深さ0.15μm程度とする。ただし、この幅および深さは、単なる例であり、形成する不揮発性半導体メモリの印加電圧範囲や要求されるデータ保持特性などを考慮して、任意に設定することが可能である。
【0045】
次に、図6(c)に示すように、フォトレジスト19をマスクとして、公知のイオン注入法で、ボロンイオンを、p型シリコン半導体基板15を傾斜させた状態で注入する。このイオン注入は、加速エネルギ30keVから90keV程度、ドーズ量5×1011ions/cm2から5×1012ions/cm2程度の条件で行う。
【0046】
次に、図7(a)に示すように、フォトレジスト19をマスクとして、n型不純物であるヒ素(As)を、加速エネルギ50keV程度、ドーズ量1×1015ions/cm2から5×1015ions/cm2程度の条件でイオン注入する。これにより、メモリセルのソース/ドレインおよびビット線として機能する不純物拡散層12a,12bを形成する。
【0047】
次に、図7(b)に示すように、フォトレジスト19を除去し、露出したp型シリコン半導体基板15上に、公知の熱酸化法により、シリコン酸化膜を膜厚10nm程度に形成し、第1絶縁膜16aを形成する。
【0048】
次いで、この第1絶縁膜16a上に、公知のCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、シリコン窒化膜を膜厚10nm程度に形成し、電荷捕獲膜16bを形成する。
その後、再び公知の熱酸化法に従い、酸素雰囲気中で温度900℃から950℃程度で、時間30分から60分程度の熱処理を加え、電荷捕獲膜16bの上部を膜厚10nm程度酸化し、第2絶縁膜16cを形成する。
【0049】
これにより、第1絶縁膜16a、電荷捕獲膜16bおよび第2絶縁膜16cが順に積層された3層構造のゲート絶縁膜16が形成される。
次に、図7(c)に示すように、公知のCVD法により、全面に、ポリサイド層11aを形成する。このポリサイド層11aの形成は、リン(P)を2×1020atoms/cm3から6×1020atoms/cm3程度含有した多結晶シリコン膜を膜厚300nm程度、タングステンシリサイド膜を膜厚200nm程度形成して行う。
【0050】
次いで、公知のフォトリソグラフィとエッチング法でポリサイド層11aを加工し、図1ないし図3に示したゲート電極11を形成する。その後、公知の熱拡散法で不純物の活性化熱処理を行い、不純物拡散層12a,12bの拡散と活性化を行う。
【0051】
最後に、図示しないコンタクト孔の開口、メタル配線の形成などを行う。
なお、上記の説明において、図6(a)および図6(c)に示したボロンイオンのイオン注入は、チャネル領域となる凸部14における不純物濃度の調整のために行われる。そのため、これらの工程は必要に応じて行うことも可能であり、また、その順序はこれに限定されるものではない。例えば、図6(a)に示したイオン注入工程は、図7(b)に示したゲート絶縁膜16の形成後に行うこともできる。
【0052】
次に、上記第1の実施の形態の変形例として、第2から第5の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、第2の実施の形態について説明する。
【0053】
図8は第2の実施の形態の不揮発性半導体メモリの製造方法の説明図であって、(a)は不純物拡散層形成工程、(b)はゲート絶縁膜形成工程、(c)はポリサイド層形成工程の各工程における概略断面図である。なお、図8において、図6および図7に示した構成要素と同一の要素については同一の符号を付してある。
【0054】
まず、p型シリコン半導体基板15上に、所定のウェルを形成し、さらに、周辺回路領域の素子分離を行う(図示せず)。
次いで、図8(a)に示すように、p型シリコン半導体基板15上に、公知の熱酸化法により、シリコン酸化膜を膜厚15nm程度に形成し、第3絶縁膜として上面部絶縁膜21を形成する。
【0055】
この上面部絶縁膜21の形成以降は、第1の実施の形態とほぼ同様である。すなわち、まず、公知のフォトリソグラフィにより、p型シリコン半導体基板15上にフォトレジスト19を形成する。続けて、フォトレジスト19をマスクとしたエッチング法により、上面部絶縁膜21およびp型シリコン半導体基板15の一部を選択的に除去して溝13a,13bおよび凸部14を形成する。
【0056】
その後、フォトレジスト19をマスクとして、ヒ素を、加速エネルギ50keV程度、ドーズ量1×1015ions/cm2から5×1015ions/cm2程度の条件でイオン注入し、不純物拡散層12a,12bを形成する。
【0057】
次に、図8(b)に示すように、フォトレジスト19を除去し、露出したp型シリコン半導体基板15上に、公知の熱酸化法により、シリコン酸化膜を膜厚10nm程度に形成し、第1絶縁膜16aを形成する。
【0058】
次いで、この第1絶縁膜16a上に、公知のCVD法により、シリコン窒化膜を膜厚10nm程度に形成し、電荷捕獲膜16bを形成する。
その後、再び公知の熱酸化法に従い、酸素雰囲気中で温度900℃から950℃程度で、時間30分から60分程度の熱処理を加え、電荷捕獲膜16bの上部を膜厚10nm程度酸化し、第2絶縁膜16cを形成する。
【0059】
これにより、凸部14上面部は、上面部絶縁膜21、電荷捕獲膜16bおよび第2絶縁膜16cの3層構造となる。一方、凸部14上面部以外の部分(凸部14側壁部および不純物拡散層12a,12b上面部)については、第1の実施の形態と同様、第1絶縁膜16a、電荷捕獲膜16bおよび第2絶縁膜16cの3層構造となる。
【0060】
以降の工程は第1の実施の形態と同様、図8(c)に示すように、CVD法により、全面に多結晶シリコン膜およびタングステンシリサイド膜を形成してポリサイド層11aを形成する。そして、ポリサイド層11aの加工後、不純物拡散層12a,12bを活性化する。最後に、図示しないコンタクト孔の開口、メタル配線の形成などを行う。
【0061】
このように形成された不揮発性半導体メモリでは、凸部14側壁部の第1絶縁膜16aの膜厚に比べて、凸部14上面部の上面部絶縁膜21の膜厚を厚く形成することができる。そのため、凸部14にあるチャネル領域で、電子が上面部絶縁膜21を越えて電荷捕獲膜16bに捕獲されるのが防止され、電子は凸部14側壁部の電荷捕獲膜16bに対して選択的に捕獲されるようになる。したがって、電荷捕獲膜16b内に形成される電荷捕獲領域の位置制御をより正確に行い、電荷捕獲領域を凸部14の側壁部に確実に位置させることができるので、安定で、かつ、信頼性の高い動作を行う不揮発性半導体メモリが得られる。
【0062】
次に、第3の実施の形態について説明する。ただし、第3の実施の形態においては、第1の実施の形態における図6(a)ないし図6(c)および図7(a)に示した工程までは同様に行われる。これ以降の工程について、以下に説明する。
【0063】
図9および図10は第3の実施の形態の不揮発性半導体メモリの製造方法の説明図であって、図9(a)は第1絶縁膜および電荷捕獲膜形成工程、図9(b)は酸化膜形成工程、図9(c)は第1の酸化膜除去工程、図9(d)は電荷捕獲膜除去工程、図10(a)は第2の酸化膜除去工程、図10(b)はゲート絶縁膜形成工程、図10(c)はポリサイド層形成工程の各工程における概略断面図である。なお、図9および図10において、図6および図7に示した構成要素と同一の要素については同一の符号を付してある。
【0064】
まず、図7(a)に示したフォトレジスト19を除去した後、露出したp型シリコン半導体基板15に、図9(a)に示すように、公知の熱酸化法により、シリコン酸化膜を膜厚10nm程度に形成し、第1絶縁膜16aを形成する。次いで、この第1絶縁膜16a上に、公知のCVD法により、シリコン窒化膜を膜厚10nm程度に形成し、電荷捕獲膜16bを形成する。
【0065】
次に、図9(b)に示すように、公知のCVD法により、全面に酸化膜31を膜厚500nm程度形成する。
次に、図9(c)に示すように、公知のCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により、電荷捕獲膜16bのシリコン窒化膜をストッパとして、シリコン窒化膜が露出するまで、酸化膜31を除去する。
【0066】
次に、図9(d)に示すように、リン酸溶液を用いた公知のエッチング法により、表面に露出している電荷捕獲膜16bを除去する。
次に、図10(a)に示すように、フッ化水素溶液を用いた公知のエッチング法により、溝13a,13b内部の酸化膜31を除去する。
【0067】
次に、図10(b)に示すように、露出したp型シリコン半導体基板15に、公知の熱酸化法でシリコン酸化膜を膜厚20nm程度形成し、凸部14に第4絶縁膜として上面部絶縁膜32を形成する。その際、残存している電荷捕獲膜16bの上部も一部酸化され、膜厚2nmから5nm程度のシリコン酸化膜からなる第2絶縁膜16cが形成される。したがって、凸部14上面部には上面部絶縁膜32が形成され、凸部14の上面部以外の部分は、第1絶縁膜16a、電荷捕獲膜16bおよび第2絶縁膜16cの3層構造になる。
【0068】
以降の工程は第1の実施の形態と同様、図10(c)に示すように、ポリサイド層11aを形成して加工した後、不純物拡散層12a,12bを活性化する。最後に、図示しないコンタクト孔の開口、メタル配線の形成などを行う。
【0069】
このように形成された不揮発性半導体メモリでは、凸部14上面部に電荷捕獲膜16bが形成されないため、チャネル領域の電子が、凸部14側壁部の電荷捕獲膜16bに選択的に捕獲される。このように、電荷捕獲領域の位置制御をより正確に行うことができるので、安定で、かつ、信頼性の高い動作を行う不揮発性半導体メモリが得られる。
【0070】
さらに、上面部絶縁膜32を適当な膜厚で形成することによって閾値の設定が可能である。
次に、第4の実施の形態について説明する。ただし、第4の実施の形態においては、第1の実施の形態における図6(a)ないし図6(c)および図7(b)に示した工程までは同様に行われる。これ以降の工程について、以下に説明する。
【0071】
図11は第4の実施の形態の不揮発性半導体メモリの製造方法の説明図であって、(a)はゲート絶縁膜除去工程、(b)は上面部絶縁膜および底面部絶縁膜形成工程、(c)はポリサイド層形成工程の各工程における概略断面図である。なお、図11において、図6および図7に示した構成要素と同一の要素については同一の符号を付してある。
【0072】
まず、図7(b)に示したゲート絶縁膜16を、図11(a)に示すように、公知のエッチング法を用いて、p型シリコン半導体基板15が露出するまで全面エッチングする。これにより、凸部14側壁部のみを、第1絶縁膜16a、電荷捕獲膜16bおよび第2絶縁膜16cの3層構造とする。
【0073】
次に、図11(b)に示すように、露出したp型シリコン半導体基板15に、公知の熱酸化法を用いて、シリコン酸化膜を膜厚20nm程度形成する。これにより、凸部14上面部に上面部絶縁膜41を、溝13a,13b底面部に底面部絶縁膜42a,42bを、第4絶縁膜としてそれぞれ形成する。
【0074】
以降の工程は第1の実施の形態と同様、図11(c)に示すように、ポリサイド層11aを形成して加工した後、不純物拡散層12a,12bを活性化する。最後に、図示しないコンタクト孔の開口、メタル配線の形成などを行う。
【0075】
このように形成された不揮発性半導体メモリでは、凸部14側壁部に電荷捕獲膜16bが形成されている。それとともに、不純物拡散層12a,12b上面部には、3層構造の場合に比べて容量の低い底面部絶縁膜42a,42bが形成されている。そのため、ポリサイド層11aから形成される図1ないし図3に示したゲート電極11と、ソース/ドレインとなる不純物拡散層12a,12bとの間の寄生容量が減少する。これにより、高速かつ安定な不揮発性半導体メモリを得ることができる。
【0076】
また、凸部14上面部には電荷捕獲膜16bが形成されないため、電子が凸部14側壁部の電荷捕獲膜16bに選択的に捕獲され、正確な捕獲領域の位置制御が可能である。
次に、第5の実施の形態について説明する。ただし、第5の実施の形態においては、第2の実施の形態における図8(b)に示した工程までは同様に行われる。これ以降の工程について、以下に説明する。
【0077】
図12は第5の実施の形態の不揮発性半導体メモリの製造方法の説明図であって、(a)はゲート絶縁膜除去工程、(b)は上面部絶縁膜および底面部絶縁膜形成工程、(c)はポリサイド層形成工程の各工程における概略断面図である。なお、図12において、図8に示した構成要素と同一の要素については同一の符号を付してある。
【0078】
まず、図8(b)のゲート絶縁膜形成工程後、図12(a)に示すように、公知のエッチング法を用いて、p型シリコン半導体基板15が露出するまで全面エッチングする。これにより、凸部14側壁部のみを、第1絶縁膜16a、電荷捕獲膜16bおよび第2絶縁膜16cの3層構造とする。このとき、凸部14上面部には、第3絶縁膜として形成されていた上面部絶縁膜21が膜厚5nm程度残る。
【0079】
次に、図12(b)に示すように、露出したp型シリコン半導体基板15に、公知の熱酸化法を用いて、シリコン酸化膜を膜厚20nm程度形成する。このとき、上面部絶縁膜21も若干酸化される。これにより、凸部14上面部には、第4絶縁膜として新たに上面部絶縁膜51が形成される。また、溝13a,13b底面部には、第4絶縁膜として底面部絶縁膜52a,52bが形成される。
【0080】
以降の工程は第2の実施の形態と同様、図12(c)に示すように、ポリサイド層11aを形成して加工した後、不純物拡散層12a,12bを活性化する。最後に、図示しないコンタクト孔の開口、メタル配線の形成などを行う。
【0081】
このように形成された不揮発性半導体メモリでは、凸部14側壁部のゲート絶縁膜、上面部絶縁膜51および底面部絶縁膜52a,52bが、それぞれ独立に形成される。したがって、上面部絶縁膜51を適当な膜厚で形成することで、閾値設定が可能である。
【0082】
また、不純物拡散層12a,12b上面部には、3層構造の場合に比べて容量の低い底面部絶縁膜52a,52bを形成できる。そのため、ゲート電極とソース/ドレインとの間の寄生容量が減少し、高速かつ安定な不揮発性半導体メモリを得ることができる。
【0083】
さらに、凸部14側壁部にのみ電荷捕獲膜16bが形成されるので、電荷捕獲領域の位置制御を、より正確に行うことが可能になる。
以上、第2から第5の実施の形態で説明したように、不揮発性半導体メモリのチャネル領域を凸状にし、電荷捕獲領域を凸部14側壁部のゲート絶縁膜16内に形成する。これにより、素子の微細化に対しても実効的なチャネル長が確保され、微細化が容易で、信頼性の高い不揮発性半導体メモリを得ることができる。
【0084】
ところで、以上の説明では、不揮発性半導体メモリのチャネル領域を凸状にした場合について述べたが、チャネル領域を凹状とすることもできる。次に、凹状のチャネル領域を有する不揮発性半導体メモリを、第6の実施の形態として、その構造および製造方法について説明する。
【0085】
図13は第6の実施の形態の不揮発性半導体メモリの構成例を示す図である。
不揮発性半導体メモリ60は、溝63が形成された凹部を有するp型シリコン半導体基板65を有している。そして、この凹部を形成している2つの凸部64a,64bに、不純物拡散層62a,62bがそれぞれ形成されている。
【0086】
p型シリコン半導体基板65上には、ゲート絶縁膜66が形成されている。このゲート絶縁膜66は、シリコン酸化膜からなる第1絶縁膜66a、シリコン窒化膜からなる電荷捕獲膜66b、およびシリコン酸化膜からなる第2絶縁膜66cが順に積層された3層構造になっている。このゲート絶縁膜66上に、ゲート電極61が形成されている。p型シリコン半導体基板65に形成された凹部は、不揮発性半導体メモリ60のチャネル領域となる。
【0087】
このような不揮発性半導体メモリ60では、所定の電圧印加により、ゲート絶縁膜66の電荷捕獲膜66bのうち、凸部64a,64b側壁部に電荷捕獲領域が形成される。図13には、不揮発性半導体メモリ60の電荷捕獲領域として、凸部64a側のレフトビット領域67aと凸部64b側のライトビット領域67bとの2つの電荷捕獲領域を示している。不揮発性半導体メモリ60は、レフトビット領域67aとライトビット領域67bとにそれぞれ1ビットで、合計2ビットの情報の書き込み/読み出しを行うことができるようになっている。
【0088】
図14は第6の実施の形態の不揮発性半導体メモリの動作説明図であって、(a)は書き込み動作、(b)は読み出し動作、(c)は消去動作を説明する図である。なお、図14(a)および図14(b)は、ライトビット領域67bに電子が捕獲されている状態を示している。
【0089】
まず、ライトビット領域67bに情報を書き込む場合には、ソースとなる不純物拡散層62aの電圧を0Vとし、ドレインとなる不純物拡散層62bに正の電圧を印加し、ソース/ドレイン間に電位差を生じさせる。そして、ゲート電極61に正の高電圧を印加する。これにより、図14(a)に示すように、不純物拡散層62a,62b間に反転層68aが形成される。そして、不純物拡散層62b近傍で生じるチャネルホットエレクトロンが、第1絶縁膜66aを飛び越えてライトビット領域67bに捕獲される。
【0090】
ライトビット領域67bから情報を読み出す場合には、ソース/ドレイン間に、書き込みの場合と逆方向の電圧を印加する。これにより、不純物拡散層62a,62b間に反転層68bが形成される。
【0091】
ここで、図14(b)に示すように、ライトビット領域67bに電子が捕獲されている場合には、ライトビット領域67b近傍には反転層68bが形成されず、ソース/ドレイン間には電流が流れない。一方、ライトビット領域67bに電子が捕獲されていない場合には、ライトビット領域67b近傍にも反転層68bが形成され(図示せず)、ソース/ドレイン間に電流が流れる。
【0092】
レフトビット領域67aへの情報の書き込み/読み出しは、ライトビット領域67bの場合と逆方向の電圧を印加して同様に行うことができる。
また、書き込んだ情報を消去する場合には、ゲート電極61に、負の高電圧を印加し、p型シリコン半導体基板65には正の高電圧を印加する。これにより、図14(c)に示すように、ライトビット領域67bに捕獲されていた電子が、p型シリコン半導体基板65内へ引き抜かれる。この際、ソース/ドレインは、オープンまたは0Vとする。レフトビット領域67aの情報を消去する場合も全く同様である。
【0093】
さらに、情報を消去する別の方法として、ゲート電極61に、負の高電圧を印加し、不純物拡散層62bに、正の電圧を印加して行う方法もある。この際、不純物拡散層62aは、オープンまたは0Vとする。この方法で、レフトビット領域67aの情報を消去する場合には、同様に、ゲート電極61に、負の高電圧を印加し、不純物拡散層62aに、正の電圧を印加する。
【0094】
また、レフトビット領域67aおよびライトビット領域67bを同時に消去する場合には、ゲート電極61に負の高電圧、不純物拡散層62a,62bの双方に正の電圧を印加する。
【0095】
図15および図16は第6の実施の形態の不揮発性半導体メモリの製造方法の説明図であって、図15(a)は不純物拡散層形成工程、図15(b)は凸部形成工程、図15(c)はイオン注入工程、図16(a)はゲート絶縁膜形成工程、図16(b)はポリサイド層形成工程の各工程における概略断面図である。
【0096】
まず、p型シリコン半導体基板65上に、所定のウェルを形成し、さらに、周辺回路領域の素子分離を行う(図示せず)。
次に、図15(a)に示すように、公知のイオン注入法で、ヒ素をp型シリコン半導体基板65の全面に注入する。このイオン注入は、加速エネルギ50keV程度、ドーズ量1×1015ions/cm2から5×1015ions/cm2程度の条件で行う。これにより、メモリセルのソース/ドレインおよびビット線とするための不純物拡散層62を形成する。
【0097】
次に、図15(b)に示すように、公知のフォトリソグラフィにより、p型シリコン半導体基板65上にフォトレジスト69を形成する。続けて、フォトレジスト69をマスクとしたエッチング法により、p型シリコン半導体基板65の一部を選択的に除去して溝63を形成する。これにより、p型シリコン半導体基板65に、凸部64a,64bおよび不純物拡散層62a,62bを形成する。
【0098】
なお、この溝63は、ここでは、例えば、幅0.3μm程度、深さ0.15μm程度としている。この幅および深さは、単なる例であって、形成する不揮発性半導体メモリの用途などに応じて任意に設定可能である。
【0099】
次に、図15(c)に示すように、フォトレジスト69をマスクとして、公知のイオン注入法で、ボロンイオンを、p型シリコン半導体基板65を傾斜させた状態で注入する。このイオン注入は、加速エネルギ30keVから90keV程度、ドーズ量5×1011ions/cm2から5×1012ions/cm2程度の条件で行う。
【0100】
次に、図16(a)に示すように、フォトレジスト69を除去し、露出したp型シリコン半導体基板65上に、公知の熱酸化法により、シリコン酸化膜を膜厚10nm程度に形成し、第1絶縁膜66aを形成する。
【0101】
次いで、この第1絶縁膜66a上に、公知のCVD法により、シリコン窒化膜を膜厚10nm程度に形成し、電荷捕獲膜66bを形成する。
その後、再び公知の熱酸化法に従い、酸素雰囲気中で温度900℃から950℃程度で、時間30分から60分程度の熱処理を加え、電荷捕獲膜66bの上部を、膜厚10nm程度酸化し、シリコン酸化膜からなる第2絶縁膜66cを形成する。これにより、第1絶縁膜66a、電荷捕獲膜66bおよび第2絶縁膜66cからなる3層構造のゲート絶縁膜66が形成される。
【0102】
次に、図16(b)に示すように、公知のCVD法により、全面に、ポリサイド層61aを形成する。このポリサイド層61aの形成は、リンを2×1020atoms/cm3から6×1020atoms/cm3程度含有した多結晶シリコン膜を膜厚300nm程度、タングステンシリサイド膜を膜厚200nm程度形成して行う。
【0103】
次いで、公知のフォトリソグラフィ法とエッチング法でポリサイド層61aを加工し、図13に示したゲート電極61を形成する。その後、公知の熱拡散法で不純物の活性化熱処理を行い、不純物拡散層62a,62bの拡散と活性化を行う。
【0104】
最後に、図示しないコンタクト孔の開口、メタル配線の形成などを行う。
なお、上記の説明において、図15(c)に示したボロンイオンのイオン注入は、凸部64a,64bにおける不純物濃度の調整のために行われる。そのため、この工程は必要に応じて行うことができ、その順序はこれに限定されるものではない。例えば、図16(a)に示した工程で、ゲート絶縁膜66形成前に、p型シリコン半導体基板65を傾斜させた状態でボロンイオン注入することも可能である。
【0105】
以上説明したように、不揮発性半導体メモリ60のチャネル領域を凹状にし、電荷捕獲領域を凸部64a,64b側壁部のゲート絶縁膜16内に形成する。これにより、素子の微細化に対しても実効的なチャネル長が確保され、微細化が容易で、信頼性の高い不揮発性半導体メモリを得ることができる。
【0106】
次に、上記第6の実施の形態の変形例として、第7から第11の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、第7の実施の形態について説明する。
【0107】
図17は第7の実施の形態の不揮発性半導体メモリの製造方法の説明図であって、(a)は不純物拡散層および上面部絶縁膜形成工程、(b)は凸部形成工程、(c)はゲート絶縁膜形成工程、(d)はポリサイド層形成工程の各工程における概略断面図である。なお、図17において、図15および図16に示した構成要素と同一の要素については同一の符号を付してある。
【0108】
まず、p型シリコン半導体基板65上に、所定のウェルを形成し、さらに、周辺回路領域の素子分離を行う(ともに図示せず)。
次に、図17(a)に示すように、公知のイオン注入法で、ヒ素をp型シリコン半導体基板65の全面に注入し、不純物拡散層62を形成する。このときのイオン注入条件としては、加速エネルギ50keV程度、ドーズ量1×1015ions/cm2から5×1015ions/cm2程度の範囲で行う。
【0109】
次いで、p型シリコン半導体基板65上に、公知の熱酸化法により、シリコン酸化膜を膜厚15nm程度に形成し、第3絶縁膜として上面部絶縁膜71を形成する。
次に、図17(b)に示すように、公知のフォトリソグラフィにより、p型シリコン半導体基板65上にフォトレジスト69を形成する。続けて、フォトレジスト69をマスクとしたエッチング法により、上面部絶縁膜71およびp型シリコン半導体基板65の一部を選択的に除去して溝63を形成する。これにより、p型シリコン半導体基板65に凸部64a,64b、上面部絶縁膜71a,71bおよび不純物拡散層62a,62bを形成する。
【0110】
次に、図17(c)に示すように、フォトレジスト69を除去し、露出したp型シリコン半導体基板65上に、公知の熱酸化法により、シリコン酸化膜を膜厚10nm程度に形成し、第1絶縁膜66aを形成する。
【0111】
次いで、この第1絶縁膜66a上に、公知のCVD法により、シリコン窒化膜を膜厚10nm程度に形成し、電荷捕獲膜66bを形成する。
その後、再び公知の熱酸化法に従い、酸素雰囲気中で温度900℃から950℃程度で、時間30分から60分程度の熱処理を加え、シリコン窒化膜の上部を、膜厚10nm程度酸化し、第2絶縁膜66cを形成する。
【0112】
これにより、凸部64a,64b上面部は、上面部絶縁膜71a,71b上に電荷捕獲膜66bおよび第2絶縁膜66cが積層された3層構造となる。一方、凸部64,64b上面部以外の部分(凸部14側壁部および不純物拡散層12a,12b上面部)については、第6の実施の形態と同様、第1絶縁膜66a、電荷捕獲膜66bおよび第2絶縁膜66cの3層構造となる。
【0113】
以降の工程は第6の実施の形態と同様、図17(d)に示すように、ポリサイド層61aを形成して加工した後、不純物拡散層62a,62bを活性化する。最後に、図示しないコンタクト孔の開口、メタル配線の形成などを行う。
【0114】
このように形成された不揮発性半導体メモリでは、チャネル領域における第1絶縁膜66aの膜厚に比べて、上面部絶縁膜71a,71bの膜厚を厚く形成することができる。そのため、ゲート電極とソース/ドレインとの間の寄生容量が減少し、高速かつ安定な不揮発性半導体メモリを得ることができる。
【0115】
次に、第8の実施の形態について説明する。ただし、第8の実施の形態においては、第6の実施の形態における図15(b)に示した工程までは同様に行われる。これ以降の工程について、以下に説明する。
【0116】
図18および図19は第8の実施の形態の不揮発性半導体メモリの製造方法の説明図であって、図18(a)は第1絶縁膜および電荷捕獲膜形成工程、図18(b)は酸化膜形成工程、図18(c)は第1の酸化膜除去工程、図18(d)は電荷捕獲膜除去工程、図19(a)は第2の酸化膜除去工程、図19(b)はゲート絶縁膜形成工程、図19(c)はポリサイド層形成工程の各工程における概略断面図である。なお、図18および図19において、図15および図16に示した構成要素と同一の要素については同一の符号を付してある。
【0117】
まず、図15(b)に示したフォトレジスト69を除去した後、露出したp型シリコン半導体基板65に、図18(a)に示すように、公知の熱酸化法により、シリコン酸化膜を膜厚10nm程度に形成し、第1絶縁膜66aを形成する。次いで、この第1絶縁膜66a上に、公知のCVD法により、シリコン窒化膜を膜厚10nm程度に形成し、電荷捕獲膜66bを形成する。
【0118】
次に、図18(b)に示すように、公知のCVD法により、全面に酸化膜81を膜厚700nm程度に形成する。
次に、図18(c)に示すように、公知のCMP法により、電荷捕獲膜66bのシリコン窒化膜をストッパとして、電荷捕獲膜66bが露出するまで、酸化膜81を除去する。
【0119】
次に、図18(d)に示すように、リン酸溶液を用いた公知のエッチング法により、露出している電荷捕獲膜66bを除去する。
次に、図19(a)に示すように、フッ化水素溶液を用いた公知のエッチング法により、溝63内部の酸化膜81を除去する。
【0120】
次に、図19(b)に示すように、露出したp型シリコン半導体基板65に、公知の熱酸化法でシリコン酸化膜を膜厚15nm程度形成し、凸部64a,64bに第4絶縁膜として上面部絶縁膜82a,82bを形成する。その際、残存している電荷捕獲膜66b上部も一部酸化され、膜厚5nm程度の第2絶縁膜66cが形成される。
【0121】
これにより、凸部64a,64b上面部には、上面部絶縁膜82a,82bが形成され、凸部64a,64bの上面部以外の部分は、第6の実施の形態と同様、第1絶縁膜66a、電荷捕獲膜66bおよび第2絶縁膜66cの3層構造となる。
【0122】
以降の工程は第6の実施の形態と同様、図19(c)に示すように、ポリサイド層61aを形成して加工した後、不純物拡散層62a,62bを活性化する。最後に、図示しないコンタクト孔の開口、メタル配線の形成などを行う。
【0123】
このように形成された不揮発性半導体メモリでは、上面部絶縁膜82a,82bがシリコン酸化膜であるため、ゲート電極とソース/ドレインとの間の寄生容量が減少し、高速かつ安定な不揮発性半導体メモリを得ることができる。
【0124】
次に、第9の実施の形態について説明する。ただし、第9の実施の形態においては、第6の実施の形態における図15(a)ないし図15(c)および図16(a)に示した工程までは同様に行われる。これ以降の工程について、以下に説明する。
【0125】
図20は第9の実施の形態の不揮発性半導体メモリの製造方法の説明図であって、(a)はゲート絶縁膜除去工程、(b)は上面部絶縁膜および底面部絶縁膜形成工程、(c)はポリサイド層形成工程の各工程における概略断面図である。なお、図20において、図15および図16に示した構成要素と同一の要素については同一の符号を付してある。
【0126】
まず、図16(a)に示したゲート絶縁膜66を、図20(a)に示すように、公知のエッチング法を用いて、p型シリコン半導体基板65が露出するまで全面エッチングする。これにより、凸部64a,64b側壁部を、第1絶縁膜66a、電荷捕獲膜66bおよび第2絶縁膜66cの3層構造とする。
【0127】
次に、図20(b)に示すように、露出したp型シリコン半導体基板65に、公知の熱酸化法を用いて、シリコン酸化膜を膜厚20nm程度形成する。これにより、凸部64a,64b上面部に上面部絶縁膜91a,91bを、溝63の底面部に底面部絶縁膜92を、第4絶縁膜としてそれぞれ形成する。
【0128】
以降の工程は第6の実施の形態と同様、図20(c)に示すように、ポリサイド層61aを形成して加工した後、不純物拡散層62a,62bを活性化する。最後に、図示しないコンタクト孔の開口、メタル配線の形成などを行う。
【0129】
このように形成された不揮発性半導体メモリでは、凸部64a,64b側壁部にのみ電荷捕獲膜66bが形成される。そのため、電荷捕獲領域の位置制御を、より正確に行うことができる。
【0130】
また、底面部絶縁膜92をシリコン酸化膜で形成するので、ゲート電極とソース/ドレインとの間の寄生容量が減少し、高速かつ安定な不揮発性半導体メモリを得ることができる。
【0131】
次に、第10の実施の形態について説明する。ただし、第10の実施の形態においては、第7の実施の形態における図17(c)に示した工程までは同様に行われる。これ以降の工程について、以下に説明する。
【0132】
図21は第10の実施の形態の不揮発性半導体メモリの製造方法の説明図であって、(a)はゲート絶縁膜除去工程、(b)は上面部絶縁膜および底面部絶縁膜形成工程、(c)はポリサイド層形成工程の各工程における概略断面図である。なお、図21において、図17に示した構成要素と同一の要素については同一の符号を付してある。
【0133】
まず、図17(c)のゲート絶縁膜形成工程後、図21(a)に示すように、公知のエッチング法を用いて、p型シリコン半導体基板65が露出するまで全面エッチングする。これにより、凸部64a,64b側壁部を、第1絶縁膜66a、電荷捕獲膜66bおよび第2絶縁膜66cの3層構造とする。このとき、凸部64a,64b上面部には、第3絶縁膜として形成されていた上面部絶縁膜71a,71bが膜厚5nm程度残る。
【0134】
次に、図21(b)に示すように、露出したp型シリコン半導体基板65に、公知の熱酸化法を用いて、シリコン酸化膜を膜厚20nm程度形成する。このとき、上面部絶縁膜71a,71bも若干酸化される。これにより、凸部64a,64bの上面部には、第4絶縁膜として新たな上面部絶縁膜101a,101bが形成される。また、溝63の底面部には、第4絶縁膜として底面部絶縁膜102が形成される。
【0135】
以降の工程は第7の実施の形態と同様、図21(c)に示すように、ポリサイド層61aを形成して加工した後、不純物拡散層62a,62bを活性化する。最後に、図示しないコンタクト孔の開口、メタル配線の形成などを行う。
【0136】
このように形成された不揮発性半導体メモリでは、凸部64a,64b側壁部のゲート絶縁膜、上面部絶縁膜101a,101bおよび底面部絶縁膜102が、それぞれ独立に形成される。したがって、上面部絶縁膜1011,101bを適当な膜厚で形成することで、閾値設定が可能である。
【0137】
また、不純物拡散層62a,62b上面部には、3層構造の場合に比べて容量の低いシリコン酸化膜からなる底面部絶縁膜102が形成される。そのため、ゲート電極とソース/ドレインとの間の寄生容量が減少し、高速かつ安定な不揮発性半導体メモリを得ることができる。
【0138】
さらに、凸部64a,64b側壁部にのみ電荷捕獲膜66bを形成することができるので、電荷捕獲領域の位置制御を、より正確に行うことが可能になる。
次に、第11の実施の形態について説明する。ただし、第11の実施の形態においては、第6の実施の形態における図15(a)に示した工程までは同様に行われる。これ以降の工程について、以下に説明する。
【0139】
図22は第11の実施の形態の不揮発性半導体メモリの製造方法の説明図であって、(a)は溝形成工程、(b)はゲート絶縁膜形成工程、(c)はポリサイド層形成工程の各工程における概略断面図である。なお、図22において、図15に示した構成要素と同一の要素については同一の符号を付してある。
【0140】
まず、図15(a)に示した不純物拡散層62の形成後、公知のフォトリソグラフィ法とエッチング法により、図22(a)に示すように、p型シリコン半導体基板65に、その内部に向かって幅が狭くなるような断面台形状の溝113を形成する。
【0141】
このような溝113の形成は、例えば、フォトリソグラフィ工程において、フォトレジストを台形状に加工した後、異方性ドライエッチングを行えばよい。
以降の工程は第6の実施の形態と同様、まず、図22(b)に示すように、第1絶縁膜66a、電荷捕獲膜66bおよび第2絶縁膜66cからなる3層構造のゲート絶縁膜66を形成する。次いで、図22(c)に示すように、CVD法により、全面に多結晶シリコン膜およびタングステンシリサイド膜を形成してポリサイド層61aを形成する。そして、ポリサイド層61aを加工した後、活性化熱処理を行い、不純物拡散層62a,62bを形成する。最後に、図示しないコンタクト孔の開口、メタル配線の形成などを行う。
【0142】
このように形成された不揮発性半導体メモリでは、溝113の側壁の傾斜を任意に設定することができるので、ポリサイド層61aから形成されるゲート電極の加工マージンが広がり、高歩留まりで信頼性の高い不揮発性半導体メモリを製造できる。
【0143】
さらに、溝の側壁を垂直にした場合には、ポリサイド層のエッチングにおいて、その側壁部にエッチング残渣が生じてしまうことがある。しかし、この溝113のようにその側壁を傾斜させることにより、このような問題を回避することができる。
【0144】
以上、第7から第11の実施の形態で説明したように、不揮発性半導体メモリのチャネル領域を凹状にし、電荷捕獲領域を凸部14側壁部のゲート絶縁膜16内に形成することで、実効的なチャネル長が確保される。したがって、素子の微細化が容易で、信頼性の高い不揮発性半導体メモリを得ることができる。
【0145】
さらに、不純物拡散層62a,62bを、凹部を形成している2つの凸部64a,64bに形成するので、活性化熱処理における、注入した不純物の横方向への広がりが防止される。これにより、不純物拡散層62a,62bを精度良く形成でき、不揮発性半導体メモリの信頼性向上が図られる。
【0146】
なお、以上の説明においては、電荷捕獲膜16b,66bとしてシリコン窒化膜を形成する構成としたが、これは、電子の捕獲が可能な他の材質で構成してもよい。また、ゲート絶縁膜16,66の構造も、上記の3層構造のほか、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜との2層構造、シリコン窒化膜のみの1層構造など、電子の捕獲が可能な膜を含んだ構造とすることができる。
【0147】
(付記1) 半導体基板とゲート電極との間に形成されたゲート絶縁膜内に電子を捕獲する電荷捕獲領域を有する不揮発性半導体メモリにおいて、
凸部を有する半導体基板上に形成されて、前記凸部の側壁部に電荷捕獲領域が形成されるゲート絶縁膜を有することを特徴とする不揮発性半導体メモリ。
【0148】
(付記2) 前記ゲート絶縁膜は、シリコン窒化膜を含むことを特徴とする付記1記載の不揮発性半導体メモリ。
(付記3) 前記半導体基板の前記凸部を形成している溝の底面部に、ソースまたはドレインとなる不純物拡散層を有することを特徴とする付記1記載の不揮発性半導体メモリ。
【0149】
(付記4) 前記半導体基板の前記凸部に、ソースまたはドレインとなる不純物拡散層を有することを特徴とする付記1記載の不揮発性半導体メモリ。
(付記5) 前記凸部の上面部の前記ゲート絶縁膜の膜厚および/または前記凸部を形成している溝の底面部の前記ゲート絶縁膜の膜厚が、前記凸部の側壁部の前記ゲート絶縁膜の膜厚よりも厚く形成されていることを特徴とする付記1記載の不揮発性半導体メモリ。
【0150】
(付記6) 前記凸部の側壁部の前記ゲート絶縁膜における電荷捕獲密度が、前記凸部の上面部の前記ゲート絶縁膜の電荷捕獲密度および/または前記凸部を形成している溝の底面部の前記ゲート絶縁膜の電荷捕獲密度よりも高くなるようにしたことを特徴とする付記1記載の不揮発性半導体メモリ。
【0151】
(付記7) 半導体基板とゲート電極との間に形成されたゲート絶縁膜内に電子を捕獲する電荷捕獲領域を有する不揮発性半導体メモリの製造方法において、
第1導電型の半導体基板に溝を形成し、
形成された前記溝の底面部に第2導電型の不純物拡散層を形成し、
前記不純物拡散層が形成された前記半導体基板上に、電荷捕獲領域が形成される電荷捕獲膜を含むゲート絶縁膜を形成することを特徴とする不揮発性半導体メモリの製造方法。
【0152】
(付記8) 前記半導体基板に前記溝を形成する際には、前記半導体基板上に第3絶縁膜を形成した後に、前記溝を形成することを特徴とする付記7記載の不揮発性半導体メモリの製造方法。
【0153】
(付記9) 前記不純物拡散層が形成された前記半導体基板上に、前記電荷捕獲領域が形成される前記電荷捕獲膜を含む前記ゲート絶縁膜を形成する際には、
前記不純物拡散層が形成された前記半導体基板上に第1絶縁膜を形成し、
形成された前記第1絶縁膜上に前記電荷捕獲膜を形成し、
前記半導体基板の前記溝によって形成される凸部の上面部に形成されている前記第1絶縁膜と前記電荷捕獲膜とを除去した後、
前記凸部の上面部に第4絶縁膜を形成することを特徴とする付記7記載の不揮発性半導体メモリの製造方法。
【0154】
(付記10) 前記不純物拡散層が形成された前記半導体基板上に、前記電荷捕獲領域が形成される前記電荷捕獲膜を含む前記ゲート絶縁膜を形成した後、
前記溝の底面部の前記ゲート絶縁膜と前記溝によって形成される凸部の上面部の前記ゲート絶縁膜とを除去し、
前記ゲート絶縁膜が除去された前記半導体基板上に第4絶縁膜を形成することを特徴とする付記7記載の不揮発性半導体メモリの製造方法。
【0155】
(付記11) 前記不純物拡散層が形成された前記半導体基板上に、前記電荷捕獲領域が形成される前記電荷捕獲膜を含む前記ゲート絶縁膜を形成した後、
前記溝の底面部の前記ゲート絶縁膜を除去し、
前記ゲート絶縁膜が除去された前記半導体基板上に第4絶縁膜を形成することを特徴とする付記8記載の不揮発性半導体メモリの製造方法。
【0156】
(付記12) 半導体基板とゲート電極との間に形成されたゲート絶縁膜内に電子を捕獲する電荷捕獲領域を有する不揮発性半導体メモリの製造方法において、
第1導電型の半導体基板に第2導電型の不純物拡散層を形成し、
前記不純物拡散層が形成された前記半導体基板に溝を形成し、
前記溝が形成された前記半導体基板上に、電荷捕獲領域が形成される電荷捕獲膜を含むゲート絶縁膜を形成することを特徴とする不揮発性半導体メモリの製造方法。
【0157】
(付記13) 前記半導体基板に前記溝を形成する際には、前記不純物拡散層が形成された前記半導体基板上に第3絶縁膜を形成した後に、前記溝を形成することを特徴とする付記12記載の不揮発性半導体メモリの製造方法。
【0158】
(付記14) 前記溝が形成された前記半導体基板上に、前記電荷捕獲領域が形成される前記電荷捕獲膜を含む前記ゲート絶縁膜を形成する際には、
前記溝が形成された前記半導体基板上に第1絶縁膜を形成し、
形成された前記第1絶縁膜上に前記電荷捕獲膜を形成し、
前記溝によって形成される凸部の上面部に形成されている前記第1絶縁膜と前記電荷捕獲膜とを除去した後、
前記凸部の上面部に第4絶縁膜を形成することを特徴とする付記12記載の不揮発性半導体メモリの製造方法。
【0159】
(付記15) 前記溝が形成された前記半導体基板上に、前記電荷捕獲領域が形成される前記電荷捕獲膜を含む前記ゲート絶縁膜を形成した後、
前記溝の底面部の前記ゲート絶縁膜と前記溝によって形成される凸部の上面部の前記ゲート絶縁膜とを除去し、
前記ゲート絶縁膜が除去された前記半導体基板上に第4絶縁膜を形成することを特徴とする付記12記載の不揮発性半導体メモリの製造方法。
【0160】
(付記16) 前記溝が形成された前記半導体基板上に、前記電荷捕獲領域が形成される前記電荷捕獲膜を含む前記ゲート絶縁膜を形成した後、
前記溝の底面部の前記ゲート絶縁膜を除去し、
前記ゲート絶縁膜が除去された前記半導体基板上に第4絶縁膜を形成することを特徴とする付記13記載の不揮発性半導体メモリの製造方法。
【0161】
(付記17) 前記不純物拡散層が形成された前記半導体基板に前記溝を形成する際には、前記溝を前記半導体基板内部に向かって幅が狭くなるように形成することを特徴とする付記12記載の不揮発性半導体メモリの製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】第1の実施の形態の不揮発性半導体メモリの平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】不揮発性半導体メモリの回路構成例を示す図である。
【図5】第1の実施の形態の不揮発性半導体メモリの動作説明図であって、(a)は書き込み動作、(b)は読み出し動作、(c)は消去動作を説明する図である。
【図6】第1の実施の形態の不揮発性半導体メモリの製造方法の説明図であって、(a)は第1のイオン注入工程、(b)は凸部形成工程、(c)は第2のイオン注入工程の各工程における概略断面図である。
【図7】第1の実施の形態の不揮発性半導体メモリの製造方法の説明図であって、(a)は不純物拡散層形成工程、(b)はゲート絶縁膜形成工程、(c)はポリサイド層形成工程の各工程における概略断面図である。
【図8】第2の実施の形態の不揮発性半導体メモリの製造方法の説明図であって、(a)は不純物拡散層形成工程、(b)はゲート絶縁膜形成工程、(c)はポリサイド層形成工程の各工程における概略断面図である。
【図9】第3の実施の形態の不揮発性半導体メモリの製造方法の説明図であって、(a)は第1絶縁膜および電荷捕獲膜形成工程、(b)は酸化膜形成工程、(c)は第1の酸化膜除去工程、(d)は電荷捕獲膜除去工程の各工程における概略断面図である。
【図10】第3の実施の形態の不揮発性半導体メモリの製造方法の説明図であって、(a)は第2の酸化膜除去工程、(b)はゲート絶縁膜形成工程、(c)はポリサイド層形成工程の各工程における概略断面図である。
【図11】第4の実施の形態の不揮発性半導体メモリの製造方法の説明図であって、(a)はゲート絶縁膜除去工程、(b)は上面部絶縁膜および底面部絶縁膜形成工程、(c)はポリサイド層形成工程の各工程における概略断面図である。
【図12】第5の実施の形態の不揮発性半導体メモリの製造方法の説明図であって、(a)はゲート絶縁膜除去工程、(b)は上面部絶縁膜および底面部絶縁膜形成工程、(c)はポリサイド層形成工程の各工程における概略断面図である。
【図13】第6の実施の形態の不揮発性半導体メモリの構成例を示す図である。
【図14】第6の実施の形態の不揮発性半導体メモリの動作説明図であって、(a)は書き込み動作、(b)は読み出し動作、(c)は消去動作を説明する図である。
【図15】第6の実施の形態の不揮発性半導体メモリの製造方法の説明図であって、(a)は不純物拡散層形成工程、(b)は凸部形成工程、(c)はイオン注入工程の各工程における概略断面図である。
【図16】第6の実施の形態の不揮発性半導体メモリの製造方法の説明図であって、(a)はゲート絶縁膜形成工程、(b)はポリサイド層形成工程の各工程における概略断面図である。
【図17】第7の実施の形態の不揮発性半導体メモリの製造方法の説明図であって、(a)は不純物拡散層および上面部絶縁膜形成工程、(b)は凸部形成工程、(c)はゲート絶縁膜形成工程、(d)はポリサイド層形成工程の各工程における概略断面図である。
【図18】第8の実施の形態の不揮発性半導体メモリの製造方法の説明図であって、(a)は第1絶縁膜および電荷捕獲膜形成工程、(b)は酸化膜形成工程、(c)は第1の酸化膜除去工程、(d)は電荷捕獲膜除去工程の各工程における概略断面図である。
【図19】第8の実施の形態の不揮発性半導体メモリの製造方法の説明図であって、(a)は第2の酸化膜除去工程、(b)はゲート絶縁膜形成工程、(c)はポリサイド層形成工程の各工程における概略断面図である。
【図20】第9の実施の形態の不揮発性半導体メモリの製造方法の説明図であって、(a)はゲート絶縁膜除去工程、(b)は上面部絶縁膜および底面部絶縁膜形成工程、(c)はポリサイド層形成工程の各工程における概略断面図である。
【図21】第10の実施の形態の不揮発性半導体メモリの製造方法の説明図であって、(a)はゲート絶縁膜除去工程、(b)は上面部絶縁膜および底面部絶縁膜形成工程、(c)はポリサイド層形成工程の各工程における概略断面図である。
【図22】第11の実施の形態の不揮発性半導体メモリの製造方法の説明図であって、(a)は溝形成工程、(b)はゲート絶縁膜形成工程、(c)はポリサイド層形成工程の各工程における概略断面図である。
【図23】従来の不揮発性半導体メモリの構成例を示す図であって、(a)は書き込み動作、(b)は読み出し動作の各動作状態における概略断面図である。
【図24】微細化された不揮発性半導体メモリの構成例を示す図であって、(a)は反転層が部分的に消失した状態、(b)はビット領域の位置にずれが生じた状態をそれぞれ示している。
【符号の説明】
【0163】
10,60 不揮発性半導体メモリ
11,61 ゲート電極
11a,61a ポリサイド層
12a,12b,62,62a,62b 不純物拡散層
13a,13b,63,113 溝
14,64a,64b 凸部
15,65 p型シリコン半導体基板
16,66 ゲート絶縁膜
16a,66a 第1絶縁膜
16b,66b 電荷捕獲膜
16c,66c 第2絶縁膜
17a,67a レフトビット領域
17b,67b ライトビット領域
18a,18b,68a,68b 反転層
19,69 フォトレジスト
21,32,41,51,71,71a,71b,82a,82b,91a,91b,101a,101b 上面部絶縁膜
31,81 酸化膜
42a,42b,52a,52b,92,102 底面部絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板とゲート電極との間に形成されたゲート絶縁膜内に電荷捕獲領域を有する不揮発性半導体メモリの製造方法において、
第1導電型の半導体基板に溝を形成し、
形成された前記溝の底面部に第2導電型の不純物拡散層を形成し、
前記不純物拡散層が形成された前記半導体基板上に、電荷捕獲領域が形成される電荷捕獲膜を含むゲート絶縁膜を形成することを特徴とする不揮発性半導体メモリの製造方法。
【請求項2】
前記半導体基板に前記溝を形成する際には、前記半導体基板上に第3絶縁膜を形成した後に、前記溝を形成することを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体メモリの製造方法。
【請求項3】
前記不純物拡散層が形成された前記半導体基板上に、前記電荷捕獲領域が形成される前記電荷捕獲膜を含む前記ゲート絶縁膜を形成した後、
前記溝の底面部の前記ゲート絶縁膜と前記溝によって形成される凸部の上面部の前記ゲート絶縁膜とを除去し、
前記ゲート絶縁膜が除去された前記半導体基板上に第4絶縁膜を形成することを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体メモリの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2006−135342(P2006−135342A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−352897(P2005−352897)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【分割の表示】特願2002−114145(P2002−114145)の分割
【原出願日】平成14年4月17日(2002.4.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】