説明

不揮発性半導体記憶装置

【課題】YUPIN効果を抑えるようなセルの配置デザインを実現することができ、メモリセルの微細化及び高集積化をはかる。
【解決手段】ストライプ状の素子形成領域11が並列配置され、各々の素子形成領域11に電荷蓄積層12と制御ゲート13を有する不揮発性メモリセルが複数個設けられた不揮発性半導体記憶装置であって、電荷蓄積層12は、互いに異なる素子形成領域11間で隣接するもの同士が、ストライプ方向にずらして配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電荷蓄積層を有する不揮発性メモリセルを二次元配置した不揮発性半導体記憶装置に係わり、特にNAND型フラッシュメモリ等における電荷蓄積層の配置を改良した不揮発性半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フラッシュメモリの大容量化に伴い、メモリセルは益々微細化されており、隣り合うセルの浮遊ゲート(FG)やSiN膜などの電荷蓄積層が近接してきている。このため、隣接するメモリセルの電荷蓄積層に蓄積された電荷による漏れ電界によって、該当セルのしきい値を変化させて読み取りエラーを起こさせる、いわゆるYUPIN効果の発生が問題となっている。
【0003】
メモリセルを直列接続したNAND型フラッシュメモリのコストダウンの有効な方法の一つは、微細化による単位面積当たりのセル数を増やしてメモリビット数を増やすことである。しかし、浮遊ゲートに電荷を蓄積するメモリセルを単純に縮小すると、素子形成領域間,浮遊ゲート間の間隔が短縮されて、YUPIN効果をそのまま増大させることになる。
【0004】
一方、MONOSやMNOSなどでは、電荷蓄積層内に電荷が均一に分布されるため、電荷中心は電荷蓄積層の中心にあると見なすことができる。この場合、素子形成領域や浮遊ゲートの幅の半分の長さの分だけ、隣接セルにおける電荷中心間の距離を遠ざけることはできる。しかし、メモリセルの更なる微細化が進むと、MONOSやMNOSなどにおいても、上記と同じ問題に直面することになる。
【特許文献1】特開2005−530362号公報
【特許文献2】特開2007−501531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その目的とするところは、メモリセルの微細化に伴うYUPIN効果の増大を抑制することができ、メモリセルの微細化及び高集積化をはかり得る不揮発性半導体記憶装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、次のような構成を採用している。
【0007】
即ち、本発明の一態様は、ストライプ状の素子形成領域が並列配置され、各々の素子形成領域に電荷蓄積層と制御ゲートを有する不揮発性メモリセルが複数個設けられた不揮発性半導体記憶装置であって、前記電荷蓄積層は、互いに異なる前記素子形成領域間で隣接するもの同士が、前記素子形成領域のストライプ方向にずらして配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、隣接する電荷蓄積層をずらして配置することにより、YUPIN効果を減少させることができる。これにより、メモリセルの微細化に伴うYUPIN効果の増大を抑制することができ、メモリセルの微細化及び高集積化をはかることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の詳細を図示の実施形態によって説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係わるNANDフラッシュメモリにおける素子形成領域及び浮遊ゲートのパターンレイアウトを示す平面図である。
【0011】
図中の11はストライプ状の素子形成領域(AA)であり、複数本の素子形成領域11が並列配置されている。各々の素子形成領域11には、メモリセルを直列接続したNANDセルを形成するために、それぞれ複数個の浮遊ゲート12(FG)が配置されている。ここで、本実施形態は浮遊ゲート12の配置が従来とは異なっている。
【0012】
具体的には、各々の素子形成領域11において、素子形成領域11のストライプ方向(Y方向)に対し、浮遊ゲート12は一定ピッチで配置されている。そして、Y方向と直交する方向(X方向)に隣接する浮遊ゲート12、即ち異なる素子形成領域11間で隣接する浮遊ゲート12は、Y方向にずらして配置されている。つまり、浮遊ゲート12が千鳥配置されている。
【0013】
なお、図1では説明を簡単にするために浮遊ゲート12の平面形状を矩形としているが、後述するように、浮遊ゲートの加工の仕方によっては平行四辺形となる。即ち、浮遊ゲート12のX方向の端部は素子形成領域11と同時に加工されるが、浮遊ゲート12のY方向の端部は制御ゲートと同時に加工される。このため、制御ゲートがX方向と平行であれば、浮遊ゲート12は矩形となるが、制御ゲートがX方向に対して傾いていると、浮遊ゲートは平行四辺形となる。
【0014】
このように、素子形成領域11間や浮遊ゲート12間を微細化によって近接させるときに、浮遊ゲート12を単純に隣り合わせにせずに、千鳥状に互い違いに配置することで、特に素子形成領域11をまたがる浮遊ゲート12間の距離を増やすことができ、且つ同じ面積に多数の浮遊ゲート12を設けることができる。即ち、ビット密度に対して、YUPIN効果を弱めることが可能になる。
【0015】
図2は、図1のように千鳥配置された浮遊ゲートに対して制御ゲートを配置した構成を示す平面図である。
【0016】
制御ゲート13(CG)は、素子形成領域11のストライプ方向と直交させずに、斜めに配置して、千鳥配置の浮遊ゲート12をつなぐようにしている。このとき、浮遊ゲート12は制御ゲート13と同時に加工するため、浮遊ゲート12の平面形状は矩形ではなく平行四辺形となっている。即ち、浮遊ゲート12と素子形成領域11の千鳥配置構造を、制御ゲート13と素子形成領域11のデザインからCG−FGの一括加工によって、セルフアラインで実現することができる。
【0017】
また、浮遊ゲート12の千鳥配置の関係から、NANDセル部の全体の平面形状は一般的な長方形ではなく、平行四辺形となっている。このため、素子形成領域11の端部側に配置される、センスアンプやデコーダ等の周辺回路部14もこれに併せてNANDセル部側が斜めになっている。
【0018】
ここで、浮遊ゲート12を千鳥配置することによる効果について説明する。
【0019】
図3(a)に示すように、通常のNANDセルでは、X方向に隣接する浮遊ゲート12はずらすことなく、揃えて配置されている。この場合、一方の浮遊ゲート12と他方の浮遊ゲート12で最近接して対向する辺の長さは、浮遊ゲート12のY方向の長さと同じL1である。一方、図3(b)に示すように、本実施形態のNANDセルでは、X方向に隣接する浮遊ゲート12がY方向にずれて配置されている。この場合、一方の浮遊ゲート12と他方の浮遊ゲート12で最近接して対向する辺の長さはL2となり、L1よりも短いものとなる。従って、隣接する浮遊ゲート12に蓄積された電荷によって影響を受ける度合が少なくなり、YUPIN効果を低減することができる。
【0020】
また、浮遊ゲート12の角部を酸化処理等により丸め加工することにより、隣接する浮遊ゲート12に蓄積された電荷による影響を更に小さくすることも可能である。
【0021】
図4は、本実施形態の浮遊ゲート12の角部を丸め加工した場合の平面図であり、4つの浮遊ゲート12(FG11,FG12,FG21,FG22)を示している。浮遊ゲート12の角部が丸められると、X方向に隣接する浮遊ゲートFG11,FG21間の最近接して対向する辺の長さはL2からL5へと短くなる。
【0022】
ここで、浮遊ゲート12の平面形状は矩形ではなく平行四辺形であり、平行四辺形の場合、鋭角部と鈍角部で丸め状態が異なる。一般的には、鈍角部よりも鋭角部の方が酸化処理が進みやすいため、鈍角部よりも鋭角部の方が丸め量が多くなる。図4からも明らかなように、FG11,FG21の最近接して対向する辺の長さの減少は、鋭角部の丸め処理によるものであるから、平行四辺形の浮遊ゲートの角部を丸め処理することによる効果は、通常の矩形の浮遊ゲートの角部を丸め処理するよりも大きいものとなる。
【0023】
また、隣接する浮遊ゲート12の角部間の距離について着目する。丸め処理する前の浮遊ゲート12に関し、FG11の右下とFG21の左下との距離L6,FG21の左下とFG12の右上との距離L7に着目する。角部の丸め処理によりL6,L7の何れも短くなるが、鈍角部の丸め量が少ないことから、L7の長さの減少は浮遊ゲート12が矩形の場合に比べて少ないものとなる。しかし、制御ゲート13の傾き角度を極端に大きくしない限りL7はL6よりも長いため、L7の減少が少なくなっても殆ど問題とならない。L6は鈍角と鋭角の両方の影響を受けるため、浮遊ゲート12が矩形の場合の減少とほぼ同じである。つまり、浮遊ゲート12を平行四辺形にしても、角部間の距離の増大による効果は矩形の場合と殆ど変わらない。
【0024】
次に、図5〜図9を用いて、本実施形態のNANDフラッシュメモリの製造方法について説明する。なお、各図において(a)はビット線に沿って切断した場合の縦断面図(ゲート長方向の断面図、(b)はワード線に沿って切断した場合の縦断面図(ゲート幅方向の断面図)を示している。
【0025】
まず、図5(a)(b)に示すように、所定の不純物がドーピングされた半導体基板21上に、熱酸化法及び熱窒化法によって、トンネル絶縁膜となるシリコン酸窒化(SiON)膜22を10nm程度形成した後、CVD(Chemical Vapor Deposition )法によって、浮遊ゲートとなる、リン(P)をドーピングしたポリシリコン層23及びマスク材24を順次堆積する。なお、この場合、リンではなく、例えばヒ素(As)など、他の種々の不純物をポリシリコン層23にドーピングしても良い。
【0026】
続いて、リソグラフィ及びRIE(Reactive Ion Etching)によって、マスク材24、ポリシリコン層23及びシリコン酸窒化膜22に順次パターニングを行う。さらに、マスク材24をマスクとして、半導体基板21にエッチングを行うことにより、半導体基板21の表面からの深さが100nm程度の素子分離溝25を形成する。この素子分離溝25で分離された領域が前記図1に示す素子形成領域11であり、これによりストライプ状の素子形成領域11を並列配置した構成が得られる。
【0027】
次いで、図6(a)(b)に示すように、素子分離溝25を埋め込むように、半導体基板21及びマスク材24の全面に、シリコン酸化膜26を堆積する。続いて、シリコン酸化膜26をCMP(Chemical Mechanical Polishing )法によって研磨して表面を平坦化することにより、素子分離絶縁膜となるシリコン酸化膜26を形成する。
【0028】
次いで、図7(a)(b)に示すように、希フッ酸溶液を用いてシリコン酸化膜26の表面部分にエッチングを行って所定量除去することより、ポリシリコン層23の側面を50nm程度露出させた後、露出したマスク材24に対して選択的にエッチングを行うことにより、当該マスク材24を除去する。さらに、希フッ酸を用いて、ポリシリコン層23の表面に形成された自然酸化膜を除去する。このとき、ポリシリコン層23の最上面はシリコン酸化膜26の最上面よりも上方となっている。
【0029】
続いて、半導体基板21を、バッチ式の堆積装置に搬入し、この装置において、シリコン酸化膜26及びポリシリコン層23の全面に、400℃の温度で電極間絶縁膜となるアルミナ(Al23 )膜27を堆積する。なお、ここで堆積装置には、排気機構及びガス供給源が設けられ、これにより所望の雰囲気を形成することができるものとなっている。
【0030】
因みに、この場合、電極間絶縁膜として、アルミナ(Al23 )膜27を堆積したが、例えばハフニア(HfO2 )、ジルコニア(ZrO2 )、ハフニウムシリケート(ZrSiO)、ジルコニウムシリケート(ZrSiO)などの酸化膜や、当該酸化膜に不純物をドーピングした酸化膜など、比誘電率が4以上の他の種々の高誘電率膜を堆積させれば良い。
【0031】
次いで、図8(a)(b)に示すように、CVD法によって、後に制御ゲートとなる、例えばポリシリコン層及びタングステン(W)シリサイド層を含む2層構造の導電層28を100nm程度堆積した後、さらにマスク材29を堆積する。
【0032】
続いて、リソグラフィ及びRIEによって、マスク材29、導電層28、アルミナ膜27、ポリシリコン層23及びシリコン酸窒化膜22に順次パターニングを行って、スリット部30を形成することにより、ポリシリコン層23からなる浮遊ゲート12と、導電層28からなる制御ゲート13を形成する。このときのパターニングを素子形成領域11のストライプと直交する方向から傾けることにより、前記図2に示すように制御ゲート12を斜めストライプの配置にする。
【0033】
次いで、図9(a)(b)に示すように、半導体基板21、シリコン酸窒化膜22、ポリシリコン層23、アルミナ膜27、導電層28及びマスク材29のうち、露出している面に、電極側壁絶縁膜となるシリコン酸化膜31を熱酸化法によって形成する。この熱酸化によって、前記図4に示すように、浮遊ゲート12となるポリシリコン層23の角部が丸め処理される。
【0034】
続いて、イオン注入法によって、ソース領域33a及びドレイン領域33bを形成し、さらにCVD法によって、シリコン酸化膜31の全面に層間絶縁膜32を形成する。そして、図示しない配線層などを形成することにより、NAND型フラッシュメモリのメモリセルトランジスタを製造する。
【0035】
図10(a)に、以上の方法により製造されたメモリセルトランジスタMCが二次元配置されたNAND型フラッシュメモリを、ビット線BLに沿って切断した場合の縦断面図を示し、図10(b)に、図10(a)に示す縦断面図に対応するNAND型フラッシュメモリの回路図を示す。
【0036】
図10(a)(b)に示すように、NAND型フラッシュメモリは、図示しない2つの選択トランジスタの間に、複数のメモリセルトランジスタMCのソース領域及びドレイン領域を直列に接続し、一方の選択トランジスタをビット線BLに接続すると共に、他方の選択トランジスタを図示しないソース線に接続する。また、各メモリセルトランジスタMCの導電層からなる制御ゲートには、配線層としてワード線WLがそれぞれ接続されている。
【0037】
なお、この場合、フラッシュメモリとして、NAND型フラッシュメモリを製造したが、例えばNOR型やAND型など、浮遊ゲートと制御ゲートが積層された構造を有する他の種々のフラッシュメモリを製造しても良い。さらに、絶縁膜とゲート電極の積層であって、絶縁膜とゲート電極からなる層が3層以上形成された構造でも良い。
【0038】
このように本実施形態によれば、浮遊ゲート12(ポリシリコン層23)を千鳥配置することにより、ビット線方向に隣接する浮遊ゲート12の蓄積電荷による影響を抑制することができ、微細化に伴うYUPIN効果を和らげることができる。このため、NANDセル部の微細化及び高集積化をはかることができる。
【0039】
(第2の実施形態)
図11は、本発明の第2の実施形態に係わるNANDフラッシュメモリのパターンレイアウトを示す平面図である。なお、図2と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0040】
素子形成領域11及び浮遊ゲート12の配置は第1の実施形態と同様であるが、制御ゲート43が直線状ではなく、素子形成領域11のストライプ方向と直交する方向に対してジグザグに配置されている。即ち、制御ゲート43は、素子形成領域11毎に該領域11の左側側面で逆方向に屈曲されている。
【0041】
なお、制御ゲート43を屈曲させるのは、1つの素子形成領域毎である必要はなく、図12に示すように2個の素子形成領域毎であっても良いし、さらに多くの素子形成領域毎であっても良い。さらに、制御ゲート43を屈曲させる位置は、図13に示すように、浮遊ゲート12上であっても良い。
【0042】
このような構成であっても、先に説明した第1の実施形態と同様に、ビット線方向に隣接する浮遊ゲート12の最近接して対向する辺の長さを短くすることができる。このため、ビット線方向に隣接する浮遊ゲート12の蓄積電荷による影響を抑制することができ、先の第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、NANDセルを最終的にチップやデバイスの標準的な形状である長方形に収めることができるため、周辺回路部のNANDセル部側を斜めにする必要はなく、一般的な形状にすることができる利点もある。
【0043】
(第3の実施形態)
図14は、本発明の第3の実施形態に係わるNANDフラッシュメモリのパターンレイアウトを示す平面図である。なお、図2と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。また、図15(a)は図14の矢視A−A’断面図、図15(b)は図14の矢視B−B’断面図である。なお、図9と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0044】
X方向に隣接する浮遊ゲート12は、Y方向に1個分ずらして配置されている。Y方向に隣接する浮遊ゲート12は、一定間隔ではなく、浮遊ゲート12の幅の1つ分又は3つ分だけ離れるように交互に配置されている。制御ゲート53は、浮遊ゲート12のY方向幅の2倍程度の幅を有し、各素子形成領域の浮遊ゲート12の一つずつを覆うように、素子形成領域11のストライプ方向(Y方向)と直交するX方向に沿って配置されている。
【0045】
ここで、浮遊ゲート12(ポリシリコン層23)のY方向の幅が制御ゲート53(導電層28)の幅と異なることから分かるように、浮遊ゲート12は制御ゲート53と一括加工するのではなく、制御ゲート53の加工前に加工されている。
【0046】
このような構成であっても、ビット線方向に隣接する浮遊ゲートの蓄積電荷による影響を抑制することができ、先の第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、制御ゲート53の加工は、比較的に簡便になり、現状デザインとの整合は高い。さらに、浮遊ゲート12と制御ゲート43の一括加工はできないため、浮遊ゲートと制御ゲートの別々の加工とその合わせ精度が要求されるが、浮遊ゲート12の形状を上から見て、円形や六角形など自由にデザインできることから、隣接する浮遊ゲート12間の距離を更に伸ばすことも可能になる。
【0047】
(第4の実施形態)
図16は、本発明の第4の実施形態に係わるNANDフラッシュメモリのパターンレイアウトを示す平面図である。なお、図2と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0048】
本実施形態では、浮遊ゲート62を、最も相互距離をおいた上で、セルの密度を上げるために有効な配置方法を実現している。即ち、浮遊ゲート62が平行四辺形ではなく円形に加工されている。
【0049】
浮遊ゲート62を円形に加工するには、浮遊ゲート62となるポリシリコン膜を形成した後に、マスクを用いたリソグラフィにより加工すればよい。浮遊ゲート62を制御ゲート13とは別に加工するためにプロセス的に面倒ではあるが、浮遊ゲート62を最密充填の配置が得られるような配置にすることができる。
【0050】
浮遊ゲート62を最も細密にかつ、浮遊ゲート62間の距離を遠くに置くには、素子形成領域11のライン/スペースのピッチを1:1、更に制御ゲート13のライン/スペースのピッチも1:1と仮定した場合、浮遊ゲート62を60度の角度を設けて千鳥にすることが最適である。その際に浮遊ゲート62は、円形又は正六角形に近い形に加工しておくのが望ましい。これにより、浮遊ゲート62間を最大限に引き離し、YUPIN効果を最大限に抑えることができる。
【0051】
(第5の実施形態)
図17及び図18は、本発明の第5の実施形態に係わるフラッシュメモリの製造工程を示す断面図である。この実施形態では、電荷蓄積層として浮遊ゲートを利用した2層ゲート構成のメモリセルに代えて、電気蓄積層として絶縁膜を利用したMONOS型のメモリセルを用いている。
【0052】
ゲートの平面的パターンは第1〜第4の実施形態の何れでも良いが、ここでは第1の実施形態の図2と同様に素子形成領域のストライプ方向と直交させずに斜め方向にゲートパターンを配置したものとする。
【0053】
まず、図17(a)に示すように、所定の不純物がドーピングされた半導体基板71上に、熱酸化法によって、トンネル絶縁膜となるシリコン酸化膜(SiO2 )72を10nm程度形成した後、電荷蓄積層としてシリコン窒化膜(SiN)73を10nm程度形成し、ブロック層としてAl2 3 膜(Al2 3 )74を20nm程度形成する。
【0054】
次いで、図17(b)に示すように、アルミナ膜74上に第1の電極層としてタンタル窒化膜(TaN)75を形成し、その上にリソグラフィによりマスク材76を形成する。このマスク材76は、素子形成領域パターンに対応している。
【0055】
次いで、図17(c)に示すように、マスク材76を用いてRIEにより、タンタル窒化膜75,アルミナ膜74,シリコン窒化膜73,及びシリコン酸化膜72を選択エッチングし、さらに半導体基板71にエッチングを行うことにより、半導体基板71の表面からの深さが100nm程度の素子分離溝77を形成した。この素子分離溝77で分離された領域が前記図1に示す素子形成領域11であり、これによりストライプ状の素子形成領域11を並列配置した構成が得られる。
【0056】
次いで、図18(d)に示すように、素子分離溝77を埋め込むように、半導体基板71及びマスク材76の全面に、シリコン酸化膜(SiO2 )78を堆積する。続いて、シリコン酸化膜78をCMP法によって研磨して表面を平坦化することにより、シリコン酸化膜78からなる素子分離絶縁膜を形成すると共に、マスク材76の表面を露出させる。
【0057】
次いで、図18(e)に示すように、露出したマスク材76に対して選択的にエッチングを行うことにより、マスク材76を除去する。さらに、希フッ酸を用いて、タンタル窒化膜75の表面に形成された自然酸化膜を除去する。
【0058】
次いで、図18(f)に示すように、CVD法によって、第2の電極層としての導電層79を形成した。この導電層79は、タングステン(W)とWシリサイド層を含む2層構造とし、例えば100nm程度の厚さに堆積した。
【0059】
これ以降は図示しないが、リソグラフィ及びRIEによって、導電層79、シリコン酸化膜78、タンタル窒化膜75、アルミナ膜74、シリコン窒化膜73、シリコン酸化膜72に順次パターニングを行って、スリット部を形成することにより、ゲート部を形成する。このときのパターニングを素子形成領域11のストライプと直交する方向から傾けることにより、前記図2に示すのと同様にゲート12を斜めストライプの配置にする。
【0060】
これ以降は、先の第1の実施形態と同様に、半導体基板71、シリコン酸化膜72、シリコン窒化膜73、アルミナ膜74、導電層75,導電層79のうち、露出している面に、電極側壁絶縁膜となるシリコン酸化膜を熱酸化法によって形成する。この熱酸化によって、前記図4に示すように、ゲート部となるタンタル窒化膜75の角部が丸め処理されることになる。
【0061】
続いて、イオン注入法によって、ソース領域及びドレイン領域を形成し、さらにCVD法によって、シリコン酸化膜の全面に層間絶縁膜を形成する。そして、配線層などを形成することにより、MONOS型のメモリセルトランジスタを製造する。
【0062】
このような方法であっても、先の第1の実施形態と同様の効果が得られ、メモリセル部の微細化及び高集積化をはかることができる。また、ゲート部のパターンは、必ずしも第1の実施形態と同様のパターンに限るものではなく、第2〜第4の実施形態と同様の馬田としても良い。さらに、メモリセル部の構成として、MONOSの代わりにMNOSを用いることも可能である。
【0063】
(変形例)
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。実施形態では、電荷蓄積層として浮遊ゲートを用いた例、更には絶縁膜を用いた例を説明したが、電荷蓄積層の材料や厚み等の条件は、仕様に応じて適宜変更可能である。さらに、素子形成領域のL/Sピッチや制御ゲートのL/Sピッチも、仕様に応じて適宜変更可能である。
【0064】
また、本発明の不揮発性半導体記憶装置の製造方法は、第1の実施形態で説明した方法に限るものではなく、適宜変更可能であるのは勿論のことである。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】第1の実施形態に係わるNANDフラッシュメモリにおける素子形成領域及び浮遊ゲートのパターンレイアウトを示す平面図。
【図2】第1の実施形態に係わるNANDフラッシュメモリのパターンレイアウトを示す平面図。
【図3】浮遊ゲートの配置をずらすことによる効果を説明するための模式図。
【図4】浮遊ゲートに丸め処理を施すことによる効果を説明するための模式図。
【図5】第1の実施形態のNANDフラッシュメモリの製造工程を示す断面図。
【図6】第1の実施形態のNANDフラッシュメモリの製造工程を示す断面図。
【図7】第1の実施形態のNANDフラッシュメモリの製造工程を示す断面図。
【図8】第1の実施形態のNANDフラッシュメモリの製造工程を示す断面図。
【図9】第1の実施形態のNANDフラッシュメモリの製造工程を示す断面図。
【図10】第1の実施形態のNAND型フラッシュメモリのビット線方向に沿って切断した場合の断面と回路構成を示す図。
【図11】第2の実施形態に係わるNANDフラッシュメモリのパターンレイアウトを示す平面図。
【図12】第2の実施形態の変形例を示す平面図。
【図13】第2の実施形態の変形例を示す平面図。
【図14】第3の実施形態に係わるNANDフラッシュメモリのパターンレイアウトを示す平面図。
【図15】図14の矢視A−A’断面図及び矢視B−B’断面図。
【図16】第4の実施形態に係わるNANDフラッシュメモリのパターンレイアウトを示す平面図。
【図17】第5の実施形態に係わるフラッシュメモリの製造工程を示す断面図。
【図18】第5の実施形態に係わるフラッシュメモリの製造工程を示す断面図。
【符号の説明】
【0066】
11,21…半導体基板
12,62…浮遊ゲート(電荷蓄積層)
13,43,53…制御ゲート
14…周辺回路部
22…シリコン酸窒化(SiON)膜
23…ポリシリコン層
24…マスク材
25…素子分離溝
26…シリコン酸化膜
27…アルミナ(Al23 )膜
28…導電層
29…マスク材
30…スリット
31…シリコン酸化膜
32…相関絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストライプ状の素子形成領域が並列配置され、各々の素子形成領域に電荷蓄積層と制御ゲートを有する不揮発性メモリセルが複数個設けられた不揮発性半導体記憶装置であって、
前記電荷蓄積層は、互いに異なる前記素子形成領域間で隣接するもの同士が、前記素子形成領域のストライプ方向にずらして配置されていることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
前記制御ゲートの配線は、前記電荷蓄積層の配置に合わせて前記ストライプ方向と直交する方向に対して斜めに配置されていることを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】
前記制御ゲートの配線は、前記電荷蓄積層の配置に合わせて前記ストライプ方向と直交する方向に対してジグザグに配置されていることを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項4】
前記電荷蓄積層の平面形状は平行四辺形であり、該電荷蓄積層の角部が丸いことを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】
前記メモリセルは、前記電荷蓄積層としての浮遊ゲートと前記制御ゲートを有する2層ゲート構成、又は電荷蓄積層として絶縁膜を用いた構成であり、前記素子形成領域のストライプ方向に直列に接続されてNANDセルを構成していることを特徴とする請求項1記載の不揮発性半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−170659(P2009−170659A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7183(P2008−7183)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】