説明

交通規制回避区域提供装置、その制御方法及びその制御プログラム

【課題】自車位置が交通規制情報を有する区域内にある場合でも自動的に最寄の交通規制回避区域を通知し、案内可能な交通規制回避区域提供装置、その制御方法及び制御プラグラムを提供する。
【解決手段】自車位置検出部31は、自車の現在位置情報を測位部14や車両情報取得部12の車速センサ12aから逐次計算し検出する。駐停車禁止区域判定部32は、自車位置検出部31により検出した自車位置が駐停車禁止区域内にあるか否かを判定する。駐車場検索部33は、駐停車禁止区域判定部32により自車位置が駐停車禁止区域内にあると判断された場合に、当該自車位置近傍の駐車場を自動検索する。駐車判定部34は、車両が駐車しているか、又は駐車する意思があるかを判定する。経路計算部35は、駐車判定部34により車両の駐車、あるいは駐車の意思が判定された場合に、自車位置から検索された駐車場までの経路候補を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車位置が駐停車禁止情報等の交通規制情報を有する区域内にあるかを判断し、交通規制情報を有する区域内にある場合に自動的に自車位置近傍の駐車場等の交通規制が回避された区域を検索し、通知及び案内する交通規制回避区域提供装置、その制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の普及と情報処理技術の発達に伴い、車両などの移動体に搭載して道案内を行う車載用情報端末としてナビゲーション装置が急速に普及している。ナビゲーション装置は、予め用意された地図データを利用し、GPSなどで測位する自車の現在位置情報を周辺地図上に表示するだけでなく、指定される目的地への経路を算出し、画面表示や合成音声などで経路を案内するものである。
【0003】
ここで、一般的な経路誘導方法を説明すると、まず、地図上の道路、地名や建造物等を数値化して得られたデータベースを地図データとしてCD−ROM、DVD−ROM、HDD等の記憶媒体に予め記憶しておき、当該地図データを利用することでユーザが目的地を設定する。そして、ジャイロスコープや車速パルスを用いた自立航法と、GPSやFM多重を用いた電波航法の少なくとも一方を利用することにより自車の位置情報を推定し、当該地図データベース内の道路データに従って、この推定した自車位置から設定した目的地までの誘導路を探索計算する。これにより、算出した誘導路と自車位置とをマップマッチングしながら画面上に表示することで経路誘導を実現している。
【0004】
ここで、誘導経路を計算する上で目的地を設定する際、当該目的地近傍の駐車場を検索し、目的地として誘導する機能を備えたナビゲーション装置が提案されている。この装置を使用すれば、計算された誘導路の目的地に駐車場等の駐停車できる場所がない場合であっても、ユーザがその事を予め知っているときには、目的地近傍の駐車場を検索する機能を実行することで、その駐車場まで経路探索し誘導案内することが可能である。
【0005】
また、このような予め目的地が駐車場等の駐停車できない場所にある場合に駐車場を検索可能なナビゲーション装置の他に、車両の駐車位置が駐車禁止区域内にあると判定された場合に、その旨をユーザに対して通知するナビゲーション装置が開発されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−243455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような駐車場を検索する装置は、ユーザが目的地に駐車場がないと予めわかっている場合に、目的地の設定時において当該目的地近傍の駐車場を検索し、その駐車場まで経路探索するものである。そのため、ユーザが目的地に予め駐車場がないとわかっていない場合には、一般的なナビゲーション装置と同様に、経路探索する上で設定した目的地まで誘導案内される。
【0007】
つまり、設定した目的地に到着した際に駐車場がない場合には、ユーザは、その場で最寄りの駐車場を検索する等の操作が必要となる。このような操作はある程度の手間を要するため、運転中にあっては車両走行上の安全性に欠け、また目的地に駐車した際に当該操作を行う場合でも、その駐車した場所が警視庁が定める重点取締り区域、路上駐車を特に禁止したい場所、駐車禁止区域や停車禁止区域等の交通規制情報を有する区域内であると、走行中の車両や周囲に迷惑がかかる他、法規的にも問題となる。
【0008】
また、特許文献1に記載のナビゲーション装置では、車両の駐車位置が駐停車禁止区域内にあると判定された場合にその旨をユーザに対して通知するのみで、車両周辺の駐車場を検索する機能を備えていない。そのため、上記ナビゲーション装置と同様に、ユーザは、駐停車禁止区域等である交通規制情報を有する区域内に駐車されたことが通知された場合に最寄りの駐車場を探索するための操作が必要となる。
【0009】
本発明は、上記課題を解消するために提案されたものであって、その目的は、交通規制情報を有する区域内を走行、あるいは当該区域内に駐停車する場合であっても、自動的に自車位置近傍の駐車場等の交通規制が回避された区域を検索することで、このような検索操作を省略し、最寄の交通規制回避区域をユーザに対して通知及び案内可能な交通規制回避区域提供装置、その制御方法及び制御プラグラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を本発明は以下のような手段により解決する。請求項1の発明は、地図データ、交通規制を有する区域及び交通規制が回避された区域の情報が記憶された記憶部と、自車位置を検知する検知部と、を備えた交通規制回避区域提供装置において、前記自車位置が、地図データ上の当該位置の座標に基づいて前記交通規制を有する区域内にあるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記自車位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、当該自車位置近傍の交通規制回避区域を検索する検索手段と、前記判定手段により前記自車位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、前記検索手段により検索された交通規制回避区域の情報を通知する通知手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項11の発明は、請求項1の発明を方法の観点から把握したものであって、地図データ、交通規制を有する区域及び交通規制が回避された区域の情報が記憶された記憶部と、自車位置を検知する検知部と、コンピュータと、を備えた交通規制回避区域提供装置の制御方法において、前記コンピュータが、前記自車位置が、地図データ上の当該位置の座標に基づいて前記交通規制を有する区域内にあるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにより前記自車位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、当該自車位置近傍の交通規制回避区域を検索する検索ステップと、前記判定ステップにより前記自車位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、前記検索ステップにより検索された交通規制回避区域の情報を通知する通知ステップと、を実行することを特徴とする。
【0012】
請求項13の発明は、請求項1又は請求項11の発明をコンピュータプログラムの観点から把握したものであって、地図データ、交通規制を有する区域及び交通規制が回避された区域の情報が記憶された記憶部と、自車位置を検知する検知部と、を備え、前記検知部により検知した自車位置から前記交通規制回避区域までの経路候補を算出し、誘導案内するナビゲーション処理を実行地図データ、交通規制を有する区域及び交通規制が回避された区域の情報が記憶された記憶部と、自車位置を検知する検知部と、コンピュータと、を備えた交通規制回避区域提供装置の制御プログラムにおいて、前記コンピュータに、前記自車位置が、地図データ上の当該位置の座標に基づいて前記交通規制を有する区域内にあるか否かを判定する判定処理と、前記判定処理により前記自車位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、当該自車位置近傍の交通規制回避区域を検索する検索処理と、前記判定処理により前記自車位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、前記検索処理により検索された交通規制回避区域の情報を通知する通知処理と、を実行させることを特徴とする。
【0013】
以上のような態様では、所定地点を指定することなく、車両の現在位置が駐停車禁止区域等の交通規制情報を有する区域内にあるか否かが判定され、交通規制情報を有する区域内にあると判定された場合には、自動で検索された交通規制回避区域の情報をユーザに対して通知することができる。これにより、交通規制回避区域の検索操作を省略でき、また、自車位置が交通規制情報を有する区域内に存在する場合に、自動で回避区域が通知されるので、利便性の高い交通規制区域提供装置を提供することが可能となる。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載の交通規制回避区域提供装置において、前記判定手段により前記自車位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、当該自車位置の車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあるか否かを判定する駐車判定手段を備え、前記通知手段は、前記駐車判定手段により車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあると判定された場合に、交通規制回避区域の情報を通知することを特徴とする。
【0015】
以上のような態様では、車両が駐停車禁止区域等の交通規制情報を有する区域内に駐車された、あるいは駐車しようとする場合に、通知手段を介して交通規制回避区域の情報をユーザに対して通知するので、ユーザは当該回避区域に向うか否かに当たり、決定する際の有用な情報を取得することが可能となる。すなわち、駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にないと判定された場合には、交通規制情報を有する区域を単に通過する可能性が高いため当該回避区域の情報を通知せず、駐車又は駐車しようとする場合に自車位置近傍の交通規制回避区域情報を通知することが可能となる。
【0016】
請求項3の発明は、請求項2に記載の交通規制回避区域提供装置において、前記検知部により検知した自車位置から所望の地点までの経路候補を算出し、誘導案内するナビゲーション手段を備え、前記ナビゲーション手段は、前記駐車判定手段により車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあると判定された場合に、前記自車位置から前記検索手段により検索された交通規制回避区域内の所定地点までの経路候補を算出し、誘導案内することを特徴とする。
【0017】
以上のような態様では、車両が駐停車禁止区域等の交通規制情報を有する区域内に駐車された、あるいは駐車しようとする場合であっても、交通規制回避区域の情報をユーザに対して通知すると共に、自動的に自車位置近傍の交通規制回避区域まで誘導案内することが可能となる。そのため、交通規制回避区域を検索する操作を省略し、また、法規的に駐停車が禁止された交通規制を有する区域内への駐停車を防止することができ、走行中の車両や周囲への迷惑も軽減させることが可能となる。
【0018】
請求項4の発明は、地図データ、交通規制を有する区域及び交通規制が回避された区域の情報が記憶された記憶部と、自車位置を検知する検知部と、前記検知部により検知した自車位置から所望の地点までの経路候補を算出し、誘導案内するナビゲーション手段と、を備えた交通規制回避区域提供装置において、前記自車位置が、地図データ上の当該位置の座標に基づいて前記交通規制を有する区域内にあるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記自車位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、当該自車位置近傍の交通規制回避区域を検索する検索手段と、前記判定手段により前記自車位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、当該自車位置の車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあるか否かを判定する駐車判定手段と、を備え、前記ナビゲーション手段は、前記駐車判定手段により車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあると判定された場合に、前記自車位置から前記検索手段により検索された交通規制回避区域内の所定地点までの経路候補を算出し、誘導案内することを特徴とする。
【0019】
請求項12の発明は、請求項4の発明を方法の観点から把握したものであって、地図データ、交通規制を有する区域及び交通規制が回避された区域の情報が記憶された記憶部と、自車位置を検知する検知部と、を備え、前記検知部により検知した自車位置から所望の地点までの経路候補を算出し、誘導案内するナビゲーションステップを実行するコンピュータを有する交通規制回避区域提供装置の制御方法において、前記コンピュータは、前記自車位置が、地図データ上の当該位置の座標に基づいて前記交通規制を有する区域内にあるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにより前記自車位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、当該自車位置近傍の交通規制回避区域を検索する検索ステップと、前記判定ステップにより前記自車位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、当該自車位置の車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあるか否かを判定する駐車判定ステップと、を実行し、前記ナビゲーションステップは、前記駐車判定ステップにより車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあると判定された場合に、前記自車位置から前記検索ステップにより検索された交通規制回避区域内の所定地点までの経路候補を算出し、誘導案内することを特徴とする。
【0020】
以上のような態様では、車両が駐停車禁止区域等の交通規制情報を有する区域内に駐車された、あるいは駐車しようとする場合に、交通規制回避区域の情報をユーザに対して通知することなしに、即座に自車位置近傍の交通規制回避区域まで誘導案内することが可能となる。
【0021】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の交通規制回避区域提供装置において、前記交通規制を有する区域は、車両の駐車、あるいは停車が禁止された駐停車禁止情報を有する区域であることを特徴とする。
【0022】
以上のような態様では、交通規制区域が、地図データ中において一般車両が駐車又は停車することができない駐停車禁止区域であり、自車位置が駐停車禁止区域内にある場合には、駐停車が回避された区域へ誘導案内されるか、検索された回避区域が通知されるので、法規に違反する駐停車を防止することが可能となる。
【0023】
請求項6の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の交通規制回避区域提供装置において、前記交通規制回避区域は、車両が駐車可能な駐車場であることを特徴とする。
【0024】
以上のような態様では、検索手段により自車位置近傍の駐車場が検索されるので、車両が駐停車禁止区域内に駐車される場合であっても、検索された駐車場を通知し、あるいはナビゲーション手段を通じて自動的に当該駐車場まで誘導案内することが可能となる。これにより、その駐車場に駐車することで交通規制を有する区域への法規に違反する駐停車を防止することができる。
【0025】
請求項7の発明は、請求項1又は2に記載の交通規制回避区域提供装置において、前記通知手段は、前記駐車場の位置情報に加え、当該駐車場の営業時間、車両収容数、駐車料金を含む駐車場関連情報を通知することを特徴とする。
【0026】
以上のような態様では、通知手段が通知する情報として、自車位置近傍の駐車場の位置情報だけでなく、当該駐車場の営業時間、車両収容数、駐車料金、屋根付き等の駐車場に関連する関連情報をユーザに対して提供することが可能となる。例えば、交通規制を有する区域内に自車位置がある場合には、ユーザは、通知されるこのような駐車場の関連情報を基に、所望の駐車場を選定することが可能となる。
【0027】
請求項8の発明は、請求項1、2、7のいずれか1項に記載の交通規制回避区域提供装置において、表示部を備え、前記通知手段は、ユーザへの通知情報を前記表示部に出力することを特徴とする。
【0028】
以上のような態様では、自車位置が交通規制を有する区域内にあった場合に検索手段により検索された当該自車位置近傍の交通規制回避区域の情報を表示データとして、視覚的に認識し易い態様でユーザに通知することが可能となる。
【0029】
請求項9の発明は、請求項1、2、7、8のいずれか1項に記載の交通規制回避区域提供装置において、スピーカを備え、前記通知手段は、ユーザへの通知情報を前記スピーカに出力することを特徴とする。
【0030】
以上のような態様では、自車位置が交通規制を有する区域内にあった場合に検索手段により検索された当該自車位置近傍の交通規制回避区域の情報を音声データとして音声案内という比較的解り易い態様でユーザに通知することが可能となる。
【0031】
請求項10の発明は、請求項6に記載の交通規制回避区域提供装置において、駐車場の駐車料金を比較し、最も安い駐車場を選定する駐車料金比較手段を備え、前記駐車料金比較手段は、前記検索手段により検索された自車位置近傍の駐車場の駐車料金を比較することで最も安い駐車場を選定し、ナビゲーション手段は、前記自車位置から前記駐車料金比較手段により選定された当該駐車場までの経路候補を算出し、誘導案内することを特徴とする。
【0032】
以上のような態様では、検索手段により検索された自車位置近傍である所定範囲内に存在する駐車場に関して、自車位置から駐車場までの距離や当該駐車場への到達時間ではなく、検索された駐車場の料金を基準に目的地とする駐車場を選定し、誘導案内することが可能となる。すなわち、例えば、駐車判定手段を通じて車両の駐車が判定され、実際にユーザが交通規制を有する区域内に路上駐車するほど駐車料金を節約したい場合等には、自車位置に最も近い駐車場でなくても、料金が安い駐車場を自動で案内することが可能となる。
【発明の効果】
【0033】
以上のように、本発明によれば、車両が、駐車禁止区域等の交通規制情報を有する区域内を走行中、あるいは当該区域内に駐停車された場合であっても、自動的に自車位置近傍の駐車場等の交通規制が回避された区域を検索することで、このような検索操作を省略し、最寄の交通規制回避区域をユーザに対して通知し、当該区域まで案内可能な交通規制回避区域提供装置、その制御方法及び制御プラグラムを提供することができる。これにより、法規的に駐停車が禁止された区域内における駐停車を防止することができ、走行中の車両や周囲への迷惑も軽減させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
次に、本発明を実施するための最良の実施形態について、図1〜7を参照して説明する。
【0035】
[1.本実施形態]
[1.1.構成]
本実施形態では、自車位置が交通規制情報を有する区域(以下では、駐停車禁止区域を例に説明する)内にあるか否かを判断し、自車位置が駐停車禁止区域内にある場合に自動的に当該自車位置近傍の交通規制が回避された区域(以下では、交通規制が回避された区域を駐車場として説明する)を検索し、案内する交通規制回避区域提供装置を(以下「本装置」と呼ぶ)を説明するもので、その制御方法、制御プログラムとしても把握可能であり、当該本装置の構成を図1に示す。なお、経路案内機能を有しない交通規制回避区域提供装置も本装置は包含する概念である。
【0036】
1は、交通情報としてVICS(Vehicle Information and Communication System)情報を取得する為のFM多重受信及び処理部、2は、VICS情報を取得する為のビーコン受信及び処理部である。
【0037】
3は、システム全体の制御を司るメインCPU(中央演算装置)及びその周辺回路であり、本装置各部の制御を含む情報処理を行う制御部である。4は、メインプログラムをロードする為のダイナミックRAM(DRAM)、5は、メイン電源オフの間も設定などメモリ内容を保持するためのバッテリーバックアップ付スタティックRAM(SRAM)、6は、起動時等に制御部3よりアクセスされるROMである。ここで、メインメモリMはDRAM4とSRAM5とROM6とから構成されている。
【0038】
7は、地図などの情報を描画、表示、及び音声出力する表示案内部で、液晶表示パネルなどの表示画面と、音声データを出力するスピーカを持つ。なお、表示案内部7では、表示部とスピーカを一体に構成しているが、別個独立に配設することも可能である。8は、表示案内部7用に設けられたビデオRAM(VRAM)である。
【0039】
9は、情報や操作の入力を受け付ける入力部で、タッチキーなどからの入力を検出する制御装置であるが、入力部の構成や種類は自由で、表示案内部7周囲の操作スイッチ類であるハードキーのほか、リモコンユニット、表示パネルと一体のタッチセンサなどを単独、又は自由に組み合わせて用いることが可能である。
【0040】
10は、I/O制御回路やドライバなどを使って表示案内部7や入力部9と制御部3を結ぶユーザインターフェース部である。11は、TV(各種のテレビジョン放送)を受信する為のTV受信及び処理部である。
【0041】
12は、車速パルスや駐車等の動作や状態を検出する車両情報取得部である。具体的には、車両から得られる車速パルスから車速を検出する車速センサ12a、車両に搭載されたハンドブレーキ、フットブレーキ等のパーキングブレーキに接続されるパーキングブレーキスイッチからの信号により当該パーキングブレーキのON・OFFを検知するパーキングブレーキセンサ12b、車両のエンジン電源のON・OFFを検知するエンジンセンサ12c、車両に搭載されたオートマチックトランスミッションのシフト状態を検知するミッションセンサ12d、車両に搭載されるハザード電源のON・OFFを検知するハザードセンサ12e、シートベルトの装着・非装着を検知するシートベルトセンサ12fにより構成されている。
【0042】
13は、記憶装置であり、HDD、DVD−ROM、CD−ROMなどのドライブを用いて、各種データベースを記憶しておく記憶部である。なお、この記憶部13、地図データベース(典型的には、経路探索用データベースや地図表示用データベース)はもちろんのこと、その他の検索データや地図関連データなども記録されている。
【0043】
この地図データベースは、上記の通り、経路探索用と地図表示用の2つからなり、経路探索用データベースは、経路探索に必要なデータ(ノード、リンク)で構成される。経路探索用データベースのリンクは、地図表示用の道路リンクと、地図IDとして共通のIDを持ち、相互に関連付けられている。一方、地図表示用データベースは、表示用として、詳細な道路形状情報(形状点列)、エリア形状情報等を含んでいる。
【0044】
また、この記憶部13には、駐停車禁止区域データベースが地図データベースとは別に作成されている。この駐停車禁止区域データベースには、N個の駐停車禁止区域情報が、図2のようなフォーマットで構成されている。
【0045】
図2の通り、各座標P0〜Pnを左回りに順に結んだベクトルからなる範囲(P1−P0、P2−P1、・・・Pn−P0)を駐停車禁止区域1とし、各座標P´0〜P´nを左回りに順に結んだベクトルからなる範囲(P´1−P´0、P´2−P´1、・・・P´n−P´0)を駐停車禁止区域2としている。
【0046】
なお、後述するが、自車位置が駐停車禁止区域内にあるか否かを判定する場合、各座標を左回りに結んだ区域が凸多角形である必要があり、凹多角形である場合には、図3のように複数個の凸多角形に予め分解して格納しておく。ここで、凹多角形を凸多角形に分解する実際の工程は手動でも可能とする。
【0047】
また、駐停車禁止区域データベースを地図データベースと別に格納しているのは、地図データベースと駐停車禁止区域データベースのそれぞれの更新が同時ではないため、仮に地図データベースが古く、駐停車禁止区域データベースのみが更新された場合であっても、最新の駐停車禁止区域データベースに書き換えることが望ましいからである。
【0048】
なお、記憶部13には、地図データベースと共に地図中に存在する駐車場の位置情報に加えて、各駐車場の営業時間、駐車料金、車両収容台数や屋根付き等の駐車場情報が記憶されている。なお、後述する駐車場検索部33により駐車場が検索された際には、自車位置近傍の駐車場の位置情報と共に、上記のような駐車場情報をユーザに対して通知することが可能である。
【0049】
14は、測位技術(例えば、GPS、ジャイロスコープ、地磁気センサなど)により、現在位置、方位など自車の挙動に関する航法情報を得る測位部である。ここで、自車位置情報は、測位部14であるGPSを用いて取得した電波航法情報とジャイロスコープを通じて取得した自立航法情報により決定する。なお、電波航法情報としてFM多重受信及び処理部1から受信した情報を採用し、また自立航法情報として車両情報取得部12を通じて検出した車速度をもとに算出した情報を採用することも可能である。
【0050】
また、制御部3は、後述する機能・作用に対応する次のような処理手段(図1に示す31、32…)を有する。31は、自車の現在位置情報を測位部14や車両情報取得部12の車速センサ12aから逐次計算し検出する自車位置検出部である。
【0051】
32は、自車位置検出部31により検出した自車位置が、駐停車禁止区域内にあるか否かを判定する駐停車禁止区域判定部である。つまり、この駐停車禁止区域判定部32は、自車位置検出部31により自車の位置情報を検出すると、記憶部13から駐停車禁止区域データベースをメモリ上に読み出し、読み出された駐停車禁止区域内に、この自車位置が存在するかを判定する。
【0052】
自車位置が駐停車禁止区域内に属するかの具体的な判定処理は、図4のように、座標P0〜Pnを左回りに繋いだ駐停車禁止区域内に自車位置の位置座標が含まれるかにより判断される。実際には、自車位置の座標を(x,y)、駐停車禁止区域を構成する各座標をP0(x0,y0)、P1(x1,y1),P2(x2,y2)・・・Pn(xn,yn)とすると、例えば、P1−P0間と自車位置との関係を考えれば、P1とP0を結ぶベクトルと、自車位置とP0を結ぶベクトルとに基づいて、行列式を利用した下記の[数1]が成立することが自車位置が駐停車禁止区域内に属することの条件となる。
【0053】
[数1]
Det=(x1−x0)×(y−y0)−(x−x0)×(y1−y0)
Det≧0
【0054】
なお、上記では、P1−P0間のみでしか自車位置との関係を判定していないので、[数1]の計算をP2−P1、P3−P2、・・・P0−Pn間でも行い、すべての区間においてDet≧0である場合に自車位置が駐停車禁止区域内にあると判断される。Det>0である場合には、自車位置が駐停車禁止区域内に位置し、Det=0である場合には、駐停車禁止区域を構成する輪郭上に位置し、Det<0である場合には、駐停車禁止区域の範囲外となる。
【0055】
33は、駐停車禁止区域判定部32により自車位置が駐停車禁止区域内にあると判断された場合に、当該自車位置近傍の駐車場を自動検索する駐車場検索部である。この駐車場検索部33は、駐停車禁止区域内を走行中、あるいは駐停車中の自車位置に対して最寄の駐車場や当該自車位置を基準として所定範囲内にある駐車場をすべて検索する機能を有している。
【0056】
すなわち、当該駐停車禁止区域判定部32は、自車位置から直線距離で最も近い駐車場を検索する機能や、あるいは走行時間が最も短い駐車場を検索する機能を有する他、自車位置を中心に所定距離を半径とした円範囲内にある複数の駐車場を一括検索することも可能とする。また、駐停車禁止区域が広い場合を想定し、例えば、一定距離走行後に毎回、自車位置が駐停車禁止区域内あるかどうかを判定し、最寄りの駐車場を更新する。
【0057】
34は、車両が実際に駐車しているか、あるいは駐車する意思があるかを判定する駐車判定部であり、下記のような手段により車両が実際に駐車状態にあるか、あるいは駐車しようとする状態であるかを判断する。
【0058】
車速度判定手段34aは、車両情報取得部12の車速センサ12aを通じて、車速が0km/hである状態を所定時間以上検出した場合に、車両が駐車していると判定する。パーキングブレーキ判定手段34bは、車両情報取得部12のパーキングブレーキセンサ12bを通じて、パーキングブレーキスイッチのON状態を検出した場合に、車両が駐車していると判定する。
【0059】
エンジン判定手段34cは、車両情報取得部12のエンジンセンサ12cを通じて、車両のエンジン電源のOFF状態を検出した場合に、車両が駐車していると判定する。ミッション判定手段34dは、車両情報取得部12のミッションセンサ12dを通じて、車両に搭載されたオートマチックトランスミッションがパーキングレンジにシフトされた状態を検出した場合に、車両が駐車状態にあると判定する。
【0060】
また、このミッション判定手段34dは、ミッションセンサ12dを通じて、オートマチックトランスミッションの1,2,3速レンジやドライブレンジへのシフト(前進のためのシフト)と、リバースレンジへのシフト(後進のためのシフト)が短時間の間に繰り返しされていることを検出した場合に、車両を駐車する意思があるものと判定する。この他にも、駐車する意思を判定するものとしてハザード判定手段34eを備え、当該ハザード判定手段34eは、車両情報取得部12のハザードセンサ12eを通じて、車両に搭載されるハザード電源のON状態を検出した場合に、車両を駐車する意思があると判定する。
【0061】
また、シートベルト装着判定手段34fも備え、当該シートベルト装着判定手段34fは、車両情報取得部12のシートベルトセンサ12fを通じて、シートベルトの非装着状態を検出した場合に、車両を駐車する意思があるものと判定する。
【0062】
なお、駐車判定部34は、上記判定手段34a〜34fのいずれかにより車両の駐車、あるいは駐車する意思を判定した場合に、実際に車両が駐車状態にある、あるいは駐車しようとする状態にあるものと判定する。一方、当該駐車判定部34は、上記判定手段34a〜34fのうち、所定の判定手段が、車両の駐車、あるいは駐車する意思を判定した場合に、実際に車両が駐車状態にある、あるいは駐車しようとする状態にあると判定する実施形態も包含する。
【0063】
例えば、車速度判定手段34a、パーキングブレーキ判定手段34bとエンジン判定手段34cの3つの判定手段により、車両が駐車状態にあると判定された場合に、車両が実際に駐車していると判断する場合や、各判定手段34a〜34fすべてにおいて駐車状態にある、あるいは駐車する意思があると判定された場合のみ、車両が実際に駐車していると判断することも可能である。
【0064】
35は、自車位置検出部31で検知した自車の現在位置情報と駐車場検索部33により検索された自車位置近傍の駐車場の位置情報に基づいて、自車位置からこの駐車場までの経路候補を計算する経路計算部である。この経路計算部35は、上記駐車判定部34により車両が駐車状態にある、あるいは車両を駐車する意思があると判定された場合に、検知した自車位置から駐車場検索部33により検索された駐車場までの経路候補を自動的に計算する。
【0065】
36は、経路計算部35により算出した現在の自車位置から駐車場検索部33により検索された自車位置近傍の駐車場までの誘導経路を表示データとして表示案内部7に出力し、表示させる表示制御部である。また、この表示制御部36は、駐車判定部34により車両が駐車状態にない、あるいは駐車する意思がないと判定された場合には、駐車場検索部33で検索された自車位置近傍の駐車場情報を表示案内部7を介して出力し、図5のように、地図データ中に当該駐車場を表示させる。なお、検索された自車位置近傍の駐車場情報をユーザに対して通知する方法は、図5のような表示態様に限定するものではなく、「自車位置近傍の駐車場が発見されました」等の文字データを表示案内部7に出力する態様も包含する。
【0066】
一方、駐車場検索部33により駐車場が検索されなかった場合には、駐車場が発見されなかった旨の情報を表示案内部7を介して表示させ、ユーザに対して通知する。例えば、「最寄の駐車場は発見されませんでした」等の文字データを表示案内部7を介して表示させる。
【0067】
また、この表示制御部36は、図5のように、駐車場検索部33により検索された駐車場の位置情報のみを表示する表示態様に限定するものではなく、各駐車場の営業時間、収容台数、駐車料金や満車・空車情報(例えば、FM多重受信及び処理部1やビーコン受信及び処理部2を通じて取得)等を併せて表示することも可能である。
【0068】
37は、音声制御部であり、経路計算部35により算出した現在の自車位置から駐車場検索部33により検索された自車位置近傍の駐車場までの誘導経路を音声データとして表示案内部7に出力し、音声案内させる。この音声制御部37は、駐車判定部34により車両が駐車状態にない、あるいは駐車する意思がないと判定された場合に、駐車場検索部33で検索された自車位置近傍の駐車場情報に基づいて「自車位置近傍の駐車場が発見されました」等の音声データを表示案内部7に出力し、音声案内させる。
【0069】
なお、駐車場検索部33により駐車場が検索されなかった場合には、駐車場が発見されなかった旨の情報を表示案内部7を介してユーザに対して音声により通知する。例えば、「最寄りの駐車場は発見されませんでした」等の音声データが表示案内部7に出力され、ユーザに対して音声案内される。
【0070】
また、音声制御部37は、上述したような表示制御部36を通じて表示させる各駐車場の営業時間、収容台数、駐車料金や満車・空車情報(例えば、FM多重受信及び処理部1やビーコン受信及び処理部2を通じて取得)等の情報を音声データとして音声案内することも可能である。
【0071】
[1.2.作用]
次に、上記構成に基づく本実施形態の作用を図6及び7のフローチャートを参照して以下に説明する。図6では、検知した自車位置が駐停車禁止区域内にあるかの判定に基づき、駐停車禁止区域内にあった場合に当該自車位置近傍の駐車場を検索し、その駐車場まで自動で経路案内するフローチャートを示している。また、図7では、検知した自車位置が駐停車禁止区域内のあるかの判定の具体的な処理手順に対応したフローチャートを示している。
【0072】
[1.2.1.駐車場の自動案内処理(図6)]
図6を参照して、自車位置が駐停車禁止区域内にあった場合に検索された近傍駐車場までの経路案内を含めた処理手順を以下に説明する。
【0073】
まず、図6の通り、車両情報取得部12や測位部14、そしてFM多重受信及び処理部1から取得した情報をもとに、自車位置検出部31を通じて自車の現在位置情報を検出する(STEP601)。そして、自車位置検出部31が自車の現在位置情報を検出すると、駐停車禁止区域判定部32は、記憶部13から駐停車禁止区域データベースをメモリ上に読み出し、読み出された駐停車禁止区域内に、この検出した自車位置が存在するかを判定する(STEP602)。
【0074】
駐停車禁止区域判定部32により、検出した自車位置が駐停車禁止区域内にあると判定された場合には(STEP602のYES)、駐車場検索部33が、当該自車位置近傍の駐車場を検索する(STEP603)。なお、自車位置近傍の駐車場とは、自車位置に対して最寄の駐車場や、自車位置を中心とした所定範囲内に含まれる複数の駐車場を含むものとする。
【0075】
駐車場検索部33により自車位置近傍の駐車場が検索されると(STEP603のYES)、駐車判定部34は、ユーザの車両が駐車されているか、あるいは駐車する意思があるかを判定手段34a〜34fの判定結果に基づき判定する(STEP604)。具体的に本フローでは、一例として、判定手段34a〜34fのいずれかで、車両の駐車、あるいは駐車の意思の存在を認識した場合に、車両が駐車状態にある、あるいは駐車しようとする状態にあると判定する。
【0076】
例えば、車速度判定手段34aでは、車両情報取得部12の車速センサ12aを通じて、車速が0km/hである状態を所定時間以上検出した場合に、車両が駐車していると判定する。また、パーキングブレーキ判定手段34bでは、車両情報取得部12のパーキングブレーキセンサ12bを通じて、パーキングブレーキスイッチのON状態を検出した場合に、車両が駐車していると判定する。
【0077】
エンジン判定手段34cでは、車両情報取得部12のエンジンセンサ12cを通じて、車両のエンジン電源がOFF状態を検出した場合に、車両が駐車していると判定する。ミッション判定手段34dでは、車両情報取得部12のミッションセンサ12dを通じて、車両に搭載されたオートマチックトランスミッションがパーキングレンジにシフトされた状態を検出した場合に、車両が駐車していると判定する。
【0078】
また、駐車の意思を判定する際は、ミッション判定手段34dでは、ミッションセンサ12dを通じて、オートマチックトランスミッションの1,2,3速レンジやドライブレンジへのシフトと、リバースレンジへのシフトが繰り返し行われていることを検出した場合に、車両を駐車する意思があると判定する。ハザード判定手段34eでは、車両情報取得部12のハザードセンサ12eを通じて、車両に搭載されるハザード電源のON状態を検出した場合に、車両を駐車する意思があると判定する。シートベルト装着判定手段34fでは、車両情報取得部12のシートベルトセンサ12fを通じて、シートベルトの非装着状態を検出した場合に、車両を駐車する意思があると判定する。
【0079】
STEP604で駐車判定部34により、実際に車両が駐車状態にある、あるいは駐車しようとする状態にあると判定されると(STEP604のYES)、経路計算部35は、自車位置から駐車場検索部33により検索された近傍の駐車場までの誘導経路を算出し、表示制御部36及び音声制御部37が表示案内部7を介して当該誘導経路の誘導案内を行う(STEP605)。
【0080】
STEP602において、駐停車禁止区域判定部32により、自車位置が駐停車禁止区域内にないと判定された場合には(STEP602のNO)、その旨の通知や駐車場の検索もすることなく、本処理は修了する。また、STEP603において、駐車場検索部33により、自車位置近傍の駐車場が検索されなかった場合には(STEP603のNO)、表示制御部36と音声制御部37のいずれかにより近傍の駐車場が発見されなかった旨を表示案内部7を介してユーザに対して通知する(STEP606)。
【0081】
STEP604において、駐車判定部34を通じて車両の駐車、あるいは駐車する意思の存在を発見できない場合には(STEP604のNO)、表示制御部36と音声制御部37のいずれかにより、駐車場検索部33で検索された駐車場情報がユーザに対して通知される(STEP607)。具体的には、図5のように、地図データ上に検索された駐車場を表示したり、それに加え駐車場の営業時間や駐車料金等の表示、あるいは音声案内する態様により通知される。
【0082】
なお、本実施形態は、上記図6のフローチャートに基づく処理手順に限定するものではなく、検索された交通規制回避区域である駐車場までの経路案内を行わずにユーザに対して当該駐車場情報を通知する実施形態も包含する。具体的には、図6におけるSETP603では、自車位置近傍の駐車場が検索された場合、さらに車両が駐車状態あるいは駐車しようとする状態にないことを条件に駐車場情報を通知するように説明しているが、STEP603にて自車位置近傍の駐車場情報が検索された場合には、表示制御部36や音声制御部37車両の駐車状態に関係なく自車位置近傍の駐車情報情報を通知する実施形態も包含している。つまり、STEP604の処理を省略し、STEP603におけるYESの判定に基づき駐車情報を通知する。
【0083】
[1.2.2.駐停車禁止区域判定フロー(図7)]
次に、図7を参照して、自車位置が駐停車禁止区域内にあるか否かを判断する駐停車禁止区域判定部32の具体的な判定処理を以下に説明する。つまり、上述した図6のフローチャート上のSTEP602における判定処理を詳述する。
【0084】
駐停車禁止区域判定部32は、まず、自車位置検出部31により自車の位置情報が検出されると、記憶部13から駐停車禁止区域データベースをメモリ上に読み出す(STEP701)。そして、N個の駐停車禁止区域それぞれに対して、上述した図4のように、検出した自車位置の座標が当該区域内に属するかが判断される(STEP702〜705)。
【0085】
具体的には、N個の駐停車禁止区域のうちI番目の区域に対して、自車位置が属するか否かを判定し、自車位置がI番目の駐停車禁止区域内にあると判定された場合には(STEP704のYES)、図6におけるSTEP602のYESとして、駐車場検索部33により自車位置近傍の駐車場が検索される(STEP603)。
【0086】
一方、自車位置がI番目の駐停車禁止区域内にないと判定された場合には(STEP704のNO)、駐停車禁止区域数がN個になるまで判定処理が繰り返され、自車位置が各駐停車禁止内にあるか否かが判定される(STEP705)。そして、N個の駐停車禁止区域すべてにおいて自車位置が存在しないと判定された場合には(STEP703のNO)、図6におけるSTEP602のNOとして、本フローによる処理は終了する。
【0087】
以上のような、本実施形態によれば、車両が、駐車禁止区域等の交通規制情報を有する区域内を走行中、あるいは当該区域内に駐停車された場合であっても、自動的に自車位置近傍の駐車場等の交通規制回避区域を検索することで、このような検索操作を省略し、最寄の交通規制回避区域をユーザに対して通知し、当該回避区域まで案内可能な交通規制回避区域提供装置、その制御方法及び制御プラグラムを提供することができる。これにより、法規的に駐停車が禁止された区域内における車両の駐停車を防止することができ、走行中の車両や周囲への迷惑も軽減させることが可能となる。
【0088】
[2.他の実施形態]
なお、本発明は、上記のような駐車場検索部33が自車位置近傍の駐車場を検索する実施形態に限定するものではなく、駐車料金比較部を設け、自車位置を中心とした所定範囲内で検索された駐車場のうち、駐車料金の最も安い駐車場までを経路案内する実施形態も包含する。
【0089】
具体的には、まず、駐車場検索部33は、自車位置に対して最寄の駐車場を検索するのではなく、近傍の駐車場を検索する場合よりも多少の広い、自車位置を中心とした範囲内に存在する駐車場を検索する。そして、駐車料金比較部は、駐車場検索部33により検索された各駐車場の駐車料金を比較することで最も安い料金の駐車場を選定し、経路計算部35が自車位置から当該駐車場までの誘導経路を算出する。
【0090】
これにより、例えば、駐車判定部34により車両の駐車が判定され、実際にユーザが路上駐車するほど駐車料金を節約したい場合等には、自車位置から多少離れていても、料金が安い駐車場を自動で案内することが可能となる。
【0091】
なお、ここでは、駐車料金比較部は駐車料金の最も安い駐車場を選定しているが、この実施形態に限定するものではなく、予め設定した料金内の駐車場をすべて抽出する実施形態も包含する。例えば、駐車料金を予め1時間当たり400円以下等に設定しておき、自車位置から所定範囲内にある駐車料金が1時間当たり400円以下の駐車場を通知する実施形態も包含する。また、検索された複数の駐車場の情報を、駐車料金の高い順(安い順でも可)にリスト表示し、経路案内する上で駐車場をユーザに選択させるようにしても良い。
【0092】
上記実施形態では、交通規制情報を有する区域として駐停車禁止区域を例に説明しているが、本発明は、この駐停車禁止区域に限定するものではなく、自車位置が駐車場禁止区域又は停車禁止区域、あるいはその他の規制情報を有する区域内にあるか否かを判断する実施形態も包含する。
【0093】
本発明は、上記実施形態のような、駐車場検索部により自車位置近傍の駐車場が検索される実施形態に限定するものではなく、当該自車位置近傍の停車場等の交通規制が回避された駐車場以外の区域を検索する実施形態も包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施形態の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施形態における記憶部に記憶された駐停車禁止区域データベース例を示す図
【図3】本発明の実施形態における記憶部13に記憶された駐停車禁止区域が凹多角形であった場合の凸多角形への分解例を示す図
【図4】本発明の実施形態における駐停車禁止区域判定部の判定例を示す図
【図5】本発明の実施形態における駐車場検索部により検索された駐車場の画面表示例を示す図
【図6】本発明の実施形態の全体作用を示すフローチャート
【図7】本発明の実施形態における駐停車禁止区域判定処理を示すフローチャート
【符号の説明】
【0095】
1…FM多重受信及び処理部
2…ビーコン受信及び処理部
3…制御部(メインCPU及びその周辺回路)
4…ダイナミックRAM(DRAM)
5…スタティックRAM(SRAM)
6…ROM
7…表示案内部
8…ビデオRAM(VRAM)
9…入力部(タッチキー制御装置)
10…ユーザインターフェース部
11…TV受信及び処理部
12…車両情報取得部
12a…車速センサ
12b…パーキングブレーキセンサ
12c…エンジンセンサ
12d…ミッションセンサ
12e…ハザードセンサ
12f…シートベルトセンサ
13…記憶部
14…測位部
31…自車位置検出部
32…駐停車禁止区域判定部
33…駐車場検索部
34…駐車判定部
34a…車速度判定手段
34b…パーキングブレーキ判定手段
34c…エンジン判定手段
34d…ミッション判定手段
34e…ハザード判定手段
34f…シートベルト装着判定手段
35…経路計算部
36…表示制御部
37…音声制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データ、交通規制を有する区域及び交通規制が回避された区域の情報が記憶された記憶部と、自車位置を検知する検知部と、を備えた交通規制回避区域提供装置において、
前記自車位置が、地図データ上の当該位置の座標に基づいて前記交通規制を有する区域内にあるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記自車位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、当該自車位置近傍の交通規制回避区域を検索する検索手段と、
前記判定手段により前記自車位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、前記検索手段により検索された交通規制回避区域の情報を通知する通知手段と、を備えたことを特徴とする交通規制回避区域提供装置。
【請求項2】
前記判定手段により前記自車位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、当該自車位置の車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあるか否かを判定する駐車判定手段を備え、
前記通知手段は、前記駐車判定手段により車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあると判定された場合に、交通規制回避区域の情報を通知することを特徴とする請求項1に記載の交通規制回避区域提供装置。
【請求項3】
前記検知部により検知した自車位置から所望の地点までの経路候補を算出し、誘導案内するナビゲーション手段を備え、
前記ナビゲーション手段は、前記駐車判定手段により車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあると判定された場合に、前記自車位置から前記検索手段により検索された交通規制回避区域内の所定地点までの経路候補を算出し、誘導案内することを特徴とする請求項2に記載の交通規制回避区域提供装置。
【請求項4】
地図データ、交通規制を有する区域及び交通規制が回避された区域の情報が記憶された記憶部と、自車位置を検知する検知部と、前記検知部により検知した自車位置から所望の地点までの経路候補を算出し、誘導案内するナビゲーション手段と、を備えた交通規制回避区域提供装置において、
前記自車位置が、地図データ上の当該位置の座標に基づいて前記交通規制を有する区域内にあるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記自車位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、当該自車位置近傍の交通規制回避区域を検索する検索手段と、
前記判定手段により前記自車位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、当該自車位置の車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあるか否かを判定する駐車判定手段と、を備え、
前記ナビゲーション手段は、前記駐車判定手段により車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあると判定された場合に、前記自車位置から前記検索手段により検索された交通規制回避区域内の所定地点までの経路候補を算出し、誘導案内することを特徴とする交通規制回避区域提供装置。
【請求項5】
前記交通規制を有する区域は、車両の駐車、あるいは停車が禁止された駐停車禁止情報を有する区域であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の交通規制回避区域提供装置。
【請求項6】
前記交通規制回避区域は、車両が駐車可能な駐車場であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の交通規制回避区域提供装置。
【請求項7】
前記通知手段は、前記駐車場の位置情報に加え、当該駐車場の営業時間、車両収容数、駐車料金を含む駐車場関連情報を通知することを特徴とする請求項1又は2に記載の交通規制回避区域提供装置。
【請求項8】
表示部を備え、
前記通知手段は、ユーザへの通知情報を前記表示部に出力することを特徴とする請求項1、2、7のいずれか1項に記載の交通規制回避区域提供装置。
【請求項9】
スピーカを備え、
前記通知手段は、ユーザへの通知情報を前記スピーカに出力することを特徴とする請求項1、2、7、8のいずれか1項に記載の交通規制回避区域提供装置。
【請求項10】
駐車場の駐車料金を比較し、最も安い駐車場を選定する駐車料金比較手段を備え、
前記駐車料金比較手段は、前記検索手段により検索された自車位置近傍の駐車場の駐車料金を比較することで最も安い駐車場を選定し、
前記ナビゲーション手段は、前記自車位置から前記駐車料金比較手段により選定された当該駐車場までの経路候補を算出し、誘導案内することを特徴とする請求項6に記載の交通規制回避区域提供装置。
【請求項11】
地図データ、交通規制を有する区域及び交通規制が回避された区域の情報が記憶された記憶部と、自車位置を検知する検知部と、コンピュータと、を備えた交通規制回避区域提供装置の制御方法において、
前記コンピュータが、
前記自車位置が、地図データ上の当該位置の座標に基づいて前記交通規制を有する区域内にあるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより前記自車位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、当該自車位置近傍の交通規制回避区域を検索する検索ステップと、
前記判定ステップにより前記自車位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、前記検索ステップにより検索された交通規制回避区域の情報を通知する通知ステップと、を実行することを特徴とする交通規制回避区域提供装置の制御方法。
【請求項12】
地図データ、交通規制を有する区域及び交通規制が回避された区域の情報が記憶された記憶部と、自車位置を検知する検知部と、を備え、前記検知部により検知した自車位置から所望の地点までの経路候補を算出し、誘導案内するナビゲーションステップを実行するコンピュータを有する交通規制回避区域提供装置の制御方法において、
前記コンピュータは、
前記自車位置が、地図データ上の当該位置の座標に基づいて前記交通規制を有する区域内にあるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより前記自車位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、当該自車位置近傍の交通規制回避区域を検索する検索ステップと、
前記判定ステップにより前記自車位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、当該自車位置の車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあるか否かを判定する駐車判定ステップと、を実行し、
前記ナビゲーションステップは、前記駐車判定ステップにより車両が駐車状態、あるいは駐車しようとする状態にあると判定された場合に、前記自車位置から前記検索ステップにより検索された交通規制回避区域内の所定地点までの経路候補を算出し、誘導案内することを特徴とする交通規制回避区域提供装置の制御方法。
【請求項13】
地図データ、交通規制を有する区域及び交通規制が回避された区域の情報が記憶された記憶部と、自車位置を検知する検知部と、コンピュータと、を備えた交通規制回避区域提供装置の制御プログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記自車位置が、地図データ上の当該位置の座標に基づいて前記交通規制を有する区域内にあるか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理により前記自車位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、当該自車位置近傍の交通規制回避区域を検索する検索処理と、
前記判定処理により前記自車位置が前記交通規制を有する区域内にあると判定された場合に、前記検索処理により検索された交通規制回避区域の情報を通知する通知処理と、を実行させることを特徴とする交通規制回避区域提供装置の制御プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−121908(P2009−121908A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−295316(P2007−295316)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】